JP6675647B2 - カーボンナノチューブ製造用の触媒前駆組成物とその製造方法、および、触媒前駆組成物を用いたカーボンナノチューブの製造方法と製造装置 - Google Patents

カーボンナノチューブ製造用の触媒前駆組成物とその製造方法、および、触媒前駆組成物を用いたカーボンナノチューブの製造方法と製造装置 Download PDF

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本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)製造用の触媒前駆組成物とその製造方法、および、当該触媒前駆組成物を用いたカーボンナノチューブの製造方法と製造装置に関する。
単層カーボンナノチューブ(CNT)は、直径が0.6〜数nmで長さが数μm以上になり、アスペクト比が非常に大きい。こうした細長い形状から走査プローブの針や電子放出源として省電力の薄型テレビへの応用が期待されている。また、その優れた電気電子的特性と安定性から、トランジスタや透明電極、バッテリーやキャパシタの電極等、様々な応用が提案されている。
フェロセン等の金属ナノ粒子を含む金属触媒源および硫黄化合物等の助触媒源の蒸気を反応炉内に供給し、カーボンナノチューブを連続合成することは広く行われている。本発明は、それを容易に、かつ、より安定にするものである。
カーボンナノチューブの製造では、金属ナノ粒子が、カーボンナノチューブの直径を決める鋳型として、また副反応を抑えてカーボンナノチューブ生成を促進する触媒として極めて重要である。種々の触媒が開発されてきたが、中でも鉄を含む金属の金属触媒、特に遷移金属触媒に硫黄成分を助触媒として添加したものが高活性であるとして知られている。
浮遊触媒CVD法や火炎合成法では、これら気化された触媒原料を反応炉内の反応場に連続供給し、カーボンナノチューブを連続的に合成する。触媒としての鉄蒸気の供給源としてフェロセンが汎用されるが、フェロセンを融点以上に加熱すると蒸気圧が高すぎるため、固体状態のフェロセンを昇華させることで、鉄を供給するのが通常であった。
硫黄蒸気の供給源としてはチオフェン(C4H4S)、二硫化炭素(CS2)、硫黄(S)などが用いられるが、中でも硫黄が低毒性で扱いやすい。硫黄は、フェロセン等の金属触媒源とは別途、昇華により供給されるのが通常であった。
このように、フェロセンおよび硫黄はそれぞれ代表的な金属触媒(Fe)源としての触媒前駆化合物、硫黄源としての助触媒前駆化合物であるが、常温常圧では固体であり、固体のままで連続的に供給する場合には、スクリューフィーダー等で蒸発器に送ることが通常考えられる程度である。
これに対し、フェロセンと硫黄とを有機溶媒等に溶かして溶液化し、不活性ガスのバブリングによる気化供給や、霧化供給または蒸発供給する方法も知られている。例えば特許文献1には、トルエン100g中にフェロセン0.4gとチオフェン0.4gと非イオン界面活性剤1.0gとを混合して所定の処理を行った原料混合物を反応場に噴霧することが開示されている。特許文献2には、フェロセン0.49kgと硫黄0.01kgをベンゼン13.5kgに溶解し、原料液を調整し、反応場に噴霧することが開示されている。
特許第5046078号公報 特開2014−177722号公報
従来のようにフェロセン等の金属触媒源を昇華により気相で反応炉内に供給する場合、固体状のフェロセン粉末は徐々に焼結し表面積が変わるため、フェロセン蒸気の供給が安定しない問題があった。助触媒源としての固体状の硫黄粉末を昇華により気相で反応炉内に供給する場合も同様の問題を抱える。
上記特許文献1および2では、金属触媒源および助触媒源を有機溶媒に溶解して溶液化している。しかしながら、この場合、金属触媒源および助触媒源に対して有機溶媒の方が多くなる。さらに、常温で固体の金属触媒源、助触媒源に対し、常温で液体の有機溶媒の多くはより高い蒸気圧を有す。触媒原料と炭素原料を独立に高度に制御しようとしても、触媒原料よりも多くの有機溶媒が装置内に混入し、有機溶媒蒸気は炭素源として作用するため、前記独立制御は困難である。
高沸点溶剤に多量の金属触媒源を溶解した溶液と、助触媒源を溶解させた溶液とを用意し、それぞれバブリングすることにより金属触媒および助触媒を気化させて反応炉内に供給することも不可能ではない。しかしながら、高沸点溶剤を用いる場合、溶解量と溶解速度に限界があり、金属触媒源の供給量が安定しない問題がある。また、炭化水素を構成する元素以外の異元素があると合成物にCNT以外のものが混入する可能性が高くなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属触媒および助触媒の各々の蒸気圧を安定に制御して、金属触媒を主成分、助触媒を副成分として含む気化された触媒原料を、カーボンナノチューブの製造に不要な化合物を混入することなく、長時間連続供給することが可能なカーボンナノチューブ製造用の触媒前駆組成物とその製造方法、および、当該触媒前駆組成物を用いたカーボンナノチューブの製造方法と製造装置を提供することを課題とする。
本発明はかかる課題を解決するため、有機遷移金属錯体化合物を溶質として、含硫黄成分を溶媒として含有するカーボンナノチューブ製造用の触媒前駆組成物を提供する。
前記触媒前駆組成物は、硫黄元素に対して遷移金属を合計0.1〜10重量%含有し、前記含硫黄成分の沸点が1気圧にて50℃以上1000℃以下であり、前記含硫黄成分を硫黄元素として10質量%以上含有し、0℃〜200℃のいずれかの範囲で液体とすることができる。
前記遷移金属はFe、Ni、Co、Y、Mo、Laから選択される少なくとも1つとすることができる。
前記触媒前駆組成物は、Fe、Ni、Co、Y、Mo若しくはLaから選択される金属を含有する有機遷移金属錯体化合物の少なくとも1つ、および/または、前記金属の中の複数の金属を含有する有機遷移金属錯体化合物の少なくとも1つを含有してもよい。
前記有機遷移金属錯体化合物はフェロセン、1,1-ジメチルフェロセン、ペンタメチルフェロセン、アセチルフェロセン、ベンゾイルフェロセン、シクロペンタジエニル鉄カルボニルダイマー、コバルトセン、ニッケロセンおよびテトラカルボニルニッケルから選択される少なくとも1つとすることができる。
前記含硫黄成分は硫黄、チオフェン、メチルチオフェン、エチルチオフェン、ヘキシルチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、テトラヒドロチオフェン、スルホラン、テトラメチレンスルホキシド、炭素数3以上のアルキルチオールおよびチオフェノールから選択される少なくとも1つとすることができる。
本発明は、カーボンナノチューブ製造用の触媒前駆組成物の製造方法が、溶融した含硫黄化合物に有機遷移金属錯体化合物を溶解させる工程を含んでもよい。
本発明は、カーボンナノチューブの製造方法が、触媒前駆組成物を気化する工程と、気化した前記有機遷移金属錯体化合物、および気化した前記含硫黄成分を反応炉内に供給する工程と、炭素源ガスを反応炉内に供給する工程とを含んでもよい。
前記気化する工程は、前記触媒前駆組成物を0〜400℃の範囲のいずれかの温度下でバブリングして気化する工程とすることができる。
本発明は、カーボンナノチューブの製造装置が、触媒前駆組成物を気化する手段と、気化した前記有機遷移金属錯体化合物、および気化した前記含硫黄成分を反応炉内に供給する手段と、炭素源ガスを反応炉内に供給する手段とを備えてもよい。
本発明の触媒前駆組成物によれば、金属触媒源としての触媒前駆化合物を反応炉に導入する助触媒源としての含硫黄成分に溶解させることで、余計な化合物を導入せずに金属触媒および助触媒を安定して長時間連続供給することができる。
当該触媒前駆組成物の製造方法は、溶融した助触媒源としての含硫黄成分に金属触媒源としての触媒前駆化合物を溶解させる簡便な方法により構成される。
当該触媒前駆組成物を用いたカーボンナノチューブの製造方法によれば、安定して触媒原料を反応炉に連続供給することができ、カーボンナノチューブの製造の高制御性および高再現性を実現することができる。
本発明の触媒前駆組成物を用いた実施例としてのカーボンナノチューブの製造装置の概略図である。 比較例1のカーボンナノチューブの製造装置の概略図である。 同上、触媒原料供給部の概略図である。 同上、助触媒供給部の概略図である。 実施例と比較例1の膜重量を指標として比較したグラフである。 同上、Fe/Cを指標としてバブリング法と従来法である昇華法とを比較したグラフである。 同上、ID/IGを指標としてバブリング法と従来法である昇華法とを比較したグラフである。 同上、Fe供給量を指標としてバブリング法と従来法である昇華法とを比較したグラフである。 同上、C合成量を指標としてバブリング法と従来法である昇華法とを比較したグラフである。 比較例2のカーボンナノチューブの製造装置の概略図である。
本発明はカーボンナノチューブ製造用の触媒を連続的に供給するのに適した触媒原料である。本実施の形態としての触媒原料は、カーボンナノチューブ製造用の有機遷移金属錯体化合物を溶質として、含硫黄成分を溶媒として含有する触媒前駆組成物である。当該有機遷移金属錯体化合物は通常金属触媒源として利用され、含硫黄成分は助触媒源として利用される。
前記触媒前駆組成物は、助触媒原料である助触媒前駆化合物を溶媒として、触媒原料である触媒前駆化合物を溶質として前記溶媒に溶解された溶液として使用される。
前記触媒前駆組成物は、使用時には液体として使用されるが、例えば、該触媒前駆組成物の融点以下の温度で、固体として貯蔵、保存し、使用時に液体として使用することができる。
触媒前駆組成物は、触媒成分としての遷移金属を硫黄元素に対して合計0.1〜10重量%含有することが好ましい。遷移金属としては、例えばFe、Ni、Co、Y、Mo、Laから選択される少なくとも1つを使用することができる。これらの遷移金属は有機遷移金属錯体として含有されていることが好ましい。有機遷移金属錯体化合物としては、例えばFe、Ni、Co、Y、Mo若しくはLaから選択される金属を含有する有機遷移金属錯体化合物の少なくとも1つ、および/または、前記金属の中の複数の金属を含有する有機遷移金属錯体化合物の少なくとも1つを含むことができる。また、有機遷移金属錯体化合物は、例えばフェロセン、1,1-ジメチルフェロセン、ペンタメチルフェロセン、アセチルフェロセン、ベンゾイルフェロセン、シクロペンタジエニル鉄カルボニルダイマー、コバルトセン、ニッケロセンおよびテトラカルボニルニッケルから選択される少なくとも1つを使用することができる。これらの中で遷移金属として特に好ましいものはFeであり、有機遷移金属錯体化合物として特に好ましいものはフェロセンである。
含硫黄成分としては、例えば硫黄、チオフェン、メチルチオフェン、エチルチオフェン、ヘキシルチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、テトラヒドロチオフェン、スルホラン、テトラメチレンスルホキシド、炭素数3以上のアルキルチオール、または、チオフェノールのうちの少なくとも1つを使用することができる。含硫黄成分の沸点は1気圧にて50℃以上1000℃以下であることが好ましい。触媒前駆組成物は、含硫黄成分を硫黄元素として10質量%以上含有することが好ましい。硫黄は、鉄粒子の表面エネルギーを下げ、小さい触媒粒子を安定に形成させる効果がある。また、硫化鉄(FeS)の共晶を作ることで、鉄の触媒粒子からの炭素析出を促進することも期待できる。
硫黄は融点が低く、蒸気圧も低く非極性である。これに対し、フェロセンは高融点であり、高蒸気圧で非極性溶媒に溶けやすいため、硫黄融液にフェロセンを溶解した溶液によれば、115〜175℃の広範囲で、不活性ガスのバブリングによりフェロセンを主成分、硫黄を副成分とした気化された触媒原料を安定的に連続供給することができる。
前記溶液には、例えば金属触媒源および助触媒源の成分のみが含まれることが好ましい。フェロセンと硫黄を使用した溶液の場合、溶液内の鉄と硫黄の重量比は適宜設定可能であり、例えばFe:S=1:60程度であることが好ましい。また、本実施の形態の触媒前駆組成物は融点を下げる目的で少量の溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、装置内に混入する溶媒量を少なくするため、150℃以上の沸点の溶媒が好ましく、不揮発性のイオン液体がより好ましい。
尚、本実施の形態の触媒前駆組成物は0℃〜200℃のいずれかの範囲で液体である。当該触媒前駆組成物は、例えば、溶融した含硫黄化合物に有機遷移金属錯体化合物を溶解させて製造することができる。また、当該触媒前駆組成物を用いたカーボンナノチューブの製造方法は、触媒前駆組成物を気化する工程と、気化した触媒または触媒前駆体、および助触媒または助触媒前駆体を反応炉内に供給する工程とを含む、例えば、物理気相成長法(PVD法)や化学気相成長法(CVD法)、火炎合成法を含む金属触媒を使用する全てのカーボンナノチューブの製造方法に適用でき、気相中に浮遊した状態の触媒粒子ないし支持体上に担持した状態の触媒粒子の生成に利用することができる。さらに、当該触媒前駆組成物を用いたカーボンナノチューブの製造装置は、触媒前駆組成物を気化する手段と、気化した触媒または触媒前駆体、および助触媒または助触媒前駆体を反応炉内に供給する手段とを備える。製造装置の具体的な構成の一例は実施例で詳細に説明する。
触媒前駆組成物を気化してカーボンナノチューブの製造装置へ供給する方法の例としては、触媒前駆組成物にアルゴンガス等の不活性ガスを供給してバブリングする方法がある。また、触媒前駆組成物をシリンジポンプ等で200℃程度以上の蒸発器に送液し、液体をすべて蒸発させて供給する方法もある。その他、触媒前駆組成物をミスト状に噴霧して、アルゴンガス等に同伴させて反応炉内に霧化供給する方法もある。霧化する方式としては、二流体ノズルや静電霧化、超音波霧化による方法がある。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。ここに記述される実施例は本発明の実施形態を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
(実施例の製造装置の構成および製造条件)
図1に示す火炎合成によるカーボンナノチューブの製造装置1を用いて、カーボンナノチューブを製造した。製造装置1は、その内部でカーボンナノチューブ2が合成されるチャンバー3と、チャンバー3に接続される第一の管4、第二の管5および第三の管6の三つの異なる管と、チャンバー3に設けられる保温手段7とを備える。
チャンバー3は、石英ガラスからなる円筒状の容器で形成される。チャンバー3内の反応領域において、カーボンナノチューブ2の成長が行われる。
チャンバー3は、第三の管6のガスがチャンバー3の内部に向かって流出する第三の流出口52のやや下方において、円筒の断面が縮径された縮径部32を有する。26は縮径が始まる部分の第一のチャンバー底部であり、30は縮径されたチャンバー3の底部となる第二のチャンバー底部である。
第一の管4は、縮径されたチャンバー3の第二のチャンバー底部30に接続され、予混合火炎12のバーナーを構成する。したがって、第一の管4たるバーナーの第一の管流出口50は、縮径されたチャンバー3の縮径部32内に設けられ、予混合火炎12は、好ましくは縮径されたチャンバー3の縮径部32内で形成される。第一の管4には、燃料ガスとしてのエチレン(C2H4)ガスを、酸化ガスとしての酸素(O2)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスとともに供給した。さらに、第一の管4への触媒原料を含むガスの供給路4aには、本発明に係る触媒前駆組成物11をバブリングにより気化させて供給した。
触媒前駆組成物11として、金属触媒源としての触媒前駆化合物のフェロセン(Fe(C55)2)を溶質として、助触媒源としての硫黄を融点以上に加熱して得た硫黄融液に溶解させた溶液を使用した。鉄と硫黄の重量比はFe:S=1:60とした。アルゴンガスを当該溶液に供給してバブリングを行った。このバブリング用のアルゴンガスをAr (Fe&S)と表記する。
こうして触媒原料を含むガスの供給路4aを通り、第一の管4からチャンバー3の反応炉内に、気化した触媒原料の主成分であるフェロセンと、副成分である硫黄を含むガスを予混合ガスとして供給した。さらに、第一の管4には40%O/Arとともにアルゴン(Ar)ガスも併せて予混合ガスとして供給した。この気化された触媒前駆組成物11を含む予混合ガスが予混合火炎12を通過する際に、触媒および助触媒原料としての触媒前駆組成物11が分解される。ここで、主成分とは気化した触媒原料中で最も含有量の多い成分のことをいう。副成分とは主成分以外の成分のことをいう。
第二の管5は、第一の管4と同様に、縮径されたチャンバー3の第二のチャンバー底部30に接続される。第二の管5には、炭素原料ガスとしてのエチレン(C2H4)ガスをアルゴン(Ar)ガスとともに供給した。この炭素原料ガスは、第二の管流出口51からチャンバー3の縮径部32内に供給される。そして、炭素原料ガスとアルゴンガスは、第一の管4の端部の予混合火炎12で分解された触媒前駆組成物11と混合し、触媒粒子15とカーボンナノチューブ2が核発生される。
第三の管6は、チャンバー3の外周に、チャンバー3のチャンバー側部27を覆うようにして設けられる。第三の管6には、炭素源ガスとしてのメタン(CH4)ガスを、アルゴンガスとともに供給した。炭素源ガスは上記の触媒粒子15および核発生したカーボンナノチューブ2と混合し、カーボンナノチューブ2を成長させる。炭素源ガスは、チャンバー3の上方から下方に向かって流れ、チャンバー側部27に設けられた第三の管流出口52から、水平方向にチャンバー3内に供給される。第三の管流出口52はチャンバー3の第一のチャンバー底部26の若干上部に設けた。
以上のような構成により、第一の管流出口50、第二の管流出口51および第三の管流出口52は、第一の管4から流出するガスが、第二の管5から流出するガスと合流した後に、第三の管6から流出するガスが合流するように設置されている。
保温手段7として、チャンバー3の外周に加熱炉33を設けた。加熱炉33は、第三の管6の外周に設けられ、ニクロム線に電流を流して加熱する電気炉を使用し、温度を管理した。この加熱炉33により、チャンバー3内の反応領域8の温度を管理して、カーボンナノチューブ2の成長温度を維持し、成長時間の増大を図る。さらに、加熱炉33により、第三の管6内を流れる炭素源ガスを予熱し、炭素源ガス16は、この予熱後に、チャンバー3内に供給した。
第一の管4、第二の管5および第三の管6の内部を流れるガスの流量は、それぞれ図示しないマスフローコントローラにより制御した。
第一の管4からチャンバー3内に延びるバーナーとして、内径1mmと2mmの石英管またはステンレス管を使用した。バーナーの高さは、バーナーの先端が第一のチャンバー底部26よりも低い位置になるようにした。
反応領域8で合成されたカーボンナノチューブ2は、チャンバー上部25の下流に設けられたメンブレンフィルターによる捕集手段(図示せず)により捕集した。
表1に第一の管4、第二の管5および第三の管6に供給したガス種とガス流量を示す。表中の記載において、例えば、Arのガス種でガス流量が「various(0-300)」と記載されるのは、Arガスを0〜300sccmの範囲内で供給したことを意味する。以降の表においても同様である。尚、1sccmは標準状態(0℃, 100kPa)で体積1cm3の気体を1秒間に流す流量であり、温度T(℃)、圧力P(kPa)では、100(T+273.15)/(P´273.15) cm3/sの体積流量となる。
表2にカーボンナノチューブの製造時の温度条件を示す。表中、「Furnace」は加熱炉33の温度条件、「Ferrocene + Sulfur」はフェロセンと硫黄との溶液の温度条件、「Burner」は触媒および助触媒がセットされているバブラーの直後(後流)から予混合火炎12までの配管の温度条件を示す。加熱炉33の好ましい温度範囲は800〜1400℃である。低温では煤の生成を抑えることが容易であり、高温ではカーボンナノチューブの生成速度と結晶性を高めることができる。より好ましくは900〜1300℃であり、煤の生成を抑えつつカーボンナノチューブの生成速度と結晶性を高めることができる。触媒前駆組成物の気化部の温度は、触媒前駆組成物の気化部が熱分解しない温度であればよく、0〜400℃が好ましい。触媒前駆組成物の気化にバブリングを用いる場合は、触媒前駆組成物が液体であればよく、0〜200℃がより好ましい。本実施例では、フェロセンと硫黄からなる触媒前駆組成物をバブリングにより気化したが、フェロセンと硫黄の蒸気圧を適切に保つためバブリングを120〜140℃で行った。触媒および助触媒がセットされているバブラーの直後(後流)から予混合火炎12までの配管は、配管内でのフェロセンと硫黄の析出を防ぐべく、125〜150℃の温度範囲に設定した。なお、バブラーへのキャリアガス流量を増やす場合は気化温度を下げ、キャリアガス流量を増やす場合は気化温度を上げることが好ましい。
カーボンナノチューブの製造時間は1回につき5分間または10分間とし、41回の製造を行った。
(比較例1の製造装置の構成および製造条件)
図2に示す火炎合成によるカーボンナノチューブの製造装置1’を用いて、カーボンナノチューブを製造した。実施例の製造装置1と同様の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
実施例の製造装置1におけるチャンバー3とは、図1の縮径部32を有さない点で異なる。
第一の管4には、燃料ガスとしてのエチレン(C2H4)ガスを、酸化ガスとしての酸素(O2)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスとともに供給した。さらに、固体状のフェロセン粉末を昇華により気化させて、第一の管4に供給した。
図3に触媒原料としてのフェロセンを供給する触媒原料供給部35を示す。触媒原料供給部35は、石英管からなる触媒原料供給部の壁36内に直接フェロセン粉末37を仕込み、その両側を石英綿からなる触媒原料保持材38で塞ぐ。このような構成により、フェロセンの供給量を、フェロセン粉末37の仕込み量に依らず、蒸気圧、すなわち温度で制御することが可能になる。フェロセンの温度制御は、熱電対39を石英管36の外壁に接しさせて、その外側からリボンヒーター40で行った。アルゴンガスを触媒原料供給部35に供給することで触媒原料を昇華し、ガス流量により触媒原料を含むガスの供給量を制御した。この触媒原料蒸気供給用のアルゴンガスをAr (Fe)と表記する。
触媒原料供給部35の入口付近には、触媒原料供給部35を通さずに、触媒原料供給部35の出口付近にアルゴンガスを流通するバイパスライン46を設けた。昇温中および降温中は、触媒原料を含むガスがバイパスライン46を通るようにすることで、余分な触媒原料が第一の管4に供給されないようにする。こうすることで、合成後に捕集されるカーボンナノチューブ2に含まれる不純物Feの量を減らした。
第二の管5には、炭素原料ガスとしてのエチレン(C2H4)ガスをアルゴン(Ar)ガスとともに供給した。さらに、固体状の硫黄粉末を昇華により気化させて、第二の管5に供給した。
図4に助触媒9としての硫黄を供給する助触媒供給部41を示す。助触媒供給部41は、石英管からなる助触媒供給部の壁54内で、助触媒粉末55の両側に石英綿からなる助触媒保持材42を配置する構造となっている。硫黄源としては、硫黄粉末を使用した。硫黄の温度制御は、熱電対59を石英管54の外壁に接しさせて、その外側からリボンヒーター60で行った。アルゴンガスを助触媒供給部41に供給することで助触媒原料を昇華し、ガス流量により助触媒を含むガスの供給量を制御した。この助触媒蒸気供給用のアルゴンガスをAr (S)と表記する。
助触媒供給部41の出口付近には、助触媒供給部41を通さずに、触媒原料供給部41の出口付近に、アルゴンガスを流通するバイパスライン47を設けた。昇温中および降温中は、助触媒を含むガスがバイパスライン47を通るようにすることで、余分な助触媒が第一の管4に供給されないようにする。こうすることで、合成後に捕集されるカーボンナノチューブ2に含まれる不純物Sの量を減らした。
第三の管6には、メタンを炭素源ガスとして、アルゴンとともに供給した。炭素源ガスは触媒粒子15と混合させることにより、カーボンナノチューブ2を成長させる。炭素源ガス16は、チャンバー3の上方から下方に向かって流れ、チャンバー側部27に設けられた第三の管流出口52から、水平方向にチャンバー3内に供給される。第三の管流出口52はチャンバー3の第一のチャンバー底部26の上部に設けた。
表3に第一の管4、第二の管5および第三の管6に供給したガス種とガス流量を示す。実施例と異なり、助触媒である硫黄は第二の管5から供給した。
表4にカーボンナノチューブの製造時の温度条件を示す。表中、「Furnace」は加熱炉33の温度条件、「Ferrocene」はフェロセン粉末の温度条件、「Sulfur」は硫黄の温度条件、「Burner」は触媒および助触媒がセットされている箇所の直後(後流)から予混合火炎12までの配管の温度条件を示す。
カーボンナノチューブの製造時間はすべて1回につき10分間とし、64回の製造を行った。
(統計解析)
本発明のバブリング法での膜重量、Fe供給量及びC合成量の評価には、10分間当たりの数値を求めて、統計解析に使用した。
統計解析には、統計解析ソフトEZR (http://www.jichi.ac.jp/saitama-sct/SaitamaHP.files/statmed.html) を使用し、各群の分散(バラつき)の程度は変動係数(CV値)で表し、分散についての有意差検定にはF検定法を、平均値の有意差検定にはノンパラメトリック検定法であるMann-WhitneyのU検定法を使用し、p値0.05を有意水準として評価した。
(実施例および比較例1の評価結果)
実施例および従来法として昇華法を使用した比較例1において、すべてのサンプルで単層カーボンナノチューブが製造されたことを、SEM分析およびラマン分光分析により確認した。製造されたカーボンナノチューブ2は、捕集手段のメンブレンフィルター上に膜状に捕集される。以下、膜重量、Fe/C、ID/IG、Fe供給量およびC合成量を指標として、実施例と比較例1とを比較した結果について説明する。
<膜重量>
1回の製造で製造されたカーボンナノチューブの総重量を膜重量(mg)として製造サンプルの統計解析を行った結果、実施例の平均膜重量は4.47mg、標準偏差σは1.46mg、変動係数は0.326であった。比較例1の平均膜重量は4.96mg、標準偏差σは2.16mg、変動係数は0.436であった。図5が平均膜重量および標準偏差を示すグラフである。図中、「バブリング法」が実施例、「昇華法」が比較例1であり、以降の図および表においても同様である。
表5に膜重量の変動係数(CV値)、F検定およびMann-WhitneyのU検定の統計解析結果を示す。尚、表中のFe/C、ID/IG、Fe供給量およびC合成量の項目については後述する。
平均膜重量は実施例と比較例1との平均値で有意差を認めなかったが、標準偏差σおよび変動係数はともに実施例の方が小さかった。両群の分散に有意差が認められた。したがって、実施例では比較例1に比べてカーボンナノチューブの製造量が安定していることが分かる。
<Fe/C>
1回の製造で製造されたカーボンナノチューブのFe/C(wt%/wt%)について製造サンプルの統計解析を行い評価した。Fe/Cは、EDS分析により得られる値であり、不純物含有率を示す指標である。Fe/Cの値が小さい程、カーボンナノチューブの純度が高いことを示す。実施例の平均値は0.864、標準偏差σは0.612、変動係数は0.709であった。比較例1の平均値は4.01、標準偏差σは4.86、変動係数は1.21であった。図6が平均値および標準偏差を示すグラフである。
Fe/Cの平均値は実施例の方が比較例1よりも小さく、実施例の方がカーボンナノチューブの純度が有意に高いことが分かる。標準偏差σおよび変動係数はともに実施例の方が小さい。F検定およびMann-WhitneyのU検定について有意差が認められた。したがって、実施例では比較例1に比べて純度の高いカーボンナノチューブを安定して製造できていることが分かる。
<ID/IG
1回の製造で製造されたカーボンナノチューブのID/IGについて製造サンプルの統計解析を行い評価した。ID/IGは、ラマン分光分析により得られる値で、カーボンナノチューブの結晶性を示す指標である。ラマンスペクトルにおいて、1590cm-1付近に現れるピークは、G-bandと呼ばれ、六員環構造を有する炭素原子の面内方向の伸縮振動に由来するものである。また、1350cm-1付近に現れるピークは、D-bandと呼ばれ、六員環構造に欠陥があると現れやすくなる。相対的なカーボンナノチューブの質は、G-bandに対するD-bandのピーク強度比ID/IGによって評価することができ、ID/IGの値が小さいほど結晶性の高いカーボンナノチューブであるといえる。ラマン分光分析は励起波長488nmで行った。実施例の平均値は0.025、標準偏差σは0.016、変動係数は0.653であった。比較例1の平均値は0.141、標準偏差σは0.223、変動係数は1.596であった。図7が平均値および標準偏差を示すグラフである。
ID/IGの平均値は実施例の方が比較例1よりも有意に小さく、実施例の方が結晶性が高くて質が高いカーボンナノチューブを製造できていることが分かる。標準偏差σおよび変動係数はともに実施例の方が小さい。両群の分散についても有意差が認められた。したがって、実施例では比較例1に比べて質の高いカーボンナノチューブを安定して製造できていることが分かる。
<Fe供給量>
1回の製造で製造されたカーボンナノチューブのFe供給量について製造サンプルの統計解析を行い評価した。Fe供給量は、膜重量とFe/C比をもとに、捕集したカーボンナノチューブ2の膜中の鉄の含有量である。実施例の平均値は1.81mg、標準偏差σは0.937mg、変動係数は0.519であった。比較例1の平均値は3.30mg、標準偏差σは2.20mg、変動係数は0.664であった。図8が平均値および標準偏差を示すグラフである。
Fe供給量の平均値は実施例の方が比較例1よりも有意に小さいことが分かる。標準偏差σおよび変動係数はともに実施例の方が小さい。分散についても両群で有意差が認められた。したがって、実施例では比較例1に比べて鉄を安定して供給できていることが分かる。
<C合成量>
1回の製造で製造されたカーボンナノチューブのC合成量について製造サンプルの統計解析を行った。C合成量は、膜重量とFe/C比をもとに、捕集したカーボンナノチューブ2の膜中の炭素の含有量である。実施例の平均値は2.66mg、標準偏差σは1.21mg、変動係数は0.453であった。比較例1の平均値は1.65mg、標準偏差σは1.22mg、変動係数は0.739であった。図9が平均値および標準偏差を示すグラフである。
C合成量の平均値は実施例の方が比較例1よりも大きいことが分かる。標準偏差σおよび変動係数はともに実施例の方が小さい。Mann-WhitneyのU検定について有意差が認められた。したがって、実施例では比較例1に比べてC合成量の多いカーボンナノチューブを安定して製造できていることが分かる。
(比較例2の製造装置の構成および製造条件と評価結果)
図10に示す火炎合成によるカーボンナノチューブの製造装置1’’を用いて、カーボンナノチューブを製造した。実施例の製造装置1および比較例1の製造装置1’と同様の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
比較例1の製造装置1’とは、触媒原料供給部35および助触媒供給部41の構成が異なる。触媒原料供給部35では、有機溶媒である3-フェノキシトルエンにフェロセンを溶解させたフェロセン溶液にアルゴンガスを供給してバブリングすることによりフェロセンを気化させて反応炉内に供給した。助触媒供給部41では、液体の2-ヘキシルチオフェンにアルゴンガスを供給してバブリングすることにより気化させて反応炉内に供給した。
実施例および比較例2において、すべてのサンプルで単層カーボンナノチューブが製造されたことを、SEM分析およびラマン分光分析により確認した。
まず、2-ヘキシルチオフェンの温度を0℃に設定して、カーボンナノチューブの製造を行った。表6に第一の管4、第二の管5および第三の管6に供給したガス種とガス流量を示す。表7にカーボンナノチューブの製造時の温度条件を示す。表中、「Furnace」は加熱炉33の温度条件、「Ferrocene」はフェロセン溶液の温度条件、「Hexylthiophene」は2-ヘキシルチオフェンの温度条件、「Burner」は触媒および助触媒がセットされている箇所の直後(後流)から予混合火炎12までの配管の温度条件を示す。カーボンナノチューブの製造時間は10分間とした。
表8に、製造されたカーボンナノチューブの膜重量(weight)、Fe/Cの値およびID/IGの値を示す。Fe/Cの値およびID/IGの値を実施例のそれぞれの平均値と比較すると、実施例の方が良好な値であることが分かる。
次に、2-ヘキシルチオフェンの温度を20℃に設定して助触媒を供給して実験を行った。表9に、第一の管4、第二の管5および第三の管6に供給したガス種とガス流量を、表10にカーボンナノチューブの製造時の温度条件を、表11にカーボンナノチューブ製造の評価結果を示す。表9および10中の表示は表6および7と同様である。カーボンナノチューブの製造時間は10分間とした。条件(a)および(b)では実験を二回ずつ行い、その結果を(a−1),(a−2),(b−1),(b−2)と表記している。
捕集されたカーボンナノチューブのFe/Cの値は、(a)が13.8および1.11、(b)が2.99および2.58、(c)が5.75であり、ID/IGの値は(a)が0.222および0.055、(b)が0.051および0.016、(c)が0.147であり、実施例のそれぞれの平均値と比較すると、実施例の方がばらつきが小さく良好な値であることが分かる。
次にフェロセンの供給量を変化させた実験を行った。表12に第一の管4、第二の管5および第三の管6に供給したガス種とガス流量を、表13にカーボンナノチューブの製造時の温度条件を、表14にカーボンナノチューブ製造の評価結果を示す。表12および13中の表示は表6および7と同様である。カーボンナノチューブの製造時間は10分間とした。条件(a)では実験を二回行い、その結果を(a−1),(a−2)と表記している。カーボンナノチューブのFe/Cの値およびID/IGの値は、それぞれ1.58〜3.34および0.023〜0.625であり、実施例のそれぞれの平均値と比較すると、実施例の方がばらつきが小さく良好な値であることが分かる。
以上のことから、高沸点溶剤に多量の金属触媒源を溶解した溶液と、液体の助触媒源を用意し、それぞれバブリングすることにより金属触媒および助触媒を気化させて反応炉内に供給する比較例2に比べ、金属触媒源を溶質とし、助触媒源を溶媒とした本発明に係る触媒前駆組成物を用いてカーボンナノチューブを製造した方が、結晶性が高く良質なカーボンナノチューブを製造できることが分かる。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば他の実施例として、イオン液体としてメチルトリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド5gに硫黄5gを添加し、120℃で1時間撹拌したところ、均一な溶液が得られた。また、容器出口にガラス板を置き、窒素をバブリングしたところ、ガラス板に黄色の硫黄結晶が析出した。同様に、メチルトリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド5gにフェロセン0.5gを添加し、120℃で1時間撹拌したところ、均一な溶液が得られた。また、容器出口にガラス板を置き、窒素をバブリングしたところ、ガラス板に黄色のフェロセン結晶が析出した。いずれもイオン液体の揮発は確認できなかった。これらのことから、硫黄とフェロセンの溶液にイオン液体を添加しても、主に硫黄とフェロセンを反応装置内に導入することができることが分かる。
2 カーボンナノチューブ
11 触媒前駆組成物

Claims (11)

  1. 溶質として、金属触媒源としての有機遷移金属錯体化合物、および、溶媒として、助触媒源としての含硫黄成分、のみを含し、前記含硫黄成分が少なくとも単体の硫黄を含む、カーボンナノチューブ製造用の触媒前駆組成物。
  2. 溶媒として不揮発性のイオン液体をさらに含有してもよい、請求項1に記載の触媒前駆組成物。
  3. 前記助触媒源としての硫黄を融点以上に加熱して得た硫黄融液を溶媒として含む、請求項1または2に記載の触媒前駆組成物。
  4. 前記含硫黄成分が前記硫黄融液のみを含む、請求項3に記載の触媒前駆組成物。
  5. 硫黄元素に対して遷移金属を合計0.1〜10重量%含有し、前記含硫黄成分の沸点が1気圧にて50℃以上1000℃以下であり、前記含硫黄成分を硫黄元素として10質量%以上含有し、0℃〜200℃のいずれかの範囲で液体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒前駆組成物。
  6. 前記有機遷移金属錯体化合物がフェロセン、1,1-ジメチルフェロセン、ペンタメチルフェロセン、アセチルフェロセン、ベンゾイルフェロセン、シクロペンタジエニル鉄カルボニルダイマー、コバルトセン、ニッケロセンおよびテトラカルボニルニッケルから選択される少なくとも1つである請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒前駆組成物。
  7. 前記含硫黄成分が硫黄に加え、チオフェン、メチルチオフェン、エチルチオフェン、ヘキシルチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、テトラヒドロチオフェン、スルホラン、テトラメチレンスルホキシド、炭素数3以上のアルキルチオールおよびチオフェノールから選択される少なくとも1つを含む請求項1〜3、5および6のいずれか1項に記載の触媒前駆組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の触媒前駆組成物の製造方法であって、溶融した含硫黄化合物に有機遷移金属錯体化合物を溶解させる工程を含む触媒前駆組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の触媒前駆組成物を気化する工程と、
    気化した前記有機遷移金属錯体化合物、および気化した前記含硫黄成分を反応炉内に供給する工程と、
    炭素源ガスを反応炉内に供給する工程と
    を含むカーボンナノチューブの製造方法。
  10. 前記気化する工程は、前記触媒前駆組成物を0〜400℃の範囲のいずれかの温度下でバブリングして気化する工程である請求項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の触媒前駆組成物を気化する手段と、
    気化した前記有機遷移金属錯体化合物、および気化した前記含硫黄成分を反応炉内に供給する手段と、
    炭素源ガスを反応炉内に供給する手段と
    を備えるカーボンナノチューブの製造装置。
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