(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態におけるAP管理システムのシステム構成を表す構成図である。AP管理システム1は、AP管理装置10、複数のAP30Aa,30Ab,30Ba,30Bb、及び無線端末装置50を備える。AP管理装置10と、複数のAP30Aa,30Ab,30Ba,30Bbの各々とは、無線通信、または有線通信により接続されている。図1において、エリアAとエリアBは、複数のAP30Aa,30Ab,…が設置される場所の区分を示す領域であり、無線通信サービスを提供する範囲の区分を示す領域でもある。
なお、図1では、エリアAとエリアBの2つのエリアを示しているが、2以上のエリアであってもよいし、エリアが1つで、1つのエリアに複数のAP30Aa,30Ab,…が設置されていてもよい。また、図1では、1台の無線端末装置50のみを示しているが、無線端末装置50が、エリアA及びエリアBにおいて複数存在していてもよい。また、AP30Aa,30Ab,…は、エリアAとエリアBでそれぞれ2台ずつ設置されているが、エリアA、エリアBごとに1台設置されていてもよいし、各々のエリアに2台以上設置されていてもよいし、エリアごとに異なる台数が設置されていてもよい。
図2は、AP30の内部構成を示すブロック図である。AP30は、図1に示すAP30Aa,30Ab,30Ba,30Bbのいずれかに相当する装置である。すなわち、AP30Aa,30Ab,30Ba,30Bbの各々は、同一の内部構成を有しており、この内部構成について、AP30を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、例えば、送受信部32と記載する場合、AP30Aa,30Ab,30Ba,30Bbのいずれかの送受信部32を示すものとする。また、AP30Aa,30Ab,30Ba,30Bbの内部構成を個別に示す場合、例えば、AP30Aaの送受信部32を示す場合、送受信部32Aaとして記載するものとする。
AP30は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、無線処理プログラムを実行する。無線処理プログラムの実行によって、AP30は、制御部31、送受信部32、無線処理部40、アンテナ42(42−1,42−2,…)を備える装置として機能する。なお、AP30の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、無線処理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、無線処理プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
無線処理部40は、複数のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…と、ソフトウェア無線処理部45と、記憶部46とを備える。AP30において、送受信部32は、AP管理装置10との間で情報の送受信を行う。
制御部31は、送受信部32を通じてAP管理装置10から収集要求信号を受信すると、AP30が有するリソース、すなわちハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に関する情報や、ソフトウェア無線処理部45が提供する無線規格の種類を示す情報を、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…、ソフトウェア無線処理部45、及び記憶部46から収集する。また、制御部31は、収集したリソースの情報をAP性能情報として、送受信部32を通じてAP管理装置10に送信する。
また、制御部31は、送受信部32を通じてAP管理装置10から収集要求信号を受信すると、その時点でのハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の使用状況や、ソフトウェア無線処理部45が提供する無線規格の無線通信サービスの使用状況を示す情報を、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…、ソフトウェア無線処理部45から収集する。また、制御部31は、収集した使用状況を示す情報をAP使用状況情報として、送受信部32を通じてAP管理装置10に送信する。
また、制御部31は、送受信部32を通じてAP管理装置10から要求信号を受信した場合、当該要求信号にしたがって、要求される無線規格の無線通信サービスの提供を無線処理部40に開始させる。例えば、制御部31は、当該要求信号が停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対して無線通信サービスの提供を開始させる要求を示している場合、起動させる起動指示信号を起動対象のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対して出力する。
また、制御部31は、当該要求信号が新たな無線規格の無線通信サービスの提供を開始させる要求を示している場合、ソフトウェア無線処理部45に対して記憶部46から当該無線規格のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46から読み出せて実行を開始させる開始指示信号を出力する。また、制御部31は、当該要求信号が既に提供を開始している無線規格の無線通信サービスの提供の内容を追加する等の変更を要求を示している場合、ソフトウェア無線処理部45に対して変更を内容を含んだ変更指示信号を出力する。無線通信サービスにおいて、追加する提供の内容とは、例えば、サービス提供エリアや無線端末装置50の収容数を追加することなどである。ここで、AP30における無線端末装置50の収容とは、無線端末装置50が、通信開始を要求する際に、AP30にいつでも接続できる状態にしておくことであり、現に無線端末装置50が、AP30に接続している状態でなくてもよい。
ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の各々は、アンテナ42−1,42−2,…に接続されている。ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の各々は、高周波回路と、変換器を備えている。例えば、高周波回路は、無線信号の周波数帯域を有する受信信号に対しては、ソフトウェア無線処理部45が処理を行う周波数帯域までダウンコンバートする。また、高周波回路は、送信対象の信号に対しては、アンテナ42−1,42−2,…を通じて送信する無線信号の周波数帯域までアップコンバートする。また、変換器は、高周波回路によってダウンコンバートされたアナログの受信信号をデジタル信号に変換してソフトウェア無線処理部45に出力するA/D変換器と、ソフトウェア無線処理部45が出力するデジタル信号をアナログの送信信号に変換して高周波回路に出力するD/A変換器とを有する。また、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…は、制御部31からの起動指示信号にしたがって起動する。
AP30において備えられるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の数は、収容する無線端末装置50の数に応じて適宜定められる。例えば、1台のハードウェア無線処理部41−1が、最大300台の無線端末装置50を収容する能力を有している場合に、600台の無線端末装置50を収容したい場合、少なくとも2台以上のハードウェア無線処理部41−1,41−2を備える必要がある。
記憶部46は、複数の無線規格ごとのソフトウェアのプログラムデータを予め記憶する。ソフトウェア無線処理部45は、制御部31から開始指示信号を受けると、当該開始指示信号によって示される無線規格のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46から読み出し、当該無線規格による変調や復調のデジタル信号処理を開始する。また、ソフトウェア無線処理部45は、制御部31から変更指示信号を受けると、当該変更指示信号にしたがって、既に提供を開始している無線規格の無線通信サービスに対してサービス提供エリアや無線端末装置50の収容数を追加する等の提供内容を変更する処理を行う。
また、ソフトウェア無線処理部45は、並列して2つ以上の無線規格のソフトウェアを実行することが可能となっている。例えば、「802.11g」の無線規格用にハードウェア無線処理部41−1を切り替え、ハードウェア無線処理部41−1の入出力信号について、ソフトウェア無線処理部45が、「802.11g」のソフトウェアを実行して当該信号の信号処理を行う。これに加えて、「802.11p」の無線規格の無線通信サービスを提供する場合、別のハードウェア無線処理部41−2を「802.11p」の無線規格用に切り替え、ハードウェア無線処理部41−2の入出力信号について、ソフトウェア無線処理部45は、「802.11p」のソフトウェアを実行して当該信号の信号処理を行う。これにより、1台のAP30で、2つの無線規格の無線通信サービスを提供することが可能となる。
なお、ソフトウェア無線処理部45は、2つ以上の無線規格のソフトウェアのプログラムを実行することができるが、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の各々は、1つの無線規格ごとに切り替えを行う必要がある。そのため、例えば、「802.11g」の無線規格用のハードウェア無線処理部41−1を用いて「802.15.4」の無線規格の無線通信サービスを提供する場合、「802.11g」の無線規格を「802.15.4」の無線規格に切り替える必要がある。
この場合、ハードウェア無線処理部41−1の入出力信号について、ソフトウェア無線処理部45に「802.11g」の無線規格による処理を行わなくした後、ハードウェア無線処理部41−1を「802.15.4」の無線規格用に切り替える。切り替えたハードウェア無線処理部41−1の入出力信号について、ソフトウェア無線処理部45に、「802.15.4」のソフトウェアを実行させて当該信号の信号処理を行わせる。これにより、ハードウェア無線処理部41−1を用いて「802.15.4」の無線規格の無線通信サービスを提供することが可能となる。
また、ソフトウェア無線処理部45は、例えば、インターネット等の外部の通信ネットワークに接続しており、復調後の信号を当該信号に含まれる宛先アドレスにしたがって送信する。また、ソフトウェア無線処理部45は、通信ネットワークから信号を受信した場合、当該信号を変調し、当該信号に含まれる宛先アドレスの無線端末装置50に送信する。また、ソフトウェア無線処理部45は、AP30が収容する2台の無線端末装置50の間の通信については、復調後の信号を通信ネットワークに送信せず、再び変調して宛先アドレスの無線端末装置50を収容するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に出力する。
図3は、AP管理装置10の内部構成と、当該AP管理装置10が外部との間で送受信する情報の関係とを示すブロック図である。
AP管理装置10は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、アクセスポイント制御プログラムを実行する。アクセスポイント制御プログラムの実行によって、AP管理装置10は、ポリシー情報取得部11、要求情報取得部12、選択部13、要求部14、情報収集部15、送受信部16、無線サービスAP情報データベース20、AP使用状況情報データベース21、AP性能情報データベース22、ポリシー情報データベース23を備える装置として機能する。なお、AP管理装置10の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、アクセスポイント制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、アクセスポイント制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
無線サービスAP情報データベース20は、図4に示す無線サービスAP情報テーブル200を記憶する。無線サービスAP情報テーブル200は、「サービスID(Identification)」、「無線サービス要求情報」、「使用中AP−ID」、「使用中ハードウェア無線処理部ID」、「提供中無線規格」、「サービス提供エリア」、「データレート」、「収容中端末装置数」、「保証遅延時間」の項目を有する。「サービスID」の項目には、提供を行う無線通信サービスごとに選択部13が付与するID、例えば、「サービス1」等の情報が書き込まれる。「無線サービス要求情報」の項目には、選択部13が、無線通信サービスを配備させる要求情報ごとに付与するID、例えば、「要求情報1」等の情報が書き込まれる。
「使用中AP−ID」の項目には、AP30Aa,30Ab,…の各々に予め付与される一意に識別できるID、例えば、「AP1」等の情報が書き込まれる。「使用中ハードウェア無線処理部ID」の項目には、AP30Aa,30Ab,…の各々が備えるハードウェア無線処理部41Aa−1,41Aa−2,…ごとに付与されるID、例えば、「AP1−RF1」等の情報が書き込まれる。
「提供中無線規格」の項目には、提供中の無線通信サービスの無線規格を示す情報、例えば、「802.11g」等の情報が書き込まれる。「サービス提供エリア」の項目には、無線通信サービスが提供されているエリアを示す情報、例えば、「エリアA」等の情報が書き込まれる。「データレート」の項目には、提供中の無線通信サービスの通信速度を示す情報、例えば、「1Mbps」等の情報が書き込まれる。なお、Mbpsは、Mega bit per secondの略である。
「収容中端末装置数」の項目には、提供中の無線通信サービスにおいて収容可能な無線端末装置50の最大数を示す値が書き込まれる。「保証遅延時間」の項目には、提供中の無線通信サービスにおいて保証されている遅延時間を示す値が書き込まれる。ここで、保証されている遅延時間とは、提供する無線通信サービスに対して無線端末装置50が通信開始要求をおこなってから通信ができる状態になるまでの時間が、予め定められる一定の確率で、当該時間以内となることが保証されていることを示す時間である。なお、無線サービスAP情報テーブル200の初期状態は、図4に示すように、全ての項目に情報や値が書き込まれていない状態となり、無線通信サービスの配備が行われるまでは初期状態が維持されることになる。
AP使用状況情報データベース21は、図5に示すAP使用状況情報テーブル210を記憶する。AP使用状況情報テーブル210は、「AP−ID」、「設置エリア」、「使用中ハードウェア無線処理部ID」、「提供中無線規格」、「収容中端末装置数」、「サービス提供エリア」、「データレート」、「保証遅延時間」の項目を有する。「AP−ID」の項目には、AP30Aa,30Ab,…のID、例えば、「AP1」等の情報が書き込まれる。「設置エリア」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…が設置されているエリアを示す情報、例えば、「エリアA」等の情報が書き込まれる。
「使用中ハードウェア無線処理部ID」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…において使用中のハードウェア無線処理部41Aa−1,41Aa−2,…のID、例えば、「AP1−RF1」等の情報が書き込まれる。「提供中無線規格」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…において提供中の無線規格を示す情報、例えば、「802.11g」等の情報が書き込まれる。
「収容中端末装置数」の項目には、提供中の無線通信サービスにおいて収容可能な無線端末装置50の最大数を示す値が書き込まれる。「サービス提供エリア」の項目には、無線通信サービスが提供されているエリアを示す情報、例えば、「エリアA」等の情報が書き込まれる。「データレート」の項目には、提供中の無線通信サービスの通信速度を示す情報、例えば、「1Mbps」等の情報が書き込まれる。「保証遅延時間」の項目には、提供中の無線通信サービスにおいて保証されている遅延時間を示す値が書き込まれる。なお、AP使用状況情報テーブル210の初期状態は、図5に示すように、全ての項目に情報や値が書き込まれていない状態となり、無線通信サービスの配備が行われると、配備に応じた情報が書き込まれることになる。
AP性能情報データベース22は、図6に示すAP性能情報テーブル220を記憶する。AP性能情報テーブル220は、「AP−ID」、「設置エリア」、「位置情報」、「ハードウェア無線処理部ID」、「無線規格」、「無線通信提供エリア」、「データレート」、「保証遅延時間(収容端末装置数100)」、「保証遅延時間(収容端末装置数200)」、「保証遅延時間(収容端末装置数300)」の項目を有する。
「AP−ID」の項目には、AP30Aa,30Ab,…のID、例えば、「AP1」等の情報が書き込まれる。「設置エリア」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…が設置されているエリアを示す情報、例えば、「エリアA」等の情報が書き込まれる。「位置情報」には、「設置エリア」の項目に示されるエリアにおいて、AP30Aa,30Ab,…が設置される位置を示す情報、例えば、緯度と経度の情報が書き込まれる。
「ハードウェア無線処理部ID」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…が備えるハードウェア無線処理部41Aa−1,41Aa−2,…のID、例えば、「AP1−RF1」等の情報が書き込まれる。「無線規格」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…の各々のハードウェア無線処理部41Aa−1,41Aa−2,…が提供する無線規格を示す情報、例えば、「802.11g」等の情報が書き込まれる。「サービス提供エリア」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…が無線通信サービスを提供するエリアを示す情報、例えば、「エリアA」等の情報が書き込まれる。「データレート」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…が提供する各々の無線通信サービスの通信速度を示す情報、例えば、「1Mbps」等の情報が書き込まれる。
「保証遅延時間(収容端末装置数100)」の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…が提供する各々の無線通信サービスに対して、100台の無線端末装置50が接続した場合に保証されている遅延時間を示す値が書き込まれる。同様に、「保証遅延時間(収容端末装置数200)」、「保証遅延時間(収容端末装置数300)」の各々の項目には、「AP−ID」の項目に示されるAP30Aa,30Ab,…が提供する無線通信サービスに200台の無線端末装置50が接続した場合と、300台の無線端末装置50が接続した場合とにおける保証されている遅延時間を示す値が書き込まれる。
収容する無線端末装置50の数が増加するにしたがって帯域等のリソースをより多くの無線端末装置50で共有することになるため、保証遅延時間の値も増加していくことになる。なお、AP性能情報テーブル220の初期状態は、全ての項目に情報や値が書き込まれていない状態となり、一度、情報収集部15によってAP性能情報が収集されると、収集時点ごとのAP30の構成に応じた情報がAP性能情報テーブル220に書き込まれることになる。
例えば、図6では、「AP−ID」がAP1とAP2のAP30が示されている。ここで、説明の便宜上、AP1を、AP30Aaとし、AP2をAP30Baとする。AP30Aaは、「AP1−RF1」、「AP1−RF2」という2つのハードウェア無線処理部41Aa−1,41Aa−2を備えていることが示されている。「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41Aa−2は、ソフトウェア無線処理部45が、記憶部46からソフトウェアのプログラムデータを読み込むことで「802.11p」という無線規格の無線通信サービスを提供することが可能となっていることが示されている。また、さらに、「802.11p」という無線規格の無線通信サービスは、エリアAとエリアBの2つにおいて、1Mbpsのデータレートの無線通信サービスを提供することが示されている。
また、「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41Aa−2が提供する「802.11p」という無線規格の無線通信サービスは、エリアAに対して提供を行う場合、収容する無線端末装置50の台数が100台の場合、100ミリ秒(ms)の保証遅延時間となっており、収容する無線端末装置50の台数が200台の場合、200ミリ秒の保証遅延時間となっており、収容する無線端末装置50の台数が300台の場合、300ミリ秒の保証遅延時間となることが示されている。
また、「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41Aa−2が提供する「802.11p」の無線規格の無線通信サービスは、エリアBに対して提供を行う場合、収容する無線端末装置50の台数が100台の場合、200ミリ秒の保証遅延時間となっており、収容する無線端末装置50の台数が200台の場合、300ミリ秒の保証遅延時間となっており、収容する無線端末装置50の台数が300台の場合、400ミリ秒の保証遅延時間となることが示されている。
また、「AP1−RF1」のハードウェア無線処理部41Aa−1は、ソフトウェア無線処理部45が、記憶部46からソフトウェアのプログラムデータを読み込むことで「802.11g」及び「802.15.4」という2つの無線規格の無線通信サービスを提供することが可能となっていることが示されている。
なお、エリアAとエリアBの双方において「802.11p」の無線規格の無線通信サービスが提供される場合、エリアAとエリアBにおいて収容する無線端末装置50の数の合計数に基づいて保証遅延時間が定められることになる。すなわち、エリアAで100台収容している場合、新たにエリアBで100台収容する場合、合計で200台収容することになるため、エリアAでは、保証遅延時間は、200ミリ秒となり、エリアBでは、300ミリ秒となる。
ポリシー情報データベース23は、図7に示すポリシー情報テーブル230を記憶する。ポリシー情報テーブル230は、「ポリシーID」、「選択フラグ」、「ポリシー内容」の項目を有する。「ポリシーID」の項目には、ポリシーごとに予め付与されるポリシーID、例えば、「ポリシーA」等の情報が書き込まれる。「選択フラグ」の項目には、どの「ポリシーID」の項目が選択されているか否かを示す情報、例えば、選択されていることを示す場合、「選択中」が書き込まれ、選択されていないことを示す場合、「非選択」が書き込まれる。
ポリシーはいずれか1つが選択されるため、1つのポリシーが「選択中」になると、他のポリシーは、「非選択」となる。「ポリシー内容」の項目には、AP管理装置10の利用者が後から参照して各ポリシーにおいて行われるAP30の選択処理の方針を示す説明文が書き込まれる。なお、ポリシー情報テーブル230に記憶される「ポリシーID」と「ポリシー内容」の情報は、例えば、AP管理装置10の運営者によって選択部13において新たなポリシーによる選択手順のアルゴリズムが追加される際、当該追加に応じて、当該運営者の操作を受けて、新たなポリシーIDが付与されて、「ポリシーID」と「ポリシー内容」の項目に情報が追加される。
図7では、例えば、ポリシーAとポリシーBの2つのポリシーについての情報が書き込まれており、ポリシーAが選択されていることを示している。ポリシーAの説明として、「無線通信サービス間において使用中のAPのハードウェア無線処理部の共用を重視」と書き込まれており、ポリシーBの説明として、「無線通信サービスごとにAPのハードウェア無線処理部の分離を重視」と書き込まれている。これらの内容については、ポリシーAとポリシーBによるAP30の選択の処理を説明する際に合わせて説明する。
図3に戻り、ポリシー情報取得部11は、例えば、無線インフラ事業者からの入力操作を受けてポリシーIDを取得する。ポリシー情報取得部11は、ポリシーIDを取得すると、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230の取得したポリシーIDに対応する「選択フラグ」の項目を「選択中」に書き換え、他のポリシーIDの「選択フラグ」の項目を「非選択」に書き換える。なお、ポリシー情報取得部11と、無線インフラ事業者の操作装置とが通信回線により接続されていてもよい。このようにすることで、無線インフラ事業者が自らの操作装置を操作してポリシーIDを送信し、ポリシー情報取得部11が、当該ポリシーIDを通信回線を通じて受信して取得することができる。それにより、無線インフラ事業者が、遠隔で、ポリシー情報テーブル230を書き換えることが可能となる。
要求情報取得部12は、無線通信サービスを提供する複数のサービスプロバイダの各々の運営者の操作入力を受けて、当該サービスプロバイダが要求する無線通信サービスの要求情報を取得する。要求情報取得部12は、取得した要求情報を選択部13に出力する。なお、要求情報取得部12が、複数のサービスプロバイダの操作装置の各々と通信回線により接続されていてもよい。こうすることで、各サービスプロバイダの運営者が各々の操作装置を操作して要求情報を送信し、要求情報取得部12が、当該要求情報を通信回線を通じて受信して取得することができる。それにより、各サービスプロバイダの運営者が、遠隔で無線通信サービスの配備要求を行うことが可能となる。
選択部13は、要求情報取得部12が出力する要求情報と、AP使用状況情報データベース21のAP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報と、AP性能情報データベース22のAP性能情報テーブル220に記憶されている情報と、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230に記憶されている情報とに基づいて、要求情報が示す条件を満たすAP30のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を選択する。
要求部14は、選択部13が選択したAP30のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対して、要求情報に示される内容に基づく要求信号を生成する。また、要求部14は、生成した要求信号を送受信部16を通じて対象のAP30に送信する。情報収集部15は、要求情報取得部12が、新たな要求情報を取得した際、送受信部16を通じてAP30の制御部31に対してAP性能情報と、AP使用状況情報を収集させる収集要求信号を送信する。送受信部16は、AP30の送受信部32との間で情報の送受信を行う。
(第1の実施形態における無線通信サービスの配備処理)
図8は、AP管理システム1が行う無線通信サービスの配備処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す処理が開始される前に、無線インフラ事業者の操作入力を受けて、AP管理装置10のポリシー情報取得部11が、ポリシーIDを取得する。ここでは、無線インフラ事業者は、ポリシーAを操作入力したとする。ポリシー情報取得部11は、ポリシーAのIDを取得すると、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230の「ポリシーID」が「ポリシーA」のレコードの「選択フラグ」の項目を「選択中」に書き換え、他のレコードの「選択フラグ」を「非選択」に書き換える。要求情報取得部12は、いずれかのサービスプロバイダの運営者の操作入力を受けて、要求情報を取得する。要求情報取得部12は、取得した要求情報を選択部13に出力する(ステップS101)。
要求情報は、例えば、図9に示すデータ構成を有しており、「サービスプロバイダID」、「サービス提供エリア」、「無線規格」、「サービス提供端末装置数」、「データレート」、「許容遅延時間」の項目を含む。「サービスプロバイダID」の項目には、要求元のサービスプロバイダを示す情報が含まれており、例えば、サービスプロバイダごとに予め付与されるIDである「プロバイダa」、「プロバイダb」等の情報が含まれる。「サービス提供エリア」の項目には、無線通信サービスの提供を要求するエリアを示す情報、例えば、「エリアA」等の情報が含まれる。「無線規格」の項目には、提供を要求する無線通信サービスの無線規格を示す情報、例えば、「802.11p」等の情報が含まれる。「サービス提供端末装置数」の項目には、提供を要求する無線通信サービスにおいて収容を要求する無線端末装置50の台数を示す値が含まれる。「データレート」の項目には、提供を要求する無線通信サービスの通信速度を示す値が含まれる。「許容遅延時間」の項目は、提供を要求する無線通信サービスに接続する無線端末装置50が、当該無線通信サービスに通信開始要求を行ってから通信可能になるまでの時間を示す値が含まれる。
すなわち、図9に示す要求情報では、要求情報の要求元のプロバイダが「プロバイダa」というサービスプロバイダであり、「エリアA」における無線通信サービスの提供を要求していることを示している。また、無線規格が「802.11p」であって、通信速度が「1Mbps」で、許容遅延時間が「500ミリ秒」で、最大で「100台」の無線端末装置50を収容可能な無線通信サービスの提供を要求していることが示されている。
情報収集部15は、要求情報取得部12が要求情報を取得すると、収集要求信号を送受信部16を通じて全てのAP30Aa,30Ab…に送信する。全てのAP30Aa,30Ab…の制御部31Aa,31Ab,…は、各々の無線処理部40Aa,40Ab,…からAP使用状況情報と、AP性能情報とを収集する。制御部31Aa,31Ab,…は、収集したAP使用状況情報と、AP性能情報とを送受信部32Aa,32Ab,…を通じてAP管理装置10に送信する。AP管理装置10の情報収集部15は、送受信部16を通じて受信したAP使用状況情報を、AP使用状況情報データベース21のAP使用状況情報テーブル210に書き込んで記憶させる。また、情報収集部15は、受信したAP性能情報を、AP性能情報データベース22のAP性能情報テーブル220に書き込んで記憶させる(ステップS102)。
選択部13は、要求情報取得部12が出力する要求情報を受けると、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230を参照し、「選択フラグ」が「選択中」になっているレコードの「ポリシーID」の項目を読み出す(ステップS103)。選択部13は、読み出したポリシーIDに対応する選択手順のアルゴリズムのサブルーチンを呼び出し、呼び出したサブルーチンの処理を開始する(ステップS104)。ここでは、ポリシー情報テーブル230が、図7に示す状態になっているものとし、選択部13は、ポリシーAの選択手順のアルゴリズムのサブルーチンを実行する。
(ポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理)
図10から図15を参照しつつ、ポリシーAによる無線通信サービスの配備処理について説明する。選択部13は、情報収集部15によるステップS102の処理の完了後に、AP使用状況情報データベース21のAP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報と、AP性能情報データベース22のAP性能情報テーブル220に記憶されている情報とを参照する(ステップS201)。選択部13は、AP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報に基づいて、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。選択部13は、検出した使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件、すなわち「サービス提供エリア」、「無線規格」、「サービス提供端末装置数」、「データレート」、「許容遅延時間」の各項目により示される条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が存在するか否かを判定する(ステップS202)。
選択部13は、検出した使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在すると判定した場合(ステップS202−YES)、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30の位置情報をAP性能情報テーブル220の「位置情報」の項目から読み出す。選択部13は、読み出した位置情報に基づいて、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに最も近いAP30を選択する。距離を算出する際のエリアの基準点は、例えば、エリアの中心点や、エリアごとに予め定められる基準点などが適用される。選択部13は、選択したAP30が備えるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で条件を満たすいずれか1つのハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
なお、最も近いAP30において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が複数存在する場合、選択部13は、いずれか1つを任意に選択する。また、ステップS202において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が1台である場合、位置情報に基づいて、最も近いAP30を選択する必要はなく、選択部13は、当該1台のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
要求部14は、要求情報と、選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を示すハードウェア無線処理部IDとに基づいて要求信号を生成する。要求部14は、生成した要求信号を送受信部16を通じて、選択部13が選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30に対して送信する。AP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に、要求信号にしたがう無線通信サービスの配備を行い、(ステップS203)、ポリシーAのサブルーチンを終了する。
一方、選択部13は、検出した使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在しない判定した場合(ステップS202−NO)、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせることで、要求情報が示す条件を満たす組み合わせが存在するか否かを判定する(ステップS204)。選択部13は、当該組み合わせを生成する際、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに近いAP30に備えられる使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…から順に選択して組み合わせを生成する。なお、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせは、同一のAP30から複数のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよいし、異なるAP30のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよい。
選択部13は、要求情報が示す条件を満たす使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在すると判定した場合(ステップS204−YES)、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の全てを無線通信サービスの配備対象として選択する。要求部14は、選択部13が選択した組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの要求信号を生成する。ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとのリソースの割り当ては、選択部13が組み合わせを生成する際に求められているため、要求部14は、選択部13が求めたリソースの割り当てにしたがって要求信号を生成する。
要求部14は、生成したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの要求信号を送受信部16を通じて、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備える各々のAP30に対して送信する。各々のAP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行い(ステップS205)、ポリシーAのサブルーチンを終了する。
一方、選択部13は、要求情報が示す条件を満たす使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在しないと判定した場合(ステップS204−NO)、
AP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報と、AP性能情報テーブル220に記憶されている情報とに基づいて、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。選択部13は、使用中と停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせることで、要求情報が示す条件を満たす組み合わせが存在するか否かを判定する(ステップS206)。
選択部13は、当該組み合わせを生成する際、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…のみの組み合わせにならないように、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…から優先して組み合わせを生成する。また、選択部13は、当該組み合わせを生成する際、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに近いAP30に備えられるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…から順に選択して組み合わせを生成する。なお、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせは、同一のAP30から複数のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよいし、異なるAP30のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよい。
選択部13は、要求情報が示す条件を満たす使用中と停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在すると判定した場合(ステップS206−YES)、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の全てを無線通信サービスの配備対象として選択する。要求部14は、選択部13が選択した組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの要求信号を生成する。ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとのリソースの割り当ては、選択部13が組み合わせを生成する際に求められているため、要求部14は、選択部13が求めたリソースの割り当てにしたがって要求信号を生成する。
要求部14は、生成したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの要求信号を送受信部16を通じて、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備える各々のAP30に対して送信する。各々のAP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行う。停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対しては、制御部31が起動指示信号を出力して起動させ、起動後に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行い(ステップS207)、ポリシーAのサブルーチンを終了する。
一方、選択部13は、要求情報が示す条件を満たす使用中と停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在しないと判定した場合(ステップS206−NO)、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が存在するか否かを判定する(ステップS208)。
選択部13は、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在すると判定した場合(ステップS208−YES)、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30の位置情報をAP性能情報テーブル220の「位置情報」の項目から読み出す。選択部13は、読み出した位置情報に基づいて、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに最も近いAP30を選択する。選択部13は、選択したAP30が備えるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で条件を満たすいずれか1つのハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
なお、最も近いAP30において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が複数存在する場合、選択部13が、いずれか1つを選択する。また、ステップS206において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が1台であった場合、位置情報に基づいて、最も近いAP30を選択する必要はなく、選択部13は、当該1台のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
要求部14は、要求情報が示す条件と、選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を示すハードウェア無線処理部IDとに基づいて要求信号を生成する。要求部14は、生成した要求信号を送受信部16を通じて、選択部13が選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30に対して送信する。AP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対して起動指示信号を出力して起動させる。制御部31は、起動後に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行い(ステップS207)、ポリシーAのサブルーチンを終了する。
選択部13は、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在しないと判定した場合(ステップS208−NO)、リソース不足により要求情報により要求された無線通信サービスの配備を行うことができなかったことを示す情報を内部の記憶領域に記憶してポリシーAのサブルーチンを終了する(ステップS210)。なお、無線通信サービスの配備を行うことができなかったことを示す情報が記憶される内部の記憶領域は、例えば、ステップS101において、選択部13が、要求情報取得部12が出力する新たな要求情報を受けた際に、選択部13によって初期化される。
図8に戻り、選択部13は、要求情報により要求された無線通信サービスの配備を行ったか否かを判定する(ステップS105)。選択部13は、要求情報により要求された無線通信サービスの配備を行うことができなかったことを示す情報を内部の記憶領域に記憶している場合、配備を行っていないと判定し(ステップS105−NO)、配備を行うことができなかったことを示す情報を要求情報取得部12に対して出力する。要求情報取得部12は、要求元のサービスプロバイダの運営者に通知する情報を、例えば、運営者が操作する操作装置の画面に出力し(ステップS107)、処理を終了する。
一方、選択部13は、要求情報により要求された無線通信サービスの配備を行ったと判定した場合(ステップS105−YES)、すなわち、ステップS203、S205、S207、S209において要求部14が要求信号をAP30に送信した場合、配備した結果を、無線サービスAP情報データベース20の無線サービスAP情報テーブル200に情報に書き込み(ステップS106)、処理を終了する。
上記の図10に示したポリシーAによる無線通信サービスの配備処理を行うことで、新たに無線通信サービスを開始する場合、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…から順にリソースを割り当てていくため、設備利用効率の高い切り替えを行うことが可能となる。その一方で、AP30が故障した場合、故障の影響が複数の無線通信サービスに影響し、また、他の無線通信サービスに生じた輻輳などの問題が、同一のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を使用している無線通信サービスに影響する場合もある。
(要求情報(その1)によるポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理)
図9に示す要求情報(その1)に基づくポリシーAによる配備処理の具体例について、以下に説明する。前提としていずれのAP30においても無線通信サービスが提供されていないものとする。ステップS101において、サービスプロバイダaの運営者が操作入力を行うと、要求情報取得部12が、図9に示す要求情報(その1)を取得して選択部13に出力する。ステップS102における情報収集部15によるAP使用情報とAP性能情報の収集の処理の完了後のAP使用状況情報テーブル210は、図5に示す初期状態のままであり、AP性能情報テーブル220には、図6に示す情報が書き込まれる。
ポリシー情報テーブル230は、図7に示す状態であるため、選択部13は、ポリシーAのサブルーチンの処理を開始する。ステップS201の処理において、選択部13が、AP使用状況情報テーブル210を参照する。AP使用状況情報テーブル210には、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が示されていないため、選択部13は、ステップS202、ステップS204、ステップS206においてNOの判定を行う。ステップS208の処理において、選択部13は、AP性能情報テーブル220から「AP−ID」の項目が「AP1」であって「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF2」のレコードが、要求情報(その1)が示す条件を満たしているとして選択する。すなわち、当該レコードは、無線規格が、「802.11p」であり、「サービス提供エリア」は、「エリアA」を含んでおり、「データレート」は、「1Mbps」であり、要求情報(その1)が示す条件を満たしている。また、要求情報(その1)により要求されている「サービス提供端末装置数」が100台の場合、「保証遅延時間」が、100ミリ秒となっており、要求情報(その1)により要求されている「許容遅延時間」の500ミリ秒を満たしている。
また、選択部13は、AP性能情報テーブル220から「AP−ID」の項目が「AP2」であって「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF2」のレコードも要求情報(その1)の条件を満たしているとして選択する。すなわち、当該レコードも、無線規格が「802.11p」であり、「サービス提供エリア」は、「エリアA」を含んでおり、「データレート」が、「1Mbps」であり、要求情報(その1)が示す条件を満たしている。また、要求情報(その1)により要求されている「サービス提供端末装置数」が100台の場合、「保証遅延時間」が200ミリ秒となっており、要求情報(その1)により要求されている「許容遅延時間」の500ミリ秒を満たしている。
ここで、説明の便宜上、AP1のAP30を、AP30Aaとし、AP2のAP30を、AP30Baとする。また、AP1のAP1−RF2のハードウェア無線処理部41−1,…を、ハードウェア無線処理部41Aa−2とし、AP2のAP1−RF2のハードウェア無線処理部41−1,…を、ハードウェア無線処理部41Ba−2とする。
選択部13は、ステップS208の判定処理の判定結果をYESとして、ステップS209に処理を進める。選択部13は、AP性能情報テーブル220の「位置情報」の項目を参照して、2つのレコードのうち、要求情報(その1)の「サービス提供エリア」である「エリアA」に最も近い方、すなわちAP30Aaのハードウェア無線処理部41Aa−2を選択する。
要求部14は、選択部13が選択したAP30Aaのハードウェア無線処理部41Aa−2に対する要求信号を生成し、送受信部16を通じて送信する。当該要求信号は、AP30Aaを宛先とする情報と、ハードウェア無線処理部41Aa−2に対して要求情報(その1)が示す無線通信サービスを配備させる情報が含まれている。
AP30Aaの制御部31Aaは、送受信部32Aaを通じて要求信号を受信すると、停止中のハードウェア無線処理部41Aa−2に対して起動指示信号を出力する。ハードウェア無線処理部41Aa−2は、当該起動指示信号を受けて起動する。制御部31Aaは、ソフトウェア無線処理部45Aaに対して無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46Aaから読み出させて実行させる開始指示信号を出力する。ソフトウェア無線処理部45Aaは、当該開始指示信号を受けて記憶部46Aaから無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを読み出して実行を開始し、「エリアA」をサービス提供エリアとして100台の無線端末装置50を収容する。
当該プログラムデータを実行することにより、ソフトウェア無線処理部45Aaは、ハードウェア無線処理部41Aa−2が出力する信号を802.11pの無線規格にしたがって復調する。また、ソフトウェア無線処理部45Aaは、ハードウェア無線処理部41Aa−2に出力する信号を802.11pの無線規格にしたがって変調する。このようにして、要求情報(その1)により要求された無線通信サービスが開始される。
選択部13は、図8のステップS105において配備したと判定して、配備した結果を、無線サービスAP情報データベース20の無線サービスAP情報テーブル200に情報に書き込む。図11は、選択部13が、配備した結果を書き込んだ後の無線サービスAP情報テーブル200のデータ構成を示す図である。選択部13は、無線サービスAP情報テーブル200に配備した結果を書き込む際に、配備の対象となった要求情報(その1)にID、例えば、「要求情報1」というIDを付与する。
選択部13は、図11に示す無線サービス要求情報サブテーブル201を生成し、生成した無線サービス要求情報サブテーブル201に当該要求情報(その1)に含まれる情報を書き込む。ここでは、図11に示すように「要求情報ID」の項目には、選択部13が当該要求情報(その1)に対して付与したIDである「要求情報1」が書き込まれる。「サービスプロバイダID」の項目には、要求情報(その1)に含まれる「プロバイダa」が書き込まれ、「サービス提供エリア」の項目には、「エリアA」が書き込まれ、「無線規格」の項目には、「802.11p」が書き込まれる。また、「サービス提供端末数」の項目には、「100」が書き込まれ、「データレート」の項目には、「1Mbps」が書き込まれ、「許容遅延時間」の項目には、「500ms」が書き込まれる。
無線サービスAP情報テーブル200については、「サービスID」の項目には、選択部13が付与した「サービス1」のIDが書き込まれ、「無線サービス要求情報」の項目には、選択部13が要求情報(その1)に付与したIDである「要求情報1」の項目が書き込まれている。この「要求情報1」のIDに基づいて検索することで、無線サービス要求情報サブテーブル201から「要求情報1」に対応する要求情報(その1)に含まれていた情報を検出することができる。「使用中AP−ID」から「保証遅延時間」までのそれぞれの項目には、選択部13が選択して配備を行った無線通信サービスに関する情報、すなわち「AP1」、「AP1−RF2」、「802.11p」、「エリアA」、「1Mbps」、「100」、「100ms」が書き込まれる。なお、最後の「保証遅延時間」に対して、選択部13が「100ms」を書き込むのは、AP性能情報テーブル220において、AP1−RF2の802.11pの無線通信サービスにおいて、サービス提供エリアが、エリアAでかつ、収容する端末装置数が100台の場合、保証遅延時間が100ミリ秒となっているためである。
(要求情報(その2)によるポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理)
上記の要求情報(その1)によるポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理に続いて、サービスプロバイダbの運営者が操作入力を行い、要求情報取得部12が、図12に示す要求情報(その2)を取得して選択部13に出力したとする。ステップS102における情報収集部15によるAP使用情報とAP性能情報の収集の処理の完了後のAP使用状況情報テーブル210のデータ構成は、図13に示す通りとなる。AP性能情報テーブル220は、AP30の構成が変更されていないため、要求情報(その1)によるポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理の終了後から変更がなく図6に示す情報を記憶する。
ポリシー情報テーブル230は、図7に示す状態から変更されていないため、選択部13は、ポリシーAのサブルーチンの処理を開始する。AP使用状況情報テーブル210には、「AP−ID」が「AP1」、「使用中ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41Aa−2が記憶されている。ステップS201の処理において、選択部13は、AP使用状況情報テーブル210を参照する。新たな要求情報(その2)は、図12に示すように、「サービス提供エリア」が「エリアB」であり、「無線規格」が「802.11p」であり、「データレート」が「1Mbps」である。
AP性能情報テーブル220に記憶されている情報から、使用中のAP1のAP−RF2のハードウェア無線処理部41Aa−2は、要求情報(その2)が示す条件のうち、「サービス提供エリア」、「無線規格」、「データレート」の条件を満たしている。しかし、「サービス提供端末装置数」の項目が示す400台の端末装置数の条件を満たすことができないため、選択部13は、ステップS202の処理においてNOの判定を行う。また、ハードウェア無線処理部41Aa−1以外は、使用中になっていないため、選択部13は、ステップS204の処理においてもNOの判定を行う。
ステップS206の処理において、選択部13は、要求情報(その2)が示す条件を満たす、使用中のハードウェア無線処理部41Aa−1と、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…との組み合わせが存在するか否かを判定する。選択部13は、AP性能情報テーブル220を参照して停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。選択部13は、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…として、「AP−ID」が「AP1」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF1」のものと、「AP−ID」が「AP2」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF1」のものと、「AP−ID」が「AP2」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のものの3つの停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。
3つの中で、無線規格が「802.11p」を提供することができるのは、「AP−ID」が「AP2」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のものである。ここで、説明の便宜上、「AP−ID」が「AP2」のAP30を、アクセスポイントBaとする。また、「AP−ID」が「AP2」で「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41−1,…をハードウェア無線処理部41Ba−2とする。
使用中のハードウェア無線処理部41Aa−2に対して、要求情報(その2)が示す条件のうち100台を割り当てると、ハードウェア無線処理部41Aa−2が収容する無線端末装置50の合計は、200台となる。AP性能情報テーブル220より、200台の場合、ハードウェア無線処理部41Aa−2が、「エリアA」に提供する無線通信サービスの保証遅延時間は、200ミリ秒となり、「エリアB」に提供する無線通信サービスの保証遅延時間は、300ミリ秒となる。これらの保証遅延時間は、図9に示すサービスプロバイダaが要求情報(その1)において要求した許容遅延時間である500ミリ秒と、図12に示すサービスプロバイダbが要求情報(その2)において要求する許容遅延時間である300ミリ秒の双方の条件を満たしている。
また、残りの300台を停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2を収容するように割り当てた場合、ハードウェア無線処理部41Ba−2が、「エリアB」に提供する無線通信サービスの保証遅延時間は、300ミリ秒となり、図12に示すサービスプロバイダbが要求する許容遅延時間である300ミリ秒の条件を満たしている。
したがって、選択部13は、ステップS206の判定結果をYESとして、ステップS207に処理を進める。選択部13は、使用中のハードウェア無線処理部41Aa−2と、停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2との組み合わせを要求情報(その2)に示す条件を満たす組み合わせとして選択する。要求部14は、選択部13が選択したAP30Aaの使用中のハードウェア無線処理部41Aa−2に対する要求信号を生成し、送受信部16を通じてAP30Aaに送信する。当該要求信号には、使用中のハードウェア無線処理部41Aa−2に対して、実行中の無線規格が「802.11p」の無線通信サービスにおいて、「エリアB」をサービス提供エリアとして100台の無線端末装置50を収容させる指示を示す情報が含まれている。
また、要求部14は、選択部13が選択したAP30Baの停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2に対する要求信号を生成し、送受信部16を通じてAP30Baに送信する。当該要求信号には、停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2を起動させ、ソフトウェア無線処理部45Baに無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46Baから読み出させて実行させ、「エリアB」において300台の無線端末装置50を収容させる指示を示す情報が含まれている。
AP30Aaの制御部31Aaは、送受信部32Aaを通じて要求信号を受信すると、ソフトウェア無線処理部45Aaに対して、既に提供を開始している無線規格が「802.11p」の無線通信サービスにおいて、「エリアB」をサービス提供エリアとして100台の無線端末装置50を収容する変更指示信号を出力する。ソフトウェア無線処理部45Aaは、当該変更指示信号を受けて「エリアB」をサービス提供エリアとして100台の無線端末装置50を収容する処理を行う。
AP30Baの制御部31Baは、送受信部32Baを通じて要求信号を受信すると、停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2に対して起動指示信号を出力する。ハードウェア無線処理部41Ba−2は、当該起動指示信号を受けて起動する。制御部31Baは、ソフトウェア無線処理部45Baに対して無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46Baから読み出させて実行させる開始指示信号を出力する。ソフトウェア無線処理部45Baは、当該開始指示信号を受けて記憶部46Baから無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを読み出して実行を開始し、「エリアB」をサービス提供エリアとして300台の無線端末装置50を収容する。
選択部13は、図8のステップS105において、配備を行ったと判定して、配備した結果を、無線サービスAP情報データベース20の無線サービスAP情報テーブル200に情報を書き込む。図14は、選択部13が、配備した結果を書き込んだ後の無線サービスAP情報テーブル200のデータ構成を示す図である。図14に示すように、サービスプロバイダbからの要求情報(その2)にしたがって、選択部13が行った配備にしたがった情報が記憶されている。なお、「サービス1」の「保証遅延時間」の項目は、収容する無線端末装置50の台数が100台増えたため、100ミリ秒から、200ミリ秒に書き換えられることになる。また、選択部13は、要求情報(その2)に対して「要求情報2」のIDを付与しており、無線サービス要求情報サブテーブル201に、「要求情報ID」が「要求情報2」のレコードとして、要求情報(その2)に含まれる情報が記憶されている。
要求情報(その2)によるポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理の終了後に、要求情報取得部12が、新たな要求情報を取得して、情報収集部15がAP使用状況情報を収集したとする。図15は、情報収集部15が、収集したAP使用状況情報をAP使用状況情報データベース21に書き込んだ後のAP使用状況情報テーブル210のデータ構成を示す図である。図15に示すように、「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41Aa−2に関する情報として、エリアAとエリアBの2つのサービス提供エリアで無線規格が「802.11p」であって、データレートが「1Mbps」の無線通信サービスを提供していることを示す情報が記憶されている。「収容中端末装置数」の項目には、エリアAとエリアBにおいて収容する無線端末装置50の台数の合計値である200台が記憶されている。また、「保証遅延時間」の項目には、サービス提供エリアごとの保証遅延時間、すなわち200ミリ秒と、300ミリ秒が記憶されている。
また、「AP2−RF2」のハードウェア無線処理部41Ba−2に関する情報は、エリアBのサービス提供エリアで無線規格が「802.11p」であって、データレートが「1Mbps」の無線通信サービスを提供していることを示す情報が記憶されている。「収容中端末装置数」の項目には、収容する無線端末装置50の台数である300台が記憶されている。また、「保証遅延時間」の項目には、300ミリ秒が記憶されている。
(ポリシーBに基づく無線通信サービスの配備処理)
図8、及び図16から図20を参照しつつ、ポリシーBによる無線通信サービスの配備処理について説明する。図8に示す処理が開始される前に、無線インフラ事業者の操作入力を受けて、AP管理装置10のポリシー情報取得部11が、ポリシーIDを取得する。ここでは、無線インフラ事業者は、ポリシーBを操作入力したとする。ポリシー情報取得部11は、ポリシーBのIDを取得すると、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230の「ポリシーID」が「ポリシーB」のレコードの「選択フラグ」の項目を「選択中」に書き換え、他のレコードの「選択フラグ」を「非選択」に書き換える。これにより、ポリシー情報テーブル230は、図16に示す状態となる。
新たな要求情報を要求情報取得部12が取得して、図8におけるステップS101、S102の処理が行われる。ステップS103において、選択部13は、要求情報取得部12が出力する要求情報を受けると、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230を参照し、「選択フラグ」が「選択中」になっているレコードの「ポリシーID」の項目を読み出す。ステップS104において、選択部13は、読み出したポリシーIDに対応する選択手順のアルゴリズムのサブルーチンを呼び出し、呼び出したサブルーチンの処理を開始する。ここでは、ポリシー情報テーブル230が、図16に示す状態になっているため、選択部13は、ポリシーBの選択手順のアルゴリズムのサブルーチンを実行する。
選択部13は、情報収集部15によるAP使用状況情報とAP性能情報の収集の完了後に、AP使用状況情報データベース21のAP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報と、AP性能情報データベース22のAP性能情報テーブル220に記憶されている情報とを参照する(ステップS301)。選択部13は、AP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報と、AP性能情報テーブル220に記憶されている情報とに基づいて、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。選択部13は、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が存在するか否かを判定する(ステップS302)。
選択部13は、検出した停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在すると判定した場合(ステップS302−YES)、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30の位置情報をAP性能情報テーブル220の「位置情報」の項目から読み出す。選択部13は、読み出した位置情報に基づいて、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに最も近いAP30を選択する。選択部13は、選択したAP30が備えるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で条件を満たすいずれか1つのハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
なお、最も近いAP30において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が複数存在する場合、選択部13が、いずれか1つを選択する。また、ステップS302において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が1台であった場合、位置情報に基づいて、最も近いAP30を選択する必要はなく、選択部13は、当該1台のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
要求部14は、要求情報が示す条件と、選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を示すハードウェア無線処理部IDとに基づいて要求信号を生成する。要求部14は、生成した要求信号を送受信部16を通じて、選択部13が選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30に対して送信する。AP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対して起動指示信号を出力して起動させる。制御部31は、起動後に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行い(ステップS303)、ポリシーBのサブルーチンを終了する。
一方、選択部13は、検出した停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在しないと判定した場合(ステップS302−NO)、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせることで、要求情報が示す条件を満たす組み合わせが存在するか否かを判定する(ステップS304)。選択部13は、当該組み合わせを生成する際、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに近いAP30に備えられるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…から順に選択して組み合わせを生成する。なお、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせは、同一のAP30から複数のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよいし、異なるAP30のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよい。
選択部13は、要求情報が示す条件を満たす停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在すると判定した場合(ステップS304−YES)、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の全てを無線通信サービスの配備対象として選択する。要求部14は、選択部13が選択した組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの要求信号を生成する。ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとのリソースの割り当ては、選択部13が組み合わせを生成する際に求められているため、要求部14は、選択部13が求めたリソースの割り当てにしたがって要求信号を生成する。
要求部14は、生成したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの要求信号を送受信部16を通じて、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備える各々のAP30に対して送信する。各々のAP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対して起動指示信号を出力して起動させる。制御部31は、起動後に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行い(ステップS305)、ポリシーBのサブルーチンを終了する。
一方、選択部13は、要求情報が示す条件を満たす停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在しないと判定した場合(ステップS304−NO)、選択部13は、AP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報に基づいて、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。選択部13は、検出した使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が存在するか否かを判定する(ステップS306)。
選択部13は、検出した使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在すると判定した場合(ステップS306−YES)、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30の位置情報をAP性能情報テーブル220の「位置情報」の項目から読み出す。選択部13は、読み出した位置情報に基づいて、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに最も近いAP30を選択する。選択部13は、選択したAP30が備えるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で条件を満たすいずれか1つのハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
なお、最も近いAP30において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が複数存在する場合、選択部13は、いずれか1つを選択する。また、ステップS306において、条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が1台であった場合、位置情報に基づいて、最も近いAP30を選択する必要はなく、選択部13は、当該1台のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を無線通信サービスの配備対象として選択する。
要求部14は、要求情報と、選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を示すハードウェア無線処理部IDとに基づいて要求信号を生成する。要求部14は、生成した要求信号を送受信部16を通じて、選択部13が選択したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備えるAP30に対して送信する。AP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行い、(ステップS307)、ポリシーBのサブルーチンを終了する。
一方、選択部13は、検出した使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の中で、要求情報が示す条件を満たすものが存在しない判定した場合(ステップS306−NO)、選択部13は、使用中と停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせることで、要求情報が示す条件を満たす組み合わせが存在するか否かを判定する(ステップS308)。選択部13は、当該組み合わせを生成する際、要求情報の「サービス提供エリア」の項目に示されているエリアに近いAP30に備えられるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…から順に選択して組み合わせを生成する。なお、ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせは、同一のAP30から複数のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよいし、異なるAP30のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を組み合わせてもよい。
選択部13は、要求情報が示す条件を満たす使用中と停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在すると判定した場合(ステップS308−YES)、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の全てを無線通信サービスの配備対象として選択する。要求部14は、選択部13が選択した組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの要求信号を生成する。ハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとのリソースの割り当ては、選択部13が組み合わせを生成する際に求められているため、要求部14は、選択部13が求めたリソースの割り当てにしたがって要求信号を生成する。
要求部14は、生成したハードウェア無線処理部41−1,41−2,…ごとの切替要求信号を送受信部16を通じて、組み合わせに含まれるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を備える各々のAP30に対して送信する。各々のAP30の制御部31は、送受信部32を通じて当該要求信号を受信すると、要求信号に含まれるハードウェア無線処理部IDに対応するハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行う。停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に対しては、制御部31が起動指示信号を出力して起動させる。制御部31は、起動後に、要求信号に含まれる要求情報にしたがう無線通信サービスの配備を行い(ステップS309)、ポリシーBのサブルーチンを終了する。
一方、選択部13は、要求情報が示す条件を満たす使用中と停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…の組み合わせが存在しないと判定した場合(ステップS308−NO)、リソース不足により要求情報により要求された無線通信サービスの配備を行うことができなかったことを示す情報を内部の記憶領域に記憶してポリシーBのサブルーチンを終了する(ステップS310)。
図8に戻り、選択部13は、要求情報により要求された無線通信サービスの切り替えを行ったか否かを判定する(ステップS105)。選択部13は、要求情報により要求された無線通信サービスの配備を行うことができなかったことを示す情報を内部の記憶領域に記憶している場合、配備を行っていないと判定し(ステップS105−NO)、配備を行うことができなかったことを示す情報を要求情報取得部12に対して出力する。要求情報取得部12は、要求元のサービスプロバイダの運営者に通知する情報を、例えば、運営者が操作する操作装置の画面に出力し(ステップS107)、処理を終了する。
一方、選択部13は、要求情報により要求された無線通信サービスの配備を行ったと判定した場合(ステップS105−YES)、すなわち、ステップS303、S305、S307、S309において無線通信サービスの配備を行っている場合、配備した結果を、無線サービスAP情報データベース20の無線サービスAP情報テーブル200に情報に書き込み(ステップS106)、処理を終了する。
上記の図17に示したポリシーBによる無線通信サービスの配備処理を行うことで、新たに無線通信サービスを開始する場合、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…から順にリソースを割り当てていく。そのため、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…において空きリソースが出やすくなるため、設備利用効率が、ポリシーAに比べて低くなる。その一方で、ポリシーBによる配備処理により、無線通信サービスの各々が異なるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…に配備されることが多くなる。そのため、ある無線通信サービスにおける問題、例えば、当該無線通信サービスに生じた故障や輻輳などの障害の問題が、他の無線通信サービスに影響するといったことが軽減される。
(要求情報(その3)によるポリシーBに基づく無線通信サービスの配備処理)
上記の要求情報(その1)によるポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理の後、図8に示す処理が開始される前に、無線インフラ事業者の操作入力を受けて、AP管理装置10のポリシー情報取得部11が、ポリシーBのIDを取得する。ポリシー情報取得部11は、ポリシーBのIDを取得すると、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230の「ポリシーID」が「ポリシーB」のレコードの「選択フラグ」の項目を「選択中」に書き換え、他のレコードの「選択フラグ」を「非選択」に書き換える。これにより、ポリシー情報テーブル230は、図16に示す状態となる。
サービスプロバイダbの運営者が操作入力を行い、要求情報取得部12が、図18に示す要求情報(その3)を取得して選択部13に出力したとする。ステップS102における情報収集部15によるAP使用情報とAP性能情報の収集の処理の完了後のAP使用状況情報テーブル210のデータ構成は、図13に示す通りとなる。AP性能情報テーブル220は、AP30の構成が変更されていないため、要求情報(その1)によるポリシーAに基づく無線通信サービスの配備処理の終了後から変更がなく図6に示す情報を記憶する。
選択部13は、図16に示す状態のポリシー情報テーブル230を参照して、ポリシーBのサブルーチンの処理を開始する。AP使用状況情報テーブル210には、「AP−ID」が「AP1」、「使用中ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41Aa−2が記憶されている。ステップS301の処理において、選択部13は、AP使用状況情報テーブル210と、AP性能情報テーブル220とに記憶されている情報から、停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。
選択部13は、AP性能情報テーブル220から停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…として、「AP−ID」が「AP1」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF1」のものと、「AP−ID」が「AP2」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF1」のものと、「AP−ID」が「AP2」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のものの3つの停止中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を検出する。
3つの中で、要求情報(その3)が示す条件のうち無線規格が「802.11p」の条件を満たすことができるのは、「AP−ID」が「AP2」であり「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のものである。ここで、説明の便宜上、「AP−ID」が「AP2」のAP30を、AP30Baとする。また、「AP−ID」が「AP2」で「ハードウェア無線処理部ID」が「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41−1,…をハードウェア無線処理部41Ba−2とする。
ハードウェア無線処理部41Ba−2は、要求情報(その3)が示す「サービス提供エリア」の条件のエリアBを満たすことができ、「データレート」の条件の1Mbpsも満たすことができる。また、ハードウェア無線処理部41Ba−2は、サービスプロバイダbが要求する300台の無線端末装置50を、801.11pの無線規格によってエリアBで収容した場合、要求情報(その3)が示す「許容遅延時間」が300ミリ秒である条件も満たすことができる。
したがって、選択部13は、ステップS302の判定結果をYESとして、ステップS303に処理を進める。選択部13は、要求情報(その3)に示す条件を満たすものとして、AP30Baが備える停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2を選択する。要求部14は、選択部13が選択した停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2に対する要求信号を生成し、送受信部16を通じてAP30Baに送信する。当該要求信号には、停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2を起動させ、ソフトウェア無線処理部45Baに無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46Baから読み出させて実行させ、「エリアB」において300台の無線端末装置50を収容させる指示を示す情報が含まれている。
AP30Baの制御部31Baは、送受信部32Baを通じて要求信号を受信すると、停止中のハードウェア無線処理部41Ba−2に対して起動指示信号を出力する。ハードウェア無線処理部41Ba−2は、当該起動指示信号を受けて起動する。制御部31Baは、ソフトウェア無線処理部45Baに対して無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46Baから読み出させて実行させる開始指示信号を出力する。ソフトウェア無線処理部45Baは、当該開始指示信号を受けて記憶部46Baから無線規格が「802.11p」のソフトウェアのプログラムデータを読み出して実行を開始し、「エリアB」をサービス提供エリアとして300台の無線端末装置50を収容する。
選択部13は、図8のステップS105において配備を行ったと判定して、配備した結果を、無線サービスAP情報データベース20の無線サービスAP情報テーブル200に情報に書き込む。図19は、選択部13が、配備した結果を書き込んだ後の無線サービスAP情報テーブル200のデータ構成を示す図である。図19に示すように、サービスプロバイダbからの要求情報(その3)にしたがって、選択部13が行った配備にしたがった情報が記憶されている。また、選択部13は、要求情報(その3)に対して「要求情報2」のIDを付与しており、無線サービス要求情報サブテーブル201に、「要求情報ID」が「要求情報2」のレコードとして、要求情報(その3)に含まれる情報が記憶されている。
要求情報(その3)によるポリシーBに基づく無線通信サービスの配備処理の終了後に、要求情報取得部12が、新たな要求情報を取得して、情報収集部15がAP使用状況情報を収集したとする。図20は、情報収集部15が収集したAP使用状況情報をAP使用状況情報データベース21に書き込んだ後のAP使用状況情報テーブル210のデータ構成を示す図である。図20に示すように、AP30Aaのハードウェア無線処理部41Aa−2に関する情報は、配備処理の前の図13に示す情報のままである。AP30Baのハードウェア無線処理部41Ba−2に関する情報は、300台の無線端末装置50を収容しており、エリアBのサービス提供エリアで無線規格が「802.11p」であってデータレートが「1Mbps」の無線通信サービスを保証遅延時間の300ミリ秒で提供していることを示す情報が記憶されている。
上記の第1の実施形態の構成により、AP管理装置10において、要求情報取得部12は、要求情報を取得する。情報収集部15は、AP30からAP性能情報とAP使用状況情報を収集する。選択部13は、AP性能情報と、AP使用状況情報とに基づいて、要求情報が示す条件を満たすAP30を選択する。要求部14は、選択部13が選択したAP30に対して、要求情報に応じた無線通信サービスを配備させる要求信号を送信する。AP30は、要求信号を受信し、受信した要求信号に基づく無線通信サービスの提供を無線処理部40に行わせる。これにより、AP管理装置10は、無線通信サービスの配備処理を行うごとに、AP性能情報とAP使用状況情報とを収集し、収集したAP性能情報とAP使用状況情報とに基づいて、各AP30の最新の状態を検出した上で、無線通信サービスの配備を行うことができる。したがって、多くの種類の無線規格のサービスを要求に応じて動的、かつ適切に提供し、また、管理を容易にすることが可能となる。
例えば、時間を区切って、無線通信サービスを配備するような場合、AP30が、内部に備える計時手段であるタイマー等に基づいて、自律的に無線通信サービスの停止を行うことがある。また、AP管理装置10が、内部に備える計時手段に基づいて、AP30が提供する無線通信サービスの配備を行うこともある。そのため、AP30のリソースの使用状況と空き状況は、時々刻々変化する。そのような場合であっても、第1の実施形態におけるAP管理システム1では、AP管理装置10が、無線通信サービスの配備処理を行う前に、最新のAP性能情報とAP使用状況情報とを収集するため、常に、適切な無線通信サービスの配備を行うことができる。
(第2の実施形態)
図21は、本発明の第2の実施形態におけるAP管理装置10aの内部構成と、当該AP管理装置10aが外部との間で送受信する情報の関係とを示すブロック図である。AP管理装置10aにおいて、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。AP管理装置10aは、ポリシー情報取得部11、要求情報取得部12a、選択部13a、要求部14、情報収集部15、送受信部16、無線サービスAP情報データベース20、AP使用状況情報データベース21、AP性能情報データベース22、ポリシー情報データベース23を備える。
要求情報取得部12aは、無線通信サービスを提供する複数のサービスプロバイダの各々の運営者の操作入力を受けて、当該サービスプロバイダが要求する無線通信サービスの要求情報を取得する。第2の実施形態における要求情報は、例えば、図22に示すように、「サービスプロバイダID」、「サービス提供エリア」、「サービス提供端末数」、「データレート」、「許容遅延時間」の項目を含んでおり、第1の実施形態の要求情報と異なり、「無線規格」の項目を含まない。
要求情報取得部12aは、取得した要求情報を選択部13aに出力する。なお、第1の実施形態の要求情報取得部12と同様に、要求情報取得部12aが、複数のサービスプロバイダの操作装置と通信回線により接続されていてもよい。こうすることで、各サービスプロバイダの運営者が各々の操作装置を操作して要求情報を送信し、要求情報取得部12aが、当該要求情報を通信回線を通じて受信して取得することができる。それにより、各サービスプロバイダの運営者が、遠隔で無線通信サービスの配備の要求を行うことが可能となる。
選択部13aは、要求情報取得部12aが出力する要求情報と、AP使用状況情報データベース21のAP使用状況情報テーブル210に記憶されている情報と、AP性能情報データベース22のAP性能情報テーブル220に記憶されている情報と、ポリシー情報データベース23のポリシー情報テーブル230に記憶されている情報とに基づいて、要求情報が示す条件を満たすAP30のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を選択する。第1の実施形態の選択部13と異なる構成は、図10のステップS202,S204,S206,S208、及び図17のステップS302,S304,S306,S308の判定において、要求情報に「無線規格」の項目が含まれていないため、無線規格を考慮せずに、要求情報に示す条件を満たすハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が存在するか否かを判定する点である。
(第2の実施形態における無線通信サービスの配備処理)
前提としていずれのAP30においても無線通信サービスが提供されていないものとする。また、既に、ポリシー情報取得部11が、無線インフラ事業者の操作入力を受けて、ポリシーAが選択されている状態であるとする。ステップS101において、サービスプロバイダaの運営者が操作入力を行い、要求情報取得部12aが、図22に示す要求情報(その4)を取得して選択部13aに出力したとする。ステップS102における情報収集部15によるAP使用情報とAP性能情報の収集の処理の完了後のAP使用状況情報テーブル210は、図5に示す初期状態のままであり、AP性能情報テーブル220には、図6に示す情報が書き込まれる。
ポリシー情報テーブル230は、図7に示すポリシーAが「選択中」の状態であるため、選択部13aは、ポリシーAのサブルーチンの処理を開始する。ステップS201の処理において、選択部13aが、AP使用状況情報テーブル210を参照する。AP使用状況情報テーブル210には、使用中のハードウェア無線処理部41−1,41−2,…が示されていないため、選択部13aは、ステップS202、ステップS204、ステップS206においてもNOの判定を行う。
ステップS208の処理において、選択部13aは、無線規格を考慮しないため、AP性能情報テーブル220から以下の3つのレコードを検出する。すなわち、「AP−ID」の項目が「AP1」については、「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF1」のうち無線規格が「802.11g」、及び「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF2」の無線規格が「802.11p」の2つのレコードである。これら2つのレコードは、「サービス提供エリア」、「サービス提供端末装置数」、「データレート」、「許容遅延時間」の項目により示される条件を満たしている。
また、「AP−ID」の項目が「AP2」については、「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF2」の無線規格が「802.11p」のレコードである。このレコードも、「サービス提供エリア」、「サービス提供端末装置数」、「データレート」、「許容遅延時間」の項目により示される条件を満たしている。
ここで、説明の便宜上、「AP−ID」の項目が「AP1」のAP30を、AP30Aaとし、「AP2」のAP30を、AP30Baとする。また、「AP−ID」の項目が「AP1」であって、「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF1」のハードウェア無線処理部41−1,…を、ハードウェア無線処理部41Aa−1とし、「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41−1,…を、ハードウェア無線処理部41Aa−2とする。また、「AP−ID」の項目が「AP2」であって、「ハードウェア無線処理部ID」の項目が「AP1−RF2」のハードウェア無線処理部41−1,…を、ハードウェア無線処理部41Ba−2とする。
選択部13aは、3つのハードウェア無線処理部41Aa−1,41Aa−2,41Ba−2が、要求情報(その4)が示す条件を満たしているため、ステップS208の判定において、YESの判定を行い、処理を、ステップS209に進める。選択部13aは、3つのレコードのうち、要求情報(その4)の「サービス提供エリア」である「エリアA」に最も近い方を選択する。ハードウェア無線処理部41Ba−2は、エリアBに設置されているため、エリアAに設置されているハードウェア無線処理部41Aa−1とハードウェア無線処理部41Aa−2が「エリアA」に最も近い方として選択される。
2つのハードウェア無線処理部41Aa−1,41Aa−2のいずれを選択するかは、任意に定められるものであり、ここでは、例えば、より「データレート」の高い「802.11g」の無線規格の無線通信サービスを提供可能なハードウェア無線処理部41Aa−1を選択部13aが選択するものとする。
要求部14は、選択部13が選択したAP30Aaのハードウェア無線処理部41Aa−1に対する要求信号を生成し、送受信部16を通じて送信する。当該要求信号は、AP30Aaを宛先とする情報と、ハードウェア無線処理部41Aa−1に対して要求情報(その4)が示す無線通信サービスを配備させる情報が含まれている。
AP30Aaの制御部31Aaは、送受信部32Aaを通じて要求信号を受信すると、停止中のハードウェア無線処理部41Aa−1に対して起動指示信号を出力する。ハードウェア無線処理部41Aa−1は、当該起動指示信号を受けて起動する。制御部31Aaは、ソフトウェア無線処理部45Aaに対して無線規格が「802.11g」のソフトウェアのプログラムデータを記憶部46Aaから読み出させて実行させる開始指示信号を出力する。ソフトウェア無線処理部45Aaは、当該開始指示信号を受けて記憶部46Aaから無線規格が「802.11g」のソフトウェアのプログラムデータを読み出して実行を開始し、「エリアA」をサービス提供エリアとして100台の無線端末装置50を収容する。
当該プログラムデータを実行することにより、ソフトウェア無線処理部45Aaは、ハードウェア無線処理部41Aa−2が出力する信号を802.11gの無線規格にしたがって復調する。また、ソフトウェア無線処理部45Aaは、ハードウェア無線処理部41Aa−2に出力する信号を802.11gの無線規格にしたがって変調する。このようにして、要求情報(その4)により要求された無線通信サービスが開始される。
選択部13aは、図8のステップS105において配備を行ったと判定して、配備した結果を、無線サービスAP情報データベース20の無線サービスAP情報テーブル200に情報に書き込む。図23は、選択部13aが、配備した結果を書き込んだ後の無線サービスAP情報テーブル200のデータ構成を示す図である。図23に示すように、サービスプロバイダaからの要求情報(その4)にしたがって、選択部13aが行った配備にしたがった情報が記憶されている。また、無線サービス要求情報サブテーブル201には、サービスプロバイダaからの要求情報(その4)に含まれる情報が書き込まれる。
上記の第2の実施形態の構成により、AP管理装置10において、要求情報取得部12は、要求情報を取得する。当該要求情報には、無線規格が指定されていないため、選択部13は、AP性能情報と、AP使用状況情報とに基づいて、要求情報が示す条件を満たすAP30を選択する際に、より多くの候補から、例えば、より通信品質の高い無線通信サービスを提供するAP30を選択することができる。これにより、多くの種類の無線規格のサービスを要求に応じて動的、かつ適切に提供し、また、管理を容易にすることが可能となる。
なお、上記の第1及び第2の実施形態において、AP性能情報テーブル220は、AP30を識別する「AP−ID」と、AP30の位置を示す「設置エリア」及び「位置情報」と、AP30が備えるハードウェア無線処理部41−1,41−2,…を識別する「ハードウェア無線処理部ID」の項目を有する。また、これらの項目に加えて、AP性能情報テーブル220は、提供する無線通信サービスの無線規格を示す「無線規格」と、提供する無線通信サービスの提供エリアを示す「サービス提供エリア」と、提供する無線通信サービスの品質を示す「データレート」、及び収容端末装置数ごとの「保証遅延時間」の項目を有する。しかしながら、本発明の構成は、当該実施の形態に限られず、例えば、提供する無線通信サービスの品質を示す項目として、「データレート」や「保証遅延時間」以外の項目、例えば、対応周波数等の項目を含んでいてもよい。また、要求情報においても無線通信サービスの品質の項目である「データレート」や「許容遅延時間」以外の他の無線通信サービスの品質の項目を含むようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2の実施形態において、図10のステップS202、S208、及び図17のS302、S306において、最も近いAP30が複数存在する場合、いずれか1つを選択するかは任意に定められるものとし、第2の実施形態において、一例として「データレート」の高い方を選択するとしたが、「データレート」以外の基準に基づいて選択するようにしてもよい。
また、上記の第1及び第2の実施形態において、図6に示すAP性能情報テーブル220では、保証遅延時間の項目が、収容する無線端末装置50の台数が、100台、200台、300台の3つの項目から構成されているが、より多くの項目から構成されていてもよい。
また、上記の第1及び第2の実施形態において、AP30は、SDRに対応する無線処理部40を備えた構成として記載しているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。AP30が、SDRに対応していない、例えば、図24に示すような無線規格ごとに高周波部、変換器、デジタル信号処理部を有する無線処理部を備えるアクセスポイントであってもよいし、そのようなアクセスポイントと、AP30とがAP管理システム1において混在していてもよい。
上述した実施形態におけるAP管理装置10,10a、及びAP30,30Aa,30Ab,30Ba,30Bbをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。