以下に、添付の図面を参照して、本発明の各実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1(A)は、第1の実施の形態に係る圧力容器1の断面図であり、図1(B)は、図1(A)のIB−IB線に沿う断面図である。図1(A)に示すように、本実施の形態に係る圧力容器1は、容器本体10と、蓋部材20と、位置決め部材30と、を備えている。圧力容器1は、所定の部材を収容しつつ高圧且つ高温の流体を通過させたり、高圧且つ高温の物質を保持したりする場合に用いられる容器である。圧力容器1は例えば発電プラントにおける蒸気弁の弁箱であってもよい。
容器本体10は、図1(A)に示すように、開口部11Cを形成する円筒状の周壁部11を有し、開口部11Cは、周壁部11の内周面11Bによって画成されて円形状となっている。図1(A)及び図1(B)において、符号C1は、周壁部11の中心軸線を示しており、以下の説明においては、中心軸線C1上を延びる方向又は中心軸線C1に平行に延びる方向を、周壁部11の軸方向又は単に軸方向と呼ぶ。また中心軸線C1に直交する方向を径方向と呼び、中心軸線C1周りの方向を周方向と呼ぶものとする。ここで、図1(A)は周壁部11の軸方向に沿う圧力容器1の断面図を示している。また、図1(B)においては、説明の便宜上、容器本体10及び後述の蓋用ボルト101の図示が省略されている。
蓋部材20は円板状であり、蓋部材20には、周方向に間隔を空けて並ぶ複数の蓋側貫通孔22が設けられ、周壁部11の先端面には、周方向に間隔を空けて並ぶ複数の容器側ボルト孔12が設けられている。各蓋側貫通孔22には蓋用ボルト101が通され、各蓋用ボルト101が対応する容器側ボルト孔12に着脱可能にねじ込まれている。これにより蓋部材20は、周壁部11に着脱可能に設けられている。
蓋部材20は、本実施の形態において、軸方向において容器本体10を指向するその裏面20Cに円柱状或いは円板状の凸部21を一体に有しており、凸部21は、裏面21Cの中央側で突出するように形成されている。本実施の形態における凸部21は、所謂インロー構造を構成しており、開口部11Cに挿入され、図示の例ではその外周面で周壁部11の内周面11Bに接触している。
図1(B)においては、周壁部11の外周面11Aを二点鎖線で示している。位置決め部材30は、図1(B)に示すように、蓋部材20の裏面20Cにおける外周側の部分に設けられ、周壁部11の外周面11Aに接触して、周壁部11と蓋部材20との径方向の相対移動を防止するようになっている。すなわち、位置決め部材30は、周壁部11の外周面11Aに接触して、周壁部11に対する蓋部材20の径方向の移動及び蓋部材20に対する周壁部11の径方向の移動を防止するようになっている。図1(B)に示すように、本実施の形態における位置決め部材30は、外周面30Aと内周面30Bとを有する円環状であり、周壁部11と蓋部材20とが同軸となる位置で、その内周面30Bが周壁部11の外周面11Aの先端側部分に接触している。これにより位置決め部材30は、周壁部11と蓋部材20との径方向における全方向での相対移動を防止するように構成されている。
また図1(B)に示すように、位置決め部材30には、周方向に間隔を空けて並び且つ軸方向に貫通する複数の取付用貫通孔32が設けられ、蓋部材20には、周方向に間隔を空けて並び且つ軸方向に延びる複数の取付用ボルト孔24(破線にて示す)が設けられている。各取付用貫通孔32には取付ボルト102が通され、各取付ボルト102は対応する取付用ボルト孔24に着脱可能にねじ込まれている。これにより位置決め部材30は、蓋部材20に着脱可能に設けられている。このように位置決め部材30が蓋部材20に対して着脱可能であることで、位置決め部材30を交換することが可能となっている。
本実施の形態に係る圧力容器1の組立方法の一例について以下に説明する。本例では、まず、分離された状態の容器本体10、蓋部材20、及び位置決め部材30が準備される。ここで、容器本体10の周壁部11の外周面11Aは、中心軸線C1を中心とする所定半径の円周に一致するように加工され、位置決め部材30の内周面30Bは、周壁部11の外周面11Aに沿って加工され、周壁部11の外周面11Aに嵌まり込むことが可能となっている。
次いで、蓋部材20に、位置決め部材30が取付ボルト102によって着脱可能に設けられる。この位置決め部材30の蓋部材20への設置は、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが同軸となった状態で行われてもよい。次いで、位置決め部材30の内周面30Bが周壁部11の外周面11Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられ、蓋用ボルト101によって固定される。ここで、位置決め部材30の内周面30Bが周壁部11の外周面11Aに接触することで、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが、同軸の状態に位置決めされることになる。
上述のように組み立てられた後、圧力容器1は、例えば高圧且つ高温の環境下で使用される。ここで、経年使用によって、容器本体10や蓋部材20に変形が生じて、周壁部11と蓋部材20との間に芯ずれが生じる場合がある。この場合、本実施の形態に係る圧力容器1では、周壁部11の外周面11Aを修正加工するとともに、位置決め部材30を、周壁部11の外周面11Aの修正加工に応じた内周面を有する新たな位置決め部材30に交換することにより、蓋部材20の全体を交換すること無く、芯出し機能を復帰させることができる。
そして上述のように周壁部11の外周面11Aを修正加工するとともに位置決め部材30を交換した後は、上述と同様に、蓋部材20に、位置決め部材30が取付ボルト102によって着脱可能に設けられ、位置決め部材30の内周面30Bが周壁部11の外周面11Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられる。これにより、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とを、同軸の状態に位置決めすることが可能となる。
したがって、本実施の形態によれば、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態では、位置決め部材30が円環状であるため、その内周面30Bの内径寸法を容易に計測できる。これにより、位置決め部材30の内周面30Bを周壁部11の外周面11Aに沿うように加工する際の加工作業及び位置決めする際の位置決め作業が容易になるため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の構成部分のうちの第1の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図2(A)は、第2の実施の形態に係る圧力容器1の容器本体10の周壁部11の軸方向に沿う断面図であり、図2(B)は、図2(A)のIIB−IIB線に沿う断面図であり、図2(C)は、図2(A)の要部の拡大図である。なお、図2(B)においては、説明の便宜上、周壁部11及び蓋用ボルト101の図示が省略され、周壁部11の外周面11Aが二点鎖線で示されている。第2の実施の形態は、位置決め部材30が複数の取付片302を有する点で、第1の実施の形態と異なっている。以下では、第2の実施の形態における第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
図2(A)及び図2(B)に示すように、第2の実施の形態における位置決め部材30の複数の取付片302は、蓋部材20において周壁部11の周方向に並ぶように設けられており、各取付片302の径方向における内側面302Bの各々は、周壁部11の外周面11Aに沿って接触するように円弧状に形成されている。
取付片302の各々には、取付ボルト102を通すための取付用貫通孔32が第1の実施の形態と同様に設けられており、取付用貫通孔32に通された複数の取付ボルト102が、対応する蓋部材20に設けられた取付用ボルト孔24に着脱可能にねじ込まれることにより、取付片302が蓋部材20に着脱可能に設けられている。ここで、図2(C)は、取付片302の拡大図を示しており、同図に示すように、取付片302に設けられた取付用貫通孔32の径は、蓋部材20に設けられた取付用ボルト孔24の径よりも大きくなっている。
また本実施の形態においては、四つの取付片302が設けられている。ここで、図2(B)に示すように、本実施の形態においては、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、四つの取付片302のうちの二つの取付片302が、周壁部11の中心(中心軸線C1参照)を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片302も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。
上述のように周壁部11の中心を挟んで対向する二つの取付片302の組み合わせが二以上となる場合、位置決め部材30によって、周壁部11と蓋部材20との径方向における全方向での相対移動を確実に防止することができる。なお、このような取付片302の配置に代えて、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、180度未満の範囲で隣り合う二つの取付片302(取付片302の周壁部11との接触点)の各々から周壁部11の中心を通って周壁部11の外側に延びる二つの直線の間に、少なくとも一つの取付片302(取付片302の周壁部11との接触点)が配置されるという関係を三つ以上の取付片302の間に成立させてもよい。この場合においても、位置決め部材30によって、周壁部11と蓋部材20との径方向における全方向での相対移動を確実に防止することができる。
本実施の形態に係る圧力容器1の組立方法の一例について以下に説明する。本例では、まず、分離された状態の容器本体10、蓋部材20、及び位置決め部材30が準備される。ここで、容器本体10の周壁部11の外周面11Aは、中心軸線C1を中心とする所定半径の円周に一致するように加工され、位置決め部材30の取付片302の内側面302Bは、周壁部11の外周面11Aに沿う円弧状に加工されている。
次いで、蓋部材20に、位置決め部材30の取付片302が取付ボルト102によって着脱可能に設けられる。この取付片302の蓋部材20への設置は、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが同軸となった状態で行われてもよい。ここで、本実施の形態では、取付片302に設けられた取付用貫通孔32の径が、蓋部材20に設けられた取付用ボルト孔24の径よりも大きくなっており、取付用貫通孔32に通された取付ボルト102が取付用ボルト孔24にねじ込まれることで取付片302が蓋部材20に設けられる。これにより、取付片302の位置を柔軟に調整することができる。
次いで、各取付片302の内側面302Bが周壁部11の外周面11Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられ、蓋用ボルト101によって固定される。ここで、各取付片302の内側面302Bが周壁部11の外周面11Aに接触することで、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが、同軸の状態に位置決めされることになる。
上述のように組み立てられた後、圧力容器1は、例えば高圧且つ高温の環境下で使用される。ここで、経年使用によって、容器本体10や蓋部材20に変形が生じて、周壁部11と蓋部材20との間に芯ずれが生じた場合、本実施の形態に係る圧力容器1では、周壁部11の外周面11Aを修正加工するとともに、取付片302を、周壁部11の外周面11Aの修正加工に応じた内側面を有する新たな取付片302に交換することにより、蓋部材20の全体を交換すること無く、芯出し機能を復帰させることができる。
そして上述のように周壁部11の外周面11Aを修正加工するとともに各取付片302を交換した後は、上述と同様に、蓋部材20に、各取付片302が取付ボルト102によって着脱可能に設けられ、各取付片302の内側面302Bが周壁部11の外周面11Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられる。これにより、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とを、同軸の状態に位置決めすることが可能となる。
したがって、本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態では、四つの取付片302のうちの二つの取付片302が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片302も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。この場合、周壁部11の中心を挟んで対向する二つの取付片302の間の内径寸法を容易に計測できる。これにより、取付片302を周壁部11の外周面11Aに沿うように加工する際の加工作業及び位置決めする際の位置決め作業が容易になるため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図3(A)は、第3の実施の形態に係る圧力容器1の容器本体10の周壁部11の軸方向に沿う断面図であり、図3(B)は、図3(A)のIIIB−IIIB線に沿う断面図である。なお、図3(B)においては、説明の便宜上、周壁部11及び蓋用ボルト101の図示が省略され、周壁部11の外周面11Aが二点鎖線で示されている。第3の実施の形態は、位置決め部材30が複数の取付片303を有する点で、第2の実施の形態と共通するが、これら取付片303の形状が第2の実施の形態と異なっている。以下では、第3の実施の形態における第2の実施の形態との相違点について主に説明する。
図3(A)及び図3(B)に示すように、第3の実施の形態における複数の取付片303は、蓋部材20において周壁部11の周方向に並ぶように設けられているが、取付片303の径方向における内側面303Bの各々は、周壁部11の外周面11Aの接線Dに沿って延びる直線状に形成されている。また本実施の形態においても、四つの取付片303が設けられ、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、四つの取付片303のうちの二つの取付片303が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片303も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。
以上のような構成を備える本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態においても、四つの取付片303のうちの二つの取付片303が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片303も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されているため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図4(A)は、第4の実施の形態に係る圧力容器1の容器本体10の周壁部11の軸方向に沿う断面図であり、図4(B)は、図4(A)のIVB−IVB線に沿う断面図である。なお、図4(B)においては、説明の便宜上、蓋用ボルト101の図示が省略されている。第4の実施の形態は、位置決め部材30が周壁部11に設けられる点で、第1の実施の形態と異なっている。以下では、第4の実施の形態における第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
図4(A)及び図4(B)に示すように、第4の実施の形態における位置決め部材30は、外周面30Aと内周面30Bとを有する円環状であり、その内周面30Bが円板状の蓋部材20の外周面20Aに接触するようになっている。なお位置決め部材30は、周壁部11の外周面11Aの先端側部分から軸方向に突出するように設けられている。
位置決め部材30には、周方向に間隔を空けて並び且つ径方向に貫通する複数の取付用貫通孔32(破線にて示す)が設けられ、周壁部11には、周方向に間隔を空けて並び且つ径方向に延びる複数の取付用ボルト孔24(破線にて示す)が設けられ、取付用貫通孔32に通された複数の取付ボルト102が、対応する取付用ボルト孔24に着脱可能にねじ込まれている。これにより位置決め部材30は、周壁部11に着脱可能に設けられている。
本実施の形態に係る圧力容器1の組立方法の一例について以下に説明する。本例では、まず、分離された状態の容器本体10、蓋部材20、及び位置決め部材30が準備される。ここで、容器本体10の周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aは、中心軸線C1を中心とする所定半径の円周に一致するように加工されている。また位置決め部材30の内周面30Bは、周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aに沿って加工され、周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aに嵌まり込むことが可能となっている。
次いで、周壁部11に、位置決め部材30が取付ボルト102によって着脱可能に設けられる。この位置決め部材30の周壁部11への設置は、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが同軸となった状態で行われてもよい。次いで、位置決め部材30の内周面30Bが蓋部材20の外周面20Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられ、蓋用ボルト101によって固定される。ここで、位置決め部材30の内周面30Bが蓋部材20の外周面20Aに接触することで、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが、同軸の状態に位置決めされることになる。
上述のように組み立てられた後、圧力容器1は、例えば高圧且つ高温の環境下で使用される。ここで、経年使用によって、容器本体10や蓋部材20に変形が生じて、周壁部11と蓋部材20との間に芯ずれが生じた場合、本実施の形態に係る圧力容器1では、周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aを修正加工するとともに、位置決め部材30を、周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aの修正加工に応じた内周面を有する新たな位置決め部材30に交換することにより、容器本体10又は蓋部材20の全体を交換すること無く、芯出し機能を復帰させることができる。
そして上述のように周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aを修正加工するとともに位置決め部材30を交換した後は、上述と同様に、周壁部11に、位置決め部材30が取付ボルト102によって着脱可能に設けられ、位置決め部材30の内周面30Bが蓋部材20の外周面20Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられる。これにより、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とを、同軸の状態に位置決めすることが可能となる。
したがって、本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態では、位置決め部材30が円環状であるため、その内周面30Bの内径寸法を容易に計測できる。これにより、位置決め部材30の内周面30Bを周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aに沿うように加工する際の加工作業及び位置決めする際の位置決め作業が容易になるため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図5(A)は、第5の実施の形態に係る圧力容器1の容器本体10の周壁部11の軸方向に沿う断面図であり、図5(B)は、図5(A)のVB−VB線に沿う断面図である。なお、図5(B)においては、説明の便宜上、蓋用ボルト101の図示が省略されている。第5の実施の形態は、位置決め部材30が複数の取付片305を有する点で、第4の実施の形態と異なっている。以下では、第5の実施の形態における第4の実施の形態との相違点について主に説明する。
図5(A)及び図5(B)に示すように、第5の実施の形態における位置決め部材30の複数の取付片305は、周壁部11において周方向に並ぶように設けられている。また本実施の形態における取付片305の径方向における内側面305Bの各々は、周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aに沿って接触するように円弧状に形成されている。
取付片305の各々には、取付ボルト102を通すための取付用貫通孔32が第4の実施の形態と同様に設けられており、取付用貫通孔32に通された複数の取付ボルト102が、対応する周壁部11に設けられた取付用ボルト孔24に着脱可能にねじ込まれることにより、取付片305が周壁部11に着脱可能に設けられている。ここで、取付片305に設けられた取付用貫通孔32の径は、周壁部11に設けられた取付用ボルト孔24の径よりも大きくなっている。
また本実施の形態においては、四つの取付片305が設けられている。ここで、図5(B)に示すように、本実施の形態においては、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、四つの取付片305のうちの二つの取付片305が、周壁部11の中心(中心軸線C1参照)を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片305も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。
上述のように周壁部11の中心を挟んで対向する二つの取付片305の組み合わせが二以上となる場合、位置決め部材30によって、周壁部11と蓋部材20との径方向における全方向での相対移動を確実に防止することができる。なお、このような取付片305の配置に代えて、本実施の形態においても、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、180度未満の範囲で隣り合う二つの取付片305(取付片305の蓋部材20との接触点)の各々から周壁部11の中心を通って周壁部11の外側に延びる二つの直線の間に、少なくとも一つの取付片305(取付片305の周壁部11との接触点)が配置されるという関係を三つ以上の取付片305の間に成立させてもよい。この場合においても、位置決め部材30によって、周壁部11と蓋部材20との径方向における全方向での相対移動を確実に防止することができる。
本実施の形態に係る圧力容器1の組立方法の一例について以下に説明する。本例では、まず、分離された状態の容器本体10、蓋部材20、及び位置決め部材30が準備される。ここで、容器本体10の周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aは、中心軸線C1を中心とする所定半径の円周に一致するように加工され、位置決め部材30の取付片305の内側面305Bは、周壁部11の外周面11Aに沿う円弧状に加工されている。
次いで、周壁部11に、位置決め部材30の取付片305が取付ボルト102によって着脱可能に設けられる。この取付片305の周壁部11への設置は、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが同軸となった状態で行われてもよい。ここで、本実施の形態では、取付片305に設けられた取付用貫通孔32の径が、周壁部11に設けられた取付用ボルト孔24の径よりも大きくなっており、取付用貫通孔32に通された取付ボルト102が取付用ボルト孔24にねじ込まれることで取付片305が周壁部11に設けられる。これにより、取付片305の位置を柔軟に調整することができる。
次いで、各取付片305の内側面305Bが蓋部材20の外周面20Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられ、蓋用ボルト101によって固定される。ここで、各取付片305の内側面305Bが蓋部材20の外周面20Aに接触することで、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが、同軸の状態に位置決めされることになる。
上述のように組み立てられた後、圧力容器1は、例えば高圧且つ高温の環境下で使用される。ここで、経年使用によって、容器本体10や蓋部材20に変形が生じて、周壁部11と蓋部材20との間に芯ずれが生じた場合、本実施の形態に係る圧力容器1では、周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aを修正加工するとともに、取付片305を、周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aの修正加工に応じた内側面を有する新たな取付片305に交換することにより、蓋部材20の全体を交換すること無く、芯出し機能を復帰させることができる。
そして上述のように周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aを修正加工するとともに各取付片305を交換した後は、上述と同様に、蓋部材20に、各取付片305が取付ボルト102によって着脱可能に設けられ、各取付片305の内側面305Bが蓋部材20の外周面20Aに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられる。これにより、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とを、同軸の状態に位置決めすることが可能となる。
したがって、本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態では、四つの取付片305のうちの二つの取付片305が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片305も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。この場合、周壁部11の中心を挟んで対向する二つの取付片305の間の内径寸法を容易に計測できる。これにより、取付片305を周壁部11の外周面11A及び蓋部材20の外周面20Aに沿うように加工する際の加工作業及び位置決めする際の位置決め作業が容易になるため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図6(A)は、第6の実施の形態に係る圧力容器1の容器本体10の周壁部11の軸方向に沿う断面図であり、図6(B)は、図6(A)のVIB−VIB線に沿う断面図である。なお、図6(B)においては、説明の便宜上、蓋用ボルト101の図示が省略されている。第6の実施の形態は、位置決め部材30が複数の取付片306を有する点で、第5の実施の形態と共通するが、これら取付片305の形状が第5の実施の形態と異なっている。以下では、第6の実施の形態における第5の実施の形態との相違点について主に説明する。
図6(A)及び図6(B)に示すように、第6の実施の形態における複数の取付片306は、周壁部11において周方向に並ぶように設けられているが、取付片306の径方向における内側面306Bの各々は、蓋部材20の外周面20Aの接線Dに沿って延びる直線状に形成されている。また本実施の形態においても、四つの取付片306が設けられ、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、四つの取付片306のうちの二つの取付片306が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片306も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。
以上のような構成を備える本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態においても、四つの取付片306のうちの二つの取付片306が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片306も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されているため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第7の実施の形態)
次に第7の実施の形態について説明する。第7の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第6の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図7(A)は、第7の実施の形態に係る圧力容器1の容器本体10の周壁部11の軸方向に沿う断面図であり、図7(B)は、図7(A)のVIIB−VIIB線に沿う断面図である。なお、図7(B)においては、説明の便宜上、周壁部11及び蓋用ボルト101の図示が省略されるが、周壁部11の内周面11Bを二点鎖線で示している。第7の実施の形態は、位置決め部材30が蓋部材20に設けられた凸部21の周囲に配置される点で、第1の実施の形態と異なっている。以下では、第7の実施の形態における第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
図7(A)及び図7(B)に示すように、第7の実施の形態における凸部21は、第1の実施の形態の凸部21よりも小径となっており、周壁部11が形成する開口部11Cに凸部21が挿入された際に、凸部21と周壁部11の内周面11Bとの間に隙間が形成される。本実施の形態では、このような凸部21の外周面に円環状の位置決め部材30が設けられている。そして位置決め部材30の外周面30Aが周壁部11の内周面11Bに接触するようになっている。
位置決め部材30には、周方向に間隔を空けて並び且つ軸方向に貫通する複数の取付用貫通孔32が設けられ、蓋部材20には、周方向に間隔を空けて並び且つ軸方向に延びる複数の取付用ボルト孔24(破線にて示す)が設けられ、取付用貫通孔32に通された複数の取付ボルト102が、対応する取付用ボルト孔24に着脱可能にねじ込まれている。これにより位置決め部材30は、蓋部材20に着脱可能に設けられている。
本実施の形態に係る圧力容器1の組立方法の一例について以下に説明する。本例では、まず、分離された状態の容器本体10、蓋部材20、及び位置決め部材30が準備される。ここで、容器本体10の周壁部11の内周面11Bは、中心軸線C1を中心とする所定半径の円周に一致するように加工されている。また位置決め部材30の外周面30Aは、周壁部11の内周面11Bに沿って加工され、周壁部11の内周面11Bに嵌まり込むことが可能となっている。
次いで、蓋部材20の凸部21の周囲に、位置決め部材30が取付ボルト102によって着脱可能に配置される。次いで、位置決め部材30の外周面30Aが周壁部11の内周面11Bに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられ、蓋用ボルト101によって固定される。ここで、位置決め部材30の外周面30Aが周壁部11の内周面11Bに接触することで、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが、同軸の状態に位置決めされることになる。
上述のように組み立てられた後、圧力容器1は、例えば高圧且つ高温の環境下で使用される。ここで、経年使用によって、容器本体10や蓋部材20に変形が生じて、周壁部11と蓋部材20との間に芯ずれが生じた場合、本実施の形態に係る圧力容器1では、周壁部11の内周面11Bを修正加工するとともに、位置決め部材30を、周壁部11の内周面11Bの修正加工に応じた外周面を有する新たな位置決め部材30に交換することにより、蓋部材20の全体を交換すること無く、芯出し機能を復帰させることができる。
そして上述のように周壁部11の内周面11Bを修正加工するとともに位置決め部材30を交換した後は、上述と同様に、凸部21の周囲に、位置決め部材30が取付ボルト102によって着脱可能に配置され、位置決め部材30の外周面30Aが周壁部11の内周面11Bに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられる。これにより、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とを、同軸の状態に位置決めすることが可能となる。
したがって、本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態では、位置決め部材30が円環状であるため、その外周面30Aの外径寸法を容易に計測できる。これにより、位置決め部材30の外周面30Aを周壁部11の内周面11Bに沿うように加工する際の加工作業及び位置決めする際の位置決め作業が容易になるため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第8の実施の形態)
次に第8の実施の形態について説明する。第8の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第7の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図8(A)は、第8の実施の形態に係る圧力容器1の容器本体10の周壁部11の軸方向に沿う断面図であり、図8(B)は、図8(A)のVIIIB−VIIIB線に沿う断面図である。なお、図8(B)においては、説明の便宜上、周壁部11及び蓋用ボルト101の図示が省略されるが、周壁部11の内周面11Bを二点鎖線で示している。第8の実施の形態は、位置決め部材30が複数の取付片308を有する点で、第7の実施の形態と異なっている。以下では、第8の実施の形態における第7の実施の形態との相違点について主に説明する。
図8(A)及び図8(B)に示すように、第8の実施の形態における位置決め部材30の複数の取付片308は、蓋部材20の凸部21の周囲において周壁部11の周方向に並ぶように配置されている。また本実施の形態における取付片308の径方向における外側面308Aの各々は、周壁部11の内周面11Bに沿って接触するように円弧状に形成されている。
取付片308の各々には、取付ボルト102を通すための取付用貫通孔32が第7の実施の形態と同様に設けられており、取付用貫通孔32に通された複数の取付ボルト102が、対応する蓋部材20に設けられた取付用ボルト孔24に着脱可能にねじ込まれることにより、取付片307が蓋部材20に着脱可能に設けられている。ここで、取付片308に設けられた取付用貫通孔32の径は、蓋部材20に設けられた取付用ボルト孔24の径よりも大きくなっている。
また本実施の形態においては、四つの取付片308が設けられている。ここで、図8(B)に示すように、本実施の形態においては、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、四つの取付片308のうちの二つの取付片308が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片308も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。
上述のように周壁部11の中心を挟んで対向する二つの取付片308の組み合わせが二以上となる場合、位置決め部材30によって、周壁部11と蓋部材20との径方向における全方向での相対移動を確実に防止することができる。なお、このような取付片308の配置に代えて、本実施の形態においても、軸方向に沿って容器本体10及び蓋部材20を見た場合に、180度未満の範囲で隣り合う二つの取付片308(取付片308の周壁部11との接触点)の各々から周壁部11の中心を通って周壁部11の外側に延びる二つの直線の間に、少なくとも一つの取付片308(取付片308の周壁部11との接触点)が配置されるという関係を三つ以上の取付片308の間に成立させてもよい。この場合においても、位置決め部材30によって、周壁部11と蓋部材20との径方向における全方向での相対移動を確実に防止することができる。
本実施の形態に係る圧力容器1の組立方法の一例について以下に説明する。本例では、まず、分離された状態の容器本体10、蓋部材20、及び位置決め部材30が準備される。ここで、容器本体10の周壁部11の内周面11Bは、中心軸線C1を中心とする所定半径の円周に一致するように加工され、位置決め部材30の取付片308の外側面308Aは、周壁部11の内周面11Bに沿う円弧状に加工されている。
次いで、蓋部材20に、位置決め部材30の取付片308が取付ボルト102によって着脱可能に設けられる。ここで、本実施の形態では、取付片308に設けられた取付用貫通孔32の径が、蓋部材20に設けられた取付用ボルト孔24の径よりも大きくなっており、取付用貫通孔32に通された取付ボルト102が取付用ボルト孔24にねじ込まれることで取付片308が蓋部材20に設けられるため、取付片308の位置を柔軟に調整することができる。
次いで、各取付片308の外側面308Aが周壁部11の内周面11Bに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられ、蓋用ボルト101によって固定される。ここで、各取付片302の外側面308Aが周壁部11の内周面11Bに接触することで、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とが、同軸の状態に位置決めされることになる。
上述のように組み立てられた後、圧力容器1は、例えば高圧且つ高温の環境下で使用される。ここで、経年使用によって、容器本体10や蓋部材20に変形が生じて、周壁部11と蓋部材20との間に芯ずれが生じた場合、本実施の形態に係る圧力容器1では、周壁部11の内周面11Bを修正加工するとともに、取付片308を、周壁部11の内周面11Bの修正加工に応じた外側面を有する新たな取付片308に交換することにより、蓋部材20の全体を交換すること無く、芯出し機能を復帰させることができる。
そして上述のように周壁部11の内周面11Bを修正加工するとともに各取付片308を交換した後は、上述と同様に、蓋部材20の凸部21に、各取付片308が取付ボルト102によって着脱可能に設けられ、各取付片308の外側面308Aが周壁部11の内周面11Bに接触するように、容器本体10と蓋部材20とが組み立てられる。これにより、容器本体10の周壁部11と蓋部材20とを、同軸の状態に位置決めすることが可能となる。
したがって、本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態では、四つの取付片308のうちの二つの取付片308が、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置され、且つ他の二つの取付片308も、周壁部11の中心を挟んで対向するように配置されている。この場合、周壁部11の中心を挟んで対向する二つの取付片308の間の外径寸法を容易に計測できる。これにより、取付片308を周壁部11の内周面11Bに沿うように加工する際の加工作業及び位置決めする際の位置決め作業が容易になるため、位置決め部材30の交換時の作業効率を向上させることができる。
(第9の実施の形態)
次に第9の実施の形態について説明する。第9の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第8の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図9は、第9の実施の形態に係る圧力容器1の要部を示す断面図であって、詳しくは位置決め部材30の周辺の断面図である。第9の実施の形態は、位置決め部材30に第1テーパ部309が設けられている点で、第1の実施の形態と異なっている。以下では、第9の実施の形態における第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
図9に示すように、第9の実施の形態においては、周壁部11の外周面11Aに接触する側の位置決め部材30の内周面30Bが、第1テーパ部309を有している。第1テーパ部309は、蓋部材20から周壁部11に向けて内周面30Bの端部まで軸方向に延びるに従い、径方向で周壁部11から離れる方向に延びている。なお、位置決め部材30の内周面30Bは、第1テーパ部309が形成されていない蓋部材20側の部分で、周壁部11の外周面11Aに接触するようになっている。
本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また本実施の形態では、第1テーパ部309が位置決め部材30に設けられることで、位置決め部材30を周壁部11の外周面11Aに嵌め込み易くなるため、芯出し作業及び組立作業の作業効率を向上させることができる。なお、本実施の形態で説明した第1テーパ部309は、第2乃至第8の実施の形態において設けられてもよい。
(第10の実施の形態)
次に第10の実施の形態について説明する。第10の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第9の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図10は、第10の実施の形態に係る圧力容器1の要部を示す断面図であって、詳しくは位置決め部材30の周辺の断面図である。第10の実施の形態は、周壁部11に第2テーパ部310が設けられている点で、第1の実施の形態と異なっている。以下では、第10の実施の形態における第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
図10に示すように、第10の実施の形態においては、位置決め部材30の内周面30Bに接触する側の周壁部11の外周面11Aが、第2テーパ部310を有している。第2テーパ部310は、周壁部11から蓋部材20に向けて外周面11Aの端部まで軸方向に延びるに従い、径方向で位置決め部材30から離れる方向に延びている。なお、周壁部11の外周面11Aは、第2テーパ部310が形成されていない部分で、位置決め部材30の内周面30Bに接触するようになっている。
本実施の形態によっても、圧力容器1における容器本体10と蓋部材20との位置決め機能、具体的に芯出し機能を容易に復帰させることができる。また第9の実施の形態と同様の効果が得られる。なお、本実施の形態で説明した第2テーパ部310は、第2乃至第8の実施の形態において設けられてもよい。
(第11の実施の形態)
次に第11の実施の形態について説明する。第11の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第10の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図11は、第11の実施の形態に係る圧力容器1の要部を示す断面図であって、詳しくは位置決め部材30の周辺の断面図である。第11の実施の形態では、位置決め部材30に図9の実施の形態で説明した第1テーパ部309が設けられ、周壁部11に第10の実施の形態で説明した第2テーパ部310が設けられている。なお、第2乃至第8の実施の形態においても、第1テーパ部309と第2テーパ部310とが設けられてもよい。
(第12の実施の形態)
次に第12の実施の形態について説明する。第12の実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第11の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して、説明は省略する。
図12は、第12の実施の形態に係る圧力容器1を示す図であって、図12(A)は、圧力容器1を容器本体10の周壁部11の軸方向に沿って見た図であり、図12(B)は、図12(A)のXIIB−XIIB線に沿う断面図である。第12の実施の形態は、ジャッキングボルト103が設けられている点で、第1の実施の形態と異なっている。以下では、第12の実施の形態における第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
図12(A)及び図12(B)に示すように、第12の実施の形態では、蓋部材20に周壁部11側の面からその反対側の面に貫通する貫通孔26が設けられている。本実施の形態においては、三つの貫通孔26が周方向に間隔を空けて設けられているが、貫通孔26の数は特に限られるものではない。そして各貫通孔26の周壁部11側の端部は、周壁部11の先端面と向き合うようになっており、各貫通孔26にジャッキングボルト103が設けられている。各ジャッキングボルト103は、貫通孔26の軸方向長さよりも長くなっている。
本実施の形態によれば、蓋部材20を容器本体10から分離する際に、ジャッキングボルト103を周壁部11側にねじ込むことにより、蓋部材20を周壁部11の上方に移動させることができるため、分離作業を容易に行うことが可能となる。このようなジャッキングボルト103は、第2乃至第11の実施の形態において設けられてもよい。
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、上記の各実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、第2の実施の形態では、取付片302が四つであるが、このような数は、特に限定されるものではない。