JP6654355B2 - 金ナノ粒子の製造方法、金ナノ粒子、Liイオン電池用正極活物質の製造方法、およびLiイオン電池用正極活物質 - Google Patents

金ナノ粒子の製造方法、金ナノ粒子、Liイオン電池用正極活物質の製造方法、およびLiイオン電池用正極活物質 Download PDF

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Description

本発明は、金ナノ粒子の製造方法、Liイオン電池用正極活物質の製造方法、およびLiイオン電池用正極活物質に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、大型化が進んでおり、主に電気自動車やハイブリットカーへの利用のための研究が行われている。このリチウムイオン二次電池の大型化に伴い、正極活物質の材料としてLiFePOが検討されている。このLiFePOの欠点は、低電子伝導性である。この欠点を補うために、LiFePOを微細粒子化すること、LiFePOにカーボンをコーティングすることが、主として研究されてきた。
本発明者らは、さらなる電子伝導性の向上を目的とし、表面にカーボン微粒子をコーティングしたLiFePOのカーボン微粒子コーティング層中に金ナノ粒子を生成させることによるLiFePOの低電子伝導性の改良を試みた。しかしながら、表面にカーボン微粒子をコーティングしたLiFePOのカーボン微粒子コーティング層中に金ナノ粒子を生成させる方法は、いまだ報告されていない。
水にカーボン粒子を分散させたカーボン粒子分散液に、コア粒子を混合して、コア粒子担持カーボンブラック触媒を作製する混合工程と、前記コア粒子担持カーボンブラック触媒に銅のアンダーポテンシャル析出を行い、前記コア粒子の表面に銅原子層が形成されたCu原子層担持カーボンブラック触媒を作製するUPD工程と、所定の白金化合物を溶解させた白金溶液にCu原子層担持カーボンブラック触媒を浸して、コア粒子の表面に白金シェル層が形成されたPtシェル/金属コア粒子担持カーボンブラック触媒を作製するPtシェル層作製工程とを含むことを特徴とするコアシェル粒子の製造方法(特許文献1の請求項6)は、開示されているが、この製造方法に使用されるコアシェル粒子は、所定の金化合物とポリビニルアルコールとを水に溶解させて試料溶液を作製する試料溶液作製工程と、試料溶液に一酸化炭素をバブリングして、金コア粒子を作製するAuコア粒子作製工程とを含むことを特徴としている(特許文献1の請求項1)。この金コア粒子は、ポリビニルアルコールで被覆されており、リチウムイオン二次電池の動作電圧では、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命等を損なってしまう、という問題がある。
一般に、金ナノ粒子を従来の化学還元法で作製するには、クエン酸のような還元剤と分散剤の効果を持つ化合物(以下、添加物という)を添加する必要があった。リチウムイオン二次電池のような動作電圧が高い電池の材料として使用する場合、添加物が短期または長期で分解し、電池の寿命に影響を及ぼす可能性があるため、添加物が残らないことが望ましい。例えば、加熱することにより、添加物を取り除くことができるが、電池の活物質に添加物を除去できる程度の加熱を行うと、活物質の粒子成長や形状の変化を招くおそれがある。
特開2012−102345号公報
本発明は、常温で、還元剤や保護剤を使用することなく、金イオンから金ナノ粒子を作製することを目的とする。合わせて、常温で、還元剤や保護剤を使用することなく、金イオンから金ナノ粒子を作製し、この金ナノ粒子を、LiFePO表面に付着(担持)させることや、LiFePO表面のカーボン層中に分散させることを目的とする。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した金ナノ粒子の製造方法、金ナノ粒子、Liイオン電池用正極活物質の製造方法、Liイオン電池用正極活物質、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在するカーボン膜またはカーボン粒子の製造方法、および膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在するカーボン膜またはカーボン粒子に関する。
〔1〕塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、金ナノ粒子を合成することを特徴とする、金ナノ粒子の製造方法。〔2〕表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、LiFePO粉末の表面またはLiFePO粉末の表面に存在するカーボン層中で、金ナノ粒子を合成することを特徴とする、金ナノ粒子の製造方法。
〔3〕水と相溶性のある極性溶媒が、水酸基を有する、上記〔1〕または〔2〕記載の金ナノ粒子の製造方法。
〔4〕水と相溶性のある極性溶媒が、炭素数が3個以上のアルコールである、上記〔3〕記載の金ナノ粒子の製造方法。
〔5〕炭素数が3個以上のアルコールが、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、および2−メチル−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種である、上記〔4〕記載の金ナノ粒子の製造方法。
〔6〕超音波の周波数が、100〜1000kHzである、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の金ナノ粒子の製造方法。
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の金ナノ粒子の製造方法で製造される、金ナノ粒子。
〔8〕表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、LiFePO粉末の表面またはLiFePO粉末の表面に存在するカーボン層で、金ナノ粒子を合成することを特徴とする、表面に、金ナノ粒子とカーボン層とが存在するLiFePO粉末であるLiイオン電池用正極活物質の製造方法。
〔9〕表面にカーボン層が存在し、カーボン層に金ナノ粒子が存在するLiFePO粉末であることを特徴とする、Liイオン電池用正極活物質。
〔10〕上記〔9〕記載のLiイオン電池用正極活物質を酸処理して、LiFePOを除去する、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子の製造方法。
〔11〕表面にカーボン層が存在する基材、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、基材の表面または基材の表面に存在するカーボン層中で、金ナノ粒子を合成した後、基材を酸処理して、基材を除去する、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子の製造方法。
〔12〕膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子。
本発明〔1〕によれば、常温で作製された、表面に還元剤や保護剤が存在しない金ナノ粒子を簡便に製造することができる。
本発明〔2〕によれば、LiFePO粉末の表面、またはLiFePO粉末の表面に存在するカーボン層表面に、常温で作製された、表面に還元剤や保護剤が存在しない金ナノ粒子を簡便に製造することができる。
本発明〔7〕によれば、常温で作製された、表面に還元剤や保護剤が存在しない金ナノ粒子を提供することができる。
本発明〔8〕によれば、表面に、常温で作製された、表面に還元剤や保護剤が存在しない金ナノ粒子と、カーボン層とが存在するLiFePO粉末であるLiイオン電池用正極活物質を、簡便に製造ことができる。
本発明〔9〕によれば、表面に、金ナノ粒子とカーボン層とが存在するLiFePO粉末である、LiFePOの低電子伝導性が改良されたLiイオン電池用正極活物質を提供することができる。
本発明〔10〕または〔11〕によれば、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子を製造することができる。本発明〔12〕によれば、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子を提供することができる。
超音波を用いた製造装置の概略図の一例である。 実施例1で作製した金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例3で使用した表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例3で作製した表面に、金ナノ粒子とカーボン層とが存在するLiFePO粉末の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例3の表面に金ナノ粒子とカーボン層が存在するLiFePO粉末を、酸で処理し、LiFePOを溶解した後の残留物の透過型電子顕微鏡写真である。 吸収スペクトルの測定結果を示す図である。 金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し、超音波照射を行った溶液の濾液の吸収スペクトルの測定結果を示す図である。 金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し、超音波照射を行ったLiFePO粉末の透過型電子顕微鏡写真である。 X線回折測定の結果を示す図である。 実施例3で合成した活物質を測定するために用いた電気化学セルの構成図である。 実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質の充放電測定の結果を示す図である。 比較例2のLiイオン電池用正極活物質の充放電測定の結果を示す図である。 実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質のナイキストプロットである。 比較例2のLiイオン電池用正極活物質のナイキストプロットである。 実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定結果を示す図である。 比較例2のLiイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定結果を示す図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
〔金ナノ粒子の製造方法(1)〕
本発明の金ナノ粒子の製造方法は、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、金ナノ粒子を合成することを特徴とする。ここで、常温とは、5〜40℃をいう。
塩化金酸(テトラクロリド金(III)酸、HAuCl)は、金ナノ粒子の原料である。
水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水等が挙げられ、無機イオン不純物混入回避の観点から、イオン交換水、純水等が好ましい。
水溶液中での塩化金酸の濃度は、0.2〜340g/dmが好ましい。0.2g/dmより低いと反応の進行が遅く合成に時間がかかりやすくなり、340g/dmより高いと生成した金ナノ粒子が凝集しやすくなってしまう。ただし、上記は、超音波発生装置の出力が200Wのときの条件であり、出力を変更するときにはこの限りではない。
水と相溶性のある極性溶媒は、金ナノ粒子の合成を促進する。詳しくは後述する。ここで、「水と相溶性のある極性溶媒」とは、室温で、水溶液全体に対して2質量%より多く溶解可能な極性溶媒をいう。この水と相溶性のある極性溶媒としては、水に加えて、アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトニトリルアセトン、酢酸;、メチルホルムアミド、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−プロパノール、N−プロパン酸、N−プロピルアミン、N−ブタノール、N−ブタン酸、N−ブチルアミン、N−ペンタノール、N−ペンタン酸、N−ペンチルアミン等が挙げられ、水酸基を有するものが好ましく、炭素数が3個以上のアルコールが、より好ましく、炭素数が3個以上の直鎖状または分岐状のアルコールが、さらに好ましい。炭素数が3個以上のアルコールとしては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、および2−メチル−2−プロパノール等が、さらに好ましい。水との相溶性の観点から、炭素数が3個以上のアルコールは、炭素数が6個以下であることが、より好ましい。水と相溶性のある極性溶媒は、単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。なお、水素ガスなどの還元性ガスを用いると超音波照射で還元がおこるため、極性溶媒を使用しなくてもよい。
水溶液中での水と相溶性のある極性溶媒の濃度は、水溶液全体の0.05〜50質量%であると好ましく、0.1〜20質量%であると、より好ましく、0.2〜10質量%であると、さらに好ましい。0.05質量%より少ないと添加の効果が現れず、50質量%より高いと原材料の溶解の妨げとなる。ただし、超音波照射により還元作用を示すガスを照射時の雰囲気として用いた場合は、極性溶媒を必ずしも使用する必要はない。
水溶液は、水中に、上記の塩化金酸を添加後、撹拌しながら溶解し、さらに水と相溶性のある極性溶媒を添加し、撹拌することにより作製することができる。なお、上記は一般的な作製方法であり、各原料を添加する順序は限定されない。撹拌は、プロペラ撹拌等の常法によればよい。また、水溶液は、脱気または脱酸素をすると、酸性化の抑止および酸化剤となるラジカル種の生成の抑制の観点から好ましい。
超音波の周波数は、100〜1000kHzであると好ましく、200〜600kHzであると、より好ましい。100kHzより低いと、水溶液を撹拌する効果はあるものの、キャビテーションのサイズが大きいため化学反応作用が小さく、1000kHzより高いとキャビテーションが起こり難く、起こすためには高い出力を要することからエネルギー効率的に好ましくない。
図1に、超音波を用いた製造装置の概略図の一例を示す。1は多周波超音波発生装置(本発明で使用した装置は、カイジョー製のTA−4021)、2は振動子、3は平底フラスコ、4は撹拌機、5はガス注入口、6は水槽、7は水溶液、8はガス出口である。なお、本発明を実施するための装置としては、水溶液に超音波を照射することができるものであれば、特に限定されない。例えば、溶液に振動子を入れて照射してもかまわない。
本発明の金ナノ粒子の製造方法は、以下の反応式により起こると考えられる。
HAuCl → Au + HCl + 3/2Cl
以下の反応式に示すように、水に超音波を照射すると、水が分解し、水素ラジカルとヒドロキシルラジカルが生成する。還元剤である水素ラジカルは、水素となり、水溶液外に放出されるが、酸化剤であるヒドロキシルラジカルは過酸化酸素となって水溶液内に残留する。
O→H・ +OH・
2H・ →H
2OH・ →H
なお、上記中「・」は、ラジカルを示し、特記しない限り、以下の反応式においても同様である。
ここで、水と相溶性のある極性溶媒は、超音波を照射すると、水溶液中や原料表面で起こるキャビティーの圧壊の際にHラジカルを発生させ、このHラジカルが還元剤となり、金イオンを還元する。また、水から生じるOHラジカルからHが発生することを抑制し、さらにはOHラジカルによる酸化作用も抑制するため、LiFePO中のFeの2価から3価へ酸化することを抑制する。以下に、水と相溶性のある極性溶媒にアルコールを用いる場合の反応式を示す。アルコールからも有機ラジカル(C2n+1O・)が生成し、還元剤として働く。
2n+1OH→C2n+1O・+H・
OH・+H・→H
水と相溶性のある極性溶媒として、例えば2−プロパノール等を用いると、キャビティーの圧壊の際にHラジカルと有機ラジカルを発生させ、主に有機ラジカルが還元剤となり、金イオンを金へ還元する。また、正極材料(LiFePO)が存在する場合、水と相溶性のある極性溶媒が、キャビティー圧壊の際に有機ラジカルとなり、これが水から生じるOHラジカルによる、Feの2価から3価への酸化を抑制する。このように本発明の製造方法によれば、高価な還元剤であるアスコルビン酸ナトリウム等を用いることなく、安価で容易に、かつ環境に低負荷で、正極材料の特性を低下することなく、金ナノ粒子を得ることができる。他方、水と相溶性のある極性溶媒として、エタノールを使用しても構わないが、エタノールから得られる有機ラジカルはアルキル基の長さが短いため、それよりも長いプロパノールから生成した有機ラジカルと比較するとその還元力は小さい。そのため、2−プロパノール等アルキル基がある程度の長さを持つものが好ましい。2−プロパノールは超音波照射により、H・と有機ラジカル(R・)に分解し、R・(C2n+1O・)も還元剤として働き、金イオンを還元する。以下に、超音波照射を用いた、金ナノ粒子還元合成の反応式を示す。
Aun++H・→Au(n−1)++H
Aun++C2n+1O・→Au(n−1)++H+C2n
(式中、n=1,2,3である)
本発明の製造方法において、超音波を照射するときの雰囲気としては、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気、水素、一酸化炭素等の還元性雰囲気、大気雰囲気が挙げられ、キセノン、クリプトン、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の希ガスが好ましい。
上記の製造方法により、常温で作製された、表面に還元剤や保護剤が存在しない金ナノ粒子を簡便に得ることができる。
〔金ナノ粒子の製造方法(2)〕
もう一つの本発明の金ナノ粒子の製造方法は、表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、LiFePO粉末の表面またはLiFePO粉末の表面に存在するカーボン層中で、金ナノ粒子を合成することを特徴とする。この製造方法で得られる表面に、金ナノ粒子とカーボン層とが存在するLiFePO粉末は、Liイオン電池用正極活物質として好適に使用することができる。すなわち、表面に、金ナノ粒子とカーボン層とが存在するLiFePO粉末であるLiイオン電池用正極活物質の製造方法は、表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、LiFePO粉末の表面またはLiFePO粉末の表面に存在するカーボン層中で、金ナノ粒子を合成することを特徴とする。還元性のガスを用いた雰囲気で超音波照射を行う場合には、極性溶媒を必要としない。表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末以外については、上述の金ナノ粒子の製造方法(1)に記載したとおりである。ここで、カーボン層としては、LiFePO粉末の表面と平行に配向するグラフェンの積層体や、グラファイト微粒子の集合層、有機物を加熱することで残留する炭素等が、挙げられる。
表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末は、市販品を使用することができる。カーボン微粒子に金ナノ粒子を分散させる場合には、アセチレンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノファイバー等が挙げられる。
LiFePO粉末は、充放電容量の観点から、オリビン型であると好ましく、好ましい組成は、LiFePO(式中、x=0〜1を示す)である。ここで、Li、Fe、P、Oの定量分析は、原子吸光分析、ICP質量分析法で行う。なお、例えば、結晶構造におけるFeのサイトの一部を、Mn、Co、Ni、Al、Mg、Cu、Zn、Ge等の他の元素で置換してもよい。
例えば、Mn、Mg、Ni、Co、Al、Cu、Zn、Geは、Feと同等のイオン半径を有し、かつFeとは異なる電位で酸化還元するものである。そのため、Feサイトの一部を、これらの元素の1種以上で置換することにより、リチウム鉄複合酸化物の結晶構造の安定化を図ることができる。したがって、リチウム鉄複合酸化物は、Feのサイトの一部を他の元素Mで置換した、組成式LiFe1−yPO(ここで、Mは、Mn、Mg、Ni、Co、Al、Cu、Zn、Geから選ばれる少なくとも1種であり、y=0〜0.2である)で示されるものとすることが望ましい。特に、資源的にも豊富で安価であるという理由から、置換元素MはMnとすることが望ましい。
LiFePOの形態は、粉末であり、上記粉末の平均粒径は、好ましくは0.01〜2μmであり、より好ましくは、0.1〜1μmである。ここで、平均粒径は、JEOL製走査電子顕微鏡(型番:JSM−5900)によるSEM写真の観察から算出する。また、LiFePO粉末の形状は、球状、ひし型状、ロット状等が挙げられ、好ましくは、球状、ロット状である。また、比表面積が大きければ反応面積が大きくなることからLiFePO粉末の比表面積は、3〜70m/gが好ましく、6〜40m/gが、より好ましい。
カーボン層を形成するカーボンの含有量は、表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末:100質量部に対して、1〜5質量部であると好ましく、1〜3質量部であると、より好ましい。1質量部より少ないと、粒子表面全体に炭素が分布しにくく、5質量部より多いと無駄になるカーボン微粒子が多くなってしまいやすい。ここで、カーボンの定量は、表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末を、4mol/dmの塩酸に浸漬してLiFePOを溶解し、吸引濾過後、乾燥する。このときの残留分の質量をカーボン微粒子量として、処理前の表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末の質量との比較から求める。
この金ナノ粒子の製造方法により、LiFePO粉末の表面、またはLiFePO粉末の表面に存在するカーボン層に、常温で作製された、表面に還元剤や保護剤が存在しない金ナノ粒子を簡便に製造することができる。
また、このLiイオン電池用正極活物質の製造方法で得られるLiイオン電池用正極活物質は、高速充放電(例えば、6分間で充放電を行う10Cレート)に適している。
本発明の方法で製造されたLiイオン電池用正極活物質を用いて、リチウムイオン電池用の正極を構成するには、例えば、Liイオン電池用正極活物質を、そのまま活物質として用い、その他については従来公知の正極と同様に、バインダーや、必要に応じて更に炭素材料などの導電助剤を含有する正極スラリーの成形体とすればよい。また、必要に応じて、これらの正極スラリーを、集電体となる導電性基体の片面または両面に、正極活物質層として形成すればよい。
本発明の方法で製造されたLiイオン電池用正極活物質を用いたリチウムイオン電池用の正極を用いてリチウムイオン電池を構成する際には、負極、セパレーター、非水電解液、外装体などの各種構成については特に制限はなく、従来公知のリチウムイオン電池と同様の構成を採用することができる。
本発明の方法で製造されたLiイオン電池用正極活物質は、電池電極、二次電池用電極の正極活物質として有効に使用される。特に、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池等の非水電解液二次電池用正極活物質として極めて有効であり、リチウム一次電池用正極活物質としても有効である。本発明の電極活物質を用いた非水電解液二次電池は、大きな充放電容量と高いエネルギー密度を持ち、優れたサイクル特性、安全性等を発現し、中・大型二次電池や車載用二次電池の正極活物質として有効に適用できる。
〔膜中に金ナノ粒子が存在するカーボン膜の製造方法〕
上述の表面にカーボン層が存在し、カーボン層中に金ナノ粒子が存在するLiFePO粉末を、酸処理し、LiFePOを除去することにより、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子を得ることができる。
〔カーボン膜またはカーボン粒子の製造方法〕
上記は、カーボン層がLiFePO粉末上に存在する場合について説明したが、本発明は、カーボン層がLiFePO粉末以外の基材上に形成されている場合であっても、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子を製造することができる。すなわち、表面にカーボン層が存在する基材、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を含有する水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、基材の表面または基材の表面に存在するカーボン層中で、金ナノ粒子を合成した後、基材を酸処理して、基材を除去する、膜中または粒子中に金ナノ粒子が存在する、カーボン膜またはカーボン粒子の製造方法も、本発明に含まれる。ここで、基材には、酸処理やアルカリ処理で除去可能なものを使用することができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量基準の%である。
参考例1〕
(金ナノ粒子の作製)
塩化金酸0.0206gをイオン交換水50cmに溶解させ、1mmol/dm塩化金酸水溶液を調製した。次に、イオン交換水40cm、2−プロパノール(99.9%)5cmを混合した溶液を平底フラスコに投入し、アルゴンガスを30分間流入した(100cm/min)。
この溶液に塩化金酸水溶液を5cm投入し、図1に示す装置を用い、超音波(200kHz)を20分照射することで金ナノ粒子を作製した。
参考例2〕
塩化金酸0.0206gをイオン交換水50cmに溶解させ、1mmol/dm塩化金酸水溶液を調製した。次に、イオン交換水40cm、エタノール(99.5%)5cmを混合した溶液を平底フラスコに投入し、アルゴンガスを30分間流入した(100cm/min)。
この溶液に塩化金酸水溶液を5cm投入し、図1に示す装置を用い、超音波(200kHz)を12分照射することで金ナノ粒子を作製した。
〔実施例3〕
(金ナノ粒子を担持した正極活物質の作製)
塩化金酸0.0206gをイオン交換水50cmに溶解させ、1mmol/dm塩化金酸水溶液を調製した。次に、イオン交換水40cm、2−プロパノール(99.9%)5cmを混合した溶液を平底フラスコに投入し、アルゴンガスを30分間流入した(100cm/min)。この溶液に塩化金酸水溶液5cm、および正極活物質(LiFePO/C)0.1gを投入し、図1に示す装置を用い、超音波(200kHz)を20分照射することで、粒子表面に金ナノ粒子を担持した正極活物質を作製した。LiFePOの平均粒子径は、約200nmであり、カーボン層の厚さは、約15nmであった。
〔比較例1〕
(アルコール添加なしの場合での金ナノ粒子の作製)
アルコール添加による効果を調べるため、イオン交換水のみの場合での金ナノ粒子の作製を行った。まず、塩化金酸0.0206gをイオン交換水50cmに溶解させ、1mmol/dm塩化金酸水溶液を調製した。次に、イオン交換水45cmを平底フラスコに投入し、アルゴンガスを30分間流入した(100cm/min)。この溶液に塩化金酸水溶液を5cm投入し、図1に示す装置を用い、超音波(200kHz)を12分照射することで金ナノ粒子を作製した。
〔比較例2〕
実施例3で使用した表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末は、市販品(TATUNG FINE CHEMICALS CO.製、品名:p13f、)(カーボン含有量1〜3%)を用いた。
〔比較例3〕
(超音波の影響)
金ナノ粒子の担持に超音波が作用するのかを調べるために、金ナノ粒子溶液に正極活物質を添加し、その後、その溶液に超音波照射を行った。まず、塩化金酸0.0206gをイオン交換水50cmに溶解させ、1mmol/dm塩化金酸水溶液を調製した。次に、イオン交換水40cm、2−プロパノール(99.9%)5cmを混合した溶液を平底フラスコに投入し、アルゴンガスを30分間流入した(100cm/min)。この溶液に、塩化金酸水溶液5cmを投入し、図1に示す装置を用い、超音波(200kHz)を20分照射することで、金ナノ粒子溶液を作製した。
この溶液に正極活物質(LiFePO/C)0.1gを投入し、超音波(200kHz)を20分照射した。このように、あらかじめ超音波照射により金ナノ粒子溶液を作製し、この金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し超音波照射を行うことで、すでに生成した金ナノ粒子が超音波による撹拌や衝撃などの物理的作用によりカーボン内に分散するか調べた。
〔透過型電子顕微鏡による観察〕
図2に、実施例1で得られた金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。図3に、実施例3で使用した表面をカーボン層で被覆したLiFePO粉末の透過型電子顕微鏡写真を、図4に、実施例3で作製した表面のカーボン層に金ナノ粒子が分散して存在するLiFePO粉末の透過型電子顕微鏡写真を示す。図8に、比較例3で作製した、金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し、超音波照射を行ったLiFePO粉末の透過型電子顕微鏡写真を示す。
実施例3の表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末を、4mol/dmの塩酸で処理し、LiPOを溶解した後、残留物を透過型電子顕微鏡で観察した。図5の(A)、(B)に、実施例3の表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末を、酸で処理し、LiPOを溶解した後の残留物の透過型電子顕微鏡写真を示す。図5の(A)が金ナノ粒子を含有したカーボン膜の一例でで、(B)が金ナノ粒子を含有したカーボン粒子後一例である。
〔吸収スペクトルの測定〕
実施例1で金ナノ粒子を作製する前と後の水溶液、比較例1、2の水溶液を、(日本分光)製吸収スペクトル装置(型番:V−630iRM)で、測定した。図6に、結果を示す。また、比較例3で金ナノ粒子溶液および金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し、超音波照射を行った溶液を濾過した後の濾液を同様に測定した。図7に結果を示す。
〔X線回折の測定〕
実施例3の原料に用いた表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末、実施例3で得られたLiFePOを、リガク製X線回折装置を用いて、2θ:10〜70°の範囲でX線回折測定を行った。図9に、その結果を示す。図9の上の線が、実施例3の原料に用いた表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末の結果であり、図9の中央の線が、実施例3で得られたLiFePOの結果であり、図9の下の線は、データベースに記載されているLiFePOの回折図である。
〔Liイオン電池用正極活物質の充放電測定〕
図10に、電池特性評価に用いた電気化学セルの構成図を示す。図10では、9は作用極、10は正極および集電体、11は不織布、12はセパレーター、13は負極および集電体、14は対極、15は電解液を示す。電極面積は1cmとした。合成したLiFePO粉末、アセチレンブラック(導電助剤)、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を、質量比85:8:7で混合したもの(総量:0.1g)を正極10とした。負極13には、金属リチウムを用い、電解液15には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比1:1で混合した溶液に電解質として1mol/dmのLiPFを溶解した有機溶媒を用いた。集電体11には、アルミニウム箔、セパレーター12には、ポリプロピレン製メッシュ、さらに三井石油化学工業製不織布11を用いた。
充放電測定は、充放電測定装置(北斗電工(株)製 HJ−101 SM6)を用いて行った。測定条件は、30℃の温度条件下、2端子法で、充放電レート0.2C(理論容量分を充放電するのにかかる時間を5時間とするレート)〜10C、電圧範囲2.0〜4.0Vで、充電・放電を17回繰り返した。図11に、実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質の充放電測定の結果を、図12に、比較例2のLiイオン電池用正極活物質の充放電測定の結果を示す。
〔Liイオン電池用正極活物質の交流インピーダンス測定〕
上述の充放電測定と同様にして、電気化学セルを作製し、電気化学セルの交流インピーダンスを行った。測定は、0.1Hz〜100kHzの範囲で行った。図13に、実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質のナイキストプロットを、図14に、比較例2のLiイオン電池用正極活物質のナイキストプロットを示す。
〔Liイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定〕
上述の充放電測定と同様にして、電気化学セルを作製し、0.5Cで1サイクル;1.0C、3.0C、5.0Cで、それぞれ5サイクル。10Cで1サイクル充放電試験を行った。図15に、実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定結果を、図16に、比較例2のLiイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定結果を示す。
《まとめ》
〔透過型電子顕微鏡による観察〕
実施例1で作製した金ナノ粒子の観察結果を図2に示す。図2からわかるように、作製した金ナノ粒子は、分散して存在しており、粒径10nm程度の球状粒子であった。図3に、実施例3で使用した、表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末の観察結果を示す。LiFePO粒子の表面にカーボン層が一様にコーティングされているのが確認できた。図4に、実施例3で作製した表面に、金ナノ粒子とカーボン層とが存在するLiFePO粉末の観察結果を示す。カーボン層内に分散して金ナノ粒子が担持していた。また、金ナノ粒子は粒径10nm程度の球状粒子であった。実施例3で作製したLiFePO粉末を酸で処理し、LiFePOを溶解した後の残留物の観察結果を図5(A)、(B)に示す。残留物はカーボン及び金ナノ粒子であると考えられる。これはTEM観察結果からも確認できた。このように、酸でLiFePOを溶解させることで、金が分散したカーボンを得ることが可能である。また、金ナノ粒子が、カーボン層中に分散して存在していることが確認できた。このことから、金ナノ粒子は担持の際にカーボン中に入り込みやすいことが考えられる。
図8に、比較例3で作製した、金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し、超音波照射を行ったLiFePO粉末の観察結果を示す。LiFePO粒子表面のカーボン層にほとんど金ナノ粒子が担持していないことが確認できた。このことから、金ナノ粒子の担持は、超音波により金ナノ粒子が生成する過程でカーボン内に生成しやすく、金ナノ粒子が生成した後に超音波による撹拌や衝撃などの物理的作用によりカーボン内に分散するわけではない。
〔吸収スペクトルの測定〕
図6に、実施例1で金ナノ粒子を作製する前と後の水溶液、比較例1、2の水溶液の測定結果を示す。超音波照射前の溶液では、[AuCl–の吸光度ピークが217nm付近に確認できた。超音波照射後の溶液では、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴(SPR)由来の吸光度ピークが530nm付近に確認できた。比較例1では、[AuCl–由来の吸光度の減少及び金ナノ粒子由来の吸光度の増加が、少なかった。これは、水素ラジカルが不安定であり、水素ラジカルのほとんどがラジカル同士で反応し水素や水になることが原因である、と考えられる。また、過酸化水素とも反応する。したがって、水素ラジカルによる金の還元作用は非常に小さくなるため、金ナノ粒子の合成量は少なかった、と考えられる。
アルコールを添加した場合では、どちらの溶液もイオン交換水のみの場合より、[AuCl–の吸光度の減少及び金ナノ粒子由来の吸光度の増加がみられ、[AuCl]–の還元が促進されているのが確認できた。また両者を比較すると、2−プロパノールを添加した溶液では、より金ナノ粒子由来の吸光度が大きくなっていることが確認できた。これは、溶液中に溶けている有機溶質の疎水性が高いほど、気泡の界面や近傍に蓄積される有機溶質の量が増え、気泡圧壊時に発生する有機ラジカルが増加することにより還元速度が速くなるためである。
比較例3で金ナノ粒子溶液および金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し、超音波照射を行った溶液の濾液を同様に測定した。図7に、結果を示す。比較例3で、金ナノ粒子溶液に正極活物質を投入し超音波照射を行った溶液は、金ナノ粒子溶液の測定結果とほとんど違い見られず、金ナノ粒子が担持していないことが考えられる。このことから金ナノ粒子の担持は、超音波により金ナノ粒子が生成する過程でカーボン内に生成しやすく、金ナノ粒子が生成した後に超音波による撹拌や衝撃などの物理的作用によりカーボン内に分散したわけではない、と考えられる。
〔X線回折の測定〕
図9に、実施例3の原料に用いた表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末(LiFePO/C)、実施例3で得られたLiFePO(LiFePO/C・Au)の測定結果を示す。超音波照射後の結晶構造に変化がみられなかった。このことから、超音波照射によるLiFePOの結晶構造への影響はないと考えられる。
〔Liイオン電池用正極活物質の充放電測定〕
図11に、実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質の充放電測定の結果を、図12に、比較例2のLiイオン電池用正極活物質の充放電測定の結果を示す。
実施例3の電池では、充電及び放電の電位差を示す分極が抑制されていた。5.0Cレートにおける分極の値は容量20mAh/gの時では、比較例2の電池では0.410V、実施例3の電池では0.205Vであった.金ナノ粒子を担持することで電池の分極を半分に抑制することができた。また、放電電圧降下の抑制も確認できた。特に5.0Cや10Cといった高Cレートにおいては電圧降下の抑制が顕著にみられ、一定の電圧で充電、放電が進行しているのが確認できた。
〔Liイオン電池用正極活物質の交流インピーダンス測定〕
図13に、実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質のナイキストプロットを、図14に、比較例2のLiイオン電池用正極活物質のナイキストプロットを示す。それぞれの内部抵抗は、比較例2の電池では31.0Ω、実施例3の電池では21.8Ωであった。金ナノ粒子を担持することで電池の内部抵抗は、9.2Ω低下した。これは、正極活物質表面のカーボン層内に入り込んだ金ナノ粒子が導電パスを確保し、電子の出入りを手助けしたのではないかと考えられる。
〔Liイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定〕
図15に、実施例3で得られたLiイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定結果を、図16に、比較例2のLiイオン電池用正極活物質の充放電サイクルの測定結果を示す。2つの電池を比較すると高Cレートである10Cでは、実施例3(の電池の方が明らかに放電におけるエネルギー量が大きくなっていた。
1 多周波超音波発生装置
2 振動子
3 平底フラスコ
4 撹拌機
5 ガス注入口
6 水槽
7 水溶液
8 ガス出口
9 作用極
10 正極および集電体
11 不織布
12 セパレーター
13 負極
14 対極
15 電解液

Claims (7)

  1. 表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を水溶液全体の0.05〜50質量%含有し、塩化金酸の濃度が、0.2〜340g/dm である水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、LiFePO粉末の表面に存在するカーボン層中で、金ナノ粒子を合成することを特徴とする、金ナノ粒子の製造方法。
  2. 水と相溶性のある極性溶媒が、水酸基を有する、請求項1記載の金ナノ粒子の製造方法。
  3. 水と相溶性のある極性溶媒が、炭素数が3個以上のアルコールである、請求項2記載の金ナノ粒子の製造方法。
  4. 炭素数が3個以上のアルコールが、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、および2−メチル−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3記載の金ナノ粒子の製造方法。
  5. 超音波の周波数が、100〜1000kHzである、請求項1〜4のいずれか1項記載の金ナノ粒子の製造方法。
  6. 表面にカーボン層が存在するLiFePO粉末、塩化金酸、および水と相溶性のある極性溶媒を水溶液全体の0.05〜50質量%含有し、塩化金酸の濃度が、0.2〜340g/dm である水溶液に、常温で、超音波を照射しながら、LiFePO粉末の表面に存在するカーボン層中で、金ナノ粒子を合成することを特徴とする、表面に、金ナノ粒子とカーボン層とが存在するLiFePO粉末であるLiイオン電池用正極活物質の製造方法。
  7. 表面にカーボン層が存在し、カーボン層中に金ナノ粒子が存在するLiFePO粉末であることを特徴とする、Liイオン電池用正極活物質。
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