JP6663101B2 - 溶融塩型熱媒体、溶融塩型熱媒体の使用方法および太陽熱利用システム - Google Patents

溶融塩型熱媒体、溶融塩型熱媒体の使用方法および太陽熱利用システム Download PDF

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Description

本発明は、溶融塩型熱媒体、溶融塩型熱媒体の使用方法および太陽熱利用システムに関するものである。
近年、永続的に利用することができる再生可能エネルギーとして、太陽熱エネルギーを利用することが世界的に注目されている。太陽熱エネルギーを利用するものとしては、太陽熱発電システムなどが知られており、高温で使用可能な溶融塩型熱媒体が広く使用されている。中でも、硝酸カリウムおよび硝酸ナトリウムを混合した硝酸塩混合物が、耐熱性が高い溶融塩型熱媒体として知られている。
一方、太陽熱発電システムは、太陽光によって約1000℃程度の熱を発生させることが可能であると言われており、それに応じて蒸気温度を高めることで、太陽熱発電システムの発電効率を高めることが求められている。また、太陽熱を利用した水素製造システムも知られているが、水熱分解反応に約800℃を超える高温プロセスが必要とされており、太陽熱などで反応槽を直接加熱する方法が用いられている。しかしながら、反応槽を直接加熱する方法では、反応温度の制御が難しく、より容易かつ安定的に反応温度の制御するために、高耐熱性の熱媒体によって加熱を行うことが求められている。
しかしながら、硝酸カリウムおよび硝酸ナトリウムを混合した溶融塩型熱媒体でも、耐熱温度は約560℃であるため、上述の要求に応えることはできなかった。すなわち、太陽熱発電システムにおいては、太陽熱を媒介する熱媒体の耐熱温度の低さに起因して、発電効率を高めることができなかった。同様に、高温プロセスが必要な水素製造装置においても、使用できる熱媒体がないため、反応温度の制御を容易かつ安定的に行うことができなかった。さらに、硝酸カリウムおよび硝酸ナトリウムを混合した溶融塩型熱媒体は、融点が220℃、耐熱温度が約560℃であるから、実用上使用可能な温度範囲が220℃〜560℃と狭く、設備の小型化、熱媒体の使用量の削減のために、使用可能な温度範囲が広い熱媒体の出現が望まれていた。
そこで、本発明者は、特許文献1に記載の太陽光発電の蓄熱材としての使用や、特許文献2に記載の燃料電池用電解質としての使用は報告されているが、熱媒体としての使用は報告されていない炭酸塩に着目し、鋭意研究を行った結果、本発明に至ったものである。
国際公開第2012/130285号 特公平7−54710号公報
従って、本発明の課題は、耐熱温度が高く、かつ、実用上使用可能な温度範囲が広い溶融塩型熱媒体、当該溶融塩型熱媒体の使用方法、及び、当該溶融塩型熱媒体を使用した太陽熱利用システムを供することにある。
(1)本発明の一実施形態に係る溶融塩型熱媒体は、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、を含有する炭酸塩混合物を含むことを特徴とする。
(2)本発明の他実施形態に係る溶融塩型熱媒体の使用方法は、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、を含有する炭酸塩混合物を含む溶融塩型熱媒体を、加熱部において加熱すること、上記加熱部に流体連通する管路によって、上記溶融塩型熱媒体を熱使用部に給送すること、及び、上記熱使用部において、上記溶融塩型熱媒体により供される熱を使用すること、を備えることを特徴とする。
(3)本発明の他実施形態に係る太陽熱利用システムは、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、を含有する炭酸塩混合物を含む溶融塩型熱媒体と、上記溶融塩型熱媒体を太陽光によって加熱する太陽光加熱部と、上記溶融塩型熱媒体により供される熱を使用する熱使用部と、加熱された上記溶融塩型熱媒体を上記熱使用部に給送するために、上記太陽光加熱部と上記熱使用部とに流体連通する管路と、備えることを特徴とする。
本発明の溶融塩型熱媒体は、耐熱性が高く、かつ、使用可能な温度範囲を広くすることができる。このため、本発明の溶融塩型熱媒体は、例えば、太陽熱発電システムの発電効率を上げ、水素製造などの高温を要するプロセスにも適用することができる。また、本発明の溶融塩型熱媒体の使用方法および太陽熱利用システムは、この溶融塩型熱媒体を使用することで、設備を小型化し、コストを削減することができる。
本発明の一実施形態に係る溶融塩型熱媒体を使用した太陽熱利用システムの全体概略図である。 図1の太陽熱利用システムの集光要素を拡大した部分拡大図である。 実施例の溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフであり、(a)は実施例1、(b)は実施例4、(c)は実施例7、(d)は実施例10の溶融塩型熱媒体の重量減少率を示すものである。 比較例の溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフである。 実施例10の溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフであり、(a)は二酸化炭素雰囲気下、(b)は窒素雰囲気下、(c)は大気雰囲気下で測定した溶融塩型熱媒体の重量減少率を示すものである。 本発明の一実施例である実施例11に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフである。 本発明の一実施例である実施例8に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフである。 本発明の一実施例である実施例5に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフである。 本発明の一実施例である実施例2に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフである。
図1から図2を参照して、本発明の実施形態に係る溶融塩型熱媒体10、溶融塩型熱媒体10の使用方法、および、溶融塩型熱媒体10を使用した太陽熱利用システム1を説明する。図1は、溶融塩型熱媒体10を使用した太陽熱利用システム1の全体概略図であり、図2は、図1の太陽熱利用システム1の集光要素110を拡大した部分拡大図である。なお、本明細書において、溶融塩型熱媒体10の成分の各成分比率は、モル百分率によって示される。すなわち、溶融塩型熱媒体10の各成分比率は、溶融塩型熱媒体10の全成分の合計モル数に対する各成分のモル数を百分率で表したものであり、(溶融塩型熱媒体10の各成分のモル数)×100/(溶融塩型熱媒体10の全成分の合計モル数)[モルパーセント]で算出されるものである。また、本明細書において、流体連通するとは、同じ流体が流通できるように接続されていることをいい、直接的に接続されている場合、および、間接的に接続されている場合の両方を含む。また、本明細書は、太陽熱利用システム1を用いて説明するが、溶融塩型熱媒体10は、それに限らず、熱源から熱を取り出す必要がある様々な用途に利用可能であり、例えば、火力発電システムなどにも利用可能なものである。
[溶融塩型熱媒体]
図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る溶融塩型熱媒体10を説明する。本発明の実施形態に係る溶融塩型熱媒体10は、火力発電や太陽熱発電など発電装置や水熱分解反応によって水素を製造する反応装置などを含む熱使用部300において、対象物を加熱あるいは冷却して目的の温度にするために、溶融塩型熱媒体10の加熱部100と熱使用部300との間での熱を移動させるのに使用される。例えば、発電装置においては、蒸気や燃焼ガスなどガスタービンを回転させるためのガス発生物が対象物であり、水素を製造する反応装置においては、水蒸気や金属酸化物のような反応対象物が対象物となる。
溶融塩型熱媒体10は、少なくとも、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウム(KCO)と、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウム(NaCO)と、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウム(LiCO)と、を含有する炭酸塩混合物を含む。すなわち、溶融塩型熱媒体10は、上述する3成分を比較的高比率で含有する。これによれば、溶融塩型熱媒体10の耐熱性を高くすることができるため、溶融塩型熱媒体10は、溶融塩型熱媒体10の加熱部100と熱使用部300との間の熱交換効率を高めることができる。また、溶融塩型熱媒体10は、従来は熱媒体を使用できなかった高温プロセスでの熱媒体の使用を可能とし、熱使用部300における高温プロセスの温度制御を容易にし、かつ安定化させることができる。なお、溶融塩型熱媒体10は、物性を良好に制御する観点から、炭酸塩混合物のみから構成されてもよい。
上述したように、溶融塩型熱媒体10は、耐熱性、すなわち耐熱温度Thが高く、かつ、融点Tmが低いから、耐熱温度Thと融点Tmとの温度差である通常の使用温度範囲ΔTが広いものである。従って、溶融塩型熱媒体10によれば、設備の小型化、熱媒体の使用量の削減を図ることができる。この他、溶融塩型熱媒体10は、粘度が比較的低いから、管路410内を円滑に流れることができるとともに、金属塩化物などの金属ハロゲン化物系の溶融塩を含有しない、または、含有量が少ないから、設備の腐食を抑制できる点において熱媒体として優れた物性を有していると言える。
なお、詳しくは後述するが、本発明における「耐熱温度」とは、溶融塩型熱媒体を500℃以上に加熱していった際、当該溶融塩型熱媒体の、最初の非線形な重量減少が始まる温度を指すものとする。従って、この「耐熱温度」は、通常、溶融塩型熱媒体としての実用的な使用温度範囲と比較して低くなる場合もある。すなわち、本発明の溶融塩型熱媒体は十分に高い「耐熱温度」を有しているが、「実用上の耐熱温度」は、当該「耐熱温度」よりも高い温度を呈してもよい。さらに、「通常の使用温度」とは、溶融塩型熱媒体の融点から、熱分解が生じる懸念の無い温度範囲を指す。
また、溶融塩型熱媒体10は、さらに、1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下の炭酸バリウム(BaCO)、および、1.0モルパーセント以上15モルパーセント以下の炭酸カルシウム(CaCO)、の少なくとも一方を更に含有する炭酸塩混合物を含んでもよい。上述する3成分に対して、炭酸バリウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方を上記範囲で含有することで、溶融塩型熱媒体10の融点Tmを大きく低下させることができ、通常の使用温度範囲ΔTを広げることができるものである。
特に、溶融塩型熱媒体10は、1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下の炭酸バリウム、および、1.0モルパーセント以上15モルパーセント以下の炭酸カルシウムの両方を含む炭酸塩混合物を更に含有してもよい。上述する3成分に炭酸バリウムおよび炭酸カルシウムを加えた5成分を少なくとも含む溶融塩型熱媒体10は、上述する3成分のみからなる溶融塩型熱媒体10と比較して、融点Tmが15℃以上も低くなり、通常の使用温度範囲ΔTを400℃程度まで広げることができるからである。
そして、溶融塩型熱媒体10は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸バリウムおよび炭酸カルシウム以外のその他の成分を含んでもよいことは言うまでもない。溶融塩型熱媒体10のその他の成分としては、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸セシウム(CsCO)や炭酸マグネシウム(MgCO)などの上記以外のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩およびリン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、その他溶融塩が例示される。
このように溶融塩型熱媒体10にその他の成分を含有する場合には、溶融塩型熱媒体10の融点や粘度を低くするなどの観点から、その他の成分が選定されることが望ましい。また、この場合、溶融塩型熱媒体10のその他の成分は、0モルパーセントより大きく20モルパーセント以下、好ましくは、0モルパーセントより大きく10モルパーセント以下、より好ましくは、0モルパーセントより大きく5モルパーセント以下、で溶融塩型熱媒体10に含有される。
なお、その他の成分として金属ハロゲン化物を含有する場合は、設備の腐食を防止する必要性から、溶融塩型熱媒体10に含有される金属ハロゲン化物の含有量を、溶融塩型熱媒体10の全量100モルパーセント中、0.1モルパーセント以下とすることが好ましく、0.05モル%以下とすることがより好ましく、全く配合しないことがさらに好ましい。
また、溶融塩型熱媒体10中、溶融塩型熱媒体10に含まれる各炭酸塩は、それぞれが分離して存在することもできるが、複数種の炭酸塩が結合して、例えば炭酸ナトリウムカリウム(NaKCO)のようにナトリウムおよびカリウムなどの複数の金属イオンを含んだ炭酸塩として存在していてもよい。
上述のとおりであるから、本発明の実施形態に係る溶融塩型熱媒体は、太陽熱発電システムの発電効率を上げ、水素製造などの高温プロセスを要する反応装置の加熱用にも適用することができる。
[太陽熱利用システム]
次に、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る太陽熱利用システム1を説明する。太陽熱利用システム1は、溶融塩型熱媒体10を使用するものであり、溶融塩型熱媒体10と、溶融塩型熱媒体10を太陽光によって加熱する太陽光加熱部100と、溶融塩型熱媒体10により供される熱を使用する熱使用部300と、加熱された溶融塩型熱媒体10を熱使用部300に供給するために、太陽光加熱部100と熱使用部300とに流体連通する管路410と、を備える。
太陽光加熱部100は、集光要素110を含み、集光要素110は、溶融塩型熱媒体10が通過する集光管112と集光鏡114を含んでもよい。図示するように、集光要素110は、複数並列された集光管112に沿って複数の曲面状の反射鏡が配置されたトラフ型集光装置であってもよいし、図示しないタワー型、フレネル型、ディッシュ型その他公知の集光装置であってもよい。また、集光要素110は、必要に応じて、ヘリオスタットなどの図示しない部品を含んでもよいことは言うまでもない。
太陽熱利用システム1は、さらに、管路410に流体連通する熱媒容器210,220,230の少なくともいずれか1つを備えてもよい。すなわち、熱媒容器210,220,230は、一時的に溶融塩型熱媒体10を直接貯蔵する容器である。例えば、熱媒容器210,220,230は、太陽光加熱部100で加熱された高温の溶融塩型熱媒体10を蓄積できる高温熱媒容器210と、熱使用部300で熱を供した後の低温の溶融塩型熱媒体10を蓄積できる低温熱媒容器220と、溶融塩型熱媒体10の膨張タンク230である。
熱媒容器210,220,230は、溶融塩型熱媒体10と二酸化炭素とが充填されていることで、溶融塩型熱媒体10を二酸化炭素でシールするものであってもよい。これによれば、溶融塩型熱媒体10の耐熱性をより向上することができ、実用上の耐熱温度を1000℃程度まで高めることができる。なお、熱媒容器210,220,230には、溶融塩型熱媒体10を含む液体を入れ、空き領域に二酸化炭素のみを充填することができる。
熱使用部300は、太陽熱を利用するものであれば特に限定されず、例えば、ガスタービンを含む発電装置および水熱分解反応によって水素を製造する反応装置などの熱使用要素310を含んでもよい。ガスタービンとしては、蒸気タービンや燃焼ガスタービンが例示される。例えば、水熱分解反応としては、鉄酸化物、酸化セリウム等の金属酸化物を用いた二段階水熱分解反応が例示される。二段階水熱分解反応は、窒素等の低酸素分圧ガス雰囲気下で800℃以上の高温において金属酸化物から酸素を放出させる酸素発生反応と、酸素を放出した後の金属酸化物に800℃以下の低温で水蒸気(HO)を接触させ水素を発生させる水素発生反応の2つの反応を交互に繰り返すことによって行われるものである。
熱使用部300は、熱使用要素310よりも後段に、後述の、溶融塩型熱媒体10とはことなる熱媒体を冷却する冷却要素320をさらに含んでもよい。なお、熱使用部300内では、管路410から供給される溶融塩型熱媒体10が直接循環してもよいし、熱使用部300は更に熱交換器330を備え、熱使用部300内では、溶融塩型熱媒体10と熱交換を行った溶融塩型熱媒体10と異なる別の熱媒体が循環してもよい。
管路410は、例えば集光管112などの太陽光加熱部100の配管と熱使用部300の配管とに流体連通して、溶融塩型熱媒体10を太陽光加熱部100と熱使用部300との間に循環させる。このため、管路410には、1または複数のポンプ420、および、1または複数のバルブ461,462が設けられていてもよい。
また、日射量に応じて太陽熱利用効率は変動するので、太陽熱利用システム1の太陽熱利用効率を安定化させるために、太陽熱利用システム1は、図示しない蓄熱部を更に備えてもよい。すなわち、太陽熱利用システム1は、日中や天候が良い時などに太陽熱を蓄熱部に蓄熱し、夜間や天候が悪い時などに太陽熱を蓄熱部から取出して利用できるようにしてもよい。
上述のとおりであるから、本発明の実施形態に係る太陽熱利用システムは、耐熱性が高い溶融塩型熱媒体10を使用することで太陽熱利用システムをより効率化できる。例えば、太陽熱利用システムは、発電効率を上げることができ、かつ、水素製造などの高温を要するプロセスに熱媒体を使用することができることで効率化される。また、溶融塩型熱媒体10の使用は、通常の使用温度範囲ΔTが広いから、設備の小型化、運用コストの削減にも適うものである。
[溶融塩型熱媒体の使用方法]
次に、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る溶融塩型熱媒体10の使用方法を説明する。溶融塩型熱媒体10の使用方法は、溶融塩型熱媒体10を、太陽光加熱部100において太陽光で加熱すること、太陽光加熱部100に流体連通する管路410によって、溶融塩型熱媒体10を熱使用部300に供給すること、及び、熱使用部300において、溶融塩型熱媒体10により供される熱を使用すること、を備える。
溶融塩型熱媒体10の加熱ステップは、具体的には、太陽光加熱部100において、集光要素110によって集められた太陽光が熱に変換され、溶融塩型熱媒体10が加熱される。例えば、太陽熱利用システム1の集光管112を通過する際に、集光鏡114によって集光管112に集められた太陽光によって、加熱が行われる。そして、溶融塩型熱媒体10は、太陽光加熱部100から熱使用部300に太陽熱を移送し、熱使用部300において、太陽熱を使用して、発電や水熱分解反応による水素製造などを行う。
溶融塩型熱媒体10の使用方法は、さらに、溶融塩型熱媒体10の貯蔵ステップを含んでもよい。溶融塩型熱媒体10の貯蔵ステップは、溶融塩型熱媒体10を熱媒容器210,220,230に供給して、溶融塩型熱媒体10を熱媒容器210,220,230に貯蔵するものである。この場合、溶融塩型熱媒体10の貯蔵ステップの前または後に、熱媒容器210,220,230に二酸化炭素を充填する二酸化炭素充填ステップを含んでもよい。これによれば、熱媒容器210,220,230内を二酸化炭素雰囲気とすることができるから、熱媒容器210,220,230内において、加熱された溶融塩型熱媒体10の減少をおさえられる。しかして、溶融塩型熱媒体10の耐熱性をより向上させることができるものである。
溶融塩型熱媒体10の使用方法は、さらに、溶融塩型熱媒体10を太陽光加熱部100に供給するステップを含み、溶融塩型熱媒体10を太陽熱利用システム1内に循環させて使用するものであることが好ましい。この場合は、溶融塩型熱媒体10の劣化に伴って、溶融塩型熱媒体10を交換するなどのメンテナンスが必要となる。本発明の実施形態に係る溶融塩型熱媒体10の使用方法は、太陽熱利用システム1を用いて説明を行ったが、これに限定されず、火力発電システムなどにおいて使用されてもよい。この場合には、太陽光加熱部100は、図示しない熱媒ボイラなどの熱媒ヒータを含む加熱部100aに置換される。
次に、本実施形態に係る溶融塩型熱媒体10を更に具現化した実施例1〜23に係る溶融塩型熱媒体を説明する。まず、実施例および比較例にかかる溶融塩型熱媒体の調製方法および物性の測定方法などを詳細に説明する。
<溶融塩型熱媒体の調製方法>
(実施例1,2,3)
実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体の調製方法について説明する。実施例1に係る溶融塩型熱媒体は、炭酸カリウムと炭酸リチウムと炭酸ナトリウムと炭酸バリウムと炭酸カルシウムとを、表1の実施例1,2,3の成分欄に記載の比率で混合した炭酸塩混合物を自動乳鉢で1時間微粉化したのち乾燥機を用いて300℃、2時間加熱し脱水を行った。表1の実施例1,2,3の成分欄に記載の比率でロッキングミルによって5分間均一混合し実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体として用いた。
(実施例4,5,6)
実施例4,5,6に係る溶融塩型熱媒体は、炭酸カリウムと炭酸リチウムと炭酸ナトリウムと炭酸バリウムとを、表1の実施例4,5,6の成分欄に記載の比率で混合した炭酸塩混合物を用いた以外は、実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体と同様に調製した試料を、実施例4,5,6に係る溶融塩型熱媒体として用いた。
(実施例7,8,9)
実施例7,8,9に係る溶融塩型熱媒体は、炭酸カリウムと炭酸リチウムと炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムとを、表1の実施例7,8,9の成分欄に記載の比率で混合した炭酸塩混合物を用いた以外は、実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体と同様に調製した試料を、実施例7,8,9に係る溶融塩型熱媒体として用いた。
(実施例10,11,12)
実施例10,11,12に係る溶融塩型熱媒体は、炭酸カリウムと炭酸リチウムと炭酸ナトリウムとを、表1の実施例10,11,12の成分欄に記載の比率で混合した炭酸塩混合物を用いた以外は、実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体と同様に調製した試料を、実施例10,11,12に係る溶融塩型熱媒体として用いた。
(実施例13,14,15,16,17)
実施例13,14,15、16,17に係る溶融塩型熱媒体は、炭酸カリウムと炭酸リチウムと炭酸ナトリウムと炭酸バリウムと炭酸カルシウムとを、表2の実施例13,14,15,16,17の成分欄に記載の比率で混合した炭酸塩混合物を用いた以外は、実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体と同様に調製した試料を、実施例13,14,15,16,17に係る溶融塩型熱媒体として用いた。
(実施例18,19,20)
実施例18,19,20に係る溶融塩型熱媒体は、炭酸カリウムと炭酸リチウムと炭酸ナトリウムと炭酸バリウムとを、表2の実施例18,19,20の成分欄に記載の比率で混合した炭酸塩混合物を用いた以外は、実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体と同様に調製した試料を、実施例18,19,20に係る溶融塩型熱媒体として用いた。
(実施例21,22,23)
実施例21,22,23に係る溶融塩型熱媒体は、炭酸カリウムと炭酸リチウムと炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムとを、表2の実施例21,22,23の成分欄に記載の比率で混合した炭酸塩混合物を用いた以外は、実施例1,2,3に係る溶融塩型熱媒体と同様に調製した試料を、実施例21,22,23に係る溶融塩型熱媒体として用いた。
(比較例1)
比較例1に係る溶融塩型熱媒体は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとを、表1の比較例1の成分欄に記載の比率で混合した硝酸塩混合物を用いた以外は、実施例1に係る溶融塩型熱媒体と同様に調製した試料を、比較例1の溶融塩型熱媒体として用いた。
<融点測定方法>
実施例1〜23および比較例1の溶融塩型熱媒体10mgを白金製試料皿に入れ、精秤した後、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA、日立ハイテクサイエンス社製)にセットした。そして、実施例1〜23および比較例1の溶融塩型熱媒体を23℃から700℃まで40℃/分の速度で昇温し、700℃で10分間保持し溶融塩型熱媒体を溶融した後、150℃まで40℃/分で降温し固化させ、さらに500℃まで10℃/分昇温中の各溶融塩型熱媒体の吸熱ピーク時における温度を溶融塩型熱媒体の融点Tmとした。測定は二酸化炭素中で行った。測定した実施例1〜23および比較例1の溶融塩型熱媒体の融点を表1および表2に示す。
<重量減少率測定方法>
実施例1〜23と比較例1の溶融塩型熱媒体10mgを白金製試料皿に入れ、精秤した後、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA、日立ハイテクサイエンス社製)を用い、室温から1400℃まで加熱し、加熱前の室温における溶融塩型熱媒体の初期重量と、各加熱温度における溶融塩型熱媒体の重量とを測定した。そして、加熱によって減少する各溶融塩型熱媒体の重量変化率を溶融塩型熱媒体の重量減少率とした。すなわち、溶融塩型熱媒体の重量減少率は、(各測定温度における溶融塩型熱媒体の重量[g]−溶融塩型熱媒体の初期重量[g]/溶融塩型熱媒体の初期重量[g])×100[%]で算定した。実施例1,4,7,10の溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフを図3、比較例1の溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフを図4に示す。なお、図3中、線(a)は実施例1、線(b)は実施例4、線(c)は実施例7、線(d)は実施例10の溶融塩型熱媒体の重量減少率を示している。表1、図3、図4および図6から図9に係る重量減少率の測定は、実施例1〜23は二酸化炭素雰囲気、比較例1は窒素雰囲気で試料を加熱することで行った。さらにまた、図5には、実施例10の溶融塩型熱媒体について、(a)二酸化炭素雰囲気、(b)空気中および(c)窒素雰囲気でそれぞれ加熱した場合の溶融塩型熱媒体の重量減少率を温度に対してプロットしたグラフを示す。なお、図5中、線(a)は二酸化炭素雰囲気、線(b)は空気中、線(c)は窒素雰囲気で測定した溶融塩型熱媒体の重量減少率を示すものである。そして、実施例11に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフを図6、実施例8に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフを図7、実施例5に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフを図8、および、実施例2に係る溶融塩型熱媒体の重量減少率を加熱温度に対してプロットしたグラフを図9に示す。
<耐熱温度測定方法>
実施例1〜23と比較例1の溶融塩型熱媒体について、500℃以上に加熱していった際、当該溶融塩型熱媒体の、最初の非線形な重量減少が始まる温度をした温度を耐熱温度Thとした。測定された実施例1〜23と比較例1の溶融塩型熱媒体の溶融塩型熱媒体の耐熱温度Thを表1および表2に示す。
<通常の使用温度範囲算定方法>
実施例1〜23と比較例1の溶融塩型熱媒体について、耐熱温度Thと融点Tmとの差(=耐熱温度Th[℃]−融点Tm[℃])を通常の使用温度範囲ΔTとして算定した。算定された実施例1〜23と比較例1の溶融塩型熱媒体の通常の使用温度範囲ΔTを表1および表2に示した。
Figure 0006663101
Figure 0006663101
表1および図4に示すように、比較例1の硝酸カリウムと硝酸ナトリウムからなる溶融塩型熱媒体は、560℃から分解が急激に進み、560℃以上になると溶融塩型熱媒体の重量の減少が著しいものであった。すなわち、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムからなる溶融塩型熱媒体は耐熱温度が560℃であった。
これに対して、表1、表2、図3、図5および図6から図9に示すように、実施例1から実施例23の溶融塩型熱媒体は、560℃を超えても、溶融塩型熱媒体の重量の減少が進みにくく、比較例と比較して耐熱性が非常に高く、高温加熱を長時間行っても耐熱性が安定していることがわかった。例えば、図4および図5を参照して、窒素雰囲気下での初期重量からの減少率を比較しても、実施例は比較例よりも、溶融塩型熱媒体の重量の減少が200℃以上の温度領域ではるかに進みづらく、優れた耐熱性を有することが明らかとなった。
そして、図5に示すように、実施例の炭酸塩混合物の溶融塩型熱媒体は、二酸化炭素雰囲気下で加熱を行った場合、窒素雰囲気下および大気雰囲気下と比較して、1000℃程度の高温であっても溶融塩型熱媒体の重量の減少がより進みにくいことから、耐熱性がさらに高いものであった。なお、図3は、二酸化炭素雰囲気中での測定値である。すなわち、実施例の炭酸塩混合物を含有する溶融塩型熱媒体は、加熱状態において、二酸化炭素でシールされると極めて優れた耐熱性を示すことが明らかとなった。つまり、上述のように、太陽熱利用システムや溶融塩型熱媒体の使用方法において、溶融塩型熱媒体が通過する管路に流体連通された熱媒容器を溶融塩型熱媒体と二酸化炭素とによって充填して、溶融塩型熱媒体を二酸化炭素でシールすると、溶融塩型熱媒体の耐熱性をさらに高くできる。
また、実施例1の溶融塩型熱媒体の通常の使用温度範囲ΔTは510℃であり、比較例1の溶融塩型熱媒体の通常の使用温度範囲ΔTは339℃である。このように、実施例にかかる溶融塩型熱媒体は、溶融塩型熱媒体の通常の使用温度範囲ΔTを従来よりも広くすることができる。
次に、炭酸バリウム(BaCO)と炭酸カルシウム(CaCO)との少なくとも一方を加えることによる作用を検証した。表1に示すように、実施例10〜12は、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウム(KCO)と、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウム(NaCO)と、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウム(LiCO)とからなる3成分の炭酸塩混合物を含む溶融塩型熱媒体であるが、その融点は平均で396.7℃であった。これに、更に、炭酸バリウム(BaCO)を1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下加えた実施例4〜6および実施例18〜20では融点が平均で382.9℃であり、更に炭酸バリウム(BaCO)の代わりに炭酸カルシウム(CaCO)を1.0モルパーセント以上15モルパーセント以下加えた実施例7〜9および実施例21〜23では、融点が平均で384.5℃であった。さらに、炭酸バリウムを1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下および炭酸カルシウムを1.0モルパーセント以上15モルパーセント以下加えた実施例1〜3および実施例13〜17では、融点が平均で375.4℃であった。このように、実施例10から実施例12に含まれる3成分に対して、炭酸バリウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方を含有させることにより、溶融塩型熱媒体の融点Tmを大きく低下させることができる。
そして、図4に示すように、実施例1に係る溶融塩型熱媒体の耐熱性は、560℃を超える高温域においても、重量減少率の低下がみられず、炭酸バリウムおよび炭酸カルシウムを加えることによる耐熱温度の低下はみられない。このため、炭酸バリウムおよび炭酸カルシウムを加えることによって、さらに通常の使用温度範囲ΔTを広げることができたと言える。
表1および表2に示すように、本実施例の溶融塩型熱媒体は、融点Tmが比較的低かった。また、本実施例の溶融塩型熱媒体は、管路410などを通過するのに十分低い粘度を有するものであった。
以上、本発明を実施形態および実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態および実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態および実施例に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
[付記]
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。なお、付記に記載した括弧書きの数字は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項の項番号に対応する。
(1) 本発明の一実施形態に係る溶融塩型熱媒体は、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、を含有する炭酸塩混合物を含むことを特徴とする。
(2) 本発明の一実施形態に係る溶融塩型熱媒体は、上記(1)記載の溶融塩型熱媒体であって、上記炭酸塩混合物は、さらに、1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下の炭酸バリウムを含有することを特徴としてもよい。
(3) 本発明の一実施形態に係る溶融塩型熱媒体は、上記(1)記載の溶融塩型熱媒体であって、上記炭酸塩混合物は、さらに、1.0モルパーセント以上15モルパーセント以下の炭酸カルシウムを含有することを特徴としてもよい。
(4) 本発明の一実施形態に係る溶融塩型熱媒体は、上記(1)記載の溶融塩型熱媒体であって、上記炭酸塩混合物は、さらに、1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下の炭酸バリウムと、1.0モルパーセント以上15モルパーセント以下の炭酸カルシウムと、を含有することを特徴としてもよい。
(5) 本発明の他実施形態に係る溶融塩型熱媒体の使用方法は、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、を含有する炭酸塩混合物を含む溶融塩型熱媒体を、加熱部において加熱すること、上記加熱部に流体連通する管路によって、上記溶融塩型熱媒体を熱使用部に供給すること、及び、上記熱使用部において、上記溶融塩型熱媒体により供される熱を使用すること、を備えることを特徴とする。
(6) 本発明の他実施形態に係る溶融塩型熱媒体の使用方法は、上記(5)記載の溶融塩型熱媒体の使用方法であって、さらに、管路に流体連通された熱媒容器に上記溶融塩型熱媒体を供給すること、及び、上記溶融塩型熱媒体を供給ステップの前または後に、上記熱媒容器に二酸化炭素を充填すること、をさらに備えることを特徴とする。
(7) 本発明の他実施形態に係る太陽熱利用システムは、12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、を含有する炭酸塩混合物を含む溶融塩型熱媒体と、上記溶融塩型熱媒体を太陽光によって加熱する太陽光加熱部と、上記溶融塩型熱媒体により供される熱を使用する熱使用部と、加熱された上記溶融塩型熱媒体を上記熱使用部に供給するために、上記太陽光加熱部と上記熱使用部とに流体連通する管路と、を備えることを特徴とする。
(8) 本発明の他実施形態に係る太陽熱利用システムは、上記(7)記載の太陽熱利用システムであって、さらに、上記管路に流体連通する熱媒容器を備え、上記熱媒容器は、上記溶融塩型熱媒体と二酸化炭素とが充填されていることを特徴としてもよい。
(9) 本発明の他実施形態に係る太陽熱利用システムは、上記(7)記載の太陽熱利用システムであって、上記熱使用部は、ガスタービンを含む発電装置を含むことを特徴としてもよい。
(10) 本発明の他実施形態に係る太陽熱利用システムは、上記(7)記載の太陽熱利用システムであって、上記熱使用部は、水熱分解反応によって水素を製造する反応装置であることを特徴としてもよい。
1 太陽熱利用システム
10 溶融塩型熱媒体
100 加熱部
112 集光管
114 集光鏡
210 高温熱媒容器
220 低温熱媒容器
230 膨張タンク
300 熱使用部
310 熱使用要素
320 冷却要素
410 管路
420 ポンプ
461,462 バルブ
Tm 融点
Th 耐熱温度
ΔT 通常の使用温度範囲

Claims (8)

  1. 12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下の炭酸バリウムとを含有する炭酸塩混合物を含むことを特徴とする溶融塩型熱媒体。
  2. 請求項記載の溶融塩型熱媒体であって、
    前記炭酸塩混合物は、さらに、1.0モルパーセント以上15モルパーセント以下の炭酸カルシウムを含有することを特徴とする溶融塩型熱媒体。
  3. 12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下の炭酸バリウムとを含有する炭酸塩混合物を含む溶融塩型熱媒体を、加熱部において加熱すること、
    前記加熱部に流体連通する管路によって、前記溶融塩型熱媒体を熱使用部に供給すること、及び、
    前記熱使用部において、前記溶融塩型熱媒体により供される熱を使用すること、を備えることを特徴とする溶融塩型熱媒体の使用方法。
  4. 請求項記載の溶融塩型熱媒体の使用方法であって、
    前記管路に流体連通された熱媒容器に前記溶融塩型熱媒体を供給すること、及び、
    前記溶融塩型熱媒体を供給ステップの前または後に、前記熱媒容器に二酸化炭素を充填すること、をさらに備えることを特徴とする溶融塩型熱媒体の使用方法。
  5. 12モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸カリウムと、20モルパーセント以上40モルパーセント以下の炭酸ナトリウムと、25モルパーセント以上55モルパーセント以下の炭酸リチウムと、1.0モルパーセント以上20モルパーセント以下の炭酸バリウムとを含有する炭酸塩混合物を含む溶融塩型熱媒体と、
    前記溶融塩型熱媒体を太陽光によって加熱する太陽光加熱部と、
    前記溶融塩型熱媒体により供される熱を使用する熱使用部と、
    加熱された前記溶融塩型熱媒体を前記熱使用部に供給するために、前記太陽光加熱部と前記熱使用部とに流体連通する管路と、
    を備えることを特徴とする太陽熱利用システム。
  6. 請求項記載の太陽熱利用システムであって、
    さらに、前記管路に流体連通する熱媒容器を備え、
    前記熱媒容器は、前記溶融塩型熱媒体と二酸化炭素とが充填されていることを特徴とする太陽熱利用システム。
  7. 請求項記載の太陽熱利用システムであって、
    前記熱使用部は、ガスタービンを含む発電装置を含むことを特徴とする太陽熱利用システム。
  8. 請求項記載の太陽熱利用システムであって、
    前記熱使用部は、水熱分解反応によって水素を製造する反応装置であることを特徴とする太陽熱利用システム。
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