JP6670326B2 - 透明スクリーン - Google Patents

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Description

本発明は、透明スクリーンに関する。
近年、表示装置の一つとして、前面側からの光は反射し、裏面側からの光は透過する透明スクリーンが提案されている。
例えば、特許文献1には、光を透過可能であり、略平行平板状に形成された基材層と、基材層の映像源側とは反対側である裏面側に突出してスクリーン面に沿って1次元又は2次元方向に多数並べて配列され、光を透過可能な単位形状と、単位形状の裏面側頂部に設けられ、単位形状を通過した映像光を反射する反射層と、を備え、単位形状は、隙間を空けて配列されており、単位形状同士が配列される間には、基材層又は基材層と平行な平面が露出した状態となっている背景透過部が設けられている半透過型反射スクリーンが記載されている。この半透過型反射スクリーンは、前方からの映像光を反射面により反射させて観察可能としながらも、裏面側の背景を前方から観察可能なスクリーンである。
また、特許文献2には、通常の投影スクリーンにおいて、反射素子として、特定の偏光成分の光を反射する機能を有するコレステリック液晶からなる反射素子を用いることが記載されている。
ところで、投影スクリーンおよび透明スクリーンにおいて、観察者の後方から投影スクリーンの投影面に映像光を投影した場合には、すなわち、投影スクリーンへ正面から映像光を入射した場合には、光が最表面で反射されて(光源が映り込んで)正面方向への反射強度が高くなりすぎて、観察者が眩しさを感じるおそれがある。
これに対して、投影スクリーンで反射する、映像光の反射光と最表面での反射光との出射角度を異ならせることで、光源の映り込みが観察者に見えることを防止することが考えられている。
例えば、特許文献2では、コレステリック液晶層の液晶ドメインの螺旋軸方向の平均がこのコレステリック液晶層の表面の法線方向に対して傾いた状態となるように配向させることで、素子平面の法線方向に対して異方的な光学特性を得ることができ、映像光の反射光と最表面での反射光との出射角度を異ならせて、光源の映り込みが観察者に見えることを防止できることが記載されている。
特開2006−337944号公報 特開2006−284862号公報
しかしながら、特許文献2に記載される投影スクリーンにおいては、コレステリック液晶層の液晶ドメインの螺旋軸方向がばらついた状態になるため、映像光の反射光を拡散すると記載されている。
そのため、特定の方向への映像光の反射強度を高くできないという問題があった。また、背景からの光も散乱するため、透明性が低いことも問題であった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、前面側からの光は反射し、裏面側からの光は透過する透明スクリーンにおいて、映像光の反射光と最表面での反射光との出射角度を異ならせて、光源の映り込みが観察者に見えることを防止し、かつ、映像光の反射強度を高くでき、かつ、透明性を高くできる透明スクリーンを提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、光を透過可能な支持体と、支持体の一方の面に形成された、互いに平行な傾斜面を有する複数の凸部と、複数の凸部の各傾斜面上に形成された、コレステリック構造を有する液晶材料からなるコレステリック液晶層と、支持体の複数の凸部側の面に、コレステリック液晶層を覆って積層されるオーバーコート層とを有し、複数の凸部の傾斜面の法線と、コレステリック液晶層のコレステリック構造の螺旋軸とが平行であり、オーバーコート層表面の法線とコレステリック液晶層のコレステリック構造の螺旋軸とのなす角度が5〜42°であり、コレステリック液晶層と凸部との屈折率差が0.2以下であり、コレステリック液晶層とオーバーコート層との屈折率差が0.2以下であることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 光を透過可能な支持体と、
支持体の一方の面に形成された、互いに平行な傾斜面を有する複数の凸部と、
複数の凸部の各傾斜面上に形成された、コレステリック構造を有する液晶材料からなるコレステリック液晶層と、
支持体の複数の凸部側の面に、コレステリック液晶層を覆って積層されるオーバーコート層とを有し、
複数の凸部の傾斜面の法線と、コレステリック液晶層の前記コレステリック構造の螺旋軸とが平行であり、
オーバーコート層表面の法線と前記コレステリック液晶層の前記コレステリック構造の螺旋軸とのなす角度が5〜42°であり、
コレステリック液晶層と凸部との屈折率差が0.2以下であり、
コレステリック液晶層と前記オーバーコート層との屈折率差が0.2以下である透明スクリーン。
(2) オーバーコート層表面に対するコレステリック液晶層のコレステリック構造の螺旋軸の角度が15〜25°である(1)に記載の透明スクリーン。
(3) コレステリック液晶層と凸部との屈折率差が0.05以下であり、
コレステリック液晶層とオーバーコート層との屈折率差が0.05以下である(1)または(2)に記載の透明スクリーン。
(4) コレステリック液晶層が、互いに異なる波長域の光を反射する2以上の層からなる(1)〜(3)のいずれかに記載の透明スクリーン。
(5) オーバーコート層表面に垂直で、複数の凸部の傾斜面の傾斜方向に平行な断面において、凸部の形状が鈍角三角形であり、鈍角の頂点がオーバーコート層の表面側に配置される(1)〜(4)のいずれかに記載の透明スクリーン。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の透明スクリーンを2以上積層してなり、
各透明スクリーンのコレステリック液晶層が、互いに異なる波長域の光を反射する透明スクリーン。
本発明によれば、映像光の反射光と最表面での反射光との出射角度を異ならせて、光源の映り込みが観察者に見えることを防止し、かつ、映像光の反射強度を高くできる透明スクリーンを提供することができる。
本発明の透明スクリーンの一例を概念的に示す図である。 図1に示す透明スクリーンの一部を拡大して示す図である。 本発明の透明スクリーンの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の透明スクリーンの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の透明スクリーンの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の透明スクリーンの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の透明スクリーンの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の透明スクリーンの他の一例を概念的に示す図である。 本発明の透明スクリーンの他の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の透明スクリーンについて、添付の図面に示される好適な実施例を基に、詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
可視光は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380nm〜780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光である。
またこれに限定されるものではないが、可視光のうち、420nm〜495nmの波長域の光は、青色光であり、495nm〜570nmの波長域の光は、緑色光であり、620nm〜750nmの波長域の光は、赤色光である。
赤外光のうち、近赤外光は780nm〜2500nmの波長域の電磁波である。紫外光は波長10〜380nmの範囲の光である。
本明細書において、「ヘイズ」は、日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH−2000を用いて測定される値を意味する。
理論上は、ヘイズは、以下式で表される値を意味する。
(380〜780nmの自然光の散乱透過率)/(380〜780nmの自然光の散乱透過率+自然光の直透過率)×100%
散乱透過率は分光光度計と積分球ユニットを用いて、得られる全方位透過率から直透過率を差し引いて算出することができる値である。直透過率は、積分球ユニットを用いて測定した値に基づく場合、0°での透過率である。つまり、ヘイズが低いということは、全透過光量のうち、直透過光量が多いことを意味する。
屈折率は、波長589.3nmの光に対する屈折率である。
本発明の透明スクリーンは、光を透過可能な支持体と、
支持体の一方の面に形成された、互いに平行な傾斜面を有する複数の凸部と、
複数の凸部の各傾斜面上に形成された、コレステリック構造を有する液晶材料からなるコレステリック液晶層と、
支持体の複数の凸部側の面に、コレステリック液晶層を覆って積層されるオーバーコート層とを有し、
複数の凸部の傾斜面の法線と、コレステリック液晶層のコレステリック構造の螺旋軸とが平行であり、
オーバーコート層表面の法線とコレステリック液晶層のコレステリック構造の螺旋軸とのなす角度が5〜42°であり、
コレステリック液晶層と凸部との屈折率差が0.2以下であり、
コレステリック液晶層とオーバーコート層との屈折率差が0.2以下である透明スクリーンである。
図1に、本発明の透明スクリーンの一例を概念的に示す。
なお、本発明における図は模式図であり、各層の厚みの関係や位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。以下の図も同様である。
図1に示す透明スクリーン10aは、複数の凸部12bを有する支持体12と、凸部12bの傾斜面に形成されたコレステリック液晶層14と、支持体12の複数の凸部12b側の面に、コレステリック液晶層14を覆って積層されるオーバーコート層16とを有する。
また、映像光はコレステリック液晶層14が形成される側の面に入射される。すなわち、コレステリック液晶層14が形成される側の面が前面であり、反対側の面が裏面である。
ここで、本発明においては、凸部12bの傾斜面にコレステリック液晶層14を形成して、オーバーコート層16表面(透明スクリーン10aの表面)の法線とコレステリック液晶層14のコレステリック構造の螺旋軸とのなす角度(図2参照、以下「螺旋軸角度θ 1」ともいう)を5〜42°とし、コレステリック液晶層14と凸部12bとの屈折率差を0.2以下とし、コレステリック液晶層14とオーバーコート層16との屈折率差を0.2以下とする。
これにより、図1に矢印aで示すように、透明スクリーン10aに対して斜め方向から入射した光のうち、コレステリック液晶層14に到達した光は、コレステリック液晶層14で鏡面反射されて透明スクリーン10aの正面方向に出射される。一方、矢印bで示すように、オーバーコート層16の表面(透明スクリーン10a)の表面で反射された光は、オーバーコート層16表面で鏡面反射されて、斜め方向(図1中左上方向)に出射される。すなわち、コレステリック液晶層14で反射される光と、オーバーコート層16表面で反射される光の反射方向を異ならせることができ、光源の映り込みが観察者に見えることを防止することができる。
また、コレステリック液晶層14での鏡面反射により、透明スクリーン10aの正面方向に光を出射するので、正面における映像光の反射強度を高くできる。
なお、透明スクリーンに対して、斜め方向から光を入射するものとしては、例えば、映像源としていわゆる短焦点プロジェクタを用いて、透明スクリーンに対して斜め方向から大きな投影角度(透明スクリーンの主面の垂線を0°とする)で映像光を投影するシステムがある。本発明の透明スクリーンに、短焦点プロジェクタを用いて映像光を投影することで、映像光の反射光は透明スクリーンの正面方向に反射させ、最表面での反射光は正面方向以外の方向に反射させることができ、光源の映り込みが観察者に見えることを防止することができ、また、正面における映像光の反射強度を高くできる。
[支持体]
支持体12は、光を透過可能、すなわち、コレステリック液晶層が光を反射する波長において、光の反射率が低いことが好ましく、コレステリック液晶層が光を反射する波長において光を反射する材料を含んでいないことが好ましい。
また、支持体12は可視光領域において、透明であるのが好ましい。また、支持体12は、着色していてもよいが、着色していないか、着色が少ないのが好ましい。
支持体12は、平坦なシート状の基材12aと基材12aの一方の主面上に形成された複数の凸部12bとを有する。
図示例において、凸部12bは、直角三角形状の断面を有し、直角と隣接する面を基材12aの表面側にして形成される。また、凸部12bは、直角に隣接しない面が、基材12aの主面に対して所定の角度傾斜した傾斜面となる。
図に示すように、各凸部12bの傾斜面は互いに平行である。
また、図示例においては、凸部12bは、基材12aの長さ方向(図1中上下方向)において隙間なく密に配置されている。
各凸部12bの傾斜面には、後述するコレステリック液晶層14が形成される。所定の角度で傾斜した傾斜面にコレステリック液晶層を形成することで、コレステリック液晶層14のコレステリック構造の螺旋軸と、透明スクリーン10aの表面(オーバーコート層16の表面)の法線とのなす角度θ1(螺旋軸角度θ1)を5〜42°とすることができる。
なお、複数の凸部12bは、幅方向(図1中紙面に垂直な方向)には、延在する長尺な形状であってもよいし、複数の凸部12bが幅方向に配列されていてもよい。
また、凸部12bの大きさ、例えば、凸部12bの断面形状における基材12aと接する辺の長さ(以下、「凸部12bの長さ」という)、および、基材12a表面からの高さ(以下、「凸部12bの高さ」という)等には限定はないが、凸部の視認されにくさ、コレステリック液晶の配置のしやすさ、回折等の影響による虹ムラ防止等の観点から凸部12bの長さは、15μm〜300μmが好ましく、30μm〜100μmがより好ましい。また、凸部12bの高さは、1μm〜270μmが好ましく、9μm〜90μmがより好ましい。
また、凸部12bの傾斜面の、基材12の主面に対する傾斜角度は、後述するオーバーコート層表面の法線とコレステリック液晶層のコレステリック構造の螺旋軸とのなす角度が5〜42°になる角度であればよい。すなわち、傾斜面の傾斜角度は、5〜42°が好ましく、10〜25°であるのがより好ましく、15〜20°であるのが更に好ましい。
また、凸部12bとコレステリック液晶層14との屈折率差は0.2以下であり、0.05以下が好ましく、0.02以下がより好ましい。
凸部12bとコレステリック液晶層14との屈折率差を0.2以下とすることで、凸部12b(支持体12)とコレステリック液晶層14との界面での光の反射を抑制して、透明性を高くできる。
また、基材12aの厚さ(凸部12bを除く厚さ)は、用途に応じて選択すればよく、特に限定されないが、5μm〜1000μm程度であればよく、好ましくは10μm〜250μmであり、より好ましくは15μm〜150μmである。
また、基材12aとコレステリック液晶層14との屈折率差は0.2以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.02以下が特に好ましい。
基材12aとコレステリック液晶層14との屈折率差を0.2以下とすることで、基材12a(支持体12)とコレステリック液晶層14との界面での光の反射を抑制して、透明性を高くできる。
また、図1に示す透明スクリーン10aにおいては、平面状の基材12aの表面に、基材12aの主面に対して傾斜する傾斜面を有する複数の凸部12bを配置する構成としたが、これに限定はされない。
例えば、図3に示す透明スクリーン10bのように、基材部32aと凸部32bとが一体的に形成された支持体32を用いる構成としてもよい。
なお、図3に示す透明スクリーン10bにおいて、図1に示す透明スクリーン10aと同じ部位には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。この点は以下の図についても同様である。
あるいは、図4に示す透明スクリーン10cのように、多数の凸部が一体的に形成された凸部形成層34bと基材12aとを有する支持体34を用いる構成としてもよい。
また、図1に示す例においては、複数の凸部12bは、基材12aの長さ方向において隙間なく密に配置される構成としたが、これに限定はされず、図5に示す透明スクリーン10dのように、複数の凸部12bを離散的に配置する構成として、隣接する凸部12b間に間隙を設けてもよい。
凸部12bを密に配置した場合には、映像光の反射強度をより高くできる。一方、凸部12b間に間隙を設けて配置した場合には、透明性をより向上できる。
複数の凸部12bを隙間を空けて配置する場合の間隙の大きさには限定はないが、凸部12bの断面形状が直角三角形である場合には、L×tanα×tan2α程度の長さの間隙を有するのが好ましく、0.9×L×tanα×tan2α以上、1.1×L×tanα×tan2α以下の長さの間隙を有するのが好ましい。ここで、Lは凸部12bの断面形状の直角三角形における基材12aと接する辺の長さ、すなわち、凸部12bの長さであり、αは基材12aと接する鋭角の頂点における角度である。
凸部12b間の間隙の長さをこの範囲とすることで、透明スクリーンに対して斜め方向から光が入射した場合に、凸部12bの傾斜面に形成されたコレステリック液晶層14を効率よく利用することができる。
また、図1に示す例においては、凸部12bは、直角三角形状の断面を有し、直角と隣接する面を基材12aの表面側にして形成される構成としたが、螺旋軸角度θ1を5〜42°とできる傾斜面を有するものであれば、これに限定はされない。
一例として、図6に示す透明スクリーン10eは、複数の凸部12bの傾斜面の傾斜方向に平行な断面において、凸部12bの形状が鈍角三角形であり、鈍角の頂点がオーバーコート層の表面側、すなわち、基材12aの反対側に配置される構成を有する。
鈍角の角度θ2としては、90°+α程度の角度であるのが好ましく、(85°+α)以上、(95°+α)以下であるのが好ましい。
これにより、透明スクリーンに対して斜め方向から光が入射した場合に、凸部12bの傾斜面に形成されたコレステリック液晶層14を効率よく利用することができる。
なお、図6に示す例では、鈍角三角形状である凸部12bの一方の傾斜面上にコレステリック液晶層14が配置される構成としたが、これに限定はされず両方の傾斜面にコレステリック液晶層14が配置される構成としてもよい。
凸部の形状を傾斜面を2つ有する構成とし、両方の傾斜面にコレステリック液晶層14を配置することで、透明スクリーンへ複数の方向から光を入射可能となる。例えば、透明スクリーンの斜め下側から透明スクリーンに入射する光を正面方向に反射することができ、また、透明スクリーンの斜め上側から透明スクリーンに入射する光を正面方向に反射することができる。
また、両傾斜面に形成されるコレステリック液晶層が反射する光の変更方向を異ならせることで、映像光の右円偏光と左円偏光それぞれに、観察者の左目用または右目用の画像を表示させて立体視(いわゆる3D表示)を行うことができる。
このように、支持体は単層であっても、多層であってもよく、単層である場合の支持体32の形成材料の例としては、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、および、ポリオレフィン等が挙げられるが、反射した光の偏光状態を維持する観点で、複屈折性の小さいガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、および、アクリル等が好ましい。
多層である場合の支持体の形成材料の例としては、上記の単層である場合の支持体32の形成材料の例が基材12aの形成材料の例として挙げられる。
また、多層である場合の凸部を含む層の形成材料の例としては、モノマーを含む組成物を硬化して得られる樹脂層などが挙げられる。
樹脂は、特に限定されず、基材12aおよび/またはコレステリック液晶層14を形成する液晶材料への密着性などを考慮して選択すればよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。耐久性、耐溶剤性等の点からは、架橋により硬化するタイプの樹脂が好ましく、特に、短時間での硬化が可能である紫外線硬化性樹脂が好ましい。凸部12bの形成材料として用いることができるモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、および、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単層の場合の凸部32bの形成方法としては、平板状の支持体を加熱しつつ金型を押圧して支持体を金型の形状に応じた形状に成型する、いわゆるエンボス加工によって形成する方法が例示される。
また、多層の場合の凸部12bの形成方法としては、例えば、平板状の支持体12aの表面に凸部12bとなる樹脂組成物を塗布し、この樹脂組成物を、乾燥した後、金型で成型しつつ紫外線照射等によって硬化する、いわゆる、インプリントによる方法が例示される。
あるいは、金型に凸部12bとなる樹脂組成物を充填し、成型した樹脂組成物を支持体12a上に転写して紫外線照射等によって硬化して、凸部12bを形成してもよい。
なお、後述するコレステリック液晶層14を形成するため、支持体(凸部)は、表面に配向膜を有するのが好ましい。すなわち、表面に配向膜を有する支持体を用い、配向膜の表面に塗布液を塗布してコレステリック液晶層を形成するのが好ましい。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
ポリマーとしては、例えば、特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、および、ポリカーボネート等が例示される。シランカップリング剤もポリマーとして用いることができる。ポリマーとしては、水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、および、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ラビング処理は、液晶表示装置(LCD)等で用いられる液晶パネルの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。すなわち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
配向膜のラビング処理面に後述するコレステリック液晶層14となる組成物を塗布して、液晶性化合物の分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させることで、コレステリック液晶層14を形成することができる。
配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあるのが好ましい。
また、後述するコレステリック液晶層14を形成する際にコレステリック構造の配向方向をそろえるために、支持体(凸部)の表面エネルギーを調整してもよい。例えば、表面エネルギーを調整する処理としては、コロナ処理が挙げられる。
支持体12の凸部12bの傾斜面には、コレステリック液晶層14が配置される。
コレステリック液晶層14は、凸部12bの傾斜面の表面を覆う、厚さが均一な層状のものである。
[コレステリック液晶層]
コレステリック液晶層14は、波長選択反射性を有する。コレステリック液晶層14が選択反射性を示す光は特に限定されず、例えば、赤外光、可視光、紫外光などいずれであってもよい。例えば、透明スクリーンを、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光による画像と、透明スクリーンの裏面側の背景とを重畳して表示するスクリーンとして使用する場合には、コレステリック液晶層14が選択反射性を示す光は、可視光であることが好ましい。
あるいは、上記反射波長は、組み合わせて用いられる光源から照射される光の波長に従って選択されていることも好ましい。
コレステリック液晶層14は、コレステリック構造を有する液晶材料からなる。コレステリック液晶層14が選択反射性を示す光の波長はコレステリック液晶層14を形成する液晶材料のコレステリック構造における螺旋ピッチを調整することにより行うことができる。また、本発明の透明スクリーンにおけるコレステリック液晶層14は、後述のようにコレステリック構造の螺旋軸方向が凸部12bの傾斜面の法線方向と平行になる。
コレステリック液晶層14は着色していてもよいが、着色していないか、着色が少ないことが好ましい。これにより、透明スクリーンの透明性を向上できる。
(コレステリック構造)
コレステリック構造は、特定の波長において、選択反射性を示すことが知られている。選択反射の中心波長λは、コレステリック構造における螺旋構造のピッチ(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射波長を調節することができる。コレステリック構造のピッチは、コレステリック液晶層14の形成の際、重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63に詳細な記載がある。螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック構造は走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測されるコレステリック液晶層14の断面図において明部と暗部との縞模様を与える。この明部と暗部の繰り返し2回分(明部2つおよび暗部2つ)が螺旋1ピッチ分に相当する。このことからピッチは、SEM断面図から測定することができる。縞模様の各線の法線が螺旋軸方向となる。
なお、コレステリック構造の反射光は円偏光である。すなわち、透明スクリーン10aにおいてコレステリック液晶層14の反射光は円偏光となる。反射光が右円偏光であるか、または左円偏光であるかは、コレステリック構造における螺旋の捩れ方向による。コレステリック液晶による選択反射は、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
本発明では、コレステリック液晶層14として、右捩れおよび左捩れのいずれのコレステリック液晶を使用してもよい。あるいは、円偏光の方向は、組み合わせて用いられる光源から照射される光の円偏光の方向と同じに選択されていることも好ましい。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、液晶化合物の種類または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
また選択反射を示す選択反射帯(円偏光反射帯)の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折ΔnとピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnの調節は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調節したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
反射波長帯域の半値幅は、例えば、透明スクリーン10aに要求される性能等に応じて調節される。反射波長帯域の半値幅は、一例として、10〜500nmであればよく、好ましくは25〜100nmであればよい。
(コレステリック構造の作製方法)
コレステリック構造は、コレステリック液晶相を固定して得ることができる。コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
コレステリック構造を有するコレステリック液晶層14の形成に用いる材料としては、液晶化合物を含む液晶組成物などが挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
重合性液晶化合物を含む液晶組成物はさらに界面活性剤を含む。液晶組成物は、さらにキラル剤、重合開始剤を含んでいてもよい。
−−重合性液晶化合物−−
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であるのが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
重合性液晶化合物の具体例としては、下記式(1)〜(11)に示す化合物が挙げられる。
[化合物(11)において、X1は2〜5(整数)である。]
また、これ以外の重合性液晶化合物としては、特開昭57−165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。さらに、前述の高分子液晶化合物としては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9−133810号公報に開示されているような液晶性高分子、特開平11−293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75〜99.9質量%であるのが好ましく、80〜99質量%であるのがより好ましく、85〜90質量%であるのが特に好ましい。
−−界面活性剤−−
本発明者らは、コレステリック液晶層14を形成する際に用いる液晶組成物に界面活性剤を加えることにより、コレステリック液晶層14形成時に重合性液晶化合物が空気界面側で水平に配向し、螺旋軸方向が上述のように制御されたコレステリック液晶層14が得られる。一般的に、コレステリック液晶層14の形成のためには、印刷の際の液滴形状を保つため、表面張力を低下させない必要がある。そのため界面活性剤を加えてもコレステリック液晶層14の形成が可能である。
界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック構造とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ−ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、一例として、特開2014−119605号公報の[0082]〜[0090]に記載の化合物、特開2012−203237号公報の段落[0031]〜[0034]に記載の化合物、特開2005−99248号公報の[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の[0076]〜[0078]および[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、特開2007−272185号公報の段落[0018]〜[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、水平配向剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014−119605の[0082]〜[0090]に記載の下記一般式(I)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(I)において、L11、L12、L13、L14、L15、L16はおのおの独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−NRCO−、−CONR−(一般式(I)中におけるRは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、−NRCO−、−CONR−は溶解性を減ずる効果があり、コレステリック液晶層14の作製時にヘイズが上昇する傾向があることから、より好ましくは−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−であり、化合物の安定性の観点から、さらに好ましくは−O−、−CO−、−COO−、−OCO−である。Rが取り得るアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭素数は1〜3であるのがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基を例示することができる。
Sp11、Sp12、Sp13、Sp14はそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレン基を表し、より好ましくは単結合または炭素数1〜7のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基である。但し、アルキレン基の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。アルキレン基には、分枝があっても無くてもよいが、好ましいのは分枝がない直鎖のアルキレン基である。合成上の観点からは、Sp11とSp14が同一であり、かつ、Sp12とSp13が同一であるのが好ましい。
11、A12は1〜4価の芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基の炭素数は6〜22であるのが好ましく、6〜14であるのがより好ましく、6〜10であるのがさらに好ましく、6であるのがさらにより好ましい。A11、A12で表される芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例として、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を挙げることができる。これらの基の説明と好ましい範囲については、下記のTの対応する記載を参照することができる。A11、A12で表される芳香族炭化水素基に対する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、臭素原子、塩素原子、シアノ基などを挙げることができる。パーフルオロアルキル部分を分子内に多く有する分子は、少ない添加量で液晶を配向させることができ、ヘイズ低下につながることから、分子内にパーフルオロアルキル基を多く有するようにA11、A12は4価であるのが好ましい。合成上の観点からは、A11とA 12は同一であるのが好ましい。
11
で表される二価の基または二価の芳香族複素環基を表す(上記T11中に含まれるXは炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を表し、Ya、Yb、Yc、Ydはおのおの独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)のが好ましく、
より好ましくは、
であり、特に好ましくは、
である。
上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の炭素数は1〜8であり、1〜5であるのが好ましく、1〜3であるのがより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であるのが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができ、その中でもメチル基が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるアルコキシ基のアルキル部分については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。上記T11中に含まれるXがとりうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるエステル基としては、R’COO−で表される基を例示することができる。R’としては炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。R’がとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO−、C25COO−を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、Ydがとりうる炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。
二価の芳香族複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であるのが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例の説明と好ましい範囲については、上記のA1とA2の1〜4価の芳香族炭化水素が取り得る置換基に関する説明と記載を参照することができる。
Hb11は炭素数2〜30のパーフルオロアルキル基を表し、より好ましくは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは3〜10のパーフルオロアルキル基である。パーフルオロアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状であるものが好ましく、直鎖状であるのがより好ましい。
m11、n11はそれぞれ独立に0から3であり、かつm11+n11≧1である。このとき複数存在する括弧内の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であるのが好ましい。一般式(I)のm11、n11は、A11、A12の価数によって定まり、好ましい範囲もA11、A12の価数の好ましい範囲によって定まる。
11中に含まれるoおよびpはそれぞれ独立に0以上の整数であり、oおよびpが2以上であるとき複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。T11中に含まれるoは1または2であるのが好ましい。T11中に含まれるpは1〜4のいずれかの整数であるのが好ましく、1または2であるのがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、分子構造が対称性を有するものであってもよいし、対称性を有しないものであってもよい。なお、ここでいう対称性とは、点対称、線対称、回転対称のいずれかひとつに少なくとも該当するものを意味し、非対称とは点対称、線対称、回転対称のいずれにも該当しないものを意味する。
一般式(I)で表される化合物は、先に述べたパーフルオロアルキル基(Hb11)、連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12)m11−A11−L13−および−L14−A12−(L1 5−Sp13−L16−Sp14−)n11−、ならびに好ましくは排除体積効果を持つ2価の基であるTを組み合わせた化合物である。分子内に2つ存在するパーフルオロアルキル基(Hb11)は互いに同一であるのが好ましく、分子内に存在する連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12)m11−A11−L13−および−L14−A12−(L15−Sp13−L16−Sp14−)n11−も互いに同一であるのが好ましい。末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−および−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基であるのが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−
上式において、aは2〜30であるのが好ましく、3〜20であるのがより好ましく、3〜10であるのがさらに好ましい。bは0〜20であるのが好ましく、0〜10であるのがより好ましく、0〜5であるのがさらに好ましい。a+bは3〜30である。rは1〜10であるのが好ましく、1〜4であるのがより好ましい。
また、一般式(I)の末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−L12−および−L15−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基であるのが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−O−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−COO−
上式におけるa、bおよびrの定義は直上の定義と同じである。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。
−−キラル剤(光学活性化合物)−−
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ、アゾキシ、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−313189号公報、特開2003−313292号公報に記載の化合物を用いることができる。
キラル剤の具体例としては以下の式(12)で表される化合物が挙げられる。
式中、Xは2〜5(整数)である。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶性化合物量の0.01〜200モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。
−−重合開始剤−−
液晶組成物に重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%であるのがさらに好ましい。
−−架橋剤−−
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%未満であると、架橋密度向上の効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、コレステリック液晶層の安定性を低下させてしまうことがある。
−−その他の添加剤−−
コレステリック液晶層14の形成方法として、インクジェット法を用いる場合には、一般的に求められるインク物性を得るために、単官能重合性モノマーを使用してもよい。単官能重合性モノマーとしては、2−メトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート等が挙げられる。
また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
液晶組成物は、コレステリック液晶層14を形成する際には、液体として用いられることが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。上述の単官能重合性モノマーなどの上述の成分が溶媒として機能していてもよい。
液晶組成物は、支持体12上に塗布、乾燥されて、その後、硬化されてコレステリック液晶層14を形成する。
液晶組成物の塗布は、ワイヤーバーコータなどのバーコータ、ダイコータ、ワイヤーコータ、スピンコータ、ドクターブレード等の公知の塗布装置を用いて行うことができる。
あるいは、図1のように傾斜面のみにコレステリック液晶層を形成する場合には、印刷法が好適に利用可能である。印刷法としては特に限定されず、インクジェット法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などを用いることができる。
さらに、後述するように、1つのコレステリック液晶層の中に、互いに異なる波長域の光を反射する複数の領域を有する場合には、まず、支持体12側の層となる液晶組成物を塗布して硬化させて1層目を形成し、次に2層目となる液晶組成物を、1層目の上に打滴して硬化させて2層目を形成し、さらに、3層目以降も同様の方法で形成することで、反射する光の波長域あるいは偏光方向が異なる複数の領域を有するコレステリック液晶層14を形成することができる。
支持体12上に塗布された液晶組成物は必要に応じて乾燥または加熱され、その後、硬化される。乾燥または加熱の工程で、液晶組成物中の重合性液晶化合物が配向していればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
配向させた液晶化合物は、さらに重合させればよい。重合は、熱重合、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いるのが好ましい。照射エネルギーは、20〜50J/cm2が好ましく、10〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は250〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いことが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を、IR吸収スペクトルを用いて決定することができる。
コレステリック液晶層14の上には、オーバーコート層16が形成される。
オーバーコート層16は支持体12のコレステリック液晶層14が形成された面側に、コレステリック液晶層14を覆って設けられる。また、オーバーコート層16の表面は略平坦であり、また、支持体12の基材12aの主面と略平行である。
オーバーコート層16は特に限定されないが、コレステリック液晶層14の屈折率との差が小さいほど好ましく、屈折率の差が0.2以下であり、0.05以下であるのが好ましい。例えば、液晶材料からなるコレステリック液晶層14の屈折率は1.6程度であるので、屈折率が1.4〜1.8程度の樹脂層であるのが好ましい。コレステリック液晶層14の屈折率に近い屈折率を有するオーバーコート層16を用いることによって、コレステリック液晶層14とオーバーコート層16との屈折率差に起因する界面での反射を抑制でき、透明性を高くすることができる。
また、オーバーコート層16と支持体12との屈折率の差が小さいのが好ましい。
なお、オーバーコート層16は、反射防止層、粘着剤層、接着剤層としての機能を有していてもよい。
オーバーコートの例としては、モノマーを含む組成物をコレステリック液晶層14の表面に塗布、その後塗布膜を硬化して得られる樹脂層などが挙げられる。
樹脂は、特に限定されず、支持体12および/またはコレステリック液晶層14を形成する液晶材料への密着性などを考慮して選択すればよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。耐久性、耐溶剤性等の点からは、架橋により硬化するタイプの樹脂が好ましく、特に、短時間での硬化が可能である紫外線硬化性樹脂が好ましい。オーバーコートの形成に用いることができるモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オーバーコートの厚さは、特に限定されず、コレステリック液晶層14の最大高さを考慮して決定すればよく、1μm〜270μm程度であればよく、好ましくは5μm〜180μmであり、より好ましくは9μm〜90μmである。厚みは、コレステリック液晶層14が無い部分の支持体12の表面から対向する面にあるオーバーコート表面までの距離である。
ここで、図1に示す透明スクリーン10aにおいては、全てのコレステリック液晶層14が、同じ波長域の光を反射するものとしたが、これに限定はされず、互いに異なる波長域の光を反射するコレステリック液晶層を2種以上含む構成としてもよい。
例えば、610nm〜690nmの波長域の赤色光を反射するコレステリック液晶層と、515nm〜585nmの波長域の緑色光を反射するコレステリック液晶層と、420nm〜480nmの波長域の青色光を反射するコレステリック液晶層とをそれぞれ複数含む構成としてもよい。
このように、赤色光を反射するコレステリック液晶層、緑色光を反射するコレステリック液晶層、および青色光を反射するコレステリック液晶層を形成することで、入射される映像光の赤色光、緑色光および青色光を反射することができ、透明スクリーンに投影される映像をカラー表示することができる点、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光が赤色光であっても緑色光であっても青色光であっても利用可能である点等で好ましい。
なお、上述の例においては、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ反射するコレステリック液晶層を含む構成としたが、これに限定はされず、これ以外の波長域の光を反射するコレステリック液晶層を含んでいてもよい。
また、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ反射するコレステリック液晶層は、上記波長域の光を反射するものであればよく、反射波のピーク波長が上記波長域の範囲外であってもよい。
また、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ反射する3種のコレステリック液晶層からなる構成に限定はされず、例えば、赤色光を反射するコレステリック液晶層と、青色光を反射するコレステリック液晶層との2種を含む構成としてもよく、あるいは、さらに、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ反射するコレステリック液晶層に加えて、他の波長域の光を反射するコレステリック液晶層との4種以上を含む構成としてもよい。また、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光の波長に応じて、コレステリック液晶層の反射波長を調整することで、映像光のみを効率良く反射し、映像光に含まれない波長の光を透過させることができ、より透明性を高めることができる。さらには、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光の波長を狭帯域にし、透明スクリーンのコレステリック液晶層の反射帯域を対応させることで、その効果を高めることもできる。
また、互いに異なる波長域の光を反射するコレステリック液晶層を2種以上有する場合には、コレステリック液晶層の配列には特に限定はなく、例えば、交互に配列してもよいし、あるいは、ランダムに配列してもよい。
ここで、上記コレステリック液晶層を構成する液晶材料のコレステリック構造の反射光は円偏光である。すなわち、液晶材料のコレステリック構造は、右円偏光または左円偏光の一方を選択的に反射し、他方を透過する。
したがって、本発明においては、複数形成されるコレステリック液晶層は、全てのコレステリック液晶層が同じ円偏光を反射する構成であってもよいし、あるいは、右円偏光を反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層とを含む構成としてもよい。
右円偏光を反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層とを含む構成とすることで、映像光の右円偏光と左円偏光とを反射でき反射率を向上できる点、映像光の右円偏光と左円偏光それぞれに、観察者の左目用または右目用の画像を表示させて立体視(いわゆる3D表示)を行うことができる点、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光が右円偏光であっても左円偏光であっても利用可能である点等で好ましい。
また、液晶材料のコレステリック構造が、右円偏光または左円偏光の一方を選択的に反射し、他方を透過する場合には、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光を右円偏光、もしくは左円偏光のいずれか一方とし、その映像光に対応した円偏光を反射させるコレステリック液晶層を用いた透明スクリーンと組み合わせることで、映像光のみを効率良く反射し、映像光に含まれない円偏光を透過させることができ、より透明性を高めることができる。
なお、コレステリック構造の反射光が右円偏光であるか、または左円偏光であるかの円偏光選択反射性は、コレステリック構造の螺旋の捩れ方向による。コレステリック液晶による選択反射は、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
さらに、互いに異なる波長域の光を反射するコレステリック液晶層を2種以上有し、かつ、各波長域の光を反射するコレステリック液晶層として、右円偏光を反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層を有していてもよい。
互いに異なる波長域の光を反射するコレステリック液晶層を2種以上有し、かつ、各波長域の光を反射するコレステリック液晶層として、右円偏光を反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層を有する構成とすることで、透明スクリーンに投影される映像をカラー表示することができる点、映像光の右円偏光と左円偏光それぞれに、観察者の左目用または右目用の画像を表示させて立体視(いわゆる3D表示)を行うことができる点、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光の、波長域や円偏光の方向によらず利用可能である点等で好ましい。
また、図1に示す例では、各コレステリック液晶層はそれぞれ、1つの波長域の光を反射する構成としたが、これに限定はされず、1つのコレステリック液晶層が、複数の波長域の光を反射する構成としてもよい。すなわち、1つのコレステリック液晶層内に互いに異なる波長域の光を反射する層を2以上有するコレステリック液晶層を含む構成としてもよい。
図7に本発明の透明スクリーンの他の一例の概略断面図を示す。
図7に示す透明スクリーン10fは、コレステリック液晶層として、1つのコレステリック液晶層内に、赤色光を反射する赤色層15Rと、緑色光を反射する緑色層15Gと、青色光を反射する青色層15Bとを有する3層コレステリック液晶層14Tを含む構成を有する。
具体的には、3層コレステリック液晶層14Tは、凸部12b側の、赤色層15Rと、赤色層15Rの表面に積層された緑色層15Gと、緑色層15Gの表面に積層された青色層15Bとの3層を基板12の法線方向に積層した構成を有する。
このような3層コレステリック液晶層14Tは、赤色光を反射する層、緑色光を反射する層および青色光を反射する層を有するので、1つのコレステリック液晶層で、入射した映像光の赤色光、緑色光および青色光を反射することができる。
したがって、透明スクリーンに投影される映像をカラー表示することができる。また、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光が赤色光であっても緑色光であっても青色光であっても利用可能である。また、映像光の赤色光、緑色光および青色光を反射でき、反射率を向上できる。
なお、図7に示す例では、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ反射する3層を有する構成としたが、これに限定はされず、互いに異なる波長域の光を反射する2層からなるものであってもよく、あるいは、4層以上からなるものであってもよい。
また、図7に示す例では、3層コレステリック液晶層14Tは、凸部12b側から赤色層15R、緑色層15Gおよび青色層15Bの順に積層する構成としたがこれに限定はされず、各層の積層順はどのような順番であってもよい。
また、各コレステリック液晶層はそれぞれ、右円偏光と左円偏光のいずれか一方を反射する構成としたが、これに限定はされず、1つのコレステリック液晶層が、右円偏光と左円偏光とを反射する構成としてもよい。すなわち、1つのコレステリック液晶層内に右円偏光を反射する領域と、左円偏光を反射する領域とを有するコレステリック液晶層を含む構成としてもよい。
このようなコレステリック液晶層は、右円偏光を反射する層と左円偏光を反射する層とを有するので、1つのコレステリック液晶層で、入射した映像光の右円偏光および左円偏光を反射することができる。
したがって、映像光の右円偏光および左円偏光を反射でき、反射率を向上できる。また、映像光の右円偏光と左円偏光それぞれに、観察者の左目用または右目用の画像を表示させて立体視(いわゆる3D表示)を行うことができる。また、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光が右円偏光であっても左円偏光であっても利用可能である。
さらに、1つのコレステリック液晶層が、複数の波長域の光を反射し、かつ、各波長域の右円偏光と左円偏光とを反射する構成としてもよい。
また、本発明においては、上述した透明スクリーンを1つのユニットとして、複数の透明スクリーンユニットを厚さ方向に積層して1つの透明スクリーンとしてもよい。その際、各透明スクリーンユニットは異なる波長域の光を反射するものであるのが好ましい。
図8に本発明の透明スクリーンの他の一例を示す。
図8に示す透明スクリーン100aは、上述した透明スクリーン10aを1つの透明スクリーンユニットとして、3つの透明スクリーンユニット10aR、10aGおよび10aBを厚さ方向に積層した構成を有する。
また、各透明スクリーンユニットは、それぞれ異なる波長域の光を反射するものであり、透明スクリーンユニット10aRは、赤色光を反射する赤色コレステリック液晶層14Rを有し、透明スクリーンユニット10aGは、緑色光を反射する緑色コレステリック液晶層14Gを有し、透明スクリーンユニット10aBは、青色光を反射する青色コレステリック液晶層14Bを有する。
このように、異なる波長域の光を反射する複数の透明スクリーンユニットを積層した構成とすることで、入射される映像光の赤色光、緑色光および青色光を反射することができ、透明スクリーンに投影される映像をカラー表示することができ、プロジェクタ等の映像装置から出射される映像光が赤色光であっても緑色光であっても青色光であっても利用可能である。
なお、透明スクリーンユニット10aR、透明スクリーンユニット10aG、および、透明スクリーンユニット10aBにおいて、支持体12の形成材料および/または厚さは、同じでも、互いに異なってもよい。
透明スクリーンユニット10aR、透明スクリーンユニット10aG、および、透明スクリーンユニット10aBにおいて、コレステリック液晶層14の形成材料および/または厚さは、同じでも、互いに異なってもよい。
また、透明スクリーンユニット10aR、透明スクリーンユニット10aG、および、透明スクリーンユニット10aBにおいて、螺旋軸角度θ1は同じであっても、異なってもよい。
また、透明スクリーン100aにおいて、透明スクリーンユニット10aR、透明スクリーンユニット10aG、および、透明スクリーンユニット10aBは、積層されて、オーバーコート層16および支持体12の形成材料に応じた接着剤によって、接着される。あるいは、オーバーコート層16が接着剤を兼ねてもよい。
なお、接着剤は、十分な光透過性を有するものを使用する。
また、透明スクリーン100aにおいては、透明スクリーンユニット10aR、透明スクリーンユニット10aG、および、透明スクリーンユニット10aBの順に積層されているがこれに限定はされず、透明スクリーンユニット10aR、透明スクリーンユニット10aG、および、透明スクリーンユニット10aBの積層順には限定はない。
以上、本発明の透明スクリーンについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
実施例1として、図8に示すような3層の透明スクリーン100aを作製した。
<支持体の作製>
<<基材の作製>>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤(A)16質量部、メチレンクロライド92質量部およびメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、6.0質量部であった。
得られたドープを、バンド延伸機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で10分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のトリアセチルセルロースフィルムを作製した。
このフィルムを、基材とする。
<<凸部の形成>>
のこぎり歯状の直角三角形状を複数有する金型(ニッケル製、直角三角形の長さ100μm、高さ18μm、傾斜面の傾斜角度10°)上に、UV硬化樹脂(PAK−02:東洋合成製)を滴下し、その上に基材をかぶせ、UV硬化樹脂が基材全体にいきわたる事を確認し、500mJ/cm2の紫外線を照射した後、基材と金型を剥離し、支持体を作製した。
<透明スクリーンユニットの作製>
<<青色コレステリック液晶層用液晶液の調製>>
下記に示すコレステリック液晶液1を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、コレステリック液晶液1を調製した。
(コレステリック液晶液1)
メトキシエチルアクリレート 145質量部
下記の棒状液晶化合物の混合物 100質量部
IRGACURE 819 (BASF社製) 10質量部
下記構造のキラル剤A 5.78質量部
下記構造の界面活性剤 0.08質量部
棒状液晶化合物
数値は質量%である。また、Rは酸素で結合する基である。
キラル剤A
界面活性剤
<<青色コレステリック液晶層の形成>>
上記で調製したコレステリック液晶液1を、作製した支持体の凸部の傾斜面に、インクジェットプリンター(DMP−2831、FUJIFILM Dimatix社製)にて、厚さ2.8μmになるように液量を調整して打滴した。95℃、30秒間乾燥した後に、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射し、傾斜面上に青色コレステリック液晶層を形成した。これを光学部材01とする。
<<緑色コレステリック液晶層の形成>>
キラル剤の添加量を5.1質量部にし、厚さ3.5μmになるように液量を調整して打滴した以外は,コレステリック液晶液1と同様にコレステリック液晶液2を調製した。
このコレステリック液晶液2を用いた以外は、光学部材01の作製と同様にして、凸部の傾斜面に緑色コレステリック液晶層を有する光学部材02を作製した。
<<赤色コレステリック液晶層の形成>>
キラル剤の添加量を4.4質量部にし、厚さ4.0μmになるように液量を調整して打滴した以外は,コレステリック液晶液1と同様にコレステリック液晶液3を調製した。
このコレステリック液晶液3を用いた以外は、光学部材01の作製と同様にして、凸部の傾斜面に赤色コレステリック液晶層を有する光学部材03を作製した。
<<オーバーコートの形成>>
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、オーバーコート用塗布液を調製した。
(オーバーコート用塗布液)
アセトン 100質量部
KAYARAD DPCA-30(日本化薬株式会社製) 30質量部
EA−200(大阪ガスケミカル社製) 70質量部
IRGACURE 819 (BASF社製) 3質量部
調製したオーバーコート用塗布液1を、エンボス加工した光学部材01、光学部材02および光学部材03のコレステリック液晶層上に、#15のバーコーターを用いて、それぞれ塗布した。
次に、オーバーコート用塗布液1を塗布した光学部材01、光学部材02および光学部材03を厚さ方向に積層し、その後、膜面温度が50℃になるように加熱し、60秒間乾燥した後に、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応を進行させ、オーバーコート層を形成すると共に、光学部材01、光学部材02および光学部材03を接着し、透明スクリーン100aを作製した。
各コレステリック液晶層の螺旋軸角度θ1は、いずれも10°である。
また、コレステリック液晶層と凸部との屈折率差は0.08であり、コレステリック液晶層とオーバーコート層との屈折率差は0.02である。
[実施例2〜4]
凸部の傾斜面の傾斜角度をそれぞれ15°、20°、25°とし、バーの番手をそれぞれ#20、#28、#35とした、すなわち、螺旋軸角度θ1をそれぞれ15°、20°、25°としてバーの番手を変更した以外は、実施例1と同様にして、透明スクリーン100aを作製した。
[実施例5]
互いに異なる波長域の光を反射するコレステリック液晶層を3層有する構成とした以外は、実施例2と同様にして、図7に示すような透明スクリーン10fを作製した。
具体的には、上記コレステリック液晶液1、コレステリック液晶液2およびコレステリック液晶液3を用いて、3層構成のコレステリック液晶層を、図7に示す順に積層するように形成して透明スクリーン10fを作製した。
[実施例6]
凸部の断面形状を鈍角三角形状とし、鈍角を110°とした以外は、実施例2と同様にして、図9に示すような3層の透明スクリーン100eを作製した。
[実施例7]
隣接する凸部間に92μmの間隙を有する構成とした以外は、実施例2と同様にして、3層の透明スクリーンを作製した。
[実施例8]
コレステリック液晶液を打滴する際に、インクジェットプリンターJV400SUV(ミマキ社製)を用いること以外は、実施例1と同様にして、透明スクリーン100aを作製した。
ここでJV400SUVの構造について記載する。
JV400SUVはシャトルスキャン型ソルベントUVプリンターであり、加熱系としてプレヒーター、プリントヒーター、ポストヒーターを有し、最下流に硬化光源として熱陰極管を有する構成となっている。
プレヒーターとは基材を印字前に暖めるヒーターであり、プリントヒーターは、印字時に基材を暖めるヒーターであり、ポストヒーターは印字後に加熱し、着弾したインクから有機溶剤を揮発させるため、および液晶化合物の配向を促進させるためのヒーターである。インク中の溶剤は硬化前に揮発され、溶剤が除去された状態で熱陰極管によって硬化される。
なお、印字条件は24pass双方向、プレヒーター、プリントヒーター、ポストヒーターは各々60℃に設定した。
[比較例1]
コレステリック液晶層に代えて、金属層を形成した以外は実施例2と同様にして透明スクリーンを作製した。
金属層は、真空スパッタ法により、Agを支持体上に蒸着した。この時、透過率が30%になるように膜厚を調整した。
[比較例2および3]
凸部の傾斜面の傾斜角度をそれぞれ2°、50°とした、すなわち、螺旋軸角度θ1をそれぞれ2°、50°とした以外は、実施例1と同様にして、透明スクリーンを作製した。
[評価]
<反射率>
プロジェクターEH−TW410(EPSON製)を用いて、60度から各透明スクリーンに白画像を投影し、透明スクリーンの法線方向(つまり正面方向)から輝度を色彩輝度計BM−5(トプコン製)測定し、反射率を算出した。
ここで、透明スクリーンの位置に鏡を配置し、プロジェクターと正反射の位置に色彩輝度計を配置したときの正反射光の輝度を100として反射率を算出した。
また、ヘイズメーターNDH−2000(日本電色工業株式会社製)を用いて、透過率とヘイズ値とを測定した。
結果を表1に示す。
なお、表1において、オーバーコート層をOC層と表す。
表1に示すように、螺旋軸角度が5〜42°で、コレステリック液晶層と凸部、および、オーバーコート層との屈折率差が0.2以下である本発明の実施例1〜7は、比較例1〜3と比べて、正面での反射率が高く、かつ、透過率が高く、また、ヘイズ値が小さいことがわかる。
また、実施例1〜4の対比から螺旋軸角度は、15〜20°がより好ましいことがわかる。
また、実施例2と実施例6、7との対比から、凸部の断面形状を鈍角三角形とすることで、あるいは、凸部間に間隙を設けて配置することで、反射率および透過率が高くなりより好ましいことがわかる。
以上より本発明の効果は明らかである。
10、10a〜10f 透明スクリーン
12、32、34 支持体
12a 基材
12b、32b 凸部
14 コレステリック液晶層
14R 赤色コレステリック液晶層
14G 緑色コレステリック液晶層
14B 青色コレステリック液晶層
14T 3層コレステリック液晶層
15R 赤色領域
15G 緑色領域
15B 青色領域
16 オーバーコート層
32a 基材部
34b 凸部層
θ1 螺旋軸角度
θ2 鈍角角度

Claims (5)

  1. 光を透過可能な支持体と、
    前記支持体の一方の面に形成された、互いに平行な傾斜面を有する複数の凸部と、
    前記複数の凸部の各傾斜面上に形成された、コレステリック構造を有する液晶材料からなるコレステリック液晶層と、
    前記支持体の前記複数の凸部側の面に、前記コレステリック液晶層を覆って積層されるオーバーコート層とを有し、
    前記オーバーコート層表面に垂直で、前記複数の凸部の前記傾斜面の傾斜方向に平行な断面において、前記凸部の形状が鈍角三角形であり、鈍角の頂点が前記オーバーコート層の表面側に配置され、
    前記凸部は前記支持体上に密に配置されており、
    前記凸部の傾斜方向に隣接する前記凸部同士は接して配置されており、
    前記複数の凸部の傾斜面の法線と、前記コレステリック液晶層の前記コレステリック構造の螺旋軸とが平行であり、
    前記オーバーコート層表面の法線と前記コレステリック液晶層の前記コレステリック構造の螺旋軸とのなす角度が5〜42°であり、
    前記コレステリック液晶層と前記凸部との屈折率差が0.2以下であり、
    前記コレステリック液晶層と前記オーバーコート層との屈折率差が0.2以下であることを特徴とする透明スクリーン。
  2. 前記オーバーコート層表面に対する前記コレステリック液晶層の前記コレステリック構造の螺旋軸の角度が15〜25°である請求項1に記載の透明スクリーン。
  3. 前記コレステリック液晶層と前記凸部との屈折率差が0.05以下であり、
    前記コレステリック液晶層と前記オーバーコート層との屈折率差が0.05以下である請求項1または2に記載の透明スクリーン。
  4. 前記コレステリック液晶層が、互いに異なる波長域の光を反射する2以上の層からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明スクリーン。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明スクリーンを2以上積層してなり、
    各透明スクリーンのコレステリック液晶層が、互いに異なる波長域の光を反射する透明スクリーン。
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