JP6666101B2 - 長尺状偏光子の検査方法 - Google Patents

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本発明は、長尺状偏光子の検査方法に関する。より詳細には、本発明は、非偏光部を有する長尺状偏光子の検査方法に関する。
携帯電話、ノート型パーソナルコンピューター(PC)等の画像表示装置には、カメラ等の内部電子部品が搭載されているものがある。このような画像表示装置のカメラ性能等の向上を目的として、種々の検討がなされている(例えば、特許文献1〜7)。しかし、スマートフォン、タッチパネル式の情報処理装置の急速な普及により、カメラ性能等のさらなる向上が望まれている。また、画像表示装置の形状の多様化および高機能化に対応するために、部分的に偏光性能を有する偏光板が求められている。これらの要望を工業的および商業的に実現するためには許容可能なコストで画像表示装置および/またはその部品を製造することが望まれるところ、そのような技術を確立するためには種々の検討事項が残されている。
特開2011−81315号公報 特開2007−241314号公報 米国特許出願公開第2004/0212555号明細書 韓国公開特許第10−2012−0118205号公報 韓国特許第10−1293210号公報 特開2012−137738号公報 米国特許出願公開第2014/0118826号明細書
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、電子デバイスの多機能化および高機能化を実現可能であり、かつ、品質にばらつきがない偏光子を長尺状に製造する際、該長尺状偏光子を効率的に検査し得る検査方法を提供することにある。
本発明の長尺状偏光子の検査方法は、少なくとも長尺方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有する長尺状偏光子を長尺方向に搬送させながら、該非偏光部を光学的に検査する方法であって、検知部により、該非偏光部を検知する工程と、検知された該非偏光部を撮影部により撮影する工程とを含み、該撮影時、該撮影部を長尺方向に移動させ、該撮影部の移動が、該検知部からの検知情報に基づいて開始される。
1つの実施形態においては、上記検査方法において、上記検知部が上記非偏光部を検知した後、上記撮影部が移動を開始するまでの時間が、非偏光部検知後の上記長尺状偏光子の搬送距離に基づいて、制御される。
1つの実施形態においては、上記長尺状偏光子が、長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された上記非偏光部を有する。
1つの実施形態においては、上記撮影部として、エリアセンサカメラが用いられる。
本発明の別の局面によれば、非偏光部を有する長尺状偏光子の製造方法が提供される。子の製造方法は、長尺状の偏光子に非偏光部を形成すること、および上記検査方法により上記非偏光部を検査することを含む。
1つの実施形態においては、上記非偏光部の形成後、連続して、上記非偏光部の検査を行う。
1つの実施形態においては、偏光子に塩基性溶液を接触させて上記非偏光部を形成する。
1つの実施形態においては、上記偏光子が、その少なくとも一部が露出するように保護材で保護された状態で、上記塩基性溶液の接触を行う。
本発明によれば、非偏光部撮影用カメラよりも搬送方向上流に設置した非偏光部検知センサにより、非偏光部が所定の場所を通過したことを検知し、該検知情報に基づいて、非偏光部撮影用カメラの移動を開始させ、かつ、非偏光部撮影用カメラによる非偏光部の撮影を行うことにより、長尺状偏光子に形成された非偏光部をインラインで連続的に検査することができる。また、非偏光部撮影用カメラが非偏光部を撮影する際、該非偏光部撮影用カメラを非偏光部の移動と同期して長尺方向に移動させることにより、鮮明な画像を得ることができ、また、比較的暗い環境下においても検査することが可能となる。
本発明の検査方法に供される偏光子における非偏光部の配置パターンの一例を説明する概略平面図である。 (a)および(b)は、本発明の1つの実施形態による偏光子の検査方法を説明する図である。 本発明の1つの実施形態による偏光子の検査方法を説明する図である。 本発明の1つの実施形態による偏光子の検査方法を説明する図である。 本発明の1つの実施形態による偏光子と表面保護フィルムとの貼り合わせを説明する概略斜視図である。 本発明の1つの実施形態による偏光フィルム積層体の部分断面図である。 本発明の1つの実施形態による偏光板の概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.偏光子の検査方法
本発明の検査方法は、少なくとも長尺方向に非偏光部を有する長尺状偏光子を検査する方法であり、非偏光部検知センサ(検知部)により、該非偏光部を検知し、その後、該非偏光部検知センサよりも搬送方向下流側に設置された非偏光部撮影用カメラ(撮影部)により、該非偏光部を撮影することを含む。本明細書において「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状を意味し、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状を含む。
長尺状偏光子は、少なくとも長尺方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有し、好ましくは、長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有し得る。非偏光部の配置パターンは、目的に応じて適切に設定され得る。代表的には、上記非偏光部は、偏光子を所定サイズの画像表示装置に取り付けるために所定サイズに裁断(例えば、長尺方向および/または幅方向への切断、打ち抜き)した際に、該画像表示装置のカメラ部に対応する位置に配置され得る。1つの実施形態においては、非偏光部は長尺方向および幅方向のいずれにおいても実質的に等間隔で配置される。なお、「長尺方向および幅方向のいずれにおいても実質的に等間隔」とは、長尺方向の間隔が等間隔であり、かつ、幅方向の間隔が等間隔であることを意味し、長尺方向の間隔と幅方向の間隔とが等しい必要はない。別の実施形態においては、非偏光部は、長尺方向に実質的に等間隔で配置され、かつ、幅方向に異なる間隔で配置されてもよい。幅方向において非偏光部が異なる間隔で配置される場合、隣接する非偏光部の間隔はすべて異なっていてもよく、一部(特定の隣接する非偏光部の間隔)のみが異なっていてもよい。
図1は、本発明の検査方法に供される偏光子における非偏光部の配置パターンの一例を説明する概略平面図である。1つの実施形態においては、非偏光部110は、図1に示すように、長尺方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、長尺方向に対して実質的に平行であり、ならびに、幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、幅方向に対して実質的に平行であるように配置される。
非偏光部の平面視形状は、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。例えば、非偏光部の平面視形状は、偏光子が用いられる画像表示装置のカメラ性能に悪影響を与えない限りにおいて、任意の適切な形状が採用され得る。図示例の非偏光部は円形であるが、例えば、楕円形、正方形、矩形、ひし形等に形成されていてもよい。
非偏光部の透過率(例えば、23℃における波長550nmの光で測定した透過率)は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは90%以上である。このような透過率であれば、例えば、非偏光部が画像表示装置のカメラ部に対応するよう偏光子を配置した場合に、カメラの撮影性能に対する悪影響を防止することができる。
非偏光部は、任意の適切な形態であり得る。1つの実施形態においては、非偏光部は、部分的に脱色された脱色部である。脱色部は、例えば、レーザー照射または化学処理により形成される。別の実施形態においては、非偏光部は貫通穴である。貫通穴は、例えば、機械的打ち抜き(例えば、パンチング、彫刻刃打抜き、プロッター、ウォータージェット)または所定部分の除去(例えば、レーザーアブレーションまたは化学的溶解)により形成される。
図2は、本発明の1つの実施形態による長尺状偏光子の検査方法を説明する概略斜視図である。図2は、長尺状偏光子の一部を拡大して示しており、1本の非偏光部通過ラインa上での検査の一例を示す。1つの実施形態においては、非偏光部110を有する長尺状偏光子100を、搬送方向上流(紙面右側)から搬送方向下流(紙面左側)に向けて、搬送させながら、非偏光部110の検査を行う。
本発明の検査方法は、非偏光部検知センサ200により、非偏光部110を検知し、その後、検知された非偏光部110を、非偏光部撮影用カメラ300により撮影することを含む。1つの実施形態においては、上記検査方法は、搬送方向上流側に非偏光部検知センサ200を設け、搬送方向下流側に非偏光部撮影用カメラ300を設けて行われる。非偏光部検知センサ200および非偏光部撮影用カメラ300は、長尺状偏光子100の厚み方向上方に設置されていてもよく、厚み方向下方に設置されていてもよい(図示例では、上方)。また、非偏光部検知センサ200の幅方向位置は、非偏光部110の通過ラインaに対応して、該非偏光部110を検知し得る位置である。また、非偏光部撮影用カメラ300の幅方向位置は、非偏光部110の通過ラインaに対応して、該非偏光部110を撮影し得る位置である。また、非偏光部検知センサ200および非偏光部撮影用カメラ300は、非偏光部110の通過ラインaに対応すべく、幅方向に移動可能に設置され得る。
なお、図示していないが、非偏光部撮影用カメラの撮影領域において、長尺状偏光子の非偏光部撮影用カメラとは反対側には、任意の適切な照明装置が設置され得る。当該照明装置により、撮影領域を照らせば、良好に非偏光部の撮影および検査を行うことができる。
まず、図2(a)に示すように、非偏光部検知センサ200が、非偏光部検知センサ200の検知範囲に到達した非偏光部110を検知する。言い換えれば、非偏光部検知センサ200は、非偏光部110が所定の長尺状方向位置bを通過したことを検知する。
非偏光部検知センサ200としては、非偏光部110と非偏光部110以外の領域とを判別し得る限り、任意の適切なセンサが用いられる。非偏光部検知センサ200としては、例えば、透過光検知センサ、反射光検知センサ等が用いられる。
次いで、図2(b)に示すように、非偏光部検知センサ200よりも搬送方向下流側に設置された非偏光部撮影用カメラ300により、上記のように検知された非偏光部110を撮影する。
非偏光部撮影用カメラ300としては、任意の適切なカメラが採用され得る。例えば、長尺状偏光子の一方の側(長尺状偏光子の非偏光部撮影用カメラとは反対側)から光を照射するとともに、他方の側からその透過光を撮影する形式のカメラ、長尺状偏光子の一方の側から光を照射し該偏光子に反射された光を撮影する形式のカメラ等が用いられ得る。
1つの実施形態においては、非偏光部撮影用カメラ300として、エリアセンサカメラが用いられる。
本発明の検査方法においては、非偏光部撮影用カメラ300による非偏光部110の撮影開始のタイミングが、非偏光部検知センサ200からの検知情報に基づいて、決定される。1つの実施形態においては、非偏光部検知センサ200が非偏光部110を検知した後、非偏光部撮影用カメラ300が撮影を開始するまでの時間Tpsが、非偏光部検知センサ200から非偏光部撮影用カメラ300までの長尺方向距離L(すなわち、非偏光部検知後の搬送距離L)に基づいて制御される。上記制御は、任意の適切なエンコーダー(例えば、検尺計)を用いて行われる(図示せず)。別の実施形態においては、上記時間Tps(sec)は、例えば、該距離Lと長尺状偏光子100の搬送速度Vとから、L(cm)/V(cm/sec)の式で定められ、非偏光部検知センサ200が非偏光部110を検知してから、時間Tps(sec)経過した後に、非偏光部撮影用カメラ300が非偏光部110を撮影する。なお、速度Vについては、あらかじめ入力された設定値を用いてもよく、実際のライン速度から取得した値を用いてもよい。あらかじめ入力された設定値を用いる場合、非偏光部110の撮影開始のタイミングは、距離Lにより管理され得る。上記距離Lは、例えば、0.1cm〜30cmであり、好ましくは2cm〜10cmである。また、上記速度Vは、例えば、3cm/sec〜45cm/secである。
1つの実施形態においては、非偏光部の撮影時、照明部の点灯により、非偏光部に光を照射する。このようにすれば、非偏光部の検査精度を高めることができる。照明部は、長尺状偏光子を基準に撮影部側に配置されていてもよく、撮影部とは反対側に配置されていてもよい。該照明部の点灯の開始および終了のタイミングは、検知部からの検知情報に基づいて制御され得る。1つの実施形態においては、照明の効率的な運用のために、撮影部による撮影の開始前に、該照明部の点灯を開始し、撮影部による撮影の終了後に、該照明部の点灯を終了する。なお、当該実施形態に限定されず、照明部は常時点灯させていてもよい。
なお、後述のように、非偏光部撮影用カメラ300は、長尺方向で前後に移動可能なように設置されているが、非偏光部110の撮影を開始する時点では、図2(a)に示すように、非偏光部撮影用カメラ300は、長尺方向における移動可能範囲において、長尺方向で最も上流側に位置していることが好ましい。
非偏光部撮影用カメラが非偏光部を撮影する際、該非偏光部撮影用カメラを長尺方向に移動させる。より具体的には、非偏光部撮影用カメラを、長尺状偏光子の搬送方向と同じ方向に、非偏光部の移動と同期して(非偏光部撮影用カメラが非偏光部を捕捉した状態で)移動させる。非偏光部撮影用カメラ300と非偏光部110とを同期して移動させることにより、非偏光部撮影用カメラ300は、より長い時間、非偏光部を捉えることとなり、その結果、非偏光部撮影用カメラ300のシャッタースピードを遅くすることができ、かつ、鮮明な画像を得ることができる。また、比較的暗い環境下においても、検査することが可能となる。さらには、検査し得る項目の多様化も図り得る。例えば、種々の分光スペクトルの取得が可能となり得、分光分析による検査等も可能となり得る。1つの実施形態においては、(i)上記のとおり、非偏光部検知センサ200が非偏光部110を検知してから、時間Tps(sec)経過した後に、非偏光部撮影用カメラ300が非偏光部110の撮影を開始し(図2(a))、(ii)図2(b)に示すように、非偏光部撮影用カメラ300は、シャッターを開いた状態で、長尺状偏光子の搬送方向(すなわち、非偏光部110の移動方向)と同じ方向に、長尺状偏光子の搬送(すなわち、非偏光部110の移動)に合わせて、所定の時間移動し、所定の時間移動後に撮影を完了する。非偏光部撮影用カメラ300の移動は、非偏光部検知センサ200からの検知情報に基づいて、開始される。1つの実施形態においては、非偏光部検知センサ200が非偏光部110を検知した後、非偏光部撮影用カメラ300が移動を開始するまでの時間Tmsが、非偏光部検知センサ200から非偏光部撮影用カメラ300までの長尺方向距離L(すなわち、非偏光部検知後の搬送距離L)に基づいて制御される。非偏光部撮影用カメラ300が撮影を開始するタイミングと、非偏光部撮影用カメラ300が移動を開始するタイミングとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
非偏光部撮影用カメラ300による撮影時間(シャッター開放時間)は、長尺状偏光子の搬送速度、検査環境の明るさ、検査項目の種類等に応じて、任意の適切な時間に設定され得る。該撮影時間は、例えば、0.00003秒〜3秒である。
本発明の検査方法により外観検査を行う場合、非偏光部撮影用カメラによる撮像を、任意の適切な方法により画像処理して、非偏光部およびその近傍の検査が行われる。本発明の検査方法では、非偏光部およびその近傍の外観を検査することができ、例えば、非偏光部の形状(円形の場合は、真円度等)、非偏光部の光透過性、非偏光部の色味、非偏光部部分における異物または気泡の有無等が検査される。また、分光分析による検査を行う場合、例えば、非偏光部およびその近傍におけるホウ酸濃度、非偏光部の位相差等が検査される。
上記長尺状偏光子は、長尺方向に配列した非偏光部を有する場合、上記(i)および(ii)の操作を1サイクルとして、該サイクルを繰り返すことにより、連続して複数の非偏光部を撮影し検査することができる。非偏光部撮影用カメラは、1サイクルが終了し、次のサイクルにおいて非偏光部の撮影を開始するまでの間に、長尺方向における移動可能範囲の上流側に移動する。
幅方向に複数個の非偏光部を有する偏光子を検査する場合、非偏光部撮影用カメラは、撮影すべき範囲に応じて、複数台設置してもよい。
非偏光部撮影用カメラ300を複数台設置する場合、非偏光部検知センサ200は、非偏光部撮影用カメラ300と同数台設置してもよく(図3)、非偏光部撮影用カメラ300よりも少ない台数を設置してもよい(図4)。
図3に示すように、非偏光部検知センサ200の台数を、非偏光部撮影用カメラ300の台数と同数とする場合、1本の非偏光部通過ラインaに対応して、一組の非偏光部検知センサ200および非偏光部撮影用カメラ300が設置される。そして、該一組の非偏光部検知センサおよび非偏光部撮影用カメラにより、通過ラインaごとに、非偏光部の検知、および該検知情報に基づいた非偏光部の撮影が行われる。非偏光部検知センサの台数を、非偏光部撮影用カメラの台数と同数とすれば、あらゆる非偏光部の配列パターンに柔軟に対応することができる。
図4に示すように、非偏光部検知センサ200の台数を非偏光部撮影用カメラ300よりも少なくする場合、1台の非偏光部検知センサ200による検知情報に基づいて、複数台の非偏光部撮影用カメラ300が制御される。1つの実施形態においては、非偏光部検知センサ200が1つの非偏光部110’を検知した後、該非偏光部110’を撮影する非偏光部撮影用カメラ300’が撮影および移動を開始するまでの時間Tps、Tmsが、上記同様、非偏光部検知センサ200から非偏光部撮影用カメラ300’までの長尺方向距離L等に基づいて、制御される。そして、非偏光部撮影用カメラ300’以外の非偏光部撮影用カメラ300は、非偏光部撮影用カメラ300’と同時に撮影を開始する。このような実施形態においては、非偏光部の幅方向配列パターンは、長さ方向で同じであることが好ましい。また、非偏光部撮影用カメラ300の配置および配列は、非偏光部110の幅方向配列パターンに応じて、適切に設定される。例えば、非偏光部撮影用カメラとしてエリアカメラを用い、非偏光部が幅方向に対して所定の角度θを有するように配列している場合、非偏光部撮影用カメラは、幅方向に対して所定の角度θを有するように配列することが好ましい。
本発明の検査方法においては、上記のように、非偏光部撮影用カメラよりも搬送方向上流に設置した非偏光部検知センサにより、非偏光部が所定の位置を通過したことを検知し、該検知情報に基づいて、非偏光部撮影用カメラによる非偏光部の撮影を行うことにより、長尺状偏光子に形成された非偏光部をインラインで連続的に検査することができる。
B.非偏光部を有する長尺状偏光子の製造方法
本発明の非偏光部を有する長尺状偏光子の製造方法は、長尺状の偏光子に非偏光部を形成すること、および、上記検査方法により非偏光部を検査することを含む。
B−1.偏光子
偏光子は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムから構成される。二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で、または二種以上組み合わせて用いられ得る。好ましくはヨウ素が用いられる。
上記樹脂フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂が用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。
偏光子(非偏光部を除く)は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子(非偏光部を除く)の単体透過率は、好ましくは39%以上、より好ましくは39.5%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは40.5%以上である。なお、単体透過率の理論上の上限は50%であり、実用的な上限は46%である。また、単体透過率は、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値であり、例えば、顕微分光システム(ラムダビジョン製、LVmicro)を用いて測定することができる。偏光子の偏光度(非偏光部を除く)は、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.93%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
偏光子の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。厚みは、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。一方で、厚みは、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。
偏光子の吸収軸は、目的に応じて任意の適切な方向に設定され得る。吸収軸の方向は、例えば、長尺方向であってもよく幅方向であってもよい。長尺方向に吸収軸を有する偏光子は、例えば、製造効率に優れるという利点がある。幅方向に吸収軸を有する偏光子は、例えば、長尺方向に遅相軸を有する位相差フィルムとロールトゥロールで積層できるという利点がある。1つの実施形態においては、吸収軸は長尺方向または幅方向に実質的に平行であり、かつ、偏光子の幅方向両端は長尺方向に平行にスリット加工されている。このような構成によれば、偏光子の端辺を基準に裁断でき、所望の位置に非偏光部を有し、かつ適切な方向に吸収軸を有する複数の偏光子を、容易に製造することができる。なお、偏光子の吸収軸は、後述の延伸処理における延伸方向に対応し得る。
偏光子は、代表的には、上記樹脂フィルムに膨潤処理、延伸処理、上記二色性物質による染色処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等の各種処理を施すことにより得られる。各種処理を施す際、樹脂フィルムは、基材上に形成された樹脂層であってもよい。上記非偏光部の形成は、偏光子の作製工程の途中でも行い得る。
B−2.非偏光部の形成
好ましくは、非偏光部は、脱色部である。このような構成によれば、機械的に(例えば、彫刻刃打抜き、プロッター、ウォータージェット等を用いて機械的に抜き落とす方法により)、貫通穴が形成されている場合に比べて、クラック、デラミ(層間剥離)、糊はみ出し等の品質上の問題が回避される。脱色部は、好ましくは、偏光子(二色性物質を含む樹脂フィルム)の所望の位置に塩基性溶液を接触させることにより形成される。このような方法により形成される非偏光部は、他の部位(非接触部)よりも二色性物質の含有量が低い低濃度部とされ得る。低濃度部は二色性物質自体の含有量が低いので、レーザー光等により二色性物質を分解して脱色部が形成されている場合に比べて、非偏光部の透明性が良好に維持される。
上記低濃度部の二色性物質の含有量は、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。低濃度部の二色性物質の含有量の下限値は、通常、検出限界値以下である。上記他の部位における二色性物質の含有量と低濃度部における二色性物質の含有量との差は、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上である。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、ヨウ素含有量は、例えば、蛍光X線分析で測定したX線強度から、予め標準試料を用いて作成した検量線により求められる。
上記塩基性溶液に含まれる塩基性化合物としては、任意の適切な化合物が用いられ得る。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア水等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物が用いられ、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが用いられる。二色性物質を効率良くイオン化することができ、より簡便に脱色部を形成することができる。これらの塩基性化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性溶液の溶媒としては、水、アルコールが好ましく用いられる。塩基性溶液の濃度は、例えば0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、さらに好ましくは0.1N〜2.5Nである。塩基性溶液の液温は、例えば20℃〜50℃である。塩基性溶液の接触時間は、偏光子の厚み、塩基性溶液に含まれる塩基性化合物の種類や濃度に応じて設定され得る。接触時間は、例えば5秒〜30分であり、好ましくは5秒〜5分である。
塩基性溶液の接触方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、偏光子に対し、塩基性溶液を滴下、塗工、スプレーする方法、偏光子を塩基性溶液に浸漬する方法が挙げられる。塩基性溶液の接触に際し、所望の部位以外に塩基性溶液が接触しないように、任意の適切な保護材で偏光子を保護してもよい。このような保護材としては、例えば、保護フィルム、表面保護フィルムが用いられる。保護フィルムは、偏光子の保護フィルムとしてそのまま利用され得るものである。表面保護フィルムは、偏光子の製造時に一時的に用いられるものである。表面保護フィルムは、任意の適切なタイミングで偏光子から取り除かれるため、代表的には、偏光子に粘着剤層を介して貼り合わされる。保護材の別の具体例としては、フォトレジスト等が挙げられる。また、上記偏光子の作製工程で用いられる基材も保護材として用い得る。
好ましくは、塩基性溶液の接触に際し、偏光子表面は、その少なくとも一部が露出するように表面保護フィルムで被覆されている。図示例のような非偏光部の配置パターンを有する偏光子は、当該配置パターンに対応する位置に、所望の非偏光部サイズに対応する小円形の貫通孔が形成された表面保護フィルムを偏光子の片側に貼り合わせて偏光フィルム積層体を準備し、これに塩基性溶液を接触させることで製造される。その際、偏光子のもう片側(貫通孔が形成された表面保護フィルムが配置されていない側)も保護されていることが好ましい。保護フィルムや表面保護フィルムの貼り合わせは、図5に示すように、ロールトゥロールにより行われるのが好ましい。本明細書において、「ロールトゥロール」とは、ロール状のフィルムを搬送しながら互いの長尺方向を揃えて積層することをいう。
図6は、本発明の1つの実施形態による偏光フィルム積層体の部分断面図である。偏光フィルム積層体101は、偏光子100と偏光子100の一方面側(図示例では上面側)に配置された第1の表面保護フィルム20と、偏光子100の他方面側(図示例では下面側)に配置された保護フィルム30および第2の表面保護フィルム40とを備える。偏光フィルム積層体101は、その一方面側(図示例では上面側)に偏光子100が露出した露出部11,11…を有する。露出部11は、第1の表面保護フィルム20に貫通孔21を形成することにより設けられている。
上記表面保護フィルムの形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。好ましくは、エステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂)である。弾性率が十分に高く、例えば、搬送および/または貼り合わせ時に張力をかけても貫通孔の変形が生じにくいからである。表面保護フィルムの厚みは、代表的には20μm〜250μmであり、好ましくは30μm〜150μmである。
第1の表面保護フィルムは、所定のパターンで配置された貫通孔を有する。貫通孔の位置は、非偏光部が形成される位置に対応する。貫通孔の形状は、所望の非偏光部の形状に対応する。貫通孔は、例えば、機械的打ち抜き(例えば、パンチング、彫刻刃打抜き、プロッター、ウォータージェット)またはフィルムの所定部分の除去(例えば、レーザーアブレーションまたは化学的溶解)により形成される。
表面保護フィルムは、例えば、塩基性溶液の接触後、任意の適切なタイミングで剥離除去される。
上記保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。
保護フィルムの偏光子を積層させない面には、表面処理層として、ハードコート層や反射防止処理、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理が施されていてもよい。保護フィルムは、代表的には、接着剤層を介して偏光子に貼り合わされる。
1つの実施形態においては、上記塩基性溶液は、偏光子と接触後、任意の適切な手段により偏光子から除去される。このような実施形態によれば、例えば、偏光子の使用に伴う非偏光部の透過率の低下をより確実に防止することができる。塩基性溶液の除去方法の具体例としては、洗浄、ウエス等による拭き取り除去、吸引除去、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。好ましくは、塩基性溶液は洗浄される。洗浄に用いる洗浄液としては、例えば、水(純水)、メタノール、エタノール等のアルコール、および、これらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、水が用いられる。洗浄回数は特に限定されず、複数回行ってもよい。塩基性溶液を乾燥により除去する場合、その乾燥温度は、例えば20℃〜100℃である。
好ましくは、上記塩基性溶液との接触後、塩基性溶液を接触させた接触部において、樹脂フィルムに含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させる。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させることにより、寸法安定性に優れた非偏光部を得ることができる。具体的には、加湿環境下においても、塩基性溶液との接触により形成された非偏光部の形状をそのまま維持することができる。
塩基性溶液を接触させることにより、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物が残存し得る。また、塩基性溶液を接触させることにより、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の金属塩(例えば、ホウ酸塩)が生成し得る。これらは水酸化物イオンを生成し得、生成した水酸化物イオンは、接触部周囲に存在する二色性物質(例えば、ヨウ素錯体)に作用(分解・還元)して、非偏光領域を広げ得る。したがって、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩を低減させることにより、経時的に非偏光領域が広がるのを抑制して、所望の非偏光部形状が維持され得ると考えられる。
上記非偏光部は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の含有量が3.6重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5重量%以下であり、さらに好ましくは1.0重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以下である。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の含有量は、例えば、蛍光X線分析により測定したX線強度から予め標準試料を用いて作成した検量線により求めることができる。
上記低減させる方法としては、好ましくは、塩基性溶液との接触部に酸性溶液を接触させる方法が用いられる。このような方法によれば、酸性溶液にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を効率的に移行させて、その含有量を低減させることができる。酸性溶液との接触は、上記塩基性溶液の除去後に行ってもよいし、塩基性溶液を除去することなく行ってもよい。
上記酸性溶液に含まれる酸性化合物としては、任意の適切な酸性化合物を用いることができる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素等の無機酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、安息香酸等の有機酸等が挙げられる。酸性溶液に含まれる酸性化合物は、これらの中でも、好ましくは無機酸であり、さらに好ましくは塩酸、硫酸、硝酸である。これらの酸性化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性溶液の溶媒としては、水、アルコールが好ましく用いられる。酸性溶液の濃度は、例えば0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、さらに好ましくは0.1N〜2.5Nである。酸性溶液の液温は、例えば20℃〜50℃である。酸性溶液の接触時間は、例えば5秒〜5分である。なお、酸性溶液の接触方法は、上記塩基性溶液の接触方法と同様の方法が採用され得る。また、酸性溶液は、偏光子から除去され得る。酸性溶液の除去方法は、上記塩基性溶液の除去方法と同様の方法が採用され得る。
B−3.非偏光部の検査
非偏光部の形成後、上記検査方法により非偏光部の検査を行う。検査を行う際、偏光子に上記表面保護フィルムが積層された状態であってもよいし、表面保護フィルムが剥離された状態であってもよい。また、検査を行う際、偏光子は少なくとも片側に保護フィルムが貼り合わされて偏光板の状態であることが好ましい。
1つの実施形態においては、非偏光部の形成後、連続して、非偏光部の検査を行う。具体的には、非偏光部の形成後、一旦、偏光子を巻き取ることなく、非偏光部の検査を行う。例えば、図6に示すような偏光フィルム積層体に対して非偏光部を形成した後、そのままの状態で、非偏光部の検査工程に供する。このように、非偏光部の形成後に連続して検査を行うことにより(具体的には、形成された非偏光部のサイズが所定のサイズより大きいか小さいかを判別することにより)、例えば、上記塩基性溶液との接触工程における不具合(例えば、表面保護フィルムの貫通孔の状態、塩基性溶液の浸漬状態)を早期に検知することができる。
検査後、偏光子は、実用的には偏光板として提供され得る。1つの実施形態においては、偏光板は、他の部材に貼り合わせるための粘着剤層を有する。好ましくは、この粘着剤層表面にはセパレーターが仮着されて、実際の使用まで粘着剤層を保護するとともに、図7に示すようにロール形成を可能としている。
本発明の製造方法により得られる偏光子は、スマートフォン等の携帯電話、ノート型PC、タブレットPC等のカメラ付き画像表示装置(液晶表示装置、有機ELデバイス)に好適に用いられる。
100 偏光子
110 非偏光部
200 検知部(偏光部検知センサ)
300 撮影部(非偏光部撮影用カメラ)

Claims (8)

  1. 少なくとも長尺方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有する長尺状偏光子を長尺方向に搬送させながら、該非偏光部を光学的に検査する方法であって、
    検知部により、該非偏光部を検知する工程と、
    検知された該非偏光部を撮影部により撮影する工程とを含み、
    該撮影時、該撮影部を長尺方向に移動させ、
    該撮影部の移動が、該検知部からの検知情報に基づいて開始される、
    長尺状偏光子の検査方法。
  2. 前記検知部が前記非偏光部を検知した後、前記撮影部が移動を開始するまでの時間が、非偏光部検知後の前記長尺状偏光子の搬送距離に基づいて、制御される、
    請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記長尺状偏光子が、長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された前記非偏光部を有する、請求項1または2に記載の検査方法。
  4. 前記撮影部として、エリアセンサカメラが用いられる、請求項1から3のいずれかに記載の検査方法。
  5. 長尺状の偏光子に非偏光部を形成すること、および
    請求項1から4のいずれかに記載の検査方法により前記非偏光部を検査すること
    を含む、非偏光部を有する長尺状偏光子の製造方法。
  6. 前記非偏光部の形成後、連続して、前記非偏光部の検査を行う、請求項5に記載の製造方法。
  7. 偏光子に塩基性溶液を接触させて前記非偏光部を形成する、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 前記偏光子が、その少なくとも一部が露出するように保護材で保護された状態で、前記塩基性溶液の接触を行う、請求項7に記載の製造方法。



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