JP6672738B2 - 電力変換システム - Google Patents
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Description
この種の接地システムは、接地対象物と大地とを電気的に接続するために地中に埋設される接地極と、この接地極を接地対象物に接続する導体とを備えている。
例えば、低圧の電力変換器,電動機に加え、高圧/低圧の変圧器や制御機器等の300[V]以下の低圧機器等を含むシステムにおいて、電気設備技術基準の解釈では、以下のような接地工事が定められており、異種の接地極同士は接続することができない。
・高圧/低圧変圧器:A種接地工事
・高圧/低圧変圧器の混触防止用(低圧側中性点または混触防止板の接地):B種接地工事
・低圧電力変換器, 低圧電動機:C種接地工事
・制御機器等の300[V]以下の低圧機器:D種接地工事
図15において、10は電力系統、21は変圧器、22はインバータやコンバータ等の電力変換器、23はPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)や保護機器を含む制御機器、24は電動機、31, 33は接地導体、32は接地端子箱、34は主として感電防止を目的とした保護用(保安用)接地極部であり、接地工事の種別に応じてA種接地極34A、B種接地極34B、C種接地極34C、D種接地極34Dがそれぞれ独立して設けられている。
なお、変圧器21は、高圧側のA種接地、低圧側中性点または混触防止板のB種接地を行い、電力変換器22及び電動機24はC種接地、制御機器23はD種接地を行っている。
しかしながら、実際には、保護用接地極部34を流れるノイズ電流、すなわち接地電流に起因する障害は多く発生しており、いわゆる電磁ノイズが制御機器23等の誤動作を招く場合がある。
図16は、この接地システムの構成図である。図示するように、建築物100の直下に打ち込まれた複数のアース杭101が、導電性の埋設メッシュ層102により互いに接続され、この埋設メッシュ層102に、躯体103及び鉄骨104〜106が接続されている。建造物100の各階には、空調機や動力機等の設備機器107、電子・通信機器108が配置されており、これらの機器107,108は各階の分電盤109,110により集約されたうえ、鉄骨106等に接続されている。
また、機器107,108から流出するノイズ電流は、埋設メッシュ層102及びアース杭101を通って還流するが、ノイズ電流はメッシュ状の各経路に分散するので、これらの経路によって形成されるループアンテナは小さくなり、その結果、放射ノイズが減少して周辺機器の誤動作を防ぐことができる。
特に、保護接地の観点から、国内では、多くの条件で個別接地方式を採用せざるを得ない場合が多い。
この電力変換装置200における接地システムとしては、装置内部に絶縁支持部材211を介してコモン接地母線206が配置され、このコモン接地母線206に、混触防止板接地207、セルインバータ中性点接地208、及び出力フィルタ回路中性点接地209が設けられる。また、コモン接地母線206は筐体のA種接地極210を介して設備接地極215に接続され、前記制御回路213はC種接地極214を介して設備接地極215に接続されている。
すなわち、特許文献1のように建築物の鉄骨や鉄筋を利用しなくても、一部の接地をコモン接地母線206によって等電位化することで、電力変換装置200の外部へのノイズ電流の流出を抑制可能となっている。
つまり、特許文献1,2に係る技術を適用可能な条件や用途、装置構成以外のシステムについては、依然として、接地部を流れるノイズ電流による影響等の問題が残る。
少なくとも2台の前記電気機器に対応させて機能用接地極をそれぞれ設け、個々の前記電気機器における同電位部を、第1の接地導体を介して当該電気機器の前記保護用接地極に接続すると共に第2の接地導体を介して当該電気機器の前記機能用接地極に接続したことを特徴とする。
特に、電力変換システムに内蔵された制御機器に機能用接地極部を設けない場合には、この制御機器や、電力変換システムの外部に配置された電子・通信機器等が電磁ノイズによって誤動作するのを防止することができる。
また、機能用接地極部の構造は極めて簡単であり、電力変換システムの大幅なコスト増加を招く恐れもない。
まず、図1は、本発明の第1実施形態に係る電力変換システムの構成図である。図1において、図15と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、以下では図15と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、ノイズ電流を保護用接地極部34を経由する経路と機能用接地極部35及び接地極35Dを経由する経路とに分流させているため、保護用接地極部34に流れるノイズ電流が減少する。
従って、図2に示す第2実施形態のごとく、機能用接地極部35において、電力変換器22及び電動機24に同一の接地極35Cを共用して施工しても、国内の基準に反することなく第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
具体的には、図3に示すように、対象機器の直近に機能用接地極を配置する。すなわち、変圧器21の直近に接地極35A,35Bを、電力変換器22の直近に接地極35C1を、電動機24の直近に接地極35C2を、制御機器23の直近に接地極35Dを、それぞれ配置するものである。
また、この実施形態は、同一の機能用接地極に接続される複数の機器間でノイズ電流が還流する場合にも、ノイズ障害の防止に役立つ。
これにより、ノイズ電流の多くは機能用接地極35を流れることになるので、小さなループアンテナから放射ノイズが生じるだけで済む。結果として、電力変換システム全体から発生する放射ノイズを低減することができる。
例えば、図5に示す第5実施形態のように、機能用接地極部35内の全ての接地極35A,35B,35C,35Dの相互の間隔を短くし、かつ、各機器からの配線長をできるだけ短くする。これにより、保護用接地極部34の各接地極間を通る経路に比べて機能用接地極部35の各接地極間を通る経路のインピーダンスが小さくなり、ノイズ電流は機能用接地極部35を含む小さなループアンテナ側に多く流れる。よって、電力変換システム全体から発生する放射ノイズを低減して周辺機器のノイズ障害を防ぐことができる。
図6は、本発明の第6実施形態を示しており、制御機器23には機能用接地極を設けず、他の機器21,22,24を機能用接地極部35により接地している。なお、この実施形態は、図4の第4実施形態において、各機器21,22,24から機能用接地極部35までの配線長を短くしたものに相当する。
第7実施形態によれば、地絡等の事故によって大きな電流が流れた時にヒューズが溶断して機能用接地極部35内の接地極が切り離され、保護用接地極部34に電流が流れ込む。このため、機能用接地極部35に至る接地導体37を、保護用接地極34部のために設けられる接地導体31,33よりも細くして施工の自由度を高くしても、安全性を確保したまま電磁ノイズの低減効果を得ることができる。
しかしながら、ノイズ障害を起こしやすい制御機器等の動作周波数はより高くなる傾向にあり、近年では、高周波のノイズ電流による影響が従来よりも現れやすくなっている。
従って本発明では、以下に説明するように機能用接地極の構造や形状を工夫することにより、ノイズ電流の低減効果を一層高めるようにした。
以下では、構造、形状が異なる機能用接地極部35の第1〜第6実施例について、符号351〜356を付して説明する。なお、これらの機能用接地極部351〜356は、前述した第1〜第7実施形態における機能用接地極部35としても使用することができる。
なお、前述したように、接地工事の種別が同一である機器については同一の接地極を共用できるため、電力変換器22の接地極35C1と電動機24の接地極35C2とを共用してもよく、これによって機能用接地極部351の構造を一層簡略化することができる。
この機能用接地極部352では、棒状の接地極35C1,35C2を中心にして、円筒状の接地極35D,35B, 35Aが順次、同心円状に配置されている。
なお、接地極の割り付けは、図示例に何ら限定されるものではない。また、第1実施例、第2実施例では、各機器21〜24に対応する接地極35C1,35C2,35D,35B, 35Aの全てを内側または外側の接地極に割り付けているが、一部の接地極のみを割り付け、他の接地極については別途施工しても良い。
すなわち、各機器21〜24の全てに機能用接地極を設ける必要はないため、図11に示すように、電動機24の接地極35C2を棒状に形成して中心に配置し、その周囲に、電力変換器22の円筒状の接地極35C1を配置して構成しても良い。
各接地極の形状や構造は前述した第1〜第3実施例に限定されるものではなく、図12,図13に示すように、外側の接地極35C2を角筒状や半球状に形成しても良い。図示されていないが、内側の接地極35C1も、例えば角棒状や平板状にすることもできる。
要は、任意形状の内側の接地極の一部または全部を、任意形状の外側の接地極により包囲するような構造であれば良いものである。
この機能用接地極部356は、図9に示した第1実施例の機能用接地極部351において、各接地極の相互間の大地Gの代わりに絶縁物41を充填して構成されている。このような構成にすると、接地極間を通る経路のインピーダンスは、各接地極の形状・構造及び絶縁物41の特性によって決まり、大地Gの特性に影響されることがない。
従って、例えば保護用接地極部34の各接地極間のインピーダンスよりも機能用接地極部356における各接地極間のインピーダンスが十分小さくなるように電極形状を設計すると共に絶縁物41を選定することで、大地Gの特性に関わらず、機能用接地極部356に流れるノイズ電流を大きくして保護用接地極部34に流れるノイズ電流を減らすことが可能である。
なお、各接地極の相互間に絶縁物41を充填する着想は、前述した第2〜第5実施例の機能用接地極部352〜355にも勿論、適用可能である。
21:変圧器
22:電力変換器
23:制御機器
24:電動機
31,37,38:接地導体
32:接地端子箱
33:接地導体
34:保護用接地極部
34A:A種接地極
34B:B種接地極
34C:C種接地極
34D:D種接地極
35,351〜356:機能用接地極部
35A,35B,35C,35C1,35C2,35D:接地極
40A,40B,40C1,40C2:ヒューズ
41:絶縁物
G:大地
Claims (9)
- 電力変換器を含む複数台の電気機器を備え、これらの電気機器が異なる種別の複数の保護用接地極を必要とする電力変換システムにおいて、
少なくとも2台の前記電気機器に対応させて機能用接地極をそれぞれ設け、個々の前記電気機器における同電位部を、第1の接地導体を介して当該電気機器の前記保護用接地極に接続すると共に第2の接地導体を介して当該電気機器の前記機能用接地極に接続したことを特徴とする電力変換システム。 - 請求項1に記載した電力変換システムにおいて、
前記機能用接地極相互の間隔を、前記保護用接地極相互の間隔よりも狭くしたことを特徴とする電力変換システム。 - 請求項1または2に記載した電力変換システムにおいて、
前記電気機器と当該電気機器に設けられる前記機能用接地極との間の配線長が、当該電気機器と当該電気機器に設けられる前記保護用接地極との間の配線長よりも短いことを特徴とする電力変換システム。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載した電力変換システムにおいて、
前記機能用接地極を設けない前記電気機器として、前記電力変換器を制御するための制御機器が含まれることを特徴とする電力変換システム。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した電力変換システムにおいて、
前記電気機器と当該電気機器に設けられる前記機能用接地極とを、ヒューズを介して接続したことを特徴とする電力変換システム。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載した電力変換システムにおいて、
接地工事の種別が同一である複数の前記電気機器にそれぞれ設けられるべき前記機能用接地極を、同一の機能用接地極により共用したことを特徴とする電力変換システム。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載した電力変換システムにおいて、
複数の前記機能用接地極により機能用接地極部を構成し、前記機能用接地極部は、少なくとも1つの接地極と、この接地極の全体または一部を包囲する他の接地極とを有することを特徴とする電力変換システム。 - 請求項7に記載した電力変換システムにおいて、
前記機能用接地極部は、少なくとも1つの接地極と、この接地極を包囲するように同心円状に配置された他の接地極とを有することを特徴とする電力変換システム。 - 請求項7または8に記載した電力変換システムにおいて、
前記機能用接地極部を構成する複数の接地極の相互間に絶縁物を充填したことを特徴とする電力変換システム。
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