JP6656883B2 - X線コンピュータ断層撮影装置及び医用診断システム - Google Patents

X線コンピュータ断層撮影装置及び医用診断システム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置及び医用診断システムに関する。
X線コンピュータ断層撮影装置により、患者等の被検体に造影剤を注入してX線CTスキャンを行う造影剤スキャンが行われている。造影剤の濃度が適切になるタイミングで造影剤スキャンを行うため、造影剤スキャンの撮影範囲よりも上流側でモニタリングスキャンが行われる。モニタリングスキャンによりモニタリングROIの造影剤の濃度をモニタリングし、所定の濃度に到達したことを契機として造影剤スキャンに移行している。
より適切に造影剤スキャンの開始タイミングを制御するため、モニタリングスキャンにおいて収集されたCT画像に基づいて血流速を算出し、算出された血流速と、モニタリングスキャンの撮影範囲と造影剤スキャンの撮影範囲との間の強度とに基づいて開始タイミングを決定する技術が知られている。しかしながら、造影剤スキャンの撮影範囲における血流を反映できず、適切な撮影条件で造影剤スキャンを行うことはできない。
特開2003−159248号公報 特開2001−054519号公報 特開2005−224459号公報 特開2014−023962号公報 特開2010−246725号公報 特開2013−143978号公報
目的は、造影剤スキャンの精度の向上を可能とするX線コンピュータ断層撮影装置及び医用診断システムを提供することにある。
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と、前記X線管から発生されたX線を検出するX線検出器と、前記X線管と前記X線検出器とを支持するフレームと、前記X線検出器により検出されたX線の強度に関するデータを収集する収集回路と、を有する架台装置と、被検体が載置された天板を移動する寝台と、血流速計測装置により計測された造影剤スキャンの撮影範囲における前記被検体の血流速に基づいて前記造影剤スキャンの撮影条件を決定する決定部と、前記決定された撮影条件に従い前記造影剤スキャンを実行するために前記架台装置と前記寝台とを制御する撮影制御部と、を具備する。
図1は、本実施形態に係る医用診断システムの構成を示す図である。 図2は、本実施形態に係る医用情報システムによる検査シーケンスの流れを示す図である。 図3は、血流速計測の計測位置、モニタリングスキャンの撮影範囲及び造影剤スキャンの撮影範囲の位置関係を示す図である。 図4は、ステップS1において血流計測器により計測される血流速の時間変化を示す図である。 図5は、ステップS3においてシステム制御回路により行われる移行時間の決定処理を示す図である。 図6は、ステップS3においてシステム制御回路により行われる造影剤推定存在範囲を示す図である。 図7は、ステップS3においてシステム制御回路により行われる、造影剤スキャンがヘリカルスキャンの場合におけるヘリカルピッチの決定処理を説明するための図である。 図8は、ステップS3においてシステム制御回路により行われる、造影剤スキャンがワイドボリュームスキャンの場合における各ボリュームスキャン間の遅延時間の決定処理を説明するための図である。 図9は、ステップS4においてシステム制御回路によりモニタリングされる造影剤の時間濃度曲線を示す図である。 図10は、応用例に係る血流速計測の計測範囲、モニタリングスキャンの撮影範囲及び造影剤スキャンの撮影範囲の位置関係を示す図である。 図11は、Z軸方向に連続した血流速分布画像を模式的に示す図である。 図12は、応用例に係る血流計測器により計測された血流速の分布を示す図である。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置及び医用診断システムを説明する。
図1は、本実施形態に係る医用診断システムの構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る医用診断システムは、X線コンピュータ断層撮影装置と血流速計測器100とを有する。図1に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台装置10とコンソール50とを有する。例えば、架台装置10はCT検査室に設置され、コンソール50はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台装置10とコンソール50とは互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。架台装置10は、被検体SをX線CTスキャンするための構成を有するスキャン装置である。コンソール50は、架台装置10を制御するコンピュータである。
図1に示すように、架台装置10は、撮影空間(field of view)をなす開口が形成された略円筒形状の回転フレーム11を有する。図1に示すように、回転フレーム11には、開口を挟んで対向するように配置されたX線管13とX線検出器15とが取付けられている。回転フレーム11は、アルミ等の金属により円環形状に形成された金属枠である。X線管13とX線検出器15とは、例えば、回転フレーム11に形成された凹部に嵌め込まれても良いし、ネジ等の締結具により締結されても良い。より詳細には、架台装置10は、アルミ等の金属により形成されたメインフレーム(図示せず)を有する。回転フレーム11は、当該メインフレームにより中心軸Z回りに軸受等を介して回転可能に支持されている。メインフレームの回転フレーム11との接触部には環状電極(図示せず)が設けられている。メインフレームの当該接触部には環状電極に摺り接触するように導電性の摺動子(図示せず)が取り付けられている。当該環状電極及び摺動子を介して、架台装置10に収容された電源装置(図示せず)からの電力が回転フレーム11に搭載されたX線検出器15や高電圧発生器17等の各種機器に供給される。
X線管13は、高電圧発生器17に接続されている。高電圧発生器17は、例えば、回転フレーム11に取付けられている。高電圧発生器17は、架台の電源装置(図示せず)から環状電極及び摺動子を介して供給された電力から、架台制御回路27による制御に従いX線管13に印加する高電圧を発生しフィラメント加熱電流を供給する。高電圧発生器17とX線管13とは高圧ケーブル(図示せず)を介して接続されている。高電圧発生器17により発生された高電圧は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。また、高電圧発生器17により発生されたフィラメント加熱電流は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。
X線管13のX線照射窓の前方には前置コリメータ19が取付けられている。前置コリメータ19は、X線管13から放射されたX線の照射野を限定する。より詳細には、前置コリメータ19は、X線を減弱する物質により形成された絞り羽根を有する。絞り羽根により形成される開口により照射野が規定される。絞り羽根は、X線を減弱する物質であれば如何なる物質により形成されても良いが、例えば、鉛等の重金属により形成されると良い。
回転フレーム11は、回転駆動装置21からの動力を受けて中心軸Z回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置21としてダイレクトドライブモータやサーボモータ等の任意のモータが用いられる。回転駆動装置21は、例えば、架台装置10に収容されている。回転駆動装置21は、架台制御回路27からの駆動信号を受けて回転フレーム11を回転させるための動力を発生する。
回転フレーム11の開口(bore)にはFOV(field of view)が設定される。回転フレーム11の開口内には寝台23に支持された天板が挿入される。天板には被検体Sが載置される。寝台23は、寝台駆動装置25からの動力を受けて中心軸Z回りに一定の角速度で回転する。寝台駆動装置25としてサーボモータ等の任意のモータが用いられる。寝台駆動装置25は、例えば、寝台23に収容されている。寝台駆動装置25は、架台制御回路27からの駆動信号を受けて天板を中心軸Zに沿って移動させるための動力を発生する。天板に載置された被検体Sの撮像部位がFOV内に含まれるように天板が位置決めされる。
X線検出器15は、X線管13から発生されたX線を検出する。具体的には、X線検出器15は、2次元湾曲面上に配列された複数の検出器画素(図示せず)を有している。各検出器画素は、シンチレータと光電変換素子とを有する。シンチレータは、X線を蛍光に変換する物質である。シンチレータ物質としては、例えば、NaIやBGO等が用いられる。シンチレータは、入射X線を、当該入射X線の強度に応じた個数の蛍光光子に変換する。光電変換素子は、蛍光を増幅して電気信号に変換する回路素子である。光電変換素子としては、例えば、光電子増倍管やフォトダイオード等が用いられる。なお、検出器画素は、上記の通りX線を光に変換してから検出する間接検出型でも良いし、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型であっても良い。直接検出型の検出器画素としては、例えば、半導体の両端に電極が取り付けられてなる半導体ダイオードを含むタイプが適用可能である。
X線検出器15にはデータ収集回路29が接続されている。データ収集回路29は、X線検出器15から、X線検出器15により検出されたX線の強度に応じたデータ(以下、生データと呼ぶ)をビュー毎に収集する。具体的には、データ収集回路29は、例えば、検出器画素毎に積分回路(図示せず)とA/D変換器(図示せず)とを有する。積分回路は、検出器画素からの電気信号をビュー毎に積分する。A/D変換器は、積分された電気信号をアナログ信号からデジタル信号(生データ)に変換する。これにより、ビュー毎の生データが収集される。生データは、生成元の検出器画素のチャンネル番号、列番号及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線の強度を示すデジタル値のセットである。生データは、例えば、架台装置10に収容された非接触データ伝送装置(図示せず)を介してコンソール50に供給される。なお、データ収集回路29には前置増幅器やIV変換器等の他の回路素子が実装されていても良い。データ収集回路29は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路を有し、当該半導体集積回路に上記の積分回路やA/D変換器等の回路素子が実装される。
架台制御回路27は、コンソール50のシステム制御回路63からの撮影条件に従いスキャンを実行するために高電圧発生器17、回転駆動装置21、寝台駆動装置25及びデータ収集回路29を同期的に制御し、被検体SについてX線CTスキャンを行う。ハードウェア資源として、架台制御回路27は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。架台制御回路27は、架台装置10に設けられても良いし、コンソール50に設けられても良いし、架台装置10及びコンソール50とは別体の装置に設けられても良い。また、架台制御回路27は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。処理装置は、記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。なお、記憶装置にプログラムを保存する代わりに、処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、処理装置は、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。
図1に示すように、コンソール50は、バス(bus)を介して接続された画像再構成装置51、画像処理装置53、表示回路55、入力回路57、通信回路59、主記憶回路61及びシステム制御回路63を有する。画像再構成装置51、画像処理装置53、表示回路55、入力回路57、通信回路59、主記憶回路61及びシステム制御回路63間のデータ通信は、バスを介して行われる。
画像再構成装置51は、架台装置10からの生データに基づいて被検体Sに関するCT画像を再構成する。具体的には、画像再構成装置51は、データ記憶回路511を有する。データ記憶回路511は、架台装置10から伝送された生データを記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、画像再構成装置51は、ハードウェア資源として、データ記憶回路511の他に、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有しても良い。また、画像再構成装置51は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。当該処理装置は、当該記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実行することで前処理機能513と再構成処理機能515とを実現する。前処理機能513において画像再構成装置51は、生データに対数変換やメタルアーチファクト低減処理等の前処理を行う。再構成処理機能515において画像再構成装置51は、前処理後の生データに基づいてX線減弱係数に依存するCT値の空間分布を表現すCT画像を発生する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法やCBP(convolution back projection)法等の解析学的画像再構成法や、ML−EM(maximum likelihood expectation maximization)法やOS−EM(ordered subset expectation maximization)法等の統計学的画像再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。なお、画像再構成装置51は、前処理機能513のための処理回路と再構成処理機能515のための処理回路とを有しても良い。
画像処理装置53は、画像再構成装置51により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理装置53は、CT画像がボリュームデータの場合、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を発生する。画像処理装置53は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、画像処理装置53は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
表示回路55は、2次元のCT画像や表示画像等の種々のデータを表示する。具体的には、表示回路55は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路57は、ユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力回路57は、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路63に供給する。なお、入力回路57は、コンソール50に設けられても良いし、架台装置10に設けられても良い。
通信回路59は、図示しないネットワーク等を介して接続された血流速計測装置100との間でデータ通信を行う。具体的には、通信回路59は、血流速計測装置100により計測された被検体の血流速のデータを受信する。また、通信回路59は、図示しないネットワークを介して、図示しないPACSサーバ等の他の外部装置との間でデータ通信可能に接続されても良い。データ通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)が挙げられる。
本実施形態に係る血流速計測器100は、患者等の被検体の血流速を計測できる装置であればX線コンピュータ断層撮影装置以外の如何なる装置であっても良い。例えば、血流速計測器100としては、ドップラー現象を利用して血流速を計測する超音波診断装置が利用可能である。具体的には、血流速計測器100は、造影剤スキャンの撮影範囲における被検体の血流速を計測する。また、血流速計測器100は、計測された血流速の空間分布を示す血流速画像のデータを生成しても良い。計測された血流速及び血流速画像のデータは、ネットワークを介して通信回路に送信される。なお、計測された血流速及び血流速画像のデータは、記録媒体を介して主記憶回路61に記憶されても良い。
主記憶回路61は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路61は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路61は、血流計測器100からの血流速及び血流速画像のデータを記憶する。また、主記憶回路61は、本実施形態に係るX線CTスキャンに関する制御プログラム等を記憶する。
システム制御回路63は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、システム制御回路63は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。システム制御回路63は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路63は、主記憶回路61に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線コンピュータ断層撮影装置の各部を制御する。
具体的には、システム制御回路63は、モニタリングROI設定機能631、モニタリング機能633、撮影条件決定機能635及び制御機能637を有している。
モニタリングROI設定機能631においてシステム制御回路63は、モニタリングスキャンにおける造影剤の濃度のモニタリングのためのROI(以下、モニタリングROIと呼ぶ)をCT画像に設定する。
モニタリング機能633においてシステム制御回路63は、モニタリングROIにおける造影剤の濃度をモニタリングする。具体的には、システム制御回路63は、モニタリングROIの画素値に基づく造影剤濃度をモニタリングし、造影剤濃度を閾値に対して比較する。造影剤濃度が閾値を上回るタイミングがモニタリングスキャンから造影剤スキャンへの移行の契機となる。
撮影条件決定機能635においてシステム制御回路63は、血流速計測器100により計測された造影剤スキャンの撮影範囲における被検体Sの血流速に基づいて、造影剤スキャンの撮影条件を決定する。
制御機能637においてシステム制御回路63は、架台装置10、画像再構成装置51、画像処理装置53、表示回路55、入力回路57、通信回路59及び主記憶回路61を制御する。
画像再構成装置51、画像処理装置53及びシステム制御回路63は、コンソール50内の単一の回路に集約されても良いし、複数の回路に分散されても良い。また、画像再構成装置51、画像処理装置53及びシステム制御回路63は、コンソール50内の単一の基板に集約されても良いし、複数の基板に分散されても良い。
以下、本実施形態に係る医用情報システムの動作例について説明する。図2は、本実施形態に係る医用情報システムによる検査シーケンスの流れを示す図である。本実施形態に係る検査シーケンスは、血流速計測器100による血流速計測、X線コンピュータ断層撮影装置によるモニタリングスキャン及びX線コンピュータ断層撮影装置による造影剤スキャンを含む。
図2に示すように、まず、血流速計測器100により被検体の血流速が計測される(ステップS1)。血流速計測器100による血流速計測は、X線コンピュータ断層撮影装置が設置されているCT検査室で行われても良いし、超音波検査室等の他の検査室で行われても良い。また、血流速計測器100による血流速計測は、X線コンピュータ断層撮影装置が設置されている施設とは異なる他の施設において行われても良い。
図3は、本実施形態に係る血流速計測の計測位置、モニタリングスキャンの撮影範囲及び造影剤スキャンの撮影範囲の位置関係を示す図である。図3に示すように、中心軸Zは便宜的に被検体の体軸に一致するものとする。Y軸は鉛直軸に規定され、X軸は、Z軸及びX軸に水平に直交する軸に規定されるものとする。また、本実施形態に係る造影剤スキャンの対象は、血管であれば如何なる部位でも良いが、一例として、大動脈の下流にある血管であるものとする。モニタリングスキャンの撮影範囲RSMは、造影剤スキャンの撮影範囲RSCの上流側に設定される。撮影範囲RSMは、Z軸に関して厚みを有する3次元領域でも良いが、Z軸に関して厚みを有しない2次元領域でも良い。造影剤スキャンの撮影範囲RSCは、Z軸に関して厚みを有しない2次元領域でも良いが、Z軸に関して厚みを有する3次元領域でも良い。典型的には、撮影範囲RSCのZ軸に沿う範囲は、X線検出器15のZ軸に関する検出範囲(カバレッジ)よりも広く設定される。
血流速計測器100による血流計測は、造影剤スキャンの撮影範囲RSC内で行われる。血流計測の計測位置は、Z軸に関して離散的な複数の箇所に設定される。なお、狭窄部や瘤など血管径が大きく変化する部位や血管分岐部は計測位置として避けると良い。当該箇所は、血流速が大きく変化するので、造影剤スキャンの撮影条件の決定精度が劣化するからである。
図3に示すように、血流計測は、例えば、上流側から計測位置PA、計測位置PB及び計測位置PCの3箇所に設定される。血流計測の計測位置は、具体的には、超音波ドプラ計測におけるレンジゲート又は走査面に対応する。血流速計測器100は、超音波プローブを有している。計測対象血管に対する超音波ビームの入射角度が60度以内になるように超音波プローブが当接される。超音波プローブが各計測位置PA,PB,PCの体表に当接された状態において各計測位置PA,PB,PCに対して超音波の送受信を繰り返し各計測位置PA,PB,PCを流れる血液の血流速を計測する。
血流速計測器100は、超音波ビームと計測対象血管との角度に基づいて、計測された血流速に入射角補正を行うと良い。入射角補正により血管内を流れる血液の流速を正確に計測することができる。また、血流速計測器100は、走査面内における血管径と血流計測のサンプルサイズとの比に応じた係数を血流速に乗じても良い。
図4は、ステップS1において血流速計測器100により計測される血流速の時間変化を示す図である。図4の縦軸は血流速に規定され、横軸は時間に規定される。図4に示すように、血流速は、拍動に伴い値が変化する。呼吸動による拍動の乱れを低減させ、血流速の計測精度を高めるため、血流速計測器100は、被検体の呼吸制動下において血流計測を行うと良い。各計測位置PA,PB,PCにおいて1心拍又は複数心拍の期間だけ血流速が計測される。血流速計測器100は、各計測位置PA,PB,PCについて、当該期間に亘る血流速の統計値を算出し、当該算出された統計値を各計測位置PA,PB,PCの血流速に設定する。統計値としては、例えば、平均値や中央値、重心値等が挙げられる。
なお、血流速計測器100は、カラードプラ法を用い各計測位置PA,PB,PCの血流速の走査面における空間分布を示す血流速分布画像を生成しても良い。血流速分布画像により走査面内における血管部位を把握することも可能となる。血流速計測器100により計測された血流速又は血流速分布画像のデータは、X線コンピュータ断層撮影装置に伝送される。
ステップS1が行われるとシステム制御回路63は、モニタリングROI設定機能631を実行する(ステップS2)。ステップS2においてシステム制御回路63は、モニタリングROIを設定する。ステップS2において表示回路55は、予め撮影されたモニタリングスキャンの撮影範囲に関するCT画像を表示する。ユーザは、表示されたCT画像を観察して、造影剤スキャンの対応血管を特定する。ユーザは、入力回路57を介して、CT画像上の対象血管の画像領域を指定する。システム制御回路63は、ユーザにより入力回路57を介して指定された画像領域にモニタリングROIを設定する。あるいは、システム制御回路63は、血流速計測器100により計測された血流速分布画像に基づいてモニタリングROIを設定しても良い。例えば、システム制御回路63は、血流速分布画像を予め撮影されたCT画像に重ね合わせて表示回路55に表示する。位置合わせは、画像真毎の座標系に基づく方法や解剖学的基準位置に基づく方法等の既存の方法により行われれば良い。システム制御回路63は、血流速分布画像の中から血流速成分を有する画像領域を血管領域として特定する。そしてシステム制御回路63は、特定された血管領域に重畳されるCT画像上の画像領域にモニタリングROIを設定する。これによりモニタリングROIを簡易に設定することが可能となる。血流速分布画像とCT画像との重畳表示においてモニタリングROIの設定は自動に限定されない。例えば、ユーザは、重畳された血流速分布画像を参考にしてCT画像におけるモニタリングROIの設定箇所を特定し、入力回路57を介して特定された設定箇所に対応する画像領域を指定する。システム制御回路63は、ユーザにより入力回路57を介して指定された画像領域にモニタリングROIを設定する。
ステップS2が行われるとシステム制御回路63は、撮影条件決定機能635を実行する(ステップS3)。ステップS3においてシステム制御回路63は、ステップS1において計測された血流速に基づいて造影剤スキャンの撮影条件を決定する。以下、撮影条件の決定処理を造影剤スキャンの撮影範囲がX線検出器15のZ軸に関する検出範囲以下の場合と以上の場合とに分けて説明する。
まずは、造影剤スキャンの撮影範囲がX線検出器15のZ軸に関する検出範囲以下のときの撮影条件の決定処理について説明する。ステップS3においてシステム制御回路63は、撮影条件として、モニタリングスキャンの終了時から造影剤スキャンの開始時までの移行時間を決定する。
図5は、移行時間の決定処理を示す図である。図5は、Z軸に沿う位置(Z位置)毎の血流速の変化を示している。図5の縦軸は血流速に規定され、横軸はZ位置に規定される。図5に示すように、モニタリングスキャンの撮影範囲の位置PMと造影剤スキャンの撮影範囲の開始位置PSとの間の距離はL1であり、計測位置PAの血流速はVAであるとする。距離L1は、事前に計測されているものとする。システム制御回路63は、距離L1と当該距離L1の血流速とに基づいて、造影剤が位置PMから開始位置PSに到達する予測時間ΔT1を決定する。距離L1の血流速は、事前に計測された複数の計測位置PA、PB、PCのうちの位置PMに最も近い計測位置PAの血流速VAに決定される。なお、距離L1の血流速は、計測位置PAの血流速VAそのものではなく、血流速の変動を考慮してVA−εからVA+εまでの間の値に決定されても良い。この距離L1の血流速VAを中心とするVA−εからVA+εまでの血流速を想定血流速と呼ぶことにする。εの値は、入力回路57等を介して任意に設定可能である。システム制御回路63は、予測時間ΔT1を基準として、モニタリングスキャンの終了時から造影剤スキャンの開始時までの移行時間(開始タイミング)を決定する。例えば、システム制御回路63は、予測時間ΔT1を移行時間に決定しても良いし、予測時間ΔT1にバッファ時間を加算した時間を移行時間に決定しても良い。
なお、より正確に想定血流速を決定するため、システム制御回路63は、造影剤の伝達関数に基づいて各Z位置の想定血流速を決定しても良い。この際、造影剤スキャンに用いられる造影剤の量、注入時間及び注入速度は、予め設定されている。従ってシステム制御回路63は、当該造影剤の量、注入時間及び注入速度に基づいて各Z位置の想定血流速を決定しても良い。
次に、造影剤スキャンの撮影範囲がX線検出器15のZ軸に関する検出範囲以上の場合の撮影条件の決定について説明する。
まず、上記の通り、システム制御回路63は、モニタリングスキャンの終了時から造影剤スキャンの開始時までの到達時間を決定する。到達時間が設定されるとシステム制御回路63は、想定血流速に基づいて造影剤スキャンの撮影範囲における造影剤推定存在範囲を算出する。
図6は、造影剤推定存在範囲を示す図である。図6の縦軸はZ位置に規定され、横軸は時間に規定される。造影剤推定存在範囲は、造影剤が存在すると推定される範囲である。なお、図6においては、造影剤注入位置、モニタリングスキャンの撮影範囲及び造影剤スキャンの撮影範囲に限定して造影剤推定存在範囲を示している。システム制御回路63は、想定血流速のうちの早い血流速VA+εから遅い血流速VA−εまでの各血流速について造影剤推定存在範囲を算出する。例えば、システム制御回路63は、早い血流速VA+εから遅い血流速VA−εまでの各血流速について、モニタリングスキャンの撮影範囲の位置PMから造影剤スキャンの撮影範囲内の各Z位置への造影剤の到達時間を算出し、早い血流速VA+εに基づく到達時間と遅い血流速VA−εに基づく到達時間との間の範囲が造影剤推定存在範囲に決定される。
造影剤推定存在範囲が決定されるとシステム制御回路63は、図6に示すように、最適造影状態範囲を決定する。最適造影状態範囲は、造影剤濃度の安定期、具体的には、造影剤スキャンの撮影範囲において造影剤の濃度が所定の濃度を上回っている状態が実現される時間範囲である。所定の濃度とはCT画像上において造影剤が視認することができる造影剤の濃度である。所定の濃度は経験的に定められ、入力回路57を介して任意に設定可能である。最適造影状態範囲は、造影剤存在推定範囲のうちの造影剤の到達時間の乱れ等を考慮して、ユーザにより入力回路57を介して任意の範囲に設定可能である。また、システム制御回路63は、計算により最適造影状態範囲を算出しても良い。例えば、システム制御回路63は、早い血流速VA+εから遅い血流速VA−εまでの各血流速について、造影剤の濃度が閾値を上回る時刻に上記到達時間を加算した時刻と、造影剤の濃度が当該閾値を下回る時刻に上記到達時間を加算した時刻との間の時間範囲を最適造影状態範囲に決定する。
最適造影状態範囲が決定されるとシステム制御回路63は、最適造影状態範囲の中から造影剤スキャンの開始時刻と終了時刻とを決定する。例えば、システム制御回路63は、最適造影状態範囲のうちの最も早い時刻を造影剤スキャンの開始時刻に設定し、当該開始時刻から造影剤スキャンの撮影時間経過後の時刻を終了時刻に設定する。造影剤スキャンの撮影時間は、予め設定されている。なお、造影剤スキャンの開始時刻は、最適造影状態範囲のうちの最も早い時刻に限定されない。造影剤スキャンの開始時刻と終了時刻とが最適造影状態範囲に収まるのであれば、造影剤スキャンの開始時刻は、如何なる時刻に設定されても良い。モニタリングスキャンの終了時から造影剤スキャンの開始時刻までの時間が、モニタリングスキャンから造影剤スキャンへの移行時間(開始タイミング)に決定される。モニタリングスキャンの終了時から造影剤スキャンの終了時刻までの時間が、終了タイミングに決定される。
造影剤スキャンの移行時間が決定されるとシステム制御回路63は、造影剤スキャンの種類に応じた撮影条件を決定する。本実施形態に係る造影剤スキャンは、ヘリカルスキャン又はワイドボリュームスキャンであるとする。ヘリカルスキャンは、寝台23の天板を動かしながらX線CTスキャンをするスキャン方式である。ワイドボリュームスキャンは、天板を間欠的に動かしながらX線CTスキャンをするスキャン方式である。ヘリカルスキャンの場合、決定される撮影条件はヘリカルピッチであり、ワイドボリュームスキャンの場合、決定される撮影条件は各ボリュームスキャン間の遅延時間である。
図7は、造影剤スキャンがヘリカルスキャンの場合におけるヘリカルピッチの決定処理を説明するための図である。図7の上段はZ位置に関する血流速の分布を示すグラフであり。図7の下段はZ位置に関するヘリカルピッチの分布を示すグラフである。図7に示すように、造影剤スキャンの撮影範囲がX線検出器15のZ軸に関する検出範囲以上の場合、造影剤スキャンの撮影範囲の血流速は1つに固定されず、モニタリングスキャンの撮影範囲PMからの距離が長いほど血流速を減少させると良い。このように血流速を設定することにより、より正確に撮影条件を設定することが可能となる。例えば、造影剤スキャンの撮影範囲の開始位置PSから計測位置PBまでの血流速は計測位置PAの血流速に設定され、計測位置PBから造影剤スキャンの撮影範囲の終了位置PEまでの血流速は計測位置PBの血流速に設定される。
なお、血流速の設定態様は上記のみに限定されない。例えば、造影剤スキャンの撮影範囲の開始位置PSから計測位置PAと計測位置PBとの中間点までの血流速は計測位置PAの血流速に設定され、計測位置PAと計測位置PBとの中間点から計測位置PBと計測位置PCとの中間点までの血流速は計測位置PBの血流速に設定され、計測位置PBと計測位置PCとの中間点から造影剤スキャンの撮影範囲の終了位置PEまでの血流速は計測位置PCの血流速に設定されても良い。
血流速の設定が行われるとシステム制御回路63は、各Z位置の造影剤濃度が最適造影状態になる時刻に当該Z位置においてX線CTスキャンされるようにヘリカルピッチを決定する。換言すれば、各Z位置について造影剤濃度がピークを向かえる時刻にX線CTスキャンが行われるようにヘリカルピッチが決定される。例えば、モニタリングスキャンの撮影範囲RSMにおいてはヘリカルピッチHP1に設定され、造影剤スキャンの撮影範囲RSCの開始位置PSから計測位置PBまでにおいてはヘリカルピッチHP2に設定され、計測位置PBから造影剤スキャンの撮影範囲の開始位置PEまでにおいてはヘリカルピッチHP3に設定される。ワイドボリュームスキャンをZ位置毎のヘリカルピッチのデータは、主記憶回路61に記憶される。
図8は、造影剤スキャンがワイドボリュームスキャンの場合における各ボリュームスキャン間の遅延時間の決定処理を説明するための図である。図8の上段はZ位置に関する血流速の分布を示すグラフであり。図8の下段はZ位置に関する遅延時間を示す。図8に示すように、造影剤スキャンの撮影範囲がX線検出器15のZ軸に関する検出範囲以上の場合、造影剤スキャンの撮影範囲の血流速は1つに固定されず、モニタリングスキャンの撮影範囲PMからの距離が長いほど血流速を減少させると良い。このように血流速を設定することにより、より正確に撮影条件を設定することが可能となる。
血流速の設定が行われるとシステム制御回路63は、複数のZ位置各々において最適造影状態となるように、各ボリュームスキャン間の遅延時間を決定する。すなわち、システム制御回路63は、各Z位置が最適造影状態になる時刻に当該Z位置においてX線CTスキャンされるように遅延時間を決定する。換言すれば、各Z位置について造影剤濃度がピークを向かえる時刻にX線CTスキャンが行われるように遅延時間が決定される。例えば、造影剤スキャンの撮影範囲RSCのうちの第1のボリュームスキャンRS1から第2のボリュームスキャンRS2までの遅延時間はΔT2に設定され、第2のボリュームスキャンRS2から第3のボリュームスキャンRS3までの遅延時間はΔT3に設定される。各ボリュームスキャン間の遅延時間は、撮影条件として主記憶回路61に記憶される。
決定された撮影条件のデータは、システム制御回路63により架台制御回路27に伝送される。
ステップS3が行われるとシステム制御回路63は、モニタリングスキャンを実行する(ステップS4)。まず、システム制御回路63は、モニタリングスキャンを実行するために架台制御回路27を制御する。架台制御回路27は、ステップS2において設定されたモニタリングROIを対象とするモニタリングスキャンを実行するために高電圧発生器17、回転駆動装置21及びデータ収集回路29を制御する。モニタリングスキャンにおいてデータ収集回路29により収集された生データに基づいて、画像再構成装置51は、モニタリングROIを対象とする時系列のCT画像を再構成する。
モニタリングスキャンが行われるとシステム制御回路63は、モニタリング機能633を実行する。
図9は、造影剤の時間濃度曲線を示す図である。図9の縦軸は造影剤の濃度に規定され、横軸は時間に規定される。モニタリング機能633においてシステム制御回路63は、モニタリングスキャンにおいて再構成された時系列のCT画像に設定されたモニタリングROIの造影剤濃度をモニタリングする。システム制御回路63は、モニタリングROIの造影剤濃度を閾値Thに対して比較し、造影剤濃度が閾値Thを上回ることを待機する。造影剤濃度はCT画像の画素値(CT値)に帰着される。従って、システム制御回路63は、具体的には、モニタリングROIを構成する複数の画素の統計値を閾値Thに対して比較し、当該統計値が閾値Thを上回ることを待機する。統計値は、平均値や最小値、最大値、中間値等に設定されれば良い。そして造影剤濃度が閾値Thを上回ると(時刻Ttri)、システム制御回路63は、モニタリングスキャンの終了指示を架台制御回路27に供給する。以下、時刻Ttriをトリガ時刻と呼ぶことにする。モニタリングスキャンの終了指示を受けた架台制御回路27は、高電圧発生器17、回転駆動装置21及びデータ収集回路29を制御し、モニタリングスキャンを終了する。
ステップS4が行われるとシステム制御回路63は、造影剤スキャンを実行する(ステップS5)。ステップS5においてシステム制御回路63は、造影剤スキャンの開始指示を架台制御回路27に供給する。開始指示の供給を受けると架台制御回路27は、トリガ時刻からの経過時間を計測する。架台制御回路27は、経過時間がステップS3において決定された移行時間が経過したことを契機として造影剤スキャンを開始する。具体的には、架台制御回路27は、経過時間の計測中、寝台駆動装置25を制御して、モニタリングスキャンの撮影範囲から造影剤スキャンの撮影範囲の開始位置まで寝台23の天板を移動させる。
そして移行時間が経過したことを契機として、ステップS3において決定された撮影条件に従い造影剤スキャンを実行する。造影剤スキャンがヘリカルスキャンの場合、架台制御回路27は、決定されたヘリカルピッチでのヘリカルスキャンを実行するように高電圧発生器17、回転駆動装置21、寝台駆動装置25及びデータ収集回路29を制御する。この際、架台制御回路27は、造影剤スキャンの撮影範囲の各Z位置において、ステップS3においてヘリカルピッチを実現するように寝台駆動装置25を制御する。造影剤スキャンがワイドボリュームスキャンの場合、架台制御回路27は、遅延時間でのワイドボリュームスキャンを実行するように高電圧発生器17、回転駆動装置21、寝台駆動装置25及びデータ収集回路29を制御する。この際、架台制御回路27は、ワイドボリュームスキャンを構成するボリュームスキャンが終了する毎に、当該ボリュームスキャンの終了時からの経過時間を計測する。経過時間の計測中、架台制御回路27は、寝台駆動装置25を制御して、次のボリュームスキャンの撮影範囲の開始位置まで寝台23の天板を移動させる。そして架台制御回路27は、経過時間がステップS3において決定された遅延時間に到達したことを契機として次のボリュームスキャンを開始する。このようにしてワイドボリュームスキャンが行われる。
以上により本実施形態に係る検査シーケンスの説明を終了する。
なお、上記の検査シーケンサは一例である。例えば、造影剤スキャンの開始タイミングはモニタリングスキャンにより収集されたCT画像に基づいて決定され、終了タイミング
を決める撮影条件を、計測位置PAの血流速に基づいて決定されても良い。
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線管とX線検出器とが1体となって被検体の周囲を回転する回転/回転型(ROTATE/ROTATE―TYPE)であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、リング状に配列された多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転型(STATIONARY/ROTATE―TYPE)であっても良い。
(応用例)
上記の実施形態において血流速のデータはZ位置に関して離散的に計測されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、血流速のデータはZ位置に関して連続的に計測されても良い。
図10は、応用例に係る血流速計測の計測範囲RSD、モニタリングスキャンの撮影範囲RSM及び造影剤スキャンの撮影範囲RSCの位置関係を示す図である。図10に示すように、計測範囲RSDは、造影剤スキャンの撮影範囲RSCに含まれ、Z軸方向に連続した空間領域を占める。血流速計測器100は、計測範囲RSCに沿って連続的にドプラ計測を行うことによりZ軸方向に連続した血流速のデータを生成することができる。なお、応用例においても、本実施形態と同様、血流速計測器100は、カラードプラ計測を実行しても良い。これにより、図11に示すように、Z軸方向に連続した血流速分布画像のデータを生成することができる。
図12は、応用例に係る血流速計測器100により計測された血流速の分布を示す図である。図に示すように、応用例においては、計測範囲RSDにおいてZ軸方向に関して連続した血流速のデータを計測することができる。応用例に係るシステム制御回路63は、Z軸方向に関して連続した血流速に基づいて造影剤スキャンの撮影条件をより細かく設定することが可能となる。なお、応用例においては、Z軸方向に関して連続的に血流速のデータが得られるので、上記実施形態のように分岐点等の特異点を避ける必要はない。よって、複雑に血管が走行する部位においても正確に撮影条件を決定することが可能となる。
(総括)
上記の説明の通り、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台装置10、寝台23、システム制御回路63及び架台制御回路27を有している。架台装置10は、X線を発生するX線管13と、X線管13から発生されたX線を検出するX線検出器15と、X線管13とX線検出器15とを支持する回転フレーム11と、X線検出器15により検出されたX線の強度に関するデータを収集するデータ収集回路29と、を有する。寝台23は、被検体が載置された天板を移動する。システム制御回路63は、血流速計測装置100により計測された造影剤スキャンの撮影範囲における被検体の血流速に基づいて当該造影剤スキャンの撮影条件を決定する。架台制御回路27は、決定された撮影条件に従い造影剤スキャンを実行するために架台装置10と寝台23とを制御する。
上記の構成により、本実施形態に係るシステム制御回路63は、造影剤スキャンの撮影範囲において血流速計測装置100により計測された血流速に基づいて造影剤スキャンの撮影範囲を決定することができる。よって、造影剤スキャンの撮影範囲外の血流速に基づいて撮影条件を決定する場合に比して本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、より高精度に造影剤スキャンの撮影条件を決定することができる。また、本実施形態においては造影剤スキャンの撮影範囲がX線検出器のカバレッジよりも広い場合、広範な撮影範囲の各Z位置において造影剤濃度が最適な状態のときにX線CTスキャンが行われるようにヘリカルピッチ又はボリュームスキャン間の遅延時間が決定される。よって、血管の分岐等により造影速度が低下する場合においても造影剤濃度のピーク位置を追い越すことなく適切な造影状態でX線CTスキャンを行うことができる。これにより確実に最適なタイミングでの造影画像を収集することができる。この結果、造影剤の低減や被検体の被曝線量を低減することもできる。
かくして、本実施形態によれば、造影剤スキャンの精度の向上が可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…架台装置、13…X線管、15…X線検出器、17…高電圧発生器、19…前置コリメータ、21…回転駆動装置、23…寝台、25…寝台駆動装置、27…架台制御回路、29…データ収集回路、50…コンソール、51…画像再構成装置、53…画像処理装置、55…表示回路、57…入力回路、59…通信回路、61…主記憶回路、63…システム制御回路、511…データ記憶回路、513…前処理機能、515…再構成処理機能、631…モニタリングROI設定機能、633…モニタリング機能、635…撮影条件決定機能、637…制御機能

Claims (8)

  1. X線を発生するX線管と、前記X線管から発生されたX線を検出するX線検出器と、前記X線管と前記X線検出器とを支持するフレームと、前記X線検出器により検出されたX線の強度に関するデータを収集する収集回路と、を有する架台装置と、
    被検体が載置された天板を移動する寝台と、
    血流速計測装置により計測された造影剤スキャンの撮影範囲における前記被検体の血流速に基づいて前記造影剤スキャンの撮影条件を決定する決定部と、
    前記決定された撮影条件に従い前記造影剤スキャンを実行するために前記架台装置と前記寝台とを制御する撮影制御部と、
    を具備するX線コンピュータ断層撮影装置であって、
    前記血流速計測装置により計測された血流速の分布を示す血流速分布画像に基づいて、モニタリングスキャンにおける造影剤の濃度をモニタリングするためのROIをCT画像の血管領域に設定する設定部を更に備える、
    X線コンピュータ断層撮影装置
  2. 前記決定部は、前記造影剤スキャンの撮影範囲に含まれる前記天板の長軸方向に関する複数のスライス位置各々において所定の造影状態となるように前記撮影条件を決定する、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  3. 前記決定部は、前記造影剤スキャンがヘリカルスキャンで行われる場合、前記複数のスライス位置各々において前記所定の造影状態となるように、前記撮影条件のうちのヘリカルピッチを決定する、請求項2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  4. 前記決定部は、前記造影剤スキャンがワイドボリュームスキャンで行われる場合、前記複数のスライス位置各々において前記所定の造影状態となるように、前記撮影条件のうちの各ボリュームスキャン間の遅延時間を決定する、請求項2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  5. 前記所定の造影状態は、造影剤の濃度が所定の濃度を上回っている状態である、請求項3又は4記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  6. モニタリング部を更に備え、
    前記決定部は、前記血流速と、前記モニタリングスキャンの撮影範囲と前記造影剤スキャンの撮影範囲との間の距離と、に基づいて前記モニタリングスキャンの撮影範囲から前記造影剤スキャンの撮影範囲に前記造影剤が到達する予測時間を決定し、
    前記モニタリング部は、前記ROIにおける前記造影剤の濃度をモニタリングし、
    前記撮影制御部は、前記造影剤の濃度が閾値に達した時点から前記予測時間の経過を契機として前記造影剤スキャンを実行するために前記架台装置と前記寝台とを制御する、
    請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  7. 前記血流速は、前記被検体の体軸方向に関して離散的又は連続的に計測される、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  8. X線を発生するX線管と、前記X線管から発生されたX線を検出するX線検出器と、前記X線管と前記X線検出器とを支持するフレームと、前記X線検出器により検出されたX線の強度に関するデータを収集する収集回路と、を有する架台装置と、
    被検体が載置された天板を移動する寝台と、
    造影剤スキャンの撮影範囲における前記被検体の血流速を計測する計測部と、
    前記計測された血流速に基づいて前記造影剤スキャンの撮影条件を決定する決定部と、
    前記決定された撮影条件に従い前記造影剤スキャンを実行するために前記架台装置と前記寝台とを制御する撮影制御部と、
    を具備する医用診断システムであって、
    前記計測された血流速の分布を示す血流速分布画像に基づいて、モニタリングスキャンにおける造影剤の濃度をモニタリングするためのROIをCT画像の血管領域に設定する設定部を更に備える、
    医用診断システム
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