JP6665383B2 - 燃料ガス供給システム及び燃料ガス供給方法 - Google Patents
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Description
さらに、ボイルオフガスを多段のガスコンプレッサを用いて約30MPaまで加圧して、エンジン(MC−GIエンジン)のガス噴射弁に供給することも知られている(非特許文献1)。
一方、このような多段のガスコンプレッサを船舶推進用の低速ディーゼルエンジンに適用した場合、このエンジンの負荷は急速に変化するため、多段のコンプレッサの運転も急激に変化する必要がある。例えば、操船による減速、加速、旋回によって、あるいは、気象、海象の風、波高等の自然状況の変化によって、船舶のプロペラの負荷トルクは変動し、エンジンはこの変動を直接受け、エンジンの運転負荷は急激に変化する。このエンジン負荷の急激な変化によって、エンジンに供給する燃料ガスの加圧を司る多段のガスコンプレッサの動作も急激に変化させなければならない。このように、エンジン負荷が急激に低下することにより、ガスコンプレッサの駆動速度も急激に低下させるとき、ガスコンプレッサの制御に時間がかかるため、ガスコンプレッサの吐出側の圧力が異常に上昇し、安全弁が開く場合がある。この安全弁の開放は、圧力の制御外乱を引き起こし、圧力の制御が不安定になる虞がある。さらに、異常に高くなった吐出側の圧力により、高温の燃料ガスがガスコンプレッサの上流側に逆流し、その結果、上流側の低温雰囲気にある機器(例えば、熱交換器やカーゴタンク)の耐久性が低下し、さらには、機器の破損に繋がる虞がある。
液化ガスのボイルオフガスを、船舶を推進させる推進エンジンに供給するために、前記ボイルオフガスを圧縮し前記推進エンジンの側に流す、直列に設けられた複数のガスコンプレッサと、
前記ガスコンプレッサのそれぞれに付随するように、前記ボイルオフガスの前記推進エンジンへの供給方向における、前記ガスコンプレッサの上流側に設けられ、前記ガスコンプレッサの圧縮室に向けて前記ボイルオフガスを供給する低圧ガス流路と、前記供給方向における、前記ガスコンプレッサの下流側に設けられ、前記ガスコンプレッサの圧縮室で圧縮された前記ボイルオフガスを前記推進エンジンに向けて供給する高圧ガス流路と、前記低圧ガス流路と前記高圧ガス流路とを、前記ガスコンプレッサを経由することなく繋ぐバイパス管と、前記バイパス管における前記ボイルオフガスの流量を調整する調整バルブと、を備える調整機構と、
前記バイパス管における前記ボイルオフガスの流量を調整するために、前記調整バルブの開度を制御する制御装置と、を有する。
前記ガスコンプレッサのうち、前記推進エンジンへ燃料ガスとして供給する前記ボイルオフガスの流れ方向の最下流に位置する第1ガスコンプレッサよりも上流側に位置する第2ガスコンプレッサのバイパス管に設けられる調整バルブの開度を制御する開度指令値は、前記第1ガスコンプレッサのバイパス管に設けられる調整バルブの開度を制御する第1指令値を、前記第2ガスコンプレッサの高圧ガス流路における前記ボイルオフガスの圧力と目標圧力との間の圧力差に応じて生成される第2指令値に重み加算した値である。
液化ガスのボイルオフガスを、複数のガスコンプレッサで段階的に圧縮して推進エンジンに供給するステップと、
前記推進エンジンが要求する燃料供給圧力が変化した時、前記ガスコンプレッサのうち、前記推進エンジンへ供給する前記燃料オフガスの流れ方向の最下流に位置する第1ガスコンプレッサが供給する前記ボイルオフガスの供給量を制御するために、前記第1ガスコンプレッサの吸引側にある低圧ガス流路と前記第1ガスコンプレッサの吐出側にある高圧ガス流路を繋ぐ、前記第1ガスコンプレッサに対して設けられたバイパス管内で、前記流れ方向に対して逆流するボイルオフガスの流量を制御する第1指令値を設定するステップと、
前記第1ガスコンプレッサよりも上流側に位置する第2ガスコンプレッサに対して設けられる、前記第2ガスコンプレッサの吸引側にある低圧ガス流路と前記第2ガスコンプレッサの吐出側にある高圧ガス流路を繋ぐ、前記第2ガスコンプレッサに対して設けられたバイパス管内で、前記流れ方向に対して逆流するボイルオフガスの流量を制御する制御指令値を設定するステップと、を有する。
前記制御指令値は、前記第2ガスコンプレッサの吐出側にある前記高圧ガス流路における前記ボイルオフガスの圧力と目標圧力との間の圧力差に応じて生成される第2指令値に、前記第1指令値を重み加算した値である。
図1は、本実施形態の船舶の推進エンジンに液化ガスのボイルオフガスを燃料ガスとして供給する燃料ガス供給システム10の構成の一例を示す図である。燃料ガス供給システム10の液化ガスとして液化天然ガスを用いるが、液化天然ガスに限定されず、純メタンガスや純エタンガス等を用いることができる。ボイルオフガスは、タンク内で自然入熱によって気化したガスの他に、LNGを意図的に加熱して強制的に気化したガスも含まれる。
制御装置28は、制御部28a〜28eと、乗算器30a〜30dと、を備える。
本明細書において、「ボイルオフガス」は、LNGタンク12内において気化した天然ガスであるが、LNGタンク12外で液化天然ガスが気化したものも含む。また、本実施形態を適用する船舶はLNG船であるが、液化天然ガスをタンクに貯留して、そのボイルオフガスを加圧して燃料ガスとしてエンジンに供給するLNG船以外の船舶に適用することもできる。
推進エンジン14は、ガバナ15cと接続されて、駆動が制御されている。ガバナ15cは、主軸15aの回転を計測するように設けられた回転計15dにより計測された主軸回転数が目標回転数になるように、推進エンジン14に燃料ガスを供給する供給ラインに設けられた図示しない流量制御弁の開度を制御することで、推進エンジン14の駆動を制御する。すなわち、ガバナ15cは、推進エンジン14と推進用のプロペラ15bを接続した主軸15aの主軸回転数が目標回転数になるように、推進エンジン14の負荷を定め、これに基づいて燃料ガスの燃料供給量を制御する装置である。ガバナ15cは、気象、海象の風、波高等の自然状況の変化によって変化する主軸回転数が目標回転数に維持されるように、推進エンジン14の負荷を定める他、オペレータの減速、加速、旋回等の指示によって提供されるプロペラ回転数の操作指令値に応じて、推進エンジン14の負荷を定めることもできる。ガバナ15cは、定めた負荷に基づいて、最下流に位置するガスコンプレッサ16eの吐出側の目標圧力を設定し、この目標圧力を制御装置28の制御部28eに送るように構成されている。この目標圧力は、推進エンジン14が要求する燃料供給圧力である。
吐出スナッバ20a〜20eは、ガスコンプレッサ16a〜16eそれぞれに付随して設けられ、ガスコンプレッサ16a〜16eそれぞれの下流側に設けられる、圧縮後のボイルオフガスを一時貯留し、ボイルオフガスを推進エンジン14に向けて供給する容器である。吐出スナッバ20a〜20dには、内部に貯留するボイルオフガスの圧力を計測する圧力計19a〜19dが設けられている。さらに、圧力計19eが、推進エンジン14に供給する圧力を計測するために、推進エンジン14の接続直前の供給ラインに設けられている。圧力計19a〜19eの計測結果は、後述する制御部28a〜28eに送られる。吸引スナッバ18a〜18e及び吐出スナッバ20a〜20eには、予め定めた圧力で弁が開放する図示されない安全弁が設けられている。
熱交換器22a〜22eのボイルオフガスの出力端から下流方向に延びる配管との間には、バイパス管24a〜24eが設けられている。すなわち、バイパス管24a〜24eは、吸引スナッバ18a〜18eが構成する低圧ガス流路と、吐出スナッバ20a〜20e及び熱交換器22a〜22eが構成する高圧ガス流路を繋ぐ。バイパス管24a〜24eでは、吐出スナッバ20a〜20eから熱交換器22a〜22eを介して吸引スナッバ18a〜18eに向かって加圧したボイルオフガスが流れるようになっている。下流側から上流側への流れを逆流という。
バイパス管24a〜24eには、ボイルオフガスが流れる量を調整する調整バルブ26a〜26eが設けられている。
制御部28a〜28eでは、圧力計19a〜19eによって計測された計測結果と定められた目標圧力との圧力差に応じて指令値が設定される。制御部28eではこの指令値が、開度指令値となる。なお、制御部28eで定められる目標圧力は、上述したように、ガバナ15cから送られたものである。
図4(a)に示すように、“gc1”では、図3(a)に示す“gc1”に比べて、ボイルオフガスが逆流して流量が振動する程度が小さくなっていることがわかる。さらに、図4(b)に示すように、吐出スナッバ20c内の圧力(凡例の“Pc3d”)は、安全弁の開放圧力未満になっている。
このように、本実施形態の制御では、ガスコンプレッサの圧力の上昇を抑制することができる。
図5(a)に示すように、“gc1”では、逆流して流量が振動する程度が図4(a)に示す“gc1”に比べてより小さくなっていることがわかる。さらに、図5(b)に示すように、吐出スナッバ20c内の圧力(凡例の“Pc3d”)は、安全弁の開放圧力未満になっている。
このように、本実施形態の制御に加えて逆止弁32を設けることで、ガスコンプレッサの吐出側の圧力の上昇を抑制するとともに、ボイルオフガスの逆流する量も小さく抑えることができる。
このように、本実施形態の効果は明らかである。
(1)液化天然ガスのボイルオフガスを、ガスコンプレッサ16a〜16eで段階的に圧縮して推進エンジン14に供給する。
(2)推進エンジン14が要求する燃料供給圧力が変化した時、ガスコンプレッサ(第1ガスコンプレッサ)16eが供給する燃料ガス(ボイルオフガス)の供給量を制御するために、ガスコンプレッサ16eの上流(吸引側)と下流(吐出側)を繋ぐ、いいかえると、ガスコンプレッサ16eの吸引側にある低圧ガス流路とガスコンプレッサ16eの吐出側にある高圧ガス流路を繋ぐ、ガスコンプレッサ16eに対して設けられたバイパス管24e内で、下流方向への流れに対して逆流する燃料ガスの流量を制御する第1指令値を制御部28eは設定する。
(3)ガスコンプレッサ(第2ガスコンプレッサ)16a〜16dに対して設けられる、高圧ガス流路と低圧ガス流路を繋ぐバイパス管24a〜24d内で、逆流する燃料ガス(ボイルオフガス)の流量を制御する制御指令値を制御部28a〜28dは、設定する。この制御指令値は、ガスコンプレッサ16a〜16dの吐出側の高圧ガス流路におけるボイルオフガスの圧力と目標圧力との間の圧力差に応じて生成される第2指令値に、第1指令値を重み加算した値である。
12 LNGタンク
14 推進エンジン
15a 主軸
15b プロペラ
15c ガバナ
15d 回転計
16a〜16e ガスコンプレッサ
18a〜18e 吸引スナッバ
19a〜19e 圧力計
20a〜20e 吐出スナッバ
22a〜22e 熱交換器
24a〜24e バイパス管
26a〜26e 調整バルブ
28 制御装置
28a〜28e 制御部
30a〜30d 乗算器
32 逆止弁
Claims (10)
- 船舶の推進エンジンに液化ガスのボイルオフガスを燃料ガスとして供給する燃料ガス供給システムであって、
液化ガスのボイルオフガスを、船舶を推進させる推進エンジンに供給するために、前記ボイルオフガスを圧縮し前記推進エンジンの側に流す、直列に設けられた複数のガスコンプレッサと、
前記ガスコンプレッサのそれぞれに付随するように、前記ボイルオフガスの前記推進エンジンへの供給方向における、前記ガスコンプレッサの上流側に設けられ、前記ガスコンプレッサの圧縮室に向けて前記ボイルオフガスを供給する低圧ガス流路と、前記供給方向における、前記ガスコンプレッサの下流側に設けられ、前記ガスコンプレッサの圧縮室で圧縮された前記ボイルオフガスを前記推進エンジンに向けて供給する高圧ガス流路と、前記低圧ガス流路と前記高圧ガス流路とを、前記ガスコンプレッサを経由することなく繋ぐバイパス管と、前記バイパス管における前記ボイルオフガスの流量を調整する調整バルブと、を備える調整機構と、
前記バイパス管における前記ボイルオフガスの流量を調整するために、前記調整バルブの開度を制御する制御装置と、を有し、
前記ガスコンプレッサのうち、前記推進エンジンへ燃料ガスとして供給する前記ボイルオフガスの流れ方向の最下流に位置する第1ガスコンプレッサよりも上流側に位置する第2ガスコンプレッサのバイパス管に設けられる調整バルブの開度を制御する開度指令値は、前記第1ガスコンプレッサのバイパス管に設けられる調整バルブの開度を制御する第1指令値を、前記第2ガスコンプレッサの高圧ガス流路における前記ボイルオフガスの圧力と目標圧力との間の圧力差に応じて生成される第2指令値に重み加算した値である、ことを特徴とする燃料ガス供給システム。 - 前記第1指令値は、前記第1ガスコンプレッサが供給する前記ボイルオフガスの圧力が、前記推進エンジンが要求する燃料供給圧力に一致するように設定された値である、請求項1に記載の燃料ガス供給システム。
- 前記第2指令値は、前記高圧ガス流路における前記ボイルオフガスの圧力を目標圧力に一定に維持するように設定された値である、請求項1または2に記載の燃料ガス供給システム。
- 前記重み加算に用いる重み付け係数は、前記高圧ガス流路における前記ボイルオフガスの圧力が、前記高圧ガス流路に設けられる安全弁の開放圧力未満になるように設定された値を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料ガス供給システム。
- 前記ガスコンプレッサのうち、前記ボイルオフガスの流れ方向の最上流に位置する第3ガスコンプレッサに付随する高圧ガス流路と、前記第3ガスコンプレッサに対して下流側に隣接する第4ガスコンプレッサに付随する低圧ガス流路のとの間に、前記ボイルオフガスの逆流を阻止する逆止弁が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料ガス供給システム。
- 船舶の推進エンジンに液化ガスのボイルオフガスを燃料ガスとして供給する燃料ガス供給方法であって、
液化ガスのボイルオフガスを、複数のガスコンプレッサで段階的に圧縮して推進エンジンに供給するステップと、
前記推進エンジンが要求する燃料供給圧力が変化した時、前記ガスコンプレッサのうち、前記推進エンジンへ供給する前記ボイルオフガスの流れ方向の最下流に位置する第1ガスコンプレッサが供給する前記ボイルオフガスの供給量を制御するために、前記第1ガスコンプレッサの吸引側にある低圧ガス流路と前記第1ガスコンプレッサの吐出側にある高圧ガス流路を繋ぐ、前記第1ガスコンプレッサに対して設けられたバイパス管内で、前記流れ方向に対して逆流するボイルオフガスの流量を制御する第1指令値を設定するステップと、
前記第1ガスコンプレッサよりも上流側に位置する第2ガスコンプレッサに対して設けられる、前記第2ガスコンプレッサの吸引側にある低圧ガス流路と前記第2ガスコンプレッサの吐出側にある高圧ガス流路を繋ぐ、前記第2ガスコンプレッサに対して設けられたバイパス管内で、前記流れ方向に対して逆流するボイルオフガスの流量を制御する制御指令値を設定するステップと、を有し、
前記制御指令値は、前記第2ガスコンプレッサの吐出側にある前記高圧ガス流路における前記ボイルオフガスの圧力と目標圧力との間の圧力差に応じて生成される第2指令値に、前記第1指令値を重み加算した値である、ことを特徴とする燃料ガス供給方法。 - 前記第1指令値は、前記第1ガスコンプレッサが供給する前記ボイルオフガスの圧力が、前記推進エンジンが要求する燃料供給圧力に一致するように設定された値である、請求項6に記載の燃料ガス供給方法。
- 前記第2指令値は、前記ガスコンプレッサそれぞれの吐出側の前記ボイルオフガスの圧力を一定に維持するように設定された値である、請求項6または7に記載の燃料ガス供給方法。
- 前記重み加算に用いる重み付け係数は、前記吐出側の前記ボイルオフガスの圧力が、所定の圧力未満になるように設定される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の燃料ガス供給方法。
- 前記ガスコンプレッサのうち、前記ボイルオフガスの流れ方向の最上流に位置する第3ガスコンプレッサの吐出側の高圧ガス流路の部分と、前記第3ガスコンプレッサに対して下流側に隣接する第4ガスコンプレッサの吸引側の低圧ガス流路の部分との間で、前記ボイルオフガスの逆流を阻止するステップをさらに有する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の燃料ガス供給方法。
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