以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。以下の説明において、左右方向X、前後方向Y及び上下方向Zは、電気自動車EVを基準とした方向を意味する。前後方向Yのプラス(+)側が電気自動車EVにとっての後方であり、前後方向Yのマイナス(−)側が電気自動車EVにとっての前方であるとする。左右方向Xのプラス(+)側が電気自動車EVにとっての右側であり、左右方向Xのマイナス(−)側が電気自動車EVにとって左側であるとする。また、上下方向Zのプラス(+)側が上方であり、上下方向Zのマイナス(−)側が下方である。
図1及び図2に示されるように、非接触給電システム1は、送電装置2と受電装置3とを備えている。非接触給電システム1では、送電装置2から受電装置3に電力を供給する。送電装置2は、例えば駐車場等に設置されている。受電装置3は、電気自動車(移動体)EVに搭載されている。送電装置2及び受電装置3は、例えば上下方向Zに離間している。非接触給電システム1は、駐車場等に到着した電気自動車EVに対し、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式等のコイル間の磁気結合を利用して、電力を供給するように構成されている。なお、受電装置3は、電気自動車EVではなく、プラグインハイブリッド車及び水中航走体などの各種移動体に搭載されてもよい。
送電装置2は、非接触給電による電力を供給する装置である。送電装置2は、電源PSによって供給された電力を所望の交流電力に変換する。送電装置2は、例えば駐車場等の路面Rに設置されている。送電装置2は、例えば駐車場等の路面Rから上方に突出する送電コイル装置4を備えている。送電コイル装置4は第1コイル21を含み、第1コイル21は例えば扁平な錘台状又は直方体状を成している。交流電力が供給されて第1コイル21は磁束を発生させる。
受電装置3は、送電装置2から電力を受け取り、負荷Lに電力を供給する装置である。受電装置3は、例えば電気自動車EVに搭載されている。受電装置3は、例えば電気自動車EVの車体(シャーシ等)の底面に取り付けられた受電コイル装置5を備えている。受電コイル装置5は、第2コイル31を含み、電力供給時において送電コイル装置4と上下方向Zに離間して対向する。受電コイル装置5は、例えば扁平な錘台状又は直方体状をなしている。送電コイル装置4で発生した磁束が受電コイル装置5に鎖交することによって、受電コイル装置5は誘導電流を発生させる。これにより、受電コイル装置5は、非接触(つまりワイヤレス)で送電コイル装置4からの電力を受け取る。受電コイル装置5が受け取った電力は、負荷に供給される。
非接触給電システム1は、電源PSから入力電力P1を受け、負荷Lに負荷電力Poutを供給する。電源PSは、交流電源でもよく、直流電源でもよい。交流電源の種類は特に限定されないが、例えば商用電源でもよい。直流電源の種類は特に限定されないが、例えば太陽光発電装置及び蓄電装置等でもよい。負荷Lは、直流負荷でもよく、交流負荷でもよい。直流負荷の種類は特に限定されないが、例えば蓄電池でもよい。交流負荷の種類は特に限定されないが、例えばモータでもよい。
送電装置2は、第1コイル21と、第1変換器22と、第1検出器23と、第1通信器ユニット24と、第1制御器25と、を備えている。
第1変換器22は、電源PSから供給される入力電力P1を所望の交流電力Pac2に変換し、変換した交流電力Pac2を第1コイル21に供給する回路である。第1変換器22は、電力変換器26と、直流交流変換器(DC/AC converter)27と、を備えている。第1変換器22の電力変換器26は、電源PSと電気的に接続され、第1変換器22の直流交流変換器27は、第1コイル21と電気的に接続されている。また、第1変換器22は、第1検出器23及び第1制御器25と電気的に接続されている。
電力変換器26としては、例えば入力電力P1に応じて次のような構成が採用され得る。入力電力P1が交流電力の場合、電力変換器26は、例えば交流直流変換器(AC/DC converter)であってもよい。交流直流変換器は、例えば整流回路である。整流回路は、ダイオード等の整流素子で構成されてもよいし、トランジスタ等のスイッチング素子によって構成されてもよい。直流交流変換器は、PFC(Power Factor Correction)機能及び昇降圧機能を有していてもよい。
入力電力P1が直流電力である場合、電力変換器26は、例えば直流直流変換器(DC/DCconverter)であってもよい。直流直流変換器は、例えばチョッパ回路を用いた非絶縁型の回路であってもよいし、トランスを用いた絶縁型の回路であってもよい。
いずれの場合も、電力変換器26から出力される直流電力Pdcの大きさは、第1制御器25によって制御される。直流電力Pdcの大きさは、例えば、電力変換器26から出力される直流電圧の変更により制御される。電力変換器26は、変換した直流電力Pdcを直流交流変換器27に供給する。
直流交流変換器27は、電力変換器26によって変換された直流電力Pdcを交流電力Pac2に変換する。直流交流変換器27は、例えばインバータ回路である。第1変換器22は、直流交流変換器27の出力に設けられたトランスをさらに備えていてもよい。直流交流変換器27から出力される交流電力Pac2の大きさは、第1制御器25によって制御される。交流電力Pac2の大きさは、例えば、周波数制御、及び位相シフト制御によって制御され得る。直流交流変換器27は、変換した交流電力Pac2を第1コイル21に供給する。
なお、第1変換器22の構成は、図2に示される例に限定されない。例えば、第1変換器22は、電力変換器26及び直流交流変換器27に代えて、交流交流変換器(AC/AC converter)を含んでいる構成でもよい。交流交流変換器は、例えば、マトリクスコンバータ及びサイクロコンバータ等である。この場合、第1変換器22は、電源PSからの交流電力を受けて所望の交流電力に変換する。また、電力変換器26は、交流直流変換器と、交流直流変換器の出力側に接続された直流直流変換器(DC/DC converter)とを備える構成されてもよい。
第1コイル21は、受電装置3に非接触で給電するためのコイルである。第1コイル21は、第1変換器22と電気的に接続されている。第1コイル21は、第1変換器22から交流電力Pac2が供給されることによって、磁束を発生する。第1コイル21と第1変換器22との間には、キャパシタ及びインダクタ(例えば、リアクトル)が接続されていてもよい。
第1検出器23は、直流電力Pdcの大きさを検出するためのセンサを含む。第1検出器23は、第1変換器22の他、第1制御器25と電気的に接続されている。第1検出器23は、例えば、電圧センサ、電流センサ、又はその組み合わせである。第1検出器23は、取得した測定値を第1制御器25に出力する。
第1制御器25は、CPU(Central Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)等の処理装置である。第1制御器25は、第1変換器22及び第1検出器23の他、第1通信器ユニット24と電気的に接続されている。第1制御器25は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び送電装置2の各部と接続するインターフェース回路等を有してもよい。第1制御器25は、第1変換器22を制御することによって、交流電力Pac2の大きさを制御し、負荷Lに供給される負荷電力Poutの大きさを制御する電力制御を実行する。第1制御器25は、電力制御として、例えば、第1通信器ユニット24を介して受電装置3から受信した測定値及び電力指令値(後述)に基づいて、測定値が電力指令値に近づくように第1変換器22を制御する。
第1通信器ユニット24は、複数の第1通信器(本実施形態では一対の第1通信器)A1,A2を備える。第1通信器A1,A2は、後述する受電装置3の第2通信器ユニット34と無線で通信を行うための回路を含む。第1通信器A1,A2は、例えば、電波を利用する通信方式用のアンテナ、光信号を利用する通信方式用の発光素子及び受光素子である。第1通信器A1,A2は、受電装置3から受信した情報を第1制御器25に出力する。なお、一対の第1通信器A1,A2の配置については後述する。
受電装置3は、第2コイル31と、第2変換器32と、第2検出器33と、第2通信器ユニット34と、第2制御器35と、を備えている。
第2コイル31は、送電装置2から非接触で供給される電力を受け取るためのコイルである。第1コイル21によって発生された磁束が第2コイル31に鎖交することによって、第2コイル31に交流電力Pac3が生じる。第2コイル31は、交流電力Pac3を第2変換器32に供給する。第2コイル31は、第2変換器32と電気的に接続されている。第2コイル31と第2変換器32との間には、キャパシタ及びインダクタ(例えば、リアクトル)が接続されていてもよい。
第2変換器32は、第2コイル31が受け取った交流電力Pac3を負荷Lにとって所望の負荷電力Poutに変換する回路である。第2変換器32は、第2コイル31の他、負荷L、第2検出器33及び第2制御器35と電気的に接続されている。負荷Lが直流負荷である場合、第2変換器32は、交流電力Pac3を直流の負荷電力Poutに変換する交流直流変換器(整流回路)である。この場合、第2変換器32は、負荷Lにとって所望の負荷電力Poutを出力するために昇降圧機能を含んでいてもよい。この昇降圧機能は、例えばチョッパ回路又はトランスで実現され得る。第2変換器32は、交流直流変換器の入力に設けられたトランスをさらに備えていてもよい。
負荷Lが交流負荷である場合、第2変換器32は、交流電力Pac3を直流電力に変換する交流直流変換器に加えて、さらに直流交流変換器(インバータ回路)を含む。直流交流変換器は、交流直流変換器によって変換された直流電力を交流の負荷電力Poutに変換する。第2変換器32は、交流直流変換器の入力に設けられたトランスをさらに備えていてもよい。なお、第2コイル31から供給される交流電力Pac3が負荷Lにとって所望の交流電力である場合には、第2変換器32は省略され得る。
第2検出器33は、負荷Lに供給される負荷電力Poutに関する測定値を取得する。第2検出器33は、第2変換器32の他、第2制御器35に電気的に接続されている。第2検出器33は、負荷Lに供給される負荷電圧、負荷電流又は負荷電力Poutを測定する。第2検出器33は、例えば、電圧センサ、電流センサ、又はその組み合わせである。第2検出器33は、取得した測定値を第2制御器35に出力する。負荷Lは、電力指令値を第2制御器35に出力する。電力指令値は、負荷Lに供給すべき所望の電力の大きさを示す。例えば負荷Lが蓄電池の場合には、電力指令値は、負荷LのSOC(State Of Charge)に応じて定められた電流、電圧、又は電力の指令値であってもよい。
第2制御器35は、CPU及びDSP等の処理装置である。第2制御器35は、第2変換器32及び第2検出器33の他、第2通信器ユニット34と電気的に接続されている。第2制御器35は、ROM,RAM及び受電装置3の各部と接続するインターフェース回路等を含んでいてもよい。第2制御器35は、第2検出器33から受信した測定値及び負荷Lから受信した電力指令値を、第2通信器ユニット34を介して送電装置2に送信する。
第2通信器ユニット34は、複数の第2通信器(本実施形態では一対の第2通信器)B1,B2を備える。第2通信器B1,B2は、送電装置2の第1通信器A1,A2と無線で通信を行うための回路を含む。第2通信器B1,B2により、受電装置3は、送電装置2と通信可能である。第2通信器B1,B2は、例えば、電波を利用する通信方式用のアンテナ、光信号を利用する通信方式用の発光素子及び受光素子である。第2通信器B1,B2は、第2制御器35から受信した情報を送電装置2に送信する。なお、一対の第2通信器B1,B2の配置については後述する。
ここで、非接触給電システム1は、図3に示されているように、位置ずれ検知装置10を含む。位置ずれ検知装置10は、地上側の基準位置に対する移動体側の基準位置の位置ずれを検知する装置である。地上側の基準位置は、第1コイル21であり、移動体側の基準位置は、第2コイル31である。
例えば、地上側の基準位置と移動体側の基準位置は、本非接触給電システム1の最大電力効率が実現される第1コイル21と第2コイル31の位置を意味することができる。また、地上側の基準位置と移動体側の基準位置は、第1コイル21の前後方向Yにおける面の中心(中心点O21)と、第2コイル31の前後方向Yにおける面の中心(中心点O31)とが上下方向Zにおいて一致する第1コイル21と第2コイル31の位置を意味してもよい。更に、地上側の基準位置と移動体側の基準位置は、非接触給電システム1の仕様書もしくは使用マニュアル等に位置ずれ無しとして規定される第1コイル21と第2コイル31の位置を意味してもよい。これらの第1コイル21と第2コイル31の基準位置関係からのずれを位置ずれとする。
地上側の基準位置は第1コイル21に限定されず、その他の位置でもよい。移動体の基準位置は第2コイル31に限定されず、その他の位置でもよい。
位置ずれ検知装置10は、上記の第1通信器ユニット24、第2通信器ユニット34、第1制御器25及び第2制御器35を備える。
図4は、コイル及び通信器の配置を示す概略平面図であり、図4(a)は第2コイル及び一対の第2通信器の配置を示し、図4(b)は第1コイル及び一対の第1通信器の配置を示している。
一対の第1通信器A1,A2は、第1コイル21を挟んで配置されている。第1通信器A1は、第1コイル21の中心点O21よりも前方(前後方向Yのマイナス側)であり、且つ、中心点O21よりも左側(左右方向Xのマイナス側)に配置されている。第1通信器A2は、中心点O21よりも後方であり、且つ、中心点O21よりも右側に配置されている。第1通信器A1,A2は、平面視(第1の方向である上下方向Zから見た場合)において、前後方向Yに延在する直線LY21に対して、反時計周りに45度傾斜する直線(第1の直線)L1が延在する方向(第2の方向)に対向して配置されている。また、一対の第1通信器A1,A2の中間位置に、第1コイル21の中心点O21が配置されている。
一対の第2通信器B1,B2は、第2コイル31を挟んで配置されている。第2通信器B1は、第2コイル31の中心点O31よりも前方であり、且つ、中心点O31よりも右側に配置されている。第2通信器B2は、中心点O31よりも後方であり、且つ、中心点O31よりも左側に配置されている。第2通信器B1,B2は、平面視において、前後方向Yに延在する直線LY31に対して、時計周りに45度傾斜する直線(第2の直線)L2が延在する方向(第3の方向)に対向して配置されている。すなわち、一対の第2通信器B1,B2は、一対の第1通信器A1,A2が対向する方向と直交する方向に対向している。また、一対の第2通信器B1,B2の中間位置に、第2コイル31の中心点O31が配置されている。
第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2の通信規格としては、例えば、Wi−Fiが採用されている。なお、第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2における通信規格は、Wi−Fiに限定されず、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などその他の通信規格を用いてもよい。
また、第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2から送信される電波には、通信器を識別するための信号が含まれている。通信器を識別するための方法として、変調を用いることができる。変調とは、情報伝達するために、通信器から送信する電波の信号(例えば、正弦信号)において計測可能な特性(振幅、周波数、若しくは位相、またはこれらの組み合わせ等)を変動させることをいう。
また、第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2から送信される電波による電界強度は、送信元の通信器から離れるほど弱くなる。
次に、第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2から送信される電波の指向性について説明する。平面視において、第1コイル21と第2コイル31とが同じ位置に配置されている場合に、1つの通信器から送信された電波が、残りの通信器によって受信できるように、各通信器から送信される電波の指向性が設定されている。なお、第1コイル21と第2コイル31とが同じ位置に配置されているとは、例えば、第1コイル21の中心点O21と、第2コイル31の中心点O31とが、同じ位置に配置されている場合である。また、中心点O21,O31同士の位置が少しずれている場合であっても、第1コイル21と第2コイル31とが同じ位置に配置されているとみなしてもよい。
第1コイル21と第2コイル31とが同じ位置に配置されている場合において、第1通信器A1から送信された電波が、残りの第1通信器A2及び第2通信器B1,B2によって受信できるように、第1通信器A1の電波の指向性が設定されている。
本実施形態では、第1通信器A1の電波の指向性は、平面視において、例えば、直線L1を中心とした90度の範囲に電波が届くように設定されている。
第1コイル21と第2コイル31とが同じ位置に配置されている場合において、第1通信器A2から送信された電波が、残りの第1通信器A1及び第2通信器B1,B2によって受信できるように、第1通信器A2の電波の指向性が設定されている。
本実施形態では、第1通信器A2の電波の指向性は、平面視において、例えば、直線L1を中心とした90度の範囲に電波が届くように設定されている。
第1コイル21と第2コイル31とが同じ位置に配置されている場合において、第2通信器B1から送信された電波が、残りの第1通信器A1,A2及び第2通信器B2によって受信できるように、第2通信器B1の電波の指向性が設定されている。
本実施形態では、第2通信器B1の電波の指向性は、平面視において、例えば、直線L2を中心とした90度の範囲に電波が届くように設定されている。
第1コイル21と第2コイル31とが同じ位置に配置されている場合において、第2通信器B2から送信された電波が、残りの第1通信器A1,A2及び第2通信器B1によって受信できるように、第2通信器B2の電波の指向性が設定されている。
本実施形態では、第2通信器B2の電波の指向性は、平面視において、例えば、直線L2を中心とした90度の範囲に電波が届くように設定されている。
なお、第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2の電波の指向性は、その他の範囲に設定されていてもよい。例えば、90度の範囲を超えるように、電波の指向性が設定されていてもよく、90度の範囲より狭くなるように、電波の指向性が設定されていてもよい。
ここで、本実施形態の図面では、通信器(A1,A2,B1,B2)自体及び通信器の指向性が扇形で表現されている。ある通信器自体の扇形の面積の少なくとも一部に、他の通信器の指向性の扇形が重なっている場合、この通信器は、他の通信器からの電波を受信できると解釈する。
また、第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2の電波の指向性は、全方位に広がるよう設定されていてもよい。
例えば、図3に示されるように、第1コイル21に対して、第2コイル31が正しく位置決めされて、第1コイル21上に第2コイル31が配置されている場合(位置ずれしていない場合)には、全ての第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2間で電波の送受信が可能となっている。なお、このとき、左右方向X及び前後方向Yにおいて、位置ずれがない状態である。
図5は、電気自動車EVが位置ずれしている場合における通信器同士の位置関係を電気自動車EVの側方から示す概略側面図である。なお、このとき、左右方向Xにおいては位置ずれがない状態であり、前後方向Yにおいて位置ずれしている状態である。
図5(a)に示される場合には、第2通信器B1は、前後方向Yにおいて、第1通信器A1,A2間に配置され、第2通信器B2は、第1通信器A2よりも後方に配置されている。このような場合には、第2通信器B1から送信された電波の指向性の範囲外に第1通信器A1が存在し、第1通信器A1は第2通信器B1から送信された電波を受信できない状態となっている。このとき、第1通信器A2は第2通信器B1から送信された電波の指向性の範囲内に存在し、第2通信器B1から送信された電波を受信することができる状態となっている。
図5(b)に示される場合には、第2通信器B1,B2は、前後方向Yにおいて、第1通信器A2よりも後方に配置されている。このような場合には、第2通信器B1から送信された電波の指向性の範囲外に一対の第1通信器A1,A2が存在し、第1通信器A1,A2は第2通信器B1から送信された電波を受信できない状態となっている。なお、通信器同士のその他の位置関係における電波の受信状況については後述する。
第1制御器25は、故障判定部(判定部)28を備えている。故障判定部28は、一対の第1通信器A1,A2同士で電波を送受信して、第1通信器A1,A2が故障しているか否かを判定する。一対の第1通信器A1,A2間で電波の送受信が可能である場合には、故障判定部28は第1通信器A1,A2は故障していないと判定する。一対の第1通信器A1,A2間で電波の送受信が不可能である場合には、故障判定部28は第1通信器A1,A2は故障していると判定する。この場合には、故障判定部28は、第1通信器A1,A2のうち、少なくとも一方が故障していると判定することができる。
また、第1制御器25は、第1通信器A1,A2の故障の有無に関する情報を第1通信器A1,A2を介して、第2通信器B1,B2に送信する。第2通信器B1,B2で受信した情報は、第2制御器35に送信される。
また、第1制御器25は、第1通信器A1,A2における電波の受信状況について、第2制御器35に送信する。第1制御器25は、第2通信器B1から送信された電波について、第1通信器A1,A2によって受信されたか否かの情報を第2制御器35に送信する。第1制御器25は、第2通信器B2から送信された電波について、第1通信器A1,A2によって受信されたか否かの情報を第2制御器35に送信する。なお、第1通信器A1,A2における電波の受信状況に関する情報は、地上側の基準位置に対する移動体側の基準位置の位置ずれの検知に利用される。
また、非接触給電システム1において充電を行う場合には、第1制御器25は、充電制御に必要な情報を第1通信器A1,A2を介して、第2通信器B1,B2に送信する。充電制御に必要な情報としては、電源PSの状態に関する情報がある。なお、第1制御器25と第2制御器35との間の情報伝達において、第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2を介して通信してもよく、その他の通信手段により情報伝達してもよい。
第2制御器35は、故障判定部(判定部)38及び位置ずれ検知部39を備えている。故障判定部38は、一対の第2通信器B1,B2同士で電波を送受信して、第2通信器B1,B2が故障しているか否かを判定する。一対の第2通信器B1,B2間で電波の送受信が可能である場合には、故障判定部38は第2通信器B1,B2は故障していないと判定する。一対の第2通信器B1,B2間で電波の送受信が不可能である場合には、故障判定部38は第2通信器B1,B2は故障していると判定する。この場合には、故障判定部38は、第2通信器B1,B2のうち、少なくとも一方が故障していると判定することができる。
位置ずれ検知部39は、第1通信器A1,A2と第2通信器B1,B2との間で電波の送受信を行い、地上側の基準位置である第1コイル21に対する移動体側の基準位置である第2コイル31の位置ずれを検知する。
位置ずれ検知部39は、第2通信器B1,B2から送信された電波の第1通信器A1,A2における受信状況、第1通信器A1,A2から送信された電波の第2通信器B1,B2における受信状況に基づいて、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれの程度を段階的に判定する。具体的には、位置ずれ検知部39は、位置ずれの程度に応じて、位置ずれレベル0から位置ずれレベル6まで、7段階に分類することができる。位置ずれレベル0は、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは殆どない状態である。位置ずれレベルの数値が増加するにつれて、位置ずれの程度が大きいことが示される。位置ずれレベル6は、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれが大きく、電気自動車EVを移動させて、第2コイル31を第1コイル21に接近させる必要がある状態である。
なお、位置ずれ検知部39は、電波を受信した通信器の個数に基づいて、位置ずれレベルを判定してもよく、受信した電波の強度に基づいて、位置ずれレベルを判定してもよく、その他の条件を考慮して位置ずれレベルを判定してもよい。また、位置ずれレベルは、7段階に分類されるものに限定されず、例えば、3段階でもよく、8段階以上に分類されるものでもよい。
次に、図6〜図12を参照して、位置ずれレベルについて説明する。なお、図6(a)〜図12(a)では、上方から見た場合の通信器の位置関係を示している。
図6(a)は、通信器の位置関係を示す概略平面図であり、位置ずれレベル0の状態を示す図である。図6(b)は、位置ずれレベル0における通信器の電波の受信状況を示す表である。位置ずれレベル0では、第1通信器A1は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができる。第1通信器A2は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができる。第2通信器B1は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができる。第2通信器B2は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができる。位置ずれ検知部39は、図6(b)に示されるような受信状況の場合に、位置ずれレベルは「0」であると判定することができる。なお、図6(b)では、受信できる場合を、白丸「○」で示し、受信できない場合を、黒丸「●」で示している。以下、図7(b)〜図12(b)で同じである。
位置ずれレベル0では、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは殆どなく、非接触給電システム1において、第1コイル21から第2コイル31への給電を効率良く行うことができる。
図7(a)は、通信器の位置関係を示す概略平面図であり、位置ずれレベル1の状態を示す図である。図7(b)は、位置ずれレベル1における通信器の電波の受信状況を示す表である。位置ずれレベル1では、第1通信器A1は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができる。第1通信器A2は、第2通信器B1から送信された電波を受信することができ、第2通信器B2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B1は、第1通信器A2から送信された電波を受信することができ、第1通信器A1から送信された電波を受信することができない。第2通信器B2は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができる。位置ずれ検知部39は、図7(b)に示されるような受信状況の場合に、位置ずれレベルは「1」であると判定することができる。
位置ずれレベル1では、第2コイル31は、第1コイル21に対して、前方に少し位置ずれし、左右方向Xにおいて殆ど位置ずれしていない状態である。位置ずれレベル1では、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは、位置ずれレベル0の場合より大きい。非接触給電システム1において、第1コイル21から第2コイル31への給電を行ってもよい。
図8(a)は、通信器の位置関係を示す概略平面図であり、位置ずれレベル2の状態を示す図である。図8(b)は、位置ずれレベル2における通信器の電波の受信状況を示す表である。位置ずれレベル2では、第1通信器A1は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができる。第1通信器A2は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B1は、第1通信器A2から送信された電波を受信することができ、第1通信器A1から送信された電波を受信することができない。第2通信器B2は、第1通信器A2から送信された電波を受信することができ、第1通信器A1から送信された電波を受信することができない。位置ずれ検知部39は、図8(b)に示されるような受信状況の場合に、位置ずれレベルは「2」であると判定することができる。
位置ずれレベル2では、第2コイル31は、第1コイル21に対して、前方に少し位置ずれし、左右方向Xにおいて左側に少し位置ずれした状態である。位置ずれレベル2では、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは、位置ずれレベル1の場合より大きい。非接触給電システム1において、第1コイル21から第2コイル31への給電を行ってもよい。
図9(a)は、通信器の位置関係を示す概略平面図であり、位置ずれレベル3の状態を示す図である。図9(b)は、位置ずれレベル3における通信器の電波の受信状況を示す表である。位置ずれレベル3では、第1通信器A1は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができる。第1通信器A2は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B1は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができる。第2通信器B2は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができない。位置ずれ検知部39は、図9(b)に示されるような受信状況の場合に、位置ずれレベルは「3」であると判定することができる。
位置ずれレベル3では、第2コイル31は、第1コイル21に対して、左右方向Xにおいて左側に位置ずれし、前後方向Yにおいて殆ど位置ずれしていない状態である。位置ずれレベル3では、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは、位置ずれレベル2の場合より大きい。この場合には、例えば電気自動車EVを移動させて、第2コイル31を第1コイル21に近付けた後に給電を行うことが好ましい。
図10(a)は、通信器の位置関係を示す概略平面図であり、位置ずれレベル4の状態を示す図である。図10(b)は、位置ずれレベル4における通信器の電波の受信状況を示す表である。位置ずれレベル4では、第1通信器A1は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができる。第1通信器A2は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B1は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B2は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができない。位置ずれ検知部39は、図10(b)に示されるような受信状況の場合に、位置ずれレベルは「4」であると判定することができる。
位置ずれレベル4では、第2コイル31は、第1コイル21に対して、前方に位置ずれし、左右方向Xにおいて左側に位置ずれしている状態である。位置ずれレベル4では、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは、位置ずれレベル3の場合より大きい。この場合には、例えば電気自動車EVを移動させて、第2コイル31を第1コイル21に近付けた後に給電を行うことが好ましい。
図11(a)は、通信器の位置関係を示す概略平面図であり、位置ずれレベル5の状態を示す図である。図11(b)は、位置ずれレベル5における通信器の電波の受信状況を示す表である。位置ずれレベル5では、第1通信器A1は、第2通信器B1から送信された電波を受信することができ、第2通信器B2から送信された電波を受信することができない。第1通信器A2は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B1は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B2は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができない。位置ずれ検知部39は、図11(b)に示されるような受信状況の場合に、位置ずれレベルは「5」であると判定することができる。
位置ずれレベル5では、第2コイル31は、第1コイル21に対して、前方に位置ずれし、左右方向Xにおいて左側に位置ずれしている状態である。位置ずれレベル5では、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは、位置ずれレベル4の場合より大きい。この場合には、例えば電気自動車EVを移動させて、第2コイル31を第1コイル21に近付けた後に給電を行うことが好ましい。
図12(a)は、通信器の位置関係を示す概略平面図であり、位置ずれレベル6の状態を示す図である。図12(b)は、位置ずれレベル6における通信器の電波の受信状況を示す表である。位置ずれレベル6では、第1通信器A1は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができない。第1通信器A2は、第2通信器B1,B2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B1は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができない。第2通信器B2は、第1通信器A1,A2から送信された電波を受信することができない。位置ずれ検知部39は、図12(b)に示されるような受信状況の場合に、位置ずれレベルは「6」であると判定することができる。
位置ずれレベル6では、第2コイル31は、第1コイル21に対して、前方に位置ずれし、左右方向Xにおいて殆ど位置ずれしていない状態である。位置ずれレベル6では、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれは、位置ずれレベル5の場合より大きい。この場合には、例えば電気自動車EVを移動させて、第2コイル31を第1コイル21に近付けた後に給電を行うことが好ましい。
次に、図13〜図15を参照して、非接触給電システム1における充電制御について説明する。
まず、非接触給電システム1の位置ずれ検知装置10は、地上側の第1通信器A1,A2間での故障チェックを行う(ステップS1)。具体的には、送電装置2において、図14に示されるステップS11〜S18の処理を行う。
ステップS11では、第1通信器ユニット24のうちの一方の通信器である第1通信器A1から電波を送信する。第1通信器A1は、第1制御器25から送信された指令信号に応じて電波を送信する。
ステップS12では、第1通信器ユニット24のうちの他方の通信器である第1通信器A2で、電波を受信できたか否かを判定する。第1制御器25は、第1通信器A1から送信された電波が第1通信器A2で受信できたと判定した場合には(ステップS12;YES)、ステップS13に進む。第1通信器A1から電波が送信されて、第1通信器A2で電波が受信された場合に、他方の通信器で電波を受信したと判定する。
第1制御器25は、第1通信器A2で電波を受信できなかった場合には(ステップS12;NO)、ステップS17に進む。第1通信器A1から電波が送信されなかった場合も、ステップS17に進む。
ステップS13では、他方の送信器である第1通信器A2から電波を送信する。第1通信器A2は、第1制御器25から送信された指令信号に応じて電波を送信する。
ステップS14では、他方の送信器である第1通信器A1で電波を受信できたか否かを判定する。第1制御器25は、第1通信器A2から送信された電波が第1通信器A1で受信できたと判定した場合には(ステップS14;YES)、ステップS15に進む。第1通信器A2から電波が送信されて、第1通信器A1で電波が受信された場合に、一方の通信器で電波を受信したと判定する。
第1制御器25は、第1通信器A1で電波を受信できなかった場合には(ステップS14;NO)、ステップS17に進む。第1通信器A2から電波が送信されなかった場合も、ステップS17に進む。
ステップS15では、第1制御器25は、第1通信器A1,A2の故障なしと判定し、ステップS16に進む。ステップS16では、第1制御器25は、第1通信器A1,A2の故障なしを示す信号を第2制御器35に送信する。第1制御器25は、第1通信器A1,A2を介して、情報を送信する。第2制御器35は、第2通信器B1,B2を介して、情報を受信する。
ステップS17では、第1制御器25は、第1通信器A1,A2の故障ありと判定し、ステップS18に進む。ステップS18では、第1制御器25は給電禁止の処理を行う。第1制御器25は、給電を実行しないことを決定する。給電禁止の場合には、第1制御器は利用者に対して、給電禁止であることを報知する。例えば、表示部を用いて給電禁止であることを示す表示を行う。表示部として、例えば電気自動車EVに搭載された液晶表示部などを用いることができる。
地上側の通信器間での故障チェック(ステップS1)におけるステップS16の処理の実行後、ステップS2の処理を行う。ステップS2では、受電装置3において、図14に示されるステップS11〜S18の処理を行う。受電装置3におけるステップS11〜S18の処理は、上述した送電装置2におけるステップS11〜S18の処理と同様であり、第2通信器B1,B2との間で電波の送受信を行って、第2制御器35で第2通信器B1,B2の故障の有無を判定する。
ステップS2の実行後、第2制御器35の位置ずれ検知部39は、位置ずれ検知処理(ステップS3)を実行する。ステップS3の位置ずれ検知処理では、第1通信器A1,A2と第2通信器B1,B2との間で電波の送受信を行い、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれを検知する。
ステップS3では、具体的には、図15に示すステップS21〜S29の処理を行い、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれレベルを決定する。
ステップS21では第1通信器A1から電波を送信する。ステップS22では、位置ずれ検知部39は、第2通信器B1,B2で、第1通信器A1から送信された電波を受信できたか否かを確認する。
ステップS23では第1通信器A2から電波を送信する。ステップS24では、位置ずれ検知部39は、第2通信器B1,B2で、第1通信器A2から送信された電波を受信できたか否かを確認する。
ステップS25では第2通信器B1から電波を送信する。ステップS26では、第1制御器25は、第1通信器A1,A2で、第2通信器B1から送信された電波を受信できたか否かを確認する。第1制御器25は、第1通信器A1,A2での受信状況に関する情報を第2制御器35に送信する。第2制御器35の位置ずれ検知部39は、第1通信器A1,A2で、第2通信器B1から送信された電波を受信できたか否かを確認する。
ステップS27では第2通信器B2から電波を送信する。ステップS28では、第1制御器25は、第1通信器A1,A2で、第2通信器B1から送信された電波を受信できたか否かを確認する。第1制御器25は、第1通信器A1,A2での受信状況に関する情報を第2制御器35に送信する。第2制御器35の位置ずれ検知部39は、第1通信器A1,A2で、第2通信器B2から送信された電波を受信できたか否かを確認する。
ステップS29では、位置ずれ検知部39は、第1コイル21に対する第2コイル31の位置ずれレベルを決定する。位置ずれ検知部39は、図6(b)〜図12(b)に示されているように、各通信器における電波の受信状況に応じて、位置ずれレベルを決定する。
ステップS29における処理の実行後、図13に戻りステップS4の処理を行う。ステップS4では、第2制御器35の位置ずれ検知部39は、位置ずれレベルが「0」であるか否かを判定する。位置ずれ検知部39は、例えば、図6に示されるような通信器の位置関係の場合には、位置ずれレベルが「0」であると判定する。
位置ずれレベルが「0」である場合には(ステップS4;YES)、ステップS7に進み、位置ずれレベルが「0」ではない場合には(ステップS4;NO)、ステップS5に進む。
ステップS5では、位置ずれ検知部39は、位置ずれレベルが「1」,「2」であるか否かを判定する。位置ずれ検知部39は、例えば、図7に示されるような通信器の位置関係の場合には、位置ずれレベルが「1」であると判定する。位置ずれ検知部39は、例えば、図8に示されるような通信器の位置関係の場合には、位置ずれレベルが「2」であると判定する。
位置ずれレベルが「1」または「2」である場合には(ステップS5;YES)、ステップS6に進み、位置ずれレベルが「1」または「2」ではない場合には(ステップS5;NO)、ステップS8に進む。
ステップS6では、第2制御器35は給電を実行するか否かを判定する。第2制御器35は、利用者による入力操作に基づいて、給電を実行するか否かを判定する。第2制御器35は、例えば、表示部に、給電を実行するか否かについての入力操作を促す表示を行い、利用者に入力操作を促す。利用者は、所定の入力操作を行うことにより、給電を実行するか否かに関する情報を入力する。
第2制御器35は、給電を実行すると判定した場合には(ステップS6;YES)、ステップS7に進み、給電を実行しないと判定した場合には(ステップS6;NO)、ステップS8に進む。
ステップS7では、給電開始の処理を実行する。第2制御器35は、第1制御器25に給電開始に関する指令信号を送信する。第1制御器25は、第2制御器35から送信された指令信号に応じて、第1コイル21から第2コイル31への給電を開始する。なお、ステップS1〜S8の処理について、給電中に実行してもよく、この場合にはステップSにおいて給電を継続する処理を行う。
ステップS8では、給電禁止の処理を実行する。第2制御器35は、第1制御器25に給電禁止に関する指令信号を送信する。第1制御器25は、第2制御器35から送信された指令信号に応じて、給電を禁止する。
このような非接触給電システム1では、同一の通信器ユニットの通信器同士で電波を送受信して、通信器が故障しているのか否かを判定するので、通信器が故障している場合に、位置ずれ検知を行わないようにすることができる。そのため、通信器の故障がないことを確認した上で、位置ずれ検知を行うことができ、システムの信頼性の向上を図ることができる。
また、第2通信器B1,B2から送信される電波の指向性は、第1コイル21の中心点O21と第2コイル31の中心点O31とが一致している場合に、一対の第1通信器A1,A2が配置されている範囲を含むように設定されている。そのため、第2通信器B1,B2から送信された電波を第1通信器A1,A2が受信できる場合は、第1コイル21に対して、第2コイル31の位置ずれは許容範囲内である。第2通信器B1,B2から送信された電波を第1通信器A1,A2が受信しにくい場合は、第1コイル21に対して、第2コイル31の位置ずれが許容範囲外であることがある。
また、第1通信器A1,A2から送信される電波の指向性は、第1コイル21の中心点O21と第2コイル31の中心点O31とが一致している場合に、一対の第2通信器B1,B2が配置されている範囲を含むように設定されている。そのため、第1通信器A1,A2から送信された電波を第2通信器B1,B2が受信できる場合は、第1コイル21に対して、第2コイル31の位置ずれは許容範囲内である。第1通信器A1,A2から送信された電波を第2通信器B1,B2が受信しにくい場合は、第1コイル21に対して、第2コイル31の位置ずれが許容範囲外であることがある。
一対の第1通信器A1,A2は、第1コイル21を挟んで配置され、一対の第2通信器B1,B2は、第2コイル31を挟んで配置されていてもよい。これにより、第1コイル21と第2コイル31との位置が一致した場合において、中心点O21、O31上に第1通信器A1,A2及び第2通信器B1,B2が配置されることが防止される。そのため、コイルから生じた磁場によって通信器が加熱されるおそれを低減することができる。また、通信器同士が同じ位置に配置されないように分散させることができる。
次に、変形例に係る通信器の配置について説明する。
図16(a)は、第1変形例に係る第2通信器B1,B2の配置を示す概略平面図である。図16(a)に示される一対の第2通信器B1,B2は、図4(a)に示される一対の第1通信器A1,A2と同じように配置されている。このように、一対の第1通信器A1,A2の配置と、一対の第2通信器B1,B2の配置を合わせてもよい。
図16(b)は、第2変形例に係る第2通信器B1,B2の配置を示す概略平面図である。図16(b)に示される一対の第2通信器B1,B2は、前後方向Yにおいて、第2コイル31の中心点O31より前方に配置されている。一対の第2通信器B1,B2は、左右方向Xにおいて、中心点O31を挟んで両側に配置されている。第2通信器B1は、直線L2上に配置され、第2通信器B2は、直線L1上に配置されている。このような一対の第2通信器B1,B2を採用してもよい。
図17(a)は、第3変形例に係る第2通信器B1,B2,B3の配置を示す概略平面図であり、図17(b)は、第3変形例に係る第1通信器A1,A2,A3の配置を示す概略平面図である。
図17(b)に示されるように、第3変形例に係る第1通信器A1,A2,A3は3つの第1通信器を備える。第1通信器A1,A2,A3は、第1コイル21の中心点O21を中心とする仮想円の円周上に配置されている。第1通信器A1,A2,A3は、中心点O21を中心として120度ずつずれた位置に配置されている。複数の第1通信器としては、3通りの組み合わせが成立する。
図17(a)に示されるように、第3変形例に係る第2通信器B1,B2,B3は3つの第2通信器を備える。第2通信器B1,B2,B3は、第2コイル31の中心点O31を中心とする仮想円の円周上に配置されている。第2通信器B1,B2,B3は、中心点O31を中心として120度ずつずれた位置に配置されている。複数の第1通信器としては、3通りの組み合わせが成立する。図17(b)の第1通信器A1,A2,A3に対して、図17(a)の第2通信器B1,B2,B3を組み合わせて使用することができる。また、第2通信器B1,B2,B3は、中心点O31を中心とする仮想円の周方向において、第1通信器A1,A2,A3の間に配置されている。
図17(c)は、第4変形例に係る第2通信器B1,B2の配置を示す概略平面図である。図17(c)に示されるように、第4変形例に係る第2通信器B1,B2は、前後方向Yにおいて、第2コイル31を挟んで配置されている。第2通信器B1,B2は、前後方向Yに延在する直線LY31上に配置されている。このような第4変形例に係る第2通信器B1,B2を、図4(b)に示される第1通信器A1,A2と組み合わせて使用してもよく、図17(b)に示される第1通信器A1,A2,A3と組み合わせて使用してもよい。
図18(a)は、第5変形例に係る第2通信器B1,B2の配置を示す概略平面図であり、図18(b)は、第5変形例に係る第1通信器A1,A2の配置を示す概略平面図である。
図18(b)に示されるように第5変形例に係る第1通信器A1,A2は、前後方向Yにおいて、第1コイル21の中心点O21より前方に配置されている。一対の第1通信器A1,A2は、左右方向Xにおいて、中心点O21を挟んで両側に配置されている。第1通信器A1は、直線L1上に配置され、第1通信器A2は、直線L2上に配置されている。このような一対の第1通信器A1,A2を採用してもよい。
図18(a)に示されるように第5変形例に係る第2通信器B1,B2は、前後方向Yにおいて、第2コイル31の中心点O31より後方に配置されている。一対の第2通信器B1,B2は、左右方向において、中心点O31を挟んで両側に配置されている。第2通信器B1は、直線L1上に配置され、第2通信器B2は、直線L2上に配置されている。このような一対の第2通信器B1,B2を、図18(b)に示される一対の第1通信器A1,A2と組み合わせて使用することができる。また、図18(a)に示される第2通信器B1,B2を、図4(b)に示される第1通信器A1,A2と組み合わせて使用してもよく、図17(b)に示される第1通信器A1,A2,A3と組み合わせて使用してもよい。
図18(c)は、第6変形例に係る第2通信器B1,B2の配置を示す概略平面図であり、図18(d)は、第6変形例に係る第1通信器A1,A2の配置を示す概略平面図である。
図18(d)に示されるように第6変形例に係る第1通信器A1,A2は、左右方向Xにおいて、第1コイル21の中心点O21より左側に配置されている。一対の第1通信器A1,A2は、前後方向Yにおいて、中心点O21を挟んで両側に配置されている。このような一対の第1通信器A1,A2を使用してもよい。
図18(c)に示されるように第6変形例に係る第2通信器B1,B2は、左右方向Xにおいて、第2コイル31の中心点O31より右側に配置されている。一対の第2通信器B1,B2は、前後方向Yにおいて、中心点O31を挟んで両側に配置されている。このような一対の第2通信器B1,B2を、図18(c)に示される一対の第1通信器A1,A2と組み合わせて使用することができる。また、図18(c)に示される第2通信器B1,B2を、図4(b)に示される第1通信器A1,A2と組み合わせて使用してもよく、図17(b)に示される第1通信器A1,A2,A3と組み合わせて使用してもよい。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
上記実施形態では、位置ずれ検知装置10を非接触給電システム1に適用する場合について説明しているが、位置ずれ検知装置をその他の用途に使用してもよい。例えば、給油スタンドにおいて、自動車を所定の位置に停車する際に、位置ずれ検知装置を適用してもよい。また、自動車をその他の位置に停車する際に、位置ずれ検知装置を適用してもよい。
また、地上側の基準位置に位置合わせされる移動体は、車両に限定されず、その他の移動体でもよい。例えば、港において船舶を所定の位置で停止する際に、位置ずれ検知装置を適用してもよい。また、飛行機や鉄道などを所定の位置で停止させる際に、位置ずれ検知装置を適用してもよい。また、例えば、工場等において、物体を搬送する搬送装置において、位置ずれ検知装置を適用してもよい。
また、上記実施形態の非接触給電システム1において、地上側の第1コイル21から移動体側の第2コイル31に給電する場合について説明しているが、移動体側の第2コイル31から地上側の第1コイル21に給電してもよい。
また、上記の実施形態では、位置ずれ検知部39が第2制御器35に搭載されている場合について、説明しているが、位置ずれ検知部39は第1制御器25に搭載されていてもよく、第1制御器25及び第2制御器35の両方に搭載されていてもよい。また、位置ずれ検知部39は、その他の制御器として構成されるものでもよい。
また、上記の実施形態では、第1通信器A1,A2の故障を判定する故障判定部28と、第2通信器B1,B2の故障を判定する故障判定部38とを備える構成としているが、位置ずれ検知装置10は、移動体側の第2通信器B1,B2の故障を判定する故障判定部38のみを備える構成や、地上側の第1通信器A1,A2の故障を判定する故障判定部28のみを備える構成でもよい。
また、上記の実施形態では、非接触給電方式が磁界共鳴方式や電磁誘導方式である場合について説明しているが、本発明はこの態様に限定されない。本発明では、非接触給電方式は、送電装置2と受電装置3との位置関係によって給電性能が異なる方式であればよく、例えば、電界結合方式や電波方式であってもよい。
また、上記の実施形態では、ステップS4の対象が位置ずれレベル「0」であり、ステップS5の対象が位置ずれレベル「1」、「2」であったが、各ステップが対象とする位置ずれレベルは、給電性能に基づき適宜変更できる。例えば、ステップS4の対象を位置ずれレベル「0」、「1」とし、ステップS5の対象が位置ずれレベル「2」、「3」、「4」としてもよい。
また、上記の実施形態では、第1の方向を上下方向Zとして説明しているが、第1の方向は、上下方向Zに限定されず、上下方向Zに対して傾斜した方向でもよく、例えば、水平方向を第1の方向としてもよい。第1の方向が水平方向である場合とは、例えば、上下方向Zにおける移動体の位置ずれを検知する場合である。