JP2013209732A - ニッケルの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を高濃度で含む硫酸酸性溶液からニッケルを高品位で回収する。
【解決手段】本発明は、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を1g/L以上含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法であって、前記硫酸酸性溶液を、銅を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させる条件にて濃縮し、冷却し(S1)、固液分離(S2)により銅を回収する銅回収処理工程(S10)と、前記銅回収処理工程で得られる銅回収処理後液に中和剤を添加し、鉄を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させるpHになるように調整し(S3)、固液分離(S4)により鉄を除去する脱鉄処理工程(S20)と、前記脱鉄処理工程で得られる脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ(S5)、固液分離(S6)により回収するニッケル回収処理工程(S30)とを有するニッケルの回収方法である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を1g/L以上含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法であって、前記硫酸酸性溶液を、銅を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させる条件にて濃縮し、冷却し(S1)、固液分離(S2)により銅を回収する銅回収処理工程(S10)と、前記銅回収処理工程で得られる銅回収処理後液に中和剤を添加し、鉄を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させるpHになるように調整し(S3)、固液分離(S4)により鉄を除去する脱鉄処理工程(S20)と、前記脱鉄処理工程で得られる脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ(S5)、固液分離(S6)により回収するニッケル回収処理工程(S30)とを有するニッケルの回収方法である。
【選択図】図1
Description
本発明はニッケルの回収方法に関する。より詳細には、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を高濃度で含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法に関する。
銅製錬の一般的手順は以下である。原料となる銅精鉱を自溶炉で酸化反応させ、銅品位約68%のマットと、酸化鉄及び珪酸を主成分とする自溶炉スラグとを生成させ、これらを分離する。その後、マットを転炉に装入し、銅品位約99%の粗銅と珪酸系酸化鉄を主成分とする転炉スラグとを生成させ、これらを分離する。粗銅は精製炉において更に銅純度を上げたアノードに鋳造し、このアノードを電解精製し、電気銅に仕上げる。
一方、転炉から排出された転炉スラグは、固化してから粉砕し、浮選により銅分を回収するスラグ選鉱法が主として採用されている(例えば非特許文献1及び2参照)。スラグ選鉱法では銅品位の高いスラグ銅精鉱と銅品位の低いスラグ鉄精鉱とに分離し、スラグ銅精鉱は自溶炉に繰り返して処理し、鉄精鉱は主にセメント原料として利用される。
銅製錬で発生するスラグの別の処理方法として例えば特許文献1では、溶融状態の転炉スラグ中に含まれる酸化銅及びFe3O4に対して還元剤を吹き込んでスラグを還元し、銅品位1%以下の脱銅スラグと粗銅を得る方法が記載されている。
また、チリのCodelco社のCaletones製錬所では、溶融状態の転炉スラグ中に微粉炭を吹き込み、スラグ中のマグネタイトを還元してスラグ中の銅分を回収する方法が記載されている(例えば、非特許文献3参照)。
また、特許文献2には、銅製錬において転炉から排出されるスラグを製鉄原料に変換するための処理方法が提案されている。この方法は、転炉スラグを還元炉に装入し、還元炉において、該スラグ中に含まれる亜鉛分及び銅分の加熱還元と、還元亜鉛の揮発除去とを行う方法であって、特に還元炉でスラグヒューミング処理にて亜鉛を揮発除去させることを特徴としている。この方法により、製鉄原料の他に、粗銅を回収することもできる。
また、最近では、廃電子基板等の産業廃棄物から金、銀、白金等の貴金属や鉄、ニッケル、亜鉛、鉛等の有価金属をリサイクリングする目的で、銅製錬の溶錬炉や転炉へ粉砕された廃電子基板等の粉体を吹き込み、銅製錬工程の精製技術を利用して各金属の回収が実施されてきている(例えば特許文献3参照)。
資源素材学会誌、「資源と素材」1993.12,Vol 109「非鉄製錬号」第954頁及び第965頁
「資源と素材」1997.12,Vol 113「リサイクリング大特集号」第996頁左欄、最終パラグラフ
Rolando Campos and Luis Torres, CALETONES SMELTER: TWO DECADES OF TECHNOLOGICAL IMPROVEMENTS, The Paul E. Queneau International Symposium, Ontalio, Canada (1993)
このように、銅製錬において発生するスラグの処理方法は様々な方法が知られている。しかしながら、従来方法は単に、スラグを還元処理すること、還元処理した成分を自溶炉に繰り返すこと、又は分離された成分をセメント等に利用する方法が示されているだけで、転炉スラグ中から複数の特定の金属成分を効率良く分離回収する技術については検討されていない。つまり、銅製錬の転炉から生成される転炉スラグには、銅(Cu)及び鉄(Fe)の他にも、錫(Sn)、ニッケル(Ni)等の複数の金属成分が比較的高濃度に含まれているが、これらの金属の分離回収方法についての検討はなされていない。一方で、最近では廃電子基板等のリサイクリングが積極的に行われており、銅製錬工程で精製された銅アノード中、およびスラグ中にも高濃度の各種金属元素が含有される傾向にある。これらの高濃度の金属成分を転炉スラグから選択的に分離回収することが実現できれば、分離回収した金属を他の産業用途に利用することが可能となる。
また、銅、鉄、ニッケルの混合物からニッケルのみを回収することが困難であることは、特許文献4、5に記載されている。すなわち、特許文献4では、銅、鉄、ニッケルを含有するニッケル原料から鉄を水酸化物として除去しようとする場合、pHが上昇することになるが、このときニッケルも一緒に水酸化物として沈殿してしまうことが記載されている。特許文献5では、銅電解液のニッケルを濃縮冷却することによりニッケルを除去し、粗硫酸ニッケルとして回収するに際して、鉄品位を完全にゼロにすることができない観点から、一定量鉄を含むことを許容する記載となっている。
一方で、近年、我が国のセメント業界は縮小傾向にあり、転炉スラグを非特許文献1に記載のようなスラグ選鉱法で処理して、鉄精鉱としてセメントに利用することが困難な状況となってきていることから、転炉スラグの新たな処理方法も期待されてきている。この観点から、転炉スラグから製鉄原料を製造する特許文献2に記載された技術は、今後重要な位置を占めることになると考えられる。
しかしながら、特許文献2で記載されたスラグヒューミング処理により得られるメタルには鉄が多く含まれることになり、電解液中の鉄濃度も高くなることから、ニッケル単独での回収はより難しくなる。具体的には、通常の銅電解液に含まれる鉄濃度は1g/L未満であるが、スラグヒューミングメタルを用いて銅電解を行った場合、電解液中の鉄濃度は1〜10g/Lと高くなる。
そこで、本発明は、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を高濃度で含む硫酸酸性溶液からニッケルを高品位で回収することを可能にするニッケルの回収方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を高濃度で含む硫酸酸性溶液、例えば銅製錬の転炉から生成される転炉スラグをスラグヒューミング処理により得られたメタルを銅電解処理して得られる後液からニッケルを析出させる前に、この硫酸酸性溶液を冷却して銅を硫酸銅として析出させ、さらに中和処理し鉄を析出させることにより、従来の方法ではニッケルと一緒に析出させていた銅および鉄を効果的に回収、除去しつつ、ニッケルは溶存させた状態とすることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を1g/L以上含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法であって、
前記硫酸酸性溶液を、銅を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させる条件にて濃縮し、冷却し、固液分離により銅を回収する銅回収処理工程と、
前記銅回収処理工程で得られる銅回収処理後液に中和剤を添加し、鉄を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させるpHになるように調整し、固液分離により鉄を除去する脱鉄処理工程と、
前記脱鉄処理工程で得られる脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ、固液分離により回収するニッケル回収処理工程と
を有するニッケルの回収方法。
(2)(1)記載の方法において、
前記銅回収処理工程における濃縮処理を、濃縮倍率が1〜3の範囲で行うことを特徴とする方法。
(3)(2)記載の方法において、
前記銅回収処理工程における冷却処理を、硫酸酸性溶液の温度が10〜40℃になるまで行うことを特徴とする方法。
(4)(1)〜(3)のいずれか一項記載の方法において、
前記脱鉄処理工程における中和処理を、銅回収処理後液のpHが3〜7になるように行うことを特徴とする方法。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項記載の方法において、
前記ニッケル回収処理工程における冷凍処理の前に、脱鉄処理後液を濃縮することを特徴とする方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか一項記載の方法において、
前記硫酸酸性溶液が、銅電解液であることを特徴とする方法。
(7)(6)記載の方法において、
前記硫酸酸性溶液が銅製錬の転炉から生成される転炉スラグからスラグヒューミング処理により得られたメタルを銅電解処理して得られることを特徴とする方法。
(1)少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を1g/L以上含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法であって、
前記硫酸酸性溶液を、銅を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させる条件にて濃縮し、冷却し、固液分離により銅を回収する銅回収処理工程と、
前記銅回収処理工程で得られる銅回収処理後液に中和剤を添加し、鉄を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させるpHになるように調整し、固液分離により鉄を除去する脱鉄処理工程と、
前記脱鉄処理工程で得られる脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ、固液分離により回収するニッケル回収処理工程と
を有するニッケルの回収方法。
(2)(1)記載の方法において、
前記銅回収処理工程における濃縮処理を、濃縮倍率が1〜3の範囲で行うことを特徴とする方法。
(3)(2)記載の方法において、
前記銅回収処理工程における冷却処理を、硫酸酸性溶液の温度が10〜40℃になるまで行うことを特徴とする方法。
(4)(1)〜(3)のいずれか一項記載の方法において、
前記脱鉄処理工程における中和処理を、銅回収処理後液のpHが3〜7になるように行うことを特徴とする方法。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項記載の方法において、
前記ニッケル回収処理工程における冷凍処理の前に、脱鉄処理後液を濃縮することを特徴とする方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか一項記載の方法において、
前記硫酸酸性溶液が、銅電解液であることを特徴とする方法。
(7)(6)記載の方法において、
前記硫酸酸性溶液が銅製錬の転炉から生成される転炉スラグからスラグヒューミング処理により得られたメタルを銅電解処理して得られることを特徴とする方法。
本発明によれば、鉄、銅、ニッケルが含まれ、特に鉄濃度の高い硫酸酸性溶液からニッケルを高品位で回収することができる。
図1は、本発明の実施形態を示すフローチャートである。
本発明に係る実施形態のニッケルの回収方法は、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を1g/L以上含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法である。
なお、以下の実施形態では、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を高濃度で含む硫酸酸性溶液として、銅製錬の転炉から生成される転炉スラグをスラグヒューミング処理により得られたメタル(以下「スラグヒューミングメタル」という)を銅電解処理して得られる銅電解液(以下、「スラグヒューミングメタル電解液」という)の処理を例に説明するが、本発明の処理対象はこれに限定されることはない。例えば、スラグヒューミング処理により得られたメタルを電解処理した際に発生する殿物を硫酸浸出して得られた浸出液を処理してもよいし、この浸出液をスラグヒューミング電解液に混合して処理してもよい。また、スラグヒューミング処理に得られたもの以外に、例えば電子部品等の製品からのリサイクル原料を硫酸酸性溶液にて浸出して得られる後液などを用いることも可能である。
本発明に係る実施形態のニッケルの回収方法は、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を1g/L以上含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法である。
なお、以下の実施形態では、少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を高濃度で含む硫酸酸性溶液として、銅製錬の転炉から生成される転炉スラグをスラグヒューミング処理により得られたメタル(以下「スラグヒューミングメタル」という)を銅電解処理して得られる銅電解液(以下、「スラグヒューミングメタル電解液」という)の処理を例に説明するが、本発明の処理対象はこれに限定されることはない。例えば、スラグヒューミング処理により得られたメタルを電解処理した際に発生する殿物を硫酸浸出して得られた浸出液を処理してもよいし、この浸出液をスラグヒューミング電解液に混合して処理してもよい。また、スラグヒューミング処理に得られたもの以外に、例えば電子部品等の製品からのリサイクル原料を硫酸酸性溶液にて浸出して得られる後液などを用いることも可能である。
具体的には、図1に示すように、銅電解液であるスラグヒューミングメタル電解液を、銅を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させる条件にて濃縮し、冷却し(S1)、固液分離(S2)により銅を回収する銅回収処理工程(S10)と、前記銅回収処理工程で得られる銅回収処理後液に中和剤を添加し、鉄を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させるpHになるように調整し(S3)、固液分離(S4)により鉄を除去する脱鉄処理工程(S20)と、前記脱鉄処理工程で得られる脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ(S5)、固液分離(S6)により回収するニッケル回収処理工程(S30)とを有する銅電解液の処理方法である。
銅電解液から銅を回収する銅回収処理工程(ステップ(S10))は、以下のステップ(S1)および(S2)から構成される。
ステップ(S1)では、銅電解液を濃縮する。濃縮方法としては、銅電解液を加熱する方法などが好ましく用いられる。この濃縮は、1〜3倍、ニッケルがこの段階で析出しにくいという観点から好ましくは1〜2倍、後工程に銅をできるだけ残さないという観点から好ましくは1.5〜2倍の倍率で行うことができる。所定の濃縮倍率を達成した後、銅電解液を冷却する。冷却する前の濃縮液の硫酸濃度は300g/L以上であることが好ましく、硫酸を添加することにより硫酸濃度を調整してもよい。冷却は、氷浴などを用いることができる。濃縮、冷却処理により、銅電解液中の銅を析出させることができる。このときの冷却温度は、銅が析出する温度である限り、特に限定されることはないが、例えば20℃以下であり、より温度を低くすれば銅がより析出されるが、コストの面から10℃程度で行うことが好ましい。なお、この段階で析出しきれなかった銅は次工程で回収することができる。
続いて、ステップ(S2)では、析出した銅と、処理後液とをろ過により固液分離し、銅回収処理後液を得る。また、固体部分は、硫酸銅として回収することができる。回収した硫酸銅の不純物が少ない場合はこのまま製品として販売してもよいし、不純物が多い場合は銅原料として製錬工程へ繰り返してもよいし、あるいは硫酸銅を水溶液として再溶解させて任意の方法で精製し不純物の少ない硫酸銅として製品化し販売してもよい。
ステップ(S1)では、銅電解液を濃縮する。濃縮方法としては、銅電解液を加熱する方法などが好ましく用いられる。この濃縮は、1〜3倍、ニッケルがこの段階で析出しにくいという観点から好ましくは1〜2倍、後工程に銅をできるだけ残さないという観点から好ましくは1.5〜2倍の倍率で行うことができる。所定の濃縮倍率を達成した後、銅電解液を冷却する。冷却する前の濃縮液の硫酸濃度は300g/L以上であることが好ましく、硫酸を添加することにより硫酸濃度を調整してもよい。冷却は、氷浴などを用いることができる。濃縮、冷却処理により、銅電解液中の銅を析出させることができる。このときの冷却温度は、銅が析出する温度である限り、特に限定されることはないが、例えば20℃以下であり、より温度を低くすれば銅がより析出されるが、コストの面から10℃程度で行うことが好ましい。なお、この段階で析出しきれなかった銅は次工程で回収することができる。
続いて、ステップ(S2)では、析出した銅と、処理後液とをろ過により固液分離し、銅回収処理後液を得る。また、固体部分は、硫酸銅として回収することができる。回収した硫酸銅の不純物が少ない場合はこのまま製品として販売してもよいし、不純物が多い場合は銅原料として製錬工程へ繰り返してもよいし、あるいは硫酸銅を水溶液として再溶解させて任意の方法で精製し不純物の少ない硫酸銅として製品化し販売してもよい。
ステップ(S10)で得られる銅回収処理後液から鉄を除去する脱鉄処理工程(ステップ(S20))は、以下のステップ(S3)および(S4)から構成される。
ステップ(S3)では、銅回収処理後液に中和剤を添加し、pHを調整する。このとき、使用できる中和剤としては、カルシウム系の中和剤が好ましく用いることができ、例えば水酸化カルシウムが挙げられる。また、調整するpHは、鉄が析出し、かつ、pH調整後の脱鉄処理後液にニッケルが、例えば3〜7、好ましくは4〜6となるようにする。このとき、鉄が3価となるORP電位に制御することがより好ましく、例えば570mV(vs.Ag/AgCl)以上である。ORP電位を調整するために過酸化水素等の酸化剤の添加、空気吹き込みを実施してもよい。液温は特に限定されることはないが、例えば10〜40℃である。この中和処理により、鉄を水酸化鉄として析出させることができる。
続いて、ステップ(S4)では、析出した鉄と、処理後液とをろ過により固液分離し、脱鉄処理後液を得る。また、固体成分は、中和残渣、例えば水酸化鉄であり、製錬工程に繰り返すことができる。
ステップ(S3)では、銅回収処理後液に中和剤を添加し、pHを調整する。このとき、使用できる中和剤としては、カルシウム系の中和剤が好ましく用いることができ、例えば水酸化カルシウムが挙げられる。また、調整するpHは、鉄が析出し、かつ、pH調整後の脱鉄処理後液にニッケルが、例えば3〜7、好ましくは4〜6となるようにする。このとき、鉄が3価となるORP電位に制御することがより好ましく、例えば570mV(vs.Ag/AgCl)以上である。ORP電位を調整するために過酸化水素等の酸化剤の添加、空気吹き込みを実施してもよい。液温は特に限定されることはないが、例えば10〜40℃である。この中和処理により、鉄を水酸化鉄として析出させることができる。
続いて、ステップ(S4)では、析出した鉄と、処理後液とをろ過により固液分離し、脱鉄処理後液を得る。また、固体成分は、中和残渣、例えば水酸化鉄であり、製錬工程に繰り返すことができる。
ステップ(S20)で得られる脱鉄処理後液からニッケルを回収するニッケル回収処理工程(ステップ(S30))は、以下のステップ(S5)および(S6)から構成される。
ステップ(S5)では、脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ、ステップ(S6)では析出したニッケルと、処理後液とをろ過により固液分離し、ニッケル回収処理後液を得る。なお、固体として得られる硫酸ニッケルは、そのまま製品として販売することが可能である。なお、このときの冷凍温度は、ニッケルが析出する温度である限り、特に限定されることはないが、例えば0℃以下、より低い温度まで下げればよりニッケルが析出されるが、コストの面から−15℃〜0℃程度の範囲で行うことが好ましい。
また、ステップ(S5)の冷凍処理の前に、脱鉄処理後液を濃縮してもよく、これによりさらに冷凍処理によるニッケル析出を容易にすることができる。このときの濃縮方法としては、加熱処理などが挙げられる。また、濃縮倍率としては、2〜3倍程度が挙げられる。
ステップ(S5)では、脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ、ステップ(S6)では析出したニッケルと、処理後液とをろ過により固液分離し、ニッケル回収処理後液を得る。なお、固体として得られる硫酸ニッケルは、そのまま製品として販売することが可能である。なお、このときの冷凍温度は、ニッケルが析出する温度である限り、特に限定されることはないが、例えば0℃以下、より低い温度まで下げればよりニッケルが析出されるが、コストの面から−15℃〜0℃程度の範囲で行うことが好ましい。
また、ステップ(S5)の冷凍処理の前に、脱鉄処理後液を濃縮してもよく、これによりさらに冷凍処理によるニッケル析出を容易にすることができる。このときの濃縮方法としては、加熱処理などが挙げられる。また、濃縮倍率としては、2〜3倍程度が挙げられる。
なお、ステップ(S6)で得られるニッケル回収処理後液は、例えばスラグヒューミング処理により得られたメタルを電解処理した際に発生する殿物の浸出液として用いることができる。このようにして得られる浸出後液は、前記のステップ(S10)の銅回収処理工程に供して、当該銅回収処理工程の処理対象として新たに導入する電解液と混合してもよい。このように、ニッケル回収処理後液は、銅電解液の処理において、繰り返し使用することができ、また、これによりニッケル回収処理後液にわずかでも残存するニッケルの回収に供することになり、銅電解液中のニッケル回収の効率をさらに向上させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)スラグヒューミングメタル電解液の調製
銅製錬の転炉から排出された転炉スラグ1.1kgを窒素雰囲気中でるつぼに入れ、1250℃に加熱して転炉スラグを溶融した。るつぼにプロパンガスを8.25L/hr、空気を8.25L/hrで3時間吹き込み、転炉スラグのヒューミング処理による還元反応を行った。還元反応により得られたメタルと還元スラグとをセットリングにより分離した。
銅製錬の転炉から排出された転炉スラグ1.1kgを窒素雰囲気中でるつぼに入れ、1250℃に加熱して転炉スラグを溶融した。るつぼにプロパンガスを8.25L/hr、空気を8.25L/hrで3時間吹き込み、転炉スラグのヒューミング処理による還元反応を行った。還元反応により得られたメタルと還元スラグとをセットリングにより分離した。
次に、分離されたメタルを1250℃で炉の昇温時間(3時間)を含めて約4時間加熱して溶融させ、溶融金属を型に入れてアノード電極板(メタルアノード板)を鋳造した。得られたアノード電極板の成分分析値(質量%)を表1に示す。次に、得られたアノード電極板とカソード電極板(電着面積100cm2(裏面は絶縁テープで被覆した))を液温63℃、Cu濃度50g/L、遊離硫酸(f.a)濃度180g/L、Fe濃度7.5g/L、Ni濃度25g/L、Cl濃度40mg/Lの電解液中に浸漬し、電解精製によりカソード電極板上に電気銅を電着させた。電解精製の試験条件を表2に示す。表2中「原単位」とは電着電気銅1t当りに対して使用する添加剤の量を示す。また、表2の電解精製条件による処理後の銅電解後液の組成を表3に、および電解採取銅以外の殿物の組成を表4に示す。
表4に示した組成の殿物150gを、硫酸(f.a濃度150g/L)を用いて、パルプ濃度100g/L、液温80℃にて21時間浸出処理を行った、この浸出後液の組成を表5に示す。
表3で示した組成の銅電解液および表5で示した組成の浸出後液を合わせて、銅回収処理のためのスラグヒューミングメタル電解液とした。このスラグヒューミングメタル電解液の組成を表6に示す。
(実施例2)銅回収処理
表6に示した組成の銅電解液を、加熱し、2倍の倍率で濃縮した。その後、10℃になるまで冷却した。析出した固体をろ過により固液分離した。ろ液の組成を表7に、および固体の組成を表8に示す。表7、表8によれば、銅回収処理前の銅電解液から大部分の銅が析出した固体に含まれて回収され、これが硫酸銅であり、またニッケルはほとんど析出せずに溶液に残ったことがわかった。
表6に示した組成の銅電解液を、加熱し、2倍の倍率で濃縮した。その後、10℃になるまで冷却した。析出した固体をろ過により固液分離した。ろ液の組成を表7に、および固体の組成を表8に示す。表7、表8によれば、銅回収処理前の銅電解液から大部分の銅が析出した固体に含まれて回収され、これが硫酸銅であり、またニッケルはほとんど析出せずに溶液に残ったことがわかった。
(実施例3)脱鉄処理
表7に示した組成の銅回収処理後液に、液温15℃にて水酸化カルシウムを添加して、液のpHを5とし、中和処理を行った。析出した中和残渣をろ過により固液分離した。ろ液の組成を表9に、および中和残渣の組成を表10に示す。表9、表10によれば、残存する銅および鉄のほとんどが中和残渣に取り込まれ、除かれた一方で、ニッケルは中和残渣に取り込まれず溶液中に残ったことがわかる。
表7に示した組成の銅回収処理後液に、液温15℃にて水酸化カルシウムを添加して、液のpHを5とし、中和処理を行った。析出した中和残渣をろ過により固液分離した。ろ液の組成を表9に、および中和残渣の組成を表10に示す。表9、表10によれば、残存する銅および鉄のほとんどが中和残渣に取り込まれ、除かれた一方で、ニッケルは中和残渣に取り込まれず溶液中に残ったことがわかる。
(実施例4)ニッケル回収処理
表9に示した組成の脱鉄処理後液に、硫酸を添加しf.a濃度400g/Lに調整し、−10℃にて冷凍した。析出した固体をろ過により固液分離した。ろ液の組成を表11に、および固体の組成を表12に示す。表11、表12によれば、ニッケル回収前の銅電解液の約四分の三のニッケルが析出固体に含まれ、また他の成分の品位も低く、高品位の硫酸ニッケルであり、製品化可能な状態で得られることがわかった。
表9に示した組成の脱鉄処理後液に、硫酸を添加しf.a濃度400g/Lに調整し、−10℃にて冷凍した。析出した固体をろ過により固液分離した。ろ液の組成を表11に、および固体の組成を表12に示す。表11、表12によれば、ニッケル回収前の銅電解液の約四分の三のニッケルが析出固体に含まれ、また他の成分の品位も低く、高品位の硫酸ニッケルであり、製品化可能な状態で得られることがわかった。
なお、表11に示した組成のニッケル回収処理後液は、表4に示したような組成のスラグヒューミング電解処理殿物の浸出液として再利用することができる。
Claims (7)
- 少なくとも鉄、銅、ニッケルを含み、かつ、鉄を1g/L以上含む硫酸酸性溶液からニッケルを回収する方法であって、
前記硫酸酸性溶液を、銅を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させる条件にて濃縮し、冷却し、固液分離により銅を回収する銅回収処理工程と、
前記銅回収処理工程で得られる銅回収処理後液に中和剤を添加し、鉄を析出させ、かつ、ニッケルを溶存させるpHになるように調整し、固液分離により鉄を除去する脱鉄処理工程と、
前記脱鉄処理工程で得られる脱鉄処理後液を冷凍し、ニッケルを析出させ、固液分離により回収するニッケル回収処理工程と
を有するニッケルの回収方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記銅回収処理工程における濃縮処理を、濃縮倍率が1〜3の範囲で行うことを特徴とする方法。 - 請求項2記載の方法において、
前記銅回収処理工程における冷却処理を、硫酸酸性溶液の温度が10〜40℃になるまで行うことを特徴とする方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項記載の方法において、
前記脱鉄処理工程における中和処理を、銅回収処理後液のpHが3〜7になるように行うことを特徴とする方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項記載の方法において、
前記ニッケル回収処理工程における冷凍処理の前に、脱鉄処理後液を濃縮することを特徴とする方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項記載の方法において、
前記硫酸酸性溶液が、銅電解液であることを特徴とする方法。 - 請求項6記載の方法において、
前記硫酸酸性溶液が銅製錬の転炉から生成される転炉スラグからスラグヒューミング処理により得られたメタルを銅電解処理して得られることを特徴とする方法。
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2012
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