実施形態の検体分析装置は、検体に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射し、得られた透過光または散乱光を、凝固法、合成基質法、免疫比濁法または凝集法によって解析することにより、血液の凝固能に関する分析を行う血液凝固分析装置である。実施形態で分析される検体は、血液から分離された血漿または血清である。
図1を参照して、実施形態の検体分析装置の概要を説明する。図1において、XYZ軸は互いに直交しており、X軸正方向は左方向に対応し、Y軸正方向は後ろ方向に対応し、Z軸正方向は鉛直下方向に対応する。なお、他の図においても、XYZ軸は図1と同様に設定されている。
検体分析装置10は、加温テーブル11と、試薬分注ユニット12と、検出ユニット13と、第1移送部14と、第2移送部15と、第1廃棄用移送部16と、第2廃棄用移送部17と、第1検体移送部18と、第2検体移送部19と、検体分注ユニット20と、試薬テーブル21と、廃棄ユニット22と、搬送部23と、制御部24と、を備える。第1移送部14、第2移送部15、第1廃棄用移送部16および第2廃棄用移送部17は、反応容器33を把持するためのキャッチャと、キャッチャを駆動する機構とを備える。
搬送部23は、検体容器32を保持した検体ラック31を搬送する。検体分注ユニット20は、検体容器32が収容する検体を吸引し、吸引した検体を反応容器33に吐出する。第1検体移送部18と第2検体移送部19は、検体が分注された反応容器33を加温テーブル11へと移送する。
加温テーブル11は、保持孔11aと、ヒーター11bと、を備える。保持孔11aは、第1検体移送部18または第2検体移送部19によって移送された反応容器33を保持する。ヒーター11bは、保持孔11aに保持された反応容器33を37℃に加温する。反応容器33が加温テーブル11によって加温される時間は、検出ユニット13において正確な測定結果を得るために、測定項目ごとに決められている。測定項目PTにおいて、たとえばシスメックス株式会社製のトロンボチェック(登録商標)PTプラスを用いた場合、加温時間は3分である。測定項目APTTにおいて、たとえばシスメックス株式会社製のトロンボチェック(登録商標)APTTを用いた場合、加温時間は3分である。測定項目Dダイマーにおいて、たとえばシスメックス株式会社製のリアスオート(登録商標)・Dダイマーネオを用いた場合、加温時間は3分である。
試薬分注ユニット12は、第1試薬分注部12aと第2試薬分注部12bとを備える。第1試薬分注部12aは、試薬テーブル21に保持された試薬容器34から試薬を吸引し、吸引した試薬を、第1移送部14によって加温テーブル11から検出ユニット13の第1領域13eの第1保持部13aに反応容器33が移送される所定の位置で、反応容器33に吐出する。第2試薬分注部12bは、試薬テーブル21に保持された試薬容器34から試薬を吸引し、吸引した試薬を、第2移送部15によって加温テーブル11から検出ユニット13の第2領域13fの第2保持部13cに反応容器33が移送される所定の位置で反応容器33に吐出する。
測定項目に基づいて、加温テーブル11で加温される反応容器33にも試薬を分注する必要がある場合、さらに、第1試薬分注部12aと第2試薬分注部12bは、試薬テーブル21に保持された試薬容器34から対応する試薬を吸引し、吸引した試薬を、加温テーブル11で加温される反応容器33に分注する。
検出ユニット13は、複数の第1保持部13aと、複数の第1保持部13aにそれぞれ対応して設けられた複数の第1検出部13bと、を有する。また、検出ユニット13は、複数の第2保持部13cと、複数の第2保持部13cにそれぞれ対応して設けられた複数の第2検出部13dと、を有する。第1保持部13aおよび第1検出部13bは、検出ユニット13のY軸正側にX軸に平行に並んでいる。第2保持部13cおよび第2検出部13dは、検出ユニット13のY軸負側にX軸に平行に並んでいる。第1保持部13aおよび第1検出部13bは、検出ユニット13のY軸正側の第1領域13eに配置され、第2保持部13cおよび第2検出部13dは、検出ユニット13のY軸負側の第2領域13fに配置されている。
第1領域13eおよび第2領域13fは、必ずしも図1のようにX軸方向に延びていなくてもよく、たとえば、保持部および検出部が配置された領域をX軸方向に2分割した各領域が第1領域13eおよび第2領域13fに設定されてもよい。第1領域13eおよび第2領域13fが、他のレイアウトで設定されてもよい。
第1保持部13aと第2保持部13cは、互いに同様の構成であり、また、第1検出部13bと第2検出部13dは、互いに同様の構成である。第1検出部13bは、第1保持部13aに保持された反応容器33中の測定試料から分析のための信号を検出する。第2検出部13dは、第2保持部13cに保持された反応容器33中の測定試料から分析のための信号を検出する。
第1検出部13bおよび第2検出部13dは、それぞれ、第1保持部13aおよび第2保持部13cに保持された反応容器33の側面に光を照射し、その透過光または散乱光を光検出器で受光して受光光量に応じた検出信号を出力する。検出信号は、制御部24の第2制御部24bに出力される。第1検出部13bおよび第2検出部13dは、それぞれ、反応容器33に対して、数種の波長の光を時分割で照射し、各波長の光に対する検出信号を第2制御部24bに出力する。第1検出部13bと第2検出部13dは、いずれも、検体分析装置10で行われる全ての測定項目について測定できるように構成されている。なお、反応容器33中の測定試料で起こる反応の変化は検体によって異なるため、検体によって測定が完了するまでに必要な時間も異なる。
第1移送部14は、加温テーブル11の保持孔11aに保持された反応容器33を、検出ユニット13の第1領域13eに含まれる複数の第1保持部13aのいずれか1つに移送する。第2移送部15は、加温テーブル11の保持孔11aに保持された反応容器33を、検出ユニット13の第2領域13fに含まれる複数の第2保持部13cのいずれか1つに移送する。すなわち、第1移送部14は、第1領域13eに対する反応容器33の移送に用いられ、第2移送部15は、第2領域13fに対する反応容器33の移送に用いられる。
検出ユニット13において、測定が終了した反応容器33は、随時、第1廃棄用移送部16または第2廃棄用移送部17によって廃棄される。第1廃棄用移送部16は、第1領域13eの第1保持部13aに保持された廃棄対象の反応容器33を、廃棄ユニット22に移送する。第2廃棄用移送部17は、第2領域13fの第2保持部13cに保持された廃棄対象の反応容器33を、廃棄ユニット22に移送する。第1廃棄用移送部16と第2廃棄用移送部17により、検出ユニット13にある廃棄対象の反応容器33を、並行して廃棄ユニット22へ移送できる。
第1検体移送部18および第2検体移送部19は、上記のように検体分注ユニット20により検体が分注された反応容器33を加温テーブル11へと移送する。検体分注ユニット20は、搬送部23の搬送経路の所定位置において、検体容器32から検体を吸引し、吸引した検体を反応容器33に分注する。試薬テーブル21は、測定に用いる種々の試薬をそれぞれ収容された試薬容器34を保持する。廃棄ユニット22は、廃棄口を備える。第1廃棄用移送部16および第2廃棄用移送部17によって移送される測定済みの反応容器33が、廃棄ユニット22の廃棄口に投下される。
制御部24は、第1制御部24aと第2制御部24bを備える。第1制御部24aは、検体分析装置10において測定試料を測定するための機構を制御する。第2制御部24bは、第1検出部13bおよび第2検出部13dにより検出された信号に基づいて、反応容器33中の検体を分析する。
上記のように第1検出部13bおよび第2検出部13dは、数種の波長の光をそれぞれ照射したときに測定試料から得られた検出信号を第2制御部24bに出力する。第2制御部24bは、取得した波長ごとの検出信号に基づいて、凝固法、合成基質法、免疫比濁法または凝集法に基づき検体の分析を行う。
たとえば、凝固時間法では、測定試料に660nmの波長の光が照射され、測定試料からの透過光または散乱光を光検出器で検出することによって、フィブリノーゲンがフィブリンに転化する時間が分析される。凝固時間法の測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。また、合成基質法では、測定試料に405nmの波長の光が照射され、測定試料からの透過光または散乱光が光検出器で検出される。合成基質法の測定項目としては、ATIII、α2−PI(α2−プラスミンインヒビター)、PLG(プラスミノーゲン)などがある。また、免疫比濁法では、800nmの波長の光が測定試料に照射され、測定試料からの透過光または散乱光が光検出器で検出される。免疫比濁法の測定項目としては、Dダイマー、FDPなどがある。また、血小板凝集法では、測定試料に575nmの波長の光が照射され、測定試料からの透過光または散乱光が光検出器で検出される。
たとえば、第2制御部24bは、第1検出部13bおよび第2検出部13dから出力された検出信号に基づいて、測定試料の吸光度を算出し、算出した吸光度が所定の閾値を超えるまでの時間を当該測定試料の凝固時間として算出する。吸光度に代えて、検出信号から濁度を求め、濁度が所定の閾値を超えるまでの時間を当該検体の凝固時間として算出してもよい。また、第1検出部13bおよび第2検出部13dから出力された検出信号が所定の閾値を超えるまでの時間を当該測定試料の凝固時間として算出してもよい。
試薬分注ユニット12は、反応容器33に収容された検体の測定項目に対応する試薬を試薬テーブル21に保持された試薬容器34から吸引し、吸引した試薬を反応容器33に分注する。
たとえば、上記凝固時間法に基づく測定項目APTTについて測定を行う場合、試薬分注ユニット12は、リン脂質および活性化剤を含む第1試薬を収容する試薬容器34から当該第1試薬を吸引し、吸引した第1試薬を、加温テーブル11で加温される反応容器33に分注する。こうして、第1試薬が検体に混合される。その後、反応容器33が加温テーブル11から検出ユニット13へと移送される際に、試薬分注ユニット12は、カルシウム塩を含む第2試薬を収容する他の試薬容器34から当該第2試薬を吸引し、吸引した第2試薬を、この反応容器33に分注する。こうして、第2試薬が検体に混合される。
また、上記凝固時間法に基づく測定項目PTについて測定を行う場合、試薬分注ユニット12は、組織因子およびカルシウム塩を含む試薬を含む試薬容器34から当該試薬を吸引し、吸引した試薬を、加温テーブル11から検出ユニット13へと移送される反応容器33に分注する。この場合、加温テーブル11へと反応容器33が移送される際には、反応容器33に試薬は分注されない。こうして、組織因子およびカルシウム塩を含む試薬が検体に混合される。
検出ユニット13は、こうして、測定項目APTTまたは測定項目PTに対応する試薬が混合された測定試料から上記のように検出信号を取得して、第2制御部24bに出力する。第2制御部24bは、上記のように、検出ユニット13から供給される検出信号に基づき、当該検体について、フィブリノーゲンがフィブリンに転化する時間を分析し、分析結果を取得する。
凝固時間法に基づく分析では、測定試料の凝固を待つ必要があるため、測定に時間を要する。一般に、凝固時間法に基づく分析では、第1保持部13aまたは第2保持部13cに数分程度、反応容器33を保持させて、第1検出部13bまたは第2検出部13dによる検出を継続する必要がある。このため、検出ユニット13に反応容器33が滞留しやすくなる。
また、加温テーブル11においても、測定試料が所定の温度に上昇するのを待つ必要があるため、加温に時間を要する。一般に、加温テーブル11では、測定試料の加温が完了するまでに数分程度、反応容器33を加温テーブル11の保持孔11aに保持させ続ける必要がある。このため、加温テーブル11に反応容器33が滞留しやすくなる。
実施形態の検体分析装置10では、第1移送部14および第2移送部15により、並行して、反応容器33が加温テーブル11から検出ユニット13に移送される。このため、加温テーブル11から検出ユニット13へと移送されるべき反応容器33が移送待ちの状態となることを回避でき、加温テーブル11の保持孔11aを、次の反応容器33の受け入れのために、速やかに開放させ得る。よって、検体分析装置10の処理能力を向上させ得る。
反応容器33が加温テーブル11によって加温される時間は、検出ユニット13において正確な測定結果を得るために、測定項目ごとに決められている。測定項目に応じて正確に反応容器33を加温するためには、タイミングよく加温テーブル11の保持孔11aから反応容器33を移送する必要がある。検体分析装置10によれば、加温テーブル11から反応容器33を移送するために、複数の移送部、すなわち第1移送部14と第2移送部15が設けられているため、加温テーブル11からタイミングよく反応容器33を移送できる。これにより、正確な加温時間の実現が容易になる。
また、特に凝固時間法、免疫比濁法および血小板凝集法では、測定試料中で起こる反応の変化が検出されるため、検体によって測定が完了するまでの時間が異なる。このため、検出ユニット13の第1保持部13aおよび第2保持部13cにおいて、反応容器33をどの程度の時間だけ保持させておく必要があるのか正確に予想することは困難である。したがって、どのような検体であっても略測定が完了する時間だけ、反応容器33が保持部に保持されることになり、反応容器33が検出ユニット13に滞留しやすくなる。しかしながら、検体分析装置10によれば、検出ユニット13へ反応容器33を移送するために、複数の移送部、すなわち第1移送部14と第2移送部15が設けられているため、検出ユニット13の開放された保持部に反応容器33を迅速に移送できる。これにより、検体分析装置10の処理能力を向上できる。
第1検出部13bと第2検出部13dは、いずれも、検体分析装置10で行われる全ての測定項目について測定できるように構成されている。これにより、測定項目にかかわらず、検出ユニット13は反応容器33を受け入れることができるため、検体分析装置10の処理能力を向上できる。
また、加温テーブル11は、第1移送部14および第2移送部15に対して共通となっているため、第1移送部14および第2移送部15ごとに個別に加温テーブルを配置する場合に比べて、各部のレイアウトを集約できる。よって、検体分析装置10の設置面積の増大を抑制できる。
また、第1領域13eと第2領域13fに、それぞれ、第1移送部14と第2移送部15が対応付けられているため、各移送部を円滑に制御できる。
さらに、第1廃棄用移送部16と第2廃棄用移送部17により、検出ユニット13にある廃棄対象の反応容器33を、並行して廃棄ユニット22へ移送できる。このため、検出ユニット13に廃棄待ちの反応容器33が残ることを回避でき、検出ユニット13の第1保持部13aと第2保持部13cを、次の反応容器33の受け入れのために、速やかに開放させ得る。これにより、検出ユニット13に対する反応容器33の移送を円滑に進め得る。よって、検体分析装置10の処理能力を向上させ得る。
また、第1検体移送部18および第2検体移送部19により、並行して、検体が分注された反応容器33が加温テーブル11へと移送される。このため、検体容器32から検体を分注した反応容器33を効率的に加温テーブル11へと移送できる。よって、検体分析装置10の処理能力を向上させ得る。
加温テーブル11から検出ユニット13へと反応容器33を移送する移送部の数は、必ずしも2つでなくてもよく、3つ以上であってもよい。検出ユニット13から廃棄ユニット22へと反応容器33を移送する移送部の数も、必ずしも2つでなくてもよく、1つまたは3つ以上であってもよい。試薬分注ユニット12が装備する試薬分注部の数も2つに限らず、1つまたは3つ以上でもよい。検体分注ユニット20により検体が分注された反応容器33を加温テーブル11へと移送する移送部の数も必ずしも2つでなくてもよい。
<具体的構成例>
以下、実施形態の検体分析装置の具体的な構成について説明する。
以下の構成例では、検出ユニットが、2つの検出ユニットに分けられて、異なる位置に配置されている。また、加温テーブルから検出ユニットに反応容器を移送する移送部が、検出ユニットから廃棄ユニットに反応容器を移送する移送部に共用されている。便宜上、以下では、加温テーブルから検出ユニットに移送される際に反応容器に分注される試薬を「トリガー試薬」と称し、加温テーブルで加温される際に反応容器に分注される試薬を「調整試薬」と称する。トリガー試薬は、検体に対して反応を開始させるための試薬であり、調整試薬は、トリガー試薬による反応を促すための試薬である。
図2に示すように、検体分析装置100は、測定部101と、搬送部102、情報処理装置103と、を備える。
搬送部102は、図1の搬送部23に対応する。搬送部102は、ラックセット部111と、ラック搬送部112と、ラック回収部113と、バーコードリーダ114と、を備える。ラックセット部111とラック回収部113は、それぞれ、ラック搬送部112の右端および左端に繋がっている。バーコードリーダ114は、ラック搬送部112の後方にあり、左右方向に移動可能に構成されている。
ユーザは、検体容器32をセットした検体ラック31を、ラックセット部111に設置する。検体ラック31と検体容器32にはバーコードが貼付されている。搬送部102は、ラックセット部111に設置された検体ラック31をラック搬送部112の右端に送り、さらに、バーコードリーダ114の前方へと送る。バーコードリーダ114は、検体ラック31に貼付されたバーコードを読み取り、さらに、検体容器32に貼付されたバーコードを読み取る。検体ラック31のバーコードには、検体ラック31を識別するための識別情報が保持され、検体容器32のバーコードには、検体容器32に収容された検体を識別するための識別情報が保持されている。読み取られた識別情報は、検体に対する測定項目の取得のために、情報処理装置103に送信される。
その後、搬送部102は、検体ラック31を搬送して、検体容器32を順次、検体吸引位置121または検体吸引位置122に位置付ける。検体吸引位置121、122において検体容器32から検体が吸引される。搬送部102は、検体ラック31に保持された全ての検体容器32に対する検体の吸引が終了すると、検体ラック31をラック回収部113へと搬送する。
測定部101は、検体吸引位置121、122において検体容器32から検体を吸引し、吸引した検体に試薬を混合して測定を行う。
測定部101は、検体分注部130、140と、移送部150、160と、加温テーブル170と、試薬テーブル180と、反応容器テーブル190と、バーコードリーダ200と、反応容器収納部210と、反応容器供給部220と、移送部230と、試薬分注部240、250と、移送部260、270と、検出ユニット280、290と、廃棄口301、302と、廃棄ユニット303と、を備える。
検体分注部130、140は、それぞれ、図1の検体分注ユニット20を構成する。検体分注部130は、ピペット131と、ピペット131が端部に設けられ旋回可能なアーム132と、アーム132を駆動するための図示しない駆動部と、ピペット131を介して検体を吸引および吐出するための図示しないポンプと、を備える。同様に、検体分注部140は、ピペット141と、ピペット141が端部に設けられ旋回可能なアーム142と、アーム142を駆動するための図示しない駆動部と、ピペット141を介して検体を吸引および吐出するための図示しないポンプと、を備える。
検体分注部130は、検体吸引位置121に位置付けられた検体容器32から検体を吸引し、吸引した検体を、反応容器テーブル190に保持された新しい反応容器33に吐出する。検体分注部140は、検体吸引位置122に位置付けられた検体容器32または反応容器テーブル190に保持された反応容器33から検体を吸引し、吸引した検体を移送部150、160に保持された新しい反応容器33に吐出する。
移送部150、160は、それぞれ、図1の第1検体移送部18と第2検体移送部19に対応する。移送部150、160は、レールに沿って前後方向に移動可能に構成されている。移送部150、160には、反応容器33を保持するための保持孔が設けられている。
移送部150は、新しい反応容器33を保持孔に保持して、この反応容器33を第1検体吐出位置151に位置付ける。後述のように、移送部150に対する新しい反応容器33のセットは、移送部230が行う。第1検体吐出位置151に位置付けられた反応容器33に検体分注部140によって検体が吐出されると、移送部150は、この反応容器33を後方に移送し、加温テーブル170の左側近傍に位置付ける。加温テーブル170の移送部173は、加温テーブル170の左側近傍に位置付けられた反応容器33を、加温テーブル170の保持孔171に移送する。
同様に、移送部160は、新しい反応容器33を保持孔に保持して、この反応容器33を第2検体吐出位置161に位置付ける。後述のように、移送部160に対する新しい反応容器33のセットは、移送部260が行う。第2検体吐出位置161に位置付けられた反応容器33に検体分注部140によって検体が吐出されると、移送部160は、この反応容器33を後方へ移送し、加温テーブル170の右側近傍に位置付ける。移送部270は、加温テーブル170の右側近傍に位置付けられた反応容器33を、加温テーブル170の保持孔171に移送する。
このように、移送部150、160により加温テーブル170へ反応容器33を移送できるため、移送部150、160の何れか一方により加温テーブル170へ反応容器33を移送する場合に比べて、処理能力を向上できる。
図3(a)に示すように、反応容器33は、キュベットである。反応容器33は、上方に開口を有する円周状の胴部33aと、胴部33aの上部に設けられた鍔部33bと、を備える。胴部33aは、上部よりも下部が小径となっている。
図3(b)に示すように、移送部150は、反応容器33を保持するための2つの保持孔152aを有するホルダ152と、ホルダ152を案内するレール153と、ホルダ152に接続されたベルト154と、ベルト154を駆動するモータ155とを備えている。図3(b)では、便宜上、ホルダ152が断面図で示されている。保持孔152aは、反応容器33の下部が嵌り込む径を有する。レール153は、反応容器33の移送方向に沿って設けられている。ベルト154は、レール153に平行に配置されている。ベルト154は、モータ155の駆動軸とプーリーに架けられている。ホルダ152の下端がベルト154に装着されている。モータ155によってベルト154が駆動されることにより、ホルダ152がレール153に案内されて移送される。これにより、反応容器33が移送される。
図3(c)に示すように、移送部160も、移送部150と同様の構成となっている。移送部160は、反応容器33を保持するための2つの保持孔162aを有するホルダ162と、ホルダ162を案内するレール163と、ホルダ162に接続されたベルト164と、ベルト164を駆動するモータ165とを備えている。図3(c)では、便宜上、ホルダ162が断面図で示されている。
図2に戻り、加温テーブル170は、検体を収容した複数の反応容器33をそれぞれ保持するための複数の保持孔171と、複数の保持孔171にそれぞれ保持された複数の反応容器33を加温するヒーター172と、反応容器33を移送するための移送部173と、を有する。加温テーブル170、保持孔171およびヒーター172は、それぞれ、図1の加温テーブル11、保持孔11aおよびヒーター11bに対応する。
加温テーブル170は、平面視において円形の輪郭を有し、周方向に回転可能に構成されている。加温テーブル170が周方向に回転すると、複数の保持孔171は、周方向に移送される。ヒーター172は、保持孔171に保持される反応容器33を37℃に加温する。移送部173は、加温テーブル170の周方向に回転可能に構成されている。
試薬テーブル180は、図1の試薬テーブル21に対応する。試薬テーブル180は、試薬を収容した試薬容器34を複数設置可能に構成されている。試薬テーブル180には、10個の試薬容器34を収納可能な試薬ラック181が外周側に3個セットされ、2個の試薬容器34を収納可能な試薬ラック182が内周側に4個セットされる。試薬テーブル180は周方向に回転可能に構成されている。試薬ラック181、182を介して試薬テーブル180に設置された試薬容器34は、試薬テーブル180が周方向に回転することにより、試薬分注部240により試薬の吸引が行われる第1吸引位置241と、試薬分注部250により試薬の吸引が行われる第2吸引位置251とに移送される。
試薬分注部240、250は、それぞれ、図1の第1試薬分注部12aと第2試薬分注部12bに対応する。試薬分注部240、250は、加温テーブル170で加温された複数の反応容器33に試薬を分注する。
たとえば、調整試薬を反応容器33に分注する場合、加温テーブル170の移送部173が、加温テーブル170の保持孔171に保持された反応容器33を、第1吐出位置261または第2吐出位置271に位置付ける。試薬分注部240または試薬分注部250は、第1吸引位置241または第2吸引位置251に位置付けられた試薬容器34から調整試薬を吸引し、吸引した調整試薬を、第1吐出位置261または第2吐出位置271に位置付けられた反応容器33に分注する。こうして、検体に調整試薬が混合される。その後、移送部173が、反応容器33を加温テーブル170の保持孔171に再びセットする。
また、トリガー試薬を反応容器33に分注する場合、移送部260または移送部270が、加温テーブル170の保持孔171に保持された反応容器33を、第1吐出位置261または第2吐出位置271に位置付ける。試薬分注部240または試薬分注部250は、第1吸引位置241または第2吸引位置251に位置付けられた試薬容器34からトリガー試薬を吸引し、吸引したトリガー試薬を、第1吐出位置261または第2吐出位置271に位置付けられた反応容器33に分注する。こうして、検体にトリガー試薬が混合される。その後、移送部260または移送部270が、反応容器33を検出ユニット280の保持部281または検出ユニット290の保持部291にセットする。
このように、検体に設定された測定項目に応じて、トリガー試薬のみが反応容器33に吐出される場合と、トリガー試薬とともに調整試薬が反応容器33に吐出される場合がある。トリガー試薬が反応容器33に吐出される場合、移送部260が反応容器33を把持して第1吐出位置261に位置付け、あるいは、移送部270が反応容器33を把持して第2吐出位置271に位置付ける。トリガー試薬が吐出されると、反応容器33は、移送部260、270により、それぞれ検出ユニット280、290に移送される。調整試薬を反応容器33に吐出する場合、移送部173が反応容器33を把持して第1吐出位置261または第2吐出位置271に位置付ける。調整試薬が吐出されると、移送部173は、反応容器33を、加温テーブル170の保持孔171に戻す。
移送部260、270は、それぞれ、図1の第1移送部14と第2移送部15に対応する。
図4(a)に示すように、移送部260は、支持部材262と、支持部材262を案内するレール263と、支持部材262に接続されたベルト264と、ベルト264を駆動するモータ265とを備えている。レール263は、X軸方向に沿って設けられている。ベルト264は、レール263に平行に配置されている。ベルト264は、モータ265の駆動軸とプーリーに架けられている。支持部材262の端部がベルト264に装着されている。モータ265によってベルト264が駆動されることにより、支持部材262がレール263に案内されてX軸方向に移送される。
支持部材262には、支持部材266と、支持部材266を案内するレール262aと、支持部材266に接続されたベルト262bと、ベルト262bを駆動するモータ262cが設置されている。レール262aは、Z軸方向に沿って設けられている。ベルト262bは、レール262aに平行に配置されている。ベルト262bは、モータ262cの駆動軸とプーリーに架けられている。支持部材266の端部がベルト262bに装着されている。モータ262cによってベルト262bが駆動されることにより、支持部材266がレール262aに案内されてZ軸方向に移送される。
支持部材266には、支持部材267と、支持部材267を案内するレール266aと、支持部材267に接続されたベルト266bと、ベルト266bを駆動するモータ266cが設置されている。レール266aは、Y軸方向に沿って設けられている。ベルト266bは、レール266aに平行に配置されている。ベルト266bは、モータ266cの駆動軸とプーリーに架けられている。支持部材267の端部がベルト266bに装着されている。モータ266cによってベルト266bが駆動されることにより、支持部材267がレール266aに案内されてY軸方向に移送される。
図4(b)に示すように、支持部材267のZ軸負側の面に、腕部267aのY軸正側の端部が設置されている。したがって、腕部267aは、支持部材267の移動に伴い、Y軸方向に移動する。腕部267aのY軸負側の端部には、一対の爪267bがX軸方向に接近および離間可能に設けられている。一対の爪267bの間にバネ267cが架けられている。これにより、一対の爪267bは、互いに接近する方向に付勢される。図4(b)のように、一対の爪267bは、所定の間隔の位置で移動が規制され、この位置に位置決めされる。
モータ266cが駆動され、支持部材267がY軸負方向に移動されると、腕部267aがY軸負方向に移動する。図4(b)のように一対の爪267bが反応容器33の側面に当った状態から、さらに、腕部267aがY軸負方向に移動されると、爪267bが反応容器33の側面を滑って、互いに離間する方向に開く。これにより、図4(c)に示すように、一対の爪267bが反応容器33を把持する。バネ267cは、一対の爪267bに、反応容器33を把持する力を付与する。一対の爪267bは、反応容器33を把持する把持部を構成する。
移送部260は、このように、モータ265、262c、266cを駆動して、爪267bをX、Y、Z軸方向に移動させる。これにより、反応容器33を把持および移送する。反応容器33の把持の解除は、たとえば、反応容器33を保持部281に挿入した状態で、爪272bをY軸正方向に移動させる。これにより、爪267bが反応容器33の側面を滑って、反応容器33の把持が解除される。
移送部270も移送部260と同様の構成である。移送部173は、レール263およびベルト264が、支持部材262を回転させる構成に変更されている。たとえば、支持部材262は、支軸によって回転可能に支持され、モータ265からの駆動力が、ギア等の伝達機構によって支持部材262に伝達される。移送部173のその他の構成は、移送部260と同様である。
移送部260は、トリガー試薬が反応容器33に吐出される場合に、加温テーブル170の保持孔171に保持された反応容器33を第1吐出位置261に移送し、この反応容器33にトリガー試薬が吐出された後、この反応容器33を検出ユニット280の保持部281に移送する。移送部270は、トリガー試薬が反応容器33に吐出される場合に、加温テーブル170の保持孔171に保持された反応容器33を第2吐出位置271に移送し、この反応容器33にトリガー試薬が吐出された後、この反応容器33を検出ユニット290の保持部291に移送する。
このように、試薬分注部240は、移送部260による反応容器33の移送経路の第1吐出位置261でトリガー試薬を反応容器33に分注する。試薬分注部250は、移送部270による反応容器33の移送経路の第2吐出位置271でトリガー試薬を反応容器33に分注する。これにより、トリガー試薬の分注後、速やかに反応容器33を検出ユニット280、290に移送できる。また、トリガー試薬の分注が試薬分注部240、250により行われるため、移送部260、270によって移送される反応容器33に対して個別にトリガー試薬を分注できる。これにより、トリガー試薬を反応容器33に分注する待ち時間を抑制できるため、検体分析装置100の処理効率を向上できる。
検出ユニット280は、複数の保持部281と、複数の保持部281のそれぞれに対応して設けられた複数の検出部282とを有する。検出ユニット290は、複数の保持部291と、複数の保持部291のそれぞれに対応して設けられた複数の検出部292とを有する。検出ユニット280、290が配置される領域は、それぞれ、図1の第1領域13eと第2領域13fに対応する。保持部281、291は、それぞれ、図1の第1保持部13aと第2保持部13cに対応する。検出部282、292は、それぞれ、図1の第1検出部13bと第2検出部13dに対応する。保持部281、291は、検体と試薬とから調製された測定試料を収容した反応容器33を保持する。検出部282、292は、それぞれ保持部281、291に保持された反応容器33中の測定試料から分析のための信号を検出する。
情報処理装置103は、制御部103aを備える。制御部103aは、図1の第2制御部24bに対応する。制御部103aは、検出部282により検出された信号に基づいて保持部281に保持された反応容器33中の検体を分析し、検出部292により検出された信号に基づいて保持部291に保持された反応容器33中の検体を分析する。
廃棄ユニット303は、図1の廃棄ユニット22に対応する。廃棄ユニット303は、廃棄口301、302を備える。移送部260は、検出ユニット280の保持部281に保持され廃棄対象となった反応容器33を廃棄口301に移送することにより、廃棄ユニット303へ移送する。移送部270は、検出ユニット290の保持部291に保持された廃棄対象となった反応容器33を廃棄口302に移送することにより、廃棄ユニット303へ移送する。
移送部260は、図1の第1移送部14の機能とともに、第1廃棄用移送部16の機能も有する。移送部270は、図1の第2移送部15の機能とともに、第2廃棄用移送部17の機能も有する。このように、第1移送部14と第1廃棄用移送部16の機能が、移送部260により実現され、第2移送部15と第2廃棄用移送部17の機能が、移送部270により実現されると、検体分析装置10を簡素に構成できる。
廃棄ユニット303へと繋がる廃棄口は1つであっても良い。この場合も、廃棄対象となった反応容器33は、移送部260、270により1つの廃棄口に移送される。また、廃棄ユニットは、廃棄口301、302に対応して2つ設けられても良い。
反応容器テーブル190は、平面視においてリング形状を有し、試薬テーブル180の外側に配置されている。反応容器テーブル190は、周方向に回転可能に構成されている。反応容器テーブル190は、反応容器33を保持するための複数の保持孔を有する。バーコードリーダ200は、試薬ラック181、182に貼付されたバーコードと、試薬容器34に貼付されたバーコードとを読み取る。試薬ラック181、182のバーコードには、試薬ラック181、182を識別するための識別情報が保持され、試薬容器34のバーコードには、試薬容器34を識別するための識別情報が保持されている。
反応容器収納部210は、新しい反応容器33を収納する。反応容器供給部220は、反応容器収納部210から反応容器33を供給する。
図5(a)に示すように、反応容器収納部210は、ユーザにより新しい反応容器33を投入可能な投入口211を備え、投入口211から投入された反応容器33を収納する。反応容器供給部220は、取り出し機構221と、ガイド222と、送り出し機構223と、を備える。取り出し機構221は、反応容器収納部210から反応容器33を1つずつ取り出す。ガイド222は、反応容器33の鍔部33bの底面を支持する2つのレールにより構成される。取り出し機構221により取り出された反応容器33は、ガイド222により鍔部33bの下面を支持されながら滑り落ち、送り出し機構223に移送される。
図5(b)に示すように、送り出し機構223は、支持台223aと回転テーブル223bを備える。ガイド222により移送された反応容器33は、回転テーブル223bに設けられた切欠223cによって保持される。切欠223cに保持された反応容器33は、回転テーブル223bが回転することにより移送される。回転テーブル223bにより移送された反応容器33は、支持台223aに設けられた切欠部223dに保持される。
図2に戻り、移送部230は、反応容器供給部220の切欠部223dに保持された新しい反応容器33を、移送部150の保持孔152aと、反応容器テーブル190の保持孔とに移送する。また、移送部260は、反応容器供給部220の切欠部223dに保持された新しい反応容器33を、移送部160の保持孔162aに移送する。このように、反応容器供給部220により供給された新しい反応容器33が、移送部150、160と反応容器テーブル190に移送される。これにより、移送部150、160と反応容器テーブル190に新しい反応容器33を供給するために複数の反応容器供給部を設ける場合に比べて、検体分析装置100の設置面積の増大を抑制できる。
図6に示すように、試薬分注部240、250は、試薬テーブル180の上方に配置された支持部201に支持されている。試薬テーブル180は、ベース202に設置されている。試薬分注部240、250のX−Y平面内における位置と、試薬テーブル180のX−Y平面内における位置とは、互いに一部が重なりあっている。この構成では、ベース202に試薬分注部240、250を設置するためのスペースを確保する必要がない。このため、試薬分注部240、250をベース202に配置する場合に比べて、検体分析装置100の設置面積の増大を抑制できる。
試薬分注部240は、水平移送部242と、鉛直移送部243と、第1ピペット244と、第1ヒーター245と、第1ピペット244を介して試薬を吸引および吐出するための図示しないポンプと、を備える。水平移送部242は、鉛直移送部243を水平面内すなわちX−Y平面において所定の方向に移送する。鉛直移送部243は、第1ピペット244を鉛直方向すなわちZ軸方向に移送する。第1ヒーター245は、第1ピペット244の下端付近に設置されており、第1ピペット244により保持された試薬を加温する。
試薬を分注する場合、試薬分注部240は、図2に示す第1吸引位置241に位置付けられた試薬容器34に第1ピペット244を挿入し、試薬容器34内の試薬を吸引する。試薬分注部240は、第1ピペット244により保持した試薬を第1ヒーター245により所定温度に加温する。その後、試薬分注部240は、第1吐出位置261に位置付けられた反応容器33に対して、第1ピペット244により保持した試薬を吐出する。
同様に、試薬分注部250は、水平移送部252と、鉛直移送部253と、第2ピペット254と、第2ヒーター255と、第2ピペット254を介して試薬を吸引および吐出するための図示しないポンプと、を備える。水平移送部252は、鉛直移送部253を水平面内すなわちX−Y平面において所定の方向に移送する。鉛直移送部253は、第2ピペット254を鉛直方向すなわちZ軸方向に移送する。第2ヒーター255は、第2ピペット254の下端付近に設置されており、第2ピペット254により保持された試薬を加温する。
試薬を分注する場合、試薬分注部250は、図2に示す第2吸引位置251に位置付けられた試薬容器34に第2ピペット254を挿入し、試薬容器34内の試薬を吸引する。試薬分注部250は、第2ピペット254により保持した試薬を第2ヒーター255により所定温度に加温する。その後、試薬分注部250は、第2吐出位置271に位置付けられた反応容器33に対して、第2ピペット254により保持した試薬を吐出する。
図7に示すように、検出ユニット280には、領域280aに、第1方向すなわちX軸方向に並ぶように保持部281が配置されている。領域280aは、図1の第1領域13eに対応する。検出ユニット290には、領域290aに、第2方向すなわちY軸方向に並ぶように保持部291が配置されている。領域290aは、図1の第2領域13fに対応する。検出ユニット280の保持部281の列と、検出ユニット290の保持部291の列との間に、加温テーブル170が配置されている。このように、検出ユニット280、290と加温テーブル170を配置することにより、検出ユニット280、290と加温テーブル170をコンパクトに集約でき、検体分析装置100の設置面積の増大を抑制できる。
加温テーブル170の保持孔171に保持された反応容器33は、試薬分注部240により試薬が吐出される場合、第1位置174において、移送部173または移送部260により保持孔171から取り出されて、第1吐出位置261に位置付けられる。第1吐出位置261においてトリガー試薬が吐出された反応容器33は、移送部260により、第1吐出位置261からY軸正方向に移送されて検出ユニット280に位置付けられる。その後、反応容器33は、X軸方向に移送されて、検出ユニット280のいずれかの保持部281に移送される。移送部260は、反応容器33を検出ユニット280の保持部281が並ぶ列L1の直上位置P1までY軸正方向に移送した後、保持部281に移送するまでの時間が保持部281の位置にかかわらず所定の時間となるよう反応容器33を移送する。第1吐出位置261から直上位置P1に至るまでの、移送部260による移送距離をd1とする。
同様に、加温テーブル170の保持孔171に保持された反応容器33は、試薬分注部250により試薬が吐出される場合、第2位置175において、移送部173または移送部270により保持孔171から取り出されて、第2吐出位置271に位置付けられる。第2吐出位置271においてトリガー試薬が吐出された反応容器33は、第2吐出位置271からX軸負方向に移送されて検出ユニット290に位置付けられる。その後、反応容器33は、Y軸方向に移送されて、検出ユニット290のいずれかの保持部291に移送される。移送部270は、反応容器33を検出ユニット290の保持部291が並ぶ列L2の直上位置P2までX軸負方向に移送した後、保持部291に移送するまでの時間が保持部291の位置にかかわらず所定の時間となるよう反応容器33を移送する。第2吐出位置271から直上位置P2に至るまでの、移送部270による移送距離をd2とする。
ここで、移送部260が反応容器33を第1吐出位置261から検出ユニット280まで移送する距離と、移送部270が反応容器33を第2吐出位置271から検出ユニット290まで移送する距離とが等しい。具体的には、d1=d2となるよう、第1吐出位置261と、第2吐出位置271と、検出ユニット280、290の位置が設定されている。また、検出ユニット280に対する直上位置P1の位置関係と検出ユニット290に対する直上位置P2の位置関係は、互いに等しく、保持部281のピッチと保持部291のピッチは互いに等しい。これにより、第1吐出位置261から検出ユニット280の保持部281までの距離と、第2吐出位置271からこの保持部281に対応する位置関係にある検出ユニット290の保持部291までの距離が等しくなる。
このように、試薬分注部240によりトリガー試薬が分注される場合と、試薬分注部250によりトリガー試薬が分注される場合とで、トリガー試薬が吐出される位置から検出ユニット280、290の互いに対応する保持部281、291に至るまでの移送距離が互いに等しい。これにより、検出ユニット280と検出ユニット290に対し同様の移送制御を適用しながら、検出ユニット280の検出部282において測定が行われる場合と、検出ユニット290の検出部292において測定が行われる場合とで、トリガー試薬が分注されてから検出が開始されるまでの時間を互いに等しくすることができる。これにより、検出ユニット280、290による測定結果に差が生じることを抑制できる。
直上位置P1は、領域280aにおいて、X軸方向すなわち保持部281の並び方向の中央位置に配置されることが好ましい。これにより、直上位置P1と、直上位置P1から最も離れた保持部281との距離を抑えることができる。よって、反応容器33を第1吐出位置261から各保持部281へと同じ時間で移送する移送時間の調整において、移送時間を短くできる。同様に、直上位置P2は、領域290aにおいて、Y軸方向すなわち保持部291の並び方向の中央位置に配置されることが好ましい。
移送部260、270による移送経路は直線であったが、移送部260、270による移送経路は曲線を含んでも良い。この場合、曲線および直線の移送経路に沿って移送される反応容器33の移送距離が、移送部260、270による移送距離となる。
移送距離d1、d2は等しくなるよう設定されたが、必ずしも等しくなるよう設定されなくても良い。移送距離d1、d2の差によって生じる測定結果の違いが、情報処理装置103による分析結果に対して臨床的な違いを生じさせない程度に、移送距離d1、d2が設定されれば良い。
移送部260は、第1位置174に位置付けられた保持孔171に保持された反応容器33を、保持部281に移送する。移送部270は、第1位置174とは異なる第2位置175に位置付けられた保持孔171に保持された反応容器33を、保持部291に移送する。これにより、加温テーブル170に保持された反応容器33を、移送部260、270により、異なる2つの位置から並行して、それぞれ検出ユニット280、290へと移送できる。
図8(a)に示すように、光照射ユニット400は、光源部401と、結束部材461、462と、13本の第1光ファイバー471と、13本の第2光ファイバー472と、を備える。光源部401は、光源410と、ミラー421、422と、集光レンズ431〜436と、モータ440と、光透過型のセンサ450と、円盤形状のフィルタ部500と、を備える。
光源410は、ハロゲンランプにより構成される。光源410は、両面から光を出射する板状のフィラメント411を備え、フィラメント411の両面からは、同じ特性の光が出射される。これにより、光源410から同じ特性の光が、それぞれミラー421、422に向けて出射される。ミラー421、422は、光源410から出射された光を反射する。
集光レンズ431〜433は、ミラー421によって反射された光を集光する。集光レンズ431〜433により集光された光は、フィルタ部500の光学フィルタ511〜515のいずれか1つを透過して、第1光ファイバー471に導かれる。集光レンズ434〜436は、ミラー422によって反射された光を集光する。集光レンズ434〜436により集光された光は、フィルタ部500の光学フィルタ511〜515のいずれか1つを透過して、第2光ファイバー472に導かれる。フィルタ部500は、軸501を中心に回転可能であり、軸501は、モータ440の回転軸に接続されている。
13本の第1光ファイバー471は、結束部材461によって束ねられ、13本の第2光ファイバー472は、結束部材462によって束ねられている。第1光ファイバー471の先端は、検出ユニット280に接続され、第2光ファイバー472の先端は、検出ユニット290に接続されている。第1光ファイバー471は、光源部401から照射された光を検出ユニット280の検出部282に導き、第2光ファイバー472は、光源部401から照射された光を検出ユニット290の検出部292に導く。
このように、検出部282、292には、1つの光源部401から照射された光が導かれるため、検出部282、292に基づく測定結果にはばらつきが生じにくくなる。
図8(b)に示すように、フィルタ部500は、フィルタ板510と保持部材520を備える。フィルタ板510には、同一円周上に6つの孔510aが60度間隔で形成され、6つの孔510aのうち5つに、光学フィルタ511〜515が装着されている。光学フィルタ511〜515は、それぞれ、所定の波長帯の光を透過し、その他の波長帯の光をカットするバンドパスフィルタである。光学フィルタ511〜515の透過波長帯域の中心波長は、それぞれ、340nm、405nm、575nm、660nm、800nmである。光学フィルタが装着されない孔510aは、光が通過しないように塞がれている。波長660nmの光は、血液凝固時間測定用であり、波長405nmの光は、合成基質測定用であり、波長800nmの光は、免疫比濁測定用である。
保持部材520は、フィルタ板510を光学フィルタ511〜515の両面が露出するように保持する。フィルタ板510は、保持部材520に固定されている。保持部材520には、同一円周上に1つのスリット521と5つのスリット522とが60度間隔で形成されている。スリット521は、スリット522よりも、回転方向の幅が大きい。
フィルタ部500が回転すると、集光レンズ431〜433により集光された光の通路と、集光レンズ434〜436により集光された光の通路とに、光学フィルタ511〜515が順次配置される。また、フィルタ部500が回転すると、スリット521、522がセンサ450の検出位置を通過する。したがって、フィルタ部500の回転位置は、センサ450の検出信号により把握される。光学フィルタ511〜515のいずれか1つを透過した光は、結束部材461によって束ねられている第1光ファイバー471の端部に入射し、結束部材462によって束ねられている第2光ファイバー472の端部に入射する。
フィルタ部500は、角速度が一定となるように回転制御される。これにより、第1光ファイバー471と第2光ファイバー472には、一定の時間間隔で、異なる波長帯の光が供給される。フィルタ部500の回転制御には、センサ450の検出信号のうち、スリット521に対応する検出信号が用いられる。具体的には、スリット521に対応する検出信号が周期的に検出されるよう、モータ440が制御される。また、第1光ファイバー471と第2光ファイバー472にどの波長帯の光が供給されているかは、センサ450の検出信号のうち、スリット522に対応する検出信号が用いられる。具体的には、スリット522に対応する検出信号が、スリット521に対応する検出信号から何番目のものであるかによって、供給される光の波長帯が識別される。測定時には、フィルタ部500は、たとえば10回転/秒程度の速度で回転される。
こうして、光源部401は、血液凝固時間測定用の波長660nmの光と、合成基質測定用の波長405nmの光と、免疫比濁測定用の波長800nmの光と、を順番に繰り返し照射する。
図9(a)に示すように、検出部282は、集光レンズ601と、センサ602と、を備える。第1光ファイバー471の端部471aは、円形の穴283に差し込まれ、端部471aの背面が板バネ284により押さえられている。これにより、端部471aが穴283に固定される。集光レンズ601は、穴283のY軸正側の側面に装着されている。孔285は、穴283と保持部281とを連通させる。端部471aから出射され、集光レンズ601によって集光された光は、孔285を通って保持部281に保持された反応容器33へと導かれる。集光レンズ601は、第1光ファイバー471から出射された光を反応容器33に照射する光照射部を構成する。
孔286は、センサ602と保持部281とを連通させる。集光レンズ601から反応容器33へと導かれた光は、反応容器33および測定試料を透過した後、センサ602に導かれる。センサ602は、保持部281に保持された反応容器33からの光を受光して、分析のための信号を出力する。検出部282は、光照射部の構成として、集光レンズ601の他に、コリメータレンズ等の他の光学素子を備えても良い。
図9(b)に示すように、検出部292は、検出部282と同様、集光レンズ611と、センサ612と、を備える。第2光ファイバー472の端部472aは、円形の穴293に差し込まれ、端部472aの背面が板バネ294により押さえられている。これにより、端部472aが穴293に固定される。集光レンズ611は、穴293のX軸負側の側面に装着されている。孔295は、穴293と保持部291とを連通させる。端部472aから出射され、集光レンズ611によって集光された光は、孔295を通って保持部291に保持された反応容器33へと導かれる。集光レンズ611は、第2光ファイバー472から出射された光を反応容器33に照射する光照射部を構成する。
孔296は、センサ612と保持部291とを連通させる。集光レンズ611から反応容器33へと導かれた光は、反応容器33および測定試料を透過した後、センサ612に導かれる。センサ612は、保持部291に保持された反応容器33から光を受光して、分析のための信号を出力する。検出部292は、光照射部の構成として、集光レンズ611の他に、コリメータレンズ等の他の光学素子を備えても良い。
検出部282のセンサ602から出力された信号と、検出部292のセンサ612から出力された信号は、図2の情報処理装置103の制御部103aに送信される。制御部103aは、センサ602が出力する信号の経時変化に基づいて、保持部281に保持された反応容器33中の検体を分析する。制御部103aは、センサ612が出力する信号の経時変化に基づいて、保持部291に保持された反応容器33中の検体を分析する。
たとえば、凝固時間法に基づく分析において、制御部103aは、センサ602、612から出力された検出信号に基づいて、測定試料の吸光度を算出し、算出した吸光度が所定の閾値を超えるまでの時間を当該測定試料の凝固時間として算出する。吸光度に代えて、検出信号から濁度を求め、濁度が所定の閾値を超えるまでの時間を当該検体の凝固時間として算出してもよい。また、センサ602、612から出力された検出信号が所定の閾値を超えるまでの時間を当該測定試料の凝固時間として算出してもよい。
図9(a)、(b)には、測定試料を透過した光を検出する場合の検出部282、292の構成を示したが、測定試料により散乱された光をセンサ602、612で受光し、散乱光に基づく検出信号に基づいて、上記各手法による分析を行ってもよい。この場合、検出部282において、センサ602と孔286の配置が修正され、検出部292において、センサ612と孔296の配置が修正される。
センサ602、612が出力する信号は、全ての波長の光が測定試料に照射されることにより得られる全ての波長の光に基づく信号を含んでいる。全ての波長の光に基づく信号は、情報処理装置103に送信される。情報処理装置103の制御部103aは、受信した全ての波長の光に基づく信号のうち、検体に対して設定された測定項目に対応する波長の光に基づく信号を用いて、検体の分析を行う。具体的には、制御部103aは、上記5つの波長の光ごとに時系列データを生成し、生成した時系列データのうち、検体の測定項目に対応するデータを用いて検体を分析する。これにより、測定項目にかかわらず、高い処理能力を維持できる。
測定試料の凝固時間は、上記のように、測定試料から得られる吸光度や濁度等の光学情報に基づいて算出される。「凝固時間」としては、活性化部分トロンボプラスチン時間、プロトロンビン時間等が挙げられる。
また、凝固時間は、血液の凝固による粘度の増加等、光学情報以外の情報に基づいて測定されてもよい。凝固時間を粘度の増加に基づいて算出する場合、検出部282、292は、高周波発信コイルと、高周波受信コイルと、高周波発信コイルと高周波受信コイルとの間にある、スチールボールを収容した反応容器を設置する反応容器設置部と、反応容器設置部の両端に設けられた電磁石とを備える。反応容器内のスチールボールは、電磁石が発生する磁力によって左右に振幅運動する。この振幅運動は、粘度が増加するほど減少する。測定試料の凝固が始まると、測定試料の粘度が増加するため、スチールボールの振幅が減少する。したがって、検出部282、292は、高周波発信コイルが発信する高周波を高周波受信コイルが受信することによって、振幅の変化を検知する。情報処理装置103の制御部103aは、検知された振幅の経時的変化に基づき、凝固時間を算出する。
図10(a)に示すように、検体分析装置100は、筐体104、105を備える。筐体104は、移送部160よりもX軸正側に位置する測定部101の各部を覆っている。筐体104は、Y軸正側に位置しX−Z平面に略平行な第1側面104aと、X軸負側に位置しY−Z平面に略平行な第2側面104bと、Y軸負側に位置しX−Z平面に略平行な第3側面104cと、を含む。第2側面104bは、第1側面104aに隣接しており、第3側面104cは、第1側面104aに隣接せず、第2側面104bに隣接している。筐体105は、移送部160と、移送部270と、検出ユニット290と、を覆っている。筐体105は、第2側面104bの一部に掛かるようにして筐体104に設置されている。
図10(b)に示すように、隣接部分104dにおいて、第1側面104aと第2側面104bとが隣接している。隣接部分104dは、Z軸方向に延びている。加温テーブル170は、筐体104の内側であって隣接部分104dの近傍に配置されている。検出ユニット280は、第1側面104aの隣接部分104dに近い側に、第1側面104aに沿うように配置されている。検出ユニット290は、第2側面104bの隣接部分104dに近い側に、第2側面104b沿うように配置されている。検出ユニット280の複数の保持部281は、平面視において、第1側面104aに沿って並んでいる。検出ユニット290の複数の保持部291は、平面視において、第2側面104bに沿って並んでいる。搬送部102は、第3側面104cに沿うように配置されている。
図10(a)、(b)に示すように、加温テーブル170と検出ユニット280、290が、隣接部分104dの近傍に配置されるため、加温テーブル170と検出ユニット280、290を、測定部101内において互いに近付けて設置できる。これにより、検体分析装置100の設置面積の増大を抑制できる。
また、搬送部102が第3側面104cに沿うように配置され、検出ユニット280、290が第1側面104a側に配置されている。このため、検体容器32から検体を吸引する工程が測定部101の前方側で行われ、測定試料の測定が行われる工程が測定部101の後方側で行われることになる。これにより、測定部101内において、検体を一方向に、すなわち前方から後方へと移送すれば良いため、測定部101の構成を簡素化できる。
図11に示すように、測定部101は、回路部の構成として、制御部101aと、記憶部101bと、を備える。制御部101aは、図1の第1制御部24aに対応する。制御部101aは、CPU等の演算処理装置を備え、記憶部101bに記憶されたプログラムに従って、測定部101内の各部および搬送部102を制御する。記憶部101bは、ROM、RAMおよびハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部101aの制御に必要なプログラムおよび情報を格納する。記憶部101bは、制御の際のワーク領域としても利用される。
情報処理装置103は、制御部103aと、記憶部103bと、表示部103cと、入力部103dとを備える。制御部103aは、CPU等の演算処理装置を備え、記憶部103bに記憶されたプログラムに従って、分析処理および情報処理装置103内の各部の制御を行う。記憶部103bは、ROM、RAMおよびハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部103aの処理および制御に必要なプログラムおよび情報を格納する。記憶部103bは、処理および制御の際のワーク領域としても利用される。表示部103cは、モニタ等の表示手段を備える。入力部103dは、キーボードやマウス等の入力手段を備える。情報処理装置103は、たとえば、パーソナルコンピュータによって構成される。
制御部101aは、上記のように、センサ602、612から出力された検出信号を制御部103aに出力する。制御部103aは、受信した検出信号に基づいて、測定試料を分析する。具体的には、制御部103aは、受信した検出信号に基づいて、上記のように、吸光度を算出し、また、吸光度から凝固時間を算出する。制御部103aは、算出した凝固時間等を、分析結果として、表示部103cに表示させる。
図12および図13を参照して、反応容器33の移送経路について説明する。
検体を検出ユニット280で測定する場合、図12に示すように、検体分注部130が、検体吸引位置121において検体容器32から検体を吸引し、吸引した検体を反応容器テーブル190上の反応容器33に分注する。反応容器33が検体分注部140によって吸引可能な位置に反応容器テーブル190が回転される。こうして移動された反応容器33から検体分注部140が検体を吸引し、吸引した検体を移送部150上の第1検体吐出位置151にある反応容器33に分注する。その後、移送部150が、加温テーブル170付近の位置に、反応容器33を移送する。移送された反応容器33が移送部173によって加温テーブル170に移送され設置される。適宜、移送部173が第1吐出位置261に反応容器33を移送し、試薬分注部240が調整試薬を反応容器33に分注する。
加温テーブル170における加温が完了した後、加温テーブル170が回転し、反応容器33が第1吐出位置261付近に移送される。移送部260が反応容器33を第1吐出位置261に移送する。第1吐出位置261で、試薬分注部240がトリガー試薬を反応容器33に分注する。その後、移送部260が反応容器33を検出ユニット280の何れかの保持部281に移送しセットする。検出部282が、保持部281にセットされた反応容器33に対する測定を行って、検出信号を情報処理装置103に出力する。測定が終了すると、移送部260が反応容器33を廃棄口301に移送し、反応容器33を廃棄ユニット303に廃棄する。
検体を検出ユニット290で測定する場合、図13に示すように、検体分注部130が、検体吸引位置121において検体容器32から検体を吸引し、吸引した検体を反応容器テーブル190上の反応容器33に分注する。反応容器33が検体分注部140によって吸引可能な位置に反応容器テーブル190が回転される。こうして移動された反応容器33から検体分注部140が検体を吸引し、吸引した検体を移送部160上の第2検体吐出位置161にある反応容器33に分注する。その後、移送部160が、加温テーブル170付近の位置に、反応容器33を移送する。移送された反応容器33が移送部270によって加温テーブル170に移送され設置される。適宜、移送部173が第2吐出位置271に反応容器33を移送し、試薬分注部250が調整試薬を反応容器33に分注する。
加温テーブル170における加温が完了した後、加温テーブル170が回転し、反応容器33が第2吐出位置271付近に移送される。移送部270が反応容器33を第2吐出位置271に移送する。第2吐出位置271で、試薬分注部250がトリガー試薬を反応容器33に分注する。その後、移送部270が反応容器33を検出ユニット290の何れかの保持部291に移送しセットする。検出部292が、保持部291にセットされた反応容器33に対する測定を行って、検出信号を情報処理装置103に出力する。測定が終了すると、移送部270が反応容器33を廃棄口302に移送し、反応容器33を廃棄ユニット303に廃棄する。
図13に点線で示すように、検体分注部140が検体吸引位置122で検体容器32から検体を吸引する場合、吸引された検体は、直接、第1検体吐出位置151にある反応容器33または第2検体吐出位置161にある検体に分注される。こうして、検体が分注された反応容器33は、その後、上記と同様の経路で、検出ユニット280または検出ユニット290に移送される。
なお、移送部150により移送された後、加温テーブル170にセットされた反応容器33が、移送部270によって検出ユニット290の何れかの保持部291に移送されて測定されてもよい。また、移送部160により移送された後、加温テーブル170にセットされた反応容器33が、移送部260によって検出ユニット280の何れかの保持部281に移送されて測定されてもよい。
図11の制御部101aは、たとえば、検体の処理効率が高まるように、反応容器33の移送経路を決定する。たとえば、制御部101aは、検出ユニット280、290のうち、反応容器33を保持していない保持部281の数が多い方の検出ユニットに優先的に反応容器33を移送する。あるいは、制御部101aは、検出ユニット280、290において反応容器33がセットされている保持部の数が同じであれば、セットされた反応容器33の何れかの測定が先に完了するまでの時間が短い方の検出ユニットに優先的に反応容器33を移送する。また、反応容器テーブル190に空の反応容器33が未装着の場合は、検体分注部140によって、直接、第1検体吐出位置151または第2検体吐出位置161にある反応容器33に検体を分注してもよい。上記以外の基準によって、反応容器33の移送経路が決定されてもよい。