〔実施形態1〕
(照明装置1の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る照明装置1の構成を表す図である。図1に示すように、照明装置1は、半導体レーザ(レーザ素子)LDと、導光部12と、結像レンズ13と、支持台14と、波長変換部15と、光吸収部16と、凸レンズ17と、光検出部(受光部)PDと、駆動回路(駆動部)20とを備えている。
本実施形態において照明装置1は、灯具、各種投光器や、車載用前照灯などに用いられる照明装置であるものとする。なお、照明装置1の用途は、これらに限定されるものではなく、その他にも、例えば、各種照明機器やプロジェクタ等、種々の照明装置や光源、照明装置が必要な電子機器及び装置等に用いることができる。
また、本実施形態においては、照明装置1は、波長変換部におけるレーザ光の入射面と蛍光の出射面とが同じ面である構成(以下、この構成を「反射型」と称する)を用いるものとして説明するが、波長変換部におけるレーザ光の入射面と蛍光の出射面とが対向する面である構成(以下、この構成を「透過型」と称する)であってもよい。この波長変換部が「透過型」である構成の例は、図11を用いて後述する。
照明装置1は、半導体レーザLDを用いた照明装置である。特に、照明装置1は、半導体レーザLDから出射される安全レベルを超えるレーザ光5が、外部へ出射されてしまうことを防止するようにフェールセーフされた照明装置である。
半導体レーザLDは、波長変換部15を励起するための1次光であるレーザ光5を出射面から出射するレーザ素子である。本実施形態においては、半導体レーザLDのレーザ光5は、波長450nmの青色光であるものとする。半導体レーザLDの出力パワーは、一例として5W程度である。半導体レーザLDは、図示しない放熱用のヒートシンクに配置されている。
導光部12は、半導体レーザLDから出射されたレーザ光5を導光する。導光部12は、矩形形状の導光領域を有する。導光部12は一方の端部から他方の端部へかけて延伸している。導光部12の一方の端部は、半導体レーザLDの出射面に対向配置されている。導光部12の一方の端部は半導体レーザLDに近い側の端部であり、導光部12の他方の端部は波長変換部15に近い側の端部である。導光部12は、一例として、ガラスからなるロッドレンズを用いることができる。導光部12は、一方の端部が半導体レーザLDと直接接合されている構成(いわゆるバットジョイント)であってもよい。
結像レンズ13は、半導体レーザLDから出射され導光部12によって導光されたレーザ光5を透過することで、導光部12の出射端におけるレーザ光の分布(近視野像)を波長変換部15へ結像する。結像レンズ13は、導光部12の他方の端部と、波長変換部15との間に配置されている。結像レンズ13は、一例として、ガラスからなる凸レンズを用いることができる。
支持台14は、支持台14と波長変換部15との界面においてレーザ光5を反射する反射部材である。支持台14は、半導体レーザLDのレーザ光の進行方向の前方に配置されている。支持台14は、反射率が高い材料から構成されていることが好ましい。一例として、支持台14は、アルミニウムなどの金属からなる。または、支持台14は、高熱伝送性セラミックスなど、金属以外の材料から構成されていてもよい。
波長変換部15は、蛍光体材料からなる発光部である。波長変換部15は、1次光であるレーザ光5によって励起されて、青色のレーザ光5とは異なる波長の色を発光する。本実施形態では、波長変換部15は、青色のレーザ光5によって励起されることで、黄色の光を発光するYAG(Yttrium Aluminum Garnet)蛍光体を含む。波長変換部15は、支持台14の表面であって、結像レンズ13によって、レーザ光5が結像される領域を含む位置に配置されている。波長変換部15は、蛍光体粉末を焼結させることで支持台14の表面に形成する。
光吸収部16は、レーザ光5を吸収する材料から構成されている。光吸収部16は、支持台14の表面であって、波長変換部15の周囲を囲って配置されている。
凸レンズ17は、投光部である。凸レンズ17は、波長変換部15及び光吸収部16から離間しつつ、波長変換部15と対向配置されている。凸レンズ17には、波長変換部15によって散乱された青色のレーザ光5と、波長変換部15がレーザ光5によって励起されて発光した黄色の光との混色光である白色の光6が入射し、当該入射した光6を凸形状である出射面から照明装置1の外部へ出射する。
なお、凸レンズ17は、入射した光6を照明装置1の外部へ投光する投光部であればよく、凸レンズに限らず、例えば、楕円のミラーと凸レンズを組み合わせたプロジェクター型、自由曲面レンズ、自由曲面ミラー、複数のミラー、あるいは複数のレンズを組み合わせたものなどであってもよい。
光検出部PDは、波長変換部15が発光する黄色の光を含め、当該黄色の光と青色であるレーザ光5との混色光である白色の光6を受光し、当該受光した光6の受光量に応じた電気信号である検出信号を駆動回路20へ出力する。これによって、光検出部PDは、光6の強度を検出する。光検出部PDは、例えば、フォトダイオードから構成することができる。
なお、光検出部PDは、レーザ光5と、波長変換部15が発光した黄色の光との混色光である白色の光6を検出してもよいし、光6からレーザ光5の青色を除いた波長変換部15が発光した黄色の光のみを検出してもよい。
光検出部PDの受光面に、青色光をカット(吸収する)するフィルタを配置することで、白色の光6から青色光をカットし、波長変換部15からの黄色の光を受光し、当該黄色の光を検出することができる。これにより、青色の光と黄色の光との混色により白色の光6を得る照明装置1において、より精度よく、波長変換部15の異常状態の有無を判定することができる。
(照明装置1の制御)
照明装置1を、消灯状態から点灯状態にする際には、次のような制御が行われる。
駆動回路20は、半導体レーザLDの駆動を制御する。駆動回路20は、消灯状態から点灯状態にする為の電源の供給が開始されてから、光検出部PDが光6を検出することによって光検出部PDから出力される検出信号を取得する前は、半導体レーザLDを、光量が小さい第1レベルの光量にて発光させる。駆動回路20は、光検出部PDが光6を検出することを判断した後に、第1レベルより光量が大きい第2レベルの光量にて半導体レーザLDを発光させる。
第1レベルは、レーザ光5が人の眼に入っても安全なレベルであり、例えば、クラス1以下の出力など、所定の閾値以下のレベルである。第2レベルは、所望の光量であり、照明装置1の用途に適した光量である。第2レベルは、照明装置1の用途によって種々の設定が可能である。
上記の点灯状態に至るまでの過程をより詳細に記述すると以下のようになる。
照明装置1によると、まず、電源が投入されると、駆動回路20は、光量が小さく安全な第1レベルの光量で、半導体レーザLDがレーザ光5を出射するように、駆動電流を半導体レーザLDに出力する。これにより、半導体レーザLDは、第1レベルの光量にて、1次光である青色のレーザ光5を出射する。
すると、レーザ光5は、導光部12によって結像レンズ13へと導光され、結像レンズ13によって、支持台14の表面に配置された波長変換部15へと集光される。そしてレーザ光5は、波長変換部15を励起すると共に、波長変換部15の表面によって散乱される。
そして、レーザ光5によって励起されることで波長変換部15が発光した黄色の光と、波長変換部15の表面によって散乱された青色のレーザ光5とが混色した白色の光6は、投光部である凸レンズ17を透過することで、照明装置1の外部へ出射される。
また、光検出部PDは、上記白色の光6を受光すると、光6を受光したことを示す検出信号を駆動回路20へ出力する。
駆動回路20は、光検出部PDから上記検出信号を取得すると、第1レベルよりも光量が大きく、所望の光量である第2レベルの光量で、半導体レーザLDがレーザ光5を出射するように、駆動電流を上げて半導体レーザLDに出力する。これにより、半導体レーザLDは、第2レベルの光量にて、1次光である青色のレーザ光5を出射する。この第2レベルの光量によるレーザ光5によって、波長変換部15が励起されることで、所望の光量の白色光である光6が照明装置1から外部へ出射される。
ここで、もし、半導体レーザLDが第1レベルの光量にてレーザ光5を出射している際に、光検出部PDに所望の白色の光6が検出されなかった場合には、それは波長変換部15の異常(破損,劣化)あるいはレーザ光5の光軸の異常(ずれなど)等の照明装置1の何れかの部位の異常を伝えることになる。この場合には半導体レーザLDの出力は第2レベルの光量に上げられることはなく、照明装置1は安全な状態で保持されることになる。
以上が、照明装置1を、消灯状態から点灯状態にする際に行われる制御である。このような制御が行われることによって、点灯開始時に、万一照明装置1の波長変換部15あるいはレーザ光に異常が生じている時にはレーザ素子の出力が上げられることがなくなり、異常な状態でレーザ光が出力され続けることがなくなる。つまり、照明装置1が正常な状態の場合にみ、所望の光量で白色光である光6が照明装置1から外部へ出射されることになる。
次に、照明装置1が定常状態で点灯している際に、何らかの異常を検知した場合の動作について説明する。
照明装置1が定常状態で点灯している間も光検出部PDは白色の光6を受光し、光6を受光したことを示す検出信号を駆動回路20へ出力し続ける。駆動回路20は上記の検出信号を取得している間は半導体レーザLDが第2レベルの光量でレーザ光5を出力するように半導体レーザLDに駆動電流を供給し続ける。
ここで、もし照明装置1に何らかの異常が発生し、光検出部PDが一定以上の白色の光6を受光しない状態となった場合、駆動回路20は半導体レーザ素子LDの駆動電流を下げ、第1レベルの光量でレーザ光5を出力するように半導体レーザLDの駆動電流を制御する。
この時の「何らかの異常」とは、波長変換部15の破損・脱落・劣化等の異常な状態となること、あるいは照明装置1に加えられる外的な力等によって生じるレーザ光5の光路のずれ(光学部品である導光部12及び結像レンズ13の位置ずれなどによって生じる)が生じた場合が挙げられる。
つまり、照明装置1は、照明装置1が正常に点灯していることを常に監視しており、異常が生じた場合には即座に半導体レーザLDの出力が安全なレベルまで低下させることができる機構を有している。
このような一連の動作は、以下に一例を示す駆動回路の構成によって実現される。
(駆動回路20の構成)
次に、図2を用いて、照明装置1の駆動回路20の構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係る照明装置1の駆動回路20の構成を表す図である。
駆動回路20は、電源Vin・Vrefと、ダイオードD1と、インダクタLと、平滑コンデンサCと、抵抗R0〜R4・Rsと、スイッチQ1、スイッチ(判定部)Q2と、コンパレータ(比較器)COMPと、PWM制御部21とを備えている。半導体レーザLD1・D2は、半導体レーザLD(図1)と対応する。半導体レーザLD1のカソードと、半導体レーザLD2のアノードとが接続されることで、半導体レーザLD1・LD2は直列に接続されている。光検出部PDのカソードは電源Vccと接続されており、光検出部PDのアノードは抵抗R4と接続されている。
ダイオードDと、インダクタLと、平滑コンデンサCと、スイッチQ1とは降圧型コンバータを構成している。
直流の電源Vinは、直列に接続されたダイオードD1及びスイッチQ1と並列に接続されている。
ダイオードD1は、コンデンサC及び半導体レーザLD1・LD2と並列に接続されている。ダイオードD1のカソードは、電源Vinのプラス側端子、コンデンサの一方の端子、半導体レーザLD2のアノードとそれぞれ接続されている。ダイオードD1のアノードは、スイッチQ1のドレイン端子及びインダクタLの一方の端子と接続されている。
スイッチQ1は、PWM制御部21からの出力に応じて、電源Vinからの電流のON(オン)とOFF(オフ)とを切り換えるスイッチである。スイッチQ1は、例えば、トランジスタにより構成することができる。本実施形態では、スイッチQ1は、NPN型のバイポーラトランジスタであるものとするが、他のトランジスタであってもよい。
スイッチQ1は、ドレイン端子がダイオードD1のアノード端子及びインダクタL1の一方の端子と接続されており、ゲート端子がPWM制御部21の出力端子と接続されおり、ソース端子が電源Vinのマイナス端子と接続されている。
インダクタLは、コンパレータCOMP、PWM制御部21、及び、スイッチQ1と並列に接続されている。インダクタLは、一方の端子がダイオードD1のアノード及びスイッチQのドレインと接続されており、他方の端部が接続点Pと接続されている。
平滑コンデンサCは、一方の端子が、ダイオードD1のカソード及び半導体レーザLD2のアノードと接続されており、他方の端子が接続点Pと接続されている。
抵抗Rsは、半導体レーザLD1・LD2へ入力される電流を検出するための抵抗である。抵抗Rsは、一方の端部が接続点Pと接続されており、他方の端子が半導体レーザLD1のカソード、及び、抵抗R0の一方の端子と接続されている。
半導体レーザLD1・LD2は、平滑コンデンサC、ダイオードD1、及び、電源Vinと並列に接続されている。半導体レーザLD2は、アノードが平滑コンデンサCの一方の端子、ダイオードD1のカソード、及び、電源Vinのプラス端子と接続されており、カソードが半導体レーザLD1のアノードと接続されている。半導体レーザLD1は、アノードが半導体レーザLD2のカソードと接続されており、カソードが抵抗Rsの他方の端子、及び、抵抗R0の一方の端子と接続されている。
コンパレータCOMPは、マイナス側入力端子が、抵抗R0の他方の端子及び抵抗R1の一方の端子間に接続されており、プラス側入力端子が、リファレンス用の直流の電源Vrefのプラス端子と接続されており、出力端子がPWM制御部21の入力端子と接続されている。電源Vrefのマイナス端子は、接続点Pおよび抵抗R2の他方の端子と接続されている。
PWM制御部21は、入力端子がコンパレータCOMPの出力端子と接続され、出力端子がスイッチQのゲート端子と接続されている。
抵抗R0〜R2は、互いに直列に接続されている。
抵抗R0は、一方の端子が、半導体レーザLD1のカソード及び抵抗Rsの他方の端子と接続されており、他方の端子が、抵抗R1の一方の端子及びコンパレータCOMPのマイナス端子と接続されている。
抵抗R1は、他方の端子が、抵抗R2の一方の端子及びスイッチQ2のコレクタ端子と接続されている。抵抗R2は、他方の端子が接続点P、電源Vrefのマイナス端子、及び、スイッチQ2のエミッタ端子と接続されている。
スイッチQ2は、抵抗R2に流れる電流のオン(ON)とオフ(OFF)とを切り換える。スイッチQ2は、光検出部PDが光6を検出したか否かを判定するスイッチである。スイッチQ2は抵抗R2と並列に接続されている。スイッチQ2は、コレクタ端子が抵抗R1及び抵抗R2間に接続されており、エミッタ端子が抵抗R2の他方の端子及び抵抗R3の一方の端子と接続されており、ベースが抵抗3の他方の端子及び抵抗R4の他方の端子と接続されている。
本実施形態では、スイッチQ2は、NチャネルMOSFETであるものとするが、他のトランジスタであってもよい。
抵抗R3はスイッチQ2のベース端子及びエミッタ端子間に配置されている。抵抗R4は光検出部PDのアノード及びスイッチQ2のベース端子間に配置されている。
(駆動回路20の動作概略)
図2及び図3を用いて、駆動回路20の動作について説明する。
電源Vinがオン(ON)となると、PWM制御部21が、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号をスイッチQ1のゲート端子に出力することで、スイッチQ1はスイッチング動作を行う。このスイッチQ1のスイッチング動作によってコントロールされた電流及び電圧が半導体レーザLD2・LD1へ出力される。
スイッチQ1のスイッチング動作により出力された電流は電流検出用の抵抗Rsによって電圧に変換される。抵抗Rsの両端に生じる電圧Vrsは、抵抗R0・R1・R2により分圧され、コンパレータCOMPに入力される。
コンパレータCOMPは、マイナス側入力端子に入力される、電圧Vrsが抵抗R0・R1・R2によって分圧された電圧と、プラス側入力端子に入力される電源Vrefによる基準電圧Vrefとを比較し、その差分電圧をフィードバック信号FBとして出力端子からPWM制御部21へ入力する。これにより、コンパレータCOMPは、フィードバック信号FBが0となるように、PWM制御部21を通じてスイッチQ1のスイッチング動作を制御する。こうして、半導体レーザLD1・LD2に一定の電流を流し続けることが可能である。
また、照明装置1は光検出部PDを備え、光検出部PDに光6が入射されると、抵抗R2に並列に接続されたスイッチQ2がオン(ON)となる。この結果、コンパレータCOMPに入力される電圧が下がる。
このように、抵抗Rs・R0〜R2、スイッチQ1・Q2、コンパレータCOMP、電源Vref、及び、PWM制御部21は、光検出部PDが光6を検出したら出力する検出信号に応じて、半導体レーザLD1・LD2へ出力される駆動電流を制御する駆動電流制御回路を構成している。
なお、図2では、駆動回路20として、降圧型コンバータである電源構成の例を示してるが、他にも駆動回路20の電源構成として、昇圧型、昇降圧型、反転型等どのような構成であっても同様の方法で、上記駆動電流制御回路を制御することができる。もちろん、電源回路の絶縁・非絶縁についても同様に不問である。
(駆動回路20の駆動電流制御回路のタイミングチャート)
図3は、駆動回路20中を流れる電流又は電圧のタイミングチャートを表す図である。
図3に示すように、電源Vinがオン(ON)した直後は、光検出部PDへの光6の入射が無く、光検出部PDから出力される信号の値であるPD_inが0(ローレベル)の状態である。この状態で、PWM制御部21がFB信号を0(ローレベル)となるようにコントロールしたとする。すると、このときに抵抗Rsに加わる電圧Vrsの電圧値VrsをVrs_offとすると、以下の(式1)で表される。
Vrs_off=(R0+R1+R2)/(R1+R2)×Vref (式1)
なお、Vrefは電源Vrefの電圧値であり、R0〜R2は抵抗R0〜R2の抵抗値である。また、電源Vinがオン(ON)した直後は、スイッチQ2はオフの状態である。
そして、上記(式1)が成り立つとき、半導体レーザLD2のアノードへ流れる電流Ioの電流値IoをIo_off(第1駆動信号)とすると、以下の(式2)で表される。
Io_off=(R0+R1+R2)/(R1+R2)×Vref/Rs (式2)
なお、Rsは抵抗Rsの抵抗値である。電流Ioは、半導体レーザLD1・LD2の駆動電流である。
そして、電流値Io_offの電流Ioによって半導体レーザLD1・LD2は駆動される。
この(式2)で表されるIo_offによって駆動される半導体レーザLD2・LD1が出射するレーザ光5の光量が、人の眼に害を及ぼさない第1レベル(安全レベル)となるように、各抵抗の抵抗値を設定しておく。
そして、電流Io_offにて半導体レーザLD1・LD2を駆動させ、半導体レーザLD1・LD2からのレーザ光5により、波長変換部15(図1参照)を励起することで発光させる。波長変換部15が正常な状態であれば、レーザ光5と波長変換部15からの出射光とが混色し、所定の光量の光6が光検出部PDに入射する。そして光検出部PDは、所定の光量の光6を受光することで、所定の値を超えるハイレベルの電気信号であって、光6を検出したことを示す検出信号PD_inを出力する。
光検出部PDが、検出信号PD_inの信号を出力すると、当該検出信号PD_inは、抵抗R4を介して、抵抗R2と並列接続されたスイッチQ2のベース端子に入力される。これにより、スイッチQ2がオフ(OFF)からオン(ON)へ切り変わる。そして、スイッチQ2がオンとなると、抵抗R2の両端電圧は0に近づく。このときに抵抗Rsに加わる電圧Vrsの電圧値VrsをVrs_onとすると、Vrs_onは以下の(式3)で表される。
Vrs_on=(R0+R1)/R1×Vref (式3)
そして、上記(式3)が成り立つとき、半導体レーザLD2のアノードへ流れる電流Ioの電流値IoをIo_on(第2駆動信号)とすると、Io_onは以下の(式4)で表される。
Io_on=(R0+R1)/R1×Vref/Rs (式4)
(式4)によって表される電流値Io_onの電流Ioによって半導体レーザLD1・LD2は駆動される。このとき半導体レーザLD1・LD2が出射するレーザ光5の光量が、所望のレベル(第2レベル)となる電流値Io_onとなるように、各抵抗の抵抗値を設定しておく。
一方、波長変換部15が支持台14から外れている、あるいは破損・劣化している、あるいはレーザ光の光路に異常があることで波長変換部15が正常に励起出来ていない等、何らかの異常があり、光検出部PDが、所定の光量の光6を検出しない状態であれば、すなわち、光検出部PDが所定の値を超えるハイレベルの検出信号PD_inを出力しない状態であれば、抵抗R2に並列接続されたスイッチQ2はオンされずオフのまま維持される。このため、半導体レーザLD1・LD2に入力される駆動電流である電流Ioの電流値はIo_offのまま維持され、安全レベルにて半導体レーザLD1・LD2を駆動し続けることができる。この異常時の動作は、照明装置1を点灯させる際のみならず、一旦半導体レーザLDが第2レベルでの定常状態で発光した後に異常が生じた際にも生じる動作である。
(照明装置1のシーケンス)
図4を用いて照明装置1の動作シーケンスについて説明する。図4は、本発明の実施形態1に係る照明装置1の動作のフローチャートを表す図である。
照明装置1は、起動されることで電源Vinがオンとなると、駆動回路20は、半導体レーザLDに、人間の眼に害を及ぼさない安全レベルの駆動電流(例えば閾値以下)である第1レベルの電流値Io_offの電流Ioを流す。これにより、駆動回路20は、閾値以下で半導体レーザLDを駆動する(ステップS10)。
そして、半導体レーザLDがレーザ光5を出射すると、波長変換部15が正常に設置されている場合、レーザ光5によって励起された波長変換部15からの出射光とレーザ光5とが混色した白色の光6が、光検出部PDに入射する。次に、駆動回路20のスイッチQ2は、光検出部PDに光6が入射したか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、スイッチQ2は、光検出部PDから出力される検出信号PD_inの入力有無により、オンとオフとが切り変わることで、光検出部PDに光6が入射したか否かを判定する。
ステップS12において、スイッチQ2は、光検出部PDに光6が入射したと判定すると、すなわち、光検出部PDから検出信号PD_inを取得することでスイッチQ2がオンとなると(ステップS12のYES)、駆動回路20は、半導体レーザLDの駆動電流である電流Ioを、電流値Io_offから、光6の光量が所望の第2レベルとなる電流値Io_onまで増加させる(ステップS13)。すなわち、駆動回路20は、半導体レーザLDの駆動電流である電流Ioを、電流値Io_offから電流値Io_onへ切り換える。これにより、照明装置1は、所望の光量である光6を出射する。そして、ステップS12へ戻り、光検出部PDは、光6の検出を継続する。
一方、ステップS12において、波長変換部15が正常に設置されていない、あるいは破損・劣化している、あるいはレーザ光5の光路に異常があることで波長変換部15が正常に励起出来ていないなどにより光検出部PDに光6が入射せず、スイッチQ2が光検出部PDに光6が入射しないと判定、すなわち、スイッチQ2が検出信号PD_inを取得せずオフのままの状態の場合(ステップS12のNO)、駆動回路20は異常状態が発生したと判定し、半導体レーザLDの駆動電流である電流Ioを、電流値Io_offのまま維持する(ステップS14)。そして、ステップS12の処理へ戻る。
このフローにより、照明装置1は、安全で閾値以下の第1レベルのレーザ光5を1次光として波長変換部15へ出射する。そして、波長変換部15が正常であるとき、すなわち、波長変換部15が1次光によって2次光を発光し、光検出部PDから検出信号PD_inがスイッチQ2に入力されたときに、駆動回路20は、半導体レーザLDに出力する駆動電流である電流Ioを電流値Io_offから電流値Io_onに切り換える。これにより、半導体レーザLDは、第1レベルの光量から、所望の光量である第2レベルの光量のレーザ光5を出射する。この結果、照明装置1は、所望の光量の白色の光6を外部に出射する。
このように、駆動回路20は、波長変換部15が正常に発光したことを確認してから、半導体レーザLDの駆動電流を、第1レベルの電流値Io_offから第2レベルの電流値Io_onへ切り換えるため、波長変換部15が異常状態であるにもかかわらず、レーザ光5が、安全なレベルを超える第2レベルで出射されてしまうことを防止することができる。
これにより、安全なレベルを超えるレーザ光5が照明装置1の外部に漏洩することを防止することができる。
また、特許文献1及び2の技術のような異常状態となってからレーザ光が停止するまでのタイムラグの間に、強度が強いレーザ光が外部へ漏洩してしまうという問題を防止することができる。
一方、ステップS12にて、駆動回路20が第1レベルで半導体レーザLDを駆動した後、光検出部PDが光6を検出しない場合は、駆動回路20は、半導体レーザLDの光量を第2レベルへ上げず、第1レベルのまま維持する。
これにより、駆動回路20は、安全な第1レベルである閾値以下で半導体レーザLDを駆動し、レーザ光5が照明装置1の外部へ漏えいしても安全を確保することができる。
すなわち、この場合、駆動回路20が異常状態であると判定しても、第1レベルとなる電流値Io_offの電流Ioで駆動し続けても安全である。
なお、半導体レーザLDの駆動電流を閾値以上とする場合、あるいはクラス1相当以上の光出力にて異常状態の有無を判定する場合には、異常状態と判定された際に遮断するか、または、クラス1以下の出力となるように(あるいはLD閾値電流以下まで)駆動電流を低減させた上で、始動から駆動電流の低減に要する時間の間に人間の眼に入っても安全なレベルを判定時の電流値とする必要がある。
ここで、仮に、照明装置1が正常動作している最中に何らかの異常が生じ、波長変換部15からの光量が異常に低下した場合には、半導体レーザLDの駆動電流をLD閾値以下、または、安全レベル以下、あるいは電流遮断といった措置を講じて、照明装置1が安全に機能し続けるようにする必要がある。
そこで、照明装置1では、ステップS13にて、光検出部PDは、半導体レーザLDが通常の第2レベルの光量となった後も、光6を、受光し検出し続ける。
そして、駆動回路20が半導体レーザLDへ出力する電流Ioを、電流値Io_offから電流値Io_onへ切り換えた後、スイッチQ2は、光検出部PDが受光する光量が第2レベルより小さくなったか否かを判定する(ステップS15)。ここでは、スイッチQ2は、検出信号PD_inを取得するか否かにより、光検出部PDが受光する光量が第2レベルより小さくなったか否かを判定する。
ステップS15において、スイッチQ2は、光検出部PDが受光する光量が第2レベルより小さくなったと判定すると(ステップS15のYES)、すなわち、スイッチQ2が、オンからオフへ切り変わることで光検出部PDが光検出信号PD_inを出力しなくなったと判定すると(ステップS15のYES)、駆動回路20は、半導体レーザLDへ出力する電流Ioの電流値を、電流値Io_onから電流値Io_offへと切り換える。すなわち、ステップS10へ戻り、駆動回路20は、閾値以下で半導体レーザLDを駆動する(ステップS10)。
これにより、再び、半導体レーザLDは、第1レベルにてレーザ光5を出射する。このため、安全性を確保することができる。この電流値Io_onから電流値Io_offへの切り替えは駆動回路20内で、スイッチQ2がオンからオフへ切り変わるスイッチングにより瞬時に行われる為、駆動回路20が照明装置1に異常を検出してから半導体レーザLDの駆動電流が切り替わるまでの時間遅れは問題にならない位に速いものである。このように、駆動回路20によると、強度が強いレーザ光が外部へ漏洩してしまうという問題を防止することができる。
ステップS15において、駆動回路部20は、光検出部PDが受光する光量が第2レベル以上であると判定すると(ステップS15のNO)、ステップS15の処理へ戻る。すなわち、駆動回路部20は、所定時間間隔で、光検出部PDが受光する光量が第2レベルより小さくなったか否かの判定を行う。
このように、駆動回路20は、上述したステップS12・S15におけるスイッチQ2の判定結果、すなわち、スイッチQ2のオンとオフの切り換えに応じて、半導体レーザLDに出力する電流Ioの電流値を、電流値Io_offとするか、電流値Io_onとするかを選択している。
このため、波長変換部15が異常状態であるにもかかわらず、レーザ光5が、安全なレベルを超える第2レベルで出射されてしまうことを防止することができる。
これにより、安全なレベルを超えるレーザ光5が照明装置1の外部に漏洩することを防止することができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図5は、本発明の実施形態2に係る照明装置の構成を表す図である。
本発明の実施形態2に係る照明装置1Aは、照明装置1(図1参照)が備えていた駆動回路20に換えて、駆動回路20A備えている点で、照明装置1と異なる。照明装置1Aの他の構成は照明装置1と同様である。
駆動回路20Aでは、抵抗R2に並列接続されたスイッチQ3の駆動を制御するためのコンパレータCOMPTHが配置されている。
駆動回路20Aは、駆動回路20が備えていたスイッチQ2に換えてスイッチQ3を備え、抵抗R3・R4に換えて抵抗Rthを備え、さらに、コンパレータCOMPTH及び電源Vthを備えている点で、駆動回路20と相違する。駆動回路20Aの他の構成は駆動回路20と同様である。
駆動回路20Aは、光6の受光の有無だけでなく、光6の受光した光量に対して閾値を設け、光6の光量が閾値以上であれば半導体レーザLDを所望の光量となるように駆動電流を半導体レーザLDに駆動電流を出力し、光6の光量が閾値未満であれば、半導体レーザLDを安全レベルの光量となるように駆動電流を維持する。
スイッチQ3は、抵抗R2に流れる電流のオン(ON)とオフ(OFF)とを切り換えるスイッチである。スイッチQ3は抵抗R2と並列に接続されている。本実施形態では、スイッチQ3は、NPN型のバイポーラトランジスタであるものとするが、他のトランジスタであってもよい。
スイッチQ3は、ドレイン端子が抵抗R1及び抵抗R2間に接続されており、ゲート端子がコンパレータCOMPTHの出力端子と接続されており、ソース端子が抵抗R2の他方の端子と接続されている。
コンパレータCOMPTHは、マイナス側入力端子が電源Vthのプラス端子と接続されており、プラス側入力端子が光検出部PDのアノード及び抵抗Rthの一方の端子間に接続されており、出力端子がスイッチQ3のゲート端子と接続されている。
光検出部PDは、カソードが電源Vccと接続され、アノードがコンパレータCOMPTHのプラス側入力端子と接続されていると共に抵抗Rthの一方の端子と接続されている。
抵抗RthはコンパレータCOMPTHのプラス側入力端子とマイナス側入力端子との間に配置されている。抵抗Rthは、一方の端子がコンパレターCOMPTHのプラス側入力端子と接続されていると共に光検出部PDのアノードと接続されており、他方の端子が電源Vthのマイナス端子と接続されていると共に接地されている。
光検出部PDは、光6を受光すると、当該受光した光6の受光量に正比例した強度の検出信号PD_inを、カソードからアノードに向けて流す。
抵抗Rthは、検出信号PD_inである電流が流れてくると、当該電流を電圧Vpdに変換する。このとき電圧Vpdは以下の(式5)で表される。ただし、Rthは抵抗Rthの抵抗値である。
Vpd=Rth×PD_in (式5)
そして、コンパレータCOMPTHは、抵抗Rthによって変換された電圧Vpdが、閾値である電圧Vth以上となれば、出力端子を通じてスイッチQ3をオフからオンへ切り換える。なお、電圧Vthは電源Vthの電圧値である。
スイッチQ3がオンとなると、抵抗R2の両端電圧は0に近づく。これにより、上記(式4)によって表される電流値Io_onの電流Ioによって半導体レーザLD1・LD2は駆動される。このようにして、半導体レーザLD1・LD2が出射するレーザ光5の光量が、所望のレベル(第2レベル)となる。
このように、スイッチQ3、コンパレータCOMPTH、電源Vth、及び抵抗Rthは、光検出部PDが光6を受光したときに出力する検出信号PD_inの強度が、所定の閾値以上であれば、光検出部PDが光6を受光したと判定する判定部として機能する。これによって、より、光検出部PDが光6を受光したか否かの判定の精度を向上させることができる。
一方、波長変換部15が支持台14から外れている等、何らかの異常があり、光検出部PDが、所定の光量の光6を検出しない状態であれば、すなわち、電圧Vpdが閾値である電圧Vth未満であれば、コンパレータCOMPTHはスイッチQ3をオンせずにオフのまま維持する。このため、半導体レーザLD1・LD2に入力される駆動電流である電流Ioの電流値はIo_offのまま維持され、安全レベルにて半導体レーザLD1・LD2を駆動し続けることができる。
コンパレータCOMPTHがスイッチQ3をオフからオンへ切り換える際に使用する閾値である電圧Vthは、電源Vthの電圧や、抵抗Rthの抵抗値によって調整可能である。このため、これら電源Vthの電圧、及び、抵抗Rthの抵抗値や、さらに、光検出部PDの内部抵抗によって、任意の光量を閾値として半導体レーザLDの駆動を制御することが可能である。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図6は、本発明の実施形態3に係る照明装置1Bの構成を表す図である。
本発明の実施形態3に係る照明装置1Bは、照明装置1A(図5参照)が備えていた駆動回路20Aに換えて、駆動回路20Bを備えている点で、照明装置1Aと異なる。照明装置1Bの他の構成は照明装置1Aと同様である。
駆動回路20Bは、駆動回路20Aの構成に加え、さらに、スイッチQ4と、電流源IBとを備えている。駆動回路20Bの他の構成は駆動回路20Aと同様である。
駆動回路20Bは、駆動回路20Aのように、光6の光量が閾値以上であれば半導体レーザLDを所望の光量となるように駆動電流を半導体レーザLDに駆動電流を出力し、光6の光量が閾値未満であれば、半導体レーザLDを安全レベルの光量となるように駆動電流を維持する。さらに、駆動回路20Bは、光量の閾値にヒステリシスを加味する。
スイッチQ4及び電流源IBは互いに直列に接続されていると共に、光検出部PDに並列に接続されている。
スイッチQ4は、コンパレータCOMPTHからの出力に応じて電流源IBのオンとオフとを切り換えるスイッチである。本実施形態では、スイッチQ4は、NPN型のバイポーラトランジスタであるものとするが、他のトランジスタであってもよい。
スイッチQ4は、ドレイン端子が電流源IBの出力端子に接続されており、ゲート端子がコンパレータCOMPTHの出力端子及びスイッチQ3のゲート端子間に接続されており、ソース端子がコンパレータCOMPTHのプラス側入力端子及び光検出部PDのアノード間に接続されている。
電流源IBは、入力端子が電源Vcc及び光検出部PDのカソード間に接続されており、出力端子がスイッチQ4のドレイン端子と接続されている。
駆動回路20Bによると、コンパレータCOMPTHは、出力信号をスイッチQ3へ出力すると共に、スイッチQ4へも出力することで、スイッチQ3に加えてスイッチQ4もオフからオンへと切り換える。
スイッチQ4がオンとなると、電流源IBは、スイッチQ4を介してコンパレータCOMPTHのプラス側入力端子へ電流IBを入力する。
このため、光検出部PDからの検出信号PD_inと、電流源IBから出力された電流IBとの和がコンパレータCOMPTHのプラス側入力端子へ入力される。
これにより、コンパレータCOMPTHがオフとなる(出力端子から出力信号の出力を停止する)には、コンパレータCOMPTHをオンする(出力端子から出力信号を出力する)際に必要であった電流よりも電流源IBからの電流IB分小さい電流とすることができる。これによってヒステリシスを持たせることができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図7及び図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図7は、本発明の実施形態4に係る照明装置1Cの駆動回路20Cの構成を表す図である。
本発明の実施形態4に係る照明装置1Cは、照明装置1(図1参照)が備えていた駆動回路20に換えて、駆動回路20Cを備えている点で、照明装置1と異なる。照明装置1Cの他の構成は照明装置1と同様である。
駆動回路20Cは、駆動回路20と同様に、バックコンバータの構成の例を示している。
駆動回路20Cでは、半導体レーザLD1のカソードは、抵抗Rsの他方の端子と接続されていると共に、コンパレータCOMPのマイナス側入力端子と抵抗を介さず直接接続されている。なお、半導体レーザLD1のアノードは、駆動回路20と同様に半導体レーザLD2のカソードと接続されている。
抵抗R1は、一方の端子が、コンパレータCOMPのプラス側入力端子、及び、抵抗R2の一方の端子と接続されており、他方の端子が、接続点P、及び、電源Vrefのマイナス端子と接続されている。
抵抗R2と電源Vrefとは、互いに直列に接続されていると共に、抵抗R1と並列に接続されている。
抵抗R2は、一方の端子が、抵抗R1の一方の端子、及び、スイッチQ2のコレクタと接続されており、他方の端子が、電源Vrefのプラス端子、及び、スイッチQ2のエミッタと接続されている。
電源Vrefは、抵抗R1と、抵抗R2との間に配置されている。電源Vrefは、プラス端子が抵抗R2の他方の端子及びスイッチQ2のエミッタと接続されており、マイナス端子が抵抗R1の他方の端子と接続されている。
スイッチQ2は、抵抗R2と並列に接続されている。スイッチQ2は、コレクタが抵抗R2の一方の端子と接続されており、エミッタが抵抗R2の他方の端子、電源Vrefのプラス端子、及び、抵抗R3の一方の端子と接続されており、ベースが抵抗R3の他方の端子、及び、抵抗R4の他方の端子と接続されている。
抵抗R3はスイッチQ2のベース端子及びエミッタ端子間に配置されている。抵抗R4は光検出部PDのアノード及びスイッチQ2のベース端子間に配置されている。
駆動回路20Cにおいて、他の構成は、駆動回路20と同様である。
駆動回路20Cでは、駆動回路20のような、基準の電圧Vrefと、抵抗Rsによる電圧Vrsを直列接続された抵抗R0〜R2によって分圧した電圧とをコンパレータCOMPに入力する構成ではなく、抵抗Rsに印加される電圧Vrsと、基準の電圧Vrefを抵抗R1・R2にて分圧した電圧とをコンパレータCOMPに入力することで、コンパレータCOMPは、その差分をフィードバック信号FBとして出力する構成となっている。
PWM制御部21は、コンパレータCOMPからの出力であるフィードバック信号FBが0となるようにスイッチQ1のスイッチング制御(オン・オフの制御)を行い、出力が一定の電流となるように半導体レーザLD1・LD2への駆動電流の制御を行っている。
光検出部PDは、光6を受光すると、当該受光した光の受光量に応じた検出信号PD_inを、抵抗R4を介してスイッチQ2へ入力する。これにより、抵抗R2に並列に接続されたスイッチQ2がオン(ON)となる。この結果、コンパレータCOMPに入力される電圧が下がる。
このように、抵抗Rs・R1・R2、スイッチQ1・Q2、コンパレータCOMP、電源Vref、及び、PWM制御部21は、光検出部PDが光6を検出したら出力する検出信号に応じて、半導体レーザLD1・LD2へ出力される駆動電流を制御する駆動電流制御回路を構成している。
なお、図7に示した駆動回路20Cは、実施形態1にて説明した駆動回路20と同様に、降圧型コンバータである電源構成の例を示してるが、他にも駆動回路20の電源構成として、昇圧型、昇降圧型、反転型等どのような構成であっても同様の方法で、上記駆動電流制御回路を制御することができる。もちろん、電源回路の絶縁・非絶縁についても同様に不問である。
図8は、駆動回路20C中を流れる電流又は電圧のタイミングチャートを表す図である。
図8に示すように、電源Vinがオン(ON)した直後は、光検出部PDへの光6の入射が無く、光検出部PDから出力される信号の値であるPD_inが0(ローレベル)の状態である。この状態で、PWM制御部21がフィードバック信号FBを0(ローレベル)となるようにコントロールしたとする。すると、このときに抵抗Rsに加わる電圧Vrsの電圧値VrsをVrs_offとすると、以下の(式6)で表される。
Vrs_off=R1/(R1+R2)×Vref (式6)
なお、電源Vinがオン(ON)した直後は、スイッチQ2はオフの状態である。
そして、上記(式6)が成り立つとき、半導体レーザLD2のアノードへ流れる電流Ioの電流値IoをIo_offとすると、以下の(式7)で表される。
Io_off=R1/(R1+R2)×Vref/Rs (式7)
そして、電流値Io_offの電流Ioによって半導体レーザLD1・LD2は駆動される。
この(式7)で表されるIo_offによって駆動される半導体レーザLD2・LD1が出射するレーザ光5の光量が、人の眼に害を及ぼさない第1レベル(安全レベル)となるように、各抵抗の抵抗値を設定しておく。
そして、電流Io_offにて半導体レーザLD1・LD2を駆動させ、半導体レーザLD1・LD2からのレーザ光5により、波長変換部15(図1参照)を光らせる。波長変換部15が正常な状態であれば、レーザ光5と波長変換部15からの出射光とが混色し、所定の光量の光6が光検出部PDに入射する。そして光検出部PDは、所定の光量の光6を受光することで、所定の値を超えるハイレベルの電気信号であって、光6を検出したことを示す検出信号PD_inを出力する。
光検出部PDが、検出信号PD_inを出力すると、当該検出信号PD_inは、抵抗R4を介して、抵抗R2と並列接続されたスイッチQ2のベース端子に入力される。これにより、スイッチQ2がオフ(OFF)からオン(ON)へ切り変わる。そして、スイッチQ2がオンとなると、抵抗R2の両端電圧は0に近づく。このときに抵抗Rsに加わる電圧Vrsの電圧値VrsをVrs_onとすると、Vrs_onは以下の(式8)で表される。
Vrs_on=Vref (式8)
そして、上記(式8)が成り立つとき、半導体レーザLD2のアノードへ流れる電流Ioの電流値IoをIo_onとすると、Io_onは以下の(式9)で表される。
Io_on=Vref/Rs (式9)
(式9)によって表される電流値Io_onの電流Ioによって半導体レーザLD1・LD2は駆動される。このとき半導体レーザLD1・LD2が出射するレーザ光5の光量が、所望のレベル(第2レベル)となる電流値Io_onとなるように、各抵抗の抵抗値を設定しておく。
一方、波長変換部15が支持台14から外れている等、何らかの異常があり、光検出部PDが、所定の光量の光6を検出しない状態であれば、すなわち、光検出部PDが所定の値を超えるハイレベルの検出信号PD_inを出力しない状態であれば、抵抗R2に並列接続されたスイッチQ2はオンされずオフのまま維持される。このため、半導体レーザLD1・LD2に入力される駆動電流である電流Ioの電流値はIo_offのまま維持され、安全レベルにて半導体レーザLD1・LD2を駆動し続けることができる。
このように、照明装置1Cによっても、照明装置1(図2参照)と同様の効果を得ることができる。
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5について、図9及び図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜4にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図9は、本発明の実施形態5に係る照明装置1Dの駆動回路20Dの構成を表す図である。
本発明の実施形態5に係る照明装置1Dは、照明装置1C(図7参照)が備えていた駆動回路20Cに換えて、駆動回路20Dを備えている点で、照明装置1Cと異なる。照明装置1Dの他の構成は照明装置1と同様である。
本実施形態では、駆動回路20Dとして、半導体レーザLD1・LD2への電流入力検出用の抵抗Rsを、電源回路におけるハイサイド側に配置した構成の例を示す。
駆動回路20Dは、駆動回路20C(図7参照)の構成に加え、さらに、抵抗RSH・RSLと、コンパレータCOMP1と、スイッチQ4と、ダイオードD2とを備えている。また、駆動回路20Dは、駆動回路20Cが備えていたコンパレータCOMPに換えて、コンパレータCOMP2を備えている。コンパレータCOMP2は、コンパレータCOMPと同じ構成である。駆動回路20Dの他の構成は、駆動回路20Cと同様である。
抵抗RSHは、一方の端子が接続点Pと接続されており、他方の端子がコンパレータCOMP1のマイナス側入力端子、及び、スイッチQ4のソース端子と接続されている。
抵抗RSLは、一方の端子が抵抗Rsの他方の端子、及び、半導体レーザLD2のアノードと接続されており、他方の端子がコンパレータCOMP1のプラス側入力端子と接続されている。
半導体レーザLD2のアノードは、抵抗Rsの他方の端子、及び、抵抗RSLの一方の端子と接続されており、カソードは、半導体レーザLD1のアノードと接続されている。
コンパレータCOMP1は、マイナス側入力端子が抵抗RSHの他方の端子、及び、スイッチQ4のソース端子と接続されており、プラス側入力端子が抵抗RSLの他方の端子と接続されており、出力端子がスイッチQ4のゲート端子と接続されている。
スイッチQ4は、例えば、トランジスタにより構成することができる。本実施形態では、スイッチQ4は、NPN型のバイポーラトランジスタであるものとするが、他のトランジスタであってもよい。
スイッチQ4は、コンパレータCOMP1からコンパレータCOMOP2へ流れる電流のオン(ON)とオフ(OFF)とを切り換えるスイッチである。スイッチQ4はコンパレータCOMP1と、コンパレータCOMP2との間に配置されている。スイッチQ4は、ソース端子が抵抗RSHの他方の端子、及び、コンパレータCOMP1のマイナス側入力端子と接続されており、ゲート端子がコンパレータCOMP1の出力側端子と接続されており、ドレイン端子がダイオードD2のアノードと接続されている。
ダイオードD2のカソードはコンパレータCOMP2のマイナス側入力端子、及び、抵抗R1の一方の端子と接続されている。
(駆動回路20Dの動作)
電源Vinがオン(ON)となると、PWM制御部21が、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号をスイッチQ1のゲート端子に出力することで、スイッチQ1はスイッチング動作を行う。このスイッチQ1のスイッチング動作によってコントロールされた電流及び電圧が半導体レーザLD2・LD1へ出力される。
スイッチQ1のスイッチング動作により出力された電流は電流検出用の抵抗Rsによって電圧に変換される。
駆動回路20Dでは、抵抗Rsの両端子間に加わる電圧Vrsは、抵抗RSHの両端子間に加わる電圧に等しくなるため、抵抗RSHに流れる電流Irshは以下の(式8)で表される。
Irsh=Vrs/RSH (式8)
なお、RSHは、抵抗RSHの抵抗値である。
そして、上記(式8)に示した電流Irshがそのまま抵抗R1・R2に流れ込む形となる。
そして、コンパレータCOMP2は、マイナス側入力端子に入力される抵抗R1・R2に加わる電圧と、プラス側入力端子に入力される基準電圧Vrefとを比較し、その差分電圧をフィードバック信号FBとして出力端子からPWM制御部21に入力する。これにより、コンパレータCOMPは、フィードバック信号FBが0となるようにスイッチQ1のスイッチング動作を制御する。こうして、半導体レーザLD1・LD2に一定の電流を流し続けることを可能とする。
また、照明装置1Dは、光検出部PDを備え、光検出部PDが光6を受光すると、抵抗R2に並列に接続されたスイッチQ2がオン(ON)となる。この結果、コンパレータCOMPに入力される電圧が下がる。
このように、抵抗Rs・R1・R2・RSH・RSL、スイッチQ1・Q2・Q4、コンパレータCOMP1・COMP2、電源Vref、及び、PWM制御部21は、光検出部PDが光6を検出したら出力する検出信号に応じて、半導体レーザLD1・LD2へ出力される駆動電流を制御する駆動電流制御回路を構成している。
なお、図9に示した駆動回路20Dは、実施形態1・2にて説明した駆動回路20・20Cと同様に、降圧型コンバータである電源構成の例を示してるが、他にも駆動回路20Dの電源構成として、昇圧型、昇降圧型、反転型等どのような構成であっても同様の方法で、上記電流制御回路を制御することができる。もちろん、電源回路の絶縁・非絶縁についても同様に不問である。
(駆動回路20Dのタイミングチャート)
図10は、駆動回路20D中を流れる電流又は電圧のタイミングチャートを表す図である。
図10に示すように、電源Vinがオン(ON)した直後は、光検出部PDへの光6の入射が無く、光検出部PDから出力される信号の値であるPD_inが0(ローレベル)の状態である。この状態で、PWM制御部21がFB信号を0(ローレベル)となるようにコントロールしたとする。すると、このとき、抵抗R1と抵抗R2とに電圧Vrefが加わるため、そこに流れる電流が抵抗RSHに流れる電流と等しくなる。
この抵抗R1及び抵抗R2に流れる電流Irshは、以下の(式9)で表される。
Irsh=Vref/(R1+R2) (式9)
そして、これによって抵抗RSHに生じる電圧が抵抗Rsに加わる電圧Vrsと等しくなることから、このときに抵抗Rsに加わる電圧Vrsの電圧値VrsをVrs_offとすると、以下の(式10)で表される。
Vrs_off=Vref/(R1+R2)×RSH (式10)
そして、このときに半導体レーザLD2のアノードへ流れる駆動電流である電流Ioの電流値Io_offは、以下の(式11)で表される。
Io_off=Vref/(R1+R2)×RSH/Rs (式11)
そして、電流値Io_offの電流Ioによって半導体レーザLD1・LD2は駆動される。このとき半導体レーザLD1・LD2が出射するレーザ光5の光量が、人の眼に害を及ぼさない第1レベル(安全レベル)となる電流値Io_offとなるように、各抵抗の抵抗値を設定しておく。
そして、電流Io_offにて半導体レーザLD1・LD2を駆動させ、半導体レーザLD1・LD2からのレーザ光5により、波長変換部15(図1参照)を光らせる。波長変換部15が正常な状態であれば、レーザ光5と波長変換部15からの出射光とが混色し、所定の光量の光6が光検出部PDに入射する。そして光検出部PDは、所定の光量の光6を受光することで、所定の値を超えるハイレベルの電気信号であって、光6を検出したことを示す検出信号PD_inを出力する。
光検出部PDが、検出信号PD_inの信号を出力すると、当該検出信号PD_inは、抵抗R4を介して、抵抗R2と並列接続されたスイッチQ2のベース端子に入力される。これにより、スイッチQ2がオフ(OFF)からオン(ON)へ切り変わる。そして、スイッチQ2がオンとなると、抵抗R2の両端電圧は0に近づく。このときに抵抗Rsに加わる電圧Vrsの電圧値VrsをVrs_onとすると、Vrs_onは以下の(式12)で表される。
Vrs_on=Vref/R1×RSH (式12)
そして、このときに抵抗RSHに流れる電流Irshは以下の(式13)で表される。
Irsh=Vref/R1 (式13)
よって、このときに半導体レーザLD1・LD2に入力される駆動電流である電流Io_onは以下の(式14)で表される。
Io_on=Vref/R1×RSH/Rs (式14)
このとき半導体レーザLD1・LD2が出射するレーザ光5の光量が、所望のレベル(第2レベル)となる電流値Io_onとなるように、各抵抗の抵抗値を設定しておく。
一方、波長変換部15が支持台14から外れている等、何らかの異常があり、光検出部PDが、所定の光量の光6を検出しない状態であれば、すなわち、光検出部PDが所定の値を超えるハイレベルの検出信号PD_inを出力しない状態であれば、抵抗R2に並列接続されたスイッチQ2はオンされずオフのまま維持される。このため、半導体レーザLD1・LD2に入力される駆動電流である電流Ioの電流値はIo_offのまま維持され、安全レベルにて半導体レーザLD1・LD2を駆動し続けることができる。
このように、照明装置1Dによっても、照明装置1(図2参照)と同様の効果を得ることができる。
〔実施形態6〕
本発明の実施形態6について、図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜5にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態6に係る照明装置1Eの構成を表す図である。
本実施形態に係る照明装置1Eは、照明装置1(図1参照)が有していた「反射型」の波長変換部とは異なり、「透過型」の波長変換部を有する点で、照明装置1と相違する。
照明装置1Eは、半導体レーザLDと、導光部52と、出射部53と、筐体54と、ダイクロイックミラー55と、集光レンズ56と、波長変換部57と、パラボラリフレクタ58と、光検出部PDと、駆動回路20とを備えている。
出射部53と、ダイクロイックミラー55と、集光レンズ56と、波長変換部57と、光検出部PDとは、筐体54の内部に配置されている。パラボラリフレクタ58は、筐体54の上部表面に配置されている。一例として、筐体54は、金属製である。
導光部52は、半導体レーザLDから出射されたレーザ光7を導光する。導光部52は中心に導光領域を有する。導光部52は一方の端部から他方の端部へかけて延伸している。導光部52の一方の端部は、半導体レーザLDの出射面に対向配置されており、他方の端部は出射部53と接続されている。
出射部53は、導光部52を介して、半導体レーザLDから出射されたレーザ光7を導光し、先端部から、レーザ光7を出射する。出射部53の基部は導光部52の一方の端部と接続されている。出射部53は、筐体54に設けられた挿入口に挿入されている。
集光レンズ56は、半導体レーザLDから出射され、導光部52及び出射部53から出射されたレーザ光7を透過して集光する。集光レンズ56は、筐体54の内部であって、出射部53と、ダイクロイックミラー55との間に配置されている。集光レンズ56は、一例として、ガラスからなる凸レンズを用いることができる。
ダイクロイックミラー55は反射半透過ミラーである。ダイクロイックミラー55は、筐体54内部であって、集光レンズ56よりもレーザ光7の進行方向前方側に配置されている。本実施形態において、ダイクロイックミラー55は、45度の入射角の青色のレーザ光7を、上方に配置された波長変換部57へ反射すると共に、レーザ光7以外の光(波長変換部57から発光された光)を、下方に配置された光検出部PDの方向へ透過する。一例として、ダイクロイックミラー55は、誘電体多層コーティングミラーから構成することができる。
波長変換部57は、ダイクロイックミラー55の上方であって、筐体54に支持されて配置されている。波長変換部57は、蛍光体材料を含有する発光部である。波長変換部57は、1次光であるレーザ光7によって励起されて、青色のレーザ光7とは異なる波長の色を発光する。本実施形態では、波長変換部57は、青色のレーザ光7によって励起されることで、黄色の光を発光するYAG(Yttrium Aluminum Garnet)蛍光体を含む。波長変換部57からの黄色の光と、青色のレーザ光7との混色により白色の光8が波長変換部57から出射される。波長変換部57は、蛍光体粉末をガラス中に分散させることで構成されている。波長変換部57は、当該ガラスの側面を筐体54に支持されている。
パラボラリフレクタ58は、波長変換部57の第2面からの光の出射方向前方に配置されている。パラボラリフレクタ58は、波長変換部57から出射された白色の光8を、所定の方向へ反射する。これにより、照明装置1Eの外部へ光8が出射される。パラボラリフレクタ58の焦点位置に波長変換部57が配置されている。
なお、パラボラリフレクタ58は、光8を照明装置1Eの外部へ投光する投光部であればよく、パラボラリフレクタに限らず、例えば、楕円形状のミラーと凸レンズを組み合わせたプロジェクター型、自由曲面レンズ、自由曲面ミラー、複数のミラー、あるいは複数のレンズを組み合わせたものなどであってもよい。
光検出部PDは、筐体54内であって、ダイクロイックミラー55の下方に配置されている。光検出部PDは、波長変換部57の第1面からの光の出射方向前方に配置されている。光検出部PDは、ダイクロイックミラー55を介して波長変換部57と対称な位置に配置されることで、波長変換部57から出射された光8であって、ダイクロイックミラー55を透過した光を受光し、当該受光した光の受光量に応じた検出信号PD_inを駆動回路20へ出力する。
光検出部PDを、筐体54の内部に配置することによって、太陽光などの外光が光検出部PDに入射してしまうことを防止することができるため、波長変換部57からの光を正確に検出することができる。
照明装置1Eによると、まず、電源が投入されると、駆動回路20は、光量が小さく安全な第1レベルの光量で、半導体レーザLDがレーザ光7を出射するように、駆動電流を半導体レーザLDに出力する。これにより、半導体レーザLDは、第1レベルの光量にて、1次光である青色のレーザ光7を出射する。
すると、レーザ光7は、導光部52及び出射部53によって集光レンズ56へと出射され、集光レンズ56によって、ダイクロイックミラー55へ集光される。そしてレーザ光7は、ダイクロイックミラー55によって、波長変換部57へ反射されることで、波長変換部57を励起する。
そして、レーザ光7によって励起されることで波長変換部57が発光した黄色の光と、支持台14の表面によって反射された青色のレーザ光7とが混色した白色の光8は、投光部であるパラボラリフレクタ58によって反射されることで、照明装置1Eの外部へ出射される。
また、ダイクロイックミラー55は、波長変換部57から出射された白色の光8のうち、青色の光を除く黄色の光を透過し、当該黄色の光は、ダイクロイックミラー55の下方に配置されている光検出部PDによって受光される。光検出部PDは、その黄色の光を受光したことを示す検出信号PD_inを駆動回路20へ出力する。
駆動回路20は、光検出部PDから検出信号PD_inを取得すると、第1レベルよりも光量が大きく、所望の光量である第2レベルの光量で、半導体レーザLDがレーザ光7を出射するように、駆動電流を上げて半導体レーザLDに出力する。これにより、半導体レーザLDは、第2レベルの光量にて、1次光である青色のレーザ光7を出射する。この第2レベルの光量によるレーザ光7によって、波長変換部57が励起されることで、所望の光量の白色光である光8が照明装置1Eから外部へ出射される。
照明装置1Eにおいては、透過型の波長変換部57の両主面のうち、レーザ光7が照射される面(裏面、ダイクロイックミラー55を介して光検出部PDと対向する面)から出射される光を、波長変換部57に異常状態が発生して否かを判定するために光検出部PDにてモニターする光として用い、レーザ光7が照射される面とは逆側面(パラボラリフレクタ58側の面)から出射される光を照明用の光8としてパラボラリフレクタ58にて投光している。これにより、投光される光8が、光検出部PDにより遮られる(影になる)ことがなくなるなど、レイアウトの自由度が高くなる。
ここで、もし、半導体レーザLDが第1レベルの光量にてレーザ光7を出射している際に、光検出部PDに所望の黄色の光が検出されなかった場合には、それは波長変換部57の異常(破損,劣化)あるいはレーザ光7の光軸の異常(ずれなど)等の照明装置1Eの何れかの部位の異常を伝えることになる。この場合には半導体レーザLDの出力は第2レベルの光量に上げられることはなく、照明装置1Eは安全な状態で保持されることになる。
以上が、照明装置1Eを、消灯状態から点灯状態にする際に行われる制御である。このような制御が行われることによって、点灯開始時に、万一、照明装置1の波長変換部57あるいはレーザ光7に異常が生じている時にはレーザ素子(半導体レーザLD)の出力が上げられることがなくなり、異常な状態でレーザ光7が出力され続けることがなくなる。つまり、照明装置1が正常な状態の場合のみ、所望の光量で白色光である光8が照明装置1から外部へ出射されることになる。
次に、照明装置1Eが定常状態で点灯している際に、何らかの異常を検知した場合の動作について説明する。
照明装置1Eが定常状態で点灯している間も光検出部PDは黄色の光を受光し、黄色の光を受光したことを示す検出信号を駆動回路20へ出力し続ける。駆動回路20は上記の検出信号を取得している間は半導体レーザLDが第2レベルの光量でレーザ光7を出力するように半導体レーザLDに駆動電流を供給し続ける。
ここで、もし照明装置1Eが定常状態で動作している途中に何らかの異常が発生し、光検出部PDが一定以上の黄色の光を受光しない状態となった場合、駆動回路20は半導体レーザ素子LDの駆動電流を下げ、第1レベルの光量でレーザ光7を出力するように半導体レーザLDの駆動電流を制御する。この時の「何らかの異常」とは、波長変換部の破損・脱落・劣化等の異常な状態となること、あるいは照明装置1Eに加えられる外的な力等によって生じるレーザ光7の光路のずれ(例えば光学部品である集光レンズ56及びダイクロイックミラー55の位置ずれなどによって生じる)が生じた場合が挙げられる。
つまり、照明装置1Eは、照明装置1Eが正常に点灯していることを常に監視しており、異常が生じた場合には即座に半導体レーザLDの出力が安全なレベルまで低下させられる機構を有している。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る照明装置1は、駆動信号(電流Io)が入力されることで、1次光であるレーザ光5を出射するレーザ素子(半導体レーザLD)と、上記レーザ光5により励起されることで2次光を発光する発光部(波長変換部15)と、上記2次光を受光する受光部(光検出部PD)と、上記レーザ素子(半導体レーザLD)に上記駆動信号(電流Io)を出力することで、上記レーザ素子(半導体レーザLD)の駆動を制御する駆動部(駆動回路20)とを備え、上記駆動部(駆動回路20)は、上記受光部(光検出部PD)が上記2次光を受光したか否かを判定する判定部(スイッチQ2)を備え、上記駆動部(駆動回路20)は、上記判定部(スイッチQ2)の判定結果に応じて、上記レーザ素子(半導体レーザLD)に出力する上記駆動信号(電流Io)を、相対的に光量が小さい第1レベルのレーザ光を上記レーザ素子に出射させるための第1駆動信号(電流値Io_off)とするか、上記第1レベルのレーザ光より光量が大きい第2レベルのレーザ光を上記レーザ素子に出射させるための第2駆動信号(電流値Io_on)とするかを選択することを特徴とする。
このように、駆動部は、上記判定部(スイッチQ2)の判定結果に応じて、上記レーザ素子(半導体レーザLD)に出力する上記駆動信号(電流Io)を、上記第1駆動信号とするか、上記第2駆動信号とするかを選択するため、波長変換部が異常状態であるにもかかわらず、レーザ光が、安全なレベルを超える第2レベルで出射されてしまうことを防止することができる。
これにより、安全なレベルを超えるレーザ光が照明装置の外部に漏洩することを防止することができる。
本発明の態様2に係る照明装置1は、上記態様1において、上記駆動部(駆動回路20)が上記第1駆動信号(電流値Io_off)を上記レーザ素子(半導体レーザLD)に出力している際に、上記判定部(スイッチQ2)が、上記受光部(光検出部PD)が上記2次光を受光したと判定すると、上記駆動部(駆動回路20)は、上記レーザ素子(半導体レーザLD)に出力する上記駆動信号(電流Io)を、上記第1駆動信号(電流値Io_off)から、上記第2駆動信号(電流値Io_on)に切り換える。
このように、駆動部は、波長変換部が正常に発光したことを確認してから、レーザ素子の駆動信号を、第1レベルのレーザ光を出射させる第1駆動信号から第2レベルのレーザ光を出射させる第2駆動信号へ切り換えるため、波長変換部が異常状態であるにもかかわらず、レーザ光が、安全なレベルを超える第2レベルで出射されてしまうことを防止することができる。
これにより、安全なレベルを超えるレーザ光が照明装置の外部に漏洩することを防止することができる。
本発明の態様3に係る照明装置1は、上記態様2において、上記判定部(スイッチQ2)が、上記受光部(光検出部PD)が上記2次光を受光したと判定するまで、上記駆動部(駆動回路20)は、上記第1駆動信号(電流値Io_off)を上記レーザ素子(半導体レーザLD)に出力することが好ましい。
これにより、安全な第1レベルである閾値以下でレーザ素子を駆動し、レーザ光が照明装置の外部へ漏えいしても安全を確保することができる。
本発明の態様4に係る照明装置1は、上記態様1〜3において、上記駆動部(駆動回路20)が上記第2駆動信号(電流値Io_on)を上記レーザ素子(半導体レーザLD)に出力している際に、上記判定部(スイッチQ2)が、上記受光部(光検出部PD)が受光する上記2次光が所定の光量より小さくなったと判定すると、上記駆動部(駆動回路20)は、上記レーザ素子(半導体レーザLD)へ出力する上記駆動信号(電流Io)を、上記第2駆動信号(電流値Io_on)から上記第1駆動信号(電流値Io_off)へ切り換えることが好ましい。
これにより、再び、レーザ素子は、第1レベルにてレーザ光を出射する。このため、安全性を確保することができる。
本発明の態様5に係る照明装置1A・1Bは、上記態様1〜4において、上記判定部(スイッチQ3、コンパレータCOMPTH、電源Vth、及び抵抗Rthは、光検出部PD)は、上記受光部(光検出部PD)が光を受光したときに出力する検出信号PD_inの強度が、所定の閾値以上であれば、上記受光部(光検出部PD)が上記2次光を受光したと判定することが好ましい。
上記構成によると、より、受光部が光を受光したか否かの判定の精度を向上させることができる。
本発明の態様6に係る照明装置1は、上記態様1〜5において、上記駆動部(駆動回路20)は、第1信号が入力される第1入力端子(プラス側入力端子、マイナス側入力端子)と、上記判定部による判定結果が反映された第2信号が入力される第2入力端子(マイナス側入力端子、プラス側入力端子)と、上記第1信号と第2信号とを比較した結果であるフィードバック信号FBを出力する出力端子とを有する比較器(コンパレータCOMP)を備え、上記駆動部(駆動回路20)は、上記フィードバック信号FBに基づいて、上記第1駆動信号(電流値Io_off)、又は、上記第2駆動信号(電流値Io_on)を生成することが好ましい。
上記構成により、上記駆動部は、上記判定部の判定結果に基づいて、上記第1駆動信号及び第2駆動信号を生成することができる。
本発明の態様7に係る照明装置1は、上記態様6において、上記判定部は、上記受光部(光検出部PD)が光を受光したときに出力する検出信号PD_inの強度に応じてオンとオフとが切り変わるスイッチQ2を有し、上記駆動部(駆動回路20)は、さらに、上記スイッチQ2に並列接続された第1抵抗(抵抗R2)と、当該第1抵抗(抵抗R2)と直接又は並列に接続されている第2抵抗(抵抗R1)とを備え、上記比較器(コンパレータCOMP)は、上記スイッチのオンとオフとの切り変わりにより変化する上記第1抵抗(抵抗R2)及び上記第2抵抗(抵抗R1)への印加電圧に基づいて、上記フィードバック信号FBを出力することが好ましい。
本発明の態様8に係る照明装置1は、上記態様1〜7において、上記受光部(光検出部PD)は、受光面に、上記1次光の波長を吸収するフィルタを備えていることが好ましい。これにより、精度よく、波長変換部の異常状態の有無を判定することができる。
本発明の態様9に係る照明装置1Eは、上記態様1〜8において、さらに、上記発光部(波長変換部57)からの上記2次光を、上記照明装置1の外部へ投光する投光部(ダイクロイックミラー55)を備え、上記発光部(波長変換部57)は、両主面である第1面と第2面とを有し、上記受光部(光検出部PD)は、上記発光部(波長変換部57)の上記第1面からの光の出射方向前方に配置されており、上記投光部(パラボラリフレクタ58)は、上記発光部(波長変換部57)の上記第2面からの光の出射方向前方に配置されていることが好ましい。
これにより、照明装置の外部に投光される光が、受光部によって遮られることを防止することができる。このため、レイアウトの自由度が高い照明装置を得ることができる。
本発明の態様10に係るレーザ素子の駆動方法は、駆動信号(電流Io)が入力されることで、1次光であるレーザ光5を出射するレーザ素子(半導体レーザLD)と、上記レーザ光5により励起されることで2次光を発光する発光部(波長変換部15)と、上記2次光を受光する受光部(光検出部PD)とを備え、上記レーザ素子(半導体レーザLD)に上記駆動信号(電流Io)を出力することで、上記レーザ素子(半導体レーザLD)の駆動を制御する照明装置1における、上記レーザ素子(半導体レーザLD)の駆動方法であって、上記受光部(光検出部PD)が上記2次光を受光したか否かを判定するステップと、上記判定ステップにおける判定結果に応じて、上記レーザ素子に出力する上記駆動信号(電流Io)を、相対的に光量が小さい第1レベルのレーザ光を上記レーザ素子に出射させるための第1駆動信号(電流値Io_off)とするか、上記第2レベルのレーザ光より光量が大きい第2レベルのレーザ光を上記レーザ素子に出射させるための第2駆動信号(電流値Io_on)とするかを選択するステップとを有することを特徴とする。
これにより、安全なレベルを超えるレーザ光が照明装置の外部に漏洩することを防止することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。