JP6664801B1 - メタン発酵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より消費電力が少ないメタン発酵装置を提供する。【解決手段】メタン発酵装置は、供給口10から供給されるバイオマスをメタン発酵させるための発酵槽5と、発酵槽5内に設けられた回転軸26に複数枚の板状部材27の各端縁を固定して構成される攪拌板28とを備える。供給口10及び攪拌板28は、供給口10から供給されるバイオマスが攪拌板28の板状部材27に当たる位置となるように配置される。攪拌板28は、バイオマスが板状部材27に当たることにより回転又は搖動し、発酵槽5内に供給されたバイオマスを攪拌するように構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、加水分解されたバイオマスをメタン発酵させるメタン発酵装置に関する。
従来、バイオマスを加水分解する加水分解槽と、加水分解されたバイオマスを発酵させるメタン発酵槽と、メタン発酵槽におけるバイオマスの発酵後の残渣である消化液を貯留する消化液タンクとを備えるバイオマス処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のシステムでは、メタン発酵槽には、PHセンサと、温度センサと、側壁に取り付けられたヒータとが設けられる。これらのセンサやヒータによりメタン発酵槽がメタン発酵に適したPH、温度となるように管理される。また、メタン発酵槽には、電動モータで駆動する攪拌機が設けられており、攪拌機によりPH及び温度が均一となるようにメタン発酵槽内のバイオマスが攪拌される。
特開2014−24050号公報
しかしながら、上記特許文献1のシステムによれば、電動モータで駆動する攪拌機により発酵槽を攪拌するので、その分より多くの電力が消費され、運転費用が高額なものとなる。
本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、より消費電力が少ないメタン発酵装置を提供することにある。
本発明のメタン発酵装置は、
水分解されたバイオマスをメタン発酵させるための発酵槽と、
前記バイオマスを前記発酵槽の周縁部の一部に上方から供給するための供給口と、
前記バイオマスを前記供給口まで送出するポンプと、
前記発酵槽内に供給されたバイオマスを攪拌する攪拌板と、
前記発酵槽の底部に配置されたメタン菌滞留材とを備え、
前記攪拌板は、
前記メタン菌滞留材の上方において略水平に設けられた回転軸と、
前記回転軸を中心として回転する板状部材とを備え、
前記供給口から吐出される前記バイオマスが該板状部材に当たることのみにより該板状部材が前記回転軸の周りで回転して前記バイオマスの攪拌を行うように構成され、
前記板状部材は、前記回転に際してその径方向外側の端部が前記メタン菌滞留材の内部を通過する寸法を有することを特徴とする。
本発明によれば、発酵槽に供給されるバイオマスが攪拌板の板状部材に当たることによって、供給されたバイオマスを攪拌板で攪拌するので、攪拌板は、電力を消費することなく、バイオマスを攪拌することができる。
また、攪拌板は、その回転時に、各板状部材の先端部がメタン菌滞留材の内部を通過するので、メタン菌滞留材のメタン菌が良好に発酵槽内のバイオマス内に拡散し、メタン発酵を良好に促進することができる。
本発明において、前記攪拌板は、3枚以上の前記板状部材を備え、前記供給口から供給されるバイオマスが各板状部材に順次当たって該板状部材が回転することにより前記バイオマスの攪拌を行うものであるのが好ましい。
これによれば、3枚以上の攪拌板が回転することにより攪拌を行うので、バイオマスの攪拌を良好に行うことができる。
本発明において、
前記加水分解されたバイオマスを生成するための加水槽と、
前記発酵槽における前記供給口下方の底部に設けられ、前記メタン発酵による分解速度の遅い固形物を分離するための分離室とを備え、
前記分離室は、該分離室により分離された固形物を前記加水槽に戻すために該加水槽に接続されてもよい。
これによれば、分離室により分離した固形物を加水槽に戻して再利用を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るバイオマス処理システムを示すブロック図である。 本発明の別の実施形態に係るバイオマス処理システムを示すブロック図である。 図2のバイオマス処理システムにおける攪拌板を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施形態に係るバイオマス処理システムを示すブロック図である。 図5A〜図5Cは、それぞれ、図4のバイオマス処理システムに適用できる中央型分離室、傾斜型分離室及び屋根型分離室を示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。本実施形態のバイオマス処理システムは、バイオマスをメタン発酵させることによりメタンを含むバイオガスを発生させるメタン発酵装置を備える。図1に示すように、このメタン発酵装置としてのバイオマス処理システム1は、有機物原料を生成する破砕機2及び有機物調整タンク3と、この有機物原料を加水分解して加水分解されたバイオマスを生成する加水槽4と、加水槽4からのバイオマスを発酵させる発酵槽5と、発酵槽5に接続された脱硫装置6及び消化液タンク7とを備える。
破砕機2及び有機物調整タンク3は、例えば、残飯や生ごみなどの食品残渣を破砕機2で破砕し、この破砕物に対し、有機物調整タンク3において水と消化液を1対1の割合で加えることにより、有機物原料を生成する機能を有する。この有機物原料は、循環ポンプ8により加水槽4に供給される。
加水槽4は、この有機物原料を加水分解することにより、加水分解処理されたバイオマスを生成するためのものである。このバイオマスは、循環ポンプ9により供給口10を経て発酵槽5に供給される。発酵槽5は、上述のメタン発酵装置を構成しており、このバイオマスをメタン発酵させ、バイオガスと消化液を生成する機能を有する。
脱硫装置6は、生成されたバイオガスから硫化水素を除去する。消化液タンク7は、生成された消化液を一時的に貯留するためのものである。
また、バイオマス処理システム1は、地下水を貯留するための雨水タンク11と、加水槽4及び発酵槽5を保温する熱調整保温装置12とを備える。熱調整保温装置12は、雨水タンク11内の水を温調しつつ、加水槽4及び発酵槽5内に配置された保温用パイプ13に流通させることにより、加水槽4及び発酵槽5内の温度を36〜40℃に保持する。
熱調整保温装置12には、太陽光温水機や石油給湯器が含まれる。熱調整保温装置12は、発酵槽5内で生じるバイオガス熱なども考慮して温調を行う。
また、加水槽4及び発酵槽5は、供給口10に設けられた重量計14、槽内に配置されたPHセンサや温度センサ15、及び発酵槽5の側壁に取り付けられたヒータなどを備える。これらのセンサやヒータ、さらには後述する流量計16を用いて、加水槽4及び発酵槽5内の環境がメタン発酵に適したPHや温度となるように管理される。
発酵槽5と脱硫装置6との間には、発酵槽5で生じたバイオガスについての脱水装置17及びドレーンフィルタ18が設けられる。脱硫装置6により硫化水素が除去されたバイオガスは、除湿部19を経て、流量計16により流量が計測されつつ、再生資源としての利用に供される。
一方、発酵槽5で生じた消化液は、消化液タンク7に貯留された後、肥料などとしての再利用に供される。また、発酵槽5には、槽内の消化液の一部を吸い上げる循環ポンプ20及び三方弁バルブ21が接続される。消化液タンク7内の消化液の一部と循環ポンプ20で吸い上げられる消化液とが、三方弁バルブ21において合流され、循環ポンプ22により還流される。この還流は、必要に応じて、有機物調整タンク3、加水槽4、及び発酵槽5に対して行われる。加水槽4及び発酵槽5に対する還流は、それぞれ三方弁バルブ23及び三方弁バルブ24を介して行われる。
発酵槽5と消化液タンク7、発酵槽5と循環ポンプ20、循環ポンプ22と三方弁バルブ24、三方弁バルブ24と三方弁バルブ23、三方弁バルブ23と有機物調整タンク3のそれぞれの間には、それぞれの間の消化液の流通を、必要に応じて開閉するための開閉バルブ25が設けられる。
発酵槽5は、加水槽4から供給されるバイオマスを発酵槽5の周縁部の一部に上方から供給するための供給口10と、発酵槽5内に回転自在に設けられた回転軸26に複数枚、例えば4枚の板状部材27の各端縁を固定して構成される攪拌板28と、発酵槽5の底部に配置されたメタン菌滞留材29とを備える。
攪拌板28は、供給口10から供給されるバイオマスが攪拌板28の板状部材27に当たる位置に配置され、攪拌板28は、バイオマスが板状部材27に当たることにより、発酵槽5内に供給されるバイオマスを攪拌するように構成される。
具体的には、攪拌板28は、3枚以上の板状部材27を備え、供給口10から供給されるバイオマスが各板状部材27に順次当たって板状部材27が回転することによりバイオマスの攪拌を行うように構成される。
また、攪拌板28は、その回転時に、各板状部材27の先端部が、発酵槽5の底部に配置されたメタン菌滞留材29の内部を通過するように構成される。なお、加水槽4及び発酵槽5にはメンテナンス用の出入口4a及び5aがそれぞれ設けられる。また、発酵槽5には、バイオガス抜き5bが設けられる。
この構成において、食品残渣が破砕機2で破砕され、これに有機物調整タンク3で水と消化液が1対1の割合で加えられて有機物原料とされる。この有機物原料は、加水槽4で加水分解されて、加水分解処理されたバイオマスとされ、発酵槽5に供給口10から供給される。このとき、供給口10から供給されるバイオマスは、攪拌板28の板状部材27に当たり、攪拌板28を回転させる。
これにより、供給されたバイオマスが攪拌されるので、バイオマスのメタン発酵が適切に促進される。また、このとき、各板状部材27の先端部は、メタン菌滞留材29の内部を通過するので、メタン菌滞留材29に滞留しているメタン菌が良好にバイオマス内に拡散される。これにより、さらに良好にメタン発酵が促進される。
さらに、このとき、発酵槽5は熱調整保温装置12によって36〜40℃に保温されるとともに、供給口10の重量計14や、槽内のPHセンサや温度センサ15の出力に基づき、側壁に取り付けられたヒータを制御して、発酵槽5内の環境がメタン発酵に適したPH及び温度となるように管理されている。このため、発酵槽5内でのメタン発酵は効率的に行われる。
これに伴って効率的に発生するバイオガスが、脱硫装置6を経て、再生資源としての利用に供される。
一方、発酵槽5で効率的に生じる消化液は、消化液タンク7を経て、肥料などの再利用に供される。その際、発酵槽5内の消化液の一部は、消化液タンク7の消化液の一部と合流され、必要に応じて、開閉バルブ25の操作に応じて、有機物調整タンク3、加水槽4、又は発酵槽5に還流される。
以上のように、本実施形態によれば、発酵槽5に供給されるバイオマスが攪拌板28の板状部材27に当たることによって、攪拌板28により、発酵槽5内に供給されたバイオマスを攪拌する。したがって、攪拌板28は、電力を消費することなくバイオマスを攪拌することができる。
また、攪拌板28の回転が、メタン菌滞留材29のメタン菌を良好に発酵槽5内のバイオマス及び消化液の混合物内に拡散するので、メタン発酵を良好に促進することができる。
図2は、別の実施形態に係るバイオマス処理システム1aを示す。このバイオマス処理システム1aは、攪拌板の構成が上記図1の実施形態とは異なる。他の構成は、上記図1の実施形態の場合と同様である。
すなわち、本実施形態の攪拌板28bは、回転軸26を中心とする平板状となるように配置された2枚の板状部材27を備え、そのうちの一方には、図3のように、多数の貫通孔(メッシュ)30が設けられる。2枚の板状部材27のうちの他方には、供給口10から供給されるバイオマスが当たることにより、該2枚の板状部材27が搖動して、供給されたバイオマスの攪拌が行われるように構成される。
この場合、供給口10から供給されるバイオマスは、他方の板状部材27上に落下する。この落下してくるバイオマスの重みにより、他方の板状部材27は下方に押されるが、このとき一方の板状部材27は多数の貫通孔30を有するので、攪拌板28bは、比較的少ない抵抗でシーソーのように搖動する。この搖動により、発酵槽5の底部に溜まっているバイオマスが攪拌され、バイオマスの発酵が促進される。
本実施形態の場合も、電力を消費することなくバイオマスを良好に攪拌することができる。
図4は、本発明のさらに別の実施形態に係るバイオマス処理システム1bを示す。このバイオマス処理システム1bは、発酵槽5における供給口10下方の底部に、メタン発酵による分解速度の遅い固形物を分離するための分離室31を備える。分離室31は、分離室31により分離された固形物を加水槽4に戻すために、未消化物の移送経路を介して加水槽4に接続される。
また、分離室31は、該固型物を肥料化するための濾過装置32に接続される。他の構成は、図1のバイオマス処理システム1の場合と同様であり、図4における図1と同じ符号は、同じ要素を示している。
図5Aは、分離室31の一例として、中央型の分離室31aを示す。中央型分離室31aは、室内の中央に向かって傾斜した傾斜面33aと、傾斜面33aにより中央型分離室31aの底部に送られた固形物を加水槽4等に移送するための排出口34とを備える。排出口34には開閉バルブ35が設けられる。
この構成において、供給口10から供給されるバイオマスには、分解速度が遅い固形物も含まれている。このような固形物は、攪拌板28と連動して、少しずつ中央型分離室31aに送られる。中央型分離室31aに送られた固形物は、未消化物として加水槽4に戻され、再分解が図られて再利用される。
また、中央型分離室31aに送られた固形物は、窒素(N)、リン酸(P)、酸化カリウム(KO)を豊富に含むので、濾過装置32に移送し、肥料として再利用することもできる。
本実施形態によれば、分離室31により分離した固形物を加水槽4に戻すことができるので、分解速度の遅い、例えば分解に数十日を要するような固形物について、再利用を図り、バイオガス化して、分解効率を向上させることができる。また、このような固形物を濾過装置32に移送して肥料化することもできる。
なお、分離室31として、図5B及び図5Cにそれぞれ示すような、傾斜型分離室31b及び屋根型分離室31cのような形態のものも考えられる。図5Bの傾斜型分離室31bは、一方の端に向かって傾斜した傾斜面33bを備える。図5Cの屋根型分離室31cは、両方の端に向かって傾斜した屋根状の傾斜面33cを備える。
傾斜型分離室31b及び屋根型分離室31cの場合も、中央型分離室31aの場合と同様にして、固形物を分離することができる。分離した固形物は、排出口34から開閉バルブ35を介して加水槽4や濾過装置32に移送することができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、攪拌板における板状部材の枚数は5枚以上であってもよい。また、図2のバイオマス処理システム1aにおいて、図4のバイオマス処理システム1bの場合と同様に、分離室31等を設け、固形物の再利用や肥料化を図るようにしてもよい。
1、1a、1b…バイオマス処理システム、2…破砕機、3…有機物調整タンク、4…加水槽、4a…出入口、5…発酵槽、5a…出入口、5b…バイオガス抜き、6…脱硫装置、7…消化液タンク、8…循環ポンプ、9…循環ポンプ、10…供給口、11…雨水タンク、12…熱調整保温装置、13…保温用パイプ、14…重量計、15…PHセンサや温度センサ、16…流量計、17…脱水装置、18…ドレーンフィルタ、19…除湿部、20…循環ポンプ、21…三方弁バルブ、22…循環ポンプ、23…三方弁バルブ、24…三方弁バルブ、25…開閉バルブ、26…回転軸、27…板状部材、28、28b…攪拌板、29…メタン菌滞留材、30…貫通孔、31…分離室、31a…中央型分離室、31b…傾斜型分離室、31c…屋根型分離室、32…濾過装置、33a、33b、33c…傾斜面、34…排出口、35…開閉バルブ。

Claims (3)

  1. 水分解されたバイオマスをメタン発酵させるための発酵槽と、
    前記バイオマスを前記発酵槽の周縁部の一部に上方から供給するための供給口と、
    前記バイオマスを前記供給口まで送出するポンプと、
    前記発酵槽内に供給されたバイオマスを攪拌する攪拌板と、
    前記発酵槽の底部に配置されたメタン菌滞留材とを備え、
    前記攪拌板は、
    前記メタン菌滞留材の上方において略水平に設けられた回転軸と、
    前記回転軸を中心として回転する板状部材とを備え、
    前記供給口から吐出される前記バイオマスが該板状部材に当たることのみにより該板状部材が前記回転軸の周りで回転して前記バイオマスの攪拌を行うように構成され、
    前記板状部材は、前記回転に際してその径方向外側の端部が前記メタン菌滞留材の内部を通過する寸法を有することを特徴とするメタン発酵装置。
  2. 前記攪拌板は、3枚以上の前記板状部材を備え、前記供給口から供給されるバイオマスが各板状部材に順次当たって該板状部材が回転することにより前記バイオマスの攪拌を行うものであることを特徴とする請求項1に記載のメタン発酵装置。
  3. 前記加水分解されたバイオマスを生成するための加水槽と、
    前記発酵槽における前記供給口下方の底部に設けられ、前記メタン発酵による分解速度の遅い固形物を分離するための分離室とを備え、
    前記分離室は、該分離室により分離された固形物を前記加水槽に戻すために該加水槽に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のメタン発酵装置。
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