1.実施形態
図1は、本発明に係る一実施形態の切替盤10を示す。切替盤10は、例えば、図2に示す配電システム400に用いられる。配電システム400は、全体の配電システム40のサブシステムを構成している。以下では、必要に応じて配電システム400を全体の配電システム40から区別するために「配電サブシステム」という。
配電システム40は、図2に示すように、複数の配電サブシステム400(411,412,421,422,431,432)を備える。また、配電システム40は、コントローラ(制御盤)50と、表示器51と、操作器52と、を備える。また、配電システム40は、非常用電源61と、非常用発電機62と、非常用開閉器63と、変圧器64と、を備える。例えば、配電システム40は、建物や施設(例えば、商業ビル、マンションなど)に設置される。なお、配電システム40は、複数の建物や施設への電力を電力会社から一括して購入しているような地域(例えば、マイクログリッドが構築されている地域)に設置してもよい。
複数の配電サブシステム411,412,421,422,431,432は、配電網90に接続されている。配電網90は、例えば、受電設備81に電気的に接続されている。
受電設備81は、外部電力系統82から電力を受け取って、建物内の電気機器に供給するために使用される。受電設備81は、例えば、外部電力系統82の異常(例えば停電)を検出する機能を有している。また、受電設備81は、配電網90を外部電力系統82から分離するための開閉器としての機能を備えている。
配電網90及び受電設備81は、建物に予め設置されている。外部電力系統82は、例えば、電力事業者が電力を需要者に供給するための商用電力系統である。商用電力系統は、例えば、単相三線式に対応する交流電力系統である。
配電網90は、外部電力系統82に接続されている幹線91と、幹線91から分岐する複数の分岐線(配電線)92と、で構成されている。配電網90は、例えば、単相三線式に対応する。複数の配電線92は、例えば、建物の一階に設置される配電線(第1配電線)921と、建物の二階に設置される配電線(第2配電線)922と、建物の三階に設置される配電線(第3配電線)923と、を含む。各配電線92は、例えば、L1相の第1電圧線、N相の中性線、及びL2相の第2電圧線にそれぞれ対応する電線92a,92b,92cを備える(図3参照)。
例えば、配電サブシステム411,412は、建物の一階に設置され、第1配電線921に接続されている。配電サブシステム421,422は、建物の二階に設置され、第2配電線922に接続されている。配電サブシステム431,432は、建物の三階に設置され、第3配電線923に接続されている。
幹線91は、図2に示すように、開閉器93を介して受電設備81に接続されている。開閉器93は、受電設備81から配電網90を分離するための開閉器である。開閉器93は、例えば、回路遮断器であることが好ましい。
複数の配電線92(921,922,923)は、それぞれ、複数の開閉器94(941,942,943)を介して幹線91に接続されている。また、複数の配電線92(921,922,923)には、複数の開閉器95(951,952,953)が設けられている。開閉器951は、第1配電線921において配電サブシステム411,412間に位置する。開閉器952は、第2配電線922において配電サブシステム421,422間に位置する。開閉器953は、第3配電線923において配電サブシステム431,432間に位置する。開閉器941,942,943、951,952,953は、例えば、遠隔制御が可能なリレーである。
非常用発電機62は、非常用開閉器63及び変圧器64を介して、配電網90に接続されている。図2に示すように、非常用発電機62は、配電網90の第1配電線921に接続されている。非常用発電機62は、例えば、ガス発電機などの一般的な発電機である。変圧器64は、非常用発電機62からの電力を配電網90に適した電力に変換するように構成される。また、変圧器64は、非常用発電機62からの電力を配電網90の電力に同期させるように構成される。非常用開閉器63は、例えば、コントローラ50により制御される。
配電サブシステム411,421,431は、切替盤10、補助電源20、及び分電盤30を備えている。切替盤10と、補助電源20と、分電盤30とは、それぞれ別の筐体に収納されている。配電サブシステム411,421,431の補助電源20は、建物の一階、二階、三階に、それぞれ設置されている。一方、配電サブシステム412,422,432は、配電サブシステム411と同様に切替盤10及び分電盤30を備えているが、配電サブシステム411と異なり補助電源20を備えていない。このように、複数の配電サブシステム400は、補助電源20を備えている配電サブシステム(特定の配電サブシステム)と、補助電源20を備えていない配電サブシステムとを含んでいる。つまり、配電サブシステム400は、少なくとも、切替盤10と、分電盤30と、を含む。
補助電源20は、図3に示すように、例えば、電源21と、パワーコンディショナ22と、を備える。
電源21は、例えば、直流電源である。直流電源は、例えば、電池(一次電池、蓄電池)、太陽電池、燃料電池等を含む。また、電源21は、複数の直流電源により構成されていてもよい。
パワーコンディショナ22は、例えば、電源21からの直流電力を元に外部電力系統82の電力の基準に合致する電力(本実施形態では、交流電力)を生成して出力する。また、パワーコンディショナ22は、任意の機能として、外部電力系統82からの電力を元に電源21に適した電力を生成して出力する機能を有する。
パワーコンディショナ22は、図3に示すように、第1接続口221と、第2接続口222と、第3接続口223と、を備える。また、パワーコンディショナ22は、双方向コンバータ224と、双方向インバータ225と、連系リレー226と、自立リレー227と、通信回路228と、制御回路229と、を備える。
第1接続口221は、電源21を接続するための接続口である。例えば、第1接続口221は、高電位側の端子221aと、低電位側の端子221bと、を備える。
第2接続口222は、配電網90を接続するための接続口である。第2接続口222は、例えば、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する3つの端子222a,222b,222cを備える。
第3接続口223は、切替盤10を接続するための接続口である。第3接続口223は、例えば、L1相及びN相にそれぞれ対応する2つの端子223a,223bを備える。
双方向コンバータ224は、第1接続口221に接続され、また、双方向インバータ225を介して第2接続口222及び第3接続口223に接続される。
連系リレー226は、双方向インバータ225と第2接続口222との間に設けられている。連系リレー226は、例えば、L1相及びL2相にそれぞれ対応する2つの接点226a,226bを備える。
自立リレー227は、双方向インバータ225と第3接続口223との間に設けられている。自立リレー227は、例えば、L1相及びL2相にそれぞれ対応する2つの接点227a,227bを備える。
通信回路228は、外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、コントローラ50である。通信回路228は、例えば、無線通信方式によりコントローラ50と通信するように構成される。
制御回路229は、例えば、プログラムを格納するメモリ及び前記プログラムに従って動作するプロセッサを備える装置である。制御回路229は、主に、双方向コンバータ224、双方向インバータ225、連系リレー226、及び自立リレー227を制御するように構成される。制御回路229は、例えば、3つの動作モード(連系モード、充電モード、自立モード)を有する。また、制御回路229は、例えば、第2接続口222を通じて分電盤30(つまり、配電網90)から電力を受け取ることができなくなると、パワーコンディショナ22の動作を停止する。
連系モードでは、制御回路229は、連系リレー226をオン、自立リレー227をオフにする。また、制御回路229は、双方向コンバータ224及び双方向インバータ225を制御して、第1接続口221からの直流電力(電源21の直流電力)を元に交流電力(外部電力系統82の電力の基準に合致する電力)を生成して第2接続口222から出力する。例えば、パワーコンディショナ22は、第2接続口222の端子222a,222c間に200Vの交流電圧を発生させる。
充電モードでは、制御回路229は、連系リレー226をオン、自立リレー227をオフにする。また、制御回路229は、双方向コンバータ224及び双方向インバータ225を制御して、第2接続口222からの交流電力を元に直流電力(電源21の充電に適した電力)を生成して第1接続口221から出力する。例えば、パワーコンディショナ22は、第1接続口221の端子221a,221b間に直流電圧を発生させる。
自立モードでは、制御回路229は、連系リレー226をオフ、自立リレー227をオンにする。制御回路229は、双方向コンバータ224及び双方向インバータ225を制御して、第1接続口221からの直流電力(電源21の直流電力)を元に交流電力(外部電力系統82の電力の基準に合致する電力)を生成して第3接続口223から出力する。例えば、パワーコンディショナ22は、第3接続口223の端子223a,223b間に100Vの交流電圧を発生させる。
また、制御回路229は、通信回路228を通じてコントローラ50から受信した指示に基づいて動作する。コントローラ50からの指示は、例えば、パワーコンディショナ22の動作を開始する指示(起動指示)、パワーコンディショナ22の動作を停止する指示(停止指示)、パワーコンディショナ22の動作モードを変更する指示(変更指示)、等を含む。また、コントローラ50からの指示は、例えば、パワーコンディショナ22から出力される交流電圧の位相を所定の基準位相に一致させる指示(同期指示)を含む。また、制御回路229は、パワーコンディショナ22の起動時に第2接続口222又は第3接続口223に電圧(交流電圧)が印加されている場合、パワーコンディショナ22から出力される交流電圧を、この印加されている電圧に同期させる機能を有する。
分電盤30は、受電設備81からの電力を電気機器等の負荷(例えば、負荷70、特定負荷71)に分配するための回路である。特定負荷71は、例えば、常に動作することが求められる負荷である。特定負荷71は、例えば、照明システム、空調システム、セキュリティシステム、コンピュータシステムなどを構成する装置である。
分電盤30は、図3に示すように、主電源接続口311と、複数の分岐接続口312と、副電源接続口313と、を備える。また、分電盤30は、母線(主幹線)32と、複数の分岐線33と、副線34と、を備える。また、分電盤30は、主開閉器35と、複数の分岐開閉器36と、副開閉器37と、を備える。さらに、分電盤30は、電力計38を備える。なお、図3では、図の簡略化のため、分電盤30の構成要素の一部が描かれていない。
主電源接続口311は、配電網90を接続するための接続口である。主電源接続口311は、例えば、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する端子311a,311b,311cを備える。
複数の分岐接続口312は、負荷を接続するための接続口である。分岐接続口312は、例えば、L1相、N相、及びL2相のうちの2つにそれぞれ対応する端子312a,312bを備える。
副電源接続口313は、副電源を接続するための接続口である。副電源接続口313は、例えば、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する端子313a,313b,313cを備える。副電源は、例えば、補助電源20である。
母線32は、主電源接続口311に接続されている。母線32は、例えば、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する導体32a,32b,32cを備える。
複数の分岐線33は、一端が分岐接続口312に接続され、他端が母線32に接続されている。分岐線33は、L1相、N相、及びL2相のうちの2つにそれぞれ対応する導体33a,33bを備える。
副線34は、一端が副電源接続口313に接続され、他端が副開閉器37を介して母線32に接続されている。副線34は、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する導体34a,34b,34cを備える。
主開閉器35は、複数の分岐線33と母線32との接続点と、主電源接続口311と、の間に設けられている。主開閉器35は、例えば、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する接点35a,35b,35cを備える。
分岐開閉器36は、分岐線33において分岐接続口312と母線32との間に設けられている。分岐開閉器36は、例えば、L1相、N相、及びL2相のうちの2つにそれぞれ対応する接点36a,36bを備える。
主開閉器35、複数の分岐開閉器36、及び、副開閉器37は、例えば、回路遮断器である。
電力計38は、母線32を通じて供給される電力を計測するために母線32に設けられている。電力計38は、例えば、零相変流器などを備える。
切替盤10は、図2に示すように、配電網90と分電盤30との間に設けられる。切替盤10は、図1に示すように、主接続口11と、給電口12と、副接続回路13と、連携切替回路14と、回路遮断器15と、リレー16と、通信回路17と、制御回路19と、電力計18と、を備える。
主接続口11は、配電網90を接続するための接続口である。主接続口11は、配電網90の配電線92に電気的に接続されている。主接続口11は、例えば、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する端子11a,11b,11cを備える。
給電口12は、分電盤30を接続するための接続口である。給電口12は、電線などで分電盤30の主電源接続口311に電気的に接続されている。したがって、給電口12は、分電盤30の母線32に電気的に接続されている。給電口12は、例えば、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する端子12a,12b,12cを備える。
副接続回路13は、複数(本実施形態では3つ)の第1入力口131と、第2入力口132と、複数(本実施形態では3つ)の出力口133と、を備える。また、副接続回路13は、入力切替回路134を備える。また、副接続回路13は、回路遮断器135と、リレー136と、複数(本実施形態では3つ)の回路遮断器137と、複数(本実施形態では3つ)のリレー138と、を備える。さらに、副接続回路13は、複数(本実施形態では3つ)の電力計139を備える。副接続回路13は、リレー136と入力口131との間で連携切替回路14に電気的に接続されている。
第1入力口131は、補助電源20を接続するための接続口である。第1入力口131は、例えば、L1相及びN相にそれぞれ対応する端子131a,131bを備える。
第2入力口132は、分電盤30の分岐接続口312を接続するための接続口である。第2入力口132は、例えば、一対の端子132a,132bを備える。一対の端子132a,132bは、分岐接続口312を介して、母線32の導体32a,32b,32cのうちの2つに接続される。図3では、一対の端子132a,132bは、母線32の導体32a,32bに接続されている。この場合、一対の端子132aはL1相及びN相にそれぞれ対応している。
出力口133は、特定負荷71を接続するための接続口である。出力口133は、例えば、一対の端子133a,133bを備える。
入力切替回路134は、出力口133を第1入力口131ではなく第2入力口132に電気的に接続する第1入力状態と、出力口133を第2入力口132ではなく第1入力口131に電気的に接続する第2入力状態と、を有する。第1入力状態では、複数の出力口133が第2入力口132に電気的に接続される。第2入力状態では、複数の出力口133が複数の第1入力口131に電気的に接続される。
入力切替回路134は、例えば、一対のスイッチ(3端子スイッチ)134a,134bを備える。スイッチ134aは、例えば、共通端子が出力口133の端子133aに接続され、常閉端子が第2入力口132の端子132aに接続され、常開端子が第1入力口131の端子131aに接続される。スイッチ134bは、例えば、共通端子が出力口133の端子133bに接続され、常閉端子が第2入力口132の端子132bに接続され、常開端子が第1入力口131の端子131bに接続される。
回路遮断器135は、異常電流(過電流など)から複数の出力口133に接続される特定負荷71を保護するために設けられている。回路遮断器135は、出力口133と入力切替回路134との間に設けられる。回路遮断器135は、例えば、出力口133の端子133aと入力切替回路134のスイッチ134aとの間に設けられる接点135aと、出力口133の端子133bと入力切替回路134のスイッチ134bとの間に設けられる接点135bと、を備える。
リレー136は、出力口133を第1入力口131及び第2入力口132から電気的に分離するための負荷分離開閉器として機能する。リレー136によれば、補助電源20から特定負荷71に給電するかどうかを選択できる。リレー136は、回路遮断器135と入力切替回路134との間に設けられる。リレー136は、例えば、回路遮断器135の接点135aと入力切替回路134のスイッチ134aとの間に設けられる接点136aと、回路遮断器135の接点135bと入力切替回路134のスイッチ134bとの間に設けられる接点136bと、を備える。
複数の回路遮断器137は、異常電流(過電流など)から複数の出力口133に接続される特定負荷71を個別的に保護するために設けられている。複数の回路遮断器137は、複数の出力口133のうち対応する出力口133と回路遮断器135との間に設けられる。回路遮断器137は、出力口133の端子133a,133bにそれぞれ接続される接点137a,137bを備える。
複数のリレー138は、複数の第1入力口131を個別的に連携切替回路14から電気的に分離するために設けられている。複数のリレー138は、複数の第1入力口131のうち対応する第1入力口131と入力切替回路134との間に設けられる。リレー138は、第1入力口131の端子131a,131bにそれぞれ接続される接点138a,138bを備える。
複数の電力計139は、複数の出力口133に供給される電力を個別的に計測するために設けられている。電力計139は、例えば、零相変流器などを備える。
連携切替回路14は、主接続口11を副接続回路13ではなく給電口12に電気的に接続する第1接続状態と、主接続口11を給電口12ではなく副接続回路13に電気的に接続する第2接続状態と、を有する。連携切替回路14は、L1相、N相、及びL2相にそれぞれ対応する3つのスイッチ(3端子スイッチ)14a,14b,14cを備える。
スイッチ14aは、例えば、共通端子が主接続口11の端子11aに接続され、常閉端子が給電口12の端子12aに接続され、常開端子が第1入力口131の端子131aと出力口133の端子133aとを繋ぐ経路に接続される。スイッチ14bは、例えば、共通端子が主接続口11の端子11bに接続され、常閉端子が給電口12の端子12bに接続され、常開端子が第1入力口131の端子131bと出力口133の端子133bとを繋ぐ経路に接続される。スイッチ14cは、例えば、共通端子が主接続口11の端子11cに接続され、常閉端子が給電口12の端子12cに接続され、常開端子が開放されている。
回路遮断器15は、異常電流(過電流など)から副接続回路13を保護するために設けられている。回路遮断器15は、連携切替回路14と副接続回路13との間に設けられる。回路遮断器15は、例えば、連携切替回路14のスイッチ14a,14bの常開端子にそれぞれ接続される接点15a,15bを備える。
リレー16は、連携切替回路14から副接続回路13を電気的に分離するための副接続回路分離開閉器として機能する。つまり、リレー16によれば、補助電源20から配電網90に給電するかどうかを選択できる。リレー16は、回路遮断器15と副接続回路13との間に設けられる。リレー16は、例えば、回路遮断器15の接点15a,15bにそれぞれ接続される接点16a,16bを備える。
通信回路17は、外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、コントローラ50である。通信回路17は、例えば、無線通信方式によりコントローラ50と通信するように構成される。したがって、通信回路17によれば、通信による切替盤10の遠隔操作が可能になる。
電力計18は、連携切替回路14と副接続回路13との間の電路を通る電力(つまり、副接続回路13に供給される電力又は副接続回路13から供給される電力)を計測するために設けられている。電力計18は、例えば、零相変流器などを備える。
制御回路19は、例えば、プログラムを格納するメモリ及び前記プログラムに従って動作するプロセッサを備える装置である。制御回路19は、主に、連携切替回路14を制御するように構成される。また、制御回路19は、副接続回路13の入力切替回路134を制御するように構成される。さらに、制御回路19は、リレー16と、副接続回路13のリレー136及び複数のリレー138と、を制御するように構成される。また、制御回路19は、複数の電力計139及び電力計18から計測値を取得するように構成される。
制御回路19は、例えば、2つの動作モード(第1動作モード、第2動作モード)を有する。第1動作モードは、第1の給電経路(図4A参照)を形成するためのモードである。第1の給電経路は、外部電力系統82からの電力を分電盤30を通じて負荷(負荷70、特定負荷71)に供給するための経路である。第2動作モードは、第2の給電経路(図4B参照)を形成するためのモードである。第2の給電経路は、補助電源20からの電力を切替盤10を通じて特定負荷71に供給するための経路である。なお、図4A及び図4Bでは、理解を容易にするため、切替盤10、補助電源20、及び分電盤30が簡略化して描かれている。また、図4A及び図4Bにおいて、利用可能な経路は実線、利用不可能な経路は破線で示されている。
第1動作モードでは、図4Aに示すように、制御回路19は、連携切替回路14を第1接続状態とする。また、第1動作モードでは、制御回路19は、入力切替回路134を第1入力状態とする。これによって、主接続口11から給電口12への給電経路が有効になる。また、第2入力口132から出力口133への給電経路が有効になる。したがって、配電網90の配電線92から分電盤30への給電が可能になる。さらに、分電盤30から特定負荷71への給電が可能になる。なお、図4Aでは、リレー16はオフ、リレー136はオン、リレー138はオフである。また、図4Aでは、補助電源20のパワーコンディショナ22は、連系モード又は充電モードである。
第2動作モードでは、図4Bに示すように、制御回路19は、連携切替回路14を第2接続状態とする。また、第2動作モードでは、制御回路19は、入力切替回路134を第2入力状態とする。これによって、主接続口11から副接続回路13への給電経路が有効になる。また、第1入力口131から出力口133への給電経路が有効になる。そのため、補助電源20から特定負荷71又は配電網90への給電が可能になる。
例えば、切替盤10に補助電源20と特定負荷71とが接続されている場合、補助電源20から供給される電力が特定負荷71が要求する電力を上回っていれば、電力の余剰分を配電網90へ供給することが可能になる。つまり、補助電源20からの電力を配電網90を介さずに特定負荷71に供給できる。逆に、補助電源20から供給される電力が特定負荷71が要求する電力を下回っていれば、電力の不足分を配電網90から特定負荷71へ供給することが可能になる。
一方、 切替盤10に特定負荷71が接続されておらず、補助電源20が接続されている場合、補助電源20から配電網90に電力を供給することが可能になる。また、切替盤10に特定負荷71が接続され、補助電源20が接続されていない場合、配電網90から特定負荷71に電力を供給することが可能になる。
なお、図4Bでは、リレー16はオン、リレー136はオン、リレー138はオンである。また、補助電源20のパワーコンディショナ22は、自立モードである。
このように、第1動作モードにおいては分電盤30から特定負荷71への給電が可能になる。また、第2動作モードにおいては補助電源20から特定負荷71への給電が可能になる。したがって、切替盤10では、外部電力系統82が利用可能かどうかにかかわらず、特定負荷71に給電できる。
制御回路19は、通信回路17を通じてコントローラ50から受信した指示に基づいて動作する。コントローラ50からの指示は、例えば、動作モードを切り替える指示と、リレー16を制御する指示と、リレー136を制御する指示と、リレー138を制御する指示と、を含む。また、コントローラ50からの指示は、例えば、電力計18の計測値を送信する指示と、電力計139の計測値を送信する指示と、を含む。
コントローラ50は、例えば、プログラムを格納するメモリ及び前記プログラムに従って動作するプロセッサを備える装置である。コントローラ50は、配電システム40の全体的な制御を行うように構成される。また、コントローラ50は、切替盤10の通信回路17及びパワーコンディショナ22の通信回路228と通信する機能を有する。図2に示すように、コントローラ50は、表示器51及び非常用電源61に接続されている。また、コントローラ50は、操作器52からの指令に基づいて動作するように構成されている。
表示器51は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの画像表示装置である。コントローラ50は、例えば、配電システム40に関する様々な情報を表示器51に表示するように構成される。例えば、コントローラ50は、切替盤10の制御回路19から電力計139及び電力計18から計測値を取得して、表示器51に表示する機能を有する。そのため、表示器51を確認することで、各配電サブシステム400の電力の状態を確認できる。そのため、配電システム40で異常が起きた場合に、異常が起きた箇所の特定が容易になる。なお、表示器51は、コントローラ50に内蔵されていてもよい。
非常用電源61は、例えば、太陽電池、蓄電池、燃料電池などである。非常用電源61は、例えばコントローラ50の補助電源として使用される。つまり、コントローラ50は、配電網90から電力を受け取れない場合に、非常用電源61からの電力により動作する。非常用電源61は、コントローラ50に内蔵されていてもよい。
また、コントローラ50は、例えば、配電網90に電気的に接続されている。具体的には、図2に示すように、コントローラ50は、配電サブシステム411の切替盤10に特定負荷71とともに接続されている。つまり、コントローラ50も特定負荷71の一種である。なお、コントローラ50は、任意のパワーコンディショナ22に電気的に接続されて、このパワーコンディショナ22から電力を受け取ってもよい。
コントローラ50は、配電網90が外部電力系統82に電気的に接続されている状況(第1の状況)では、配電システム40により第1の配電経路(図5A参照)を形成するように構成される。第1の配電経路は、外部電力系統82からの電力を各配電サブシステム400の分電盤30を通じて負荷(負荷70及び特定負荷71)に供給する経路である。第1の状況は、例えば、受電設備81が電力を受け取っている状況(つまり、通常時)である。つまり、第1の状況は、少なくとも外部電力系統82が利用可能な状況であることが好ましい。
一方、コントローラ50は、配電網90が外部電力系統82から電気的に分離されている状況(第2の状況)では、配電システム40により第2の配電経路(図5B参照)を形成するように構成される。第2の配電経路は、特定の配電サブシステム(411,421,431)の補助電源20から、特定負荷71に電力を供給する経路である。第2の状況は、例えば、受電設備81が電力を受け取れなくなった状況である。この場合、第2の状況は、外部電力系統82が利用不可能な状況(例えば停電時などの非常時)である。なお、第2の状況は、外部電力系統82が利用可能であっても、積極的に補助電源20の電力を使用する状況であってもよい。
次に、コントローラ50が、第1の配電経路から第2の配電経路に変更する処理(第1処理)、及び、第2の配電経路から第1の配電経路に変更する処理(第2処理)について、説明する。ここで、初期状態では、第1の状況であり、第1の配電経路が形成されていると仮定する。
コントローラ50は、現在の状況が第1の状況から第2の状況になったと判断すると、第1処理を開始する。例えば、コントローラ50は、受電設備81から、外部電力系統82に異常が生じ、かつ、外部電力系統82から配電網90が分離されたことを通知されると、第1処理を開始する。配電網90が外部電力系統82から分離されると、パワーコンディショナ22は、分電盤30から電力を受け取れなくなるので、制御回路229によってパワーコンディショナ22の動作が停止される。なお、コントローラ50が、パワーコンディショナ22に動作を停止する指示を送信してもよい。
第1処理では、コントローラ50は、配電網90の開閉器93、開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953をオフにする。次に、コントローラ50は、配電システム40の各切替盤10に、動作モードを第2動作モードとする指示を送信する。これによって、各切替盤10が、図4Bに示すように、分電盤30を配電網90から分離して配電網90を副接続回路13に接続する。
また、切替盤10は、出力口133を第2入力口132ではなく第1入力口131に接続する。配電網90の開閉器93、開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953はオフであるから、配電サブシステム400の補助電源20からの電力が、意図せずに、他の配電サブシステム400の分電盤30等に供給されることを防止される。また、コントローラ50は、各切替盤10に、リレー136をオフとする指示を送信する。これによって、切替盤10は、出力口133を第1入力口131から分離する。
また、コントローラ50は、非常用発電機62及び非常用開閉器63の動作を開始させ、非常用開閉器63をオンにする。これによって、非常用発電機62からの電力が配電網90を通して利用可能になる。そのため、非常用発電機62と補助電源20との連携により、比較的大きな電力を要求する特定負荷71も動作させることができる。
また、コントローラ50は、所定の規則に基づいて、複数のパワーコンディショナ22のうちの一つをマスタ、残りをスレーブとして決定する。所定の規則は、例えば、電源の種類、容量、及び残量(出力)に関する。例えば、電源の種類では、蓄電池が、他の直流電源(太陽電池、燃料電池)よりも優先される。電源の容量では、容量がより大きい電源が優先される。電源の残量では、残量がより多い電源が優先される。電源の出力では、出力がより大きい電源が優先される。なお、電源の残量は蓄電池に適用され、電源の出力は太陽電池や燃料電池に適用される。また、電源の種類が電源の容量よりも優先され、電源の容量が電源の残量(出力)よりも優先される。あるいは、予め設定された電源の種類、容量、出力、及び残量に基づく係数の乗算により、各電源の優先度を計算し、優先度が最も高い電源をマスタとして選択してもよい。
コントローラ50は、マスタに、パワーコンディショナ22の動作を開始する指示、及び、パワーコンディショナ22の動作モードを自立モードに変更する指示、を送信する。コントローラ50は、マスタの起動を確認した後、スレーブに、パワーコンディショナ22の動作を開始する指示、及び、パワーコンディショナ22の動作モードを自立モードに変更する指示、を送信する。スレーブの第3接続口223には、マスタの交流電圧が印加されることになるから、スレーブは、マスタの交流電圧に同期するように第3接続口223に交流電圧を発生させる。これによって、コントローラ50は、配電システム40の配電網90にパワーコンディショナ22から供給される交流電圧を互いに同期させる。この場合、複数のパワーコンディショナ22を一斉に起動させる場合とは異なり、多数のパワーコンディショナ22から少数のパワーコンディショナ22に大きな電流が流れこむおそれがない。
次に、コントローラ50は、複数の配電サブシステム400の切替盤10のリレー136をオンにし、特定負荷71を切替盤10を通じて配電網90に接続する。ここで、コントローラ50は、複数の配電サブシステム400の切替盤10に予め設定された順番で、複数の配電サブシステム400の切替盤10のリレー136をオンにする。この順番は、特に限定されないが、例えば、切替盤10に接続される特定負荷71の重要度などに応じて決定される。切替盤10のリレー136が順番にオンにされることで、特定負荷71への突入電流を低減ができ、また、予め複数の補助電源20が配電網90に接続されているから、複数の補助電源20で突入電流を分担できる。
次に、コントローラ50は、配電網90の開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953をオンにする。
このように、コントローラ50は、配電網90が外部電力系統82から電気的に分離されると、複数の配電サブシステム400の各々の切替盤10の制御回路19を制御して、連携切替回路14を第2接続状態としてから、リレー136をオフにする(切替処理)。次に、コントローラ50は、複数の特定の配電サブシステム411,421,431の補助電源20を起動してそれらの出力電力を同期させる(同期処理)。次に、コントローラ50は、複数の配電サブシステム400の切替盤10の制御回路19を制御して、複数の配電サブシステム400の切替盤10に予め設定された順番で、複数の配電サブシステム400の切替盤10のリレー136をオンにする(接続処理)。
コントローラ50が第1処理を実行することによって、図5Bに示す第2の配電経路が形成される。第2の配電経路では、特定の配電サブシステム411,421,422の補助電源20からの電力が切替盤10又は配電網90を通じて、配電サブシステム411、412,421,432の特定負荷71に供給される。つまり、補助電源20は、分散型電源を構成する。そのため、大きな容量を確保しながらも、複数の補助電源20を一カ所ではなく複数箇所に分散して設置することができる。したがって、比較的大型の補助電源を設置するのに十分なスペースを建物内に確保できない場合でも、複数の補助電源20によって十分な容量を確保できる。また、複数の補助電源20は、建物に既に設置されている配電網90を介して互いに接続されるから、複数の補助電源20を互いに接続するための配線を新たに設ける必要がない。つまり、既設の配電網90を補助電源20からの給電路として利用できるから、補助電源20の導入コストが低減される。
なお、第1処理では、コントローラ50は、開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953の全てをオフにした後に、開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953の全てをオンにしている。しかしながら、コントローラ50は、開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953のうち、特定の開閉器だけをオンにするようにしてもよい。これによって、補助電源20からの電力を供給する範囲を制限できる。例えば、配電サブシステム411の補助電源20の電力を、配電サブシステム421,422,431,433に供給しない場合は、コントローラ50は、開閉器941をオフ、開閉器942,943及び開閉器951,952,953をオンにすればよい。また、コントローラ50は、開閉器941,942,943をオン、開閉器951をオン、開閉器952,953をオフにしてもよい。この場合、配電サブシステム411,421,431の補助電源20からの電力が、配電サブシステム411,412の特定負荷71に優先的に供給される。また、コントローラ50は、開閉器941,942,943をオフ、開閉器951,952,953をオンにしてもよく、この場合、補助電源20からの電力を同じ階の特定負荷71のために利用できる。このように、開閉器94,95を利用することで、補助電源20からの電力を供給する範囲(言い換えれば、特定負荷71の優先度)を設定できる。また、特定負荷71による消費電力の総量を低減でき、補助電源20の電力を節約できる。なお、開閉器94,95は、コントローラ50ではなく手動でオフにされてもよい。
コントローラ50は、例えば、外部電力系統82が利用可能な状況になったと判断すると、第2処理を開始する。例えば、コントローラ50は、受電設備81から、外部電力系統82に異常がなくなったことを通知されると、第2処理を開始する。
第2処理では、コントローラ50は、配電網90の開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953をオフにする。また、コントローラ50は、パワーコンディショナ22に動作を停止する指示を送信し、制御回路229によってパワーコンディショナ22の動作が停止される。また、コントローラ50は、非常用発電機62及び非常用開閉器63の動作を停止させ、非常用開閉器63をオフにする。
次に、コントローラ50は、配電システム40の各切替盤10に、動作モードを第1動作モードとする指示を送信する。これによって、各切替盤10が、図4Aに示すように、分電盤30を配電網90に接続する。また、切替盤10は、出力口133を第1入力口131ではなく第2入力口132に接続する。
次に、コントローラ50は、配電網90の開閉器93、開閉器941,942,943、及び、開閉器951,952,953をオンにする。なお、開閉器93が回路遮断器である場合、開閉器93は手動でオンにされる。
次に、コントローラ50は、受電設備81に、外部電力系統82と配電網90との接続を許可する。これに応答して、受電設備81では、配電網90が外部電力系統82に接続され、外部電力系統82から配電網90へ電力が供給可能となる。
外部電力系統82から配電網90へ給電が確認されると、コントローラ50は、各パワーコンディショナ22に、パワーコンディショナ22の動作を開始する指示を送信する。また、コントローラ50は、各パワーコンディショナ22に、パワーコンディショナ22の動作モードを充電モード又は連系モードに変更する指示を送信する。これによって、図4Aに示すように、パワーコンディショナ22では、連系リレー226がオン、自立リレー227がオフとなり、補助電源20は、分電盤30を通じて配電網90に接続される。
このように、コントローラ50は、配電網90を外部電力系統82に電気的に接続可能な状態になると(例えば、外部電力系統82に異常がなくなると)、複数の特定の配電サブシステム411,421,431の補助電源20の停止させる(停止処理)。次に、コントローラ50は、複数の配電サブシステム400の各々の切替盤10の制御回路19を制御して、連携切替回路14を第1接続状態としてから、リレー(負荷分離開閉器)136をオンにする。
コントローラ50が第2処理を実行することによって、図5Aに示す第1の配電経路が形成される。第1の配電経路では、外部電力系統82からの電力が受電設備81を通じて配電網90に供給され、さらに、配電網90から各分電盤30を通じて負荷(負荷70、特定負荷71)に供給される。
操作器52は、例えば、プログラムを格納するメモリ及び前記プログラムに従って動作するプロセッサを備える装置である。操作器52は、無線通信又は有線通信により、コントローラ50に指令を与える。操作器52によれば、コントローラ50を通じて配電システム40を制御することができる。したがって、操作器52を用いれば、表示器51に表示される情報(例えば、電力計139の計測値及び電力計18の計測値)を参照しながら、配電システム40を制御できる。例えば、操作器52を用いて開閉器94,95を制御することで、所望の負荷への給電を停止できる。例えば、負荷のメンテナンスを行う場合に、この負荷への給電を停止できる。また、大規模な災害などで外部電力系統82の異常(例えば停電)が長期にわたり続くことが予想される場合、補助電源20から給電される特定負荷71の数を減らすことができる。また、必要に応じて、所望の配電サブシステム400を幹線91から切り離すことができる。例えば、テナントが異なる配電サブシステム400同士を互いに切り離すことができる。このように、操作器52を用いれば、パワーコンディショナ22の動作の開始後、開始前に関係なく、配電システム40全体の電力の流れを制御できる。
2.変形例
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
例えば、切替盤10は、少なくとも、主接続口11と、給電口12と、副接続回路13と、連携切替回路14と、制御回路19と、を備えていればよい。つまり、回路遮断器15と、リレー16と、通信回路17と、電力計18と、は必須ではない。なお、制御回路19の動作は、切替盤10の変更に合わせて適宜変更され得る。
また、副接続回路13は、少なくとも1つの第1入力口131と少なくとも一つの出力口133とのいずれか一方を有していればよい。つまり、副接続回路13は、補助電源20と特定負荷71との少なくとも一方に電気的に接続されればよい。したがって、副接続回路13において、第2入力口132と、入力切替回路134と、回路遮断器135と、リレー136と、回路遮断器137と、リレー138と、電力計139と、は必須ではない。もちろん、副接続回路13は、第1入力口131と、第2入力口132と、出力口133と、入力切替回路134と、回路遮断器135と、リレー136と、回路遮断器137と、リレー138と、電力計139とを有していてもよい。これらの数は特に限定されない。なお、制御回路19の動作は、副接続回路13の変更に合わせて適宜変更され得る。
また、切替盤10が通信回路17を有している場合、通信回路17は、有線通信方式(例えば、電力線搬送通信方式)によりコントローラ50と通信するように構成されていてもよい。
上記実施形態において、切替盤10は、単相3線式の100V(第1相)に対応している。変形例では、切替盤10は、単相3線式の100V(第2相)又は200Vに対応していてもよい。また、切替盤10は、三相3線式などの他の配電方式に対応していてもよい。また、切替盤10は、交流配電方式ではなく、直流配電方式に対応していてもよい。
上記実施形態において、配電システム411,421,431では、切替盤10、補助電源20、及び、分電盤30は、それぞれ別の筐体に収納されている。しかしながら、切替盤10と補助電源20と分電盤30とのうちの2つは同じ筐体に収納されていてもよい。あるいは、切替盤10と補助電源20と分電盤30との全てが同じ筐体に収納されていてもよい。
変形例では、配電システム40は、2以上の配電サブシステム400を有していればよい。また、配電システム40全体に関しては、補助電源20の数は2以上であり、特定負荷71の数は1以上であればよい。変形例では、配電システム40は、コントローラ50を備えていなくてもよいし、コントローラ50を備えていても表示器51と操作器52と非常用電源61とは必須ではない。変形例では、配電システム40は、非常用発電機62を備えていなくてもよいし、非常用発電機62を備えていても非常用開閉器63と変圧器64とは必須ではない。変形例では、配電網90は、2以上の幹線91を備えていてもよいし、2又は4以上の配電線92を備えていてもよい。変形例では、開閉器93、開閉器94、及び、開閉器95は、配電網90に設けられていなくてもよい。なお、コントローラ50の動作は、配電システム40の変更に合わせて適宜変更され得る。
変形例では、補助電源20の電源21は、交流電源であってもよい。パワーコンディショナ22は、電源21に応じて適切に選択されればよい。変形例では、パワーコンディショナ22は、第2接続口222を備えていなくてもよい。変形例では、パワーコンディショナ22の通信回路228は、有線通信方式(例えば、電力線搬送通信方式)によりコントローラ50と通信するように構成されていてもよい。ただし、通信回路228は必須ではない。変形例では、パワーコンディショナ22の制御回路229は、動作モードとして、少なくとも自立モードを有していればよい。
上記実施形態において、分電盤30は、単相3線式に対応している。変形例では、分電盤30は、三相3線式などの他の配電方式に対応していてもよい。また、分電盤30は、交流配電方式ではなく、直流配電方式に対応していてもよい。変形例では、分電盤30は、副線34を備えていなくてもよいし、副線34を備えていても、副開閉器37を備えていなくてもよい。また、分電盤30は、電力計38を備えていなくてもよい。
上記実施形態では、コントローラ50は、複数のパワーコンディショナ22のうちの一つをマスタとし、残りをスレーブとし、マスタを最初に起動させている。しかしながら、コントローラ50は、複数のパワーコンディショナ22を一斉に起動させてもよい。例えば、コントローラ50は、配電システム40の各パワーコンディショナ22に、パワーコンディショナ22の動作を開始する指示、及び、パワーコンディショナ22の動作モードを自立モードに変更する指示、を送信してもよい。さらに、コントローラ50は、配電システム40の各パワーコンディショナ22に、パワーコンディショナ22から出力される交流電圧の位相を所定の位相に一致させる指示を送信してもよい。
変形例では、コントローラ50は、第1の配電経路と第2の配電経路との間の切り替えを、特定負荷71への給電が中断されることなく行ってもよい。つまり、コントローラ50は、配電システム40により無停電電源装置を実現するUPS機能を有していてもよい。例えば、コントローラ50は、第1処理の開始直後に、切替盤10のリレー16をオフとせずに、パワーコンディショナ22の動作モードを自立モードに変更する指示を送信してもよい。このようにすれば、すぐに補助電源20から特定負荷71に電力が供給され、特定負荷71への給電が中断されることを防止できる。なお、UPS機能は、シーケンスの変更(上記のような第1処理のシーケンスの変更)によって実現されてもよいし、半導体スイッチなどを利用して実現されてもよい。
3.本発明に係る態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本発明に係る第1の態様の切替盤(10)は、主接続口(11)と、給電口(12)と、副接続回路(13)と、連携切替回路(14)と、制御回路(19)と、を備える。前記主接続口(11)は、外部電力系統(82)から電力を受け取る受電設備(81)に電気的に接続された配電網(90)に接続される。前記給電口(12)は、分電盤(30)の母線(32)に電気的に接続される。前記副接続回路(13)は、補助電源(20)と特定負荷(71)との少なくとも一方に電気的に接続される。前記連携切替回路(14)は、前記主接続口(11)を前記副接続回路(13)ではなく前記給電口(12)に電気的に接続する第1接続状態を有する。前記連携切替回路(14)は、前記主接続口(11)を前記給電口(12)ではなく前記副接続回路(13)に電気的に接続する第2接続状態を有する。前記制御回路(19)は、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)に電気的に接続されている間は前記連携切替回路(14)を前記第1接続状態とするように構成される。前記制御回路(19)は、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)から電気的に分離されている間は前記連携切替回路(14)を前記第2接続状態とするように構成される。第1の態様によれば、既設の配電網(90)を補助電源(20)からの給電路として利用できるから、補助電源(20)の導入コストが低減される。
本発明に係る第2の態様の切替盤(10)は、第1の態様との組み合わせで実現され得る。第2の態様では、前記副接続回路(13)は、補助電源(20)に電気的に接続される入力口(131)と、特定負荷(71)に電気的に接続される出力口(133)と、を備える。第2の態様によれば、補助電源(20)からの電力を配電網(90)を介さずに特定負荷(71)に供給できる。
本発明に係る第3の態様の切替盤(10)は、第2の態様との組み合わせで実現され得る。第3の態様では、前記副接続回路(13)は、さらに、前記入力口(131)と前記出力口(133)との間に設けられる負荷分離開閉器(136)を備える。前記副接続回路(13)は、前記負荷分離開閉器(136)と前記入力口(131)との間で前記連携切替回路(14)に電気的に接続される。前記制御回路(19)は、前記負荷分離開閉器(136)を制御するように構成される。第3の態様によれば、補助電源(20)から特定負荷(71)に給電するかどうかを選択できる。
本発明に係る第4の態様の切替盤(10)は、第2又は第3の態様との組み合わせで実現され得る。第4の態様では、前記副接続回路(13)は、さらに、第1入力口である前記入力口(131)とは別の第2入力口(132)と、入力切替回路(134)と、を備える。前記入力切替回路(134)は、前記出力口(133)を前記第1入力口(131)ではなく前記第2入力口(132)に電気的に接続する第1入力状態を有する。また、前記入力切替回路(134)は、前記出力口(133)を前記第2入力口(132)ではなく前記第1入力口(131)に電気的に接続する第2入力状態を有する。前記制御回路(19)は、前記連携切替回路(14)を前記第1接続状態とすると前記入力切替回路(134)を前記第1入力状態とするように構成される。前記制御回路(19)は、前記連携切替回路(14)を前記第2接続状態とすると前記入力切替回路(134)を前記第2入力状態とするように構成される。第4の態様によれば、外部電力系統(82)が利用可能かどうかにかかわらず、特定負荷(71)に給電できる。
本発明に係る第5の態様の切替盤(10)は、第1〜第4の態様のいずれか一つとの組み合わせで実現され得る。第5の態様の切替盤(10)は、さらに、前記連携切替回路(14)と前記副接続回路(13)との間に設けられた副接続回路分離開閉器(16)を備える。前記制御回路(19)は、前記副接続回路分離開閉器(16)を制御するように構成される。第5の態様によれば、補助電源(20)から配電網(90)への給電又は配電網(90)から特定負荷(71)への給電を行うかどうかを選択できる。
本発明に係る第6の態様の切替盤(10)は、第1〜第5の態様のうちいずれか一つとの組み合わせで実現され得る。第6の態様の切替盤(10)は、さらに、外部装置と通信する通信回路(17)を備える。前記制御回路(19)は、前記通信回路(17)を通じて受け取った指示に基づいて前記連携切替回路(14)を制御するように構成される。第6の態様によれば、通信による切替盤(10)の遠隔操作が可能になる。
本発明に係る第7の態様の切替盤(10)は、第3の態様との組み合わせで実現され得る。第7の態様の切替盤(10)は、さらに、外部装置と通信する通信回路(17)を備える。前記制御回路(19)は、前記通信回路(17)を通じて受け取った指示に基づいて前記負荷分離開閉器(136)を制御するように構成される。第7の態様によれば、通信による切替盤(10)の遠隔操作が可能になる。
本発明に係る第8の態様の切替盤(10)は、第5の態様との組み合わせで実現され得る。第8の態様の切替盤(10)は、さらに、外部装置と通信する通信回路(17)を備える。前記制御回路(19)は、前記通信回路(17)を通じて受け取った指示に基づいて前記副接続回路分離開閉器(16)を制御するように構成される。第8の態様によれば、通信による切替盤(10)の遠隔操作が可能になる。
本発明に係る第9の態様の配電システム(411,421,431)は、第1〜第8の態様のうちいずれか一つの切替盤(10)と、分電盤(30)と、補助電源(20)と、を備える。前記分電盤(30)は、前記切替盤(10)の前記給電口(12)に母線(32)が電気的に接続されている。前記補助電源(20)は、前記切替盤(10)の前記副接続回路(13)に電気的に接続されている。第9の態様によれば、既設の配電網(90)を補助電源(20)からの給電路として利用できるから、補助電源(20)の導入コストが低減される。
本発明に係る第10の態様の配電システム(40)は、外部電力系統(82)から電力を受け取る受電設備(81)に電気的に接続された配電網(90)に接続される複数の配電サブシステム(400)を備える。前記複数の配電サブシステム(400)は、複数の特定の配電サブシステム(411,421,431)を含む。前記複数の特定の配電サブシステム(411,421,431)の各々は、第9の態様の配電システム(411,421,431)である。第10の態様によれば、既設の配電網(90)を補助電源(20)からの給電路として利用できるから、補助電源(20)の導入コストが低減される。
本発明に係る第11の態様のコントローラ(50)は、配電システム(40)に用いられるコントローラである。前記配電システム(40)は、外部電力系統(82)から電力を受け取る受電設備(81)に接続された配電網(90)に接続される複数の配電サブシステム(400)を備える。前記複数の配電サブシステム(400)の各々は、分電盤(30)と、切替盤(10)と、を備える。前記複数の配電サブシステム(400)は、複数の特定の配電サブシステム(411,421,431)を含む。前記複数の特定の配電サブシステム(411,421,431)の各々は、さらに、補助電源(20)を備える。前記切替盤(10)は、主接続口(11)と、給電口(12)と、副接続回路(13)と、連携切替回路(14)と、制御回路(19)と、を備える。前記主接続口(11)は、前記配電網(90)に接続される。前記給電口(12)は、前記分電盤(30)の母線(32)に電気的に接続されている。前記副接続回路(13)は、前記補助電源(20)に電気的に接続された入力口(131)と、特定負荷(71)に電気的に接続される出力口(133)と、前記入力口(131)と前記出力口(133)との間に設けられる負荷分離開閉器(136)と、を有する。前記連携切替回路(14)は、前記主接続口(11)を前記副接続回路(13)ではなく前記給電口(12)に電気的に接続する第1接続状態を有する。前記連携切替回路(14)は、前記主接続口(11)を前記給電口(12)ではなく前記副接続回路(13)に電気的に接続する第2接続状態を有する。前記制御回路(19)は、前記連携切替回路(14)と前記負荷分離開閉器(136)とを制御するように構成される。前記副接続回路(13)は、前記負荷分離開閉器(136)と前記入力口(131)との間で前記連携切替回路(14)に電気的に接続されている。前記コントローラは、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)に電気的に接続されている間は、前記複数の配電サブシステム(400)の各々の前記切替盤(10)の前記制御回路(19)を制御して、前記連携切替回路(14)を前記第1接続状態し、かつ、前記負荷分離開閉器(136)をオンにするように構成される。前記コントローラ(50)は、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)から電気的に分離されると、前記複数の配電サブシステム(400)の各々の前記切替盤(10)の前記制御回路(19)を制御して、前記連携切替回路(14)を前記第2接続状態としてから、前記負荷分離開閉器(136)をオフにし、前記複数の特定の配電サブシステム(411,421,431)の前記補助電源(20)を起動してそれらの出力電力を同期させ、前記複数の配電サブシステムの前記切替盤(10)の前記制御回路(19)を制御して、前記複数の配電サブシステムの前記切替盤(10)に予め設定された順番で、前記複数の配電サブシステムの前記切替盤(10)の前記負荷分離開閉器(136)をオンにする、ように構成される。第11の態様によれば、既設の配電網(90)を補助電源(20)からの給電路として利用できるから、補助電源(20)の導入コストが低減される。
本発明に係る第12の態様のコントローラ(50)は、第11の態様との組み合わせで実現され得る。第12の態様では、前記配電網(90)には、前記複数の配電サブシステム(400)のうちの所定の配電サブシステム(400)を残りの配電サブシステム(400)から分離する少なくとも一つの開閉器(94,95)が設けられている。前記コントローラ(50)は、前記少なくとも一つの開閉器(94,95)を制御するように構成される。第12の態様によれば、補助電源(20)からの電力が供給される範囲を制限できる。
本発明に係る第13の態様のコントローラ(50)は、第11又は12の態様との組み合わせで実現され得る。第13の態様では、前記コントローラ(50)は、非常用電源(61)に電気的に接続されている。前記コントローラ(50)は、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)に電気的に接続されている間は前記配電網(90)からの電力により動作するように構成される。前記コントローラ(50)は、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)から電気的に分離されている間は前記非常用電源(61)からの電力により動作するように構成される。第13の態様によれば、外部電力系統(82)が利用できない場合でも、コントローラ(50)を動作させることができる。
本発明に係る第14の態様のコントローラ(50)は、第11〜第13の態様のいずれか一つとの組み合わせで実現され得る。第14の態様では、前記配電網(90)には、非常用開閉器(63)を介して非常用発電機(62)が電気的に接続されている。前記コントローラ(50)は、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)に電気的に接続されている間は前記非常用開閉器(63)をオフにするように構成される。前記コントローラ(50)は、前記配電網(90)が前記外部電力系統(82)から電気的に分離されると、前記非常用開閉器(63)をオンにし、かつ、前記非常用発電機(62)を起動した後、前記複数の特定の配電サブシステム(411,421,431)の前記補助電源(20)を起動するように構成される。第14の態様によれば、非常用発電機(62)と補助電源(20)との連携により、比較的大きな電力を要求する特定負荷(71)も動作させることができる。
本発明に係る第15の態様のパワーコンディショナ(22)は、第1〜第8の態様のうちいずれか一つの切替盤(10)の前記副接続回路(13)に接続される補助電源(20)を構成する。第15の態様によれば、既設の配電網(90)を補助電源(20)からの給電路として利用できるから、補助電源(20)の導入コストが低減される。