JP6663207B2 - ゴム組成物、タイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに用いるのに好適なゴム組成物、及び、それを用いたタイヤ、及びタイヤの製造方法に関するものである。
スタッドレスタイヤやスノータイヤ等の冬用タイヤ(ウインタータイヤ)のトレッドゴムにおいて、氷雪路面での走行性能(以下、単に氷上性能という。)を高める手法として、トレッドゴムを発泡ゴムで形成する手法や、トレッドゴムに植物性粒状体などの引っ掻き効果のある硬質粒子を配合する手法、トレッドゴムに植物の多孔質性炭化物の粉砕物などの水膜除去効果を有する多孔質粒子を配合する手法などが知られている。
例えば、特許文献1には、発泡ゴムを形成するための一手法として、コラーゲン粉末に水を含有させたゲル状物質をゴム組成物に配合することが開示されている。このゴム組成物では、ゲル状物質からの水分の蒸発により発泡状態とすることができる。
一方、特許文献2には、ジエン系ゴムに、バジルシードやチアシードなどの保水性植物種子又はその粉砕物を配合することが開示されている。これらの保水性種子を配合することにより、タイヤ使用時に、種子の吸水によって蓄えられた水が路面との接触により凍結し、路面と一体化し、その際のせん断力によって氷上摩擦力が向上することが記載されている。このように特許文献2にはチアシードの粉砕物を配合することは開示されているものの、タイヤ使用時の吸水による効果を狙ったものであり、チアシードに水を含有させた状態で配合することは開示されていない。
なお、特許文献3には、経時的なゴム硬度の上昇を抑え、長期にわたる氷上性能の向上を目的として、炭素数18以上の不飽和脂肪酸を含む植物油脂を、ジエン系ゴムに配合することが開示されている。この文献では、上記不飽和脂肪酸を配合することにより、硬度を下げて氷上性能を向上させることが開示されているが、種子の粉砕物を用いる点は開示されていない。
特開2015−028110号公報 特開2008−266498号公報 特開2003−213039号公報
上記のように、氷上性能を向上するための種々の技術が提案されているが、必ずしも十分な効果は得られておらず、更なる氷上性能の改良が求められている。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、氷上性能を向上することができる、ゴム組成物、タイヤ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るゴム組成物は、チアシードの粉砕物に水を含有させた、水分率が25質量%以上である保水チアシード粉砕物を、ジエン系ゴム100質量部に対し0.3〜20質量部配合してなるものである。
本発明に係るタイヤは、前記ゴム組成物により形成されたトレッドゴム部を備えたものである。
本発明に係るタイヤの製造方法は、チアシードの粉砕物に水を付与して水分率が25質量%以上である保水チアシード粉砕物を作製し、前記保水チアシード粉砕物をジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜20質量部混合してゴム組成物を作製し、得られたゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製し、前記未加硫タイヤを加硫成型するものである。
本発明によれば、チアシードの粉砕物に水を含有させた保水チアシード粉砕物をゴム組成物に配合することにより、タイヤの氷上性能を向上することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分としてのジエン系ゴムに対して、チアシードの粉砕物に水を含有させた保水チアシード粉砕物を配合してなるものである。
ゴム成分として用いられる上記ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどの各種ジエン系ゴムが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。
上記ジエン系ゴムとして、好ましくは、天然ゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドを用いることであり、特に好ましくは、天然ゴム(NR)とポリブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴムを用いることである。両者の比率は、特に限定しないが、ゴム組成物の低温特性と加工性及び耐引き裂き抵抗性とのバランスを考慮して、NR/BRの比率が質量比で30/70〜80/20でもよく、40/60〜70/30でもよい。
上記保水チアシード粉砕物は、チアシードの粉砕物に水を含有させたものである。チアシードは、中南米を原産地とするシソ科サルビア属に属するチア(chia)の種子(chia seed)である。チアシードには保水効果があり、水を含有することで、種子の周りに水を含んだゲル状物質を形成する。すなわち、種子の周りがゼリー状の物質で覆われた状態となる。このゲル状物質は、チアシードに含まれる植物繊維であるグルコマンナンによるものであり、水を吸収して膨潤する。
また、チアシードには、融点の低い不飽和脂肪酸(ω−3脂肪酸)が多く含まれている。ω−3脂肪酸としては、例えば、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。チアシードには、ω−3脂肪酸が10質量%以上、通常は約18質量%含まれている(チアシードの乾燥状態での質量比率)。
本実施形態では、かかるチアシードの粉砕物に水を含有させたものを用いる。チアシードの粉砕物に水を付与することにより、チアシード自体を吸水させた場合と同様のゲル状物質が形成されるので、保水チアシード粉砕物は、粉砕された粒子の周りにゲル状物質が形成されたものとなる。このゲル状物質中にはω−3脂肪酸が含まれており、保水チアシード粉砕物をジエン系ゴムとともに混合すると、混合時の剪断力によりゲル状物質が破砕されてゴム組成物中に分散するので、ω−3脂肪酸をゴム組成物中に分散させることができると考えられる。これにより、融点の低いω−3脂肪酸がゴム組成物中に分散されるので、低温時のゴム硬度の上昇を抑えて、低温性能を向上することができ、氷上性能の向上に寄与すると考えられる。また、ゲル状物質に含まれる水分により水蒸気発泡することができ、加硫成型により発泡ゴムが得られるので、この点からも氷上性能を向上できると考えられる。また、混合によりゲル状物質が破砕し分散されることによって、水分もゴム組成物中に分散されるので、より均等な発泡が可能になると考えられる。また、ゴム組成物中に分散したチアシードの粉砕物による引っ掻き効果も付与されるので、この点からも氷上性能の向上効果を高めることができると考えられる。
チアシードの粉砕物は、チアシードを、公知の粉砕機(例えば、ハンマーミル、ボールミルなど)を用いて粉末状に粉砕することにより得ることができる。粉砕後に篩で粒径を揃えてもよい。チアシードの粉砕物の粒径は、特に限定されないが、例えば、乾燥状態(即ち、水を付与する吸水前の状態)での平均粒径が30〜500μmでもよく、50〜300μmでもよい。平均粒径が30μm以上であることにより、低温性能や氷上性能の向上効果を高めることができ、また、500μm以下であることにより、耐摩耗性の悪化を抑えることができる。ここで、チアシードの平均粒径は、90%体積粒径(D90)である。本明細書においてD90は、レーザ回折・散乱法により測定される粒度分布(体積基準)における積算値90%での粒径を意味し、下記実施例では、光源として赤色半導体レーザ(波長680nm)を用いた島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2200」により測定した。
かかるチオシードの粉砕物に水を付与することにより、保水チアシード粉砕物が得られる。本実施形態では、保水チアシード粉砕物として、水分率が25質量%以上であるものが用いられる。水分率が25質量%以上であることにより、低温性能や氷上性能の向上効果を高めることができ、また耐摩耗性の悪化を抑えることができる。水分率は、25〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70質量%であり、40〜70質量%でもよい。ここで、保水チアシード粉砕物の水分率は、水分を含む保水チアシード粉砕物全体の質量に対する当該水分の質量の比率であり、JIS K0113に準拠したカールフィッシャー法により測定され、下記実施例では、(株)三菱化学アナリテック製「CA−200」を使用して測定した。
ゴム組成物に配合する保水チアシード粉砕物の量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.3〜20質量部であることが好ましい。この配合量が0.3質量部以上であることにより、低温性能や氷上性能を向上することができる。また、20質量部以下であることにより、耐摩耗性の悪化を抑えることができる。保水チアシード粉砕物の配合量は、より好ましくは1〜20質量部であり、更に好ましくは3〜15質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物は、保水チアシード粉砕物とともに、植物性粒状体、及び/又は、植物の多孔質性炭化物の粉砕物を含有してもよい。これらの防滑材を併用することにより、氷上性能を更に向上することができる。
上記植物性粒状体としては、種子の殻、果実の核、穀物及びその芯材からなる群から選択された少なくとも1種を粉砕してなる粉砕物が挙げられる。例えば、胡桃(クルミ)、杏(あんず)、椿、桃、梅、銀杏などの種子の殻や果実の核、米、麦、とうもろこしなどの穀物、あるいは、トウモロコシの穂芯などの穀物芯材を、公知の方法で粉砕してなる粉砕物が挙げられる。これらは氷よりも硬いので、氷上路面に対して引っ掻き効果を発揮することができる。植物性粒状体の平均粒径は、特に限定されず、例えば、D90が100〜600μmでもよく、150〜500μmでもよく、200〜400μmでもよい。
上記多孔質性炭化物の粉砕物は、木、竹などの植物を材料として炭化して得られる炭素を主成分とする多孔質性炭化物質を粉砕してなるものである。かかる多孔質粒子は、氷上路面に存在する水膜の除去効果により、氷上性能の改善に寄与する。多孔質性炭化物の粉砕物の一例として、竹炭の粉砕物(竹炭粉砕物)を用いてもよい。竹炭の原料となる竹材としては竹だけでなく笹も含まれ、窯を用いて竹材を蒸し焼きにして炭化して得られた竹炭を、公知の粉砕機を用いて粉末状に粉砕することにより、竹炭粉砕物が得られる。多孔質性炭化物の粉砕物の粒径は、特に限定されず、例えば、D90が10〜500μmでもよく、50〜300μmでもよい。
これらの植物性粒状体や多孔質性炭化物の粉砕物を用いる場合、その配合量は、特に限定されず、例えば、ジエン系ゴム100質量部に対して、それぞれ、0.5〜10質量部としてもよく、1〜5質量部としてもよい。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているカーボンブラックやシリカなどの補強性充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などの配合薬品類を適宜配合することができる。
補強性充填剤としては、カーボンブラック単独、又はカーボンブラックとシリカの併用が好ましい。補強性充填剤の配合量は、特に限定されず、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜150質量部でもよく、20〜100質量部でもよく、30〜80質量部でもよい。一実施形態として、カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜80質量部でもよく、15〜50質量部でもよい。また、シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜80質量部でもよく、15〜50質量部でもよい。なお、シリカを配合する場合、スルフィドシラン、メルカプトシランなどのシランカップリング剤を併用することが好ましく、その配合量はシリカ配合量に対して2〜20質量%であることが好ましい。
上記加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
本実施形態に係るタイヤの製造方法は、(1)チアシードの粉砕物に水を付与して、水分率が25質量%以上である保水チアシード粉砕物を作製する工程と、(2)前記保水チアシード粉砕物をジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜20質量部混合(即ち、混練)して、ゴム組成物を作製する工程と、(3)得られたゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程と、(4)前記未加硫タイヤを加硫成型する工程とを含む。
保水チアシード粉砕物の作製は、上記の通りであり、チアシードを、公知の粉砕機を用いて粉末状に粉砕し、これに水を加えて放置することにより、保水チアシード粉砕物が得られる。
ゴム組成物の作製は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混練機を用いて行うことができる。
好ましい一実施形態に係るゴム組成物の作製工程は、保水チアシード粉砕物をジエン系ゴムと120℃以下で混合することである。詳細には、例えば、ジエン系ゴムに補強性充填剤を添加し混合するノンプロ練り工程と、ノンプロ練り工程で得られたノンプロゴム混合物に、加硫剤とともに上記保水チアシード粉砕物を添加し混合するプロ練り工程を含み、プロ練り工程での混合温度を120℃以下に設定する。補強性充填剤を均一に分散させるために一般に高温になるまで混合するノンプロ練り工程ではなく、加硫剤の反応を抑えるためにより低温で行うプロ練り工程において上記保水チアシード粉砕物を添加し、かつ、その混合温度を120℃以下に設定することにより、保水チアシード粉砕物の水分が加硫成型工程よりも前に気化して外部に放出されることを抑えることができ、加硫成型工程での発泡効果を高めることができる。
ノンプロ練り工程は、加硫剤などの一部の成分を添加していない状態での練り工程であり、ジエン系ゴムに、補強性充填剤やオイル、他の防滑材などの、加硫剤及び加硫促進剤を除く成分を添加して混合する。ノンプロ練り工程は、バンバリーミキサー等の密閉式混練機を用いて行うことができ、混練機に上記各成分を投入して、機械的な剪断力を加えた乾式混合である混練りを行う。混合すると、剪断による発熱で温度が上昇するので、所定の排出温度にて混合物(ノンプロゴム混合物)を混練機から排出する。ノンプロ練り工程における混合温度(例えば、混練機からの排出温度)は、特に限定されず、例えば130〜180℃でもよく、140〜180℃でもよい。混練機から排出されたノンプロゴム混合物は、通常、常温下に放置することで冷却される。なお、ノンプロ練り工程は、単一の混合工程としてもよく、混合と排出を繰り返す複数の混合工程に分けて実施してもよい。
プロ練り工程は、例えば、オープンロールやバンバリーミキサー等の混練機を用いて行うことができ、混練機に、ノンプロゴム混合物とともに、保水チアシード粉砕物、加硫剤及び加硫促進剤を投入して、混合を行い、所定の排出温度で混合物を混練機から排出する。プロ練り工程における混合温度(例えば、混練機からの排出温度)は、上記のように120℃以下であることが好ましく、より好ましくは70〜110℃であり、更に好ましくは80〜100℃である。
未加硫タイヤの作製は、常法に従い、押出加工等を利用して行うことができる。好ましい一実施形態として、押出機を用いて上記未加硫のゴム組成物を120℃以下の温度で押し出し、押し出された未加硫ゴムを用いて未加硫タイヤを作製してもよい。押し出し時の温度を120℃以下に設定することにより、保水チアシード粉砕物の水分が加硫成型工程よりも前に気化して外部に放出されることを抑えることができ、加硫成型工程での発泡効果を高めることができる。
押出機により所定形状に押し出す未加硫ゴムとしては、トレッドゴム部材であることが好ましい。かかる未加硫のトレッドゴム部材を用いて、未加硫のサイドウォールゴム部材などの他の部材と組み合わせることにより、未加硫タイヤ(グリーンタイヤ)を作製する方法としては、従来公知の方法を適用することができる。
加硫成型は、常法に従い成形用金型を用いて行うことができる。好ましい一実施形態として、未加硫タイヤを140℃以上で加硫成型する。これにより、加硫成型工程での発泡効果を高めることができる。加硫温度は、より好ましくは150〜180℃である。
本実施形態に係るタイヤは、上記のゴム組成物により形成されたトレッドゴム部を備えたものである。タイヤとしては、例えば乗用車用、トラックやバスの重荷重用など各種用途の空気入りタイヤが挙げられる。好ましくは、スタッドレスタイヤやスノータイヤなどのウインタータイヤである。また、トレッドゴム部は、タイヤの接地面を構成するゴム部分である。タイヤのトレッドゴム部には、キャップゴムとベースゴムとの2層構造からなるものと、両者が一体の単層構造のものがあるが、接地面を構成するゴムに用いられるので、単層構造であれば当該トレッドゴム部が上記ゴム組成物で形成されればよく、2層構造であればキャップゴムが上記ゴム組成物で形成されればよい。
好ましい一実施形態において、トレッドゴム部は、上記ゴム組成物により形成された発泡ゴムからなることである。発泡ゴムの発泡率は、特に限定されず、例えば、3〜70%でもよく、10〜65%でもよく、15〜60%でもよい。ここで、発泡率は、加硫ゴムの断面について、顕微鏡観察により画像を得て、この画像を用いて計算した、単位面積当たりの発泡率である。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、まず、ノンプロ練り工程で、ジエン系ゴムに同表記載の各成分を添加混合し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混合物に、プロ練り工程で同表記載の各成分を添加混合して(排出温度=100℃)、ゴム組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・NR:天然ゴム、RSS#3
・BR:JSR(株)製「BR01」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シーストKH(N339)」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:エボニック社製「Si75」
・パラフィンオイル:JX日鉱日石サンエナジー(株)製「JOMOプロセスP200」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・老化防止剤:住友化学(株)製「アンチゲン6C」
・ワックス:日本精鑞(株)製「OZOACE0355」
・竹炭粉砕物:孟宗竹の竹炭(宮崎土晃株式会社製「1号炭」)をハンマーミルで粉砕し、得られた粉砕物を篩により分級した竹炭粉砕物(D90=100μm)
・植物性粒状体:クルミ殻粉砕物((株)日本ウォルナット製「ソフトグリット#46」)に対し、特開平10−7841号公報の段落0015に記載に方法に準じてRFL処理液(レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分とするもの)で表面処理を施したもの(処理後の植物性粒状体のD90=300μm)
・加硫促進剤:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・チアシード粉砕物:アルプロン製薬(株)製「チアシード」(原産国:アルゼンチン、ペルー。ω−3脂肪酸含有率:17.8質量%)を、ハンマーミルで粉砕し、その後篩で粒径を揃えたもの(D90:100μm、水分率:5.8質量%)。
・保水チアシード粉砕物1:アルプロン製薬(株)製「チアシード」を、ハンマーミルで粉砕し、その後篩で粒径を揃えたもの(D90:100μm)に、その質量の3倍の量の水を加えて、1時間放置したもの(水分率:63質量%)。
・保水チアシード粉砕物2:アルプロン製薬(株)製「チアシード」を、ハンマーミルで粉砕し、その後篩で粒径を揃えたもの(D90:100μm)に、その質量の1.5倍の量の水を加えて、1時間放置したもの(水分率:30質量%)。
・保水チアシード粉砕物3:アルプロン製薬(株)製「チアシード」を、ハンマーミルで粉砕し、その後篩で粒径を揃えたもの(D90:100μm)に、その質量の5倍の量の水を加えて、1時間放置したもの(水分率:80質量%)。
・保水チアシード粉砕物4:アルプロン製薬(株)製「チアシード」を、ハンマーミルで粉砕し、その後篩で粒径を揃えたもの(D90:50μm)に、その質量の3倍の量の水を加えて、1時間放置したもの(水分率:63質量%)。
・保水チアシード粉砕物5:アルプロン製薬(株)製「チアシード」を、ハンマーミルで粉砕し、その後篩で粒径を揃えたもの(D90:300μm)に、その質量の3倍の量の水を加えて、1時間放置したもの(水分率:63質量%)。
・ω−3脂肪酸:α−リノレン酸、ナカライテスク(株)製「リノレン酸」。
得られたゴム組成物を、押出機を用いて所定のトレッドゴム形状に押出成型した(押出機内部の設定温度は100℃以下)。押し出された未加硫のトレッドゴム部材を用いて、常法に従い未加硫タイヤを作製し、該未加硫タイヤを金型にセットして、160℃×20分間で加硫成型することにより、乗用車用スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:185/65R14)を作製した。
実施例及び比較例の各ゴム組成物について、押出成型後の未加硫トレッドゴム部材から所定形状の加硫ゴムサンプルを作製し、発泡率と硬度を測定し、低温性能を評価した。また、各空気入りタイヤについて、氷上性能(氷上制動性能)及び耐摩耗性を評価した(使用リム:14×5.5JJ)。各測定・評価方法は以下の通りである。
・発泡ゴムの発泡率:160℃×20分で加硫した加硫ゴムサンプル断面を、カラーレーザー顕微鏡((株)キーエンス製「VK−8510」)で観察し、単位面積当たりの発泡率を計算した。
・硬度:JIS K6253に準拠したデュロメータ タイプAにより、160℃×20分で加硫した加硫ゴムサンプル(厚みが12mm以上のもの)について、23℃及び−5℃雰囲気下での硬度を測定した。
・低温性能:低温と高温の硬度差、即ち、(−5℃での硬度)−(23℃での硬度)を算出した。この硬度差が小さいほど、低温時の硬度上昇が小さく、低温性能に優れる。
・氷上性能:試験タイヤ4本を2000ccの4WD車に装着し、氷盤路(気温−3±3℃)上で40km/h走行からABS作動させて制動距離を測定し(n=10の平均値)、制動距離の逆数について比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど制動距離が短く、氷上路面での制動性能に優れることを示す。
・耐摩耗性:試験タイヤ4本を2000ccの4WD車に装着し、一般乾燥路面において2500km毎に左右ローテーションさせながら10000km走行させて、走行後の4本のトレッド残溝深さの平均値を、比較例1を100とする指数表示で示した。数値の大きいものほど耐摩耗性が良好である。コントロールである比較例1に対して−2%までは許容範囲である。
結果は表1に示す通りである。コントロールである比較例1に対し、所定の水分率を持つ保水チアシード粉砕物を配合した実施例1〜6であると、低温時の硬度上昇が抑えられ、低温性能に優れるとともに、耐摩耗性の悪化を抑えながら、氷上性能に顕著な改善効果がみられた。
これに対し、水を含有させていないチアシード粉砕物を配合した比較例2では、低温時の硬度上昇が大きく、低温性能に劣っており、また、発泡効果も得られなかったため、氷上性能の向上効果が不十分であった。また、耐摩耗性の悪化もみられた。一方、チアシードの代わりに、液体のω−3脂肪酸を配合した比較例3では、低温時の硬度上昇が抑えられ、低温性能には優れていたものの、発泡効果はなく、氷上性能の向上効果が不十分であった。
Figure 0006663207

Claims (5)

  1. チアシードの粉砕物に水を含有させた、水分率が25質量%以上である保水チアシード粉砕物を、ジエン系ゴム100質量部に対し0.3〜20質量部配合してなるゴム組成物。
  2. 前記チアシードの粉砕物の乾燥状態での平均粒径が30〜500μmである、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム組成物により形成されたトレッドゴム部を備えたタイヤ。
  4. チアシードの粉砕物に水を付与して、水分率が25質量%以上である保水チアシード粉砕物を作製し、
    前記保水チアシード粉砕物をジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜20質量部混合して、ゴム組成物を作製し、
    得られたゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製し、
    前記未加硫タイヤを加硫成型する、
    タイヤの製造方法。
  5. 前記保水チアシード粉砕物をジエン系ゴムと120℃以下で混合し、前記未加硫タイヤを140℃以上で加硫成型する、請求項4に記載のタイヤの製造方法。
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