JP6666587B2 - m−キシレンの分離方法 - Google Patents
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当該文献では、錯体形成反応として、下記のような反応が記載されている。
A + HF + BF3 → A・H+ + BF4 −
上記式中、「A」は芳香族炭化水素を表し、「A・H++BF4 −」は、芳香族炭化水素−HF−BF3錯体を表している。
[1]
m−キシレンおよびその異性体を1種以上含む混合物からのm−キシレンの分離方法であって、下記(1)〜(3)の工程を含む、m−キシレンの分離方法。
(1)前記混合物に、フッ化水素および三フッ化ホウ素からなる抽剤、および第一の希釈剤を添加して、酸塩基抽出により、m−キシレン−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を形成させた後、前記混合物から前記錯体溶液を分離する工程。
(2)前記錯体溶液に、第二の希釈剤、および脱離剤としてm−キシレンに対する相対塩基度が1.6以上である炭素数9〜10のアルキルベンゼンを添加して、m−キシレンと脱離剤との錯体交換を行うことにより、m−キシレンを前記錯体溶液から分離する工程。
(3)前記錯体交換により形成された脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体と第三の希釈剤を加熱して前記錯体を分解し、フッ化水素、三フッ化ホウ素を含む流れと、脱離剤と希釈剤を含む流れに分離する工程。
[2]
前記(3)の工程で回収したフッ化水素、三フッ化ホウ素を、前記(1)の工程に循環使用する、[1]記載の分離方法。
[3]
前記脱離剤がメシチレンである、[1]または[2]に記載の分離方法。
[4]
前記(3)の工程において、圧力0.1〜1.0MPa(ゲージ圧)、温度60〜100℃で、前記脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を加熱分解する、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離方法。
[5]
前記(3)の工程において、前記脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体の加熱時間が1〜30分である、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離方法。
[6]
前記第一、第二、および第三の希釈剤が、それぞれ独立してイソヘキサン、3−メチルペンタン、2−メチルヘキサン、2−エチルヘキサン、cis−デカリン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびメチルシクロペンタンからなる群より選択される1種または2種以上の混合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離方法。
[7]
前記(3)の工程において、前記脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体の分解を蒸留塔形式の設備で行い、該設備の塔底部で加熱して前記錯体を分解し、フッ化水素、三フッ化ホウ素を塔頂部より抜出し、塔底部より脱離剤と第三の希釈剤、および未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体溶液との混合物を抜き出す、[1]〜[6]のいずれかに記載の分離方法。
[8]
前記錯体分解を行う蒸留塔形式の設備の塔底部から抜出した脱離剤と第三の希釈剤、および未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体溶液との混合物をセトラーにて相分離することで脱離剤を前記錯体溶液から分離し、セトラーで相分離した錯体溶液を前記錯体分解を行う蒸留塔形式の設備へ循環させることで、未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を加熱分解させる、[7]に記載の分離方法。
本実施形態におけるMXの分離方法は、
(1)m−キシレンおよびその異性体を1種以上含む混合物に、フッ化水素および三フッ化ホウ素からなる抽剤、および第一の希釈剤を添加して、酸塩基抽出により、m−キシレン−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を形成させた後、前記混合物から前記錯体溶液を分離する工程、
(2)前記錯体溶液に、第二の希釈剤、および脱離剤としてm−キシレンに対する相対塩基度が1.6以上である炭素数9〜10のアルキルベンゼンを添加して、m−キシレンと脱離剤の錯体交換を行うことにより、m−キシレンを前記錯体溶液から分離する工程、
(3)記錯体交換により形成された脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体と第三の希釈剤を加熱して前記錯体を分解し、フッ化水素、三フッ化ホウ素を含む流れと、脱離剤と希釈剤を含む流れに分離する工程、
を含む、MXの分離方法である。
本実施形態におけるMXの分離方法は、
m−キシレンおよびその異性体を1種以上含む混合物に、フッ化水素および三フッ化ホウ素からなる抽剤、および第一の希釈剤を添加して、酸塩基抽出により、m−キシレン−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を形成させた後、前記混合物から前記錯体溶液を分離する工程(酸塩基抽出工程)を含む。
本実施形態のMXの分離方法の対象となるm−キシレンおよびその異性体を1種以上含む混合物は、m−キシレンの異性体としてp−キシレン(PX)、o−キシレン(OX)、およびエチルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種以上を含む。なお、該混合物中には異性体以外の化合物が含まれていてもよく、混合物全体に対して、m−キシレンの異性体が質量基準で90%以上含まれていることが好ましい。
本実施形態における分離方法は、上記混合物中で最も塩基性の強いMXを選択的に抽出して分離するものである。
フッ化水素および三フッ化ホウ素からなる抽剤は、MX−HF−BF3錯体や後記するような錯体交換反応後の脱離剤−HF−BF3錯体が、ルイス酸(気体)を放出することなく錯体状態を維持できるような量で添加されることが好ましい。具体的には、フッ化水素に対する三フッ化ホウ素のモル比(フッ化水素のモル数/三フッ化ホウ素のモル数)が5〜50の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜20の範囲である。フッ化水素に対する三フッ化ホウ素のモル比が上記範囲にあれば、錯体形成する反応容器の容積効率を維持しながら、MX−HF−BF3錯体および脱離剤−HF−BF3錯体を安定的に維持することができるとともに、錯体溶液から三フッ化ホウ素が気体として放出されてしまうのを有効に抑制できるため、MXや脱離剤が、希釈剤や抽残物を含む油相側に移行してしまう量を低減することができる。
酸塩基抽出工程において添加される第一の希釈剤は、抽剤によって抽出された成分中の錯体以外の成分、即ち、錯体によって物理溶解した、MXの異性体をストリッピングするのに十分な量で添加されるのが好ましく、具体的には、BF3モル数に対する容量で50〜300ml/molを使用するのが好ましい。
してもよいが、この場合、装置の容積効率が低下する場合がある。上記した希釈剤には、不飽和結合を持つ不純物や、炭素、水素以外の原子を含む不純物が含まれていないことが
好ましい。
酸塩基工程の操作温度は、好ましくは−50℃〜+20℃であり、より好ましい範囲は−30℃〜0℃である。温度を20℃以下にすることにより、超強酸であるHF−BF3による腐食を抑えることができ、−50℃以上とすることで過剰な冷却によるコスト増を抑えられる。
酸塩基工程の操作圧力は、好ましくは0.05MPa〜0.5MPa(ゲージ圧)の範囲であり、より好ましくは0.1MPa〜0.4MPa(ゲージ圧)の範囲である。操作圧力を低くし過ぎると、HF−BF3錯体から三フッ化ホウ素(気体)が放出してしまい、錯体状態が維持されない場合がある。また、内部圧力が高過ぎると、それに耐えうる材質や構造の塔を準備する必要があるため、分離コストの上昇を招く傾向にある。
本実施形態におけるMXの分離方法は、
前記MX−HF−BF3錯体から成る溶液に、第二の希釈剤、および脱離剤としてm−キシレンに対する相対塩基度が1.6以上である炭素数9〜10のアルキルベンゼンを添加して、m−キシレンと脱離剤の錯体交換を行うことにより、m−キシレンを前記錯体溶液から分離する工程を含む。
酸塩基抽出工程で抽出されたMX−HF−BF3錯体は、特定の脱離剤を添加することにより錯体状態の交換が行われ、所望のアルキル芳香族炭化水素が分離される。即ち、アルキル芳香族炭化水素の錯体と、錯体交換された脱離剤の錯体とは、下記化1のような平衡反応が成立するものと考えられる。なお、上記した非特許文献1には、超強酸として、フッ化水素と三フッ化ホウ素の混合型超強酸を用いた場合の平衡反応が記載されている。
また、脱離剤とともに第二の希釈剤を添加することにより、錯体交換により分離されたMXは、脱離剤および希釈剤との混合溶液として抽出分離され、蒸留等の公知の手段によりMXのみを高純度で得ることができる。従って、希釈剤は、錯体溶液と油相(MX、脱離剤および希釈剤との混合溶液)とを分離できる程度で添加されることが好ましく、具体的には、錯体交換工程に供給される脱離剤に対する重量比で0.01〜1倍を使用するのが好ましく、0.1〜0.5倍を使用するのがより好ましい。
錯体交換工程の操作温度は、好ましくは−50℃〜+20℃であり、より好ましい範囲は−30℃〜0℃である。温度を20℃以下にすることにより、超強酸であるHF−BF3による腐食を抑えることができ、−50℃以上とすることで過剰な冷却によるコスト増を抑えられる。
錯体交換工程の操作圧力は、好ましくは0.05MPa〜0・5MPa(ゲージ圧)の範囲であり、より好ましくは0.1MPa〜0.4MPa(ゲージ圧)の範囲である。操作圧力を低くし過ぎると、HF−BF3錯体から三フッ化ホウ素(気体)が放出してしまい、錯体状態が維持されない場合がある。また、内部圧力が高過ぎると、それに耐えうる材質や構造の塔を準備する必要があるため、分離コストの上昇を招く傾向にある。
本実施形態におけるMXの分離方法は、
前記錯体交換により形成された脱離剤−HF−BF3錯体と第三の希釈剤を加熱して前記錯体を分解し、フッ化水素、三フッ化ホウ素を含む流れと、脱離剤と希釈剤を含む流れに分離する工程を含む。
MX−HF−BF3錯体から、錯体交換により得られた脱離剤−HF−BF3錯体から成る溶液を加熱分解することにより、脱離剤、および抽剤であるフッ化水素、三フッ化ホウ素を分離する。MX−HF−BF3錯体は、0.1〜1.0MPa(ゲージ圧)の圧力範囲において、100℃以下の温度で分解可能であるが、MX−HF−BF3錯体が熱により変質してしまうため、変質を抑制するためには短時間で熱分解を行う必要があり、100℃以上の温度で分解する必要がある。一方、脱離剤−HF−BF3錯体は、MX−HF−BF3錯体よりも加熱による変質が起こりにくく、また少量の変質が起きたとしても脱離剤として再使用出来ることから、100℃以下の分解温度でより長い加熱時間にて脱離剤−HF−BF3錯体の加熱分解を行うことができる。
錯体分解工程の具体的な操作条件は、圧力は0.1〜1.0MPa(ゲージ圧)が好ましく、0.15〜0.4MPa(ゲージ圧)がより好ましい、温度は60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。錯体分解の加熱時間は1〜30分が好ましく、2〜20分がより好ましい。圧力を0.1〜1.0MPaとすることで、適度な温度で錯体分解を行うことが出来る。錯体分解を60〜100℃の温度で行うことで、容易に入手できる安価なエネルギーを加熱源として用いることができる。錯体の加熱分解の時間が1〜30分であることで、過大な装置を用いることなく錯体分解を実施できる。
錯体分解工程は、蒸留塔形式の装置(以下、錯体分解塔と記す)で行うことが好ましい。前記錯体交換工程において得られた脱離剤−HF−BF3錯体から成る溶液は、第三の希釈剤と共に錯体分解塔へ供与され、塔底部からの加熱によって前記の温度、および圧力にて錯体分解が行われる。錯体分解により得られたフッ化水素および三フッ化ホウ素は、前記錯体分解塔の塔頂から排出し、塔底部より脱離剤と希釈剤、および未分解の脱離剤−HF−BF3錯体から成る錯体溶液との混合物を排出する。
前記錯体分解塔に第三の希釈剤を添加することにより、錯体分解により単離した脱離剤は、セトラー槽にて脱離剤および希釈剤との混合溶液として相分離される。したがって、前記希釈剤は、脱離剤−HF−BF3錯体溶液相と油相(脱離剤と希釈剤との混合溶液)とを分離できる程度で添加することが好ましい。また、希釈剤を添加することにより、錯体分解の際の脱離剤の不均化反応を抑制することができる。上記のように錯体溶液相と油相とを分離でき、脱離剤の不均化反応を抑制できる希釈剤の好ましい添加量としては、前記錯体分解塔へ供与される脱離剤−HF−BF3錯体から成る溶液に対する重量比で0.001〜0,5の範囲であり、より好ましくは0.01〜0.25の範囲である。希釈剤の添加量を上記範囲内とすることにより、錯体溶液相と油相との相分離や脱離剤の不均化反応の抑制に有利であり、かつ経済的および生産効率の観点からも有利である。
前記セトラー槽で油相として得られた脱離剤および希釈剤との混合物は、蒸留等の公知の手段により脱離剤のみを単離しても良いが、脱離剤と希釈剤の混合物として、前記錯体交換工程へ循環使用することもできる。
また、前記錯体分解工程で単離されたフッ化水素、三フッ化ホウ素は、分解工程の圧力を0.1〜1.0MPa(ゲージ圧)とすることで圧縮機等を使用せず、自圧にて前記酸塩基抽出工程へと循環使用することができる。
次に本実施形態におけるm−キシレンの分離装置を図1を参照しながら説明する。
図1は本発明の分離方法を実施するための装置の一実施形態を示した該略図である。図1において、酸塩基抽出塔1には塔中段部からは混合キシレンが、塔上部からはフッ化水素と三フッ化ホウ素が、塔下部からは第一の希釈剤がそれぞれ供給される。酸塩基抽出塔1内ではMX−フッ化水素−三フッ化ホウ素錯体が形成され、酸塩基抽出塔塔底の管5から抜出される。m−キシレン以外のキシレン異性体は希釈剤との混合液として酸塩基抽出塔塔頂の管6より抜出される。
酸塩基抽出塔1から抜出されたMX−フッ化水素−三フッ化ホウ素錯体から成る錯体溶液を管8により錯体交換塔7の上部に供給され、脱離剤と第二の希釈剤が錯体交換塔7の下部の管9より供給される。錯体交換塔7内では、MXと脱離剤の錯体交換が行われる。脱離剤と錯体状態を交換したMXは、MXと脱離剤と希釈剤との混合液として管11より、フッ化水素および三フッ化ホウ素は脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素錯体から成る錯体溶液として管10よりそれぞれ抜き出される。管11より抜き出されるMXを含む混合液は、蒸留等の方法によってMXを容易に単離することが出来る。
管10より抜出された脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素錯体から成る錯体溶液は、管13より錯体分解塔12に供給される。錯体分解塔12内では、管14から供給される第三の希釈剤の存在下で脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素錯体から成る錯体溶液が加熱分解され、錯体分解で得られたフッ化水素および三フッ化ホウ素は管16より抜出される。錯体分解で得られた脱離剤は、未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素錯体および希釈剤との混合物として管15より抜き出される。
管15より抜き出された混合物は、セトラー17にて静置・相分離を行うことで油相と錯体溶液相に分離される。脱離剤と希釈剤から成る油相は、管18より回収し、錯体交換塔7に循環することができる。未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素錯体から成る錯体溶液相は管19より抜き出される。管19から抜きだされた錯体溶液相は錯体分解塔12へリサイクルされ、再度加熱分解を行うことでフッ化水素および三フッ化ホウ素が管16より回収される。
本実施形態において使用される酸塩基抽出塔1および錯体交換塔7としては、液々抽出操作系に適用される公知の手段を特に制限なく使用することができ、充填塔、多孔板塔、多孔板パルス塔、攪拌機付酸塩基抽出塔、WINTRAY(登録商標)、ミキサーセトラー等を好適に使用できる。これらの中でも、単位断面積当りの処理量が高く、抽出効率が高い形式のものが好ましく使用できる。
本実施形態において使用される錯体分解塔12としては、蒸留操作に適用される公知の手段を特に制限なく使用することができ、充填塔、多孔板塔、泡鐘塔等を好適に使用できる。
[MXの酸塩基抽出工程]
原料として、エチルベンゼン、p−キシレン、MX、およびo−キシレン(それぞれ、試薬グレード、和光純薬工業株式会社製)を、それぞれ質量基準で14%、19%、41%、および24%含まれるように混合したキシレン混合物を用いた。
MX抽出率(%)=([抽出塔から排出されるMX−HF−BF3錯体]のモル数)/([供給したキシレン混合物中のMX]のモル数)×100
錯体交換塔として、内部に合計26枚の回転円盤を備える内径45mm、全長1,000mmの回転円盤抽出塔(材質SUS316L)を塔内温度0℃、窒素圧で0.24MPaに保持し、抽出塔の上段に備えた管より、上記したMX抽出工程で排出された錯体溶液を、1261g/時の割合で供給した。また、希釈剤であるメチルシクロペンタンを39mol%含有するヘキサンを20wt%、および脱離剤であるメシチレン(試薬グレード、和光純薬工業株式会社製)を80wt%含む混合液を、抽出塔の下部に備えた管より1162g/時の割合で供給した。
MX錯体交換率(%)=100−([錯体交換塔から排出されたMX−HF−BF3錯体]のモル数)/([錯体交換塔に供給されたMX−HF−BF3錯体]のモル数)×100
圧力0.24MPa、塔底温度80℃に加熱した錯体分解塔(SUS316L製、内径760 mm、長さ1760 mm、1/2インチのテフロン製ラシヒリング充填)へ、上記で得られたメシチレン−HF−BF3錯体溶液を600g/時の割合で、メチルシクロペンタンが39mol%含まれるヘキサンを希釈剤として135g/時の割合で供給し、塔頂よりフッ化水素および三フッ化ホウ素を365g/時の割合で連続的に排出した。また、メシチレンと希釈剤、および未分解のメシチレン−HF−BF3錯体溶液との混合物を塔底部より1550g/時の割合で連続的に排出し、40℃へ冷却後、セトラー槽で静置して相分離を行い、メシチレンと希釈剤を含む油相を370g/時の割合で連続的に排出した。排出された未分解のメシチレン−HF−BF3錯体溶液相は錯体分解塔へ再度供給し、加熱分解を行った。
上記した錯体交換工程において、抽出塔の塔頂に備えた管より排出されたMXを含む混合液を蒸留して、MXの単離を行った。先ず、脱離剤と希釈剤とを含むMX約1kgを、93kPaで蒸留を行うことにより、ヘキサンとメチルシクロペンタンを主に含むMXの沸点未満の成分と、MXの沸点以上の成分とに分離を行った。続いて、31kPaで蒸留を行うことにより、MXを主に含む成分と、MXの沸点よりも高いメシチレンを主に含む成分とに分離を行った。この2段階の蒸留操作により、MX約300gを回収した。MXの純度は99.6%であった。なお、使用した蒸留塔の理論段数は約20段、各蒸留作業の還流比条件は30、MXの蒸留回収率は70%であった。
[錯体分解工程]
圧力0.24MPa、塔底温度80℃に加熱した錯体分解塔(SUS316L製、内径760 mm、長さ1760 mm、1/2インチのテフロン製ラシヒリング充填)へ、実施例1の酸塩基抽出工程で得られたMX−HF−BF3錯体溶液を600g/時の割合で、メチルシクロペンタンが39mol%含まれるヘキサンを希釈剤として140g/時の割合で供給し、塔頂よりフッ化水素および三フッ化ホウ素を460g/時の割合で連続的に排出した。また、MXと希釈剤、および未分解のMX−HF−BF3錯体溶液との混合物を塔底部より1500g/時の割合で連続的に排出し、40℃へ冷却後、セトラー槽で静置して相分離を行い、MXと希釈剤を含む油相を280g/時の割合で連続的に排出した。排出された未分解のMX−HF−BF3錯体溶液相は錯体分解塔へ再度供給し、加熱分解を行った。
2 循環フッ化水素・三フッ化ホウ素供給管
3 混合キシレン供給管 抽出キシレン供給管
4 第一の希釈剤供給管
5,10,15 塔底抜出し管
6,11,16 塔頂抜出し管
7 錯体交換塔
8 MX-HF-BF3錯体溶液供給管
9 脱離剤/第二の希釈剤供給管
12 錯体分解塔
13 脱離剤-HF-BF3錯体溶液供給管
14 第三の希釈剤供給管
17 セトラー槽
18 油相排出管
19 錯体溶液相排出管
20 循環脱離剤-HF-BF3錯体溶液供給管
Claims (8)
- m−キシレンおよびその異性体を1種以上含む混合物からのm−キシレンの分離方法であって、下記(1)〜(3)の工程を含む、m−キシレンの分離方法。
(1)前記混合物に、フッ化水素および三フッ化ホウ素からなる抽剤、および第一の希釈剤を添加して、酸塩基抽出により、m−キシレン−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を形成させた後、前記混合物から前記錯体溶液を分離する工程。
(2)前記錯体溶液に、第二の希釈剤、および脱離剤としてm−キシレンに対する相対塩基度が1.6以上である炭素数9〜10のアルキルベンゼンを添加して、m−キシレンと脱離剤との錯体交換を行うことにより、m−キシレンを前記錯体溶液から分離する工程。
(3)前記錯体交換により形成された脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体と第三の希釈剤を加熱して前記錯体を分解し、フッ化水素、三フッ化ホウ素を含む流れと、脱離剤と希釈剤を含む流れに分離する工程。 - 前記(3)の工程で回収したフッ化水素、三フッ化ホウ素を、前記(1)の工程に循環使用する、請求項1記載の分離方法。
- 前記脱離剤がメシチレンである、請求項1または2に記載の分離方法。
- 前記(3)の工程において、圧力0.1〜1.0MPa(ゲージ圧)、温度60〜100℃で、前記脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を加熱分解する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離方法。
- 前記(3)の工程において、前記脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体の加熱時間が1〜30分である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離方法。
- 前記第一、第二、および第三の希釈剤が、それぞれ独立してイソヘキサン、3−メチルペンタン、2−メチルヘキサン、2−エチルヘキサン、cis−デカリン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびメチルシクロペンタンからなる群より選択される1種または2種以上の混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離方法。
- 前記(3)の工程において、前記脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体の分解を蒸留塔形式の設備で行い、該設備の塔底部で加熱して前記錯体を分解し、フッ化水素、三フッ化ホウ素を塔頂部より抜出し、塔底部より脱離剤と第三の希釈剤、および未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体溶液との混合物を抜き出す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離方法。
- 前記錯体分解を行う蒸留塔形式の設備の塔底部から抜出した脱離剤と第三の希釈剤、および未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体溶液との混合物をセトラーにて相分離することで脱離剤を前記錯体溶液から分離し、セトラーで相分離した錯体溶液を前記錯体分解を行う蒸留塔形式の設備へ循環させることで、未分解の脱離剤−フッ化水素−三フッ化ホウ素から成る錯体を加熱分解させる、請求項7に記載の分離方法。
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