JP6675946B2 - 緊張力計測装置、緊張力計測方法、及び緊張力計測プログラム - Google Patents
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Description
まず、図1を用いて、本発明が適用される場面について説明する。図1は、本実施形態に係る緊張力計測装置1の適用場面を模式的に例示する。図1の例では、斜面を構成する地盤を安定させるため、複数のアンカー70が当該斜面に設置されている。
次に、図2を用いて、緊張力計測装置1のハードウェア構成の一例を説明する。図2は、本実施形態に係る緊張力計測装置1のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。図2に例示されるように、本実施形態に係る緊張力計測装置1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む制御部11、制御部11で実行されるプログラム8等を記憶する記憶部12、ネットワークを介した通信を行うための通信インタフェース13、マウス、キーボード等の入力を行うための入力装置14、画像の表示を行うためのディスプレイ15、音声を出力するためのスピーカ16、外部装置と接続するための外部インタフェース17、及び記憶媒体9に記憶されたプログラムを読み込むためのドライブ18が電気的に接続されたコンピュータである。ただし、図2では、通信インタフェース及び外部インタフェースは、それぞれ、「通信I/F」及び「外部I/F」と記載されている。
次に、図3を用いて、緊張力計測装置1の機能構成の一例を説明する。図3は、本実施形態に係る緊張力計測装置1の機能構成の一例を模式的に例示する。本実施形態では、緊張力計測装置1の制御部11が、記憶部12に記憶されたプログラム8をRAMに展開する。そして、制御部11は、RAMに展開されたプログラム8をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これにより、緊張力計測装置1は、加速度波形データ取得部111、スペクトル値算出部112、緊張力算出部113、評価部114、及び画像表示部115を備えるコンピュータとして機能する。
次に、図4を用いて、緊張力計測装置1の動作例を説明する。図4は、本実施形態に係る緊張力計測装置1による既設のアンカー70の緊張力算出に関する処理手順を例示する。なお、以下で説明する処理手順は、本発明の「緊張力計測方法」に相当する。ただし、以下で説明する緊張力算出に関する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。
まず、ステップS101では、制御部11は、加速度波形データ取得部111として機能し、既設のアンカー70の振動を示す加速度波形データ31を取得する。加速度波形データ31を取得すると、制御部11は、次のステップS102に処理を進める。
図4に戻り、次のステップS102では、制御部11は、スペクトル値算出部112として機能し、ステップS101で取得した加速度波形データ31をフーリエ変換することにより、図6に例示されるアンカー70の振動のフーリエスペクトル32を算出する。フーリエスペクトル32を算出すると、制御部11は、次のステップS103に処理を進める。
図4に戻り、次のステップS103では、制御部11は、スペクトル値算出部112として機能し、ステップS102で算出したフーリエスペクトル32の所定の周波数範囲におけるスペクトル値の平均値を代表フーリエスペクトル値SVとして算出する。代表フーリエスペクトル値SVを算出すると、制御部11は、次のステップS104に処理を進める。
次のステップS104では、制御部11は、緊張力算出部113として機能し、予め取得された代表フーリエスペクトルと緊張力との相関関係を示す相関関係情報33に基づいて、ステップS103で算出した代表フーリエスペクトル値SVに対応する既設のアンカー70の緊張力TFを算出する。緊張力TFを算出すると、制御部11は、次のステップS105に処理を進める。
相関関係情報33の実施例として、以下の条件のアンカーについて相関関係情報を生成した。ただし、相関関係情報33は、以下の実施例に限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜生成されてよい。
・アンカー材:全長19.8m(定着長7.5m、自由長12.05m、余長0.25m)のナット定着方式のアンカー
・設計アンカー力:605kN
・加速度センサ:LS−10C(リオン株式会社製)
・汎用振動計:VM−83(リオン株式会社製)
・データロガー:DC−204R(株式会社東京測器研究所製)
図4に戻り、次のステップS105では、制御部11は、評価部114として機能し、アンカーの緊張力の健全性に関する所定の評価基準に従って、ステップS104で算出した緊張力TFから既設のアンカー70の健全性を評価する。既設のアンカー70の健全性を評価が完了すると、制御部11は、次のステップS106に処理を進める。
1つ目の評価基準として、各アンカー70の緊張力TFの健全性を絶対的に評価するため、本ステップS105で利用する評価基準では、緊張力の上限値及び下限値が定められていてもよい。上限値は、過緊張を判定するための指標であり、例えば、設計アンカー力(例えば、605kN)であってよい。一方、下限値は、緊張力不足を判定するための指標であり、例えば、アンカーの緊張及び定着が終了した時点でアンカーのテンドンに作用していた定着時緊張力が605kN(=設計アンカー力)であれば、その80%に相当する490kNであってよい。定着時緊張力として605kNより小さい緊張力が設計上認められている場合には、下限値は、その荷重の80%でよい。ただし、上限値及び下限値は、このような例に限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。
2つ目の評価基準として、各アンカー70の緊張力TFの健全性を相対的に評価するため、本ステップS105で利用する評価基準では、隣接するアンカー同士の緊張力の差の許容値が定めされていてもよい。許容値は、隣接するアンカー同士で許容する緊張力の差の指標であり、例えば、20kNに設定されてもよい。ただし、許容値は、20kNに限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。また、許容値は、適宜、変更可能であってもよい。
3つ目の評価基準として、各アンカー70の緊張力TFの健全性を経時的に評価するため、本ステップS105で利用する評価基準では、所定の期間内におけるアンカーの緊張力の変動の許容値が定められていてもよい。許容値は、所定の期間内で許容する緊張力の変動値の指標であり、例えば、20kNに設定されてもよい。ただし、許容値は、20kNに限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。また、許容値は、適宜、変更可能であってもよい。
その他、ステップS103で算出された代表フーリエスペクトル値SVが、上記ステップS104で利用する相関関係情報33の示す相関関係式より緊張力TFを算出できない異常値であるケースがある。例えば、PC鋼線、PC鋼より線等のアンカー緊張材を複数本使用するタイプのアンカーで、一部のアンカー緊張材が切れており、残りのアンカー緊張材が定着している場合に、このようなケースが生じ得る。このケースが生じている場合にも、制御部11は、既設のアンカー70の緊張力は健全ではないと評価してもよい。
図4に戻り、次のステップS106では、制御部11は、画像表示部115として機能し、ステップS104での緊張力TFの算出結果及びステップS105での健全性の評価結果をディスプレイ15に表示する。本ステップ106の処理が完了すると、制御部11は、本動作に係る処理を終了する。
なお、上記処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。例えば、アンカー70の緊張力の健全性を評価しない場合には、ステップS105の処理は省略されてもよい。また、ステップS104における緊張力の算出結果及びステップS105における健全性の評価結果をディスプレイ15に表示しない場合には、ステップS106の処理は省略されてもよい。
以上のように、本実施形態に係る緊張力計測装置1によれば、設置作業が容易な加速度センサ21により得られる加速度波形データ31を上記ステップS101〜S104の処理に適用することで、既設のアンカー70の緊張力TFを特定することができる。そのため、本実施形態に係る緊張力計測装置1を利用すれば、既設のアンカー70の緊張力を簡易に測定することができる。
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
11…制御部、12…記憶部、13…通信インタフェース、
14…入力装置、15…ディスプレイ、16…スピーカ、
17…外部インタフェース、18…ドライブ、
21…加速度センサ、22…汎用振動計、23…データロガー
111…加速度波形データ取得部、112…スペクトル値算出部、
113…緊張力算出部、114…評価部、115…画像表示部、
31…加速度波形データ、32…フーリエスペクトル、
33…相関関係情報、34…履歴情報、
SV…代表フーリエスペクトル値、TF…緊張力、
70…アンカー、71…定着部、72…自由長部、
73…支圧板、74…ナット(定着具)
Claims (7)
- 既設のアンカーの振動を示す加速度波形データを取得する加速度波形データ取得部と、
前記取得した加速度波形データをフーリエ変換することにより、前記振動のフーリエスペクトルを算出し、当該算出したフーリエスペクトルの所定の周波数範囲におけるスペクトル値の平均値を代表フーリエスペクトル値として算出するスペクトル値算出部と、
予め取得された代表フーリエスペクトルと緊張力との相関関係を示す相関関係情報に基づいて、前記算出した代表フーリエスペクトル値に対応する前記既設のアンカーの緊張力を算出する緊張力算出部と、
を備える、
緊張力計測装置。 - アンカーの緊張力の健全性に関する所定の評価基準に従って、前記算出した緊張力から前記既設のアンカーの健全性を評価する評価部を更に備える、
請求項1に記載の緊張力計測装置。 - 前記評価基準では、前記緊張力の上限値及び下限値が定められており、
前記評価部は、前記算出した緊張力の値が前記上限値及び前記下限値の間である場合には、前記既設のアンカーの緊張力は健全であると評価し、そうでない場合には、前記既設のアンカーの緊張力は健全ではないと評価する、
請求項2に記載の緊張力計測装置。 - 前記加速度波形データ取得部は、複数の前記既設のアンカーについて、前記加速度波形データを取得し、
前記スペクトル値算出部は、前記複数の既設のアンカーについて、前記代表フーリエスペクトル値を算出し、
前記緊張力算出部は、前記各既設のアンカーの緊張力を算出し、
前記評価基準では、隣接するアンカー同士の緊張力の差の許容値が定めされており、
前記評価部は、対象のアンカーの算出した緊張力と当該対象のアンカーに隣接するアンカーの算出した緊張力との差の絶対値を計算し、当該計算した差の絶対値が前記許容値の範囲内である場合には、当該対象のアンカーの緊張力は健全であると評価し、そうでない場合には、当該対象のアンカーの緊張力は健全ではないと評価する、
請求項2又は3に記載の緊張力計測装置。 - 前記加速度波形データ取得部は、対象の前記既設のアンカーについて、前記加速度波形データを複数回取得し、
前記スペクトル値算出部は、前記加速度波形データを取得する度に、前記対象の既設のアンカーについての前記代表フーリエスペクトル値を算出し、
前記緊張力算出部は、前記代表フーリエスペクトル値を算出する度に、前記対象の既設のアンカーの緊張力を算出し、
前記評価基準では、所定の期間内におけるアンカーの緊張力の変動の許容値が定められており、
前記評価部は、前記対象のアンカーの算出した緊張力の所定期間内における変動の絶対値を計算し、当該計算した変動の絶対値が前記許容値の範囲内である場合には、当該対象のアンカーの緊張力は健全であると評価し、そうでない場合には、当該対象のアンカーの緊張力は健全ではないと評価する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の緊張力計測装置。 - コンピュータが、
既設のアンカーの振動を示す加速度波形データを取得するステップと、
前記取得した加速度波形データをフーリエ変換することにより、前記振動のフーリエスペクトルを算出するステップと、
当該算出したフーリエスペクトルの所定の周波数範囲におけるスペクトル値の平均値を代表フーリエスペクトル値として算出するステップと、
予め取得された代表フーリエスペクトルと緊張力との相関関係を示す相関関係情報に基づいて、前記算出した代表フーリエスペクトル値に対応する前記既設のアンカーの緊張力を算出するステップと、
を実行する緊張力計測方法。 - コンピュータに、
既設のアンカーの振動を示す加速度波形データを取得するステップと、
前記取得した加速度波形データをフーリエ変換することにより、前記振動のフーリエスペクトルを算出するステップと、
当該算出したフーリエスペクトルの所定の周波数範囲におけるスペクトル値の平均値を代表フーリエスペクトル値として算出するステップと、
予め取得された代表フーリエスペクトルと緊張力との相関関係を示す相関関係情報に基づいて、前記算出した代表フーリエスペクトル値に対応する前記既設のアンカーの緊張力を算出するステップと、
を実行させるための緊張力計測プログラム。
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