以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施形態例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1は、遊技盤1の正面図である。図1に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域が、ほぼ中央部に配置されたセンターケース5を境に第1遊技領域3aと第2遊技領域3bとに分けられており、センターケース5の左側が第1遊技領域3a、右側が第2遊技領域3bとなり、図に示したA部まで到達した遊技球は、第2遊技領域誘導路101を転動し、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に至り、Aに到達しない遊技球が第1遊技領域3a(センターケース5の左側)を流下することになる。また、この第1遊技領域3a,第2遊技領域3bには多数の遊技釘が植設されている。
センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(本発明の演出表示装置に相当)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11(本発明の始動口に相当)が配置されている。また、第1始動口11の左方には、4個の普通入賞口31が設けられている。なお、この普通入賞口31は、入球率が変化しない普通入賞口である。
センターケース5の右の第2遊技領域3bには、普通図柄作動ゲート17が配置され、普通図柄作動ゲート17の下には普通電動役物15からなる第2始動口12が配置されており、この普通電動役物15は開閉可能な翼片を供えこの翼片が開放しなければ第2始動口12への入球は不可となっている。普通電動役物15からなる第2始動口12の左下には大入賞口14が配置されている。
第1始動口11は、植設された遊技釘及びセンターケース5を構成する成型樹脂により、第2遊技領域3bを流下した遊技球が入球困難な構成となっている。これにより、第1始動口11は、ほぼ第1遊技領域3aを流下した遊技球のみが入球可能となる。
第2遊技領域3bの下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7、普通図柄保留数表示装置8と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10と、複数個のLEDからなる第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19とが配置されている。この位置に配置した各種表示装置の表示内容を遊技者が確実に認識することは困難となり、遊技中の遊技者は演出図柄表示装置6の表示内容に注目して遊技を行うことになる。
上記のように遊技盤1を構成することによって、第1遊技領域3aに遊技流を流下させた場合に限り第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図2参照)が遊技球を検出)し、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄(以下、第1特図とも記載)が変動を開始し、所定時間後に停止する。
第2遊技領域3bに遊技流を流下させると、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ17a(図2参照)が遊技球を検出)し、普通図柄表示装置7で普通図柄(以下、普図とも記載)が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普図の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図2参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物15の翼片が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図2参照)の検出)が可能となるように構成されている。第2始動口12である普通電動役物15に遊技球が入球(第2特図始動スイッチ12a(図2参照)が遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄(以下、第2特図とも記載)が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
本実施例では、第2始動口12は普通電動役物15の翼片が駆動しなければ遊技球が入球不可能な構成となっているが、入球が困難なだけで入球可能な構成としてもよい。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄(以降、特図ともいう)の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、同時に変動することはなく、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動(当否判定)を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し、且つ、第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始(当否判定を実施)する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて、後述する大入賞口ソレノイド14b(図2参照)が駆動する。大入賞口ソレノイド14bが駆動すると、ほぼ同期して大入賞口14の扉部材が開放し、大入賞口14への遊技球の入球(カウントスイッチ14a(図2参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
普通図柄作動ゲート17、普通電動役物15からなる第2始動口12、及び大入賞口14とは、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に配置されているため、大当り遊技状態、及び開放延長状態に移行した場合は、発射した遊技球の全てが第2遊技領域3bに到達するように発射ハンドルを調整することになる。
図2は、パチンコ機の電気的構成を示すブロック図となり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させる普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、普通入賞口31に入球した遊技球を検出する普通入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力され、裏配線中継端子板75を介して、前枠(ガラス枠)および内枠が閉鎖しているか否か検出するガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36の検出信号が入力される。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図2では普電役物ソレノイドと表記)17bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が行われ、払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を制御して賞球を払い出す。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
サブ統合制御装置83はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ67aの入力ならびに主制御装置80から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄制御装置82に出力する。
また、サブ統合制御装置83には、音量を調節する音量調節スイッチ83aが備えられ、音量調節スイッチ83aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ66へ送信する内容とを判断し、スピーカ66から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄等の演出画像を表示する。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
次に、図3の図表を用いて、遊技機の作動内容について概要を説明する。本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成され、第1始動口11及び第2始動口12への遊技球入球に基づく当否判定は、通常確率状態(低確率状態)と、該通常確率状態に比べて大当りとなる確率が高い高確率状態とのいずれかの遊技状態で実施される。本実施例では通常(低)確率が1/220、高確率が1/30に設定されている。なお、小当り確率は、通常遊技状態と高確率遊技状態とで同一の1/110となり、当選すると大入賞口14が1.6秒間開放する。
また、普通電動役物15(第2始動口12)の作動契機と作動時間を変化させる開放延長機能を備えており、開放延長機能未作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物15は0.2秒の開放動作を1回行い、開放延長機能作動時(開放延長状態)では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物15は1.0秒の開放動作を3回行うよう設定されている。また、開放延長機能が作動する遊技状態(開放延長状態)での第1及び第2特別図柄の変動パターン(変動時間)は、開放延長機能が未作動時の遊技状態で使用する変動パターン選択テーブルよりも平均変動時間が短くなるように設定された変動パターン選択テーブルを用いて選択される構成となっている。これにより、開放延長機能作動時の単位時間あたりの特別図柄の変動回数が、開放延長機能未作動時よりも増加する構成(時短状態)となっており、この時短機能は、開放延長機能の作動開始と終了との契機を同じくして作動する。
尚、開放延長機能作動時には、普通図柄の変動時間を短縮(単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加)する時短機能も作動する構成となっている。具体的には、開放延長機能未作動時となる通常時の普通図柄の変動時間は6.2秒に設定され、開放延長機能作動時の普通図柄の変動時間は0.7秒に設定されている。これにより、開放延長機能作動時では単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加し、普通電動役物の作動契機を大きく増加させている。よって、単位時間当たりの普通電動役物への入球率が増加し、第2特別図柄の変動回数が増えるとともに持球の減少が抑えられる。
大当り遊技は、全ての大当り時において大入賞口14が15ラウンド(1ラウンド最高29.0秒開放又は9カウント)の開放動作を行う。大当り図柄には確変図柄と通常図柄とがあり、確変図柄で大当りした場合は、大当り遊技終了後から次回の大当りまで高確率遊技状態に移行し、通常図柄で大当りした場合は、大当り遊技終了後、特別図柄が100回の変動表示を行うまで通常確率の時短(開放延長)状態となる。
次に、図4を用いて、主制御装置80が実行するメインルーチンを説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S75までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS80の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、ほとんどが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
S10が否定判定、即ち、正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(初期乱数更新処理(S80))に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数1更新処理(S30)、大当り図柄決定用乱数2更新処理(S35)、小当り図柄決定用乱数更新処理(S40)、当り決定用乱数更新処理(S45)、リーチ判定用乱数更新処理(S50)、変動パターン決定用乱数更新処理(S55)が行われる。
続く入賞確認処理(S60)では、第1始動口11、第2始動口12への入賞、大入賞口14への入賞、普通入賞口31への入賞及び普通図柄作動ゲート17への入球の確認、及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。各始動口及び作動口への入賞(入球)確認処理(始動入賞処理)については、図5を用いて後述する。
続いて、当否判定処理(S65)、画像出力処理等の各出力処理(S70)、不正監視処理(S75)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S80)をループ処理する。
次に、図5を用いて、主制御装置80が実行する始動入賞処理を説明する。本処理は、図4に示した入賞確認処理(S60)のサブルーチンの一つであり、本発明の保留記憶手段、先読判定手段を含む処理となる。
以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄始動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
本処理を開始すると、第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。肯定判定であれば(S100:yes)、主制御装置80に既に格納されている第1保留記憶数が上限数(本実施例では4個)未満であるか否か判定する(S105)。肯定判定であれば(S105:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を抽出し、第1保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第1保留記憶の数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S110) (本発明の保留記憶手段に相当)。
S110に続いては、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S115)。具体的には、大当り決定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、小当りを生起する値か否かを確認し、小当り値なら小当り図柄の種類を確認する。大当りでも小当りでもないハズレなら、ハズレ図柄の種類を確認する(本発明の先読判定手段に相当)。
続いて、S115の先読判定結果に基づいて第1先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S120)、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S125)。本実施例では、第1先読判定コマンドと第1保留数指示コマンドとを個別のコマンドとしてサブ統合制御装置83に送信しているが、この二つのコマンド内容を一つのコマンドに合成してサブ統合制御装置83に送信する構成も考えられる。また、保留記憶数コマンドの内容は、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示すものではなく、+1(1増)を示すものでもよい。
S125の処理、又はS100、S105の否定判定(S100:no、S105:no)に続いては、第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)S160に進み、肯定判定なら(S130:yes)、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S135)。否定判定なら(S135:no)S160に進み、肯定判定であれば(S135:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を抽出し、第2保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第2保留記憶の数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し(S140)(本発明の保留記憶手段に相当)、S115と同様に記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S145)(本発明の先読判定手段に相当)。
続いて、S145の判定結果に基づいて第2先読判定コマンドを生成しサブ統合制御装置83に送信し(S150)、S140で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S155)、S160に進む。
S160では、普通図柄作動スイッチ17aが遊技球を検出したか否か判定する(S160)。否定判定なら(S160:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S160:yes)、主制御装置80に格納されている普図保留記憶数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S165)。否定判定なら(S165:no)リターンに抜け、肯定判定であれば(S165:yes)、抽出した当り判定用乱数と当り図柄決定用乱数とを普図保留記憶として記憶し、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S170)、加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S175)、リターンする。
サブ統合制御装置83は第1及び第2保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置6上で表示する各保留記憶数を変化(保留図柄を表示)させる指示信号を演出図柄制御装置82に送信する。また、本実施例では、演出図柄表示装置6上では普通図柄の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置に送信する構成も考えられる。これにより、普通電動役物(第2始動口12)の開放を期待させる先読予告の実施が可能となる。
次に、図6,7,8を用いて、主制御装置80が実行する当否判定処理を説明する。本処理は、「始動口への入球に起因して導出表示を行い、該導出表示の結果に基づいて遊技者に有利な大当り遊技状態に制御するか否かを判定する」処理となる。
本処理を開始すると、条件装置が作動中か否か、即ち、大当り中か否か判定し(S200)、肯定判定なら(S200:yes)リターンし、否定判定なら(S200:no)、第1又は第2特別図柄が変動中か否か判定し(S205)、否定判定なら(S205:no)、第1又は第2特別図柄が確定表示中か否か判定し(S210)、否定判定なら(S210:no)、第2保留記憶が有るか否か判定し(S215)、肯定判定なら(S215:yes)、S225に進み、否定判定なら(S215:no)、第1保留記憶が有るか否か判定する(S220)。
S220が否定判定なら(S220:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S220:yes)S225に進む。S215とS220の判定順により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する構成となっている。尚、本実施例では、特別図柄が複数(第1特別図柄と第2特別図柄)の構成となっているが、特別図柄を1つとした構成であっても本発明の効果に変わりはない。また、2種類の特図が同時に変動可能な構成であっても本発明の効果に変わりはない。
S225では時短フラグの値が0か否か判定する(S225)。時短フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、値が「1」のときは時短状態、及び開放延長状態であることを、値が「0」のときは非時短状態、非開放延長状態であることを主制御装置80が判断する。S225が肯定判定なら(S225:yes)S230に進み、否定判定なら(S225:no)時短状態中の処理に進む。時短状態中の処理は、特図の変動時間を設定する変動パターン選択テーブルのみが異なる処理となるため説明は割愛する。
S230では、保留記憶のシフト処理を行い(S230)、これにより最も古い保留記憶を当否判定の対象とするとともに、保留記憶数を示す保留記憶カウンタから1を減算する。本実施例では、保留数が増加した時のみ保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する構成としているが、この減算に応じて、サブ統合制御装置83に減少を示す保留数指示コマンドを送信する構成としてもよい。
S230に続いては、当否判定の対象とした保留記憶の大当り判定用乱数の値と予め設定された当否判定テーブルとを比較して、乱数値が当否判定テーブル内の判定値と一致するか比較する(S235)。当否判定テーブルは通常確率(低確率1/220)用と高確率(1/30)用の2種類のテーブルが設定してあり、当否判定時の遊技状態が通常確率状態(確変フラグ「0」)であれば通常確率用の当否判定テーブルを用いて比較し、高確率状態(確変フラグ「1」)であれば高確率用の当否判定テーブルを用いて比較する。
続くS240の処理では、大当り判定用乱数の比較処理(S235)の結果が大当り(判定値と同一)であるか否か判定する(本実施例では1/220)。肯定判定なら(S240:yes)、図柄モード設定処理を行う(S245)。図柄モード設定処理では、判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態を決定する図柄モードを設定する。続いて、設定した図柄モードの種類と判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数2に基づいて大当り図柄選択処理を行う(S250)。これは、図柄モードの設定によって決定した大当りの種類(大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態)と大当り図柄との関連付けを行うために、図柄モードの種類毎に設定された図柄郡の中から表示する図柄を決定する処理となる。なお、このS250で選択した特図の大当り図柄の種類に応じて後述する保留内確定演出を実施する構成としてもよい。
次にS245で設定した図柄モードに基づいてモードバッファ設定処理を行う(S255)。モードバッファは当否判定時に決定した大当り遊技終了後の遊技状態の内容を、該遊技状態を設定する大当り遊技終了時まで記憶する装置である(大当り遊技中は遊技状態を設定する確変フラグ及び時短フラグをクリアする必要があるため)。モードバッファとしては、具体的な遊技内容(確変機能および開放延長機能(時短機能)の作動とその作動回数)は記憶せず、複数種類の具体的な遊技内容のそれぞれに対応した値を記憶する構成となっている。
次に、S245で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる大入賞口の開放パターン設定処理を行い(S260)、当否判定の対象とした保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10、及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターン(変動時間)を、変動パターン選択テーブルから選択する(S265)。
次に、選択した大当り図柄および変動パターンの情報を、変動指示コマンドとしてサブ統合制御装置83へ送信する(S270)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、大当り図柄および変動パターンの情報に対応する図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
S240が否定判定、即ちハズレなら(S240:no)、S235の比較処理の結果が小当りであるか否か判定し(S280)、肯定判定なら(S280:yes)、特図の種類、遊技状態、及び小当り図柄決定用乱数に基づいて小当り図柄を選択し(S285)、続いて小当り遊技の開放パターン設定処理を行い(S260)、小当り図柄に対応する前述した変動パターン選択処理を行い(S265)、小当り図柄および変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S270)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、小当り図柄および変動パターンの情報に基づいた第1又は第2特図に対応した演出図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は、第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
S280が否定判定なら(S280:no)、ハズレ図柄を選択し(S290)、続いてハズレ図柄に対応する変動パターン設定処理を行い(S265)、ハズレに関する図柄及び変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S270)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、ハズレ図柄および変動パターンの情報に基づいた擬似図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
次に、S205が肯定判定、即ち、特別図柄の変動中であれば(S205:yes)、図7のフローチャートに進み、特別図柄の変動時間(S265で選択された変動パターンに基づく)が経過したか否か判定する(S300)。否定判定なら(S300:no)リターンし、肯定判断なら(S300:yes)、確定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御してS250,S285又はS290で選択した確定図柄を確定表示させる(S305)。確定コマンドを受信したサブ統合制御装置83は演出図柄制御装置82に予め選択されていた擬似図柄を確定表示させる指示信号を送信し、演出図柄制御装置82は、その信号に応じて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄を確定表示させる。これにより、第1又は第2特別図柄と、演出図柄表示装置6に表示される擬似図柄の変動の開始と終了とが同じタイミングになる(同期する)。
S305に続いては、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10で確定表示させた第1又は第2特別図柄が、大当り図柄か否か判定し(S310)、肯定判定なら(S310:yes)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S315)、確変フラグが1か否か(高確率状態か否か)判定し(S320)、肯定判定なら(S320:yes)、確変フラグに0をセットし(S325)、S325、又はS320の否定判定(S320:no)に続いては、時短フラグが1か否か判定し(S330)、肯定判定なら(S330:yes)、時短フラグに0をセットし(S335)、S330、又はS335の否定判定(S335:no)に続いては、条件装置作動開始処理(S340)と、役物連続作動装置作動開始処理(S345)とを行うことで大当りを開始し、大当り開始演出指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S350)。
一方、S310が否定判定、即ち、確定図柄が大当りでなければ(S310:no)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S360)、確変フラグが1か否か判定し(S365)、肯定判定なら(S365:yes)、確変カウンタからデクリメントし(S370)、確変カウンタが0か否か判定し(S375)、肯定判定なら(S375:yes)、確変フラグに0をセットする(S380)。続いて、S380、又はS365,S375が否定判定なら(S365:no,S375:no)、時短フラグが1か否か判定し(S385)、肯定判定なら(S385:yes)、時短カウンタからデクリメントし(S390)、時短カウンタが0か否か判定し(S395)、肯定判定なら(S395:yes)、時短フラグに0をセットする(S400)。S365からS400によって、特別図柄が当否判定に応じたハズレ確定表示を行うごとに、高確率状態を規制する確変カウンタと時短(開放延長)状態を規制する時短カウンタとが計数され、これらのカウンタが所定値に至ることで遊技状態が変化(時短(開放延長)状態が終了し、通常状態(通常確変状態で、且つ、通常開放状態)に移行)する。
続いて、S400、又はS385,S395が否定判定なら(S385:no,S395:no)、確定表示された特別図柄が小当り図柄か否かを判断し(S405)、肯定判定なら(S405:yes)、小当り遊技の作動開始を行う処理を行い(S410)、S350,S410、又はS405の否定判定(S405:no)に続いては、上記処理の結果に基づく遊技状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S355)リターンする。
図6に戻り、S210が肯定判定、即ち、確定図柄の表示中なら(S210:yes)、図8のフローチャートに進み、確定図柄表示時間が経過したか否か判定し(S450)、否定判定なら(S450:no)リターンし、肯定判定なら(S450:yes)、確定図柄表示終了処理(S455)を行い、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、サブ統合制御装置83に疑似図柄の確定表示を終了させる指示信号を送信してリターンする。
図9に示した図表は、第1特別図柄と第2特別図柄の変動パターン(変動時間)に対応した演出図柄表示装置6で表示される変動演出の一例を示している。図表に示すように、どちらの特別図柄も変動時間が異なる変動パターンを複数備えており、通常変動1、2、3以外では所謂リーチが演出図柄表示装置6上で成立し、大当りを期待させる演出が行われる。第1特別図柄と第2特別図柄とでは、同一の変動パターンを備える構成としたが、夫々が異なる変動パターンを備えてもよく、第1特別図柄にしか存在しない変動パターンや、第2特別図柄にしか存在しない変動パターンがあってもよい。なお、変動パターン1は、時短状態(開放延長状態)のみで選択される変動パターンとなり、その変動時間の短さより、1回の変動中に十分な演出を行うことよりも、単位時間当たりで効率的に変動回数を消化すること優先している。
次に、図10に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する保留数指示コマンド受信処理を説明する。本処理を開始すると、保留数指示コマンドを受信したか否か判定する(S500)。否定判定なら(S500:no)リターンし、肯定判定なら(S500:yes)、サブ統合制御装置83が備える保留数カウンタに+1し(S505)、演出図柄制御装置82に保留数表示信号を送信し(S510)、リターンする。演出図柄制御装置82は、保留数表示信号を受信すると、受信時の保留数カウンタ値に応じて演出図柄表示装置6上に保留図柄を表示する。本実施例では1個の保留記憶に対して1個の保留図柄を表示する構成であり、詳細については図を用いて後述する。なお、保留数カウンタの値は、後述する変動指示コマンド受信処理において変動指示コマンドを受信するごとにデクリメントされる。これにより、絶えず主制御装置50が記憶すると同一数が管理される。
また、サブ統合制御装置83に保留数カウンタを備えない構成も考えられる。この構成では、主制御装置80が送信する保留数指示コマンドが保留記憶数を示し、サブ統合制御装置83は指示された数を保留記憶数として表示し、保留数指示コマンドは、変動開始時と、保留記憶発生時に主制御装置80から送信される構成となる。この構成でも、保留記憶図柄の増減タイミングは主制御装置80の保留数指示コマンドの送信タイミングと同じとなり演出図柄表示装置6上でも正確な保留数を報知することが可能となる。
次に、図11に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する先読判定コマンド受信処理を説明する。本処理は、保留記憶の先読判定内容を記憶する処理(先読判定内容記憶手段)となる。
本処理を開始すると、先読判定コマンド(図5、S120、又はS150に基づく)を受信したか否か判定し(S550)、否定判定なら(S550:no)、リターンし、肯定判定なら(S550:yes)、受信した先読判定コマンドの内容を保留記憶順に参照可能に記憶し(S555)リターンする。
次に、図12に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する変動指示コマンド受信処理を説明する。本処理は、受信した変動指示コマンドに基づいて演出図柄表示装置演出図柄6に表示する変動演出態様を選択して表示を指示する処理となる。
本処理を開始すると、変動指示コマンドを受信したか否か判定し(S600)、否定判定なら(S600:no)リターンし、肯定判定なら(S600:yes)、振分乱数1を抽出し(S605)、保留数カウンタからデクリメントし(S610)、デクリメントした保留カウンタに対応して記憶していた先読判定内容を削除し(S615)、受信した変動指示コマンドの内容と抽出した振分乱数1との値に基づいて、演出図柄表示装置6に表示する変動演出態様を選択し(S620)、後述する第1保留内確定演出実施決定処理を行い(S625)、演出図柄制御装置82に上記した処理で選択した擬似図柄の変動演出(先読演出となる第1保留内確定演出を含む)を演出図柄表示装置6に表示する指示を行い(S630)リターンする。
S625の第1保留内確定演出実施決定処理を図13のフローチャートを用いて説明する。本処理を開始すると、先読判定コマンド受信処理(図11)のS555で保留記憶に対応して順次記憶した先読判定内容を全て参照し(S650)、第1保留内確定演出の実行条件が成立しているか否か、即ち、参照した全ての先読判定内容の中に大当りがあるか否か判定し(S655)、肯定判定なら(S655:yes)、S620で所定の演出態様(例えば、図9で示した変動パターン4以降のいずれかに対応した所定の変動演出)が、選択されているか否か判定し(S660)、肯定判定なら(S660:yes)、第1保留内確定演出の実行判定処理を行う(S665)。
なお、S660、S665の判定では、保留記憶数に応じて第1保留内確定演出、又は第2保留内確定演出のいずれかを行うか否か判定してもよい。その場合、例えば、保留記憶数が1〜2個の場合は第2保留内確定演出の選択率を高くし、保留記憶数が3個以上の場合は第1保留内確定演出の選択率を高くする構成としてもよい。これにより、保留記憶数が少ない場合は、大当り遊技中まで保留内演出を待つことにより、保留が満杯になりやすい。
なお、第1保留内確定演出の実行タイミングとしては、始動口入賞時、所定の演出態様中ならばその変動途中から第1保留内確定演出を実行する構成も考えられるし、始動口入賞してから次の変動が所定の変動パターンである場合に第1保留内確定演出を実行する構成も考えられる。第1保留内確定演出の演出内容が変動途中からでも可能な場合は前者を採用すればよいし、変動開始からしか実行できないような演出ならば後者を採用すればよいし、どちらでも可能ならば当該変動と次の変動両方を参照した上で実行判定を行う構成でも良い。2変動分を対象にすれば、それだけ実行条件が成立しやすくなり第1保留内確定演出が発生しやすくなる。
S665の第1保留内確定演出の実行判定処理では、当該処理時の遊技状態を参照し、時短状態であれば第1保留内確定演出は実行しない。この判定は、時短状態では1回の変動演出が3.0秒と短いため、期待する演出効果を発揮しないための措置となる。また、実行する場合には、S605で抽出した振分乱数1を用いて複数種類備える第1保留内確定演出の中から実行する第1保留内確定演出を選択する。
無論、第1保留内確定演出をリーチ演出時に行なう仕様ならば、時短状態であってもリーチ演出を行う際には実行が可能なため、実施する構成にしても良いし、逆に時短状態の時だけ第1保留内確定演出を実行する構成とすることも考えられる。このようにすれば、時短状態の時だけ保留内に大当りがあることを示唆する変動演出が発生することから、通常遊技状態に比べて有利な時短状態が演出上も有利な状態とすることができる。更に時短状態では、通常状態に比べて保留記憶が多い状況となるため、この状況を演出面に好適に使うことができる。
S665に続いては、S665の処理結果として第1保留内確定演出が実行可能か否か判定し(S670)、肯定判定判定なら(S670)、第1保留内確定演出の実行をセットする(S675)。S675、又はS655、S660、S670の否定判定(S655:no、S660:no、S670:no)に続いては、S630(擬似図柄変動指示)に進む。
次に、図14に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する第2保留内確定演出実施判定処理を説明する。図13を用いて説明した第1保留内確定演出実施判定処理が、当否判定結果を報知する図柄の変動演出時に行う先読演出(第1保留内確定演出)の実施を判定する処理であったのに対して、本処理は大当り遊技中に行う先読演出(第2保留内確定演出)の実施を判定する処理となる。
本処理を開始すると、大当り開始演出指示コマンド(図7、S350参照)を受信したか否か判定し(S700)否定判定なら(S700:no)リターンし、肯定判定なら(S700:yes)、図13のS650と同様に、S555で保留記憶に対応して順次記憶した先読判定内容を全て参照し(S705)、第2保留内確定演出の実行条件が成立しているか否か、即ち、参照した全ての先読判定内容の中に大当りがあるか否か判定し(S710)、否定判定なら(S710:no)リターンし、肯定判定なら(S710:yes)、乱数を抽出して第2保留内確定演出を実行するか否か判定し、実行するならば、複数備える第2保留内確定演出の中から実行する第2保留内確定演出を選択する処理を行う(S715)。
さらに、第2保留内確定演出実行判定処理として、当該大当りが確定する変動演出中に第1保留内確定演出が実行されたか否かを確認し、確認結果に応じて第2保留内確定演出を実行するか否か判定してもよい。この場合の判定は、第1保留内確定演出を行っていた場合には、第2保留内確定演出を行わないと判定してもよいし、その逆で第1保留内確定演出を行っていた場合に第2保留内確定演出を行うと判定してもよいし、お互い実行条件が成立しさえすれば実行するようにシンプルな構成にしてもよい。
続いてS715の処理結果として第2保留内確定演出が実行可能か否か判定し(S720)、否定判定なら(S720:no)リターンし、肯定判定判定なら(S720:yes)、第2保留内確定演出の実行をセットして(S675)リターンする。
次に、図15から図19を用いて演出図柄表示装置6で実施する表示例を説明する。図15の1は、通常変動演出画面の基本構成を示している。具体的には、画面中央に擬似図柄表示領域を配置し、その領域内で第1特図又は第2特図の変動に対応して左中右の擬似図柄が変動演出を実施する。図は通常遊技状態(非開放延長状態、時短フラグ=0)であるため、第1特図に対応した擬似図柄の変動中であることを示している。
図15の2は、先読演出として図柄変動時に実施する第1保留内確定演出の表示例となり、(1)は、保留図柄の表示態様が変化する第1保留内確定演出1の表示例となる。この場合、左右の擬似図柄が同図柄で停止することでリーチが成立すると(所定の変動演出)、保留図柄がキャラクタ(熊の達吉)に変化することで、第1保留内確定演出1を実施している。この第1保留内確定演出1では、保留記憶に大当りがあることを報知するのであって、当該変動の期待度(大当りになる)を報知するものではない。
また、本実施例では、保留記憶数が3個以上ある場合に第1保留内確定演出1が実施可能であり、保留記憶が満タン(4個)の状態から変動を開始した状態で実施してもよいし、変動を開始して当該変動中に保留記憶が3個に増加した場合に実施してもよい。
また逆に、保留記憶が1個の状態や、次変動の保留が大当りになる、連続して大当りになる状況であることを条件とすることも考えられる。それならば、大当り後にハズレ変動を介することなく再びお大当りすることから、第1保留内確定演出として大当り遊技も介しながら2変動に渡る一連の演出として、遊技者に特別感を与えることができる。
図16の2(2)は、通常では実施されないリーチ演出(保留記憶内に大当りがある場合に実施されるリーチ演出(所定の変動演出))を実施することで保留記憶内に大当りがあることを報知する第1保留内確定演出2の表示例となる。図例は、「空手リーチ」を示し、このリーチが出現すれば、保留記憶内に大当りがあることの報知となる。
また、このリーチで大当りした場合(はずれる場合もある)に、保留連チャンの確定(保留記憶にも大当りがある)報知としてもよいし、この「空手リーチ」が出現した時点で、大当り確定、又は/及び保留内に大当りがあることが確定する構成でもよい。また、「空手リーチ」が出現した時点で、当該空手リーチの大当りは確定しないが、保留記憶内に大当りがあることは確定報知する構成でもよい。
図16の2(3)は、通常では表示されない擬似図柄を表示することで保留記憶内に大当りがあることを報知する第1保留内確定演出3の表示例となる。図例では、通常は表示されない擬似図柄「X」でリーチが成立することで保留記憶に大当りがあることを報知している。
このリーチで大当りした場合に、保留連チャンの確定(保留記憶にも大当りがある)報知としてもよいし、この「X」という擬似図柄が出た時点で、大当り確定、又は/及び保留内に大当りがあることが確定する構成でもよい。また、「X」という擬似図柄が出た時点で、大当りするかは確定しないが、保留記憶内に大当りがあることを確定報知する構成でもよい。
また、変動中図柄(保留記憶の個数を示す保留図柄が変動開始により消化された場合に、保留図柄が示していた予告表示などを引き継いで変動中に表示される図柄。)を表示する構成の遊技機ならば、変動中図柄を特別な図柄にすることにより第1保留内確定演出としてもよい。これならば、どのリーチに発展しても変動中図柄さえ特別な図柄に変化すれば良いため、リーチ演出が決定しても期待を持続することができる。
また、ボタン図柄(演出ボタンの操作を促すために表示される図柄)を特別な図柄にすることにより第1保留内確定演出としてもよい。これならば、リーチの最終局面などに演出ボタンの操作を促す際に保留内の大当りにも期待できることが示唆されるため、リーチ演出で最も盛り上がっているタイミングで更に盛り上げる効果が期待できる。
図17の3は、先読演出として大当り遊技中に実施する第2保留内確定演出の表示例となり、(1)は、大当り遊技のラウンド数を示すラウンド図柄の変化によって保留記憶内に大当りがあることを報知する第2保留内確定演出1の表示例となる。具体的には、通常はアラビア数字を表示するラウンド図柄がローマ数字に変化することで保留記憶内に大当りがあることを報知している。
(2)は、大当り遊技中の演出表示として通常では表示されない「ボクシング対決演出」が表示されることで保留記憶に大当りがあることを報知する第2保留内確定演出2の表示例となる。
図18の(3)は、大当り遊技のオープニング演出、又はエンディング演出として通常では出現しないキャラクタが出現することで保留記憶内に大当りがあることを報知する第2保留内確定演出3の表示例となる。
(4)も、大当り遊技中に専用の演出画面が出現することで保留記憶内に大当りがあることを報知する第2保留内確定演出4の表示例となるが、高確率状態への移行がV確(大当り遊技中に大入賞口内の特定領域(V)に遊技球が入球することで大当り遊技終了後に高確率状態に移行)によって決定する構成とした場合に、特定領域(V)入球時に「V」図柄を表示する際、さらにもう一つの「V」図柄を表示することにより、保留記憶に大当りがあることを報知する構成となる。
図19は、大当り遊技終了後に専用の演出画面が出現することで保留記憶内に大当りがあることを報知する第3保留内確定演出の表示例となる。このように、図柄の変動演出中、又は大当り遊技中以外にも、例えば大当り遊技終了後の遊技状態(図例では時短状態)で特別な演出モードを実施することで保留記憶内に大当りがあることを報知してもよい。これならば、数変動で大当りすることから、複数の変動を跨いだ一連の演出を行うことで遊技者に特別感を与えることができる。
以上が実施例の説明となる。図15の2(1)の説明では、第1保留内確定演出を実施する場合に所定数の保留記憶数を実施条件とする構成を説明したが、例えば、大当りする変動を開始した時に保留内確定演出の実行条件が成立し、保留が3個(変動開始時は必ず1つ保留記憶が消去されるため3個)で保留記憶内に大当りがあるならば、大当り遊技まで待って保留が満タン(4個)になってから第2保留内確定演出を行うよりも、変動時に行うことにより当該変動の大当りと保留内の大当りとを同時期に示唆して演出した方が遊技者にもインパクトを与えやすいため、第1保留内確定演出を優先して実行するのが好適である。
これにより、保留内確定演出の実行条件が成立した状態で所定の変動演出を開始する場合、保留記憶の数に応じて第1保留内確定演出を行うか第2保留内確定演出を行うかを選択できるようになる。
図16(3)を用いた表示例の説明では、演出図柄表示装置6に所定の図柄(擬似図柄)が表示されることで保留記憶内に大当りがあることを報知する構成としたが、第1特別図柄表示装置9、又は第2特別図柄表示装置10に所定の図柄(特別図柄)が表示されることで保留記憶内に大当りがあることを報知する構成としてもよく、この場合の特別図柄の所定の図柄は、例えば大当り図柄としてもよく、当該図柄で大当りすると(当該図柄に対応した擬似図柄を演出図柄表示装置6に表示した場合)に、保留記憶内にも当りがあることを報知することになり、遊技者の喜びを倍にすることができる。また、大当りした特別図柄の種類に応じて、保留内確定予告を図柄の変動演出中に行うか(第1保留内確定演出を行うか)、大当り遊技中に行うか(第2保留内確定演出)を行うかを選択する構成としてもよい。
実施例のパチンコ遊技機は、当否判定確率の確率状態として通常確率状態と高確率状態との二つの遊技状態を備え、さらに、普通電動役物の開放状態として非開放延長状態と開放延長状態との二つの遊技状態を備え、開放延長状態に移行する場合は、同時に図柄の変動時間が短縮される時短状態にも移行する構成とした。これにより、例えば、非開放延長状態では、平均変動時間が比較して長くなることにより変動演出中に十分な演出時間の確保ができるため当該変動演出が大当りとなる場合は第2保留内確定演出に比べ第1保留内確定演出を選択する割合を高めることが考えられ、開放延長状態であれば、変動演出時間の短縮により演出時間の確保が難しいため第2保留内確定演出を選択する割合を高める構成が好適であり、遊技状態に応じて保留内確定演出を変動演出時に行うか大当り遊技中に行うか効果的に選択することができる。