JP6662260B2 - 混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法に関する。
より詳しくは、ニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物からニッケルを塩素浸出する方法において、混合硫化物と塩化物水溶液を含む塩素浸出前スラリーに塩素ガスを吹き込み、混合硫化物からニッケルを塩素浸出後、塩素浸出残渣を放置浸出する方法に関する。
ニッケルおよびコバルトの製錬においては、例えばニッケル硫化鉱石を溶鉱炉で溶解して得られるニッケル硫化物や、ニッケル酸化鉱石に硫黄を添加して電気炉で溶解して得られるニッケル硫化物等、いわゆる乾式製錬法で得られたNi等のニッケル硫化物を主成分とするニッケルマットが生産されている。
一方で、低品位ニッケルのニッケル酸化鉱石を加圧酸浸出(High Pressure Acid Leaching、通称HPAL)して、その加圧酸浸出液から鉄をはじめとする不純物を除去した後、湿式硫化反応によって、例えば硫化水素ガスをニッケルイオンおよびコバルトイオンを含んだ浸出液中に吹き込むことによって、得られたNiS等の硫化物を主成分とするニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物(以降、混合硫化物と称する。)も生産されている。
一般に、ニッケルおよびコバルトの浸出法としては、酸化浸出法、アルカリ浸出法、塩素浸出法等の種々の方法が既に知られている。
この中でも、上記ニッケルマットや混合硫化物を原料としてニッケル及びコバルトを精製する方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、塩素ガスの酸化作用を利用してニッケルマットや混合硫化物を浸出し、浸出されたニッケルイオン及びコバルトイオンを電解採取によって電気ニッケル及び電気コバルトとして製品化する塩素浸出プロセスが実用化されている。
この方法は、混合硫化物と下記セメンテーション残渣を塩化物水溶液にレパルプした後、そのスラリーに塩素ガスを吹き込むことによりニッケル及びコバルトを塩化物水溶液中に塩素浸出する。
そこで得られた酸化剤としての2価の銅クロロ錯イオンを含んだ塩素浸出液に、粉砕したニッケルマットを接触させて銅とニッケルのセメンテーション反応を行うことにより、ニッケルマット中のニッケルが液に置換浸出され、銅イオンはCuSまたはCu(金属銅)の形態となって固体(セメンテーション残渣の一部)となる。
その置換浸出終液と、ニッケルマットの置換浸出残渣と前記CuSまたはCu(金属銅)の形態となって沈澱した固体とからなるセメンテーション残渣は、固液分離された後、置換浸出終液は次の浄液工程へ、固体のセメンテーション残渣は塩素浸出工程へ送られる。
この浄液工程では、得られた置換浸出終液から鉄、鉛、銅、亜鉛等の不純物を除去すると共に、置換浸出終液中のコバルトを溶媒抽出等の方法を用いて分離する。
次いでニッケルを電解採取して電気ニッケルを製造する方法である。
なお、上記塩素浸出プロセスでは、塩素浸出工程で浸出されなかった硫黄を主成分とする塩素浸出残渣は硫黄の回収工程にて処理され、製品硫黄および残渣類として払出される。
この方法はシンプルで、電解採取で発生した塩素ガスを浸出に再利用する等、効率的かつ経済的な生産を実現している。
ここで、混合硫化物を処理するに当たって、ニッケルマットと比較して、混合硫化物中のニッケルおよびコバルト浸出率が低いという問題点があった。
その理由は、ニッケルマットと混合硫化物の鉱物組成とそれに伴う浸出反応の機構の違いにある。
上記混合硫化物中のニッケルおよびコバルト浸出率が低いという課題を克服するために、特許文献1には、ニッケル硫化物とともに、ニッケルマットを液中の銅イオンにより置換抽出する工程から得られる銅とニッケルを含む置換残渣を、銅イオンを含む塩化物水溶液中で共存させながら塩素浸出に付す方法が開示されている。
また、特許文献2には、金属硫化物を原料として、銅イオンを含む塩化物溶液中で塩素浸出する金属硫化物の塩素浸出方法であって、塩化物溶液中の銅イオン濃度を30g/L以上とし、かつ、塩濃度を270g/L以上350g/L以下として塩素浸出する方法が開示されている。
しかしながら、これらの手段を採ってもなお、塩素浸出残渣には、固形分品位として1〜10重量%程度のニッケルが残留している。
ところで塩素浸出残渣の一部は、塩素浸出槽に繰り返し装入されるが、繰り返し装入できる量は限られており、残りの塩素浸出残渣中のニッケルは残渣としてプロセス系外へ払出されるため、ニッケルのロスとなってしまうという問題点があった。
増産のためでなく、塩素浸出残渣の繰り返し量を増加させるために、単純に塩素浸出槽の能力を上昇させるのは、装置導入の面および塩素使用量の面でコスト的に不利である。
そこで、特許文献3には、塩素浸出法による電気ニッケル製造プロセスの副産物であるSスラリー、残渣フレーカーおよび塩素浸出残渣から、塩素80g/L〜390g/L及び銅30g/L〜70g/Lを含有する水溶液を用いて、それぞれニッケルを回収する方法が開示されている。
しかし、この方法では工程が増加し、それに伴って設備が増加し、さらには処理コストが増加するという問題があった。
特開2008−240009号公報 特開2013−067838号公報 特開2016−040406号公報
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、混合硫化物と塩化物水溶液を含む塩素浸出前スラリーに塩素ガスを吹き込み、混合硫化物からニッケルを塩素浸出後、塩素浸出残渣と塩素浸出液を含む塩素浸出後スラリーを、塩素ガスを吹き込まない状態で、撹拌・保持させることによって、塩素浸出残渣中のニッケルを放置浸出することができ、従来技術よりも塩素浸出残渣中のニッケル品位を低下させることができる。さらに従来技術と比べて製法工程数が大巾に減少した、コスト的にも有利な混合硫化物の塩素浸出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、塩素浸出反応後の浸出液が保有している酸化力を利用して、塩素浸出残渣を浸出液に接触させるだけで塩素浸出残渣中の残留ニッケルを再浸出することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬工程で湿式硫化反応によって製造されたニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法において、前記混合硫化物に塩化物水溶液を加えて作製した前記混合硫化物と塩化物水溶液を含む塩素浸出前スラリーに塩素ガスを吹き込み、前記混合硫化物からニッケルを塩素浸出して塩素浸出残渣と塩素浸出液を含む塩素浸出後スラリーを作製した後、塩素ガスの吹き込みを停止した状態で、前記塩素浸出後スラリーを撹拌・保持させて放置浸出することを特徴とする混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における塩素浸出後スラリーに含まれる塩素浸出液が、銅濃度が30〜60g/L、温度が60〜110℃、酸化還元電位が460mV(Ag/AgCl電極基準)以上の塩素浸出液であることを特徴とする混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法である。
本発明の第3の発明は、第1または第2の発明における攪拌・保持中の塩素浸出後スラリーに含まれる塩素浸出液の酸化還元電位が、460mV以上に維持されていることを特徴とする混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法である。
本発明の混合硫化物の浸出方法によれば、製法工程数を増加させずに、低コストで塩素浸出残渣中のニッケルを放置浸出して、ニッケル品位を低下させることができる。
本発明の混合硫化物の浸出方法の一実施形態を示した工程図である。 従来の混合硫化物の浸出方法を示した工程図である。 本発明における反応時間とニッケル再浸出率の関係を示した図である。
本発明は、ニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物からニッケルを塩素浸出する方法において、混合硫化物と塩化物水溶液を含む塩素浸出前スラリーに塩素ガスを吹き込み、混合硫化物からニッケルを塩素浸出し、形成された塩素浸出後スラリーに含まれる塩素浸出残渣を、同じく含まれる浸出液によって放置浸出するものである。
本発明の一実施形態としては、ニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物を、塩素ガスの酸化作用を利用して浸出する、塩素浸出プロセスに好ましく適用することができる。
そこで、以下にニッケルの塩素浸出プロセスについて詳細に説明するが、本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものでは無い。
1.塩素浸出プロセス
(1)概要
ニッケルおよびコバルトの製錬においては、例えば特許文献1に記載されているように、ニッケルおよびコバルトを含有する硫化物を塩素ガスの酸化作用を利用して浸出し、浸出されたニッケルイオンおよびコバルトイオンを電解採取によって電気ニッケルおよび電気コバルトとして製品化する塩素浸出プロセスが実用化されている。
この塩素浸出プロセスにおける塩素浸出工程では、混合硫化物と呼ばれる、硫化ニッケルと硫化コバルトの混合物を塩化物水溶液にレパルプして塩素浸出前スラリーを形成した後、そのスラリーに塩素ガスを吹き込むことによりニッケルおよびコバルトを、その塩素浸出前スラリーの液体成分中に浸出し、浸出されたニッケルおよびコバルトを含む塩素浸出液と塩素浸出残渣を含む塩素浸出後スラリーを形成する。
なお、ニッケルの塩素浸出プロセスでは、塩素浸出工程において、後述するセメンテーション工程で沈澱したセメンテーション残渣を、混合硫化物と共に処理しても良い。
次工程のセメンテーション工程では、塩素浸出工程で得られた酸化剤となる2価の銅クロロ錯イオンを含んだ塩素浸出液に、Niと金属ニッケルを主成分とする粉砕したニッケルマットを接触させて銅とニッケルのセメンテーション反応を行うことにより、ニッケルマット中のニッケルが液に置換浸出され置換浸出終液と置換浸出残渣を形成し、銅イオンはCuSまたはCu(金属銅)の形態となって固体(セメンテーション残渣の一部)となる。
その置換浸出終液と、ニッケルマットの置換浸出残渣と前記CuSまたはCu(金属銅)の形態となって沈澱した固体とからなるセメンテーション残渣は、固液分離された後、置換浸出終液は次の浄液工程へ、固体のセメンテーション残渣は未溶解のニッケルが残留しているので塩素浸出工程へ送られる。
その浄液工程では、得られた置換浸出終液から鉄、鉛、銅、亜鉛等の不純物を除去すると共に、置換浸出終液中のコバルトを溶媒抽出等の方法を用いて分離する。
次いで、ニッケルを電解採取して電気ニッケルを製造する。
前述した、ニッケルおよびコバルトを含有する硫化物から電気ニッケルを製造する方法は、シンプルであり、電解採取で発生した塩素ガスを浸出に再利用する等、効率的かつ経済的な生産を実現しているといえる。
以下、関連工程を詳述する。
(2)塩素浸出工程
塩素浸出工程では、混合硫化物を、塩化物水溶液にレパルプして形成した混合硫化物と塩化物水溶液を含む塩素浸出前スラリーに、塩素ガスを吹き込むことによって混合硫化物中のニッケルおよびコバルトを、スラリーの液体成分中に塩素浸出して塩素浸出液を得る。
なお、本塩素浸出工程においては、上記したセメンテーション工程で沈澱したセメンテーション残渣を、混合硫化物と共に塩化物水溶液にレパルプして塩素浸出前スラリーの形成に利用しても良い。セメンテーション残渣は上記したように、ニッケルマットの置換浸出残渣とCuSまたはCu(金属銅)の形態となって沈澱した固体とからなっており、工業的にはニッケルの回収率を向上させるうえで本塩素浸出工程を繰返すことが好ましい。
また、本塩素浸出工程において、塩化物水溶液としては、混合硫化物をレパルプして塩素浸出前スラリーが形成されれば良いため、塩化物イオンを含む水溶液であれば良く、特に制限されない。例えば、ニッケルの塩素浸出プロセスでは、ニッケルの電解工程で発生した塩化ニッケル水溶液からなる電解排液を用いることができる。
この塩素浸出工程では、塩素ガスを反応液中に吹き込むことで液中の銅イオンを酸化し、酸化力を持った2価の銅クロロ錯イオンを生成する。
生成された2価の銅のクロロ錯イオンが、混合硫化物やセメンテーション残渣中の金属を溶解するための直接的な浸出剤として作用する。一方、吹き込まれた塩素ガスは銅の1価イオンを2価イオンに酸化することにより、間接的に浸出反応に関与するものである。
具体的には、この塩素浸出工程において、主に下記の(1)〜(4)式に示す塩素浸出反応が生じる。
この塩素浸出工程において、塩素浸出反応条件は、反応時の塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位が480〜560mV、温度が105〜115℃で行われることが好ましい。
ところで、混合硫化物のニッケル浸出率は、ニッケルマットと比較して低く、塩素浸出工程では浸出残渣中に溶け残りのニッケルが残留し易い傾向にある。それは、以下の理由によるものである。
ニッケルマットは、熔錬工程において熔融された硫化物が冷却により固形化されたものであり、主成分であるNi相とニッケルを主とする金属相が緻密に析出した組織を有している。
したがって、ニッケルマットの浸出(セメンテーション)反応は、主に下記の(5)〜(7)式で示すことができる。
一方で、混合硫化物は、主に硫酸溶液から硫化反応により沈殿析出された粉末状のもので、主成分としては、NiSおよびCoSである。
金属ニッケルとニッケル硫化物の形態の違いによる浸出され易さは、Ni>Ni>NiSの順であり、混合硫化物中にはNiSしか存在しないため、ニッケル浸出率が低いことが問題となっていた。
さらに、ニッケルマットの場合、Ni相中に緻密かつ均等に分散した金属相(Ni相)が優先的に溶けるため、浸出反応の進行に伴い、浸出反応に関与する液相とNi相の接触面積が増大すると推定される。
また、塩素浸出反応の温度条件は105〜115℃であるが、硫黄の融点は110〜120℃であるため、局部的に硫黄の融解が発生することがある。
このように塩素浸出反応の進行に伴い、この硫黄の溶融物がコーティング層を形成して、浸出反応を阻害することも推定される。
よって、ニッケルマットと比較して硫黄含有率の高い混合硫化物のニッケル浸出率は、ニッケルマットと比較して低くなると推定される。
上記の硫化物の形態の違いによる浸出され易さに加えて、これらの推定により、混合硫化物のニッケル浸出率は低くなっている。
2.塩素浸出残渣の放置浸出方法
図2に、従来の混合硫化物の浸出方法の工程図を示した。
塩素浸出工程では、塩素ガスの酸化作用を利用して浸出されなかった硫黄を主成分とし、微量の溶け残りの金属を含有した硫化物及び酸化物を含む塩素浸出残渣が生成される。
生成された塩素浸出残渣には、通常、硫黄が80〜87重量%、鉄が2〜5重量%、ニッケルが4〜5重量%程度含まれている。
塩素浸出残渣と塩素浸出液を含む塩素浸出後スラリーは、遠心分離機等の固液分離装置にて固液分離され、塩素浸出残渣と塩素浸出液が産出される。
塩素浸出液はセメンテーション工程に送られ、塩素浸出残渣の一部は塩素浸出工程に繰返され、残部は残渣工程に送られる。
残渣工程では、塩素浸出残渣は、硫黄の融点を超える温度にまで昇温されることにより液体の溶融物となり、その溶融物がろ過装置でろ過されることにより溶融硫黄から固体の金属硫化物及び酸化物が分離されて、塩素浸出残渣から製品硫黄が回収される。
ここで、溶融硫黄から分離された、硫黄を含む固体の金属硫化物及び酸化物は、融解残渣と称し、粉砕されてスラリー化された後、セメンテーション工程に繰返される。
さらに、融解残渣の一部は、固化残渣と称し、塩素浸出プロセスの系外に払出される。
具体的には、融解残渣には塩素で浸出されなかった金銀や白金族が濃縮するので、固化残渣は、それら金属の回収工程で処理される。
この固化残渣に含まれるニッケルはニッケルロスとなるため、固化残渣中のニッケル品位、元をたどれば塩素浸出残渣のニッケル品位を低下させて、塩素浸出プロセスのニッケル実収率を向上させる必要がある。
そこで本発明では、塩素浸出反応後の塩素浸出液が保持している酸化力を利用して、塩素浸出残渣を塩素浸出液に接触させるだけで塩素浸出残渣中の残留ニッケルを放置浸出するものである。
塩素浸出液には、酸化力を持った2価の銅クロロ錯イオンが含有されているため、例えば、新たに酸化剤としての塩素ガスの吹き込みを行わなくても、塩素浸出残渣中のニッケルの放置浸出反応が進行する。
また、塩素浸出反応後、放置浸出が生じ、進行する程度の撹拌・保持時間を確保すれば良いことから、製造設備においては、塩素浸出反応後の滞留槽のみを新たに設置すれば良い。さらには、酸化力が不足しないように塩素浸出工程における酸化還元電位や塩素浸出液の銅濃度の調整を行い、撹拌・保持時間の調整を行って、攪拌・保持中の塩素浸出液の酸化還元電位が460mV以上を維持する。
したがって、本発明によれば、酸化剤等の薬剤も不要であるし、必要な設備も滞留槽とそれに付帯する撹拌機のみであり、低コストで塩素浸出残渣中のニッケルを放置浸出してニッケル品位を低下させることができることが長所である。
図1は、本発明の混合硫化物の浸出方法の一実施形態を示した工程図である。
従来の混合硫化物の浸出方法の工程において、塩素浸出工程の次工程として放置浸出工程を組み入れ、放置浸出液と放置浸出残渣からなる放置浸出後スラリーを得た後、そのスラリーを固液分離工程で放置浸出液と放置浸出残渣に分離し、浸出並びに放置浸出したニッケルを含む放置浸出液はセメンテーション工程に送られ、最終的に電気ニッケルへと転換される。
一方、放置浸出残渣は、その一部が残渣工程に送られ、残渣に含まれている硫黄と融解残渣に分離されて硫黄を回収し、融解残渣はセメンテーション工程へ送られる。他の一部の残渣は塩素浸出工程に繰り返され再使用される。そして残りの残渣は系外払い出しされる。
図1では、放置浸出残渣の一部を系外払出しとしているが、従来通り、残渣工程から発生する固化残渣を系外に払出しても良い。なお、図1には固化残渣は不記載であるが、従来通り、固化残渣を発生させることができる。
放置浸出工程の反応条件は、混合硫化物と塩化物水溶液を含む塩素浸出前スラリーに塩素ガスを吹き込み、混合硫化物からニッケルを塩素浸出後に得られる、塩素浸出残渣と塩素浸出液を含む塩素浸出後スラリーを、塩素ガスを吹き込まない状態、即ち新たに酸化剤を添加しない状態で、撹拌・保持することで塩素浸出残渣からニッケルを新たに浸出するものであれば、特に制限されない。
しかし、好ましくは、塩素浸出後スラリーに含まれる塩素浸出液の銅濃度を30〜60g/L、温度を60〜110℃、酸化還元電位を460mV(Ag/AgCl電極基準)以上とする。
この塩素浸出液の銅濃度は、高い方が、塩素浸出液中の2価の銅クロロ錯イオンの含有量が多くなり放置浸出の効率が高くなる。
しかし、銅濃度が60g/Lを超えると、工程内の不純物としての銅濃度が高くなり、次工程等に悪影響を及ぼすため、避けた方がよい。また、30g/Lより低い場合は、浸出液中の2価の銅クロロ錯イオンの含有量が減少するため、放置浸出効率が低くなる。
塩素浸出液の温度が60℃より低い場合は、高塩濃度の浸出液が結晶化する可能性がある。また、110℃を超えると設備構成材料の腐食が促進されるため、より高価な材料を選定する必要があること、昇温のため過度のエネルギーの使用が必要となること、その後の、固液分離工程前に浸出液を冷却する必要が生じること等の問題が生じ、合理的では無い。
前述のように、塩素浸出反応の温度条件は105〜115℃であるため、意図的に浸出液を冷却するなどしなければ、60〜110℃の条件で、放置浸出を行うことができる。
浸出液の酸化還元電位が460mV(Ag/AgCl電極基準)未満のときは、1価の銅クロロ錯イオンの含有率が増加し、2価の銅クロロ錯イオンの含有率が減少するので、酸化力が低下して放置浸出効率が低くなる。
前述のように、塩素浸出反応条件は、反応時の塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位が480〜560mVであるので、意図的に塩素浸出液を還元するなどしなければ、460mV(Ag/AgCl電極基準)以上の条件で、放置浸出を行うことができる。さらに、放置浸出工程では工程作業中に、この塩素浸出液の酸化還元電位変動を随時監視し、その値が460mV(Ag/AgCl電極基準)以上となるように、塩素浸出工程における酸化還元電位や塩素浸出液の銅濃度の調整を行い、また撹拌・保持時間の調整を行って、酸化還元電位を上記範囲内に維持する。
以下、本発明の一実施形態としてのニッケルの塩素浸出プロセスへの適用を例にとって、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明する。なお、本実施例および比較例の記載により本発明の範囲が特別に限定されるものでは無い。
実施例1〜10では本発明を適用し商業規模のニッケルの塩素浸出プロセスにおいて、塩素浸出残渣の放置浸出操業を表1に示す条件で行った。
また、比較例1〜10では本発明を適用せず、図2に示す従来の工程に従って操業を行い、塩素浸出残渣の放置浸出を実施しなかった。
実施における放置浸出条件は、浸出液Cu濃度が35.0〜58.0g/Lの範囲、放置浸出温度が60〜110℃の範囲、スラリー濃度が100〜500g/Lの範囲、反応時間は1〜12時間とした。
また、塩素浸出液の酸化還元電位は460〜540mVの範囲で行った。
表1に、実施例1〜10、比較例1〜10の結果を合わせて示す。さらに、図3に、実施例4と実施例7における、反応時間とニッケル放置浸出率の関係を示した。
実施例1〜10の結果によれば、放置浸出によって塩素浸出残渣のNi品位が低下しており、本発明の放置浸出方法が有効であることが分かる。
また、図3の結果により、放置浸出時間は1時間以上が必要なことが分かる。

Claims (3)

  1. ニッケル酸化鉱石の湿式製錬工程で湿式硫化反応によって製造されたニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法において、
    前記混合硫化物に塩化物水溶液を加えて作製した前記混合硫化物と塩化物水溶液を含む塩素浸出前スラリーに塩素ガスを吹き込み、
    前記混合硫化物からニッケルを塩素浸出して塩素浸出残渣と塩素浸出液を含む塩素浸出後スラリーを作製した後、塩素ガスの吹き込みを停止した状態で、前記塩素浸出後スラリーを撹拌・保持して放置浸出を行うことを特徴とする混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法。
  2. 前記塩素浸出後スラリーに含まれる塩素浸出液が、
    銅濃度が30〜60g/L、
    温度が60〜110℃、
    酸化還元電位が460mV(Ag/AgCl電極基準)以上、
    の塩素浸出液であることを特徴とする請求項1に記載の混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法。
  3. 前記攪拌・保持による放置浸出中の塩素浸出後スラリーに含まれる塩素浸出液の酸化還元電位が、460mV以上に維持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合硫化物からのニッケルの塩素浸出方法。
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