JP6680430B1 - 生産ラインにおける品質と設備の統合的監視方法 - Google Patents

生産ラインにおける品質と設備の統合的監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】工作機械・金型の経時的な状態変化を追跡し、生産対象物の品質の低下に影響を及ぼすような工作機械の稼働状態の微小な劣化をも検出して、生産対象物の品質を良好状態に安定的に維持することができる統合的な監視機能を提供する。【解決手段】1次判定ステップにて不良と判定された場合には、観測変数群の中から、当該不良検知時と直近の時間帯における特徴量との関与度が大きい要因変数群を抽出し、不良の検知時間帯を起点として、先行時間帯において不良状態の特徴量との関与度が大きい要因変数群を抽出し、不良検知時と直近時の合計3個の時間帯群において、各時間帯の特徴量に対する観測変数の関与度の大小関係に基づき、前記要因変数群を複数のカテゴリに分類し、当該カテゴリを原因群とし、要因候補である観測変数群を結果群として因果モデルを構築することにより、対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、生産ラインにおける品質と設備の統合的監視方法に関する。
工作機械を用いて機械部品や製品を製作・加工する生産ラインにおいて、工作機械の稼働状態の変化に関連するデータや情報を取得して、生産対象物の品質を評価するとともに工作機械の健全性を診断し、異常兆候が検出されれば、当該原因を探索して、適切な時期に当該工作機械の調整・補修・改良を行い、さらに必要に応じて設計変更や運用改善を図っている。上記の生産対象物の品質検査においては、各検査項目に応じたデータの採取や計測などを行い、当該入手したデータや情報を、必要に応じて加工・変換し、予め設定した目標値との比較によって良否判定を行っている。一方、工作機械の健全性診断においては当該機器の稼働状態に関連するデータを採取し、必要に応じて加工・変換し、予め設定した閾値との比較によって異常判定を行っている。品質の不良や工作機械の異常が検出された場合には、劣化要因ノウハウ集あるいはトラブルシューティング集などとの照合、もしくは当該専門家の有するノウハウや経験知に基づいて原因の推定を行っている。
しかし、品質の良否を判定するために予め設定する目標値の精度上の課題や、当該検査の目的に必ずしも適合したデータが採取できるとは限らないなど、現状の品質検査では突然に不良品を検出したり、微妙な不良品を見逃すなど不良検出の性能上の課題があった。また、工作機械の健全性診断においても当該加工過程におけるデータの時間的変動が大きいこと、加工条件の変更など多種多様な外乱が混在することから、所定の閾値との比較による警報発令の時点では異常種別によっては故障発生のリスクが大きく、あるいは正常状態を異常と誤判定してしまうという異常検出の感度や信頼性に課題があった。さらに、当該生産対象物の品質不良が生じていない段階であっても、工作機械等の設備側の微小な劣化状態が当該品質の低下を招いていることを検知できないために、安定した品質管理が困難であるという課題があった。
特許第5753301号 山本隆義は“プラント装置の統括的診断方法、及び、プラント装置の統括的診断装置”を提案している。本従来技術では観測データ間の相関関係に基づき主成分分析法を応用して、正常時データの特徴量と当該観測データの特徴量との乖離度を、異常兆候有無の判定指標とする検知方法を行って、当該乖離度が判定閾値を超えた場合には“異常兆候あり”と判定するとともに、異常兆候に関連する観測変数群の候補を挙げるとしている。しかしながら、観測データが比較的緩慢な変化である場合には異常兆候の早期検出には有効であるが、本発明の対象とする生産ラインでの観測データは時間変化が急峻な場合が多く、さらに様々な外乱下では異常検出の性能に課題があった。また、観測変数群の中から要因候補となる変数群を挙げ、異常検知時以降の数週間〜数か月間の傾向監視の間に当該要因候補となる変数間の因果関係を探索するとしているが、生産ラインの不良検知においては、上記の傾向監視を継続する時間は許されず、不良検知時において当該不良判定を確定し、因果モデルの構築を行い、速やかに当該原因を推定することは困難であるという課題があった。
特開2001−113399号 トヨタ自動車株式会社と株式会社協豊製作所の提案は以下の通りである。
本従来技術に係るプレス機械の診断方法は、プレス機械の機枠に加わる荷重を測定し、測定した荷重に基づいてプレス機械の診断を行うもので、荷重の立ち上がり時間に基づいてプレス機械の総合ガタを診断することに特化したものであり、金型の状態変化や被加工材の性質などを総合的に勘案し品質を評価するという観点に欠けており、生産対象物の品質低下の予兆を把握できないという課題があった。
特許文献3:特開2005−074545
オークマ株式会社は、AEセンサでセンシングを行ない、主軸の異常や劣化状態を正確に検知して、主軸のダメージを判断し、アラームを表示させることを提案している。主軸回転指令と送り軸駆動指令を受けて、AEセンサを用いて振動データを計測し、そのデータが主軸回転情報から求められたしきい値を超えた数をレベルカウント回路でカウントし、そのカウント数とアラームレベルを比較し主軸の状態を判断し、必要ならばアラーム表示器アラームを表示させるというものである。この際、計測されたAE振動波形の事象率をカウントし、軸受の異常を判断する際、計測された事象率とそれ以前に計測された任意の回数分の事象率とを合わせた平均事象率を計算し、1回の事象率と平均事象率の値をあらかじめ設定してある軸受異常事象率レベルと比較することで、主軸の状態を判断することとした工夫はあるものの、主軸の異常監視に着目しているのみであり、加工過程が工作機械・金型・被加工体の3体に関連していることへの配慮がなされておらず、金型の状態変化や被加工材の性質などを総合的に勘案し品質を評価するという観点に欠けており、生産対象物の品質低下の予兆を把握できないという課題があった。
特開2007−237667 株式会社菊池製作所は、金型成形品の品質を高精度に検査する手段を提案している。このシステムは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向CCDカメラユニットX、Y、Z、レーザ測長器ユニット、各種温度センサ、判別手段を備え、成形品の3次元方向の画像データ及び3次元形状の計測データと、当該成形品の良品の3次元方向の基準画像データ及び3次元形状の基準計測データとの比較、照合により、成形品の良否を多眼的に判別し、併せてプレス機械の温度データにより、金型を含む発熱部各部の温度の適否を判別して、全数の成形品の品質を多元的に評価判定するとしている。生産対象物を直接的に画像・レーザによって計測し、基準データとの比較による良否判別と温度データの適否を判別して成形品の品質評価を行ってはいるが、金型・被加工体間の経時的な関連性(各部の摩耗進行、パンチとダイとのクリアランスが変化など)やプレス機械の経年変化(例えば、スライド位置のズレ量の変化など)への配慮に欠けており、当該課題を解決できていない。
特開2017−170578 長崎県は、工具認識機能を有した工作機械監視予測制御装置を提案している。工作機械システムにおいて、主軸の状態を測定する測定部にて測定した電流データと振動データを用いて、工具ごとの標準値の電流データと振動データと比較解析することによって、工作機械システムの動作を監視する。
そして、特定した工具に関連付けて測定した電流データもしくは振動データの時系列を、過去からの保存した時系列とを比較解析することにより、工作機械システムの異常発生を予測する。としているが、電流および振動データの標準値との比較では、通常の加工中において、それぞれの実データは時間とともに大きく変動して良好範囲が広いために、擬陽性(正常を異常と誤判定すること)を少なくしようとすれば微小な異常の検出精度は悪くなり実用的ではない。さらにこれらの時系列データを比較するといった予測についても基本的に電流および振動の強さに基づいた時系列での比較方式であるので、同じくその予測精度は実用ではないことは明らかである。要するに、工作機械のように当該作動が非常に不規則で非定常である場合には標準値との比較に判断基準をおく手法では監視や予測機能は実用には供さないといった課題があった。
生産対象物の品質低下に影響を及ぼすような工作機械・金型・被加工材の微小異常を検出して、加工不良の発生兆候を予知するとともに、工作機械自体の異常兆候をも早期に検知し、さらに、不良もしくは異常を検出した時点において、当該不良もしくは異常の要因を推定する統合的監視を実現することは困難であった。
なぜなら、多種多様な工作機械の機構には多くの劣化モードが存在し、しかも生産対象物の品質低下に影響を及ぼす加工時の状態は、工作機械、金型、被加工材の3つの相互作用により変化し、また加工条件の変更や工作機械の各部の摩耗などの経時的な変化も起こり得るために、得られる観測データ群には原因になる変数群と、結果もしくはそれに近い変数群、さらに当該観測データに潜在している要因となる変数群が入り混じって、時間とともに変化しているからである。
しかも、当該観測データには、対象とする工作機械の種類や加工条件によって緩慢な時間変化から急峻な時間変化までが混在しているからである。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、工作機械・金型の経時的な状態変化を追跡して異常兆候を検知するのみならず、当該生産対象物の品質の低下に影響を及ぼすような工作機械の稼働状態の微小な劣化をも検出して、生産対象物の品質を良好状態に安定的に維持することができる統合的な監視機能を提供することにある。
つまり、下記を特徴とする手法である。
・工作機械・金型・被加工材の状態変化が相互に関連し合いながら進行する加工過程において、微小な異常を検知し、生産対象物の品質の低下を回避する。
・1次判定の結果が「不良」となった時点において、要因候補となり得る観測変数が存在しない場合には当該1次判定結果を保留と判断して継続監視とし、上記要因候補となる観測変数が存在する場合には当該「不良」判定を確定することにより判定結果の信頼性を確保する。
・上記不良判定が確定した時点および当該時点より先行する時間帯での要因候補となる観測変数群を抽出して結果群とし、当該観測変数群を3個のカテゴリーに分類し、各々のカテゴリーを潜在変数とすることにより的確な因果モデルに絞り込むので、効率的な因果分析ができ、当該不良判定以降の傾向監視を行わなくても原因群の推定が可能である。
主たる本発明は、製品の生産ラインの対象工程の健全性を診断し、かつ当該製品の品質を評価して上記健全性診断の結果もしくは上記製品品質が不良の場合に、当該不良の原因を特定するために、超音波・振動・電流・寸法・表面粗さ等の観測変数群の時系列データに基づき、当該対象工程および製品の過程品質を評価・追跡し、当該不良の原因を特定する監視方法において、
対象工程もしくは品質の良否の判定を行う1次判定ステップと、当該1次判定ステップにて不良と判定された場合には、前記観測変数群の中から、当該不良検知時と直近の時間帯における特徴量との関与度が大きい要因変数群を抽出する直近要因候補抽出ステップと、当該直近要因候補抽出ステップでの要因候補の抽出可否もしくは関与度値の大小関係に基づき、前記1次判定ステップでの判定結果を真の不良であると確定するか、もしくは当該判定結果を外乱等によるもので良好であるとするか、もしくは当該判定結果を保留とするのかを決定する判定確定ステップと、当該判定確定ステップにて確定した不良の検知時間帯を起点として、先行時間帯において当該不良状態の特徴量との関与度が大きい要因変数群を抽出する先行要因候補抽出ステップと、不良検知時と直近時の合計3個の時間帯群において、当該各時間帯の特徴量に対する観測変数の関与度の大小関係に基づき、前記要因変数群を複数のカテゴリに分類する観測変数群分類ステップと、当該観測変数群分類ステップにて分類した複数のカテゴリを原因群とし、前記の要因候補である観測変数群を結果群として因果モデルを構築する因果モデル構築ステップとからなることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
上述したように本発明の生産ラインにおける品質と設備の統合的監視方法は、加工条件の変更など多種多様な外乱が混在していても、また工作機械等の設備側の微小な劣化状態が当該品質の低下を招いていることを検知できるので安定した品質管理を提供できる。
本発明による生産ラインの加工工程の健全性診断および不良原因の特定方法に関する全体フローチャート 本発明による統合監視の開始から1次不良検知までの経緯 本発明によるD方式における特徴量と乖離度の考え方 本発明によるS方式における特徴量と乖離度の考え方 本発明による先行時間帯での要因変数群を抽出する際の時間軸 本発明による因果モデルの構築例 実施例のプレス機械による板金加工の機構の概要 実施例のプレス機械のクランク機構の説明 実施例のプレス機械のスライド機構の説明 実施例のダイに取付けるセンサーの説明 実施例のせん断加工における金型上型パンチと下型ダイの関係 実施例のプレス機械のせん断加工による切り口の説明 実施例の金型上型パンチと下型ダイのクリアランスとコストの関係 実施例のプレス機械によるせん断加工における因果関係 実施例のプレス機械によるせん断加工における加工工程の時間的構成 実施例のプレス機械のクランク軸受での振動データ 実施例のプレス機械のせん断加工時のダイ部におけるAEデータ 実施例のプレス機械のモータ電流データ 実施例のせん断加工時のダイ部1での温度データ 実施例のせん断加工時のダイ部2での温度データ 実施例のせん断加工の統合監視における良否判定結果 実施例のせん断加工の統合監視における不良時の因果モデル 実施例のせん断加工の統合監視における不良時の因果モデルと因果関係との関係性
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
製品の生産ラインの対象工程の健全性を診断し、かつ当該製品の品質を評価して上記健全性診断の結果もしくは上記製品品質が不良の場合に、当該不良の原因を特定するために、超音波・振動・電流・寸法・表面粗さ等の観測変数群の時系列データに基づき、当該対象工程および製品の過程品質を評価・追跡し、当該不良の原因を特定する監視方法において、
対象工程もしくは品質の良否の判定を行う1次判定ステップと、当該1次判定ステップにて不良と判定された場合には、前記観測変数群の中から、当該不良検知時と直近の時間帯における特徴量との関与度が大きい要因変数群を抽出する直近要因候補抽出ステップと、当該直近要因候補抽出ステップでの要因候補の抽出可否もしくは関与度値の大小関係に基づき、前記1次判定ステップでの判定結果を真の不良であると確定するか、もしくは当該判定結果を外乱等によるもので良好であるとするか、もしくは当該判定結果を保留とするのかを決定する判定確定ステップと、当該判定確定ステップにて確定した不良の検知時間帯を起点として、先行時間帯において当該不良状態の特徴量との関与度が大きい要因変数群を抽出する先行要因候補抽出ステップと、不良検知時と直近時の合計3個の時間帯群において、当該各時間帯の特徴量に対する観測変数の関与度の大小関係に基づき、前記要因変数群を複数のカテゴリに分類する観測変数群分類ステップと、当該観測変数群分類ステップにて分類した複数のカテゴリを原因群とし、前記の要因候補である観測変数群を結果群として因果モデルを構築する因果モデル構築ステップとからなることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる生産ラインの対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法では、工作機械・金型・被加工材の3者の相互作用を考慮した状態診断が可能なので、加工設備側の劣化兆候が当該生産対象物の品質に与える影響を把握でき、工作機械側の健全性を確保できるのみならず安定した加工品質を維持でき、さらに不良発生時点までの加工時間において要因候補となる観測変数群を抽出し、その背景となる潜在変数を推定するので当該不良発生後の傾向監視を行わなくても当該不良の原因を特定できる。
また、前記の1次判定ステップにおいて、3個の時間帯群での時系列データに潜む特徴量の乖離度を用いて良否を判定する方式として、初期時間帯データを基準データとして固定し、1次判定時間帯と直近時間帯とを対象データとして特徴抽出を行う初期基準方式と、順次隣接した3個の連続時間帯群データ間において特徴抽出を行う隣接比較方式とを有することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、初期基準方式では、初期時間帯と離れた2個の時間帯に対するデータ内およびデータ間の相互作用を考慮し、隣接比較方式では3個の連続した時間帯に対するデータ内およびデータ間の相互作用を考慮した特徴抽出を行うので、劣化事象がゆっくりと進展する場合や、劣化事象が急峻に進展する場合にも微小な劣化兆候を、しかも様々な外乱下において検出できるので、工作機械や金型の微小な劣化兆候の発生により影響を受ける対象生産物の品質低下を回避するための情報を得ることができる。
また、前記に記載の、隣接比較方式において、1次判定時間帯と直近の時間帯2個の合計3個の時間帯群での時系列データに対して、前側の2個の時間帯データに潜む前側特徴量と、後側の2個の時間帯データに潜む後側特徴量との乖離度を、良否判定の指標とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、3個の時間帯データ群の、前側2個の時間帯での各データ内及びデータ間での特徴量と、後側2個の時間帯での各データ内及びデータ間での特徴量との乖離度を判定指標とするので、様々な外乱下において対象とする工作機械・金型・被加工材の加工中における劣化兆候が急峻であっても微小な劣化を検知することが可能となる。
また、前記に記載の、初期基準方式において、初期時間帯と1次判定直近の時間帯の2個の時間帯データに潜む前側特徴量と、当該初期時間帯と1次判定の時間帯の2個の時間帯データに潜む後側特徴量との乖離度を、良否判定の指標とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、初期時間帯データを基準に固定して、当該基準データ内と加工工程の進捗によって離れてゆく2個の時間帯データ内、および当該基準データと2個の時間帯データ間での特徴抽出により求めた特徴量の乖離度を判定指標とするので、様々な外乱下において対象とする工作機械・金型・被加工材の加工中における劣化兆候が漸進的であっても微小な劣化を検知することが可能となる
また、前記に記載の、隣接比較方式において合計3個の時間帯群での時系列データに潜む特徴量を算出して乖離度を求める際に、古い時間帯の2個の時間帯データに対して求めた2個の古い時間帯重み係数を用いて、先頭時間帯データと中間時間帯データについて2個の古い時間帯特徴量を求め、次に前述の古い時間帯重み係数と同じ重み係数を用いて中間時間帯データと終端時間帯データについて2個の新しい時間帯特徴量求め、上記の2個の特徴量と当該2個の新しい時間帯特徴量に対して2種類の乖離度を算出することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、合計3個の時間帯群での時系列データにおいて2個の古い時間帯特徴量と2個の新しい時間帯特徴量に対して、古い時間帯重み係数を共通にして算出することにより古い時間帯2個のデータセットに潜在する特徴を固定した上で、上記の古い時間帯特徴量と新しい時間帯特徴量との乖離度を求めるので、不良検知の感度を高く維持することができ、様々な外乱下において急峻な状態変化に埋もれた微小な劣化兆候の安定した検出が可能となる。
また、前記に記載の、初期基準方式において合計3個の時間帯群での時系列データに潜む特徴量を算出して乖離度を求める際に、初期時間帯と1次判定直近の2個の時間帯データに対して求めた2個の古い時間帯重み係数を用いて、初期時間帯データと1次判定直近時間帯データについて2個の古い時間帯特徴量を求め、次に前述の古い時間帯重み係数と同じ重み係数を用いて初期時間帯データと1次判定時間帯データについて2個の新しい時間帯特徴量求め、上記の2個の古い時間帯特徴量と当該2個の新しい時間帯特徴量に対して2種類の乖離度を算出することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、初期時間帯データ及び離れた2個の時間帯データの合計3個の時間帯群での時系列データにおいて、初期時間帯データと離れた2個のうちの古い時間帯データでの古い時間帯特徴量、及び、初期時間帯データと離れた2個のうちの新しい時間帯時間帯データでの新しい時間帯特徴量を算出する際に、古い時間帯重み係数を共通にして算出することにより古い時間帯2個のデータセットに潜在する特徴を固定した上で、上記の古い時間帯特徴量と新しい時間帯特徴量との乖離度を求めるので、不良検知の感度を高く維持することができ、様々な外乱下において漸進的に進展する劣化兆候を安定して検出することが可能になる。
また、前記に記載の、直近要因候補抽出ステップにおいて、1次判定の結果が前記記載の隣接比較方式に基づき不良と判定した場合に、検知時の時間帯と直近の2個の時間帯の合計3個の時系列データ群に対して、前側の2個の時間帯データから求めた2個の前側重み係数を用いて2個の前側特徴量を算出しておき、先頭時間帯データと当該時間帯に対応する前側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第一関与度値と、中間時間帯データと当該時間帯に対応する前側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第二関与度値と、一方、後側の2個の時間帯データから求めた2個の後側重み係数を用いて2個の後側特徴量を算出しておき、中間時間帯データと当該時間帯に対応する後側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第三関与度値と、終端時間帯データと当該時間帯に対応する後側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第四関与度値との各観測変数に対する4種類の関与度値の大きさの中で、少なくとも2種類の関与度値が予め設定した関与度閾値を超えた場合には、当該関与度値に対応する観測変数を、当該不良検知時及び直近時の直近要因候補とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、1次判定の結果が前記の隣接比較方式に基づき不良と判定した場合に、当該特徴量との関与度が予め設定した関与度閾値を超えた観測変数を、対象とする工作操作条件の変更や様々な外乱の要因ではなく、当該不良検知時の3個の時間帯群における直近要因候補として抽出することが可能となる。
また、前記に記載の、直近要因候補抽出ステップにおいて、1次判定の結果が前記に記載の初期基準方式に基づき不良と判定した場合に、初期時間帯と1次判定時及び直近の合計3個の時系列データ群に対して、初期時間帯データと1次判定直近時間帯データから求めた2個の前側重み係数を用いて2個の前側特徴量を算出しておき、初期時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の前側特徴量のうちのいずれかの前側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第一関与度値と、当該初期時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の前側特徴量の他方の前側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第二関与度値と、一方、初期時間帯データと1次判定時の時間帯データから求めた2個の後側重み係数を用いて2個の後側特徴量を算出しておき、1次判定直近時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の後側特徴量のうちのいずれかの後側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第三関与度値と、1次判定時の時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の後側特徴量の他方の後側特徴量との積を算出して得る各観測変数の第四関与度値との各観測変数に対する4種類の関与度値の大きさの中で、少なくとも2種類の関与度値が予め設定した関与度閾値を超えた場合には、当該関与度値に対応する観測変数を、当該不良検知時及び直近時の直近要因候補とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、1次判定の結果が前記の初期基準方式に基づき不良と判定した場合に、当該特徴量との関与度が予め設定した関与度閾値を超えた観測変数を、対象とする工作操作条件の変更や様々な外乱の要因ではなく、当該不良検知時及び直近時における直近要因候補として抽出することが可能となる。
また、前記の判定確定ステップにおいて、前記に記載の4個の関与度値の大きさの中で、少なくとも2個の関与度値が予め設定した関与度閾値を超えた場合、もしくは当該4個の関与度値の大きさが全て関与度閾値より小さく要因候補となるべき観測変数が存在しない判定回数が4回以上継続した場合には、当該1次判定結果を真の不良であると確定することとし、一方、上記した4種類の関与度値の大きさの中で、1種類のみの関与度値が予め設定した関与度閾値を超えた場合で当該観測変数が対象の工作機器の操作条件に関する変数である場合には、当該1次判定結果の不良の要因は操作条件等の変更によるものと判断し、同じく1種類のみの関与度値が予め設定した関与度閾値を超えた場合で上記の工作機械の操作条件との関連がない場合には、当該1次判定結果の不良の要因は外乱等によるものと判断し、また一方、当該4種類の関与度値の大きさが全て関与度閾値より小さく要因候補となるべき観測変数が存在しない判定回数が3回以下の場合には要因不明として判定を保留し、次の時間帯群における良否判定へ進むことを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、1次判定結果が不良と判定した場合に、各観測変数について算出した4種類の関与度値が予め設定した関与度閾値を超える個数に応じて、もしくは関与度値が当該閾値未満であり要因候補として抽出される観測変数が存在しない判定回数に応じて、当該1次判定結果が真の不良であるのか、あるいは対象の工作機器の操作条件の変更によるものであるのか、あるいは外乱等によるものであるのか、あるいは要因不明として保留とするのかに分類することによって、加工条件の変更や様々な外乱が存在しても信頼性の高い統合的監視が可能となる。
前記の先行要因候補抽出ステップにおいて、前記に記載の隣接比較方式の場合には不良検知時及び直近の2個の時間帯データから、あるいは前記に記載の初期基準方式の場合には初期時間帯及び不良検知時の2個の時間帯データから求めた後側重み係数を用いて、上記検知時間帯より3個以前の各先行時間帯データに対する各特徴量を算出し、当該時間帯データと当該特徴量との積を算出して得る各観測変数の当該関与度値を、順次、時間帯を遡って求めてゆき、前記の予め設定した関与度閾値を超えた場合には、対応する観測変数を先行時間帯における先行要因候補として抽出することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、不良検知時間帯より3個以前の各先行時間帯に対する各観測変数の関与度値が予め設定した関与度閾値を超えた場合に、対応する観測変数を先行時間帯での先行要因候補として、前記の直近要因候補抽出ステップにて得た直近要因候補である観測変数に加えて全要因候補群とすることにより因果モデルの有効な絞込みができるので、効率的な因果分析による不良原因の特定が可能となる。
前記に記載の観測変数群分類ステップ及び因果モデル構築ステップにおいて、前記にて求めた各観測変数の第一関与度値より第四関与度値のうち、第一関与度値もしくは第三関与度値が最大値となる観測変数群を第一分類とし、第二関与度値もしくは第四関与度値が最大値となる観測変数群を第二分類とし、前記にて抽出した先行時間帯における先行要因候補となる観測変数群を第三分類とし、当該3個の分類をそれぞれ1個の潜在変数とみなし、当該各潜在変数に対応する観測変数群を結果群として因果モデルを構築することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、各観測変数の第一関与度値より第四関与度値において最大値となる順番は、当該不良事象の背景となる原因と関連していることを根拠として、直近要因候補が検知時に明らかな場合は第一分類に、当該直近要因候補が不良検知時ではなく直近時間帯にて明らかになる場合は第二分類とし、先行時間帯にて明らかになる場合は第三分類としてそれぞれを潜在変数とすることにより、不良事象の発生時期を考慮して的確な因果モデルに絞り込むので、効率的な因果分析が可能となる。
前記に記載の因果モデルの構築において、前記第三分類の観測変数群に対応する潜在変数を、第一分類および第二分類に対応する潜在変数群の共通原因とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法である。
かかる場合には、先行時間帯における第三分類に対応する潜在変数は、検知時および直近時での潜在変数に対する原因となる可能性が高く、劣化事象が発生して進展する際の初期原因が、他の新たな劣化事象の原因となるといった複層的な因果分析ができるので複雑な原因特定が可能となる。
(生産ラインの加工工程の健全性診断および不良原因の特定方法に関する全体フローについて)
図1に、生産ラインの加工工程の健全性診断および不良原因の特定方法のフローチャートを示す。
本実施例における全体フローチャートは、主にステップA(図1の1)とステップB(図1の4)から成る。
ステップAでは請求項2に記載している初期基準方式(以降、S方式と略す)と隣接比較方式(以降、D方式と略す)にて3個の時間帯群データにおける特徴量の乖離度(DI値と称す)を算出し、最大DI値が判定閾値以上である場合には、「1次不良」と判定してステップBへ移行する(図1の2)。一方、当該最大DI値が判定閾値未満である場合には、良品と判定して次の時間帯へ移行して監視を継続する(図1の3)。
上記ステップBでは、当該「1次不良」の判定がD方式に依った場合は不良検知時およびその直近の2つの時間帯の合計3個の時間帯群データについて、もしくは当該「1次不良」の判定がS方式に依った場合には、初期基準時、不良検知時及び直近時間帯の合計3個の時間帯群データについて、各時間帯データの相関行列と対応する重み係数ベクトルとの積を算出することによって各観測変数の当該特徴量への関与度値が求まる(図1の4)。
ここで、一つの観測変数について、関与度値は3つの時間帯群データに関して4種類ある。いずれの種類の関与度値が、関与度閾値を超えているのかを示す分布を特徴種別の出現パターンと称する。当該特徴種別の出現パターンにおいて、当該要因候補の可能性がある観測変数の関与度値の種類が1種類のみの場合で、当該対象の工作機械の操作条件等の変更に直接関連する観測変数であれば、当該観測変数は当該1次不良の要因ではなく、操作条件変更等によるものと判断して、次の時間帯での監視へ移行する(図1の5、6、7,8、10)。あるいは、同じく当該関与度値の種類が1種類のみの場合で、当該観測変数が操作条件と無関係であれば、当該1次不良は他の外乱によるものであると判断して、次の時間帯での監視へ移行する(図1の5、6、7、9、10)。また、当該特徴種別の出現パターンにおいて、関与度閾値を超えた時間帯が当該不良検知時のみであれば、通常の外乱によるものとして次の時間帯へ移行して監視を継続する。
一方、上記の要因候補の可能性がある観測変数が当該工作機械の操作条件等の変更に直接関連しておらず、上記特徴種別の出現パターンにおいて、4種類の関与度値のうち2種類以上が関与度閾値を超えている場合には、当該1次不良の判定を確定するとともに、当該観測変数を直近時における要因変数群の一つとする(図1の11、12)。
また、一方、上記4種類の関与度値の全てが関与度閾値未満であった場合には、要因不明として当該1次不良の判定を保留して次の監視を継続する(図1の13,14)。そして、当該保留処理が4回以上継続した場合には、1次不良の判定結果を確定する(図1の13,11)。ただし、この場合には要因候補となる観測変数は不明とする。
1次不良の判定結果を不良と確定した次には、先行時間帯における要因変数群を探索する。当該不良判定がD方式に依った場合は、不良検知時およびその直近時間帯データから求めた重み係数ベクトルを用いて、もしくは当該不良判定がS方式に依った場合には、初期基準時及び不良検知時間帯データから求めた重み係数ベクトルを用いて、不良検知時より3個以前の時間帯から、各先行時間帯でのデータの相関行列と上記重み係数ベクトルとの積を算出することによって各観測変数の当該特徴量への関与度値を求める。そして、当該関与度値が予め設定した関与度閾値を超えた観測変数を先行時間帯での要因変数とする(図1の15)。
また、当該要因候補となる観測変数群は第三分類とし、対応する潜在変数が当該不良の劣化事象の背景にある原因の一つであると推定できる。
以上に記載した、1次判定結果の不良の確定後に、その検知時における要因候補群として抽出した観測変数群と、先行時間帯において要因候補群として抽出した観測変数群とを合わせて結果群とし、そして第一分類〜第三分類に対応した潜在変数を原因群として因果モデルを構築し、因果分析を行って当該不良事象の原因を特定する(図1の16,17)。
図1に示す全体フローチャートの中における基本的な処理について詳述する。
図2に当該加工開始時(初期基準▲1▼)から順次、各加工時間帯▲2▼、▲3▼・・へと統合的監視を継続していき、そして1次不良検知時までの経緯を示す。
ここでは不良検知時の時間帯をn時間帯とし、直近時間帯(n−1)、(n−2)の2個の時間帯とを合わせた3個の時間帯群データでの解析結果(最大DI値)と、1次判定閾値との比較から1次不良と判定した場合である。
時間帯▲1▼でのデータ行列X1を(x(1)・・・x(1)・・・x(1))、時間帯▲2▼でのデータ行列をX2(x(2)・・・x(2)・・・x(2))、そして時間帯▲3▼でのデータ行列をX3(x(3)・・・x(3)・・・x(3))と表すと[表1]、[表2]、[表3]のようになる。ここで、下付きの添え字は観測変数の順番を示し、カッコ内数値は3個の時間帯群データの順番を示す。また、1つの時間帯において各観測変数について<n>個のデータ個数をサンプリングする。
なお、観測変数名はf,・・f,・・f(q種類)と表示する。
以上にて、本発明の統合的監視に必要なデータが準備できた。
次に、図1のステップAでの良否判定の指標である乖離度の定義と算出方法を説明する。
D方式における特徴量の乖離度;図1の1
D方式の考え方を図3に示す。D方式では、3個の時間帯群(n−2),(n−1),nの中の前側の2個の時間帯(n−2)、(n−1)に対してデータ行列X1内における、データ行列X2内における、そしてデータ行列X1とX2間における3種類の相関係数Rx1x1、Rx2x2、Rx1x2を求め、固有方程式を解くことによって重み行列A,Bを得る。なお、Rx1x1、Rx2x2では変数群内における相互依存性を、Rx1x2では変数群間の相関関係という二つの違ったタイプの情報が含まれている。
時間帯(n−2)のデータ行列X1と時間帯(n−1)のデータ行列X2における各変数を、それらの変数から成るいくつかの線型結合の組に置き換えることによって、この変数群間のパターン分析を行うことができる。上記の線型結合の中で変数群X1の線型結合が変数群X2の線型結合と最大の相関をもつように重み係数AとBを決定する。ここで、上記の重み係数ベクトルA;a,a,・・・a、B;b,b,・・・bと表すと、前側2個の時間帯におけるデータ行列X1(x(1)・・・x(1)・・・x(1))とX2(x(2)・・・x(2)・・・x(2))に対して、二つの線型結合Fx1AとFx2Bはそれぞれ[数1]および[数2]となる。
上記の二つの線型結合Fx1AとFx2Bを、時間帯(n−2)、(n−1)におけるデータ行列X1、X2の二つの特徴量と定義する。
次に、後側2個の時間帯において、上記した前側と同様に、時間帯(n−1)のデータ行列X2と時間帯nのデータ行列X3における重み係数ベクトル<A>;<a>,<a>,・・・<a>と、<B>;<b>,<b>,・・・<b>を求めて、データ行列X2(x(2)・・・x(2)・・・x(2))とX3(x(3)・・・x(3)・・・x(3))に対する二つの線型結合Fx2<A>とFx3<B>は[数3]および[数4]となる。
上記のFx2<A>とFx3<B>を、時間帯(n−1)、nにおけるデータ行列X2、X3の二つの特徴量と定義する。
次に、3個の時間帯群データにおける特徴量の乖離度を定義する。この乖離度は当該対象状態の良否を判定するための指標とするものであり、状態変化を感度高く捉えるためには、3個の時間帯群において後側の2個の時間帯データから特徴量を算出する際の重み係数ベクトルは、前側の2個の時間帯データから求めた重み係数ベクトルと同じとすることが有効である。これは、人間の有する“いつもと何かが違う”といった鋭い感覚は、外部からの信号に内在する特徴を脳内のシナプス重みに記憶しているということをモデルにして、直前の2個の時間帯データで求めた重み行列にて固定することとしたものである。
D方式における2種類の乖離度は以下の[数5]および[数6]によって算出する。なお、ここでは時間帯(n−2),(n−1),nをそれぞれ▲1▼、▲2▼、▲3▼と表現する。
ここで、
x1A:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Aを用いて、表1のn個のデ ータに対する特徴量Fx1Aの平均値
x2A:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Aを用いて、表2のn個のデ ータに対する特徴量Fx2Aの平均値
x2B:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Bを用いて、表2のn個のデ ータに対する特徴量Fx2Bの平均値
x3B:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Bを用いて、表3のn個のデ ータに対する特徴量Fx3Bの平均値
σFx1A:上記の特徴量Fx1Aの標準偏差
σFx2A:上記の特徴量Fx2Aの標準偏差 ABS:絶対値処理を示す。
σFx2B:上記の特徴量Fx2Bの標準偏差 SQRT:平方根処理を示す。
σFx3B:上記の特徴量Fx3Bの標準偏差
S方式における特徴量の乖離度;図1の1
S方式の考え方を図4に示す。S方式では、初期基準時間帯▲1▼と2個の時間帯(n−1),nの中の前側の2個の時間帯▲1▼、(n−1)に対してデータ行列X1内における、データ行列X2内における、そしてデータ行列X1とX2間における、3種類の相関係数Rx1x1、Rx2x2、Rx1x2を求め、固有方程式を解くことによって重み行列A,Bを得る。
時間帯▲1▼のデータ行列X1と時間帯(n−1)のデータ行列X2における各変数を、それらの変数から成るいくつかの線型結合の組に置き換えることによって、この変数群間のパターン分析を行うことができる。上記の線型結合の中で変数群X1の線型結合が変数群X2の線型結合と最大の相関をもつように重み係数AとBを決定する。上記の重み係数ベクトルA;a,a,・・・a、B;b,b,・・・bと表すと、データ行列X1(x(1)・・・x(1)・・・x(1))とX2(x(2)・・・x(2)・・・x(2))に対して、二つの線型結合Fx1AとFx2Bはそれぞれ[数7]および[数8]となる。
上記の二つの線型結合Fx1AとFx2Bを、時間帯▲1▼、(n−1)におけるデータ行列X1、X2の二つの特徴量と定義する。
次に、後側2個の時間帯において、上記した前側と同様に、時間帯▲1▼のデータ行列X1と時間帯nのデータ行列X3における重み係数ベクトル<A>;<a>,<a>,・・・<a>と<B>;<b>,<b>,・・・<b>を求めて、データ行列X1(x(1)・・・x(1)・・・x(1))とX3(x(3)・・・x(3)・・・x(3))に対する二つの線型結合Fx1<A>とFx3<B>は[数9]および[数10]となる。
上記の二つの線型結合Fx1<A>とFx3<B>を、時間帯▲1▼、nにおけるデータ行列X1、X3の二つの特徴量と定義する。
次に、S方式での3個の時間帯群データにおける特徴量の乖離度を定義する。D方式の場合と同様に、この乖離度は当該対象状態の良否を判定するための指標とするものであり、状態変化を感度高く捉えるためには、3個の時間帯群において後側の2個の時間帯▲1▼、nのデータから特徴量を算出する際の重み係数ベクトルは、前側の2個の時間帯▲1▼、(n−1)のデータから求めた重み係数ベクトルと同じとすることが有効である。なお、ここでは時間帯▲1▼、(n−1),nをそれぞれ▲1▼、▲2▼、▲3▼と表示する。
S方式における2種類の乖離度は以下の[数11]および[数12]によって算出する。
ここで、
x1A:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Aを用いて、表1のn個のデ ータに対する特徴量Fx1Aの平均値
x2A:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Aを用いて、表2のn個のデ ータに対する特徴量Fx2Aの平均値
x1B:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Bを用いて、表1のn個のデ ータに対する特徴量Fx1Bの平均値
x3B:2つの時間帯▲1▼、▲2▼で得た重み行列Bを用いて、表3のn個のデ ータに対する特徴量Fx3Bの平均値
σFx1A:上記の特徴量Fx1Aの標準偏差
σFx2A:上記の特徴量Fx2Aの標準偏差 ABS:絶対値処理を示す。
σFx1B:上記の特徴量Fx1Bの標準偏差 SQRT:平方根処理を示す。
σFx3B:上記の特徴量Fx3Bの標準偏差
以上にて求めたD方式による乖離度DI▲1▼/▲2▼/▲3▼(A)、DI▲1▼/▲2▼/▲3▼(B)およびS方式による乖離度DI▲1▼/▲2▼(A)、DI▲1▼/▲3▼(B)のうちの最大DI値が、予め設定した判定閾値を超えた場合には1次不良と判定する。(図1の2,4)あるいは当該4個のDI値の中の最大DI値が上記判定閾値未満であった場合は良好と判定し、次の時間帯での監視へ移行する。(図1の2、3)以上にて、図1の1;ステップAでの良否判定の指標である乖離度の定義と算出方法を説明した。
◎次に、ステップAにて1次不良と判定された場合に、ステップBにおける当該不良の要因となる可能性がある観測変数群の抽出方法について説明する。(図1の4)
要因となる可能性がある観測変数群の抽出法について;図1の4
上記した特徴量と元の観測変数群との相関関係を調べることによって特徴量の内容を解釈するための情報を構造行列と呼ぶことにする。
一般的に、2つの時間帯でのデータX1とX2についての構造行列SX1,SX2は、それぞれの特徴量FX1A、FX2Bと、対応するデータ行列X1、X2との積で定義され、以下の[数13]および[数14]で算出する。
上記の構造行列SX1,SX2を書き下すと以下の[数15]のようになる。
[数15]のSx1,Sx2を書き下した右端に表示するSx1(1),Sx1(2)・・・Sx1(i)・・・Sx1(q)はそれぞれ観測変数名f,f,・・,f,・・fの、当該特徴量Fx1Aへの関与度値を表している。同じく、Sx2(1),Sx2(2)・・・Sx2(i)・・・Sx2(q)はそれぞれ観測変数名f,f,・・,f,・・fの、当該他方の特徴量Fx2Bへの関与度値を表している。そして、当該関与度値が大きい観測変数は、当該特徴量の構成に強く寄与していると解釈できる。
2つの時間帯でのデータX1とX2についての構造行列SX1,SX2は、対応する特徴量に対して、どの観測変数が、どの程度関与しているかを示しており、各観測変数の有する特徴種別S値と称することとする。
本発明では3個の時間帯群を分析対象としているので、上記の関与度値は4種類存在し、これらの関与度値のうち、どの関与度値が当該関与度閾値を超えるか、また何種類の関与度値が当該関与度閾値を超えるか否かによって、真の要因候補なのか、外乱等によるものであるのかなどを判断する。(図1の5〜9,11)
要因候補の観測変数群の中で、操作条件の変更や外乱によるものの排除について;図1の6〜9
上記の関与度閾値を超え要因候補として抽出した観測変数群の中で、対象とする工作機械等の操作条件変更に関連した観測変数に相当する場合には、当該観測変数は要因候補から除外する。この場合には当該生産対象物もしくは工作機械は良好状態であるので、次の時間帯での監視へ移行する。(図1の7,8、10)
上記の各観測変数についての4種類の関与度値のいずれもが、関与度閾値未満であった場合には、当該1次不良の判定結果を一旦保留として、次の時間帯での監視へ移行する。これはD方式もしくはS方式により最大DI値が判定閾値を超えて1次不良と判定されても、当該要因の可能性がある観測変数が存在しない場合には、当該不良判定には確定性が不十分であるとして、良否判定の信頼性を向上させるために、一旦保留として、次の時間帯に移行して監視を行うものである。(図1の5、13、14、3)
また、要因の可能性がある観測変数が存在しない場合でも、次の時間帯での監視を継続し当該保留となる監視回数が継続して4回になった場合には、1次判定結果を不良と確定する。これは、当該良否判定が3個の時間帯群データをセットとした解析・評価に基づいており、1個の時間帯データでのみ不良と判定され、他の2個の時間帯データで良好であったとしても、1次判定の結果が不良となる判定回数が連続して4回以上になれば、当該不良は単発的ではなく不良事象が継続中であると推定できるからである。(図1の13、11)
不良確定後における直近での要因候補変数群の抽出について;図1の12)
D方式により不良がn時間帯にて確定した場合の、直近時の(n−2)、(n−1)時間帯を合わせた3個の時間帯データにおいて、図3に示す各特徴量Fx1(A)、Fx2(B)、Fx2<A>、Fx3<B>と対応するデータX1、X2、X3との相関関係を求めた特徴種別S値SX1、SX2、S’X2、SX3は、以下の[数16]、[数17]、[数18]、[数19]によって求めることができる。
上記の4種類の特徴種別S値は、D方式にて不良検知時に、それぞれ観測変数名f,f,・・,f,・・,fの、当該特徴量への関与度値を示すもので、順に、第一関与度値、第二関与度値、第三関与度値および第四関与度値と定義する。
そして、各観測変数に対応する、上記のいずれかの関与度値が当該関与度値閾値を超えた場合には、当該観測変数を当該不良の要因候補変数とする。
一方、S方式により不良がn時間帯にて確定した場合の、初期基準▲1▼と直近時(n−1)時間帯とを合わせた3個の時間帯データにおいて、図4に示す各特徴量Fx1(A)、Fx1(B)、Fx2<A>、Fx3<B>と対応するデータX1、X2、X3との相関関係を求めた特徴種別S値SX1、S’X1、SX2、SX3は、以下の[数20]、[数21]、[数22]、[数23]によって求めることができる。
S方式による不良検知時において、上記の4種類の特徴種別S値は、それぞれ観測変数名f,f,・・,f,・・,fの、当該特徴量への関与度値を示すもので、順に、第一関与度値、第二関与度値、第三関与度値および第四関与度値と定義する。
そして、各観測変数に対応する、上記のいずれかの関与度値が当該関与度値閾値を超えた場合には、当該観測変数を当該不良の要因候補変数とする。
不良確定後における先行時間帯での要因候補変数群の抽出について;図1の15)
図5に、不良確定後における先行時間帯での要因変数群を抽出する際の時間軸を示している。当該不良を検出、確定したn時間帯と、その直近の(n−1)時間帯では、前記した直近での要因候補変数群を抽出する。そして、当該(n−2)時間帯から以前の先行時間帯jにおける要因候補となる可能性がある変数群の抽出は、以下に示す[数24]にて算出した、時間帯jでの特徴種別S値SXjが当該関与度閾値を超えるか否かによって、要因候補変数であるか否かを決定するものである。なお、上記の不良検知時n時間帯及び直近時(n−1)時間帯データで求めた重み係数ベクトル<A>を固定して、順次、j時間帯データXの相関行列RXjXjとの積を求めることにより特徴種別S値SXjを算出してゆく。
ここで、RXjXjはデータXの相関行列を示す。
順次、遡ってj=n−2(初期時間帯)まで各j時間帯での特徴種別S値SXjを求めて先頭時間帯において要因候補となる観測変数群を抽出する。
全要因候補の観測変数群の分類及び潜在変数の設定について:図1の16)
前記に記載した、直近の要因候補および先行時間帯での要因候補とを合わせて全要因候補となる観測変数群は3つに分類できる。その理由は、3個の時間帯群データにおける当該不良への関与度値が大きい観測変数群に対して、最大もしくは有意な関与度値が現れる時間帯が検知時である場合と、当該最大もしくは有意な関与度値が現れる時間帯が直近時である場合とでは、それぞれの観測変数は、異なる潜在要因から派生している可能性が高いからである。
また、先行時間帯での要因候補として抽出された観測変数は、当該不良検知時および直近時とは異なる潜在要因から派生している可能性が高いと推定される。
上記の分類は、第一関与度値〜第四関与度値が現れる特徴種別の出現パターンから[表4]に示すように、当該観測変数は分類番号IもしくはIIもしくはIIIに分類するものである。[表4]に該当する特徴種別の出現パターンに合致する観測変数は不良の要因候補であると判断する確認ルールである。なお、[表4]ではD方式により不良が確定した場合であり、〔〕印で表示する記号は、S方式の場合に対応している。
また、[表5]には不良検知時および直近時における特徴種別の出現パターンとして、最大関与度値が現れるのが検知時n時間帯のみである場合には、当該要因は操作条件等の変更による外乱であるとするものである。
因果モデルの構築について:図1の17)
前記した、全要因候補となる観測変数群を3つに分類した、それぞれの分類番号I、II、IIIを潜在変数とし、対応する観測変数群を結果群として因果モデルを構築する。
図6に因果モデルの構築例を示す。潜在変数は丸印で、観測変数は四角印で示し原因側から結果側へ矢印で繋いでいる。潜在変数間では、第三分類から第一、第二分類へ矢印を引き、分類IIIは分類I、IIの原因となる潜在変数であることに対応している。各潜在変数には、前記した要因候補となるべき観測変数群が結果群として矢印で結ばれる。
ここで、分類Iと分類IIとはいずれが原因となるのかは不明であるので、分類Iが原因の場合のケース1と、分類IIが原因である場合のケース2として2種類の因果モデルに対して因果分析を行う。
(発明の実施例プレス機による板金加工に対して統合的監視を実施した場合)
本発明の実施例として、プレス機による板金加工における統合的監視の詳細を記述する。
図7にプレス機による板金加工の機構の概要を示す。
プレス機による板金加工が成り立つには、プレス機械と金型(上型のポンチと下型のダイ)、被加工材の3つの要素が相互に作用して動くことが必須である。この3要素のバランスは、人に依存する部分が大きく、製品の加工精度や生産性に影響しながらプレス機加工が行われている。
つまり、
○プレス機械・・・弾性変形のみ(本来は変形が起きないことが理想)
○金型 ・・・弾性変形のみ(プレス機械同様)
○被加工材 ・・・弾性変形+塑性変形(弾性変形がないことが理想)
が起きており、プレス加工では金型だけが重視されるのではなく、被加工材およびプレス機械の要素を含めて考えなければならない。被加工材の材料が変わればプレス加工時にせん断される際の荷重が変化したり、せん断に要する時間に長短があるなどの特性に差異が生じる。また、プレス機械ではクランク機構にてクランク軸の回転運動を、スライドの上下運動に変換することで圧力を発生しているので、プレス機械の能力は、どのスライド位置でも発生できることではなく、プレス加工全工程の荷重とスライド位置の関係を把握、確認することが重要となる。図7のスライダ1には金型上型のポンチ2が取り付けてあり、一方プレス機械の下側のボルスタ3には金型下型のダイ4が設置されている。そして、送り装置により被加工材5をプレス機械の中心位置に挿入設定し、スライダ1を下降させてゆき、ポンチ2とダイ4との間で被加工材5がせん断加工される。当該加工が終了すれば、スライダ1が上昇して、製品6がプレス機械から排出される。この加工工程を継続して繰り返すことによって対象製品が量産されてゆく。
上記のクランク機構を図8に示す。モータ(図では省略)からの回転エネルギはフライホイール1に伝えられ、クランク軸2をストローク数nの速度で回転させる。スライド4とクランク軸2とはコネクチングロッド3で連結されており、クランク軸2の回転によりスライド4が上下運動する。当該スライド4はストローク長さSの範囲にて上下運動することになる。また、クランク軸2の両端にある軸受1,2に、それぞれ加速度センサ7、8を設置して得られる振動データを分析して、当該クランク軸2の回転性の健全性診断や劣化要因の推定などを行う。
上記のクランク機構におけるスライドの上下運動の範囲について図9を用いて説明する。スライド調節ねじ2を回すことによってスライド4の下死点位置5を決める。この下死点位置5とボルスタプレート7との間隔がダイハイト6である。もちろんスライド調節ねじ2の調節可能な範囲は、調節上限3にて規定されている。
図10には、金型の下型のダイ1に取り付けたセンサ群を示す。2個のAEセンサCH1とCH2と、2個の温度センサT1,T2を取付けている。このAEセンサ群はプレス過程におけるせん断加工中に、被加工材に発生する亀裂や塑性変形が不十分で“伸び“が生じていないかを監視するものである。
また、温度センサにより、せん断加工におけるダイ1の温度を計測する。プレス機械自体ではモータ発熱、圧縮空気の発熱、スライド部での摩擦熱などによる熱源であり、また加工される被加工材や金型も熱源となるので、各部位は稼働を継続していくと伸びてゆく。このことから、図9に示す下死点位置5は次第に下がってゆく。このことは対象製品の形状が複雑になったり、製品の要求精度が高まるとさらに問題化されてゆく。
図11には、せん断加工中における金型上型のパンチ1と下型ダイ2の関係を示している。当該せん断加工時ではパンチ寸法とダイ寸法との隙間であるクリアランス3が適切に調節されているが、製品4と付随してバリ6が生じてしまう。
当該クリアランスの大きさによって、せん断面性状が異なり、しかも製品とする凹凸形状によっても異なってくる。
図12には、切口面の構成を示している。図12の上部から順に、だれ1、せん断面2、破断面3、および、かえり(バリとも言う)4から成る。そして、図12の下に示すように、クリアランス(図11の3)が大きくなると、せん断面の領域が小さくなり、かえり(バリ)が拡大し、逆にクリアランスが小さくなると二次せん断面が生じる。このかえり(バリ)は後工程にて“バリ取り”という作業が必要になるし、二次せん断面が生じるような小さなクリアランスではせん断エネルギが増大してしまう。したがって、適切なクリアランスを維持することが製品の品質維持や投入エネルギの最適化において重要な要素であるが、初期設定しておいても加工を繰り返していく段階で次第に最適な範囲より外れてゆく。
図13に、横軸にクリアランスの大きさをとり、縦軸に加工コストをとって、クリアランスの大きさの最適点がどの点にあるかを示している。せん断コスト1は、図中の○印に示すクリアランス4で最少となるが、一方、バリ取りコスト2はクリアランスの増大につれて増加してゆくので、せん断とバリ取りコストを合わせた総合コスト3は、▲印に示すクリアランス5にて最小のコストとなることが分かる。
プレス機械を稼働して加工工程を繰り返していくと、プレス機械、金型、および被加工材の状態は相互に関連し合いながら変化してゆく。当該相互作用もしくは劣化事象の伝搬に起因するさまざまな要因群と、不良の兆候や機能低下もしくは劣化項目の結果群との因果関係を図14に示す。各部位での発熱1からプレス機械のスライド位置がズレるために下死点が下がり、プレス時に荷重偏心2が生じたり、金型の膨張3が起こる。一方、加工工程が継続すると金型摩耗5が進行してゆき、上記の金型膨張3とも相まってクリアランスの変化4が起こる。また、上記の金型摩耗5が進行すると上型パンチに微細傷6が発生することがあり、当該微細傷6は加工後の製品における損傷(不良)13や、かえり(バリ)の拡大14および金型寿命の短縮17を招く。
また、一方、被加工材や金型の変更や金型組立の状態に変化がある場合について述べる。同じく図14のBに示すように被加工材の表面粗さ18、金型の表面粗さ19および金型の組立精度20の相違や変化によって、クリアランスの差異21や上型パンチの摩耗や欠損22を生じ、加工品の損傷13やかえり(バリ)の拡大14および金型寿命の短縮17を来してしまう。以上に述べた内容は、時間経過につれて変化してゆく項目群の関連に対応したものである。
(発明の実施例;プレス機械による板金加工の統合的監視での不良検知事例)
本発明の実施例として、プレス機による板金加工における統合的監視を実施した場合の、良好時〜操作条件の変更〜不良検出を行った事例の詳細を記述する。
(プレス機械による板金加工時での各種データの採取)
本実施例では、観測変数群f1、・・・f12の12種類についてデータ採取および情報入手を行った。
図15に、プレス機械を使用した板金加工時の統合的監視を行う際の、加工工程の時間的構成を示す。当該加工単位の構成は3つの領域からなり、被加工材のプレス機械への搬入とセッティング、プレス機械の作動、および加工品(製品)のプレス機械からの搬出であり、当該プレス機械の加工単位において各種のデータを採取する。
図16には、前記の図8に示すクランク軸軸受での加速度センサ1,2における振動データf6とf7を示している。プレス機械の起動から500msecまでにおいて、スライドが下降して上型ポンチが被加工材に接触し(図中のa部)、せん断加工の過程を経て(図中b部)下死点に至り当該加工が終了する(図中c部)までの波形を示している。
図17には、前記の図10に示すCH1、CH2のダイ部に設置したAEセンサーで得られた波形データf4、f5を示している。プレス機械の起動から様々な超音波波形が観察され、当該せん断加工は、図中に下死点10mmUPと記載している約300msecから下死点に至る約500msecまでで完了している。そして、図17中のA部分の波形部分が、金型と被加工材とが実際のせん断加工に対応しており、CH1の波形データf4には2つの小さなピークが存在しているのが観察されるが、当該せん断加工の良否に関する情報は得られない。
図18に、プレス機械のモータ電流の波形データf8を示す。前記した図16に示している3つの領域であるa部、b部、c部に対応してモータ電流の波形データは大きく変化するとともに、特にb部の前側のせん断面加工中には、複雑な時間変化を呈していることが分かる。
図19にダイ部1での温度データを、図20にダイ部2での温度データを示す。各加工単位の中でプレス機械の作動時間である約500msecの間に15回サンプリングして横軸にとり、生産開始時の時間帯▲1▼〜1次不良検知時の時間帯▲10▼までを示す。プレス機械の稼働時には、せん断加工により発熱するので金型の温度は、加工工程が進むにつれて全体の温度パターンは累積して上昇する(図中の矢印)とともに、金型は膨張してゆくことになる。
[表6]には、ストローク長f1、毎分ストローク数f2、下死点位置(DH)f3、ダイCH1でのAEデータf4、同じくダイCH2でのAEデータf5、クランク軸軸受1の振動データf6、同軸受2の振動データf7、モータ電流f8、ダイ部1での温度センサT1でのデータf9、ダイ部2での温度センサT1でのデータf10、被加工材の表面粗さ(Ra)f11、およびボルスタとダイの位置ズレ量f12を、生産開始▲1▼から、時間帯▲6▼では被加工材の変更を行い、時間帯▲10▼において1次不良を検出した場合の、全ての加工単位における観測変数群のデータの全容を示している。なお、本実施例では全加工工程におけるストローク長f1と毎分ストローク数f2はほぼ一定値で推移した。
加工工程が進むにつれてプレス機械、金型などの温度が上昇することから下死点位置(DH)f3は、生産開始時300mmであったのが1次不良を検知した時間帯▲10▼では296.1mmに下がっていくのが分かる。また、金型下部ダイでのAEデータf4、f5、クランク軸軸受での振動データf6、f7、モータ電流f8の波形の推移を観察する限り、波形の大きさや強さでは特に異常もしくは不良に結びつくような点は見当たらない。
また、被加工材の表面粗さ(Ra)f11は、プレス機械に挿入設定される際の材質にバラツキがあるので0.2μ〜0.4μの範囲で変化しており、時間帯▲6▼にて被加工材を変更した場合にも上記表面粗さの範囲にあった。
同じく、[表6]に示すボルスタとダイの位置ズレf12は、生産開始時▲1▼で設定した位置を基準0として、加工工程の進捗によって前後左右に下型ダイはボルスタとの相対的に位置ズレが生じる。当該位置ズレ量の絶対値として0.05mm〜0.25mmとかなり大きく変動しているのが分かる。
(プレス機械による板金加工時での1次良否判定の結果)
上記した12種類の観測変数f1,・・・,f12について、各加工単位の時間帯で
[表7]に示す。これらのD方式及びS方式の最大DI値を横軸に加工時間帯をとって図21に示す。良否判定の閾値を2.0と設定することによって判定すると、時間帯▲1▼〜▲5▼までは良好であり、被加工材の変更を行った時間帯▲6▼ではD方式、S方式とも不良と判定し、また、D方式では3個の連続時間帯での特徴量に基づくので、時間帯▲6▼の影響が残影するために次の時間帯▲7▼でも不良判定となってしまっている。一方、S方式では生産開始時▲1▼を基準とした特徴量に基づくので、当該残影は見られず時間帯▲7▼では良好判定に戻っている。そして、加工工程が時間帯▲7▼、▲8▼、▲9▼と良好に進み、ついに時間帯▲10▼ではD方式、S方式とも不良判定となった。
(1次不良であると判定後、直近時での要因可能性がある観測変数群の抽出)
上記した良否判定の結果、1次不良であると判定された場合には、当該不良の要因である可能性がある観測変数群を抽出する。
前記した[表7]および図21に示した良好時である加工時間帯▲1▼、▲2▼、▲3▼の場合と、被加工材の変更を行った加工時間帯▲6▼、▲5▼、▲4▼の場合および1次不良と判定した加工時間帯▲10▼、▲9▼、▲8▼の場合における、各観測変数の特徴種別S値を表8に示す。なお、ここではD方式にて良否判定した結果に対応している。
[表8]の右側の4個の列に示す良好時においては、すべての各観測変数の特徴種別S値は、関与度閾値0.6未満であり当該対応特徴量との関与度が小さく、当然要因となる可能性がある観測変数は存在しない。[表8]の中央部には被加工材の変更を行った時間帯▲6▼に関連する3個の時間帯▲4▼、▲5▼、▲6▼での各観測変数の特徴種別S値を示す。関与度閾値0.6を超える特徴種別S値を有す観測変数は、ストローク長f1とストローク数f2に対して、時間帯▲6▼でのみ関与度閾値を超えていることから、前記した[表4]、[表5]の判定結果の確認ルールに照合すると、第一関与度値〜第四関与度値が現れる特徴種別の出現パターンは[表5]に該当することから、当該1次不良は操作条件等の変更などの外乱によるものであることが分かる。
次に、前記[表8]の左側の4個の列に示す1次不良と判定した時間帯▲10▼、その前の2個の時間帯▲9▼、▲8▼での各観測変数の特徴種別S値は、観測変数f4、f5では関与度閾値0.6を超えた特徴種別の出現パターンが第一関与度および第三関与度であることから、[表4]に示す確認ルールとの照合から当該不良の真の要因となる観測変数群である。
また、観測変数f6、f12が関与度閾値0.6を超えており、当該特徴種別の出現パターンが第二関与度および第四関与度であることから[表4]に示す確認ルールとの照合から当該不良の真の要因となる可能性がある観測変数である。
そして、上記した観測変数f4、f5が[表4]の分類番号Iに、観測変数f6、f12が[表4]の分類番号IIに該当するとともに、当該1次不良を確定するものである。
また、[表8]では特徴種別S値が関与度閾値0.6を超える観測変数としてはf11が挙げられるが、特徴種別の出現パターンとしては第二関与度のみであることから、[表4]の確認ルールは適用できず、当該観測変数f11は当該不良に対する要因候補としては不明とする。
(1次不良であると判定後、先行時間帯での要因可能性がある観測変数の抽出)
[表9]には、前記した直近での要因可能性がある観測変数群の抽出結果に基づき、当該不良判定を確定した場合の、先行時間帯での各観測変数の特徴種別S値を示している。要因となる可能性がある観測変数としては、特徴種別S値が関与度閾値0.6を超えたf9およびf10である。そして、観測変数f9、f10は[表4]と照合することにより分類番号IIIに該当することになる。
(因果モデルの構築)
前記した、直近時での要因候補となる可能性がある観測変数群f4、f5、f6、f12および先行時間帯での要因候補となる可能性がある観測変数群f9、f10を3つに分類した、それぞれの分類番号I、II、IIIを潜在変数とし、対応する観測変数群を結果群として前記した図6に示す基本的因果モデルに基づき当該実施例に対する因果モデルを構築し、その結果を図22に示す。
先行時間帯において抽出した要因候補となる可能性がある観測変数f9、f10のダイ部での温度1、2は第三の潜在変数IIIの影響を受けているものと推測され、他の2個の潜在変数I、IIへ影響を与える。そして、潜在変数Iは観測変数f4、f5のAE波形1,2へ影響を及ぼし、潜在変数IIは観測変数f6、f12のクランク軸軸受1での振動データ、ボルスタとダイとの位置ズレ量へ影響を及ぼしているものと推測される。
また、潜在変数IとIIの間においては、いずれかの潜在変数が他の潜在変数へ影響を及ぼしていると考えられるが、予めいずれかを決定するための情報は得られないため、図中に示すケース1,2の因果方向について因果分析を実行することになる。
前記した当該プレス機械によるせん断加工におけるプレス機械、金型、および被加工材の相互作用もしくは劣化事象の伝搬に起因するさまざまな要因群と、不良の兆候や機能低下もしくは劣化項目の結果群との因果関係を示した図14を引用して、上記の図22に示す因果モデルの解釈を行って当該因果モデルの妥当性を評価する。
観測変数f4、f5であるAE波形1,2のデータが、当該不良検出時および直近時における特徴量に大きく関与していることから、図14において、せん断加工時において加工品の損傷発生13もしくは切り口のせん断面・破断面の割合にバラツキ15が発生したものと推定される。
上記した加工品の損傷もしくは品質の劣化を招く因果関係を、前記の図14に示す因果関係の全体像から引用して図23に示す。なお、図中では潜在変数に該当する項目には網目をかけて表示し、関連する項目や流れ線は太線で示している。
各部位の発熱1と金型の摩耗5を潜在変数IIIとして、発熱1から金型の温度1,2が上昇して金型の膨張3を招き、金型上型パンチと下型ダイとのクリアランスの大きさに変化4を生じるという現象へ影響を及ぼし、当該クリアランスの変化が潜在変数Iとして加工品の損傷13の結果を生じることと解釈できる。
一方、上記した加工品のバラツキ15の結果を招いたと想定されるスライド位置のズレによる偏心荷重9は、クランク軸軸受での振動大8を生じさせるクランク軸軸受の摩耗7が、潜在変数IIであると解釈できる。
また、潜在変数IIIの一つである各部位の発熱1はプレス機械の下死点が下がるという現象を招き、偏心荷重2となり、上記した潜在変数IIのクランク軸軸受の摩耗7を起点とし振動大8を介して生じるスライド位置のズレによる偏心荷重9とともに加工品のバラツキ15の結果となる。
上記した図23に示す因果関係の詳述、解釈から、当該実施例にて構築した図22に示す因果モデルは妥当であることが分かる。
以上、生産ラインにおける品質と設備の統合的監視方法を説明したが、上記発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
1 ステップA(1次良否判定)
2 良否判定の閾値との比較
3 1次判定結果が良品のとき次の時間帯へ移行
4 1次判定結果が不良のときステップB(要因可能性変数群の抽出)
5 4種類の関与度値と要因可能性閾値との比較
6 4種類の関与度値が閾値を超えた個数により、真の不良か操作条件等の外乱であるかの判断
7 操作変数であるか外乱であるかの判断
8 操作条件であるもの(良品)
9 外乱であるもの(良品)
10 次の時間帯での監視へ移行
11 不良の確定
12 直近での要因候補群の確定
13 4種類の関与度値が全て閾値未満である監視回数が4回以上であるか否かの判断
14 ステップ13にて4回未満である場合は要因不明とし、1次不良判定結果を保留して次の時間帯での監視へ移行
15 先行時間帯における要因候補群の探索
16 全要因候補群の分類と潜在変数の設定
17 因果モデルの構築

Claims (12)

  1. 製品の生産ラインの対象工程の健全性を診断し、かつ当該製品の品質を評価して上記健全性診断の結果もしくは上記製品品質が不良の場合に、当該不良の原因を特定するために、超音波・振動・電流・寸法・表面粗さ等の観測変数群の時系列データに基づき、当該対象工程および製品の過程品質を評価・追跡し、当該不良の原因を特定する監視方法において、対象工程もしくは品質の良否の判定を行う1次判定ステップと、当該1次判定ステップにて不良と判定された場合には、前記観測変数群の中から、当該不良検知時と直近の時間帯における特徴量との乖離度が大きい要因変数群を抽出する直近要因候補抽出ステップと、当該直近要因候補抽出ステップでの要因候補の抽出可否もしくは乖離度の大小関係に基づき、前記1次判定ステップでの判定結果を真の不良であると確定するか、もしくは当該判定結果を外乱等によるもので良好であるとするか、もしくは当該判定結果を保留とするのかを決定する判定確定ステップと、当該判定確定ステップにて確定した不良の検知時間帯を起点として、先行時間帯において当該不良状態の特徴量との乖離度が大きい要因変数群を抽出する先行要因候補抽出ステップと、不良検知時と直近時の合計3個の時間帯群において、当該各時間帯の特徴量に対する観測変数の乖離度の大小関係に基づき、前記要因変数群を複数のカテゴリに分類する観測変数群分類ステップと、当該観測変数群分類ステップにて分類した複数のカテゴリを原因群とし、前記の要因候補である観測変数群を結果群として因果モデルを構築する因果モデル構築ステップとからなることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  2. 前記請求項1の1次判定ステップにおいて、3個の時間帯群での時系列データに潜む特徴量の乖離度を用いて良否を判定する方式として、初期時間帯データを基準データとして固定し、1次判定時間帯と直近時間帯とを対象データとして特徴抽出を行う初期基準方式と、順次隣接した3個の連続時間帯群データ間において特徴抽出を行う隣接比較方式とを有することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  3. 前記請求項2に記載の、隣接比較方式において、1次判定時間帯と直近の時間帯2個の合計3個の時間帯群での時系列データに対して、古い時間帯の2個の時間帯データに潜む古い時間帯特徴量と、新しい時間帯の2個の時間帯データに潜む新しい時間帯特徴量との乖離度を、良否判定の指標とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  4. 前記請求項2に記載の、初期基準方式において、初期時間帯と1次判定直近の時間帯の2個の時間帯データに潜む古い時間帯特徴量と、当該初期時間帯と1次判定時間帯の2個の時間帯データに潜む新しい時間帯特徴量との乖離度を、良否判定の指標とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  5. 前記請求項3に記載の、隣接比較方式において合計3個の時間帯群での時系列データに潜む特徴量を算出して乖離度を求める際に、古い時間帯の2個の時間帯データに対して求めた2個の古い時間帯重み係数を用いて、先頭時間帯データと中間時間帯データについて2個の古い時間帯特徴量を求め、次に前述の古い時間帯重み係数と同じ重み係数を用いて中間時間帯データと終端時間帯データについて2個の新しい時間帯特徴量求め、上記の2個の古い時間帯特徴量と当該2個の新しい時間帯特徴量に対して2種類の乖離度を算出することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  6. 前記請求項4に記載の、初期基準方式において合計3個の時間帯群での時系列データに潜む特徴量を算出して乖離度を求める際に、初期時間帯と1次判定直近の2個の時間帯データに対して求めた2個の古い時間帯重み係数を用いて、初期時間帯データと1次判定直近時間帯データについて2個の古い時間帯特徴量を求め、次に前述の古い時間帯重み係数と同じ重み係数を用いて初期時間帯データと1次判定時間帯データについて2個の新しい時間帯特徴量求め、上記の2個の古い時間帯特徴量と当該2個の新しい時間帯特徴量に対して2種類の乖離度を算出することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法
  7. 前記請求項1の直近要因候補抽出ステップにおいて、1次判定の結果が前記請求項2に記載の隣接比較方式に基づき不良と判定した場合に、検知時の時間帯と直近の2個の時間帯の合計3個の時系列データ群に対して、古い時間帯の2個の時間帯データから求めた2個の古い時間帯重み係数を用いて2個の古い時間帯特徴量を算出しておき、先頭時間帯データと当該時間帯に対応する古い時間特徴量との積を算出して得る各観測変数の第一乖離度と、中間時間帯データと当該時間帯に対応する古い時間帯特徴量との積を算出して得る各観測変数の第二乖離度と、一方、新しい時間帯の2個の時間帯データから求めた2個の新しい時間帯重み係数を用いて2個の新しい時間帯特徴量を算出しておき、中間時間帯データと当該時間帯に対応する新しい時間帯特徴量との積を算出して得る各観測変数の第三乖離度と、終端時間帯データと当該時間帯に対応する新しい時間帯特徴量との積を算出して得る各観測変数の第四乖離度との各観測変数に対する4種類の乖離度の大きさの中で、少なくとも2種類の乖離度が予め設定した乖離度閾値を超えた場合には、当該乖離度に対応する観測変数を、当該不良検知時及び直近時の要因候補とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  8. 前記請求項1の直近要因候補抽出ステップにおいて、1次判定の結果が前記請求項2に記載の初期基準方式に基づき不良と判定した場合に、初期時間帯と1次判定時及び直近の合計3個の時系列データ群に対して、初期時間帯データと1次判定直近時間帯データから求めた2個の古い時間帯重み係数を用いて2個の古い時間帯特徴量を算出しておき、初期時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の古い時間帯特徴量のうちのいずれかの古い時間帯特徴量との積を算出して得る各観測変数の第一乖離度と、当該初期時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の古い時間帯特徴量の他方の古い時間帯特徴量との積を算出して得る各観測変数の第二乖離度と、一方、初期時間帯データと1次判定時の時間帯データから求めた2個の新しい時間帯重み係数を用いて2個の新しい時間帯特徴量を算出しておき、1次判定直近時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の新しい時間帯特徴量のうちのいずれかの新しい時間帯特徴量との積を算出して得る各観測変数の第三乖離度と、1次判定時の時間帯データと当該時間帯に対応する上記した2個の新しい時間帯特徴量の他方の新しい時間帯特徴量との積を算出して得る各観測変数の第四乖離度との各観測変数に対する4種類の乖離度の大きさの中で、少なくとも2種類の乖離度が予め設定した乖離度閾値を超えた場合には、当該乖離度に対応する観測変数を、当該不良検知時及び直近時の要因候補とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  9. 前記請求項1の判定確定ステップにおいて、前記請求項7もしくは請求項8に記載の4種類の乖離度の大きさの中で、少なくとも2種類の乖離度が予め設定した乖離度閾値を超えた場合、もしくは当該4種類の乖離度の大きさが全て乖離度閾値より小さく要因候補となるべき観測変数が存在しない判定回数が連続4回以上継続した場合には、当該1次判定結果を真の不良であると確定することとし、一方、上記した4種類の乖離度の大きさの中で、1種類のみの乖離度が予め設定した乖離度閾値を超えた場合には当該1次判定結果の不良の要因は外乱等によるものと判断し、また当該4種類の乖離度の大きさが全て乖離度閾値より小さく要因候補となるべき観測変数が存在しない判定回数が連続3回以下の場合には要因不明として判定を保留し、次の時間帯群における良否判定へ進むことを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  10. 前記請求項1の先行要因候補抽出ステップにおいて、請求項2に記載の隣接比較方式の場合には不良検知時及び直近の2個の時間帯データから、あるいは請求項2に記載の初期基準方式の場合には初期時間帯及び不良検知時の2個の時間帯データから求めた新しい時間帯重み係数を用いて、上記検知時間帯より3個以前の各先行時間帯に対する各特徴量を算出し、当該時間帯データと当該特徴量との積を算出して得る各観測変数の当該乖離度を、順次、時間帯を遡って求めてゆき、前記の予め設定した乖離度閾値を超えた場合には、対応する観測変数を要因候補として選定することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  11. 前記請求項1の観測変数群分類ステップ及び因果モデル構築ステップにおいて、前記請求項7もしくは請求項8にて求めた各観測変数の第一乖離度より第四乖離度のうち、第一乖離度もしくは第三乖離度が最大値となる観測変数群を第一分類とし、第二乖離度もしくは第四乖離度が最大値となる観測変数群を第二分類とし、前記請求項10にて選定した先行時間帯における要因候補となる観測変数群を第三分類とし、当該3個の分類をそれぞれ1個の潜在変数とみなし、当該各潜在変数に対応する観測変数群を結果群として因果モデルを構築することを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
  12. 前記請求項11に記載の因果モデルの構築において、前記第三分類の観測変数群に対応する潜在変数を、第一分類および第二分類に対応する潜在変数群の共通原因とすることを特徴とする対象工程の健全性診断および製品品質の評価を行い、不良原因の特定を行う監視方法。
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