JP6669287B2 - 合成石英ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に半導体関連電子材料のうち、最先端用途の半導体関連電子材料の製造に用いられるナノインプリント用マスク基板、液晶パネルディスプレイ用フォトマスク基板、また、エキシマレーザー用、特にArFエキシマレーザー用、更にはArF液浸技術等のフォトマスク用の合成石英ガラス基板の製造方法に関する。
近年、超LSIの高集積化に伴う露光パターンの微細化が進み、回路パターンを半導体ウェーハ上に描画するリソグラフィ装置(ステッパー装置)においても、露光光源はより短波長化が求められてきている。この結果、露光装置の光源として、従来のKrFエキシマレーザー(波長248nm)からArFエキシマレーザー(波長193nm)が主流となり、近年ではArFエキシマレーザーの液浸露光が実用化されている。
ArF液浸世代のフォトリソグラフィ技術において、フォトマスク用基板の複屈折率制御が重要になってきている。また、フォトリソグラフィ技術では、ArFエキシマレーザーを光源とし、フォトマスク用基板を介して偏光照明を当てることで、ウェーハ上のレジスト膜を感光させ、フォトマスクパターンを転写する方式が採用されている。その際、より微細なパターンの転写を行うために、コントラストを向上させることが重要となる。コントラスト向上に影響を与えるフォトマスク用基板の因子として、高平坦性や複屈折率が挙げられる。複屈折率は石英ガラスの残留歪み等により現れるが、この複屈折率が高い場合、ArF液浸露光装置の光の過光性が乱れ、露光性能の低下が生じる。
このような理由からフォトリソグラフィ用合成石英ガラス基板の複屈折率を制御する研究が活発に行われている。例えば、特許文献1(特開2006−251781号公報)には、合成石英ガラス製基板と、当該基板の表面に積層された遮光膜を備え、露光波長が200nm以下の半導体デバイス製造技術に用いられるマスクブランクスであって、前記マスクブランクスの複屈折率が、波長193nmで基板厚み当たり1nm以下であることを特徴とするマスクブランクスが記載されている。特許文献2(特開2006−273659号公報)には、波長633nmにおける複屈折率が平均で0.3nm/cm以下である合成石英ガラスの製造方法が記載されている。特許文献3(特開2011−026173号公報)には、合成石英ガラスブロック中の主面全面の複屈折率の最大値が2nm/cm以下であることを特徴とする合成石英ガラスの熱処理方法が記載されている。
また、ナノインプリントリソグラフィに使用されるガラス基板についても高形状精度を持つ基板が求められている。ナノインプリントとは、微細な凹凸パターンを樹脂に押し付けて転写する技術で、転写されるパターンの解像度はモールド上の凹凸の解像度に依存する。そのため、微細パターンを描画する基板は、高い形状精度が求められる。前述の通り、複屈折率は石英ガラスの残留歪み等により現れるが、この複屈折率が高い場合、ナノインプリント用基板として必要な形状加工の前後で残留応力の影響により、基板表面の平坦度や平行度に大きな変化が生じ、露光時の焦点ずれや転写時のパターンずれが生じるおそれがある。この問題を解決するために、特許文献4(特開2012−032786号公報)では、基板全体の複屈折率量の最大値が3nm/cm以下の半導体用合成石英ガラス基板について記載されている。
その他、半導体、ディスプレイ部材等の製造工程で使用される露光装置等の様々な装置に組み込まれる合成石英ガラス部材にも、また高い純度と精度が求められる。
特開2006−251781号公報 特開2006−273659号公報 特開2011−026173号公報 特開2012−032786号公報
特許文献1〜4における複屈折率測定方法は、いずれの場合も合成石英ガラス基板を研磨し、鏡面になった状態で測定されている。これは合成石英ガラス基板表面が光を透過する状態でないと複屈折率が測定できないと考えられてきたためである。
一方、前述の通り、フォトマスク用合成石英ガラス基板やナノインプリント用ガラス基板に求められる規格としては、複屈折率以外にも高平坦性や無欠陥性が挙げられる。このことから、平坦度や欠陥の規格を満たすように合成石英ガラス基板の研磨工程を工夫して仕上げたとしても、最終的に複屈折率が所望の範囲内に入っていないと、不良基板となってしまう。このことは高いコストをかけて高平坦かつ無欠陥の表面を作り込んだ手間が無駄になってしまい、生産性が低くなる問題が生じてしまうものである。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、エキシマレーザー用、特にArFエキシマレーザー用、更にはArF液浸技術等にも使用されるレチクル、フォトマスク用合成石英ガラス基板、及びナノインプリント用石英モールド基板等の合成石英ガラス基板として好適な低複屈折率性、高平坦性、低欠陥性の優れた基板の生産性を高め、経済的に製造できる合成石英ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、合成石英ガラスブロック又はこれを板状に切断した合成石英ガラス板体の任意の面とそれに対向する面の2面について、特定の液体を塗り、一方の塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する光により合成石英ガラス等の複屈折率を測定し、得られた複屈折率分布に基づいて、合成石英ガラス等の良否の選別を行うことにより、合成石英ガラス基板製造工程の比較的早い段階において複屈折率に関する物性により良否を選別することができ、合成石英ガラス基板の生産性を高め、経済的に製造できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は以下の合成石英ガラス基板の製造方法を提供するものである。
〔1〕
合成石英ガラスブロックを用意する工程と、
前記合成石英ガラスブロックの任意の面とそれに対向する面の2面について、複屈折率を測定する波長における透過率が99.0%/mm以上である液体を塗る工程と、
一方の塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する光により合成石英ガラスブロックの複屈折率分布を測定する工程と、
得られた複屈折率分布に基づき、合成石英ガラスブロックの良否の選別を行うに当たり、前記合成石英ガラスブロックから得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する前記合成石英ガラスブロック上の有効範囲内に複屈折率の最大値がない複屈折率分布を有し、かつ、合成石英ガラス基板の複屈折率規格をαnm/cm以下としたとき、前記合成石英ガラスブロック上の有効範囲内の複屈折率の最大値が2.0αnm/cm以下である場合を良と判定する工程と、
前記選別を行う工程後、良と判定された合成石英ガラスブロックを板状に切断し、得られた合成石英ガラス板体を加工する工程と
を含む合成石英ガラス基板の製造方法。

前記合成石英ガラス板体を研削又はラップ加工工程、粗研磨工程、最終精密研磨工程を施すようにした請求項1記載の製造方法。

合成石英ガラスブロックを用意する工程と、
前記合成石英ガラスブロックを厚さが最終精密研磨工程後の合成石英ガラス基板の板厚より10μm〜1mm厚い板状に切断し、前記合成石英ガラス板体の任意の面とそれに対向する面の2面について、複屈折率を測定する波長における透過率が99.0%/mm以上である液体を塗る工程と、
一方の塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する光により合成石英ガラス板体の複屈折率分布を測定する工程と、
得られた複屈折率分布に基づき、合成石英ガラス板体の良否の選別を行うに当たり、前記合成石英ガラス板体から得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する前記合成石英ガラス板体上の有効範囲内に複屈折率の最大値がない複屈折率分布を有し、かつ、合成石英ガラス基板の複屈折率規格をαnm/cm以下としたとき、前記合成石英ガラス板体上の有効範囲内の複屈折率の最大値が1.5αnm/cm以下である場合を良と判定する工程と、
前記選別を行う工程後、良と判定された合成石英ガラス板体を加工する工程と
を含む合成石英ガラス基板の製造方法。

前記良と判定された合成石英ガラス板体を研削又はラップ加工工程、粗研磨工程、最終精密研磨工程を施すようにした〔3〕記載の製造方法。

前記液体を塗布する面の粗さ(Sa)が、1mm以下であることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の合成石英ガラス基板の製造方法。

前記液体の屈折率と合成石英ガラスの屈折率との差が、±0.15の範囲であることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の合成石英ガラス基板の製造方法。

前記液体が、水、1価アルコール、多価アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素及びこれらの水溶液から選ばれる液体であることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の合成石英ガラス基板の製造方法。

前記液体が、分子量200以上の多価アルコールであることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の合成石英ガラス基板の製造方法。

前記液体の蒸気圧が、25℃、101.3kPaにおいて3.2kPaより小さいことを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
本発明によれば、エキシマレーザー用、特にArFエキシマレーザー用、更にはArF液浸技術等にも使用されるレチクル、フォトマスク用合成石英ガラス基板用としてそれぞれのグレードに好適な基板を合成石英ガラス基板の製造工程の比較的早い段階である研削工程等の加工工程前において選別することができるため、合成石英ガラス基板の生産性を高め、経済的に製造できる方法を提供することが可能となる。
本発明における合成石英ガラス基板の製造工程の一例を示すフロー図である。 本発明における合成石英ガラス基板の製造工程の別の一例を示すフロー図である。
以下、本発明について、図1のフロー図に従って更に詳しく説明する。
合成石英ガラスは、シラン化合物やシロキサン化合物等のシリカ原料化合物を酸水素火炎によって気相加水分解又は酸化分解して生じるシリカ微粒子をターゲット上に堆積させてガラス化することにより製造することができる。この場合、シリカ微粒子をターゲット上に堆積させると共に、これを溶融ガラス化する直接法や、発生したシリカ微粒子をターゲット上に堆積後、加熱ガラス化する間接法のいずれの方法によっても製造することができる。得られたガラスインゴットは、真空溶解炉にて、例えば高純度カーボン製の型材を使用し、温度1,700〜1,900℃で30〜120分間保持して、所望の形状の合成石英ガラスブロックに熱間成型する。合成石英ガラスブロックの形状は、四角形、長方形、円形のいずれでもよく、大きさは、直径もしくは縦横がそれぞれ150〜300mm、厚さが10〜500mmであることが好ましい。
次いで、得られた合成石英ガラスブロックの複屈折率を測定するため、合成石英ガラスブロックの任意の面とそれに対向する面の2面に所用の液体を塗布する。
また、本発明では図2に示すように、上記合成石英ガラスブロックの他、この合成石英ガラスブロックをワイヤーソー等で切断し、板状にした後に、次の工程の所定の液体を塗る工程に供してもよい。ブロックの状態で測定するよりもこれを切断した後の合成石英ガラス板体の複屈折率分布を測定した方が、ラップされ、鏡面化された後の最終製品の複屈折率をより正確に予想することができる。この場合の板厚は、ラップされ、鏡面化された後の最終製品の板厚規格が基準となる。好ましくは最終製品の所望の板厚より10μm〜1mm厚い板厚、より好ましくは50〜500μm厚い板厚である。厚すぎると最終製品の複屈折率との誤差が大きくなったり、最終製品に加工するまでに多くの取り代をとらなければならず手間がかかったり、取り代分の原材料が無駄になったりする場合がある。薄すぎると最終製品になった時に切断時やラップ時の加工歪みが残り、欠陥不合格が多くなる場合がある。
本発明は、いわゆる6インチ基板[(152mm±0.2mm)×(152mm±0.2mm)×(6.35mm±0.1mm)]や、いわゆる9インチ基板[(228mm±0.2mm)×(228mm±0.2mm)×(6.35mm±0.1mm)]の加工製造工程として好適に適用できる。また、基板の材質は、合成石英ガラスが好適である。
合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体の液体を塗布する面は、液体を塗布することで光が透過する程度の粗面が好ましい。具体的な液体を塗布する面の粗さ(Sa)は、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.01μm<Sa≦1mm、更に好ましくは0.1μm<Sa≦100μm、特に好ましくは0.5μm<Sa≦50μmの粗面である。面粗さが0.01μmより小さいと鏡面に近くなり、そもそも液体を塗らなくても光を透過するためである。一方、面粗さがSa>1mmの面では液体を塗っても液体が表面の凹凸を埋めきれず、表面形状の影響を受け、入射面や出射面で光の乱反射が生じて正確な複屈折率分布を測定できないおそれがある。
液体を塗布する面の粗さの測定方法は、原子間力顕微鏡(AFM)や触診式粗さ計等の接触式のものや、レーザー干渉計や白色光干渉計等の非接触式の測定機を用いて測定することができる。測定範囲は、2次元の面で測定する場合、好ましくは1μm角から1mm角の間、より好ましくは10μm角から100μm角の間である。1次元の長さで測定する場合、10μmから10mmの間、より好ましくは100μmから1mmの間である。測定範囲が狭すぎると正確な粗さが算出されず、広すぎると測定に時間がかかること、うねりや平坦度を測定していることになってしまい、液体を塗布して光の透過性が上がるかどうかを判断する基準として不適切になってしまう場合がある。
次に、合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体の任意の面とそれに対向する面の2面について液体を塗布する工程において用いられる液体は、複屈折率分布を測定する波長の透過率が、99.0%/mm以上、好ましくは99.5%/mm以上、より好ましくは99.9%/mm以上である。液体の透過率が99.0%/mm未満である場合、即ち、液体が不純物として色素や異物を含んでいる場合や、液体の物質自体が吸収を持つ場合、散乱によって受光部に到達する光量が下がったり、液体を透過する際に偏光状態が乱れたりして合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体の複屈折率分布が正確に測れない場合がある。
一般に、物質の屈折率は波長によって変化し、波長が短くなると屈折率は大きくなる傾向がある。合成石英ガラスの屈折率は波長633〜193nmの範囲で1.457〜1.561となる。合成石英ガラスの屈折率と塗布する液体の屈折率の差は、正確な複屈折率分布の取得の観点から、好ましくは複屈折率分布を測定する波長の合成石英ガラスの屈折率±0.15(−0.15〜+0.15)、より好ましくは±0.10(−0.10〜+0.10)、更に好ましくは±0.05(−0.05〜+0.05)の範囲である。
塗布する液体としては、水;炭素数1〜12の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、フェノール等の多価アルコール;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,5−ジメチルフラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン等のエーテル;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;炭素数1〜8の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のカルボン酸;炭素数5〜17の直鎖アルカン等の炭化水素;及びこれらの物質を含む液体が挙げられる。これら液体は取り扱いが比較的簡便であり、純度等の保証された市販の試薬として入手しやすいことから、常に安定した品質が期待できる。このような液体は塗布しても合成石英ガラスの複屈折率特性に影響しにくい、もしくは影響が常に一定であり影響を考慮しやすいと考えられる。これらの中でも、好ましくは分子量100以上の多価アルコール、更に好ましくは分子量もしくはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が200〜2,000の多価アルコールが、粗面のガラス表面に塗布するのに適度な粘度であり、水により容易に洗浄可能なことから除去性も高いので好ましい。分子量の高いポリマー等の多価アルコールは粘度が高い傾向にあり、表面に塗布した際、面上に留まりやすい。例えば、光を入射又は出射する面が下方側に来た場合であっても表面が塗れた状態を維持することができ、安定して合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体の複屈折率分布測定を行うことができる。
塗布する液体の蒸気圧は、複屈折率分布測定中に合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体の表面が乾いて光が透過しなくなり、正確な複屈折率分布が測定できなくなることを防ぐ観点から、低いことが好ましい。通常、測定条件である25℃、101.3kPaにおいて好ましくは3.2kPa未満、より好ましくは1.4kPa未満である。
合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体の任意の面とそれに対向する面の2面について液体を塗布する方法は、例えば上記液体を刷毛で塗布したり、スプレーで吹き付けたり、スピンコーターで塗布する等の方法により可能である。なお、塗布工程は、液体の乾燥によって正確な複屈折率分布が測定できなくなるのを防ぐ観点から、次工程の複屈折率分布を測定する工程と併せて、なるべく素早く行うことが好ましい。
次に、得られた任意の面とそれに対向する面の2面について液体が塗布された合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体について、一方の塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する光により複屈折率分布を測定する。複屈折率分布の測定はいかなる方法でもよいが、高精度であることが望まれることから、例えば、光ヘテロダイン法による共通光路干渉計と、フーリエ解析法によるデータ処理及びXYスキャンステージから構成されるUNIOPT社製の複屈折率測定装置ABR−10Aや、光学系に光弾性変調法を採用し、光源として157nm、193nm、633nm等の複数のラインナップを持つHINDS社製のExicorシリーズ及び光源部にLED照明と円偏光フィルタ、受光部に偏光フィルタ集積素子とCCDカメラを組み合わせた(株)フォトニックラティス製WPA−100等を使用することができる。
具体的には、ABR−10AやExicorのようにレーザーを光源とする測定機であれば、レーザーのスポット径がおよそφ1mm未満とごく狭く、一回の測定毎に断面としてレーザースポットの範囲であって、ガラス中のレーザーの光路となった部分の複屈折率値と主軸方位を求めることができる。このような測定機でガラス中の任意の範囲内の複屈折率値を求めようとする場合、例えば、ガラス表面の任意の範囲内(例えば140mm×140mm範囲)の中で範囲の端を含むように任意の測定ピッチをX,Y方向両方に設定して(例えばX方向10mmピッチ、Y方向10mmピッチ)、測定位置を定め、測定して得られたデータ点(例えば225点)のそれぞれについて複屈折率値と主軸方位を求める。その中から任意の範囲内のそのガラス中の複屈折率の最大値、最小値、平均値、分布、主軸方位の分布等のデータを取得することができる。
一方、WPA−100のような受光部の偏光フィルタ集積素子を用いてLED照明エリア内の複屈折率を一括で測定する方式の測定機であれば、CCDカメラと合成石英ガラスの距離や集積素子の分解能にもよるが、LED照明エリア内に入るガラスに対して、ガラス表面をX,Y両方向に連続する任意の矩形範囲(例えば、縦横0.1〜10mm範囲)に分割して、それぞれの微細エリアの複屈折率値と主軸方位が求められる。即ち、それぞれのエリアを断面として光が通ってきたガラス中の複屈折率値と主軸方位を求めることができる。その中から評価したい任意の範囲を設定し、その範囲内に入る前記微細エリアのそれぞれの複屈折率値と主軸方位を評価することで、そのガラス中の複屈折率の最大値、最小値、平均値、分布、主軸方位の分布等のデータを取得することができる。
続く良否の選別を行う工程は、上記の方法により測定した複屈折率分布に基づき、合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体から得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する範囲の複屈折率の最大値から判定する。得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する範囲角内に複屈折率の最大値がない(範囲角内より外側に複屈折率の最大値がある)複屈折率分布の場合、外周部を研削加工することで、有効範囲に相当する範囲の複屈折率値に影響を与え、範囲角内の複屈折率値が低減する傾向がある。これは、研削加工がブロックに存在する残留応力に影響を与え、ブロックの応力バランスが変化するためであると考えられる。
例えば187mm×187mmの合成石英ガラスブロックであれば、得られる合成石英ガラス基板の有効範囲(132mm×132mm)に相当する範囲角内に複屈折率の最大値がない(範囲角内より外側に複屈折率の最大値がある)複屈折率分布の場合、合成石英ガラス基板の複屈折率規格をαnm/cm以下(例えば2nm/cm以下)とした場合、得られる合成石英ガラス基板(152mm×152mm)の有効範囲(132mm×132mm)に相当する範囲の複屈折率の最大値が2.0α(4)nm/cm以下の合成石英ガラスブロックを良として選別することで、複屈折率の最大値が2nm/cm以下の合成石英ガラス基板を高取得率で得ることができる。
一方、得られる合成石英ガラス基板の有効範囲(132mm×132mm)に相当する範囲内に複屈折率値の最大値がある複屈折率分布を有する場合、研削加工後に複屈折率値が低減せず、高複屈折率部位として残留する。このため、選別時の閾値をα(2)nm/cm以下に設定しなければ複屈折率の最大値が2nm/cm以下の合成石英ガラス基板を高取得率で得ることができない。
合成石英ガラス基板の複屈折率規格がαnm/cm以下であれば、合成石英ガラスブロックの場合は、前記選別を行う工程において、得られる複屈折率分布による選別が良の場合、ブロックから得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する範囲の複屈折率の最大値が2.0αnm/cm以下、より好ましくは1.5αnm/cm以下、更に好ましくは1.0αnm/cm以下である場合を良と判定することが好ましい。一方、合成石英ガラス板体の場合は、複屈折率分布による選別が良の場合は、得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する範囲の複屈折率の最大値が、1.5αnm/cm以下、より好ましくは1.25αnm/cm以下、更に好ましくは1.0αnm/cm以下である場合を良と判定することが好ましい。
なお、ArF液浸世代用のフォトマスク用合成石英ガラス基板用の規格として複屈折率の最大値が2nm/cm以下の合成石英ガラス基板が求められているが、合成石英ガラスブロック又は合成石英ガラス板体のときに測定した値と、鏡面に加工された後の合成石英ガラス基板で測定した値とはある程度誤差が生じる。そのため、粗面のブロック又は粗面の板体で測定した複屈折率値の閾値を低く設定すると、鏡面の合成石英ガラス基板で測定した場合に複屈折率2nm/cm以下となる基板までも良品からはじいてしまい、原料を無駄にしてしまう可能性がある。一方、閾値を高く設定すると鏡面に加工された後の合成石英ガラス基板で測定した場合に2nm/cmを超えてしまう規格外の基板が多くなり、そういった規格外基板に対して平坦度や欠陥を作り込むための手間をかけてしまうことが多くなり、生産性が悪化する場合がある。
前述の説明で、複屈折率の規格αが2nm/cmの場合に、合成石英ガラスブロックの測定時に最大値が2.0α(4)nm/cmで選別したのに対して、鏡面に加工された合成石英ガラス基板では2nm/cmで合否判定すると記載した。閾値に差があるのは合成石英ガラスブロックの複屈折率分布から、切り出される合成石英ガラス基板の複屈折率値を正確に予想することが難しく、誤差を考慮しているためである。ブロックは基板に比べて厚みがあるため、厚み方向に複屈折率のバラツキがあった場合、ブロックの複屈折率値は厚さ方向の平均値となってしまう。そのため、切り出された合成石英ガラス基板は、基板間で値にバラツキが生じる場合がある。加えて、ブロックの段階で基板の有効範囲と同範囲と想定される範囲の複屈折率分布を測定し、基板の複屈折率値を予想するが、数mm程度誤差が出る場合がある。更に、液体の塗り方が不均一な場合や、液体の屈折率と石英ガラスの屈折率の差が±0.15の範囲になるように選んでも、わずかな誤差が生じる等、様々な要因があり、ブロックの複屈折率分布から、切り出される合成石英ガラス基板の複屈折率値を正確に予想することは難しい。
そのため、原材料が貴重な場合や、原材料費が比較的高い場合等は、原材料を無駄にしないために、研磨加工されて鏡面化された合成石英ガラス基板の合否判定の閾値より、ブロックでの選別の閾値をやや高めに設定しておくことが好ましい。一方、原材料の作製が比較的容易な場合や、原材料費が比較的安く、相対的に加工工程のコストの方が高くなる場合(例えば、平坦度や欠陥に要求される規格が高い場合)、基板の複屈折率合否判定選別閾値に比べてブロックの複屈折率の選別閾値を厳しくして、最終的に得られる製品基板における複屈折率の規格による選別の合格率を上げ、加工工程のコストをできるだけ抑えるようなフローを設計することもできる。
一方、製品に要求される複屈折率の規格が緩く、閾値を高く設定できる場合は基板間のバラツキ等による合成石英ガラスブロックの複屈折率測定値と基板の複屈折率測定値間の誤差を考慮し、ほぼ全数の基板が合格するようにブロックの選別閾値について余裕をもって低く設定しても十分な歩留まりが確保できると考えられる。このような場合は、手間をかけて基板で全数測定するよりもブロックで測定した値でブロックごとに合否判定してしまうやり方も考えられる。この方が測定回数も少なくて済み、経済的である。
このようにして選定工程を経た後、合成石英ガラスブロックの場合、良と判定された合成石英ガラスブロックについて複屈折率分布の測定を行うために塗布した液体を除去後、板状に切断し、合成石英ガラス板体を得る。合成石英ガラス板体の場合は同様に塗布した液体を除去したものに対し、研削又はラップ加工工程、粗研磨工程、最終精密研磨工程を行って、合成石英ガラス基板を得る。これらの各研磨工程は従来から採用されてきた通常の方法で行うことができ、これにより、例えば表面粗度Ra0.05〜1nmで、複屈折率が2nm/cm以下の合成石英ガラス基板を製造することができる。
本発明は、合成石英ガラス基板の加工製造工程の比較的早い段階において複屈折率分布選別を行うことにより、特にArFエキシマレーザー用、更にはArF液浸技術等にも使用されるレチクル、フォトマスク用合成石英ガラス基板の製造において次のような利点が見込まれる。フォトマスク用合成石英ガラス基板用のそれぞれのグレードに好適な基板、即ち、各物性に高品質が要求される規格の厳しいフォトマスク用合成石英ガラス基板であって、例えば、複屈折率2nm/cm、平坦度0.3μm、欠陥として0.1μmを超える異物がない表面が要求される基板と、比較的規格が緩いフォトマスク用合成石英ガラス基板であって、例えば、複屈折率不問、平坦度0.8μm、欠陥として1.0μmを超える異物がない表面が要求される基板等を作り分ける際に、後の工程で研削又はラップ加工工程、粗研磨工程、最終精密研磨工程を通って精密に鏡面化されたガラス基板へと加工される原材料の段階、即ち合成石英ガラスブロックや合成石英ガラスブロックから板状に切り出される板体の段階で複屈折率選別することにより、例えば複屈折率2nm/cmの規格に入ることが予想される良品の原材料についてのみ平坦度や欠陥規格の作り込みを行い、複屈折率が規格に入らないと予想される原材料への過度の作り込みを避けることができるため、フォトマスク用合成石英ガラス基板の生産性を高め、経済的に製造することが可能となる。
以下、本発明の詳細について更に実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に
より限定されるものではない。
[実施例1]
縦×横×厚さが187mm×187mm×50mm、表面の面粗さ(Sa)が2.0μmである合成石英ガラスブロックを用意した。合成石英ガラスブロックの対向する187mm×187mmの2面について、ポリエチレングリコール(PEG)(和光純薬工業(株)製、ポリエチレングリコール400)を刷毛により満遍なく塗り、光が塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する状態とした。続いて(株)フォトニックラティス製の複屈折率測定装置(WPA−100)にて、波長543nmにおけるPEG塗布面の複屈折率分布を室温(25℃)で測定した。合成石英ガラスブロックの複屈折率分布は、複屈折率の最大値が152×152mm角内より外側にあり、後の工程で切り出される6インチ基板(152×152mm角)の有効範囲(132×132mm角)に相当する合成石英ガラスブロック上の有効範囲内に複屈折率の最大値がないことを確認した。なお、この合成石英ガラスブロックの複屈折率値は132×132mm角内の最大値に1.48を乗じ、波長193nmにおける複屈折率値に換算した。換算後の合成石英ガラスブロックの複屈折率の最大値は4.1nm/cmであった。得られた合成石英ガラスブロックは複屈折率2nm/cm規格品種向けとして加工することとした。
その後、ブロックよりスライス基板を切り出し、ラップ加工工程、硬質ウレタン研磨布と酸化セリウム系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた粗研磨工程、スェード系研磨布とコロイダルシリカ系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた最終精密研磨工程を経て精密鏡面の6インチ角の厚み6.35mmの合成石英ガラス基板6枚を得た。
得られた合成石英ガラス基板について、1枚毎に有効範囲(132×132mm角)内の複屈折率を測定した。結果、波長193nmにおける複屈折率の最大値は1.3、1.7、1.5、1.8、1.8、2.6nm/cmであり、6枚中5枚を2nm/cm規格品種として取得することができた。
[実施例2]
縦×横×厚さが187mm×187mm×50mm、表面の面粗さ(Sa)が2.0μmである合成石英ガラスブロックを用意した。合成石英ガラスブロックの対向する187mm×187mmの2面について、PEGを刷毛により満遍なく塗り、光が塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する状態とした。続いて波長543nmにおけるPEG塗布面の複屈折率分布を室温(25℃)で測定した。合成石英ガラスブロックの複屈折率分布は、複屈折率の最大値が152×152mm角内より外側にあり、後の工程で切り出される6インチ基板(152×152mm角)の有効範囲(132×132mm角)に相当する合成石英ガラスブロック上の有効範囲内に複屈折率の最大値がないことを確認した。なお、この合成石英ガラスブロックの複屈折率値は132×132mm角内の最大値に1.48を乗じ、波長193nmにおける複屈折率値に換算した。換算後の合成石英ガラスブロックの複屈折率の最大値は2.3nm/cmであった。得られた合成石英ガラスブロックは複屈折率2nm/cm規格品種向けとして加工することとした。
その後、ブロックよりスライス基板を切り出し、ラップ加工工程、硬質ウレタン研磨布と酸化セリウム系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた粗研磨工程、スェード系研磨布とコロイダルシリカ系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた最終精密研磨工程を経て精密鏡面の6インチ角の厚み6.35mmの合成石英ガラス基板6枚を得た。
得られた合成石英ガラス基板について、1枚毎に有効範囲(132×132mm角)内の複屈折率を測定した。結果、波長193nmにおける複屈折率の最大値は、1.0、0.9、1.2、1.4、1.4、1.2nm/cmであり、6枚中6枚を2nm/cm規格品種として収率100%で取得することができた。
[実施例3]
縦×横×厚さが260mm×260mm×50mm、表面の面粗さ(Sa)が2.0μmである合成石英ガラスブロックを用意した。合成石英ガラスブロックの対向する260×260mmの2面について、PEGを刷毛により満遍なく塗り、光が塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する状態とした。続いて波長543nmにおけるPEG塗布面の複屈折率分布を室温(25℃)で測定した。
合成石英ガラスブロックの複屈折率分布は、複屈折率の最大値が228×228mm角内より外側にあり、後の工程で切り出される9インチ基板(228×228mm角)の有効範囲(208×208mm角)に相当する合成石英ガラスブロック上の有効範囲内に複屈折率の最大値がないことを確認した。なお、この合成石英ガラスブロックの複屈折率値は208×208mm角内の最大値に1.48を乗じ、波長193nmにおける複屈折率値に換算した。換算後の合成石英ガラスブロックの複屈折率の最大値は2.4nm/cmであった。得られた合成石英ガラスブロックは複屈折率2nm/cm規格品種向けとして加工することとした。
その後、ブロックよりスライス基板を切り出し、ラップ加工工程、硬質ウレタン研磨布と酸化セリウム系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた粗研磨工程、スェード系研磨布とコロイダルシリカ系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた最終精密研磨工程を経て精密鏡面の9インチ角の厚み6.35mmの合成石英ガラス基板6枚を得た。
得られた合成石英ガラス基板について、1枚毎に有効範囲(208×208mm角)内の複屈折率を測定した。結果、波長193nmにおける複屈折率の最大値は、1.9、1.6、1.5、1.7、1.8、1.2nm/cmであり、6枚中6枚を2nm/cm規格品種として収率100%で取得することができた。
[実施例4]
縦×横×厚さが152mm×152mm×6.90mm、表面の面粗さ(Sa)が1.5μmである合成石英ガラス板体を用意した。合成石英ガラス板体の対向する152mm×152mmの2面について、PEGを刷毛により満遍なく塗り、光が塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する状態とした。続いて波長543nmにおけるPEG塗布面の複屈折率分布を室温(25℃)で測定した。合成石英ガラス板体の複屈折率分布は、複屈折率の最大値が140×140mm角内より外側にあり、後の工程で得られる6インチ基板(152×152mm角)の有効範囲(132×132mm角)に相当する合成石英ガラス板体上の有効範囲内に複屈折率の最大値がないことを確認した。なお、この合成石英ガラス板材の複屈折率値は132×132mm角内の最大値に1.48を乗じ、波長193nmにおける複屈折率値に換算した。換算後の合成石英ガラス板体の複屈折率の最大値は4.8nm/cmであった。この結果から、合成石英ガラス板体は複屈折率5nm/cm規格品種向けとして加工することとした。
その後、ラップ加工工程、硬質ウレタン研磨布と酸化セリウム系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた粗研磨工程、スェード系研磨布とコロイダルシリカ系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた最終精密研磨工程を経て精密鏡面の6インチ角の厚み6.35mmの合成石英ガラス基板を得た。
得られた合成石英ガラス基板について、有効範囲(132×132mm角)内の複屈折率を測定した。結果、波長193nmにおける複屈折率の最大値は、4.7nm/cmであり、5nm/cm規格品種として取得することができた。
[実施例5](不良と判定する場合)
縦×横×厚さが187mm×187mm×50mm、表面の面粗さ(Sa)が2.0μmである合成石英ガラスブロックを用意した。合成石英ガラスブロックの対向する187mm×187mmの2面について、PEGを刷毛により満遍なく塗り、光が塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する状態とした。続いて波長543nmにおけるPEG塗布面の複屈折率分布を室温(25℃)で測定した。合成石英ガラスブロックの複屈折率分布は後の工程で切り出される6インチ基板(152×152mm角)の有効範囲(132×132mm)に相当する合成石英ガラスブロック上の有効範囲内に複屈折率の最大値があることを確認した。なお、この合成石英ガラスブロックの複屈折率値は132×132mm角内の最大値に1.48を乗じ、波長193nmにおける複屈折率値に換算した。換算後の合成石英ガラスブロックの複屈折率の最大値は3.2nm/cmであった。
その後、ブロックよりスライス基板を切り出し、ラップ加工工程、硬質ウレタン研磨布と酸化セリウム系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた粗研磨工程、スェード系研磨布とコロイダルシリカ系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた最終精密研磨工程を経て精密鏡面の6インチ角の厚み6.35mmの合成石英ガラス基板6枚を得た。
得られた合成石英ガラス基板について、1枚毎に有効範囲(132×132mm角)内の複屈折率を測定した。結果、波長193nmにおける複屈折率の最大値はそれぞれ2.9、3.5、3.3、2.7、3.3、2.8nm/cmであり、1枚も2nm/cm規格品種として取得することができなかった。仮に粗面の合成石英ガラスブロックの状態で選別を行わず、ブロックを2nm/cm規格品種の製造用としていた場合、目的品種の基板を取得することができず、無駄な基板を製造してしまうこととなっていた。
[実施例6](不良と判定する場合)
縦×横×厚さが152mm×152mm×6.90mm、表面の面粗さ(Sa)が1.5μmである合成石英ガラス板体を用意した。合成石英ガラス板体の対向する152mm×152mmの2面について、PEGを刷毛により満遍なく塗り、光が塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する状態とした。続いて波長543nmにおけるPEG塗布面の複屈折率分布を室温(25℃)で測定した。合成石英ガラス板体の複屈折率分布は後の工程で得られる6インチ基板(152×152mm角)の有効範囲(132×132mm)に相当する合成石英ガラス板体上の有効範囲内に複屈折率の最大値があることを確認した。なお、この合成石英ガラス板体の複屈折率値は132×132mm角内の最大値に1.48を乗じ、波長193nmにおける複屈折率値に換算した。換算後の合成石英ガラス板体の複屈折率の最大値は2.6nm/cmであった。
その後、ラップ加工工程、硬質ウレタン研磨布と酸化セリウム系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた粗研磨工程、スェード系研磨布とコロイダルシリカ系研磨剤を用いた両面研磨機を用いた最終精密研磨工程を経て精密鏡面の6インチ角の厚み6.35mmの合成石英ガラス基板を得た。
得られた合成石英ガラス基板について、有効範囲(132×132mm角)内の複屈折率を測定した。結果、波長193nmにおける複屈折率の最大値は、2.5nm/cmであり、2nm/cm規格品種として取得することができなかった。仮に粗面の合成石英ガラス板体の状態で選別を行わず、板体を2nm/cm規格品種の製造用としていた場合、目的品種の基板を取得することができず、無駄な基板を製造してしまうこととなっていた。

Claims (9)

  1. 合成石英ガラスブロックを用意する工程と、
    前記合成石英ガラスブロックの任意の面とそれに対向する面の2面について、複屈折率を測定する波長における透過率が99.0%/mm以上である液体を塗る工程と、
    一方の塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する光により合成石英ガラスブロックの複屈折率分布を測定する工程と、
    得られた複屈折率分布に基づき、合成石英ガラスブロックの良否の選別を行うに当たり、前記合成石英ガラスブロックから得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する前記合成石英ガラスブロック上の有効範囲内に複屈折率の最大値がない複屈折率分布を有し、かつ、合成石英ガラス基板の複屈折率規格をαnm/cm以下としたとき、前記合成石英ガラスブロック上の有効範囲内の複屈折率の最大値が2.0αnm/cm以下である場合を良と判定する工程と、
    前記選別を行う工程後、良と判定された合成石英ガラスブロックを板状に切断し、得られた合成石英ガラス板体を加工する工程と
    を含む合成石英ガラス基板の製造方法。
  2. 前記合成石英ガラス板体を研削又はラップ加工工程、粗研磨工程、最終精密研磨工程を施すようにした請求項1記載の製造方法。
  3. 合成石英ガラスブロックを用意する工程と、
    前記合成石英ガラスブロックを厚さが最終精密研磨工程後の合成石英ガラス基板の板厚より10μm〜1mm厚い板状に切断し、前記合成石英ガラス板体の任意の面とそれに対向する面の2面について、複屈折率を測定する波長における透過率が99.0%/mm以上である液体を塗る工程と、
    一方の塗布面から入射し、他方の塗布面から出射する光により合成石英ガラス板体の複屈折率分布を測定する工程と、
    得られた複屈折率分布に基づき、合成石英ガラス板体の良否の選別を行うに当たり、前記合成石英ガラス板体から得られる合成石英ガラス基板の有効範囲に相当する前記合成石英ガラス板体上の有効範囲内に複屈折率の最大値がない複屈折率分布を有し、かつ、合成石英ガラス基板の複屈折率規格をαnm/cm以下としたとき、前記合成石英ガラス板体上の有効範囲内の複屈折率の最大値が1.5αnm/cm以下である場合を良と判定する工程と、
    前記選別を行う工程後、良と判定された合成石英ガラス板体を加工する工程と
    を含む合成石英ガラス基板の製造方法。
  4. 前記良と判定された合成石英ガラス板体を研削又はラップ加工工程、粗研磨工程、最終精密研磨工程を施すようにした請求項記載の製造方法。
  5. 前記液体を塗布する面の粗さ(Sa)が、1mm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
  6. 前記液体の屈折率と合成石英ガラスの屈折率との差が、±0.15の範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
  7. 前記液体が、水、1価アルコール、多価アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素及びこれらの水溶液から選ばれる液体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
  8. 前記液体が、分子量200以上の多価アルコールであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
  9. 前記液体の蒸気圧が、25℃、101.3kPaにおいて3.2kPaより小さいことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
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