以下、実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、非特許文献2に規定されている放送波種別と、映像符号化方式および符号化映像フォーマットとの関係を示した図である。縦軸方向に、符号化映像フォーマット(映像信号特性と映像フォーマットに細分類)と映像符号化方式とを示し、横軸方向に放送波種別を示している。図1に示すように、符号化映像フォーマットおよび映像符号化方式は放送波種別によって異なる。また符号化映像フォーマットには、図1に記載されている以外でも例えば映像の伝達特性(後述する)等がある。
図2は、一実施形態に係る放送局と受信機のシステム全体の構成例を示す図である。
放送局200は、放送局サーバ201、第1のセキュリティー機能202、第1の基本機能203を備える。第1の基本機能203は、放送局200の基本的な機能であり、放送する番組の映像信号や音声信号等を符号化(エンコードとも言う)して多重化し、放送信号(この放送信号は、地上デジタルテレビジョン、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送、高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送、などいずれの放送波種別によるものであってもよい)として送出する機能を持つ。また第1の基本機能203は、デジタル放送信号、アプリケーション制御情報、コンテンツの表示に関する制御情報である伝送制御信号等も放送信号として送出することができる。
放送局サーバ201は、番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時、その他のデータ等のメタデータを、放送信号により受信機に送出するために、予め保存しておくエリアである。
第1のセキュリティー機能202は、放送局が送出する放送波に含まれるコンテンツ(番組)の保護に関する設定を行うことができる。
受信機210は、デジタル放送の受信機能(第2の基本機能211)、第2のセキュリティー機能212、API213、アプリケーション管理機能214を備え、放送信号を受信して各種放送番組および各種サービス情報を受信することができる。
第2の基本機能211は、受信機の基本的な機能であり、放送局200から送られてくる放送波を受信し、放送波に含まれる放送信号の符号化された映像信号(映像ストリームとも呼ぶ)、符号化された音声信号(音声ストリームとも呼ぶ)および付随する伝送制御信号等の制御信号を分離し、映像信号および音声信号をデコードしたり伝送制御信号等の制御信号を解析したりする機能を持つ。
また、第2の基本機能211は、受信機210に接続されている周辺機器、例えば表示器220、表示器220にバインドされているHDD(HradDiskDrive)230、リムーバルメディア240、スマートフォン250との接続やデータの送受信の管理も行う。
映像信号の映像信号伝達特性に関する情報は、第1の基本機能203において第1の指定情報あるいは第2の指定情報に設定される。ここで第1の指定情報は、符号化された映像信号に対する制御情報の中の1つである映像信号伝達特性に関する情報である。第1の指定情報は、例えば符号化された映像信号の制御情報の1つであるVUIの中のtransfer_characteristicsである。また第2の指定情報は、伝送制御信号の中に設定された映像信号伝達特性に関する情報である。第2の指定情報は、例えば伝送制御信号であるPMTの中に配置されるビデオデコードコントロール記述子の伝達特性あるいはMPTの中に配置される映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性である。
第2の基本機能211は、受信する映像信号の映像信号伝達特性を認識するのに、第1の指定情報の値を用いる方法、第2の指定情報の値を用いる方法、の少なくとも1つの方法を用いることができる。
また第2の基本機能211は、用いた方法にもとづいて第1の指定情報の値の解析、あるいは第2の指定情報の値の解析を行い、解析結果にもとづいて映像信号伝達特性の設定が必要な機能ブロックの制御を行うこともできる。
第2のセキュリティー機能212は、第2の基本機能211で解析された伝送制御信号を読み込み、その中に含まれる放送局200の第1のセキュリティー機能202で設定された番組の保護に関する情報の解析を行う。
API213は、第2の基本機能211と、アプリケーション管理機能214およびアプリケーション215が連携して動作するためのインターフェース(I/F)である。
アプリケーション管理機能214は、アプリケーション215を管理する機能をもち、第2の基本機能211とAPI213を介してアプリケーション215と連携して動作する。アプリケーション管理機能214は、ユーザインターフェースの機能も含み、例えば表示器220に表示する映像の制御を行う機能を有している。
アプリケーション215は、第2の基本機能211およびアプリケーション管理機能214と連携して動作するアプリケーションであり、ユーザあるいは受信機210が逐次ネットワーク(図示しない)を経由してダウンロード/更新することが可能である。これらの更新により受信機210を使用するユーザの使い勝手を向上させることが出来る。
表示器220は、スピーカー221を内蔵しており、第2の基本機能211においてデコードされた映像信号を表示領域に表示したり音声信号をスピーカー221に出力したりする。なお、表示器220に内蔵されているスピーカー221は、USB等のI/Fにより接続した外部のスピーカーであってもよい。
図3Aは、放送局300(図2の200に対応)の主な構成を概略的に示した図である。放送局300は、映像エンコーダ301、音声エンコーダ302、字幕エンコーダ303、ならびに伝送制御信号等の制御データ、サービスデータおよび受信機210で動作するアプリケーション215を制御するアプリケーション制御情報等を含む付属データを生成する付属データ生成部304を備える。また放送局300は、放送局サーバ311(図2の201に対応)、第1のセキュリティー機能312(図2の202に対応)および送受信部313が連携している。映像エンコーダ301、音声エンコーダ302、字幕エンコーダ303、付属データ生成部304、多重化部305、送信機306、送受信部313を合わせて第1の基本機能310(図2の203に対応)と呼ぶ。
映像エンコーダ301のコーデック種別は、MPEG−2、H.264(AVC:Advance Video Coding)、H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)のいずれでもよいものとする。またコーデック種別は、これに限るものではない。
また多重化方式は、MPEG−2 Systemsの多重化方式あるいはMMT(Mpeg Media Transport)の多重化方式の方式を用いてもよいし、両方を用いてもよいものとする。また多重化方式は、これに限るものではない。
なお映像エンコーダ301は、送信する番組の映像信号のエンコードデータを生成する際に、エンコード対象の映像信号の映像信号伝達特性に関する情報を設定する第1の指定情報に、映像信号伝達特性の情報を任意に設定することができる。
図3Bは、第1の指定情報の一例であるVUIの中のtransfer_characteristicsに設定される値とその意味を示した図である。transfer_characteristicsの値が1は、Rec.ITU−R BT.709(SDR(1)とも呼ぶ)を意味しており、11はIEC61966−2−4(SDR(11)とも呼ぶ)を意味しており、14はRec.ITU−R BT.2020(SDR(14)とも呼ぶ)を意味している。またtransfer_characteristicsの値が16は、PQ(Perceptual Quantization)方式のHDR(HDR(16)とも呼ぶ)を意味しており、transfer_characteristicsの値が18は、HLG(Hybrid Log-Gamma)方式のHDR(HDR(18)とも呼ぶ)を意味している。
映像エンコーダ301、音声エンコーダ302、字幕エンコーダ303、付属データ生成部304の各出力はストリーム化されており、これらのストリームは、多重化部305において多重化される。多重化されたストリーム(放送信号)は、多重化ストリームとして送信機306に送出され、放送電波によりアンテナから送信される。
付属データ生成部304が生成する伝送制御信号は、テーブルと呼ばれる特定のフォーマットで構成されており、記述子と呼ばれる情報記述領域を持つ。送信する伝送制御信号により、送信に使用するテーブルの種類が規定されている。またテーブルおよびその中に配置される記述子は、MPEG−2 Systemsの多重化方式およびMMT(Mpeg Media Transport)の多重化方式おのおのにおいて定義されている。
また付属データ生成部304は、送信する番組の映像信号の映像信号伝達特性に関する情報を設定する第2の指定情報に、第1の指定情報を引用して設定することができる。
図3Cは、非特許文献1に記載のMPEG−2 Systemsの多重化方式で定義されている各種テーブルの一覧を示した図である。各テーブルの名称と各テーブルの機能の概要を示している。PMTは、後述するビデオデコードコントロール記述子を含むテーブルである。
図3Dは、非特許文献3に記載のMMTの多重化方式で定義されている各種テーブルの一覧を示した図である。各テーブルの名称と各テーブルの機能の概要を示している。MPTは、後述する映像コンポーネント記述子を含むテーブルである。
図3Eは、第2の指定情報の一例である非特許文献1に記載のビデオデコードコントロール記述子のフォーマットを示した図である。ビデオデコードコントロール記述子の中の伝達特性340が、映像信号伝達特性の情報を設定するフィールドであり、2ビットが割り当てられている。
図3Fは、非特許文献1に記載のビデオデコードコントロール記述子の中の伝達特性のビットアサインを示した図である。伝達特性の値が00は、VUIのtransfer_characteristicsの値の1、11または14のいずれかの場合であることを意味し、伝達特性の値が01は、VUIのtransfer_characteristicsの値の16の場合を意味し、伝達特性の値が10は、VUIのtransfer_characteristicsの値の18の場合を意味し、伝達特性の値が11は、映像信号伝達特性を指定しないことを意味している。
このようにビデオデコードコントロール記述子の伝達特性に設定される値の内容は、VUIのtransfer characteristicsに規定されている値を引用したものとなっている。
図3Gは、第2の指定情報の一例である非特許文献3に記載の映像コンポーネント記述子のフォーマットを示した図である。映像コンポーネント記述子の中の映像信号伝達特性350が、映像信号伝達特性の情報を設定するフィールドであり、4ビットが割り当てられている。
図3Hは、非特許文献3に記載の映像コンポーネント記述子の中の映像信号伝達特性のビットアサインを示した図である。映像信号伝達特性の値が0は、映像信号伝達特性を指定しないことを意味し、映像信号伝達特性の値が1は、VUIのtransfer_characteristicsの値の1の場合を意味し、映像信号伝達特性の値が2は、VUIのtransfer_characteristicsの値の11の場合を意味し、映像信号伝達特性の値が3は、VUIのtransfer_characteristicsの値の14の場合を意味し、映像信号伝達特性の値が4は、VUIのtransfer_characteristicsの値の16の場合を意味し、映像信号伝達特性の値が5は、VUIのtransfer_characteristicsの値の18の場合を意味している。
このように映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性に設定される値の内容は、VUIのtransfer_characteristicsに規定されている値を引用したものとなっている。
図4は、放送波の伝送路400における主なストリームおよび情報を示した図である。映像ストリーム、音声ストリーム、データ放送ストリーム、付属データが、図3Aで示した多重化部305で多重化され放送波として伝送路400に送出される。
図5Aは、一実施形態に係る受信機500(図2の210に対応)の主な構成を概略的に示した図である。受信機500は、放送波を受信する受信機能である第2の基本機能515(図2の211に対応)を有する。
第2の基本機能515は、放送チューナ501、デスクランブラ502、CASモジュール503、デマルチプレクサ504、データ放送受信処理部505、映像デコーダ506、音声デコーダ507、字幕デコーダ508、付属データ解析部509、制御部510、データ放送エンジン511からなる。
放送チューナ501は、放送波で送られてきたストリーム(放送信号)を復調する。復調されたストリーム(放送信号)は、デスクランブラ502に入力される。デスクランブラ502は、入力されたストリームをCAS(Conditional Access System)モジュール503からの鍵を用いてデスクランブルする。デスクランブラ502によりデスクランブルされたストリームは、デマルチプレクサ504に入力される。
デマルチプレクサ504は、多重化されているストリームを映像ストリーム、音声ストリーム、データ放送ストリーム、付属データに分離し、分離したストリームを対応するデコーダや解析部に入力する。
デマルチプレクサ504で分離された映像ストリームは映像デコーダ506でデコードされ、音声ストリームは音声デコーダ507でデコードされ、付属データに含まれる字幕ストリームは、字幕デコーダ508でデコードされる。また付属データに含まれるアプリケーション制御情報、サービスデータ、制御データは、付属データ解析部509で解析される。
デコードされた映像信号および字幕信号は、合成器526で合成され表示制御部527を介して表示器528(図2の220に対応)に出力される。表示制御部527は、ガンマ特性の設定、表示画面サイズの設定、表示信号レベルの設定などを行う。
また音声デコーダ507でデコードされた音声データは、スピーカー530(図2の221に対応)に出力される。
映像デコーダ506は、符号化された映像信号をデコードする際に第1の指定情報の抽出を行い、抽出した第1の指定情報の値を制御部510に送る。
また、デマルチプレクサ504で分離されたデータ放送ストリームは、データ放送受信処理部505で受信され、データ放送エンジン511に入力される。データ放送エンジン511は、データ放送により送られてきた表示用信号を解析し、合成器526を介して解析した内容を表示制御部527に出力する。表示制御部527は、送られてきた表示用信号の解析内容を元に、表示器528に表示内容を表示する。
付属データ解析部509は、アプリケーション制御情報、サービスデータ、制御データの解析を行い、アプリケーション制御情報およびサービスデータの解析結果を統合制御器521に、制御データの解析結果を制御部510に送付する。制御データに含まれる第2の指定情報は、付属データ解析部509で解析され、解析結果は制御部510にも送られる。
制御部510は、受信した番組の映像信号の映像信号伝達特性を認識するのに、第1の指定情報の値を用いる方法、第2の指定情報の値を用いる方法、の少なくとも1つの方法を用いることができる。また制御部510は、用いた方法にもとづいて第1の指定情報の値の解析、第2の指定情報の値の解析を行い、解析結果に基づいて映像信号伝達特性の設定の切り換えが必要な機能ブロックの制御も行うことができる。
さらに受信機500は、全体的な動作を制御する手段として統合制御器521を有する。統合制御器521は、第2のセキュリティー機能522(図2の212に対応)、API523(図2の213に対応)、アプリケーション管理機能524(図2の214に対応)から構成される。また、統合制御器521は、受信機500が現在表示器528に表示している番組のチャンネルの情報や放送波種別の情報も管理している。制御部510は、統合制御器521に問い合わせることで、受信機500が現在表示器528に表示している番組のチャンネル情報や放送波種別の情報を取得することができる。
第2のセキュリティー機能522は、放送波に含まれる伝送制御信号の中からコンテンツの保護に関する情報を読み出し、表示制御部527を介して表示器528に表示あるいはスピーカー530に出力する際や、接続されている周辺機器(図示しない)に出力する際にコンテンツ保護の処理を行う。
API523は、第2の基本機能515と、アプリケーション管理機能524およびアプリケーション525とが連携して動作するためのI/Fである。
アプリケーション管理機能524は、放送波で送られてきたアプリケーション制御情報に含まれる各種制御情報に基づいて、受信機500の各機能ブロックを制御する。またアプリケーション管理機能524は、API523を介して第2の基本機能515と連携して、アプリケーション525の管理を行う。
なお、映像デコーダ506のコーデック種別は、H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)とするが、これに限定されるものではなく、MPEG−2、H.264(AVC:Advance Video Coding)のいずれでもよい。またコーデック種別は、これに限るものではない。
図5Bは、一実施形態に係る受信機の、受信した番組の映像信号伝達特性を認識するために必要な機能ブロックの詳細な構成を示した図である。なお以降の説明では、第1の指定情報としてVUIのtransfer_characteristicsを例にして、第2の指定情報としてビデオデコードコントロール記述子の伝達特性または映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性を例にして説明する。
映像デコーダ506は、デコード処理部5061と制御情報解析部5062とからなる。付属データ解析部509は、付属データ分離部5091と記述子抽出部5092とからなる。
放送波で送られてきたストリーム(放送信号)は、放送チューナ501で復調され、復調されたストリーム(放送信号)は、デマルチプレクサ504で映像ストリーム、音声ストリーム、データ放送ストリーム、付属データに分離される。
デマルチプレクサ504で分離された映像ストリームは、映像デコーダ506のデコード処理部5061に入力される。デコード処理部5061は、映像ストリームをデコードするとともに、デコード対象の映像ストリームの制御情報を制御情報解析部5062に送る。制御情報解析部5062は、受信した制御情報から映像信号伝達特性に関する情報であるVUIのtransfer_characteristicsの値を抽出する。制御情報解析部5062は、抽出したtransfer_characteristicsの値を制御部510に送る。また、デコード処理部5061は、デコードした映像信号を、表示器528に表示するために表示制御部527に送る。
デマルチプレクサ504で分離された付属データは、付属データ解析部509の付属データ分離部5091に入力される。付属データ分離部5091は、送られてきた付属データを解析して、アプリケーション制御情報、サービスデータ、制御データに分離する。付属データ分離部5091は、付属データの分離が完了すると、その中に含まれる伝送制御信号を記述子抽出部5092に送る。記述子抽出部5092は、送られてきた伝送制御信号から映像信号伝達特性に関する情報であるビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値あるいは映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値を抽出する。記述子抽出部5092は、抽出した伝達特性の値あるいは映像信号伝達特性の値を制御部510に送る。
制御部510は、制御情報解析部5062から送られてきたtransfer_characteristicsの値、記述子抽出部5092から送られてきた伝達特性あるいは映像信号伝達特性の値を解析することで、受信した放送番組の映像信号の映像信号伝達特性に関する情報を認識する。また認識した映像信号伝達特性に関する情報に基づいて、映像信号伝達特性の設定の切り換えが必要な機能ブロックの制御も行う。
<第1の実施形態>
第1の実施形態の受信機500は、放送されている番組の映像信号の映像信号伝達特性が切り替わる場合、受信した放送番組の映像信号伝達特性に関する情報を認識するのに、特定情報にもとづいて、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値または映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値を用いる方法、VUIのtransfer_characteristicsの値を用いる方法のいずれかの方法を少なくとも1つを用い、用いた方法にもとづいて認識した映像信号伝達特性の情報をもとに、映像信号伝達特性の設定の切り換えが必要な機能ブロックの制御を行うことが可能な受信機である。
図6Aは、第1の実施形態の受信機500が、受信した放送番組の映像信号伝達特性を認識する方法を決定する際に使用する、特定情報の種類とその内容を示した図である。
特定情報(項目)は、受信機500が受信した放送番組の映像信号伝達特性に関する情報を認識する方法を決定する際に用いる特定情報の項目を示している。特定情報(内容)は、特定情報(項目)の具体的な内容を示している。映像信号伝達特性の認識に使用する値は、特定情報(項目)および特定情報(内容)に対応して、受信機500が受信した放送番組の映像信号伝達特性に関する情報を認識するのに用いる値を示している。
図6Bは、第1の実施形態の受信機500における映像信号伝達特性の切り換えを、特定情報として放送波種別を用いて行う場合(図6AのNo1の場合)の処理フローの一例を示した図である。
受信機500は、放送チューナ501で受信した放送波をデマルチプレクサ504で分離すると、分離した映像ストリームを映像デコーダ506に、付属データを付属データ解析部509に送ることで映像信号伝達特性の切り換え処理(S600)を開始する。
制御部510は、統合制御器521に問い合わせることで、受信機500が現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の放送波種別の情報を入手する。制御部510は、入手した放送波種別の情報が高度BSデジタルの場合(S601のYes)は、記述子抽出部5092にビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の抽出を指示する。
抽出の指示を付けた記述子抽出部5092は、伝送制御信号からPMTを抽出し(S602)、抽出したPMTからビデオデコードコントロール記述子を抽出する(S603)。ビデオデコードコントロール記述子を抽出した記述子抽出部5092は、ビデオデコードコントロール記述子の中の伝達特性を抽出する(S604)。記述子抽出部5092は、抽出した伝達特性の値が前回抽出した伝達特性の値と同一かどうかを判定する(S605)。
判定の結果同一である場合(S605のYes)、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生していないと判断し、次の送られてくる伝送制御信号からPMTの抽出を再度行う(S602)。
判定の結果同一でない場合(S605のNo)、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生したと判断し、抽出した伝達特性の値を制御部510に送る。
伝達特性を受信した制御部510は、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生したと認識し、S604で抽出した伝達特性の値を判定し(S606)、その値に従って該当する機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う(S607)。
以降、映像信号が続く限り(S608のYes)、S601からの処理を繰り返す。
例えばチャンネル切り換えや放送波種別切り換えなど現在視聴しているチャンネルから他のチャンネルに移動して映像信号が途切れる場合(S608のNo)、映像信号伝達特性の切り換え処理を終了する(S609)。
制御部510は、入手した放送波種別の情報が高度BSデジタル以外の場合(S601のNo)は、制御情報解析部5062にVUIのtransfer_characteristicsの抽出を指示する。
抽出の指示を受けた制御情報解析部5062は、制御情報からVUIのtransfer_characteristicsを抽出する(S610)。制御情報解析部5062は、抽出したtransfer_characteristicsの値が前回抽出したtransfer_characteristicsの値と同一かどうかを判定する(S611)。
判定の結果同一である場合(S611のYes)、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生していないと判断し、次の送られてくる映像信号からVUIのtransfer_characteristicsの値の抽出を再度行う(S610)。
判定の結果同一でない場合(S611のNo)、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生したと判断し、抽出したtransfer_characteristicsの値を制御部510に送る。
transfer_characteristicsを受信した制御部510は、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生したと認識し、S610で抽出したtransfer_characteristicsの値を判定し(S612)、その値に従って該当する機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う(S613)。
以降、継続する映像信号が続く限り(S608のYes)、S601からの処理を継続する。
S607およびS613の処理において映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う機能ブロックは、例えば映像デコーダ506に配置され、デコード対象の映像信号の映像信号伝達特性の情報をもとにデコーダの設定を制御するデコーダ設定管理部(図示しない)である。また表示制御部527に配置され、表示部528のバックライトを制御するバックライト制御部(図示しない)である。
図6Cは、第1の実施形態の受信機500における映像信号伝達特性の切り換えを、特定情報としてチャンネル番号を用いて行う場合(図6AのNo2の場合)の処理フローの一例を示した図である。
図6Cの処理フローと図6Bの処理フローとの相違点は、S621の判断がS601の処理における放送波種別からチャンネル番号に置き換わっている点である。これ以外のS622からS633の処理は、S602からS613の処理と同一である。
図6Dは、第1の実施形態の受信機500における映像信号伝達特性の切り換えを、特定情報としてビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値あるいは映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値、VUIのtransfer_characteristicsの値のいずれかを用いて行う場合(図6AのNo3の場合)の処理フローの一例を示した図である。
S641からS645が、PMTの中にビデオデコードコントロール記述子が存在しているかの判定、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性にHDRあるいはSDRが指定されているかの判定を行う処理である。
受信機500は、放送チューナ501で受信した放送波をデマルチプレクサ504で分離すると、分離した映像ストリームを映像デコーダ506に、付属データを付属データ解析部509に送ることで映像信号伝達特性の切り換え処理(S640)を開始する。
制御部510は、記述子抽出部5092に対して、PMTの中にビデオデコードコントロール記述子が存在しているかの判定、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性にHDRあるいはSDRが指定されているかの判定を行う指示を出す。
判定の指示を付けた記述子抽出部5092は、伝送制御信号からPMTを抽出し(S641)、抽出したPMTからビデオデコードコントロール記述子を抽出する(S642)。
ビデオデコードコントロール記述子を抽出出来た場合(S643のYes)、記述子抽出部5092は、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性を抽出する(S644)。
ビデオデコードコントロール記述子を抽出出来ない場合(S643のNo)、記述子抽出部5092は、その旨を制御部510に通知する。通知を受け取った制御部510は、MPTの中にビデオデコードコントロール記述子が存在していないと判断し、現在表示器528に表示している番組の映像信号の映像信号伝達特性を認識するために、VUIのtransfer_characteristicsを用いる処理に切り換える。
ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性を抽出(S644)した記述子抽出部5092は、抽出した伝達特性の値の判定を行う(S645)。
判定の結果伝達特性の値が11(映像伝達特性を指定しない)でない場合(S645のNo)、記述子抽出部5092は、抽出した伝達特性の値が前回抽出した伝達特性の値と同一かどうかを判定する(S665)。
判定の結果同一である場合(S665のYes)、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生していないと判断し、次に送られてくる伝送制御信号からPMTの抽出を再度行う(S641)。
判定の結果同一でない場合(S665のNo)、現在表示器528に表示している番組(視聴している番組)の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生したと判断し、抽出した伝達特性の値を制御部510に送る。
伝達特性を受信した制御部510は、表示器528に表示している番組の映像信号に映像信号伝達特性の切り換えが発生したと認識し、S644で抽出した伝達特性の値を判定し(S666)、その値に従って該当する機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う(S667)。
判定の結果抽出した伝達特性の値が11(映像伝達特性を指定しない)の場合(S645のYes)、記述子抽出部5092はその旨を制御部510に通知する。通知を受け取った制御部510は、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性を用いても受信している番組の映像信号の映像信号伝達特性を認識することができないと判断し、現在表示器528に表示している番組の映像信号の映像信号伝達特性を認識するために、VUIのtransfer_characteristicsを用いる処理に切り換える。
制御部510は、S643の処理においてビデオデコードコントロール記述子を正しく抽出出来なかった旨を記述子抽出部5092から受け取ると、あるいはS645の処理において伝達特性の値が11(映像伝達特性を指定しない)である旨を記述子抽出部5092から受け取ると、制御情報解析部5062にVUIのtransfer_characteristicsの抽出を指示する。
抽出の指示を受けた制御情報解析部5062は、制御情報からVUIのtransfer_characteristicsを抽出する(S650)。以降S651からS653の処理は、図6BのS611からS613の処理と同一である。
なお図6Bから図6Dの処理フローは、第2の指定情報としてビデオデコードコントロール記述子を例にした処理フローであるが、映像コンポーネント記述子を例にした場合でも、記述子名および映像信号伝達特性の情報が異なるだけで同様の処理フローとなる。第2の指定情報として映像コンポーネント記述子を例にした場合の図6Bに対応する処理フローを図6Eに示す。
図6Eは、第1の実施形態の受信機500において、第2の指定情報として映像コンポーネント記述子を用いた場合の、図6Bに対応する処理フローの一例を示した図である。図6Eの図6Bとの相違点は、伝送制御信号のテーブル名がPMTからMPTに、記述子名がビデオデコードコントロール記述子から映像コンポーネント記述子に、記述子の要素が伝達特性から映像信号伝達特性に置き換わっている点と、S676の判断する際の値が映像信号伝達特性の値に置き換わっている点である。
以上のように第1の実施形態の受信機500においては、表示する番組の映像信号の映像信号伝達特性を認識するのに、PMTまたはVUIを用いる、あるいはPMTとVUIの両方を用いることが可能である。あるいは第1の実施形態の受信機においては、MPTまたはVUIを用いる、あるいはMPTとVUIの両方を用いることも可能である。これにより第1の実施形態の受信機は、放送番組の映像信号の映像信号伝達特性に関する情報がVUI、記述子のいずれに指定されていても、表示器528に表示されている放送番組の映像信号の映像信号伝達特性の切り換えに対応して、該当する機能ブロックの設定を変更することが可能となり、放送番組の映像信号を最適に表示することが可能となる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、例えばS607やS613で行う該当機能ブロックの映像信号伝達特性の設定の切り換え処理を行うタイミングは、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性を抽出したタイミング、あるいは映像信号のVUIのtransfer_characteristicsを抽出したタイミングのいずれか1つのタイミングであった。
一方先に説明したように、第2の指定情報である例えばPMTに配置されているビデオデコードコントロール記述子の伝達特性あるいはMPTに配置される映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性は、符号化対象の映像信号の映像信号伝達特性の切り換えにともなう受信機の処理に時間的な余裕を持たせるため、符号化対象の映像信号の映像信号伝達特性(第1の指定情報である例えばVUIのtransfer_characteristics)の切り替わるタイミングより前のタイミングから、切り替わり後の映像信号伝達特性に関する情報を設定する仕様となっている。
そこで第2の実施形態の受信機は、放送番組の映像信号の映像信号伝達特性が切り替わる場合、PMTに配置されているビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値あるいはMPTに配置される映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値が切り替わるタイミング(第2のタイミングとも呼ぶ)から映像信号の映像信号伝達特性(第1の指定情報である例えばVUIのtransfer_characteristics)が切り替わるタイミング(第1のタイミングとも呼ぶ)までの時間を、映像信号の映像信号伝達特性が切り換わる準備時間とし、第1のタイミングおよび第2のタイミングの2つのタイミングを用いて、該当機能ブロックの映像信号伝達特性の設定の切り換えを行うことが可能な受信機である。
図7Aは、映像信号の映像信号伝達特性が切り換わるタイミングであるVUIのtransfer_characteristicsの値が切り換わるタイミング(第1のタイミング)とビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値が切り替わるタイミング(第2のタイミング)との関係の一例を示した図である。
図7Aの701から703は、放送局300が放送する番組の映像信号を表している。701はカメラ等で撮影しているエンコード前の映像信号、702は701の映像信号をエンコードした後の映像信号、703は702の映像信号に付属データ等を含め多重化した後の映像信である。
また711と712は、受信機500における受信した番組の映像信号を表している。711は受信した放送信号から分離して取り出した映像信号、712は711の映像信号をデコードした後の映像信号である。横軸は時間軸である。
カメラ等で撮影している映像信号701の映像信号伝達特性をSDRからHDRに切り換える時刻をT1とする。この映像信号701がエンコーダに入力されると、時刻T1以前の区間ΔT0_VUIにおけるエンコードされたデータのVUIのtransfer characteristicsは、1、11、14(SDR)のいずれかが設定される。一方時刻T1以降の区間ΔT2_VUIにおけるエンコードされたデータのVUIのtransfer characteristicsは、16あるいは18(HDR)が設定される。
符号化された映像信号は、MPEG−2 Systemsの多重化方式で多重化される際に、PMT等の伝送制御信号を含めて多重化される。ここで、多重化される際のPMTに含まれるビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値は、エンコードされた映像信号のVUIのtransfer characteristicsの値が切り替わる時刻T1(第1のタイミング)よりΔt1前の時刻である時刻T1´(第2のタイミング)で切り換える。つまり、時刻T1´以前の区間ΔT0_PMTにおける伝達特性の値は、時刻T1以前の映像信号のVUIのtransfer characteristicsの値を引用して1、11、14のいずれかが設定され、T1´以降の区間ΔT2_PMTにおける伝達特性の値は、時刻T1以降の映像信号のVUIのtransfer characteristicsの値を引用して、16あるいは18が設定される。なおΔt1は、PMTの送信周期の最大値の2倍である200msであることが望ましい。
受信機500は、放送信号を受信すると、多重化された放送信号から映像信号、音声信号、制御データ等をデマルチプレクサ504で分離する。分離された制御データに含まれるビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値は、デコードされた映像信号のVUIのtransfer characteristicsの値が切り替わる時刻T1(第1のタイミング)よりΔt1前の時刻である時刻T1´(第2のタイミング)で切り替わって設定されている。つまり受信機500は、PMTに含まれるビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値を認識することで、デコード対象の映像信号の映像信号伝達特性が切り換わるタイミングよりΔt1だけ先に、映像信号の映像信号伝達特性が切り換わることを認識することが可能となる。
図7Aの例では、SDRからHDRに切り替わる例として説明しているが、HDRからSDRに切り替わる場合、HDR(16)とHDR(18)とが切り替わる場合でも、VUIのtransfer_characteristicsの値が切り換わるタイミング(第1のタイミング)とビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値が切り替わるタイミング(第2のタイミング)との関係は変わらない。
図7Bは、第2の実施形態の受信機500における映像信号伝達特性の切り換えを、第1のタイミングと第2のタイミングで行う場合の処理フローの一例を示した図である。
受信機500は、放送チューナ501で受信した放送波をデマルチプレクサ504で分離すると、分離した映像信号を映像デコーダ506に、付属データを付属データ解析部509に送ることで映像信号伝達特性の切り換え処理(S700)を開始する。
制御部510は、記述子抽出部5092にビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の抽出を指示する。S702からS706の処理は、図6BのS602からS606の処理と同一である。
S706でYesの場合制御部510は、S704で抽出した伝達特性の値に従って該当する第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う(S707)。
ここでS707の処理と図6BのS607の処理との相違点は、伝達特性の値が切り替わるタイミング(第2のタイミング)において、S607の処理は映像信号伝達特性に関する設定の切り換えが必要な機能ブロックすべてに対して設定の切り換えを行うのに対して、S707の処理は特定の機能ブロックである第2の機能ブロックに対してだけ設定の切り換え処理を行う点である。
制御部510は、第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う(S707)と、映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理が必要な残りの機能ブロックである第1の機能ブロックに対して、VUIのtransfer_characteristicsの値が切り換わるタイミング(第1のタイミング)で行うために、制御情報解析部5062にVUIのtransfer_characteristicsの抽出を指示する。
抽出の指示を受けた制御情報解析部5062は、制御情報からVUIのtransfer_characteristicsを抽出する(S710)。以降S710からS712の処理は、図6BのS610からS612の処理と同一である。
S712でYesの場合、制御部510は、S710で抽出した伝達特性の値に従って第1の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う(S713)。
ここでS713の処理と図6BのS613の処理との相違点は、VUIのtransfer_characteristicsの値が切り換わるタイミング(第1のタイミング)において、S613の処理は映像信号伝達特性に関する設定の切り換えが必要な機能ブロックすべてに対して設定の切り換えを行うのに対して、S713の処理は特定の機能ブロックである第1の機能ブロックに対してだけ映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う点である。
第1の機能ブロックは、受信機500が受信した番組の映像信号のVUIのtransfer_characteristicsの値の切り換わりを認識した第1のタイミングで映像信号伝達特性に関する設定を切り換えるため、映像信号伝達特性に関する設定の切り換えに時間を要しない機能ブロックあるいは映像信号伝達特性に関する設定の切り換えを映像信号の映像信号伝達特性の切り換わりに同期させる必要がある機能ブロックであることが望ましい。一方第2の機能ブロックは、受信機500がビデオデコードコントロール記述子の伝達特性あるいは映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値の切り換わりを認識した第2のタイミングで、その認識した値に従って映像信号伝達特性に関する設定を切り換える処理を行う機能ブロックである。従って第2の機能ブロックは、受信した番組の映像信号の映像信号伝達特性の切り換えタイミングまで準備時間があるため、映像信号伝達特性に関する設定の切り換えに時間を要する機能ブロックであることが望ましい。
図7Cは、第1の機能ブロックおよび第2の機能ブロックの具体的な例を示した図である。
第1の機能ブロックの一例としてEOTF制御部(図示しない)は、表示制御部527に配置され映像デコーダ506から送られてくるデコード後の映像信号を、ディスプレイに表示する信号に変換するためのEOTFを制御する機能ブロックである。またデコーダ設定管理部(図示しない)は、映像デコーダ506に配置され、デコード対象の映像信号の映像信号伝達特性の情報をもとにデコーダの設定を制御する機能ブロックである。これら機能ブロックは、受信した番組の映像信号の映像信号伝達特性に関係する機能ブロックのため、受信した番組の映像信号の映像信号伝達特性が切り替わるタイミングに対応して設定を切り換えることが望ましい。
第2の機能ブロックの一例としてバックライト制御部(図示しない)は、表示制御部527に配置され、表示部528のバックライトを制御する機能ブロックである。またパネル表示制御部は、表示器制御部527に配置され表示器528の表示パネルの設定の制御をする機能ブロックである。これら表示器528に表示する映像に関して制御する機能ブロックは、表示器528に表示される実際の映像が視聴者に違和感を与えないようにするために、第2のタイミングにおいて映像信号伝達特性に関する設定の切り換えを緩やかに行うことが望ましい。
なお図7Aと図7Bとは、第2の指定情報としてビデオデコードコントロール記述子を例にした図であるが、映像コンポーネント記述子を例にした場合でも記述子名および映像信号伝達特性の情報が異なるだけで同様の図となる。
さらに第2の実施形態の受信機500は、映像信号の映像信号伝達特性が切り替わるタイミングにおいて、表示器528に表示される実際の映像が視聴者に違和感を与えないようにするため、表示器528に表示する映像をミュートにする制御をすることも可能である。
図7Dは、図7A同様に映像信号の映像信号伝達特性が切り替わるタイミングであるVUIのtransfer_characteristicsの値が切り換わるタイミング(第1のタイミング)とビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値が切り替わるタイミング(第2のタイミング)との関係の他の例を示した図である。ただし映像信号の映像信号伝達特性が切り替わるタイミングであるT1の前後において、映像信号の伝達特性が切り替わっても問題のない映像として、送信側が黒画面等を挿入する場合の例である。
図7Dの721から723は、放送局300における放送する番組の映像信号を表しており、図7Aの701から703に対応する。また731と732は、受信機500における受信した番組の映像信号を表しており、図7Aの711と712に対応する。733は、表示器528に実際に表示される番組の映像信号を表している。
721のΔt1の区間およびΔt2の区間の映像は、映像信号の伝達特性が切り替わっても問題のない映像として、黒画面等が挿入されている。Δt1は、PMTの送信周期の最大値の2倍である200msであることが望ましい。またΔt2は、映像信号の映像信号伝達特性の切り換えに対応して受信機500が安定するまでの時間として500msであることが望ましい。放送局300は、図7A同様にビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値を、エンコードされた映像信号のVUIのtransfer characteristicsの値を切り換える時刻T1(第1のタイミング)よりΔt1前の時刻である時刻T1´(第2のタイミング)で切り換える。
第2の実施形態の受信機500は、映像信号の映像信号伝達特性の切り換えに対応して放送局300が黒画面等を挿入してくることも考慮して、表示器528に表示される実際の映像が視聴者に違和感を与えないようにするために、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値が切り替わるタイミング(第2のタイミング)において表示器528に表示する映像をミュートにする制御をすることも可能である。図7Dの733のΔt3は、受信機500が表示器528に表示する映像をミュートに制御している区間を表している。また受信機500は、このΔt3の区間の長さを長くしたり短くしたり制御することも可能である。また受信機500は、Δ3tの区間の長さを0つまり無くしてしまうことも可能である。また受信機500は、Δt3の長さを、SDRからHDRへの切り換えの場合とHDRからSDRへの切り換えの場合、あるいはHDR(16)からHDR(18)への切り換え場合というように、映像信号伝達特性の切り換え元と切り換え先の組み合わせに応じてΔt3の長さを変えてもよい。
以上のように第2の実施形態の受信機500においては、PMTの送信周期で映像信号伝達特性に関する情報の切り換わりを認識することに加え、VUIの値の切り換わりも認識することで、受信している映像信号の映像信号伝達特性の切り換えに対する準備時間と実際の切り換え時間との2種類の時間を認識することが可能である。これにより第2の実施形態の受信機500は、映像信号伝達特性に関する設定の切り換えが必要な機能ブロックを、第1のタイミングで設定の切り換えを行う第1の機能ブロックと第2のタイミングで設定の切り換えを行う第2の機能ブロックとに分けて切り換えの処理を処理することが可能となる。これにより第2の実施形態の受信機500は、表示器528に表示している映像を視聴しているユーザに対して違和感を与えることなく、映像信号の映像信号伝達特性に関する設定の切り換えを行うことが可能となる。
さらに第2の実施形態の受信機500は、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値あるいはMPTに配置される映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値が切り替わるタイミングである第2のタイミングにおいて、表示器528に表示する映像をミュートにする制御を行うことも可能である。これにより第2の実施形態の受信機500は、表示器528に表示している映像を視聴しているユーザに対して違和感を与えることなく、映像信号の映像信号伝達特性に関する設定の切り換えを行うことが可能となる。また第2の実施形態の受信機500は、表示器528に独自の映像を表示して、ユーザに対して違和感を与えることなく、映像信号の映像信号伝達特性に関する設定の切り換えを行うことも可能となる。
<第3の実施形態>
第1の実施形態および第2の実施形態の受信機500は、同一のservice_id、component_tagの番組において異なる映像信号伝達特性への切り換えが行われる場合に、放送信号に含まれているビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値または映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値、VUIのtransfer_characteristicsの値を認識して、映像信号伝達特性の設定の切り換えが必要な機能ブロックに対して制御を行う受信機である。
しかし非特許文献4に記載の通り、受信機500は1TLVストリーム内においてSDRとHDRの映像フォーマットを複数同時に受信することが可能である。1TLVストリームにおける複数の映像フォーマットは、それぞれ異なるservice_idのもと独立したサービスとして送られてくる場合と、1つのserivce_idのもとでマルチアセット・マルチビューとして送られてくる場合がある。
そこで第3の実施形態の受信機500は、受信した番組が1TLVストリーム内においてSDRとHDRの映像フォーマットを持つ場合に対応して、視聴者の操作に応じて、映像信号伝達特性の切り換えの設定が必要な機能ブロックの制御を行うことが可能な受信機である。
図8Aは、表示器528に表示されている番組の映像の例を示した図である。表示されている映像は、SDRとする。また画面右下の「HDR放送」801の表示は、同一のTLVストリーム内において、表示器528に表示されている番組の映像信号とは別のHDRの映像信号が同時に放送されていることを示していることの例である。このHDRの映像信号は、番組の内容としては表示器528に表示されている映像信号伝達特性がSDRの番組と同一であるが、映像信号伝達特性だけがHDRである映像信号である。
この同一のTLVストリーム内において、映像信号伝達特性が異なる映像信号に切り換えて表示器528に表示させるために、例えばリモコン(リモートコントローラ)に映像信号伝達特性の切り換えボタンを設けてもよい。
図8Bは、表示器528に表示されている番組の映像信号に対して、映像信号伝達特性が異なる映像信号の表示に切り換えるための、リモコン上の操作ボタンの例を示した図である。ボタン802が、表示器528に表示されている番組の映像信号に対して映像信号伝達特性が異なる映像信号に切り換えて表示させるための操作ボタンである。視聴者は、ボタン802を押下することで、表示器528に表示されている番組の映像信号をSDRからHDRあるいはHDRからSDRへの切り換え、もしくはHDR(16)とHDR(18)との切り換えをすることができる。
図9Aは、第3の実施形態の受信機500における映像信号伝達特性の切り換えを、ボタン802が押下されたことをトリガに行う場合の処理フローの一例を示した図である。
受信機500は、ボタン802の押下を検出すると、映像信号伝達特性の切り換え処理を開始する(S900)。ボタン802が押下されたイベントは、制御部510に通知される。ボタン802押下のイベントを受け取った制御部510は、映像信号伝達特性の切り換え処理を行うために、現在表示器528に表示されている番組が、1TLVストリーム内にSDRとHDRの映像フォーマットを有しているかを確認する(S901)。
確認の結果、1TLVストリーム内にSDRとHDRの映像フォーマットを有している場合(S901のYes)、制御部510はビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値を参照する。以下S902からS904の処理は図6BのS602からS604の処理と同一であり、S905からS906の処理は図6BのS606からS607の処理と同一である。
S906の処理において映像信号伝達特性に関する設定の切り換え処理を行う機能ブロックは、例えば映像デコーダ506に配置され、デコード対象の映像信号の映像信号伝達特性の情報をもとにデコーダの設定を制御するデコーダ設定管理部である。また表示制御部527に配置され、表示部528のバックライトを制御するバックライト制御部である。
なお、図9Aの処理フローは、制御部510はビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値を参照して映像信号伝達特性の切り換えの処理を行ったが、VUIのtransfer_characteristicsの値を参照して映像信号伝達特性の切り換えの処理を行ってもよい。
このように第3の実施形態の受信機500は、ボタン802が押下されたことをトリガに、現在表示器528に表示している映像信号が1TLVストリーム内にSDRとHDRの映像フォーマットを有しているかを確認し、有している場合は現在表示器528に表示している映像信号とは異なる映像信号伝達特性の映像信号に切り換えて表示することが可能である。
また第3の実施形態の受信機500は、第1の実施形態の図6Dに示した処理フローのように、ビデオデコードコントロール記述子の伝達特性の値あるいは映像コンポーネント記述子の映像信号伝達特性の値、VUIのtransfer_characteristicsの値に応じて、いずれの値を用いるかを決定して映像信号伝達特性の切り換えの処理を行ってもよい。
さらに第3の実施形態の受信機500は、現在表示器528に表示されている番組の映像信号に対して、ボタン802の操作により映像信号伝達特性が異なる映像信号の表示に切り換える場合、第2の実施形態の図7Bの示した処理フローのように、図7Cに示す第1の機能ブロック、第2の機能ブロックに応じて映像信号伝達特性の切り換え設定のタイミングを制御することも可能である。
図9Bは、第3の実施形態の受信機500において、ボタン802が押下されたタイミングと、第1の機能ブロックおよび第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定の切り換えタイミングの関係の一例を示した図である。
901は、表示器528に表示されている番組の映像信号である。902は、第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定に関して、設定内容を切り換えるタイミング(第4のタイミングとも呼ぶ)を示した図である。T10が、ボタン802が押下されたタイミングである。区間Δt11は、第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定がボタン802押下前の設定である区間、区間Δt12は、第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定がボタン802押下後の設定である区間を表している。つまり受信機500は、ボタン802が押下されたタイミングで第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定を切り換える。
同様に903は、第1の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定において、設定内容が切り換わるタイミング(第3のタイミングとも呼ぶ)を示した図である。区間Δt21は、第1の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定がボタン802押下前の設定である区間、区間Δt22は、第1の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定がボタン802押下後の設定である区間を示している。つまり受信機500は、ボタン802が押下されたタイミングからΔt30後の時刻T20のタイミングで第1の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定を切り換える。
このように第3の実施形態の受信機500は、ボタン802が押下されたことをトリガとして、第1の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定のタイミング(第3のタイミング)と、第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定のタイミング(第4のタイミング)を、個々に設定することも可能である。
図9Bの例では、第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定が切り換わるタイミング(第4のタイミング)は、ボタン802が押下されたタイミングであるが、これに限るものではない。第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定が切り換わるタイミング(第4のタイミング)は、例えばとボタン802が押下されたタイミングから一定時間後でもよい。また第2の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定が切り換わるタイミング(第4のタイミング)と第1の機能ブロックの映像信号伝達特性に関する設定が切り換わるタイミング(第3のタイミング)の間隔であるΔt30の長さも、受信機500が独自に設定することが可能である。
図9Cは、第3の実施形態の受信機500において、第1の機能ブロックおよび第2の機能ブロックに対して、映像信号伝達特性に関する設定の切り換えのタイミングを個々に設定する場合の処理フローの一例を示した図である。
図9Cと図9Aとの相違点は、図9AはS906の処理において、映像信号伝達特性に関する設定の切り換えが必要な機能ブロックすべてに対して設定の切り換えを行うのに対して、図9CはS916の処理のタイミングで第2の機能ブロックに対してだけ設定の切り換え処理を行い、一定時間経過後のS918の処理のタイミングで第1の機能ブロックに対してだけ設定の切り換え処理を行う点である。
以上のように第3の実施形態の受信機500においては、表示器528に表示されている映像の映像信号伝達特性を視聴者の好みに応じて切り換えることが可能となり、視聴者の使い勝手が格段に向上する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。