以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
<洗濯乾燥機の全体構成>
図1は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の適用例としてのドラム式洗濯機の分解斜視図である。なお、本実施形態では、筺体内部の、洗濯機を制御するメイン基板ユニット、洗濯水を循環させる循環手段(配管、ポンプ)、対象物(布類)を乾燥させる乾燥風を循環させる乾燥手段、配管等の構成については図示を省略している。
図1に示すように、ドラム式洗濯機1は、本実施形態に係るドラム式の洗濯乾燥機が一体に組み込まれた洗濯機であり、筐体1内に弾性支持された外槽3と、この外槽3内に回転自在に支持された回転ドラム(内槽)4と、外槽3および回転ドラム4を収容する筐体10と、を備えて構成されている。
外槽3は、合成樹脂で円筒状に形成されたものであり、回転ドラム4を同軸上に内包している。また、外槽3は、有底円筒状の外槽本体3aと、この外槽本体3aの前面開口に取り付けられる外槽カバー3bと、によって構成されている。また、外槽3(外槽カバー3b)の開口部3sには、ゴム製のベローズ(不図示)が取り付けられ、ドア25を閉じることで外槽3を水封するようになっている。また、外槽3は、ダンパ5を介して弾性支持されている。
回転ドラム4は、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽であり、その外周壁に通水および通風のための多数の貫通孔4aが形成され、前側端面には、洗濯物を出し入れするための開口部4bが形成されている。開口部4bの外周側には、回転ドラム4と一体に回転する流体バランサ(不図示)が設けられている。また、回転ドラム4の内周壁には、洗濯運転や乾燥運転に際して洗濯物を持ち上げるリフタ4cが設けられている。なお、回転ドラム4の回転中心軸は、略水平又は開口部4b側が高くなるように傾斜している。
筐体10は、板金(金属、カラー鋼板)をプレス加工等によって、正面に配置される前面パネル(前板)11と、左右の側面に配置される側面パネル(側板)14A,14Bと、を有している。また、筐体10は、板金をプレス加工等によって、上面視において略コ字状に形成されて背面に配置される背面パネル(背板)16と、外槽3の底側に配置されるベース17と、外槽3の上方に配置される上面パネル(上板、トップパネル)18と、を有している。
前面パネル11は、正面上部に配置される前面上パネル12と、正面下部に配置される前面下パネル13と、を有している。前面上パネル12は、一枚の板金で形成され、正面側を向く平坦部12aと、この平坦部12aの左右両側において湾曲する湾曲部12b,12cを有している。前面下パネル13は、一枚の板金で形成され、前面上パネル12よりも上下方向に短く形成され、正面側を向く平坦部13aと、この平坦部13aの左右両側において湾曲する湾曲部13b,13cと、を有している。また、本実施形態では、前面パネル11を前面上パネル12と前面下パネル13とで分割して構成しているが、1枚のパネルで構成されていてもよい。
湾曲部12b,12cは、前面上パネル12の上端から下端に向けて同様の湾曲形状を呈するように形成されている。湾曲部13b,13cは、前面下パネル13の上端から下端に向けて同様の湾曲形状を呈するように形成されている。また、湾曲部12b,12cと湾曲部13b,13cは、互いに同じ湾曲形状である。これにより、前面上パネル12と前面下パネル13とを上下に重ねたときに、平坦部12aの表面および湾曲部12b,12cの表面と、平坦部13aの表面および湾曲部13b,13cの表面とが面一となるように構成されている。
前面上パネル12の平坦部12aには、ヒンジを介してドア25が取り付けられている。前面下パネル13の平坦部13aには、図示しない糸くずフィルタのフィルタ部材を出し入れするためのフタ13dが取り付けられている。
側面パネル14Aは、板金をプレス加工等によって形成されたものであり、前面パネル11と同じ高さに形成され、該側面パネル14Aの後端に、内側に湾曲する湾曲部14aが形成されている。湾曲部14aは、上端から下端に向けて同様の湾曲形状を呈するように形成されている。また、側面パネル14Aには、運搬時に使用される手掛け部14bが上下に複数箇所形成され、また補強用の凹部14cが複数形成されている。
側面パネル14Bは、板金をプレス加工等によって形成されたものであり、側面パネル14Aと左右対称形状であり、側面パネル14Aの湾曲部14a、手掛け部14bおよび凹部14cと同様に、湾曲部14a、手掛け部14bおよびリブ14cが形成されている。
背面パネル16は、板金をプレス加工等によって形成されたものであり、背面上部に設けられる背面上パネル16Aと、背面中央から底部にかけて設けられる背面下パネル16Bと、を備えて構成されている。また、背面上パネル16Aおよび背面下パネル16Bは、左右の両端に、側面パネル14A,14B側に向けて湾曲する湾曲部16a,16bが形成されている。
ベース17は、例えば合成樹脂製であり、内側に格子状のリブが形成されて補強が施されている。また、ベース17には、側面パネル14A,14Bの下端がそれぞれネジなどで固定されている。
上面パネル18は、例えば合成樹脂を成形することで形成され、上面視において略矩形状に形成されている。また、上面パネル18は、1枚の板状に構成され、前面パネル11と側面パネル14A,14Bと背面パネル16とが連結されて構成された上面開口を塞ぐように構成されている。
また、上面パネル18には、前後方向の手前左側に洗剤投入部20、手前右側に操作パネル22が取り付けられている。
また、筐体10は、前面上部補強板31、前面下部補強板32、上部補強板35、上部連結補強部36によって補強されている。
前面上部補強板31は、側面パネル14A,14Bに架け渡され、側面パネル14A,14Bの前面側の上端同士を連結している。すなわち、前面上部補強板31は、板金をプレス加工等によって形成したものであり、前面に位置して直線状に延びる板部31aと、この板部31aの左右両端において外槽3側に折り曲げ形成される曲げ部31b,31cと、を有している。また、板部31aには、当該板部31aと開口部4bとが前後方向において重ならないように切欠部31dが形成されている。
前面下部補強板32は、側面パネル14A,14Bに架け渡され、側面パネル14A,14Bの前面側の下部同士を連結している。すなわち、前面下部補強板32は、板金をプレス加工等によって形成したものであり、前面に位置して直線状に延びる板部32aと、この板部32aの左右両端において外槽3側に折り曲げ形成される曲げ部32b,32cと、を有している。また、板部32aには、当該板部32aと開口部4bとが前後方向において重ならないように切欠部32dが形成されている。
また、前面下部補強板32は、下部補強支持板33,34によって連結されている。下部補強支持板33は、前面下部補強板32の曲げ部32bと連結される上部連結部33aと、ベース17に固定される下部連結部33bと、を有している。下部補強支持板34は、前面下部補強板32の曲げ部32cと連結される上部連結部34aと、ベース17に固定される下部連結部34bと、を有している。
上部補強板35は、側面パネル14A,14Bに架け渡され、側面パネル14A,14Bの上端縁同士を連結している。すなわち、上部補強板35は、板金をプレス加工等によって形成したものであり、上面に位置して直線状に延びる板部35aと、この板部35aの左右両端において外槽3側に折り曲げ形成される曲げ部35b,35cと、を有している。また、板部35aは、図示しないメイン基板ユニットを取り付けるための取付部が板部35aの一部を凹状に曲げ形成することで構成されている。
上部連結補強部36は、上部補強板35と背面パネル16とを連結している。また、上部連結補強部36は、合成樹脂により成型されたものであり、上部補強板35と背面パネル16とを図示しないねじを介して結合するものである。また、上部連結補強部36は、前後方向に延び、かつ、左右方向の中央部に位置するように配置されている。なお、合成樹脂としては、高強度および耐摩耗性に優れた樹脂、具体的にはPOM(ポリオキシメチレン樹脂)を選択することができる。
また、上部連結補強部36の左右には、給水ユニット(不図示)や乾燥フィルタユニット37などが取り付けられる。図示しない給水ユニットは、給水管(不図示)、給水ホース接続口18f(図2参照)および風呂水ホース接続口18g(図2参照)に接続される洗剤給水電磁弁、風呂水を吸い上げるポンプなどである。
図2は、本発明に係る洗濯乾燥機の適用例としてのドラム式洗濯機の外観斜視図である。図2に示すように、前面上パネル12の湾曲部12bおよび前面下パネル13の湾曲部13bは、ドア25の右端の位置から側面パネル14Aに向けて湾曲して形成されている。また、前面上パネル12の湾曲部12cおよび前面下パネル13の湾曲部13cは、ドア25の左端の位置から側面パネル14B(図1参照)に向けて湾曲して形成されている。このように、本実施形態のドラム式洗濯機1は、前面パネル11が、ドア25の幅の位置から側面パネル14A,14Bに向けて(左右に向けて)大きく湾曲した形状を有している。
また、上面パネル18は、前面パネル11と、側面パネル14Aと、側面パネル14B(図1参照)と、背面パネル16(図1参照)と、を結合したときに形成される上部開口を塞ぐことができる形状を有している。また、上面パネル18の外周縁部は、前面パネル11の上端縁部と、側面パネル14Aの上端縁部と、側面パネル14B(図1参照)の上端縁部と、背面パネル16の上端縁部と、重なるように構成されている。
筐体10の内部には、対象物(布類)を乾燥させる乾燥風が通る送風路(不図示)が設けられている。その送風路上には、埃を捕集するための乾燥フィルタユニット37が着脱自在に配置されている。
<乾燥フィルタユニットの取付部の構成>
以下、図3A乃至図3Dを参照して、乾燥フィルタユニット37の取付部38の構成について説明する。図3Aは、乾燥フィルタユニット37と取付部38の構成図である。図3Bは、取付部38の概略斜視図である。図3Cは、取付部38の部分断面図である。図3Dは、後記する固定フィルタ91と内部フィルタ92との間の封止状態の説明図である。
図3Aに示すように、ドラム式洗濯機1のトップパネルには、乾燥フィルタユニット37を取り付けるための取付部38が設けられている。取付部38は、上面と後面とに開口部が形成された中空な箱型の形状を呈しており、乾燥フィルタユニット37を収納することが可能な空間を有している。なお、図3Aは、取付部38から乾燥フィルタユニット37を取り外した状態を示している。
図3Bは、取付部38の概略構成を示している。取付部38は、送風路の経路上に設けられている。送風路は、回転ドラム4(図1参照)から除湿装置(不図示)、取付部38、ファン(不図示)、ヒータ(不図示)等を通って回転ドラム4(図1参照)に戻るように形成されている。図3Bに示すように、取付部38は、上流側から乾燥風を乾燥フィルタユニット37に流入させる流入口38aと、乾燥フィルタユニット37からの乾燥風を下流側のヒータ(不図示)へと流出させる流出口38bと、を有している。なお、流出口38bの下流側には、ファン(不図示)やヒータ(不図示)等が設けられている。本実施形態では、流入口38aは、取付部38の後面側に設けられており、一方、流出口38bは、取付部38の右面側に設けられている。したがって、流出口38bは、流入口38aに対して略直角な方向に配置されている。
流入口38aには、仕切り板39が取り付けられている。流出口38bには、固定フィルタ91と内部フィルタ92とが取り付けられている。固定フィルタ91と内部フィルタ92とは、それぞれ、乾燥風に含まれている埃を捕集するためのリントフィルタ(不図示)が取り付けられたフィルタ部材である。固定フィルタ91は、図示せぬねじによってドラム式洗濯機1の筺体に締結されている。一方、内部フィルタ92は、容易に取り外すことができるように、図示せぬ係合機構によってドラム式洗濯機1の筺体に着脱自在に取り付けられている。
図3Cは、取付部38の構成を示す部分断面図である。図3Cに示すように、内部フィルタ92は、固定フィルタ91の内壁面を覆うように、配置されている。
図3Dは、図3Cに示す領域A1の拡大図である。図3Dに示すように、固定フィルタ91の内壁面には溝部が設けられており、その溝部の内部にパッキン93が収納されている。一方、内部フィルタ92にはパッキン93に対向するようにリブ94が設けられている。内部フィルタ92が流出口38bに取り付けられた状態において、リブ94は、パッキン93に当接し、固定フィルタ91の内壁面側に向けてパッキン93を押しつぶす。これによって、固定フィルタ91と内部フィルタ92との間が封止される。その結果、乾燥風は、流出口38bにおいて、漏れることなく、固定フィルタ91のリントフィルタ(不図示)と内部フィルタ92のリントフィルタ(不図示)とを通過する。これにより、ドラム式洗濯機1は、乾燥風に含まれている埃を確実に捕集することができる。
ドラム式洗濯機1の流出口38b(すなわち、乾燥フィルタユニット37を通過した乾燥風を下流側に流出させる流出口38b)には、固定フィルタ91と内部フィルタ92との2つのフィルタ部材が設けられており、固定フィルタ91を流出口38bに固定配置するとともに、内部フィルタ92を流出口38bに対して着脱自在に配置している。
流出口38bに2つのフィルタ部材を設ける理由は、以下の通りである。すなわち、仮に、固定フィルタ91だけしか流出口38bに設けられておらず、その固定フィルタ91が清掃できるように着脱自在な構成になっていたとする。この構成では、例えば、ユーザが流出口38bから固定フィルタ91を取り外して固定フィルタ91を清掃した後、その固定フィルタ91を流出口38bに取り付けることを忘れてしまった場合に、乾燥フィルタユニット37で捕集されなかった埃が流出口38bの下流側に流出してしまう。下流側には、乾燥風を加熱して乾燥させるヒータ(不図示)が配置されている。そのため、乾燥フィルタユニット37で捕集されなかった埃が下流側に流出すると、意図せぬ不具合が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態では、流出口38bに固定フィルタ91と内部フィルタ92との2つのフィルタ部材を設け、固定フィルタ91をドラム式洗濯機1の筺体に固定するようにしている。これにより、ドラム式洗濯機1は、たとえユーザがフィルタ部材(本実施形態では内部フィルタ92)を流出口38bに取り付けることを忘れてしまったとしても、流出口38bの下流側に埃が流出することを抑制することができるため、意図せぬ不具合が発生することを抑制することができる。
固定フィルタ91は、ドラム式洗濯機1の筺体にねじ(不図示)で締結されている。内部フィルタ92は、ドラム式洗濯機1の筺体に対して着脱自在に取り付けられている。内部フィルタ92のフィルタは、固定フィルタ91のフィルタよりも網目が細かくなっている。これにより、ドラム式洗濯機1は、仮に内部フィルタ92の取り付けが忘れられることがあったとしても埃を固定フィルタ91で捕集するとともに、内部フィルタ92が取り付けられた状態において、乾燥用のヒータ(不図示)へと向かう乾燥風の送風効率を低下させることなく、細かな埃を内部フィルタ92で効率よく捕集することができる。そのため、このようなドラム式洗濯機1は、リントフィルタの清掃性を確保しつつ、乾燥効率低下を抑えることができる。
固定フィルタ91の内壁面において、フィルタの周囲には、環状の弾性部材であるパッキン93が配置されている。一方、内部フィルタ92の外壁面において、リントフィルタ(不図示)の周囲には、パッキン93に当接する突起状のリブ94が設けられている。これにより、ドラム式洗濯機1は、固定フィルタ91の内壁面と内部フィルタ92の外壁面との間を封止している。
<乾燥フィルタユニットの構成>
以下、図4等を参照して、乾燥フィルタユニット37の構成について説明する。図4は、乾燥フィルタユニット37の外観斜視図である。図4に示すように、乾燥フィルタユニット37は、埃を捕集するためのリントフィルタ41(図7参照)が内部に設けられたフィルタ部40と、リントフィルタ41(図7参照)を清掃する清掃手段が内部に設けられたフタ部50とを有している。フタ部50は、フィルタ部40の上に配置されている。フィルタ部40とフタ部50とは、相対的に移動可能な構成になっている。本実施形態では、フィルタ部40がフタ部50に対して前後方向に移動可能な構成になっているものとして説明する。フィルタ部40は、図5(a)乃至図5(d)に示すように、フタ部50に対して前後方向に移動させることにより、フタ部50から取り外すことができる。フィルタ部40とフタ部50との当接部分には、隙間を封止する封止機構60(図8参照)が設けられている。
フィルタ部40の前面には、ユーザによって把持される取っ手81が設けられている。取っ手81は、下端部がフィルタ部40のフレーム42に軸支されており、上側部分が回動する構造になっている。図5(a)及び図5(b)に示すように、取っ手81は、略鉛直方向から略水平方向の範囲で上端部を回動させることができる。取っ手81は、略鉛直方向に立った状態にすることで、フレーム42に設けられた収納部に収納することができる。取っ手81には爪部が設けられているとともに、収納部の内部には取っ手81の爪部に係合する係合部が設けられている。取っ手81の爪部と収納部の係合部とが係合することにより、取っ手81は、収納部に収納された状態で保持される。このような取っ手81は、仮に略水平方向に配置された状態(つまり、収納部に収納することが忘れられた状態)で、乾燥フィルタユニット37が取付部38に取り付けられることがあったとしても、乾燥フィルタユニット37が取付部38に取り付けられる際に自動的に収納部に収納されてその状態で保持されるため、周囲の部材に衝突して破損することを抑制することができる。
乾燥フィルタユニット37は、フタ部50とフィルタ部40との相対的な移動に伴って、後記するパッキン61(図8参照)に対する後記するリブ66(図8参照)の押し付け量を変化させる押付機構70を有している。本実施形態では、押付機構70は、フィルタ部40に設けられたガイド部71と、フタ部50に設けられた挿入部72とで構成されている。
図5は、フィルタ部40とフタ部50の動作説明図である。図5は、フタ部50からフィルタ部40を取り外す場合の動作例を示している。この動作は、例えば、フィルタ部40に設けられたリントフィルタ41(図7参照)で捕集された埃を廃棄する場合に行われる。
図5(a)に示す例では、取っ手81は、略鉛直方向に起こされて、フィルタ部40に設けられた収納部に収納された状態になっている。図5(b)に示すように、ユーザは、取っ手81を略水平方向に倒す。そして、図5(c)に示すように、ユーザは、取っ手81を把持して、取っ手81を前方に引く。これによって、フィルタ部40がフタ部50に対して相対的に移動する。その結果、図5(d)に示すように、フィルタ部40がフタ部50の内部から外部に引き出されて、乾燥フィルタユニット37がフィルタ部40とフタ部50とに分離する。
図6は、乾燥フィルタユニット37の部分断面図である。図6は、乾燥フィルタユニット37の右側部分を切断して取り除いた形状を示している。また、図6は、押付機構70を構成するガイド部71と挿入部72の形状の一例を示している。押付機構70の動作原理については、図11を用いて後述する。
図7は、乾燥フィルタユニット37の部分断面図である。図7は、乾燥フィルタユニット37の前側部分を切断して取り除いた形状を示している。図7に示すように、フィルタ部40は、リントフィルタ41を有している。本実施形態では、フィルタ部40は、底面部に設けられたリントフィルタ41aと、右側面部に設けられた(立設された)リントフィルタ41bとを有している。
フィルタ部40の底面部は、右側と左側とで高さが異なるように、傾斜している。具体的には、フィルタ部40の底面部は、取付部38の流出口38b(図3C参照)に対向する右側が低くなり、他方側である左側が高くなっている。これにより、ドラム式洗濯機1は、乾燥フィルタユニット37において、乾燥風を取付部38の流出口38b(図3C参照)に向けて効率よく誘導することができる。また、ドラム式洗濯機1は、乾燥フィルタユニット37が取り付けられる取付部38の設計の自由度を向上させることができる。例えば、ドラム式洗濯機1は、筺体の内部において、フィルタ部40の底面部が高くなっている部分(左側部分)の下方にスペースを確保することができるため、その部分に所望の部品を配置することができる。
フタ部50は、フィルタ部40の上面部を覆うカバー板54を有しており、カバー板54でフィルタ部40の上面部を封止している。
図8は、フィルタ部40とフタ部50との間の封止状態の説明図である。図8は、図7に示す領域A2の構成を拡大して示している。図8に示すように、フィルタ部40とフタ部50との当接部分において、フィルタ部40のフレーム42の上面には、溝部が設けられており、その溝部の内部にパッキン61が収納されている。パッキン61は、弾性を有する弾性部材である。一方、フィルタ部40とフタ部50との当接部分において、フタ部50のフレーム52にはパッキン61に対向するようにリブ66が設けられている。リブ66は、パッキン61に押し付けられる押付部である。パッキン61とリブ66は、フィルタ部40とフタ部50との当接部分を封止する封止機構60を構成している。
パッキン61は、フィルタ部40の上面側において、上面開口部44(図10参照)の周囲を囲むように配置されている。一方、リブ66は、フタ部50の下面側と移動方向上の面である前面とにおいて、パッキン61の配置形状に沿って突起状に設けられている。
リブ66は、フィルタ部40がフタ部50に取り付けられることにより、パッキン61に当接し、パッキン61を押しつぶす。これによって、フィルタ部40とフタ部50との当接部分の間が封止される。その結果、乾燥風は、フィルタ部40のリントフィルタ41を漏れなく通過する。これにより、ドラム式洗濯機1は、乾燥風に含まれている埃をリントフィルタ41で確実に捕集することができる。
図9は、フタ部50の構成図である。図9(a)は、フタ部50の斜視図であり、図9(b)は、フタ部50の正面図である。図9(a)及び図9(b)に示すように、フタ部50は、ブレード51を支持する支持部53を有している。本実施形態では、フタ部50が、フィルタ部40のリントフィルタ41aに対応してリントフィルタ41aの内壁面を清掃するブレード51aと、フィルタ部40のリントフィルタ41bに対応してリントフィルタ41bの内壁面を清掃するブレード51bとを有しているものとして説明する。支持部53は、カバー板54(図7参照)の前側部分の下面に下方に突出するように設けられている。支持部53は、板状の形状を呈している。本実施形態では、支持部53の下端部がフィルタ部40の底面部の傾斜(図7参照)に対応して傾斜しているものとして説明する。
ブレード51は、フィルタ部40とフタ部50とが相対的に移動することにより、フィルタ部40のリントフィルタ41の内壁面に当接し、リントフィルタ41の内壁面に付着した埃を掻き取る。これにより、乾燥フィルタユニット37は、捕集された埃を廃棄することができる。なお、本実施形態では、フタ部50が例えばゴムやシリコーン等の弾性を有する弾性部材で構成されているものとして説明する。ただし、フタ部50は、繊維状のブラシで構成することも可能である。
フタ部50のフレーム52の右端部と左端部とには、ガイド部71が設けられている。ガイド部71は、カバー板54(図7参照)よりも下方に向けて突出し、外側から内側に回り込むように形成されている。
フタ部50のフレーム52には、フィルタ部40のパッキン61(図10参照)に対向するように、リブ66が設けられている。図9(b)に示すように、リブ66は、前後方向に延在するように配置された上下方向突出部67と、横方向に延在するように配置された横方向突出部68と、を有している。
図10は、フィルタ部40の構成図である。図10(a)は、フィルタ部40の斜視図であり、図10(b)は、フィルタ部40の上面図である。図10(a)に示すように、フィルタ部40は、中空な箱型の形状を呈している。フィルタ部40の底面部にはリントフィルタ41aが左上がりの勾配になるように設けられている。また、フィルタ部40の右側面部にはリントフィルタ41bが設けられている(立設されている)。
フィルタ部40は、後面側に後面開口部43が形成されているとともに、上面側に上面開口部44が形成されており、後面側と上面側とが外部に開放された構造になっている。上面開口部44は、フタ部50に対してフィルタ部40を着脱する際に、フタ部50の支持部53(図9参照)を通過させるために設けられている。フィルタ部40の上面側は、フィルタ部40がフタ部50に取り付けられることで、フタ部50のカバー板54(図7参照)によって封止される。流入口38aからの乾燥風は、後面開口部43からフィルタ部40の内部に流入し、底面部に設けられたリントフィルタ41aと右側面部に設けられたリントフィルタ41bを通ってフィルタ部40の外部に流出して、流出口38bを通ってヒータ(不図示)へと向かう。その際に、フィルタ部40は、乾燥風に含まれている埃をリントフィルタ41aとリントフィルタ41bとで捕集する。
フィルタ部40のフレーム42の右端部と左端部とには、挿入部72が設けられている。挿入部72は、フレーム42の右側壁面と左側壁面とから外方向に突出するように、また、前後方向に延在するように、形成されている。
フィルタ部40の前側部分には、フィルタ部40がフタ部50に取り付けられた状態において、フタ部50のブレード51(図9参照)を収納する逃げ部45が設けられている。逃げ部45は、フィルタ部40がフタ部50に取り付けられた状態において、ブレード51に当接しない形状になっている。これにより、乾燥フィルタユニット37は、フタ部50のブレード51が変形することを抑制することができる。
図10(b)に示すように、フィルタ部40の上面側において、上面開口部44の周囲を囲むようにパッキン61が配置されている。パッキン61は、例えばゴムやシリコーン等の弾性部材で構成されている。
図11は、押付機構70の動作原理を示す模式図である。図11(a)に示すように、押付機構70は、フィルタ部40に設けられた挿入部72と、フタ部50に設けられたガイド部71と、を有している。なお、挿入部72とガイド部71の実際の形状は、例えば図6に示す形状になっているが、ここでは、押付機構70の動作原理を分かり易く説明するために、図11に示す形状になっているものとして説明する。
フィルタ部40がフタ部50に取り付けられる場合に、挿入部72は、ガイド部71の内部に挿入される。その際に、挿入部72の下面がガイド部71の底面部の上に載る。ガイド部71の底面部は、段差状に形成されており、挿入部72がガイド部71の内部に進むにつれて挿入部72を上方に押し上げるように形成されている。
具体的には、挿入部72は、ガイド部71への挿入時にそれぞれ先端部、中間部、後端部となる挿入先端部72aと、途中部分72bと、挿入後端部72cと、を有している。挿入先端部72aの下面は、一部が面取りされて途中部分72b側に向けて下がる傾斜面となっている。途中部分72bの下面は、略平坦面となっている。挿入後端部72cの下面は、途中部分72bの下面よりも低い位置に設けられた略平坦面となっている。
一方、ガイド部71は、最奥部71aと、途中部分71bと、入口部分71cと、を有している。最奥部71aの底面部は、略平面状に形成されており、途中部分71bの底面部よりも高い位置に配置されている。最奥部71aの底面部と途中部分71bの底面部との間は、最奥部71a側から途中部分71b側に向かって下がるように形成された傾斜部で連結されている。途中部分71bと挿入後端部72cの底面部は、略平面状に形成されており、ほぼ同じ高さの位置に配置されている。入口部分71cの開口部分の底面部は、開口端部側(図の左側)に向けて下がる傾斜面となっている。
図11(b)に示すように、図11(a)に示す状態よりも挿入部72がガイド部71の奥側に挿入されると、挿入部72の挿入先端部72aがガイド部71の途中部分71bの上に載り、挿入部72の途中部分72bがガイド部71の入口部分71cの上に載る。このとき、挿入部72の上には、ガイド部71との間に隙間tが形成される。
図11(c)に示すように、図11(b)に示す状態よりも挿入部72がガイド部71の奥側に挿入されると、挿入部72の挿入先端部72aがガイド部71の最奥部71aの上に載り、挿入部72の挿入後端部72cがガイド部71の入口部分71cの上に載る。このとき、ガイド部71が挿入部72を上方向に押し上げるため、図11(b)に示す状態よりもフィルタ部40が上昇する。その結果、隙間t(図11(b)参照)がゼロになる。
また、このとき、フィルタ部40が上昇するため、フィルタ部40に設けられたパッキン61(図8参照)が上昇する。その結果、フタ部50に設けられたリブ66(図8参照)がパッキン61(図8参照)に押し付けられる。これによって、フィルタ部40とフタ部50との当接部分が封止される。
図12は、パッキン61とリブ66との封止状態の説明図である。図12(a)は、パッキン61とリブ66のみを残して他の構成要素を削除した状態における乾燥フィルタユニット37の構成を示したものである。図12(a)は、パッキン61の配置形状とリブ66の形状を示している。図12(b)は、リブ66をパッキン61に押し付けた状態において、図12(a)に示すX1−X1線に沿って切断した場合のパッキン61の横方向配置部63とリブ66の横方向突出部68との当接状態を示している。図12(c)は、リブ66をパッキン61に押し付けた状態において、図12(a)に示す矢印X2の方向から見たパッキン61の前後方向配置部62とリブ66の上下方向突出部67との当接状態を示している。
図12(a)に示すように、パッキン61は、上面視において略コ字状の形状で配置されている。また、パッキン61は、側面視において中間部分である横方向配置部63が他の部分(前後方向配置部62)よりも高くなるように配置されている。リブ66は、そのパッキン61に対向する形状に形成されている。すなわち、リブ66は、中間部分である横方向突出部68が他の部分(上下方向突出部67)よりも高くなるように形成されている。
図12(b)に示すように、リブ66をパッキン61に押し付けた状態において、リブ66の横方向突出部68は、パッキン61の横方向配置部63を前側(図の左側)に向けて押し付ける。
図12(c)に示すように、リブ66をパッキン61に押し付けた状態において、リブ66の上下方向突出部67は、パッキン61の前後方向配置部62を下側に向けて押し付ける。
側面視においてパッキン61の中間部分(横方向配置部63)を他の部分(前後方向配置部62)よりも高い位置に配置する理由は、以下の通りである。すなわち、仮に、パッキン61とリブ62とが図13に示す比較例のフィルタ部140のパッキン161とフタ部150のリブ162のような形状になっていたとする。比較例のフィルタ部140は、本実施形態のフィルタ部40と比較すると、パッキン61の代わりに、パッキン161を有する点で相違している。比較例のフタ部150は、本実施形態のフタ部50と比較すると、リブ66の代わりに、リブ162を有する点で相違している。図13は、比較例に係るパッキン161とリブ162との封止状態の説明図である。
図13(a)に示す例では、比較例に係るパッキン161は、各部位の高さが同一の高さになるように、フレーム142に保持されている。比較例に係るリブ162は、そのパッキン161を好適に押圧することができるように、各部位が同じ突出量でカバー板54(図7参照)から下方向に突出するように形成される。
しかしながら、このような比較例の構成は、図13(b)に示すように、フィルタ部140がフタ部150に取り付けられる際に、フタ部150のリブ162がフィルタ部140のフレーム142に衝突してリブ162やフレーム142が破損する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、側面視においてパッキン61の中間部分(横方向配置部63)を他の部分(前後方向配置部62)よりも高い位置に配置しているため、フタ部50のリブ66がフィルタ部40のフレーム42に衝突することを防止してリブ66やフレーム42が破損することを防止することができる。
<乾燥フィルタユニット及び洗濯乾燥機の主な特徴>
(1)本実施形態に係る洗濯乾燥機としてのドラム式洗濯機1は、送風路(不図示)の経路上に着脱自在に配置された乾燥フィルタユニット37を備えている。乾燥フィルタユニット37は、埃を捕集するためのリントフィルタ41が設けられたフィルタ部40と、リントフィルタ41を清掃するためのブレード51が設けられたフタ部50と、を有している。フィルタ部40とフタ部50とは、相対的に移動可能な構成になっている。本実施形態では、フィルタ部40がフタ部50に対して前後方向に移動可能な構成になっている。乾燥フィルタユニット37は、フタ部50に対してフィルタ部40を相対的に移動させることで、ブレード51によってフィルタ部40の内部に溜まった埃等を清掃することができる。
フィルタ部40とフタ部50との当接部分には、隙間を封止する封止機構60が設けられている。封止機構60は、弾性部材であるパッキン61(図10参照)と、パッキン61に押し付けられる押付部としてのリブ66(図9(b)参照)と、で構成されている。パッキン61とリブ66とが設けられた箇所が、フィルタ部40とフタ部50との当接部分である。
フィルタ部40は、後面と上面とに開口部43,44(図10参照)が形成された中空な箱型の形状を呈している。パッキン61は、フィルタ部40の上面側において、開口部44(図10参照)の周囲を囲むように配置されている。リブ66は、フタ部50において、そのパッキン61に対向する位置に設けられている。フィルタ部40がフタ部50に取り付けられると、フタ部50の下面側において、フィルタ部40のフレーム42(図10参照)に対して、リブ66の上下方向突出部67(図9(b)参照)がパッキン61を上方から下方に押し付ける。また、フタ部50の前面側において、フィルタ部40のフレーム42(図10参照)に対して、リブ66の横方向突出部68(図9(b)参照)がパッキン61を後方から前方に押し付ける。これにより、乾燥フィルタユニット37は、フィルタ部40とフタ部50との当接部分を封止する。このような乾燥フィルタユニット37は、フィルタ部40とフタ部50との当接部分の間から乾燥風が漏れることを抑制することができる。そのため、乾燥フィルタユニット37を搭載するドラム式洗濯機1は、乾燥効率の低下を抑制することができる。
(2)乾燥フィルタユニット37の封止機構60は、フィルタ部40とフタ部50との相対的な移動に伴って、パッキン61に対するリブ66の押し付け量を変化させる押付機構70を有している。このような乾燥フィルタユニット37は、フィルタ部40がフタ部50に取り付けられることによって、リブ66をパッキン61に強く押し付けることができる。
(3)パッキン61は、上面視において略コ字状の形状で配置されているとともに、側面視において中間部分である横方向配置部63が他の部分(前後方向配置部62)よりも高くなるように配置されている(図12参照)。リブ66は、そのパッキン61に対向する形状に形成されている(図12参照)。このような乾燥フィルタユニット37は、パッキン61の前後方向配置部62に対して上下方向の押圧を加えるとともに、パッキン61の中間部分(横方向配置部63)に対して前後方向の押圧を加えることができる。そのため、乾燥フィルタユニット37は、パッキン61の全域でフィルタ部40とフタ部50との当接部分を封止することができる。
(4)乾燥フィルタユニット37は、フィルタ部40を引き出す際にための取っ手81を有している。取っ手81は、乾燥フィルタユニット37をドラム式洗濯機1に装着させるときに、自動的に元の状態(略鉛直方向に立った状態)になるように構成されている。このような取っ手81は、仮に略水平方向に配置された状態(つまり、収納部に収納することが忘れられた状態)で、乾燥フィルタユニット37が取付部38に取り付けられることがあったとしても、自動的に収納部に収納されるため、周囲の部材に衝突して破損することを抑制することができる。このような乾燥フィルタユニット37は、使い勝手を向上させることができる。
(5)ドラム式洗濯機1の流出口38bには、固定フィルタ91と内部フィルタ92との2つのフィルタ部材が設けられており、固定フィルタ91を流出口38bに固定配置するとともに、内部フィルタ92を流出口38bに対して着脱自在に配置している。(図3C参照)。このようなドラム式洗濯機1は、たとえユーザが内部フィルタ92を流出口38bに取り付けることを忘れてしまったとしても、流出口38bの下流側に埃が流出することを抑制することができるため、意図せぬ不具合が発生することを抑制することができる。また、ドラム式洗濯機1は、内部フィルタ92を清掃するだけで、大半の埃を廃棄することができるため、フィルタの清掃性を向上させることができる。
以上の通り、本実施形態に係る洗濯乾燥機としてのドラム式洗濯機1によれば、リントフィルタの清掃性を確保しつつ、乾燥効率低下を抑えることができる。
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、封止機構60はパッキン61とリブ66とを用いる構造になっている。しかしながら、封止機構60は、例えば図14に示す構造に変更することができる。図14は、変形例に係る封止構造の模式図である。図14に示す例では、フィルタ部40のフレーム42が溝部42dを有するとともに、フタ部50のフレーム52が突起部52tを有しており、フレーム52の突起部52tがフレーム42の溝部42dに嵌り込むことで、フィルタ部40とフタ部50の当接部分を封止する構造になっている。