JP6670195B2 - 駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機と被駆動部との動力伝達経路上に、断接手段が設けられた駆動装置に関する。
特許文献1には、車両の左車輪を駆動する第1電動機と、第1電動機と左車輪との動力伝達経路上に設けられた第1遊星歯車式変速機と、を有する左車輪駆動装置と、車両の右車輪を駆動する第2電動機と、第2電動機と右車輪との動力伝達経路上に設けられた第2遊星歯車式変速機と、を有する右車輪駆動装置と、を備える車両が記載されている。第1及び第2遊星歯車式変速機は、サンギヤにそれぞれ第1及び第2電動機が接続され、プラネタリキャリアにそれぞれ左車輪及び右車輪が接続され、リングギヤ同士が互いに連結されている。また、連結されたリングギヤには、リングギヤを解放又は締結することによりリングギヤの回転を制動するブレーキ手段と、電動機側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに係合状態となるとともに、電動機側の他方向の回転動力が車輪側に入力されるときに非係合状態となり、車輪側の一方向の回転動力が電動機側に入力されるときに非係合状態となるとともに、車輪側の他方向の回転動力が電動機側に入力されるときに係合状態となる一方向クラッチと、が設けられている。
このような電動車両においては、一般的に、インバータ等の電動機制御装置を用いて、蓄電装置からの直流電力を交流電力に変換する。また、電動機としては、界磁磁束の高密度化や電力回生の容易性などから、ロータに永久磁石が埋め込まれた永久磁石型同期機が採用される場合がある。永久磁石は、環境温度に応じてその特性が変化することが知られており、例えば、低温の使用環境においては永久磁石の磁束密度が増加する。これにより、低温時には、電動機が回転することによって生じる逆起電圧が増加する。この結果、低温時には、電動機を駆動するためのインバータ(特に、スイッチング素子)の絶縁耐量(以下、耐圧限界と呼ぶ。)を超えるような逆起電圧が生じるおそれがある。
特開2012−214176号公報
しかしながら電動機の永久磁石温度を推定することは困難である。そのため、このような車両においては、ATF(Automatic transmission fluid)温度に基づいて、車速制限を設け、所定の車速以下ではブレーキ手段を解放し逆起電圧からインバータを保護している。
ここで、永久磁石温度とATF温度間の温度差と、センサのばらつきを考慮すると、比較的高い温度から車速制限をかけなければならず、電動機を用いた車両走行領域が狭まってしまうという課題があった。また、環境温度に限らず、インバータの耐圧限界まで電動機を用いた車両走行領域を拡大したいという要求もある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電動機制御装置を保護しつつ、断接手段の締結状態をできるだけ長く確保可能な駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
車両(例えば、後述の実施形態の車両3)の駆動力を発生する電動機(例えば、後述の実施形態の第1電動機2A、第2電動機2B)と、
前記電動機を制御する電動機制御装置(例えば、後述の実施形態のインバータ)と、
前記電動機と前記車両の車輪(例えば、後述の実施形態の後輪Wr)との動力伝達経路上に設けられ、解放又は締結することにより電動機側と車輪側とを遮断状態又は接続状態にする断接手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ60)と、
前記断接手段の解放と締結との切り替えを制御する断接手段制御装置(例えば、後述の実施形態の制御装置8)と、
前記電動機の逆起電圧を取得する逆起電圧取得手段(例えば、後述の実施形態の制御装置8)と、を備える駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記断接手段制御装置は、前記逆起電圧に応じて前記断接手段の前記切り替えを制御し、
前記逆起電圧取得手段が前記断接手段を解放した状態において前記逆起電圧を取得するとき、前記電動機制御装置は前記電動機を弱め界磁制御する
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記逆起電圧取得手段は、前記断接手段を解放した状態において前記逆起電圧を取得し、
前記逆起電圧が所定値未満のとき、前記断接手段制御装置は前記断接手段を締結する。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加えて、
前記逆起電圧が所定値以上のとき、前記断接手段制御装置は前記断接手段の解放を維持する。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記逆起電圧取得手段が前記断接手段の解放状態において前記逆起電圧を取得するとき、前記電動機制御装置は前記断接手段が締結していれば回転していたであろう回転数近傍で前記電動機を駆動する。
請求項1に記載の発明によれば、断接手段の切り替えを逆起電圧を用いることで、断接手段の切り替えをATF温度などの温度パラメータを用いて行う場合に比べて、電動機制御装置の耐圧限界を超えないように断接手段の切り替えを精度よく行うことができる。
また、逆起電圧取得手段が断接手段を解放した状態において逆起電圧を取得するとき、電動機制御装置は電動機を弱め界磁制御することで、電動機の回転数を高めて逆起電圧の推定精度を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、電動機の逆起電圧が所定値未満のとき断接手段制御装置は断接手段を締結することで、電動機の使用領域を拡大することができる。
請求項3に記載の発明によれば、電動機の逆起電圧が所定値以上のとき断接手段制御装置は断接手段の解放を維持することで、電動機制御装置の耐圧限界を超えることを防止できる。
請求項4に記載の発明によれば、逆起電圧取得手段が断接手段の解放状態において逆起電圧を取得するとき、電動機制御装置は断接手段が締結していれば回転していたであろう回転数で電動機を駆動することで、逆起電圧を高精度で取得でき、且つ、断接手段を解放状態から締結状態にする際の切り替えを即座に行うことができる。
本発明に係る駆動装置を搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。 後輪駆動装置の一実施形態の縦断面図である。 図2に示す後輪駆動装置の部分拡大図である。 車両状態における前輪駆動装置と後輪駆動装置との関係を電動機の作動状態とあわせて記載した表である。 停車中の後輪駆動装置の速度共線図である。 前進低車速時の後輪駆動装置の速度共線図である。 前進中車速時の後輪駆動装置の速度共線図である。 減速回生時の後輪駆動装置の速度共線図である。 前進高車速時の後輪駆動装置の速度共線図である。 後進時の後輪駆動装置の速度共線図である。 車両走行の一例におけるタイミングチャートである。 低温時ブレーキ再締結制御のフロー図である。 通常時ブレーキ再締結制御のフロー図である。 第1態様の逆起電圧推定方法における後輪駆動装置の速度共線図である。 第2態様の逆起電圧推定方法における後輪駆動装置の速度共線図である。
先ず、本発明に係る駆動装置の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
本実施形態の駆動装置は、永久磁石式電動機、例えばIPM(Interior Permanent Magnet)電動機を車軸駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に用いられる。以下の説明では駆動装置を後輪駆動用として用いる場合を例に説明するが、前輪駆動用に用いてもよい。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5とが直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置6と別に車両後部に設けられた駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪Wr側の後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bとは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が可能となっている。符号8は、車両全体の各種制御をするための制御装置であり、これら電動機2A、2B、5の電力を制御する電動機制御装置としてのインバータを含んでいる。インバータは、バッテリ9と電動機2A、2B、5との間にそれぞれ配置され、直流電力を交流電力に変換し、交流電力を直流電力に変換する機能を有している。
図2は、後輪駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、同図において、10A、10Bは、車両3の後輪Wr側の左右の車軸であり、車幅方向に同軸上に配置されている。後輪駆動装置1のケース11は全体が略円筒状に形成され、その内部には、車軸駆動用の第1及び第2電動機2A、2Bと、この第1及び第2電動機2A、2Bの駆動回転を減速する第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとが、車軸10A、10Bと同軸上に配置されている。この第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを駆動する左車輪駆動装置として機能し、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを駆動する右車輪駆動装置として機能し、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aと第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bとは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。
後輪駆動装置1には、ケース11の内部と外部を連通するブリーザ装置40が設けられ、内部の空気が過度に高温・高圧とならないように内部の空気をブリーザ室41を介して外部に逃がすように構成される。ブリーザ室41は、ケース11の鉛直方向上部に配置され、中央ケース11Mの外壁と、中央ケース11M内に左側方ケース11A側に略水平に延設された第1円筒壁43と、右側方ケース11B側に略水平に延設された第2円筒壁44と、第1及び第2円筒壁43、44の内側端部同士をつなぐ左右分割壁45と、第1円筒壁43の左側方ケース11A側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Aと、第2円筒壁44の右側方ケース11B側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Bと、により形成された空間により構成される。
ブリーザ室41の下面を形成する第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45は、第1円筒壁43が第2円筒壁44より径方向内側に位置し、左右分割壁45が、第2円筒壁44の内側端部から縮径しつつ屈曲しながら第1円筒壁43の内側端部まで延設され、さらに径方向内側に延設されて略水平に延設された第3円筒壁46に達する。第3円筒壁46は、第1円筒壁43と第2円筒壁44の両外側端部より内側に且つその略中央に位置している。
中央ケース11Mには、バッフルプレート47A、47Bが、第1円筒壁43と中央ケース11Mの外壁との間の空間又は第2円筒壁44と中央ケース11Mの外壁との間の空間を第1遊星歯車式減速機12A又は第2遊星歯車式減速機12Bからそれぞれ区画するように固定されている。
また、中央ケース11Mには、ブリーザ室41と外部とを連通する外部連通路49がブリーザ室41の鉛直方向上面に接続される。外部連通路49のブリーザ室側端部49aは、鉛直方向下方を指向して配置されている。従って、オイルが外部連通路49を通って外部に排出されるのが抑制される。
第1及び第2電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれ側方ケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるように側方ケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を第1及び第2電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。ステータ14A、14B、及びロータ15A、15Bを含む第1及び第2電動機2A、2Bは、同一半径を有し、第1及び第2電動機2A、2Bは互いに鏡面対称に配置される。また、車軸10A及び円筒軸16Aは、第1電動機2A内を貫通して、第1電動機2Aの両端部から延出しており、車軸10B及び円筒軸16Bも、第2電動機2B内を貫通して、第2電動機2Bの両端部から延出している。
また、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、リングギヤ24A、24Bと、これらサンギヤ21A、21Bとリングギヤ24A、24Bとに噛合する複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから第1及び第2電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して車軸10A、10Bに出力されるようになっている。
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bはニードルベアリング31A、31Bを介してプラネタリキャリア23A、23Bのピニオンシャフト32A、32Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持されている。
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された第3円筒壁46を挟んで軸方向に対向している。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように互いに連結されて構成されている。
第2遊星歯車式減速機12B側であって、ケース11を構成する中央ケース11Mの第2円筒壁44とリングギヤ24Bのギヤ部28Bとの間には、リングギヤ24Bに対する制動手段を構成する油圧ブレーキ60が第1ピニオン26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27Bと軸方向でオーバーラップするように配置されている。油圧ブレーキ60は、第2円筒壁44の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36が軸方向に交互に配置され、これらのプレート35,36が環状のピストン37によって締結及び解放操作されるようになっている。ピストン37は、中央ケース11Mの左右分割壁45と第3円筒壁46間に形成された環状のシリンダ室に進退自在に収容されており、さらに第3円筒壁46の外周面に設けられた受け座38に支持される弾性部材39によって、常時、固定プレート35と回転プレート36とを解放する方向に付勢される。
また、さらに詳細には、左右分割壁45とピストン37の間はオイルが直接導入される作動室Sとされ、作動室Sに導入されるオイルの圧力が弾性部材39の付勢力に勝ると、ピストン37が前進(右動)し、固定プレート35と回転プレート36とが相互に押し付けられて締結することとなる。また、弾性部材39の付勢力が作動室Sに導入されるオイルの圧力に勝ると、ピストン37が後進(左動)し、固定プレート35と回転プレート36とが離間して解放することとなる。なお、油圧ブレーキ60は電動オイルポンプ70(図1参照)に接続されている。
この油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35がケース11を構成する中央ケース11Mの左右分割壁45から伸びる第2円筒壁44に支持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Bのギヤ部28Bに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦締結によってリングギヤ24Bに制動力が作用し固定される。その状態からピストン37による締結が解放されると、リングギヤ24Bの自由な回転が許容される。なお、上述したように、リングギヤ24A、24Bは互いに連結されているため、油圧ブレーキ60が締結することによりリングギヤ24Aにも制動力が作用し固定され、油圧ブレーキ60が解放することによりリングギヤ24Aも自由な回転が許容される。
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、第3円筒壁46により位置決めされるとともに、回り止めされている。
一方向クラッチ50は、車両3が第1及び第2電動機2A、2Bの動力で前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に説明すると、一方向クラッチ50は、第1及び第2電動機2A、2B側の順方向(車両3を前進させる際の回転方向)の回転動力が後輪Wr側に入力されるときに係合状態となるとともに第1及び第2電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が後輪Wr側に入力されるときに非係合状態となり、後輪Wr側の順方向の回転動力が第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となるとともに後輪Wr側の逆方向の回転動力が第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となる。
このように本実施形態の後輪駆動装置1では、第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの動力伝達経路上に一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60とが並列に設けられている。なお、ケース11の下方には、オイルを貯留するオイル貯留部Tが形成されており、第1及び第2電動機2A、2Bのロータ15A、15Bの下端が油没しない程度の油面高さ(図2中、符合H)となっており、固定プレート35と回転プレート36の下部がオイル貯留部T中に位置している。
ここで、制御装置8(図1参照)は、車両全体の各種制御をするための制御装置であり、制御装置8には車輪速センサ値、第1及び第2電動機2A、2Bのモータ回転数センサ値、操舵角、アクセルペダル開度AP、シフトポジション、バッテリ9における充電状態(SOC)、油温などが入力される一方、制御装置8からは、内燃機関4を制御する信号、第1及び第2電動機2A、2Bを制御する信号、電動オイルポンプ70を制御する制御信号などが出力される。
即ち、制御装置8は、第1及び第2電動機2A、2Bを制御する電動機制御装置としての機能と、断接手段としての油圧ブレーキ60の締結状態と解放状態とを制御する断接手段制御装置としての機能を、少なくとも備えている。
図4は、各車両状態における前輪駆動装置6と後輪駆動装置1との関係を第1及び第2電動機2A、2Bの作動状態とあわせて記載したものである。図中、フロントユニットは前輪駆動装置6、リアユニットは後輪駆動装置1、リアモータは第1及び第2電動機2A、2B、OWCは一方向クラッチ50、BRKは油圧ブレーキ60を表わす。また、図5〜図10は後輪駆動装置1の各状態における速度共線図を表わし、LMOTは第1電動機2A、RMOTは第2電動機2B、左側のS、Cはそれぞれ第1電動機2Aに連結された第1遊星歯車式減速機12Aのサンギヤ21A、第1遊星歯車式減速機12Aのプラネタリキャリア23A、右側のS、Cはそれぞれ第2遊星歯車式減速機12Bのサンギヤ21B、第2遊星歯車式減速機12Bのプラネタリキャリア23B、Rは第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bのリングギヤ24A、24B、BRKは油圧ブレーキ60、OWCは一方向クラッチ50を表わす。以下の説明において第1及び第2電動機2A、2Bによる車両前進時のサンギヤ21A、21Bの回転方向を順方向とする。また、図中、停車中の状態から上方が順方向の回転、下方が逆方向の回転であり、矢印は、上向きが順方向のトルクを表し、下向きが逆方向のトルクを表す。
停車中は、前輪駆動装置6も後輪駆動装置1も駆動していない。従って、図5に示すように、後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bは停止しており、車軸10A、10Bも停止しているため、いずれの要素にもトルクは作用していない。このとき、油圧ブレーキ60は解放(OFF)している。また、一方向クラッチ50は、第1及び第2電動機2A、2Bが非駆動のため係合していない(OFF)。
そして、キーポジションをONにした後、EV発進、EVクルーズなどモータ効率のよい前進低車速時は、後輪駆動装置1による後輪駆動となる。図6に示すように、第1及び第2電動機2A、2Bが順方向に回転するように力行駆動すると、サンギヤ21A、21Bには順方向のトルクが付加される。このとき、前述したように一方向クラッチ50が係合しリングギヤ24A、24Bがロックされる。これによりプラネタリキャリア23A、23Bは順方向に回転し前進走行がなされる。なお、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bからの走行抵抗が逆方向に作用している。このように車両3の発進時には、キーポジションをONにして第1及び第2電動機2A、2Bのトルクをあげることで、一方向クラッチ50が機械的に係合してリングギヤ24A、24Bがロックされる。
このとき、油圧ブレーキ60を弱締結状態に制御する。なお、弱締結とは、動力伝達可能であるが、油圧ブレーキ60の締結状態の締結力に対し弱い締結力で締結している状態をいう。第1及び第2電動機2A、2Bの順方向のトルクが後輪Wr側に入力されるときには一方向クラッチ50が係合状態となり、一方向クラッチ50のみで動力伝達可能であるが、一方向クラッチ50と並列に設けられた油圧ブレーキ60も弱締結状態とし第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とを接続状態としておくことで、第1及び第2電動機2A、2B側からの順方向のトルクの入力が一時的に低下して一方向クラッチ50が非係合状態となった場合にも、第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とで動力伝達不能になることを抑制できる。また、後述する減速回生への移行時に第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とを接続状態とするための回転数制御が不要となる。一方向クラッチ50が係合状態のときの油圧ブレーキ60の締結力を一方向クラッチ50が非係合状態のときの油圧ブレーキ60の締結力よりも弱くすることにより、油圧ブレーキ60の締結のための消費エネルギーが低減される。
前進低車速走行から車速があがりエンジン効率のよい前進中車速走行に至ると、後輪駆動装置1による後輪駆動から前輪駆動装置6による前輪駆動となる。図7に示すように、第1及び第2電動機2A、2Bの力行駆動が停止すると、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから前進走行しようとする順方向のトルクが作用するので、前述したように一方向クラッチ50が非係合状態となる。このときも、油圧ブレーキ60を弱締結状態に制御する。
図6又は図7の状態から第1及び第2電動機2A、2Bを回生駆動しようすると、図8に示すように、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから前進走行を続けようとする順方向のトルクが作用するので、前述したように一方向クラッチ50が非係合状態となる。このとき、油圧ブレーキ60を締結状態(ON)に制御する。従って、リングギヤ24A、24Bがロックされるとともに第1及び第2電動機2A、2Bには逆方向の回生制動トルクが作用し、第1及び第2電動機2A、2Bで減速回生がなされる。このように、後輪Wr側の順方向のトルクが第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときには一方向クラッチ50は非係合状態となり、一方向クラッチ50のみで動力伝達不能であるが、一方向クラッチ50と並列に設けられた油圧ブレーキ60を締結させ、第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とを接続状態としておくことで動力伝達可能な状態に保つことができ、この状態で第1及び第2電動機2A、2Bを回生駆動状態に制御することにより、車両3のエネルギーを回生することができる。
続いて加速時には、前輪駆動装置6と後輪駆動装置1の四輪駆動となり、後輪駆動装置1は、図6に示す前進低車速時と同じ状態となる。
前進高車速時には、前輪駆動装置6による前輪駆動となるが、このとき第1及び第2電動機2A、2Bを停止させ油圧ブレーキ60を解放状態に制御する。一方向クラッチ50は、後輪Wr側の順方向のトルクが第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるので非係合状態となり、油圧ブレーキ60を解放状態に制御することでリングギヤ24A、24Bは回転し始める。なお、前進高車速時には、できるだけ油圧ブレーキ60の締結状態を維持するべく以下で説明するブレーキ再締結制御が行われる。
図9に示すように、第1及び第2電動機2A、2Bが力行駆動を停止すると、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから前進走行しようとする順方向のトルクが作用するので、前述したように一方向クラッチ50が非係合状態となる。このとき、サンギヤ21A、21Bには、サンギヤ21A、21B及び第1及び第2電動機2A、2Bの回転損失が抵抗として入力され、リングギヤ24A、24Bにはリングギヤ24A、24Bの回転損失が発生する。
油圧ブレーキ60を解放状態に制御することで、リングギヤ24A、24Bの自由な回転が許容され、第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とが遮断状態となって動力伝達不能な状態となる。従って、第1及び第2電動機2A、2Bの回転が防止され、前輪駆動装置6による高車速時に第1及び第2電動機2A、2Bが過回転となるのが防止される。
後進時には、図10に示すように、第1及び第2電動機2A、2Bを逆力行駆動すると、サンギヤ21A、21Bには逆方向のトルクが付加される。このとき、前述したように一方向クラッチ50が非係合状態となる。
このとき油圧ブレーキ60を締結状態に制御する。従って、リングギヤ24A、24Bがロックされて、プラネタリキャリア23A、23Bは逆方向に回転し後進走行がなされる。なお、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bからの走行抵抗が順方向に作用している。このように、第1及び第2電動機2A、2B側の逆方向のトルクが後輪Wr側に入力されるときには一方向クラッチ50は非係合状態となり、一方向クラッチ50のみで動力伝達不能であるが、一方向クラッチ50と並列に設けられた油圧ブレーキ60を締結させ、第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とを接続状態としておくことで動力伝達可能に保つことができ、第1及び第2電動機2A、2Bのトルクによって車両3を後進させることができる。
このように後輪駆動装置1は、車両の走行状態、言い換えると、第1及び第2電動機2A、2Bの回転方向が順方向か逆方向か、及び第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側のいずれから動力が入力されるかに応じて、油圧ブレーキ60の締結・解放が制御され、さらに油圧ブレーキ60の締結時であっても締結力が調整される。
図11は、車両が停車中の状態からEV発進→EV加速→ENG加速→減速回生→中速ENGクルーズ→ENG+EV加速→高速ENGクルーズ→減速回生→停車→後進→停車に至る際の一方向クラッチ50(OWC)、油圧ブレーキ60(BRK)のタイミングチャートである。
先ず、キーポジションをONにしてシフトがPレンジからDレンジに変更され、アクセルペダルが踏まれるまでは、一方向クラッチ50は非係合(OFF)、油圧ブレーキ60は解放(OFF)状態を維持する。そこから、アクセルペダルが踏まれると後輪駆動(RWD)で後輪駆動装置1によるEV発進、EV加速がなされる。このとき、一方向クラッチ50が係合(ON)し、油圧ブレーキ60は弱締結状態となる。そして、車速が低車速域から中車速域に至って後輪駆動から前輪駆動になると内燃機関4によるENG走行(FWD)がなされる。このとき、一方向クラッチ50が非係合(OFF)となり、油圧ブレーキ60はそのままの状態(弱締結状態)を維持する。そして、ブレーキが踏まれるなど減速回生時には、一方向クラッチ50が非係合(OFF)のまま、油圧ブレーキ60が締結状態(ON)となる。内燃機関4による中速クルーズ中は、上述のENG走行と同様の状態となる。続いて、さらにアクセルペダルが踏まれて前輪駆動から四輪駆動(AWD)になると、再び一方向クラッチ50が係合(ON)する。そして、車速が中車速域から高車速域に至ると、再び内燃機関4によるENG走行(FWD)がなされる。このとき、一方向クラッチ50が非係合(OFF)となり、油圧ブレーキ60が解放状態(OFF)となり、第1及び第2電動機2A、2Bを停止させる。そして、減速回生時には、上述した減速回生時と同様の状態となる。そして、車両が停止すると、一方向クラッチ50は非係合(OFF)、油圧ブレーキ60は解放(OFF)状態となる。
ここで、第1及び第2電動機2A、2Bに使用される永久磁石は、環境温度に応じてその特性が変化することが知られており、低温の使用環境においては永久磁石の磁束密度が増加するのに伴って、電動機が回転することによって生じる逆起電圧が増加する。
そのため、低温時に車速が大きい状態で油圧ブレーキ60を締結したままにしていると、車速とともに第1及び第2電動機2A、2Bの回転数が大きくなり、第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧も大きくなる。通常、高車速時においては、弱め界磁制御により電圧を抑え込んでいるためインバータの耐圧限界を超える過電圧は発生しづらいが、バッテリ9が切断されるフェイルが発生(具体的には、メインコンタクタオープン)すると、弱め界磁制御ができなくなり、インバータの耐圧限界を超える過電圧が発生する虞がある。
そこで、制御装置8は、前進高車速時において油圧ブレーキ60を解放する車速である切り離し車速を低温時と通常時とで別途設定し、例えば、低温時には車両3の速度が第1車速に至ると油圧ブレーキ60を解放し、通常時には車両3の速度が第2車速(第2車速>第1車速)に至ると油圧ブレーキ60を解放するよう制御している。なお、切り離し車速は、段階的に複数設定してもよく、温度に応じて徐々に小さくなるように連続的に設定してもよい。なお、この切り離し車速は、油圧ブレーキ60を解放するための暫定的な指標あり、温度センサによって検出された、誤差を含む温度に基づいて決定される。
低温時における第1車速以上、及び通常時における第2車速以上における速度領域においても第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧がインバータの耐圧限界に相当する閾電圧よりも低い場合、即ち第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧と閾電圧との間に余裕がある場合に、油圧ブレーキ60を締結しておくことで四輪駆動走行が可能となる。
そこで、制御装置8は、上記した電動機制御装置及び断接手段制御装置としての機能に加えて、第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧を取得する逆起電圧取得手段としての機能も有し、第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧に応じて油圧ブレーキの切り替えを制御するブレーキ再締結制御を行う。逆起電圧取得手段としての機能は、制御装置8の一部を構成するインバータが担ってもよい。
<ブレーキ再締結制御>
(低温時ブレーキ再締結制御)
ブレーキ再締結制御の第1実施例として低温時の制御について図12を参照しながら説明する。
制御装置8は、前輪駆動装置6の動力により前輪Wfを駆動すると共に、油圧ブレーキ60を締結して後輪駆動装置1の動力により後輪Wrを駆動する四輪駆動走行中、先ず、外気温が所定温度α℃以下、又はATF温度が所定温度β℃以下であるかを判定する。(ステップS1−1)。
外気温が所定温度α℃以下、又はATF温度が所定温度β℃以下の場合、車速が第1車速以上であるかを判定し(ステップS1−2)、車速が第1車速以上であれば油圧ブレーキ60を解放し(ステップS1−3)、前輪駆動走行に切り替える。
次に、制御装置8は、クルーズ判定を行う(ステップS1−4)。クルーズ判定は、例えば前後加速度センサの出力信号等に基づいて行う。なお、クルーズ判定(ステップS1−4)は必ずしも必要ではないが、クルーズ走行中は車速及び車輪速が安定しているため、後述する逆起推定が容易且つ高精度となる。
ステップS1−1において外気温が所定温度α℃を超え、且つATF温度が所定温度β℃を超える場合、ステップS1−2において車速が第1車速未満である場合、及びステップS1−4において車両がクルーズ走行していない場合、低温時ブレーキ再締結制御を終了する。
一方、ステップS1−4の結果、車両がクルーズ走行している場合、第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧を推定する(ステップS1−5)。逆起電圧を推定する方法としては、以下の2つの態様が提案される。
(第1態様)
第1態様は、図14に示すように、油圧ブレーキ60を解放した状態で油圧ブレーキ60が締結していれば回転していたであろう回転数である仮想締結回転数近傍で第1及び第2電動機2A、2Bを実際に回転をさせながら、逆起電圧を推定する制御である。
第1及び第2電動機2A、2Bが仮想締結回転数近傍の回転数で回転するとき、油圧ブレーキ60は解放しているものの、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合された回転プレート36は停止しているか、若しくは油圧ブレーキ60の締結可能回転数以下で回転する。
第1態様では、制御装置8は弱め界磁制御によりこの仮想締結回転数近傍で第1及び第2電動機2A、2Bを回転させ、弱め界磁電流から逆起電圧を推定する。逆起電圧の推定は、より具体的に説明すると、インバータと第1及び第2電動機2A、2Bとの間に配置された電流センサの電流値と、インバータとバッテリ9との間に配置された電圧センサの電圧値とに基づいて算出される。
逆起電圧の推定は、第1及び第2電動機2A、2Bの少なくとも一方で行えばよく、車両3の直進時のように第1及び第2電動機2A、2Bが同じ回転数であればいずれか一方の電動機で逆起電圧を推定すればよい。また、車両3の旋回時のように第1及び第2電動機2A、2Bが異なる回転数であれば回転数の高い方の電動機で逆起電圧を推定することが好ましい。
第1態様の逆起電圧推定方法によれば、油圧ブレーキ60の解放した状態で油圧ブレーキ60が締結していれば回転していたであろう回転数である仮想締結回転数近傍で第1及び第2電動機2A、2Bを回転させる制御であるため、第1及び第2電動機2A、2Bの回転数が高い状態で逆起電圧を推定することができ、逆起電圧の推定精度が高い。また、第1態様の逆起電圧推定方法は、油圧ブレーキ60の解放した状態から油圧ブレーキ60を即座に締結して四輪駆動走行に移行することができるため、例えば高い応答性が要求されるスポーツモードでの走行に適している。
なお、第1及び第2電動機2A、2Bを弱め界磁制御する代わりに、第1及び第2電動機2A、2Bの回転数を上げた後、無負荷状態にして逆起電圧を推定してもよい。
(第2態様)
第2態様は、図15に示すように、油圧ブレーキ60を解放した状態で、車速又は車輪速から第1及び第2電動機2A、2Bの回転数を算出し、マップ又は計算式を用いて逆起電圧を推定する制御である。
逆起電圧の推定は、より具体的に説明すると、車速又は車輪速からプラネタリキャリア23A、23Bの回転数を算出し、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの共線関係を利用してプラネタリキャリア23A、23Bの回転数とリングギヤ24A、24Bの回転数に基づいてリングギヤ24A、24Bの回転数を零とした場合の第1及び第2電動機2A、2Bの回転数を算出し、得られた第1及び第2電動機2A、2Bの回転数からマップ又は計算式を用いて逆起電圧が算出される。
なお、第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧は、永久磁石寸法のばらつき、永久磁石の残留磁束密度のばらつき、その他の部品(コイル、コア材等)の温度ばらつき、センサばらつき、コイルのばらつき、部品寸法のばらつき(例えば、ロータとステータ間のギャップ)に応じて変動するため、第2態様の逆起電圧推定方法は、第1態様の逆起電圧推定方法に比べて逆起推定精度が劣るものの、第1及び第2電動機2A、2Bを駆動する必要がないため、第1及び第2電動機2A、2Bの駆動に要する電力消費を抑えることができる。従って、例えば燃費優先モードでの走行に適している。
第1及び第2態様のいずれかの逆起電圧推定方法で推定された逆起電圧がインバータの耐圧限界に相当する閾電圧以下であるかを判定する(ステップS1−6)。その結果、逆起電圧が閾電圧以下であれば、油圧ブレーキ60を締結して(ステップS1−7)、再び四輪駆動走行を行う。なお、油圧ブレーキ60を締結する際、第2態様の逆起電圧推定方法では、第1及び第2電動機2A、2Bの回転数を上げて、リングギヤ24A、24Bの回転数が油圧ブレーキ60を締結可能な回転数以下となるように制御し、リングギヤ24A、24Bの回転数が油圧ブレーキ60を締結可能な回転数以下となったとき、油圧ブレーキ60を締結することで第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの動力伝達経路が接続状態となる。一方、第1態様の逆起電圧推定方法では、逆起電圧の推定時にリングギヤ24A、24Bの回転数が既に油圧ブレーキ60を締結可能な回転数以下となっているため、即座に油圧ブレーキ60を締結することで第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの動力伝達経路が接続状態となる。ステップS1−6において、逆起電圧が閾電圧より大きければ、油圧ブレーキ60の解放を維持して、前輪駆動走行を続ける。なお、この閾電圧は実際にはインバータの耐圧限界よりも低く設定されており、仮に逆起電圧が閾電圧を僅かに超えたとしてもインバータが故障することはない。
続いて、車速が第3車速以上であるかを判別し(ステップS1−8)、車速が第3車速以上であれば油圧ブレーキ60を解放して(ステップS1−9)、前輪駆動走行に切り替え、車速が第3車速未満であれば油圧ブレーキ60の締結を維持して、四輪駆動走行を続ける。
(通常時ブレーキ再締結制御)
ブレーキ再締結制御の第2実施例として通常時の制御について図13を参照しながら説明する。
制御装置8は、前輪駆動装置6の動力により前輪Wfを駆動すると共に、油圧ブレーキ60を締結して後輪駆動装置1の動力により後輪Wrを駆動する四輪駆動走行中、車速が第2車速以上であるかを判定する(ステップS2−1)。その結果、車速が第2車速未満であれば、続いて逆起電圧を推定する(ステップS2−2)。なお、この逆起電圧の推定は、前述のステップS1−5及び後述するステップS2−6の逆起電圧推定方法とは異なり、油圧ブレーキ60を締結した状態において、第1及び第2電動機2A、2Bのトルク指示値と電流値から逆起電圧を推定する。
続いて、推定された逆起電圧がインバータの耐圧限界に相当する閾電圧以上であるかを判定し(ステップS2−3)、逆起電圧が閾電圧未満であれば油圧ブレーキ60の締結を維持して、四輪駆動走行を続ける。
ステップS2−1において車速が第2車速以上であるとき、及び、ステップS2−3において逆起電圧が閾電圧以上であるとき、油圧ブレーキ60を解放し(ステップS2−4)、前輪駆動走行に切り替える。
次に、制御装置8は、クルーズ判定を行う(ステップS2−5)。クルーズ判定は、例えば前後加速度センサの出力信号等に基づいて行う。
その結果、車両がクルーズ走行していていない場合、通常時ブレーキ再締結制御を終了する。車両がクルーズ走行している場合、第1及び第2電動機2A、2Bの逆起電圧を上記した第1及び第2態様のいずれかの逆起電圧推定方法推定で推定する(ステップS2−6)。
続いて、第1及び第2態様のいずれかの逆起電圧推定方法で推定された逆起電圧がインバータの耐圧限界に相当する閾電圧以下であるかを判定する(ステップS2−7)。
その結果、逆起電圧が閾電圧以下であれば、油圧ブレーキ60を締結して(ステップS2−8)、再び四輪駆動走行を行う。なお、油圧ブレーキ60を締結する際の締結手法については、低温時ブレーキ再締結制御と同様であるのでここでは省略する。ステップS2−7において、逆起電圧が閾電圧より大きければ、油圧ブレーキ60の解放を維持して、前輪駆動走行を続ける。
続いて、車速が第4車速(>第2車速)以上であるかを判別し(ステップS2−9)、車速が第4車速以上であれば油圧ブレーキ60を解放し(ステップS2−10)、前輪駆動走行に切り替え、車速が第4車速未満であれば油圧ブレーキ60の締結を維持して、四輪駆動走行を続ける。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、断接手段として湿式多板式の油圧ブレーキを例示したが、湿式多板式のクラッチであってもよい。
また、駆動源と車輪とが断接手段を介して接続されている限り、変速機は必ずしも必要ではなく、駆動源と車輪とが変速機を介して接続されている場合、変速機は適宜選択可能である。
1 後輪駆動装置(駆動装置)
2A 第1電動機(電動機)
2B 第2電動機(電動機)
3 車両
8 制御装置(断接手段制御装置、逆起電圧取得手段)
60 油圧ブレーキ(断接手段)
Wr 後輪

Claims (4)

  1. 車両の駆動力を発生する電動機と、
    前記電動機を制御する電動機制御装置と、
    前記電動機と前記車両の車輪との動力伝達経路上に設けられ、解放又は締結することにより電動機側と車輪側とを遮断状態又は接続状態にする断接手段と、
    前記断接手段の解放と締結との切り替えを制御する断接手段制御装置と、
    前記電動機の逆起電圧を取得する逆起電圧取得手段と、を備える駆動装置であって、
    前記断接手段制御装置は、前記逆起電圧に応じて前記断接手段の前記切り替えを制御し、
    前記逆起電圧取得手段が前記断接手段を解放した状態において前記逆起電圧を取得するとき、前記電動機制御装置は前記電動機を弱め界磁制御する、駆動装置。
  2. 請求項1に記載の駆動装置であって、
    前記逆起電圧取得手段は、前記断接手段を解放した状態において前記逆起電圧を取得し、
    前記逆起電圧が所定値未満のとき、前記断接手段制御装置は前記断接手段を締結する、駆動装置。
  3. 請求項2に記載の駆動装置であって、
    前記逆起電圧が所定値以上のとき、前記断接手段制御装置は前記断接手段の解放を維持する、駆動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動装置であって、
    前記逆起電圧取得手段が前記断接手段の解放状態において前記逆起電圧を取得するとき、前記電動機制御装置は前記断接手段が締結していれば回転していたであろう回転数近傍で前記電動機を駆動する、駆動装置。
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