JP6652306B2 - 現像部材、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

現像部材、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真画像形成用の現像部材、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置に関する。
複写機やプリンタの如き電子写真画像形成装置は、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するために、トナーを表面に担持して現像領域まで搬送するための現像部材を具備している。特許文献1には、現像部材のトナー搬送力を向上させるために、現像部材の表面に導電部と誘電体部を有する現像部材が開示されている。このような現像部材では、誘電部に電荷を選択的に保持させることで、現像部材の表面近傍に多数の微小電界が形成される。そして、該微小電界によりトナーが現像部材に吸着し、トナーを良好に搬送することができる。上記導電部に使用する材料としては、体積固有抵抗が1012Ω・cm以下のゴム類に導電性フィラーを添加したものが開示されている。
特開平4−34472号公報
本発明者らが検討した結果、特許文献1に係る現像部材は、温度23℃、相対湿度50%といった一般的な環境下では表面の誘電部の存在により良好なトナー搬送力を有するものであった。しかしながら、例えば、温度35℃、相対湿度95%の如き高温高湿環境下においては、現像部材によるトナーに対する帯電付与性が低下し、また、トナーの搬送力も低下することがあった。
本発明は、高温高湿環境下におけるトナーへの帯電付与性とトナーの搬送力を高いレベルで具備した現像部材の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、基体と、該基体上の導電性弾性層と、該導電性弾性層上の複数の絶縁性ドメインと、を有する現像部材であって、該現像部材の表面は、該絶縁性ドメインの表面と、該導電性弾性層の該絶縁性ドメインで被覆されていない露出部分とを含み、該導電性弾性層は金属酸化物とリン酸ポリエステル化合物を含有している現像部材が提供される。
また本発明の他の態様によれば、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジであって、前記現像部材を有する電子写真プロセスカートリッジが提供される。更に本発明の他の態様によれば、前記現像部材を有する電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一態様によれば、高温高湿環境下においてもトナーに対する高い帯電付与性と優れたトナー搬送性とを備えた現像部材を提供することができる。
本発明に係る現像部材の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る現像部材の表面の部分図の一例である。 本発明に係る電子写真用画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る電子写真プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
本発明者らは、特許文献1に係る現像部材が、高温高湿環境下においてトナーへの帯電付与性とトナーの搬送性が低下する原因について検討した。特許文献1の導電性フィラーを含有する導電性弾性層の表面に誘電部と称される絶縁性ドメインが存在する現像部材では、絶縁性ドメインが帯電することにより誘電部と導電部との間で微小電界が生じ、その結果クーロン力やグラディエント力が生じて、現像部材のトナー搬送性が高まる。しかしながら、高温高湿環境下での水分の影響で誘電部の電気抵抗が低下すると、前記のクーロン力やグラディエント力が弱まり、現像部材のトナーの搬送性が低下すると考察した。また、現像部材の表面の導電部から、トナーの電荷が現像部材を経由して漏洩し易くなることによってトナーへの帯電付与性も低下すると考察した。即ち、トナーへの電荷の付与と電荷の漏洩が競争的に生じているものと推察した。
一方、導電性弾性層が金属酸化物を含有する現像部材では、より多くの電荷をトナーに付与できることが知られていることから、特許文献1の導電性弾性層中に前記金属酸化物を含有させてみたが、高温高湿環境下においては、やはりトナーへの帯電付与性やトナー搬送性が不十分であった。これは、高温高湿環境下ではトナーの電荷が現像部材を経由して漏洩することに変わりはなく、トナーへの帯電付与性を十分に高めることができないためと推察した。また、高温高湿環境下でトナーの搬送性が低下する理由は、特許文献1の現像部材での上記理由と同様であると推察した。
そこで、本発明者らは、更に検討を重ね、高温高湿環境下においても、トナーへの帯電付与性とトナーの搬送性を高いレベルで両立できる現像部材を見出した。即ち、本発明に係る現像部材は、基体と、該基体上の導電性弾性層と、該導電性弾性層上の複数の絶縁性ドメインと、を有する現像部材であって、該現像部材の表面は、該絶縁性ドメインの表面と、該導電性弾性層の該絶縁性ドメインで被覆されていない露出部分とを含み、該導電性弾性層は金属酸化物とリン酸ポリエステル化合物を含有していることを特徴とする現像部材である。
該現像部材が、上記の効果を奏する理由を、本発明者らは以下のように考えている。即ち、本発明に係る現像部材においては、金属酸化物を含有した導電性弾性層との接触により帯電したトナーが絶縁性ドメインと接触することで、トナーの電荷が絶縁性ドメインに注入され、絶縁性ドメインがより帯電する。上述した通り、高温高湿環境下では絶縁性ドメインの電気抵抗が低下し、該絶縁性ドメインの電荷は導電性弾性層を通じて漏洩しやすくなる。しかしながら、本発明に係る現像部材においては、導電性弾性層中のリン酸ポリエステルが絶縁性ドメインから漏洩する電荷を捕捉し、電荷は絶縁性ドメインの近傍に留まると考えられる。これにより高温高湿環境下において、絶縁性ドメインと導電部との間でグラディエント力が低下する現象が抑制されるため、トナーの搬送力を維持できると考えられる。また、本発明に係る現像部材においては、導電性弾性層中のリン酸ポリエステルがトナーから漏洩する電荷を捕捉し、導電性弾性層との接触により付与されたトナーの電荷が漏洩し難くなるため、トナーへの帯電付与性が良好に維持されると考察している。
〔現像部材〕
以下、本発明に係る現像部材を一実施形態である、ローラ状の現像部材(現像ローラ)によって説明するが、現像部材の形状はこれに限定されない。
本発明に係る現像部材1は、図1に示すように、円柱状あるいは中空円筒状の基体2、及び導電性弾性層3を有している。図1の(A)、(B)は、それぞれ、導電性弾性層が1層構造および2層構造のときの現像部材の一例を示す概略断面図である。また、本発明の現像部材の表面は、図2に示すように、複数の絶縁性ドメイン4の表面と、絶縁性ドメインで被覆されていない導電性弾性層3の表面で構成されている。
[基体]
本発明に係る現像部材に用いられる基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性層を支持する機能を有する。材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケルの如き金属;これらの金属を含むステンレス鋼、ジュラルミン、真鍮及び青銅の如き合金等を挙げることができる。基体の表面には、耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理を施すことができる。さらに、基体としては、樹脂製の基材の表面を金属で被覆して表面導電性としたものや、導電性樹脂組成物から製造されたものも使用可能である。
[導電性弾性層]
本発明に係る現像部材において、導電性弾性層は、1層構造であってもよく、また2層以上の積層構造であってもよい。導電性弾性層は樹脂及びゴム等の弾性材料を含有する。樹脂及びゴムとしては、具体的には、例えば以下が挙げられる。ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム。この中でも、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらのシロキサンの共重合体を挙げることができる。これらの樹脂及びゴムは、必要に応じて1種単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。これらのうち、ポリウレタン樹脂が、トナーへの摩擦帯電性能に優れ、且つ柔軟性に優れる為に、トナーとの接触機会を得られやすく、且つ耐摩耗性を有するので好ましい。
ポリウレタン樹脂としてはエーテル系ポリウレタン樹脂、エステル系ポリウレタン樹脂、アクリル系ポリウレタン樹脂、カーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらの中でも、トナーとの摩擦によってトナーに負極性の電荷を付与しやすく、且つ柔軟性が得られやすい、ポリエーテルポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリエーテルポリウレタン樹脂は公知のポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得ることができる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。また、これらのポリオール成分は、必要に応じて、予め2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の如きイソシアネート化合物により鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば以下が挙げられる。エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートの如き脂環族ポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の如き芳香族ポリイソシアネート;及びこれらの変性物や共重合物、そのブロック体。
導電性弾性層の厚さは、特に限定されないが、現像ローラを感光体等に当接する際に均一なニップ幅を確保し、加えて好適なセット性を満たすものにする観点から、0.3mm以上、10mm以下であることが好ましい。
[導電剤]
導電性弾性層は導電性を備えるために、導電剤を含有することが好ましい。導電剤としては、イオン導電剤やカーボンブラックの如き電子導電剤が挙げられるが、カーボンブラックが導電性弾性層の導電性と導電性弾性層のトナーに対する帯電性能とを制御することができるため好ましい。また、その他、使用可能な導電剤としては、天然グラファイト、人造グラファイトの如きグラファイト;ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレンの如き導電性高分子等が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらは必要に応じて1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性弾性層の体積抵抗率は通常10Ω・cm以上1011Ω・cm以下の範囲内であることが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、具体的には、「ケッチェンブラック」(商品名、ライオン(株)製)、アセチレンブラックの如き導電性カーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MTの如きゴム用カーボンブラックを挙げることができる。その他、酸化処理を施したカラーインク用カーボンブラック、熱分解カーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックの使用量は、樹脂またはゴム100質量部に対し5質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
[リン酸ポリエステル]
リン酸ポリエステルは、リン酸骨格と少なくともポリエステル構造とを有する化合物である。このような化合物の具体例としては、例えば下記化学式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006652306
化学式(1)においてR1〜R3は、少なくとも1つがポリエステル構造を有する置換基である。すなわち、R1,R2及びR3のうちの1個がポリエステル構造を有する置換基である場合、その他が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ポリオキシアルキレン基からなる。また、R1,R2及びR3のうちの2個がポリエステル構造を有する置換基である場合、その他が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ポリオキシアルキレン基からなる。R1,R2及びR3がすべてポリエステル構造を有する置換基である場合、ポリエステル構造を有する置換基はすべて同じポリエステル構造を有する置換基でもよく、それぞれ独立に異なるポリエステル構造を有する置換基でもよい。
このリン酸ポリエステル化合物は、化学式(1)におけるリン酸の3つの置換基(上記R1〜R3)のうち少なくとも1つがポリエステル構造を有することで、高温高湿環境下でのトナーへの帯電付与性、及びトナー搬送力を向上させる効果が発現する。残りの置換基はポリエステル構造を有していても有していなくても上記効果の発現が確認される。リン酸ポリエステル化合物の分子内でのリン酸骨格とポリエステル構造中の多数のエステル基が、本発明の上記効果の発現に寄与しており、それ以外の分子内構造は特に効果の発現に影響しないと考えられる。
前記ポリエステル構造とは、ジカルボン酸とジオールとから、あるいはヒドロキシカルボン酸から重縮合によって得られるエステル基を含むポリマー構造、またはラクトンの如き環状エステル化合物の開環重合によって得られるポリマー構造を指す。また、ジカルボン酸としては、例えば以下が挙げられる。テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸。ジオールとしては、例えば以下が挙げられる。エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール。ヒドロキシカルボン酸としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。環状エステル化合物としては、例えば炭素数4〜11の脂肪族ラクトン等が挙げられる。
本発明に係るリン酸ポリエステル化合物中、金属酸化物との組み合わせにて特に効果が大きいものとして、下記化学式(1)におるR1、R2及びR3の組み合わせが以下のものが挙げられる。
Figure 0006652306
即ち、化学式(1)において、R1は、ポリε−カプロラクトン構造を有する置換基、ポリδ−バレロラクトン構造を有する置換基、または、ε−カプロラクトンとδ−バレロラクトンの共重合体構造を有する置換基である。また、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ポリエチレンオキシド、ポリε−カプロラクトン構造を有する置換基、ポリδ−バレロラクトン構造を有する置換基、または、ε−カプロラクトンとδ−バレロラクトンの共重合体構造を有する置換基である。
リン酸ポリエステル化合物の数平均分子量は1000以上50000以下であることがトナーへの帯電付与性、及びトナー搬送力をより高めることができる点で好ましい。これらリン酸ポリエステル化合物は、導電性弾性層の最表面のリンの原子濃度をP%とするとき、好ましくは『0.05≦P≦2.50』であること、より好ましくは『0.10≦P≦2.00』であることがトナーへの帯電付与性、及びトナー搬送力をより高めることができる。尚、本発明において「最表面」とは、導電性弾性層の表面から厚み1μm以下の領域を意味する。金属の原子濃度の測定方法については後述する。
[金属酸化物]
金属酸化物は、金属イオンとしての電気陰性度が11.0以下の金属元素の酸化物が好ましく、6.0以上11.0以下の金属元素の酸化物がより好ましい。金属イオンの電気陰性度を上記範囲内にすることで、本発明の現像部材がよりトナーに電荷を付与することができる。ここで、金属イオンの電気陰性度について説明する。一般的に各元素についてPaulingの電気陰性度χ0が知られており、これらは電荷の授受のしやすさと相関が高い。これをさらに各酸化物について以下の数式(1)により求められるのが金属イオンとしての電気陰性度χiである。
式(1) χi=(1+2z)×χ0 (zは電荷を示す)
本検討で用いたPaulingの金属元素の電気陰性度を表1に示す。例えば、Alであれば、Paulingのアルミニウム元素の電気陰性度χ0が1.5、電荷数zが3であることから、金属イオンとしての電気陰性度は上記式から10.5と計算される。上記数式(1)に当てはめると、金属イオンの電気陰性度が11.0以下の金属酸化物として、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ、酸化ネオジム、酸化ジスプロシウム、酸化イットリウム、酸化カドミウム、酸化コバルト、酸化銅が挙げられる。この中でも、安全性や入手のしやすさの観点から、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、アルミナが好ましく、更にトナーへの帯電付与性の観点からアルミナがより好ましい。
金属酸化物は、導電性弾性層の最表面の金属の原子濃度をM%とするとき、『0.01≦P/M≦2』であることが、トナーへの帯電付与性とトナーの搬送力をより高めることができるので好ましい。また、この比は『0.05≦P/M≦1』であることがより好ましい。
Figure 0006652306
[粗さ制御用微粒子]
現像部材に表面粗度が必要な場合には、導電性弾性層中に粗さ制御用微粒子を含有させることができる。粗さ制御用微粒子の体積平均粒径は3μm以上、20μm以下であることが好ましい。また、導電性弾性層中に含有される該微粒子の量は、樹脂またはゴム100質量部に対し、1質量部以上、50質量部であることが好ましい。粗さ制御用微粒子としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂の如き樹脂微粒子を用いることができる。
[原子濃度の測定]
前述した金属及びリンの原子濃度は、以下の操作(1)〜(3)により測定される。即ち、電界放出形走査電子顕微鏡(商品名:JSM−7800F、日本電子株式会社製)にて撮影された現像部材の最表面をX線微小分析システム(商品名:NORAN System 7、Thermo Fisher Scientific社製)によって元素分析することにより求めることができる。
(1)試料作製
測定部となる現像部材の導電性弾性層の最表面を傷つけないようにして導電性弾性層の約3mm四方(厚みは1.0mm)をかみそりなどで切り出して測定試料とする。次にアルミニウム試料台(直径12.5mm×高さ5mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上に試料の最表面部が上になるように載せる。試料台を試料ホルダ12.5mm型にセットする。
(2)電界放出形走査電子顕微鏡での画像取得
上記電界放出形走査電子顕微鏡での観察および分析を行うために、上記電界放出形走査電子顕微鏡を構成する各室の真空度を一定値以下とする。すなわち、電子銃チャンバー(SIP−1)の真空度を、5.0×10−7Pa以下、電子銃チャンバーの真空度を悪化させないために設けてある中間室チャンバー(SIP−2)の真空度を、1.0×10−4Pa以下、試料室の真空度を、1.0×10−3Pa以下とする。
上記試料ホルダを、上記電界放出形走査電子顕微鏡の筺体の試料室に挿入し、ワーキングディスタンス(WD)が10mmになるようステージのZ軸を移動させる。検出器は下方検出器(LED)を指定する。試料ホルダが観察位置に移動したら加速電圧10kVを印加し、電流設定値を8(装置目盛り)にする。スキャンモードはファイン1に設定し、倍率500倍で焦点および明るさとコントラストを調整して試料の最表面に関して任意の測定点の画像を得る。
(3)X線微小分析システムでの元素分析
次に、X線微小分析システムに付属のソフトウェア(商品名:NORAN System Seven、Thermo Fisher Scientific社製)にて前記測定画像を取り込み、取り込んだ500倍画像の全エリアを指定し、元素分析を実行する。次に、検出された元素の中からC、O、P、及び現像部材に添加した金属酸化物の金属の4元素のみを選択し、定量計算を実行する。この時得られた金属酸化物の金属の原子濃度とPの原子濃度を、それぞれ本発明の金属の原子濃度及びリンの原子濃度のデータとして取得する。以上の操作にて、試料の最表面の任意の30箇所の測定点において測定を行い、得られた金属の原子濃度及びリンの原子濃度の各々のデータの相加平均値を求め、これらの値を本発明における金属の原子濃度M%及びリンの原子濃度P%とする。
[絶縁性ドメイン]
本発明の現像部材の表面上の一部の領域には、複数個の絶縁性ドメインが存在する。即ち、現像部材の表面は、図2に示すように、複数の絶縁性ドメイン4の表面と、絶縁性ドメインで被覆されていない導電性弾性層3の表面で構成されている。絶縁性ドメインの体積抵抗率は、1×1013Ω・cm以上、特には、1×1014Ω・cm以上であることが該絶縁性ドメインをより帯電させやすいために好ましい。
絶縁性ドメインを構成する材料としては樹脂や金属酸化物等が挙げられるが、樹脂が好ましい。樹脂としては、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。中でも、アクリル樹脂は、絶縁性ドメインの体積抵抗率を上記範囲内に容易に調整し得るため、好ましい。アクリル樹脂としては、具体的には、例えば以下の単量体の単独重合体または共重合体が挙げられる。メチルメタクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボニルアクリレート、4−エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート。
導電性弾性層上に絶縁性ドメインを形成する方法としては、各種印刷方法が挙げられるが、導電性弾性層の表面上の一部の領域に複数個の絶縁性ドメインを存在させるためには、ジェットディスペンサー法及びインクジェット法が好ましい。
複数個の絶縁性ドメインは、導電性弾性層に対して凸部を形成していることが好ましい。更には、複数個の絶縁性ドメインの各々の凸部は、導電性弾性層との接触部からの高さの平均値Hが、1.0μm以上15.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上10.0μm以下であることがより好ましい。絶縁性ドメインが凸部を形成することで、帯電したトナーと絶縁性ドメインとの接触機会が増えるため、トナーへの帯電付与性とトナーの搬送力をより高めることができる。
[絶縁性ドメインの高さ測定]
本発明において、絶縁性ドメインの凸部の高さは以下のように測定される。レーザー顕微鏡(商品名:VK−8700、キーエンス社製)に、拡大倍率20倍の対物レンズを設置して、現像部材の表面を観察する。次に、得られた観察像の傾き補正を行う。傾き補正は二次曲面補正モードで行う。得られた3次元観察像を用いて絶縁性ドメインの最高点Hと導電性弾性層の高さHの差分「H−H」を算出する。現像部材の10箇所(長手方向を10等分割して得られる10領域の各領域の1箇所ずつ)において、それぞれ、一辺300μmの正方形のエリア内の観察を行い、各絶縁性ドメインについて「H−H」を測定し、得られた「H−H」の相加平均値を本発明の絶縁性ドメインの高さの平均値Hとする。その際、一辺300μmの正方形のエリア内から、この中に完全に含まれる絶縁性ドメインの全部を測定対象とし、完全に含まれない絶縁性ドメインは測定対象としない。
[絶縁性ドメインの大きさ及び密度]
絶縁性ドメインの大きさは、トナー搬送力の観点から、底面(導電性弾性層との接触面)の直径が10μm以上、100μm以下であることが好ましく、30μm以上、70μm以下であることがより好ましい。また絶縁性ドメインの配置密度は、トナー搬送力の観点から、導電性弾性層の表面1mm当たり10個以上、1000個以下であることが好ましく、50個以上、300個以下であることがより好ましい。尚、絶縁性ドメインが円形でない場合、絶縁性ドメインの直径は、等面積の円形換算径である。絶縁性ドメインの大きさおよび配置密度の測定は、現像部材の10箇所(長手方向を10等分割して得られる10領域の各領域の1箇所ずつ)における、各一辺300μmの正方形のエリア内で行われ、このエリア中に完全に含まれる絶縁性ドメインの全部が測定対象とされる。
〔電子写真画像形成装置〕
本発明に係る電子写真画像形成装置の一例を図3に示す。図3において、イエロートナー、マゼンダトナー、シアントナー、ブラックトナーの各色トナー毎に設けられる画像形成ユニットa〜dが設けられている。各画像形成ユニットa〜dには、それぞれ矢印方向に回転する静電潜像担持体としての感光体5が設けられている。各感光体5の周囲には、感光体5を一様に帯電するための帯電装置11、一様に帯電処理した感光体5にレーザー光10を照射して静電潜像を形成する不図示の露光手段、静電潜像を形成した感光体5にトナーを供給し静電潜像を現像する現像装置9が設けられている。
一方、給紙ローラ23により供給される紙等の記録材22を搬送する転写搬送ベルト20が駆動ローラ16、従動ローラ21、テンションローラ19に懸架されて設けられている。転写搬送ベルト20には吸着ローラ24を介して吸着バイアス電源25の電荷が印加され、記録材22を表面に静電気的に付着させて搬送するようになっている。また、各画像形成ユニットa〜dの感光体5上のトナー像を、転写搬送ベルト20によって搬送される記録材22に転写するための電荷を印加する転写バイアス電源18が設けられている。転写バイアスは転写搬送ベルト20の裏面に配置される転写ローラ17を介して印加される。各画像形成ユニットa〜dにおいて形成される各色のトナー像は、各画像形成ユニットa〜dに同期して可動される転写搬送ベルト20によって搬送される記録材22上に、順次重畳して転写されるようになっている。
更に、カラー電子写真画像形成装置には、記録材22上に重畳転写したトナー像を加熱などにより定着する定着装置15、画像形成された記録材22を装置外に排出する搬送装置(不図示)が設けられている。一方、各画像形成ユニットには各感光体5上に転写されずに残存する転写残トナーを除去し表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング装置12が設けられている。クリーニングされた感光体5は画像形成可能状態とされて待機するようになっている。
上記各画像形成ユニットに設けられる現像装置9には、一成分現像剤として非磁性現像剤(トナー)を収容した現像剤容器6と、現像剤容器6の開口を閉塞するように設置され、現像剤容器から露出した部分で感光体と対向するように現像部材1が設けられている。現像剤容器6内には、現像部材1にトナーを供給すると同時に、使用されずに現像部材1上に残留するトナーを、現像後に掻き取るための現像剤供給ローラ7と、現像部材1上のトナーを薄膜状に形成すると共に、摩擦帯電する現像剤量規制部材8とが設けられている。これらはそれぞれ現像部材1に当接配置されており、現像部材1と現像剤供給ローラ7は順方向に回転するようになっている。そして、現像部材1として、本発明の一態様に係る現像部材が用いられる。
〔電子写真プロセスカートリッジ〕
電子写真プロセスカートリッジの一例を図4に示す。図4において、電子写真プロセスカートリッジは、現像装置9、感光体5、クリーニング装置12を有し、これらが一体化されて電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に設けられる。現像装置9としては電子写真画像形成装置で説明した画像形成ユニットと同様のものを挙げることができる。電子写真プロセスカートリッジは、上記の他、感光体5上のトナー像を記録材22に転写する転写部材などを上記の部材と共に一体的に設けたものであってもよい。現像装置の構成は、上記電子写真画像形成装置に係る現像装置9と同じである。そして、該電子写真プロセスカートリッジは、現像装置9中の現像部材1として、本発明の一態様に係る現像部材が用いられる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。現像部材として本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
〔製造例1〕ポリエステルモノオール1の製造
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量5Lの4ッ口フラスコ内に、表2に示す材料を仕込み、窒素気流下に180℃で重合を6時間行い、反応液2000gを得た。次いで、反応液を1時間当たり300gの量でスミス式薄膜蒸発器へ供給し、残留しているε−カプロラクトンおよび生成したそれらの自己二量体を除去した。用いた薄膜蒸発器は、柴田化学製の、内径50mm、長さ200mmの外筒を有する機械攪拌式縦型攪拌薄膜蒸発器であり、蒸発器内圧力を0.25mmHg(33.3Pa)とし、縦型攪拌薄膜蒸発器の外筒内温度を240℃、ワイパー回転数200rpmにして運転した。このようにしてε−カプロラクトンのポリエステルモノオール1を得た。
Figure 0006652306
〔製造例2〕ポリエステルモノオール2の製造
4ッ口フラスコ内に仕込む材料を、表3に示す材料としたこと以外は、製造例1と同様にしてδ−バレロラクトンのポリエステルモノオール2を得た。
Figure 0006652306
〔製造例3〕リン酸ポリエステル1の製造
容量100mLのフラスコ内に表4に示す材料、並びに、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(Aldrich社製)25mLとo−キシレン(Aldrich社製)25mLを仕込んだ。ソックスレー抽出器にペレット状のモレキュラーシーブス4A(約9mL)を入れ、これを前記フラスコに装着し、さらにその上に冷却管を取り付けた。フラスコ内の反応液を攪拌しながら、180℃のオイルバスにより加熱して10時間加熱還流させた後、室温まで冷却し、下記化学式(2)で示される構造のリン酸ポリエステル1を得た。
Figure 0006652306
Figure 0006652306
化学式(2)中、「n」は、1以上の整数を表す。
〔製造例4〕リン酸ポリエステル2の製造
フラスコ内に仕込む材料を、表5に示す材料としたこと以外は、製造例3と同様にして下記化学式(3)で示される構造のリン酸ポリエステル2を得た。
Figure 0006652306
Figure 0006652306
化学式(3)中、2つの「n」は各々独立に1以上の整数を表す。
〔製造例5〕リン酸エステルAの製造
フラスコ内に仕込む材料を、表6に示す材料としたこと以外は、製造例3と同様にして下記化学式(4)で示される構造のリン酸エステルAを得た。
Figure 0006652306
Figure 0006652306
[数平均分子量の測定]
上記で合成したリン酸ポリエステル1およびリン酸ポリエステル2の数平均分子量(Mn)を測定した。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
・測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
・カラム:TSKgel SuperHZMM(商品名、東ソー社製)×2本
・溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
・温度:40℃
・THFの流速:0.6ml/mi。
なお、測定サンプルは濃度0.1質量%のTHF溶液として測定機器に供給した。更に検出器としてRI(屈折率)検出器を用いて測定を行った。
また、検量線作成用の標準試料として、TSK標準ポリスチレン(商品名、A−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−128;東ソー社製)を用いて検量線の作成を行った。これを基に得られた測定サンプルの保持時間から数平均分子量を求めた。その結果、リン酸ポリエステル1の数平均分子量は1910であり、リン酸ポリエステル2の数平均分子量は3160であった。
〔製造例6〕絶縁性ドメインの原材料の製造
エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(商品名:「A−BPE−4」、新中村化学社製)30質量部、イソボニルアクリレート(商品名:「SR506NS」、巴工業社製)70質量部、及び、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:「IRGACURE184」、BASF社製)5質量部を混合し、絶縁性ドメインの原材料を得た。
〔実施例1〕
1.現像部材(現像ローラ)の製造
外径6mm、長さ264mmのSUS304製の軸芯体にプライマー(商品名:DY35−051、東レ・ダウコーニング社製)を塗布し、温度150℃で20分間加熱して、基体を得た。この基体を内径11.5mmの円筒状金型内に同心となるように設置した。導電性弾性層の基層材料として、下記表7に示す材料をトリミックス(商品名:TX−15 井上製作所製)で混合した付加型シリコーンゴム組成物を温度115℃に加熱した金型内に注入した。材料注入後、温度120℃にて10分間加熱成型し、室温まで冷却後、金型から脱型し、基体の外周に厚み2.71mmの導電性弾性層の基層が形成された弾性ローラNo.1を得た。
Figure 0006652306
次に、導電性弾性層の表面層用の材料として、下記表8の成分(1)の欄に示す材料を撹拌混合した。その後、この混合物を固形分濃度30質量%になるようにメチルエチルケトン(Aldrich社製)に溶解し、混合した後、サンドミルにて均一に分散した。この混合液にメチルエチルケトンを加え固形分濃度25質量%に調整した混合液に対して、表8の成分(2)の欄に示す材料を加え、ボールミルで攪拌分散して、導電性弾性層の表面層用の塗料を得た。前記弾性ローラNo.1を、この塗料中に浸漬して塗工することにより塗料の膜厚が約15μmとなるように塗布した。その後、温度130℃にて60分間加熱して、弾性ローラの基層上に表面層が形成された表面層付き弾性ローラNo.1−1を得た。
圧電式のインクジェットヘッドを用いて、製造例6で得られた絶縁性ドメインの原材料を液滴量が15plになるように調整した後、前記弾性ローラNo.1−1の周面上に塗布した。塗布は弾性ローラNo.1−1を回転させながら行い、弾性ローラの周方向および長手方向における絶縁性ドメインの間隔がそれぞれ75μmになるように行った。その後、低圧水銀ランプにより波長254nmの積算光量が1500mJ/cmとなるよう紫外線を10分間照射することにより絶縁性ドメインの原材料を硬化し、現像部材No.1を製造した。
得られた現像部材No.1について、本発明の方法に従って、絶縁性ドメインの高さの測定を行った。測定結果を表10に示す。尚、絶縁性ドメインは略円形であり、その直径は約60μm、絶縁性ドメインの間隔は75μmであった。
Figure 0006652306
2.現像部材の評価
次に、現像部材No.1を電子写真画像形成装置に組み込み、性能評価、及び画像出力評価を行った。電子写真装置として図3に示す構成を有するレーザービームプリンタ(商品名:CLJ CP4525、ピューレット・パッカード社製)を用いた。電子写真画像形成装置のマゼンタカートリッジに現像部材No.1を装填後、温度35℃、相対湿度95%の高温高湿環境下に120時間放置した。
2−1.トナー帯電量評価
10枚/分の速度で白ベタ画像を5枚出力した後、白ベタ画像を1枚出力する途中でプリンタの運転を停止した。現像部材上に形成されたトナー層から、直径5mmの開口を有する吸引用ノズルを用いてトナーを吸引し、吸引したトナーの帯電量Qとトナー質量Mを測定して、トナー電荷量Q/M(μC/g)を求めた。電荷量はデジタルエレクトロメーター(商品名:8252、エーディーシー社製)を用いて測定した。評価結果を以下の基準でランク付けした。
A:トナー電荷量は55μC/g以上。
B:トナー電荷量は35μC/g以上55μC/g未満トナー電荷量は35μCg未満。
2−2.トナー搬送量評価
40枚/分の速度で黒ベタ画像を1枚出力した後、更に黒ベタ画像出力中の画像後端部分でプリンタの運転を停止した。現像部材上に形成されたトナー層から、直径5mmの開口を有する吸引用ノズルを用いてトナーを吸引し、吸引したトナー質量と吸引した領域の面積を測定して、トナー搬送量M/S(mg/cm)を求めた。評価結果を以下の基準でランク付けした。
A:トナー搬送量は、0.38mg/cm以上。
B:トナー搬送量は、0.30mg/cm以上0.38mg/cm未満。
C:トナー搬送量は、0.30mg/cm未満。
2−3.黒ベタ画像評価
40枚/分の速度で黒ベタ画像を1枚出力した後、得られた黒ベタ画像の画像濃度を分光濃度計(商品名:508、Xrite社製)を用いて計測し、画像の先端の濃度Cと後端の濃度Cの差「C−C」を求めた。画像濃度差の評価結果を以下の基準でランク付けした。
A:画像濃度差は、0.05未満。
B:画像濃度差は、0.05以上0.20未満。
C:画像濃度差は、0.20以上。
〔実施例2〜27、及び比較例1〜4、13、14〕
導電弾性層の表面層用の金属酸化物の種類および使用量、並びにリン酸ポリエステルの種類および使用量を、それぞれ表10および表11に示す条件としたこと以外は実施例1と同様にして、現像部材No.2〜31、40、41を得た。尚、実施例及び比較例において使用した、アルミナA、アルミナB、酸化マグネシウム、酸化亜鉛および酸化鉄の金属イオンの電気陰性度等を表9に示す。
Figure 0006652306
Figure 0006652306
Figure 0006652306
〔比較例5〕
実施例1において、表面層形成用の塗料の成分(1)を表12の成分(1)の欄に示す材料に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、現像部材No.31を得た。
Figure 0006652306
〔比較例6〜8〕
比較例5において、表面層用の金属酸化物の種類および添加量を変更したこと以外は、比較例5と同様にして、現像部材No.32〜34を得た。
〔比較例9〕
実施例1において、表面層形成用の塗料の成分(1)を表13の成分(1)の欄に示す材料に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、現像部材No.35を得た。
Figure 0006652306
〔比較例10〜12〕
比較例9において、表面層用の金属酸化物の種類および添加量を変更したこと以外は、比較例9と同様にして、現像部材No.36〜38を得た。
〔考察〕
実施例2〜27および比較例1〜14で得た現像部材を実施例1と同様に評価した。結果を表10および表11に示す。
実施例1〜27と比較例1〜14の対比により、導電性弾性層に金属酸化物とリン酸ポリエステルを含有することで、高温高湿下におけるトナーへの帯電付与性とトナーの搬送力を両立できることが分かる。実施例1〜3と実施例4〜5との対比により、導電性弾性層の最表面のリンの原子濃度P%を、『0.05≦P≦2.50』にすることで、高温高湿下におけるトナーへの帯電付与性とトナーの搬送力を高いレベルで両立できることが分かる。実施例6〜8と、実施例4及び9との対比により、導電性弾性層の最表面の金属の原子濃度M%を、『0.01≦P/M≦2.00』にすることで、高温高湿下におけるトナーへの帯電付与性とトナーの搬送力を高いレベルで両立できることが分かる。
実施例8、12、21、24と実施例25との対比により、金属イオンとしての電気陰性度が11.0以下の金属元素の酸化物を導電性弾性層に含有することで、高温高湿下におけるトナーへの帯電付与性とトナーの搬送力を高いレベルで両立できることが分かる。更に、実施例8、12と実施例21、24との対比により、アルミナを導電性弾性層に含有することで、高温高湿下におけるトナーへの帯電付与性とトナーの搬送力をより高いレベルで両立できることが分かる。
1‥‥現像部材
2‥‥基体
3‥‥導電性弾性層
4‥‥絶縁性ドメイン

Claims (10)

  1. 基体と、該基体上の導電性弾性層と、該導電性弾性層上の複数の絶縁性ドメインと、を有する現像部材であって、
    該現像部材の表面は、該絶縁性ドメインの表面と、該導電性弾性層の該絶縁性ドメインで被覆されていない露出部分と、を含み、
    該導電性弾性層は、金属酸化物と、リン酸ポリエステル化合物と、を含有していることを特徴とする現像部材。
  2. 前記導電性弾性層の最表面のリンの原子濃度をP%とするとき、0.05≦P≦2.50である請求項1に記載の現像部材。
  3. 前記導電性弾性層の最表面の金属の原子濃度をM%とするとき、0.01≦P/M≦2.00である請求項1または2に記載の現像部材。
  4. 前記金属酸化物は、金属イオンとしての電気陰性度が11.0以下の金属元素の酸化物である請求項1〜3のいずれかの一項に記載の現像部材。
  5. 前記金属酸化物がアルミナである請求項1〜4のいずれかの一項に記載の現像部材。
  6. 前記リン酸ポリエステル化合物が、下記化学式(1)で示される化合物である請求項1〜5のいずれかの一項に記載の現像部材:
    Figure 0006652306
    [R1はポリε−カプロラクトンまたはポリδ−バレロラクトン、またはε−カプロラクトンとδ−バレロラクトンの共重合体であり、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ポリエチレンオキシド、ポリε−カプロラクトン、ポリδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンとδ−バレロラクトンの共重合体のいずれかである。]。
  7. 前記絶縁性ドメインが前記導電性弾性層に対して凸部を形成している、請求項1〜6のいずれかの一項に記載の現像部材。
  8. 前記複数の絶縁性ドメインの各々の凸部の、前記導電性弾性層との接触部からの高さの平均値が1.0μm以上15.0μm以下である請求項7に記載の現像部材。
  9. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジであって、請求項1〜8のいずれかの一項に記載の現像部材を有する電子写真プロセスカートリッジ。
  10. 請求項1〜8のいずれかの一項に記載の現像部材を有する電子写真画像形成装置。
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