JP6655542B2 - コンクリート成形用型枠、コンクリート成形体の製造方法ならびにコンクリート構造体の製造方法 - Google Patents

コンクリート成形用型枠、コンクリート成形体の製造方法ならびにコンクリート構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート成形用型枠、それにより成形されたコンクリート成形体、コンクリート成形体を用いたコンクリート構造体、コンクリート成形体の製造方法ならびにコンクリート構造体の製造方法に関する。
固化前のコンクリート(以下、「生コンクリート」ともいう)は、砕石や砂利などの骨材と、セメントと、水とが練り混ぜられた流動性を有するものである。生コンクリート成形体は、生コンクリートをコンクリート成形用型枠(以下、「型枠」ともいう)に投入し、投入された生コンクリートにバイブレーションをかけて締め固めた後に、生コンクリートを固化させることによって作製される。
型枠の材料としては、一般的に、木材、紙、金属、樹脂などが知られている。金属としては、鉄(たとえば炭素鋼など)、ステンレス、アルミニウムおよびアルミニウム合金などを挙げることができる。なかでも、アルミニウムおよびアルミニウム合金は軽量かつ比較的高い強度を有する点で優れている。
しかしながら、アルミニウム製の型枠は、その表面に何らかの処理を施していない場合にはアルミニウムがコンクリート中のアルカリ成分と反応してしまい、得られたコンクリートの表面状態が滑らかとならず、仕上がりの外観を損なうことになる。したがって、通常、アルミニウム製の型枠の表面には、保護層としての塗膜、または保護処理が施されている。
たとえば、特開2002−327532号公報(特許文献1)には、表面にアルマイト処理を施し、さらにアクリル系樹脂を含む塗膜を施しているアルミニウム製の型枠が開示されている。また、特開平07−195342号公報(特許文献2)には、(メタ)アクリル系ポリマーを含む樹脂層からなる最内層と、フッ素−(メタ)アクリルコポリマーを含む樹脂層からなる最外層とを有する表面被覆層が塗布された、アルミニウム合金製の型枠が開示されている。
特開2002−327532号公報 特開平07−195342号公報
しかし、特許文献1および特許文献2に開示されるような従来の型枠は、型枠表面に形成された塗膜の硬度が高くないため、コンクリート成形用型枠に生コンクリートの打設の際に骨材が型枠表面に衝突した衝撃やバイブレーションに使用するバイブレーターと接触したりすることにより型枠表面の塗膜が損傷を受けることが少なくない。また、脱枠の際も現場作業上当て傷や擦り傷が出来ることがある。そして、損傷を受けた結果、塗膜の傷のある部分はアルミニウムが露出した状態となるため、アルミニウムがコンクリート中のアルカリ成分と反応してしまい、得られたコンクリートの表面状態が滑らかとならず、仕上がりの外観を損なうおそれがある。
さらに、コンクリートが型枠に密着してしまい、コンクリートと型枠との分離(脱型)に時間がかかったり、型枠の一部にコンクリートがこびり付いたりする傾向があった。このため、所望の形状のコンクリート成形体が得られず、また、型枠の繰り返しの利用ができないという問題が生じていた。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、繰り返し使用が可能なコンクリート成形用型枠、それにより成形されたコンクリート成形体、コンクリート成形体を用いたコンクリート構造体、コンクリート成形体の製造方法ならびにコンクリート構造体の製造方法を提供することにある。
本発明のコンクリート成形用型枠は、基材と、基材の表面の少なくとも一部に設けられた保護層と、を備え、保護層は、フレーク状ステンレス粒子を含む。
上記コンクリート成形用型枠において、基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
上記コンクリート成形用型枠において、保護層は、フレーク状ステンレス粒子を5質量%以上58質量%以下含むことが好ましい。
上記コンクリート成形用型枠において、フレーク状ステンレス粒子の目開き150μmの篩いの通過率は、99.0重量%以上であることが好ましい。
本発明は、上記コンクリート成形用型枠により成形されたコンクリート成形体、およびコンクリート成形体を備えるコンクリート構造体にもかかわる。
本発明のコンクリート成形体の製造方法は、コンクリート成形用型枠の1または2以上を所望の位置関係に配置させ、コンクリート成形用型枠内に生コンクリートを充填する工程と、生コンクリートが固化したコンクリート成形体とコンクリート成形用型枠とを分離する工程と、を備える。
本発明のコンクリート構造体の製造方法は、上記コンクリート成形体の製造方法により製造されたコンクリート成形体を用いて、コンクリート構造体を製造する工程を備える。
本発明のコンクリート成形用型枠によれば、繰り返し使用が可能となるという効果を奏する。
実施形態のコンクリート成形用型枠の模式的な断面図である。 図1の領域IIを拡大して示す模式図である。
[コンクリート成形用型枠およびその製造方法]
<コンクリート成形用型枠の構成>
図1に、本実施形態のコンクリート成形用型枠(以下、「型枠」ともいう)の模式的な断面図を示す。図1に示されるように、本実施形態の型枠10は、基材1と、基材1の一方の表面1aに設けられた保護層2とを備える。
また図1に示されるように、型枠10は、基材1と保護層2との間に、任意の他の層を有していてもよい。本実施形態における他の層は、基材1の表面1a側に設けられた第1中間層3と、第1中間層3と保護層2との間に設けられた第2中間層4とからなる。
型枠10の形状は特に制限されず、所望するコンクリート成形体を成形可能な空間を構成し得る形状であればよい。たとえば、型枠10は、円柱状のコンクリート成形体の製造を目的とする場合には、円筒形状であってもよく、円弧を描く板状部材であって、複数の板状部材の組み合わせによって円筒形状を形成可能な形状であってもよい。
(基材)
基材1の材質は、特に制限されず、木材、紙、金属、樹脂(合成樹脂および天然樹脂)、およびこれらの複合材などを用いることができる。金属としては、鉄(たとえば炭素鋼など)、ステンレス、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金を挙げることができる。ただし、軽量で作業性に優れ、かつ比較的高い強度を備え、かつ安価である点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム合金としては、主たる金属であるアルミニウムが含まれていれば他の含有金属は特に限定されないが、たとえば、アルミニウムと、シリコン、マグネシウム、遷移金属から選ばれる少なくとも1種以上とからなる合金を挙げることができる。本実施形態では、基材1の材質がアルミニウムの場合について説明する。
基材1の形状は、型枠10の形状と略一致する。また、基材1の厚さは特に制限されないが、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。この場合、型枠10の十分な強度を有することができ、また、軽量性、安価性を維持することもできる。
(保護層)
保護層2は、基材1の表面の少なくとも一部に設けられている。たとえば、保護層2は、表面1aに設けられていてもよく、表面1aの反対側の表面1bに設けられていてもよく、表面1a,1bの両面に設けられていてもよく、少なくとも、コンクリートと接触する側の表面に設けられていればよい。本実施形態において、保護層2は、基材1の表面1aの最表面に設けられており、コンクリートと接触する層である。
図2に示されるように、保護層2は、フレーク状ステンレス粒子21を含む。具体的には、保護層2は、樹脂22中にフレーク状ステンレス粒子21が分散された層であり、任意の成分として、添加剤を含んでいてもよい。
保護層2は、フレーク状ステンレス粒子21を5質量%以上58質量%以下含むことが好ましい。保護層2中のフレーク状ステンレス粒子21の含有量が5質量%以上の場合、保護層2は高い硬度を有することができる。これにより、骨材が型枠10の表面に衝突した衝撃や、バイブレーションに使用するバイブレーターと接触することによる衝撃を受けた場合であっても、保護層2が損傷を受けることを抑制することができ、もって、基材1とコンクリート中のアルカリ成分などとの反応を抑制することが可能となる。また、保護層2中においてフレーク状ステンレス粒子が層状に配向することができるため(図2参照)、コンクリート中の成分(アルカリ成分などの浸透性成分)が保護層2の厚み方向に浸透するのを効率的に抑制することができる。これにより、浸透性成分の浸透による保護層の損傷、劣化や、浸透性成分と基材1との接触による基材1の腐食を抑制することができる。
一方、保護層2中のフレーク状ステンレス粒子21の含有量が58質量%を超える場合、相対的に樹脂22の含有量が低下し、これによって保護層2におけるクラックの発生頻度が高まる傾向がある。保護層2にクラックが発生すると、保護層2の硬度が低下し、クラックの部分から保護層の損傷がひろがったり、場合によっては保護層2が剥離したりすることもある。この場合には、基材1とコンクリート中のアルカリ成分などとの反応を抑制することができなくなるおそれがあり、得られるコンクリート成形体の表面形状も滑らかとならないおそれもある。保護層2中のフレーク状ステンレス粒子21の含有量は、より好ましくは23質量%以上55質量%以下である。
保護層2は、樹脂22を42質量%以上95質量%以下含むことが好ましい。保護層2中の樹脂22の含有量が42質量%以上の場合、保護層2におけるクラックの発生を抑制することができる。保護層2中の樹脂22の含有量が95質量%を超える場合、相対的にフレーク状ステンレス粒子21の含有量が低下し、これによって保護層2の硬度が低下したり、コンクリートを構成する成分の浸透を抑制する効果が低下したりする傾向がある。保護層2中の樹脂22の含有量は、より好ましくは50質量%以上70質量%以下である。
保護層2の厚さは特に限定されないが、たとえば10μm以上100μm以下とすることができる。この場合、フレーク状ステンレス粒子21を保護層2中の厚み方向に層状に複数重なるように配列させることができるため、保護層2はより高い硬度を有することができ、また浸透性成分の浸透を効率的に防ぐことができる。これに対し、保護層2の厚さが10μm未満の場合には、保護層2の硬度が不十分となる傾向があり、100μmを超える場合には、保護層2の形成時の作業性が低下したり、コストが増大したりする傾向がある。
保護層2に含まれるフレーク状ステンレス粒子21の組成は特に限定されず、たとえば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス、2相系ステンレスなど公知のステンレスが挙げられる。
特に、高い耐食性および加工性を有する点で、フェライト系ステンレスまたはオーステナイト系ステンレスを用いることが好ましい。フェライト系ステンレスの中でも、SUS430、日新製鋼株式会社製のNSS445M2およびNSS447M1が好ましく、オーステナイト系ステンレスの中でも、SUS304、SUS316、SUS316Lが好ましい。また、極めて厳しい腐食環境下においても高い耐食性を有する点で、日新製鋼株式会社製のNSSURCを好適に用いることもできる。
なお、フレーク状ステンレス粒子21はステンレス以外の不可避不純物を含んでいてもよい。ただし、耐食性および加工性の観点から、フレーク状ステンレス粒子21における不可避不純物の含有割合は1質量%以下であることが好ましい。
また、フレーク状ステンレス粒子21は、目開き150μmの篩いの通過率が99.0質量%以上であることが好ましい。すなわち本実施形態のフレーク状ステンレス粒子21は、フレーク形状を有する粒子の集合体であり、その集合体のうちの99.0質量%以上が目開き150μmの篩いを通過することが好ましい。
本明細書において、篩いの「通過率」は、湿式篩いによる篩い分けを行う前のフレーク状ステンレス粒子の質量をS1、篩い分けを行った後に篩いに残留したフレーク状ステンレス粒子の質量をS2とした場合に、下記式(1)に基づいて求めることができる。
通過率(質量%)={(S1−S2)/S1}×100・・・(1)。
フレーク状ステンレス粒子21の目開き150μmの篩いに対する通過率が99.0質量%以上の場合、保護層2中でフレーク状ステンレス粒子21が保護層2の厚み方向に層状に平行配列しやすいため、保護層2の表面はより高い平滑性を有することができる。保護層2の表面の平滑性が高いと、得られるコンクリート成形体の表面が滑らかとなりやすく、また型枠10とコンクリート成形体との分離も容易となりやすい。
一方、目開き150μmの篩いの通過率が99.0質量%未満の場合、保護層2の表面からフレーク状ステンレス粒子21が突き出すことによって、保護層2の表面の平滑性が低くなったり、保護層2中に空洞が生じやすくなったりする傾向がある。フレーク状ステンレス粒子21が保護層2の表面から突き出すと、その部分からクラックが発生しやすくなり、保護層2中に空洞が生じると、空洞部分から保護層2が剥離しやすくなる。フレーク状ステンレス粒子21の目開き150μmの篩いに対する通過率は、より好ましくは99.9%以上である。
また、フレーク状ステンレス粒子21は、体積累積粒度分布の90%径(D90)が70μm以下であることが好ましく、55μm以下であることがより好ましく、52μm以下であることがさらに好ましい。この場合も、より欠陥の少ない保護層2を形成することができるため、これを備える型枠10は、さらに高い硬度と、さらに高い耐食性を有することができ、離型性がよく繰り返し使用できるという優れた効果を発揮することができる。
また、同様の理由により、フレーク状ステンレス粒子21の体積累積粒度分布の50%径(D50)は、1μm以上100μm以下が好ましく、3μm以上50μm以下がより好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、8μm以上29μm以下であることが特に好ましい。
本明細書において、「体積累積粒度分布」は、フレーク状ステンレス粒子の体積平均粒子径を測定して得られる体積累積粒度分布を意味する。たとえば、「50%径が1μm以上100μm以下」とは、縦軸が累積頻度(%)であり、横軸が粒子径(μm)である体積累積粒度分布曲線において、累積度50%の粒子径が1μm以上100μm以下であることを意味する。同様に、「90%径が70μm以下」とは、縦軸が累積頻度(%)であり、横軸が粒子径(μm)である体積累積粒度分布曲線において、累積度90%の粒子径が70μm以下であることを意味する。なお、上記体積平均粒子径は、レーザー回折法により測定された粒度分布に基づき、その体積平均を算出して求めることができる。
また、フレーク状ステンレス粒子は、その平均厚み(t)が0.01μm以上1.0μm以下であり、平均粒子径(D50)が1μm以上100μm以下であることが好ましい。より好ましくは、その平均厚み(t)が0.03μm以上0.5μm以下であり、平均粒子径(D50)が3μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは、tが0.03μm以上0.33μm以下であり、D50が5μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは、tが0.16μm以上0.33μm以下であり、D50が8μm以上29μm以下である。この場合、薄い保護層2中、たとえば、10μm以下の厚みの保護層2中においてもフレーク状ステンレス粒子が好適に積層されるため、アルカリ成分などの腐食物質(浸透性成分)に対するラビリンス効果(遮断効果)を高めることができる。
また、フレーク状ステンレス粒子の硬度は、平均粒子径(D50)が大きい方が相対的にフレーク状ステンレス粒子の厚みが大きくなり、一つ一つのフレーク状ステンレス粒子の硬度が高くなることに起因して高くなる傾向がある。このため、上記の各特性の各範囲を満たすフレーク状ステンレス粒子を含む保護層2を備える型枠10は、さらに高い硬度と、さらに高い耐食性を有することができ、離型性がよく繰り返し使用できるという優れた効果を発揮することができる。
一方、平均厚み(t)が0.01μm未満の場合、製造工程などにおいてその取り扱いが困難となり、(t)が1.0μmを超える場合、好適な積層のためには保護層2を厚くする必要が生じる。D50が1μm未満の場合および100μmを超える場合についても、それぞれ、同様の問題が発生する。
本明細書において、フレーク状ステンレス粒子の平均厚み(t)は、JIS K5906:1998の手順に従った水面拡散面積法(cm2/g)により求められる。
また、フレーク状ステンレス粒子21において、平均厚み(t)に対する平均粒子径(D50)の比である平均アスペクト比(D50/t)は、5以上500以下であることが好ましく、より好ましくは10以上100以下である。
平均アスペクト比が5未満の場合、コンクリート中の浸透性成分の浸透を抑制する効果を十分に発揮し難い傾向にある。平均アスペクト比が500を超える場合、保護層2を形成するための塗料の粘度を大きく増加させてしまい、塗料中における適切な配合量を確保することが難しくなる傾向がある。また平均アスペクト比が500を超える場合、フレーク状ステンレス粒子21の嵩比重が小さいために、保護層2中におけるフレーク状ステンレス粒21子間の隙間が多くなり、結果的に保護層2の耐食性が低下する傾向がある。また、これによって保護層2の硬度も低下する傾向がある。
保護層2に含まれる樹脂22は特に限定されず、たとえばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ビニル樹脂、ケイ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、合成樹脂エマルジョン、ボイル油、塩化ゴム、天然樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリイソシアネート樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂を適宜組み合わせてもよい。
保護層2に任意に含まれる添加剤としては、分散剤、消泡剤、沈降防止剤、硬化触媒、滑剤などが挙げられる。特に、保護層2とコンクリート成形体との剥離性をより向上させたい場合には、滑材として、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、フッ化エチレンポリプロピレンコポリマーなどのフッ素樹脂、テトラフルオロエチレンなどのフッ素系モノマー、シリコーン系オイル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、グラファイトなどを用いることが好ましい。この滑材は、保護層2とは別の層中に含むという態様を採用してもよく、この場合、別の層は保護層2の表面(コンクリートと接する最表面)に形成されてもよい。
(他の層)
第1中間層3は、化成被膜である。基材1の表面1aに化成被膜が設けられていることにより、その上に形成される保護層2との密着性を向上させることができ、また、仮に保護層2が損傷した場合であっても、アルミニウムとアルカリ成分との反応を抑制することができる。なお、アルミニウムの化成被膜は、クロム酸塩膜である。
第2中間層4は、下塗り塗料、中塗り塗料、目止め塗料、プライマー塗料、着色塗料などとして公知の塗料によって形成される塗膜である。基材1と保護層2との間に第2中間層4が設けられていることにより、基材1の表面の凹凸を補正したり、型枠10の密着性を向上させたりすることができる。
本実施形態では、型枠10が、基材1と保護層2との間に、化成被膜である第1中間層3と、従来行われている塗装によって形成される塗膜である第2中間層4とを備える場合について例示したが、型枠10の構成はこれに限られない。たとえば、他の層を有さなくてもよく、他の層として、第1中間層3のみ、または第2中間層4のみを有していてもよく、あるいは、他の層をさらに備えていてもよい。
<コンクリート成形用型枠の製造方法>
本実施形態の型枠10は、たとえばアルミニウム製の基材1の表面に、第1中間層3、第2中間層4および保護層2を順に形成することにより、製造することができる。基材1の形状および大きさは、目的とするコンクリート成形体の形状および大きさに応じて適宜設定される。
化成被膜である第1中間層3は、クロム酸被膜処理、リン酸・クロム酸被膜処理などの公知の方法により形成することができる。
第2中間層4は、公知の下塗り剤、中塗り剤、目止め剤、プライマー、着色剤を用いた、公知の塗布方法により形成することができる。
保護層2は、少なくともフレーク状ステンレス粒子および樹脂を含む塗料を用いて形成することができる。塗料としては、成分中に溶剤を含む溶剤タイプの塗料と、溶剤を含まない粉体塗料とがあるが、取り扱いの容易性から溶剤タイプの塗料を用いることが好ましい。
溶剤タイプの塗料を用いる場合には、塗料を第2中間層4上に塗布し、塗料中の溶剤を蒸発させるとともに樹脂を硬化させることにより、保護層2を形成することができる。保護層2の塗布方法は特に限定されず、公知の塗布(コート)方法、例えば、スプレー、刷毛、ローラー、浸漬等による塗布方法のほか、印刷方法(インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷)、滴下法等を用いることができる。
この塗料中に含まれるフレーク状ステンレス粒子は、保護層2中のフレーク状ステンレス粒子であり、たとえば以下のようにして作製することができる。
まず、公知のアトマイズ法、破砕法、回転円盤法、回転電極法、キャビテーション法、メルトスピニング法などを用いて、ステンレス粒子(第1粒子)を作製する。製造コスト、均一性の観点から、アトマイズ法を用いることが好ましい。
次に、準備したステンレス粒子(第1粒子)を湿式ボールミル、乾式ボールミル、ビーズミルなどにより粉砕して扁平化されたステンレス粒子(第2粒子)を作製する。安全性および作業性の観点から、湿式ボールミルを用いることが好ましい。特に、直径が1/4インチ以下のスチールボールを用いることにより、目的とする大きさに効率的に扁平化することができる。また、粉砕時間は、1時間以上48時間以下が好ましく、3時間以上10時間以下がより好ましい。
得られたステンレス粒子(第2粒子)をフレーク状ステンレス粒子として用いてもよいが、目開き150μmの篩を用いて篩い分けを行い、篩いを通過したステンレス粒子(第3粒子)を、フレーク状ステンレス粒子として用いることが好ましい。第3粒子は、目開き150μmの篩の通過率が99.0質量%以上であるフレーク状ステンレス粒子である。
また、上記篩い分け工程において、ステンレス鋼からなる直径200mm以上2000mm以下の篩いを用いてもよい。この場合、篩いの摩耗や損傷が少なく、また、効率的に篩い分けることができる。また、変形工程を経たステンレス粒子がスラリーの状態である場合には、このスラリーをミネラルスピリットなどの溶剤で洗浄した後に、篩い分け工程を行うことが好ましい。用いる篩いの目開きは150μm以下であればよい。
上記において、ステンレス粒子(第1粒子)のD90は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。この場合、篩い分け後に得られるステンレス粒子(第3粒子)の回収率を高めることができる。一方、D90が50μmを超える場合、篩い分け後に得られるステンレス粒子(第3粒子)の回収率が低下したり、篩い分け工程に長時間を要したりする恐れがある。また、ステンレス粒子(第1粒子)D90が5μm未満の場合、その原料コストが高くなる。
また、製造されるステンレス粒子(第1粒子)のD50は、2μm以上20μm以下であることが好ましい。この場合にも、上記と同様に、ステンレス粒子(第3粒子)の回収率を高めることができる。なお、回収率とは、用いたステンレス粒子(第1粒子)の質量に対する、最終的に得られたステンレス粒子(第3粒子)の質量の割合を示す。また、ステンレス粒子のD90およびD50の意味、ならびにその算出方法は、フレーク状ステンレス粒子のD90およびD50と同様であるため、その説明は繰り返さない。
以上詳述した製造方法により、本発明に用いるフレーク状ステンレス粒子を製造することができる。なお、本発明に用いるフレーク状ステンレス粒子の製造方法は、上記の各工程に限られず、他の工程を含むことができる。
保護層2を形成するための塗料に含まれる樹脂としては、上述した樹脂から適宜選択することができる。
保護層2を形成するために溶剤タイプの塗料を用いる場合、当該塗料に含まれる溶剤としては、アルコール系、グリコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、炭化水素系などの有機溶媒、水などから適宜選択することができる。なお、塗料中での溶剤の配合量は樹脂100質量部に対し、20質量部以上80質量部以下であることが好ましい。溶剤が20質量部より少ないと、塗料中でのフレーク状ステンレス粒子の分散性が不十分となり、80質量部より多いと、溶剤の蒸発による環境汚染が問題となる。
<作用効果>
特許文献1および特許文献2に記載される従来の保護層は、硬度が十分に高くない。このため、型枠に生コンクリートを投入した際に、骨材が型枠表面に衝突することによって保護層が損傷したり、バイブレーションをかけた際に、骨材が型枠表面に衝突することによって保護層が損傷したりする。また、脱枠の際も現場作業上当て傷や擦り傷が出来ることがある。保護層が損傷すると、所望の外観(滑らかな表面)を有するコンクリート成形体が得られず、また型枠の繰り返しの利用ができなくなる。
これに対し、本実施形態の型枠10が備える保護層2は、フレーク状ステンレス粒子21を含むため、従来の保護層と比べて高い硬度を有する。このため、上述のような保護層の損傷を抑制することができるため、所望の形状のコンクリート成形体を製造することができ、さらには型枠10の繰り返しの利用が可能となる。
また、樹脂からなる従来の保護層は、硬度が低いために、作製されるコンクリート成形体の形状に影響を及ぼさない程度の微細なクラックが生じ易い。保護層に微細なクラックが生じると、その硬度の低さも相俟って、クラックからコンクリート中のアルカリ成分等の浸透性成分が保護層中に浸透し、これによって保護層の微細なクラックが大きな損傷へと成長してしまう恐れがある。特に、基材がアルミニウムまたはアルミニウム合金の場合、アルカリ成分とアルミニウムとが反応して基材の表面が腐食し、保護層自体が基材から剥離し、これによって型枠としての継続使用が困難となる傾向がある。
これに対し、本実施形態において、保護層2中に配向するフレーク状ステンレス粒子により、アルカリ成分の浸透を抑制することができるため、高い耐食性を有することができ、もって上述のような問題の発生を抑制することができる。特に、フレーク状ステンレス粒子21の目開き150μmの篩いに対する通過率が99.0質量%以上の場合、より好適にフレーク状ステンレス粒子を配列させることができるため、さらに効率的に上述のような問題の発生を抑制することができる。また、フレーク状ステンレス粒子21のD90が70μm以下の場合、D50が1μm以上100μm以下の場合、または平均厚み(t)が0.01μm以上1.00μm以下の場合にも、同様のことがいえる。
また、本実施形態において、型枠10は、基材1と保護層2との間に、第1中間層3および第2中間層4を備える。これにより、仮に保護層2が損傷した場合であっても、コンクリート中のアルカリ成分等の腐食成分と基材1との接触を抑制することができる。また、このような他の層を有することにより、型枠10全体の層間の密着性を向上させることができる。
[コンクリート成形体およびその製造方法]
本実施形態のコンクリート成形体は、上述のコンクリート成形用型枠を用いて成形されたものであり、たとえば、コンクリート製の柱、壁を挙げることができる。コンクリート成形体は、以下のようにして作製することができる。
まず、上述のコンクリート成形用型枠を所望の位置関係に配置する。このとき、コンクリート成形用型枠によって形成される空間が、目的とするコンクリート成形体の形状と一致するように設定する。
配置するコンクリート成形用型枠として1つを用いてもよく、2以上を適宜組み合わせるなどして用いてもよい。なお、コンクリート成形体の形状が複雑な場合、たとえばコンクリート成形体に目地溝を設けたい場合には、コンクリート成形用型枠に目地棒を配置させることもできる。
次に、配置されたコンクリート成形用型枠内に、生コンクリートを充填する。充填された生コンクリートに対し、バイブレーションをかけて締め固める。バイブレーション後、生コンクリートを静置して固化させる。これにより、コンクリート成形用型枠内にコンクリート成形体が成形される。生コンクリートを充填する前に、保護層2の表面に離型剤を塗布しても良い。
次に、コンクリート成形用型枠と、コンクリート成形体とを分離する。たとえば、コンクリート成形用型枠をコンクリート成形体から剥離することにより、両者を分離することができる。
以上により、上述のコンクリート成形用型枠を用いて、コンクリート成形体を作製することができる。
本実施形態のコンクリート成形体は、上述のコンクリート成形用型枠を用いて作製される。上述のコンクリート成形用型枠は、高い硬度と高い耐食性を有する保護層を有するため、コンクリート投入やバイブレーションによる表面の損傷が抑制される。このため、作製されたコンクリート成形体の表面は滑らかとなり、もって外観に優れることができる。
[コンクリート構造体およびその製造方法]
本実施形態のコンクリート構造体は、成形されたコンクリート成形体を備えるものである。すなわち、コンクリート構造体は、コンクリート成形体を備えていればよく、他の部材を備えていてもよい。本実施形態のコンクリート成形用型枠を用いること以外は、従来公知の方法を採用することでコンクリート構造体を作製すればよい。
本実施形態のコンクリート構造体は、上述のコンクリート成形用型枠を用いて作製されたコンクリート成形体を備えるため、その表面は滑らかとなり、もって外観に優れることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フレーク状ステンレス粒子の作製>
(フレーク状ステンレス粒子1)
50が17μm、D90が37μmの球状のステンレス粉末(第1粒子)を準備した。このステンレス粒子(第1粒子)を、1/4インチのスチールボールが入ったボールミル内に投入して扁平化を行い、フレーク状のステンレス粒子(第2粒子)を作製した。次に、38μmの目開きを有する篩いを用いてフレーク状ステンレス粒子(第2粒子)を篩い分けした。篩いを通過したペースト状のフレーク状ステンレス粒子(第3粒子)をフレーク状ステンレス粒子1とした。
(フレーク状ステンレス粒子2)
38μmの目開きを有する篩いに代えて150μmの目開きを有する篩いを用いた以外は、フレーク状ステンレス粒子1と同様の方法により、ペースト状のフレーク状ステンレス粒子2を作製した。
(フレーク状ステンレス粒子3)
50が17μm、D90が37μmの球状のステンレス粉末(第1粒子)に代えて、D50が3μm、D90が5μmの球状のステンレス粉末(第1粒子)を用いた以外は、フレーク状ステンレス粒子1と同様の方法により、ペースト状のフレーク状ステンレス粒子3を作製した。
<フレーク状ステンレス粒子の評価>
得られたペースト状のフレーク状ステンレス粒子1〜3の固形分量(質量%)、D50およびD90を測定し、さらに、目開き150μmの篩いを用いてフレーク状ステンレス粒子1〜3を篩い分けし、各粒子の通過率を算出した。固形分量、D50およびD90、ならびに通過率は、それぞれ以下の方法に従って算出した。その結果を表1に示す。なお、表1には、第1粒子のD50およびD90、および第2粒子の篩い分けに用いた篩いの目開きも示す。
(固形分量)
100mlビーカーに得られた各ペーストを採取し、ミネラルスピリットを加えて分散させた。次に、これを乾燥機内に静置して乾燥させ、その後、デシケーター中で室温まで放冷させた。そして、ビーカー内の残渣の質量を測定し、下記式(2)により固形分量(質量%)を算出した。
固形分量(質量%)=(W2/W1)×100・・・(2)
(式(2)中、W1は乾燥前のペーストの質量を示し、W2は乾燥および放冷後の残渣の質量を示す)。
(D50およびD90
各ペースト0.25gを10mlのトルエンに添加して各試料を調製し、粒子径分布測定装置(Microtrac HRA 9320-X100、ハネウェル(Honeywell)社製)を用いて、試料における粒子径分布の測定を行って、D50およびD90を算出した。
(通過率)
得られた各ペーストについて、湿式篩い法により、目開き150μmの篩いの通過率を測定した。具体的には、各ペースト30gを150mlのビーカー内に移し、これにミネラルスピリット100mlを徐々に加えて、ペーストを分散させた試料を調製した。次に、目開き150μmの篩いを回収容器(容器1)の上に固定し、この篩いの網目上に調製した試料を流し込んだ。また、ビーカー内に残った試料を少量のミネラルスピリットで洗浄し、この洗浄液も篩いの網目上に流し込んだ。
次に、上記篩いを収容可能な大きさの回収容器(容器2)の中に、ミネラルスピリットを加えて、深さの半分程度までをミネラルスピリットで満たした。そして、この容器2の中に上記篩いを入れて、上記篩いの網目をミネラルスピリットの液面に浸すことにより、網目上に残存している試料を容器2内のミネラルスピリットに浸した。この状態で、篩いを振動させて篩い分けを行った。その後、容器2内のミネラルスピリットを置換し、再度上記の篩い分けの操作を行った。
上記の操作を繰り返し、篩いの網目からミネラルスピリット内に篩い落とされる試料がなくなった段階、すなわち、篩いの網目を通過するフレーク状ステンレス粒子がなくなった段階で篩い分けを終了した。なお、篩いの網目を通過するフレーク状ステンレス粒子の有無は、目視により確認した。
そして、網目上に試料が残留した篩いを105±2℃に保った乾燥機中に載置して乾燥し、その後放冷を行った。最後に、網目上の乾燥したフレーク状ステンレス粒子を回収して、上記式(1)に従って、ペースト中のフレーク状ステンレス粒子における目開き150μmの篩いの通過率(質量%)を算出した。
なお、篩い分けを行う前のフレーク状ステンレス粒子の質量は、ペースト10gを105±2℃に保った乾燥機中に載置して乾燥し、その後放冷を行って得られたフレーク状ステンレス粒子の質量とした。
Figure 0006655542
表1を参照し、フレーク状ステンレス粒子1〜3(表1においてそれぞれ粒子1、粒子2および粒子3と表示)を含むペーストにおける固形分量は、いずれも90質量%であり、150μmの目開きの篩いの通過率は、いずれも99.9%であった。また、フレーク状ステンレス粒子1〜3のD50およびD90は、それぞれ表1に示すとおりであった。
<コンクリート成形用型枠の作製>
(実施例1)
純度99.00%以上の1000系アルミニウムであるJIS−A1100−H24の300mm×300mm(厚み1mm)の板を準備し、板の表面に脱脂処理を行うことにより、基材を準備した。
準備した基材の一方の表面に、第1中間層として、化成被膜である6価クロメート被膜(厚み;1μm以下)を形成した。
次に、第2中間層として、第1中間層の上に中塗り塗料をスプレー塗装法により塗布し、120℃にて20分間乾燥させることにより、中塗り塗膜(厚み;10μm)を形成した。中塗り塗料には、エポキシプライマー(株式会社トウペ社製、製品名:「メタルアンダー#600T」)を用いた。
次に、第2中間層上に保護層を形成し、実施例1のコンクリート成形用型枠を完成させた。保護層は、以下のようにして形成した。
まず、表2に示す成分からなる主剤と硬化剤とを質量比で4:1の割合で配合した塗料を調製した。次に、この塗料の粘度がスプレー塗装に最適な粘度となるまで、表2の溶剤Aを添加して塗料を希釈した。そして、希釈後の塗料をスプレー塗装法により塗布し、80℃にて30分乾燥した。これにより、保護層(厚み;40μm)が第2中間層上に形成された。
Figure 0006655542
なお、表2に示す溶剤Aは、以下に示す成分からなる。
酢酸エチル :30質量%
酢酸ブチル :10質量%
高沸点溶剤#100(ゴードー溶剤株式会社製):20質量%
キシレン :30質量%
酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル :10質量%。
また、表2に示す[固形分割合]は、各成分中の固形分割合である。たとえば、主剤に含まれるフレーク状ステンレス粒子1は、ペースト状であり、そのうちの90質量%が固形分割合(フレーク状ステンレス粒子の質量)であることを示している。
(実施例2)
実施例2では、表3に示す成分からなる塗料をスプレー塗装により塗布し、80℃にて30分乾燥後に190℃で20分間焼き付けを行うことによって保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてコンクリート成形用型枠を作製した。
Figure 0006655542
表3に示す溶剤Bは、以下に示す成分からなる。
ブチルセルロース :55質量%
メチルエチルケトン :45質量%。
(実施例3)
実施例3では、保護層の上に、さらに滑材(相模株式会社製、製品名:「サナモールドNo−2」)を刷毛で塗布して表面層を形成した以外は、実施例1と同様にしてコンクリート成形用型枠を作製した。
(実施例4)
実施例4では、フレーク状ステンレス粒子1の代わりにフレーク状ステンレス粒子2を用い、さらに実施例3と同様の表面層を形成した以外は、実施例1と同様にしてコンクリート成形用型枠を作製した。
(実施例5)
実施例5では、フレーク状ステンレス粒子1の代わりにフレーク状ステンレス粒子3を用い、さらに実施例3と同様の表面層を形成した以外は、実施例1と同様にしてコンクリート成形用型枠を作製した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1の基材(ただし、脱脂処理は実施)をコンクリート成形用型枠とした。
(比較例2)
比較例2では、実施例1の保護層に代えて、アクリル樹脂塗料(株式会社トウペ製、製品名:「トアGPペイント」)を塗布して保護層(厚み;30μm)を形成した以外は実施例1と同様にして作製した。
(比較例3)
比較例3では、実施例1の保護層に代えて、フッ素樹脂塗料(株式会社トウペ製、製品名:「ニューガーメット♯2000」)を塗布して保護層(厚み;30μm)を形成した以外は実施例1と同様にして作製した。
<硬度の評価>
実施例1〜5および比較例1〜3のコンクリート成形用型枠の保護層が形成されている側の表面の硬度を測定した。硬度の測定は、JIS K5600−5−4に従った。その結果を表4に示す。
<コンクリート成形体との剥離性の評価>
実施例1〜5および比較例1〜3のコンクリート成形用型枠を底面として設置し、その上に内寸が縦12cm×横20cm×高さ25cmである木製の型枠を載置することで、生コンクリートを流し込むためのコンクリート成形用型枠構造体をそれぞれ作製した。
これらのコンクリート成形用型枠構造体の内部に高さ20cmまで生コンクリートを流し込んだ。その後、流し込まれた生コンクリートにバイブレーターを用いてバイブレーションを行った後、5日間放置して生コンクリートを固化させた。
その後コンクリート成形用型枠構造体を解体することで、コンクリート成形体からコンクリート成形用型枠を剥離し、剥離後のコンクリート成形用型枠の表面状態と、コンクリート成形体の表面状態とを目視観察した。なお、目視において、コンクリート成形用型枠の表面状態が滑らかであった場合には、これを用いてコンクリート成形体の作製を繰り返した。その結果を表4に示す。
Figure 0006655542
表4において、「保護層」の欄には、保護層に含まれるフレーク状ステンレス粒子の種類と、樹脂の種類とを示す。「硬度」の欄には、上記方法により測定された硬度の結果を示す。なお、4Hと2Hとでは、4Hのほうが高い硬度である。
表4に示されるように、実施例1〜5のコンクリート成形用型枠の保護層は、4Hの硬度を有していた。なお、実施例1〜5のコンクリート成形用型枠の表面側で測定された硬度が保護層の硬度であることは、実施例3〜5が表面層を有しつつも実施例1および2と同様の硬度(4H)を示しており、フレーク状ステンレス粒子を含まない保護層を有する比較例2および3の硬度が2Hであることから理解される。
また実施例1〜5においては、同じコンクリート成形用型枠を繰り返して10回使用した場合でも、コンクリート成形体とコンクリート成形用型枠との剥離性は良好であり、コンクリート成形用型枠の表面にコンクリート成形体の一部が付着するようなことはなく、コンクリート成形体およびコンクリート成形用型枠ともに滑らかな表面状態であった。これは、実施例1〜5のコンクリート成形用型枠の表面に形成された保護層の硬度が高く、また、高い耐食性を有するため、バイブレーション等による保護層の損傷が抑制されたためと推察された。
また、実施例1〜4の保護層は、実施例5よりも高い硬度を有することが分かった。これは、実施例1〜4で用いたフレーク状ステンレス粒子1および2のD50が実施例5で用いたフレーク状ステンレス粒子3のD50よりも大きいことに起因すると推察された。
一方、比較例1においては、1回目の使用からコンクリート成形用型枠の表面が腐食した。また、コンクリート成形用型枠とコンクリート成形体の剥離も困難であり、得られたコンクリート成形体の表面は滑らかな状態ではなかった。これは、コンクリート中のアルカリ成分がアルミニウムと反応することによって基材の表面に腐食が発生したため、その影響により得られたコンクリートの表面状態が滑らかでなかったと推察された。さらに、これに伴い、コンクリートと基材とが強固にくっついてしまったために剥離が困難となり、剥離後のコンクリート成形体の表面状態が滑らかとならなかったものと推察された。
また、比較例2および比較例3においては、1回目の離型性は良好であり、得られたコンクリート成形体の表面は滑らかな状態であった。しかし、5回の繰り返し使用を行った段階でコンクリート成形用型枠の表面が腐食しており、このとき得られたコンクリート成形体の表面は滑らかな状態ではなかった。これは、繰り返し使用の回数が少ない段階では、樹脂からなる保護層が機能し得たものの、繰り返し使用の回数が増えるにつれ、バイブレーション等による保護層の損傷やわずかなクラック等が引き起こされ、これらの箇所からアルカリ成分が浸透し、基材の腐食が徐々に発生していき、このような結果が引き起こされたものと推察された。
以上のように本発明の実施形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基材、1a,1b 表面、2 保護層、3 第1中間層、4 第2中間層、21 フレーク状ステンレス粒子、22 樹脂。

Claims (5)

  1. 基材と、
    前記基材の表面の少なくとも一部に設けられた保護層と、を備え、
    前記保護層は、フレーク状ステンレス粒子を含み、
    前記フレーク状ステンレス粒子の目開き150μmの篩いの通過率は、99.0質量%以上であり、
    前記フレーク状ステンレス粒子は、体積累積粒度分布の50%径が1μm以上50μm以下であり、前記体積累積粒度分布の90%径が70μm以下である、コンクリート成形用型枠。
  2. 前記基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の少なくともいずれか一方を含む、請求項1に記載のコンクリート成形用型枠。
  3. 前記保護層は、前記フレーク状ステンレス粒子を5質量%以上58質量%以下含む、請求項1または請求項2に記載のコンクリート成形用型枠。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート成形用型枠の1または2以上を所望の位置関係に配置させ、前記コンクリート成形用型枠内に生コンクリートを充填する工程と、
    前記生コンクリートが固化したコンクリート成形体と前記コンクリート成形用型枠とを分離する工程と、を備える、コンクリート成形体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により製造されたコンクリート成形体を用いて、コンクリート構造体を製造する工程を備える、コンクリート構造体の製造方法。
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