JP6658793B2 - 前処理キット、その前処理キットを用いて試料の前処理を行なう前処理装置及びその前処理装置を備えた分析システム - Google Patents

前処理キット、その前処理キットを用いて試料の前処理を行なう前処理装置及びその前処理装置を備えた分析システム Download PDF

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Description

本発明は、例えば全血、血清、血漿、ろ紙血、尿などの生体由来試料に含まれる成分のうち、分析に不要な特定成分を除去して必要成分を試料として抽出する抽出処理などの前処理を行なうための前処理キット、その前処理キットを用いて前処理を自動的に実行する前処理装置、及びその前処理装置を備えて試料の前処理から分析までの一連の処理を自動で行なう分析システムに関するものである。
生体試料などの試料の定量分析などを実行する際、その生体試料から分析に不要な特定成分を除去して必要成分を試料として抽出する処理や、抽出された試料の濃縮や乾固をする乾固処理を行なう必要がある場合がある。かかる前処理を自動的に実行する前処理装置として、従来から種々のものが提案され、実施されている(例えば、特許文献1参照。)。
例えば特許文献1では、試料を通過させることによって特定成分を分離させる分離剤を保持した複数のカートリッジを共通の搬送機構で保持し、搬送機構によってそれらのカートリッジを所定位置に設けられた圧力負荷機構に順次配置し、圧力負荷機構においてカートリッジに圧力を負荷することで試料の抽出を行なうことが開示されている。この場合、カートリッジからの抽出液を受ける複数の抽出液受けを、カートリッジの下方でカートリッジとは別の搬送機構によってカートリッジとは相対的に移動させ、圧力負荷機構に順次配置していくことで、試料の抽出が連続的に行なわれる。
特開2010−60474号公報
上記の方式では、圧力負荷機構において試料の抽出処理が行なわれている間はカートリッジや抽出液受けの搬送機構を動かすことができない。このため、試料の抽出処理中に抽出した試料の取出しなどの作業を行なうことができず、前処理効率を向上させるには限界がある。また、抽出液受けが常にカートリッジの下方に配置された状態であるため、抽出液受けに抽出された試料を採取することが容易でない。
そこで、本発明は、前処理によって抽出された試料の取出しを容易にし、試料の前処理効率を向上させることを目的とするものである。
本発明にかかる前処理キットは、試料ごとに用意され、前処理を実行する前処理装置において個別に搬送されて前処理を実行するためのポートに設置され、各ポートにおいて独立して前処理を行なうためのものである。かかる前処理キットは、分離デバイス、回収容器及びスカート部を備えている。分離デバイスは、上方が開口した内部空間を有し、その内部空間内に、試料を通過させて試料中の特定成分を試料から分離させる分離層が設けられているとともに、下端部に分離層を通過した試料を抽出するための抽出口が設けられている筒状の容器である。回収容器は、上方が開口し、その開口から分離デバイスの下部を挿入することによって分離デバイスに対して着脱可能であり、分離デバイスの抽出口より抽出される試料を回収する内部空間を有し、該内部空間に分離デバイスの下端部を収容した状態で試料の抽出処理を行なうための濾過ポートをなす凹部に嵌め込まれるものである。スカート部は分離デバイスと一体をなし、分離デバイスの外周面との間に上方が閉じられ下方が開口した空間が形成されるように外周面との間に隙間をもって外周面を囲うように設けられ、分離デバイスの下端部を収容した状態の回収容器が凹部に嵌め込まれたときに、その下端部が凹部の開口の周囲の面に密接するように設けられている。
本発明にかかる前処理装置は、本発明の前処理キットを使用して前処理を実行する装置である。該前処理装置は、前処理キットの分離デバイス及び/又は回収容器を保持する保持部を有し、その保持部を移動させることによって分離デバイス及び/又は回収容器を搬送する搬送機構と、保持部の軌道に沿う位置に設けられ、分離デバイスの下端部を収容した状態の回収容器を収容する凹部からなる濾過ポート、及び前処理キットが設置された濾過ポート内を負圧にする圧力負荷部を備えた濾過部と、搬送機構及び圧力負荷部の動作を制御する制御部であって、濾過処理を行なうべき試料を収容した分離デバイスとその分離デバイスから抽出される試料を回収するための回収容器を濾過ポートに設置し、その濾過ポート内を負圧にして濾過ポート内における試料の抽出処理を行なうように構成された前処理手段を備えた制御部と、を備えている。
本発明にかかる分析システムは、本発明の前処理装置と、その前処理装置に設けられ、前処理のなされた試料を収容した回収容器を該前処理装置の搬送機構により設置するための転送ポート、及び転送ポートを該前処理装置の外側へ移動させる駆動機構を有する転送装置と、前処理装置と隣接して配置された液体クロマトグラフシステムであって、移動相の流れる分析流路、転送装置によって前処理装置の外側に配置された転送ポートに設置されている回収容器の試料を採取して分析流路に注入する試料注入装置、分析流路上に配置され試料注入装置により注入された試料を成分ごとに分離する分析カラム、及び分析カラムで分離された試料成分を検出する検出器を有する液体クロマトグラフシステムと、を備えたものである。
本発明の前処理キットは、試料ごとに用意され、前処理を実行する前処理装置において個別に搬送されて前処理を実行するためのポートに設置され、各ポートにおいて独立して前処理を行なうものであるので、試料の抽出処理などの前処理を複数の試料に対して同時並行的に実行することが可能となり、前処理の効率が向上する。前処理キットは、互いに着脱可能な分離デバイスと回収容器を備えているので、分離デバイスから回収容器へ試料を抽出した後、分離デバイスと回収容器を分離することが可能となり、抽出試料の取出しが容易である。さらに、この前処理キットは、分離デバイスと一体をなし、分離デバイスの外周面との間に上方が閉じられ下方が開口した空間が形成されるように外周面との間に隙間をもって外周面を囲うように設けられ、分離デバイスの下端部を収容した状態の回収容器が濾過ポートをなす凹部に嵌め込まれたときに、その下端部が凹部の開口の周囲の面に密接するように設けられたスカート部を備えているので、前処理キットを濾過ポートに設置するだけで該濾過ポート内を密閉空間とすることができ、濾過ポート内を減圧して負圧にすることが容易になる。分離デバイスの上側の開口面は大気解放されているため、前処理キットを設置して濾過ポート内を負圧にすれば、分離デバイス内の分離層の上側と下側の圧力差によって試料が分離層を通過して濾過され、回収容器内に抽出される。
本発明の前処理装置では、前処理キットの分離デバイス及び/又は回収容器を保持する保持部を有し、その保持部を移動させることによって分離デバイス及び/又は回収容器を搬送する搬送機構と、回収容器の外径よりも大きい内径を有し、保持部の軌道に沿う位置において分離デバイスの下端部を収容した状態の回収容器を該回収容器の外周面との間に隙間をもって収容する凹部からなる濾過ポート、及び前処理キットが設置された濾過ポート内を負圧にする圧力負荷部を備えた濾過部と、を備えているので、試料を個別に収容した前処理キットの分離デバイス及び/又は回収容器を個別に搬送し、濾過ポートにおいて試料の抽出処理(濾過処理ともいう。)を個別に行なうことができる。これにより、複数の試料の前処理を同時並行的に行なうことが可能になり、試料の前処理の効率が向上する。「分離デバイス及び/又は回収容器を搬送する」とは、分離デバイスと回収容器のいずれか一方を搬送することと、分離デバイス及び回収容器の両方を搬送することの両方を意味する。
本発明の分析システムでは、本発明の前処理装置と隣接して液体クロマトグラフシステムを設置し、液体クロマトグラフシステムの試料注入装置が、前処理装置に設けられた転送装置によって前処理装置の外側に配置された回収容器から試料を採取してその分析を行なうように構成されているので、試料の前処理から分析までの一連の処理をすべて自動で行なうことができる。
前処理装置の一実施例を示す平面図である。 前処理キットの分離デバイスの一例を示す断面図である。 前処理キットの回収容器の一例を示す断面図である。 分離デバイスに回収容器を装着した状態の前処理キットを示す断面図である。 分離デバイスの他の例を示す断面図である。 搬送アームの保持部の構造を示す搬送アーム先端部の斜視図である。 濾過ポートを示す平面図である。 図4AのX−X断面を示す断面図である。 図4AのY−Y断面を示す断面図である。 濾過ポートに前処理キットを設置した状態を示す断面構成図である。 負圧負荷機構の構成を示す概略流路構成図である。 攪拌部の構造を示す断面構成図である。 攪拌部の動作状態を示す断面構成図である。 同実施例の制御系統を示すブロック図である。 同実施例の前処理動作の一例を示すフローチャートである。 前処理装置の他の実施例を示す平面図である。 乾固機構の一部を濾過ポートとともに示す断面構成図である。 乾固ガス供給ノズルを回収容器上に配置した状態を示す断面図である。 同実施例の制御系統を示すブロック図である。 同実施例の前処理動作の一例を示すフローチャートである。 分析システムの一実施例を概略的に示すブロック図である。 同実施例における液体クロマトグラフシステムの構成を示す流路構成図である。 前処理キットの分離デバイスの他の形態を示す正面図である。 同分離デバイスの断面図である。 前処理キットの回収容器の他の形態を示す正面図である。 同回収容器の断面図である。
本発明の前処理キットにおいて、分離デバイスは、分離デバイスの外周面のスカート部よりも上側に周囲方向へ広がる鍔部を備えており、回収容器は、濾過ポートをなす凹部に嵌め込まれる部分よりも上側の外周面に周囲方向へ広がる鍔部を備えていることが好ましい。そうすれば、分離デバイスと回収容器のそれぞれを保持することが容易になり、分離デバイス及び回収容器を搬送する搬送機構の保持部の構成を簡単にすることができる。
上記の場合、分離デバイスにおいて、スカート部の付け根部分より下側の部分であるデバイス下部の外径は、スカート部の付け根部分より上側の部分であるデバイス上部の外径よりも小さくなっており、デバイス上部の外周面に鍔部が設けられ、デバイス下部が回収容器に収容されるようになっており、回収容器においてデバイス下部が挿入される部分である容器上部の外径は、デバイス上部の外径と同一であり、容器上部に鍔部が設けられており、分離デバイスの鍔部と回収容器の鍔部は同一の形状及び外径を有するものであることが好ましい。そうすれば、分離デバイスと回収容器を搬送する搬送機構を共通化することができる。
ところで、分離デバイスの下部を回収容器内に挿入して一体化させたときに、回収容器の上部はスカート部の内側に挿し込まれる。このとき、回収容器の上端部とスカート部の付け根部分が密接していたり両者の間の隙間が小さかったりすると、回収容器の外側で空気を吸入しても回収容器内の圧力を効率よく減圧することができない。そこで、回収容器の上部の開口の縁に、上方が開口した切欠きを設けてもよい。回収容器の上部の開口の縁に、上方が開口した切欠きが設けられていれば、回収容器の上部がスカート部の内側に挿し込まれたときにこの切欠きが空気を流通させる開口となり、回収容器内の圧力を効率よく減圧することができる。
分離デバイス内に設けられている分離層としては、試料中の蛋白質を除去するための除蛋白フィルタ、又は除蛋白フィルタと該除蛋白フィルタの上方に設けられ除蛋白フィルタの目詰まりを防止するプレフィルタからなるものが挙げられる。
本発明の前処理装置では、搬送濾過ポートの内側側面に、濾過ポートに回収容器が嵌め込まれたときに該回収容器の外周面と接してその外周面に対して垂直な方向に弾性変形し、回収容器の外周面をその周囲から均等に押圧して回収容器を濾過ポートの中央部に保持する回収容器保持部材が設けられていることが好ましい。そうすれば、濾過ポートに設置された分離デバイス及び回収容器の位置が安定し、搬送機構の保持部が分離デバイスや回収容器の保持を失敗する可能性を低くすることができる。
回収容器保持部材の一例は、濾過ポートの内側側面における周方向に均等な複数の位置に設けられた板バネである。
濾過ポートをなす凹部の開口部の周囲であって前処理キットのスカート部の下端部との当接部分に、スカート部の下端部との密着性を高める弾性材料からなるシール部材が設けられていることが好ましい。そうすれば、濾過ポートに前処理キットが設置されたときの濾過ポート内の気密性が向上し、濾過ポート内が減圧されやすくなる。
制御部が備えている処理手段は、濾過ポートに分離デバイス及び回収容器を設置した後、搬送機構の保持部で分離デバイスを下方へ押圧するように構成されていることが好ましい。そうすれば、濾過処理が開始される際に、分離デバイスのスカート部の下端部が濾過ポートの周囲に押し付けられた状態となって濾過ポート内の気密性が高まるため、濾過ポート内が減圧されやすくなる。濾過ポート内が負圧になった後は、分離デバイスを下方へ押圧し続けなくても濾過ポート内の負圧状態が維持されるため、搬送機構に他の動作を実行させることができる。
濾過ポートを複数備え、圧力負荷部、各濾過ポート内の圧力を負圧にするように構成されており、制御部は、濾過ポートにおける濾過処理の状況及び各濾過ポートの空き状況を管理する処理状況管理手段と、濾過処理を実行すべき試料があるときに、濾過ポートの空き状況を確認し、空いている濾過ポートがあるときはその試料を収容した分離デバイス及びその抽出試料を回収する回収容器を空いている濾過ポートに設置するように構成されたランダムアクセス手段と、をさらに備えていることが好ましい。そうすれば、濾過ポートが空き次第、順次、試料を収容した前処理キットを空いている濾過ポートに設置して試料の抽出処理を個別にかつ同時並行的に実行することができるので、試料の前処理のスループットが向上する。
搬送機構の一例として、水平方向に延び、基端部が鉛直方向に伸びた軸によって軸支され、その軸を中心に水平面内で回転するとともに前記軸に沿って鉛直方向へ移動するように構成された搬送アームを挙げることができる。その場合、濾過ポートは、搬送アームの回転に伴って保持部が描く円周軌道に沿う位置に濾過ポートが設けられる。かかる構成にすることで、搬送機構の構成を簡単にすることができる。
上記の場合において、試料又は試薬の分注を行なうべき分離デバイスを設置させる分注ポートと、試薬及び試薬を収容した分離デバイスを保持するとともに該分離デバイスを水平面内において周期的に動作させて該分離デバイス内を撹拌する撹拌ポートと、をさらに備え、それらのポートが、搬送アームの回転に伴って保持部の描く円周軌道に沿う位置に設けられていることが好ましい。そうすれば、搬送アームからなる搬送機構によって分離デバイスを分注ポートや撹拌ポートに設置することができる。
さらに、濾過処理により抽出された試料成分を収容する回収容器を保持する転送ポート、及び転送ポートを当該前処理装置に隣接して配置された自動試料注入装置側へ移動させる駆動機構を有する転送装置をさらに備えていることが好ましい。その場合、転送ポートは搬送アームの回転に伴って保持部の描く円周軌道に沿う位置に設けられている。これにより、濾過処理により抽出した試料成分を収容した回収容器を搬送アームによって転送ポートに設置することができ、回収容器を該前処理装置に隣接して配置された自動試料注入装置へ自動的に転送することができる。これにより、試料の前処理から液体クロマトグラフへの試料の導入処理をすべて自動化することができる。
また、試料を収容した分離デバイス又は回収容器を収容してその分離デバイス又は回収容器の温度を一定温度に調節する温調ポートが、搬送アームの回転に伴って保持部の描く円周軌道に沿う位置に設けられていてもよい。そうすれば、試料を一定温度条件下に置く必要がある場合に、その試料を収容した分離デバイス又は回収容器を搬送アームによって温調ポートに搬送して設置することができる。
また、使用済みの分離デバイス又は回収容器を廃棄するため廃棄ポートが、搬送アームの回転に伴って保持部の描く円周軌道に沿う位置に設けられていることが好ましい。そうすれば、搬送アームによって使用済みの分離デバイス又は回収容器を自動的に廃棄することができる。
前処理装置の一実施例について図1を用いて説明する。
この実施例の前処理装置1は、用意された分離デバイス50と回収容器54の組からなる前処理キットを試料ごとに一組用いて必要な前処理項目を実行する。前処理装置1には、各前処理項目を実行するための複数の処理ポートが設けられており、試料を収容した前処理キットをいずれかの処理ポートに設置することで、その前処理キットに収容された試料に対し各処理ポートに対応する前処理項目が実行されるようになっている。各処理ポートについては後述する。前処理項目とは、分析者が指定した分析項目を実行するために必要な前処理の項目である。
前処理キットをなす分離デバイス50及び回収容器54は、搬送機構をなす搬送アーム24によって搬送される。搬送アーム24は先端側に分離デバイス50及び回収容器54を保持するための保持部25を有し、保持部25が円弧状の軌道を描くようにその基端部を保持する鉛直軸29を回転中心として水平面内において回転する。分離デバイス50及び回収容器54の搬送先である各処理ポートやその他のポートは、すべて保持部25が描く円弧状の軌道に沿って設けられている。
試料を収容した試料容器6を設置するための試料設置部2が設けられ、その近傍に試料設置部2に設置された試料容器から試料を採取するためのサンプリング部であるサンプリングアーム20が設けられている。試料設置部2には複数の試料容器6を保持するサンプルラック4が円環状に設置される。試料設置部2はサンプルラック4をその周方向に移動させるように水平面内において回転し、試料設置部2の回転によって所望の試料容器6が所定のサンプリング位置に配置されるようになっている。サンプリング位置とは、サンプリングアーム20の先端のサンプリングノズル20aの軌道に沿った位置であって、サンプリングノズル20aにより試料を採取する位置である。
サンプリングアーム20は、基端部を鉛直軸22が貫通し、軸22を中心とする水平面内での回転動作及び軸22に沿った鉛直方向への上下動を行なう。サンプリングノズル20aはサンプリングアーム20の先端側でその先端が鉛直下方向を向くように保持されており、サンプリングアーム20によって水平面内における円弧状の軌道を描く移動と鉛直方向への上下動を行なう。
サンプリングノズル20aの軌道上で、かつ搬送アーム24の保持部25の軌道上の位置に分注ポート32が設けられている。分注ポート32は未使用の分離デバイス50に対してサンプリングノズル20aが試料を分注するためのポートである。未使用の分離デバイス50は搬送アーム24によって分注ポート32に設置される。
試料設置部2の内側に、試薬容器10を設置するための試薬設置部8が設けられ、試薬設置部8に設置された試薬容器から試薬を採取するための試薬アーム26(試薬添加部)が設けられている。試薬アーム26は基端が搬送アーム24と共通の鉛直軸29によって支持されており、水平面内において回転するとともに上下動を行なうようになっている。試薬アーム26の先端部にその先端が鉛直下方向を向くようにして試薬添加ノズル26aが設けられており、試薬添加ノズル26aは搬送アーム24の保持部25と同一の円弧状の軌道を描く水平面内の移動と上下動を行なう。
試薬設置部8は試料設置部2とは独立して水平面内で回転する。試薬設置部8には複数の試薬容器10が円環状に配置され、試薬設置部8が回転することによって試薬容器10がその回転方向に搬送され、所望の試薬容器10が所定の試薬採取位置に配置されるようになっている。試薬採取位置とは、試薬アーム26の試薬添加ノズル26aの軌道に沿った位置であって、試薬添加ノズル26aにより試薬の採取を行なうための位置である。試薬添加ノズル26aは所定の試薬を吸入した後、分注ポート32に設置された分離デバイス50に対して吸入した試薬を分注することで、試料への試薬の添加を行なうものである。
試料設置部2や試薬設置部8とは異なる位置に、前処理キット設置部12が設けられている。前処理キット設置部12は、未使用の分離デバイス50と回収容器54が重ねられた状態の複数組の前処理キットを円環状に設置するようになっている。前処理キット設置部12は水平面内において回転して前処理キットを円周方向に移動させ、任意の一組の前処理キットを搬送アーム24の保持部25の軌道に沿った位置に配置する。搬送アーム24は、保持部25の軌道に沿った位置に配置された未使用の分離デバイス50又は回収容器54を保持することができる。
前処理キット設置部12には、異なる分離性能をもつ分離剤が設けられた複数種類(例えば2種類)の分離デバイス50を分析者が設置しておくことができる。これらの分離デバイス50は試料の分析項目に応じて使い分けられ、分析者によって指定された分析項目に応じた分離デバイス50がこの前処理キット設置部12によって選択される。適当な分離デバイス50の選択は、この前処理装置1の動作を制御している制御部が行なう。制御部については後述する。ここでの分析項目とは、この前処理装置1で前処理の施された試料を用いて引き続いて行なわれる分析の種類である。そのような分析を実行する分析装置としては、例えば液体クロマトグラフ(LC)や液体クロマトグラフ−質量分析計(LC/MS)などが挙げられる。
前処理キットをなす分離デバイス50及び回収容器54について、図2A、図2B、図2C及び図2Dを用いて説明する。
分離デバイス50は、図2Aに示されているように、試料や試薬を収容する内部空間50aを有する円筒状の容器である。内部空間50aの底部に分離層52が設けられている。分離層52とは、試料を通過させて特定成分と物理的又は化学的に反応することで、試料中の特定成分を選択的に分離させる機能を有する分離剤又は分離膜である。分離層52をなす分離剤としては、例えばイオン交換樹脂、シリカゲル、セルロース、活性炭などを用いることができる。分離膜としてはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜、ナイロン膜、ポリプロピレン膜、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜、アクリル共重合体膜、混合セルロース膜、ニトロセルロース膜、ポリエーテルスルホン膜、イオン交換膜、グラスファイバー膜などを用いることができる。
また、試料中の蛋白質を濾過によって取り除くための除蛋白フィルタ(分離膜)として、PTFE、アクリル共重合体膜などを用いることができる。この場合、除蛋白フィルタの目詰まりを防止するために、図2Dに示されているように、除蛋白フィルタ52aの上側にプレフィルタ52bを設けてもよい。かかるプレフィルタ52bとしては、ナイロン膜、ポリプロピレン膜、グラスファイバー膜などを用いることができる。プレフィルタ52bは試料中から粒径の比較的大きな不溶物質や異物を取り除くためのものであり、これによって除蛋白フィルタ52aが粒径の比較的大きな不溶物質や異物によって目詰まりすることを防止することができる。
分離デバイス50の上面に試料や試薬を注入するための開口50bが設けられ、下面に分離剤52を通過した液を抽出するための抽出口50dが設けられている。外周面の上部に、後述する搬送アーム24の保持部25を係合させるために周方向へ突出した鍔部50cが設けられている。
鍔部50cの下方に、周方向へ突起し、そこから下方へ一定距離だけ延びて外周面の周囲を取り囲むスカート部51が設けられている。後述するが、スカート部51は、処理部28の濾過ポート30に回収容器54とともに収容されたときに、濾過ポート30の縁に密接することによってスカート部51の内側の空間を密閉空間にするためのものである。
回収容器54は、図2B及び図2Cに示されているように、分離デバイス50の下部を収容し、分離デバイス50の抽出口50dから抽出された抽出液を回収する円筒状の容器である。上面に分離デバイス50の下部を挿入させる開口50bを有し、内部に分離デバイス50のスカート部51よりも下側の部分を収容する空間54aを有する。外周面の上部に、分離デバイス50と同様に、搬送アーム24の保持部25を係合させるために周方向へ突出した鍔部54cが設けられている。鍔部54cは分離デバイス50の鍔部50cと同一の形状及び外径を有するものである。搬送アーム24の保持部25は、分離デバイス50の鍔部50cと回収容器54の鍔部54cを同様に保持することができる。
回収容器54の上部は、分離デバイス50に装着されたときにスカート部51の内側に入り込む。分離デバイス50の外径と回収容器54の内径は、回収容器54の内部空間54aに分離デバイス50が収容されたときに、分離デバイス50の外周面と回収容器54の内周面との間に僅かな隙間が生じるように設計されている。前処理キット設置部12には、分離デバイス50と回収容器54が、分離デバイス50の下部が回収容器54に収容された状態(図2Cの状態)で設置される。
次に、搬送アーム24の保持部25の構造について図3を用いて説明する。
保持部25は、分離デバイス50の鍔部50cや回収容器54の鍔部54cを保持する2本の指部46を備えている。指部46は搬送アーム24の先端部において搬送アーム24に対して略垂直な方向でかつ水平方向へ突起している。2本の指部46は互いに間隔をもって設けられており、互いがコイルバネ47によって連結されている。2本の指部46は自在に水平方向に開閉することができ、互いの間に挟んだ分離デバイス50及び回収容器54の鍔部50c又は54cをコイルバネ47の弾性力によって保持することができる。両指部46の内側側面に、鍔部50c又は54cの側縁部をスライド可能に保持する溝46aが設けられている。
両指部46の内側側面は、両指部46の間の間隔が、先端部で分離デバイス50及び回収容器54の胴体部分の外径よりも小さく、先端部と基端部の間の位置(保持位置という。)で分離デバイス50及び回収容器54の胴体部分の外径と同程度又はそれよりも大きくなるように、湾曲した形状となっている。また、両指部46の先端部の内側側面は、指部46を分離デバイス50又は回収容器54に押し付けたときにこの先端部が分離デバイス50又は回収容器54の形状に沿って摺動するように、滑らかに湾曲した形状になっている。かかる形状により、搬送アーム24を反時計回り(左回り)に回転させながら指部46を分離デバイス50又は回収容器54に押し付けるだけで、指部46が分離デバイス50又は回収容器54の胴体部分の周面に沿って自動的に開き、分離デバイス50又は回収容器54が指部46の先端部と基端部の間の保持位置にきたときに指部46がコイルバネ47の弾性力によって自動的に閉じ、分離デバイス50又は回収容器54を安定的に保持することができる。
保持した分離デバイス50又は回収容器54をいずれかのポートに設置する際は、保持した分離デバイス50又は回収容器54の下部を設置先のポートに収容した状態で搬送アーム24を時計回り(右回り)に回転させるだけである。分離デバイス50又は回収容器54をポートに収容した状態で搬送アーム24を時計回りに回転させると、両指部46の内側の湾曲した側面形状により指部46が分離デバイス50又は回収容器54の胴体部分の周面に沿って自動的に開き、分離デバイス50又は回収容器54の保持が解除される。
保持部25がかかる構造をとるため、分離デバイス50又は回収容器54の搬送動作は、以下のようにして行なう。
まず、搬送対象の分離デバイス50又は回収容器54の鍔部50c又は54cの側方に指部46を配置し、鍔部50c又は54cを両指部46の内側側面の溝46aに沿ってスライドさせるように搬送アーム24を反時計回りへ回転させる。これにより、保持部25が分離デバイス50又は回収容器54の鍔部50c又は54cを安定的に保持する。その後、搬送アーム24を移動させて搬送先のポートに分離デバイス50又は回収容器54を設置する。
搬送先のポートに分離デバイス50又は回収容器54を設置した後、搬送アーム24を時計回りへ回転させることにより分離デバイス50又は回収容器54の保持を解除する。これにより、分離デバイス50又は回収容器54の搬送が完了し、搬送先のポートに分離デバイス50又は回収容器54が設置される。
図1に戻って説明を続ける。前処理キットを収容して特定の前処理項目を実行するための処理ポートとして、濾過ポート30、撹拌ポート36a、分離デバイス50用の温調ポート38及び回収容器54用の温調ポート40が設けられている。濾過ポート30は前処理キット設置部12の内側の2ヶ所の位置に設けられている。撹拌ポート36aは、前処理キット設置部12の近傍に設けられた撹拌部36に3つ設けられている。温調ポート38及び40はそれぞれ4つずつ円弧上に並んで配置されている。
濾過ポート30には圧力負荷部としての負圧負荷機構55(図4A及び図4B参照。)が接続されており、濾過ポート30に設置された前処理キットに対して負圧を付加するように構成されている。撹拌部36は各撹拌ポート36aを個別に水平面内で周期的に動作させる機構を有し、各撹拌ポート36aに配置された分離デバイス50内の試料溶液を撹拌するものである。温調ポート38及び40は、例えばヒータとペルチェ素子により温度制御された熱伝導性のブロックに設けられ、分離デバイス50又は回収容器54を収容して分離デバイス50又は回収容器54の温度を一定温度に調節するものである。
濾過ポート30について図4A、図4B、図4C及び図4Dを用いて説明する。
濾過ポート30は前処理キットを収容する凹部からなる。濾過ポート30には、図4Dに示されているように、まず回収容器54が収容され、回収容器54の内部空間54aに分離デバイス50の下部が収容される。
濾過ポート30内に、回収容器54を挟み込むように互いに対向する2方向から回収容器54を均等に押圧して回収容器54を中央部に保持する回収容器保持部材31が設けられている(図4B及び図4D参照。)。回収容器保持部材31は上方が開口したU字型の金属部材であって、上方へ伸びた2本の腕が濾過ポート30の内径方向へ弾性的に変位するように構成された2本の板バネを構成している。回収容器保持部材31の2本の板バネ部分は、上端部と下端部の間の部分の互いの間隔が最も狭くなるように内側へ凹んだ湾曲形状又は屈曲形状になっている。2本の板バネ部分の間の間隔は、上端部や下端部では回収容器54の外径よりも広く、最も狭い部分では回収容器54の外径よりも狭くなっている。かかる回収容器保持部材31の形状により、濾過ポート30内に回収容器54が差し込まれると、回収容器54が下降するにしたがって回収容器保持部材31の2本の板バネ部分が開き、その弾性力によって回収容器54を濾過ポート30の中央部に保持する。回収容器保持部材31は、濾過ポート30内に固定されており、回収容器54が取り出される際に回収容器54とともに浮き上がらないようになっている。
濾過ポート30の上面開口部の縁に弾力性を有するリング状の封止部材60が設けられている。封止部材60は濾過ポート30の上面開口部の縁の周囲に設けられた窪みに嵌め込まれている。封止部材60の材質は、例えばシリコーンゴムやEPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)などの弾性材料である。濾過ポート30に回収容器54及び分離デバイス50が設置されると、分離デバイス50のスカート部51の下端が封止部材60に当接し、スカート部50の内側側面と濾過ポート30の内側側面によって囲まれた空間が密閉される。
濾過ポート30の底面には、減圧用の流路56が通じている(図4A及び図4C参照。)。流路56には負圧負荷機構55の流路57が接続されている。負圧負荷機構55の具体的な構成については後述するが、負圧負荷機構55は真空ポンプによって濾過ポート30側に負圧を負荷するものである。
濾過ポート30に分離デバイス50及び回収容器54が収容された状態で負圧負荷機構55によってその濾過ポート30内を減圧することで、スカート部50の内側側面と濾過ポート30の内側側面によって囲まれた空間が負圧になる。負圧になった空間には回収容器54の内部空間54aが通じている。分離デバイス50の上面は大気開放されているため、分離デバイス50の内部空間50aと回収容器54の内部空間54aとの間に分離剤52を介して圧力差が生じ、分離デバイス50の内部空間50aに収容されている試料溶液のうち分離剤52を通過することができる成分のみがその圧力差によって回収容器54の内部空間54a側へ抽出される。
負圧負荷機構55の一例を図5に示す。
2つの濾過ポート30は共通の真空タンク66に接続されている。各濾過ポート30と真空タンク66の間を接続するそれぞれの流路57は、圧力センサ62及び3方バルブ64を備えている。圧力センサ62により濾過ポート30の圧力が検知される。3方バルブ64は、濾過ポート30と真空タンク62の間を接続した状態、流路57のうち濾過ポート30側を大気開放した状態(図の状態)、又は流路57のうち濾過ポート30側の端部を密閉した状態のいずれかの状態にすることができる。
真空タンク66には、圧力センサ68が接続されているとともに、3方バルブ70を介して真空ポンプ58が接続されており、必要に応じて真空タンク66に真空ポンプ58を接続し、真空タンク66内の圧力を調節することができる。
いずれかの濾過ポート30において試料の抽出処理を実行する際は、その濾過ポート30と真空タンク66の間を接続し、その濾過ポート30の圧力を検知する圧力センサ62の値が所定値になるように調節した後、流路57のうち濾過ポート30側の端部を密閉した状態にする。これにより、濾過ポート30内が密閉系となり、濾過ポート30内の減圧状態が維持され、試料の抽出が行なわれる。
次に、攪拌部36の構造について図6A及び図6Bを用いて説明する。図6A及び図6Bは撹拌部36の一つの撹拌ポート36aについて示している。
攪拌部36の撹拌ポート36aは分離デバイス50を収容する容器である。撹拌ポート36aはその下方に設けられた撹拌機構によって駆動される。
撹拌ポート36aを駆動する撹拌機構について説明する。撹拌ポート36aの下方に回転体76が配置され、回転体76の上面の中心からずれた位置に鉛直向きに配置された駆動軸74が取り付けられている。駆動軸74の上端は撹拌ポート36aの下面に設けられた支持穴72に挿入されている。回転体76はモータ80によって回転させられる回転軸78に支持されており、モータ80の駆動により回転体76が回転し、それに伴なって駆動軸74が水平面内で旋回するようになっている。
モータ80に支持フレーム82が取り付けられている。支持フレーム82はモータ80側から鉛直上向きに延びた側壁を有し、その側壁の上端に例えばコイルバネなどの弾性部材83の一端が取り付けられている。弾性部材83の他端は撹拌ポート36aの上部外面に取り付けられており、撹拌ポート36aの上部を弾性的に保持している。弾性部材83は撹拌ポート36aの周囲の均等な複数箇所(例えば4箇所)に設けられている。
撹拌ポート36aに試料と試薬を収容した分離デバイス50を収容してモータ80を駆動すると、図6Bに示されているように、駆動軸74が水平面内で旋回することにより、回収容器72の下端部がそれに伴なって旋回する。これにより、撹拌ポート36aに収容された分離デバイス50内が攪拌され、試料と試薬が混合される。
図1に戻って、この前処理装置1は回収容器54に抽出された試料をこの前処理装置1に隣接配置された試料注入装置(例えば、オートサンプラなど)側へ転送するための試料転送装置42を、筐体側縁部に備えている。試料転送装置42はラックピニオン機構を有する駆動機構により水平面内で一方向(図1の矢印の方向)へ移動する移動部44を備えている。移動部44の上面に、抽出試料を収容する回収容器54を設置するための転送ポート43が設けられている。
試料注入装置側への試料の転送を行なっていないときは、転送ポート43が搬送アーム24の保持部25の軌道に沿う位置(図の実践で示されている位置)に配置され、この位置において、搬送アーム24による転送ポート43への回収容器54の設置や転送ポート43からの回収容器54の回収が行われる。
試料注入装置側への試料の転送を行なう際は、抽出試料を収容した回収容器54が転送ポート43に設置された後、移動部44がこの前処理装置1の外側方向へ移動し、転送ポート43が隣接する試料注入装置側の位置(図の破線で示されている位置)に配置される。この位置において、試料注入装置に設けられたサンプリング用のノズルが回収容器54内の試料を吸入する。試料注入装置による試料吸入が終了すると、移動部44は元の位置(図の実践で示されている位置)に戻り、搬送アーム24によって回収容器54が回収される。使用済みの回収容器54は、搬送アーム24によって廃棄ポート34に搬送されて廃棄される。
この前処理装置1は、分注ポート32の近傍で搬送アーム24の保持部25の軌道に沿う位置に、使用済みの分離デバイス50及び回収容器54を廃棄するための廃棄ポート34を備えている。また、サンプリングノズル20aの軌道に沿う位置に、サンプリングノズル20aの洗浄を行なうための洗浄ポート45を備えている。図示は省略されているが、試薬ノズル26aの軌道に沿う位置に、試薬ノズル26aの洗浄を行なうための洗浄ポートが設けられている。
次に、前処理装置1の制御系統について図7を用いて説明する。以下の説明おいて「ポート」とは、分離デバイス50又は回収容器54が設置される濾過ポート30、分注ポート32、撹拌ポート36a、温調ポート38,40及び転送ポート43のうちのいずれかのポートを意味する。
前処理装置1に設けられている試料設置部2、試薬設置部8、前処理キット設置部12、サンプリングアーム20、搬送アーム24、試薬アーム26、攪拌部36、試料転送装置42、及び負圧負荷機構55の動作は、制御部84により制御される。制御部84は、前処理装置1内に設けられたコンピュータ及びそのコンピュータによって実行されるソフトウェアによって実現される。制御部84には、例えばパーソナルコンピュータ(PC)や専用のコンピュータによって実現される演算処理装置86が接続されており、分析者は演算処理装置86を介してこの前処理装置1を管理する。演算処理装置86には、前処理装置1に隣接して配置され、前処理装置1で前処理が施された試料の分析を行なう液体クロマトグラフシステム(以下、LCシステム)200(図13及び図14参照。)が電気的に接続されており、そのLCシステム200に設けられている試料注入装置202が前処理装置1の動作と連動するようになっている。図7ではLCシステム200のうち試料注入装置202のみを図示している。
制御部84は、前処理手段84a、処理状況管理手段84b及びランダムアクセス手段84cを備えている。これらの各手段は、制御部84をなすコンピュータがソフトウェアを実行することによって得られる機能である。既述のように、試料設置部2には複数の試料容器が設置されており、それらの試料容器に収容されている試料が分離デバイス50に順次分注され、その試料に対して実行されるべき前処理項目に対応したポートに搬送される。
ランダムアクセス手段84cは、各試料に対して次に行なうべき処理項目を確認し、その処理項目に対応したポートの空き状況を確認し、空きがあればその試料を収容した分離デバイス50又は回収容器54をそのポートへ搬送するように構成されている。また、その処理項目に対応するポートに空きがない場合には、そのポートが空き次第、対象の分離デバイス50又は回収容器54をそのポートへ搬送する。ランダムアクセス手段84cは、各ポートにおける処理の状況を確認し、そのポートでの処理が終了した分離デバイス50を次の処理を行なうためのポートに搬送するように搬送アーム24を制御するように構成されている。
処理状況管理手段84bは、各ポートの空き状況や各ポートでの処理状況を管理するように構成されている。各ポートの空き状況は、どのポートに分離デバイス50又は回収容器54を設置したかを記憶しておくことにより管理することができる。また、各ポートに分離デバイス50又は回収容器54が設置されているか否かを検知するセンサを設け、そのセンサからの信号に基づいて各ポートの空き状況を管理してもよい。各ポートにおける処理状況は、そのポートに分離デバイス50又は回収容器54が設置されてからそのポートで実行される処理に要する時間が経過したか否かにより管理することができる。転送ポート43における処理(試料注入装置202による試料吸入)の状況については、試料注入装置202側から試料吸入が終了した旨の信号を受けたか否かにより管理してもよい。
各ポートに分離デバイス50又は回収容器54が設置されたときに、そのポートにおける所定の処理を実行するように構成されている。
ここで、濾過ポート30は2つ、撹拌ポート36aは3つ、温調ポート38,40はそれぞれ4つずつ設けられているが、これらの同じ処理を実行するために設けられたポート間には優先順位が設定されており、ランダムアクセス手段84cは優先順位の高いポートから順に使用するように構成されている。例えば、試料の濾過を実行する際に2つの濾過ポート30のいずれも空いている場合には、優先順位の高い濾過ポート30に回収容器54を設置し、その回収容器54上に分離デバイス50を設置する。
図1とともに図8のフローチャートを用いて、この実施例の1つの試料についての前処理動作の一例について説明する。図8のフローチャートは1つの試料についての前処理の流れのみを示しており、この前処理の動作は他の試料の前処理動作とは同時並行的にかつ独立して実行される。「前処理を同時並行的にかつ独立して実行する」とは、ある試料について濾過ポート30や撹拌ポート36aなどのポートで濾過処理や撹拌処理を行なっている間も、搬送アーム24が別の試料を収容した分離デバイス50又は回収容器54を他のポートに搬送し、その試料の処理を独立して実行することをいう。
まず、試料に対して分析者が予め指定した分析項目を確認し(ステップS1)、その分析項目を実行するために必要な前処理項目を割り出す。分注ポート32が空いているか否かを確認し、分注ポート32が空いていれば、搬送アーム24がその試料を収容するための未使用の分離デバイス50を前処理キット設置部12から取り出して分注ポート32に設置する(ステップS2,S3)。前処理キット設置部12には分離デバイス50と回収容器54とは重ねられた状態(図2Cの状態。)で設置されているが、搬送アーム24は上側の分離デバイス50のみを保持部25で保持して分注部32へ搬送する。
サンプリングノズル20aによって試料をその分離デバイス50に分注する(ステップS4)。試料を分離デバイス50に分注したサンプリングノズル20aはその後洗浄ポート45において洗浄を行ない、次の試料の分注に備える。分離デバイス50に分注された試料に対して実行すべき前処理に応じた試薬を試薬分注ノズル26aによって試薬容器10から採取し、分注ポート32の分離デバイス50に分注する(ステップS5)。なお、分離デバイス50への試薬の分注を試料の分注の前に実行してもよい。また、試薬を分注するための試薬分注用ポートを分注ポート32とは別の位置に設けておき、搬送アーム24によってその試薬分注用ポートに分離デバイス50を設置し、その位置において試薬の分注を行なってもよい。
分離デバイス50に試料と試薬を分注した後、撹拌ポート36aの空き状況を確認する(ステップS6)。撹拌ポート36aに空きがあれば、搬送アーム24によって分注ポート32の分離デバイス50を空いている撹拌ポート36aに設置して撹拌を行なう(ステップS7)。この攪拌処理は予め設定された一定時間行なわれ、これによって分離デバイス50内の試料と試薬が混合される。この撹拌処理中に、濾過ポート30の空き状況を確認し(ステップS8)、濾過ポート30に空きがある場合は搬送アーム24によって回収容器54を濾過ポート30に設置する(ステップS9)。濾過ポート30に設置する回収容器54は、撹拌ポート36aにおいて撹拌中の分離デバイス50と対をなす回収容器54であり、前処理キット設置部12において撹拌中の分離デバイス50と重ねられて設置されていた回収容器54である。なお、この攪拌処理中に、搬送アーム24は別の試料の分離デバイス50や回収容器54の搬送を行なうこともできる。
攪拌部36における攪拌処理が終了すると、搬送アーム24は、分離デバイス50を濾過ポート30へ搬送し、濾過ポート30に設置された回収容器54内に分離デバイス50の下部が収容されるように、分離デバイス50を回収容器54上に設置する(図4Bの状態、ステップS10)。このとき、分離デバイス50を下方(濾過ポート30側)へ押圧し、分離デバイス50のスカート部51の下端が濾過ポート30の周囲に設けられた封止部材60の上面の高さよりも僅かに(例えば、0.1mm程度)低い高さまで下降させる。これにより、分離デバイス50のスカート部51の下端が封止部材60を押し潰し、スカート部51の下端と封止部材60との間の気密性が向上する。搬送アーム24は、下記の濾過処理が開始されて濾過ポート30内が負圧になるまで、分離デバイス50を下方へ押圧した状態を維持する。
分離デバイス50を濾過ポート30の回収容器54上に設置して濾過ポート30内を気密にした状態で、濾過処理を開始する。濾過処理は、分離デバイス50及び回収容器54を収容した濾過ポート30内を負圧にするように、負圧負荷機構55によって濾過ポート30内を減圧する。濾過ポート30内が負圧にされた状態で一定時間維持されることにより、分離デバイス50の試料が濾過され回収容器54に試料が抽出される(ステップS11)。
濾過処理が開始された後、その濾過ポート30内の圧力が負圧になったことを圧力センサ62(図5参照。)によって検知すると、搬送アーム24は分離デバイス50の下方への押圧及び分離デバイス50の保持を解除する。分離デバイス50の保持を解除した搬送アーム24は、他の分離デバイス50や回収容器54の搬送を行なうことができる。搬送アーム24による分離デバイス50の下方への押圧及び分離デバイス50の保持の解除は、必ずしも圧力センサ62の検出信号に基づいて行われる必要はなく、濾過処理が開始された後、所定時間の経過後に行なわれるようになっていてもよい。
なお、この前処理動作には組み込まれていないが、分離デバイス50内の試料の撹拌後に分離デバイス50内の試料を一定の時間一定温度下に置いておくという温度処理が組み込まれる場合もある。その場合、撹拌処理の終了後、温調ポート40の空き状況を確認し、空きがあれば分離デバイス50を空いている温調ポート38に設置する。そして、一定時間が経過した後で温調ポート38の分離デバイス50を濾過ポート30の回収容器54上に設置する。
試料の濾過処理が終了した後(ステップS12)、3方バルブ64(図5参照。)を切り替えて濾過ポート30内を大気圧にし、使用済みの分離デバイス50を搬送アーム24の保持部25で濾過ポート30から取り出して廃棄ポート34に廃棄する(ステップS13)。
その後、転送ポート43の空き状況を確認し(ステップS14)、転送ポート43が空いていれば、搬送アーム24によって濾過ポート30の回収容器54を転送装置42へ搬送して転送ポート43に設置する。転送ポート43に回収容器54が設置されると、移動部44が隣接配置されたLCシステム200(図13及び図14参照。)に設けられている試料注入装置202側の位置(図1の破線で示された位置)へ移動することで、回収容器54が試料吸入装置90側へ転送される(ステップS15)。試料注入装置202側では、転送装置42によって転送されてきた回収容器54内に対してサンプリング用ノズルによる試料の吸入が行われる(ステップS16)。移動部44は試料注入装置202における試料吸入が終了するまでLCシステム200側の位置で停止し、試料吸入が終了した旨の信号をLCシステム200側から受け取ると元の位置(図1の実線で示された位置)に戻る。
試料の転送が終了した後、搬送アーム24によって使用済みの回収容器54を転送ポート43から回収し、その回収容器54を廃棄ポート34へ廃棄する(ステップS17)。
なお、試料の濾過処理が終了した後、回収容器54に抽出された試料を一定の時間一定温度下に置いておくという温度処理が行われる場合がある。その場合は、温調ポート40の空き状況を確認し、空きがあれば回収容器54を空いている温調ポート40に設置する。そして、一定時間が経過した後で温調ポート40の回収容器54を転送ポート43に設置し、試料の転送を行なう。
前処理装置の他の実施例について図9を用いて説明する。なお、図9において図1と共通する構成には同一の符号を付しており、以下の説明においてそれらの構成についての説明は省略する。
この前処理装置100は、前処理キット設置部として、分離デバイス供給部112と回収容器供給部116を備えている。
分離デバイス供給部112は、搬送アーム24の保持部25の軌道に沿い、かつサンプリングアーム20のサンプリングノズル20aの軌道に沿う位置に設けられた分離デバイス設置ポート113に分離デバイス50を自動的に設置する。分離デバイス供給部112は、未使用の分離デバイス50を複数保持しておく分離デバイス保持部114を備えている。分離デバイス保持部114は分離デバイス設置ポート113よりも高い位置に配置されており、分離デバイス保持部114と分離デバイス設置ポート113との間に、分離デバイス保持部114から分離デバイス設置ポート113に向かって下降するように傾斜したスロープ115が設けられている。分離デバイス保持部114が保持している1つの分離デバイス50の保持を解除すると、放された分離デバイス50が重力によってスロープ115をスライドし、分離デバイス設置ポート113に設置される。
回収容器供給部116は、搬送アーム24の保持部25の軌道に沿う位置に設けられた回収容器設置ポート117に回収容器54を自動的に設置する。回収容器供給部116は、未使用の回収容器54を複数保持しておく回収容器保持部118を備えている。回収容器保持部118は回収容器設置ポート117よりも高い位置に配置されており、回収容器保持部118と回収容器設置ポート117との間に、回収容器保持部118から回収容器設置ポート117に向かって下降するように傾斜したスロープ119が設けられている。回収容器保持部118が保持している1つの回収容器54の1つの保持を解除すると、放された回収容器54が重力によってスロープ119をスライドし、回収容器設置ポート117に設置される。
この実施例では、搬送アーム24の保持部25の軌道に沿う複数の位置に濾過ポート30を備え、さらに各濾過ポート30のそれぞれの近傍で搬送アーム24の保持部25の軌道に沿う位置に、乾固ガス供給ノズル132が配置されている。乾固ガス供給ノズル132は、濾過ポート30において回収容器54に抽出された試料に乾固用ガスである窒素ガスを吹き付けることにより試料の乾固を行なう乾固機構131の一部をなすものである。各乾固ガス供給ノズル132には、乾固ガス供給流路134を通じて窒素供給部140からの窒素ガスが必要に応じて供給されるようになっている。窒素供給部140からの窒素ガスの供給量はバルブ136によって制御される。
乾固ガス供給ノズル132の一例について図10A及び図10Bを用いて説明する。なお、図10A及び図10Bでは、濾過ポート30が簡略化されて示されているが、図4A〜図4Dに示されているものと同じ構造を有するものであってよい。
各濾過ポート30の近傍にノズル設置ポート133が設けられている。ノズル設置ポート133は、乾固機構131の乾固ガス供給ノズル132の先端部を挿入する穴133aとその縁に設けられた窪み133bからなる。乾固ガス供給ノズル132は、先端側に窪み133bに嵌め込まれる形状の先端側胴体部132dを備え、その先端側胴体部132dが窪み133bに嵌め込まれることで、ノズル設置ポート133においてノズル先端が鉛直下方向を向いた状態で設置される。
乾固ガス供給ノズル132は乾固ガス供給流路134をなすチューブが装着された配管132aの基端側に、搬送アーム24の保持部25の指部46(図3参照。)と係合する第1鍔部132cを備え、その鍔部132cよりもノズル先端側に基端側胴体部132b、さらにノズル先端側に第2鍔部132eを備えている。搬送アーム24の保持部25は指部26で第1鍔部132cを保持してこの乾固ガス供給ノズル132を搬送する。
回収容器54内の試料の乾固を行なう際は、図10Bに示されているように、搬送アーム24によって乾固ガス供給ノズル132を回収容器54の上面開口部に設置し、回収容器54内の試料に対して鉛直向きに窒素ガスを吹き付ける。乾固ガス供給ノズル132を回収容器54の上面開口部に設置すると、乾固ガス供給ノズル132の第2鍔部132eが回収容器54の開口部の縁に当接するので、乾固ガス供給ノズル132の基端側胴体部132b及び第1鍔部132cが回収容器54よりも上方に露出した状態で維持される。これにより、乾固処理が終了した後、搬送アーム24の保持部25が乾固ガス供給ノズル132を保持してノズル設置ポート133に戻すことができる。
乾固ガス供給ノズル132は、分離デバイス50から抽出された試料に対して窒素ガスを吹き付けることで、試料の濃縮又は乾固(以下、ともに乾固処理という。)を行なうためのものである。乾固処理が行なわれる際は、図10Bに示されているように、乾固ガス供給ノズル132の鍔部132eが回収容器54の上面の縁に当接するように、搬送アーム24によって乾固ガス供給ノズル132が回収容器54上まで搬送される。これにより、搬送アーム24が乾固ガス供給ノズル132を保持しなくても乾固ガス供給ノズル132の先端が鉛直下向きになった状態で維持される。この状態で試料の乾固処理が行なわれ、この処理中に搬送アーム24が他の処理を実行することができる。
図11にこの実施例の制御系統を示す。
制御部150は、試料設置部2、試薬設置部8、前処理キット設置部12、サンプリングアーム20、搬送アーム24、試薬アーム26、攪拌部36、試料転送装置42、負圧負荷機構55のほか、分離デバイス供給部112、回収容器供給部116及び乾固機構131の動作を制御する。制御部150は、前処理装置100内に設けられたコンピュータ及びそのコンピュータによって実行されるソフトウェアによって実現される。制御部150には、例えばパーソナルコンピュータ(PC)や専用のコンピュータによって実現される演算処理装置152が接続されており、分析者は演算処理装置152を介してこの前処理装置100を管理する。演算処理装置152には試料注入装置202が接続されている。
制御部150は、前処理手段150a、処理状況管理手段150b、ランダムアクセス手段150c及び容器供給手段150dを備えている。これらの各手段は、制御部150をなすコンピュータがソフトウェアを実行することによって得られる機能である。前処理手段150a、処理状況管理手段150b及びランダムアクセス手段150cは、図7における前処理手段84a、処理状況管理手段84b及びランダムアクセス手段84cと同一の機能である。容器供給手段150dは、適当なタイミングで、分離デバイス50が分離デバイス設置ポート113に設置され、回収容器54が回収容器設置ポート117に設置されるように、分離デバイス供給部112及び回収容器供給部116を制御するように構成されている。
図9とともに図12のフローチャートを用いて、この実施例の1つの試料についての前処理動作の一例について説明する。図12のフローチャートは、図8のフローチャートと同様に、1つの試料についての前処理の流れのみを示しており、この前処理の動作は他の試料の前処理動作と同時並行的にかつ独立して実行される。
まず、試料に対して分析者が予め指定した分析項目を確認し(ステップS101)、その分析項目を実行するために必要な前処理項目を割り出す。分離デバイス供給部112によって分離デバイス設置ポート113に未使用の分離デバイス50を設置し、サンプリングノズル20aによって試料をその分離デバイス50に分注する(ステップS102)。試料を分離デバイス50に分注したサンプリングノズル20aはその後洗浄ポート45において洗浄を行ない、次の試料の分注に備える。分離デバイス50に分注された試料に対して実行すべき前処理に応じた試薬を試薬分注ノズル26aによって試薬容器10から採取し、分離デバイス設置ポート113の分離デバイス50に分注する(ステップS103)。
なお、分離デバイス50への試薬の分注を試料の分注の前に実行してもよい。また、試薬を分注するための試薬分注用ポートを別の位置に設けておき、搬送アーム24によってその試薬分注用ポートに分離デバイス50を設置し、その位置において試薬の分注を行なってもよい。
分離デバイス50に試料と試薬を分注した後、撹拌ポート36aの空き状況を確認する(ステップS104)。撹拌ポート36aに空きがあれば、搬送アーム24によって分離デバイス設置ポート113の分離デバイス50を空いている撹拌ポート36aに設置して撹拌を行なう(ステップS105)。この攪拌処理は予め設定された一定時間行なわれ、これによって分離デバイス50内の試料と試薬が混合される。この撹拌処理中に、濾過ポート30の空き状況を確認し(ステップS106)、濾過ポート30に空きがある場合は搬送アーム24によって回収容器設置ポート117に設置された未使用の回収容器54を濾過ポート30へ搬送して設置する(ステップS107)。この攪拌処理中に、搬送アーム24は別の試料の分離デバイス50や回収容器54の搬送を行なうこともできる。
攪拌部36における攪拌処理が終了すると、搬送アーム24は、分離デバイス50の下部が濾過ポート30に設置されている回収容器54内に収容されるように、分離デバイス50を濾過ポート30上に設置するとともに、分離デバイス50を下方へ押圧する(ステップS108)。搬送アーム24が分離デバイス50を下方へ押圧した状態で、分離デバイス50及び回収容器54を収容した濾過ポート30内の圧力が負圧になるように、負圧負荷機構55によって濾過ポート30内の圧力を減圧する(ステップS109)。濾過ポート30内が負圧の状態で一定時間維持されることにより、分離デバイス50の試料が濾過され回収容器54に試料が抽出される。搬送アーム24による分離デバイス50の下方への押圧及び分離デバイス50の保持は、濾過ポート30内が負圧になったとき又は濾過処理が開始されてから所定時間が経過したときに解除される。その後、搬送アーム24は他の分離デバイス50や回収容器54の搬送を行なうことができる。
試料の濾過処理が終了した後(ステップS110)、3方バルブ64(図5参照。)を切り替えて濾過ポート30内を大気圧にし、使用済みの分離デバイス50を搬送アーム24の保持部25で濾過ポート30から取り出して廃棄ポート34に廃棄する(ステップS111)。その後、回収容器54に抽出された試料の乾固を行なう場合には、乾固ガス供給ノズル132を回収容器54の上面開口部に設置して乾固を実行する(ステップS112,S113)。この乾固処理中にも、搬送アーム24は他の試料の分離デバイス50や回収容器54の搬送を行なうことができる。
試料の乾固を行なわない場合には試料の濾過処理が終了した後、試料の乾固を行なう場合は試料の乾固が終了した後、転送ポート43の空き状況を確認し(ステップS114)、転送ポート43が空いていれば、搬送アーム24によって濾過ポート30の回収容器54を転送装置42へ搬送して転送ポート43に設置する(ステップS115)。その後の試料転送動作及び回収容器54の廃棄動作は図8のフローチャートを用いて説明した前処理動作と同じである(ステップS116及びS117)。
以上において説明した実施例は本発明の好ましい態様の一例にすぎず、濾過ポート30や撹拌ポート36a、温調ポート38,40、転送ポート43などのポートの位置や個数を必要に応じて適宜変更することができる。
前処理装置1(又は100)においては、図2A−図2Dに示されている分離デバイス50及び回収容器54に代えて、図15A及び図15Bに示す分離デバイス550と図16A及び図16Bに示す回収容器554を用いることができる。以下に、分離デバイス550及び回収容器554が分離デバイス50及び回収容器54と異なっている点について説明する。
図15A及び図15Bに示された分離デイバス550は、スカート部551の付け根部分よりも下側の部分(デバイス下部)の内径及び外径がその上側の部分より小さくなっている。このデバイス下部が回収容器554内の空間554aに収容される。これにより、分離デバイス550の鍔部550cが設けられている部分の外径と、回収容器554の鍔部554cが設けられている部分の外径とを同じにすることができる。そうすることで、分離デバイス550の鍔部550cと回収容器554の鍔部554cの形状及び寸法を完全に一致させることができ、搬送アーム24の保持部25が分離デバイス550と回収容器554を同様に保持することができる。
分離デイバス550の外周面の鍔部550cとスカート部551の付け根部分との間に、鍔部550cと同様に周方向へ鍔状に突起した突起部550eが設けられている。突起部550eは、この分離デバイス550が撹拌ポート36aに設置されたときに、撹拌ポート36aの内壁面の上端部分に相当する位置に設けられている。突起部550eは、スカート部551と同じ外径を有しており、撹拌動作が実行されたときに撹拌ポート36aの内壁面の上端部と当接し、撹拌ポート36a内における分離デバイス550の振動を防止する。
図16A及び図16Bに示された回収容器554は、上部開口554bの縁の複数の箇所(例えば3か所)に切欠き554dが設けられている。この切欠き554dは、分離デバイス550と回収容器554が一体化されてこの回収容器554の上部が分離デバイス550のスカート部551の内側に入り込んだときに、スカート部551の付け根部分の内側壁面と回収容器554の上端部との間に、空気を流通させる開口を形成する。濾過ポート30における濾過処理は、一体化された分離デバイス550及び回収容器554が濾過ポート30に設置された状態で濾過ポート30内の空気を吸入し、回収容器554内の圧力を負圧にすることでなされる。このとき、回収容器554内の空気が切欠き554dによって形成された開口を通過することで、回収容器554内の減圧が効率よくなされる。
次に、前処理装置1(又は100)を備えた分析システムの一実施例について図13を用いて説明する。
上記実施例において説明した前処理装置1(又は100)に隣接してLCシステム200が配置され、さらにそのLCシステム200に隣接して質量分析計(MS)が配置されている。前処理装置1(又は100)、LCシステム200及びMS300は、共通のシステム管理装置400によってその動作管理がなされる。システム管理装置400は、前処理装置1(又は100)、LCシステム200及びMS300の制御や管理を行なうためのソフトウェアを備えた専用のコンピュータ又は汎用のPCであり、図7における演算処理装置86や図11における演算処理装置152の機能も含むものである。
LCシステム200は、前処理装置1(又は100)において前処理がなされた試料を採取して液体クロマトグラフの分析流路に注入する試料注入装置202を備えている。既述のように、前処理装置1(又は100)は、前処理のなされた試料が収容されている回収容器54(又は554)をLCシステム200側へ転送する転送装置42を備えており、試料注入装置202は転送装置42によりLCシステム200側に転送されてきた回収容器54(又は554)から試料を採取するようになっている。転送装置42の移動部44がLCシステム200側へ移動すると、移動部44の転送ポート43に設置された回収容器54(又は554)が試料注入装置202内の所定の位置に配置されるようになっている。
前処理装置1(又は100)において前処理のなされた試料を収容した回収容器54(又は554)が転送装置42の転送ポート43に設置され、移動部44がLCシステム200側へ移動して回収容器54(又は554)が試料注入装置202の所定の位置に配置されると、その旨の信号がシステム管理装置400を介して試料注入装置202側に伝えられ、試料注入装置202がその回収容器54(又は554)から試料を採取する動作を開始する。試料注入装置202による試料採取動作が終了するまで、転送装置42は回収容器54(又は554)を試料注入装置202内の所定の位置に保持する。試料注入装置202による試料採取動作が終了すると、その旨の信号がシステム管理装置400を介して前処理装置1(又は100)側へ伝えられ、転送装置42は移動部44を前処理装置1(又は100)側へ移動させて回収容器54(又は554)を前処理装置1(又は100)内の所定の位置に戻す。前処理装置1(又は100)側に戻された回収容器54(又は554)は搬送アーム24によって廃棄ポート34へ搬送されて廃棄される。
この実施例におけるLCシステム200について図14を用いて説明する。
LCシステム200は、試料注入装置202のほか、送液装置204、カラムオーブン206及び検出器208を備えている。送液装置204は、例えば2種類の溶媒を送液ポンプによってミキサへ送液し、ミキサで混合された溶液を移動相として送液する装置である。カラムオーブン206は試料を成分ごとに分離する分析カラム207を備えている。検出器208は分析カラム207で分離された試料成分を検出する、例えば紫外線吸光検出器などの検出器である。
送液装置204は上流側分析流路218の上流端に位置し、上流側分析流路218を通じて移動相を送液する。分析カラム207と検出器208は下流側分析流路220上に設けられている。上流側分析流路218と下流側分析流路220はともに試料注入装置202に設けられた2ポジションバルブ210のポートに接続され、2ポジションバルブ210を介して互いに接続されている。
試料注入装置202の2ポジションバルブ210は6つのポートを備えている。2ポジションバルブ210の各ポートには、上流側分析流路218、下流側分析流路220のほか、試料導入流路212、ドレイン流路214、サンプルループ216の一端及び他端が接続されている。2ポジションバルブ210の切替えにより、(1)試料導入流路212、サンプルループ216及びドレイン流路214が直列に接続され、上流側分析流路218のすぐ下流に下流側分析流路220が接続された状態(図14に示されている状態)、又は(2)上流側分析流路218、サンプルループ216及び下流側分析流路220が直列に接続された状態、のいずれか一方の状態に切り替えられるように構成されている。試料導入流路212はインジェクションポート213に通じている。
試料注入装置202は、先端から液の注入と吐出を行なうことができるニードル222と、そのニードル222とは流路を介して接続されたシリンジポンプ226を備えている。ニードル222は、図示されていない駆動機構によって水平方向と鉛直方向に移動するようになっていて、転送装置42によってLCシステム200側へ転送されてきた回収容器54(又は554)から試料を採取し、インジェクションポート213からその試料を注入することができる。シリンジポンプ226は、流路切替バルブ230の切替えによって、洗浄液を貯留した洗浄液容器228とも接続されるようになっている。洗浄液を吸入したシリンジポンプ228をニードル222と接続し、ニードル222をインジェクションポート213に接続した状態でシリンジポンプ226から洗浄液を送液することで、サンプルループ224やニードル222、試料導入流路212の内面洗浄を行なうことができる。
回収容器54(又は554)から試料を採取する際は、ニードル22の先端が回収容器54(又は554)内に挿入され、シリンジポンプ226によって試料が吸入され、ニードル222とシリンジポンプ226との間に設けられたサンプルループ224に保持される。サンプルループ224に保持された試料はインジェクションポート213から注入される。試料がインジェクションポート213から注入される際、2ポジションバルブ210は、(1)試料導入流路212、サンプルループ216及びドレイン流路214を直列に接続した状態にされ、インジェクションポート213から注入された試料がサンプルループ216に保持される。その後、(2)上流側分析流路218、サンプルループ216及び下流側分析流路220が直列に接続された状態となるように、2ポジションバルブ210が切り替えられることで、送液装置204からの移動相により、サンプルループ216に保持された試料が分析カラム207に導かれ、分析カラム207において成分ごとに分離される。分析カラム207で分離された各成分は検出器208によって検出された後、さらにMS300に導入される。
検出器208やMS300で得られた信号はシステム管理装置400(図13参照。)に取り込まれ、分析カラム207で分離された各成分の定量や各成分の組成分析などの演算処理が、システム管理装置400に組み込まれたソフトウェアとそのソフトウェアを実行するCPUなどのハードウェアによってなされる。
1,100 前処理装置
2 試料設置部
4 サンプルラック
6 試料容器
8 試薬設置部
10 試薬容器
12 前処理キット設置部
20 サンプリングアーム
20a サンプリングノズル
22、29 軸
24 搬送アーム
25 保持部
26 試薬アーム
26a 試薬アーム
30 濾過ポート
31 回収容器保持部材
32 分注ポート
34 廃棄ポート
36 撹拌部
36a 撹拌ポート
38 分離デバイス用温調ポート
40 回収容器用温調ポート
42 転送装置
43 転送ポート
44 移動部
45 洗浄ポート
50,550 分離デバイス
50a,550a 分離デバイスの内部空間
50b,550b 分離デバイスの開口
50c,550c 分離デバイスの鍔部
50d,550d 抽出口
550e 突起部
51,551 スカート部
52,552 分離層
52a 除蛋白フィルタ
52b プレフィルタ
54,554 回収容器
54a,554a 回収容器の内部空間
54b,554b 回収容器の開口
54c,554c 回収容器の鍔部
554d 切欠き
55 圧力負荷機構
56 孔
57 配管
58 真空ポンプ
60 封止部材
62,68 圧力センサ
64,70 3方バルブ
72 支持穴
73 撹拌ポート上端部
74 駆動軸
76 回転体
78 回転軸
80 モータ
82 支持フレーム
83 弾性部材
84,150 制御部
84a,150a 前処理手段
84b,150b 処理状況管理手段
84c,150c ランダムアクセス手段
86,152 演算処理装置
112 分離デバイス供給部
113 分離デバイス設置ポート
114 分離デバイス保持部
115,119 スロープ
116 回収容器供給部
118 回収容器保持部
131 乾固機構
132 乾固ガス供給ノズル
133 ノズル設置ポート
134 ノズル供給用の配管
136 乾固ガス流量制御用のバルブ
140 窒素供給部
200 LCシステム
202 試料注入装置
204 送液装置
206 カラムオーブン
207 分析カラム
208 検出器
210 2ポジションバルブ
212 試料導入流路
213 インジェクションポート
214 ドレイン流路
216,224 サンプルループ
218 上流側分析流路
220 下流側分析流路
222 ニードル
226 シリンジポンプ
228 洗浄液容器
230 切替バルブ
300 MS
400 システム管理装置

Claims (16)

  1. 上方が開口した1つの内部空間を有し前記内部空間に試料を通過させて試料中の特定成分を試料から分離させる分離層が設けられているとともに、下端部に前記分離層を通過した試料を抽出するための抽出口が設けられている分離デバイスと、
    前記分離デバイスと対をなし、前記分離デバイスの下部を挿入することができ、前記分離デバイスに対して着脱可能である開口を有するとともに、前記分離デバイスの前記抽出口より抽出される試料を回収する1つの内部空間を有し、試料の抽出処理を行なうための濾過ポートをなす凹部に嵌め込まれる回収容器と、
    前記分離デバイスと一体をなし、前記分離デバイスの下端部を収容した状態の前記回収容器が前記凹部に嵌め込まれたときに、その下端部が前記凹部の開口の周囲の面に密接するように設けられたスカート部と、を備えた前処理キットであって、
    一対の前記分離デバイス及び前記回収容器からなる前記前処理キットを単体で前記濾過ポートをなす前記凹部に嵌め込み、前記スカート部を前記凹部の開口の周囲の面に密接させて前記濾過ポート内を密閉空間とするように構成された、前処理キット。
  2. 前記分離デバイスは、前記分離デバイスの外周面の前記スカート部よりも上側に周囲方向へ広がる鍔部を備えており、
    前記回収容器は、前記濾過ポートをなす凹部に嵌め込まれる部分よりも上側の外周面に周囲方向へ広がる鍔部を備えている請求項1に記載の前処理キット。
  3. 前記分離デバイスにおいて、前記スカート部の付け根部分より下側の部分であるデバイス下部の外径は、前記スカート部の付け根部分より上側の部分であるデバイス上部の外径よりも小さくなっており、前記デバイス上部の外周面に鍔部が設けられ、前記デバイス下部が前記回収容器に収容されるようになっており、
    前記回収容器において前記デバイス下部が挿入される部分である容器上部の外径は、前記デバイス上部の外径と同一であり、前記容器上部に鍔部が設けられており、
    前記分離デバイスの前記鍔部と前記回収容器の前記鍔部は同一の形状及び外径を有するものである請求項2に記載の前処理キット。
  4. 前記回収容器の上部の開口の縁に、上方が開口した切欠きが設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の前処理キット。
  5. 前記分離層は、試料中の蛋白質を除去するための除蛋白フィルタ、又は除蛋白フィルタと該除蛋白フィルタの上方に設けられ前記除蛋白フィルタの目詰まりを防止するプレフィルタからなるものである請求項1から4のいずれか一項に記載の前処理キット。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の前処理キット、前記前処理キットを構成する分離デバイス又は回収容器の単体を保持する保持部を有し、その保持部を移動させることによって前記前処理キット、前記分離デバイス又は回収容器の単体を搬送する搬送機構と、
    前記回収容器の外径よりも大きい内径を有し、前記保持部の軌道に沿う位置において前記分離デバイスの下端部を収容した状態の前記回収容器を該回収容器の外周面との間に隙間をもって収容する凹部からなる濾過ポート、及び前記前処理キットが設置された前記濾過ポート内を負圧にする圧力負荷部を備えた濾過部と、
    前記搬送機構及び前記圧力負荷部の動作を制御する制御部であって、濾過処理を行なうべき試料を収容した前記分離デバイスとその分離デバイスから抽出される試料を回収するための前記回収容器を前記濾過ポートに設置し、その濾過ポート内を負圧にして前記濾過ポート内における試料の抽出処理を行なうように構成された前処理手段を備えた制御部と、を備えた前処理装置。
  7. 前記濾過ポートの内側側面に、前記濾過ポートに前記回収容器が嵌め込まれたときに該回収容器の外周面と接してその外周面に対して垂直な方向に弾性変形し、前記回収容器の外周面をその周囲から均等に押圧して前記回収容器を前記濾過ポートの中央部に保持する回収容器保持部材が設けられている請求項6に記載の前処理装置。
  8. 前記回収容器保持部材は、前記濾過ポートの内側側面における周方向に均等な複数の位置に設けられた板バネである請求項7に記載の前処理装置。
  9. 前記濾過ポートをなす前記凹部の開口部の周囲であって前記前処理キットの前記スカート部の下端部との当接部分に、前記スカート部の下端部との密着性を高める弾性材料からなるシール部材が設けられている請求項6から8のいずれか一項に記載の前処理装置。
  10. 前記前処理手段は、前記濾過ポートに前記分離デバイス及び回収容器を設置した後、前記搬送機構の前記保持部で前記分離デバイスを下方へ押圧するように構成されている請求項9に記載の前処理装置。
  11. 前記濾過ポートを複数備え、
    前記圧力負荷部、前記各濾過ポート内の圧力を負圧にするように構成されており、
    前記制御部は、前記濾過ポートにおける濾過処理の状況及び各濾過ポートの空き状況を管理する処理状況管理手段と、濾過処理を実行すべき試料があるときに、前記濾過ポートの空き状況を確認し、空いている濾過ポートがあるときはその試料を収容した分離デバイス及びその抽出試料を回収する回収容器を空いている濾過ポートに設置するように構成されたランダムアクセス手段と、をさらに備えている請求項6から10のいずれか一項に記載の前処理装置。
  12. 前記搬送機構は、水平方向に延び、基端部が鉛直方向に伸びた軸によって軸支され、その軸を中心に水平面内で回転するとともに前記軸に沿って鉛直方向へ移動するように構成された搬送アームであり、
    前記搬送アームの回転に伴って前記保持部が描く円周軌道に沿う位置に前記濾過ポートが設けられている請求項6から11のいずれか一項に記載の前処理装置。
  13. 試料又は試薬の分注を行なうべき前記分離デバイスを設置させる分注ポートと、
    試薬及び試薬を収容した前記分離デバイスを保持するとともに該分離デバイスを水平面内において周期的に動作させて該分離デバイス内を撹拌する撹拌ポートと、をさらに備え、
    前記分注ポート及び前記撹拌ポートは、前記搬送アームの回転に伴って前記保持部の描く円周軌道に沿う位置に設けられている請求項12に記載の前処理装置。
  14. 試料を収容した前記分離デバイス又は回収容器を収容してその分離デバイス又は回収容器の温度を一定温度に調節する温調ポートが、前記搬送アームの回転に伴って前記保持部の描く円周軌道に沿う位置に設けられている請求項12又は13に記載の前処理装置。
  15. 使用済みの前記分離デバイス又は回収容器を廃棄するため廃棄ポートが、前記搬送アームの回転に伴って前記保持部の描く円周軌道に沿う位置に設けられている請求項12から14のいずれか一項に記載の前処理装置。
  16. 請求項6から15のいずれか一項に記載の前処理装置と、
    前記前処理装置に設けられ、前処理のなされた試料を収容した回収容器を該前処理装置の搬送機構により設置するための転送ポート、及び前記転送ポートを該前処理装置の外側へ移動させる駆動機構を有する転送装置と、
    前記前処理装置と隣接して配置された液体クロマトグラフシステムであって、移動相の流れる分析流路、前記転送装置によって前記前処理装置の外側に配置された前記転送ポートに設置されている前記回収容器の試料を採取して前記分析流路に注入する試料注入装置、前記分析流路上に配置され前記試料注入装置により注入された試料を成分ごとに分離する分析カラム、及び前記分析カラムで分離された試料成分を検出する検出器を有する液体クロマトグラフシステムと、を備えた分析システム。
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