JP6679789B1 - Mems型半導体式ガス検知素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ガス感応部の大きさを小さくしても、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制することができるMEMS型半導体式ガス検知素子を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のMEMS型半導体式ガス検知素子は、基板2と、基板2上に設けられる電極3と、電極3に電気的に接続するように基板2上に設けられるガス感応部4とを備えるMEMS型半導体式ガス検知素子1であって、電極3が、第1の端部3aを含む第1の端部領域31と、第2の端部3bを含む第2の端部領域32と、第1の端部領域31と第2の端部領域32とを接続する本体領域33とを備え、ガス感応部4が、第1の端部領域31および第2の端部領域32に電気的に接続し、本体領域33の延びる方向における少なくとも一部の長さに亘って、本体領域33に電気的に接続しないように設けられることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、MEMS型半導体式ガス検知素子に関する。
従来、ガス検知器用のガス検知素子として、たとえば特許文献1に開示されるように、検知対象ガスを検知するためのガス感応部を備えたMEMS型半導体式ガス検知素子が用いられている。MEMS型半導体式ガス検知素子では、ガス感応部の上層に、たとえば、ガス選択性を高めるために触媒層が設けられ、あるいは、シロキサン被毒耐性を高めるために保護層が設けられるなど、ガス検知特性を向上させるための機能層が設けられる。
特開2016−70704号公報
MEMS型半導体式ガス検知素子100は、図8に示されるように、基板101上に電極102が設けられ、電極102上にガス感応部103が形成され、ガス感応部103の上層に機能層104が形成される。このとき、ガス感応部103や機能層104は、ペースト状の材料を滴下して塗布することにより形成される。この方法では、図8においてよく見られるように、ガス感応部103が、基板101の端部にまで広がってしまって、ガス感応部103の端部側において機能層104が極めて薄くなってしまう可能性がある。ガス感応部103の端部において機能層104が必要な厚さで形成されないと、機能層104は、全体としてその機能を十分に発揮することができなくなり、MEMS型半導体式ガス検知素子100は、期待されるガス検知特性が得られない可能性がある。
ガス感応部の端部において必要な厚さで機能層を形成する方法として、たとえば、基板の端部にまで広がらないように、基板上の電極の一部の上にガス感応部を形成する方法が考えられる。ガス感応部を基板上の電極の一部の上に形成することで、ガス感応部の端部においても機能層を必要な厚さに形成することができるので、機能層は、期待される機能を十分に発揮することができる。
ところが、電極の全領域に対してガス感応部の大きさを小さくすると、必然的にガス感応部の電極への接触面積が小さくなるが、それによって、検知対象ガスを検知したときのガス感応部の抵抗値の変化が、電極とガス感応部との合成抵抗値に対して相対的に小さくなるので、検知対象ガスに対する感度が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、ガス感応部の大きさを小さくしても、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制することができるMEMS型半導体式ガス検知素子を提供することを目的とする。
本発明のMEMS型半導体式ガス検知素子は、基板と、前記基板上に設けられ、一方のリード線と他方のリード線との間に接続される電極と、前記電極に電気的に接続するように前記基板上に設けられるガス感応部とを備えるMEMS型半導体式ガス検知素子であって、前記電極が、前記一方のリード線に接続される第1の端部を含む第1の端部領域と、前記他方のリード線に接続される第2の端部を含む第2の端部領域と、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域との間に延び、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域とを接続する本体領域とを備え、前記ガス感応部が、前記第1の端部領域および前記第2の端部領域に電気的に接続し、前記本体領域の延びる方向における少なくとも一部の長さに亘って、前記本体領域に電気的に接続しないように設けられることを特徴とする。
また、前記第1の端部領域および前記第2の端部領域の少なくとも一部が、前記本体領域が設けられる前記基板上の範囲の外縁よりも内側に設けられることが好ましい。
また、前記ガス感応部が、前記本体領域の延びる方向における前記本体領域の略中間の長さの位置にある中間領域に電気的に接続し、前記第1の端部領域と前記中間領域との間の前記本体領域の延びる方向の少なくとも一部の長さに亘って、および前記中間領域と前記第2の端部領域との間の前記本体領域の延びる方向の少なくとも一部の長さに亘って、前記本体領域に電気的に接続しないように設けられることが好ましい。
また、前記本体領域が、前記基板上の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ直線に対して垂直方向の一方側と、前記基板上の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ直線に対して垂直方向の他方側とに延びることが好ましい。
また、前記MEMS型半導体式ガス検知素子が、前記ガス感応部を被覆する機能層を備えることが好ましい。
本発明によれば、ガス感応部の大きさを小さくしても、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制することができるMEMS型半導体式ガス検知素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るMEMS型半導体式ガス検知素子の上面図である。 図1のMEMS型半導体式ガス検知素子の断面構造を説明するための説明図である。 図1のMEMS型半導体式ガス検知素子における電極とガス感応部とが形成する回路を説明するための概念図である。 実施例のMEMS型半導体式ガス検知素子についてシロキサン曝露試験を行なう前のガス濃度変化に対するセンサ出力変化を示すグラフである。 比較例のMEMS型半導体式ガス検知素子についてシロキサン曝露試験を行なう前のガス濃度変化に対するセンサ出力変化を示すグラフである。 実施例のMEMS型半導体式ガス検知素子についてシロキサン曝露試験を行なった時のセンサ出力変化を示すグラフである。 比較例のMEMS型半導体式ガス検知素子についてシロキサン曝露試験を行なった時のセンサ出力変化を示すグラフである。 従来のMEMS型半導体式ガス検知素子の断面図である。 (a)従来のMEMS型半導体式ガス検知素子の上面図と、(b)電極とガス感応部とが形成する回路を説明するための概念図である。 (a)従来のMEMS型半導体式ガス検知素子の上面図と、(b)電極とガス感応部とが形成する回路を説明するための概念図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るMEMS型半導体式ガス検知素子を説明する。ただし、以下に示す実施形態は一例であり、本発明のMEMS型半導体式ガス検知素子は以下の例に限定されることはない。
本実施形態のMEMS型半導体式ガス検知素子は、たとえば大気などの環境雰囲気において、環境雰囲気に含まれる検知対象ガスを検知するために用いられる。MEMS型半導体式ガス検知素子は、表面に吸着した酸素と環境雰囲気中の検知対象ガスとの化学反応に伴って抵抗値(または電気伝導度)が変化することを利用して、検知対象ガスを検知する。検知対象ガスとしては、特に限定されることはなく、たとえば、水素、メタン、ブタン、イソブタン、プロパン、一酸化炭素、エタノールなどが例示される。
MEMS型半導体式ガス検知素子1は、図1および図2に示されるように、MEMS(Micro Electro Mechanical System)構造を有している。MEMS構造とは、シリコン基板などの基板の上に微細加工技術によって素子構成要素の少なくとも一部を集積化したデバイス構造のことを意味する。MEMS型半導体式ガス検知素子1は、MEMS構造を有することにより、コイル型の半導体式ガス検知素子と比べて、小型化が可能で、低消費電力での駆動が可能である。
MEMS型半導体式ガス検知素子1は、図1および図2に示されるように、基板2と、基板2上に設けられ、一方のリード線L1と他方のリード線L2との間に接続される電極3と、電極3に電気的に接続するように基板2上に設けられるガス感応部4とを備える。MEMS型半導体式ガス検知素子1は、任意で、ガス感応部4を被覆する機能層(図示せず)を備えていてもよい。なお、図2は、MEMS型半導体式ガス検知素子1の断面構造を説明するための説明図であり、図2に示される電極3の配線構造は、図1に示される電極3の配線構造には対応していない。
MEMS型半導体式ガス検知素子1は、たとえば、公知のブリッジ回路(図示せず)に組み込まれて、ガス感応部4の表面の吸着酸素と環境雰囲気中の検知対象ガスとの化学反応に伴う抵抗値の変化が検出される。MEMS型半導体式ガス検知素子1は、ガス感応部4の抵抗値の変化を検出するために、電極3を介してブリッジ回路に組み込まれる。ブリッジ回路は、MEMS型半導体式ガス検知素子1における抵抗値の変化によって生じる回路内の電位差の変化を電位差計によって測定して、その電位差の変化を検知対象ガスの検知信号として出力する。ただし、MEMS型半導体式ガス検知素子1は、ガス感応部4の表面の吸着酸素と検知対象ガスとの化学反応に伴って生じる抵抗値の変化を検出することができれば、ブリッジ回路に限定されることはなく、ブリッジ回路とは異なる回路に組み込まれて使用されてもよい。
基板2は、基板2に対して電気的に絶縁状態となるように、電極3およびガス感応部4(機能層が設けられる場合は機能層も含む、以下、まとめて「集積部A」ともいう)を支持する部材である。基板2は、基板2に対して電気的に絶縁状態で積層体Aを支持することができればよく、その構成は特に限定されることはない。基板2は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、基板本体21と、基板本体21に支持される絶縁支持膜22と、基板本体21と絶縁支持膜22との間に設けられる空洞部23とを備えている。
基板本体21は、絶縁支持膜22を支持し、絶縁支持膜22を介して集積部Aを支持する部材である。基板本体21は、図2に示されるように、絶縁支持膜22の下方(集積部Aが設けられる側の反対側)に設けられ、下方から絶縁支持膜22を支持する。基板本体21は、絶縁支持膜22との間に空洞部23を形成するために、凹部21aが形成されている。基板本体21は、絶縁支持膜22を支持することができれば、特に限定されることはなく、たとえばシリコンなどにより形成される。
絶縁支持膜22は、集積部Aと基板本体21との間が電気的に絶縁状態となるように、集積部Aを支持する部材である。絶縁支持膜22は、図2に示されるように、基板本体21に設けられて、基板本体21により支持される。絶縁支持膜22は、絶縁物により膜状に形成される。絶縁支持膜22は、本実施形態では、基板本体21に接続される酸化シリコン膜22aと、酸化シリコン膜22a上に設けられる窒化シリコン膜22bと、窒化シリコン膜22b上に設けられる酸化シリコン膜22cとを備え、これらの3層が積層されて形成される。絶縁支持膜22は、たとえばCVDなどの公知の成膜技術により形成することができる。
絶縁支持膜22は、基板本体21との間を電気的に絶縁するように集積部Aを支持することができればよく、その層構造、構成材料、膜厚は特に限定されない。たとえば、絶縁支持膜22は、本実施形態では3層構造を有しているが、単層構造や3層以外の複層構造を有していてもよい。また、絶縁支持膜22は、本実施形態では酸化シリコン膜や窒化シリコン膜により形成されているが、酸化アルミニウムなどの他の絶縁物により形成されてもよい。また、絶縁支持膜22の膜厚は、特に限定されることはなく、基板本体21との間を電気的に絶縁して集積部Aを支持することができるように適宜設定することができる。
絶縁支持膜22は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、集積部Aを支持する本体部221と、基板本体21上に設けられる基部222と、本体部221と基部222とを接続する接続部223とを備えている。絶縁支持膜22は、基部222を介して基板本体21に支持され、本体部221を介して集積部Aを支持する。本体部221、基部222および接続部223は、たとえば、均一な絶縁支持膜22を形成した後に、公知のエッチング加工技術により形成することができる。
本体部221は、接続部223を介して基部222に接続され、接続部223および基部222を介して基板本体21に支持される。本体部221は、基板本体21との間に形成された空洞部23を介して基板本体21から離間して設けられる。MEMS型半導体式ガス検知素子1では、基板本体21から離間して設けられる本体部221に集積部Aが設けられることで、集積部Aに加えられる熱が基板本体21に伝導するのを抑制することができる。それによって、MEMS型半導体式ガス検知素子1では、集積部Aをより効率よく加熱することができ、低消費電力の駆動が可能になる。本体部221は、本実施形態では、図1に示されるように、上面視で略円形状に形成されている。しかし、本体部221は、基板本体21から離間して設けられ、集積部Aを支持することができれば、特に限定されることはなく、上面視で略矩形状など他の形状に形成されてもよい。
基部222は、図1および図2に示されるように、基板本体21上に設けられ、基板本体21に支持される。また、基部222は、接続部223を介して本体部221に接続され、接続部223を介して本体部221を支持する。基部222は、本実施形態では、中央部分が略矩形状にくり抜かれた枠状に形成され、その枠内に空洞部23が形成されている。しかし、基部222は、基板本体21上に設けられて、接続部223を介して本体部221を支持することができれば、特に限定されることはなく、略円形状など他の形状でくり抜かれた枠状に形成されてもよい。
接続部223は、図1に示されるように、本体部221と基部222とに接続されて、基部222に支持されながら本体部221を支持する。接続部223は、基板本体21との間に形成された空洞部23を介して基板本体21から離間して設けられる。本体部221を基部222に接続する接続部223が基板本体21から離間して設けられることにより、集積部Aに加えられる熱が基板本体21に伝導するのを抑制することができる。接続部223は、基部222の枠の内側面に接続され、基部222の枠の内側面から、基部222の枠の内側の略中央に位置する本体部221に向かって延びるように形成される。接続部223は、本実施形態では、基部222の枠の4つの内側面のそれぞれに接続され、本体部221を4方向から支持している。したがって、接続部223は、本体部221をバランスよく支持することができる。ただし、接続部223は、本体部221と基部222とを接続し、本体部221を支持することができればよく、図示された例に限定されることはない。
電極3は、ガス感応部4の抵抗値変化を検出するための部材である。電極3は、図1および図2に示されるように、基板2の絶縁支持膜22の本体部221上に設けられ、その少なくとも一部がガス感応部4に被覆される。電極3は、第1の端部3aが一方のリード線L1に接続され、第2の端部3bが他方のリード線L2に接続される。リード線1、2は、電極3と比べて低い電気抵抗を有するように形成される。一方および他方のリード線L1、L2を、たとえば公知のブリッジ回路(図示せず)に接続して、電極3の第1の端部3aと第2の端部3bとの間の抵抗値を測定することにより、電極3とガス感応部4との合成抵抗値を測定することができる。そして、電極3とガス感応部4との合成抵抗値の変化を測定することにより、ガス感応部4の抵抗値変化を検出することができる。
電極3は、図1に示されるように、一方のリード線L1に接続される第1の端部3aを含む第1の端部領域31と、他方のリード線L2に接続される第2の端部3bを含む第2の端部領域32と、第1の端部領域31と第2の端部領域32との間に延び、第1の端部領域31と第2の端部領域32とを接続する本体領域33とを備えている。電極3は、第1の端部領域31、第2の端部領域32および本体領域33を備え、単一の電極として構成される。
電極3は、本実施形態では、通電により発熱して、ガス感応部4を(機能層が設けられる場合は機能層も)加熱するヒータとしても機能する。したがって、電極3は、通電によって、ガス感応部4を、検知対象ガスの検知に適した温度に加熱することができる。ただし、電極3は、少なくともガス感応部4の抵抗値変化を検出することができればよく、ガス感応部4を加熱するためのヒータとは別に設けられてもよい。
電極3は、ガス感応部4の抵抗値変化を検出することができればよく、その構成材料は特に限定されない。電極3は、たとえば白金、白金−ロジウム合金などの貴金属などにより形成することができる。電極3は、たとえば、電極3用材料により均一な膜を形成した後に、公知のエッチング加工技術により形成することができる。なお、電極3は、たとえば図2に示されるように、任意で、基板2の絶縁支持膜22の本体部221との密着性を高めるために、酸化タンタルなどにより形成される接着層5を介して本体部221に設けられてもよい。
第1の端部領域31は、第1の端部3aを含む、第1の端部3aに隣接する電極3の一部の領域である。第1の端部領域31は、第1の端部3aから所定の長さの範囲の電極3の一部により構成される。本実施形態では、第1の端部領域31は、図1に示されるように、基板2(本体部221)の端部近傍に配置された第1の端部3aと、第1の端部3aから基板2の中心に向かって延び、基板2の中心に最も近づいた部位である第1の近接部3cとの間の領域である。第1の端部領域31は、本実施形態では、第1の端部3aから基板2の中心に向かって略直線的に略最短距離で延びている。ただし、第1の端部領域31は、第1の端部3aから、少なくとも基板2の中心から遠ざかることなく、基板2の中心に近づくように延びていれば、図示された例に限定されることはなく、湾曲して延びていてもよい。また、第1の端部領域31は、基板2の中心近傍に第1の端部3aが配置されて、第1の端部3aから、基板2の中心から離れる方向に延びる電極3の一部により構成されてもよい。
第1の端部領域31は、第1の端部3aから所定の長さの範囲の電極3の一部により構成されていればよく、その長さは特に限定されることはない。第1の端部領域31の所定の長さとしては、後にも詳しく述べるように、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制するという観点から、たとえば、電極3全体の長さの15%以下であることが好ましく、電極3全体の長さの10%以下であることがより好ましく、電極3全体の長さの6%以下であることがよりさらに好ましい。あるいは、第1の端部領域31の所定の長さとしては、たとえば、電極3全体の電気抵抗値の15%以下の電気抵抗値となる長さであることが好ましく、電極3全体の電気抵抗値の10%以下の電気抵抗値となる長さであることがより好ましく、電極3全体の電気抵抗値の6%以下の電気抵抗値となる長さであることがよりさらに好ましい。
第2の端部領域32は、第2の端部3bを含む、第2の端部3bに隣接する電極3の一部の領域である。第2の端部領域32は、第2の端部3bから所定の長さの範囲の電極3の一部により構成される。第2の端部領域32は、本実施形態では、図1に示されるように、基板2(本体部221)の端部近傍に配置された第2の端部3bと、第2の端部3bから基板2の中心に向かって延び、基板2の中心に最も近づいた部位である第2の近接部3dとの間の領域である。第2の端部領域32は、本実施形態では、第2の端部3bから基板2の中心に向かって略直線的に略最短距離で延びている。ただし、第2の端部領域32は、第2の端部3bから、少なくとも基板2の中心から遠ざかることなく、基板2の中心に近づくように延びていれば、本実施形態に限定されることはなく、湾曲して延びていてもよい。また、第2の端部領域32は、本実施形態では第1の端部領域31と略平行かつ略一直線上に延び、第1の端部領域31と略同一の長さを有しているが、第1の端部領域31に対して傾斜して設けられていてもよく、第1の端部領域31とは異なる長さを有していてもよい。また、第2の端部領域32は、基板2の中心近傍に第2の端部3bが配置されて、第2の端部3bから、基板2の中心から離れる方向に延びる電極3の一部により構成されてもよい。
第2の端部領域32は、第2の端部3bから所定の長さの範囲の電極3の一部により構成されていればよく、その長さは特に限定されることはない。第2の端部領域32の所定の長さとしては、後にも詳しく述べるように、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制するという観点から、たとえば、電極3全体の長さの15%以下であることが好ましく、電極3全体の長さの10%以下であることがより好ましく、電極3全体の長さの6%以下であることがよりさらに好ましい。あるいは、第2の端部領域32の所定の長さとしては、たとえば、電極3全体の電気抵抗値の15%以下の電気抵抗値となる長さであることが好ましく、電極3全体の電気抵抗値の10%以下の電気抵抗値となる長さであることがより好ましく、電極3全体の電気抵抗値の6%以下の電気抵抗値となる長さであることがよりさらに好ましい。
第1の端部領域31および第2の端部領域32は、基板2(本体部221)上に設けられていればよく、その配置は特に限定されることはない。本実施形態では、第1の端部領域31および第2の端部領域32の少なくとも一部は、図1に示されるように、本体領域33が設けられる基板2上の範囲の外縁Eよりも内側に設けられている。つまり、第1の端部領域31および第2の端部領域32の少なくとも一部は、基板2の中心から最も離間して配置された本体領域33の部分の、基板2の中心からの距離よりも短い距離内に設けられている。したがって、後述するように、第1の端部領域31および第2の端部領域32に電気的に接続するように設けられるガス感応部4を本体領域33の外縁Eの内側に形成することができるので、ガス感応部4を、基板2の大きさに対して、より小さく形成することができる。さらに、図示されるように、第1の端部領域31および第2の端部領域32の両方の全体が、本体領域33の外縁Eの内側に設けられてもよい。それによって、ガス感応部4をさらに小さく形成することができる。ただし、第1の端部領域31および第2の端部領域32は、そのいずれかの少なくとも一部が本体領域33の外縁Eの内側に設けられていてもよい。
また、第1の端部領域31および第2の端部領域32は、本実施形態では、図1に示されるように、互いに接近して設けられている。より具体的には、第1の端部領域31および第2の端部領域32は、第1の端部領域31と第2の端部領域32との間の距離が、基板2の中心から本体領域33の外縁Eまでの距離の1/2の距離よりも短くなるように、互いに接近して設けられている。したがって、第1の端部領域31および第2の端部領域32に電気的に接続するように設けられるガス感応部4をより小さく形成することができる。ガス感応部4をより小さく形成するという観点から、第1の端部領域31と第2の端部領域32との間の距離は、たとえば、基板2の中心から本体領域33の外縁Eまでの距離の2/3以下であることが好ましく、基板2の中心から本体領域33の外縁Eまでの距離の1/2以下であることがより好ましく、基板2の中心から本体領域33の外縁Eまでの距離の1/3以下であることがよりさらに好ましい。
また、第1の端部領域31および第2の端部領域32は、本実施形態では、図1に示されるように、基板2(本体部221)の中心近傍まで延びている。より具体的には、第1の端部領域31および第2の端部領域32は、本体領域33の外縁Eまでの距離の1/2の距離よりも近い距離まで、基板2の中心に接近して延びている。したがって、ガス感応部4は、基板2の中心近傍において、より小さく形成することができる。さらに、図示されるように、ガス感応部4が基板2の中心近傍にだけ設けられることで、ガス感応部4の端部の全体において保護層を十分な厚さで形成することができるので、機能層の機能をより高めることができる。ガス感応部4を基板2の中心近傍に設けるという観点から、第1の端部領域31および第2の端部領域32のそれぞれと基板2の中心との間の距離は、たとえば、基板2の中心から本体領域33の外縁Eまでの距離の2/3以下であることが好ましく、基板2の中心から本体領域33の外縁Eまでの距離の1/2以下であることがより好ましく、基板2の中心から本体領域33の外縁Eまでの距離の1/3以下であることがよりさらに好ましい。
本体領域33は、第1の端部領域31と第2の端部領域32とを接続する電極3の一部の領域である。本体領域33は、第1の端部領域31と第2の端部領域32とを接続するように第1の端部領域31と第2の端部領域32との間に延びていれば、その配置は特に限定されることはない。本体領域33は、本実施形態では、図1に示されるように、基板2(本体部221)上の第1の端部3aと第2の端部3bとを結ぶ直線Sに対して垂直方向の一方側(第1の領域221a)と、基板2上の第1の端部3aと第2の端部3bとを結ぶ直線Sに対して垂直方向の他方側(第2の領域221b)とに延びている。本体領域33が、基板2(本体部221)上の対向する2つの領域221a、221bに設けられることにより、ガス感応部4を加熱するために電極3を昇温しても、基板2がより均一に加熱されるので、基板2が熱により湾曲することが抑制される。
本体領域33は、本実施形態では、図1に示されるように、基板2(本体部221)の第1の領域221aに設けられる第1の本体領域331と、基板2の第2の領域221bに設けられる第2の本体領域332と、第1の本体領域331と第2の本体領域332との間の中間領域333とを備えている。
第1の本体領域331は、図1に示されるように、基板2(本体部221)の第1の領域221a上において、第1の端部領域31の一方側の端部である第1の端部3aとは反対側の他方側の端部(第1の近接部3c)から中間領域333まで延びている。より具体的には、第1の本体領域331は、第1の端部領域31の他方側の端部から、第1の端部領域31に対して略垂直に第1の領域221a側に延び、その後、基板2の端部に(図中、上側に)向かって蛇行しながら延び、基板2の端縁に沿って延びた後、基板2の中心に向かって延び、中間領域333にまで延びている。それによって、第1の本体領域331は、第1の領域221a内において高い密度で配置されるので、長い配線長さを確保し、高い電気抵抗値を確保することができる。
第2の本体領域332は、図1に示されるように、基板2(本体部221)の第2の領域221b上において、第2の端部領域32の一方側の端部である第2の端部3bとは反対側の他方側の端部(第2の近接部3d)から中間領域333まで延びている。より具体的には、第2の本体領域332は、第2の端部領域32の他方側の端部から、第2の端部領域32に対して略垂直に第2の領域221b側に延び、その後、基板2の端部に(図中、下側に)向かって蛇行しながら延び、基板2の端縁に沿って延びた後、基板2の中心に向かって延び、中間領域333にまで延びている。それによって、第2の本体領域332は、第2の領域221b内において高い密度で配置されるので、長い配線長さを確保し、高い電気抵抗値を確保することができる。
第1の本体領域331および第2の本体領域332は、本実施形態では、図1に示されるように、互いに略同一の長さに形成され、互いに略同一の電気抵抗を有している。それにより、ガス感応部4を加熱するために電極3を昇温しても、基板2がより均一に加熱されるので、基板2が熱により湾曲するのが抑制される。また、第1の本体領域331および第2の本体領域332は、基板2の中心を略中心として、互いに略点対象に配置されている。それにより、電極3を昇温した際に、基板2がよりさらに均一に加熱されるので、基板2が熱により湾曲するのがよりさらに抑制される。
中間領域333は、図1に示されるように、第1の本体領域331と第2の本体領域332とを接続する。中間領域333は、基板2(本体部221)の第1の領域221aと第2の領域221bとの間の境界において、第1の端部3aと第2の端部3bとを結ぶ直線Sと交差(図示された例では直交)して、第1の領域221aと第2の領域221bとの間に延びるように設けられている。本実施形態では、中間領域333の両側に設けられる第1の本体領域331および第2の本体領域332が互いに略同一の長さに形成されているので、中間領域333は、本体領域33の延びる方向における本体領域33の略中間の長さの位置にある。中間領域333は、基板2の略中心において、第1の端部領域31および第2の端部領域32の間に設けられている。第1の端部領域31および第2の端部領域32の間には、第1の本体領域331および第2の本体領域332が設けられることなく、中間領域333のみが設けられている。
ガス感応部4は、金属酸化物半導体を主成分とし、表面の吸着酸素と検知対象ガスとの化学反応に伴って電気抵抗が変化する部位である。ガス感応部4は、図1および図2に示されるように、電極3に電気的に接続するように基板2上に設けられる。ガス感応部4が電極3に電気的に接続するように設けられることで、電極3を介してガス感応部4の電気抵抗の変化を検出することができる。ガス感応部4の基板2上での詳細な配置については、以下で詳しく述べる。
ガス感応部4は、基板2上において、電極3によって抵抗変化を検出できるように設けられればよく、その形成方法は特に限定されない。ガス感応部4は、たとえば、金属酸化物半導体の微粉体を溶媒に混ぜてペースト状としたものを、予め電極3が設けられた基板2上に塗布して乾燥させることにより形成することが可能である。あるいは、ガス感応部4は、スパッタリングなどの公知の成膜技術を用いて形成することも可能である。
ガス感応部4の金属酸化物半導体としては、吸着酸素と検知対象ガスとの化学反応に伴って電気抵抗が変化するものであれば、特に限定されることはない。たとえば、ガス感応部4の金属酸化物半導体としては、酸素吸着、および吸着酸素とガス成分との化学反応を促進し、ガス検知感度を向上させるという観点から、n型半導体を用いることが好ましく、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛および酸化タングステンの中から選択される少なくとも1種を含む金属酸化物半導体を用いることがさらに好ましく、酸化スズおよび酸化インジウムの中から選択される少なくとも1種を含む金属酸化物半導体を用いることがよりさらに好ましい。
ガス感応部4の金属酸化物半導体は、電気抵抗を調整するために、ドナーとして金属元素が添加されていてもよい。添加される金属元素としては、金属酸化物半導体中にドナーとして添加可能であり、金属酸化物半導体の電気抵抗を調整することが可能であれば、特に限定されることはないが、たとえば、アンチモン、ニオブおよびタングステンの中から選択される少なくとも1種が例示される。また、ガス感応部4の金属酸化物半導体は、電気抵抗を調整するために、金属酸化物半導体中に酸素欠損が導入されてもよい。金属元素濃度や酸素欠損濃度は、要求される電気抵抗に応じて、適宜設定することができる。
ガス感応部4は、図1に示されるように、電極3の第1の端部領域31および第2の端部領域32に電気的に接続し、電極3の本体領域33の延びる方向における少なくとも一部の長さに亘って、本体領域33に電気的に接続しないように設けられる。ガス感応部4は、電極3の本体領域33の少なくとも一部に電気的に接続しないように設けられて、基板2(本体部221)の一部に設けられることで、基板2の全体に設けられる場合と比べて小さく形成される。そして、そのような場合でも、ガス感応部4は、電極3の第1の端部領域31および第2の端部領域32に電気的に接続しているので、以下で詳しく説明するように、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制することができる。さらに、ガス感応部4が基板2の一部に設けられることで、ガス感応部4を被覆するように機能層を設ける場合においても、機能層がガス感応部4の端部においても十分な厚さで形成されるので、ガス感応部4のガス検知特性を向上させるという、機能層が有する機能を十分に発揮することができる。
なお、ガス感応部4は、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制するという目的のために、電極3の第1の端部領域31および第2の端部領域32に電気的に接続されるが、その目的のためには、必ずしも第1の端部領域31および第2の端部領域32の全体に電気的に接続されていなくてもよく、図1に示されるように、第1の端部領域31および第2の端部領域32のそれぞれの少なくとも一部に電気的に接続されていればよい。
ここで、上述したように、ガス感応部4の表面の吸着酸素と検知対象ガスとの化学反応に伴うガス感応部4の電気抵抗変化は、電極3を介して検出される。このとき、電極3の第1の端部3aと第2の端部3bとの間の合成抵抗値Rは、図3に示されるように、電極3の電気抵抗値Rcとガス感応部4の電気抵抗値Rvとの合成抵抗値として表わされる。ガス感応部4の電気抵抗値Rvの変化は、この合成抵抗値Rの変化として間接的に検出される。
たとえば、図9に示されるように、電極の全体にガス感応部が電気的に接続されている場合には、電極の全体とガス感応部の全体とが並列回路を形成し、合成抵抗値Rは、電極の全体の電気抵抗値Rcとガス感応部の全体の電気抵抗値Rvとの並列合成抵抗値として表わされる。この場合、合成抵抗値Rは、ガス感応部の電気抵抗値Rvの変化に応じて大きく変化するので、検知対象ガスに対して高い感度を得ることができる。
一方、図10に示されるように、電極の一部にだけガス感応部が電気的に接続している場合には、電極の一部だけがガス感応部の全体と並列回路を形成し、合成抵抗値Rは、電極の一部の電気抵抗値Rcとガス感応部の全体の電気抵抗値Rvとの並列合成抵抗値と、電極のその他の部分の電気抵抗値Rcとの直列合成抵抗値として表わされる。この場合、合成抵抗値Rは、ガス感応部の電気抵抗値Rvが変化しても、ガス感応部が電気的に接続されていない電極のその他の部分の端部間の抵抗値が変化せず、全体として大きく変化しないため、検知対象ガスに対して高い感度を得ることができない。
それに対して、本実施形態では、図1に示されるように、ガス感応部4が、電極3の本体領域33の少なくとも一部に電気的に接続していないものの、電極3の第1の端部領域31および第2の端部領域32に電気的に接続している。したがって、図3に示されるように、合成抵抗値Rは、電極3のほぼ全体の電気抵抗値Rcとガス感応部4の全体の電気抵抗値Rvとの並列合成抵抗値として表わされる。この場合、合成抵抗値Rは、電極3の全体にガス感応部4が電気的に接続されている場合と比べて同程度か、またはそれに近い程度で、ガス感応部4の電気抵抗値Rvの変化に応じて変化する。したがって、ガス感応部4の大きさを小さくすることで、電極3の本体領域33の一部にガス感応部4が電気的に接続されていなくても、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制することができる。
電極3の全体にガス感応部4が電気的に接続されている場合と同程度か、またはそれに近い程度で、電極3の端部3a、3b間の合成抵抗値Rがガス感応部4の電気抵抗値Rvの変化に応じて変化するようにするためには、ガス感応部4は、電極3の第1の端部3aおよび第2の端部3bにできるだけ近い部分に電気的に接続されることが好ましい。ガス感応部4が電気的に接続される電極3の部分の第1の端部3aおよび第2の端部3bからの距離、または、その距離を画定する、電極3の第1の端部領域31および第2の端部領域32のそれぞれの所定の長さは、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制することができれば、特に限定されることはなく、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制することが要求されるレベルに応じて適宜決定することができる。第1の端部領域31および第2の端部領域32の所定の長さとしては、検知対象ガスに対する感度の低下を抑制するという観点から、たとえば、電極3全体の長さの15%以下であることが好ましく、電極3全体の長さの10%以下であることがより好ましく、電極3全体の長さの6%以下であることがよりさらに好ましい。あるいは、第1の端部領域31および第2の端部領域32の所定の長さとしては、たとえば、電極3全体の電気抵抗値の15%以下の電気抵抗値となる長さであることが好ましく、電極3全体の電気抵抗値の10%以下の電気抵抗値となる長さであることがより好ましく、電極3全体の電気抵抗値の6%以下の電気抵抗値となる長さであることがよりさらに好ましい。
本実施形態では、ガス感応部4は、図1に示されるように、本体領域33の延びる方向における本体領域33の略中間の長さの位置にある中間領域333に電気的に接続し、第1の端部領域31と中間領域333との間の本体領域33(第1の本体領域331)の延びる方向の少なくとも一部の長さに亘って、および中間領域333と第2の端部領域32との間の本体領域33(第2の本体領域332)の延びる方向の少なくとも一部の長さに亘って、本体領域33に電気的に接続しないように設けられている。図示された例では、ガス感応部4は、実質的に第1の端部領域31、第2の端部領域32および中間領域333のみに電気的に接続するように設けられている。
また、本実施形態では、図1に示されるように、電極3の第1の端部領域31および第2の端部領域32の少なくとも一部が、電極3の本体領域33が設けられる基板2上の範囲の外縁Eよりも内側に設けられている。したがって、ガス感応部4は、本体領域33の外縁Eの内側に形成することができるので、基板2の大きさに対して、より小さく形成することができる。
また、本実施形態では、図1に示されるように、第1の端部領域31および第2の端部領域32が、互いに接近して設けられている。したがって、ガス感応部4は、基板2の大きさに対して、より小さく形成することができる。
また、本実施形態では、図1に示されるように、第1の端部領域31および第2の端部領域32が、基板2(本体部221)の中心近傍まで延びている。したがって、ガス感応部4は、基板2の中心近傍において、より小さく形成することができる。
ガス感応部4に任意で被覆するように設けられる機能層は、ガス感応部4における検知対象ガスの選択性を向上させる機能や、ガス感応部4の劣化を抑制する機能など、ガス感応部4のガス検知特性を向上させる機能を有する層である。機能層は、ガス感応部4を被覆するようにガス感応部4上に設けられる。本実施形態のMEMS型半導体式ガス検知素子1では、ガス感応部4が、基板2の一部に設けられている。それにより、ガス感応部4上に設けられる機能層は、ガス感応部4の端部領域においても、必要な厚さで形成することができるので、機能の低下を抑制することができる。したがって、本実施形態のMEMS型半導体式ガス検知素子1では、ガス感応部4が基板2の全体に設けられる場合と比べて、機能層の全体の機能を向上させることができる。
本実施形態では、機能層として、ガス感応部4の劣化を抑制し、ガス感応部4を保護する機能を有する2種類の層(以下、第1機能層、第2機能層という)が例示される。ただし、機能層としては、ガス感応部4のガス検知特性を向上させる機能を有するものであれば、特に限定されることはなく、半導体式ガス検知素子において、金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を被覆することでガス感応部のガス検知特性を向上させる機能を有する公知の層を採用することができる。
第1の例である第1機能層は、環境雰囲気中に含まれる検知対象ガス以外の特定のガス成分(たとえば有機シリコーンガス)からガス感応部4を保護し、ガス感応部4の耐久性を向上させる。第1機能層は、たとえば、環境雰囲気中に含まれる有機シリコーンガス(たとえば、ヘキサメチルジシロキサンなど)がガス感応部4に付着することによってガス感応部4が被毒する(ガス感応部4の検知感度が変化してMEMS型半導体式ガス検知素子1が誤作動する)のを抑制する。
第1機能層は、ガス感応部4を保護し、ガス感応部4の耐久性を向上させるという目的のために、金属酸化物半導体に金属酸化物が担持されて形成される。金属酸化物半導体としては、特に限定されることはなく、たとえば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛および酸化タングステンの中から選択される少なくとも1種を含む金属酸化物半導体を用いることができる。金属酸化物としては、特定のガス成分からガス感応部4を保護し得る金属酸化物であり、たとえば、酸化クロム、酸化パラジウム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ロジウム、酸化銅、酸化セリウム、酸化白金、酸化タングステンおよび酸化ランタンの中から選択される少なくとも1種を用いることができる。金属酸化物は、上に例示された中でも、ガス感応部4の劣化をよりさらに抑制する観点から、酸化クロムおよび酸化パラジウムの中から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
第1機能層は、特定のガス成分からガス感応部4を保護し、ガス感応部4の耐久性を向上させることができれば、その形成方法は特に限定されない。第1機能層は、たとえば、金属酸化物半導体の微粉体と金属酸化物の微粉体との混合物を溶媒に混ぜてペースト状としたものをガス感応部4に塗布して乾燥させることによって形成することができる。
第2の例である第2機能層は、第1機能層と同様の目的のために、絶縁性金属酸化物により構成される。第2機能層は、絶縁性金属酸化物により特定のガス成分を捕捉することで、ガス感応部4を保護する。また、第2機能層が絶縁性金属酸化物により構成されることで、第2機能層中に電流が流れることが抑制され、検知対象ガス検知時のガス感応部4の抵抗値変化に及ぼす影響を抑えることができるので、検知対象ガスの検知感度が低下するのを抑えることができる。絶縁性金属酸化物としては、特に限定されることはないが、たとえば酸化アルミニウムおよび酸化シリコンの中から選択される少なくとも1種が例示される。
第2機能層は、絶縁性金属酸化物に、酸化活性を有する金属酸化物が担持されて形成されてもよい。第2機能層は、酸化活性を有する金属酸化物が絶縁性金属酸化物に担持されて形成されることにより、ガス感応部4の劣化をより抑制することができる。酸化活性を有する金属酸化物としては、たとえば、酸化クロム、酸化パラジウム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ロジウム、酸化銅、酸化セリウム、酸化白金、酸化タングステンおよび酸化ランタンの中から選択される少なくとも1種が例示される。金属酸化物は、上に例示された中でも、ガス感応部4の劣化をよりさらに抑制する観点から、酸化クロムおよび酸化パラジウムの中から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
第2機能層は、特定のガス成分からガス感応部4を保護し、ガス感応部4の耐久性を向上させることができれば、その形成方法は特に限定されない。第2機能層5は、たとえば、絶縁性金属酸化物の微粉体と金属酸化物の微粉体との混合物を溶媒に混ぜてペースト状としたものをガス感応部4に塗布して乾燥させることによって形成することができる。
以下において、実施例をもとに本実施形態のMEMS型半導体式ガス検知素子の優れた効果を説明する。ただし、本発明のMEMS型半導体式ガス検知素子は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示されるMEMS型半導体式ガス検知素子1を以下の手順で作製した。まず、公知の微細加工技術により、基板2を作成し、基板2上に電極3を配線した。その際、電極3としては、白金を用い、接着層5としては、酸化タンタルを用いた。つぎに、アンチモンをドナーとして0.1wt%添加した酸化スズ半導体の微粉体のペーストを、基板2上の電極3の一部を覆って最大厚さが20μmになるように塗布して、乾燥後、電気炉にて650℃で2時間加熱して焼結することにより、ガス感応部4を形成した。このとき、ガス感応部4の直径は、40μmであった。引き続いて、作製されたMEMS型半導体式ガス検知素子1において、ガス感応部4を被覆するように機能層を設けた。機能層は、酸化クロムおよび酸化パラジウムの微粉体を混ぜた酸化スズ半導体の微粉体のペーストを、ガス感応部4を被覆して最大厚さが30μmになるように塗布して、乾燥後、電気炉にて650℃で2時間加熱して焼結することにより形成した。
(比較例1)
図8および図9に示されるMEMS型半導体式ガス検知素子100を、電極の配置が異なること、およびガス感応部が基板の全体を覆って基板の端部にまで及んでいることを除いて、実施例1と同じ方法で作製した。このとき、ガス感応部の直径は、130μmであった。また、比較例1の電極の電気抵抗値は、実施例1の電極と同じ電気抵抗値になるように調整した。
(検出感度試験)
実施例1および比較例1のMEMS型半導体式ガス検知素子を、公知のブリッジ回路に組み込んで、検知対象ガスを含む大気環境下でセンサ出力を測定した。検知対象ガスとしては、メタン、エタノール、水素を用いた。
(シロキサン曝露試験)
実施例1および比較例1のMEMS型半導体式ガス検知素子について、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)が10ppmだけ含まれる大気に曝露したあとに、センサ出力がどのように変化するかを評価した。センサ出力は、検出感度試験と同じ方法で、検知対象ガスを含まない大気環境下および検知対象ガスを含む大気環境下において測定した。検知対象ガスとしては、メタン(3000ppm)、エタノール(100ppm)、水素(1000ppm)を用いた。
(検出感度試験結果)
実施例1および比較例1のMEMS型半導体式ガス検知素子について、メタン、エタノール、水素の濃度を変化させたときのセンサ出力の変化を調べた結果を図4および図5に示す。
図4および図5を見ると、実施例1および比較例1のいずれにおいても、メタン、エタノール、水素の濃度の増加に伴ってセンサ出力が増加している。そして、それぞれの濃度のメタン、エタノール、水素のセンサ出力は、実施例1と比較例1とで大きな違いはない。このことから、実施例1のMEMS型半導体式ガス検知素子では、比較例1のMEMS型半導体式ガス検知素子と比べてガス感応部の大きさを小さくしても、検知対象ガスに対する感度の低下が抑制されていることが分かる。
(シロキサン曝露試験結果2)
実施例1および比較例1のMEMS型半導体式ガス検知素子についてシロキサン曝露試験を行なった後のセンサ出力の変化を調べた結果を図6および図7に示す。図6および図7においては、センサ出力は、シロキサン曝露時間が0分における、メタンを含む大気環境下で得られたセンサ出力を100として規格化している。
図7の比較例1を見ると、検知対象ガスを含まない大気環境下も含めて、メタン、エタノール、水素を含む大気環境下において得られたセンサ出力はいずれも、シロキサン曝露試験における曝露時間の増加に伴って増加している。このことから、比較例1では、シロキサンの曝露によってガス感応部が劣化していることが分かる。
それに対して、図6の実施例1を見ると、シロキサン曝露試験における曝露時間の増加に伴うセンサ出力の変化は、比較例1の結果と比べると、エタノールについてはわずかに抑えられ、メタン、水素および大気については大きく抑えられている。このことから、MEMS型半導体式ガス検知素子のガス感応部を小さくすることで、シロキサンの曝露によるガス感応部の劣化を抑制するという機能を向上させることができていることが分かる。
1 MEMS型半導体式ガス検知素子
2 基板
21 基板本体
21a 凹部
22 絶縁支持膜
22a 酸化シリコン膜
22b 窒化シリコン膜
22c 酸化シリコン膜
221 本体部
221a 第1の領域
221b 第2の領域
222 基部
223 接続部
23 空洞部
3 電極
3a 第1の端部
3b 第2の端部
3c 第1の近接部
3d 第2の近接部
31 第1の端部領域
32 第2の端部領域
33 本体領域
331 第1の本体領域
332 第2の本体領域
333 中間領域
4 ガス感応部
5 接着層
A 集積部
E 電極の本体領域の外縁
L1 一方のリード線
L2 他方のリード線
R 合成抵抗値
Rc 電極の電気抵抗値
Rv ガス感応部の電気抵抗値
S 第1の端部と第2の端部とを結ぶ直線

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられ、一方のリード線と他方のリード線との間に接続される電極と、
    前記電極に電気的に接続するように前記基板上に設けられるガス感応部と
    を備えるMEMS型半導体式ガス検知素子であって、
    前記電極が、前記一方のリード線に接続される第1の端部を含む第1の端部領域と、前記他方のリード線に接続される第2の端部を含む第2の端部領域と、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域との間に延び、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域とを接続する本体領域とを備え、
    前記本体領域が、
    前記基板上の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ直線に対して垂直方向の一方側のみにおいて前記第1の端部領域から延びる第1の本体領域と、
    前記基板上の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ直線に対して垂直方向の他方側のみにおいて前記第2の端部領域から延びる第2の本体領域と、
    前記第1の本体領域と前記第2の本体領域とを接続し、前記基板上の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ直線と1回のみ交差する中間領域とを備え、
    前記ガス感応部が、前記第1の端部領域前記第2の端部領域および前記中間領域に電気的に接続し、前記第1の本体領域および前記第2の本体領域の延びる方向における少なくとも一部の長さに亘って、前記第1の本体領域および前記第2の本体領域に電気的に接続しないように設けられる、
    MEMS型半導体式ガス検知素子。
  2. 基板と、
    前記基板上に設けられ、一方のリード線と他方のリード線との間に接続される電極と、
    前記電極に電気的に接続するように前記基板上に設けられるガス感応部と
    を備えるMEMS型半導体式ガス検知素子であって、
    前記電極が、前記一方のリード線に接続される第1の端部を含み、前記第1の端部から前記基板の略中心に向かって略直線状に延びる第1の端部領域と、前記他方のリード線に接続される第2の端部を含み、前記第2の端部から前記基板の略中心に向かって略直線状に延びる第2の端部領域と、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域との間に延び、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域とを接続する本体領域とを備え、
    前記ガス感応部が、前記第1の端部領域および前記第2の端部領域に電気的に接続し、前記本体領域の延びる方向における少なくとも一部の長さに亘って、前記本体領域に電気的に接続しないように設けられる、
    MEMS型半導体式ガス検知素子。
  3. 前記第1の端部領域および前記第2の端部領域の少なくとも一部が、前記本体領域が設けられる前記基板上の範囲の外縁よりも内側に設けられる、
    請求項1または2に記載のMEMS型半導体式ガス検知素子。
  4. 前記ガス感応部が、前記本体領域の延びる方向における前記本体領域の略中間の長さの位置にある中間領域に電気的に接続し、前記第1の端部領域と前記中間領域との間の前記本体領域の延びる方向の少なくとも一部の長さに亘って、および前記中間領域と前記第2の端部領域との間の前記本体領域の延びる方向の少なくとも一部の長さに亘って、前記本体領域に電気的に接続しないように設けられる、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のMEMS型半導体式ガス検知素子。
  5. 前記本体領域が、前記基板上の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ直線に対して垂直方向の一方側と、前記基板上の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ直線に対して垂直方向の他方側とに延びる、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のMEMS型半導体式ガス検知素子。
  6. 前記MEMS型半導体式ガス検知素子が、前記ガス感応部を被覆する機能層を備える、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のMEMS型半導体式ガス検知素子。
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