本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の食器洗浄機1は、筐体2、洗浄槽3及び前面パネル4を備えており、システムキッチンに組み込んで使用されるビルトインタイプのものである。
洗浄槽3は、上部が開放された箱状に形成され、筐体2と前面パネル4で形成される空間に収容される。洗浄槽3は、筐体2によって、前後方向(図1の左右方向)にスライド可能に支持され、前面パネル4と共に引き出すことができる。洗浄槽3には、複数の噴射口5が形成された洗浄ノズル6や、食器7を保持するための食器カゴ8等が収容される。
洗浄槽3の上方には、図示しない昇降機構によって昇降させることにより洗浄槽3を開閉するシール蓋9が設けられる。シール蓋9は、前面パネル4が閉じられて洗浄槽3が筐体2に収容されると、降下されて洗浄槽3の上側開口部を閉塞し、洗浄槽3が筐体2から引き出されると、上昇して該上側開口部を開放する。
洗浄槽3の底面10に形成された吸込凹部11の上側開口部は、着脱自在の網状の残菜フィルタ12により覆われる。底面10の下方に設けられたポンプ13は、そのインペラ14を、電気モータによって順方向及び逆方向のいずれの方向にも回転することができる。インペラ14が配置された空間と吸込凹部11との間は、吸込流路15で接続される。底面10のポンプ13が配置された部分の上方には、電気式のヒータ16が設けられる。ヒータ16の下方には、洗浄槽3内の洗浄水やすすぎ水、又は空気の温度を検出するサーミスタ17が配置される。
洗浄槽3の底面10には、ポンプ13の第1吐出口18に接続した洗浄ノズル6が回転可能に取り付けられる。ポンプ13のインペラ14が順方向に回転すると、洗浄槽3内の洗浄水が洗浄ノズル6の噴射口5から洗浄槽3内に噴射されると共に、洗浄ノズル6に回転モーメントを発生させる。
前面パネル4には、各種のボタンやランプ等が設けられた操作パネル20及び洗浄槽3の内側と外側を連通する排気経路21が設けられる。排気経路21の前面パネル4側の端には、排気口21aが設けられ、洗浄槽3側の端には、開口21bが設けられる。筐体2の後方壁22(図1の右側の壁)には、ポンプ13の第2吐出口23に排水流路24で連通した排水ホース25が接続される。
排水流路24の排水ホース25側の端部には、排水ホース25から排水流路24への逆流を防止する排水逆止弁26が設けられる。ポンプ13のインペラ14を逆方向に回転させることにより、洗浄槽3内の洗浄水を、排水流路24を介して、洗浄槽3から排水することができる。
また、筐体2の後方壁22には、給水ホース28の一端側が接続される。給水ホース28の他端は、給水管28aに接続される。給水ホース28には、水道水(冷水)が直接供給され、又は給湯器で加熱された温水が供給される。給水ホース28の一端は、第1給水流路29を介して筐体2内部の給水弁30に接続される。給水弁30は、ソレノイドによって開閉する。給水弁30と洗浄槽3内は、第2給水流路31によって連通される。
筐体2の後方壁22と洗浄槽3の後方壁32の間には、吸気経路33を介して洗浄槽3に接続された乾燥ファン34が配置される。筐体2の底面2aに形成された凹部35には、水漏れ検知センサ36の2本の電極が差し込まれており、洗浄槽3から外部に水が漏れた水が凹部35に流れ込むと、電極間が導通して水漏れ検知センサ36がオンになる。
洗浄槽3の前方には、水位室37、フロート38、バー39及び水位スイッチ40を備えた水位検知器41が配置される。水位室37は、水位経路42によって吸込凹部11と連通する。フロート38は、水位室37内に配置される。バー39は、フロート38の上部に固定され、水位室37から上方に突出する。
洗浄槽3内に洗浄水が給水されると、洗浄水は、水位経路42を介して水位室37にも導入される。水位室37内の洗浄水の水位は、洗浄槽3内の洗浄水の水位Lと同一である。すなわち、洗浄槽3内の洗浄水の水位Lが上昇すると、水位室37内の洗浄水の水位も上昇し、これによってフロート38は浮上するので、バー39の上端が水位スイッチ40に接触し、水位スイッチ40がオンになる。
水位検知器41の上方には、コントローラ43が装着される。コントローラ43には、操作パネル20、ポンプ13、ヒータ16、給水弁30、水位スイッチ40、乾燥ファン34、サーミスタ17、及び水漏れ検知センサ36等が信号線を介して接続される。コントローラ43は、CPU、メモリ等を内蔵しており、接続される各部の動作を制御して、食器の洗浄に関する各種の工程を実施する。
図2のように、操作パネル20には、コースボタン44、予約ボタン45、乾燥ボタン46、スタートボタン47等の操作ボタン、及び操作ボタンによる操作内容を表示するための液晶表示部48が設けられる。
コースボタン44は、食器洗浄機1の運転コースを選択する場合に用いられ、運転コースを選択するためのコース選択操作部49(図3に図示)を構成する。予約ボタン45は、運転を開始する時間を予約するために用いられるが、後述のソフト排気モードのオン・オフ状態を切替えるときにも用いられる。
コースボタン44を押すことにより、現在選択されている運転コースが液晶表示部48に表示される。その後、押下を繰り返すことにより各種運転コースを順次表示させ、所望の運転コースを表示させることにより、その運転コースを選択することができる。運転コースとして、例えば標準コース、念入りコース等の7種類のコースを選択することができる。
選択できる運転コースには、ソフト排気モードが設定可能な複数の運転コースが含まれる。ソフト排気モードとは、加熱すすぎ工程と乾燥工程を含む運転コースにおいて、加熱すすぎ工程と乾燥工程との間に加熱しない洗浄水で食器をすすぐ温調すすぎ工程を介在させる運転モードである。
乾燥ボタン46は、乾燥工程の運転時間(以下、「乾燥時間」という。)を選択する場合に用いられる。乾燥ボタン46を押すと、現在選択されている運転コースについての乾燥時間が表示される。その後、押下を繰り返すことにより、順次可能な乾燥時間を表示させ、所望の乾燥時間を表示させることにより、その乾燥時間を選択することができる。したがって、乾燥ボタン46及び液晶表示部48は、乾燥工程の運転時間を選択するための乾燥時間選択操作部50(図3に図示)を構成する。
後述するソフト排気モードのオン・オフ状態を切替える場合には、例えば、前面パネル4を少し引き出し、スタートボタン47を押して電源をオン状態とし、乾燥ボタン46を5秒長押し、さらにコースボタン44を押すことにより、現在のソフト排気モードのオン・オフ状態を、「ソフト排気 切」又は「ソフト排気 入」のように表示させる。この状態で予約ボタン45を押すことにより、オン・オフ状態を切替えることができる。したがって、前面パネル4、スタートボタン47、乾燥ボタン46、コースボタン44、予約ボタン45及び液晶表示部48は、排気モード切替え操作部51(図3に図示)を構成する。
図3は、コース選択操作部49、乾燥時間選択操作部50及び排気モード切替え操作部51が関係するコントローラ43の主要部の構成を示す。図3に示すように、コントローラ43は、乾燥時間(乾燥工程の運転時間)の初期値(初期時間)を記憶する初期値記憶部52と、乾燥時間選択操作部50により選択された乾燥時間を記憶する選択値記憶部53と、コース選択操作部49により選択されている運転コースにおける乾燥工程の運転時間を設定する乾燥時間設定部54とを備える。
また、コントローラ43は、乾燥時間設定部54により設定された運転時間を液晶表示部48において表示する運転時間表示部55と、ソフト排気モードのオン・オフ状態が切替えられる毎に、切替え後のオン・オフ状態を記憶するオン・オフ状態記憶部56とを備える。すなわち、オン・オフ状態記憶部56には、前回の運転時のソフト排気モードのオン・オフ状態が記憶される。
図4は、初期値記憶部52による記憶内容を示す。図4のように、初期値記憶部52が記憶する乾燥工程の運転時間の初期値d1〜d6・・・は、ソフト排気モードのオン・オフ状態が「オフ」及び「オン」の各場合について、「標準」、「重曹」、「念入り」等の各運転コース毎に定められる。
図5は、選択値記憶部53による記憶内容を示す。図5のように、選択値記憶部53による選択値s1〜s6・・・の記憶は、運転時間が選択されたときのソフト排気モードのオン・オフ状態及び選択されている「標準」、「重曹」、「念入り」等の運転コースに対応付けて行われる。
コントローラ43が実施する各種の工程には、例えば、洗剤等で食器を洗う洗浄工程、洗浄工程後に食器を加熱した洗浄水ですすぐ上述の加熱すすぎ工程、加熱すすぎ工程後に加熱しない洗浄水で食器をすすぐことにより洗浄槽3内の温度を低下させる上述の温調すすぎ工程、加熱すすぎ工程又は温調すすぎ工程後に食器を乾燥させる乾燥工程などが含まれる。温調すすぎ工程は、ソフト排気モードがオン状態に設定されている場合に実行される。
加熱すすぎ工程では、コントローラ43により、次のように各部が制御される。すなわち、コントローラ43は、まず、給水弁30を開いて洗浄槽3内に洗浄水を給水し、給水した洗浄水のヒータ16による加熱を開始する。この後、洗浄水のレベルLが所定値に達すると、水位スイッチ40からの信号に基づき、コントローラ43は、給水弁30を閉じて、給水を停止する。
次に、コントローラ43は、ポンプ13のインペラ14を順方向に回転させて洗浄水を洗浄ノズル6に送出し、洗浄ノズル6の噴射口5から洗浄水を噴射させるすすぎ動作を、所定のすすぎ時間(例えば、3分)が経過するまで行う。この間、コントローラ43は、サーミスタ17からの測定温度情報に基づき、洗浄水が所定温度(例えば、70℃)まで加熱されたことを確認すると、ヒータ16を停止させる。
なお、すすぎ動作を行っている間、排気経路21の開口21bは洗浄水のレベルLより下方に位置し、洗浄水により閉塞されるので、洗浄槽3内の高温の蒸気が排気経路21を経て外部に排気されにくい。
所定のすすぎ時間が経過すると、コントローラ43は、ポンプ13のインペラ14を逆方向に回転させて洗浄槽3内の洗浄水を排水し、排水が完了するとインペラ14を停止させる。これにより、加熱すすぎ工程が終了する。
加熱すすぎ工程後の洗浄槽3内の空気には、加熱された洗浄水の温度とほぼ等しい温度の水滴や水蒸気が含まれている。加熱すすぎ工程後の洗浄槽3内の空気の温度は、加熱された洗浄水の温度とほぼ等しくなっている。このまま、乾燥工程に移行すると、乾燥工程の初期に、乾燥促進のために排気される水滴や水蒸気として、高温(例えば、70℃程度)のものが排気されるおそれがある。
そこで、ソフト排気モードがオン状態に設定されている場合には、コントローラ43は、加熱すすぎ工程の後、加熱しない洗浄水で食器をすすぐ温調すすぎ工程を行う。これにより、加熱すすぎ工程によって高温(例えば、70℃程度)となった洗浄槽3内の温度を乾燥工程に移行する前に比較的低い温度(例えば、55℃程度)に低下させることができる。したがって、ソフト排気モードをオン状態に設定しておくことにより、乾燥工程の初期に高温の水滴や水蒸気が排気されるのを防止することができる。
温調すすぎ工程は、ヒータ16による洗浄水の加熱を行わない点を除けば加熱すすぎ工程と同様にして行われる単位すすぎ工程を1〜3回繰り返すことにより行われる。単位すすぎ工程を何回行うかは、温調すすぎ工程終了後の洗浄槽3内の空気の温度が、適切な温度(例えば、45℃付近)となるように決定される。
この決定は、例えば、洗浄槽3内に給水する洗浄水の温度、又はこれに加えて、ヒータ16と洗浄ポンプ13を動作させてからの洗浄水の温度変化の度合いに基づいて行うことができる。最後の単位すすぎ工程は、サーミスタ17による測定値が例えば45℃に低下するまで実行される。
しかし、温調すすぎ工程後の乾燥工程では、加熱すすぎ工程から直ちに乾燥工程に移行する場合よりも洗浄槽3内の温度が低いので、食器の乾燥に長時間を要する。このため、従来は、ソフト排気モードがオフ状態からオン状態に切替えられた場合には、オフ状態の場合よりも乾燥時間(乾燥工程の運転時間)が所定時間、例えば40分長い時間に設定され、逆に、ソフト排気モードがオン状態からオフ状態に切替えられた場合には、乾燥時間が所定時間だけ短い時間に設定される。
また、乾燥時間は、標準コース、念入りコース等の運転コース毎に設定可能であり、この複数の乾燥時間の設定値毎に、上記のソフト排気モードのオン・オフ状態に応じて乾燥時間の設定値が変動する。したがって、ユーザは現在の運転コースにおける乾燥時間を把握するのが困難な場合がある。これを把握するためには、運転コースの選択時に乾燥ボタン46を押して、現在の運転コース及びソフト排気モードのオン・オフ状態に対応した乾燥時間を表示させて確認する必要があるため煩雑である。
そこで、本実施形態では、ユーザが乾燥時間を認識していなくても、ある程度以上の乾燥性能が得られるようにしている。すなわち、本実施形態では、コース選択操作部49により選択されている運転コースについて、食器洗浄機1の前回の運転時と今回の運転時との間で、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えがなされている場合には乾燥工程の運転時間を、選択されている運転コース及び切替え後のオン・オフ状態に対応して初期値記憶部52が記憶している初期値に設定するようにしている。
図6は、かかる乾燥時間の設定を行う乾燥時間設定部54の処理を示す。この処理は、少なくとも乾燥工程に移行する前に行われ、例えば、上述の排気モード切替え操作部51によるソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが行われた時に行われる。ただし、この処理は、初期値記憶部52及び選択値記憶部53に記憶されているデータのうち、コース選択操作部49により現在選択されている運転コースのデータを対象として行われる。
すなわち、乾燥時間設定部54は、まず、STEP1において、排気モード切替え操作部51によるオン・オフ状態の切替えが行われたか否かを判定する。この判定は、例えば、排気モード切替え操作部51によるオン・オフ状態の切替えが行われたたときに設定されたフラグを調べることにより行うことができる。
STEP1において切替えが行われたと判定した場合には、STEP2において、前回運転時、すなわちオン・オフ状態の切替えが行われる前のソフト排気モードがオフであったかどうかを判定する。この判定は、オン・オフ状態記憶部56に記憶されているオン・オフ状態を参照して行うことができる。
オフであったと判定した場合には、今回の食器洗浄機1の運転は、ソフト排気モードで行われる。このため、乾燥時間設定部54は、STEP3において、乾燥時間(乾燥工程の運転時間)を初期値記憶部52の「オン」に対応する初期値に設定するとともに、STEP4において、選択値記憶部53の「オン」に対応する乾燥時間の選択値をこの初期値に書き換えて、図6の処理を終了する。このとき、運転時間表示部55により、乾燥時間設定部54が設定した運転時間が表示される。この場合、コントローラ43は、乾燥時間設定部54により乾燥時間として設定された初期値に基づき、今回の食器洗浄機1の運転における乾燥工程を行う。
一方、STEP2において、前回運転時、すなわち切替え操作前のソフト排気モードの設定が「オフ」でないと判定した場合には、今回の食器洗浄機1の運転は、ソフト排気モードの設定を「オフ」として行われる。このため、乾燥時間設定部54は、STEP5において、乾燥時間(乾燥工程の運転時間)を初期値記憶部52の「オフ」に対応する初期値に設定するとともに、STEP6において、選択値記憶部53の「オフ」に対応する乾燥時間の選択値をこの初期値に書き換えて、図6の処理を終了する。このとき、運転時間表示部55により、乾燥時間設定部54が設定した運転時間が表示される。また、この場合、コントローラ43は、今回の食器洗浄機1の運転に際し、乾燥時間設定部54により乾燥時間として設定された初期値に基づいて、乾燥工程を行う。
STEP1において、切替えが行われなかったと判定した場合には、STEP7において、前回運転時のソフト排気モードがオフであったかどうかを判定する。この判定は、オン・オフ状態記憶部56に記憶されているオン・オフ状態を参照して行うことができる。
オフであったと判定した場合には、今回の食器洗浄機1の運転は、ソフト排気モードの設定を「オフ」として行われる。このため、乾燥時間設定部54は、STEP8において、乾燥時間(乾燥工程の運転時間)を選択値記憶部53の「オフ」に対応する乾燥時間の値に設定し、図6の処理を終了する。この場合、コントローラ43は、今回の食器洗浄機1の運転に際し、乾燥時間設定部54により設定された前回の運転時と同じ乾燥時間に基づいて、乾燥工程を行う。
STEP7において前回運転時のソフト排気モードがオフでないと判定した場合には、今回の食器洗浄機1の運転は、ソフト排気モードの設定を「オン」として行われる。このため、乾燥時間設定部54は、STEP9において、乾燥時間(乾燥工程の運転時間)を選択値記憶部53の「オン」に対応する乾燥時間の値に設定し、図6の処理を終了する。この場合、コントローラ43は、今回の食器洗浄機1の運転に際し、乾燥時間設定部54により設定された前回の運転時と同じ乾燥時間に基づいて、乾燥工程を行う。
図7は、乾燥時間設定部54により設定される運転時間の具体例を示す。図7においては、今回の食器洗浄機1の運転時に、ある運転コース、例えば標準コースがコース選択操作部49により選択されている場合に、排気モード切替え操作部51によるオン・オフ状態の切替え操作が行われない場合及び行われる場合について、当該運転コースの前回運転時の乾燥時間の設定値と今回運転時の乾燥時間の設定値の一例が示されている。
ただし、図4の初期値記憶部52による記憶内容は、当該運転モードについては、ソフト排気モードがオフ状態である場合の初期値が60(分)であり、オン状態である場合の初期値が100(分)であるものとする。
図7における「ソフト排気の切替え」欄における「無」は、今回運転時にソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが無かったことを示し、「有」は有ったことを示す。
「前回運転時の設定」欄には、「ソフト排気の切替え」欄が「無」又は「有」である各場合について、「ソフト排気の設定」欄で示される前回運転時におけるソフト排気モードの設定が「オフ」又は「オン」であった各場合において乾燥時間設定部54により設定された乾燥時間の例が4つずつ「乾燥時間」の欄に示されている。
「今回運転時の設定」欄には、「ソフト排気の切替え」欄が「無」又は「有」である各場合について、今回運転時のソフト排気モードの設定が「オフ」又は「オン」であるかが「ソフト排気の設定」欄に示されている。すなわち、「ソフト排気の切替え」欄が「無」の場合には、「ソフト排気の設定」は、前回運転時と今回運転時とで同じ設定となり、「有」の場合には、設定が切り替わる。
また、前回運転時の「乾燥時間」欄の各設定値に対応させて今回運転時に設定される乾燥時間が「乾燥時間」欄に示されている。「選択可能な乾燥時間」欄には、この今回運転時に設定される乾燥時間に代えて乾燥時間選択操作部50で選択可能な乾燥時間が示されている。
図7のように、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが無かった場合において、前回運転時のソフト排気モードの設定がオフであり、乾燥時間の設定値が30、60、90又は120(分)であった場合には、今回運転時の乾燥時間の設定値は、そのまま30、60、90又は120(分)となる(図6のSTEP8)。そして、この設定値は、「選択可能な乾燥時間」で示される30、60、90又は120(分)のいずれかの値に、乾燥時間選択操作部50で設定変更することができる。
また、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが無かった場合において、前回運転時のソフト排気モードの設定がオンであり、乾燥時間の設定値が70、100、130又は160(分)であった場合には、今回運転時の乾燥時間の設定値は、そのまま70、100、130又は160(分)となる(図6のSTEP9)。この設定値は、「選択可能な乾燥時間」で示される70、100、130又は160(分)のいずれかの値に、乾燥時間選択操作部50で設定変更することができる。
一方、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが有った場合において、前回運転時のソフト排気モードの設定がオフであり、乾燥時間の設定値が30、60、90又は120(分)であった場合には、今回運転時の乾燥時間の設定値は、いずれの場合においても、100(分)となる(STEP3)。すなわち、乾燥時間の設定値は、乾燥時間設定部54により、図6に処理によって、図4の初期値記憶部52が記憶しているソフト排気モードがオン状態である場合の初期値100(分)に変更される。
また、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが有った場合において、前回運転時のソフト排気モードの設定がオンであり、乾燥時間の設定値が70、100、130又は160(分)であった場合には、今回運転時の乾燥時間の設定値は、いずれの場合においても、60(分)となる。すなわち、乾燥時間の設定値は、乾燥時間設定部54により、図6の処理によって、図4の初期値記憶部52が記憶しているソフト排気モードがオフ状態である場合の初期値60(分)に変更される。
図8は、乾燥時間設定部54による処理の別の例を示す。この例では、コース選択操作部49により選択されている運転コースについて、食器洗浄機1の前回の運転時と今回の運転時との間で、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えがなされている場合には、乾燥工程の運転時間を、選択されている運転コース及び切替え後のオン・オフ状態に対応して選択値記憶部53が記憶している運転時間に設定するようにしている。
図8の処理は、初期値記憶部52、選択値記憶部53及びオン・オフ状態記憶部56に記憶されているデータのうち、コース選択操作部49により現在選択されている運転コースについてのデータを対象として、図6の処理と同様のタイミングで行われる。
すなわち、図8に示すように、乾燥時間設定部54は、まず、STEP12において、排気モード切替え操作部51によるオン・オフ状態の切替えが行われたか否かを判定する。切替えが行われたと判定した場合には、STEP13において、前回運転時、すなわちオン・オフ状態の切替えが行われる前のソフト排気モードがオフであったかどうかを判定する。この判定は、オン・オフ状態記憶部56に記憶されているオン・オフ状態を参照して行うことができる。
オフであったと判定した場合には、今回の食器洗浄機1の運転は、ソフト排気モードで行われる。このため、乾燥時間設定部54は、STEP14において、乾燥時間を、選択値記憶部53の「オン」に対応する乾燥時間の選択値に設定し、図8の処理を終了する。このとき、運転時間表示部55により、乾燥時間設定部54が設定した運転時間が表示される。
一方、STEP13において、前回運転時のソフト排気モードの設定が「オフ」でないと判定した場合には、今回の食器洗浄機1の運転は、ソフト排気モードの設定を「オフ」として行われる。このため、乾燥時間設定部54は、STEP15において、乾燥時間を選択値記憶部53の「オフ」に対応する乾燥時間の選択値に設定し、図8の処理を終了する。このとき、運転時間表示部55により、乾燥時間設定部54が設定した運転時間が表示される。
STEP12において、切替えが行われなかったと判定した場合には、STEP16〜STEP18の処理が行われるが、その処理は、図6のSTEP7〜STEP9の処理と同じである。図8の処理が終了すると、コントローラ43は、乾燥時間設定部54により設定された乾燥時間に基づき、今回の食器洗浄機1の運転における乾燥工程を行う。
図9は、ある運転モードにおける食器洗浄機1の前回の運転時に対してソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが無かった場合と有った場合の前回運転時の乾燥時間の設定値と今回運転時の乾燥時間の設定値の別の具体例を示す。
「ソフト排気の切替え」、「前回運転時の設定」、及び「今回運転時の設定」の各欄の意味付けは、図7の場合と同様である。「メモリ中の乾燥時間」の欄には、前回運転時の「ソフト排気の設定」が「オフ」及び「オン」である各場合について、選択値記憶部53により現在記憶されている設定値の例を4例ずつ示している。
すなわち、前回の標準コースでの運転時における「ソフト排気の設定」が「オフ」である場合の「乾燥時間」が例えば、30、60、90又は120(分)であれば、その値が、選択値記憶部53において、標準コースについてのソフト排気モードがオフ状態の場合の値「S1」として、記憶されている。また、このときの「S1」の値と対をなして、最後にソフト排気モードがオンの状態で運転された場合の乾燥時間、例えば100、130、160又は160(分)が、選択値記憶部53において、標準コースについてのソフト排気モードがオン状態の場合の値「S2」として、記憶されている。
また、前回運転時における「ソフト排気の設定」が「オン」である場合の「乾燥時間」が例えば、70、100、130又は160(分)であれば、その値が、選択値記憶部53において、標準コースについてのソフト排気モードがオン状態の場合の値「S2」として、記憶されている。また、このときの「S2」の値と対をなして、最後に「ソフト排気の設定」が「オフ」で運転された場合の乾燥時間、例えば60、90、120又は120(分)が、選択値記憶部53において、標準コースについてのソフト排気モードがオフ状態の場合の値「S1」として、記憶されている。
この状態において、今回運転時にソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えが無かった場合には、前回運転時の乾燥時間がそのまま今回運転時の乾燥時間として設定される。すなわち、前回運転時のソフト排気モードがオフ状態であった場合には、選択値記憶部53におけるオフ状態の値「S1」、例えば30、60、90又は120(分)がそのまま今回運転時の設定値として採用される(STEP17)。また、前回運転時のソフト排気モードがオン状態であった場合には、選択値記憶部53におけるオン状態の値「S2」、例えば70、100、130又は160(分)がそのまま今回運転時の設定値として採用される(STEP18)。
一方、今回運転時にソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えがあった場合には、選択値記憶部53における切替え後のオン・オフ状態に対応する乾燥時間が今回運転時の乾燥時間として設定される。すなわち、前回運転時のソフト排気モードがオフ状態であった場合には、選択値記憶部53におけるオン状態の値「S2」、例えば100、130、160又は160(分)が今回運転時の設定値として採用される(STEP14)。また、前回運転時のソフト排気モードがオン状態であった場合には、選択値記憶部53におけるオフ状態の値「S1」例えば60、90、120又は120(分)が今回運転時の設定値として採用される(STEP15)。
以上のように、本実施形態によれば、乾燥時間設定部54は、食器洗浄機1の前回の運転時と今回の運転時との間で、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えがなされている場合には、乾燥工程の運転時間を、選択されている運転コース及び該切替え後のオン・オフ状態に対応して初期値記憶部52が記憶している初期値に設定し(図6、図7)、又は選択値記憶部53が記憶している運転時間に設定する(図8、図9)。
これにより、ユーザにとって、乾燥工程の運転時間が容易に把握できて、食器洗浄機1の運転状態がわかり易い。
そして、乾燥工程の運転時間を、初期値記憶部52が記憶している初期値に設定する場合には、運転時間が一律に所定時間延長され又は短縮される場合よりも、運転時間が長すぎたり短すぎたりすることがなく、常に安定した乾燥性能を得ることができる。
また、乾燥工程の運転時間を、選択値記憶部53が記憶している運転時間に設定する場合には、その運転時間は、選択されている運転コース及びソフト排気モードの切替え後のオン・オフ状態において、ユーザにより選択され、前回の運転時に適用された運転時間である。したがって、ユーザの所望の乾燥時間や乾燥性能を再現することができる。
また、ソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えがなされた時点において乾燥時間設定部54が設定した乾燥工程の運転時間を、その設定時点において運転時間表示部55が液晶表示部48に表示するので、ユーザは、その運転時間を直ちに確認することができる。
また、乾燥時間設定部54が乾燥工程の運転時間を対応する初期値に設定した場合、選択されている運転コース及び切替え後のオン・オフ状態に対応して選択値記憶部53が記憶している運転時間が該初期値で書き換えられる。このとき、ユーザが該初期値による運転を許容した場合には、該初期値は、ユーザが選択したものと見做せるので、選択値記憶部53に記憶された該初期値を次回以降の運転時における運転時間の設定に用いることができる。
また、乾燥時間設定部54は、食器洗浄機の前回の運転時と今回の運転時との間でソフト排気モードのオン・オフ状態の切替えがなされていない場合には、乾燥工程の運転時間を、選択されている運転コース及び現在のソフト排気モードのオン・オフ状態に対応して選択値記憶部が記憶している運転時間に設定する。したがって、前回の運転時における乾燥工程の運転時間が、今回の運転時にも適用されるので、乾燥工程におけるユーザの所望の乾燥性能を再現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、乾燥時間設定部54による乾燥工程の運転時間の設定を、初期値記憶部52が記憶している運転時間の初期値又は選択値記憶部53が記憶している選択された運転時間のいずれを参照して行うかをユーザが選択できるようにしてもよい。