JP6672218B2 - 自動車用途用のポリアリーレンスルフィド部品 - Google Patents

自動車用途用のポリアリーレンスルフィド部品 Download PDF

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    • C08L81/04Polysulfides

Description

[0001]自動車部品は、理想的には軽量で且つ比較的製造が安価でありつつ、長期の耐用年数にわたって過酷な作業条件に耐えなければならないため、自動車用途用の部品の成形には、多くの特有の課題がある。たとえば、大きな積載貨物を運搬するように設計された車両は、使用の間に予想され得る環境のため、特有の条件に直面する。たとえば、自動車総重量範囲が約9,000kg(約19,800ポンド)を超えるトラックを含む、大型トラック(heavy duty truck)のエンジンは、特に貨物を積載するときには、高温で操作する。さらに大型
トラック部品は、日常的に高い機械的応力、大きな振動及び環境による攻撃(environmental assault)(たとえば、泥及び岩、極端な暑さ及び寒さ、化学的作用など)と遭遇するだ
ろう。大型トラックの日常的な操作条件は、典型的な乗用車と比較して殆ど全ての点で非常に極端であり、大型トラックを成形するのに使用される部品は、車両の耐用期間にわたって予想される操作条件に直面して、所望の強度特性及び耐劣化性を提供すべきである。
[0002]さらに、商品の輸送に関連するコスト及び利益は、輸送車両の重量及び耐久性により影響を受ける。典型的なコストとしては燃料及びメンテナンスが挙げられる。車両重量が1ポンド増えれば、車両の燃料消費と摩耗が増加する。利益は重量によっても影響を受ける。輸送できる貨物が1ポンド増えれば、利益の増加につながる。従って、運送会社は、取り替えた部品の耐久性を同時に保持しつつ、車両の重量を減少させることを試みている。
[0003]改善された材料設計の利益を享受できるような具体的な車両部品としては、単層及び多層部品の両方を含む自動車燃料ライン管類(automotive fuel line tubing)及びホ
ースが挙げられる。従来、燃料ラインなどの多くの自動車部品を成形するのに金属が使用されてきたが、自動車製造業者は、可能な限り重量及びCO2排出を減少させるために、金
属を置き換えてきた。より最近では、燃料ライン管類及びホースは、脂肪族ポリアミド(PA)、高熱ゴム複合体及び編組(braided)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成され
てきた。あいにく、これらの材料は、理想的とはいえない性能を提供する、及び/または
複雑で費用のかかる成形技術を必要とすることが多かった。たとえば編組PTEF及び高熱ゴム複合体は、高熱環境中で使用することができるが、構築物は複雑で費用がかかることが多い。脂肪族ポリアミドの使用にも限界がある。たとえば、PA12は、最新の車両にあるより高い温度で燃料の透過及び長期熱エージングの両方に関して限界がある。従って、これらの材料から成形した自動車部品は、付加重量及び付加コストを伴う遮熱材が必要なことが多い。さらにこれらの材料の多層構築物は、特にフルオロポリマー層が存在する場合には、離層を起こしやすく、一般に層間に特別な化学的結合が必要である。
[0004]燃料系のラインなど、自動車部品には多様な異なる必要条件があり、これらのうち幾つかは最終用途に依存して変動する。たとえば蒸気ラインでは、環境中に蒸気が漏れないようにするために良好なバリヤー特性が提供されなければならない。さらに、長期の耐用期間にわたって保持されるべき熱的及び機械的必要条件がある。機械的必要条件には、製造及び安全の両方に関して十分な柔軟性と耐衝撃性が含まれる。蒸気ラインに関する必要条件に加えて、液体ラインは、燃料噴射装置(fuel injector)を閉塞するなどの問題
につながるおそれがある、燃料ラインを成形する際に使用される材料が本質的に燃料を汚染しないという必要条件を満たさなければならない。従って、ラインは、ラインによって運搬すべき液体に対して化学的に耐性でなければならない。今日まで燃料ラインを成形する際に使用が検討されてきた多くのポリマーは、燃料系を閉塞し、エンジン性能を低下させかねないオリゴマーを浸出していた。
[0005]ポリアリーレンスルフィドは、高温、化学薬品及び機械的応力に耐えることができ、広範な用途で有益に使用される高性能ポリマーである。ポリアリーレンスルフィドは、他のポリマーとブレンドされて、製品組成の特性を改善することが多かった。たとえば、エラストマー性耐衝撃性改良剤(elastomeric impact modifier)は、ポリアリーレンス
ルフィド組成物の物理的特性を改善する有益性が発見された。
[0006]残念ながら、耐衝撃性を改良するのに有用であると一般的に考えられたエラストマー性ポリマーはポリアリーレンスルフィドと相溶性ではなく、これら二種類の組成物を形成する際に、相分離が問題となっていた。たとえば相溶化剤を使用することによって、組成物の形成を改善することが試みられてきた。しかしながら、そのような改良をする際であっても、耐衝撃性改良性ポリマーと組み合わせてポリアリーレンスルフィドを含む組成物は、大型トラック部品が遭遇するかもしれない、特に高い耐熱性及び高い耐衝撃性の両方を必要とする用途において、所望の製品性能を提供できなかった。
[0007]大型トラックに関して予想され得るように、当業界で必要とされているのは、極端な操作条件でさえも高強度特性並びに耐崩壊性(resistance to degradation)と共に軽
量及び優れたバリヤー特性を示すポリアリーレンスルフィド組成物から成形した大型トラック部品及び自動車燃料ラインなどの自動車部品である。
[0008]一態様において、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形した自動車部品を開示する。ポリアリーレンスルフィド組成物は、ポリアリーレンスルフィドと架橋耐衝撃性改良剤(crosslinked impact modifier)とを含む。自動車部品は高強度及び良好な柔軟性
を示す。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物は、温度23℃で、ISO試験No.179-1
に従って測定して約3kJ/m2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さと、温度−30℃で、ISO試験No.179-1に従って測定して約8kJ/m2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さを示す
ことができる。
[0009]また、ポリアリーレンスルフィドと架橋耐衝撃性改良剤とを含むポリアリーレンスルフィド組成物を成形することを含む、自動車部品の成形方法も開示する。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物を射出成形、ブロー成形、または成形(mold)して、自動車部品を成形することができる。一態様において、方法は、ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び架橋剤を溶融加工装置に供給することを含む方法に従って、ポリアリーレンスルフィド組成物を最初に形成することを含むことができる。より具体的には、架橋剤は、耐衝撃性改良剤とポリアリーレンスルフィドとを混和させた後、及び耐衝撃性改良剤を前記ポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布(distribution)させた後に、溶融加工装置に供給することができる。
[0010]これらに限定されないが、管状部材(tubular member)を含む、ポリアリーレンスルフィド組成物を有益に組み入れる(incorporate)ことができる自動車部品も開示する。
管状部材は、水、石油、ガソリン、ディーゼル油、空気、排気、尿素などを運搬するのに適したパイプ及びホースなどの単層及び多層部材の両方を包含することができる。本組成物を組み入れる大型トラックのような車両も本明細書中で開示する。
[0011]本開示は、以下の図面を参照としてより良く理解できるだろう。
[0012]図1は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえるような単層管状部材である。 [0013]図2は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえるような単層管である。 [0014]]図3は、その一つ以上の層がポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえるような多層管状部材である。 [0015]図4は、その一つ以上の層がポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえる、二層ホースである。 [0016]図5は、その一つ以上の層がポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえる、三層ホースである。 [0017]図6は、その一つ以上の層がポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえる、別の多層管状部材である。 [0018]図7は、ポリアリーレンスルフィド組成物を含む一つ以上の燃料ラインを組み入れることができる燃料系の一部を説明する。 [0019]図8は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえるような、管状部材を含む大型トラック用のエンジンを説明する。 [0020]図9は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえるような、大型トラック用の給気系連結器(coupling)を説明する。 [0021]図10は、ポリアリーレンスルフィド組成物を含む部品を組み入れられるような、大型トラック用尿素(urea)タンクを説明する。 [0022]図11は、図10の尿素タンクの取り付け部品(fitting)を説明する。 [0023]図12は、ポリアリーレンスルフィド組成物を含む部品を組み入れられるような大型トラック用尿素タンクの別の態様を説明する。 [0024]図13は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形される部品を組み入れられるような大型トラック排気系を説明する。 [0025]図14は、ポリアリーレンスルフィド組成物を組み入れられるようなコイル状(coiled)空気ブレーキホースを説明する。 [0026]図15は、図10の空気ブレーキホースアセンブリを組み入れている例示的な大型トラックを説明する。 [0027]図16は、本明細書中に開示されるポリアリーレンスルフィド組成物を成形するためのプロセスの略図である。 [0028]図17は、ポリアリーレンスルフィド組成物から燃料ラインを成形する際に使用しえるような連続ブロー成形プロセスを説明する。 [0029]図18は、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物の溶融強度及び溶融伸び(melt elongation)を測定する際に使用されるサンプルを説明する。 [0030]図19は、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物のノッチ付きシャルピー衝撃強さと、比較組成物のノッチ付きシャルピー衝撃強さにおける温度変化の影響を説明する。 [0031]図20は、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物(図20B)及び比較ポリアリーレンスルフィド(図20A)の走査電子顕微鏡画像である。 [0031]図20は、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物(図20B)及び比較ポリアリーレンスルフィド(図20A)の走査電子顕微鏡画像である。 [0032]図21は、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物及び比較組成物の強度特性における硫酸暴露の影響を比較する。 [0033]図22は、剪断速度の関数として、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物に関して得られた複素粘度(複素粘性率:complex viscosity)の対数を提供する。 [0034]図23は、ヘンキー(Hencky)歪みの関数として、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物の溶融強度を提供する。 [0035]図24は、ヘンキー歪みの関数として、本明細書に記載のポリアリーレンスルフィド組成物の溶融伸びを提供する。 [0036]図25は、ポリアリーレンスルフィド組成物で成形したブロー成形容器を説明する。 [0037]図26A及び26Bは、図25に示された容器の断面像である。 [0037]図26A及び26Bは、図25に示された容器の断面像である。 [0038]図27は、CE10燃料ブレンドに対するポリアリーレンスルフィド組成物の透過抵抗を測定する際の試験サンプルの日々の重量減少を説明する。 [0039]図28は、CM15A燃料ブレンドに対するポリアリーレンスルフィド組成物の透過抵抗を測定する際の試験サンプルの日々の重量減少を説明する。 [0040]図29は、メタノールに対するポリアリーレンスルフィド組成物の透過抵抗を測定する際の試験サンプルの日々の重量減少を説明する。
[0041]当業者には、本考察が例示的な態様を記載しただけであり、本発明のより広い側面を限定するものではないと理解されるべきである。
[0042]本開示は、一般に、優れた靱性及び柔軟特性、並びに水、石油、ガス、合成または天然の化学薬品などとの接触による化学的劣化(化学的崩壊:chemical degradation)に対する耐性を示すポリアリーレンスルフィド組成物から成形した自動車部品(automotive component)に関する。たとえば自動車部品は、大型トラックでまたは任意の種類の自動車の燃料ラインとして使用することができる。有益には、本ポリアリーレンスルフィド組成物は、自動車部品の耐用年数の間に遭遇するかもしれないような極端な温度用途で使用されるときでさえも、良好な物理的特性を維持し得る。ポリアリーレンスルフィドは、材料が極端な温度変動に暴露される条件下で良好な物理的特性も維持することもできる。
[0043]自動車部品を成形するのに使用されるポリアリーレンスルフィド組成物は、耐衝撃性改良剤と共にポリアリーレンスルフィドと含んで、混合物を形成(form)すること、及び前記混合物を動的加硫に暴露することを含む溶融加工技術に従って形成することができる。より具体的には、ポリアリーレンスルフィドを耐衝撃性改良剤と混和(combine)し、
この混合物を、耐衝撃性改良剤がポリアリーレンスルフィドの中に十分にくまなく分布(
分散:distribute)されるように、剪断条件に暴露することができる。混合物を形成した
後、多官能性(polyfunctional)架橋剤を添加することができる。多官能性架橋剤は、混合物の成分と反応して、組成物の内部で、たとえば耐衝撃性改良剤のポリマー鎖の内部及び間で架橋を形成することができる。
[0044]特別な理論に拘束されないが、ポリアリーレンスルフィドの中にくまなく耐衝撃性改良剤を分布させた後、ポリアリーレンスルフィド組成物に多官能性架橋剤を添加することによって、溶融加工装置内部のポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤、及び架橋剤間の相互作用が改善されて、組成物の中でくまなく架橋耐衝撃性改良剤の分布が改善されると考えられる。組成物の中でくまなく架橋耐衝撃性改良剤の分布が改善されると、組成物の強度及び柔軟特性、たとえば、変形下で組成物が強度を維持する能力を改善する、並びに様々な条件下での劣化に対し優れた耐性を示すことができる大型トラック部品を成形するのに使用し得る良好な加工性をもつ組成物を提供することができる。
[0045]ポリアリーレンスルフィド組成物の高強度及び柔軟特性は、材料の引張り、曲げ、及び/または衝撃特性を調べることによって明らかにすることができる。たとえば、ポ
リアリーレンスルフィド組成物は、23℃で、ISO試験No.179-1(ASTM D256、方法Bと技術的に同等)に従って測定して、約3kJ/m2を超える、約3.5kJ/m2を超える、約5kJ/m2を超える
、約10kJ/m2を超える、約15kJ/m2を超える、約30kJ/m2を超える、約33kJ/m2を超える、約40kJ/m2を超える、約45kJ/m2を超える、または約50kJ/m2を超えるノッチ付きシャルピー
衝撃強さをもつことができる。ノッチなしシャルピーサンプルは、23℃で、ISO試験No.180(ASTM D256と技術的に同等)の試験条件下で破壊しない。
[0046]有益には、ポリアリーレンスルフィド組成物は、高温及び低温の両方を含む極端な温度でさえも良好な物理的特性を維持することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物は、−30℃で、ISO試験No.179-1に従って測定して、約8kJ/m2を超える、
約9kJ/m2を超える、約10kJ/m2を超える、約14kJ/m2を超える、約15kJ/m2を超える、約18kJ/m2を超える、または約20kJ/m2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さをもつことがで
き;−40℃で、ISO試験No.179-1に従って測定して、約8kJ/m2を超える、約9kJ/m2を超え
る、約10kJ/m2を超える、約11kJ/m2を超える、約12kJ/m2を超える、または約15kJ/m2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さをもつことができる。
[0047]さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物における温度変化の影響は意外にも小さくなりうる。たとえば、23℃におけるISO試験No.179-1に従って測定したノッチ付きシ
ャルピー衝撃強さ対−30℃におけるISO試験No.179-1に従って測定したノッチ付きシャル
ピー衝撃強さの比は、約3.5を超え、約3.6を超え、または約3.7を超えることができる。
従って、及び以下の実施例区分により詳細が記載されるように、温度が上昇するにつれて、ポリアリーレンスルフィド組成物の衝撃強さも予想通り上昇するが、衝撃強さの増加の割合は、特に動的に架橋された耐衝撃性改良剤を含まない組成物と比較して、非常に高い。従って、本ポリアリーレンスルフィド組成物は広い温度範囲で優秀な強度特性を示すことができる。
[0048]ポリアリーレンスルフィド組成物は非常に良好な引張特性を示すことができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物は、約4.5%を超える、約6%を超える、約7%を超える、約10%を超える、約25%を超える、約35%を超える、約50%を超える、約70%を超え
る、約75%を超える、約80%を超える、または約90%を超える降伏点引張伸び(tensile elongation at yield)をもつことができる。同様に、破断点引張伸び(tensile elongation at
break)は非常に高く、たとえば約10%を超える、約25%を超える、約35%を超える、約50%
を超える、約70%を超える、約75%を超える、約80%を超える、または約90%を超えることができる。破断点歪み(strain at break)は、約5%を超える、約15%を超える、約20%を超え
る、または約25%を超えることができる。たとえば、破断点歪みは約90%でありえる。降伏歪み(yield strain)は同様に高くなりえ、たとえば約5%を超える、約15%を超える、約20%を超える、または約25%を超える。降伏応力(yield stress)は、たとえば約50%を超えるか、または約53%を超えることができる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、約30MPaを超える、約35MPaを超える、約40MPaを超える、約45MPaを超える、または約70MPaを超える破断点引張強さ(tensile strength at break)をもつことができる。
[0049]さらにポリアリーレンスルフィド組成物は、比較的低い引張弾性率をもつことができる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、温度23℃及び試験速度5mm/分で、ISO試験NO.527に従って測定して、約3000MPa未満、約2300MPa未満、約2000MPa未満、約1500MPa未満、または約1100MPa未満の引張弾性率をもつことができる。
[0050]ポリアリーレンスルフィド組成物は、その上、アニール(annealing)後に、良好
な特性を示すことができる。たとえば、温度約230℃で約2時間のアニール後、組成物の引張弾性率は、約2500MPa未満、約2300MPa未満、または約2250MPa未満でありえる。温度23
℃及び試験速度5mm/分で、ISO試験NO.527に従って測定したアニール後の破断点引張強さ
は、約50MPaを超える、または約55MPaを超えることができる。
[0051]ポリアリーレンスルフィド組成物は、高い温度で連続して使用することもでき、たとえばポリアリーレンスルフィド組成物から成形した大型トラック部品は、最高約150
℃、約160℃、または約165℃の連続使用温度で、引張り強さが低下することなく、使用することができる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、165℃で1000時間、熱老
化(熱エージング:heat aging)後に、元の引張り強さを約95%を超えて、たとえば約100%
を維持することができ、且つ135℃で1000時間、熱老化後に、元の降伏点引張伸びを約95
%を超えて、たとえば約100%を維持することができる。
[0052]引張特性は、温度23℃及び試験速度5mm/分、または50mm/分でISO試験No.527(23
℃におけるASTM D623と技術的に同等)に従って測定することができる。
[0053]本組成物の曲げ特性は、温度23℃及び試験速度2mm/分でISO試験No.178(ASTM D790と技術的に同等)に従って測定することができる。たとえば、組成物の曲げ弾性率は、約2500MPa未満、約2300MPa未満、約2000MPa未満、約1800MPa未満、または約1500MPa未満で
ありえる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、約30MPaを超える、約35MPaを超える、約40MPaを超える、約45MPaを超える、または約70MPaを超える破断点曲げ強さ(flexural strength at break)をもつことができる。
[0054]ポリアリーレンスルフィド組成物の荷重撓み温度(deflection temperature under load)は比較的高くなりうる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物の荷重撓み温
度は、1.8MPaにおいて、ISO試験No.75-2(ASTM D790と技術的に同等)に従って測定して、
約80℃を超える、約90℃を超える、約100℃を超える、または約105℃を超えることができる。
[0055]ビカット軟化点(Vicat softening point)は、加熱速度50K/時間で荷重10Nを使用するときに、ビカットA試験(Vicat A test)に従って測定して、約200℃を超える、または約250℃を超えることができ、たとえば約270℃である。加熱速度50K/時間で荷重50Nを使
用するときに、ビカットB試験に関しては、ビカット軟化点は、約100℃を超える、約150
℃を超える、約175℃を超える、または約190℃を超えることができ、たとえば約200℃で
ある。ビカット軟化点は、ISO試験No.306(ASTM D1525と技術的に同等)に従って測定する
ことができる。
[0056]ポリアリーレンスルフィド組成物は、過酷な環境条件に長期間暴露される間も、優れた安定性を示すことができる。たとえば、酸性環境に長期暴露下(under long term exposure)で、ポリアリーレンスルフィド組成物は、強度特性で殆ど減少を示さない。たとえば強酸(たとえば硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸などの強酸約5%以上の溶液)に500時間暴露した後に、ポリアリーレンスルフィド組成物は、温度約40℃で強酸溶液に約500時間暴
露した後に、約17%未満、または約16%未満のシャルピーノッチ付き衝撃強さの減少(loss)を示すことができ、温度約80℃で強酸溶液に約500時間暴露した後に、約25%未満、ま
たは約22%未満のノッチ付きシャルピー衝撃強さ(Charpy notched impact strength)の減少を示すことができる。たとえば温度約80℃に保持した10%硫酸溶液中で1000時間のより過酷な条件下でさえも、ポリアリーレンスルフィド組成物は、当初のノッチ付きシャルピー衝撃強さの約80%以上を維持することができる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、たとえば塩、大型トラックが遭遇しえるような潜在的に分解性の材料、道路用の塩(road salt)などに暴露された後でも所望の強度特性を維持することができる。
[0057]透過抵抗(permeation resistance)は、たとえば燃料ライン、貯蔵タンクなどの
大型トラック部品の成形において組成物を使用する際など、ポリアリーレンスルフィド組成物の広範な用途にとって重要である。ポリアリーレンスルフィド組成物は、広範な種類の材料に対して優れた透過抵抗を示すことができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物で成形した成形品は、約3g-mm/m2-日未満、約2g-mm/m2-日未満、約1g-mm/m2-日
未満、または約0.5g-mm/m2-日未満の燃料または燃料源(たとえばガソリン、ディーゼル油、ジェット燃料、未精製または精製油など)に対する透過抵抗を示すことができる。たと
えば、ポリアリーレンスルフィド組成物(またはポリアリーレンスルフィド組成物で成形
した製品)は、約3g-mm/m2-日未満、約2.5g-mm/m2-日未満、約1g-mm/m2-日未満、または約0.1g-mm/m2-日未満の、40℃においてエタノール/イソオクタン/トルエンのエタノールブ
レンド(重量比10:45:45)に対する透過抵抗を示すことができる。40℃における15wt%メタノール及び85wt%含酸素燃料(oxygenated fuel)のブレンド(CM15A)に対する透過抵抗は、約3g-mm/m2-日未満、約2.5g-mm/m2-日未満、約1g-mm/m2-日未満、約0.5g-mm/m2-日未満、約0.3g-mm/m2-日未満、または約0.15g-mm/m2-日未満でありえる。40℃におけるメタノ
ールに対する透過抵抗は、約1g-mm/m2-日未満、約0.5g-mm/m2-日未満、約0.25g-mm/m2-日未満、約0.1g-mm/m2-日未満、または約0.06g-mm/m2-日未満でありえる。透過抵抗は、SAE試験法No.J2665に従って測定することができる。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物は、炭化水素に長期間暴露した後に、元の密度を維持することができる。たとえば、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素または炭化水素の組み合わせに長期間(たとえば約14日を超える)暴露した後に、元の密度の約95%を超えて、元の密度の約96%
を超えて維持することができ、たとえば元の密度の約99%を維持することができる。
[0058]ポリアリーレンスルフィド組成物は、良好な耐熱性及び難燃性を示すことができる。たとえば、本組成物は厚さ0.2ミリメートルでV-0燃焼性規格(flammability standard)を満たすことができる。難燃効力(flame retarding efficacy)は、“Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances”、第5版、1996年10月29日のUL94垂直燃焼試験(Vertical Burn Test)手順に従って測定することができる。UL94試験に従った評価を以下の表に列記する。
[0059]残炎時間(afterflame time)とは、全残炎時間(試験したすべてのサンプルの総計)をサンプル数で割ることにより得られる平均値である。全残炎時間は、UL-94 VTM試験で記載したように、火炎を二回、別々に適用した後に、全サンプルが発火したままだった時間(秒)の合計である。時間が短ければ、より良好な耐燃性(難燃性:flame resistance)を示す。すなわち、火炎は早く消えた。V-0の評価に関しては、それぞれ火炎を二回適用す
る、五つ(5)のサンプルの全残炎時間は、50秒を超えてはいけない。本発明の難燃剤(flame retardant)を使用すると、物品は、厚さ0.2ミリメートルの試験片に関しては、少なく
ともV-1評価、典型的にはV-0評価を達成することができる。
[0060]ポリアリーレンスルフィド組成物は、たとえば組成物の溶融粘度により示されるように、良好な加工特性を示すこともできる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、一定の剪断を5分間適用した後で実施した粘度測定で、316℃及び400秒-1においてキ
ャピラリーレオメーターで測定して、約2800ポアズ(poise)未満の溶融粘度をもつことが
できる。さらにポリアリーレンスルフィド組成物は、架橋耐衝撃性改良剤を含まないポリアリーレンスルフィド組成物と比較して、長期にわたって改善された溶融安定性を示すことができる。すなわち、架橋耐衝撃性改良剤を含まないポリアリーレンスルフィド組成物は、長期にわたって溶融粘度の上昇を示す傾向があるが、開示された組成物は、長期にわたって溶融粘度を維持するまたは、低下させることすらできる。
[0061]ポリアリーレンスルフィド組成物は、低剪断(0.1ラジアン/秒(rad/s))及び310℃で測定して、約10kPa/秒を超える、約25kPa/秒を超える、約40kPa/秒を超える、約50kPa/秒を超える、約75kPa/秒を超える、約200kPa/秒を超える、約250kPa/秒を超える、約300kPa/秒を超える、約350kPa/秒を超える、約400kPa/秒を超える、または約450kPa/秒を超える複素粘度(complex viscosity)をもつことができる。低剪断での複素粘度の値がより高
いことは、組成物の架橋構造及びポリアリーレンスルフィド組成物のより高い溶融強度の兆候である。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物は、より高い剪断感受性(shear sensitivity)を示し、このことは、ブロー成形及び押出加工などの成形プロセスで使用す
るのに優れた特性であることを示している。
[0062]自動車に組み入れられうるように、ポリアリーレンスルフィド組成物はあらゆる種類の部品を成形する際に使用することができる。一態様において、ポリアリーレンスルフィド組成物は、使用する間に極端な温度並びに大きな温度変動に暴露されえる管状部材の成形で使用することができる。たとえば、管状部材は、冷却用空気系、ガソリンライン、ディーゼルライン、空気ブレーキライン、尿素タンク、排気系などで使用することができる。ポリアリーレンスルフィド組成物から成形し得るような部品は、管状部材に限定されないが、フランジ、バルブ、バルブシート、シール、センサハウジング、サーモスタット、サーモスタットハウジング、ダイバータ、ライニング、プロペラなどの他の大型トラック部品は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形することができる。
[0063]ポリアリーレンスルフィド組成物から成形される管状部材は単層または多層でありえる。操作時、管状部材は、ホースアセンブリまたは燃料ラインアセンブリまたは燃料輸送系などの部品でありえる。燃料輸送系としては一般に、ホースなどの管状部材と、ホースの一つ以上の端部に、一つ以上のクランプ、連結器(coupling)、管組織(tubing)、ノズル、及び/または取り付け部品、流体取扱い装置などが挙げられる。
[0064]部品は、部品全体の至るところにまたは部品の一部のみにポリアリーレンスルフィド組成物を含むことができる。たとえば、大きなアスペクト比(L/D>1)をもつ部品、たとえば管状部材について考えるとき、部品は、ポリアリーレンスルフィド組成物が部品の区分(section)に沿って伸長し、且つ隣接する区分が異なる組成物、たとえば異なるポリ
アリーレンスルフィド組成物で成形できるように、成形することができる。そのような部品は、成形プロセスの間に成形装置に供給される材料を変更(alter)することによって成
形することができる。部品は異なる材料で形成される第一の区分と第二の区分との間の境界領域を表す二つの材料が混合される領域を含むことができる。部品は、所望により、ポリアリーレンスルフィド組成物で成形された単一の区分または複数の区分を含むことができる。さらには、部品の他の区分は、多くの別の材料で成形することができる。たとえば、流体管(fluid conduit)などの管状部品を考えるとき、管状部品の両端はポリアリーレ
ンスルフィド組成物で成形することができ、中心区分は柔軟性のより少ない組成物から成形することができる。従って、より柔軟性のある末端を使用して、部品を系の他の部品にしっかりと固定することができる。あるいは、部品の中心区分はポリアリーレンスルフィド組成物から成形できるかもしれないが、これによりその区分で部品の柔軟性を促進して、部品の取り付けをより簡単にすることができる。
[0065]図1を参照して、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形された管状部材110
の一態様が示されている。示されているように、管状部材110は、多方向(multiple direction)に伸長して、比較的複雑な形状になっている。たとえばポリアリーレンスルフィド
組成物が固化する間及びその前に、図1に示されているように部品に角変位(angular displacement)を形成することができる。管状部材110は、112、114及び116に角変位変化を包含する。管状部材110はたとえば、大型トラックの排気系で使用し得る部品を含むことが
できる。
[0066]図2は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形される単層管150の斜視図を
示す。単層管は、例えばベントライン及び/または燃料ラインを成形する際に使用するこ
とができる。単層管150は一般に、約3ミリメートル未満の壁厚、例えば約0.5〜約2.5ミリメートル、または約0.8〜約0.2ミリメートルの壁厚をもつことができる。単層管150は一
般に、約10ミリメートル未満、または一態様において約5ミリメートル未満の断面直径を
もつことができる。単層管の長さは、具体的な用途に依存して変動しえ、比較的長く、例えば約1メートル長以上でありえるか、または短くありえ、たとえば約50センチメートル未満、または約10センチメートル未満である。さらに、単層管50は、波状面(corrugated surface)または平滑面をもつことができる。
[0067]ポリアリーレンスルフィド組成物を組み入れる管状部材は、多層管状部材でありえる。図3は、管状部材の一つ以上の層でポリアリーレンスルフィド組成物を組み入れられるような、多層管状部材210を説明する。たとえば内層212は、ポリアリーレンスルフィド組成物を包含することができる。外層214と中間層216は、内層を成形するのに使用したポリアリーレンスルフィド組成物と同一または異なるポリアリーレンスルフィド組成物を包含することができる。あるいは、多層管状部材の層は、異なる材料から成形することができる。たとえば一態様において、中間層216は、ホモポリアミド、コポリアミド、これ
らのブレンドの群由来のポリアミドまたは互い若しくは他のポリマーとの混合物から成形することができる。あるいは層216は、繊維強化樹脂複合材料などの繊維強化材料から成
形することができる。たとえば、ポリアラミド(たとえばケブラー(登録商標))で織ったマットを使用して、機械的攻撃に対して非常に耐性である中間層216を形成することができ
る。
[0068]外層214は、外部攻撃からの保護を提供する、並びに管状部材に絶縁または他の
所望の特徴を提供することができる。たとえば多層ホースは、好適な種類のゴム材料から成形した外層214を含むことができる。そのような材料の例としては、熱可塑性エラスト
マー、たとえばポリアミド熱可塑性エラストマー、ポリエステル熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー及びスチレン熱可塑性エラストマーが挙げられる。外層214の他の可能な材料としては、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴム、エ
チレン-プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンド、アクリロニトリル-ブタジエンゴムとエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴムとのブレンド、塩素化ポリエチレンゴムが挙げられ
るが、これらに限定されない。
[0069]あるいは外層214は、たとえばポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、若しくは高密
度ポリエチレンなどのより固い、より柔軟性の低い材料、ガラス繊維複合材料若しくは炭素繊維複合材料などの繊維強化複合材料、またはスチールジャケットなどの金属材料から形成することができる。
[0070]もちろん、多層管状部材は三層に限定されず、二層、四層以上の別個の(distinct)層を含むことができる。
[0071]燃料ライン160、70の一つ以上の層にポリアリーレンスルフィド組成物を組み入
れられえるように、図4は二層燃料ライン160を説明し、図5は三層燃料ライン70を説明
する。単層燃料管と似たような多層燃料ラインは、当業界で公知のように広範な断面及び長さ寸法をもつように成形することができる。一般に、多層燃料ラインの各層は、約2ミ
リメートル未満、または約1ミリメートル未満の壁厚をもつことができ;多層燃料ライン
の内径は一般に、約100ミリメートル未満、約50ミリメートル未満、または約30ミリメー
トル未満でありえる。
[0072]理解されるように、二層燃料ライン160は、内層61と外層62を包含する。三層燃
料ライン70は、内層71、中間層72及び外層73を包含する。ポリアリーレンスルフィド組成物の耐薬品性と組み合わせたポリアリーレンスルフィド組成物の優れたバリヤー特性により、多層燃料ラインの内層の成形での使用に適したものにする。たとえば、例示された燃料ライン160、70の内層61、71は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形することが
できる。
[0073]ポリアリーレンスルフィド組成物は、多層燃料ラインの内層としての使用に限定されない。優れたバリヤー特性と良好な柔軟性と組み合わせたポリアリーレンスルフィド組成物の高強度特性により、多層燃料ラインの内層の成形に加えて、またはこれに代わって、ポリアリーレンスルフィド組成物が多層燃料ラインの外層及び/または中間層の成形
に適したものにする。
[0074]ポリアリーレンスルフィド組成物が多層ホースの層を成形するような態様では、追加の層を、多層ホースの層を成形するポリアリーレンスルフィド組成物と同一または異なる材料から成形することができる。たとえば、図5に示された三層を含む燃料ラインを考えるとき、中間層72及び外層73は、図3を参照して考察されたような材料から成形することができる。そのような材料は、ポリアリーレンスルフィド組成物が燃料ホースの内層以外の一つ以上の層で使用される態様において、燃料ホースの内層を成形するのに使用することができる。中間層は、先に成形した(pre-formed)内層の上に成形することができるか、または最初に成形することができ、内層は、例えばブロー成形法に従って、最初に成形した層の内面上に成形することができる。
[0075]図6を参照して、五層を含む多層管状部材が例示される。管状部材(tubular member)511は、内部管(inner tube)512、中間バリヤー層514及び外部カバー516を包含する。管状部材511は、結束層(tie layer)520と外部カバー516との間に配置された強化層518も
包含するが、強化層は、場合により管状部材511の別の層の間に配置することができる。
たとえば、強化層は、内部管512と中間バリヤー層514との間に配置することができる。管状部材511は、様々な層の間に一つ以上の結束層及び/または接着コーティングも含むことができる。
[0076]一般に、内部管512は、ポリアリーレンスルフィド組成物を包含することができ
る。従って、管の内部表面材料は、ホース内部で予想される流体及び環境条件に耐えるように選択することができる。バリヤー層514は、ディーゼル燃料、ガソリンなどの、管状
部材によって運搬されるべき材料に対して低い透過性を示すことができる材料から成形することができる。たとえば、バリヤー層は、PA6、PA11、PA12、PA66、PA610、PA46などのポリアミド並びにポリマーのブレンドから成形することができる。
[0077]一般に、結束層520は、バリヤー層514と、強化層518などの他の層との間を結合
し易くするために使用することができる。結束層は、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム/ポリ(塩化ビニル)ブレンド、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラ
ストマーなどをベースとするゴム組成物を包含することができる。結束層は、接着性コーティングでもありえる。
[0078]一般に、カバー516は、遭遇する外部環境に耐えるために設計された一つ以上の
好適な柔軟なエラストマー性またはポリマー性材料で製造することができる。たとえば、カバー516は、内部管512を成形する際に使用されるポリアリーレンスルフィド組成物と同一または異なるポリアリーレンスルフィド組成物から成形することができる。別の態様に
従って、外側のカバー516は、これらに限定されないが、水素化ニトリルゴム、クロロス
ルホン化ポリエチレン、ポリクロロプレン、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/酢酸ビ
ニルコポリマー、ポリアクリルゴム、エチレンアルケンコポリマー、ブタジエンゴム/ポ
リ(塩化ビニル)ブレンド、塩素化ポリエチレンなどのゴム配合物をベースとすることができ、これらはゴムコンパウンディングの公知方法に従って他の成分と共に配合することができる。
[0079]強化層518は、管状部材511に存在することができる。強化は、中間層514の上に
直接適用することができるので、強化層518の少なくとも一部は、中間層514と接触することができる。たとえば、繊維製品(textile)若しくはワイヤの螺旋状(spilraled)、編んだ(knit)、若しくは編組層を強化層518として使用することができる。たとえば螺旋状構造
体の場合、螺旋状層(spiraled layer)は二つの層を含み、それぞれは管状部材511の縦軸(longitudinal axis)に対して約54°のいわゆるロック角度(lock angle)またはニュートラル角度(neutral angle)付近で適用し、反対側は螺旋方向で適用される(with opposite spiral directions)。しかしながら、管状部材511は螺旋構造体に限定されない。繊維製品
またはワイヤ強化層518は、編み、編組、巻きつけ、織り布帛(fabric)または不織布であ
りえる。
[0080]多層管状部材はさらに、接着性材料、たとえばポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエラストマー、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエーテルポリイミド、機能性ポリオレフィンなどから成形した一種以上の接着層を含むことができる。
[0081]図7は、ポリアリーレンスルフィド組成物を含む燃料ラインを含むことができる燃料系の一部を説明する。図7は、一般に燃料系の取り入れ口を説明し、これは燃料給油ネック(fuel filler neck)2、給油管24、燃料タンク28、ベント管26及びガスキャップ14
を含み、自動車ボデー16により支持されており、これはガスキャップ14を隠すために可動性カバー20を含む。給油ネック2は通常、漏斗型部材8を含む。給油ネック2は、ノズル受
け器12を受けることができ、これは給油している間に燃料ノズル6を受けるために適合さ
れたインサートである。部材8は、ガスキャップ14を受けるように適合された入口開口部10により一端で画定され、部材8に一体的に形成されたねじ筋に直接ねじで締める。
[0082]部材8の反対端は、出口開口部22により画定され、これは燃料ライン24の第一の
端部34に結合されている。燃料ライン24は、ポリアリーレンスルフィド組成物で成形した単層の管または多層のホースでありえる。第二の端部32では、燃料ライン24は燃料タンク28に結合される。燃料タンク系4は、漏斗ベント開口部30で部材8と、燃料タンク開口部40で燃料タンク28とに結合するベントライン26も含むことができる。ベントライン26によって、給油の間に燃料タンク28内で置き換わった空気を通気することができる。ベントライン26は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえる単層管または多層ホースでもありえる。
[0083]ガソリン及びディーゼルエンジンの両方を含む車両エンジンに含まれえるように、一般に管状の形状をもち、且つラインの中を通して(即ち、管状部材の軸方向に)中空の通路を含む任意の燃料ラインは、ポリアリーレンスルフィド組成物で成形した一つ以上の層を含むことができ、燃料ラインは、図7に示されている燃料系の取り入れ口に全く限定されないことを理解すべきである。たとえば、本明細書に包含される燃料ラインは、燃料タンクからエンジンへ燃料を運搬し、燃料フィルターの下流及び/または上流に配置され
得る燃料供給ラインを包含する。ポリアリーレンスルフィド組成物を組み入れられるような他の燃料ラインとしては、燃料戻りライン、燃料バイパスライン、燃料クロスオーバーライン、ブリーザーライン(breather line)、蒸発ラインなどが挙げられるが、これらに
限定されない。
[0084]ポリアリーレンスルフィド組成物を包含する管状部材は、優れた柔軟性及び耐熱性を示すことができ、これは、大型トラックの給気系用の管状部材を成形する場合には有益でありえる。たとえば、図8は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえ、空気処理系(air handling system)で使用し得る管状部材32、33を含むことができるエンジン
ブロック30を説明する。空気処理系で使用するための耐熱性管状部材は、ポリアリーレンスルフィド組成物を包含する内層と、難燃剤を含むことができる管状内層の外側周辺表面上に形成される外層とを含むことができる。たとえば外層は、非ハロゲン難燃剤を含む材料を使用することによって成形することができる。
[0085]図9は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形しえるような給気系連結器35を説明する。給気系連結器35は、これらに限定されないが、コンプレッサー入口及び排出で、給気冷却器で、及び/またはタービン入口及び排気などでの、給気系の様々なチャー
ジ部品の間の接続を提供することができる。ポリアリーレンスルフィド組成物の柔軟性及び強度は、系の部品の間のわずかな不均衡に対処し、並びに連結器の末端間での振動を遮断できる給気系連結器を提供することができる。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物の抵抗特性は、耐オゾン性に関して連結器を改善し、部品の耐用期間を延ばすことができる。
[0086]ポリアリーレンスルフィド組成物は、大型トラックの尿素タンク(urea tank)で
有益に使用することができる。たとえば図10に概略的に示された尿素タンク310は、底壁314と上壁(top wall)316とを備えた容器312を含む。上壁316には、取り付け部品(継手:fitting)330のセットに適応するために開口部318がある。容器312はさらに、充填口317を含む。
[0087]取り付け部品330のセットは、上壁316の開口部318に液密に(fluid-tightly)結合されるように配置されたヘッド332を含む。これは、開口部318の放射状フランジ320(図11)とヘッド332の放射状フランジ334との間のフランジ接続によるなど、多くの様々な方法
で達成することができる。ヘッド332は、開口部318の相補的ねじ筋(示されていない)と噛み合うように適合された内部または外部ねじ筋をもつスクリューキャップの形状もとることができる。多くの取り付け部品336は、ヘッド332から容器312内に伸長する。取り付け
部品336は、尿素/水溶液用の吸引管、消費されていない溶液用の戻り管、後者が低温により凍結した時に、溶液を解凍するための加熱コイル、及び容器内の溶液用レベルセンサを含むことができる。有益には、吸引管、戻り管及び加熱コイル及び/または保護カバー340の一つ以上は、ポリアリーレンスルフィド組成物で成形することができる。
[0088]ポリアリーレンスルフィド組成物の優れた強度特性は、容器312内の着氷による
有害な機械的作用から取り付け部品336の部品を保護することができ、取り付け部品336は容器312内の氷の動きによる作用(affect)に耐えることができる。
[0089]別の例示的な尿素タンクアセンブリ410が図12に示されている。この尿素タンク
アセンブリは、尿素溶液416などの液体を受け、保持するために構成されているキャビテ
ィ414をもつリザーバ412を含む。アセンブリはさらに、中空部材の中空部分422とリザー
バキャビティとの間に流体連通を提供するためにその中を通って形成される、一つ以上、または複数の開口部420をもつポリアリーレンスルフィド組成物で形成されえる管状部材418を含む。アセンブリはさらに、中空部材の内部にまたはその周囲で尿素溶液を加熱するために中空部分によって形成されるか、またはそれに最も近く配置されたヒーター424を
含む。アセンブリは、キャビティ414の内側から流体を、態様によっては中空部分の内側
から流体を、その中に分配するための排ガスに汲み上げるようにするためのポンプ426も
含む。
[0090]操作中、尿素溶液416は、好適な尿素入口導管(input conduit)428の中を通して
、またはキャップ付き開口部450などの他の手段の中を通して、キャビティ414に汲み上げる、注入するまたは置く。尿素溶液は、ヒーター424の中を通して加熱され、ポンプ426の中の尿素出口導管430を通して汲み上げられる。場合により、尿素溶液の汲み上げは、流
体レベルスイッチ432、456によって達成することができ、加熱は温度センサ434からの温
度読み取りをベースとすることができる。尿素溶液は、エンジンから廃棄ガス導管と流体連通するポートへ、尿素出口導管に沿って移動する。ポートは、排気ガス流内部に、特に排気ガス処理装置から上流に運ぶための、インジェクターなどの手段を提供する。
[0091]ポリアリーレンスルフィド組成物は、方向を示す矢印916により示されているよ
うに、ディーゼルエンジン907の排気マニホールド905から排気を放出するための図13に説明されるディーゼル排気系900などの排気系の部品を成形する際に有益に使用することも
できる。示されているように、排気系900は、入口端部901と出口端部903とを備えた排気
ライン902を包含する。排気ライン902の全てまたは一部は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形することができる。入口端部901は、排気マニホールド905を介してディーゼルエンジン907に連結している。入口端部901は、任意の形状を取ることができる接続装置904を含むことができる。たとえば、接続装置904は、排気マニホールド905の接続部分909上の同様のフランジに連結し得るフランジでありえる。排気ライン902は一般に直線とし
て示されているが、実際には、他のプロフィールを採用することができ、まっすぐな区分及び曲がった区分及び/または様々な直径の区分を含むことができる。
[0092]排気系900は、エンジン907に対して、及びもちろん排気マニホールド905に対し
ても「密結合(close-coupled)」位置にあるように、排気ライン902の入口端部901に隣接
して配置される第一の粒子フィルター906を含む。ターボチャージャー911は、熱いガスが第一のフィルター906の上に直接衝突するように、ターボチャージャー911の上流の第一の粒子フィルター906と排気ライン902に配置される。図9の排気系900はさらに、排気ライ
ン902内に配置された第二の粒子フィルター908を含む。排気系900はさらに、粒子フィル
ターで所望の排気流量分布、及び/または排気ライン902でサイズ及び重量を小さくし易くするために、粒子フィルター906の入口端部及び出口端部に拡散及び膨張コーン910、912
などの装置を含むことができる。
[0093]大型トラックの空気ブレーキ系は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形した部品を含むこともできる。図14は、コイル状空気ブレーキホースアセンブリ700の例示
的な態様を説明する。コイル状空気ブレーキホースアセンブリ700は、複数のコイルと真
直ぐな終端部(terminal end)720をもつコイル状ホース702を包含する。ホース702は、上
記のような単層ホースまたは多層ホースでありえ、少なくとも一つの層はポリアリーレンスルフィド組成物を包含する。
[0094]コイル状空気ブレーキホースアセンブリ700は、ホース702の端部の上に成形された取り付け部品706も含む。さらに、コイル状空気ブレーキホースは、ばねとして図14に
表現されている、歪み緩和部品(strain relief component)704を含む。例示された態様では、ホース702は、取り付け部品706を介して接近可能なルーメン(内腔:lumen)716を画定する。オーバーモールドした取り付け部品706は、単一のモノリス部材(monolithic component)であり、ホース702の形状、及び場合により歪み緩和部品704に結合且つ適合するよ
うに成形される。
[0095]図15は、トラクタートラック及びトレーラーを含む例示的な大型トラックを説明する。コイル状空気ブレーキアセンブリ700は、示されているように車両の間または車
両の内部に空気ブレーキ系を連結するために使用することができる。空気ブレーキホースアセンブリを成形するのにポリアリーレンスルフィド組成物を使用すると、特に好都合でありえる。たとえば、コイル状空気ブレーキホースアセンブリは、かなりの漏れ抵抗並びに、腐食性化学薬品、これらに限定されないが、例えば塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化(第二)銅及び塩化マグネシウムなどの道路用の塩に対する外部被ばくからの保護を示すことができる。さらにアセンブリは、ポリアリーレンスルフィド組成物の優れた物理的特性により、縦力(longitudinal force)に暴露されるときに、かなりの引張強さを示すことができる。
[0096]もちろん、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形される一つ以上の部品を含みえるような大型トラックは、図15に示されたものに限定されない。約9,000kgを超える
車両総重量範囲をもつ任意の大型トラックが本発明に含まれる。そのようなトラックは二つ、三つ、四つ以上の車軸をもつことができ、トラクター及び、トラクターにより引っ張ることができるトレーラーの両方を含むことができる。たとえば請負トラック(contractor’s truck)、配達用トラック、ダンプカー、小型トラック、輸送中に混合するトラック(mix-in-transit truck)、トラックトラクターなどは、本発明に含まれる。
[0097]一態様に従って、自動車部品を成形する方法は、ポリアリーレンスルフィド組成物の形成を含むことができる。図16は、ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する際に使用することができるプロセスの略図を説明する。示されているように、ポリアリーレンスルフィド組成物の成分は、押出機50などの溶融加工装置で溶融混練することができる。押出機50は、これらに限定されないが、一軸、二軸、または多軸押出機(multi-screw extruder)、共回転若しくは反転押出機、噛み合い(intermeshing)若しくは非-噛み合い(non-intermeshing)押出機など当業界で公知の任意の押出機でありえる。一態様において、本
組成物は、多数のゾーンまたはバレルを含む押出機50で溶融加工することができる。図示された態様では、押出機50は、示されているように押出機50の長さに沿って51〜60の番号がつけられた10個のバレルを含む。それぞれのバレル51〜60は、独立して操作することができる供給ライン(feed line)54、56、ベント52、温度調節などを含むことができる。汎
用スクリューデザインを使用して、ポリアリーレン組成物を溶融加工することができる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、Coperion共回転完全噛み合い二軸押出機などの二軸押出機を使用して溶融混合することができる。
[0098]ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する際に、ポリアリーレンスルフィドは、主供給口54で押出機50に供給することができる。たとえばポリアリーレンスルフィドは、計量供給装置(metering feeder)により第一のバレル51で主供給口54に供給することが
できる。ポリアリーレンスルフィドは、押出機50の中を通って前進するにつれて、融解して、組成物の他の成分と混合することができる。耐衝撃性改良剤は、所望により主供給口54でポリアリーレンスルフィド組成物と共に(同時に:in conjunction with)または主供
給口の下流で、組成物に添加することができる。
[0099]主供給口54の下流地点で、且つ組成物に耐衝撃性改良剤を添加した後、架橋剤を組成物に添加することができる。たとえば例示された態様では、バレル56での第二の供給ライン56を、架橋剤の添加用に使用することができる。架橋剤の添加点は特に限定されない。しかしながら、架橋剤は、耐衝撃性改良剤がポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布されるように、ポリアリーレンスルフィドを剪断下で耐衝撃性改良剤と混合した後の時点で、組成物に添加することができる。
[0100]ポリアリーレンスルフィドは、式(I):
{式中、Ar1、Ar2、Ar3、及びAr4は同一または異なり、6〜18個の炭素原子のアリーレン
ユニットであり;W、X、Y、及びZは同一または異なり、−SO2−、−S−、−SO−、−CO−、−O−、−COO−または、1〜6個の炭素原子のアルキレン若しくはアルキリデン基から選択される二価の結合基(linking group)であり、ここで前記結合基の少なくとも一つは−S−であり;n、m、i、j、k、l、o、及びpは独立してゼロまたは1、2、3、または4であり、但し、その合計は2以上である}の繰り返しユニットを含むポリアリーレンチオエーテル
でありえる。アリーレンユニットAr1、Ar2、Ar3、及びAr4は、選択的に置換されるか、または非置換でありえる。好都合なアリーレン系は、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセン及びフェナントレンである。ポリアリーレンスルフィドは典型的には、約30モル%を超え、約50モル%を超え、または約70モル%を超えるアリーレンスルフィド(−S−)ユニットを含む。一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、少なくとも85モル%の、二つの芳香環に直接結合したスルフィド結合を含む。
[00101]一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、その成分としてフェニレンス
ルフィド構造−(C6H4−S)n−(式中、nは1以上の整数である)を含むものとして、本明細書中で定義されるポリフェニレンスルフィドである。
[00102]ポリアリーレンスルフィドは、ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する前
に合成することができるが、これはプロセスの必要条件ではなく、ポリアリーレンスルフィドは公知の供給業者から購入することができる。たとえば、ティコナ・オブ・フローレンス(Ticona of Florence、Kentucky、USA)より入手可能なFortron(フォートロン)(登録
商標)ポリフェニレンスルフィドは、購入することができ、ポリアリーレンスルフィドと
して使用することができる。
[00103]使用するとき、ポリアリーレンスルフィドを形成する際に使用しえる合成技術
は、一般に当業界で公知である。たとえば、ポリアリーレンスルフィドを製造するプロセスは、有機アミド溶媒中でアルカリ金属の硫化物(alkali metal sulfide)などの水硫化物イオン(hydrosulfide ion)を提供する材料と、ジハロ芳香族化合物(dihaloaromatic compound)とを反応させることを含みえる。
[00104]アルカリ金属の硫化物は、たとえば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリ
ウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムまたはその混合物でありえる。アルカリ金属の硫化物が水和物または水性混合物(aqueous mixture)である場合、アルカリ金属の硫化物は、
重合反応に先立って脱水操作に従って処理することができる。アルカリ金属の硫化物は、現場生成することもできる。さらに少量のアルカリ金属の水酸化物を反応に含めて、アルカリ金属の硫化物と共に少量で存在するかもしれない、アルカリ金属ポリスルフィド(alkali metal polysulfide)またはチオ硫酸アルカリ金属(alkali metal thiosulfate)などの不純物を除去または反応させる(たとえば、そのような不純物を無害の物質に変える)ことができる。
[00105]ジハロ芳香族化合物は、これらに限定されないが、o-ジハロベンゼン、m-ジハ
ロベンゼン、p-ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ-ジハロ
ベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシドまたはジハロジフェニルケトンでありえる。ジハロ芳香族化合物は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで使用することができる。具体的な代表例のジハロ芳香族化合物としては、これらに限定されないが、p-ジク
ロロベンゼン;m-ジクロロベンゼン;o-ジクロロベンゼン;2,5-ジクロロトルエン;1,4-ジブロモベンゼン;1,4-ジクロロナフタレン;1-メトキシ-2,5-ジクロロベンゼン;4,4'-ジクロロビフェニル;3,5-ジクロロ安息香酸;4,4'-ジクロロジフェニルエーテル;4,4'-ジクロロジフェニルスルホン;4,4'-ジクロロジフェニルスルホキシド;及び4,4'-ジクロロジフェニルケトンを挙げることができる。
[00106]ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素でありえ、同一ジハロ-芳香族化合物中の二つのハロゲン原子は同一または互いに異なっていてもよい。一態様において、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼンまたはこれらの二つ以上の化合物の混合物をジハロ-芳香族化合物として使用する。
[00107]当業界で公知のように、ポリアリーレンスルフィドの末端基(end group)を形成するか、重合反応及び/またはポリアリーレンスルフィドの分子量を調整するために、ジ
ハロ芳香族化合物と組み合わせてモノハロ化合物(monohalo compound)(必ずしも芳香族化合物ではない)を使用することも可能である。
[00108]ポリアリーレンスルフィドは、ホモポリマーでありえ、またはコポリマーであ
りえる。ジハロ芳香族化合物の好適な、選択的な組み合わせにより、ポリアリーレンスルフィドコポリマーは、二つ以上の異なるユニットを含んで形成することができる。たとえばp-ジクロロベンゼンをm-ジクロロベンゼンまたは4,4'-ジクロロジフェニルスルホンと
組み合わせて使用する場合、ポリアリーレンスルフィドコポリマーは、式(II):
の構造をもつセグメントと、式(III):
の構造をもつセグメント、または式(IV):
の構造をもつセグメントを含んで形成することができる。
[00109]一般に、充填されたアルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたりの(単数または
複数種類の)ジハロ芳香族化合物の量は、1.0〜2.0モル、1.05〜2.0モル、または1.1〜1.7モルでありえる。従って、ポリアリーレンスルフィドは、ハロゲン化アルキル(通常、塩
化アルキル)末端基を含みうる。
[00110]ポリアリーレンスルフィドを製造するプロセスは、有機アミド溶媒中で重合反
応を実施することを含みえる。重合反応で使用される代表的な有機アミド溶媒としては、これらに限定されないが、N-メチル-2-ピロリドン;N-エチル-2-ピロリドン;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド;N-メチルカプロラクタム;テトラメチルウレア;ジメチルイミダゾリジノン;ヘキサメチルリン酸トリアミド及びこれらの混合物を挙げることができる。反応中で使用される有機アミド溶媒の量は、たとえばアルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたり0.2〜5キログラム(kg/mol)でありえる。
[00111]重合は、段階的重合プロセスにより実施することができる。第一の重合段階は
、ジハロ芳香族化合物を反応器に導入する、及び約180℃〜約235℃、または約200℃〜約230℃の温度で水の存在下、重合反応に前記ジハロ芳香族化合物を暴露する、及びジハロ芳香族化合物の転換速度(conversion rate)が理論的必要量の約50モル%以上に到達するま
で重合を継続する、各段階を含みえる。
[00112]第二の重合段階では、重合系の水の総量が、充填したアルカリ金属の硫化物の
有効量1モルあたり、約7モル、または約5モルに増加するように、水を反応スラリーに添加する。その後、重合系の反応混合物を約250℃〜約290℃、約255℃〜約280℃、または約260℃〜約270℃の温度に加熱することができ、このようにして形成したポリマーの溶融粘度がポリアリーレンスルフィドの所望の最終レベルに上昇するまで、重合を継続することができる。第二の重合段階の持続時間は、たとえば約0.5〜約20時間、または約1〜約10時間でありえる。
[00113]ポリアリーレンスルフィドは、線状、半線状(semi-linear)、分岐または架橋でありえる。線状ポリアリーレンスルフィドは、−(Ar−S)−の繰り返しユニットを主な構
成ユニットとして含む。通常、線状ポリアリーレンスルフィドは、この繰り返しユニット約80モル%以上を含むことができる。線状ポリアリーレンスルフィドは、少量の分岐ユニ
ットまたは架橋ユニットを含むことができるが、分岐または架橋ユニットの量はポリアリーレンスルフィドの総モノマーユニットの約1モル%未満でありえる。線状ポリアリーレンスルフィドポリマーは、上記繰り返しユニットを含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーでありえる。
[00114]3つ以上の反応性官能基(reactive functional group)をもつ一つ以上のモノマ
ーを少量、ポリマーに導入することにより提供される架橋構造または分岐構造をもちうる半線状ポリアリーレンスルフィドを使用することができる。たとえば、ポリマーの約1モル%〜約10モル%は、三つ以上の反応性官能基をもつモノマーから形成することができる。半線状ポリアリーレンスルフィドを製造する際に使用できる方法は、通常、当業界で公知である。たとえば、半線状ポリアリーレンスルフィドを形成する際に使用されるモノマー成分は、分岐ポリマーを製造する際に使用することができる1分子当たり2つ以上のハロゲン置換基をもつ所定量(an amount)のポリハロ芳香族化合物(polyhaloaromatic compound)を含むことができる。そのようなモノマーは、式:R'Xn{式中、Xはそれぞれ、塩素、
臭素、及びヨウ素から選択され、nは3〜6の整数であり、R'は、約4個以下のメチル置換基をもつことができる価数nの多価芳香族基であり、R'中の炭素原子の総数は、6〜約16の範囲内である}により表すことができる。半線状ポリアリーレンスルフィドを形成する際に使用できる1分子あたり2を超える置換ハロゲン(more than two halogens substituted per molecule)をもつポリハロ芳香族化合物の例としては、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3-ジクロロ-5-ブロモベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン
、1,2,3,5-テトラブロモベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロ-2,4,6-ト
リメチルベンゼン、2,2',4,4'-テトラクロロビフェニル、2,2',5,5'-テトラ-ヨードビフ
ェニル、2,2',6,6'-テトラブロモ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニル、1,2,3,4-テトラ
クロロナフタレン、1,2,4-トリブロモ-6-メチルナフタレンなど、及びこれらの混合物が
挙げられる。
[0100]重合の後、ポリアリーレンスルフィドは液体媒体で洗浄することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドは、混合物を形成しながら、他の成分と混和する前に、水及び/または、これらに限定されないが、アセトン、N-メチル-2-ピロリドンなどのポリアリーレンスルフィドを分解しない有機溶媒、塩水(salt solution)、及び/または酢酸または塩酸などの酸性媒体で洗浄することができる。ポリアリーレンスルフィドは、通常、当業者に公知の逐次的方法で洗浄することができる。酸性溶液または塩水で洗浄すると、ナトリウム、リチウムまたはカルシウム金属イオン末端基濃度を約2000ppmから約100ppm
に削減することができる。
[0101]ポリアリーレンスルフィドは、温水(hot water)洗浄プロセスにかけることがで
きる。温水洗浄液の温度は、約100℃以上でありえ、たとえば約120℃を超え、約150℃を
超え、または約170℃超える。
[0102]ポリアリーレンスルフィドを形成するための重合反応装置は特に限定されないが、典型的には、高粘度流体の形成で通常使用される装置を使用するのが望ましい。そのような反応装置の例としては、様々な形状の攪拌ブレード、たとえばアンカー型、多段型、螺旋-リボン型、スクリューシャフト型など、またはそれらの修正形をもつ攪拌装置をも
つ攪拌タンク型重合反応装置を挙げることができる。そのような反応装置のさらなる例としては、混練で通常、使用される混合装置、たとえば混練機、ロールミル、バンバリーミキサーなどが挙げられる。重合後、溶融ポリアリーレンスルフィドは、典型的には所望の形状のダイがついた押出しオリフィスを通って反応器から排出され、冷却され、集めることができる。通常、ポリアリーレンスルフィドは、穿孔ダイを通って吐出されて、水浴中に引き取られるストランドを形成し、ペレット化して乾燥される。ポリアリーレンスルフィドは、ストランド、小粒または粉末の形状でもありえる。
[0103]ポリアリーレンスルフィド組成物は、組成物の重量の約10wt%〜約99wt%、たとえば組成物の重量の約20%wt%〜約90wt%の量のポリアリーレンスルフィド成分(ポリアリーレンスルフィドのブレンドも包含する)を含むことができる。
[0104]ポリアリーレンスルフィドは、一般に、ポリアリーレンスルフィド組成物の所望の最終用途に依存して、任意の好適な分子量及び溶融粘度でありえる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度は、1200s-1の剪断速度及び温度310℃で、ISO試験No.11443に従って測定して、約500ポアズ未満の溶融粘度をもつ低粘度ポリアリーレンスルフィド、約500ポアズ〜1500ポアズの溶融粘度をもつ中間粘度(medium viscosity)ポリアリーレ
ンスルフィド、または約1,500ポアズを超える溶融粘度をもつ高溶融粘度ポリアリーレン
スルフィドでありうる。
[0105]一態様に従って、ポリアリーレンスルフィドは、官能基化(機能化:functionalize)して、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤との間の結合形成をさらに促進す
ることができる。たとえばポリアリーレンスルフィドは、ポリアリーレンスルフィド上に末端官能基(functional terminal group)を提供するために、カルボキシル、酸無水物、
アミン、イソシアネートまたは他の官能基含有改質化合物(functional group-containing
modifying compound)を用いて、形成後にさらに処理することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドは、メルカプト基またはジスルフィド基を含み、且つ反応性官能基も含む改質化合物(modifying compound)と反応することができる。一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、有機溶媒中で改質化合物と反応することができる。別の態様では、ポリアリーレンスルフィドは、溶融状態で改質化合物と反応することができる。
[0106]一態様において、所望の官能基を含むジスルフィド化合物をポリアリーレンスルフィド組成物形成プロセスに組み入れることができ、ポリアリーレンスルフィドは、組成物の形成と共に官能基化することができる。たとえば、所望の反応性官能基を含むジスルフィド化合物は、ポリアリーレンスルフィドと共に、または架橋剤を添加する前の任意の他の時点若しくは架橋剤の添加と共に、溶融押出機に添加することができる。
[0107]ポリアリーレンスルフィドポリマーと反応的に官能基化された(reactively functionalized)ジスルフィド化合物との間の反応は、ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度
を下げることができるポリアリーレンスルフィドポリマーの鎖切断(chain scission)を含むことができる。一態様において、低ハロゲン含有量の高溶融粘度ポリアリーレンスルフィドを出発ポリマー(starting polymer)として使用することができる。官能性(functional)ジスルフィド化合物を使用することによってポリアリーレンスルフィドポリマーを反応的に官能基化した後、低ハロゲン含有量の比較的低溶融粘度のポリアリーレンスルフィドを形成することができる。この鎖切断の後、ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度はさらなる処理に関して好適でありえ、低溶融粘度ポリアリーレンスルフィドの全体のハロゲン含有量もかなり低くなりうる。低ハロゲン含有量のポリマー材料が環境問題によりますます望ましくなっているため、低ハロゲン含有量に加えて優れた強度及び劣化抵抗性(degradation resistance)を示すポリアリーレンスルフィド組成物は好都合でありうる。一態様において、ポリアリーレンスルフィド組成物は、Parr Bomb燃焼、続いてイオンクロマト
グラフィーを使用して元素分析に従って測定して、約1000ppm未満、約900ppm未満、約600ppm未満、または約400ppm未満のハロゲン含有量を有しえる。
[0108]ジスルフィド化合物は一般に、式:
{式中、R1及びR2は同一または異なっていてもよく、1〜20個の炭素原子を独立して含む炭化水素基である}の構造をもつことができる。たとえば、R1及びR2は、アルキル、シクロアルキル、アリールまたは複素環基でありえる。R1及びR1は、ジスルフィド化合物の(
単数または複数の)末端基に反応性官能基(reactive functionality)を含むことができる
。たとえば、R1及びR2の少なくとも一つは、末端カルボキシル基、ヒドロキシル基、置換若しくは非置換アミノ基、ニトロ基などを含むことができる。通常、反応性官能基は、反応的に官能基化されたポリアリーレンスルフィドが耐衝撃性改良剤と反応できるように選択することができる。たとえば、エポキシ末端基化(epoxy-terminated)耐衝撃性改良剤を考えるとき、ジスルフィド化合物はカルボキシル及び/またはアミノ官能基を含むことが
できる。
[0109]本明細書において包含されるように、反応性末端基を含むジスルフィド化合物の例としては、これらに限定されないが、2,2'-ジアミノジフェニルジスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルジスルフィド、ジベンジルジ
スルフィド、ジチオサリチル酸(dithiosalicyclic acid)、ジチオグリコール酸、α,α'-ジチオ二乳酸(dithiodilactic acid)、β,β'-ジチオ二乳酸、3,3'-ジチオジピリジン、4,4'-チオモルホリン、2,2'-ジチオビス(ベンゾチアゾール)、2,2'-ジチオビス(ベンズイ
ミダゾール)、2,2'-ジチオビス(ベンゾオキサゾール)及び2-(4'-モルホリノジチオ)ベン
ゾチアゾールを含むことができる。
[0110]ポリアリーレンスルフィドの量対ジスルフィド化合物の量の比は、約1000:1〜
約10:1、約500:1〜約20:1、または約400:1〜約30:1でありえる。
[0111]ポリアリーレンスルフィドポリマーに加えて、本組成物は耐衝撃性改良剤も含む。より具体的には、耐衝撃性改良剤は、オレフィン性コポリマーまたはターポリマーでありえる。たとえば耐衝撃性改良剤は、約4〜約10個の炭素原子をもつエチレン性不飽和モ
ノマー単位を含むことができる。
[0112]耐衝撃性改良剤は、架橋剤と反応させるために、官能基化を含むように改質(変
性)することができる。たとえば耐衝撃性改良剤は、約0.01〜約0.5のモル分率(mole fraction)の、以下のもの:約3〜約8個の炭素原子をもつα,β不飽和ジカルボン酸またはその塩;約3〜約8個の炭素原子をもつα,β不飽和カルボン酸またはその塩;約3〜約8個の炭
素原子をもつ無水物またはその塩;約3〜約8個の炭素原子をもつモノエステルまたはその塩;スルホン酸またはその塩;約4〜約11個の炭素原子をもつ不飽和エポキシ化合物の一
つ以上で改質することができる。そのような改質官能基化(modification functionality)としては、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸及びグリシジルメタクリレートが挙げられる。メタクリル酸の塩の例としては、アルカリ金属及び遷移金属塩、たとえばナトリウム、亜鉛、及びアルミニウム塩が挙げられる。
[0113]使用しえる耐衝撃性改良剤の非限定的な例としては、エチレン-アクリル酸コポ
リマー、エチレン-無水マレイン酸コポリマー、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-
無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-グリシジル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン-アクリル酸エステル-メタクリル酸ターポリマー、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-メタクリル酸-メタクリル酸アルカリ金属塩(アイオノマー)ターポリマーなどが挙げられる。たとえば一態様において、耐衝撃性改良剤としては、エチレン、メチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートのランダムターポリマーが挙げられる。ターポリマーは、約5%〜約20%、た
とえば約6%〜約10%のグリシジルメタクリレート含有量を有することができる。ターポリ
マーは、約20%〜約30%、たとえば約24%のメチルアクリレート含有量を有することができ
る。
[0114]一態様に従って、耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能基化(epoxy functionalization)、たとえば末端エポキシ基、骨格オキシランユニット(skeletal oxirane unit)及び/
またはペンダントエポキシ基を含む線状若しくは分岐、ホモポリマーまたはコポリマー(
たとえばランダム、グラフト、ブロックなど)でありえる。たとえば耐衝撃性改良剤は、
エポキシ官能基化を含む少なくとも一つのモノマー成分を含むコポリマーでありえる。耐衝撃性改良剤のモノマーユニットは変動し得る。一態様において、たとえば耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能性メタクリル酸モノマーユニット(epoxy-functional methacrylic monomer unit)を含むことができる。本明細書中で使用するように、「メタクリル(メタクリル酸:methacrylic)」なる用語は一般に、アクリル及びメタクリルモノマー、並びにその塩及びエステル、たとえばアクリレート及びメタクリレートモノマーを指す。耐衝撃性改良剤に組み入れることができるようなエポキシ官能性メタクリルモノマーとしては、1,2-エポキシ基を含むもの、たとえばグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なエポキシ官能性モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリレート及びグリシジルイタコネートが挙げられる。
[0115]他のモノマーユニットは、追加としてまたはその代わりに耐衝撃性改良剤の成分でありえる。他のモノマーの例としては、たとえばエステルモノマー、オレフィンモノマー、アミドモノマーが挙げられる。一態様において、耐衝撃性改良剤としては、少なくとも一つの線状または分岐α-オレフィンモノマー、たとえば2〜20個の炭素原子または2〜8
個の炭素原子をもつようなものが挙げられる。具体的な例としては、エチレン;プロピレン;1-ブテン;3-メチル-1-ブテン;3,3-ジメチル-1-ブテン;1-ペンテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ペンテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ヘキセン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ヘプテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-オクテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ノネン;エチル、メチル、若しくはジメチル-置換1-デセン;1-ドデセン;及びスチレンが挙げられる。
[0116]エポキシ官能基化を含む耐衝撃性改良剤に配合されるモノマーとしては、ポリマーのモノマーユニットの少なくとも一部がエポキシ官能基化されている限りは、エポキシ官能基化を含まないモノマーを含むことができる。
[0117]一態様において、耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能基化を含むターポリマーでありえる。たとえば耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能基化を含むメタクリル酸成分、α-オ
レフィン成分と、エポキシ官能基化を含まないメタクリル酸成分を含むことができる。たとえば耐衝撃性改良剤は、以下の構造:
{式中、a、b及びcは1以上である}をもつ、ポリ(エチレン-コ-メタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)でありえる。
[0118]別の態様では、耐衝撃性改良剤は、以下の構造:
{式中、x、y及びzは1以上である}をもつエチレン、エチルアクリレート及び無水マレ
イン酸のランダムコポリマーでありえる。
[0119]コポリマー性(copolymeric)耐衝撃性改良剤の様々なモノマー成分の相対割合は
特に限定されない。たとえば一態様において、エポキシ官能性メタクリル酸モノマー成分は、コポリマー性耐衝撃性改良剤の約1wt%〜約25wt%または約2wt%〜約20wt%を構成(form)しえる。a-オレフィンモノマーは、コポリマー性耐衝撃性改良剤の約55wt%〜約95wt%、または約60wt%〜約90wt%を構成しえる。使用する際、他のモノマー成分(たとえば、非エポ
キシ官能性メタクリル酸モノマー)は、コポリマー性(compolymeric)耐衝撃性改良剤の約5
wt%〜約35wt%、または約8wt%〜約30wt%を構成することができる。
[0120]一般的に当業界で公知のように、耐衝撃性改良剤は標準的な重合法に従って形成することができる。たとえば極性官能基(polar functional group)を含むモノマーをポリマー幹(backbone)にグラフトして、グラフトコポリマーを形成することができる。あるいは、公知のフリーラジカル重合法、たとえば高圧反応、チーグラー-ナッタ触媒反応系、
シングルサイト触媒(たとえばメタロセン)反応系などを使用して、官能基を含むモノマーをモノマーと共重合して、ブロックまたはランダムコポリマーを形成することができる。
[0121]あるいは、耐衝撃性改良剤は小売市場で入手することができる。たとえば、耐衝撃性改良剤として使用するのに好適な化合物は、商品名Lotader(登録商標)のもと、Arkemaから入手することができる。
[0122]耐衝撃性改良剤の分子量は広範囲を変動しえる。たとえば、耐衝撃性改良剤は、約7,500〜約250,000グラム/モル、態様によっては約15,000〜約150,000グラム/モル、態
様によっては約20,000〜100,000グラム/モルの数平均分子量をもつことができ、多分散性指数(polydispersity index)は通常、2.5〜7である。
[0123]通常、耐衝撃性改良剤は、組成物中に、約0.05重量%〜約40重量%、約0.05重量%
〜約37重量%、または約0.1重量%〜約35重量%の量で存在することができる。
[0124]図12を参照して、耐衝撃性改良剤は、溶融加工装置の主供給口54でポリアリーレンスルフィド組成物と共に組成物に添加することができる。これは本組成物の形成プロセスの必要条件ではないが、他の態様では、耐衝撃性改良剤は主供給口の下流で添加することができる。たとえば、耐衝撃性改良剤は、ポリアリーレンスルフィドが溶融加工装置に供給される地点より下流の位置であるが、それでもやはり溶融区分、すなわち、ポリアリーレンスルフィドが溶融状態になる溶融加工装置の長さより前で添加することができる。別の態様では、耐衝撃性改良剤は、ポリアリーレンスルフィドが溶融状態になる地点より下流の位置で添加することができる。
[0125]所望により、一つ以上の分配混合部材(distributive mixing element)及び/または分散混合部材(dispersive mixing element)を溶融加工装置の内部で使用することがで
きる。一軸押出機に好適な分配ミキサーとしては、サキソン(Saxon)、ダルマージ(Dulmage)、キャビティトランスファーミキサー(Cavity Transfer mixer) などが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、好適な分散ミキサーとしては、ブリスターリング(Blister ring)、レオリー/マドック(Leroy/Maddock)、CRDミキサーが挙げられるが、これらに
限定されない。当業界で公知のように、バスニーダー押出機(Buss Kneader extruder)、
キャビティトランスファーミキサー及びボルテックス・インターメッシング・ピンミキサー(Vortex Intermeshing Pin mixer)で使用されるもののような、ポリマー溶融物の折り
畳み及び再配向をつくりだすバレル内でピンを使用することにより、混合をさらに促進することができる。
[0126]ポリアリーレンスルフィド及び耐衝撃性改良剤に加えて、ポリアリーレン組成物は、架橋剤を含むことができる。架橋剤は、耐衝撃性改良剤の官能基と反応して、耐衝撃性改良剤のポリマー鎖内部及びポリマー鎖間に架橋を形成できる多官能化合物またはそれらの組み合わせでありえる。通常、架橋剤は、非ポリマー性化合物(non-polymeric compound)、即ち、結合または非ポリマー性(繰り返しでない)結合成分によって結合された二つ以上の反応的に官能性末端部分(機能性末端部分:reactively functional terminal moiety)を含む分子化合物(molecular compound)でありえる。たとえば、架橋剤は、ジエポキ
シド、多官能性エポキシド、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、多価アルコール、
水溶性カルボジイミド、ジアミン、ジアミノアルカン、多官能性カルボン酸(polyfunctional carboxylic acid)、二酸ハロゲン化物(diacid halide)などが挙げられうるが、これ
らに限定されない。たとえば、エポキシ官能性耐衝撃性改良剤を考えるとき、非ポリマー性多官能性カルボン酸またはアミンを架橋剤として使用することができる。
[0127]多官能性カルボン酸架橋剤の具体的な例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4'-ジカルボキシジフェニルエー
テル、4,4'-二安息香酸、1,4-または1,5-ナフタレンジカルボン酸、デカヒドロナフタレ
ンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの両方)、1,4-ヘキシレンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、ジカルボキシルドデカン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が挙げられるが、これらに限定されない。対応するジカルボン酸誘導体、たとえばアルコール基に1〜4個の炭素原子をもつカルボン酸ジエステル、カルボン酸無水物またはカルボン酸ハライド(carboxylic acid halide)も使用することができる。
[0128]架橋剤として有用な典型的なジオールとしては、脂肪族ジオール、たとえばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオー
ル、1,4-ブト-2-エンジオール、1,3-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ジ
プロピレングリコール、2-メチル-1,5-ペンタンジオールなどが挙げられえるが、これら
に限定されない。芳香族ジオール類、たとえば、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、メチルヒドロキノン、クロロヒドロキノン、ビスフェノールA、テトラクロロビス
フェノールA、フェノールフタレインなども使用しえるが、これらに限定されない。使用
しえる典型的な脂環式ジオールは、脂環式部分を含むことができ、たとえば1,6-ヘキサンジオール、ジメタノールデカリン、ジメタノールビシクロオクタン、1,4-シクロヘキサンジメタノール(そのcis-及びtrans-異性体を含む)、トリエチレングリコール、1,10-デカ
ンジオールなどがある。
[0129]架橋剤として使用し得る典型的なジアミンとしては、イソホロン-ジアミン、エ
チレンジアミン、1,2-、1,3-プロピレン-ジアミン、N-メチル-1,3-プロピレン-ジアミン
、N,N'-ジメチル-エチレン-ジアミン及び芳香族ジアミン、たとえば2,4-及び2,6-トルオ
イレン-ジアミン、3,5-ジエチル-2,4-及び/または-2,6-トルオイレン-ジアミン、及び第
一オルト-、ジ-、トリ-及び/またはテトラ-アルキル置換4,4'-ジアミノジフェニル-メタ
ン、(シクロ)脂肪族ジアミン、たとえばイソホロン-ジアミン、エチレンジアミン、1,2-
、1,3-プロピレン-ジアミン、N-メチル-1,3-プロピレン-ジアミン、N,N'-ジメチル-エチ
レン-ジアミン及び芳香族ジアミン、たとえば2,4-及び2,6-トルオイレン-ジアミン、3,5-ジエチル-2,4-及び/または-2,6-トルオイレン-ジアミン及び第一オルト-、ジ-、トリ-及
び/またはテトラ-アルキル置換4,4'-ジアミノジフェニルメタンが挙げられえるが、これ
らに限定されない。
[0130]一態様において、組成物はジスルフィドを含まない(disulfide-free)架橋剤を含むことができる。たとえば架橋剤は、ポリアリーレンスルフィドと反応しえるジスルフィド基が全くない、カルボキシ及び/またはアミン官能基(functionality)を含むことができる。組成物を形成する間に、架橋剤によるポリアリーレンスルフィドの過剰な鎖切断を避けるために、ジスルフィドを含まない架橋剤を使用することができる。しかしながら、ジスルフィドを含まない架橋剤を使用することは、ポリアリーレンスルフィドを官能基化するために反応的に官能基化されたジスルフィド化合物を使用することをいかなる意味においても全く制限しないことを理解すべきである。たとえば一態様において、ポリアリーレンスルフィドを反応的に官能基化し得る、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物を
溶融加工装置に添加することを含むプロセスに従って組成物を形成することができる。この態様で使用される架橋剤は、耐衝撃性改良剤と、並びに反応的に官能基化されたポリアリーレンスルフィドと反応性である官能基を含むことができる、ジスルフィドを含まない架橋剤でありえる。従って、組成物は、ポリアリーレンスルフィドポリマー鎖を過剰に切断することなく、高度に架橋することができる。
[0131]別の態様では、架橋剤及び(存在するときには)ポリアリーレンスルフィド官能基化化合物は、ポリアリーレンスルフィドの鎖切断を促進するように選択することができる。このことは、たとえば鎖の切断が、ポリアリーレンスルフィドポリマーの溶融粘度を下げるために有益であろう。
[0132]ポリアリーレンスルフィド組成物は、通常、ポリアリーレンスルフィド組成物の重量の約0.05wt%〜約2wt%、ポリアリーレンスルフィド組成物の重量の約0.07wt%〜約1.5wt%、または約0.1wt%〜約1.3wt%の量で架橋剤を含むことができる。
[0133]架橋剤は、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤とを混合した後に、溶融加工装置に添加することができる。たとえば、図12に示されているように、架橋剤は、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤を(一緒にまたは個別に)溶融加工装置に添加した後に、下流の位置66で組成物に添加することができる。これによって確実に、耐衝撃性改良剤は、架橋剤を添加する前にポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分散できるようにする。
[0134]架橋剤を添加する前に、溶融物の中にくまなく耐衝撃性改良剤を分布させやすくするために、様々なパラメーターを選択的に制御することができる。たとえば、溶融加工装置のスクリューの長さ(L)対直径(D)の比を選択して、処理量(押出量)と耐衝撃性改良剤分布との間の最適バランスを達成することができる。たとえば、耐衝撃性改良剤が供給された地点より後の地点でL/D比を制御して、耐衝撃性改良剤の分布を促進することができ
る。特に、スクリューは、耐衝撃性改良剤とポリアリーレンスルフィドの両方が装置に供給される地点(即ち、これらの両方が一緒に供給される地点か、二つのうち後者が供給さ
れる地点)から、架橋剤が供給される地点までを画定するブレンド長さ(blending length)(LB)をもち、このブレンド長さは通常、スクリューの全長よりも短い。たとえば、全L/D
が40である溶融加工装置を考えるとき、スクリューのLB/D比は、約1〜約36、態様によっ
ては約4〜約20、態様によっては約5〜約15でありえる。一態様において、L/LB比は、約40〜約1.1、約20〜約2、または約10〜約5でありえる。
[0135]架橋剤を添加した後、組成物は混合されて、組成物の中にくまなく架橋剤を分布させて、架橋剤、耐衝撃性改良剤と、一態様においてポリアリーレンスルフィドとの間の反応を促進させることができる。
[0136]当業界で一般的に公知のように、組成物は一種以上の添加剤も含むことができる。たとえば、一種以上の充填剤はポリアリーレンスルフィド組成物に含めることができる。一種以上の充填剤は、通常、ポリアリーレンスルフィド組成物に、ポリアリーレンスルフィド組成物の重量の約5wt%〜約70wt%、または約20wt%〜約65wt%の量で含めることがで
きる。
[0137]充填剤は、標準的技法に従ってポリアリーレンスルフィド組成物に添加することができる。たとえば充填剤は、溶融加工装置の下流の位置で組成物に添加することができる。たとえば、充填剤は、架橋剤の添加と共に組成物に添加することができる。しかしながら、これは形成プロセスの必要条件ではなく、充填剤は、架橋剤とは個別に、且つ架橋剤の添加地点の上流または下流のいずれかで添加することができる。さらに充填剤は、単
一の供給位置で添加することができるか、または分割して、溶融加工装置に沿った多くの供給位置で添加することができる。
[0138]一態様において、繊維充填剤をポリアリーレンスルフィド組成物に含めることができる。繊維充填剤(fibrous filler)は、これらに限定されないが、ポリマー繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、玄武岩繊維など、または繊維種の組み合わせを含む一種以上の繊維種を含むことができる。一態様において、繊維はチョップト(chopped)繊維、連
続繊維、または繊維ロービング(トウ)でありえる。
[0139]繊維サイズは、当業界で公知のように変動しえる。一態様において、繊維は約3mm〜約5mmの初期長さをもつことができる。別の態様では、たとえば引き抜きプロセスを考えるとき、繊維は連続繊維でありえる。繊維径は、使用する特定の繊維に依存して変動し得る。たとえば繊維は、約100μm未満、たとえば約50μm未満の直径を有することができ
る。たとえば繊維は、チョップトまたは連続繊維でありえ、約5μm〜約50μm、たとえば
約5μm〜約15μmの繊維径でありえる。
[0140]繊維は、一般に公知のように、サイジング(sizing)で前処理することができる。一態様において、繊維は、高いイールド(yield)または小さなK値(K number)をもつことができる。トウは、イールドまたはK値により表される。たとえばガラス繊維トウは、50イ
ールド以上(yield and up)、たとえば約115イールド〜約1200イールドを有しえる。
[0141]他の充填剤を代わりに使用することができるか、繊維充填剤と共に使用することができる。たとえば、粒子状充填剤をポリアリーレンスルフィド組成物に組み入れることができる。一般に粒子状充填剤は、約750μm未満、たとえば約500μm、または約100μm未満のメジアン粒径をもつ任意の粒子状材料を包含することができる。一態様において、粒子状充填剤は、約3μm〜約20μmの範囲のメジアン粒径をもつことができる。さらに、粒
子状充填剤は、公知のように中実(solid)または中空でありえる。粒子状充填剤は、当業
界で公知のように表面処理も含みえる。
[0142]粒子状充填剤は、一種以上の無機充填剤を包含しえる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、組成物の約1wt%〜約60wt%の量で一種以上の無機充填剤を含むこと
ができる。無機充填剤としては、シリカ、石英粉末、ケイ酸塩、たとえばケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、マイカ、粘土、珪藻土、珪灰石、炭酸カルシウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
[0143]充填剤は、導電性充填剤(electrically conductive filler)、たとえばカーボンブラック、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属粉末などでありえるが、これらに限定されない。ポリアリーレンスルフィド組成物が導電性充填剤を含むそれらの態様では、たとえばポリアリーレンスルフィド組成物が燃料ラインの形成時で使用されるとき、好適な導電性充填剤は、組成物が約109オームcm(ohm cm)以下の体
積固有抵抗(volume specific resistance)をもつように含めることができる。
[0144]多様な充填剤、たとえば粒子状充填剤と繊維充填剤とを組み入れるとき、充填剤は一緒にまたは別々に溶融加工装置に添加することができる。たとえば、粒子状充填剤は、繊維充填剤を添加する前にポリアリーレンスルフィドと一緒に主供給管(main feed)に
または下流で添加することができ、繊維充填剤は、粒子状充填剤の添加点よりもさらに下流で添加することができる。一般に、繊維充填剤は、粒子状充填剤などの任意の他の充填剤の下流で添加することができるが、これは必要条件ではない。
[0145]一態様において、ポリアリーレンスルフィド組成物は添加剤としてUV(紫外線)安
定剤を含むことができる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、約0.5wt%〜約15wt%、約1wt%〜約8wt%、または約1.5wt%〜約7wt%の量でUV安定剤を含むことができる。使
用しえる特に好適なUV安定剤は、ヒンダードアミンUV安定剤である。好適なヒンダードアミンUV安定剤化合物は、置換ピペリジン、たとえばアルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、アルコキシピペリジニル化合物などから誘導することができる。たとえばヒンダードアミンは、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジニルから誘導することができる。ヒンダードアミンは、たとえば約1,000以上、態様によっては約1000〜約20,000、態
様によっては約1500〜約15,000、及び態様によっては約2000〜約5000の数平均分子量をもつオリゴマー性またはポリマー化合物であえりえる。そのような化合物は典型的には、ポリマー繰り返しユニット当たり、少なくとも一つの2,2,6,6-テトラアルキルピペリジニル基(たとえば1〜4個)を含む。特に好適な高分子量ヒンダードアミンは、Hostavin(登録商
標)N30(数平均分子量1200)のもと、Clariantより市販されている。別の好適な高分子量ヒンダードアミンは、記号ADK STAB(登録商標)LA-63及びADK STAB(登録商標)LA-68のもと、Adeka Palmarole SASより市販されている。
[0146]高分子量ヒンダードアミンに加えて、低分子量ヒンダードアミンも使用することができる。そのようなヒンダードアミンは、一般に本質的にモノマー性であり、約1000以下、態様によっては約155〜約800、及び態様によっては約300〜約800の分子量をもつ。
[0147]他の好適なUV安定剤は、UV吸収剤、たとえばベンゾトリアゾールまたはベンゾフェノン類を含むことができ、これらはUV照射を吸収することができる。
[0148]ポリアリーレンスルフィド組成物に含めることができる添加剤は、一般に、当業界で公知のように一種以上の着色料である。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、約0.1wt%〜約10wt%、または約0.2wt%〜約5wt%の一種以上の着色料を含むことができる
。本明細書中で使用されるように、「着色料(colorant)」なる用語は、一般に、材料に色を付与し得る任意の物質をさす。従って、「着色料」なる用語は、水溶液で水溶性を示す染料と、水溶液で殆どまたは全く溶解性を示さない顔料の両方を包含する。
[0149]使用しえる染料の例としては、分散染料が挙げられるが、これらに限定されない。好適な分散染料は、カラーインデックス(the Color Index)、第三版、“Disperse Dyes”に記載されているものが挙げられえる。そのような染料としては、たとえばカルボン酸基を含まない(carboxylic acid group-free)及び/またはスルホン酸基を含まない(sulfonic acid group-free)ニトロ、アミノ、アミノケトン、ケトンイミン、メチン、ポリメチ
ン、ジフェニルアミン、キノリン、ベンズイミダゾール、キサンテン、オキサジン及びクマリン染料、アントラキノン及びアゾ染料、たとえばモノ-またはジ-アゾ染料が挙げられる。分散染料は、原色の赤色分散染料(primary red color disperse dye)、原色の青色染料及び原色の黄色染料も含むことができる。
[0150]ポリアリーレンスルフィド組成物に組み入れることができる顔料としては、有機顔料、無機顔料、金属顔料、燐光性顔料(phosphorescent pigment)、蛍光顔料、光発色性顔料(フォトクロミック顔料:photochromic pigment)、サーモクロミック顔料(thermochromic pigment)、玉虫色顔料(iridescent pigment)及び真珠光沢顔料が挙げられえるが、
これらに限定されない。顔料の具体的な量は、製品の所望の最終色に依存して変動しえる。パステルカラーは一般に、着色顔料に二酸化チタンホワイトまたは同様の白色顔料を添加することにより達成される。
[0151]ポリアリーレンスルフィド組成物に配合し得る他の添加剤としては、抗菌剤、潤滑剤、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、他の安定剤(有機ホスファイト(organophosphite)、たとえばDoverphos(登録商標)製品、Dover Chemical Corporation製など)、界面活性剤、
流動促進剤、固体溶媒並びに、特性及び加工性を促進するために添加される他の材料が包含されるが、これらに限定されない。そのような任意選択の材料は、主供給口でポリアリーレンスルフィド組成物に添加するなど、慣用の加工技術に従って、慣用量でポリアリーレンスルフィド組成物中に使用することができる。たとえば、着色料は、現行の規制に従って、適切な色である空気ブレーキラインなど、大型トラック部品を提供するために配合することができる。有益には、ポリアリーレンスルフィド組成物は、可塑剤を添加することなく所望の特徴を示すことができる。たとえば、組成物は、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル(trimellitate)、セバシン酸エステル(sebacate)、アジピン酸エステル(adipate)、グルタル酸エステル(gluterate)、アゼライン酸エステル(azelate)、マレイ
ン酸エステル(maleate)、安息香酸エステル(benzoate)などの可塑剤を含まないようにで
きる。
[0152]ポリアリーレンスルフィド組成物に全ての成分を添加した後、組成物は、押出機の(単数または複数の)区分で十分に混合され、ダイを通して押し出される。最終押出物は、所望によりペレット化されるか、成形される。たとえば最終押出物は、管状部材の層を成形するために巻きつけることができる押出しテープまたはリボンの形状でありえる。
[0153]ポリアリーレンスルフィド組成物から大型トラック部品を成形するために、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡成形、圧縮成形、ホットスタンピング、紡糸など、慣用の成形プロセスを使用することができるが、これらに限定されない。成形し得る成形品としては、構造用成形部品及び非構造用成形部品を挙げることができる。たとえば熱成形シート、発泡基板(foamed substrate)、射出成形またはブロー成形部品などは、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形することができる。
[0154]たとえば、図1に説明されるように、単層管状部材110は、ブロー成形プロセス
に従って成形することができる。ブロー成形の間、ポリアリーレンスルフィド組成物を最初に加熱して、押出し装置につけたダイを使用してパリソンに押し出す。パリソンを成形するとき、組成物は、重力がパリソンの部分を不必要に引き伸ばして、不均一な壁厚及び他の欠陥を形成しないように十分な溶融強度をもたなければならない。パリソンは、三次元モールド・キャビティ(mold cavity)を一緒になって形成する複数の区分から形成され
る成形装置に受けとられる。
[0155]理解できるように、パリソンの成形から、パリソンが成形装置の中に噛み合って移動するまでに、一定の時間が経過する。プロセスのこの段階の間、ポリアリーレンスルフィド組成物の溶融強度は、パリソンが、移動の間にその形状を保持するように十分に高くなりえる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、半流体状態のままであり、且つブロー成形が開始する前に急速に固化しない能力もある。
[0156]一度成形装置を閉じたら、不活性ガスなどのガスをガス供給からパリソンに供給する。ガスは、パリソンがモールド・キャビティの形状に適合するように、パリソンの内部表面に対して十分な圧力を供給する。ブロー成形後、完成品を取り出す。一態様において、成形装置から取り出す前に、ポリアリーレンスルフィド組成物を固化させるために、成形品に冷気を注入することができる。
[0157]燃料ラインは、連続ブロー成形プロセスを使用して、燃料ラインの一つ以上の層を成形することができる。たとえば図17は、連続ブロー成形プロセスに従って管状部材を成形する際に使用し得るような、一方法の略図を示す。連続プロセスでは、固定押出機(
示されていない)は、溶融ポリアリーレンスルフィド組成物をヘッドの中を通して可塑化
して、連続パリソン601を成形する。アキュムレーター(accumulator)605を使用してパリ
ソンを支持して、成形前にたるまないようにすることができる。パリソンは、成形コンベ
ヤアセンブリ(mold conveyor assembly)604上の連続パリソンと共に移動する連結区分(articulated section)602、603で形成される金型(mold)に供給することができる。加圧下で空気をパリソンに適用して、金型内で組成物をブロー成形する。金型と組成物が一緒に移動するにつれて組成物が成形されて金型内で十分に冷却された後、金型セグメントは互いに分離して、部品の成形された区分(formed section)606はコンベヤから取り出されて、
巻き取りリール(示されていない)などの上に引き取られる。次いで管状部材は、所望の長さの形状に切断することができる。
[0158]押出しプロセスに従って、さらなる層をブロー成形層上に成形して、たとえば、あらかじめ成形した層の上に外部層を成形することができ、あるいは第二のブロー成形プロセスに従って、あらかじめ成形した層の上に内部層を成形することができる。
[0159]隣接する層の間の密着性を改善するために、隣接する層を成形または付着させる前に、あらかじめ成形した層で表面処理を実施することができる。たとえば、一般に公知のように、プラズマ処理またはコロナ処理を実施して、多層燃料ラインの隣接する層の間の密着性を改善することができる。
[0160]もちろん、他の方法並びに代替法、例えば押出と組み合わせてブロー成形を含む任意の公知のチューブ成形法も使用可能である。たとえば、多層管状部材の一つ以上の層は、引き抜き成形法に従って成形した繊維強化テープまたはリボンなどの、連続テープから成形することができる。一般に当業界で公知のように公知の実務に従って管状部材または多層管状部材の層を成形するために、テープを巻きつけることができる。
[0161]多層管状部材は、たとえば共押出、ドライラミネーション(dry lamination)、サンドイッチラミネーション、共押出コーティングなどの一つ以上の他の慣用プロセスで製造することができる。たとえば図3に説明されるように三層管状部材210を成形する際、
ポリアリーレンスルフィド組成物、ポリアミド組成物及び熱可塑性エラストマー組成物は個別に三つの異なる押出機に供給することができる。それらの三つの押出機からの別々の押出溶融物(extrusion melt)を加圧下で一つのダイに導くことができる。三つの異なる管状溶融物の流れを製造しつつ、それらの溶融流れは、ポリアリーレンスルフィド組成物の溶融流れが内層212を形成し、ポリアミド組成物の溶融流れが中間層216を形成し、且つ熱可塑性エラストマー組成物の溶融流れが外層214を形成して、そのようにして混和された
溶融流れがダイから共押出されて、三層管状部材を製造するような方法で、ダイの中で混合することができる。
[0162]これらに限定されないが、パイプまたはチューブなどの自動車部品は、押出しプロセスに従って成形することができる。たとえば、簡単な、またはバリヤー型スクリューを使用することができ、一態様では、プロセスで混合先端部を使用する必要はない。押出プロセスの圧縮比は、約2.5:1〜約4:1の間でありえる。たとえば、圧縮比は、約25%供
給材料、約25%移行(transition)、及び約50%計量供給である。バレル長さ対バレル径の比(L/D)は約16〜約24でありえる。当業界で公知のように、押出しプロセスは、ブレーカー
プレート、スクリーンパック、アダプター、ダイ及び真空タンクなど他の標準的な部品を使用することもできる。真空タンクは通常、サイジングスリーブ(sizing sleeve)/キャリブレーションリング(calibration ring)、タンクシール(tank seals)などを包含しえる。
[0163]押出しプロセスに従って自動車部品を成形するとき、ポリアリーレンスルフィド組成物は、最初に、温度約90℃〜約100℃で約3時間、乾燥することができる。組成物の
変色を避けるために、長時間の乾燥を避けるのが有益でありえる。公知のように、押出機は異なるゾーン(zone)で異なる温度を示すことができる。たとえば一態様において、押出機は少なくとも4つのゾーンを含むことができ、第一のゾーンの温度は約276℃〜約288℃
であり、第二のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、第三のゾーンの温度は約282℃
〜約299℃であり、第四のゾーンの温度は約540℃〜約580℃である。その一方で、ダイの
温度は約293℃〜約310℃でありえ、真空タンクの水は約20℃〜約50℃でありえる。
[0164]通常、ヘッド圧(head pressure)は約100ポンド/平方インチ(pounds per square inch:psi)(約690kPa)〜約1000psi(約6900kPa)でありえ、公知のように、ヘッド圧は安定な溶融流れ(melt flow)を得るために調節することができる。たとえば、ヘッド圧は、押
出機ゾーンの温度を上昇させることにより、一分当たりの押出機スクリューの回転を増加させること、スクリーンパックのメッシュサイズ及び/またはスクリーンの数を減らすこ
となどにより、下げることができる。通常、ライン速度(line speed)は約4メートル/分〜約15メートル/分でありえる。もちろん、実際のライン速度は、管状部材の最終寸法、最
終製品の美的感覚及びプロセス安定性などに依存しえる。
[0165]押出しプロセスの間のダイスウエルは、通常、無視することができる。他の加工条件に依存して、より高い引落率(draw down)は、管状部材の最終特性に悪影響を与える
ので、引落率約1.2〜約1.7を使用することができる。ダイの目ヤニ(die drool)は通常、
押出し前に樹脂を好適に乾燥することにより、並びに約304℃未満に溶融温度を維持する
ことによって避けることができる。
[0166]一態様において、所望により組成物からより厚い壁厚をもつ管状部材を成形することができるが、ポリアリーレンスルフィド組成物から押し出した管状部材は、約0.5ミ
リメートル〜約5ミリメートルの間の壁厚を有することができる。キャリブレーションリ
ングの内径は管状部材の外径を決定することができ、通常、公知のようにダイの外径よりも小さい。公知のように、管状部材の内径を使用して、マンドレルの所望の外径及びライン速度を決定することができる。
[0167]本開示の態様は、単に態様の説明を目的とする以下の実施例により説明され、本発明の範囲または実施し得る方法を限定するものとみなすべきではない。具体的に示さない限り、部及び百分率は重量である。
成形及び試験法
[0168]射出成形プロセス:引張試験片は、標準ISO条件に従って、ISO527-1仕様に合わ
せて射出成形する。
[0169]溶融粘度:全ての材料は、試験前に真空下、150℃で1.5時間乾燥する。溶融粘度は、316℃及び400秒-1でキャピラリーレオメーターで測定し、一定の剪断で5分後に粘度
測定を実施する。
[0170]引張特性:ISO試験No.527(ASTM D638と技術的に同等)に従って、引張弾性率、降伏応力、降伏歪み、破断点強さ、降伏点伸び、破断点伸びなどを試験する。弾性率、歪み及び強度測定は、長さ80mm、厚さ10mm及び幅4mmをもつ同一試験ストリップサンプルで実
施する。試験温度は23℃であり、試験速度は5または50mm/分である。
[0171]曲げ特性:ISO試験No.178(ASTM D790と技術的に同等)に従って、曲げ強さ及び曲げ弾性率などの曲げ特性を試験する。この試験は、64mmサポートスパン上で実施する。試験は、カットしていないISO 3167マルチパーパスバーの中心部分で実施する。試験温度は23℃であり、試験速度は2mm/分である。
[0172]荷重撓み温度(deflection temperature under load:DTUL):荷重撓み温度は、ISO試験No.75-2(ASTM D648-07と技術的に同等)に従って測定した。特に、長さ80mm、厚さ1
0mm及び幅4mmの試験ストリップサンプルを、エッジワイズ三点曲げ試験(edgewise three-point bending test)にかけ、ここでは規定荷重(最大外部繊維応力)は1.8メガパスカル(Megapascal)であった。試験片をシリコン油浴中に下げ、試験片が0.25mm(ISO試験No.75-2
に関しては0.32mm)に撓むまで、温度を2℃/分で上昇させる。
[0173]ノッチ付きシャルピー衝撃強さ:ノッチ付きシャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1(技術的にASTM D256、方法Bと同等)に従って試験する。この試験は、タイプAノッチ(0.25mmベース半径)及びタイプ1試験片サイズ(長さ80mm、幅10mm、及び厚さ4mm)を使用し
て実施する。試験片は、一本歯フライス盤(single tooth milling machine)を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出す。試験温度は、以下に報告するように、23℃、−30℃、または−40℃である。
[0174]ノッチなしシャルピー衝撃強さ:ノッチなしシャルピー特性は、ISO試験No.180(ASTM D256と技術的に同等)に従って試験する。試験は、タイプ1試験片(長さ80mm、幅10mm、及び厚さ4mm)を使用して実施する。試験片は一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出す。試験温度は23℃である。
[0175]アイゾット(Izod)ノッチ付き衝撃強さ:ノッチ付きアイゾット(Izod)特性は、ISO試験No.180(ASTM D256、方法Aと技術的に同等)に従って試験する。この試験は、タ
イプAノッチを使用して実施する。試験片は、一本歯フライス盤を使用してマルチパーパ
スバーの中心から切り出す。試験温度は23℃である。
[0176]密度及び比重:密度は、ISO試験No.1183(ASTM D792と技術的に同等)に従って測
定した。試験片は空気中で秤量し、次いで必要により完全に試験片を沈んだままにするためにおもりとワイヤを使用して蒸留水中23℃に浸漬して秤量した。
[0177]ビカット軟化温度(Vicat softening temperature):ビカット軟化温度は、ISO試験No.306(ASTM D1525と技術的に同等)に記載されるように、方法Aに従って荷重10Nで、方法Bに従って荷重50Nで測定した。これらはいずれも加熱速度50K/時間を使用した。
[0178]水分吸収は、ISO試験No.62に従って測定した。試験片は、水の吸収が本質的に停止するまで(23℃/sat)、蒸留水中、23℃で浸漬する。
[0179]複素粘度(complex viscosity):複素粘度は、TRIOSソフトウエアを使用して、25mmSS平行プレートを備えたARES-G2(TA Instruments)試験機を使用して低剪断掃引(low shear sweep)(ARES)により測定する。LVEレジメと最適試験条件を見つけるために、周波数
掃引の前に、ペレットサンプル上で動的歪み掃引(dynamic strain sweep)を実施した。歪み掃引は、0.1%〜100%、周波数6.28rad/秒で実施した。それぞれのサンプルに関する動
的周波数掃引(dynamic frequency sweep)は、500〜0.1rad/秒で得られ、歪み振幅(strain
amplitude)は3%であった。間隙距離(gap distance)は、ペレットサンプルに関して1.5mmに維持した。温度は全てのサンプルに関して310℃に設定した。
[0180]溶融強度及び溶融伸びは、EVF設備を備えたARES-G2で実施する。火炎試験片(flame bar)サンプルは、図18に示されているように切り出した。試験サンプルの結晶化度を
保持し、重複試験での変動を最小とするために、それぞれの試験に関して火炎試験片の同一領域を使用した。一時歪み(transient strain)は、それぞれのサンプルに0.2/秒の速度で適用した。代表曲線(representative curve)を得るために、それぞれのサンプルについて少なくとも3回試験を実施した。
[0181]透過抵抗(permeation resistance):燃料透過研究は、SAE試験法No.J2665に従っ
てサンプルで実施した。すべてのサンプルに関して、ステンレススチールカップを使用した。直径3インチ(7.6センチメートル)の射出成形プラークを試験サンプルとして使用した。それぞれのサンプルの厚さは6つの異なる領域で測定した。O-リングViton(登録商標)フルオロエラストマーを、カップフランジとサンプルの間の下部ガスケット(lower gasket)として使用した(McMaster-Carrより購入、カタログ番号9464K57、A75)。フラットなViton(登録商標)フルオロエラストマー(McMaster-Carrより購入、カタログ番号86075K52、1/16”厚さ、A75)を3インチ(7.6cm)ODと2.5インチ(6.35cm)IDにダイカットし、サンプルと金
属スクリーンとの間の上部ガスケットとして使用した。約200mlの燃料をカップに注ぎ、
カップ装置を組み立て、蓋を指で締めた。蒸気圧が平衡に達し、蓋がトルク15in-lbに締
められるまで、これを40℃のオーブンで1時間インキュベートした。燃料減少(fuel loss)は、最初の2週間は毎日、続いて試験期間の残りに関しては1週間に2回、重量測定法によ
りモニターした。対照試験(blank run)は、アルミニウムディスク(7.6cm直径、1.5mm厚さ)で同様に実施し、結果はサンプルから差し引いた。すべてのサンプルは二回測定した。
正規化透過速度(normalized permeation rate)は、平衡期間の後に計算した。それぞれのサンプルに関する透過速度は、日々の重量減少(weight loss)(gm/日)に合った線形回帰の傾きから得られた。正規化透過速度は、透過速度を有効透過面積で割り、試験片の平均厚さを乗じることによって計算した。平均透過速度を報告する。
実施例1
[0182]組成物を形成するのに使用した材料は以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー。
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートと
のランダムコポリマー、Arkema, Inc製。
架橋剤:テレフタル酸。
ジスルフィド:2,2-ジチオジ安息香酸(dithiodibenzoic acid)。
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd製。
[0183]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回
転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。上記成分を融解且つ混合するとすぐに、ジスルフィドを重量測定供給機を使用してバレル6で供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。
ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0184]サンプルの組成を以下の表1に提供する。サンプルの重量をベースとした重量百分率として量を提供する。
[0185]形成後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表2に提供する。
[0186]サンプルは230℃で2時間アニールし、物理的試験に関して再試験した。結果を以下の表3に提供する。
[0187]理解されるように、サンプル2は、アニール前後でより良い引張り伸び及びより
低い弾性率を示した。しかしながら、衝撃強度では改善は見られなかった。これは、ジスルフィドとポリプロピレンスルフィドとの間の鎖切断反応によると考えられる。
実施例2
[0188]実施例1の材料を、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリッ
クスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレル
の主供給口に供給した。ジスルフィドは、重量測定供給機を使用して押出機の様々な位置:主供給口、バレル4及びバレル6で供給した。架橋剤はバレル6で供給した。材料をさら
に混合し、次いでストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0189]比較サンプル3及び4は、同一組成から形成し、異なるスクリュー設計を使用してコンパウンディングした。
[0190]形成後、引張り試験片を成形し、様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表5に提供する。
[0191]サンプルを230℃で2時間アニールし、物理的特性に関して再試験した。結果を以下の表6に提供する。
[0192]理解されるように、サンプル10に関して、最高の引張伸びと、最高の衝撃強さが観察された。これは、加工処理の間に、架橋剤とジスルフィドの両方が同一の下流の地点
で添加されたことを含む。
[0193]図19は、サンプル3とサンプル6に関する温度変化に対するノッチ付きシャルピー衝撃強さの関係を説明する。理解されるように、サンプル6のポリアリーレンスルフィド
組成物は、温度変化の全過程にわたって優れた特性を示し、比較材料と比較して、温度変化に関して衝撃強さの増加の割合が高い。
[0194]図20は、サンプル3組成物(図20A)とサンプル6組成物(図20B)の形成で使用したポリアリーレンスルフィドの走査電子顕微鏡画像を含む。理解されるように、図20Bの組成
物では、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤との間に明確な境界が全くない。
[0195]サンプル3、6及び10の引張試験片を、10wt%硫酸中に40℃または80℃で500時間浸漬した。引張り特性及び衝撃特性を、酸への暴露の前後で測定した。結果を以下の表7に提供する。
[0196]高温において、酸溶液に暴露する間の、シャルピーノッチ付き衝撃強さにおける経時変化の結果を図21に説明する。理解されるように、サンプル6とサンプル10の相対損
失は、比較のサンプルよりもずっと小さい。
実施例3
[0197]実施例1に記載の材料を、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マ
トリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一の
バレルの主供給口に供給した。架橋剤は、重量測定供給機を使用して、主供給口及びバレル6で供給した。材料をさらに混合し、次いでストランドダイの中を通して押出した。ス
トランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0198]サンプルの組成を以下の表8に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
[0199]形成後、サンプルから成形した引張り試験片を、様々な物理的特徴に関して試験した。結果を以下の表9に提供する。
[0200]理解されるように、架橋剤を上流で添加したものは、組成物の衝撃特性が低下したが、下流で供給流に添加したものは、引張り伸びが118%だけ、室温における衝撃強さ
が43%だけ増加した。
実施例4
[0201]実施例1に記載の材料を、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マ
トリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一の
バレルの主供給口に供給した。架橋剤はバレル6で重力測定供給機を使用して供給した。
材料をさらに混合し、次いでストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0202]サンプルの組成を以下の表10に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
[0203]成形後、サンプルから成形した引張試験片を様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表11に提供する。
実施例5
[0204]ポリアリーレンスルフィドに関しては、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキーから入手したFortron(登録商標)0320線状ポリフェニレンスルフィドを使用した以外には、実施例1に記載の材料を使用した。材料は、ダイに一つを含む10個の
温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶
融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド及び耐衝撃性改良剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。架橋剤は、バレル6で重量測定機を使
用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0205]サンプルの組成を以下の表12に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
[0206]成形後、サンプルから成形した引張試験片を様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表13に提供する。
実施例6
[0207]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214、線状ポリフェニレンスルフィド
、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー。
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)4720−エチレン、エチルアクリレート及び無水マ
レイン酸のランダムターポリマー、Arkema, Inc.製。
架橋剤:ハイドロキノン。
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd製。
[0208]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回
転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口
に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤は、サンプル24及び25に関しては主供給で、サンプル26及び27に関してはバレル6で、重力測定供給機を使用して供給
した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0209]サンプルの組成を以下の表14に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして、重量百分率として提供する。
[0210]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表15に提供する。
実施例7
[0211]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:
PPS1−Fortron(登録商標)0203、線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
PPS2−Fortron(登録商標)0205線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
PPS3−Fortron(登録商標)0320線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートと
のランダムコポリマー、Arkema, Inc製。
架橋剤:テレフタル酸。
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd.製。
[0212]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回
転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口
に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤はバレル6で、重力測定供給
機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0213]サンプルの組成を以下の表16に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
[0214]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表17に提供する。
実施例8
[0215]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー。
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートと
のランダムコポリマー、Arkema, Inc.製。
架橋剤:テレフタル酸。
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd.製。
[0216]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回
転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィ
ド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口
に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤はバレル6で、重力測定供給
機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0217]サンプルの組成を以下の表18に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
[0218]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表19に提供する。サンプル39は射出成形可能ではなかった。
実施例9
[0219]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートと
のランダムコポリマー、Arkema, Inc.製。
架橋剤:テレフタル酸。
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd.製。
[0220]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回
転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口
に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤はバレル6で、重力測定供給
機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
[0221]サンプルの組成を以下の表20に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして
重量百分率として提供する。
[0222]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表21に提供する。
[0223]サンプル41、42及び43は、複素粘度並びに、ヘンキー(Hencky)歪みの関数として溶融強度及び溶融伸びを測定するために試験した。比較材料として、実施例2に記載のサ
ンプル3を使用した。サンプル41、42及び43は、310℃で実施し、サンプル3は290℃で実施した。結果を図22、図23及び図24に示す。
実施例10
[0224]実施例9で記載のサンプル42を使用して、ブロー成形した1.6ガロンタンクを成
形した。成形したタンクを図25に説明する。タンクの断面図を図26A及び図26Bに示す。成形したタンクは、目視検査及び手触りの両方に関して良好な外表面をもつ。図26Aに示さ
れているように、一様な壁厚(約3mm)が得られ、最小量の垂れ下がり(sag)が観察された。図26Bに示されているように、ピンチオフは優れた形状を形成した。
実施例11
[0225]実施例9に記載のサンプル41、42及び43を試験して、CE10(10wt%エタノール、45wt%トルエン、45wt%イソオクタン)、CM15A(15wt%メタノール及び85wt%含酸素燃料)、並びにメタノールなどの様々な燃料の透過を測定した。実施例2に記載のサンプルNo.4を比較材料として使用した。それぞれの材料で二つのサンプルを試験した。
[0226]以下の表22は、それぞれの燃料について試験したサンプルに関する平均サンプル厚さ及び有効面積を提供する。
[0227]それぞれの材料及びそれぞれの燃料に関する日々の重量減少を図27〜29に示す。具体的には、図27は、CE10の透過試験の間における、サンプルの日々の重量減少を示し、図28は、CM15Aの透過試験の間における、サンプルの日々の重量減少を示し、及び図29は
、メタノールの透過試験の間における、サンプルの日々の重量減少を示す。
[0228]それぞれの燃料を用いるそれぞれのサンプルに関する平均透過速度を表23に提供する。サンプル43は、平衡に到達するのにより長い時間がかかったので、この材料に関しては42日と65日の間のデータをベースとして線形回帰をあてはめ、他の材料に関しては32日と65日の間で線形回帰をあてはめたことに留意すべきである。メタノールに関しては、20日と65日の間のデータをベースとして線形回帰をあてはめたが、サンプルNo.604に関しては、30日と65日の間のデータをベースとして線形回帰をあてはめた。サンプルによっては負の透過を示すものもあるが、これは、アルミニウムブランクに対してサンプルの重量減少が少ないためである。
[0229]本開示に対するこれら及び他の変形及び変更は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく当業者には実施をすることができる。さらに、様々な態様の側面は、その全体または一部が交換可能であることは理解すべきである。さらに、当業者は、上記記載は単なる例示であって、本開示を限定するものではないことを理解するだろう。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]
ポリアリーレンスルフィド組成物を含む自動車部品であって、前記ポリアリーレンスルフィド組成物は、ポリアリーレンスルフィドと架橋耐衝撃性改良剤とを含み、前記自動車部品は、大型トラックの部品であるか、自動車燃料ラインである、前記部品。
[2]
前記ポリアリーレンスルフィド組成物が、以下の特性:
温度23℃でISO試験No.179-1に従って測定して、約3kJ/m 2 を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さ;
温度−30℃でISO試験No.179-1に従って測定して、約8kJ/m 2 を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さ;
23℃及び試験速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約4.5%を超える降伏点伸び;
23℃及び試験速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約30MPaを超える破断点引張強さ;
温度23℃及び試験速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約3000MPa未満の引張弾性率;
温度約40℃で強酸溶液に約500時間暴露した後に、23℃でISO試験No.179-1に従って測定したシャルピーノッチ付き衝撃強さの減少が約17%未満;
温度約80℃で強酸溶液に約500時間暴露した後に、23℃でISO試験No.179-1に従って測定したシャルピーノッチ付き衝撃強さの減少が約25%未満;
1.8MPaにおいてISO試験No.78に従って測定して約80℃を超える荷重撓み温度;
温度23℃及び試験速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約25%を超える引張破断歪み;
約1000ppm未満のハロゲン含有量;
0.2ミリメートルの厚さでV-0燃焼性規格を満たす;
SAE試験法No.J2665に従って測定して約3g-mm/m 2 -日未満の燃料または燃料源に対する透過抵抗を示す、
の一つ以上を有する、[1]に記載の自動車部品。
[3]
前記自動車部品が、多層管状部材または単層管状部材、たとえば層の一つ以上にポリアリーレンスルフィド組成物を含む多層管状部材である、[1]または[2]に記載の自動車部品。
[4]
前記自動車部品が、尿素タンクの一部、給気系連結器、排気系の部品、単層燃料管、多層燃料ホース、またはエアブレーキ系の部品である、[1]〜[3]のいずれかに記載の自動車部品。
[5]
前記ポリアリーレンスルフィドがポリプロピレンスルフィドまたは官能基化ポリアリーレンスルフィドである、[1]〜[4]のいずれかに記載の自動車部品。
[6]
前記ポリアリーレンスルフィド組成物がさらに一種以上の添加剤、例えば一種以上の充填剤、UV安定剤、熱安定剤、潤滑剤または着色剤を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の自動車部品。
[7]
前記架橋耐衝撃性改良剤が、耐衝撃性改良剤のエポキシ官能基と架橋剤との反応生成物を含むか、または耐衝撃性改良剤の無水マレイン酸官能基と架橋剤との反応生成物を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の自動車部品。
[8]
前記部品の第一の区分がポリアリーレンスルフィド組成物を含み、前記第一の区分は、前記ポリアリーレンスルフィド組成物を含まない部品の第二の区分に隣接する、[1]〜[7]のいずれかに記載の自動車部品。
[9]
前記ポリアリーレンスルフィド組成物が可塑剤を含まない、[1]〜[8]のいずれかに記載の自動車部品。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載の自動車部品を含む大型トラック。
[11]
ポリアリーレンスルフィド組成物を成形して自動車部品を成形することを含む自動車部品の成形方法であって、前記ポリアリーレンスルフィド組成物はポリアリーレンスルフィドと架橋耐衝撃性改良剤とを含む、前記方法。
[12]
ポリアリーレンスルフィドを溶融加工装置に供給する工程;
前記溶融加工装置に耐衝撃性改良剤を供給する工程、ここで、前記溶融加工装置における前記ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤は、耐衝撃性改良剤がポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布されるように混合し、前記耐衝撃性改良剤は、反応性官能基を含む;及び
前記溶融加工装置に架橋剤を供給する工程、ここで、前記架橋剤は、耐衝撃性改良剤をポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布させた後に、溶融加工装置に供給され、前記架橋剤は、耐衝撃性改良剤の反応性官能基に対して反応性である反応性官能基を含む、
を含むプロセスに従ってポリアリーレンスルフィド組成物を形成する工程をさらに含む、[11]に記載の方法。
[13]
前記溶融加工装置が長さL及びブレンド長さL B をもち、L/L B の比が約40〜約1.1である、[14]に記載の方法。
[14]
ジスルフィド化合物を溶融加工装置に添加する工程をさらに含み、例えばジスルフィドを含まない架橋剤、前記ジスルフィド化合物は、前記ジスルフィド化合物(単数または複数の)終端部に反応性官能基を含み、例えばジスルフィド化合物と架橋剤は、一緒に添加することができる、及び/またはジスルフィド化合物の反応性官能基は架橋剤の反応性官能基と同一でありえる、[13]に記載の方法。
[15]
前記耐衝撃性改良剤がエポキシ反応性官能基を含む、[12]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]
ポリアリーレンスルフィド組成物の成形段階が、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡成形、圧縮成形、ホットスタンピング、紡糸及び引抜成形の一つ以上を含む成形方法を含む、[12]〜[15]のいずれかに記載の方法。
[17]
前記ポリアリーレンスルフィド組成物を成形して管状部材を成形する、[12]〜[16]のいずれかに記載の方法。
[18]
前記成形が、以下の特徴:
約2.5:1〜約4:1の圧縮比;
バレル長さ対バレル径の比が約16〜約24である長さと直径をもつバレルの使用;
温度が約293℃〜約310℃であるダイの使用;
約690kPa〜約6900kPaであるヘッド圧、
の一つ以上をもつ押出プロセスを使用することを含む、[12]に記載の方法。
[19]
前記成形が少なくとも四つのゾーンをもつ押出機を使用する押出プロセスを含み、第一のゾーンの温度は約276℃〜約288℃であり、第二のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、第三のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、及び第四のゾーンの温度は約540℃〜約580℃である、[12]に記載の方法。

Claims (19)

  1. ポリアリーレンスルフィド組成物を製造することを含む、自動車部品の製造方法であって、
    長さLを有する溶融加工装置において、ポリアリーレンスルフィドと、エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤とを、当該エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤が当該ポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布されるように混合する工程であって、当該ポリアリーレンスルフィド及び当該エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤は、当該溶融加工装置において、当該溶融加工装置のブレンド長さL B に沿って混合され、L/L B の比が、1より大きく1.93以下である範囲にある、前記工程;及び
    当該ポリアリーレンスルフィドと当該エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤を混合した後に、そして当該溶融加工装置のブレンド長さの終端において、前記溶融加工装置に、非ポリマー性多官能性カルボン酸架橋剤を供給する工程
    を含み、
    ここで、前記架橋剤は、当該溶融加工装置内で当該エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤と反応して架橋耐衝撃性改良剤を生成し、当該ポリアリーレンスルフィド組成物は、当該ポリアリーレンスルフィドと当該架橋耐衝撃性改良剤とを含み、
    当該ポリアリーレンスルフィドは、当該溶融加工装置に、当該組成物の10重量%〜99重量%の量で加えられ、当該エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤は、当該溶融加工装置に、当該組成物の0.05重量%〜40重量%の量で加えられ、そして、当該非ポリマー性多官能性カルボン酸架橋剤は、当該溶融加工装置に、当該組成物の0.05重量%〜2重量%の量で加えられる、前記方法。
  2. ジスルフィド化合物を前記溶融加工装置に添加する工程をさらに含み、前記ジスルフィド化合物は、前記ジスルフィド化合物の(単数または複数の)終端部に反応性官能基を含む、請求項に記載の方法。
  3. 前記ジスルフィド化合物と前記架橋剤は、一緒に添加することができる、及び/または前記ジスルフィド化合物の反応性官能基はカルボキシル基でありえる、請求項に記載の方法。
  4. 前記ポリアリーレンスルフィド組成物を、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡成形、圧縮成形、ホットスタンピング、紡糸及び引抜成形の一つ以上を含む成形方法によって成形する工程をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. 前記ポリアリーレンスルフィド組成物を成形して管状部材を形成する、請求項に記載の方法。
  6. 前記管状部材が、多層管状部材または単層管状部材である、請求項に記載の方法。
  7. 前記ポリアリーレンスルフィド組成物が成形されて、尿素タンクの一部、給気系連結器、排気系の部品、またはエアブレーキ系の部品を形成する、請求項に記載の方法。
  8. 前記成形が、以下の特徴:
    2.5:1〜4:1の圧縮比;
    バレル長さ対バレル径の比が16〜24である長さと直径をもつバレルの使用;
    温度が293℃〜310℃であるダイの使用;
    690kPa〜6900kPaであるヘッド圧、
    の一つ以上をもつ押出プロセスを使用することを含む、請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記成形が少なくとも四つのゾーンをもつ押出機を使用する押出プロセスを含み、第一のゾーンの温度は276℃〜288℃であり、第二のゾーンの温度は282℃〜299℃であり、第三のゾーンの温度は282℃〜299℃であり、及び第四のゾーンの温度は540℃〜580℃である、請求項4〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記ポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドまたは官能基化ポリアリーレンスルフィドである、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  11. 前記ポリアリーレンスルフィド組成物がさらに充填剤、UV安定剤、熱安定剤、滑剤、着色剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記ポリアリーレンスルフィド組成物が可塑剤を含まない、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤がメタクリル酸モノマーユニット及び/又はα−オレフィンモノマーユニットを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記非ポリマー性多官能性カルボン酸架橋剤がテレフタル酸を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記ポリアリーレンスルフィドが、前記組成物の20重量%〜90重量%を構成する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記エポキシ官能基化耐衝撃性改良剤が、当該溶融加工装置に、当該組成物の0.1重量%〜35重量%の量で加えられる、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 当該非ポリマー性多官能性カルボン酸架橋剤が、当該溶融加工装置に、当該組成物の0.1重量%〜2重量%の量で加えられる、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記ポリアリーレンスルフィドが、当該ポリアリーレンスルフィドの総モノマーユニットの1モル%の未満の分岐ユニットまたは架橋ユニットを含む線状ポリアリーレンスルフィドである、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記ポリアリーレンスルフィド組成物が、温度23℃及び試験速度50mm/分でISO試験No.527にしたがって測定して50%を超える破断点引張伸びを示す、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
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