JP6657049B2 - 圧力センサ - Google Patents
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Description
本発明は圧力センサに関する。
一般的なピエソ抵抗式圧力センサは、例えば特許文献1に記載のように、厚み方向の中間にシリコン酸化膜が形成され主表面側にシリコン活性層が形成されたSOI基板と、SOI基板の裏面から前記シリコン酸化膜に達する圧力導入孔を設けることにより形成されたダイアフラム部と、前記シリコン活性層内の主表面側に形成されダイアフラム部の変形を検出するゲージ抵抗と、前記シリコン活性層上に形成された表面酸化膜とを備える。また、前記ゲージ抵抗はシリコン活性層に不純物を拡散させることにより形成され、4つのゲージ抵抗同士を結線してブリッジ回路を構成するのが通常である。
近年ではモバイル電子端末、高機能腕時計等がますます小型化してきており、これらに搭載される圧力センサにも、印加される圧力に対する感度を維持したまま一層の小型化が要求されている。小型化に伴いダイヤフラム部の面積が小さくなった場合でも感度を維持するためには、ダイヤフラム部は同じ圧力に対して同程度に変形する必要があり、その手段としてダイヤフラム部を含むシリコン活性層の薄膜化がある。しかしながら、シリコン活性層の薄膜化には製造上の限界がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、シリコン活性層の薄膜化を行なうことなく、感度を維持したまま小型化された圧力センサを実現することである。
本発明に係る圧力センサは、キャビティ及び前記キャビティを取囲む基部を有するベース基板と、前記キャビティを覆うように前記ベース基板上に形成されるシリコン活性層とを備える半導体圧力センサであって、前記シリコン活性層は、前記キャビティに対応する位置に配置され変形可能な可動部と、前記基部の上部に配置され前記基部に固定される固定部と、前記可動部の周縁に形成され前記可動部の変形を検出する複数のゲージ抵抗とを有し、前記基部の上部であって少なくとも前記ゲージ抵抗の近傍には、前記シリコン活性層が形成されないシリコン活性層非形成部が設けられていることを特徴とする。
本発明に係る圧力センサによれば、キャビティ及び前記キャビティを取囲む基部を有するベース基板と、前記キャビティを覆うように前記ベース基板上に形成されるシリコン活性層とを備える半導体圧力センサであって、前記シリコン活性層は、前記キャビティに対応する位置に配置され変形可能な可動部と、前記基部の上部に配置され前記基部に固定される固定部と、前記可動部の周縁に形成され前記可動部の変形を検出する複数のゲージ抵抗とを有し、前記基部の上部であって少なくとも前記ゲージ抵抗の近傍には、前記シリコン活性層が形成されないシリコン活性層非形成部が設けられていることにより、圧力が印加されたときにシリコン活性層の各ゲージ抵抗付近に発生する応力が緩和されにくくなり、各ゲージ抵抗の分子レベルにおける歪みが大きくなる。その結果、シリコン活性層の薄膜化を行なうことなく、感度を維持したまま小型化された圧力センサを実現できる。
前記シリコン活性層非形成部は、前記基部の上部の周縁全体に亘って設けられていてもよい。
前記シリコン活性層非形成部は、複数の切欠部からなり、互いに離間して設けられていてもよい。
前記ベース基板と前記シリコン活性層との間には絶縁層が形成されていてもよい。
前記ベース基板は、前記キャビティの下部に底部を有していてもよい。
本発明によれば、圧力センサにおいて、シリコン活性層の薄膜化を行なうことなく、感度を維持したまま小型化された圧力センサを実現することができる。
以下、本発明に係る圧力センサの好適な実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る圧力センサの第1実施形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図1に示すように、本発明の圧力センサ1Aは、ベース基板としてのシリコン基板100、絶縁層としてのシリコン酸化膜110、シリコン活性層120の順番で積層されている。シリコン基板100は、キャビティ102及びキャビティ102を取囲む基部101と、それらの下部に位置する底部103から構成されている。ここで、シリコン活性層120は、キャビティ102を覆うように、シリコン酸化膜110を介してシリコン基板100上に形成されている。また、シリコン活性層120は、キャビティ102に対応する位置に配置され変形可能な可動部121と、基部101の上部に配置され基部101に固定される固定部122と、可動部121の周縁に形成され可動部121の変形を検出する複数のゲージ抵抗124〜127と、ゲージ抵抗124〜127間を電気的に接続する配線128とを有する。さらに、基部101の上部の周縁全体に亘って、シリコン活性層120が形成されないシリコン活性層非形成部123が設けられている。シリコン活性層非形成部123は、製造時にシリコン活性層120の周縁をウェットエッチングやドライエッチング等で削除することにより設ける。
図1に示すように、本発明の圧力センサ1Aは、ベース基板としてのシリコン基板100、絶縁層としてのシリコン酸化膜110、シリコン活性層120の順番で積層されている。シリコン基板100は、キャビティ102及びキャビティ102を取囲む基部101と、それらの下部に位置する底部103から構成されている。ここで、シリコン活性層120は、キャビティ102を覆うように、シリコン酸化膜110を介してシリコン基板100上に形成されている。また、シリコン活性層120は、キャビティ102に対応する位置に配置され変形可能な可動部121と、基部101の上部に配置され基部101に固定される固定部122と、可動部121の周縁に形成され可動部121の変形を検出する複数のゲージ抵抗124〜127と、ゲージ抵抗124〜127間を電気的に接続する配線128とを有する。さらに、基部101の上部の周縁全体に亘って、シリコン活性層120が形成されないシリコン活性層非形成部123が設けられている。シリコン活性層非形成部123は、製造時にシリコン活性層120の周縁をウェットエッチングやドライエッチング等で削除することにより設ける。
なお、圧力センサ1Aにおいては、シリコン活性層120の可動部121と、可動部121直下のシリコン酸化膜110が一体化してダイヤフラム部130として動作する。しかしながら、シリコン酸化膜110は必須ではなく、シリコン酸化膜110が存在しない場合には、シリコン活性層120の可動部121のみがダイヤフラム部130として動作する。ダイヤフラム部の定義については他の実施形態も同様である。
ゲージ抵抗124〜127は、ダイアフラム部130に加わる圧力変動を検出する検出回路を構成するものであり、配線128を介して、いわゆるホイートストンブリッジ回路を構成するように互いが接続されている。配線128の中間部にはワイヤボンディング用のランド129が形成されている。
このようなゲージ抵抗124〜127は、ダイアフラム部130の各辺の中央付近に配置するのが一般的である。ダイアフラム部130の各辺の中央付近においては圧縮と引張の両応力がゲージ抵抗124〜127に加わり易いので、感度の良い圧力センサ1Aが得られる。また、ゲージ抵抗124〜127は、ダイアフラム部130の表面に配されており、例えばシリコン活性層120にボロンなどの拡散源を注入することによって形成することができる。また、配線128は、アルミニウム等の金属により形成するか、または、ゲージ抵抗124〜127よりも高濃度の拡散源を注入することによって形成できる。
ここで、本発明の圧力センサ1Aの動作原理について、比較例の圧力センサ10と比較しつつ説明する。図4は、比較例の圧力センサ10を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図4に示すように、比較例の圧力センサ10は、圧力センサ1Aと異なり、シリコン基板400の基部401の上部にはシリコン活性層非形成部が設けられていない。従って、基部401の上部全体に、シリコン酸化膜410を介してシリコン活性層420の固定部422が固定されている。それ以外の構造及び寸法は圧力センサ1Aと同一である。圧力センサ10においては、製造時にシリコン活性層420を削除しないことになる。
図4に示すように、比較例の圧力センサ10は、圧力センサ1Aと異なり、シリコン基板400の基部401の上部にはシリコン活性層非形成部が設けられていない。従って、基部401の上部全体に、シリコン酸化膜410を介してシリコン活性層420の固定部422が固定されている。それ以外の構造及び寸法は圧力センサ1Aと同一である。圧力センサ10においては、製造時にシリコン活性層420を削除しないことになる。
そして、圧力センサ1A及び圧力センサ10に対して同じ圧力が印加されたとき、両者のダイヤフラム部130及び430の変形の程度は同様である。しかしながら、圧力センサ1Aは、シリコン活性層120のゲージ抵抗124〜127の外側にシリコン活性層非形成部123が設けられていることによりゲージ抵抗124〜127付近に発生する応力が緩和されにくくなり、ゲージ抵抗124〜127の分子レベルにおける歪みが大きくなる。その結果、圧力センサ1Aの方が感度が良くなる。
図2は、本発明に係る圧力センサの第2実施形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図2に示すように、本発明の圧力センサ1Bは、シリコン活性層220のシリコン活性層非形成部223は、複数の開口部としての切欠部からなり、各々の開口部としての切欠部はシリコン活性層220のゲージ抵抗224〜227の外側に互いに離間して設けられている。それ以外の構造及び寸法は圧力センサ1Aと同一である。ここで、圧力センサ1Bの切欠部は、シリコン活性層220に囲まれた開口部としての切欠部であるが、シリコン活性層220の周縁まで達した切欠部でもよい。
図2に示すように、本発明の圧力センサ1Bは、シリコン活性層220のシリコン活性層非形成部223は、複数の開口部としての切欠部からなり、各々の開口部としての切欠部はシリコン活性層220のゲージ抵抗224〜227の外側に互いに離間して設けられている。それ以外の構造及び寸法は圧力センサ1Aと同一である。ここで、圧力センサ1Bの切欠部は、シリコン活性層220に囲まれた開口部としての切欠部であるが、シリコン活性層220の周縁まで達した切欠部でもよい。
圧力センサ1Aの特徴はシリコン活性層非形成部123を設けることが容易なことであり、圧力センサ1Bの特徴としてシリコン活性層220が剥がれ難いことが挙げられる。また、シリコン活性層のシリコン活性層非形成部の位置や大きさは、圧力センサ1A及び圧力センサ1Bに示されているものに限定されず、シリコン基板の基部の上部であってゲージ抵抗の近傍に設けられていることにより、圧力が印加されたときにゲージ抵抗付近に発生する応力が緩和されにくくなるものであればよい。すなわち、ゲージ抵抗の近傍とは、圧力が印加されたときにゲージ抵抗付近に発生する応力が緩和されにくくなるような位置であることを意味する。
図3は、本発明に係る圧力センサの第3実施形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図3に示すように、本発明の圧力センサ1Cは底部を有さず、キャビティ302が下方向に開放されている。それ以外の構造及び寸法は圧力センサ1Aと同一である。圧力センサ1Aは絶対圧を検出する場合に用いられ、圧力センサ1Cは差圧を検出する場合に使われる。
図3に示すように、本発明の圧力センサ1Cは底部を有さず、キャビティ302が下方向に開放されている。それ以外の構造及び寸法は圧力センサ1Aと同一である。圧力センサ1Aは絶対圧を検出する場合に用いられ、圧力センサ1Cは差圧を検出する場合に使われる。
次に、圧力センサ1A及び圧力センサ10について行なったシミュレーションについて説明する。具体的には、圧力センサ1A及び圧力センサ10に対して同じ圧力が印加されたとき、各々のゲージ抵抗124〜127及び424〜427に発生する応力解析のシミュレーションを有限要素法により行なった。今回、使用した応力解析シミュレーションソフトはサイバネットシステム株式会社の「ANSYS Mechanical」である。
応力解析のシミュレーションを行なうためには、一般的には、次式に表わされるフックの法則を個別のシミュレーション条件に最適化させるように変形した上で、要素の数に相当する分の連立方程式を解くことにより行なう。
また、今回のシミュレーションの寸法条件を記載する。上面視におけるシリコン基板100及び400、キャビティ102及び402、シリコン酸化膜110及び410、シリコン活性層120及び420は各々正方形であるものとし、図1にL11、L12、L13、M11、M12、M13、M14として、また図4にL21、L22、L23、M21、M22、M23、M24として示された個所の寸法は以下の通りである。つまり、L13とL23以外は圧力センサ1Aと圧力センサ10とで共通である。
圧力センサ1Aは、
L11(シリコン基板100の一辺の長さ)=500μm
L12(キャビティ102の一辺の長さ)=300μm
L13(シリコン活性層120の一辺の長さ)=350μm
M11(シリコン基板100の厚さ)=200μm
M12(キャビティ102の高さ)=5μm
M13(シリコン酸化膜110の厚さ)=1μm
M14(シリコン活性層120の厚さ)=13μmであり、
圧力センサ10は、
L21(シリコン基板400の一辺の長さ)=500μm
L22(キャビティ402の一辺の長さ)=300μm
L23(シリコン活性層420の一辺の長さ)=500μm
M21(シリコン基板400の厚さ)=200μm
M22(キャビティ402の高さ)=5μm
M23(シリコン酸化膜410の厚さ)=1μm
M24(シリコン活性層420の厚さ)=13μmである。
圧力センサ1Aは、
L11(シリコン基板100の一辺の長さ)=500μm
L12(キャビティ102の一辺の長さ)=300μm
L13(シリコン活性層120の一辺の長さ)=350μm
M11(シリコン基板100の厚さ)=200μm
M12(キャビティ102の高さ)=5μm
M13(シリコン酸化膜110の厚さ)=1μm
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圧力センサ10は、
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M21(シリコン基板400の厚さ)=200μm
M22(キャビティ402の高さ)=5μm
M23(シリコン酸化膜410の厚さ)=1μm
M24(シリコン活性層420の厚さ)=13μmである。
さらに、表1は今回のシミュレーションの物性条件であり、圧力センサ1A、圧力センサ10共通である。表1に示される通り、シリコン基板100及び400とシリコン活性層120及び420の物性条件は同一である。ここで、シリコン活性層120及び420に形成されたゲージ抵抗124〜127及び424〜427と配線128及び428の物性条件もこれらと同一である。つまり、ゲージ抵抗124〜127及び424〜427と配線128及び428はもともとはシリコン活性層120及び420なので、導電率以外の物性条件は同一であるとみなすことができる。
その上で、ダイアフラム部130及び430の各辺の中央付近にはゲージ抵抗124〜127及び424〜427が存在すると想定し、それらの箇所に発生する応力をシミュレーションにより算出した。
図5は、圧力センサ1A及び圧力センサ10に対して上方から同じ圧力を印加したときに、各々の圧力センサのゲージ抵抗124及び424が存在すると想定した箇所に発生する応力をグラフ化したものである。図5から、圧力センサ1Aのゲージ抵抗124が存在すると想定した箇所に発生する応力は、圧力センサ10のゲージ抵抗424が存在すると想定した箇所に発生する応力の2倍程度大きいことが分かる。
このようにして、シリコン活性層の薄膜化を行なうことなく、感度を維持したまま小型化された圧力センサを実現することができる。
以上、本発明の圧力センサについて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
1A,1B,1C,10…圧力センサ
100,200,300,400…シリコン基板
101,201,301,401…基部
102,202,302,402…キャビティ
103,203,403…底部
110,210,310,410…シリコン酸化膜
120,220,320,420…シリコン活性層
121,221,321,421…可動部
122,222,322,422…固定部
123,223,323…シリコン活性層非形成部
124〜127,224〜227,324〜327,424〜427…ゲージ抵抗
128,228,328,428…配線
129,229,329,429…ランド
130,230,330,430…ダイヤフラム部
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Claims (5)
- キャビティ及び前記キャビティを取囲む基部を有するベース基板と、前記キャビティを覆うように前記ベース基板上に形成されるシリコン活性層とを備える半導体圧力センサであって、
前記シリコン活性層は、前記キャビティに対応する位置に配置され変形可能な可動部と、前記基部の上部に配置され前記基部に固定される固定部と、前記可動部の周縁に形成され前記可動部の変形を検出する複数のゲージ抵抗とを有し、
前記基部の上部であって少なくとも前記ゲージ抵抗の近傍には、前記シリコン活性層が形成されないシリコン活性層非形成部が設けられていることを特徴とする半導体圧力センサ。 - 前記シリコン活性層非形成部は、前記基部の上部の周縁全体に亘って設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体圧力センサ。
- 前記シリコン活性層非形成部は、複数の切欠部からなり、互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体圧力センサ。
- 前記ベース基板と前記シリコン活性層との間には絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3記載の半導体圧力センサ。
- 前記ベース基板は、前記キャビティの下部に底部を有することを特徴とする請求項1〜4記載の半導体圧力センサ。
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