以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るMMT/TLV方式に基づくデジタル放送対応の4K/8K受信装置とTS方式に基づくデジタル放送対応の2K対応電子機器の例を示す図である。
4K/8K受信装置であるテレビ受信装置1は、MMT/TLV方式に基づくデジタル放送の放送信号を受信し、放送信号で送信されてきたコンテンツ(放送映像など)を得る。テレビ受信装置1は、得たコンテンツを電子機器2が利用可能な形式に変換してインターフェース3を介して送信する。
電子機器2A、2B、2C(特に区別の必要ない場合は電子機器2と称する)は、インターフェース3を介してテレビ受信装置1から送信されてきたコンテンツを得て、表示出力する。また、本実施形態では電子機器2を3つとするが、テレビ受信装置1が有するインターフェースによっては、1つ以上の任意の数とすることができる。
本実施形態における電子機器2はテレビ受信装置1が送信するコンテンツの全てもしくは一部を利用可能な能力(解像度、フレームレート、その他)を有している。電子機器2は、例えば、タブレット端末、モニタ、テレビ受信装置などでもよい。また、テレビ受信装置1と通信可能なインターフェースを有していれば電子機器2をスマートフォンとしてもよい。
インターフェース3A,3B、3C(特に区別の必要ない場合はインターフェース3と称する)は、テレビ受信装置1と電子機器2とがデータ通信をするためのインターフェースであり、有線でも無線でもよい。また、インターフェース3として、DLNA(登録商標)(Digital Living Network Alliance)もしくはその拡張方式に準拠したネットワークを用い、テレビ受信装置1と電子機器2とが通信可能としても良い。
図2は、同実施形態に係る4K/8K受信装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
テレビ受信装置1は、MMT/TLV方式に基づくデジタル放送の放送信号をアンテナ11で受信し、チューナ部12で放送信号を復調や誤り訂正復号などをしてTLV(Type Length Value)形式のデジタルデータ(TLVストリーム)を取得する。取得したTLVストリームはデスクランブル部13でスクランブルデータがデスクランブルされ、デマルチプレクサ部14へ出力される。
デマルチプレクサ部14は、入力されたTLVストリームをIP/UDPストリーム、さらにはMMT(MPEG Media Transport)ストリームへと変換し、コンポーネントデータ(例えば、符号化された映像データや音声データ、文字データなど)と制御情報データであるSI(Signaling Information)データに分離する。また、デマルチプレクサ部14は、TLVストリームにIP/UDP形式で格納されているNTP形式の時刻情報データを分離し、SIデータの一部として出力する。
コンポーネントデータはデコード15によって映像信号、音声信号、文字データなどのサービスデータに復号再生される。デコード15にはコンポーネントデータの他、SIデータや制御部110からコンテンツ指定コマンドが入力される。SIデータは、放送番組に関する情報や、IPパケットの多重に関する制御情報などの放送システムに関する制御情報である。デコード15は、制御部110が指定する番組やサービスデータのコンポーネントデータをSIデータを利用して選択し、選択したコンポーネントデータをデコードしサービスデータを得る。本実施形態における図2のデコーダ部15の出力は2つあり、デコーダ部15によって得られたサービスデータの一方は、出力処理部16に入力されて、出力タイミング、表示方法などが調整されて、表示装置やスピーカーなどの出力部17から出力される。なお、デマルチプレクサ部14が出力する時刻情報データによって、クロック同期信号が再生され、出力処理部16でのタイミング制御に利用される。もう一方のサービスデータはパーシャルTS生成部18に出力される。
パーシャルTS生成部18A、18B、18C(特に区別の必要ない場合はパーシャルTS生成部18と称する)は、デマルチプレクサ部14から入力されるSIデータとデコーダ部15から入力されるサービスデータ(以降、パーシャルサービスデータと称する)とからパーシャルTSを生成し、インターフェース19へ出力する。
パーシャルTSは、MPEG-2 TS方式に基づくコンテンツ形式であり、一般的に、少なくとも1つのHD(High Definition)あるいはSD(Standard Definition)の番組がTS方式で多重された2K放送の放送信号に重畳されるトランスポートストリーム(以降、特にパーシャルTSと区別して述べる場合はフルTSと称する)から、特定の番組や番組内のコンポーネントを選択抽出して得られる。本実施形態では、4K/8K受信装置であるテレビ受信装置1がパーシャルTSを出力し、2K対応の電子機器2がパーシャルTSを受信する。パーシャルTSはインターフェース19から送信される。
テレビ受信装置1は、1つ以上のインターフェースを備えることができ、図2においてはインターフェース19A,19B,19C(特に区別しない場合はインターフェース19と称する)を備えた例について示している。19A,19B,19Cは、それぞれ予め決められた通信規約に応じたフレームデータの生成および分解を行い、有線や無線などの媒体による送信受信を行う。インターフェース19は、スクランブルなどの暗号化及び暗号化復号機能を有していても良い。
また、インターフェース19をIPインターフェースとする場合、ARIB.OR.JP_PNプロファイル(以降、AOJプロファイルと称する)をメタデータとして伝送することがARIB STD-B21にて規定されている。AOJプロファイルは、テレビ受信装置1からパーシャルTS出力する際のコンテンツ仕様を表わし、符号化方式、伝送パケットフォーマットおよびストリームフォーマットがARIB STD-B21に規定されている。AOJプロファイルをメタデータとして伝送することで配信先の電子機器2(例えば、受信再生表示装置など)での受信再生表示を担保する仕組みとなっている。
しかしながら、4K/8K放送である高度広帯域デジタル放送は、従来の2K放送であるBS/広帯域CS衛星デジタル放送および地上デジタル放送とは異なる、新たな方式やフォーマットが数多く導入されており、それらの多くは既存のAOJプロファイルでは想定、規定されていない。この場合、AOJプロファイルに準拠しない独自プロファイルで送信する方法も考えられるが、これに対応可能な受信機が限定されてしまう問題がある。そのため、テレビ受信装置1が4K/8K放送のコンテンツを電子機器2が利用可能な形式に変換したとしても、AOJプロファイルで全ての方式やフォーマットを表現することはできないため、電子機器2がテレビ受信装置1の変換した4K/8K放送のコンテンツを一部利用可能な機能を有していても、その機能を前提にテレビ受信装置1が送信できない問題がある。
また、テレビ受信装置1がAOJプロファイルに準拠してパーシャルTSを生成する場合、解像度以外にもさまざまな変換を要し、処理負荷が大きく、実質困難である。特に文字符号はコード体系が完全には一致しないため、変換によって文字欠けや文字化けが避けられない場合が存在する。また、映像のフォーマット変換において再生画質に十分配慮した処理を行うのは難しい。このようなことから、規格上許容されていても高度広帯域デジタル放送の、例えば、HD(High Definition)などへの画素数変換出力機能をサポートする対応受信装置(電子機器2)がなかなか普及しないという問題が存在する。そこで本実施形態では、SITにコンテンツの属性の情報を含めてパーシャルTSを送信する。パーシャルTSで定義されているSITは送信頻度が小さく通信負荷も小さい。SITを利用したパーシャルTSの送信については、システムの動作説明で詳細を説明する。
制御部110は、例えばCPUを含み、テレビ受信装置1の各機能の制御を実施する。例えば、制御部110は、インターフェース19を含む各種インターフェースを介した外部通信の接続確立や、パーシャルTS生成部18やデコード部15の動作制御などを実施する。また制御部110は、テレビ受信装置1が有するリモコンなどのユーザインターフェース111から制御信号により、テレビ受信装置1の各機能を制御する。
図3は、同実施形態に係る4K/8K受信装置のパーシャルTS生成部の構成の一例を示すブロック図である。
パーシャルPSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)生成部181は、デマルチプレクサ部14からMMT/TLV方式に基づくSI(Signalling Information)データを取得し、制御部110から指定コンテンツの情報を取得する。取得したSIデータから、指定コンテンツによって指定されるコンテンツに関連するSIデータを抽出する。抽出されたSIデータから、パーシャルTSの構成要素となる、MPEG-2 TS方式に基づくPAT、PMTの伝送制御情報テーブル(以降、第1の制御情報データと称する)や、SITなどの番組関連情報テーブル(以降、第2の制御情報データと称する)を生成する。ここで、伝送制御情報テーブルはPSI(Program Specific Information)のことであり、番組関連情報テーブルはSI(Service Information)のことである。パーシャルPSI/SI生成部181は、第1の制御情報データと第2の制御情報データを多重部184へ出力する。
変換部182は、デコーダ部15から入力されるパーシャルサービスデータを変換する。具体的には、4K/8K放送で放送された超高解像度映像の画素数を、HD(High Definition)の画素数である1920×1080以下の画素数に変換する。変換は、例えば、映像の走査方式をプログレッシブ方式(順次走査方式)からインタレース方式(飛び越し操作方式)への変更も伴うことがある。本実施形態における電子機器2は、変換部182によって変換されたHD以下の画素数の映像を表示させることが可能な電子機器2もある。また、変換部182が用いる方法は、制御部110から変換部182に指定してもよいし、テレビ受信装置1の仕様として予め決められている方法で変換部182が変換してもよい。変換されたパーシャルサービスデータを変換サービスデータと称し、変換部182は、変換サービスデータをエンコーダ部183に出力する。
エンコーダ部183は、入力される変換サービスデータを符号化し、多重部184へ出力する。符号化の方式は、制御部110からエンコーダ部183に指定してもよいし、テレビ受信装置1の仕様として予め決められている符号化の方式でエンコーダ部183が符号化してもよい。符号化された変換サービスデータをパーシャルエレメントストリームデータと称し、エンコーダ部183は、パーシャルエレメントストリームデータを多重部184に出力する。デコーダ部15と、変換部182と、エンコーダ部183は、TLV方式のコンポーネントデータをTS方式のエレメントストリームデータの形式に変換する機能を有することから、ここでは3つの機能を合わせてトランスコーダとも呼ぶ。
多重部184は、パーシャルPSI/SIデータとパーシャルエレメントストリームデータとからパーシャルTSを生成し、インターフェース19へ出力する。
図4は、同実施形態に係る2K対応電子機器の機能構成の一例を示すブロック図である。2K対応電子機器である電子機器2は、テレビ受信装置1が送信するパーシャルTSをインターフェース21で受信する。インターフェース21は、インターフェース19に対応したインターフェースであり、有線や無線などの媒体による送信受信や、通信規約に応じたフレームデータの生成および分解などを行う。また、インターフェース19に対応する暗号化及び暗号化復号機能を有する。
パーシャルTS処理部22は、受信したパーシャルTSを処理し、パーシャルエレメントストリームデータやパーシャルPSI/SIデータを得る。具体的にはパーシャルTS処理部22は、パーシャルPSI/SIデータのうちPAT、PMTの第1の制御情報からパーシャルエレメントストリームデータを抽出する。パーシャルエレメントストリームデータはデコーダ部23に入力されて、パーシャルサービスデータに変換されて、出力処理部24に出力される。パーシャルサービスデータは、出力処理部24で出力タイミング、表示方法などが調整されて、信号表示装置やスピーカーなどの出力部25から映像やオーディオ、文字などとして出力される。
また、パーシャルTS処理部22から出力されるパーシャルPSI/SIデータのうちSITは、SIT解析部26に入力される。SIT解析部26は、SITに含まれる番組関連情報などのデータを出力処理部24へ出力する。また本実施形態においては、SIT解析部26で、コンテンツ属性に関する関連データ(識別子など)を抽出し、関連データから符号化方式やフォーマットなどコンテンツに関するコンテンツの属性情報を検出する。SIT解析部26は、検出したコンテンツの属性が電子機器2で対応可能か否かを示す処理制御情報を生成し、デコーダ部23や出力処理部24に出力する。デコーダ部23は、処理制御情報に従って、パーシャルエレメントストリームデータをデコードし、得たパーシャルサービスデータを出力処理部24へ出力する。出力処理部24は、処理制御情報に従って、パーシャルサービスデータを出力部25へ出力し、出力部25はパーシャルサービスデータによるコンテンツを出力する。
なお、出力処理部24は処理制御情報を出力部25に出力して、例えば、文字情報として表示してもよい。また、コンテンツ属性に関する関連データは、インターフェース19、インターフェース21のうちパーシャルTSの送受信に使用していないインターフェース(例えば、インターフェース19Cとインターフェース21C)を用いて、また、パーシャルTSの送受信に使用されているプロトコル以外のインターフェース規格を利用して、電子機器2が取得してもよい。その場合は、テレビ受信装置1にて、パーシャルTSにて送信するSITにコンテンツ属性に関する関連データを入れ込む必要がない。
また、SIT解析部26が抽出するコンテンツ属性に関する関連データを図示せぬメモリに保存することも可能であり、その場合は、テレビ受信装置1と通信の接続確立された時に、SITを得ることなく電子機器2にてテレビ受信装置1のコンテンツ属性に関する関連データを利用可能である。
制御部27は、例えばCPUを含み、電子機器2の各機能の制御を実施する。例えば、制御部27は、インターフェース21を含む各種インターフェースを介した外部通信の接続確立や、SIT解析部26の動作制御を実施する。また制御部27は、電子機器2が有するリモコンなどのユーザインターフェース28から制御信号により、電子機器2の各機能を制御する。例えば、SIT解析部26を使用する使用しないをユーザがリモコンから指定することもできる。
本実施形態に係るシステムの動作例を説明する。
テレビ受信装置1と電子機器2は、ソースとシンク(もしくはサーバとクライアント)との関係とみなすこともできる。例えば、ソース(もしくはサーバ)であるテレビ受信装置1はパーシャルTSを出力し、シンク(もしくはクライアント)である電子機器2はソースが出力したパーシャルTSを受信する。本実施形態では、シンクである電子機器2からユーザがコンテンツ(番組)を指定して、電子機器2が、ソースであるテレビ受信装置1から送信されたパーシャルTSからコンテンツの属性情報を取得して、コンテンツの出力表示を制御する例を示す。
以下、1つの電子機器2(例えば電子機器2A)とテレビ受信装置1との処理について示すが、他の電子機器2(例えば電子機器2B、2C)についても同様の処理を実施することが可能である。
電子機器2からユーザがコンテンツ(番組)を指定すると、電子機器2からのトリガにより、テレビ受信装置1のインターフェース19と電子機器2のインターフェース21は通信接続を確立する。
図5は、同実施形態に係る4K/8K受信装置のソース側の電子機器としての処理動作の一例を示すフローチャートである。
テレビ受信装置1の制御部110は、電子機器2から送信されてくる電子機器2の指定コンテンツ(特定の番組や番組内のコンポーネントなど)を認識する(ステップS11)。制御部110は、チューナ部12やデスクランブル部13にて、TLVストリームを受信していることを確認すると(ステップS12のYES)、指定コンテンツをパーシャルTS生成部18に出力する。TLVストリームは、デマルチプレクサ部14にてコンポーネントデータとSIデータに分離され、SIデータは、パーシャルTS生成部18に入力される。パーシャルTS生成部18は、デマルチプレクサ部14からSIデータを受信したら、制御部110から受け取った指定コンテンツに係る関連SIデータを抽出する(ステップS13)。関連SIデータは、具体的には、PLT、MPTなどの伝送制御情報や、MH-SDTやMH-EITなどの番組関連情報である。
パーシャルTS生成部18は、抽出した関連SIデータを用いて、パーシャルTSに含める第1の制御情報データ及び第2の制御情報データを生成する(ステップ14)。具体的に第1の制御情報データは、関連SIデータに含まれるPLT、MPTなどの内容をPAT、PMTなどのパーシャルTSのコンテンツ形式に変換して生成する。第2の制御情報データは、関連SIデータに含まれるMH-SDTやMH-EITなどの内容をSITのパーシャルTSのコンテンツ形式に変換して生成する。また、SI情報が不連続になることを示すため、必要に応じてDIT(Discontinuity Infromation Table)を挿入する。
本実施形態における第2の制御情報データの生成についてより詳細に示す。
図6Aは、同実施形態に係るパーシャルTSで伝送するSITの構成の一例を示す図であり、図中のコンテンツの属性データ6AはもともとSITの中の予約領域(reserved_future_use)であった部分である。本実施形態においては、パーシャルTSで送信するコンテンツの属性に係る3つの識別子をSITの中の予約領域に定義する。3つの識別子は、AOJプロファイルに未規定のコンテンツの属性とする。
・character_encoding_flag(文字符号識別)
文字符号識別(1ビットのフラグ)は、パーシャルTS中の番組配列情報や字幕で使用される文字符号の識別を表わし、8単位符号の場合「1」とし、UTF-8の場合、「0」とする。
・original_video_scan_flag(映像スキャンフラグ)
映像スキャンフラグ(1ビットのフラグ)は、元の映像信号がインタレース信号の場合は「1」、プログレッシブ信号の場合は「0」とする。
・original_transfer_characteristics(映像信号伝達特性)
映像信号伝達特性(2ビットのフィールド)は、元の映像信号の伝達特性を識別し、図6Bに示す値によって符号化される。なお、本値は、original_video_transfer_characteristicsでも代用可能である。
図6BのVUIのtransfer_characteristicsは、映像信号の伝達特性を示し、それぞれの値に応じて規定されている映像信号の伝達特性を示す。
なお、本実施形態の図6Aにおいては、方式/フォーマットを指定する3つの識別子を設定しているが、一部の識別子のみを設定とすることも可能である。また、SIT内の他の予約領域(reserved_future_use)のフィールドはデフォルトですべて1が設定されているため、本実施形態のように未規定の方式/フォーマットを指定する場合は0を設定することとする。
下記に、図6Aに示す他の識別子の意味を示す。
・section_syntax_indicator(セクションシンタクス指示)
セクションシンタクス指示は1ビットのフィールドで、常に1とする。
・section_length(セクション長)
これは12ビットフィールドとする。section_lengthはこのフィールドの直後からCRCを含むセクションの最後までのセクションのバイト数を規定する。全
セクション長が最大4096バイトを越えないために、セクション長は4093バイトを越えてはならない。
・version_number(バージョン番号)
この5ビットフィールドはテーブルのバージョン番号である。バージョン番号はテーブル内の情報に変化があった場合に1加算される。その値が31になった場合は、0に戻る。カレントネクスト指示が1の場合は、バージョン番号は現在のテーブルのバージョン番号になる。カレントネクスト指示が0の場合は、バージョン番号は次のテーブルのバージョン番号になる。
・current_next_indicator(カレントネクスト指示)
この1ビットの指示が1の場合、テーブルが現在のテーブルであることを示し、0の場合は、送られるテーブルはまだ適応されず、次のテーブルとして使用されることを示す。
・section_number(セクション番号)
この8ビットフィールドはセクションの番号を示す。セクション番号は、0x00である。
・last_section_number(最終セクション番号)
この8ビットフィールドは最終のセクション番号を示す。最終セクション番号は、0x00である。
・transmission_info_loop_length(伝送情報ループ長)
この12ビットフィールドはパーシャルトランスポートストリームの伝送パラメータを記述するデスクリプタの全バイト数を表わす。
・service_id(サービス識別)
これは16ビットフィールドで、トランスポートストリーム内の他のサービスからこのサービスを識別するためのラベルの役割をする。サービス識別はプログラムマップセクション内の放送番組番組識別(program_number)に等しい。
・running_status(進行状態)
この3ビットフィールドは元のストリームのイベントの進行状態を表す。これは、元のストリームの現在のイベントの進行状態である。もし元のストリームに現在のイベントが存在しなければ、状態は非実行中と考えられる。走行状態の値の意味はARIB‐STD-B10に定義されている。
・service_loop_length(サービスループ長)
この12ビットフィールドは以下に続くパーシャルトランスポートストリームに含まれるサービスとイベントのSI関連情報を含むデスクリプタループの全バイト長を規定する。
・CRC_32(CRC)
これはARIB‐STD-B10の付録Bで定義するデコーダにおいて、セクション全
体を処理した後にレジスタ出力がゼロになるようなCRC値を含む、32ビットフィールドである。
パーシャルPSI/SI生成部181は、図6Aに示したようにAOJプロファイルに未規定の属性を識別子として含め、さらに、MH-EITやMH-SDTなどから取得した番組関連情報を含めてSITを生成する(ステップS14)。パーシャルPSI/SI生成部181は、生成した第1の制御情報(PAT、PMT)や第2の制御情報(SIT)をパーシャルPSI/SIデータとして多重部184へ出力する(ステップS15)。
ステップS12に戻り、制御部110は、チューナ部12やデスクランブル部13にて、TLVストリームを受信していることを確認すると(ステップS12のYES)、指定コンテンツをデコーダ部15に出力する。デコード部15は、指定コンテンツが指定する番組やサービスデータのコンポーネントデータを、SIデータを利用して抽出し、抽出したコンポーネントデータをデコードしパーシャルサービスデータを得る。本実施形態においては、例えば、映像信号の符号化方法をHEVCとし、音声信号の符号化方法をMPEG-4 AACとし、文字データの符号化方法をUTF-8とし、デコード部15は、それぞれのコンポーネントデータに対して、それぞれの符号化方法に対応した方法で復号し、パーシャルサービスデータを変換部182に出力する。変換部182は、入力された4K/8K放送によるサービスデータの超高解像度映像信号の画素数を例えば、HDの画素数である1920×1080に変換した変換サービスデータを出力する(ステップS16)。本実施形態では、例えば、元のプログレッシブ走査方式で受信した映像信号をインタレース走査方式に変更して変換サービスデータを生成するものとする。ここでの走査方式は、図6Aに示したSITの識別子original_video_scan_flagに反映され、パーシャルPSI/SI生成部181によって「0」が設定される。
全てのパーシャルサービスデータに対する変換サービスデータを生成し、エンコーダ部183に出力する。エンコーダ部183は、入力された変換サービスデータに対して、パーシャルTSにて伝送可能な符号化を行う。例えば、映像信号に関してはMPEG-2 VideoやH.264などによる符号化方法、音声信号に関してはMPEG-2 ACCによる符号化方法、文字データに関してはUTF-8による符号化方法を、それぞれ用いる。ここで用いられた符号化方式は、図6AのSITに示した識別子character_encoding_flag、original_transfer_characteristicsにパーシャルPSI/SI生成部181に反映される。具体的には、パーシャルPSI/SI生成部181は、文字データに対する符号化方法はUTF-8であることを示すため、character_encoding_flagに「0」を設定する。また、パーシャルPSI/SI生成部181によって、SITの識別子original_transfer_characteristicsには、例えば使用した元の放送映像信号がBT.2100 HLG方式だった場合には「10」が設定される。エンコーダ部183は、符号化した変換サービスデータ(パーシャルエレメントストリームデータ)を多重部184へ出力する(ステップS17)。
多重部184は、エンコーダ部183が出力するパーシャルエレメントストリームデータとパーシャルPSI/SI生成部181が生成する第1の制御情報や第2の制御情報を含めたパーシャルPSI/SIデータとからパーシャルTSを生成し(ステップS18)、パーシャルTSをインターフェース19から電子機器2などの外部へ送信する(ステップS19)。
上記のように、パーシャルTS中にAOJプロファイルのような既存プロファイルで未規定の新しい方式やフォーマットを指定する手段を設けることで、配信元であるテレビ受信装置1でAOJプロファイルを変換することなく、新しい方式やフォーマットをパーシャルTSに含めることができる。テレビ受信装置1でAOJプロファイルの変換出力処理による負荷を軽減できる。
図7は、同実施形態に係るシンク側の2K対応電子機器の処理動作の一例を示すフローチャートである。
電子機器2のパーシャルTS処理部22は、インターフェース21からパーシャルTSを受信すると、パーシャルTSに対してデマルチプレクサなどの処理を実施してパーシャルエレメントストリームデータやパーシャルPSI/SIデータを出力する(ステップS21のYES、ステップS22)。ステップ22では、パーシャルTS処理部22は、2K放送対応の電子機器が従来のパーシャルTSを受信する場合と同様に、デスクランブル処理(パーシャルTSにスクランブル処理が施されて暗号化復号が必要な場合)やデマルチプレクサ処理を実施する。
パーシャルTS処理部22は、パーシャルPSI/SIデータのうちPAT、PMTの第1の制御情報データからパーシャルエレメントストリームデータを特定し、パーシャルエレメントストリームデータをデコーダ部23に入力する。また、パーシャルTS処理部22は、第2の制御情報データであるSITをSIT解析部26に入力する。デコーダ部23、SIT解析部26はそれぞれ入力されたデータに対し処理を行う。SIT解析部26はSITから処理制御情報を生成する(ステップS23)。
図8は、同実施形態に係るシンク側の2K対応電子機器における第2の制御情報データ処理の動作の一例を示すフローチャートであり、図7のステップS23を詳細に示したフローチャートである。
SIT解析部26は、従来のパーシャルTSのSITに対する処理と同様に、SITから番組関連情報を取得する(ステップS2601)。一方、SIT解析部26はSITから
コンテンツの属性に係る3つの識別子を抽出する(ステップS2602)。具体的には、3つの識別子character_encoding_flag、original_video_scan_flag、original_transfer_characteristicsである。
SIT解析部26は、抽出した3つの識別子の値に応じて、デコーダ部23や出力処理部24に対して出力する処理制御情報を生成する。本実施形態の例ではcharacter_encoding_flagに「0」、video_scan_flagに「0」、original_transfer_characteristicsに「10」がそれぞれ設定されている。
SIT解析部26は、これらの識別子が示すコンテンツの属性に電子機器2が対応できるかどうかを判断する(ステップS2603)。
例えば、もし電子機器2がcharacter_encoding_flagが「0」に対応する文字の符号化方法を使用できれば、SIT解析部26は、文字のデコードを実施する処理制御情報をデコーダ部23に出力する(ステップS2604)。また、同様にoriginal_transfer_characteristicsの値に対応する符号化方式に電子機器2が対応していれば、SIT解析部26はデコーダ部23に処理実施を示す処理制御情報を出力する。また、original_video_scan_flagに対応する走査方式に電子機器2が対応していれば、SIT解析部26は出力処理部24に処理実施を示す処理制御情報を出力する。なお、電子機器2が複数の符号化方法に対応している場合は、処理制御情報として符号化方法を示すインデックスなどを出力してもよい。その場合は、例えばデコーダ部23は、インデックスで示される符号化方法に対応する方法で復号する。また、本実施形態では、SIT解析部26が処理制御情報を生成し、処理制御情報をデコーダ部23、出力処理部24に出力させる例を示したが、例えば、SIT解析部26が認識した識別子の値を制御部27に送信し、制御部27がデコーダ部23、出力処理部24を制御することでもかまわない。
図7に戻り、デコーダ部23では、入力された処理制御情報に基づいて、入力されたパーシャルエレメントストリームデータをデコードしパーシャルサービスデータを得て、パーシャルサービスデータを出力処理部24へ出力する。(ステップS24)。出力処理部24は、デコーダ部23から入力されたパーシャルサービスデータとともにSIT解析部26から入力された番組関連情報を用いて、出力タイミング、表示方法などを調整した後、SIT解析部26から受信した処理制御情報に基づいて、パーシャルサービスデータを出力部25へ出力する(ステップS25)。パーシャルサービスデータは、表示装置やスピーカーなどの出力部25から映像、音声、文字などとして出力される(ステップS26)。
なお、上記ステップS23において、電子機器2が指定された機能に対応できない場合、例えば、文字符号化がUTF-8に対応していない場合は、出力部24に「表示不可」などの表示をさせたり、対応できない機能の名前などの表示をさせたりすることでユーザに通知をする。
また、電子機器2がこの設定を解釈できない場合は、本実施形態におけるSITのコンテンツの属性情報は用いることができない。しかし、この設定による電子機器2の既存機能(AOJプロファイルに準拠した従来のパーシャルTSの処理)への影響はない。
このように本実施形態では、テレビ受信装置1が図6A、図6Bに示したようにコンテンツの属性情報をパーシャルTSに含めることによって、シンク側である電子機器2が処理可能なコンテンツを利用することが可能となる。電子機器2が、従来の2K放送対応の受信再生表示装置でも機種によっては、テレビ受信装置1の機能である一部の新しい方式やフォーマットに実装対応していたり、テレビ受信装置1が出力する映像信号フォーマットを手掛かりに高画質化処理が可能なものも存在することを考慮すると、本実施形態により、従来との互換性を大きく損なうことのない柔軟なパーシャルTSが実現される。
また、本実施形態では、コンテンツの配信元であるテレビ受信装置1(例えば、高度広帯域衛星デジタル放送受信装置)ではAOJプロファイルなどの既存のプロファイルに完全準拠した変換出力が実施できない場合でも電子機器2に対して配信が可能になる。この場合、配信先の電子機器2(例えば、受信再生表示装置)では本実施形態による処理が可能であれば既存のプロファイルに完全準拠したパーシャルTSを処理する場合に比べ、高画質な番組再生や正確な番組情報表示が可能になる。
上記した処理は、電子機器2A、2B、2Cごとに並列に実施することで、同時に電子機器2A、2B、2Cとテレビ受信装置1とのパーシャルTSのやり取りが可能であり、例えば、電子機器2A、2B、2Cは、同じ時間に、同じコンテンツを得ることもできるし、電子機器2A、2B、2Cからそれぞれ異なる指定コンテンツを指定すれば、それぞれが異なるコンテンツを得ることもできる。
なお、本実施形態に示した仕組みは配信元(テレビ受信装置1に相当)が高度広帯域衛星デジタル放送受信装置に限定する必要はなく、今後の次世代地上放送対応受信装置にも適用可能である。
このように本実施形態によれば、2K受信装置が4K/8K放送のコンテンツを利用可能とするパーシャルTSのコンテンツ形式を採用するデジタルコンテンツ受信装置、受信方法を提供することができる。
(変形例)
本変形例では、SITに対して、記述子(descriptor)を定義し、記述子にコンテンツの属性情報を含める例を示す。
図9Aは、変形例に係るパーシャルTSで伝送する記述子の構成の一例を示す図であり、例えば、パーシャルトランスポートストリーム利用制御記述子として定義する。本記述子は、例えば、図6Aに示すSITの第一ループの記述子6Bに挿入可能とする。
本変形例では、図9Aに示す識別子9Aに、下記の3つの識別子を設定する。
・character_encoding_flag(文字符号識別)
文字符号識別(1ビットのフラグ)は、パーシャルTS中の番組配列情報や字幕で使用される文字符号の識別を表わし、8単位符号の場合を「1」とし、UTF-8の場合を「0」とする。
・original_video_scan_flag(映像スキャンフラグ)
映像スキャンフラグ(1ビットのフラグ)は、元の映像信号がインタレース信号の場合は「1」、プログレッシブ信号の場合は「0」とする。
・original_transfer_characteristics(映像信号伝達特性)
映像信号伝達特性(2ビットのフィールド)は、元の映像信号の伝達特性を識別し、図9Bに示す値によって符号化される。
図9BのVUIのtransfer_characteristicsは、元の映像信号の伝達特性を示し、それぞれの値に応じて規定されている映像信号の伝達特性を示す。
本変形例のテレビ受信装置1は、図5のフローチャートに従って、パーシャルTSを生成し、送信する。特に本変形例においては、ステップS14において、3つの識別子character_encoding_flag、original_transfer_characteristicsを含めてパーシャルトランスポートストリーム利用制御記述子を生成し、生成したパーシャルトランスポートストリーム利用制御記述子を図6Aの6Bの第一ループに含めてSITを生成する。一方、本変形例の電子機器2は、図7、図8のフローチャートに従って、テレビ受信装置1からのコンテンツを利用する。特に本変形例においては、図8のステップS2602にて、SITに含められたパーシャルトランスポートストリーム利用制御記述子から、3つの識別子character_encoding_flag、original_transfer_characteristicsを抽出する。
このように本実施形態では、テレビ受信装置1が図9A、図9Bに示したようにコンテンツの属性情報をパーシャルTSに含めることによって、シンク側である電子機器2が処理可能なコンテンツを利用することが可能となる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、2K受信装置が4K/8K放送のコンテンツを利用可能とするパーシャルTSのコンテンツ形式を採用するデジタルコンテンツ受信装置、受信方法を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。