以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る実施の形態1の振動アクチュエータの構成を示す外観図であり、図2は、同振動アクチュエータの内部構成を示す平面図である。また、図3は、同振動アクチュエータの分解斜視図であり、図4は、同振動アクチュエータの可動体の動きの説明に供する図である。
図1に示す振動アクチュエータ10は、扁平された円弧状の断面を有する円弧状扁平板形状をなしている。振動アクチュエータ10は、固定体20と、可動体30と、を有し、可動体30は、金属バネ40と、コア50及びマグネット60により発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。振動アクチュエータ10は、磁気吸引力により可動体30に予圧をかけて、可動体30の回転を抑制し、且つ、位置決めを行うことで、可動体30自体が安定した構造を有する。ここでいう予圧とは、マグネット60及び磁性体(コア50)間の磁気吸引力によりマグネット60及び磁性体(コア50)を相対的に引っ張り合わせて、可動体30を支持する軸(軸部)のがたつきを無くす力、又は、可動方向以外の動き(板ばねのねじれ方向や可動方向と垂直方向など)を規制する力を意味する。振動アクチュエータ10では、予圧は、マグネット(例えば、マグネット60)及び磁性体(例えば、コア50)の一方を有する可動体(例えば、コア50を備える可動体30)の軸(例えば固定体20側の軸部80)に対するガタつきを無くし、可動体軸回りの回転方向へ移動を規制したりする。マグネット60及びコア50とコイル70による電磁作用により可動体が往復振動する。
固定体20は、ケース21と、電源供給部25が接続されたフレーム22と、軸部80と、マグネット60と、コイル70と、カバー24とを有する。
ケース21は、側面視円弧状の周壁部を有する。ケース21の底面27は湾曲しており、ケース21は、断面円弧状の容器である。つまり、ケース21は、凹状に湾曲した外面である底面27としての湾曲面部を有する。ケース21は上方に開口しており、この開口に、カバー24を取り付けることで中空の内部が形成される。本実施の形態では、ケース21はカバー24とともに金属材料により形成され、カバー24とともに電磁シールドとして機能する。ケース21内には、湾曲面部である底面27の裏面側縁部に、円弧状の2つの側面を含む3壁部に沿ってフレーム22が配置されている。
フレーム22は、ケース21内に配置され、湾曲方向(周方向と直交する方向であり、本実施の形態では長手方向)に配置される軸部80を固定して支持する。例えば、軸部80は、フレーム22に圧入或いは接着で固定される。フレーム22に対する軸部80の固定は、フレーム22の両端部にそれぞれ対向して形成される固定穴に軸部80の両端部を挿入して固定することで行われるとよい。なお、後述する各実施の形態におけるフレーム22A〜22Cと軸部80との固定、ホルダ22D〜22Jと軸部80との固定、22L〜22Nと軸部80との固定も同様である。
また、フレーム22には、コイル70が固定される。電源供給部25は、コイル70に電力供給する基板であり、外部電源に接続される基板、例えば、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible printed circuits)等で構成される。電源供給部25は、フレーム22を介してコイル70に接続されている。
ケース21内には、フレーム22が配置されていない一壁部内面に沿ってマグネット60が取り付けられている。ここでは、マグネット60は長手方向(湾曲方向と直交する方向)に異なる2磁極を並べて配置されている。なお、マグネット60は、複数の磁極の異なるマグネット(マグネット片)を交互に並べて構成してもよいし、交互に異なる磁性を持つように着磁されたものでもよい。後述する各実施の形態のマグネットも同様である。本実施の形態では、マグネット60に対して湾曲方向である円弧方向側にコア50を対向して配置し、コア50の周囲に所定間隔を空けてコイル70が配置される。
可動体30は、コア50、軸受け部52を有し、金属バネ40により弾性支持されている。金属バネ40は、例えば、円筒状のコイルバネであり、コア50は、磁性体であり、軸受け部52も磁性体であっても良い。
コア50は、収容されるケース21の形状に対応した扁平断面円弧状をなしており、一端面(対向面51)側をマグネット60に対向させ、且つ、湾曲する底面をケース21の湾曲面部である底面27に沿って配置させている。なお、コア50の対向面51は、コア50を含む仮想円筒の軸心を通る仮想面上に位置し、ケース21の周方向で離間する端面と平行で有り、且つ、マグネット60の磁極面(対向面)61と互いに平行に配置されている。また、コア50は、他端面側に軸受け部52が円弧の中心軸方向に延在するように固定されている。マグネット60が取り付けられる周壁と周方向で対向する周壁側には、フレーム22間に軸部80が架設される。軸受け部52は、軸部80が回動自在に挿通されている。コア50は、軸部80に沿って長手方向に摺動自在に取り付けられた状態となっている。軸受け部52は焼結スリーブ軸受けであり、軸受け部52から軸部80が、長手方向(ここでは円弧の中心軸方向)に突出する。この突出部分には、金属バネ40が外装されており、軸受け部52は、挟まれる金属バネ40により、長手方向の中央部分に位置するように付勢される。
ケース21内において、磁性体であるコア50と、マグネット60とは対向して配置されているので、コア50とマグネット60間に磁気吸引力が発生する。
ケース21内では、コア50は、軸部80に回動自在に取り付けられているので、マグネット60との磁気吸引力、所謂、磁気バネによって弾性支持される。この磁気吸引力によって、コア50を含む可動体30に予圧がかかる状態となる。これにより、軸のがたつきが無くなり、コア50を有する可動体30は、位置決めされた状態(可動体の位置決め)となり、軸部80周りの回転が規制される(所謂回転止め)。
コア50は、コイル70に電源供給部25から電源が供給されて励磁されることにより、長手方向つまり、周方向と直交する方向に往復移動(往復振動)する。例えば、図4に示すように、マグネット60の極性(磁極面61)をN極、S極とし、これらをコア50の磁極面となる対向面(一端面)51に対向して長手方向に並べて配置する。コイル70に電流を供給してコア50の極性をN極にすると、コア50は、F1方向に駆動する。また、コイル70に電流を逆方向に供給してコア50の極性をS極にすると、コア50は、F1方向とは真逆の−F1方向に駆動する。
すなわち、振動アクチュエータ10では、電源供給部25からコイル70へ入力される交流波によりコア50、つまりコア50の対向面51が磁化され、固定体20側のマグネット60に対して、効果的に磁気吸引力及び反発力を発生する。これにより、可動体30のコア50は、駆動基準位置となる位置(ここでは対向面51の中心がマグネット60のN極S極の中心と重なる位置)を基準にして、長手方向に沿って、両方向F(F1方向と−F1方向)に往復移動する。つまり、可動体30は、固定体20に対して、湾曲面部である底面27の裏面側でマグネット60とコア50との互いの対向面61、51に沿う方向に往復振動する。この駆動原理を以下に示す。なお、本実施の形態の振動アクチュエータ10の駆動原理は、以下の各実施の形態の振動アクチュエータ全てで実現される。
本実施の形態の振動アクチュエータ10では、可動体30の質量m[kg]、ねじり方向のバネ定数Kspとした場合、可動体30は、固定体20に対して、下記式(1)によって算出される共振周波数fr[Hz]で振動する。
本実施の形態の振動アクチュエータ10は、電源供給部25からコイル70に可動体30の共振周波数frと略等しい周波数の交流を供給してコイル70を介してコア50(詳細には磁極面となる一端面51)を励磁する。これにより、可動体30を効率良く駆動させることができる。
本振動アクチュエータ10における可動体30は、金属バネ40を介して固定体20により支持されるバネマス系構造で支持された状態となっている。よって、コイル70に可動体30の共振周波数frに等しい周波数の交流が供給されると、可動体30は共振状態で駆動される。
振動アクチュエータ10の駆動原理を示す運動方程式及び回路方程式を以下に示す。振動アクチュエータ10は、下記式(2)で示す運動方程式及び下記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
すなわち、アクチュエータ10における質量m[Kg]、変位x(t)[m]、推力定数Kf[N/A]、電流i(t)[A]、バネ定数Ksp[N/m]、減衰係数D[N/(m/s)]等は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更できる。また、電圧e(t)[V]、抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]、逆起電力定数Ke[V/(m/s)]は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
このように、アクチュエータ10、可動体30の質量mとバネ材(弾性体)150のバネ定数Kspにより決まる共振周波数frにおいて駆動した場合、効果的に大きな出力を得ることができる。
振動アクチュエータ10によれば、以下の効果を奏することができる。
<効果1>
金属バネ40に加えて、磁性体であるコア50とマグネット60とを有する磁気バネを有するので、コア50を基準位置で弾性支持する金属バネ40のバネ定数を下げることが可能となる。これにより、金属バネ40の寿命が向上し振動アクチュエータ10としての信頼性の向上を図ることができる。また、金属バネのみで可動体30を支持する場合よりも、金属バネのバネ定数を下げて適切なバネ定数にすることができ、金属バネの大型化に伴う占有スペースの拡大化の必要が無く、設計自由度の低下を防止できる。
<効果2>
また、可動体30の位置(基準位置への位置決め)が磁気吸引力により安定し、コア50の回転止めを実現することができるとともに、可動体30と固定体20との間のクリアランスの最小化による振動アクチュエータ10自体の小型化を実現できる。また、ガタ抑制による騒音低減を部品の追加をすること無く、低コストで実現できる。
<効果3>
従来の平面形状や円筒形状のアクチュエータをリング型形状デバイス(ex.Φ15〜25mm)に取り付けようとした場合、デバイスにおけるアクチュエータの配置位置は、周辺部位(例えば、指など)との関係から制約があり、自由に設定することができない。リングとしても向きが規定されるので、自由な位置での装着はできない。一方、アクチュエータの出力を大きくするために、アクチュエータ自体の幅を大きくする場合、平面形状のまま幅を大きくすると、最終製品であるリングが大型化するという問題がある。
アクチュエータが平面形状の場合、外形側は皮膚から距離が開き、皮膚との接触面が少なくなる(線接触)。また、振動源と皮膚との間には筺体が介在するため、振動伝達が低減する可能性がある。
これに対し、本実施の形態によれば、振動アクチュエータ10は扁平な円弧状であるので、振動アクチュエータ10が取り付けられる最終製品の形状を、円弧を構成する湾曲面に、円筒の周面の湾曲を対応させて配置できる。これにより、図5に示すように、例えば、最終製品が円筒のように曲面(図5の装着部位に相当)を有する製品であっても、振動アクチュエータ10を円筒のどの位置にも対応して配置できる。この結果、例えば、リング形状デバイスの場合、湾曲する表面形状であり、皮膚組織における機械受容体の密度が高い手のひら側の皮膚に配置して、体感振動をより大きなものとすることができる。
具体的には、皮膚組織において機械受容体の密度が高い皮膚における装着部位に、振動アクチュエータ10は配置される。なお、皮膚組織は、皮膚表面から表皮、真皮、皮下組織という3層の粘弾性体により形成される。
機械受容体は、機械刺激をうけて求心性インパスルを引き起こす受容器である。検知機械受容体は、皮膚組織の表皮とその下の真皮との境界の凹凸部分において凹部に配置されるマイスナー小体、凸部に配置されるメルケル小体等、真皮の深部に存在するパチニ小体、ルフィニ終末等の触覚受容器を含む。ここでは、装着部位を、機械受容体が密集する皮膚組織を有する指腹部とする。この装着部位に、断面円弧の扁平板形状である振動アクチュエータ10の内周面であり、且つ、振動付与面である湾曲した底面(湾曲面部)27が、密着するように、振動アクチュエータ10を取り付ける。これにより、可動体30の往復動によって、底面27を介して機械受容体に直接的に振動刺激を付与できるので、外形形状を変えることなく、使用者により効果的に振動を付与でき、使用者の体感振動を大きく出来る。
また、出力を大きくしようとして湾曲方向の長さである幅を大きくする場合でも、内周面である底面(湾曲面部)27がアーチ状の湾曲面であるので、湾曲方向の長さである幅を広げても、最終製品の外寸への影響を無くすことができる。また、曲面である周面に対応して装着できるので、径の大きい外周を有する指の周りに装着する場合、複数台の実装も可能となる。さらに、振動アクチュエータ10の底面(湾曲面部)27が振動付与面となるが、その面全体で振動を付与できるので、振動付与面が広くなり、皮膚の機械受容体までの距離も短くでき、振動伝達を高めることができる。また、最終製品を円筒形状にできるので、指に装着する構成の場合、筺体の小型につながり小型・軽量・低コストとなるメリットがある。このように、小型化を図ることができるとともに、ユーザに効果的に振動を付与することができる。
<効果4>
また、振動アクチュエータ10は、可動体30を、ケース21の形状に対応した形状にして、ケース21の円弧状の曲線の中心と平行となる方向にリニア駆動させている。よって、断面円弧状の扁平板状であるケース21内で、最小クリアランスでの駆動が可能となり、可動体30の占有体積を広くすることが可能となり、出力を増加させる効果がある。例えば、振動アクチュエータ10と同外形の振動アクチュエータにおいて、ケース21と同外形のケース内で直方形状の可動体を可動させる構成と比較して、確実に小型化、出力増加を図ることができる。ケース21内において、ケース21を含む固定体20の各部と、可動体30とのクリアランスを最小にできるので、各部の設計自由度が向上する。
<効果5>
また、一般的な従来のVCM式のアクチュエータでは、可動体と固定体の互いの磁極面間のエアギャップが広くなり、磁気効率が悪く、また、構造も複雑であり、組立性も悪くなる。これに対して、振動アクチュエータ10では、固定体20に、NS2極の磁極面(対向面)61を有するマグネット60とコイル70とを配置し、可動体30に磁性体であるコア50を配置する構成としている。
これにより、コイル70中央の磁極を励磁し、マグネット60との磁気吸引力により推力発生させる仕組みとなるため、磁気抵抗の大きい従来のVCM方式に比べ電磁変換効率の向上を図ることができる。
<効果6>
また、ケース21内におけるコイル70の占めるスペースの配置自由度が高く、コイル70を大きく設計でき、これにより高出力化を発揮できる。また、コア50は円弧状の板材であり、曲げ加工を容易に行うことができ、円弧状の振動アクチュエータ自体において装着される装着面を、装着箇所の形状、例えば、曲面状に対応した曲面で構成できる。すなわち、振動アクチュエータ10自体を円弧状に形成して、装着した箇所への振動を、装着面の全面で伝達できるように容易に形成できる。
図1〜図5に示す実施の形態1の振動アクチュエータ10の構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
<効果7>
可動体30は、磁気バネにより予圧が掛けられた状態で弾性支持されるとともに、支軸である軸部80により保持されている。
これにより、ケース21内で、可動体30とのクリアランスを狭くしても干渉することなく組立が可能となる。また、可動体30の軌跡が安定するため、設計が容易となり、且つ、可動体30の安定した駆動が可能となる。また金属バネ40にコイルバネを用いる場合、コイルバネの中央に軸部80を通す構成となるので、組立性の向上及び安定したバネ保持が可能となる。
また、軸部80は、固定体20に固定されているので、固定体20に軸受がなくなり、軸固定に必要となるスペースを削減して薄型化を図りやすく、軸受と固定体20とをはめ合う必要が無く、軸受外径寸法および軸受を固定する部分の公差を緩和してコスト低減を図ることができる。
さらに、軸受け部52は、焼結材料であるので、軸受け部52に樹脂材料を用いた場合よりも、比重が高く、可動体30の質量を増加させることができ、高出力化を図ることができる。
<効果8>
振動アクチュエータ10の出力は、可動体30のストロークに依存するが、振動アクチュエータの設計上、短手方向に駆動させると、可動体30のストロークを確保しにくい。
また、可動体30の可動方向に金属バネを配置する場合、金属バネを配置するスペースを大きくとる必要がある。
特に、本実施の形態によれば、外形形状を変えることなく、使用者に対して、より効果的に振動を付与できる。つまりは、外形形状を大型化することなく、使用者の体感振動を大きくでき、小型化しても、振動をより効果的に使用者に付与できる。また、平面視矩形状をなし、側面視円弧状の扁平板形状である振動アクチュエータ10における可動体30の可動方向は振動アクチュエータの長手方向としている。これにより、ストロークに必要となるクリアランスが確保しやすく、高出力化が可能となる。また、可動方向に金属バネを配置しても、金属バネを配置するスペースを広くとることができ、設計自由度が向上し、結果、金属バネの応力緩和が生じやすくなり、耐久性に優れ、金属バネ自体の寿命、ひいては振動アクチュエータ10の製品寿命を延ばすことができる。
(実施の形態1の変形例)
図6〜図8は、振動アクチュエータ10の変形例としての振動アクチュエータ10Aを示す。
図6に示すように振動アクチュエータ10Aは、平板状の外形を有する。
振動アクチュエータ10Aは、振動アクチュエータ10の外形を平板状としたものであり、それに応じて各構成部材を円弧状から平板状に対応する形状に形成されている。
振動アクチュエータ10Aは、振動アクチュエータ10の構成要素の機能と同様の機能を有する構成要素から構成される。
振動アクチュエータ10Aは、固定体20Aと、可動体30Aと、を有する。
固定体20Aは、矩形箱状のケース21Aと、電源供給部25が接続されたフレーム22Aと、軸部80と、マグネット60と、コイル70と、カバー24Aとを有する。可動体30Aは、コアAを有し、フレーム22Aを介して、固定体20Aに対して、F方向に移動自在に支持されている。具体的には、可動体30Aは、振動アクチュエータ10の可動体30と同様に、金属バネ40と、コア50A及びマグネット60により発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。
すなわち、振動アクチュエータ10Aは、磁気吸引力により可動体30Aに予圧をかけて可動体30Aの回転を抑制し、且つ、位置決めを行うことによって、可動体30A自体が安定する構造を有する。マグネット60及びコア50Aとコイル70による電磁作用により可動体30Aが長手方向(F方向)で往復振動する。つまり、可動体30Aは、固定体20Aに対して、マグネット60とコア50Aとの互いの対向面61、51Aに沿う方向に往復振動する。
ケース21Aは、カバー24Aとともに中空の矩形内部を形成し、電磁シールドとして機能する。フレーム22Aは、ケース21内に、3壁部に沿って配置され、軸部80を長手方向、振動方向(F方向)に向けて固定する。また、フレーム22Aには、フレーム22と同様に、コア50Aの外周を囲むように配置されるコイル70が固定される。
また、ケース21A内には、フレーム22Aが配置されていない一壁部内面に沿ってマグネット60が、振動アクチュエータ10のマグネット60と同様に取り付けられている。可動体30Aは、コア50A、軸受け部52Aを有する。
コア50Aは、コア50と形状のみ異なりその他の構成及び機能は同様である。コア50Aは、軸部80に回動自在に取り付けられており、マグネット60との磁気吸引力、所謂、磁気バネによって弾性支持される。この磁気吸引力によって、コア50Aを含む可動体30に予圧がかかる状態となる。これにより、コア50Aは、軸部80周りの回転が規制される(所謂回転止め)とともに位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
コア50Aは、コイル70に電源供給部25から電源が供給されて励磁されることにより、コア50と同様に、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向に往復移動(往復振動)する。
振動アクチュエータ10Aは、上述の<効果1>、<効果2>を奏することができるとともに、振動アクチュエータ10では、固定体20Aに、NS2極の磁極面(対向面)61Aを有するマグネット60Aとコイル70とを配置し、可動体30Aに磁性体であるコア50Aを配置している。
これにより、扁平板状であるケース21A内で、最小クリアランスでの駆動が可能となり、可動体30の占有体積を広くすることが可能となり、出力を増加させる効果がある。
また、コイル70中央の磁極を励磁し、マグネット60との磁気吸引力により推力発生させる仕組みとなるため、磁気抵抗の大きい従来のVCM方式に比べ電磁変換効率の向上を図ることができる。さらに、ケース21A内におけるコイル70の占めるスペースの配置自由度が高く、コイル70を大きく設計して高出力化を図ることができる。
(実施の形態2)
図9は、本発明に係る実施の形態2の振動アクチュエータ10Bの構成を示す外観図であり、図10は、同振動アクチュエータ10Bの内部構成を示す平面図である。また、図11は、同振動アクチュエータ10Bの分解斜視図であり、図12は、同振動アクチュエータ10Bの可動体30Bの動きの説明に供する図である。なお、図12は、振動アクチュエータ10Bの磁気回路構成を模式的に示す平断面図であり、軸部80は省略している。
図9〜図12に示す振動アクチュエータ10Bは、振動アクチュエータ10の構造において、軸部80をケ−ス21の中央に長手方向に向けて配置し、その軸部80の軸方向と直交した両側に、コア501、502を配置した構造を有する。なお、振動アクチュエータ10Bの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
すなわち、振動アクチュエータ10Bは、扁平された円弧状断面を有する円弧状の扁平板形状をなしている。
振動アクチュエータ10Bは、固定体20Bと、可動体30Bと、金属バネ40と、を有する。
固定体20Bは、ケース21B、電源供給部25が接続されたフレーム22B、軸部80、マグネット60B、コイル70B、カバー24(図11参照)を有する。可動体30Bは、コア50Bと、軸受け部52Bとを有する。
ケース21Bは、側面視円弧状の周壁部を有し、内部にはフレーム22Bを介して、軸部80が架設されている。ケース21Bは断面円弧状の容器であり、ケース21Bの底面27は、湾曲面である。ケース21Bの開口に、円弧状板であるカバー24を取り付けることで、中空の電磁シールドが形成される。
ケース21B内には、枠状のフレーム22Bが取り付けられ、このフレーム22Bを介して、湾曲方向(周方向と直交する方向長手方向に配置される軸部80が、ケース21Bに支持されている。また、フレーム22Bには、コイル70B、マグネット60Bが固定される。
軸部80は、ケース21Bの円弧(湾曲面)を円周とする円の中心軸と平行な線上に配置され、フレーム22Bの両アーム間に架設さている。
軸部80は、一対のマグネット60B間に、マグネット60Bと平行に配置される。マグネット60Bと軸部80との間には、コイル70Bが、長手方向(円弧の中心方向と平行な方向)に沿って、互いに平行に配置される。
また、軸部80は、可動体30Bの軸受け部52Bを回動自在に挿通しており、軸受け部52Bから長手方向に突出する部位には、軸受け部52Bを挟むように金属バネ40が外挿されている。軸受け部52Bは、挟まれる金属バネ40により、長手方向の中央部分に位置するように付勢される。
軸受け部52Bは、長手方向に延在する円弧状のコア501、502間に配置され、これらコア501、502と一体に形成されている。
コア501、502は、コイル70B内に非接触で配置されており、長手方向に移動可能となっている。コア501、502において,軸受け部52Bを挟み周方向で互いに離間する一端面(対向面)51Bは、それぞれマグネット60Bの磁極面61Bに対向して配置されている。ここでは、対向面51Bは、磁極面61Bとギャップを空けて平行に配置されている。
このように、ケース21B内において、磁性体であるコア50Bと、マグネット60Bとは対向して配置されているので、コア50Bとマグネット60B間に磁気吸引力が発生する。マグネット60Bとの磁気吸引力、所謂、磁気バネによって弾性支持される。この磁気吸引力によって、コア50Bを含む可動体30Bに予圧がかかる状態となり、コア50Bは、軸部80周りの回転が規制される(所謂回転止め)とともに位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
このように構成される可動体30B(コア50B、軸受け部52B)は、金属バネ40と、コア50B及びマグネット60Bにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。
すなわち、振動アクチュエータ10Bは、磁気吸引力により可動体30Bに予圧をかけて可動体30Bの回転を抑制し、且つ、位置決めを行うことによって、可動体30B自体が安定する構造を有する。マグネット60B及びコア50Bとコイル70Bによる電磁作用により可動体30Bが往復振動する。コア50Bは、コイル70Bに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることにより、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図10参照)に往復移動(往復振動)する。つまり、可動体30Bは、固定体20Bに対して、マグネット60Bとコア50Bとの互いの対向面51B,61Bに沿う方向に往復振動する。
例えば、図12に示すように、マグネット60Bの極性(磁極面61B)を長手方向に並ぶN極、S極とし、これらをコア50Bの磁極面となる一端面(対向面)51Bに対向して長手方向に並べて配置する。コイル70Bにそれぞれ電流を供給してコア501の極性をN極、コア502の極性をS極にする。具体的には、電源供給部25からコイル70Bに可動体30Bの共振周波数frと略等しい周波数の交流を供給してコイル70Bを励磁する。すると、コア501、502は、F1方向に駆動する。また、コイル70Bに電流を逆方向に供給してコア501、502の極性をS極、N極にすると、コア501、502を有する可動体30Bは、F1方向とは真逆の−F1方向に駆動する。
これを繰り返すことにより、可動体30Bのコア501、502は、駆動基準位置となる位置(ここでは対向面51Bの長手方向の中心がマグネット60BのN極S極の中心と重なる位置)を基準にして、長手方向に両方向F(F1方向と−F1方向)に往復振動を行う。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
このように、振動アクチュエータ10Bでは、電源供給部25からコイル70Bへ入力される交流波によりコア50B、つまりコア50Bの対向面51Bが磁化され、固定体20B側のマグネット60Bに対して、効果的に磁気吸引力及び反発力が発生し、可動体30Bを効率良く駆動させることができる。
振動アクチュエータ10Bによれば、上記の<効果1>〜<効果8>と同様の効果を得ることができるとともに、更に次の効果を得ることができる。
また、振動アクチュエータ10Bでは、軸部80の両側でコア501、502と、マグネット60Bとの磁気吸引力により可動体30Bに予圧を掛けた状態となっている。この構成において、コイル70Bに給電することで、底面27の裏面側で可動体30Bを軸部80方向に往復動させるので、可動体30は、周方向でバランスよく、長手方向に往復振動できる。
図9〜図12に示す実施の形態2の振動アクチュエータ10Bの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態2の変形例)
図13〜図15は、振動アクチュエータ10Bの変形例としての振動アクチュエータ10Cを示す。
図13に示すように振動アクチュエータ10Cは、平板状の外形を有する。
振動アクチュエータ10Cは、振動アクチュエータ10の外形を平板状としたものであり、それに応じて各構成部材を円弧状から平板状に対応する形状に形成されている。
振動アクチュエータ10Cは、振動アクチュエータ10の構成要素の機能と同様の機能を有する構成要素から構成される。
振動アクチュエータ10Cは、固定体20Cと、可動体30Cと、を有する。
固定体20Cは、矩形箱状のケース21Cと、電源供給部25が接続されたフレーム22Cと、軸部80と、マグネット60Cと、コイル70Cと、カバー24Aとを有する。
可動体30Cは、コア501C,502C、軸受け部52Cを有し、フレーム22Cを介して、固定体20Cに対して、F方向に移動自在に支持されている。
ケース21Cは、振動伝達面であり且つ振動伝達面として機能する矩形底面28と、矩形枠状の周壁部とを有する。ケ−ス21Cの内部には矩形枠状のフレーム22Cを介して、軸部80が架設されている。ケース21Cの開口に、平板であるカバー24Aを取り付けることで、中空の電磁シールドが形成される。
ケース21C内には、枠状のフレーム22Cが取り付けられ、このフレーム22Cの短手方向の中央部には、長手方向に延在する軸部80が配置されている。軸部80は、一対のマグネット60C間で、マグネット60Cと平行に配置される。マグネット60Cと軸部80との間には、コイル70Cが、長手方向(円弧の中心方向と平行な方向)に沿って、互いに平行に配置される。
また、軸部80は、可動体30Cの軸受け部52Cを回動自在に挿通している。軸部80において、受け部52Cから長手方向に突出する部位には、軸受け部52Cを挟むように金属バネ40が外挿されている。軸受け部52Cは、挟まれる金属バネ40により、長手方向の中央部分に位置するように付勢される。
可動体30Cは、軸受け部52Cを介して、軸部80の両側に板状のコア501C、502Cを有し、コア501C、502Cは、コイル70C内で、長手方向(コイルの巻回方向と直交する方向)に移動自在に配置されている。
コア501C、502Cにおいて、軸受け部52Cを挟み周方向で互いに離間する一端面51Cは、それぞれマグネット60Cの磁極面61Cに対向して配置されている。ここでは、一端面51Cは、磁極面61Cとギャップを空けて平行に配置されている。このように、ケース21C内において、磁性体であるコア50Cと、マグネット60Cとは対向して配置されているので、コア50Cとマグネット60C間に磁気吸引力が発生する。マグネット60Cとの磁気吸引力、所謂、磁気バネによって弾性支持される。この磁気吸引力によって、コア50Cを含む可動体30Cに予圧がかかる状態となり、コア50Cは、軸部80周りの回転が規制される(所謂回転止め)とともに位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
このように構成される可動体30C(コア50C、軸受け部52C)は、金属バネ40と、コア50C及びマグネット60Cにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。
すなわち、振動アクチュエータ10Cは、磁気吸引力により可動体30Cに予圧をかけて可動体30Cの回転を抑制し、且つ、位置決めを行うことによって、可動体30C自体が安定する構造を有する。マグネット60C及びコア50Cとコイル70Cによる電磁作用により可動体30Cが往復振動する。コア50Cは、コイル70Cに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることにより、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図10参照)に往復移動(往復振動)する。つまり、可動体30Cは、固定体20Cに対して、マグネット60Cとコア50Cとの互いの対向面61C、51Cに沿う方向に往復振動する。この往復移動の駆動原理を示す磁気回路構成図は、図12に示す磁気回路構成と同様である。
実施の形態2及びその変形例の振動アクチュエータ10B、10Cによれば、固定体20B、20Cに、複数のマグネット60B、60Cと、コイル70B,70Cを、互いの間隔(エアギャップ)を小さくして配置できる。また、各振動アクチュエータ10B、10Cは、可動体30B,30Cを駆動させるための推力発生構造、つまり、磁気回路構造を2つ有する。
これにより、推力発生が複数箇所となるので、可動体30B、30Cを駆動するための磁気回路による推力の高出力化を実現できる。また、マグネット60B、60Cと、コイル70B,70Cを複数有することにより、マグネット60B、60Cと、コイル70B,70Cとで構成する磁気バネを大きくすることができ、磁気バネの設計要件を少なくして緩和することができ、設計自由度を向上させることができる。また、実施の形態2の振動アクチュエータ10Bによれば、フレーム22Bの中央で支軸部分を構成する軸部80を屈曲部として、振動アクチュエータ10Bの外形を断面円弧の扁平形状(アーチ形状ともいう)の実現を可能としている。すなわち、組み立てた可動体30Bを、軸部80を介してフレーム22Bに取り付けた後で、コイル70Bをフレーム22Bに取り付けると、コア501、502の外周に配置されるので、組立性の向上も図ることができる。
従来のVCM方式のアクチュエータと異なり、マグネット60B、60Cと、コイル70B、70Cの内部に配置されるコア50B、50Cとの間エアギャップを小さくして、磁気効率を高めることができる。また、推力発生構造が1つ(磁気回路が1系統)の場合よりも、磁極面積が大きくなり、推力を確実に確保できる。
(実施の形態3)
図16は、本発明に係る実施の形態3の振動アクチュエータ10Dの構成を示す外観図であり、図17は、同振動アクチュエータ10Dの内部構成を示す平面図である。また、図18は、同振動アクチュエータ10Dの分解斜視図であり、図19は、同振動アクチュエータ10Dの可動体30Dの動きの説明に供する図である。なお、図19は、振動アクチュエータ10Dの磁気回路構成を模式的に示す平断面図であり、軸部80は省略している。
図16〜図19に示す振動アクチュエータ10Dは、振動アクチュエータ10の磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造において、コア50Dとコイル70Dとを可動体30D側に設け、複数の極数のマグネット60Dを固定体20D側に設けている。なお、振動アクチュエータ10Dの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Dにおいて、固定体20Dは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極)のマグネット60Dを有し、可動体30Dは、スリットを有するE型形状コア504とそのスリットに配置されたコイル70Dとを有する。
振動アクチュエータ10Dは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)をなしている。振動アクチュエータ10Dは、固定体20Dと、可動体30Dと、金属バネ40と、を有する。
固定体20Dは、マグネット60Dの他、ケース21D、電源供給部25が接続されたホルダ22D、軸部80、カバー24(図18参照)を有する。可動体30Dは、コア50Dを有するE型形状コア504の他に、軸受け部52Dを有する。
ケース21Dは、ケース21と同様に形成され、側面視円弧状の周壁部を有し、内部にはホルダ22Dを介して、長手方向に沿う一側壁(背面側壁)側にマグネット60Dが配置され、他側壁側に軸部80が架設されている。
ケース21Dは、断面円弧状の容器であり、ケース21Dの底面27は、湾曲面であり、上方の開口に、円弧状板であるカバー24を取り付けることで、中空の電磁シールドが形成される。
ホルダ22Dは、ケース21D内において、軸部80を介して可動体30Dを軸方向に移動自在に支持する。
軸部80は、他側壁部に沿って配置され、ホルダ22Dにより両端部で圧入或いは接着により固定されることで支持されている。軸部80は、ケース21Dの円弧(湾曲面)を円周とする円の中心軸と平行な線上に配置される。
軸部80において、軸受け部52Dから長手方向に突出する部位には、軸受け部52Dを挟むように金属バネ40が外挿されている。軸受け部52D(E型形状コア504も同様)は、挟まれる金属バネ40により、長手方向の中央部分に位置するように付勢される。
マグネット60Dは、複数の磁極として磁極面61Dを有する。本実施の形態では、図16〜図19に示すように、4つの磁極を有する。マグネット60Dは、ケース21Dの長手方向(軸中心方向)に交互に異なる極性が並ぶように、一側壁部に固定(ここでは接着)される。また、磁極面61Dは、円弧の中心軸を通る面上に位置する面と平行に配置される。
可動体30DのE型形状コア504の対向面51D、506は、ケース21の一側壁側に沿って配置されるマグネット60Dの磁極(磁極面)61Dに平行に、且つ、対向して配置される。
E型形状コア504は、平面視E字状に形成され、ケ−ス21Dの形状に対応して、詳細には、ケース21Dの湾曲面である底面27に対応した断面円弧の扁平板状に形成されている。具体的には、E型形状コア504は、断面円弧の扁平板状の長手方向に沿う一辺を3分割するようにスリットを形成したE字状をなしている。E型形状コア504では、コイル70Dが巻回されたコア50Dを中央の凸部(中央凸極)として形成し、この中央凸部であるコア50Dに対して長手方向両側に隣接して、コア50Dと同様にマグネット60D側に突出するコア片505を有する。
コイル70Dは、コア50Dに対して、マグネット60Dの磁極面61Dに対向する部位を囲むように、コア50Dの外周を巻回している。コイル70Dは、可撓性を有する導電部材であるワイヤースプリング45に結線されている。コイル70Dは、ワイヤースプリング45を介して外部電源に接続される電源供給部25から給電される。
ワイヤースプリング(サスペンションワイヤーともいう)45は、導電性を有し、コイル70Dと、電源供給部25とに接続される。
コア50D及びコア片505は、一体に形成されている。
E型形状コア504は、対向面51D、506をマグネット60Dの磁極面61Dに対向させた側とは反対側で、軸受け部52Dに挿通する軸部80を介して固定体20Dに、ケース21D内で長手方向に移動自在に取り付けられている。
このように、振動アクチュエータ10Dでは、ケース21D内において、磁性体であるコア50D(具体的にはE型形状コア504)と、マグネット60Dとが、可動体30Dの駆動方向と直交する方向で対向して配置されている。これにより、コア50Dとマグネット60D間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Dは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、電源がコイル70Dに供給されていない場合でも、コア50Dを含む可動体30Dに予圧がかかる状態となる。よって、コア50Dは、固定体20D(主にケース21D等)に対して、軸部80周りの回転が規制される(所謂回転止め)とともに位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
このように構成される可動体30D(コア50D、軸受け部52D)は、金属バネ40と、コア50D及びマグネット60Dにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。
また、固定体20Dは、ケース21D、カバー24に加え、ケース21Dに接着された4極のマグネット60Dと軸部80と、ホルダ22Dとを有し、可動体30Dは、E型形状コア504と、コア50Dに接着固定された空芯コイル70Dと、コア50D及びコア片505にカシメ固定された焼結スリーブである軸受け部52Dとを有する。コイルにより励磁されたコアは磁気を帯び、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。
コア50Dは、コイル70Dに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることにより、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図17参照)に往復移動(往復振動)する。
例えば、図19に示すように、マグネット60Dの極性(磁極面61D)を長手方向に並ぶN極、S極とし、これらをコア50Dの磁極面となる対向面51D、506に対向して長手方向に並べて配置している。また、電源供給部25からコイル70Dに可動体30Dの共振周波数frと略等しい周波数の交流を供給してコイル70Dを励磁する。例えば、コイル70Dにそれぞれ電流を供給してコア50Dの極性をN極、これを挟む位置のコア片505の極性をS極にする。すると、コア50D及びコア片505(E型形状コア504)は、F1方向に駆動する。また、コイル70Dに電流を逆方向に供給してコア50D、コア片505の極性をS極、N極にすると、コア50D、505を含むE型形状コア504を備える可動体30Dは、F1方向とは真逆の−F1方向に駆動する。
これを繰り返すことにより、可動体30Dのコア501、502は、駆動基準位置となる位置(ここでは対向面51Dの長手方向の中心がマグネット60DのN極S極の中心と重なる位置)を基準にして、長手方向に両方向F(F1方向と−F1方向)に往復振動を行う。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
このように、振動アクチュエータ10Dでは、電源供給部25からコイル70Dへ入力される交流波によりコア50D、つまりコア50Dの対向面51Dが磁化され、固定体20D側のマグネット60Dに対して、効果的に磁気吸引力及び反発力が発生し、可動体30Dを効率良く駆動させることができる。
振動アクチュエータ10Dによれば、上記の<効果1>〜<効果8>と同様の効果を得ることができるとともに、更に次の効果を得ることができる。
また、可動体30DのE型形状コア504において、磁極面となる複数の異なる対向面51D、506は、中央の対向面51Dとは異なる磁極の対向面506を、対向面51Dの両側に長手方向で挟むように配置されている。これにより、磁気吸引力及び磁気反発力により可動体30Dを可動させる際に、長手方向にバランス良く推力を発揮させることが出来る。
コイル70Dが可動体30Dに含まれることにより、可動体30Dの質量を増加させることができ、高出力化を図ることができる。また、VCM方式と比較して、磁気抵抗が小さくでき、変換効率を高くして、高出力化を実現できる。さらに、磁極数を増加できるので、コア及びマグネットの磁極数が1−2極である構造に比べて、磁極数を増加させた分、変換効率に加え、磁気バネ力も増加する。よって、バネの設計要件が緩和されて、振動アクチュエータ10Dとしての設計自由度の向上を図ることができる。
図16〜図19に示す実施の形態3の振動アクチュエータ10Dの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態3の変形例)
図20〜図22は、振動アクチュエータ10Dの変形例としての振動アクチュエータ10Eを示す。
図20に示すように振動アクチュエータ10Eは、平板状の外形を有する。
振動アクチュエータ10Eは、振動アクチュエータ10の外形を平板状としたものであり、それに応じて各構成部材を円弧状から平板状に対応する形状に形成されている。
振動アクチュエータ10Eは、振動アクチュエータ10Dの構成要素の機能と同様の機能を有する構成要素から構成され、振動アクチュエータ10Dの磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造を有する。なお、振動アクチュエータ10Eの構成要素について、振動アクチュエータ10Dと同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。なお、振動アクチュエータ10Eの磁気回路構成は、図19に示す振動アクチュエータ10Dの磁気回路構成と同様である。よって、振動アクチュエータ10Eの磁気回路構成の説明の際には、図19を参照する。
振動アクチュエータ10Eは、固定体20Eと、可動体30Eと、金属バネ40と、を有する。固定体20Eは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極)のマグネット60Eを有し、可動体30Eは、スリットを有するE型形状コア504Eとそのスリットに配置されたコイル70Eとを有する。
振動アクチュエータ10Eは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)をなしている。
固定体20Eは、図21及び図22に示すように、マグネット60Eの他、矩形箱状のケース21E、電源供給部25が接続されたホルダ22E、軸部80、カバー24Aを有する。可動体30Aは、コア50Eを有するE型形状コア504Eの他に、軸受け部52Eを有する。
ケース21E内に、ホルダ22Eを介して、軸部80が、長手方向に沿う他側壁(正面側壁)側に、架設されている。また、軸部80と反対側の長手方向に沿う一端側には、他側壁にマグネット60Eが長手方向に交互に異なる磁極面が位置するように取り付けられている。
軸部80には、平板状の平面視E型形状のE型形状コア504Eの一側部が、長手方向に移動自在に配置に外挿されている。
E型形状コア504Eは、扁平板状の長手方向長手方向に沿う一辺を3分割するようにスリットを形成したE字状をなしている。E型形状コア504Eでは、コイル70Eが巻回されたコア50Eを中央の凸部(中央凸極)として形成し、この中央凸部に対して長手方向両側に隣接して、コア50Eと同様にマグネット60E側に突出するコア片505Eを有する。
E型形状コア504Eは、対向面51E、506Eは、マグネット60Eの磁極(磁極面)61Eに平行に、且つ、対向して配置される。
ホルダ22Eは、ケース21E内において、軸部80を介して可動体30Eを軸方向に移動自在に支持する。なお、軸部80まわりの構造は、振動アクチュエータ10Dの軸部80と同様の構造であるので詳細の説明は省略する。
コイル70Eは、コア50Eに対して、マグネット60Eの磁極面61Eに対向する対向面51Eを囲むように、コア50Eの外周を巻回している。コイル70Eは、結線されるワイヤースプリング45を介して電源供給部25から給電される。
振動アクチュエータ10Eでは、ケース21E内において、磁性体であるコア50E(具体的にはE型形状コア504E)と、マグネット60Eとが、可動体30Eの駆動方向と直交する方向で対向して配置されている。これにより、コア50Eとマグネット60E間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Eは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、電源がコイル70Eに供給されていない場合でも、コア50Eを含む可動体30Eに予圧がかかる状態となる。よって、コア50Eは、固定体20E(主にケース21E等)に対して、軸部80周りの回転が規制される(所謂回転止め)とともに位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
このように構成される可動体30E(コア50E、軸受け部52E)は、金属バネ40と、コア50E及びマグネット60Eにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。
また、コイル70Eにより励磁されたコア50E(E型形状コア504E)は磁気を帯び、対向配置されたマグネット60Eの磁極の関係に応じて推力が発生する。
コア50Eは、コイル70Eに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることにより、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図19に示す磁気回路構成と同じ)に往復移動(往復振動)する。
例えば、マグネット60Eの極性(磁極面61E)を長手方向に並ぶN極、S極と(図19参照)し、これらをコア50Eの磁極面となる対向面51E、506Eに対向して長手方向に並べて配置している。また、電源供給部25からコイル70Eに可動体30Eの共振周波数frと略等しい周波数の交流を供給してコイル70Eを励磁する。例えば、コイル70Eにそれぞれ電流を供給してコア50Eの極性をN極、これを挟む位置のコア片505の極性をS極にする。すると、コア50E及びコア片505(E型形状コア504E)は、F1方向に駆動する。また、コイル70Eに電流を逆方向に供給してコア50E、コア片505の極性をS極、N極にすると、コア50E、505Eを含むE型形状コア504Eを備える可動体30Eは、F1方向とは真逆の−F1方向に駆動する。
これを繰り返すことにより、可動体30Eのコア50E、502Eは、駆動基準位置となる位置(ここでは対向面51Eの長手方向の中心がマグネット60EのN極S極の中心と重なる位置)を基準にして、長手方向に両方向F(F1方向と−F1方向)に往復振動を行う。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
(実施の形態4)
図23は、本発明に係る実施の形態4の振動アクチュエータ10Fの構成を示す外観図であり、図24は、同振動アクチュエータ10Fの内部構成を示す平面図である。なお、図23及び図24では、振動アクチュエータ10Fは、内部構成が見えるように、カバー24を外した状態で図示している。なお、実際の外観図では、図1に示す振動アクチュエータと同様に、内部構成はカバーにより覆われる。また、図25は、同振動アクチュエータ10Fの分解斜視図であり、図26は、同振動アクチュエータ10Fの要部構成の位置関係を示す側面図である。また、図27は、可動体30Fの動きの説明に供する図であり、具体的には、振動アクチュエータ10Fの磁気回路構成を模式的に示す平断面図である。図27では、軸部80、ホルダ22F等は省略している。
図23〜図27に示す振動アクチュエータ10Fは、振動アクチュエータ10の磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造において、マグネットとヨークを可動体に備え、コイルとコアを固定体に備える。なお、振動アクチュエータ10Fの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Fは、図23に示すように、固定体20Fと、可動体30Fと、金属バネ40と、を有する。
図24に示すように、固定体20Fは、ケース21Fと、ホルダ22Fと、軸部80と、カバー24(図25参照)と、コイル(空芯)70Fと、スリットを有し、スリットにコイル70Fが配置されたE型形状コア504Fと、電源供給部25と、を有する。
一方、可動体30Fは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Fと、マグネット60F及び軸受け部52Fが固定されたヨーク90とを有する。
振動アクチュエータ10Fは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形の固定体20Fを有する。
ケース21Fは、ケース21と同様に形成され、側面視円弧状の周壁部を有し、長手方向に沿う一側壁(背面側壁)側にE型形状コア504Fが配置され、これに周方向で対向する他側壁側にホルダ22Fを介して軸部80が固定されている。
軸部80は、可動体30Fの軸受け部52Fを挿通した状態で、その両端部でホルダ22Fによって支持されており、ケース21Fの円弧(湾曲面)を円周とする円の中心軸と平行な線上に配置される。なお、ケース21Fは、カバー24を取り付けることで中空の電磁シールドを形成する。
ホルダ22Fは、ケース21F内において、軸部80を介して可動体30Fを軸方向に移動自在に支持する。
また、軸部80において、軸受け部52Fから長手方向に突出する部位には、軸受け部52Fを挟むように外挿された金属バネ40が外挿されている。軸受け部52F及びE型形状コア504Fは、挟まれる金属バネ40により、長手方向の中央部分に位置するように付勢される。
E型形状コア504Fは、平面視E字状に形成され、ケ−ス21Fの形状に対応して形成されている。詳細には、ケース21Fの湾曲面部である底面27に対応した断面円弧の扁平板状に形成されており、ケース21Fの一側面側に、一側面の延在方向に沿って固定されている。E型形状コア504Fは、断面円弧の扁平板状長手方向に沿う一辺を3分割するようにスリットを形成したE字状をなしている。E型形状コア504Fでは、コイル70Fがスリットを通して巻回しつつ、コア50Fの外周に配置されている。湾曲板状のコア50Fは、E型形状コア504Fにおける中央凸部(中央凸極)として機能する。E型形状コア504Fは、中央凸部に対して長手方向両側に隣接して一体的に形成され、コア50Fと同様にマグネット60F側に突出するコア片505Fを有する。
コイル70Fは、コア50Fの周囲に、マグネット60Fの磁極面61Fに対向する対向面51Fを囲むように、コア50Fの外周に巻回されており、電源供給部25に接続されている。コイル70Fは、電源供給部25から給電されることで励磁する。
マグネット60Fは、複数の磁極として磁極面61Fを有する。本実施の形態では、磁極面61Fには、図23〜図25及び図27に示すように、4つの異なる磁極が交互に配置されている。すなわち、マグネット60Fは、E型形状コア504Fの対向面に対向して、ケース21Fの長手方向(軸中心方向)に交互に異なる極性で並ぶように、配置されている。
磁極面61は、E型形状コア504Fの対向面51F、506Fに対して所定間隔を空けて、対向して且つ平行に配置されている。
ここで、図26に示すように、磁極面61Fと対向面51F、506Fは、円弧状の底面27の接線方向に対して傾斜している。このように磁極面61Fと対向面51F、506Fとが傾斜することで、磁極面61Fと対向面51F、506Fは、湾曲したケース21F内の限られたスペースにおいて、互いに対向する面積を極力大きくできる。これにより、磁気回路を駆動させた際に、効率良く磁束を集中させて高出力化を図ることができる。
なお、図26に示すように、マグネット60Fの高さ(円弧における半径方向の長さ)と、E型形状コア504Fの高さとは概ね同じ長さとしている。これにより、可動体30Fの位置を規制、つまり高さ方向にずれないように、長手方向(軸方向)に振動させることが可能となり、クリアランスの設計を容易に行うことができる。
マグネット60は、E型形状コア504Fに対して周方向逆側で、ヨーク90に接着されており、ヨーク90は、軸受け部52Fと一体に形成される。軸受け部52Fは、軸部80が挿通されるものであり、焼結スリーブベアリングにより形成される。軸受け部52Fは、ヨーク90にカシメ固定されている。
また、軸受け部52Fは、金属バネ40を介して弾性支持されている。これにより可動体30Fは、コイル70Fに給電されていない場合、金属バネ40及び磁気バネにより、ケース21F(固定体20F)内で、長手方向(円弧或いは湾曲の中心軸方向)の中心に位置するように付勢される。
また、ケース21F内において、磁性体であるコア片505F、コア50Fを有するE型形状コア504Fとマグネット60Fとが、可動体30Fの駆動方向と直交する方向で対向して配置されている。これにより、E型形状コア504Fとマグネット60F間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Fは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、コイル70Fに電源が供給されていない場合でも、コア50F、コア片505Fを含む可動体30Aに予圧がかかる状態となる。
よって、マグネット60Fは、固定体20F(主にケース21F等)に対して、軸部80周りの回転が規制(回転止め)されるとともに位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
このように、可動体30F(マグネット60F、ヨーク90、軸受け部52F)は、金属バネ40と、マグネット60F及びE型形状コア504Fにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。
また、固定体20Fは、ケース21F、カバー24Fに加え、ケース21Fに接着され、コイル70Fが巻回されたE型形状コア504Fと軸部80と、ホルダ22Fとを有する。可動体30Fは、マグネット60Fと、マグネット60Fに接着固定されたヨーク90と、ヨーク90にカシメ固定された焼結スリーブである軸受け部52Fとを有する。
電源供給部25を介してコイル70Fに給電して励磁すると、E型形状コア504Fのコア50Fは磁気を帯び、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。
具体的には、コア50Fが、コイル70Fに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることによりE型形状コア50F自体が励磁し、マグネット60Fを有する可動体30Fは、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図24参照)に往復移動(往復振動)する。
例えば、図27に示すように、可動体30Fとして、マグネット60Fの極性(磁極面61F)を、長手方向に並ぶN極、S極として、ヨーク90に取り付ける。マグネット60Fの磁極面61Fは、コア50F、コア片505Fの磁極面となる対向面51F、506Fに対向して磁極を交互に長手方向に並べて配置する。ここでは、対向する互いの極性の数を、マグネット4:コア3となるようにしている。なお、互いの極数の比は、マグネット:コア=2:3、3:2でもよい。また、電源供給部25からコイル70Fに可動体30Fの共振周波数frと略等しい周波数の交流を供給してコイル70Fを励磁する。コイル70Fにそれぞれ電流を供給してコア50Fの極性をN極、これを挟む位置のコア片505の極性をS極にする。すると、マグネット60Fは、F1方向に駆動する。また、コイル70Fに電流を逆方向に供給してコア50F、コア片505の極性をS極、N極にすると、マグネット60Fを備える可動体30Fは、F1方向とは真逆の−F1方向に駆動する。
これを繰り返すことにより、可動体30Fのマグネット60Fは、駆動基準位置となる位置、ここでは磁極面61Fの長手方向の中心(N極とS極との境界位置)がE型形状コア504Fの中心の対向面51FのN極の中心位置と重なる位置であり図24及び図27で示す可動体30Fの位置、を基準にして、長手方向に両方向F(F1方向と−F1方向)に往復振動を行う。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
このように、振動アクチュエータ10Fでは、電源供給部25からコイル70Fへ入力される交流波によりE型形状コア504F、つまり、コア50Fの対向面51F及びコア片505Fの対向面506Fが磁化され、可動体30F側のマグネット60Fの磁極面61Fに対して、効果的に磁気吸引力及び反発力が発生する。これにより、互いに対向する面に沿う方向、つまり、コア50Fの対向面51F及びコア片505Fの対向面506Fと、可動体30F側のマグネット60Fの磁極面61Fといった互いの面に沿う方向に、底面27の裏面側で可動体30Fを効率良く駆動させることができる。
振動アクチュエータ10Fによれば、上記の<効果1>〜<効果6>と同様の効果を得ることができるとともに、更に次の効果を得ることができる。
マグネット60F及びマグネット60Fと対向するE型形状コア504Fの高さ(厚み方向の長さ)が同一であるので、磁気吸引力の中性点が安定するため回転方向にずれにくくなり、可動体30Fを安定して高さ方向と直交する長手方向にリニア駆動させることができる。加えて、マグネット60Fの磁気吸引力により可動体30Fの位置が規制されているので、可動体30Jがケース21F及びカバー24Fの内壁面へ接触することを防止できる。更に、別途、可動体30Fを好適にリニア駆動させるための摺動部品を追加することなく位置を規制でき、コストがかからない。
また、固定体20FのE型形状コア504Fにおいて、対向面51F、506Fは、コイル70Fへの給電により、中央の対向面51Fの両側で、当該中央の対向面51Fとは異なる磁極となるように配置されている。一方、マグネット60Fは、磁極面61Fにおいて異なる4極面の境界部分に、E型形状コア504Fのコア50F及びコア片505Fの中央部分が位置するように配置される。
これにより、磁気吸引力及び磁気反発力により可動体30Fのマグネット60Fを可動させる際に、長手方向にバランス良く推力を発揮させることが出来る。
また、コイル70Fが可動体30Fに設けられることにより、可動体30Fの質量を増加させることができ、高出力化を図ることができる。また、VCM方式と比較して、磁気抵抗が小さくでき、変換効率を高くして、高出力化を実現できる。さらに、磁極数を増加できる構造であるので、コア及びマグネットの磁極数がコア1−2極である構造に比べて、磁極数を増加させた分、変換効率に加え、磁気バネ力も増加する。よって、バネの設計要件が緩和されて、振動アクチュエータ10Fとしての設計自由度の向上を図ることができる。
また、振動アクチュエータ10Fは、固定体20Fに、中央凸部(コア50F)にコイル70Fを巻回したE型形状コア504Fを配置し、可動体30Fに複数極(2極乃至4極、ここでは4極)のマグネット60Fを配置している(マグネットの極数Xに対してコアの極数X+1、或いはX−1)。これにより、従来のVCMの推力発生原理を用い、作用反作用の法則に従いコアを可動した場合と比較して、質量を大きくできるので、高出力化を図ることができる。
本実施の形態によれば、従来のVCMと比較して磁気抵抗を小さくでき、エネルギー変換効率が向上し、高出力化を図ることができる。
また、可動体30F及び軸部80を組み立てた組み立て品と、固定体20Fのコイル70F及びE型形状コア504Fを組み立てた組み立て品とをケース21Fに入れるだけで、振動アクチュエータ10Fを製造できる。したがって、組立性が高く、エアギャップの調整も容易に行うことができる。
また、マグネット60Fを可動体30F側に配置し、給電されるコイル70Fを固定体20F側に配置しているので、コイルを可動させる構成と比較すると、コイルに給電するためのワイヤースプリングも不要となり部品点数も減少させることができ、振動アクチュエータの組立性・信頼性・コスト優位性の向上を図ることができる。
図23〜図27に示す実施の形態4の振動アクチュエータ10Fの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態4の変形例)
図28は、実施の形態4の振動アクチュエータ10Fの変形例としての振動アクチュエータ10Gの内部構成を示す斜視図であり、図29は、同振動アクチュエータ10Gの内部構成を示す平面図である。図30は、同振動アクチュエータ10Gの分解斜視図であり、図31は、同振動アクチュエータ10Gの要部構成の位置関係を示す側面図である。
図28に示すように振動アクチュエータ10Gは、振動アクチュエータ10Fの外形を平板状としたものであり、それに応じて各構成部材を円弧状から平板状に対応する形状に形成されている。
振動アクチュエータ10Gは、振動アクチュエータ10Fの構成要素の機能と同様の機能を有する構成要素から構成され、振動アクチュエータ10Fの磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造を有する。
よって、振動アクチュエータ10Gの構成要素について、振動アクチュエータ10Fと同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
固定体20Gは、ケース21Gと、ホルダ22Gと、軸部80と、カバー24(図25参照)と、スリットを有し、このスリットにコイル(空芯)70Gが配置されたE型形状コア504Gと、コイル70Gに接続された電源供給部25と、を有する。一方、可動体30Gは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Gと、マグネット60G及び軸受け部52Gが固定されたヨーク90を有する。振動アクチュエータ10Gは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形の固定体20Gを有する。可動体30G(マグネット60G、ヨーク90G、軸受け部52G)は、金属バネ40と、マグネット60G及びE型形状コア504Gにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。
ケース21Gは、長手方向に沿う一側壁側にE型形状コア504Gが配置され、これに周方向で対向する他側壁側にホルダ22Gを介して軸部80が固定されている。軸部80は、ケース21Gの長手方向に沿って配置され、可動体30Gの軸受け部52Gを挿通した状態で、その両端部でホルダ22Gによって支持されている。ホルダ22Gは、ケース21G内において、軸部80を介して可動体30Gを長手方向に移動自在に支持する。また、軸部80には、軸受け部52Gの両側で、金属バネ40が外挿されている。電源供給部25を介してコイル70Fに給電して励磁すると、E型形状コア504Gは磁気を帯び、対向配置されたマグネット60Fの磁極の関係に応じて推力が発生する。E型形状コア504Gでは、コア50Gと、コア片505Gとは異なる極性で励磁し、これに対向配置されたマグネット60Gを有する可動体30Gは、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図24参照)に往復移動(往復振動)する。振動アクチュエータ10Gにおける可動体30Gの動きは図27に示す動きと同様である。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。振動アクチュエータ10Gは、平面形状の振動アクチュエータ10A、10C、10Eと同様の作用効果を奏する。
(実施の形態5)
図32は、本発明に係る実施の形態5の振動アクチュエータ10Hの構成を示す外観図であり、図33は、同振動アクチュエータ10Hの内部構成を示す平面図である。なお、図32および図33では、振動アクチュエータ10Hは、カバー24を外した状態で示される。なお、実際の外観図では、図1に示す振動アクチュエータと同様に、内部構成はカバーにより覆われる。また、図34は、同振動アクチュエータ10Hの分解斜視図であり、図35は、可動体30Hの動きの説明に供する図であり、具体的には、振動アクチュエータ10Hの磁気回路構成を模式的に示す平断面図である。なお、図35では、磁気回路構成及び可動体30H以外の構成要素(例えば、図32〜34で示す保持バネ部40H等)は省略している。
図32〜図35に示す振動アクチュエータ10Hは、可動体に予圧を加える磁気回路構造において、マグネットとヨークを可動体に備え、コイルとコアを固定体に備えている。振動アクチュエータ10Hの構成における予圧は、上述したように、軸が無いため、可動方向以外の動き(ここでは、保持バネ部40H等の板ばねのねじれ方向の動きや可動方向の動きと垂直方向の動き等)を規制する。なお、振動アクチュエータ10Hの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Hは、固定体20Hと、可動体30Hと、可動体30Hを弾性支持する保持バネ部40Hと、を有する。
固定体20Hは、ケース21と同様に形成されるケース21H、電源供給部25、カバー24(図34参照)、コイル(空芯)70Hが配置されたスリットを有するE型形状コア504Hを有する。一方、可動体30Hは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Hと、マグネット60Hが固定されたヨーク90Hとを有する。
固定体20Hは、底面27が湾曲面で構成され、ここでは固定体20H自体を外形が断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)に形成されている。
ケース21Hは、ケース21と同様に形成され、底面27の外縁から側面視円弧状の周壁部を有する。周壁部は、円弧状の両端壁と、矩形状の側壁212、214とで枠状に形成されており、周壁部のうち、長手方向に沿う一側壁(背面側壁)212側にE型形状コア504Hが配置され、E型形状コア504Hに周方向で対向する他側壁214側に、保持バネ部40Hの固定板部41が固定されている。
E型形状コア504Hと固定板部41との間に可動体30Hが配置される。なお、ケース21Hは、カバー24を取り付けることで中空の電磁シールドを形成する。
保持バネ部40Hは、金属材料等の弾性変形可能な材料により形成される。保持バネ部40Hは、ケース21Hと可動体30Hとを接続し、可動体30Hを、円弧(湾曲面)を円周とする円の中心軸方向(ここでは長手方向)に移動自在に支持する。
ここでは、保持バネ部40Hは、細長の帯状の金属板を加工して形成される。保持バネ部40Hでは、ケース21の他側壁214に固定される帯状の固定板部41の両端部からそれぞれアーム部43が略直交方向に突出されている。
アーム部43は同形状で互いに対向して配置され、それぞれ底辺が底面27に沿う形状となっている円弧板状に形成されている。
アーム部43は、ヨーク90Hにおいてマグネット60H側に向かって互いに接近する両側面のうち、マグネット60H側の端部に固定されている。アーム部43は、先端部以外では、ヨーク90Hの両側面から離間しており、アーム部43の先端部で、ヨーク90Hを挟み、且つ、変形により、ヨーク90Hを長手方向で移動可能に支持する。
保持バネ部40Hは、ヨーク90Hに取り付けられたマグネット60HをE型形状コア504Hに対して、互いの長手方向の中心が重なる位置(常態位置)で、所定間隔を空けて対向させた状態で保持する。この位置は、ケース21Hにおける長手方向の中央部分の位置である。この構成により、保持バネ部40Hは、弾性変形した状態において、ヨーク90Hつまり可動体30Hを、弾性変形により常態位置に位置するように付勢する。
E型形状コア504Hは、平面視E字状に形成され、ケ−ス21Hの形状に対応して且つケース21H内で長手方向に移動自在な大きさに形成されている。詳細には、ケース21Hの湾曲面である底面27に対応した断面円弧の扁平板状に形成されており、ケース21Hの一側壁側に、一側壁214の延在方向に沿って固定されている。
E型形状コア504Hにおいて、断面円弧の扁平板状の一辺部には、当該1辺を3分割する位置にスリットが形成されており、これによりE字状をなしている。すなわち、スリットによりE型形状コア504Hでは、中央凸部(中央凸極)となるコア50Hと、コア50Hに対して長手方向両側に隣接して一体的に形成されたコア片505Hとが、それぞれマグネット60H側に突出して形成されている。
また、スリットを介して長手方向に並ぶコア片505H、コア50H、コア片505Hの先端面は、マグネット60Hの磁極面61Hと対向する対向面506H、51H、506Hである。スリットには、コイル70Hが入り込み、コア50Hの外周を囲むように巻回することによってコア50Hの外周に配置されている。
コイル70Hは、コア50Hの周囲に、対向面51Hを囲むように配置され、且つ、電源供給部25に接続されている。コイル70Hは、電源供給部25から給電され、これにより、E型形状コア504Hの対向面506H、51H、506Hを励磁する。
マグネット60Hは、複数の磁極として磁極面61Hを有する。磁極面61Hは、E型形状コア504Hの対向面51H、506Hに対して所定間隔を空けて対向し、且つ、平行に配置されている。
本実施の形態では、磁極面61Hには、図35に示すように、4つの極性が、E型形状コアの対向面506H、51H、506Hに対向して、ケース21Hの長手方向(軸中心方向)に交互に異なる極性で並ぶように配置されている。
磁極面61Hと対向面51H、506Hは、円弧状の底面27に対してどのような角度で傾斜させてもよい。例えば、互いに平行な磁極面61Hと対向面506H、51H、506Hを、側面視して円弧を円周とする円の半径上に位置させる場合よりも傾斜させて、湾曲したケース21H内の限られたスペースで、対向する面積を極力大きくできる。これにより、磁気回路を駆動させた際に、効率良く磁束を集中させて高出力化を図ることができる。
なお、本実施の形態では、図26に示すマグネット60Fとコア片505Fのように、マグネット60Hの高さ(円弧における半径方向の長さ)と、E型形状コア504Hの高さとは概ね同じ長さとする。これにより、可動体30Hの位置を規制、つまり高さ方向にずれないように、長手方向(軸方向)に振動させることが可能となり、クリアランスの設計を容易に行うことができる。
マグネット60Hは、E型形状コア504Hに対して周方向逆側で、ヨーク90Hに接着されている。ヨーク90Hは、側面形状円弧状であり、且つ平面視して等脚台形状をなしている。ヨーク90Hでは、平面視して台形の上底と下底となる辺部のうち長い辺部にマグネット60Hが接着され、短い辺部を、固定板部41に対向させている。ヨーク90Hは、他側壁214側から、保持バネ部40Hのアーム部43を介して弾性支持されている。
また、ケース21H内において、磁性体であるコア片505H、コア50Hを有するE型形状コア504Hとマグネット60Hとが、可動体30Hの駆動方向と直交する方向で対向して配置されている。これにより、E型形状コア504Hとマグネット60H間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Hは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、コイル70Hに電源が供給されていない場合でも、コア50H、コア片505Hを含む可動体30Hに予圧がかかる状態となる。
よって、マグネット60Hは、固定体20H(主にケース21H等)に対して、周りの回転が規制される(所謂回転止め)とともに位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
このように、可動体30H(マグネット60H、ヨーク90H)は、コイル70Hに給電されていない場合、保持バネ部40Hと、マグネット60H及びE型形状コア504Hにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。保持バネ部40H及び磁気バネは、可動体30Hを、固定体20H内で、長手方向(円弧或いは湾曲の中心軸方向)の中心に位置するように付勢する機能を有する。
電源供給部25を介してコイル70Hに給電すると、E型形状コア504Hのコア50Hは磁気を帯び、E型形状コア50H自体が励磁し、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。コイル70Hに電流の流れの向きを交互に変え、つまり、コイル70Hに交流電流を供給することによって、E型形状コア50Hの対向面506H、51H、506Hを励磁すると、マグネット60Hを有する可動体30Hは、底面27の裏面側において、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図33参照)に往復移動(往復振動)する。
例えば、図35に示すように、可動体30Hを、マグネット60Hの極性(磁極面61H)を、長手方向に並ぶN極、S極として、ヨーク90Hに取り付けて構成する。マグネット60Hの磁極面61Hは、E型形状コア504Hにおけるコア50H、コア片505Hの磁極面となる対向面51H、506Hに対向して磁極を交互に長手方向に並べて配置する。
ここでは、対向する互いの極性の数を、マグネット4:コア3となるようにしている。なお、互いの極数の比は、マグネット:コア=2:3、3:2でもよい。また、電源供給部25からコイル70Hに可動体30Hの共振周波数Hrと略等しい周波数の交流を供給してコイル70Hを励磁する。コイル70Hにそれぞれ電流を供給してコア50Hの極性をN極、これを挟む位置のコア片505の極性をS極にする。すると、マグネット60Hは、F1方向に駆動する。また、コイル70Hに電流を逆方向に供給してコア50H、コア片505の極性をS極、N極にすると、マグネット60Hを備える可動体30Hは、まず、保持バネ部40Hのバネと、磁気バネによって、駆動基準位置(常態位置)に戻った後、F1方向とは真逆の−F1方向に駆動する。なお、駆動基準位置とは、ここでは磁極面61Hの長手方向の中心(N極とS極との境界位置)がE型形状コア504Hの中心の対向面51HのN極の中心位置と重なる位置であり図33及び図35で示す可動体30Hの位置である。これを繰り返すことにより、可動体30Hのマグネット60Hは、駆動基準位置を基準にして、長手方向に両方向F(F1方向と−F1方向)に往復振動を行う。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
このように、振動アクチュエータ10Hでは、電源供給部25からコイル70Hへ入力される交流波によりE型形状コア504Hが励磁、つまり、コア50Hの対向面51H及びコア片505Hの対向面506Hが磁化される。これにより、対向面506H、51H506Hと、可動体30H側のマグネット60Hの磁極面61Hとの間に、効果的に磁気吸引力及び反発力が発生する。
これにより、互いに対向する面に沿う方向、つまり、コア50Hの対向面51H及びコア片505Hの対向面506Hと、可動体30H側のマグネット60Hの磁極面61Hといった互いの面に沿う方向に、支持部材無しで、可動体30Hを効率良く駆動させることができる。
振動アクチュエータ10Hによれば、上記の<効果1>〜<効果6>及び<効果8>と同様の効果を得ることができるとともに、更に次の効果を得ることができる。
可動体30Hは、磁気バネにより予圧が掛けられた状態で弾性支持されるとともに、保持バネ部40Hにより保持されている。
これにより、ケース21H内で、可動体30Hとのクリアランスを狭くしても干渉することなく組立が可能となる。また、可動体30Hの軌跡が安定するため、設計が容易となり、且つ、可動体30Hの安定した駆動が可能となる。
また、可動体30Hを支持するための軸部80を有していないので、保持バネ部40Hが板バネであると、軸固定に必要となるスペースを削減して薄型化を図りやすい。
マグネット60H及びマグネット60Hと対向するE型形状コア504Hの高さ(厚み方向の長さ)が同一であるので、磁気吸引力の中性点が安定するため回転方向にずれにくくなり、可動体30Hを安定して高さ方向と直交する長手方向にリニア駆動させることができる。
加えて、マグネット60Hの磁気吸引力により可動体30Hの位置が規制されているので、可動体30Jがケース21H及びカバー24の内壁面へ接触することを防止する。更に、別途、可動体30Hを好適にリニア駆動させるための摺動部品を追加することなく位置を規制でき、コストがかからない。
また、固定体20HのE型形状コア504Hにおいて、対向面51H、506Hは、コイル70Hへの給電により、中央の対向面51Hの両側で、当該中央の対向面51Hとは異なる磁極となるように配置されている。一方、マグネット60Hは、磁極面61Hにおいて異なる4極面の境界部分に、E型形状コア504Hのコア50H及びコア片505Hの中央部分が位置するように配置される。
これにより、磁気吸引力及び磁気反発力により可動体30Hのマグネット60Hを可動させる際に、長手方向にバランス良く推力を発揮させることが出来る。
また、コイル70Hが可動体30Hに設けられることにより、可動体30Hの質量を増加させることができ、高出力化を図ることができる。また、VCM方式と比較して、磁気抵抗が小さくでき、変換効率を高くして、高出力化を実現できる。さらに、磁極数を増加できる構造であるので、コア及びマグネットの磁極数がコア1−2極である構造に比べて、磁極数を増加させた分、変換効率に加え、磁気バネ力も増加する。よって、バネの設計要件が緩和されて、振動アクチュエータ10Hとしての設計自由度の向上を図ることができる。
また、振動アクチュエータ10Hは、固定体20Hに、中央凸部(コア50H)にコイル70Hを巻回したE型形状コア504Hを配置し、可動体30Hに複数極(2極乃至4極、ここでは4極)のマグネット60Hを配置している(マグネットの極数Xに対してコアの極数X+1、或いはX−1)。これにより、従来のVCMの推力発生原理を用い、作用反作用の法則に従いコアを可動した場合と比較して、質量を大きくできるので、高出力化を図ることができる。
このように、本実施の形態によれば、従来のVCMと比較して磁気抵抗を小さくでき、エネルギー変換効率が向上し、高出力化を図ることができる。
また、保持バネ部40Hと可動体30Hとを組み立てた組み立て品と、固定体20Hのコイル70H及びE型形状コア504Hを組み立てた組み立て品とをケース21Hに入れるだけで、振動アクチュエータ10Hを製造できる。したがって、組立性が高く、エアギャップの調整も容易に行うことができる。
また、マグネット60Hを可動体30H側に配置し、給電されるコイル70Hを固定体20H側に配置しているので、コイルを可動させる構成と比較すると、コイルに給電するためのワイヤースプリングも不要となり部品点数も減少させることができ、振動アクチュエータ10Hの組立性・信頼性・コスト優位性の向上を図ることができる。
図32〜図36に示す実施の形態5の振動アクチュエータ10Hの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態5の変形例)
図36〜図38は、振動アクチュエータ10Hの変形例としての振動アクチュエータ10Iを示す。
図36に示すように振動アクチュエータ10Iは、振動アクチュエータ10の外形を平板状に形成し、それに応じて各構成部材を円弧状から平板状に対応する形状に形成されている。
振動アクチュエータ10Iは、振動アクチュエータ10Hの構成要素の機能と同様の機能を有する構成要素から構成され、振動アクチュエータ10Hの磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造を有する。なお、磁気回路構造及び可動体30Iの動きは、図35に示す磁気回路構造及び可動体30Hと同様である。
以下では、振動アクチュエータ10Iの構成要素について、振動アクチュエータ10Hと同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Iは、平板状の固定体20Iと、可動体30Iと、可動体30Iを弾性支持する保持バネ部40Iと、を有する。
固定体20Iは、平板状のケース21I、電源供給部25、カバー24(図34参照)、コイル(空芯)70Iが配置されたスリットを有するE型形状コア504Iを有する。一方、可動体30Iは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Iと、マグネット60Iが固定されたヨーク90Iとを有する。マグネット60Iは、保持バネ部40Iは、金属材料等の弾性変形可能な材料により形成される。保持バネ部40Iは、可動体30Iを可動自在に支持するように、ケース21Iに固定される。保持バネ部40Iは、可動体30Iを、円弧(湾曲面)を円周とする円の中心軸方向(ここでは長手方向)に移動自在に支持している。なお、これらケース21I、カバー24A(図34参照)、コイル(空芯)70I、E型形状コア504I、マグネット60I、ヨーク90I、保持バネ部40I等は、ケース21H、カバー24、コイル70H、E型形状コア504H、マグネット60H、ヨーク90H、保持バネ部40Hを、平板状にした構成以外は同様の構成機能を有する。
すなわち、可動体30I(マグネット60I、ヨーク90I)は、保持バネ部40Hと、マグネット60I及びE型形状コア504Iにより発生する磁気吸引力による磁気バネとにより弾性支持される。電源供給部25を介してコイル70Iに給電して励磁すると、E型形状コア504Iは磁気を帯び、対向配置されたマグネット60Iの磁極の関係に応じて推力が発生する。E型形状コア504Iでは、コア50Iと、コア片505Iとは異なる極性で励磁し、これに対向配置されたマグネット60Iを有する可動体30Iは、長手方向、つまり、周方向と直交するF方向(図37参照)に往復移動(往復振動)する。振動アクチュエータ10Iにおける可動体30Iの動きは図35に示す動きと同様である。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。振動アクチュエータ10Iは、平面形状の振動アクチュエータ10A、10C、10Eと同様の作用効果を奏する。
(実施の形態6)
図39は、本発明に係る実施の形態6の振動アクチュエータ10Jの構成を示す外観図であり、図40は、同振動アクチュエータ10Jの内部構成を示す平面図である。なお、図39及び図40では、振動アクチュエータ10Jは、内部構成が見えるように、カバー24を外した状態で図示している。なお、実際の外観図では、図1に示す振動アクチュエータと同様に、内部構成はカバーにより覆われる。また、図41は、同振動アクチュエータ10Jの分解斜視図である。
図39〜図41に示す振動アクチュエータ10Jは、振動アクチュエータ10の磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造において、コイルとコアを固定体に備え、マグネットとヨークを可動体に備える。なお、振動アクチュエータ10Jの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Jは、図39に示すように、固定体20Jと、固定体20Jに金属バネを介さずに、磁気バネにより可動自在に支持される可動体30Jと、を有する。
図40に示すように、固定体20Jは、ケース21Jと、ホルダ22Jと、軸部80と、カバー24(図41参照)と、コイル(空芯)70Jと、スリットにコイル70Jが配置されたE型形状コア504Jと、電源供給部25と、を有する。
一方、可動体30Jは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極、図39〜図41では4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Jと、マグネット60J及び軸受け部52Jが固定されたヨーク90Jとを有する。なお、軸部80に軸受け部52Jが吸着しない構成であれば、軸受け部52Jをヨーク90Jと一体にしてもよい。
固定体20Jは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形を有する。ケース21Jは、ケース21と同様に側面視円弧状に形成され、底面27の外周から周壁部が立設している。周壁部のうち長手方向に沿う一側壁(背面側壁)212の内側に沿ってE型形状コア504Jが配置され、これに周方向で対向する他側壁214の内側に沿ってホルダ22Jを介して軸部80が固定されている。
軸部80は、可動体30Jの軸受け部52Jを挿通した状態で、その両端部でホルダ22Jに固定される。軸部80は、ケース21Jの円弧(湾曲した底面27の断面形状)を円周とする円の中心軸と平行な線上に配置される。なお、ケース21Jは、カバー24を取り付けることで中空の電磁シールドを形成する。
ホルダ22Jは、ケース21J内において、軸部80を介して可動体30Jを軸方向に移動自在に支持する。
E型形状コア504Jは、ケース21J内で可動体30Jに対向して配置される。E型形状コア504Jは、ケース21Jの一側面側に、一側面の延在方向に沿って固定されている。E型形状コア504Jは、ケ−ス21Jの形状に対応して形成されており、ケース21Jの湾曲面である底面27に対応した断面円弧の扁平板の長手方向に沿う一辺を3分割するようにスリットを形成して、平面視E字状に形成されている。E型形状コア504Jは、スリットに挟まれて形成され、且つ、湾曲板状の中央凸部(中央凸極としてのコア50J)と、中央凸部に対して長手方向両側に隣接して一体的に形成され、コア50Jと同様にマグネット60J側に突出するコア片505Jと、を有する。コア50Jの外周には、コイル70Jが、スリットを通して巻回されている。
コア50J及びコア片505Jは、マグネット60Jの磁極面61Jに対向して配置される対向面51J、506Jを有する。
コア50Jの対向面51Jを囲むように、コイル70Jは、コア50Jの外周に配置され、且つ、電源供給部25に接続されている。コイル70Jは、電源供給部25から給電されることで励磁する。
マグネット60Jの磁極面61Jは、複数の磁極を備える。ここでは、本実施の形態では、磁極面61Jには、図39〜図41に示すように、4つの異なる磁極が交互に、ケース21Jの長手方向(軸中心方向)に並べて配置され、且つ、E型形状コアの対向面51J、506Jに対向して配置されている。
ここでは、磁極面61Jと対向面51J、506Jは、図26の実施形態4の磁極面61Fと対向面51F、506Fの構成と同様に、円弧状の底面27の接線方向に対して傾斜している。このように磁極面61Jと対向面51J、506Jとが互い平行に傾斜することで、磁極面61Jと対向面51J、506Jは、湾曲したケース21J内の限られたスペースにおいて、互いに対向する面積を極力大きくできる。これにより、磁気回路を駆動させた際に、効率良く磁束を集中させて高出力化を図ることができる。また、マグネット60Jの高さ(円弧における半径方向の長さ)と、E型形状コア504Jの高さとを概ね同じ長さにすれば、可動体30Jの位置を規制、つまり高さ方向にずれないように、長手方向(軸方向)に振動させることが可能となり、クリアランスの設計を容易に行うことができる。
マグネット60Jは、E型形状コア504Jに対して周方向逆側で、ヨーク90Jに接着されており、ヨーク90Jは、軸受け部52Jと一体に形成される。軸受け部52Jは、軸部80が挿通されるものであり、焼結スリーブベアリングにより形成される。軸受け部52Jは、ヨーク90Jにカシメ固定されている。
ケース21J内において、磁性体であるコア片505J、コア50Jを有するE型形状コア504Jとマグネット60Jとが、可動体30Jの駆動方向と直交する方向で対向して配置されている。これにより、E型形状コア504Jとマグネット60J間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Jは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、コイル70Jに電源が供給されていない場合でも、コア50J、コア片505Jを含む可動体30Jに予圧がかかる状態となる。
よって、マグネット60Jは、固定体20J(主にケース21J)に対して、軸部80周りの回転が規制(回転止め)されるとともに、長手方向(円弧或いは湾曲の中心軸方向)の中心に位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
電源供給部25を介してコイル70Jに給電して励磁すると、E型形状コア504Jのコア50Jは磁気を帯び、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。具体的には、コア50Jが、コイル70に電源供給部25から電源が供給されて励磁されることによりE型形状コア50J自体が励磁し、マグネット60Jを有する可動体30Jは、長手方向、つまり、周方向と直交するJ方向(例えば、図40参照)に往復移動(往復振動)する。つまり、可動体30Jは、固定体20Jに対して(具体的には底面27の裏面側で)、マグネット60Jとコア50Jとの互いの対向面61J、51Jに沿う方向に往復振動する。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
このように、振動アクチュエータ10Jでは、電源供給部25からコイル70Jへ入力される交流波によりE型形状コア504J、つまり、コア50Jの対向面51J及びコア片505Jの対向面506Jが磁化され、可動体30J側のマグネット60Jの磁極面61Jに対して、効果的に磁気吸引力及び反発力が発生する。これにより、互いに対向する面に沿う方向、つまり、コア50Jの対向面51J及びコア片505Jの対向面506Jと、可動体30J側のマグネット60Jの磁極面61Jといった互いの面に沿う方向に可動体30Jを効率良く駆動させることができる。
振動アクチュエータ10Jによれば、上記の効果1〜効果8と同様の効果を得ることができるとともに、可動体30J(マグネット60J、ヨーク90J、軸受け部52J)は、マグネット60J及びE型形状コア504Jにより発生する磁気吸引力による磁気バネにより弾性支持される。すなわち、金属バネを用いることなく可動体30Jを可動自在に弾性支持するので、金属バネを用いた際の金属バネの材料の疲労を考慮する必要がなくなり、振動アクチュエータの信頼性が向上する。
更に、次の効果を得ることができる。
また、マグネット60J及びマグネット60Jと対向するE型形状コア504Jの高さ(厚み方向の長さ)が同一であるので、磁気吸引力の中性点が安定するため回転方向にずれにくくなり、可動体30Jを安定して高さ方向と直交する長手方向にリニア駆動させることができる。加えて、マグネット60Jの磁気吸引力により可動体30Jの位置が規制されているので、可動体30Jがケース21J及びカバー24Jの内壁面へ接触することを防止できる。更に、別途、可動体30Jを好適にリニア駆動させるための摺動部品を追加することなく位置を規制でき、コストがかからない。
また、固定体20JのE型形状コア504Jにおいて、対向面51J、506Jは、コイル70Jへの給電により、中央の対向面51Jの両側で、当該中央の対向面51Jとは異なる磁極となるように配置されている。一方、マグネット60Jは、磁極面61Jにおいて異なる4極面の境界部分に、E型形状コア504Jのコア50J及びコア片505Jの中央部分が位置するように配置される。
これにより、磁気吸引力及び磁気反発力により可動体30Jのマグネット60Jを可動させる際に、長手方向にバランス良く推力を発揮させることが出来る。
また、コイル70Jが可動体30Jに設けられることにより、可動体30Jの質量を増加させることができ、高出力化を図ることができる。また、VCM方式と比較して、磁気抵抗が小さくでき、変換効率を高くして、高出力化を実現できる。さらに、磁極数を増加できる構造であるので、コア及びマグネットの磁極数がコア1−2極である構造に比べて、磁極数を増加させた分、変換効率に加え、磁気バネ力も増加する。よって、バネの設計要件が緩和されて、振動アクチュエータ10Jとしての設計自由度の向上を図ることができる。
また、振動アクチュエータ10Jは、固定体20Jに、中央凸部(コア50J)にコイル70Jを巻回したE型形状コア504Jを配置し、可動体30Jに複数極(2極乃至4極、ここでは4極)のマグネット60Jを配置している(マグネットの極数Xに対してコアの極数X+1、或いはX−1)。これにより、従来のVCMの推力発生原理を用い、作用反作用の法則に従いコアを可動した場合と比較して、質量を大きくできるので、高出力化を図ることができる。
本実施の形態によれば、従来のVCMと比較して磁気抵抗を小さくでき、エネルギー変換効率が向上し、高出力化を図ることができる。
また、可動体30J及び軸部80を組み立てた組み立て品と、固定体20Jのコイル70J及びE型形状コア504Jを組み立てた組み立て品とをケース21Jに入れるだけで、振動アクチュエータ10Jを製造できる。したがって、組立性が高く、エアギャップの調整も容易に行うことができる。
また、マグネット60Jを可動体30J側に配置し、給電されるコイル70Jを固定体20J側に配置しているので、コイルを可動させる構成と比較すると、コイルに給電するためのワイヤースプリングも不要となり部品点数も減少させることができ、振動アクチュエータの組立性・信頼性・コスト優位性の向上を図ることができる。
図39〜図41に示す実施の形態6の振動アクチュエータ10Jの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態7)
図42は、本発明に係る実施の形態7の振動アクチュエータ10Kの分解斜視図であり、図43は、同振動アクチュエータ10Kの内部構成を示す平面図である。なお、図43では、振動アクチュエータ10Kは、内部構成が見えるように、カバー24を外した状態で図示している。なお、実際の外観図では、図1に示す振動アクチュエータと同様に、内部構成はカバーにより覆われる。
図42及び図43に示す振動アクチュエータ10Kは、振動アクチュエータ10の磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造において、コイルとコアを固定体に備え、マグネットとヨークと軸部とを可動体に備える。なお、振動アクチュエータ10Kの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Kは、図42に示すように、固定体20Kと、金属バネ40と、金属バネ40と磁気バネにより可動自在に弾性支持される可動体30Kと、を有する。
図42に示すように、固定体20Kは、ケース21Kと、ホルダ22Kと、軸受け部52Kと、カバー24(図42参照)と、コイル(空芯)70Kと、スリットにコイル70Kが配置されたE型形状コア504Kと、電源供給部25と、を有する。
一方、可動体30Kは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極、図42〜図43では4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Kと、軸部80と、マグネット60Kが固定されたヨーク90Kとを有する。
固定体20Kは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形を有する。ケース21Kは、ケース21と同様に側面視円弧状に形成され、底面27の外周から周壁部が立設している。周壁部のうち長手方向に沿う一側壁(背面側壁)212の内側に沿ってE型形状コア504Kが配置され、これに周方向で対向する他側壁214の内側に沿ってホルダ22Kが固定されている。ホルダ22Kは、軸部80を介して可動体30Kを軸部80の軸方向、つまり、円弧の中心軸と平行な方向に可動自在に支持する。
E型形状コア504Kは、ケース21K内で可動体30Kに対向して配置される。E型形状コア504Kは、ケ−ス21Kの形状に対応して形成されており、ケース21Kの湾曲面である底面27に対応した断面円弧の扁平板の長手方向に沿う一辺を3分割するようにスリットを形成することにより平面視E字状に形成されている。E型形状コア504Kは、スリットに挟まれて形成され、且つ、湾曲板状の中央凸部(コア)50Kと、中央凸部に対して長手方向両側に隣接して一体的に形成され、コア50Kと同様にマグネット60K側に突出するコア片505Kと、を有する。コア50Kの外周には、コイル70Kが、スリットを通して巻回されている。
コア50K及びコア片505Kは、マグネット60Kの磁極面61Kに対向して配置される対向面51K、506Kを有する。
コア50Kの対向面51Kを囲むように、コイル70Kは、コア50Kの外周に配置され、且つ、電源供給部25に接続されている。コイル70Kは、電源供給部25から給電されることで励磁する。
マグネット60Kの磁極面61Kは、複数の磁極を備える。ここでは、本実施の形態では、磁極面61Kには、図42〜図43に示すように、4つの異なる磁極が交互に、ケース21Kの長手方向(軸中心方向)に並べて配置され、且つ、E型形状コアの対向面51K、506Kに対向して配置されている。
なお、マグネット60Kの高さ(円弧における半径方向の長さ)と、E型形状コア504Kの高さとを概ね同じ長さにすれば、可動体30Kの位置を規制、つまり高さ方向にずれないように、長手方向(軸方向)に振動させることが可能となり、クリアランスの設計を容易に行うことができる。
マグネット60Kは、E型形状コア504Kに対して周方向逆側で、ヨーク90Kに接着により固定され、ヨーク90Kには、軸部80が挿通して固定されている。
軸部80は、可動体30Kの軸受け部52Kを挿通した状態で、その両端部が軸受け部52Kに軸方向に移動自在に取り付けられている。軸受け部52Kは、ホルダ22Kに固定されており、これにより、軸部80は、可動体30Kの一部として、円弧(湾曲した底面27の断面形状)を円周とする円の中心軸と平行な線上で移動可能である。軸受け部52Kは、例えば、焼結スリーブベアリングにより形成される。また、ケース21Kは、カバー24を取り付けることで中空の電磁シールドを形成する。
ホルダ22Kは、ケース21K内において、軸部80と一体のマグネット60Kを有する可動体30Kを軸方向に移動自在に支持する。
軸受け部52Kと、ヨーク90Kとの間には、軸部80に、金属バネ40が外挿されている。
金属バネ40は、他の実施の形態の金属バネ40と同様に、ヨーク90Kに取り付けられたマグネット60KをE型形状コア504Kに対して、互いの長手方向の中心が重なる位置(常態位置)で、所定間隔を空けて対向させた状態で保持する。
ケース21K内において、磁性体であるコア片505K、コア50Kを有するE型形状コア504Kとマグネット60Kとが、可動体30Kの駆動方向と直交する方向で対向して配置されている。これにより、E型形状コア504Kとマグネット60K間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Kは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、コイル70Kに電源が供給されていない場合でも、コア50K、コア片505Kを含む可動体30Kに予圧がかかる状態となる。
よって、マグネット60Kは、固定体20K(主にケース21K)に対して、軸部80周りの回転が規制(回転止め)されるとともに、長手方向(円弧或いは湾曲の中心軸方向)の中心に位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
電源供給部25を介してコイル70Kに給電して励磁すると、E型形状コア504Kのコア50Kは磁気を帯び、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。具体的には、コア50Kが、コイル70Kに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることによりE型形状コア50K自体が励磁し、マグネット60Kを有する可動体30Kは、長手方向、つまり、周方向と直交するK方向(例えば、図42参照)に往復移動(往復振動)する。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
振動アクチュエータ10Kによれば、上記の<効果1>〜<効果8>と同様の効果を得ることができるとともに、可動体30K(マグネット60K、ヨーク90K、軸受け部52K)は、マグネット60K及びE型形状コア504Kにより発生する磁気吸引力による磁気バネにより弾性支持される。
更に、次の効果を得ることができる。
また、マグネット60K及びマグネット60Kと対向するE型形状コア504Kの高さ(厚み方向の長さ)が同一であるので、磁気吸引力の中性点が安定するため回転方向にずれにくくなり、可動体30Kを安定して高さ方向と直交する長手方向にリニア駆動させることができる。加えて、マグネット60Kの磁気吸引力により可動体30Kの位置が規制されているので、可動体30Kがケース21K及びカバー24の内壁面へ接触することを防止できる。更に、別途、可動体30Kを好適にリニア駆動させるための摺動部品を追加することなく位置を規制でき、コストがかからない。
加えて、振動アクチュエータ10Kでは、軸部80が可動するので、振動アクチュエータの設計時に可動体30Kの質量が不足する場合でも、軸部80の質量を可動体30Kの質量に加えることができ、これにより振動アクチュエータ10Kの出力の増加を図ることができる。
また、固定体20KのE型形状コア504Kにおいて、対向面51K、506Kは、コイル70Kへの給電により、中央の対向面51Kの両側で、当該中央の対向面51Kとは異なる磁極となるように配置されている。一方、マグネット60Kは、磁極面61Kにおいて異なる4極面の境界部分に、E型形状コア504Kのコア50K及びコア片505Kの中央部分が位置するように配置される。
これにより、磁気吸引力及び磁気反発力により可動体30Kのマグネット60Kを可動させる際に、長手方向にバランス良く推力を発揮させることが出来る。
また、コイル70Kが可動体30Kに設けられることにより、可動体30Kの質量を増加させることができ、高出力化を図ることができる。また、VCM方式と比較して、磁気抵抗が小さくでき、変換効率を高くして、高出力化を実現できる。さらに、磁極数を増加できる構造であるので、コア及びマグネットの磁極数がコア1−2極である構造に比べて、磁極数を増加させた分、変換効率に加え、磁気バネ力も増加する。よって、バネの設計要件が緩和されて、振動アクチュエータ10Kとしての設計自由度の向上を図ることができる。
また、振動アクチュエータ10Kは、固定体20Kに、中央凸部(コア50K)にコイル70Kを巻回したE型形状コア504Kを配置し、可動体30Kに複数極(2極乃至4極、ここでは4極)のマグネット60Kを配置している(マグネットの極数Xに対してコアの極数X+1、或いはX−1)。これにより、従来のVCMの推力発生原理を用い、作用反作用の法則に従いコアを可動した場合と比較して、質量を大きくできるので、高出力化を図ることができる。
本実施の形態によれば、従来のVCMと比較して磁気抵抗を小さくでき、エネルギー変換効率が向上し、高出力化を図ることができる。
また、可動体30K及び軸部80を組み立てた組み立て品と、固定体20Kのコイル70K及びE型形状コア504Kを組み立てた組み立て品とをケース21Kに入れるだけで、振動アクチュエータ10Kを製造できる。したがって、組立性が高く、エアギャップの調整も容易に行うことができる。
また、マグネット60Kを可動体30K側に配置し、給電されるコイル70Kを固定体20K側に配置しているので、コイルを可動させる構成と比較すると、コイルに給電するためのワイヤースプリングも不要となり部品点数も減少させることができ、振動アクチュエータの組立性・信頼性・コスト優位性の向上を図ることができる。
図42〜図43に示す実施の形態7の振動アクチュエータ10Kの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態8)
図44は、本発明に係る実施の形態8の振動アクチュエータ10Lの分解斜視図であり、図45は、同振動アクチュエータ10Lの内部構成を示す平面図である。なお、図45では、振動アクチュエータ10Lは、内部構成が見えるように、カバー24を外した状態で図示している。なお、実際の外観図では、図1に示す振動アクチュエータと同様に、内部構成はカバーにより覆われる。
図44及び図45に示す振動アクチュエータ10Lは、振動アクチュエータ10の磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造において、コイルとコアを固定体に備え、マグネットとヨークとを可動体に備える。なお、振動アクチュエータ10Lの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Lは、図44及び図45に示すように、固定体20Lと、金属バネ40と、金属バネ40と磁気バネにより可動自在に弾性支持される可動体30Lと、を有する。振動アクチュエータ10Lは、図23に示す振動アクチュエータ10Fと比較して、可動体30Lにおけるヨーク90Lに高比重材を付加した構成のみ異なり、その他の構成は略同様である。よって、振動アクチュエータ10Lの構成要素のうち、振動アクチュエータ10Fと同様の機能を有する構成要素については、同名称、同符号を付して説明は省略する。
図44に示す振動アクチュエータ10Lでは、固定体20Lは、固定体20F(図23参照)と略同様に形成され、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形を有する。固定体20Lでは、ケース21L内に、ホルダ22Lと、スリットにコイル70Lが配置されたE型形状コア504Lとが配置される。E型形状コア504Lには、コイル70Lに接続される電源供給部25が設けられている。また、ホルダ22Lには軸部80を介して可動体30Lが長手方向(円弧の中心軸と平行)に移動自在に支持されている。
なお、可動体30Lは、ホルダ22Lと軸受け部52Lとの間で、且つ軸部80に外挿された金属バネ40により、マグネット60Lの長手方向の中心位置が、E型形状コア504Lの長手方向の中心と重なる位置(常態位置)に、対向した状態で位置するように保持される。なお、ケース21Lは、カバー24を取り付けることで中空の電磁シールドを形成する。
可動体30Lは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極、図44及び図45では4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Lと、マグネット60Lが固定されたヨーク90Lとを有する。
ヨーク90Lには、例えばヨーク90L自体を構成するSECC等の材料で形成されるヨーク本体92よりも比重の高い高比重材94が付加されている。ここでは、高比重材94として、例えばタングステン、或いはタングステン合金等が用いられる。この場合、可動体30L(他の実施の形態の可動体も同様)の構成材料としては、SECC、電磁ステンレスは、ヨーク或いはコアとして、Nd焼結マグネットはマグネットとして、銅はコイルとして用いられる。例えば、比重の目安として、SECC:7.8、Nd焼結マグネット:7.4〜7.6、銅:8.9、タングステン:16〜19である。
なお、E型形状コア504Lは、ケース21L内で可動体30Lに対向して配置される。E型形状コア504Lは、ケ−ス21Lの形状に対応して形成されており、ケース21Lの湾曲面である底面27に対応した断面円弧の扁平板の長手方向に沿う一辺を3分割するようにスリットを形成することにより、平面視E字状に形成されている。E型形状コア504Lは、スリットに挟まれて形成され、且つ、湾曲板状の中央凸部(コア)50Lと、中央凸部に対して長手方向両側に隣接して一体的に形成され、コア50Lと同様にマグネット60L側に突出するコア片505Lと、を有する。コア50Lの外周には、コイル70Lが、スリットを通して巻回されている。
コア50L及びコア片505Lは、マグネット60Lの磁極面61Lに対向して配置される対向面51L、506Lを有する。
コア50Lの対向面51Lを囲むように、コイル70Lは、コア50Lの外周に配置され、且つ、電源供給部25に接続されている。コイル70Lは、電源供給部25から給電されることで励磁する。
マグネット60Lにおいて、E型形状コア504Lと対向する面である磁極面61Lは、複数の磁極を備える。ここでは、本実施の形態では、磁極面61Lには、図44及び図45に示すように、4つの異なる磁極が交互に、ケース21Lの長手方向(軸中心方向)に並べて配置され、且つ、E型形状コアの対向面51L、506Lに対向して配置されている。なお、マグネット60LとE型形状コア504Lの磁極面61L、対向面506L、51Lの角度は任意であり、例えば、図26に示す振動アクチュエータ10Fにおける磁極面61F、対向面504F、50Fの角度の関係と同様の関係に構成してもよい。
また、マグネット60Lの高さ(円弧における半径方向の長さ)と、E型形状コア504Lの高さとを概ね同じ長さにすれば、可動体30Lの位置を規制、つまり高さ方向にずれないように、長手方向(軸方向)に振動させることが可能となり、クリアランスの設計を容易に行うことができる。
ケース21L内において、磁性体であるコア片505L及びコア50Lを有するE型形状コア504Lと、マグネット60Lとが、可動体30Lの駆動方向と直交する方向で対向して配置されている。これにより、E型形状コア504Lとマグネット60L間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Lは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、コイル70Lに電源が供給されていない場合でも、コア50L、コア片505Lを含む可動体30Lに予圧がかかる状態となる。
よって、マグネット60Lは、固定体20L(主にケース21L)に対して、軸部80周りの回転が規制(回転止め)されるとともに、長手方向(円弧或いは湾曲の中心軸方向)の中心に位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
電源供給部25を介してコイル70Lに給電して励磁すると、E型形状コア504Lのコア50Lは磁気を帯び、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。具体的には、コア50Lが、コイル70Lに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることによりE型形状コア50L自体が励磁し、マグネット60Lを有する可動体30Lは、底面27の裏面側で、ケース21Lの長手方向、つまり、周方向と直交するF方向に往復移動(往復振動)する。可動体30Lは、固定体20Lに対して、マグネット60Lとコア50Lとの互いの対向面61L、51Lに沿う方向に往復振動する。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
振動アクチュエータ10Lによれば、上記の<効果1>〜<効果8>と同様の効果を得ることができる。さらに、振動アクチュエータ10Lは、可動体30Lに、可動体30Lの主な構成要素を構成する材料よりも高比重の材料(高比重材)、ここではタングステンを付加している。
例えば、可動体30Lの主な構成要素、例えば、ヨーク90L、軸受け部52L、コイル、マグネット等に、SECC、電磁ステンレス等の鉄系材料や銅コイル・Nd焼結マグネットが用いられる場合、その比重は、7〜9程度である。これにより、従来の設計において、決定された大きさの可動体の質量を増加させたい場合、材質の選定は課題であったが、本実施の形態では、SECCで形成したヨーク本体92にタングステンである高比重材94を付加して可動体30Lを形成している。
これにより、ヨーク90L全体をSECCで形成した可動体と、ヨーク90LとしてSECCによるヨーク本体92及びタングステンによりなる高比重材94で形成した可動体とでは、高比重材の比重が16〜19程度である分、可動体質量を増加させることができ、結果出力が増加できる。
また、マグネット60L及びマグネット60Lと対向するE型形状コア504Lの高さ(厚み方向の長さ)が同一であるので、磁気吸引力の中性点が安定するため回転方向にずれにくくなり、可動体30Lを安定して高さ方向と直交する長手方向にリニア駆動させることができる。加えて、マグネット60Lの磁気吸引力により可動体30Lの位置が規制されているので、可動体30Lがケース21L及びカバー24の内壁面へ接触することを防止できる。更に、別途、可動体30Lを好適にリニア駆動させるための摺動部品を追加することなく位置を規制でき、コストがかからない。
また、可動体30L及び軸部80を組み立てた組み立て品と、固定体20Lのコイル70L及びE型形状コア504Lを組み立てた組み立て品とをケース21Lに入れるだけで、振動アクチュエータ10Lを製造できる。したがって、組立性が高く、エアギャップの調整も容易に行うことができる。
また、マグネット60Lを可動体30L側に配置し、給電されるコイル70Lを固定体20L側に配置しているので、コイルを可動させる構成と比較すると、コイルに給電するためのワイヤースプリングも不要となり部品点数も減少させることができ、振動アクチュエータの組立性・信頼性・コスト優位性の向上を図ることができる。
図44及び図45に示す実施の形態8の振動アクチュエータ10Lの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態9)
図46は、本発明に係る実施の形態9の振動アクチュエータ10Mの分解斜視図であり、図47は、同振動アクチュエータ10Mの要部構成の位置関係を示す側面図である。
図46及び図47に示す振動アクチュエータ10Mは、振動アクチュエータ10の磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造において、コイルとコアを固定体に備え、マグネットとヨークとを可動体に備える。なお、振動アクチュエータ10Mの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
具体的には、振動アクチュエータ10Mは、振動アクチュエータ10F(図23〜図27参照)の構成において、マグネット60Fの形状と、E型形状コア504Fの形状異なる点を除き、その他の構成は同様である。
すなわち、振動アクチュエータ10Mは、固定体20Mと、金属バネ40と、金属バネ40と磁気バネにより可動自在に弾性支持される可動体30Mと、を有する。
固定体20Mは、固定体20F(図23参照)と略同様に形成され、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形を有する。固定体20Mでは、ケース21M内に、ホルダ22Mと、スリットにコイル70Mが配置されたE型形状コア504Mとが配置される。E型形状コア504Mには、コイル70Mに接続される電源供給部25が設けられている。また、ホルダ22Mには軸部80を介して可動体30Mが長手方向(円弧の中心軸と平行)に移動自在に支持されている。
なお、可動体30Mは、ホルダ22Mと軸受け部52Mとの間で、且つ軸部80に外挿された金属バネ40により、マグネット60Mの長手方向の中心位置が、E型形状コア504Mの長手方向の中心と重なる位置(常態位置)に、対向した状態で位置するように保持される。なお、ケース21Mは、カバー24を取り付けることで中空の電磁シールドを形成する。
可動体30Mは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極、図46及び図47では4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Mと、マグネット60Mが固定されたヨーク90Mとを有する。
マグネット60Mは、E型形状コア504Mに対して周方向逆側で、ヨーク90Mに接着されており、ヨーク90Mは、軸受け部52Mと一体に形成される。軸受け部52Mは、軸部80が挿通されるものであり、焼結スリーブベアリングにより形成される。軸受け部52Mは、ヨーク90Mにカシメ固定されて一体的に設けられている。軸受け部52Mには軸部80が挿通されている。可動体30Mは、軸部80を介して、固定体20Mに対して、長手方向、つまり、円弧の中心軸と平行、つまり中心軸の延在方向と同方向に、可動自在、軸部80周りにも回動自在に支持されている。
E型形状コア504Mは、ケース21M内で可動体30Mに対向して配置される。E型形状コア504Mは、ケ−ス21Mの形状に対応して形成されており、ケース21Mの湾曲面である底面27に対応した断面円弧の扁平板の長手方向に沿う一辺を3分割するようにスリットを形成することにより平面視E字状に形成されている。E型形状コア504Mは、スリットに挟まれて形成され、且つ、湾曲板状の中央凸部(コア)50Mと、中央凸部に対して長手方向両側に隣接して一体的に形成され、コア50Mと同様にマグネット60M側に突出するコア片505Mと、を有する。コア50Mの外周には、コイル70Mが、スリットを通して巻回されている。
コア50M及びコア片505Mは、マグネット60Mの磁極面61Mに対向して配置される対向面51M、506Mを有する。
本実施の形態では、図47に示すように、振動アクチュエータ10Fと比較して、コア50M及びコア片505Mと、マグネット60Mの磁極面61Mとが、互いに鉛直方向に延在するように配置される。
振動アクチュエータ10Mでは、可動体30Mにおけるマグネット60Mは、平角マグネットにより形成されている。
これにより、振動アクチュエータの外形の曲率や軸部80の配置関係も関係するが、マグネット60MとE型形状コア504Mとのエアギャップの位置と、可動体30Mを支持する軸部80の位置とを、振動アクチュエータ10Mの中心に対して概ね対称となる位置に配置させることができる。つまり、マグネット60Mとして、汎用な形状のマグネットを用いることによって、振動アクチュエータ自体のコストの低減を図ることができる。これは、マグネット60Mの磁極面61Mと、E型形状コア504Mの対向面51M、506Mとの間の磁気吸引力により、可動体30Mの位置が移動する構造であるので、その調整に、マグネット60の磁極面61Mの角度を調整する必要があり、実施の形態4のように、マグネット形状が断面台形形状となり、コスト増につながることに起因する。
なお、E型形状コア504Mとマグネット60M間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Mは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によって、コイル70Mに電源が供給されていない場合でも、コア50M、コア片505Mを含む可動体30Mに予圧がかかる状態となる。
よって、マグネット60Mは、固定体20M(主にケース21M)に対して、軸部80周りの回転が規制(回転止め)されるとともに、長手方向(円弧或いは湾曲の中心軸方向)の中心に位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。
電源供給部25を介してコイル70Mに給電して励磁すると、E型形状コア504Mのコア50Mは磁気を帯び、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。具体的には、コア50Mが、コイル70Mに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることによりE型形状コア50M自体が励磁し、マグネット60Mを有する可動体30Mは、長手方向、つまり、周方向と直交するM方向(例えば、図27に示す可動体30Fの動きと同様)に往復移動(往復振動)する。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
また、マグネット60M及びマグネット60Mと対向するE型形状コア504Mの高さ(厚み方向の長さ)が同一であるので、磁気吸引力の中性点が安定するため回転方向にずれにくくなり、可動体30Mを安定して高さ方向と直交する長手方向にリニア駆動させることができる。加えて、マグネット60Mの磁気吸引力により可動体30Mの位置が規制されているので、可動体30Mがケース21M及びカバー24の内壁面へ接触することを防止できる。更に、別途、可動体30Mを好適にリニア駆動させるための摺動部品を追加することなく位置を規制でき、コストがかからない。
また、可動体30M及び軸部80を組み立てた組み立て品と、固定体20Mのコイル70M及びE型形状コア504Mを組み立てた組み立て品とをケース21Mに入れるだけで、振動アクチュエータ10Mを製造できる。したがって、組立性が高く、エアギャップの調整も容易に行うことができる。
また、マグネット60Mを可動体30M側に配置し、給電されるコイル70Mを固定体20M側に配置しているので、コイルを可動させる構成と比較すると、コイルに給電するためのワイヤースプリングも不要となり部品点数も減少させることができ、振動アクチュエータの組立性・信頼性・コスト優位性の向上を図ることができる。
図46及び図47に示す実施の形態9の振動アクチュエータ10Mの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
(実施の形態10)
図48は、本発明に係る実施の形態10の振動アクチュエータ10Nの構成を示す外観図であり、図49は、同振動アクチュエータ10Nの内部構成を示す平面図である。なお、図48および図49では、振動アクチュエータ10Nは、カバー24を外した状態で示され、実際の外観図では、図1に示す振動アクチュエータと同様に、内部構成はカバーにより覆われる。また、図50は、同振動アクチュエータ10Nの分解斜視図であり、図51は、振動アクチュエータ10Nにおいて、固定体から可動体を外した図である。
図48〜図51に示す振動アクチュエータ10Nは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形において、振動アクチュエータ10の磁気回路と同様に可動体に予圧を加える磁気回路構造を有する。また、可動体は円弧の周方向に移動する。ここでは、コイルとコアを固定体に備え、マグネットとヨークを可動体に備える。
なお、振動アクチュエータ10Nの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Nは、図48に示すように、固定体20Nと、固定体20Nに金属バネ40及び磁気バネ(マグネット60N、E型形状コア504Nで形成)により可動自在に弾性支持される可動体30Nと、を有する。
図49及び図50に示すように、固定体20Nは、ケース21Nと、ホルダ22Nと、レール80Nと、カバー24と、コイル(空芯)70Nと、スリットにコイル70Nが配置されたE型形状コア504Nと、電源供給部25と、を有する。
一方、可動体30Nは、ケース21Nの形状に対応して形成され、ここでは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形を有するように形成されている。
可動体30Nは、複数の磁極(例えば、2極ないし4極、図48〜図51では4極)が長手方向に交互に配置されたマグネット60Nと、マグネット60Nが固定されたヨーク90Nと、ヨークが固定されたスライダ52Nと、を有する。
固定体20Nは、断面円弧の扁平板形状(湾曲した扁平板状)の外形のケース21Nを有し、ケース21Nは、ケース21と同様に側面視円弧状に形成される。ケース21Nにおいて底面27の外周から周壁部のうち円弧状の一側壁212Nの内側に沿ってE型形状コア504Nが配置される。一側壁212Nに周方向で対向する他側壁214Nの内側に沿って湾曲形状のレール80Nが固定されている。
E型形状コア504Nは、ケ−ス21Nの形状に対応して形成されており、ケース21Nの湾曲面である底面27に対応した断面円弧の扁平板の周方向に沿う一辺を3分割するように断面円弧の中心軸と平行に切り込まれたスリットを有する。これにより、E型形状コア504Nは、周方向と直交する方向に突出した3つの片(コア50N、コア片505N)を有する平面視E字状に形成されている。
E型形状コア504Nは、ケース21N内で可動体30Nに対向して配置される。
コア50Nは、スリットに挟まれた中央凸部であり、この中央凸部に対して長手方向両側に隣接して、マグネット60N側に突出するコア片505Nが一体で形成されている。コア50N及びコア片505Nは、マグネット60Nに対向して配置され、マグネット60Nの磁極面61Nに対向して配置される対向面51N、506Nを有する。
コア50Nの対向面51Nを囲むように、コイル70Nが、コア50Nの外周に配置され、且つ、電源供給部25に接続されている。コイル70Nは、電源供給部25から給電されることで励磁する。
レール80Nは、ケース21Nの円弧(湾曲した底面27の断面形状)に沿って配置される。なお、ケース21Nは、カバー24を取り付けることで中空の電磁シールドを形成する。
レール80Nは、他側壁214Nに固定される固定板部82と、摺動棒84とを有する。
摺動棒84は、固定板部82に沿って、固定板部82から所定間隔を空けて対向して配置されている。摺動棒84は、固定板部82の中央部に突設されたリブ86に固定され、両端部が周方向に突出して自由端となっている。
摺動棒84には、複数の金属バネ40が外挿され、金属バネ40どうしの間の部分に、可動体30Nのスライダ52Nの摺動爪部525が、摺動自在に係合する。摺動爪部525が摺動棒84に係合することによって、可動体30Nは、レール80Nによって、レール80Nの延在方向に移動自在に支持される。
可動体30Nは、マグネット60Nの磁極面61Nを、E型形状コア504Nの対向面51N、506Nに対してギャップを空けて対向して配置させる。磁極面61Nは、複数の磁極を備える。ここでは、本実施の形態では、磁極面61Nには、図48〜図51に示すように、4つの異なる磁極が交互に、可動体30Nの移動方向(ここでは周方向)、つまり、ケース21Nの長手方向(周方向)に沿って並べて配置される。
なお、マグネット60Nの高さ(円弧における半径方向の長さ)と、E型形状コア504Nの高さとを概ね同じ長さにすれば、可動体30Nの位置を規制、つまり高さ方向にずれないように、長手方向(周方向)に振動させることが可能となり、クリアランスの設計を容易に行うことができる。
マグネット60Nは、ヨーク90Nに接着されており、ヨーク90Nは、スライダ52Nに固定されている。スライダ52Nにおいて、少なくとも摺動爪部525はここでは、焼結金属により形成される。
このように、ケース21N内において、固定体20Nに含まれ、且つ、磁性体であるコア片505N、コア50Nを有するE型形状コア504Nと、可動体30Nに含まれるマグネット60Nとが、可動体30Nの駆動方向に沿う対向面51N、506N面、磁極面61Nで対向して配置されている。
これにより、E型形状コア504Nとマグネット60N間に磁気吸引力が発生して、この磁気吸引力、所謂、磁気バネによって可動体30Nは、弾性支持される。また、この磁気吸引力によってE型形状コア504Nとマグネット60Nとの間に磁気バネが形成され、これにより、コイル70Nに電源が供給されていない場合でも、コア50N、コア片505Nを含む可動体30Nに予圧がかかる状態となる。
よって、マグネット60Nは、固定体20N(主にケース21N)に対して、摺動棒84周りの回転が規制(回転止め)されるとともに、長手方向(円弧或いは湾曲の中心軸方向)の中心に位置決めされた状態(可動体の位置決め)となる。これにより、マグネット60Nの磁気吸引力により可動体30Nの位置が規制されるので、可動体30Nがケース21N及びカバー24の内壁面へ接触することを防止できる。更に、別途、可動体30Nを好適にリニア駆動させるための摺動部品を追加することなく位置を規制でき、コストがかからない。
また、電源供給部25を介してコイル70Nに給電して励磁すると、E型形状コア504Nのコア50Nは磁気を帯び、対向配置されたマグネットの磁極の関係に応じて推力が発生する。具体的には、コア50Nが、コイル70Nに電源供給部25から電源が供給されて励磁されることによりE型形状コア50N自体が励磁し、マグネット60Nを有する可動体30Nは、長手方向、つまり、周方向と直交するN方向(例えば、図49参照)に往復移動(往復振動)する。なお、この駆動原理は、上記式(1)、(2)、(3)によって実現される実施の形態1の振動アクチュエータ10の同様の動作原理である。
このように、振動アクチュエータ10Nの可動体30Nは、E型形状コア504N(コア50N)及びマグネット60N間で発生する磁気吸引力により予圧がかかる状態で弾性支持され、且つ、給電によるコイル70Nの励磁によって、固定体20Nに対して、マグネット60NとE型形状コア504N(コア50N)との互いの対向面に沿う方向に往復振動する。
すなわち、振動アクチュエータ10Nでは、電源供給部25からコイル70Nへ入力される交流波によりE型形状コア504N、つまり、コア50Nの対向面51N及びコア片505Nの対向面506Nが磁化され、可動体30N側のマグネット60Nの磁極面61Nに対して、効果的に磁気吸引力及び反発力が発生する。これにより、互いに対向する面に沿う方向、つまり、コア50Nの対向面51N及びコア片505Nの対向面506Nと、可動体30N側のマグネット60Nの磁極面61Nといった互いの面に沿う方向に可動体30Nを効率良く駆動させることができる。
振動アクチュエータ10Nによれば、上記の<効果1>〜<効果8>と同様の効果を得ることができるとともに、振動アクチュエータ10Nの円弧の中心軸方向と垂直方向に可動体30Nが駆動するので、アスペクト比を反転させて、円弧(アーチ曲線)の中心方向に長い構成にすることなく、駆動長さ、つまり、振動量を確保して、円弧(アーチ曲線)の中心方向に短いアクチュエータが提供できる。また、円弧の周方向に長いアクチュエータとなるため、可動部の大きさ・ストロークの設計自由度を改善させることができる。
また、固定体20NのE型形状コア504Nにおいて、対向面51N、506Nは、コイル70Nへの給電により、中央の対向面51Nの両側で、当該中央の対向面51Nとは異なる磁極となるように配置されている。一方、マグネット60Nは、磁極面61Nにおいて異なる4極面の境界部分に、E型形状コア504Nのコア50N及びコア片505Nの中央部分が位置するように配置される。
これにより、磁気吸引力及び磁気反発力により可動体30Nのマグネット60Nを可動させる際に、長手方向(周方向)にバランス良く推力を発揮させることが出来る。
また、コイル70Nが可動体30Nに設けられることにより、可動体30Nの質量を増加させることができ、高出力化を図ることができる。また、VCM方式と比較して、磁気抵抗が小さくでき、変換効率を高くして、高出力化を実現できる。さらに、磁極数を増加できる構造であるので、コア及びマグネットの磁極数がコア1−2極である構造に比べて、磁極数を増加させた分、変換効率に加え、コア及びマグネットにより発生する磁気バネ力も増加する。よって、バネの設計要件が緩和されて、振動アクチュエータ10Nとしての設計自由度の向上を図ることができる。
また、振動アクチュエータ10Nは、中央凸部(コア50N)にコイル70Nを巻回したE型形状コア504Nを固定体20Nに配置し、可動体30Nに複数極(2極乃至4極、ここでは4極)のマグネット60Nを配置している(マグネットの極数Xに対してコアの極数X+1、或いはX−1)。これにより、従来のVCMの推力発生原理を用い、作用反作用の法則に従いコアを可動した場合と比較して、質量を大きくできるので、高出力化を図ることができる。
本実施の形態によれば、従来のVCMと比較して磁気抵抗を小さくでき、エネルギー変換効率が向上し、高出力化を図ることができる。
また、図51に示すように、コイル70Nを巻回したE型形状コア504Nを組み立てて、レール80Nとともにケース21Nに固定して、固定体20Nを組み立て、この固定体20Nの組み立て品のケース21N内に、可動体30Nを組み立てた組み立て品を、摺動爪部525を摺動棒84に係合させつつ、収容するだけで、振動アクチュエータ10Nを製造できる。したがって、組立性が高く、エアギャップの調整も容易に行うことができる。
また、マグネット60Nを可動体30N側に配置し、給電されるコイル70Nを固定体20N側に配置しているので、コイルを可動させる構成と比較すると、コイルに給電するためのワイヤースプリングも不要となり部品点数も減少させることができ、振動アクチュエータの組立性・信頼性・コスト優位性の向上を図ることができる。
図48〜図51に示す実施の形態10の振動アクチュエータ10Nの構成において、磁気回路を含む構成をそのままにし、外形を扁平な断面円弧状から、周方向を長手方向とした扁平板状等の他の形状に形成してもよい。
また、上述した各振動アクチュエータにおいて、軸部を用いた構成において、軸部80をそれぞれ断面円形状で説明し、マグネットとコアの磁気吸引力での軸部周りの回転止めを行う構成としたがこれに限らない。例えば、軸部の段面形状の外周の一部の形状を変形させて、この軸部に対して可動体が軸方向に摺動自在に外挿する構成としてもよい。
(実施の形態11)
図52は、本発明に係る実施の形態11の振動アクチュエータ10Pの内部構成を示す斜視図であり、図53は、同振動アクチュエータ10Pの要部構成の位置関係を示す側面図である。なお、図53は、振動アクチュエータ10Pを長手方向の中心部分の縦断面を示す。また、図54は、同振動アクチュエータ10Pの分解斜視図である。
図52〜図54に示す振動アクチュエータ10Pは、実施の形態4の振動アクチュエータ10F(図23参照)の構成と比較して、軸部の段面形状と、これに関わる構成要素の形状のみ異なり、その他の構成は同様である。よって、振動アクチュエータ10Pの構成要素について、振動アクチュエータ10と同様の構成要素は、同名称とともに同符号を付して説明を省略し、形状のみ異なる構成要素には同名称を付して説明する。
振動アクチュエータ10Pは、固定体20Pと、金属バネ40と、金属バネ40と磁気バネにより可動自在に弾性支持される可動体30Pと、を有する。
固定体20Pは、固定体20F(図23参照)の構成において、軸部80、ホルダ22Fに替えて、軸部80P、ホルダ22Pを有する。
軸部80Pは、断面円形状の軸部80の外周の一部の形状を変形させた形状を有する。ここでは、軸部80Pでは、外周面の少なくとも一部が平面加工(例えば、Dカット或いは両面カット)された形状を有する。ここでは、外周面に平面部88を有するDカットされており、断面形状の外周縁がD字をなしている。
このように、振動アクチュエータ10Pは、外周面に平面部88を追加した断面D字状の軸部80Pを有する。
固定体20Pには、軸部80Pが、その両端部で、それぞれの断面形状で外嵌するホルダ22Pを介して固定される。
また、この軸部80Pに、可動体30Pの軸受け部52Pが、軸方向でのみ摺動自在に外嵌されている。なお、可動体30Pは、軸受け部52Pと、軸受け部52が固定されたヨーク90Pと、マグネット60Pとを有する。ヨーク90Pとマグネット60Pは、実施の形態4のヨーク90とマグネット60Fと同様であり、また、固定体20Pのホルダ22P以外の構成であるケース21Pと、カバー24と、コイル(空芯)70Pと、E型形状コア504Pと、電源供給部25とは、ケース21Fと、カバー24と、コイル(空芯)70Fと、E型形状コア504Fと、電源供給部25と、同様の構成であり、同様の機能を有する。マグネット60Pの磁極面61PとE型形状コア504Pの対向面(コア50Pの対向面51Pで示す)とは、所定間隔(ギャップ)を空けて互いに平行に対向配置される。
断面円形状の軸部を用いた構成の場合、軸部における拘束は、回転拘束のみであり、マグネット及びコア間の磁気吸引力のみで回転止めを行う場合、設計制約が大きくなる課題がある。
これに対して、本実施の形態によれば、軸部80Pは、一部に平面部が形成されているので、軸部80P周りに回転する可動体30Pの回転拘束の一助となる。つまり、平面部は、軸部80P自体に外挿される可動体30Pの軸周りの回転を規制する。これにより、回転方向の拘束(回転止め)を磁気吸引力のみで行う必要がなくなり、磁気回路設計の設計自由度が高まるとともに、機械的な回転止めができ、振動アクチュエータ10Pとしての信頼性が高まる。より具体的には、衝撃が加わったときに可動体30Pのマグネット60Pがケース21PないしE型形状コア504Pに接触し破損するなどのリスクを避けることができる。
なお、この構成は、上述した各実施の形態の振動アクチュエータにおいて、軸部を有する振動アクチュエータであれば、どの振動アクチュエータにも適用して、同様の作用効果を奏することができる。
このように各実施の形態1〜10の振動アクチュエータ10、10B、10D、10F、10H、10J、10K、10L、10Pは、皮膚に沿って配置される凹状に湾曲した底面(湾曲面部)27を有する固定体20、20B、20D、20F、20H、20J、20K、20L、20Pを有する。また、各実施の形態1〜10の振動アクチュエータ10、10B、10D、10F、10H、10J、10K、10L、10Pは、固定体20、20B、20D、20F、20H、20J、20K、20L、20Pに対して、湾曲面である底面27上(底面27の内側)で底面27に沿って往復動自在に設けられ、往復動により底面27を介して皮膚の皮膚組織中の機械受容体に振動刺激を付与する可動体30、30B、30D、30F、30H、30J、30K、30L、30Pを有する。これにより、可動体30、30B、30D、30F、30H、30J、30K、30L、30P30の往復動によって、底面27を介して機械受容体に振動刺激を付与できる。したがって、外形形状を変えることなく、使用者に対して、より効果的に振動を付与して、使用者の体感振動を大きくできる。このように、小型化を図りつつ、ユーザに効果的に振動を付与することができる。
また、各実施形態において、他の実施の形態にはない構成要素同士を適宜、変更して、変更した構成要素による機能、効果を奏するようにしてもよいことは勿論である。
(実施の形態12)
図55は、本発明に係る実施の形態12のウェアラブル端末100の要部構成を模式的に示す図である。ウェアラブル端末100は、ユーザが身につけて使用するものである。ここでは、ウェアラブル端末100は、接続された通信端末の着信の通知を装着したユーザに振動により通知する所謂ウェアラブルインプットデバイスとして機能する。
図55に示すウェアラブル端末100は、通信装置110と、処理装置120と、駆動装置としての振動アクチュエータ130と、筐体140と、有する。振動アクチュエータ130の底面27は、筐体140の内周面142に沿って配置され、底面27と内周面142が密着した状態で配置される。
筐体140は、リング状に形成され、ここでは、ユーザの指に装着する。このとき、内周面142は、皮膚上に密着して配置される。また、振動アクチュエータ130の内周面142を、装着部位である指の腹部分上に位置させる。これにより、機械受容体が密集する部位に密着するように振動アクチュエータ130が装着される。通信装置110は、図示しない携帯電話、スマートフォン、携帯型遊技機等の無線通信端末と、無線通信により接続され、例えば、無線通信端末からの信号を受信して、処理装置120に出力する。
通信装置110は、例えば、無線通信端末からの信号は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の通信方式で受信する無線通信端末の着信信号等である。処理装置120では、入力された信号を、変換回路部にて振動アクチュエータ130の駆動信号に変換して、振動アクチュエータ130の電源供給部25に接続される駆動回路部(図示省略)を介して振動アクチュエータ130に供給することによって、振動アクチュエータ130を駆動する。これにより、可動体が振動してウェアラブル端末100は振動する。ウェアラブル端末100の筐体140は、リング形状をなしており、可動体は、振動アクチュエータ130の底面27に沿って往復振動する。すると、底面27上を可動体が往復スライド移動することにより発生する振動が、底面27、内周面142を介して直接的に機械受容体に振動刺激として伝達される。これにより、外形形状を変えることなく、使用者により効果的に振動を付与でき、使用者の体感振動を大きく出来る。
これにより、振動アクチュエータが指の背上に配置されたり、指腹部分から離れた位置、例えば、浮いた位置に振動アクチュエータが配置された構成と比較して、外形形状を変更することなく、所定の大きさで、ユーザの体感振動を一層大きくできる。
また、ウェアラブル端末100の形容を小型化でき、使用時に違和感が無く使用感の向上を図ることができる。なお、ウェアラブル端末100を、通信装置110と、処理装置120と、駆動装置としての振動アクチュエータ130と、を有する着信通知機能デバイスとしてもよい。これにより、着信機能デバイスは、携帯電話、スマートフォン、携帯型遊技機等の無線通信端末で取得した外部からの着信を、振動アクチュエータを駆動させてユーザに報知する構成としても良い。また、振動アクチュエータ130の振動を着信信号の他に、メール等の外部装置から情報通信端末への信号入力に対応する振動、ゲームの操作に応じた振動を体感振動として増加させてユーザに付与できる。なお、このウェアラブル端末100に、空中で文字を描くように動かすだけで、無線で接続される装置に、文字や数字を入力したり、接続されたディスプレイ等の表示器に表示された情報を選択したりすることができる機能を設けても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。