JP6671667B1 - 棒鋼・線材の粗圧延方法 - Google Patents
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Abstract
Description
圧延回数は通常、粗列5〜10,中間列5〜10,仕上げ列5〜10、合計20〜30となっている。
粗圧延における要件は、1)操業が安定し低コストであること、2)鋳片の表面性状を劣化させないこと、さらに、3)熱間加工性に難のある鋼種に対してワレを発生させないことである。一度鍛錬された鋼片ではワレ問題は概ね解消される。
1) パス間の捻転機構の排除や転倒逆転機構の排除によるラインの簡素化
2) 省力化・操業安定
3) 捻転機構に起因する当たりキズの低減
等の効果が得られる。
ボロン鋼・快削鋼・ステンレス鋼等熱間加工に難のある鋼種・製品に対して粗圧延ワレは対処困難な問題である。
第2に、棒線用に供給されるビレットの断面形状は常に正方形(又は円)である。長方形が不適切であるわけではない。将来、鋳片断面形状を長方形にすることにより新しい効果を誘発しようとする場合、水平垂直交互配置は不適切で圧延機の過不足が生ずる。
板圧延では変形は2次元(圧下・延伸)であるが、棒線圧延では仕上げの円断面に向かって3次元(圧下・延伸・拡幅)で進行する。具体的には孔型圧延が適用され、圧下歪みは延伸と拡幅に分解する。組み合わされる孔型は種々あって工場により異なり、それぞれ一長一短がある。共通している圧延作業過程は、ほとんど圧下毎に圧下方向が変更される、即ち、あるパスで被加工材のある辺を圧下すると次パスでは側面又は斜め側面が圧下されることである。これは鍛錬手作業でまんべんなく鍛くことに由来するかもしれない。圧延方向の毎回変更の必然性には疑問がある。
前者は板圧延が明白な物証であり、後者はスリット圧延(圧延途中で2本以上に縦断した簡素圧延)が、最終が決まるなら過程はどうでも良い場合もあることを示している。
交互圧下方式は、圧延機列の古い配置方式である粗圧延は逆転式圧延、後続の中間ではトラバース圧延(多数の圧延機間を渡り歩く)において被加工材を捻る必要が無く、パス毎に圧下方向を変更する転倒作業等が無難であり且つ容易であったことにも起因する。
捻転機構には圧延に準ずる大きな負荷が作用し、安易な設計では問題が慢性化する。管理は大変であり、常に作業不安定が品質劣化に作用してきた。整備の煩雑さから逆に圧延機を水平垂直交互配置に変更しようとする機運が生まれ、実施結果は当該問題の解決だけでなく期待以上に評価された。簡素化・安定化が得られたが垂直組込に伴う設備費の大幅増加は避けられないこととなる。
当該粗圧延列においては、当該長所を保持しつつ、
1) 捻転機構の簡素化と改良
2) 2種の品質問題(当たりキズ、粗圧ワレ)への対処
3) 将来の長方形断面の鋳片への効果的な対処、の3点の改善が期待される。
特許文献1には、棒線製造において鋼片の粗圧延を水平逆転式で処理する際、適切な孔型・圧下率・圧延速度(m/s)の組み合わせにより難加工材に対処可能となることが開示されている。逆転式では被加工材の転倒はあるが捻転が無いことからパス衝突キズにも対処し易い。他方、鋼片単重が大きくなると製品までの圧延時間が長くなり、小径品には途中で被加工材の温度不足が生ずる。前端と後端で圧延温度に大きな差が生ずる。場合により再加熱装置が必要になると言う問題が生ずる。
当該方法は効果的に操業されているが、総合コストと単重問題でVHタンデムに勝てないのかほとんど普及しない。
本願発明は、直列粗圧延列において、
1) 低廉な方法により捻転工程を簡素・確実に処理し、
2) 難加工性材料にもある程度対処可能とし、
3) 将来性のある長方形断面の鋳片にも容易に適応することを解決すべき課題とする。
1)少なくとも圧延初パスは圧下率が20%以上の平ロールによること、
2)捻転機構がパス心と同軸に被圧下材断面を包摂する孔型を持つ垂直ピンチロールから成り、被圧下材の前端を受けて直ちにパス心回りに捻転して該前端を次パスの孔型に誘導し、後端が通過後元の位置に復帰する機構であること、
3)粗圧延後の断面形状が丸みのある正方形であること、
のうちのどれか一つ以上を組み込んだことを特徴とする第1発明に記載した連続鋳造鋳片の粗圧延方法である。
『直列』とは、各圧延機のパス心が一直線になる配置である。
『平ロール』とは、孔型を持たない円柱状のロールである。
『粗圧材』とは、粗圧延工程を通過した材料を言う。
その上、本発明の捻転機構は、1)被圧下材の軸心と圧延パス心と捻転用ピンチロールの孔型心を一致させており、2)被圧下材断面と同一孔型を持つピンチロールから成り、
3)且つ捻転角度は適宜調節可能としているので摺動作用が発生せず、無理なく次パスに誘導することができる。
その理由は以下である。直列式圧延では初パスの圧延速度は極めて小さい(例;0.1m/s)ので表皮のロール接触時間及びロール冷却水を被る時間が増加する。特に角部が過冷して加工性が低下する。当該鋼種ではその上に加熱時に結晶粒界が脆化・微少ワレが生じており、初パスにおいて表皮に引張が作用すると微少ワレが拡大する。孔型が菱(ダイアモンド)であると上下の角部は噛み込み直後の過冷と引張により、左右の角部は水冷と延伸に伴う単純引張によりワレ易い。孔型を箱(ボックス)にするとかなり改善されるが孔型隅部が摩耗してくるとワレが増加する。
平ロールではワレ易い鋳片の角部が噛み込みの進行につれて圧下面内に移行し、角部に近い側面が角部に移行する。その間、角部周辺に圧縮が作用した延伸になって微少ワレが開口しない。ワレを恐れて圧下率を小さくすると角部移行作用が小さくなりかえって効果が縮小する。これが圧下率を20%以上と特定した理由である。
現在旧式2流と見なされている直列全水平式粗圧延列も、やりようでは捨てたものではない評価が期待される。
第2段圧延機2、第3段圧延機3は拡幅を抑制するため比較的浅い箱孔型を採用し、圧下率を30%前後に設定して同一面を圧下する。断面3sは48mm×150mm、アスペクト比は3になる。
初段は平ロールを使用しているので横方向の拘束がない。傾斜摺動ガイド9を設けることが望ましい。
難加工性鋳片では角部にワレが生じ易いが、平ロールにより角部は圧下による圧縮状態で無理なく延伸(展伸に近似)し、ワレが生じにくい。
初パスの孔型を菱・長円等にするとワレが生じやすい。
次パスは箱(ボックス)孔型であるが、鋳片の角部相当部は孔型角部からずれていて、孔型底の平坦部で圧下されるので再びワレが生じにくい。
以後最終パスまで拡幅を抑制する箱孔型により丸みのある正方形に誘導する。
旋回駆動ギア36は被圧下材前端を受けて直ちに旋回するが、旋回角は必ずしも90°であるわけではない。実作業の中で最適角を探す。該ピンチロール33は後端が通過したら直ちに元の垂直位置に復帰する。
本願発明の方法は当該方法に次ぐ難加工性材料への対応能力がある。
図6は供試材の化学成分、図7は試験片の製作方法、図8は実験結果を示す。
供試材A(ボロン鋼)とF(ばね鋼)はワレの生じ易い鋼種であって、他は加工性に問題のない炭素鋼である。
試験片は鋳片の角部から楔形に切り出したもので、1回の圧延で広範な圧下率を試験することができる。楔形試験片のひれ部は角−菱圧延における角部(ワレが発生し易い)を想定したものであって、圧下に際して引張りのみが作用する。他にひれ無し試験片も製作した。ひれ無しは平ロールによる圧延に相当する。圧延速度は0.9m/sで逆転式圧延に近い。ロール冷却水も無いので表皮冷却は生じない。
ひれ無し試験片では図示したC曲線が高圧下率の側に移行した(図示せず)。即ち平ロール圧延により鋳片角部のワレ発生を抑制することができる。
平ロール圧延はしばしばロールコスト削減に使用されるが、熱間割れ対策に適用される事例は見当たらない。
世界的にビレットの断面形状は常に正方形、ブルームでは多くが長方形である。ビレットを長方形にすると種々の新しい効果が期待される。例えば、
1) 連続鋳造において鋳造能率(t/h)は機長(鋳込面から切断部位間での長さ)と断面アスペクト比の積に比例する。矩形化により能率が増加する。ストランド数の削減にも活用される。
2) 鋼片の再加熱に必要な時間は鋼片厚さにほぼ比例する。従って矩形化により加熱時間が短縮され、燃料効率や脱炭層の低減に有利である。本願発明は将来の可能性への対応を含む。
粗圧延後の断面形状を丸みのある正方形と特定した理由は、円とすると粗圧延故に真円ではないので、後続の孔型には常に捻れ傾向で噛み込み、融通無碍の管理になる。角では捻れない。
Claims (1)
- 連続鋳造鋳片から棒鋼・線材を製造する熱間圧延の上流を担う粗圧延において、圧延機の構造・配列が直列全水平式であって、断面アスペクト比(=圧下面幅/側面高さ)が1以下の方形断面鋳片の同一面を複数回圧下して断面アスペクト比が2以上4以下の被圧下材とし、該複数回圧下の際少なくとも初パスは圧下率20%以上の平ロール圧延、その後はボックス孔型圧延とし、次いでパス心と同軸に被圧下材断面を包摂する孔型を持つ垂直ピンチロールにより該被圧下材を中心軸回りに90°捻転し、再度複数回旧側面をボックス孔型によって圧下して断面鍛錬比(=鋳片断面積/被圧下材断面積)が5以上12以下の粗圧材とすることを特徴とする連続鋳造鋳片の粗圧延方法。
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