JP6663661B2 - ゴースト対策用ロールを有した印刷機、及び、ゴースト対策用ロール - Google Patents

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Description

本発明は、回転する着ロールと該着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機と、そのロール部材に関する。
従来、非画線部にインキ反発性物質を設けた平版と、インキを薄膜状にして前記平版に供給するインキング手段とを備える印刷装置が知られている(特許文献1)。
この印刷装置は、前記インキが前記平版に送られるまでに、前記インキを冷却し加熱し若しくは熱風乾燥させ、又は前記インキに増粘剤を投与し若しくは紫外線を照射することによって、前記平版上での前記インキの粘性を高める増粘手段を備える。
特開平8−309961号公報
特許文献1に記載された印刷装置は、インキ供給むらやゴーストを防止することを意図しているものの、練りローラの1つを、軸方向に往復移動させるに留まっている。
しかしながら、特許文献1の印刷装置の如く、練りローラの1つを往復移動(揺動)させただけで、インキ着けローラを往復移動させなければ、「インキ反発性物質を設けた平版」と「インキ」の2つの要素のみであるため、例えば、インキの粘度や張度が変化すると印刷品質に影響を及ぼす(図7参照)。
つまり、特許文献1の印刷装置では、練りローラを往復移動(揺動)させると、印刷物が汚れるような印刷障害を発生させる虞があり、印刷絵柄の影響によって、各ローラに残った濃淡が印刷物に現れる「ゴースト」という問題を十分に解決できない。
本発明は、このような点に鑑み、版胴が2回以上4回以下回転する間に着ロールを1回往復揺動させたり、最下流の着ロール及び/又は最下流から2番目の着ロールを往復揺動させること等によって、「ゴーストの低減」を実現できる印刷機及びロール部材を提供することを目的とする。
本発明に係る印刷機は、回転する着ロールと該着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記着ロールには、前記版胴が2回以上4回以下回転する間に、ロール回転軸に沿って1回往復揺動する揺動ロールが少なくとも含まれ、前記揺動ロールの往復揺動幅は12mm以上20mm以下であることを第1の特徴とする。
本発明に係る印刷機の第2の特徴は、回転する複数の着ロールと該複数の着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記複数の着ロールのうち最下流の着ロール及び/又は最下流から2番目の着ロールは、ロール回転軸に沿って6回/分以上300回/分以下往復揺動する揺動ロールであり、前記揺動ロールの往復揺動幅は12mm以上20mm以下である点にある。
本発明に係る印刷機の第3の特徴は、回転する複数の着ロールと該複数の着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記複数の着ロールのうち最下流の着ロール及び/又は最下流から2番目の着ロールは、ロール回転軸に沿って往復揺動する揺動ロールであり、前記揺動ロールの往復揺動幅は12mm以上20mm以下である点にある。
本発明に係る印刷機の第の特徴は、回転する複数の着ロールと該複数の着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記複数の着ロールのうち最下流の着ロールだけが、ロール回転軸に沿って往復揺動する揺動ロールである点にある。
本発明に係る印刷機の第の特徴は、上記第1〜の特徴に加えて、前記揺動ロールは、内部に遊星歯車機構を備えている点にある。
本発明に係る印刷機の第の特徴は、上記第1〜の特徴に加えて、湿し水を用いない点にある。
これらの特徴により、ロール回転軸Jに沿って往復揺動する揺動ロール4が、着ロール2に少なくとも含まれることによって、特許文献1のように、練りロールだけを揺動させた場合や、版胴3が1回転する間に揺動ロール4を1往復というような早い動きや、更にはスプリングの力で揺動するようなロールとは異なり、これと同時に、版胴3が2回以上4回以下回転する間に揺動ロール4(着ロール2)を1往復(つまり、「ゆっくり」と)揺動させることで、印刷物(格子柄)の濃度差は発生せず、印刷品質として良好であると言える(図3参照)。
これは、版胴3が1回転する間に揺動ロール4を1往復する場合や、スプリングの力などによる揺動の場合等には、ニップ圧や機械の回転速度などに影響されて、揺動速度が一定にならず、版胴3上のインキを平滑にするものの、版胴3における非画線部を汚したり、最終的には印刷物を汚してしまうためと考えられ、着ロール2をゆっくり往復揺動させることで、「ゴーストの軽減」が実現できる。
尚、揺動ロール4の往復揺動する速度(往復揺動速度)Sは、換言すれば、ロール回転軸Jに沿って6回/分以上300回/分以下往復揺動する速度であるとも言える。
又、複数の着ロール2のうち最下流の着ロール(例えば、第4着ロール2d)及び/又は最下流から2番目の着ロール(例えば、第3着ロール2c)を、ロール回転軸Jに沿って往復揺動する揺動ロール4にすることによって、版胴3上にインキを供給する他にも、供給過多であったインキを回収する役割も持つため、従来は、往復揺動すると印刷品質に問題が発生する可能性が高いと敬遠されてきた第3着ロール2cや第4着ロール2dを、敢えて往復揺動させることでも、図3で示したように、印刷物(格子柄)の濃度差は発生せず、印刷品質として良好である(つまり、ゴーストを大幅に軽減できる)。
尚、複数の着ロール2のうち最下流の着ロール2及び/又は最下流から2番目の着ロール2を、版胴3が2回以上4回以下回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する揺動ロール4としても良い。
更には、揺動ロール4の往復揺動幅を5mm以上30mm以下とすることで、印刷物の濃度差は一切発生せず、更に印刷品質は良好である(つまり、更なる「ゴーストの軽減」が図れる)。
そして、揺動ロール4の内部に遊星歯車機構6を設けることで、ギクシャクした脈動(ガタツキ)は生じず、揺動ロール4を「非常にスムーズ」に往復揺動させる(正確なサインカーブを描く)ことが可能となり、版胴3上のインキ皮膜をより平滑にし、「ゴーストの大幅な軽減」が図れる。
尚、印刷機1を、湿し水を用いない「水なし印刷機」としても良い。
本発明に係るロール部材4は、印刷機における着ロール用のロール部材であって、当該ロール部材は、そのロール母体の外周面が5回以上15回以下回転する間に、ロール回転軸に沿って1回往復揺動し、当該ロール部材の往復揺動幅は12mm以上20mm以下であることを第1の特徴とする。
この特徴により、ロール母体11の外周面が5回以上15回以下回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動することによって、印刷物(格子柄)の濃度差は発生せず、印刷品質として良好であると言え(図3参照)、「ゴーストの軽減」が実現できる。
本発明に係る印刷機及びロール部材によると、版胴が2回以上4回以下回転する間に着ロールを1回往復揺動させる、最下流の着ロール及び/又は最下流から2番目の着ロールを往復揺動させること等で、「ゴーストの低減」が実現できる。
本発明に係る印刷機及びロール部材を示す側面概要図である。 本発明に係るロール部材における遊星歯車機構を示す断面正面図である。 遊星歯車機構における内歯車と外歯車の噛み合い箇所を示す断面側面図である。 本発明における試験1の実施例による印刷物を示す図面代用写真である。 試験1の比較例による印刷物を示す図面代用写真である。 本発明における試験2において、その評価に用いた印刷物を示す図面代用写真である。 試験2において、印刷物の評価部分を示す拡大図面代用写真である。 試験2の測定結果を示すグラフ(縦軸:ΔL、横軸:n−1)である。 試験2の測定結果を示すグラフ(縦軸:ΔDK 、横軸:n−1)である。 試験2の測定結果を示すグラフ(縦軸:G、横軸:n−1)である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
<全体構成>
図1には、本発明に係る印刷機1及び揺動ロール(ロール部材)4が示されている。
印刷機1は、着ロール2と、該着ロール2に接触する版胴3を少なくとも有するものであって、水なしオフセット印刷機、水ありオフセット印刷機などでも良いが、以下は、水なし印刷機を例に詳解する。
印刷機1は、着ロール2や版胴3の他に、インキ壺、このインキ壺内のインキに浸されたインキ元ロールや、インキ練ロール(中間ロール)5、インキ元ロールとインキ練ロールとの間で、往復移動をして、インキ元ロールからインキ練ロール5へインキを呼び出す(転写する)インキ呼出しロールを有していても良い。
上述したロール部材のうち、インキ練ロール(中間ロール)5が着ロール2と接触している。
尚、インキ壺、インキ元ロール、インキ呼出しロールは、図示を省略しているが、インキ練ロール(中間ロール)5は、図1に示している。
又、印刷機1は、ゴースト発生の虞れのないベタ塗り(無地)印刷においても有効であり、そのベタ塗り(無地)印刷においては、色彩濃度やインキの塗膜の厚み斑等による印刷不良が低減され、同様に、ニスや接着剤等の塗料を転送する転送ロールを備えた塗布装置においても、ニスや接着剤等の塗膜の厚み斑等による塗着不良が低減される。
<着ロール2>
図1に示されたように、着ロール2は、上述したインキ練ロール(中間ロール)5からのインキを、版胴3へ転写させるロール部材である。
着ロール2は、複数(例えば、4本)設けられており、複数の着ロール2のうち最下流の着ロール2(図1中の2d)が、ロール回転軸Jに沿って往復揺動する揺動ロール4である。
又、本発明の着ロール2は、最下流の着ロール2dだけでなく、最下流から2番目の着ロール(図1中の2c)が揺動ロール4であっても良い。
本発明における「最下流の着ロール2」とは、複数の着ロール2のうち、版胴3の回転方向(図1中の矢印参照)の最も下流側にある着ロール2を言い、図1においては、着ロール2dとなる。尚、着ロール2dは、最も上流側から第4番目にある着ロール(第4着ロール)2とも言える)。
本発明における「最下流から2番目の着ロール2」とは、複数の着ロール2のうち、版胴3の回転方向(図1中の矢印参照)の最も下流側から2番目にある着ロール2を言い、図1では、着ロール2cとなる。尚、着ロール2cは、最も上流側から第3番目にある着ロール2(第3着ロール)とも言える。
尚、着ロール2の本数は、4本に限定されず、3本や5本など、複数であれば何れの本数でも良く、着ロール2が3本である場合には、最下流の着ロール(つまり、第3着ロール)2を揺動ロール4としても良い。
又、着ロール2が5本である場合には、最下流の着ロール(つまり、第5着ロール)2と、最下流から2番目の着ロール(つまり、第4着ロール)2を揺動ロール4としても良い。
着ロール2の周表面の素材として、ゴムであれば、原材料に加硫剤を混錬したのち加熱して得られる加硫ゴム(熱硬化性エラストマー)や、熱硬化性樹脂系エラストマーなどでも良い。
着ロール2に用いられる加硫ゴムとは、大別すれば、天然ゴム、合成ゴムに分かれるが、その何れであっても良い。
例えば、合成ゴムについて、より具体的に述べれば、ニトリルゴム(NBR)や、ウレタンゴム(ポリウレタン(PU))、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)をはじめ、ブタジエンゴム(BR)、ポリ塩化ビニルゴム(PVC)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソブチレン(ブチルゴム(IIR))、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)などである。
着ロール2に用いられるゴムは、そのゴム硬度がJIS−K−6253−3:2012に準じたショアA硬度(タイプAデュロメータ硬さ)で、例えば、25°以上40°以下であっても良い。
又、着ロール2に用いられるゴムは、使用する印刷インキに対して168時間浸漬試験を行った結果、重量や体積変化率が±2%以内のインキに対して耐性の良いものが好ましい。
これは、着ロール2に用いられるゴムがインキに対して膨潤してしまうと、着ロール2の外径が太くなり、版胴3の版面への圧力が増し、印刷汚れを引き起こすためである。
ここまで述べた複数の着ロール2のうち、最下流の着ロール2等で用いられる揺動ロール4について、以下に詳解する。
<揺動ロール4、遊星歯車機構6>
図2、3は、着ロール2として用いられる揺動ロール(本発明に係るロール部材)4を示している。この揺動ロール4は、ロール回転軸Jに沿って往復揺動するのであれば、何れの構成でも良く、例えば、遊星歯車機構6を有していても良い。その他、揺動ロール4は、ギクシャクした脈動(ガタツキ)なく、正確なサインカーブを描いて(後述する往復揺動速度Sを安定させて)揺動可能であれば、スプリングやエア、ニードルベアリングなどで構成されていても良い。
以下は、揺動ロール4が遊星歯車機構6を有している場合を主に述べる。
図2、3は、遊星歯車機構6も図示するものであり、この遊星歯車機構6は、ロール母体11がパイプ状であり、金属等の素材で構成されている。
ロール母体11の内周面には、長孔溝(ガイド)32やカムフロワー(ガイド)35を可回転に軸支する軸材を突設するための筒体38が密着しており、この筒体38はロール母体11の一部を構成している。
12は、ロール母体11の外周面に積層された外周面層であり、揺動ロール4の外面を構成している。支軸14には、2つの支持盤26・26が取り付けられており、それらの支持盤の26・26の間に外歯車27の支軸と軸桿37が架け渡されている。
支軸14には、それぞれの内歯車28・29を外歯車27の左右に噛み合わせて、原動回転筒30と従動回転筒31が可回転に軸支されている。このように外歯車27や原動回転筒30、及び、従動回転筒31が装着された支軸14は、筒体38に嵌め込まれ、端部においてロール母体11を軸支している。
支軸14の筒体38との摺接箇所には支軸受39が被せられており、この支軸受39は支軸14の一部を構成している。
内歯車28の反対側になる原動回転筒30の片端の外周面には、原動回転筒30の軸芯(つまり、ロール回転軸J)方向に長くなっていて筒体38の内周面に突設した滑車33が遊嵌する長孔溝32が設けられている。
内歯車29の反対側になる従動回転筒31の片端の外周面には、従動回転筒31の円周方向に連続していて筒体38の内周面に突設したカムフロワー35が嵌合するカム溝(34)が設けられている。
支軸14と原動回転筒30、支軸と従動回転筒31、支軸受39とロール母体11(38)の各間には、×印(稍々横長の枡目印)で図示するニードルベアリングが介在し、それらの各間は相互に回転自在になっている。
又、支軸受39とロール母体11(38)の側面同士、支軸受39と従動回転筒31の側面同士、外歯車の支持盤26と原動回転筒30、及び、外歯車の支持盤26と従動回転筒31の側面同士など、回転する部材が相互に側面で接する箇所には、×印(枡目印)で図示するストロークベアリングが介在し、それらの部材の回転が妨げられないようになっている。
本発明の揺動ロール4では、モーターに回転駆動される版胴やインキフオームロール、フアンテンロール等にコロガリ接触すると、それらのロールによってロール母体11(筒体38)が回転駆動される。
この回転駆動により、その内周面に突設されている滑車33が長孔溝32の溝壁面を押して原動回転筒30を回転駆動し、原動回転筒30と一体をなす内歯車28が外歯車27を介して内歯車29と共に従動回転筒31を回転駆動することになる。
そのとき、内歯車28・29が外歯車27と共に一種の不思議歯車機構を構成するので、ロール母体11と一体になって回転するカムフロワー35の回転角度と、従動回転筒31と一体になって回転するカム34の回転角度との間に、原動回転筒の内歯車28と従動回転筒の内歯車29の歯数の差に応じた差が生じ、カム34がカムフロワー35に作用してロール母体11が軸芯(ロール回転軸J)方向に沿って揺動することになる。
このとき、ロール母体11に突設されている滑車33が、原動回転筒30の軸芯方向に長くなっている長孔溝32に遊嵌しているので、ロール母体11の軸芯方向(ロール回転軸J)への揺動が、滑車33によって妨げられることはない。

カム34とカムフォロワー35を調整することによって、ロール母体11が何周した際に、揺動ロール4が、1往復揺動するかを変更できる。
<揺動ロール4の往復揺動速度S>
揺動ロール4は、例えば、版胴3が2回以上4回以下回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する往復揺動速度Sであっても良く、好ましくは、版胴3が2.5回以上4.0回以下(例えば、3回)回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する往復揺動速度Sであっても構わない。
この往復揺動速度Sは、換言すれば、ロール回転軸Jに沿って6回/分以上300回/分以下(0.1回/秒以上5.0回/秒以下)往復揺動する速度であっても良く、好ましくは12回/分以上240回/分以下(0.2回/秒以上4.0回/秒以下)、更に好ましくは18回/分以上180回/分以下(0.3回/秒以上3.0回/秒以下)往復揺動する速度であっても構わない。
更に換言すれば、揺動ロール(ロール部材)4の往復揺動速度Sは、ロール母体11の外周面が5回以上15回以下回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する往復揺動速度Sであっても良く、好ましくは、ロール母体11の外周面が7回以上15回以下(例えば、10回)回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する往復揺動速度Sであっても構わない。
<版胴3、中間ロール5>
図1に示されたように、版胴3は、着ロール2から転写されたインキを、ゴムブランケットを巻付けた転写胴に転写させるロール部材である。
又、中間ロール5は、インキ練ロールとも呼ばれ、インキ壺から着ロール2までインキを転写する間にインキを練り、インキの流動性を保つ働きをするロール部材である。尚、中間ロール5は、そのロール回転軸J’に沿って揺動する構成でも良い。
これら版胴3、中間ロール5の外周面は、用途に応じて、何れの素材で覆われていても良く、例えば、硬質樹脂や金属など硬質素材や、その他、ゴムをはじめ、炭素繊維(カーボンファイバー)、セラミック(ポリアミド樹脂)、エンジニアプラスティックなどでも良い。
版胴3、中間ロール5の周表面(最も径外側の周面部分)の素材として、例えば、金属であれば、クロム、銅、アルミ、ニッケル等を用いても良く、これらの金属を、小ロール体2の母材(下地)に対してメッキにより被覆したり、これらの金属で形成されたパイプを焼きバメして被覆しても良い。
尚、版胴3、中間ロール5の下地も、何れの素材でも構わないが、例えば、鉄や、ステンレス(SUS)等でも良い。
版胴3、中間ロール5の周表面の素材として、例えば、炭素繊維(カーボンファイバー)であれば、ポリアクリロニトリル繊維を炭素化して得られるPAN系炭素繊維や、ピッチプリカーサー(コールタールまたは石油重質分を原料として得られるピッチ繊維)を炭素化して得られるピッチ系炭素繊維などでも良い。
又、版胴3、中間ロール5の周表面の素材として、例えば、セラミック(セラミックス)であれば、成形し焼成して得られる無機物質からなる素材であって、陶磁器・ガラス・耐火物・碍子などの窯業製品(オールドセラミックス)や、炭化物や窒化物などを含む耐火性・誘電性・磁性などを有したファインセラミックス(ニューセラミックス)であっても構わない。
版胴3、中間ロール5の周表面の素材として、例えば、ゴムであれば、原材料に加硫剤を混錬したのち加熱して得られる加硫ゴム(熱硬化性エラストマー)や、熱硬化性樹脂系エラストマーなどでも良い。
版胴3、中間ロール5に用いられる加硫ゴムとは、大別すれば、天然ゴム、合成ゴムに分かれるが、その何れであっても良い。
例えば、合成ゴムについて、より具体的に述べれば、ニトリルゴム(NBR)や、ウレタンゴム(ポリウレタン(PU))、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)をはじめ、ブタジエンゴム(BR)、ポリ塩化ビニルゴム(PVC)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソブチレン(ブチルゴム(IIR))、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)などである。
<揺動ロール4及び中間ロール5の往復揺動幅>
揺動ロール4がロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する際の往復揺動幅は、特に限定はないが、例えば、5mm以上30mm以下、好ましくは8mm以上25mm以下、更に好ましくは12mm以上20mm以下(15mmなど)であっても良い。
又、この往復揺動幅は、中間ロール(インキ練ロール)5が揺動する場合には、中間ロール5の往復揺動幅より小さくても構わない。
<実施例1〜3、比較例>
まず、本発明の試験1、2において用いる実施例と比較例について述べる。
実施例1は、印刷機(株式会社小森コーポレーション製オフセット印刷機「GL40」)において、4本の着ロール2のうち、第4着ロール2(2d)だけを揺動ロール4とした。
この実施例における揺動ロール4の往復揺動幅(揺動ストローク)は、15mm(片側7.5mmずつ)とし、揺動ロール4の揺動速度(揺動タイミング)Sは、版胴3が3回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動(1ストローク)する速度とした。
実施例2は、上述した実施例1の印刷機において、第4着ロール2dだけを揺動ロール4とする点は同様であるが、その揺動速度Sを、版胴3が2回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する速度とし、それ以外は、実施例1と同様である。
実施例3も、上述した実施例1、2の印刷機において、第4着ロール2dだけを揺動ロール4としており、その揺動速度Sは、版胴3が4回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する速度であって、それ以外は、実施例1、2と同様である。
一方、比較例は、上述した実施例1〜3の印刷機において、何れの着ロール2も揺動ロール4としておらず、それ以外は、実施例1〜3と同様である。
<試験1>
試験1では、上述の実施例1、比較例に対して、意図的に印刷濃度ムラが発生し易い印刷物を用いて、水なし印刷を行った。
この試験1の結果を、図4、5に示す。
試験1の結果、実施例1は、その印刷物(図4)において、格子柄の濃度差は一切発生しておらず、印刷品質として良好であると判断できる。
一方、比較例は、その印刷物(図5)において、濃度差が発生しており、この濃度差は、後述する試験2にて数値の差として表れているが、数値の差以上に視覚的に濃度差が判断できるとも言える。
<試験2>
試験2でも、試験1と同様に、意図的に印刷濃度ムラが発生し易い印刷物を用いて、水なし印刷を行ったが、実施例1、比較例だけでなく、揺動速度Sが異なる実施例2、3に対しても水なし印刷を行い、揺動速度Sの違いによる濃度差を数値化した。
尚、試験2における印刷物の測定位置を、図6、7に示す。
<試験2におけるL* 値>
この試験2では、これら図6、7で示した測定位置において、濃度差(濃淡の差)が存在しているところ(つまり、ゴースト発生場所)を5mm間隔で、図6、7で左から右に向かって7点(n点、n=7)連続して、JIS−Z−8781−4:2013に規定されるL*** 表色系のL* 値、a* 値、b* 値と、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の値を測定した。
尚、このL* 値を測定する測定機は、独TECHKON GmbH製「SPECTRO DENS D−61462」である。
実施例1〜3、比較例に対して測定した7つのL* 値に基づいて、ΔDK 、ΔLと、ゴースト指数G(単位は%)の各数値を、以下の表1〜4と図8〜10に示す。ここで、表1は、比較例の各数値を表し、表2は、実施例2の各数値を、表3は実施例1の各数値を、表4は実施例3の各数値を表す。
尚、上述したΔDK の計算式は「ΔDK =(7つの測定点におけるブラックの最大値)−(各測定点におけるブラックの値)」である。
ΔLの計算式は「7つの測定点においてブラックの値が最大である測定点のL* 値)−(各測定点におけるL* 値)」である。
ゴースト指数G(%)の計算式は「{(D1−D2)/D1}×100」であって、計算式中のD1は「測定位置において発生しているゴーストの白抜き線上に位置するブラックの値」」であり、D2は「測定位置において発生しているゴーストのベタ部分に位置するブラックの値」である。
<試験1、2の評価>
試験1、2より、4本の着ロール2のうち、第4着ロール2dを揺動ロール4とした実施例1〜3は、何れの着ロール2も揺動ロール4としていない比較例より、ΔL、ΔDK 及びゴースト指数Gの数値の変化が緩やかになり、全体の数値としても下がる事が確認できる。
これは、揺動速度Sによらず、最下流の着ロール2である第4着ロール2dを揺動ロール4とすることで、ΔL、ΔDK 及びゴースト指数Gの数値が下がるとも言え、本発明の印刷機1による印刷品質は安定し、ゴーストの発生を抑制する。
ここで、最下流の着ロール2は、版胴3における供給過多なインキを回収する役割を持つが、複数の着ロール2のうち、同じ供給過多なインキを回収する役割を持つ着ロール2(例えば、最下流から2番目の着ロール2)を揺動させれば(揺動ロール4とすれば)、ΔL、ΔDK 及びゴースト指数Gの数値が下がり、本発明の印刷機1による印刷品質は安定し、ゴーストの発生を抑制するとも言える。
更に、試験1、2よりゴースト対策ロールの仕様については、印刷の汚れもなく、ΔDK 、ΔL及びゴースト指数Gの各数値の変化や数値のバラつきを最も抑えることが出来たのは、揺動速度Sが版胴3回転に1往復の実施例1と、4回転に1往復の実施例3であると言える。
又、揺動速度Sが2回転に1往復の実施例2は、ΔDK 、ΔL及びゴースト指数Gの各数値が、実施例1、3より高いものの、比較例(つまり、揺動速度Sが0)の比較例よりは低い。
従って、本発明における揺動速度Sが、版胴3が2回以上4回以下回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する速度であれば、「ゴーストの低減」を実現できると言える。
<着ロール2d(ロール部材4)が1往復揺動する際の着ロール2dの回転数>
尚、試験1、2で用いた3つの印刷機1(実施例1(揺動速度S:版胴3が3回転する間に1回往復揺動する速度)、実施例2(揺動速度S:版胴3が4回転する間に1回往復揺動する速度)、実施例3(揺動速度S:版胴3が2回転する間に1回往復揺動する速度))における着ロール2d(揺動ロール(ロール部材)4)の直径は90mmで、版胴3の直径は300mmである。尚、以下では、円周率をπとする。
従って、着ロール2dが1往復揺動する際に版胴3の周面が回転した長さ(版胴回転周長さR)は、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、版胴3の直径300mm×π×2=600πmmとなる。
一方、着ロール2dが1往復揺動する際に当該着ロール2dの周面が回転した長さ(着ロール回転周長さr)は、当該着ロール2dのロール母体11の外周面が版胴3に接触し且つ連れ回るため、当然、版胴回転周長さRと略同じ(r≒R)になる。
ここから、着ロール2dが1往復揺動する際に着ロール2dが回転する回数を求めると、1往復揺動する際の着ロール2dの回転数=(着ロール回転周長さr)÷(着ロール2dの周長さ(直径90mm×π))=600π÷90π=20÷3=6.666・・・≒6.7回である。
つまり、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合、着ロール2d(ロール部材4)は、当該ロール部材4のロール母体11の外周面が6.7回、回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動することとなる。
以下同様に、版胴3の版胴回転周長さRは、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、300mm×π×3=900πmmとなると共に、着ロール2d(ロール部材4)は、当該ロール部材4のロール母体11の外周面が、900π÷90π=10.0回、回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動することとなる。
又、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、300mm×π×4=1200πmmとなると共に、着ロール2d(ロール部材4)は、当該ロール部材4のロール母体11の外周面が、1200π÷90π=40÷3=13.333・・・≒13.3回、回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動することとなる。
従って、本発明における着ロール2d(ロール部材4)は、ロール母体11の外周面が5回以上15回以下回転する間に、ロール回転軸Jに沿って1回往復揺動する揺動速度Sであれば、「ゴーストの低減」を実現できるとも言える。
<印刷速度Pに応じた着ロール2d(ロール部材4)の揺動速度S>
一方、上述した実施例1〜3の印刷機1をはじめ印刷機では、実際には、2000枚/時(1時間当り2000枚印刷する速度)や4000枚/時、8000枚/時、10000枚/時、16500枚/時、20000/時、33000枚/時など様々な印刷速度Pで印刷が行わる。
ここで、印刷物が1枚を通過させる(1枚印刷する)ためには版胴3を1回転させることから、様々な印刷速度P、揺動速度Sごとに、着ロール2dが1秒間に何回往復揺動するかを計算する。
<印刷速度Pが2000枚/時のケース1>
ケース1において、1秒間に版胴3の周面が回転する長さ(版胴秒間回転周長さR’)は、版胴3の直径300mm×π×2000回/時=0.60×106 πmm回/時=(0.60×106 )÷(60)×πmm回/分=10000πmm回/分となる。
よって、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、(10000πmm回/分)÷(600πmm)=16.666・・・回/分≒16.67回/分となる(つまり、ケース1で実施例2における着ロール2dは、1分当たり16.67回往復揺動する)。
以下同様に、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、(10000πmm回/分)÷(900πmm)=11.111・・・回/分≒11.11回/分となり、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合には、(10000πmm回/分)÷(1200πmm)=8.333・・・回/分≒8.33回/分となる。
<印刷速度Pが4000枚/時のケース2>
ケース2において、1秒間に版胴3の周面が回転する長さ(版胴秒間回転周長さR’)は、版胴3の直径300mm×π×4000回/時=1.20×106 πmm回/時=(1.20×106 )÷(60)×πmm回/分=20000πmm回/分となる。
よって、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、(20000πmm回/分)÷(600πmm)=33.333・・・回/分≒33.33回/秒となる(つまり、ケース2で実施例2における着ロール2dは、1分当たり33.33回往復揺動する)。
以下同様に、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、(20000πmm回/分)÷(900πmm)=22.222・・・回/分≒22.22回/分となり、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合には、(20000πmm回/分)÷(1200πmm)=16.666・・・回/分≒16.67回/分となる。
<印刷速度Pが8000枚/時のケース3>
ケース3において、1秒間に版胴3の周面が回転する長さ(版胴秒間回転周長さR’)は、版胴3の直径300mm×π×8000回/時=2.40×106 πmm回/時=(2.40×106 )÷(60)×πmm回/分=40000πmm回/分となる。
よって、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、(40000πmm回/分)÷(600πmm)=66.666・・・回/分≒66.67回/秒となる(つまり、ケース3で実施例2における着ロール2dは、1分当たり66.67回往復揺動する)。
以下同様に、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、(40000πmm回/分)÷(900πmm)=44.444・・・回/分≒44.44回/分となり、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合には、(40000πmm回/分)÷(1200πmm)=33.333・・・回/分≒33.33回/分となる。
<印刷速度Pが10000枚/時のケース4>
ケース4において、1秒間に版胴3の周面が回転する長さ(版胴秒間回転周長さR’)は、版胴3の直径300mm×π×10000回/時=3.00×106 πmm回/時=(3.00×106 )÷(60)×πmm回/分=50000πmm回/分となる。
よって、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、(50000πmm回/分)÷(600πmm)=83.333・・・回/分≒83.33回/分となる(つまり、ケース4で実施例2における着ロール2dは、1分当たり83.33回往復揺動する)。
以下同様に、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、(50000πmm回/分)÷(900πmm)=55.555・・・回/分≒55.56回/分となり、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合には、(50000πmm回/分)÷(1200πmm)=41.666・・・回/分≒41.67回/分となる。
<印刷速度Pが16500枚/時のケース5>
ケース5において、1秒間に版胴3の周面が回転する長さ(版胴秒間回転周長さR’)は、版胴3の直径300mm×π×16500回/時=4.95×106 πmm回/時=(4.95×106 )÷(60)×πmm回/分=82500πmm回/分となる。
よって、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、(82500πmm回/分)÷(600πmm)=137.50回/分となる(つまり、ケース5で実施例2における着ロール2dは、1分当たり137.50回往復揺動する)。
以下同様に、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、(82500πmm回/分)÷(900πmm)=91.666・・・回/分≒91.67回/分となり、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合には、(82500πmm回/分)÷(1200πmm)=68.75回/分となる。
<印刷速度Pが20000枚/時のケース6>
ケース6において、1秒間に版胴3の周面が回転する長さ(版胴秒間回転周長さR’)は、版胴3の直径300mm×π×20000回/時=6.00×106 πmm回/時=(6.00×106 )÷(60)×πmm回/分=100000πmm回/分となる。
よって、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、(100000πmm回/分)÷(600πmm)=166.666・・・回/分≒166.67回/分となる(つまり、ケース6で実施例2における着ロール2dは、1分当たり166.67回往復揺動する)。
以下同様に、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、(100000πmm回/分)÷(900πmm)=111.111・・・回/分≒111.11回/分となり、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合には、(100000πmm回/分)÷(1200πmm)=83.333・・・回/分≒83.33回/分となる。
<印刷速度Pが33000枚/時のケース7>
ケース7において、1秒間に版胴3の周面が回転する長さ(版胴秒間回転周長さR’)は、版胴3の直径300mm×π×33000回/時=9.90×106 πmm回/時=(9.90×106 )÷(60)×πmm回/分=165000πmm回/分となる。
よって、版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例2)の場合には、(165000πmm回/分)÷(600πmm)=275.00回/分となる(つまり、ケース7で実施例2における着ロール2dは、1分当たり275.00回往復揺動する)。
以下同様に、版胴3が3回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例1)の場合には、(165000πmm回/分)÷(900πmm)=183.333・・・回/分≒183.33回/分となり、版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合には、(165000πmm回/分)÷(1200πmm)=137.50回/分となる。
ここまで述べたケース1〜7において、着ロール2dの1秒当たり往復揺動の回数が最も小さい(つまり、最も遅い)のは、ケース1の版胴3が4回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合の8.33回/分(=0.1388333・・・≒0.14回/秒)であり、着ロール2dの1秒当たり往復揺動の回数が最も大きい(つまり、最も速い)のは、ケース7の版胴3が2回転する間に着ロール2dが1回往復揺動する揺動速度S(実施例3)の場合の275.00回/分(=4.58333・・・≒4.58回/秒)であった。
つまり、様々な印刷速度Pに対しても、揺動させる着ロール2(揺動ロール4)の揺動速度Sは、上述した6回/分以上300回/分以下(0.1回/秒以上5.0回/秒以下)の範囲内であり、試験1、2で述べたように、揺動速度Sは、版胴3が2回以上4回以下回転する間に、ロール回転軸Jに沿って6回/分以上300回/分以下往復揺動する速度であっても、「ゴーストの低減」を実現できると言える。
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。印刷機1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
印刷機1は、複数の着ロール2のうち最下流の着ロール2(2dなど)及び/又は最下流から2番目の着ロール2(2cなど)に、その揺動速度Sを感知するセンサを取り付けていても良い。
本発明に係る印刷機1は、水なしオフセット印刷機以外に、水ありオフセット印刷機をはじめ、着ロール2、版胴3を有する印刷機に利用可能である。
又、本発明に係るロール部材は、紙用印刷機、プラスチックフイルム用印刷機、布帛用印刷機、金属板用印刷機の何れでもよく、インキ以外の液体(例えば、ニスや接着剤等)を転送する転送ロールや、この転送ロールを備えた塗布装置、その他、保水ロールなどに利用しても良い。
1 印刷機
2 着ロール
2c 最下流から2番目の着ロール(第3着ロール)
2d 最下流の着ロール(第4着ロール)
3 版胴
4 揺動ロール
5 中間ロール
6 遊星歯車機構
J 着ロールのロール回転軸

Claims (7)

  1. 回転する着ロールと該着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記着ロールには、前記版胴が2回以上4回以下回転する間に、ロール回転軸に沿って1回往復揺動する揺動ロールが少なくとも含まれ、
    前記揺動ロールの往復揺動幅は12mm以上20mm以下であることを特徴とする印刷機。
  2. 回転する複数の着ロールと該複数の着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記複数の着ロールのうち最下流の着ロール及び/又は最下流から2番目の着ロールは、ロール回転軸に沿って6回/分以上300回/分以下往復揺動する揺動ロールであり、
    前記揺動ロールの往復揺動幅は12mm以上20mm以下であることを特徴とする印刷機。
  3. 回転する複数の着ロールと該複数の着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記複数の着ロールのうち最下流の着ロール及び/又は最下流から2番目の着ロールは、前記版胴が2回以上4回以下回転する間に、ロール回転軸に沿って1回往復揺動する揺動ロールであり、
    前記揺動ロールの往復揺動幅は12mm以上20mm以下であることを特徴とする印刷機。
  4. 回転する複数の着ロールと該複数の着ロールに接触し且つ回転する版胴を有する印刷機であって、前記複数の着ロールのうち最下流の着ロールだけが、ロール回転軸に沿って往復揺動する揺動ロールであることを特徴とする印刷機。
  5. 前記揺動ロールは、内部に遊星歯車機構を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の印刷機。
  6. 湿し水を用いないことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の印刷機。
  7. 印刷機における着ロール用のロール部材であって、
    当該ロール部材は、そのロール母体の外周面が5回以上15回以下回転する間に、ロール回転軸に沿って1回往復揺動し、
    当該ロール部材の往復揺動幅は12mm以上20mm以下であることを特徴とするロール部材。
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