以下、実施形態の信号切替装置、電磁波送受信装置、可変減衰器、および可変移相器を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2は、第1の実施形態の信号切替装置100の一例を示す図であり、図1は、スイッチ120が導通状態である場合の動作を示す図であり、図2は、スイッチ120が遮断状態である場合の動作を示す図である。信号切替装置100は、入出力端子P1から入出力端子P2に出力される信号をS1とS1#との間で切り替えるものである。信号切替装置100は、例えば、入出力端子P1と、入出力端子P2と、信号線路110Aと、信号線路110Bと、スイッチ120とを含む。
入出力端子P1には、信号Sが供給される。入出力端子P1に供給される信号Sは、例えば、アンテナ素子(不図示)により生成された数GHzといった高周波帯の受信信号、またはアンテナ素子に供給する数GHzといった高周波帯の送信信号である。
信号線路110Aは、例えば、配線基板(不図示)に形成された薄膜の導電体である。信号線路110Aは、所定温度以下において超伝導状態となる材料を含んでよい。信号線路110Aは、入出力端子P1に接続される。入出力端子P2は、信号線路110Aを介して入出力端子P1に接続される。入出力端子P2には、信号線路110Aにより伝送された信号S1が供給される。
信号線路110Bは、例えば、配線基板(不図示)に形成された薄膜の導電体である。信号線路110Bは、所定温度以下において超伝導状態となる材料を含んでよい。信号線路110Bは、信号線路110Aの分岐点110aに接続される。信号線路110Bは、線路の材料、および信号の周波数に基づく電気長が調整されている。信号の周波数とは、例えば、その信号の中心周波数を意味する。信号線路110Bの電気長は、N×λ/4となるように調整されているが、これに限定されない。λは、信号Sの波長であり、Nは、1以上の奇数である。信号線路110Bには、分岐点110aにおいて分岐した信号が供給される。信号線路110Bは、分岐した信号をスイッチ120に伝送する。
スイッチ120は、例えばFET(Field Effect Transistor)などの半導体スイッチである。また、スイッチ120は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スイッチなどの機械的なスイッチであってもよい。スイッチ120は、信号線路に接続された第一端aと、第二端bとを含む。スイッチ120の第一端aは、信号線路110Bを介して分岐点110aに接続される。スイッチ120の第二端bは、接地端子Gに接続される。スイッチ120は、外部装置から供給された制御信号に従って、導通状態と、遮断状態との間で状態が切り替えられる。スイッチ120が導通状態である場合、分岐点110aから見た信号線路110Bは、開放状態となる。スイッチ120が遮断状態である場合、分岐点110aから見た信号線路110Bは、短絡状態となる。開放状態とは、分岐点110aが電気的に開放している状態であり、且つ理想的なインピーダンスが無限大の状態である。短絡状態とは、分岐点110aが電気的に接地端子Gに短絡している状態であり、且つ理想的なインピーダンスが0の状態である。
スイッチ120は、図1に示すように、導通状態である場合に、信号線路110Bから供給された信号Sを、入出力端子P1に入力された信号Sと同じ位相で分岐点110aに反射し(第1の状態)、反射した信号S2と入出力端子P1に入力された信号Sとを入出力端子P2に出力させる。反射した信号S2と入出力端子P1に入力された信号Sとが、信号S1に相当する。例えば信号線路110Bの電気長が1/4波長である場合、入出力端子P1から分岐点110aに分岐した信号は、接地端子Gに向けて1/4波長分だけ伝送されて、接地端子Gで反射することにより位相が反転する。位相が反転された信号は、接地端子Gに向けて1/4波長分だけ伝送される。これにより、入出力端子P1から分岐点110aに伝送された信号Sと、分岐点110aに反射された信号S2とは、1波長分だけ位相がずれた同相の関係となり、この結果、信号Sおよび信号S2の双方は、入出力端子P2に伝送される。
スイッチ120は、図2に示すように、遮断状態である場合に、信号線路110Bから供給された信号を、入出力端子P1に入力された信号Sと異なる位相で分岐点110aに反射し(第2の状態)、反射した信号S2#で入出力端子P1に入力された信号Sを打ち消させる。これにより、信号Sは、減衰された信号S1#として入出力端子P2に伝送される。例えば信号線路110Bの電気長が1/4波長である場合、入出力端子P1から分岐点110aに分岐した信号は、接地端子Gに向けて1/4波長分だけ伝送されて、接地端子Gで反転することなく反射される。反射された信号は、接地端子Gに向けて1/4波長分だけ伝送される。これにより、入出力端子P1から分岐点110aに伝送された信号Sと、分岐点110aに反射された信号S2とは、1/2波長分だけ位相がずれた逆相の関係となり、この結果、信号Sは信号S2により減衰される。
なお、信号線路110Bの電気長は、図1に示すようにスイッチ120が導通状態である場合、分岐点110aから接地端子Gまでの電気長がN×λ/4となることが理想的である。また、信号線路110Bの電気長は、図2に示すようにスイッチ120が遮断状態である場合、分岐点110aからスイッチ120の第一端aまでの電気長がN×λ/4となることが理想的である。しかしながら、信号線路110B、スイッチ120および接地端子Gのレイアウトにより信号線路110Bの電気長はN×λ/4よりずれることとなるが、信号Sの波長に対して無視できるような電気長であるものとして説明する。
以上説明したように、第1の実施形態の信号切替装置100によれば、スイッチ120が導通状態である場合に、入出力端子P1から入出力端子P2に信号を伝送することができるので、信号線路110Aにスイッチを設ける必要がない。この結果、第1の実施形態の信号切替装置100によれば、信号を切り替える場合における信号の損失を抑制することができる。
また、第1の実施形態の信号切替装置100によれば、スイッチ120が遮断状態である場合に、信号線路110Bに分岐された信号を、入出力端子P1から信号線路110Aに入力される信号と異なる位相で反射させることができる。これにより信号切替装置100によれば、信号S1と異なる信号を入出力端子P1から入出力端子P2に供給することができ、低損失で信号の切替を行うことができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態の信号切替装置100Aの一例を示す図である。信号切替装置100Aは、例えば、入出力端子P1と、入出力端子P2と、信号線路110Aと、信号線路110Bと、信号線路110Cと、スイッチ120Aと、スイッチ120Bと、制御部130とを含む。
入出力端子P1には、信号Sが供給される。入出力端子P2は、信号線路110Aを介して入出力端子P1に接続される。入出力端子P2には、信号線路110Aにより伝送された信号S1が供給される。信号線路110A、信号線路110B、および信号線路110Cは、例えば、配線基板(不図示)に形成された薄膜の導電体である。信号線路110Aは、例えば、所定温度以下において超伝導状態となる材料を含んでよい。
信号線路110Bは、信号線路110Aの分岐点110aに接続される。信号線路110Cは、信号線路110Aにおける分岐点110aよりも入出力端子P2側の分岐点110bに接続される。信号線路110Bおよび信号線路110Cの電気長はλ/4となるように調整されている。信号線路110Aの電気長は、N×λ/4となるように調整されているが、これに限定されない。
スイッチ120Aおよびスイッチ120Bは、例えばFETなどの半導体スイッチである。また、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bは、MEMSスイッチなどの機械的なスイッチであってもよい。スイッチ120Aの第一端aは、信号線路110Bを介して分岐点110aに接続される。スイッチ120Aの第二端bは、接地端子Gに接続される。スイッチ120Bの第一端aは、信号線路110Cを介して分岐点110bに接続される。スイッチ120Bの第二端bは、接地端子Gに接続される。
スイッチ120Aおよびスイッチ120Bは、制御部130から供給された制御信号に従って、導通状態と遮断状態との間で切り替えられる。スイッチ120Aおよびスイッチ120Bが導通状態である場合、信号線路110Bおよび信号線路110Cは、1/4波長終端短絡スタブとして動作する。これにより、入出力端子P1に入力された信号Sは、信号線路110Aを介して入出力端子P2に伝送される。一方、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bが遮断状態である場合、入出力端子P1に入力された信号Sは、信号線路110Bおよび信号線路110Cに流れる。信号線路110Bおよび信号線路110Cに流れた信号は、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bにより反射され、信号線路110Aに流れている信号Sとは異なる位相となる。この結果、入出力端子P1から入出力端子P2に流れる信号Sは減衰される。
制御部130は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。制御部130は、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bに制御信号を出力することで、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bの状態を導通状態と遮断状態との間で切り替える。
以上説明したように、第2の実施形態の信号切替装置100Aによれば、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bが第1の状態である場合に、入出力端子P1から入出力端子P2に信号を伝送することができるので、信号線路110Aにスイッチを設ける必要がない。この結果、第2の実施形態の信号切替装置100Aによれば、信号を切り替える場合における信号の損失を抑制することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。図4は、第3の実施形態の信号切替装置100Bの一例を示す図である。信号切替装置100Bは、例えば、入出力端子P1と、入出力端子P2と、入出力端子P3と、入出力端子P4と、信号線路110Aと、信号線路110Bと、信号線路110Cと、信号線路110Dと、信号線路110Eと、信号線路110Fと、スイッチ120Aと、スイッチ120Bと、制御部130とを含む。
入出力端子P1には、信号Sが供給される。入出力端子P2は、信号線路110Aを介して入出力端子P1に接続される。入出力端子P4は、信号線路110Bおよび信号線路110Dを介して分岐点110aに接続される。入出力端子P3は、信号線路110Cおよび信号線路110Eを介して分岐点110bに接続される。信号線路110A、信号線路110B、信号線路110C、信号線路110D、信号線路110E、および信号線路110Fは、例えば、配線基板(不図示)に形成された薄膜の導電体である。信号線路110Aは、例えば、所定温度以下において超伝導状態となる材料を含んでよい。
信号線路110Aは、入出力端子P1および入出力端子P2に接続される。信号線路110Aの電気長は、N×λ/4となるように調整されている。Nは、1以上の奇数である。λは、伝送する信号の中心周波数の波長を意味する。
信号線路110Bは、信号線路110Aの分岐点110aに接続される。信号線路110Bの電気長はN×λ/4となるように調整されている。Nは、1以上の奇数である。信号線路110Dは、信号線路110Bおよび入出力端子P4に接続される。信号線路110Dの電気長は、(L−N)×λ/4となるように調整されている。Lは、2から始まる偶数である。ただし、LはNよりも大きい(L>N)。信号線路110Bおよび信号線路110Dには、スイッチ120Aが接続される。スイッチ120Aは、例えば、信号線路110Bおよび信号線路110Dの接続点に結合される。
信号線路110Cは、信号線路110Aにおける分岐点110aよりも入出力端子P2側の分岐点110bに接続される。信号線路110Cの電気長はN×λ/4となるように調整されている。信号線路110Eは、信号線路110Cおよび入出力端子P3に接続される。信号線路110Eの電気長は、(L−N)×λ/4となるように調整されている。信号線路110Cおよび信号線路110Eには、スイッチ120Bが接続される。スイッチ120Bは、例えば、信号線路110Cおよび信号線路110Eの接続点に結合される。
信号線路110Fは、信号線路110Dと信号線路110Eとを繋ぐ線路であって、入出力端子P3および入出力端子P4に接続される。すなわち、信号線路110Fには、入出力端子P4側の接続点110cに信号線路110Dが接続され、入出力端子P3側の接続点110dに信号線路110Eが接続される。信号線路110Fの電気長は、P×λ/4となるように調整されている。Pは、N+2×M(Mは奇数)で表される。
入出力端子P3には、終端器140が接続される。終端器140は、入出力端子P3に入力された信号が信号線路110Eおよび信号線路110Fに反射しないように抵抗値が調整されている。
スイッチ120Aおよびスイッチ120Bは、例えばFETなどの半導体スイッチである。また、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bは、MEMSスイッチなどの機械的なスイッチであってもよい。スイッチ120Aおよびスイッチ120Bの第三端aは、開放される。スイッチ120Aおよびスイッチ120Bの第二端bは、接地端子Gに接続される。スイッチ120Aおよびスイッチ120Bは、制御部130から供給された制御信号に従って、信号線路110Bおよび信号線路110Dを接地端子に短絡させる導通状態と、信号線路110Bおよび信号線路110Dを開放させる遮断状態との間で状態が切り替えられる。
図5は、第3の実施形態の信号切替装置100Bにおけるスイッチ120Aおよびスイッチ120Bが導通状態である場合の信号経路の一例を示す図である。図5の信号切替装置100Bは、N=1、M=1、L=2の場合の構成を示している。入出力端子P1に入力された信号Sを入出力端子P2に伝送させる場合、制御部130は、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bを導通状態(第二端bに接続)に制御する。すなわち、制御部130は、信号線路110Bおよび信号線路110Cの端部を短絡させる。スイッチ120Aおよびスイッチ120Bが導通状態である場合において、入出力端子P1から入出力端子P2に伝送される信号S10は、入出力端子P3および入出力端子P4には伝送されない。これにより、入出力端子P3および入出力端子P4は、アイソレーションポートとして機能する。この結果、入出力端子P1に供給された信号S10は、入出力端子P2に伝送され、入出力端子P2から出力される。
図6は、第3の実施形態の信号切替装置100Bにおいてスイッチ120Aおよびスイッチ120Bを導通状態に切り替えた時の信号周波数と通過振幅との関係を示す図である。図6は、図5に示した信号切替装置100Bの構成において、信号周波数を変化させた場合の信号の通過振幅のシミュレーション結果である。図6によれば、入出力端子P1と入出力端子P2との間に流れる信号S(2,1)の通過振幅に対し、入出力端子P1に戻る信号S(1,1)および入出力端子P2と入出力端子P4との間に流れる信号S(4,2)の通過振幅が低いことが分かる。したがって、入出力端子P2と入出力端子P4との間には、高いアイソレーション特性が得られていることが分かる。
図7は、第3の実施形態の信号切替装置100Bにおけるスイッチ120Aおよびスイッチ120Bが遮断状態である場合の信号経路の一例を示す図である。図7の信号切替装置100Bは、N=1、M=1、L=2の場合の構成を示している。入出力端子P1に入力された信号Sを入出力端子P4に伝送させる場合、制御部130は、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bを遮断状態(第三端aに接続)に制御する。すなわち、制御部130は、信号線路110Bおよび信号線路110Cの端部を開放させる。スイッチ120Aおよびスイッチ120Bが第三端aに切り替えられた状態において、入出力端子P1から入出力端子P4に伝送される信号S20は、入出力端子P2には伝送されない。これにより、入出力端子P2および入出力端子P3は、アイソレーションポートとして機能する。この結果、入出力端子P1に供給された信号S20は、入出力端子P4に伝送され、入出力端子P4から出力される。
図8は、第3の実施形態の信号切替装置100Bにおいてスイッチ120Aおよびスイッチ120Bを遮断させた時の信号周波数と通過振幅との関係を示す図である。図8は、図7に示した信号切替装置100Bの構成において、信号周波数を変化させた場合の信号の通過振幅のシミュレーション結果である。図8によれば、入出力端子P1と入出力端子P4との間に流れる信号S(4,1)の通過振幅に対し、入出力端子P1に戻る信号S(1,1)および入出力端子P2と入出力端子P4との間に流れる信号S(4,2)の通過振幅が低いことが分かる。したがって、入出力端子P4と入出力端子P2との間には、高いアイソレーション特性が得られていることが分かる。
以下、図9、図10、図11、および図12を参照して、信号線路110Bの端部および信号線路110Cの端部を開放させた場合における信号切替装置100Bの信号同士の関係を説明する。図9は、第3の実施形態の信号切替装置100BにおいてN=1、M=1、L=2とした場合の信号線路を示す図である。信号線路110Bおよび信号線路110Dは、一つに纏めると、λ/2の電気長を有する線路になる。同様に、信号線路110Cおよび信号線路110Eは、一つに纏めると、λ/2の電気長を有する線路になる。
図10は、第3の実施形態の信号切替装置100Bにおいて入出力端子P2に流れる信号の関係を示す図である。入出力端子P1に入力された信号Sは、分岐点110aにおいて、信号線路110Aに伝送される信号S30と、信号線路110B、信号線路110D、信号線路110F、信号線路110E、および信号線路110Cに伝送される信号S31とに分割される。信号S30は、λ/4分の位相が進む。信号S31は、λ/2と3λ/4とλ/2を合計した分の位相が進む。すなわち、信号S30と信号S31との位相差が180度となるため、信号S30と信号S31とは逆相の関係となり、この結果、信号S30と信号S31とが打ち消し合う。このように、信号切替装置100Bは、入出力端子P2を、アイソレーションポートとして機能させることができる。
図11は、第3の実施形態の信号切替装置100Bにおいて入出力端子P3に流れる信号の関係を示す図である。入出力端子P1に入力された信号Sは、分岐点110aにおいて、信号線路110A、信号線路110C、および信号線路110Eに伝送される信号S32と、信号線路110B、信号線路110D、および信号線路110Fに伝送される信号S33とに分割される。信号S32は、λ/4とλ/2とを合計した分の位相が進む。信号S33は、λ/2と3λ/4とを合計した分の位相が進む。すなわち、信号S30と信号S31との位相差が180度となるため、信号S32と信号S33とは逆相の関係となり、この結果、信号S32と信号S33とが打ち消し合う。このように、信号切替装置100Bは、入出力端子P3を、アイソレーションポートとして機能させることができる。
図12は、第3の実施形態の信号切替装置100Bにおいて入出力端子P4に流れる信号の関係を示す図である。入出力端子P1に入力された信号Sは、分岐点110aにおいて、信号線路110Bおよび信号線路110Dに伝送される信号S34と、信号線路110A、信号線路110C、信号線路110E、および信号線路110Fに伝送される信号S35とに分割される。信号S34は、λ/2分の位相が進む。信号S35は、λ/4とλ/2と3λ/4とを合計した分の位相が進む。すなわち、信号S30と信号S31との位相差が360度となるため、信号S34と信号S35とは同相の関係となり、この結果、信号S34と信号S35との双方は入出力端子P3に流れる。このように、信号切替装置100Bは、入出力端子P4を、出力ポートとして機能させることができる。
以上説明したように、第3の実施形態の信号切替装置100Bは、第1のN/4波長線路(110A)と、第2のN/4波長線路(110B)と、第3のN/4波長線路(110C)と、を備えることにより、信号線路110Bの端部および信号線路110Cの端部を短絡させた場合に、入出力端子P1と入出力端子P2との間に信号経路を形成することができる。
また、第3の実施形態の信号切替装置100Bは、第1のN/4波長線路(110B)を介して第1の分岐点(110a)に接続された第1の(L−N)/4波長線路(110D)と、第3のN/4波長線路(110C)を介して第2の分岐点(110b)に接続された第2の(L−N)/4波長線路(110E)と、第1の(L−N)/4波長線路(110D)と第2の(L−N)/4波長線路(110E)とを繋ぐP/4波長線路(110F)を備えることにより、信号線路110Bの端部および信号線路110Cの端部を開放させた場合に、入出力端子P1と入出力端子P4との間に信号経路を形成することができる。
第3の実施形態の信号切替装置100Bによれば、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bを導通状態と遮断状態との間で切り替えることにより、信号経路を切り替えることができる。第3の実施形態の信号切替装置100Bによれば、入出力端子P1と入出力端子P2との間の信号経路、および入出力端子P1と入出力端子P4との間の信号経路に直列にスイッチを備える必要がない。この結果、信号切替装置100Bによれば、信号経路における信号の損失を抑制することができる。
また、第3の実施形態の信号切替装置100Bによれば、図10〜図12を参照して説明したように、信号経路の電気長の相違により入出力端子P2およびP3に供給される信号同士を逆相とすることで、入出力端子P2およびP3をアイソレーションポートとして機能させるので、高いアイソレーション特性を実現することができる。
さらに、第3の実施形態の信号切替装置100Bによれば、信号線路110A、信号線路110B、信号線路110C、信号線路110D、信号線路110E、および信号線路110Fを、所定温度以下において超伝導状態となる材料を含むものとしたので、さらに信号経路を低損失化することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について説明する。図13は、第4の実施形態の信号切替装置100Cの一例を示す図である。信号切替装置100Cは、第3の実施形態の信号切替装置100Bの接地端子Gに代えて、スイッチ120Aの第二端bに調整用線路150Aを接続している。同様に、信号切替装置100Cは、スイッチ120Bの第二端bに調整用線路150Bを接続している。調整用線路150Aおよび150Bの一方端は、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bにおける第二端bに接続される。調整用線路150Aおよび150Bの第三端aは、開放される。
線路150Aの電気長は、信号線路110Bおよびスイッチ120Aを合計した電気長と、所望の電気長との差分となるように調整されている。所望の電気長とは、信号線路110B、スイッチ120A、および調整用線路150Aからなる線路が、信号の中心周波数において短絡状態または開放状態として機能する電気長である。所望の電気長は、例えば、λ/2である。所望の電気長がλ/2である場合、調整用線路150Aが開放されているので、分岐点110aから調整用線路150Aの終端で反射された信号は反転せずに、分岐点110aに伝送される。分岐点110aに伝送された信号は、入出力端子P1から分岐点110aに伝送された信号に対して同相となるため、信号線路110Aに伝送される。なお、調整用線路150Bの電気長は、調整用線路150Aと同様に調整されている。
図14は、第4の実施形態の信号切替装置100Cの他の一例を示す図である。第4の実施形態の信号切替装置100Cは、図14に示すように、調整用線路150Aに接地端子152Aを接続してもよい。同様に、信号切替装置100Cは、調整用線路150Bに接地端子152Bを接続してもよい。調整用線路150Aおよび調整用線路150Bは、接地端子152Aおよび接地端子152Bを接続することで、終端が短絡されたスタブとして機能する。
信号線路110B、スイッチ120Aおよび線路150Aの電気長がN×λ/4に調整されている場合、調整用線路150Aにより短絡状態にされているので、分岐点110aから線路150Aの接地端子152Aで反射された信号は反転して、分岐点110aに伝送される。分岐点110aに伝送された信号は、入出力端子P1から分岐点110aに伝送された信号に対して同相となるため、信号線路110Aに伝送される。なお、調整用線路150Bに接続された接地端子152Bも同様に、機能する。
なお、第4の実施形態は、図13に示したように、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bの双方に終端が開放された調整用線路150Aおよび150Bを接続し、図14に示したように、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bの双方に終端が短絡された調整用線路150Aおよび150Bを接続したが、これに限定されない。第4の実施形態は、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bの一方に端部が開放された線路を接続し、スイッチ120Aおよびスイッチ120Bの他方に端部が短絡された線路を接続してもよい。
以上説明したように、第4の実施形態の信号切替装置100Cによれば、上述した実施形態と同様に、信号経路における信号の損失を抑制することができる。また、信号切替装置100Cは、信号線路110Bの電気長を調整する調整用線路150Aをスイッチ120Aに接続したので、調整用線路150Aの長さを調整することで、信号線路110B、スイッチ120A、および線路150Aの電気長を所望の電気長に近づけることができる。これにより、信号切替装置100Cによれば、入出力端子P1と入出力端子P2との間の信号経路における信号の損失を更に低くすることができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について説明する。図15は、第5の実施形態の信号切替装置100Dの一例を示す図である。信号切替装置100Dは、上述した実施形態のスイッチ120Aおよびスイッチ120Bに代えて、PINダイオード122Aおよび122Bを備える。PINダイオード122Aは、アノード側が信号線路110Bおよび信号線路110Dに接続され、カソード側が接地端子124Aに接続される。PINダイオード122Bは、アノード側が信号線路110Cおよび信号線路110Eに接続され、カソード側が接地端子124Bに接続される。
PINダイオード122Aおよび122Bは、制御部130の制御信号により順バイアスが印加されている場合に低インピーダンスとなる。PINダイオード122Aおよび122Bは、制御部130の制御信号により逆バイアスが印加されている場合に高インピーダンスとなる。
制御部130は、信号線路110Bおよび信号線路110Dを信号経路に切り替える場合、PINダイオード122Aに逆バイアスを印加することでPINダイオード122Aを遮断状態に制御する。この場合、入出力端子P1と入出力端子P4との間に印加される電圧が大きくなると、PINダイオード122Aは、遮断状態から導通状態に切り替わる。これにより、PINダイオード122Aは、信号線路110Bおよび信号線路110Dに流れる電流値を制限するリミッタとして機能する。
制御部130は、信号線路110Aを信号経路に切り替える場合、PINダイオード122Aおよび122Bに順バイアスを印加することで、PINダイオード122Aおよび122Bを導通状態に制御する。この場合、入出力端子P1に入力された信号は入出力端子P2に流れるため、PINダイオード122Aおよび122Bはリミッタとして機能しない。
なお、第5の実施形態において、PINダイオード122Aは、カソード側が信号線路110Bおよび信号線路110Dに接続され、アノード側が接地端子124Aに接続されてもよい。また、PINダイオード122Bは、カソード側が信号線路110Cおよび信号線路110Eに接続され、アノード側が接地端子124Bに接続されてもよい。この場合、制御部130は、信号線路110Bおよび信号線路110Dを信号経路に切り替える場合、PINダイオード122Aに順バイアスを印加することでPINダイオード122Aを遮断状態に制御する。また、制御部130は、信号線路110Aを信号経路に切り替える場合、PINダイオード122Aおよび122Bに逆バイアスを印加することで、PINダイオード122Aおよび122Bを導通状態に制御する。
以上説明した第5の実施形態の信号切替装置100Dによれば、上述した実施形態と同様に、信号経路における信号の損失を抑制することができる。また、信号切替装置100Dは、PINダイオード122Aおよび122Bを備えることで、信号経路に過剰に振幅が大きな信号が供給された場合にリミッタとして機能させることができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について説明する。図16は、第6の実施形態の信号切替装置100Eの一例を示す図である。第6の実施形態の信号切替装置100Eは、入出力端子P1と入出力端子P4との間の信号経路に直列に接続されたスイッチ126Aを備える。また、信号切替装置100Eは、入出力端子P2と入出力端子P3との間の信号経路に直列に接続されたスイッチ126Bを備える。
スイッチ126Aおよびスイッチ126Bは、例えば、FETなどの半導体スイッチである。また、スイッチ126Aおよびスイッチ126Bは、MEMSスイッチなどの機械的なスイッチであってもよい。スイッチ126Aおよびスイッチ126Bは、制御部130により出力された制御信号により、導通状態と遮断状態との間で切り替えられる。
スイッチ126Aが遮断状態である場合、分岐点110aからみた信号線路110Bおよび信号線路110Dが開放状態となる。同様に、スイッチ126Bが遮断状態である場合、分岐点110bからみた信号線路110Cおよび信号線路110Eが開放状態となる。この場合、信号切替装置100Eは、信号経路を信号線路110Aに切り替えることができる。
スイッチ126Aが導通状態である場合、分岐点110aからみた信号線路110Bおよび信号線路110Dが短絡状態となる。同様に、スイッチ126Bが導通状態である場合、分岐点110bからみた信号線路110Cおよび信号線路110Eが短絡状態となる。この場合、信号切替装置100Eは、信号経路を信号線路110Bおよび信号線路110Dに切り替えることができる。
図17は、第6の実施形態の信号切替装置100Eの他の一例を示す図である。第6の実施形態の信号切替装置100Eは、信号線路110Bと信号線路110Dとの間の信号経路に直列に接続されたスイッチ128Aを備える。また、信号切替装置100Eは、信号線路110Cと信号線路110Eとの間の信号経路に直列に接続されたスイッチ128Bを備える。
スイッチ128Aおよびスイッチ128Bは、例えば、FETなどの半導体スイッチである。また、スイッチ128Aおよびスイッチ128Bは、MEMSスイッチなどの機械的なスイッチであってもよい。スイッチ128Aは、信号線路110Bに接続された第1の端子aと、信号線路110Dに接続された第2の端子bと、接地端子Gに接続された第3の端子cとを含む。スイッチ128Bは、信号線路110Cに接続された第4の端子aと、信号線路110Eに接続された第5の端子bと、接地端子Gに接続された第6の端子cとを含む。
スイッチ128Aが接地端子Gに導通された状態である場合、分岐点110aからみた信号線路110Bが開放状態となる。同様に、スイッチ128Bが接地端子Gに導通された状態である場合、分岐点110bからみた信号線路110Cが開放状態となる。この場合、信号切替装置100Eは、信号経路を信号線路110Aに切り替えることができる。
スイッチ128Aが信号線路110Dに導通された状態である場合、信号線路110Bおよび信号線路110Dが導通状態となる。同様に、スイッチ128Bが信号線路110Eに導通された状態である場合、信号線路110Cおよび信号線路110Eが導通状態となる。この場合、信号切替装置100Eは、信号経路を信号線路110Bおよび信号線路110Dに切り替えることができる。
以上説明した第6の実施形態の信号切替装置100Eによれば、上述した実施形態と同様に、信号経路を切り替えることができる。
(その他の実施形態)
以下、上述した実施形態の信号切替装置を含む電磁波送受信装置について説明する。図18は、実施形態の電磁波送受信装置200の一例を示すブロック図である。電磁波送受信装置200は、例えば、線路切替器210と、アンテナ220と、送信回路230と、受信回路240とを含む。
線路切替器210は、図4に示した信号切替装置100Bと同じ構成を有するものとするが、他の信号切替装置100C、100Dまたは100Eと同じ構成であってもよい。線路切替器210は、アンテナ220に接続された入出力部P11と、入力部P12と、出力部P13とを含む。入出力部P11は、例えば、信号切替装置100Bにおける入出力端子P1に相当する。入力部P12は、例えば、信号切替装置100Bにおける入出力端子P4に相当する。出力部P13は、例えば信号切替装置100Bにおける入出力端子P2に相当する。
線路切替器210は、線路が超伝導状態となる材料を含む場合、スターリング冷却機などにより冷却された基板上に形成され、内部空間を外部の熱から遮る材料で形成された筐体に収容される。また、線路切替器210は、筐体の内部空間が真空に近い状態で維持される。
アンテナ220は、電磁波送受信装置200に電磁波が到来した場合に、電磁波に基づく受信信号を生成する。アンテナ220は、生成した受信信号を線路切替器210に出力する。アンテナ220は、線路切替器210から送信信号が供給された場合、送信信号に応じて電波を放出する。
送信回路230は、外部から入力した送信信号に所定の処理を施して、線路切替器210に出力する(送信信号生成部)。受信回路240は、線路切替器210から入力された受信信号に所定の処理を施して、外部に出力する(受信信号処理部)。
線路切替器210は、入出力部P11と入力部P12とを接続する線路と、入出力部P11と出力部P13とを接続する線路との間で信号経路を切り替える制御信号が供給される。線路切替器210は、電磁波送受信装置200が電波を受信する場合、信号経路が入出力部P11と出力部P13とを接続する線路に切り替えられる。線路切替器210は、電磁波送受信装置200が電波を送信する場合、信号経路が入出力部P11と入力部P12とを接続する線路に切り替えられる。
実施形態の電磁波送受信装置200によれば、送信信号および受信信号が伝送される線路切替器210における信号の損失を抑制することができる。これにより、電磁波送受信装置200によれば、電波の受信感度を向上させることができる。
図19は、実施形態の電磁波送受信装置200の他の一例を示すブロック図である。送信回路230は、例えば、送信用移相器232と、送信アンプ234と、送信フィルタ236とを含む。送信用移相器232は、線路切替器210から放射させる送信ビームの方向に基づいて、送信信号の位相を調整する。送信アンプ234は、送信信号の振幅を増幅する。送信フィルタ236は、送信信号のうち不要な周波数の信号を抑圧することで送信信号の帯域を制限する。線路切替器210は、電磁波送受信装置200が電波を送信する場合、送信フィルタ236により出力された送信信号を、入力部P12を介して入力する。線路切替器210は、入力した送信信号を入出力部P11から出力させる。
受信回路240は、例えば、リミッタ242と、受信フィルタ244と、LNA(ローノイズアンプ)46と、受信用移相器248とを含む。線路切替器210には、アンテナ220から入力された受信信号が入出力部P11に入力され、出力部P13からリミッタ242に出力させる。リミッタ242は、線路切替器210から入力された受信信号の振幅を制限する。受信フィルタ244は、受信信号のうち不要な周波数の信号を取り除く。LNA246は、受信信号の振幅を増幅する。受信用移相器248は、電磁波を受信するビームの方向に基づいて、受信信号の位相を調整する。
図20は、実施形態の電磁波送受信装置200の他の一例を示すブロック図である。電磁波送受信装置200は、図19に示した送信フィルタ236および受信フィルタ244に代えて、アンテナ220および線路切替器210との線路に設けられた送受信フィルタ250を含む。線路切替器210は、アンテナ220から電磁波を放出させる場合に、送信用移相器232および送信アンプ234から入力部P12に送信信号が供給される。線路切替器210は、送信信号を入出力部P11から送受信フィルタ250に出力する。送受信フィルタ250は、線路切替器210から送信信号が供給された場合に、送信信号のうち不要な周波数の信号を抑圧することで送信信号の帯域を制限する。送受信フィルタ250は、アンテナ220から受信信号が供給された場合に、受信信号のうち不要な周波数の信号を取り除いて、線路切替器210に出力する。線路切替器210は、入出力部P11に供給された受信信号を、出力部P13を介して、リミッタ242、LNA246、および受信用移相器248に出力する。電磁波送受信装置200は、送信信号のフィルタと受信信号のフィルタとを共通化したので、部品数を削減することができる。
図21は、実施形態の電磁波送受信装置200の他の一例を示すブロック図である。電磁波送受信装置200は、図20に示した送信用移相器232および受信用移相器248に代えて、アンテナ220および線路切替器210との線路に設けられた移相器252を含む。移相器252は、送受信フィルタ250と線路切替器210との間に設けられているが、これに限られず、アンテナ220と送受信フィルタ250との間に設けられてもよい。移相器252は、送信信号に対する位相の調整量と、受信信号に対する位相の調整量とが切替可能であってもよい。
線路切替器210は、アンテナ220から電磁波を放出させる場合に、送信アンプ234から入力部P12に送信信号が供給される。線路切替器210は、送信信号を入出力部P11から移相器252に出力する。移相器252は、線路切替器210から放射させる送信ビームの方向に基づいて、送信信号の位相を調整する。これにより、電磁波送受信装置200は、送受信フィルタ250を介してアンテナ220に送信信号を供給して、電磁波を放出させる。また、移相器252は、電磁波を受信するビームの方向に基づいて、送受信フィルタ250から供給された受信信号の位相を調整して、線路切替器210に出力する。線路切替器210は、入出力部P11に供給された受信信号を、出力部P13を介して、リミッタ242およびLNA246に出力する。この電磁波送受信装置200によれば、送信用の移相器と受信用の移相器とを共通化したので、部品数を削減することができる。
図22は、実施形態の電磁波送受信装置200の他の一例を示すブロック図である。電磁波送受信装置200は、図20に示した線路切替器210に代えて、リミッタとしての機能を有する線路切替器210Aを含む。線路切替器210Aは、上述した図15に示した信号切替装置100Dに相当する。線路切替器210Aは、入出力部P11が信号切替装置100Dの入出力端子P1に相当し、入力部P12が信号切替装置100Dの入出力端子P2に相当し、出力部P13が信号切替装置100Dの入出力端子P4に相当する。線路切替器210Aは、入力部P12に供給された送信信号を、信号線路110Aを介して入出力部P11から移相器252に出力する。一方、線路切替器210Aは、入出力部P11に供給された受信信号を、信号線路110Bおよび信号線路110Dを介して入出力端子P4に出力する。受信信号の振幅がPINダイオード122Aおよび122Bがオンとなる所定値よりも高い場合、PINダイオード122Aおよび122Bは遮断状態から導通状態に切り替わる。これにより、PINダイオード122Aおよび122Bは、受信信号を接地端子124Aおよび124Bに短絡させる。この電磁波送受信装置200によれば、PINダイオード122Aおよび122Bを受信信号のリミッタとして機能させることができるので、部品数を削減することができる。
図23は、実施形態の電磁波送受信装置200Aの他の一例を示すブロック図である。この電磁波送受信装置200Aは、例えば、複数のアンテナ220−1、・・・20−K(Kは1以上の自然数)と、アンテナ220−1〜20−Kに対応した送受信フィルタ250、移相器252−1〜52−K、線路切替器210A、送信アンプ234、およびLNA246と、信号処理回路260と、を含む。
信号処理回路260は、アンテナ220−1〜20−Kから電磁波を送信させる場合、複数の送信アンプ234に送信信号を供給する。これにより、電磁波送受信装置200Aは、送信アンプ234、線路切替器210A、移相器252−1〜52−K、および送受信フィルタ250を介して、送信信号をアンテナ220−1〜20−Kにそれぞれ供給する。このとき、移相器252−1〜52−Kは、各アンテナ220−1〜20−Kに対応した位相の調整量に基づいてそれぞれ送信信号の位相をそれぞれ調整する。これにより、電磁波送受信装置200Aは、所望の形状の送信ビームを形成する。
信号処理回路260は、アンテナ220−1〜220−Kにより電磁波を受信した場合、送受信フィルタ250、移相器252−1〜252−K、線路切替器210、およびLNA246を介して、K個の受信信号が供給される。このとき、移相器252−1〜252−Kは、各アンテナ220−1〜220−Kに対応した位相の調整量に基づいてそれぞれ受信信号の位相をそれぞれ調整する。7信号処理回路260は、LNA246からそれぞれ入力したK個の受信信号を合成することで受信ビームに基づく信号を生成する。
この電磁波送受信装置200Aによれば、線路切替器210Aにおける受信信号の損失を抑制することができるので、受信感度が高いアレイアンテナ装置を実現することができる。
図24は、実施形態の可変減衰器300の一例を示す図である。可変減衰器300は、例えば、複数のアッテネータ310−1および310−2と、複数の線路切替器320−1〜320−4とを含む。なお、実施形態の可変減衰器300は、アッテネータが2個であるが、これに限らず、2個よりも多くのアッテネータを含んでいてもよい。
アッテネータ310−1および310−2は、例えば、信号を減衰させる所定の減衰量[dB]が設定されている抵抗器などを含む。アッテネータ310−1および310−2は、入力された信号の振幅を減衰させて出力する。アッテネータ310−1の減衰量とアッテネータ310−2の減衰量とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
線路切替器320−1〜320−4は、図4に示した信号切替装置100Bと同じ構成を有するものとするが、他の信号切替装置100C、100Dまたは100Eと同じ構成であってもよい。
可変減衰器300は、入力端子P21に入力された信号を、線路切替器320−1に供給する。線路切替器320−1は、入出力端子P31と、入出力端子P32と、入出力端子P33とを含む。入出力端子P31は、信号切替装置100Bの入出力端子P1に相当し、入出力端子P32は、信号切替装置100Bの入出力端子P2に相当し、入出力端子P33は、信号切替装置100Bの入出力端子P4に相当する。
線路切替器320−2は、入出力端子P34と、入出力端子P35と、入出力端子P36とを含む。入出力端子P34は、信号切替装置100Bの入出力端子P1に相当し、入出力端子P35は、信号切替装置100Bの入出力端子P2に相当し、入出力端子P36は、信号切替装置100Bの入出力端子P4に相当する。
可変減衰器300は、アッテネータ310−1により信号を減衰させる場合、線路切替器320−1における入出力端子P31と入出力端子P33とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器320−2における入出力端子P36と入出力端子P34とを接続する線路を信号経路に切り替える。可変減衰器300は、アッテネータ310−1により信号を減衰させない場合、線路切替器320−1における入出力端子P31と入出力端子P32とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器320−2における入出力端子P35入出力端子P34とを接続する線路を信号経路に切り替える。
線路切替器320−3は、線路切替器320−1と同様に、入出力端子P31と、入出力端子P32と、入出力端子P33とを含む。線路切替器320−4は、線路切替器320−2と同様に、入出力端子P34と、入出力端子P35と、入出力端子P36とを含む。線路切替器320−4の入出力端子P34は、出力端子P22に接続される。
可変減衰器300は、アッテネータ310−2により信号を減衰させる場合、線路切替器320−3における入出力端子P31と入出力端子P33とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器320−4における入出力端子P36と入出力端子P34とを接続する線路を信号経路に切り替える。可変減衰器300は、アッテネータ310−2により信号を減衰させない場合、線路切替器320−3における入出力端子P31と入出力端子P32とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器320−4における入出力端子P35入出力端子P34とを接続する線路を信号経路に切り替える。
実施形態の可変減衰器300によれば、アッテネータに信号を伝送する信号経路と、アッテネータに信号を伝送しない信号経路との間で切り替える場合における信号の損失を抑制することができる。この結果、可変減衰器300によれば、より高い精度の減衰量を実現することができる。
図25は、実施形態の可変移相器400の一例を示す図である。可変移相器400は、例えば、複数の移相器410−1および410−2と、複数の線路切替器420−1〜420−4とを含む。なお、実施形態の可変移相器400は、移相器が2個であるが、これに限らず、2個よりも多くの移相器を含んでいてもよい。
移相器410−1および410−2は、例えば、所定の位相差が設定されている線路およびスイッチなどを含む。移相器410−1は、例えば、入力信号に対して90度位相をずらして出力し、移相器410−2は、例えば、入力信号に対して180度位相をずらして出力する。
線路切替器420−1〜420−4は、図4に示した信号切替装置100Bと同じ構成を有するものとするが、他の信号切替装置100C、100Dまたは100Eと同じ構成であってもよい。
可変移相器400は、入力端子P41に入力された信号を、線路切替器420−1に供給する。線路切替器420−1は、入出力端子P51と、入出力端子P52と、入出力端子P53とを含む。入出力端子P51は、信号切替装置100Bの入出力端子P1に相当し、入出力端子P52は、信号切替装置100Bの入出力端子P2に相当し、入出力端子P53は、信号切替装置100Bの入出力端子P4に相当する。
線路切替器420−2は、入出力端子P54と、入出力端子P55と、入出力端子P56とを含む。入出力端子P54は、信号切替装置100Bの入出力端子P1に相当し、入出力端子P55は、信号切替装置100Bの入出力端子P2に相当し、入出力端子P56は、信号切替装置100Bの入出力端子P4に相当する。
可変移相器400は、移相器410−1により信号の位相を調整させる場合、線路切替器420−1における入出力端子P51と入出力端子P53とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器420−2における入出力端子P56と入出力端子P54とを接続する線路を信号経路に切り替える。可変移相器400は、移相器410−1により信号の位相を調整させない場合、線路切替器420−1における入出力端子P51と入出力端子P52とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器420−2における入出力端子P55入出力端子P54とを接続する線路を信号経路に切り替える。
線路切替器420−3は、線路切替器420−1と同様に、入出力端子P51と、入出力端子P52と、入出力端子P53とを含む。線路切替器420−4は、線路切替器420−2と同様に、入出力端子P54と、入出力端子P55と、入出力端子P56とを含む。線路切替器420−4の入出力端子P54は、出力端子P42に接続される。
可変移相器400は、移相器410−2により信号の位相を調整させる場合、線路切替器420−3における入出力端子P51と入出力端子P53とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器420−4における入出力端子P56と入出力端子P54とを接続する線路を信号経路に切り替える。可変移相器400は、移相器410−2により信号の位相を調整させない場合、線路切替器420−3における入出力端子P51と入出力端子P52とを接続する線路を信号経路に切り替えると共に、線路切替器420−4における入出力端子P55入出力端子P54とを接続する線路を信号経路に切り替える。
実施形態の可変移相器400によれば、移相器に信号を伝送する信号経路と、移相器に信号を伝送しない信号経路との間で切り替える場合における信号の損失を抑制することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、信号が供給される入出力端子P1と、入出力端子P1に接続された信号線路110Aと、信号線路110Aを介して入出力端子P1に接続された入出力端子P2と、信号線路110Aの分岐点110aに接続された信号線路110Bと、信号線路110Bを介して分岐点110aに接続され、信号線路110Bから供給された信号の反射状態を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるスイッチ120を持ち、信号線路110Bから供給された信号を、入出力端子P1から分岐点110aに入力された信号と同じ位相で分岐点110aに反射させるので、線路上にスイッチを設けることなく信号を切り替えることができ、信号の損失を抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。