JP2022100785A - インターロックシステム - Google Patents

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Hidetoshi Shimada
仁志 杉本
Hitoshi Sugimoto
茂男 橋本
Shigeo Hashimoto
祐輔 浜下
Yusuke Hamashita
大輔 夏梅
Daisuke Natsuume
博之 平野
Hiroyuki Hirano
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Hokuriku Electric Power Co
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Abstract

【課題】異なる種類の2つの回路を有する給電系統に対応するインターロックシステムを提供する。【解決手段】商用側回路100の開閉器110に設けられた開閉器ロック部130と、充放電システム200に設けられたシステムロック部210と、商用側端子120およびシステム側端子61と負荷側端子310の接続部分に設けられた端子ロック部320と、第1鍵および第2鍵を備え、開閉器ロック部130は、第1鍵で施解錠可能な開閉器錠と、開閉制御手段を有し、システムロック部210は、第1・第2鍵で施解錠可能な第1・第2システム錠220,230と、負荷給電許可手段を有し、端子ロック部320は、第1・第2鍵で施解錠可能な第1・第2端子錠と、第1端子錠解錠時に商用側端子120と負荷側端子310を接離可能とし第2端子錠解錠時にシステム側端子61と負荷側端子310を接離可能とする接離制御手段を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、2つの回路を切り替え可能な給電系統において、両方の回路から同時に給電されることを防ぐためのインターロックシステムに関する。
電源と、負荷と、電源と負荷を接続する回路を有する給電系統において、電源や回路の故障に備えて複数の電源および回路を有しており適宜回路を切り替えられるようにしたものがある。このような系統は、一般に、複数の回路を通じて同時に給電されることがないようにするためのインターロック装置を備えている。たとえば、2つの電源および回路を有する系統において、一方の回路(故障した回路)の遮断器を開としなければ、他方の回路(健全な回路)の遮断器を閉とすることができないような仕組みであり、従来、電気的な装置によるものや、機械的な装置によるものが存在する。特許文献1に示すのは、機械的な装置によるものであり、鍵と、遮断器や断路器に設けた錠により、上記のような仕組みを実現している。
実公昭51-7457号公報
特許文献1に示すインターロック装置が適用される給電系統は、切替可能な2つの回路が、何れも遮断器や断路器を開閉するだけの同種のものであった。これに対し、停電時などにたとえば電気自動車の蓄電池を接続して負荷に給電するための充放電システムを利用する場合、充放電システムと、通常時に負荷に給電するための商用電源の回路とを切り替えることになるが、両者は電路を繋げるための操作が異なる種類のものであり、従来のインターロック装置をそのまま適用することはできなかった。
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、異なる種類の2つの回路を有する給電系統に対応するインターロックシステムを提供することを目的とする。
本発明は、商用電源に接続された商用側回路と、予備電源に接続された充放電システムと、負荷に接続された負荷側回路を備え、商用側回路は、回路を開閉する開閉器と、負荷側と接続するための商用側端子を有しており、充放電システムは、予備電源から負荷へ電力を供給させることができるものであって、負荷側と接続するためのシステム側端子を有しており、負荷側回路は、商用側端子またはシステム側端子に選択的に接続される負荷側端子を有するものである給電系統に設けられたインターロックシステムであって、開閉器に設けられた開閉器ロック部と、充放電システムに設けられたシステムロック部と、商用側端子およびシステム側端子と負荷側端子の接続部分に設けられた端子ロック部と、第1鍵および第2鍵を備えるものであり、開閉器ロック部は、第1鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第1鍵が取り外し可能であり解錠状態で第1鍵が取り外し不可能である開閉器錠と、開閉器錠が施錠状態のときに開閉器を開状態で固定し解錠状態のときに開閉器を開閉可能とする開閉制御手段を有しており、システムロック部は、第1鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第1鍵が取り外し可能であり解錠状態で第1鍵が取り外し不可能である第1システム錠と、第2鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第2鍵が取り外し可能であり解錠状態で第2鍵が取り外し不可能である第2システム錠と、第1システム錠と第2システム錠の両方が解錠状態であることを条件に充放電システムを予備電源から負荷へ電力供給可能とする負荷給電許可手段を有しており、端子ロック部は、第1鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第1鍵が取り外し可能であり解錠状態で第1鍵が取り外し不可能である第1端子錠と、第2鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第2鍵が取り外し可能であり解錠状態で第2鍵が取り外し不可能である第2端子錠と、少なくとも第1端子錠が解錠状態のときに商用側端子と負荷側端子を接離可能とするものであり少なくとも第2端子錠が解錠状態のときにシステム側端子と負荷側端子を接離可能とするものである接離制御手段を有するものであることを特徴とする。なお、予備電源とは、電気自動車などの車両に搭載された蓄電池、ガソリン車やディーゼル車の補機電源用ダイナモ、その他の種々のバッテリ、太陽光発電装置や風力発電装置などの再生可能エネルギー発電装置など、対象となる負荷に常用的に電力を供給している商用電源以外の種々の電源を含むものである。また、接離とは、接続および分離のことであり、接離可能とは、分離された複数の端子を接続することおよび接続された複数の端子を分離することの両方が可能であることである。
また、予備電源が、車両に搭載された蓄電池であって、システムロック部は、第2システム錠が解錠状態であることを条件に充放電システムを車両の蓄電池から他の車両の蓄電池へ電力供給可能とする車両間充電許可手段を有するものであってもよい。
また、端子ロック部は、負荷側端子に設けられたものであって、接離制御手段は、第1端子錠と第2端子錠の両方が解錠状態のときに、負荷側端子に対して商用側端子およびシステム側端子を接離可能とするものであってもよい。
本発明によれば、給電元を商用側回路に接続された商用電源から充放電システムに接続された予備電源に切り替える際には、商用側回路の開閉器を開としなければ第1鍵を取り外せず、その第1鍵と第2鍵を用いて負荷側端子の接続先を商用側端子からシステム側端子に切り替え、さらに第1鍵と第2鍵を用いて充放電システムを予備電源から負荷へ電力供給可能とする。一方、給電元を充放電システムに接続された予備電源から商用側回路に接続された商用電源に切り替える際には、充放電システムを予備電源から負荷へ電力供給不可能な状態としなければ第1鍵および第2鍵を取り外せず、その第1鍵と第2鍵を用いて負荷側端子の接続先をシステム側端子から商用側端子に切り替え、さらに第1鍵を用いて商用側回路の開閉器を閉とする。よって、何れの場合においても、商用電源と予備電源の一方からの給電が無い状態でなければ、他方からの給電ができないものとなっており、両方から同時に給電されることが防がれる。
また、予備電源が蓄電池を備える車両であって、システムロック部が第2システム錠が解錠状態であることを条件に充放電システムを車両の蓄電池から他の車両の蓄電池へ電力供給可能とするものであれば、負荷が商用電源から給電されているか否かとは無関係に、車両間で充電することができる。
また、端子ロック部が負荷側端子に設けられたものであって、接離制御手段が第1端子錠と第2端子錠の両方が解錠状態のときに負荷側端子に対して商用側端子およびシステム側端子を接離可能とするものであれば、第1鍵と第2鍵の両方が揃わなければ端子の接続・分離が一切できないので、より明確かつ確実に商用側回路と充放電システムの切り替えを行うことができる。
本発明のインターロックシステムの第1実施形態を備える給電系統の全体図である。 第1実施形態の開閉器および開閉器ロック部の説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 第1実施形態の負荷側端子および端子ロック部の説明図であり、(a)は正面図、(b)は商用側端子を接続した状態の側面図、(c)は商用側端子を取り外した状態の側面図である。 インターロックシステムによる回路の切り替えの説明図(1)である。 インターロックシステムによる回路の切り替えの説明図(2)である。 インターロックシステムによる回路の切り替えの説明図(3)である。 インターロックシステムによる回路の切り替えの説明図(4)である。 インターロックシステムによる回路の切り替えの説明図(5)である。 第2実施形態の端子ロック部の説明図である。 充放電システムの全体を示すブロック図である。 給電元の車両を切り替える際の給電量の変化を示すグラフである。 車両間で充電を行う場合の説明図であり、(a)は1台から1台に充電する場合、(b)は1台から複数台に充電する場合、(c)は複数台から1台に充電する場合、(d)は複数台から複数台に充電する場合を示す。 車両から負荷へ給電する場合の説明図であり、(a)、(b)により給電元の車両の切り替えを示している。
以下、本発明のインターロックシステムの具体的な内容について説明する。このインターロックシステムの第1実施形態は、図1に示すように、商用電源Pに接続された商用側回路100と、予備電源に接続された充放電システム200と、負荷Lに接続された負荷側回路300を備える給電系統に設けられるものである。商用側回路100は、建物Sに敷設されたものであって、通常時において、商用電源Pから商用側回路100を経由して建物Sの負荷L(家電製品、設備、機械など)に電力が供給される。一方、充放電システム200は、車両に搭載された可搬式のもので、必要に応じて使用されるものであり、非常時(商用電源Pの停電時)において、予備電源から充放電システム200を経由して建物Sの負荷Lに電力が供給される。なお、予備電源とは、商用電源以外の種々の電源を含むものであるが、ここでは電気自動車Eに搭載された蓄電池であるものとする。
商用側回路100は、回路を開閉する開閉器110と、負荷L側と接続するための商用側端子120を有している。商用電源Pに開閉器110が接続され、開閉器110に商用側端子120が接続されている。開閉器110は、ブレーカであり、図2に示すように、壁面Wに取り付けられた箱形の本体111と、本体111の前面中央部に設けられた上下動可能なスイッチ112を備える(壁面W側を後側とする)。スイッチ112が上側位置のときが閉(入)状態であり、スイッチ112が下側位置のときが開(切)状態であって、手動で開閉操作ができるものであり、また漏電を検知すると自動的にスイッチ112が下側位置に移動して開状態となる(すなわちブレーカがトリップ(開路)する)。商用側端子120は、商用側回路100の配線101の端部に設けられたバヨネット式のコネクタからなるものであり、図3に示すように、略円柱形状のコネクタ本体121と、コネクタ本体121の先端部に設けられたリング122を備える。リング122は、コネクタ本体121に対して回転可能であって、内周部に突起が形成されている。また、リング122の直径はコネクタ本体121の直径よりも大きい。
充放電システム200は、電気自動車E(予備電源)から負荷Lへ電力を供給させることができるものであって、電気を適宜変換するパワーコンディショナや直流変換器と、電気自動車Eが接続される車両接続部5と、負荷L側と接続するためのシステム側端子61を有する負荷接続部6と、この充放電システム200を制御する制御部7を備える(図1においてパワーコンディショナや直流変換器は図示省略してある)。パワーコンディショナ、直流変換器や制御部7は、箱形の筐体240に納められている。制御部7は、このシステムを動作させるための種々の手段を有しており、制御部7自体がそれらの手段として機能するものであるともいえる。たとえば、制御部7は、1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池から負荷Lへ電力を供給するように直流変換器を制御する負荷給電手段や、1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池から他の1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給するように直流変換器を制御する車両間充電手段を有する。なお、システム側端子61の形状は、商用側端子120の形状と同じである。充放電システム200についてのこれ以上の詳細は後述する。
負荷側回路300は、商用側端子120またはシステム側端子61に選択的に接続される負荷側端子310と、分電盤360を有している。負荷側端子310は、図3に示すように、略立方体形のボックス311と、ボックス311の前面中央部に設けられた略円筒形状のジャック312を備える。ジャック312の外周部には、螺旋状の溝が形成されている。そして、ジャック312に商用側端子120のコネクタ本体121を差し込み、リング122を回転させて内周部の突起をジャック312の溝に嵌合させることで、商用側端子120と負荷側端子310が固定される(システム側端子61も同様である)。また、ボックス311の下面には、分電盤360に繋がる配線301が接続されている。分電盤360は、建物Sに設置された既存のものである。分電盤360からそれぞれの負荷Lに配線が接続されている。
そして、本発明のインターロックシステムは、商用側回路100の開閉器110に設けられた開閉器ロック部130と、充放電システム200に設けられたシステムロック部210と、負荷側回路300の負荷側端子310の、商用側端子120およびシステム側端子61との接続部分に設けられた端子ロック部320と、第1鍵K1および第2鍵K2を備えるものである。
なお、第1鍵K1および第2鍵K2を後述の各種の錠(第1鍵K1に対応する開閉器錠140、第1システム錠220および第1端子錠330ならびに第2鍵K2に対応する第2システム錠230および第2端子錠340)の鍵穴に差し込んだ状態で、一方の方向に回すことで錠を施錠状態とし、他方の方向に回すことで錠を解錠状態とすることができる。ただし、何らかの対象物を物理的に施錠または解錠する場合ではなくても、錠の2つの状態を表すために施錠状態および解錠状態という用語を用いる。これらの錠は、何れもいわゆる1箇所抜け(片抜け)の錠であって、錠が施錠状態のとき、錠から鍵を取り外すことが可能であり、錠が解錠状態のとき、錠から鍵を取り外すことが不可能である。
開閉器ロック部130は、図2に示すように、壁面W(前側から見て開閉器110の左側位置)に取り付けられたブラケット131と、ブラケット131に取り付けられた開閉器錠140と、開閉器錠140に取り付けられた開閉制御手段150を備える。
ブラケット131は、何れもL字型金具からなる基部132と保持部133を組み合わせたものであり、基部132は、壁面Wに当接しネジ止め固定された固定片134と固定片134の右端から前側に延出する延出片135からなり、保持部133は延出片135に左側から当接し延出片135に対して前後位置を調整可能な調整片136と調整片136の前端から右側に延出する保持片137からなる。調整片136には、前後に延びる長孔138が形成されており、延出片135にはボルト孔が形成されていて、長孔138とボルト孔を貫通するボルトにより延出片135と調整片136が固定されるものであって、長孔138の長さの範囲内で調整片136の前後位置を調整できる。また、保持片137は開閉器110の本体111の前側に位置するが、前側から見てスイッチ112には重ならない。そして、保持片137の中央部に、開閉器錠140が取り付けられている。
開閉器錠140は、既存のシリンダー錠からなり、鍵穴141が前側を向いており、略円筒形状のシリンダー部142が保持片137を貫通して後側に延びている。ただし、開閉器錠140が開閉器110の本体111に接触しないように、保持部133(調整片136)の前後位置が調整されている。この開閉器錠140は、第1鍵K1によって施解錠可能であって、第1鍵K1を鍵穴141に差し込んで、反時計回りに回すと解錠状態となって、第1鍵K1が取り外し不可能であり、時計回りに回すと施錠状態となって、第1鍵K1が取り外し可能である。さらに、開閉器錠140のシリンダー部142の後端部には、開閉制御手段150が取り付けられている。
開閉制御手段150は、平板状の開閉板151からなる。開閉板151は、長手方向の一端(基端)がシリンダー部142の後端部に接続されていて、第1鍵K1の回転動作に連動して回転するものである。開閉器錠140が施錠状態のときに、開閉板151の他端(先端)は右側向きとなり、開状態のスイッチ112の上側に位置する。よって、この状態からスイッチ112を上側に動かす(閉状態にする)ことはできないので、開閉制御手段150は開閉器錠140が施錠状態のときに開閉器110を開状態で固定する。一方、開閉器錠140が解錠状態のときに、開閉板151の他端(先端)は上側向きとなり、スイッチ112には干渉しない。よって、この状態ではスイッチ112を自在に動かすことが可能であり、またスイッチ112が自動的に下側位置に移動する(開状態になる)トリップ動作が妨げられることもなく、開閉制御手段150は開閉器錠140が解錠状態のときに開閉器110を開閉可能とする。なお、スイッチ112が上側位置(閉状態)である場合に、開閉器錠140を解錠状態から施錠状態にしようとしても、開閉板151がスイッチ112に干渉して開閉板151の回転が妨げられるので、第1鍵K1を回すことができない。
システムロック部210は、充放電システム200に取り付けられた第1システム錠220および第2システム錠230と、充放電システム200の制御部7が有する負荷給電許可手段および車両間充電許可手段を備える。
第1システム錠220と第2システム錠230は、何れも既存のシリンダー錠からなり、鍵穴が筐体240の外側に向けて露出している。第1システム錠220は、第1鍵K1によって施解錠可能であって、施錠状態で第1鍵K1が取り外し可能であり、解錠状態で第1鍵K1が取り外し不可能である。第2システム錠230は、第2鍵K2によって施解錠可能であって、施錠状態で第2鍵K2が取り外し可能であり、解錠状態で第2鍵K2が取り外し不可能である。そして、第1システム錠220と第2システム錠230は、筐体240の内部において、制御部7と接続されており、制御部7は、第1システム錠220と第2システム錠230がそれぞれ施錠状態であるか解錠状態であるかを識別する。なお、第1システム錠220と第2システム錠230は、何らかの対象物を物理的に施解錠するものではないが、ここでは他の錠に合わせて、第1鍵K1または第2鍵K2が取り外し可能な状態を施錠状態、第1鍵K1または第2鍵K2が取り外し不可能な状態を解錠状態とよんでいる。そして、筐体240の内部において、施錠状態では接点が切断されたオフ状態となり、解錠状態では接点が接続されたオン状態となるものであり、制御部7はそのオンオフ状態を識別する。
また、制御部7は、負荷給電許可手段を有しており、制御部7自体が負荷給電許可手段として機能する。負荷給電許可手段は、第1システム錠220と第2システム錠230の両方が解錠状態であることを条件に、充放電システム200を電気自動車E(予備電源)から負荷Lへ電力供給可能とするものである。すなわち、制御部7は負荷給電許可手段として機能してから、使用者の操作に応じて負荷給電手段として機能し、1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池から負荷Lへ電力を供給するように直流変換器を制御する。そして、電力供給中に第1システム錠220と第2システム錠230の少なくとも一方が施錠状態になった場合には、負荷給電許可手段は、電気自動車E(予備電源)から負荷Lへの電力供給を不可能とするものである。すなわち、制御部7は負荷給電許可手段として機能し、充放電システム200を停止する。さらに、制御部7は、車両間充電許可手段を有しており、制御部7自体が車両間充電許可手段として機能する。車両間充電許可手段は、第2システム錠230が解錠状態であることを条件に、充放電システム200を電気自動車Eの蓄電池から他の電気自動車Eの蓄電池へ電力供給可能とするものである。すなわち、制御部7は車両間充電許可手段として機能してから、使用者の操作に応じて車両間充電手段として機能し、1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池から他の1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給するように直流変換器を制御する。そして、電力供給中に第2システム錠230が施錠状態になった場合には、車両間充電許可手段は、電気自動車Eの蓄電池から他の電気自動車Eの蓄電池への電力供給を不可能とするものである。すなわち、制御部7は車両間充電許可手段として機能し、充放電システム200を停止する。
端子ロック部320は、図3に示すように、負荷側端子310に設けられたものであって、負荷側端子310のボックス311の前面(ジャック312の上側位置と下側位置)に取り付けられた2つのブラケット313と、それぞれのブラケット313に取り付けられた第1端子錠330および第2端子錠340と、第1端子錠330および第2端子錠340に取り付けられた接離制御手段350を備える。
下側のブラケット313は、ボックス311の前面に当接しネジ止め固定された固定片314と、固定片314の左端から前側に延出する延出片315と、延出片315の前端から左側に延出する保持片316からなる。上側のブラケット313は、下側のブラケット313と同じ形状であって左右対称となる向きで配置されている。そして、下側のブラケット313の保持片316に、第1端子錠330が取り付けられており、上側のブラケット313の保持片316に、第2端子錠340が取り付けられている。第1端子錠330は、ジャック312の中心に対して左側寄りに位置しており、第2端子錠340は、ジャック312の中心に対して右側寄りに位置している。
第1端子錠330および第2端子錠340は、何れも既存のシリンダー錠からなり、鍵穴331,341が前側を向いており、略円筒形状のシリンダー部332,342が保持片316を貫通して後側に延びている。ただし、第1端子錠330および第2端子錠340はボックス311に接触しない。第1端子錠330は、第1鍵K1によって施解錠可能であって、第1鍵K1を鍵穴331に差し込んで、反時計回りに回すと解錠状態となって、第1鍵K1が取り外し不可能であり、時計回りに回すと施錠状態となって、第1鍵K1が取り外し可能である。また、第2端子錠340は、第2鍵K2によって施解錠可能であって、第2鍵K2を鍵穴341に差し込んで、反時計回りに回すと解錠状態となって、第2鍵K2が取り外し不可能であり、時計回りに回すと施錠状態となって、第2鍵K2が取り外し可能である。さらに、第1端子錠330および第2端子錠340のそれぞれのシリンダー部332,342の後端部には、接離制御手段350が取り付けられている。
接離制御手段350は、第1端子錠330のシリンダー部332に取り付けられた平板状の第1接離板351と、第2端子錠340のシリンダー部342に取り付けられた平板状の第2接離板352からなる。第1接離板351は、長手方向の一端(基端)が第1端子錠330のシリンダー部332の後端部に接続されていて、第1鍵K1の回転動作に連動して回転するものであり、第1端子錠330が施錠状態のときに、第1接離板351の他端(先端)は上側向きとなり、第1端子錠330が解錠状態のときに、第1接離板351の他端(先端)は左側向きとなる。第1接離板351の先端が上側向きの状態における先端部の右辺には、円弧状の切欠部353が形成されている。また、第2接離板352は、長手方向の一端(基端)が第2端子錠340のシリンダー部342の後端部に接続されていて、第2鍵K2の回転動作に連動して回転するものであり、第2端子錠340が施錠状態のときに、第2接離板352の他端(先端)は下側向きとなり、第2端子錠340が解錠状態のときに、第2接離板352の他端(先端)は右側向きとなる。第2接離板352の先端が下側向きの状態における先端部の左辺には、円弧状の切欠部353が形成されている。そして、第1端子錠330と第2端子錠340が施錠状態のとき、第1接離板351と第2接離板352のそれぞれの切欠部353が対向し、1つの円の一部を構成する。この円は、ジャック312と同心であって、商用側端子120のコネクタ本体121よりもわずかに直径が大きく、リング122よりも直径が小さい(システム側端子61に対しても同様である)。そして、ジャック312に商用側端子120が接続されているときに、第1端子錠330と第2端子錠340を施錠状態にすると、第1接離板351と第2接離板352の切欠部353がそれぞれ商用側端子120のコネクタ本体121の外周面に沿うことになる。この状態では、ジャック312から商用側端子120を引き抜こうとしても、リング122が第1接離板351および第2接離板352に干渉するため、引き抜くことができない。第1端子錠330と第2端子錠340の一方を解錠状態としても、他方が施錠状態であれば、第1接離板351と第2接離板352の何れかがリング122に干渉するため、やはり引き抜くことはできない。第1端子錠330と第2端子錠340の両方が解錠状態のときにのみ、ジャック312から商用側端子120を引き抜くことができる。また、ジャック312に商用側端子120が接続されていないときに、第1端子錠330と第2端子錠340の少なくとも一方を施錠状態にすると、ジャック312に商用側端子120を接続しようとしても、リング122が第1接離板351と第2接離板352の一方または両方と干渉するため、接続することができない。第1端子錠330と第2端子錠340の両方が解錠状態のときにのみ、ジャック312に商用側端子120を接続することができる。システム側端子61についても、同様である。よって、接離制御手段350は、第1端子錠330と第2端子錠340の両方が解錠状態のときに、負荷側端子310に対して商用側端子120およびシステム側端子61を接離可能とする。
続いて、このように構成されたインターロックシステムを備える給電系統において、商用電源Pの停電時に充放電システム200を利用して電気自動車Eから負荷Lに電力を供給する際の具体的な手順を、図4(a)~(e)に基づき説明する。
まず、停電が生じた際の手順を説明する。通常時においては、図4(a)に示すように、商用電源Pから電力が供給されているので、商用側回路100の開閉器110は閉状態であり、すなわち、開閉器ロック部130の開閉器錠140は解錠状態であって、第1鍵K1は、開閉器錠140に差し込まれた状態である。また、負荷側回路300の負荷側端子310には商用側端子120が接続されており、端子ロック部320の第1端子錠330と第2端子錠340は何れも施錠状態である。さらに、第2鍵K2は、充放電システム200のシステムロック部210の第2システム錠230に差し込まれた状態であるものとする。停電が生じると、この充放電システム200が搭載された車両が、給電の対象となる建物Sへと派遣される。そしてまず、図4(b)に示すように、商用側回路100の開閉器110のスイッチ112を操作して開状態とし、開閉器ロック部130の開閉器錠140に差し込まれた第1鍵K1を回して開閉器錠140を施錠状態として、第1鍵K1を取り外す。また、充放電システム200の第2システム錠230から第2鍵K2を取り外す。次に、図4(c)に示すように、第1鍵K1と第2鍵K2をそれぞれ端子ロック部320の第1端子錠330と第2端子錠340に差し込んで回し、第1端子錠330と第2端子錠340を解錠状態として、負荷側端子310のジャック312から商用側端子120を引き抜く。次に、図4(d)に示すように、負荷側端子310のジャック312にシステム側端子61を差し込み、端子ロック部320の第1端子錠330と第2端子錠340に差し込まれた第1鍵K1と第2鍵K2をそれぞれ回し、第1端子錠330と第2端子錠340を施錠状態として、第1鍵K1と第2鍵K2を取り外す。次に、図4(e)に示すように、第1鍵K1と第2鍵K2を、それぞれ充放電システム200のシステムロック部210の第1システム錠220と第2システム錠230に差し込んで回し、第1システム錠220と第2システム錠230を解錠状態とする。これにより、充放電システム200の制御部7が、負荷給電許可手段として機能するので、その後の操作により、制御部7が負荷給電手段として機能し、電気自動車Eの蓄電池から負荷Lへ電力が供給される。以上で停電が生じた際の手順が終了する。
次に、停電が復旧した際の手順を説明する。停電時においては、図4(e)に示すように、充放電システム200により、電気自動車Eの蓄電池から負荷Lへ電力が供給されている。すなわち、システムロック部210の第1システム錠220と第2システム錠230は解錠状態であって、第1鍵K1と第2鍵K2は、それぞれ第1システム錠220と第2システム錠230に差し込まれた状態である。また、負荷側端子310にはシステム側端子61が接続されており、端子ロック部320の第1端子錠330と第2端子錠340は何れも施錠状態である。そしてまず、充放電システム200を停止(電気自動車Eの蓄電池から負荷Lへの電力供給を停止)する。次に、図4(d)に示すように、システムロック部210の第1システム錠220と第2システム錠230に差し込まれた第1鍵K1と第2鍵K2をそれぞれ回し、第1システム錠220と第2システム錠230を施錠状態として、第1鍵K1と第2鍵K2を取り外す。次に、図4(c)に示すように、第1鍵K1と第2鍵K2を、それぞれ端子ロック部320の第1端子錠330と第2端子錠340に差し込んで回し、第1端子錠330と第2端子錠340を解錠状態として、負荷側端子310のジャック312からシステム側端子61を引き抜く。次に、図4(b)に示すように、負荷側端子310のジャック312に商用側端子120を差し込み、端子ロック部320の第1端子錠330と第2端子錠340に差し込まれた第1鍵K1と第2鍵K2をそれぞれ回し、第1端子錠330と第2端子錠340を施錠状態として、第1鍵K1と第2鍵K2を取り外す。次に、図4(a)に示すように、開閉器ロック部130の開閉器錠140に第1鍵K1を差し込んで回し、開閉器錠140を解錠状態とし、商用側回路100の開閉器110のスイッチ112を操作して閉状態とする。なお、第2鍵K2は、充放電システム200のシステムロック部210の第2システム錠230に差し込んでおく。以上で停電が復旧した際の手順が終了する。
また、このように構成されたインターロックシステムを備える給電系統において、電気自動車Eの蓄電池から他の電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給する際には、充放電システム200のシステムロック部210の第2システム錠230に差し込まれた第2鍵K2を回して解錠状態とする、これにより、充放電システム200の制御部7が、車両間充電許可手段として機能するので、その後の操作により、制御部7が車両間充電手段として機能し、電気自動車Eの蓄電池から他の電気自動車Eの蓄電池へ電力が供給される。この場合、商用電源Pの通電状態や、負荷側端子310と商用側端子120またはシステム側端子61の接続状態は関係しない。
このような本発明のインターロックシステムの第1実施形態によれば、給電元を商用側回路100に接続された商用電源Pから充放電システム200に接続された電気自動車E(予備電源)に切り替える際には、商用側回路100の開閉器110を開としなければ第1鍵K1を取り外せず、その第1鍵K1と第2鍵K2を用いて負荷側端子310の接続先を商用側端子120からシステム側端子61に切り替え、さらに第1鍵K1と第2鍵K2を用いて充放電システム200を電気自動車Eから負荷Lへ電力供給可能とする。一方、給電元を充放電システム200に接続された電気自動車Eから商用側回路100に接続された商用電源Pに切り替える際には、充放電システム200を電気自動車Eから負荷Lへ電力供給不可能な状態としなければ第1鍵K1および第2鍵K2を取り外せず、その第1鍵K1と第2鍵K2を用いて負荷側端子310の接続先をシステム側端子61から商用側端子120に切り替え、さらに第1鍵K1を用いて商用側回路100の開閉器110を閉とする。よって、何れの場合においても、商用電源Pと電気自動車Eの一方からの給電が無い状態でなければ、他方からの給電ができないものとなっており、両方から同時に給電されることが防がれる。また、システムロック部210が、第2システム錠230が解錠状態であることを条件に充放電システム200を電気自動車Eの蓄電池から他の電気自動車Eの蓄電池へ電力供給可能とするものであり、商用側回路100で用いる第1鍵K1と充放電システム200で用いる第2鍵K2の2つの鍵を用いることで、負荷Lが商用電源Pから給電されているか否かとは無関係に、充放電システム200のみによって車両間で充電することができる。さらに、端子ロック部320が負荷側端子310に設けられたものであって、接離制御手段350が、第1端子錠330と第2端子錠340の両方が解錠状態のときに負荷側端子310に対して商用側端子120およびシステム側端子61を接離可能とするものであるから、第1鍵K1と第2鍵K2の両方が揃わなければ端子の接続・分離が一切できないので、より明確かつ確実に商用側回路100と充放電システム200の切り替えを行うことができる。また、このように回路の切り替えの過程において、使用者が第1鍵K1や第2鍵K2を持って各部の鍵穴に抜き差しすることで、静電気が放電されて、各部の電位を合わせることができる。
なお、商用側端子120およびシステム側端子61と負荷側端子310との接続に、バヨネット式のコネクタが用いられているので、接続・分離が容易でありかつ確実に接続できる。また、商用側回路100と充放電システム200の切り替え部分である負荷側端子310が、分電盤360よりも電源(商用電源Pと電気自動車E)側に位置しているので、給電対象となる負荷Lが特定されず、必要に応じて種々の負荷Lを利用できる。
次に、本発明のインターロックシステムの第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、負荷側端子310および端子ロック部320の構成が異なるものであり、以下においては当該部分についてのみ説明する。
図5に示すように、第2実施形態の端子ロック部320は、商用側ボックス370とシステム側ボックス380からなる接離制御手段350を備える。商用側ボックス370とシステム側ボックス380は、何れも箱形のボックス本体371,381と、ボックス本体371,381の前面に設けられた扉372,382を備える。商用側ボックス370の扉372には第1端子錠330が設けられている。第1端子錠330は、第1鍵K1によって施解錠可能であって、施錠状態で第1鍵K1が取り外し可能であり、解錠状態で第1鍵K1が取り外し不可能である。第1鍵K1により第1端子錠330を解錠状態とすることで、扉372が開閉自在となる。また、システム側ボックス380の扉382には第2端子錠340が設けられている。第2端子錠340は、第2鍵K2によって施解錠可能であって、施錠状態で第2鍵K2が取り外し可能であり、解錠状態で第2鍵K2が取り外し不可能である。第2鍵K2により第2端子錠340を解錠状態とすることで、扉382が開閉自在となる。そして、商用側ボックス370の内部には、商用側端子120が納められており、システム側ボックス380の内部には、システム側端子61が納められている。また、負荷側端子310は、分電盤360から延びる配線301の先端にジャック312が設けられた構成となっており、負荷側端子310と、商用側端子120またはシステム側端子61が接続されるものである。なお、ボックス本体371,381または扉372,382に、負荷側端子310の配線301を通すための孔や切欠が形成されており、商用側端子120またはシステム側端子61に負荷側端子310が接続された状態で、扉372,382を閉じることができる。
次に、このように構成された第2実施形態において、負荷側端子310の接続先を商用側端子120からシステム側端子61に切り替える手順を説明する。通常時においては、負荷側端子310は商用側端子120に接続されており、商用側ボックス370とシステム側ボックス380は何れも扉372,382が閉じられ、第1端子錠330と第2端子錠340は何れも施錠状態である。まず、第1鍵K1を商用側ボックス370の第1端子錠330に差し込んで回し、第1端子錠330を解錠状態として、扉372を開ける。次に、商用側ボックス370内の商用側端子120から負荷側端子310を取り外し、負荷側端子310を商用側ボックス370から取り出す。次に、扉372を締めて、第1鍵K1を回し、第1端子錠330を施錠状態として、第1鍵K1を取り外す。次に、第2鍵K2をシステム側ボックス380の第2端子錠340に差し込んで回し、第2端子錠340を解錠状態として、扉382を開ける。次に、システム側ボックス380内のシステム側端子61に負荷側端子310を接続する。次に、扉382を締めて、第2鍵K2を回し、第2端子錠340を施錠状態として、第2鍵K2を取り外す。以上で負荷側端子310の接続先を商用側端子120からシステム側端子61に切り替える手順が終了する。
次に、負荷側端子310の接続先をシステム側端子61から商用側端子120に切り替える手順を説明する。停電時においては、負荷側端子310はシステム側端子61に接続されており、商用側ボックス370とシステム側ボックス380は何れも扉372,382が閉じられ、第1端子錠330と第2端子錠340は何れも施錠状態である。まず、第2鍵K2をシステム側ボックス380の第2端子錠340に差し込んで回し、第2端子錠340を解錠状態として、扉382を開ける。次に、システム側ボックス380内のシステム側端子61から負荷側端子310を取り外し、負荷側端子310をシステム側ボックス380から取り出す。次に、扉382を締めて、第2鍵K2を回し、第2端子錠340を施錠状態として、第2鍵K2を取り外す。次に、第1鍵K1を商用側ボックス370の第1端子錠330に差し込んで回し、第1端子錠330を解錠状態として、扉372を開ける。次に、商用側ボックス370内の商用側端子120に負荷側端子310を接続する。次に、扉372を締めて、第1鍵K1を回し、第1端子錠330を施錠状態として、第1鍵K1を取り外す。以上で負荷側端子310の接続先をシステム側端子61から商用側端子120に切り替える手順が終了する。
このような本発明のインターロックシステムの第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、商用電源Pと電気自動車Eの一方からの給電が無い状態でなければ、他方からの給電ができないものとなっており、両方から同時に給電されることが防がれる。また、負荷Lが商用電源Pから給電されているか否かとは無関係に、車両間で充電することができる。そして、商用側ボックス370とシステム側ボックス380からなる接離制御手段350によれば、少なくとも第1端子錠330が解錠状態のときに商用側端子120と負荷側端子310を接離可能とするものであり、少なくとも第2端子錠340が解錠状態のときにシステム側端子61と負荷側端子310を接離可能とするものであるから、第1鍵K1と第2鍵K2の両方が揃わなければ商用側端子120とシステム側端子61の切り替えができないので、より明確かつ確実に商用側回路100と充放電システム200の切り替えを行うことができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で適宜変更できる。たとえば、開閉器ロック部や端子ロック部の構造は、開閉器や、負荷側端子、商用側端子およびシステム側端子の形状などに応じて適宜変更できる。具体的には、開閉制御手段や接離制御手段は、上記のように鍵の回転動作によって機械的に開閉板や接離板が回転するものに限られず、鍵の回転動作に起因してサーボモータなどのアクチュエータが駆動して開閉板や接離板を回転させるものであってもよい。そして、開閉板や接離板を回転させる機構は一例であって、それ以外の機構であってもよい。また、商用側端子およびシステム側端子とそれらに選択的に接続される負荷側端子の構成は、上記のようにコネクタにより接続・分離されるものに限られず、切替スイッチにより負荷側端子の接続先が切り替えられる(一方の端子と分離され他方の端子と接続される)ものなど、接続先を変更できる構成であればどのようなものであってもよい。
ここで、本発明のインターロックシステムが設けられる給電系統が備える充放電システムの一例の具体的な内容について説明する。ここで示す実施形態において、充放電システムは、それ自体が車両(トラックの荷台など)に載せられた、可搬式のものである。そして、図6に示すように、この充放電システムは、パワーコンディショナ(PCS)1と、パワーコンディショナ1に接続された複数(本実施形態では5つとする)の直流変換器(DCDC)2と、同じくパワーコンディショナ1に接続された絶縁変圧器3および電灯変圧器4と、各直流変換器2に接続されたものであって蓄電池を備える車両である電気自動車Eが接続される車両接続部5と、絶縁変圧器3および電灯変圧器4にそれぞれ接続されたものであって負荷Lが接続される負荷接続部6と、機器の制御および各種の値の計測を行う制御部7と、この充放電システム自体に電力を供給するための電源部8と、この充放電システムに商用電源や、発電機・ポータブル電源などの各種の交流電源を外部電源として接続するための接続部9を備える。
なお、以下において、5つの直流変換器2に共通の説明をする際には、5つをまとめて直流変換器2とよび、個々の直流変換器2について説明をする際には、それぞれA系直流変換器2a、B系直流変換器2b、C系直流変換器2c、D系直流変換器2d、E系直流変換器2eとよぶ。また、後述のように、各直流変換器2にそれぞれ複数台の電気自動車Eが接続可能であるが、全ての電気自動車Eに共通の説明をする際には、全てをまとめて電気自動車Eとよび、個々の電気自動車Eについて説明をする際には、A系直流変換器2aに接続された電気自動車については、A系1号車Ea1、A系2号車Ea2、・・・とよび、B系直流変換器2bに接続された電気自動車については、B系1号車Eb1、B系2号車Eb2、・・・とよび、C系直流変換器2cに接続された電気自動車については、C系1号車Ec1、C系2号車Ec2、・・・とよび、D系直流変換器2dに接続された電気自動車については、D系1号車Ed1、D系2号車Ed2、・・・とよぶ(E系直流変換器2eに接続された電気自動車については、以下の説明の中には登場しないので省略する)。さらに、負荷Lには、エレベータなどの三相交流の電気で動作するものと、照明器具などの単相交流の電気で動作するものがあるが、全ての負荷Lに共通の説明をする際には、全てをまとめて負荷Lとよび、三相交流の電気で動作する負荷Lについては、三相動力負荷Laとよび、単相交流の電気で動作する負荷Lについては、単相電灯負荷Lbとよぶ。
パワーコンディショナ1は、電気自動車Eの蓄電池から給電される直流の電気を、交流の電気に変換して出力するものである。また、パワーコンディショナ1は、制御部7と接続されており、制御部7に対して電流・電圧などの各種計測値のデータを送信するとともに、制御部7から制御のための信号を受信する。
直流変換器2は、電気自動車Eの蓄電池から給電される直流の電気について、直流のまま電圧を変換して出力するものである。本実施形態では、上述のとおり5つの直流変換器2(A系直流変換器2a、B系直流変換器2b、C系直流変換器2c、D系直流変換器2d、E系直流変換器2e)を備えており、パワーコンディショナ1の入力端に対して、5つの直流変換器2が並列に接続されている。また、各直流変換器2は、制御部7と接続されており、制御部7に対して電流・電圧などの各種計測値のデータを送信するとともに、制御部7から制御のための信号を受信する。
絶縁変圧器3は、飽和変圧器からなり、パワーコンディショナ1から負荷L側に直流電流が流出することを確実に防ぎ、電路を絶縁するためのものである。絶縁変圧器3の容量は、パワーコンディショナ1の容量と同じである。また、電灯変圧器4は、V字結線変圧器からなり、パワーコンディショナ1から出力される三相交流の電気を単相交流の電気に変換するものである。電灯変圧器4の容量は、パワーコンディショナ1の容量よりも大きい。そして、絶縁変圧器3と電灯変圧器4は、パワーコンディショナ1の出力端に対して並列に接続されている。なお、絶縁変圧器3と電灯変圧器4には、それぞれ接地電流を検出するための電流センサ31,41が設けられている。そして、電流センサ31,41は、制御部7に接続されており、制御部7に対して電流の計測値のデータを送信する。また、絶縁変圧器3と電灯変圧器4の負荷L側には、それぞれ電圧を検出するための電圧センサ32,42が設けられている。そして、電圧センサ32,42は、制御部7に接続されており、制御部7に対して電圧の計測値のデータを送信する。
車両接続部5は、各直流変換器2に接続されたものであって、複数本に枝分かれした配線のそれぞれの先端に設けられた、電気自動車Eと接続するためのプラグ51と、それぞれの配線を開閉するリレー接点52と、リレー接点52の1つを択一的に閉とする電気的インターロック装置53を備える。なお、図8および図9においては、閉状態のリレー接点52に「ON」、開状態のリレー接点52に「OFF」と付記してある。プラグ51を通じて電気自動車Eの蓄電池から給電し、また蓄電池に充電するとともに、車載用の通信プロトコルとして一般的なCANプロトコルにより電気自動車Eの各種情報(蓄電池の残容量や満容量など)が制御部7に送信される。また、電気的インターロック装置53は、既知の機構であり詳細は説明しないが、制御部7からの指令に基づき、複数のリレー接点52のうちの1つのみを閉とし、同時に複数のリレー接点52が閉となることがないように動作するものである。なお、以下において、たとえばA系直流変換器2aに接続された車両接続部5やそのプラグ51などについて、A系の車両接続部5やA系のプラグ51などという場合がある。また、上記の車両接続部5を用いずに、別途直流電源用プラグ54を有する直流電源用ケーブル55を用いて、直流変換器2にガソリン車Gやディーゼル車の補機電源用ダイナモ、あるいは種々のバッテリなどの直流電源を接続することもできる(図6においては、E系直流変換器2eにガソリン車Gが接続されており、E系の車両接続部5は図示省略してある)。
負荷接続部6は、絶縁変圧器3と電灯変圧器4にそれぞれ接続されたものであって、配線の先端に設けられた、負荷Lと接続するためのコネクタからなるシステム側端子61を備える。なお、本実施形態において、このシステム側端子61が接続される負荷L側の負荷側端子310には、通常時は商用電源の系統の商用側端子120が接続されており、負荷Lは商用電源から給電されている。そして、非常時において、商用電源の系統の商用側端子120を取り外して負荷接続部6のシステム側端子61を接続し、負荷Lに対して電気自動車Eから給電するものである。なお、上記のように、この負荷接続部6のシステム側端子61または商用電源の系統の商用側端子120と負荷L側の負荷側端子310との接続部分には、商用電源の系統が非通電状態にならないと、給電元を商用電源側から電気自動車側に切り替えることができないようなインターロックシステムが設けられている。
制御部7は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)71と、PLC71に接続されたタッチパネル72、通信機73およびBルートアダプタ74を備える。PLC71は、演算装置、記憶装置および入出力装置を備えるものであり、記憶装置に記録されたプログラムに基づいて、この充放電システムに種々の動作をさせる。すなわち、制御部7(PLC71)は、この充放電システムを動作させるための種々の手段を有しており、制御部7自体がそれらの手段として機能するものであるともいえる。タッチパネル72は、この充放電システムの使用者が操作可能なものであって、電気自動車Eから負荷Lや他の電気自動車Eへの給電や、給電元の電気自動車Eの切り替えなど、各種の操作を行うことができる。また、タッチパネル72には、この充放電システムおよび接続された電気自動車Eや負荷Lの状態などの各種情報が表示される。通信機73は、携帯電話回線などを通じて外部の機器と通信できるものであり、パソコンやスマートフォンなどから、この充放電システムを遠隔制御するために用いられる。なお、遠隔制御には、エコーネットライト規格の通信プロトコルが用いられており、これにより、電力の供給量に需要量を合わせるデマンドレスポンス(DR)や、多数の分散型電源を1つの発電所のようにまとめて制御するバーチャルパワープラント(VPP)にも対応できる。Bルートアダプタ74は、建物に設置されたスマートメータMと無線接続するためのものであり、給電の対象の負荷Lが設けられた建物における商用電源の受電状況や消費電力量などのデータを得ることができる。
電源部8は、パワーコンディショナ1に対して直流変換器2と並列になるように接続された充電器81と、充電器81に接続された電源部直流変換器82と、電源部直流変換器82に接続された制御電源83と、充電器81と電源部直流変換器82の間に接続されたバックアップ用蓄電池84を備える。制御電源83は、この充放電システムを動作させるための電源となるものであって、無停電式のものであり、図示しない配線により各部に接続されており、電力を供給する。そして、充放電システムに電気自動車Eまたは後述の商用電源や発電機などの別の電源が接続されている場合には、それらから充電器81および電源部直流変換器82を介して制御電源83に電力を供給する。
接続部9は、パワーコンディショナ1に対して直流変換器2と並列になるように接続された電圧調整器91と、電圧調整器91に接続された整流器92を備える。整流器92に対して、商用電源や発電機などの別の電源を接続することができるものであり、図6においては、商用電源Pが接続された状態を示す。
なお、この充放電システムにおけるこれらの構成要素のうち、電気自動車Eを接続するためのプラグ51および負荷Lを接続するためのシステム側端子61以外は、図示しない筐体に納められており、この筐体が車両に載せられている。タッチパネル72は、筐体の表面に露出しており、外部から操作できるようになっている。
次に、制御部7がこの充放電システムをどのように動作させるものであるのかについて、すなわち、制御部7が有する各種の手段について説明する。
制御部7は、車両間充電手段を有しており、制御部7自体が車両間充電手段として機能する。車両間充電手段は、1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池から他の1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給するように、直流変換器2を制御するものである。この場合、車両接続部5の電気的インターロック装置53により、1つの直流変換器2には常に1台の電気自動車Eが電気的に接続された状態となるものであり、1つまたは複数の直流変換器2に接続された電気自動車Eから、他の1つまたは複数の直流変換器2に接続された電気自動車Eへ電力を供給するように、各直流変換器2を制御する。具体的には、1台から1台への充電の場合、たとえば、A系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1から、B系直流変換器2bに接続されたB系1号車Eb1に充電される。1台から複数台への充電の場合、たとえば、A系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1から、B系直流変換器2bに接続されたB系1号車Eb1とC系直流変換器2cに接続されたC系1号車Ec1に充電される。複数台から1台への充電の場合、たとえば、A系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1とB系直流変換器2bに接続されたB系1号車Eb1から、C系直流変換器2cに接続されたC系1号車Ec1に充電される。複数台から複数台への充電の場合、たとえば、A系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1とB系直流変換器2bに接続されたB系1号車Eb1から、C系直流変換器2cに接続されたC系1号車Ec1とD系直流変換器2dに接続されたD系1号車Ed1に充電される。
また、制御部7は、上記のとおり、インターロックシステムの一部である車両間充電許可手段を有しており、制御部7自体が車両間充電許可手段として機能する。
また、制御部7は、負荷給電手段を有しており、制御部7自体が負荷給電手段として機能する。負荷給電手段は、1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池から負荷Lへ電力を供給するように、直流変換器2を制御するものである。この場合、車両接続部5の電気的インターロック装置53により、1つの直流変換器2には常に1台の電気自動車Eが電気的に接続された状態となるものであり、1つまたは複数の直流変換器2に接続された電気自動車Eから、負荷Lへ電力を供給するように、各直流変換器2を制御する。具体的には、1台から負荷Lへの給電の場合、たとえば、A系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1から、負荷Lに給電される。複数台から負荷Lへの給電の場合、たとえば、A系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1とB系直流変換器2bに接続されたB系1号車Eb1から、負荷Lに給電される。さらに、負荷給電手段は、1台または複数台のガソリン車Gの補機電源用ダイナモ(またはその他の直流電源)から負荷Lへ電力を供給するように、直流変換器2を制御するものである。この際、ガソリン車Gの補機電源用ダイナモのみから負荷Lへ電力を供給することもできるし、電気自動車Eの蓄電池とガソリン車Gの補機電源用ダイナモから同時に負荷Lへ電力を供給することもできる。
また、制御部7は、上記のとおり、インターロックシステムの一部である負荷給電許可手段を有しており、制御部7自体が負荷給電許可手段として機能する。
また、制御部7は、残容量取得手段を有しており、制御部7自体が残容量取得手段として機能する。残容量取得手段は、車両接続部5に接続された各電気自動車Eの蓄電池の残容量を取得するものである。蓄電池の残容量は、車両接続部5のプラグ51を通じてCANプロトコルにより得られるものである。
また、制御部7は、必要容量取得手段を有しており、制御部7自体が必要容量取得手段として機能する。必要容量取得手段は、各電気自動車Eに必要な蓄電池の残容量である必要容量を取得するものである。そして、必要容量取得手段は、電気自動車Eが車両接続部5に接続された時点における蓄電池の満容量と残容量の差を、その電気自動車Eの必要容量とするものである。蓄電池の満容量は、車両接続部5のプラグ51を通じてCANプロトコルにより得られるものであり、必要容量は、満容量と残容量から制御部7(PLC71)が演算して求める。
また、制御部7は、車両切替手段を有しており、制御部7自体が車両切替手段として機能する。車両切替手段は、車両間充電手段により他の電気自動車Eへ電力を供給する給電元の電気自動車Eまたは負荷給電手段により負荷Lへ電力を供給する給電元の電気自動車Eを、別の電気自動車Eに切り替えるものである。この場合、給電元の電気自動車Eは、別の直流変換器2に接続された電気自動車Eに切り替える。たとえば、給電元がA系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1である場合に、次の給電元として、B系直流変換器2bに接続されたB系1号車Eb1に切り替え、さらに次の給電元として、A系直流変換器2aに接続されたA系2号車Ea2に切り替えるように、A系直流変換器2a、B系直流変換器2bおよび電気的インターロック装置53を制御する。そして、車両切替手段は、給電元の電気自動車Eを別の電気自動車Eに切り替える際に、当初の給電元の電気自動車Eの蓄電池の残容量が無くなる前に、当初の給電元の電気自動車Eからの給電量を漸減させるとともに新たな給電元の電気自動車Eからの給電量を漸増させて、給電元の電気自動車Eを無瞬断で別の電気自動車Eに切り替えるものである。より具体的には、図7に示すように、切り替えの際、当初の給電元の電気自動車Eからの給電量を線形的に減少させていき、新たな給電元の電気自動車Eからの給電量を線形的に増加させていくことで、2台の電気自動車Eからの給電量の和が一定(1台で給電する場合と同量)となるようにする。さらに、車両切替手段は、給電元の電気自動車Eの蓄電池の残容量が必要容量を維持するように、給電元の電気自動車Eを別の電気自動車Eに切り替えるものである。この場合、上記のとおり切り替えは瞬時に行われるものではなく、当初の給電元の電気自動車Eからの給電量を徐々に減少させる形で行われるので、切り替え開始後の容量の減少量を見越して、残容量が必要容量に達するよりも前に切り替えを開始する。
また、制御部7は、給電停止手段を有しており、制御部7自体が給電停止手段として機能する。給電停止手段は、給電元の電気自動車Eの蓄電池の残容量が所定値(たとえば満容量の10%など)に達すると、音やタッチパネル72の表示などで警報を発報し、その電気自動車Eからの給電を停止する。蓄電池は残容量が無くなるまで完全に放電してしまうと損傷するおそれがあり、それを防止するためのものである。
また、制御部7は、商用電源監視手段を有しており、制御部7自体が商用電源監視手段として機能する。商用電源監視手段は、制御部7のBルートアダプタ74が建物に設置されたスマートメータMと無線接続された状態において、商用電源の状態(通電、停電、復電)を監視する。あるいは、商用電源監視手段は、Bルートアダプタ74以外の経路からの情報、たとえば、人が検電して商用電源の状態を確認した結果の情報であってタッチパネル72から入力されたものに基づいて、商用電源の状態を監視することもできる。
また、制御部7は、充放電切替手段を有しており、制御部7自体が充放電切替手段として機能する。充放電切替手段は、この充放電システムに対して商用電源Pが接続された状態において、商用電源Pの電圧を監視し、電圧が所定値以下に下がった場合に、電気自動車Eの蓄電池から負荷Lへ電力を供給するように直流変換器2を制御し(すなわち負荷給電手段として機能する)、電圧が所定値以上に上がった場合に、商用電源Pから1台または複数台の電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給するように直流変換器2を制御する。これは、高負荷時には電圧が下がり、低負荷時には電圧が上がることに基づいて、このように制御するものである。同様に、周波数を検出することで、電力需要の高負荷・低負荷を検知することもできる。
また、制御部7は、寿命予測手段を有しており、制御部7自体が寿命予測手段として機能する。寿命予測手段は、電気自動車Eを充電する際に、対象となる車両ごとの充電時間、充電電流の変化や充電電力量およびSOH(State Of Health:ある時点での満充電容量/初期の満充電容量)を計測・記録し、その情報に基づいて、蓄電池の経年劣化を診断して寿命予測を行うものである。診断・予測の結果は、タッチパネル72に表示される。
また、制御部7は、絶縁性能評価手段を有しており、制御部7自体が絶縁性能評価手段として機能する。絶縁性能評価手段は、負荷Lへ電力を供給する際に、パワーコンディショナ1側に帰還する接地電流値を計測・記録し、その情報に基づいて、負荷Lの絶縁性を評価するものであり、時系列で評価することで、絶縁性能の経年劣化を診断して予防保全を行うことができる。評価・診断の結果は、タッチパネル72に表示される。
続いて、このように構成された充放電システムを使用する際の具体的な手順について示す。この充放電システムは、車両に搭載された可搬式のものであるから、システム自体を任意の場所へ運んで利用することができる。たとえば、電気自動車Eが電欠となった場合に、この充放電システムを派遣して救済する場合を想定する。この場合、図8(a)に示すように、1つの直流変換器2(B系直流変換器2bとする)に接続された車両接続部5の1つのプラグ51を、電欠となった電気自動車E(B系1号車Eb1)に接続し、他の直流変換器2(A系直流変換器2aとする)に接続された車両接続部5の1つのプラグ51を、別の電気自動車E(A系1号車Ea1)に接続する。ただし、A系1号車Ea1は、蓄電池の残容量に余裕があるものとする。
2台の電気自動車Eを接続したら、第2鍵K2によって第2システム錠230を解錠状態とし、車両間充電許可手段により電気自動車Eの蓄電池から他の電気自動車Eの蓄電池へ電力供給可能とする。そしてタッチパネル72を操作して、車両間充電手段を動作させる。すると、A系1号車Ea1からB系1号車Eb1へ電力が供給され、B系1号車Eb1が充電される。この際、残容量取得手段がA系1号車Ea1およびB系1号車Eb1の蓄電池の残容量を取得するとともに、必要容量取得手段が、給電元の電気自動車EであるA系1号車Ea1の必要容量(車両接続部5に接続された時点における蓄電池の満容量と残容量の差)を取得する。これらの情報に基づき、B系1号車Eb1の蓄電池が満充電となるか、A系1号車Ea1の蓄電池の残容量が必要容量となったら、充電が終了する(それより前に、タッチパネル72を操作して、任意の時点で充電を終了することもできる)。これにより、B系1号車Eb1は走行できるようになり、またA系1号車Ea1には少なくとも前回充電した場所まで走行するための残容量が残される。なお、何らかの理由により給電元の電気自動車EであるA系1号車Ea1の必要容量が取得できなかった場合でも、A系1号車Ea1の蓄電池の残容量が所定値まで減少したら、給電停止手段が給電を停止して、蓄電池の損傷を防ぐ。また、このように車両間で充電が行われる際には、パワーコンディショナ1は関与しない。そして、B系1号車Eb1については、充電されている間に、寿命予測手段が、充電時間、充電電流の変化や充電電力量およびSOHを計測・記録し、その情報に基づいて、蓄電池の経年劣化を診断して寿命予測を行う。その結果はタッチパネル72に表示される。
また、このように1台の電気自動車Eの蓄電池から他の1台の電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給するのみならず、給電元や給電先の電気自動車Eが複数台であってもよい。すなわち、1台から複数台への充電の場合、たとえば図8(b)に示すように、A系1号車Ea1からB系1号車Eb1とC系1号車Ec1に充電される。また、複数台から1台への充電の場合、たとえば図8(c)に示すように、A系1号車Ea1とB系1号車Eb1からC系1号車Ec1に充電される。さらに、複数台から複数台への充電の場合、たとえば図8(d)に示すように、A系1号車Ea1とB系1号車Eb1からC系1号車Ec1とD系1号車Ed1に充電される。
次に、災害時において、停電している建物(避難所など)の負荷Lに電力を供給するためにこの充放電システムを派遣する場合を想定する。なお、負荷Lには、エレベータなど三相交流の電気で動作する三相動力負荷Laと、照明器具など単相交流の電気で動作する単相電灯負荷Lbがあるが、ここでは三相動力負荷Laを対象とする。また、最低限1台の電気自動車Eがあれば負荷Lに電力を供給できるが、ここでは複数台の電気自動車Eがあるものとする。この場合、図9に示すように、複数の直流変換器2(A系直流変換器2aとB系直流変換器2bとする)のそれぞれの車両接続部5の複数のプラグ51に、それぞれ電気自動車Eを接続する。A系の車両接続部5に接続された電気自動車Eを、順にA系1号車Ea1、A系2号車Ea2、・・・とし、B系の車両接続部5に接続された電気自動車Eを、順にB系1号車Eb1、B系2号車Eb2、・・・とする。ただし、接続された電気自動車Eは、何れも蓄電池の残容量に余裕があるものとする。また、絶縁変圧器3に接続された負荷接続部6のシステム側端子61に、分電盤(図示省略)を介して三相動力負荷Laを接続する。そして、図9では図示省略したが、図6に示すように、E系直流変換器2eには、直流電源用プラグ54を有する直流電源用ケーブル55によってガソリン車Gを接続する。また、Bルートアダプタ74により、制御部7と建物のスマートメータMを無線接続する。さらに、接続部9に対して商用電源Pを接続する。
各部の接続が完了したら、第1鍵K1と第2鍵K2により第1システム錠220と第2システム錠230の両方を解錠状態とし、負荷給電許可手段により電気自動車Eから負荷Lへ電力供給可能とする。そしてタッチパネル72を操作して、負荷給電手段を動作させる。すると、まず図9(a)に示すように、A系の車両接続部5の電気的インターロック装置53により、A系1号車Ea1に繋がる配線のリレー接点52が閉とされ、他のリレー接点52が開とされる。そして、A系1号車Ea1から、A系直流変換器2a、パワーコンディショナ1および絶縁変圧器3を介して三相動力負荷Laへ電力が供給され、三相動力負荷Laが駆動する。この際、商用電源監視手段が、Bルートアダプタ74などを通じて商用電源の状態を監視しており、停電状態であることを条件に、電気自動車Eから電力を供給する。また、残容量取得手段がA系1号車Ea1の蓄電池の残容量を取得するとともに、必要容量取得手段が、給電元の電気自動車EであるA系1号車Ea1の必要容量(車両接続部5に接続された時点における蓄電池の満容量と残容量の差)を取得する。これらの情報に基づき、A系1号車Ea1の蓄電池の残容量が必要容量を維持するように、車両切替手段が、給電元の電気自動車Eを別の電気自動車Eに切り替える(それより前に、タッチパネル72を操作して、任意の時点で切り替えることもできる)。この際、給電元の電気自動車Eは、A系直流変換器2aに接続されたA系1号車Ea1から、図9(b)に示すように、B系直流変換器2bに接続されたB系1号車Eb1に切り替わり、B系1号車Eb1から、B系直流変換器2b、パワーコンディショナ1および絶縁変圧器3を介して三相動力負荷Laへ電力が供給され、三相動力負荷Laが駆動し続ける。そして、切り替えの際には、A系1号車Ea1からの給電量を線形的に減少させていき、B系1号車Eb1からの給電量を線形的に増加させていくことで、2台の電気自動車Eからの給電量の和が一定となるようにする。これにより、電気自動車Eの切り替え時においても途切れることなくシームレスに電力が供給される。このようにして、給電元の電気自動車Eを、A系1号車Ea1→B系1号車Eb1→A系2号車Ea2→B系2号車Eb2→・・・というふうに、使用する直流変換器2が入れ替わる形で切り替えていき、給電が継続される(もちろんC系直流変換器2cやD系直流変換器2dに電気自動車Eを接続して給電元としてもよい)。給電が終わった電気自動車Eには、少なくとも前回充電した場所まで走行するための残容量が残される。なお、何らかの理由により給電元の電気自動車Eの必要容量が取得できなかった場合でも、その電気自動車Eの蓄電池の残容量が所定値まで減少したら、給電停止手段が給電を停止して、蓄電池の損傷を防ぐ。また、負荷給電手段は、電気自動車Eの蓄電池ではなく、ガソリン車Gの補機電源用ダイナモから三相動力負荷Laへ給電させることもできる。さらに、商用電源Pが復電した場合には、負荷給電手段による三相動力負荷Laへの給電が停止し、充放電切替手段が、商用電源Pから電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給するとともに、電源部8にも電力を供給して充電器81によりバックアップ用蓄電池84を充電する。そして、負荷Lについては、電力を供給される際に、絶縁性能評価手段が、パワーコンディショナ1側に帰還する接地電流値を計測・記録し、その情報に基づいて、絶縁性を評価するものであり、時系列で評価することで、絶縁性能の経年劣化を診断して予防保全を行うことができる。その結果は、タッチパネル72に表示される。
このような充放電システムによれば、パワーコンディショナ1、直流変換器2、絶縁変圧器3および電灯変圧器4を備える簡易な構成のシステムにより、負荷給電手段により電気自動車Eの蓄電池から種々の負荷Lへ電力を供給するのみならず、車両間充電手段により電気自動車Eの蓄電池から他の電気自動車Eの蓄電池へ電力を供給することも可能である。そして、絶縁変圧器3と電灯変圧器4を備えることにより、三相動力負荷Laと単相電灯負荷Lbのどちらにも電力を供給できる。また、車両切替手段により給電元の電気自動車Eを切り替えてより大きな容量の電力を供給することができる。そして、残容量取得手段が、電気自動車Eの蓄電池の残容量を取得するものであって、車両切替手段が、当初の給電元の電気自動車Eからの給電量を漸減させるとともに新たな給電元の電気自動車Eからの給電量を漸増させるものであるから、給電元の電気自動車Eの切り替え時においても、途切れることなくシームレスに電力を供給可能であり、給電先に対して影響を及ぼすことがない。また、必要容量取得手段が、電気自動車Eに必要な蓄電池の残容量である必要容量を取得するものであって、車両切替手段が、給電元の電気自動車Eの蓄電池の残容量が必要容量を維持するように、給電元の電気自動車Eを別の電気自動車Eに切り替えるものであるから、給電元の電気自動車Eの蓄電池の残容量が無くなり走行できなくなることを避けられる。さらに、必要容量取得手段が、電気自動車Eが車両接続部5に接続された時点における蓄電池の満容量と残容量の差をその電気自動車Eの必要容量とするものであるから、容易な方法で、少なくともその電気自動車Eが前回充電した場所まで走行するための残容量を確保することができる。また、絶縁変圧器3の容量がパワーコンディショナ1の容量以下のものであるから、給電先の三相動力負荷Laの起動時の突入電流によりパワーコンディショナ1が過電流・過負荷となって停止することを防ぐことができる。
また、給電停止手段が、給電元の電気自動車Eの蓄電池の残容量が所定値に達すると警報を発報して給電を停止するものであるから、残容量が無くなるまで完全に放電して蓄電池が損傷することを防止できる。さらに、商用電源監視手段が、建物のスマートメータMを通じて商用電源の状態を監視するものであるから、この充放電システムへの過電流を防止することができる。また、充放電切替手段により、デマンド計を用いることなく、高負荷時にのみ、電気自動車Eによる補助を行うことができる。また、この充放電システムを利用することによって、付随的に、寿命予測手段による電気自動車Eの蓄電池の寿命予測や、絶縁性能評価手段による負荷Lの絶縁性の評価の結果が得られる。この結果が、その後電気自動車Eや負荷Lを利用する際に役立つものであるとともに、このような結果が得られることが、この充放電システムを利用することの動機付けとなるものである。
また、直流変換器2にガソリン車Gなどの直流電源を接続することも可能であるから、ガソリン車Gの補機電源用ダイナモなどから得られる電力を負荷Lへ給電することもできる。さらに、この充放電システムによれば、電気自動車Eの蓄電池から商用電源の系統への給電、すなわち低圧側から高圧側への逆充電を行うこともできる。また、電気自動車Eを接続して給電を受けられるということは、すなわち、電気自動車Eによって電力を輸送できるということである。これにより、電気自動車Eが走行可能である限り、送配電網の無い無電化地域に設置された水力発電などの独立電源からも、電力の供給を受けることができる。
本発明のインターロックシステムが設けられる給電系統が備える充放電システムは、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で適宜変更できる。たとえば、ガソリン車などの直流電源を接続するための専用の直流変換器を有するものであってもよい。また、電灯変圧器は、三相交流の電気から単相交流の電気を取り出すことができるものであればよく、たとえばスコット結線変圧器などであってもよい。さらに、直流変換器には、太陽光発電装置や風力発電装置などの再生可能エネルギー発電装置を接続することもできる。また、上記の実施形態は、システム自体が車両に載せられた可搬式のものであるが、システムの電源として、その車両のバッテリを利用するものであってもよい。さらに、制御部のPLCはプログラムにより自在に動作させることが可能なものであり、上記の実施形態の寿命予測や絶縁性能評価だけでなく、種々の計測・入力された情報などに基づいて、多様なサービスを提供することが可能である。
なお、この充放電システムは、災害時のみならず、種々の場面で用いることができる。たとえば、商用電源の系統と連携しないオフグリッドでの使用例として、イベント会場や工事現場などで一時的に電力を供給する場合などが挙げられる。
また、商用電源の系統と連携したオングリッドでの使用例として、商用電源から電力の供給を受けつつ、電力需要が増大したときなどに車両の蓄電池などから補助的に電力の供給を受けることで、基準のデマンド値を超過しないように管理する場合などが挙げられる。
61 システム側端子
100 商用側回路
110 開閉器
120 商用側端子
130 開閉器ロック部
140 開閉器錠
150 開閉制御手段
200 充放電システム
210 システムロック部
220 第1システム錠
230 第2システム錠
300 負荷側回路
310 負荷側端子
320 端子ロック部
330 第1端子錠
340 第2端子錠
350 接離制御手段
K1 第1鍵
K2 第2鍵

Claims (3)

  1. 商用電源に接続された商用側回路と、予備電源に接続された充放電システムと、負荷に接続された負荷側回路を備え、商用側回路は、回路を開閉する開閉器と、負荷側と接続するための商用側端子を有しており、充放電システムは、予備電源から負荷へ電力を供給させることができるものであって、負荷側と接続するためのシステム側端子を有しており、負荷側回路は、商用側端子またはシステム側端子に選択的に接続される負荷側端子を有するものである給電系統に設けられたインターロックシステムであって、
    開閉器に設けられた開閉器ロック部と、充放電システムに設けられたシステムロック部と、商用側端子およびシステム側端子と負荷側端子の接続部分に設けられた端子ロック部と、第1鍵および第2鍵を備えるものであり、
    開閉器ロック部は、第1鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第1鍵が取り外し可能であり解錠状態で第1鍵が取り外し不可能である開閉器錠と、開閉器錠が施錠状態のときに開閉器を開状態で固定し解錠状態のときに開閉器を開閉可能とする開閉制御手段を有しており、
    システムロック部は、第1鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第1鍵が取り外し可能であり解錠状態で第1鍵が取り外し不可能である第1システム錠と、第2鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第2鍵が取り外し可能であり解錠状態で第2鍵が取り外し不可能である第2システム錠と、第1システム錠と第2システム錠の両方が解錠状態であることを条件に充放電システムを予備電源から負荷へ電力供給可能とする負荷給電許可手段を有しており、
    端子ロック部は、第1鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第1鍵が取り外し可能であり解錠状態で第1鍵が取り外し不可能である第1端子錠と、第2鍵によって施解錠可能であって施錠状態で第2鍵が取り外し可能であり解錠状態で第2鍵が取り外し不可能である第2端子錠と、少なくとも第1端子錠が解錠状態のときに商用側端子と負荷側端子を接離可能とするものであり少なくとも第2端子錠が解錠状態のときにシステム側端子と負荷側端子を接離可能とするものである接離制御手段を有するものであることを特徴とするインターロックシステム。
  2. 予備電源が、車両に搭載された蓄電池であって、
    システムロック部は、第2システム錠が解錠状態であることを条件に充放電システムを車両の蓄電池から他の車両の蓄電池へ電力供給可能とする車両間充電許可手段を有するものであることを特徴とする請求項1記載のインターロックシステム。
  3. 端子ロック部は、負荷側端子に設けられたものであって、接離制御手段は、第1端子錠と第2端子錠の両方が解錠状態のときに、負荷側端子に対して商用側端子およびシステム側端子を接離可能とするものであることを特徴とする請求項1または2記載のインターロックシステム。

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