JP6650821B2 - 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、入力された画像データを記録装置が記録可能な画像データに変換する画像処理技術に関する。
インクジェットプリンタなどの画像形成装置より出力される画像は、インクの着弾位置ずれやインクの滲み(メカニカルドットゲイン)、光学的暈け(オプティカルドットゲイン)等により、入力画像に比べ鮮鋭性が低下することが知られている。特許文献1には、そこで出力画像の周波数特性をあらかじめ取得し、入力画像に対して取得した周波数特性の逆特性を持つフィルタを用いて周波数強調処理を行う方法が開示されている。
特開2003−153865号公報
特許文献1に記載の方法を用いて、入力画像に対して周波数強調処理を行い、インクジェット方式などの画像形成装置が記録媒体上に画像を形成すると、高周波領域で明るさが低下してしまう。そこで本発明は、入力画像に対して鮮鋭性低下を補償しつつ、高周波領域において明るさが低下するのを抑制した画像データを生成することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置のためのハーフトーン画像データを生成する画像処理装置であって、入力された画像データに対して、前記画像形成装置により低下する画像の鮮鋭性のうち所定の周波数より低い周波数成分の鮮鋭性を回復する回復処理手段と、前記回復処理手段により回復処理された画像データを、前記画像形成装置が出力可能な階調数のハーフトーン画像データに変換するハーフトーン処理手段とを有し、前記ハーフトーン処理手段は、前記回復処理された画像データの局所領域ごとに出力すべきドットの数を目標値として算出する目標値算出手段と、前記局所領域に対応する閾値を取得する取得手段と、前記局所領域におけるエッジ強度を算出するエッジ強度算出手段と、前記局所領域に含まれる画素を、各画素の画素値に基づいて第1の画素群と第2の画素群とに分割する分割手段と、前記局所領域に含まれる各画素について、各画素の画素値と各画素に対応する閾値および前記エッジ強度とに基づいて各画素の評価値を算出し、ドットを分配する分配順を前記評価値の順に決定する分配順決定手段と、 前記分配順を参照して前記目標値の分、前記局所領域に含まれる画素にドットを分配することにより、前記局所領域の各画素の出力値を決定する出力値決定手段とを有し、前記分配順決定手段は、前記第1の画素群にはドットが配置されやすく、前記第2の画素群にはドットが配置されにくくなるように、前記評価値を算出することを特徴とする。
本発明によれば、入力画像に対して鮮鋭性低下を補償しつつ、高周波領域において明るさが低下するのを抑制した画像データを生成できる。
画像形成装置の構成を示すブロック図である。 ガンマ補正特性を説明する図である。 画像形成装置の周波数特性とその逆特性を示す図である。 画像形成装置の周波数特性の逆特性で鮮鋭性回復処理を行った場合の明るさ低下を説明する図である。 ガンマ補正による平均出力濃度の上昇を説明する図である。 画像処理装置1の全体の処理の流れおよびハーフトーン処理における処理の流れを説明する図である。 画像データの一例を示す図である。 閾値マトリクスの一例図である。 ハーフトーン処理106による処理結果を説明する図である。 情報処理装置の構成を示すブロック図である。 所定の周波数の決定方法を説明するフローチャートである。 周波数特性計測チャートの一例を示す図である。 ハーフトーン処理におけるブロックサイズの決定方法を説明するフローチャートである。 ハーフトーン処理における鮮鋭性回復の調整用パラメータkの決定方法を説明するフローチャートである。 回復フィルタの作成方法を説明するフローチャートである。 画像形成装置の構成を示すブロック図である。 ハーフトーン処理106の処理の流れ示す図である。 ブロックの分割方法を示す図である。 ハーフトーン処理106の処理の流れ示す図である。 ハーフトーン画像データの合成方法を説明する図である。 ブロックの分割方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
<第1実施形態>
図1(a)、第1実施形態に適用可能な画像形成装置の構成を示すブロック図である。本実施形態において画像形成装置は、インクジェット方式を用いたプリンタを例として説明する。画像処理装置1は、入力された画像データから画像形成部2が出力可能な印刷データを生成する。画像処理装置1は、画像形成装置3の専用の画像処理回路として画像形成装置3に内蔵されている。画像処理装置1は、フィルタ係数保持部101、回復処理部102、色分解処理部103、出力ガンマ補正処理部104、画像格納部105、ハーフトーン処理部106を有する。入力される画像データは、レッド(R),グリーン(G),ブル(B)それぞれのデジタルなデータである。各色の画像データは、画素ごとに0〜255の画素値(8ビット)を有する。
フィルタ係数保持部101は、後述する方法によりあらかじめ作成された鮮鋭性回復フィルタのフィルタ係数を保持する。
回復処理部102は、フィルタ係数保持部101からフィルタ係数を読み込み、各色の画像データに対して畳み込み演算を行う。本実施形態では特に、所定の周波数より低い周波数成分を主に回復する低周波の鮮鋭性を回復する。低周波領域を回復するフィルタの特性については後述する。
色分解処理部103は、色分解テーブルを参照して、回復処理部102から出力される各色の画像データを、画像形成部2が備える色材に対応する色材量データに色分解する。本実施形態における画像形成部2はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)を備えるとする。従って色分解処理部103は、RGBで表わされる入力の画像データをCMYKで表わされる出力デバイスの画像データに変換する。ここでは、CMYK毎の画像データそれぞれも、8ビットのデータであるとする。
ガンマ補正処理部104は、各色の色材量データに対してガンマ補正処理を行う。入力画像と、画像形成部2が画像を記録した記録媒体上の出力画像の明度との関係が線形に変化するように補正する。図2は、画像形成部2のガンマ特性を説明する図である。それぞれ横軸は、入力画像における濃度を、縦軸は、出力画像における濃度を示している。各濃度は、画像データにおる最大濃度値を100%として換算している。図2(a)は、画像形成部2の入出力特性を示す。図2(a)に示す通り、入力濃度の変化に対して出力濃度は非線形に変化する。図2(b)は、ガンマ補正処理に用いるガンマ補正特性を示す。ガンマ補正特性を、入出力特性の逆特性とすることで、ガンマ補正処理を介した出力特性がリニアになるように入力濃度を補正する。画像格納部105は、ガンマ補正後の各色材量データを一時的に記憶する。
ハーフトーン処理部106は、色材量データを画像形成部2が出力可能な階調数のハーフトーン画像データに変換する。本実施形態では、8ビットの色材量データを各画素について0または1からなる2ビットのデータに変換するものとする。なお画素値0はドットを配置しないことを、画素値1はドットを配置することを意味する。ハーフトーン処理部106は、色材量データにおいて所定の周波数より高い周波数成分の鮮鋭性を主に回復したハーフトーン画像データを生成する。詳細は後述する。
画像形成部2は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色材を備え、ハーフトーン画像データに基づいて各色の色材を記録媒体上に吐出し、画像を形成する。図6(a)に、画像処理装置1の各構成による処理の流れを示す。ステップS601において回復処理部102は、画像データを読み込む。ステップS602において回復処理部102は、フィルタ係数保持部101からフィルタ係数を読み込む。ステップS603において回復処理部102は、読み込んだ画像データの画素毎にフィルタ係数を用いて畳み込み演算を行うことで、低周波領域の鮮鋭性回復処理をする。ステップS604において色分解処理部103は、RGB毎の鮮鋭性回復処理後の画像データをCMYK4つの色材量データに変換する。ステップS605においてガンマ補正処理部104は、図2(b)に示すガンマ補正特性を参照して各色の色材量データに対してガンマ補正を行う。
ステップS606においてハーフトーン処理部106は、各色の色材量データをより階調数の低いハーフトーン画像データに変換し、ハーフトーン画像データを出力する。ハーフトーン処理の詳細については後述する。
ここで、鮮鋭性回復と画像の明るさ低下の関係について、説明する。記録媒体上に画像を形成すると、ドット位置のゆらぎやインクの滲みによって、画像の鮮鋭性が低下する。そこで出力画像の周波数特性の逆特性を持つフィルタを用いて、入力画像に対して鮮鋭性回復処理を行うことで、出力画像における鮮鋭性低下を補償することができる。図3は、出力画像の周波数特性と、その逆特性を示している。横軸は空間周波数を示し、縦軸は応答(振幅)である。空間周波数uにおける出力画像の周波数特性P(u)と、P(u)の逆特性R(u)=1/P(u)を図示している。このとき、逆特性R(u)を逆フーリエ変換して得られるフィルタを鮮鋭性回復処理に用いる。
ところが、前述したように、画像形成装置の入力画像に対して鮮鋭回復処理を行うと、高周波領域において平均の明るさが低下する。逆特性R(u)で回復処理を行った場合の明るさ低下している例を、図4(a)の曲線L(u)で示す。横軸は周波数を、縦軸は明るさを示す。曲線L(u)は、周波数u、平均明度Laveの振幅を持つ正弦波画像を画像した場合の、周波数uに対する出力画像の平均の明るさを示している。
図4(a)に示す通り、高周波領域では平均の明るさが低下しているのがわかる。
このような明るさの低下は、鮮鋭性回復処理後に行われるガンマ補正処理によって、平均出力濃度値が上昇することが要因である。
図5は、ガンマ補正処理による明るさ低下について説明するための図である。ここでは説明を単純化するため、画像501や画像502のように2種類の画素値からなる矩形波画像を例に説明する。
各画像はいずれも、明るい領域と暗い領域が2つ繰り返し配置された矩形波画像を縮小した画像である。画像501の明るい領域の各画素は画素値x1、暗い領域の各画素は画素値x2である。画像501に対して鮮鋭性回復処理を実行すると、画像502が得られる。図5(a)は、鮮鋭性回復処理前の画像における明るさを示している。画像501の各画素値x1、x2に対しガンマ補正処理が施されると、ガンマ補正後の出力濃度はそれぞれy1、y2となり、その平均値はy_aveとなる。図5(b)は、鮮鋭性回復処理後の画像における明るさを示している。鮮鋭性回復処理が施されると、画像501の明るさの平均値を保ったまま、コントラストが強調される。したがって鮮鋭性回復前の画像501と鮮鋭性回復後の画像502では、明るさの平均は同じ(x_ave=x’_ave)である。ここで画像502の各画素値x’1、x’2に対してガンマ補正処理が施されると、ガンマ補正後の出力濃度はぞれぞれy’1、y’2となり、その平均値はy’_aveとなる。図5(a)と図5(b)から明らかなように、鮮鋭性回復前の画像501の方が、鮮鋭性回復後の画像502よりも、ガンマ補正後における平均の明るさが大きく(y’_ave>y_ave)なる。プリンタなどの画像形成装置のガンマ補正特性は、一般に下に凸の形状となる。そのため、ガンマ補正前の画像における明るさの平均値が同じであっても、鮮鋭性回復後の画像にガンマ補正処理を施すと、明るさが低下してしまう。
このような出力濃度の上昇は、鮮鋭性回復処理における回復量が大きいほど大きくなる。鮮鋭性回復フィルタの特性は、図3のR(u)に示したような特性となる。そのため、大きな回復量が必要な高周波領域ほど、出力濃度における明るさ低下が発生する。
そこで本実施形態では、低周波領域における回復処理を、回復処理部102が行い、高周波領域における鮮鋭性の回復を、ガンマ補正後のハーフトーン処理において行う。図1(b)は、ハーフトーン処理部106の詳細な構成を示すブロック図である。ブロック分割部107は、入力された色材量データを所定のブロック(局所領域)毎に分割し、処理対象ブロックに含まれる画素の画素値を、平均値算出部108、比較部110、エッジ強度算出部109、分配順決定部111それぞれに出力する。平均値算出部108は、処理対象ブロックにおける各画素の画素値を平均し、平均値を出力する。比較部110は、処理対象ブロックの平均値と処理対象ブロックの各画素の画素値とを比較し、低濃度画素群と高濃度画素群の2つに分割する。エッジ強度算出部109は、処理対象ブロックにおける画素値の分散値を算出する。ここで算出される分散値は、処理対象ブロックのエッジ強度を示す。
分配順決定部111は、処理対象ブロックに対応する閾値データを取得し、処理対象ブロックにおける各画素の画素値と、各画素に対応する閾値とに基づいて処理対象ブロックにおけるドットの分配順を決定する。本実施形態では、図8(a)に示すように256×256からなるブルーノイズ特性をもつ閾値マトリクスを用いるものとする。閾値マトリクスは、画素に対応して値の異なる閾値が配置されている。閾値マトリクスは、画素値の方が閾値よりも大きければ1に、画素値の方が閾値以下であれば0に変換することで量子化するディザ処理に用いられる。閾値が小さい方が量子化結果は1(ドット)に変換されやすくなる。なお、画像データのサイズが閾値マトリクスのサイズよりも大きい場合は、閾値マトリクスをタイル状に繰り返し配置することで、全画素に閾値を対応づける。分配順決定部111は、処理対象ブロックにおける画素毎に、画素値と閾値との差分を各画素の評価値として算出し、評価値の大きい順に分配順を決定する。
目標値算出部113は、処理対象ブロックに対して量子化値1(ドット)をいくつ配置すべきかを算出するために、処理対象ブロックの平均値と処理対象ブロックに対応する閾値データとを比較し、量子化する。量子化結果をカウントした値を目標値として出力する。出力値決定部112は、処理対象ブロックについて、目標値と分配順を参照して処理対象ブロックの出力値を決定する。
図6(b)は、ハーフトーン処理部106における詳細な処理の流れを示す図である。ステップS607においてブロック分割部107は、画像格納部105からガンマ補正後の色材量データを読み込み、処理ブロックに分割する。ここでは、図7に示すような8ビットの画像データ701に対して、4画素×4画素の矩形領域毎に分割するものとする。以降の処理は、画像データ701におけるブロック702に対する処理を例に説明する。ステップS608において平均値算出部108は、処理対象ブロックにおける画素群の画素値の平均値を算出する。図7のブロック702の場合、画素値の平均値として128が算出される。ステップS609においてハーフトーン処理部106は、処理対象ブロックの位置に対応する閾値データを取得する。処理対象ブロックは、4画素×4画素のブロックなので、ここでは16の閾値を取得することになる。
ステップS610において目標値算出部113は、ステップS602で算出された処理対象ブロックの平均値に対し、ステップS609で取得した各閾値と比較することにより量子化結果を算出する。図8(b)は、ブロック702における処理の場合を示している。平均値と閾値群801それぞれを比較し、平均値よりも閾値の方が大きい画素は0、平均値よりも閾値の方が小さい画素は1として量子化し、量子化結果806を得られる。量子化結果806において、黒画素は量子化結果が1であることを示し、白画素は量子化結果が0であることを示す。入力画素値が閾値に近い値で変動していると、入力画素値と閾値とを比較したときに、入力が措置と閾値とが干渉し、入力画像の濃度が保存されなくなる場合がある。例えば、入力画素値がほんの少し閾値よりも大きな値で変動していた場合は全て1に量子化されるが、入力画素値がほんの少し閾値よりも小さな値で変動していた場合は全て0に量子化されてしまう。そこでステップS603においては、入力画素値の変動を抑えるために処理対象ブロックの平均値を用いて閾値と比較することにより、処理対象ブロックの濃度に応じた量子化結果を算出する。
ステップS611において目標値算出部113は、ステップS604における量子化結果を集計する。ここでは、ステップS601で量子化結果が1(黒)となった画素の数を計算する。図8(b)に示す例では、集計結果は8である。この集計結果は、後のステップS616においてドットを配置する際の処理対象ブロックの目標値となる。
ステップS612においてエッジ強度算出部109は、処理対象ブロックの分散値を算出する。本分散値は、処理対象ブロックにおける各画素の画素値から処理対象ブロックの画素値の平均値を引いた数の2乗の総和を算出し、処理対象ブロックの画素数で割ることで得ることができる。処理ブロックの画素の座標i、jにおける画素値をx_ij、平均値をxaとすると、分散値は以下の式(1)のより求められる。
分散値σ^2=1/N × Σ(x_ij−xa)^2 …(1)
図7のブロック702の場合、分散値は4096となる。
ステップS613において比較部110は、処理ブロックの各画素をグループ分けする。比較部110は、ステップS602において算出した平均値を境に、高濃度画素群と低濃度画素群の2グループに分割する。具体的には、画素値が平均値より大きい画素は高濃度画素とし、画素値が平均値以下である画素は低濃度画素とする。図7に示すブロック702の場合、高濃度画素を白抜き文字、低濃度画素を黒文字で示している。平均値が128なので、画素値192の8画素は高濃度画素、画素値64の8画素は低濃度画素としてグループ分けされる。
ステップS614およびステップS615において分配順決定部111は、処理対象ブロックにドットを分配する優先順(以降、分配順とする)を決定するための各画素の評価値を計算する。ステップS613において低濃度画素と判定された画素は、ステップS614に、高濃度画素と判定された画素はステップS615における処理で評価値を算出する。ステップS614において分配順決定部111は、低濃度画素に対しては、画素値と閾値とに基づいて各画素の評価値を算出する。具体的には“評価値=画素値−閾値”として評価値を算出する。画素値が大きくなると、ドットを優先的に分配されやすくなり、また、対応する閾値が小さい場合にも優先的にドットを分配されやすくなる。入力値が一定であるならば、閾値の大きさのみに依存してドットが分配される順番が決まるため、もともとの閾値マトリクスの特性通りの順番で出力階調値が決定される。
一方、ステップS615において分配順決定部111は高濃度画素に対しては、画素値、閾値および分散値に基づいて各画素の評価値を決定する。具体的には“評価値=画素値−閾値+分散値×k”を評価値として算出する。なおkは鮮鋭性回復の調整用パラメータである。調整用パラメータkを大きくするほど、コントラストが大きくなり、鮮鋭性が増加する。ステップS615において、高濃度画素については、低濃度画素に対して算出される評価値に対して、さらに分散値に応じた重みづけをしている。処理対象ブロックの分散値が大きい場合は、処理対象ブロックはエッジ強度が大きいことを意味する。つまり処理対象ブロックにエッジが含まれる場合、高濃度画素の評価値は低濃度画素の評価値よりも大きい値が算出されやすくなる。この重み付けは、低濃度画素に対して行っても、同様の効果を得ることができる。その場合は、ステップS613において高濃度画素と判定された画素に対しては“評価値=画素値−閾値”とし、低濃度画素と判定された画素に対しては“評価値=画素値−閾値−分散値×k”として評価値を算出する。また、高濃度画素と低濃度画素の双方に、それぞれ正の重みと負の重みを付けてもよい。その場合は、ステップS613において高濃度画素と判定された画素に対しては“評価値=画素値−閾値+分散値×k”とし、低濃度画素と判定された画素に対しては“評価値=画素値−閾値−分散値×k”として評価値を算出する。
ステップS616において分配順決定部111は、ステップS614およびステップS615において算出した各画素の評価値に基づいて、処理対象ブロックの分配順を決定する。本実施形態では、評価値の大きい値から評価値の小さい値の順にソートし、分配順とする。複数の画素で評価値が同じ値である場合は、画素値や閾値の大きさによって、その順番を決めればよい。本実施形態では、評価値が同じ場合は、閾値の小さい画素の方をより高い分配順として優先するようにする。また画素値が、画素値のレンジの最小値(0)または最大値(255)である場合、例えばソート処理をすることなく分配順を決定するようにしてもよい。例えば画素値が最小値である場合には、分配順が必ず最後に位置するように決定し、画素値が最大値である場合には分配順が必ず最初に位置するように決定し、残りの画素の評価値をソート処理してもよい。
ステップS617において出力値決定部112は、処理対象ブロックの目標値および分配順に基づいて、処理対象ブロックにおいてドットを配置する画素を決定し、各画素の出力値を出力する。出力値決定部112は、分配順に目標値に達するまで出力値を1(ドット配置)とする画素を決定し、目標値に達したら残りの画素は出力値を0とする。以上でハーフトーン処理部106における処理を完了する。図9は、本実施形態における処理の効果を説明する図である。図7のブロック702に対し、図8(a)の閾値群801を用いてハーフトーン処理した場合の例を、示している。評価値算出結果901は、k=0としたとき、すなわち全ての画素に対して画素値と閾値のみから評価値を算出した場合の結果を示す。この場合、低濃度画素も高濃度画素も同様の算出方法により評価値が算出されたことになる。ブロック702における目標値は8であるから、この評価値のうち値が大きい上位8画素に対してドットをONに(出力値を1)し、それ以外の8画素はドットをOFF(出力値0)とするため、ハーフトーン画像1102を得られる。一方、評価値算出結果903は、k=0.005とした場合の例である。この場合、ブロック702のうち高濃度画素には、低濃度画素の評価値算出方法に対してさらに分散値×k=20の重み付けをした評価値が算出される。このように算出した評価値からは、ハーフトーン画像1104が得られる。また、評価値算出結果905は、k=0.01とした場合の例である。この場合、ブロック702のうち高濃度画素には、低濃度画素の評価値算出方法に対してさらに分散値×k=41の重み付けをした評価値が算出される。このように算出した評価値からは、ハーフトーン画像1106が得られる。
ハーフトーン画像902、910、911を比較すると、高濃度画素の評価値に対して、分散値の分大きい値が算出されるように重みづけすることで、ハーフトーン画像におけるコントラストが強調され、鮮鋭性が増加することがわかる。これは、処理対象ブロックにおける分散値が大きい(エッジ強度が高い)ほど、高濃度画素の評価値を、低濃度画素の評価値より大きい値になるよう算出したことで、高濃度画素に優先的にドットが配置されやすくなるためである。このようにエッジに応じたコントラスト強調をするため、回復処理部102が回復しなかった高周波領域の回復処理をハーフトーン処理部106が実行できる。その結果、鮮鋭性回復処理によって生じる明るさの低下を抑制しつつ、低周波領域から高周波領域まで鮮鋭性を回復することができる。
上述の通り本実施形態では、回復処理部102は所定の周波数以下の鮮鋭性回復処理を行う。そこで、所定の周波数ubの決定方法を説明する。本実施形態における回復処理部102は、図4(b)に示すようにガンマ補正処理前に全ての周波数成分の鮮鋭性回復処理を行った場合に、明るさ低下量が一定量以上発生し始める周波数ub以下の周波数を回復処理の対象とする。以下、図11に示すフローチャートを用いて、周波数ubの決定方法を詳細に説明する。なお、以降説明する周波数ubの決定方法は、上述の画像形成装置3に内蔵される画像処理装置1を設計する際に行う。
ステップS1101において、画像形成部2に周波数特性計測チャートを記録媒体上に出力させる。なお、計測チャートの出力時は、鮮鋭性回復処理およびハーフトーン処理部106におけるコントラスト強調を行わない。すなわち、回復フィルタ処理は行わず、前述したハーフトーン処理においてはk=0とする。図12に、計測チャートの一例を示す。ここではベタ画像および異なる周波数の複数の正弦波パターンを用いる。
ステップS1102において不図示の測定装置を用いて、記録媒体上の計測チャートを測定する。測定装置には、例えば、スキャナ、ディジタルカメラ、顕微鏡、マイクロデンシトメータなどを用いることができる。ここではスキャナを用いるとする。スキャナを用いて記録媒体上の計測チャートを読み取り、取得した読み取り結果に基づいて画像形成装置3の周波数特性P(u)を算出する。周波数応答値P(u)は、例えば下式を用いて算出される光学伝達関数(MTF)を用いることができる。
P(u) = C(u)/C’ …(2)
ここで、uは正弦波の周波数、
C(u)={Max(u)−Min(u)}/{Max(u)+Min(u)}、
C’=(White−Black)/(White+Black)、
Max(u)は周波数uで変化する正弦波パターンの最大明度、
Min(u)は周波数uで変化する正弦波パターンの最小明度、
WhiteとBlackはそれぞれ均一パターンの明度。
勿論、光学伝達関数の算出は式(2)に限定されず、例えば式(3)を用いてもよい。
P(u)={Max(u)−Min(u)}/(White−Black) …(3)
なお、式(2)および式(3)では、Max(u)とMin(u)、WhiteとBlackを明度として周波数応答値P(u)を算出しているが、例えば輝度や濃度、測定装置のデバイスRGB値等を用いて算出してもよい。また、ステップS1101で出力する計測チャートとして、図12に示すような正弦波パターンではなく、矩形波パターンを用いて周波数特性P(u)を取得してもよい。その場合、矩形波パターンに対して式(2)を適用することにより算出されるコントラスト伝達関数(CTF)の値を周波数特性P(u)として用いる。もしくは、CTF値を公知のコルトマン補正式を用いて変換したMTF値を周波数特性P(u)に用いてもよい。
ステップS1103において、ステップS1102で取得した周波数特性P(u)に基づいて、鮮鋭性回復フィルタの周波数特性R(u)=1/P(u)を算出する。ステップS1104においてステップS1103で算出した鮮鋭性回復フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換してフィルタ係数を算出し、チャート画像に対して畳み込み演算を行うことによって、チャート画像に対して鮮鋭性回復処理を行う。ここでは鮮鋭性回復処理に用いるフィルタサイズを63画素×63画素とし、計測チャート画像はRGBからYCbCrに色空間を変換し、Y(輝度信号)に対して畳み込み演算を行うこととする。ステップS1105において、画像形成部2にステップS110において全周波数帯域の鮮鋭性回復処理をしたチャート画像に基づいて、計測チャートを記録媒体上に出力させる。
ステップS1106において不図示の測定装置を用いて、再度記録媒体上の計測チャートを測定し、空間周波数uの平均の明るさを算出する。ステップS1107において、ステップS1106で測定された明るさが、所望の明るさに対し、所定量β以上の差分があるかどうかを判定する。所定量β以上明るさが低下していると判定された場合は、そのときの周波数uを周波数ubとして設定する。そうでない場合は、ステップS1108において周波数uと画像形成装置3の出力解像度u_maxとを比較する。u≧u_maxであれば、ステップS1111において周波数u_maxを周波数ubに設定して終了する。u≧u_maxでない場合には、ステップS1109において周波数uを更新し、ステップS1102に戻る。なお、周波数uは低周波から高周波に向かって段階的に変化させる。以上の処理により、回復処理部102が鮮鋭性回復処理の対象とする周波数帯域を決定することができる。
続いて、前述のハーフトーン処理における処理単位となる局所領域(ブロック)のサイズと鮮鋭性回復の調整用パラメータkを、周波数ub以上の周波数成分を主に回復するように決定する。本実施例における処理単位となるブロックの大きさの決定方法を、図13に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以降説明する処理は、上述の画像形成装置3に内蔵される画像処理装置1を設計する際に行う。
まずステップ1301において、調整用パラメータkを十分に大きな値に設定し、最大限の回復処理が行われるようにする。本実施形態では、k=1とする。なお図11に示す決定方法に基づいて既に周波数ubを決定済であり、回復処理部102にチャート画像に対して周波数ub以下の鮮鋭性回復処理を実行させる。ステップS1302において周波数特性を計測するための計測チャートを、前述のハーフトーン処理によって2値化し、画像形成部2によって記録媒体上に出力させる。ステップS1303において不図示の測定装置を用いて、記録媒体上の計測チャートを読み取り、読み取り結果に基づいて、画像形成装置3の周波数特性P(u)を算出する。
ステップS1304において、ステップS1303で取得した周波数特性P(u)が、ub≦u≦u_maxを満たす全てのuにおいて、振幅が所望の値以上になっているかどうかを判定する。計測チャートの周波数特性における振幅が所望の値以上になっていなければ、ステップS1305においてブロックサイズを所定量拡大し、ステップS1302に戻る。振幅が所望の値以上になっていれば、その時のブロックサイズを取得し、ブロックサイズの決定処理を終了する。
次に、鮮鋭性回復の調整用パラメータkを決定する方法を説明する。本実施形態において、調整用パラメータkは周波数ub以上の周波数成分が十分に回復される最低の数値を選択することとする。図14に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。まず、ステップS1401において、調整用パラメータkを0に設定する。ステップS1402においてチャート画像を、前述のハーフトーン処理部106によって2値化し、画像形成部2によって記録媒体上に出力させる。このとき、ブロックサイズは前述した方法により決定したものを使用する。
ステップS1403において不図示の測定装置を用いて、記録媒体上の計測チャートを読み取り、読み取り結果に基づき、画像形成装置3の周波数特性P(u)を算出する。ステップS1404において、ステップS1403で取得した周波数特性P(u)について、ub≦u≦u_maxを満たす全てのuで、振幅が所望の値以上になっているかどうかを判定する。振幅が所望の値以上になっていなければ、ステップS1405に進み調整用パラメータkを所定量αだけ大きくし、ステップS1402に戻る。振幅が所望の値以上になっていれば、そのときの調整用パラメータkを取得し、調整用パラメータ決定処理を終了する。
続いて、周波数ub未満の周波数成分を主に回復する低周波領域の鮮鋭性回復フィルタFl(u)の作成方法を説明する。前述した通り、鮮鋭性回復処理による明るさ低下はガンマ補正により出力濃度の平均が上昇することが要因である。一方、鮮鋭性回復のためのフィルタ処理におけるクリッピング処理によっても、出力濃度の平均が変動し、明るさを低下させてしまう場合がある。入力画像の画素値が8ビットである場合、表現可能な範囲は0〜255であり、負の値や255を超える値は表現することができない。そのため、鮮鋭性回復のためのフィルタ処理の結果が表現可能な範囲を超えてしまった場合、その値はクリッピング処理により表現可能な値に丸めこまれる。例えば、画素値が50と150からなる矩形波画像に対してフィルタ処理を施し、画素値が−50と250の画素値をもつ画素に変換された場合、負の値―50は0に丸めこまれる。その結果、平均画素値は、フィルタ処理前は100であったのに対し、フィルタ処理後は125に変動してしまう。
そこで、本実施形態における回復処理部102を実行するフィルタ処理では、クリッピング処理が発生しないようにフィルタの回復量を設定する。クリッピング処理は、フィルタ処理が対象とする画像に依存する。本実施形態では、表現可能な範囲の中間値を基準として一定の振幅を持つチャート画像を用いて、クリッピングが発生しないように鮮鋭性回復フィルタを設計する。
図15に示すフローチャートを用いて、Fl(u)の作成方法を詳細に説明する。なお、S1502〜S1503については、図11のS1102〜S1103とそれぞれ同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。鮮鋭性回復フィルタFl(u)は、前述のハーフトーン処理部106によるハーフトーン処理を適用して出力したチャート画像に基づいて設計する。まず、ステップS1501においてチャート画像を、前述の高周波の鮮鋭性回復するハーフトーン処理によって2値化し、画像形成部2によって記録媒体上に計測用チャートを出力させる。このとき、ハーフトーン処理の処理単位のブロックサイズと調整用パラメータkは前述の方法で決定したものを用いる。ステップS1504において算出した鮮鋭性回復フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換してフィルタ係数を算出し、計測チャート画像に対して畳み込み演算を行うことによって、鮮鋭性回復処理を行う。本実施形態ではフィルタサイズとして63×63を用いることとし、計測チャート画像はRGBからYCbCrに色空間を変換し、Y(輝度信号)に対して畳み込み演算を行うこととする。
ステップS1505において鮮鋭性回復処理後の画像の画素値が、表現可能な範囲を超えているかどうか(クリッピングが発生するかどうか)を判定する。クリッピングが発生すると判定された場合は、ステップS1507においてフィルタの回復量を所定量αだけ低下させてR(u)を更新し、ステップS1504に戻って再度鮮鋭性回復処理を行う。この一連の動作は、クリッピングが発生しなくなるまで繰り返し行う。クリッピングが発生しないと判定された場合は、ステップS1505において周波数uと画像形成装置の出力解像度u_maxとを比較する。u≧u_maxであればステップS1509に進み鮮鋭性回復フィルタFl(u)に周波数特性R(u)を設定して終了する。u≧u_maxでない場合は、ステップS1508において周波数uを更新し、ステップS1502に戻る。
以上説明したフィルタ作成手順では、回復処理部102が用いる低周波鮮鋭性回復フィルタを高周波鮮鋭性回復可能なハーフトーン処理後のチャート画像を基準として作成している。これにより、ハーフトーン処理で生じる所望の周波数特性との誤差を吸収する働きを、大きなサイズの低周波鮮鋭性回復フィルタに持たせることができ、好適な鮮鋭性回復処理を行うことができる。
なお、上述の説明では、出力画像の周波数特性を1次元の関数P(u)として扱っている。しかしながらプリンタの周波数特性は異方性を持つことが知られており、実際には、周波数uと、uに直交する方向の周波数vの2次元の関数P(u,v)として、鮮鋭性回復フィルタの周波数特性を設計することが望ましい。また、低周波鮮鋭性回復フィルタのサイズとして63×63を用いたが、これに限らず、異なるサイズのフィルタを用いてもよい。
また、回復処理において、RGBからYCbCrに色空間を変換し、Y(輝度信号)に畳み込み演算を行っているが、これに限定されるわけではない。例えばCIE Labに色空間を変換してL(明度)に行ってもよいし、色空間の変換を行わずにRGBのまま行ってもよい。さらに、回復処理は、畳み込み演算ではなく、高速フーリエ変換等で行ってもよい。その場合は、高速フーリエ変換を用いて周波数空間に変換した後、積算処理を行い、高速逆フーリエ変換をする。
また本実施形態では、ハーフトーン処理部106はコントラスト強調のため処理ブロックのエッジ強度を示す指標として分散値を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば標準偏差値や勾配値を用いてもよい。さらに、ハーフトーン処理部106の処理単位となる局所領域のサイズや鮮鋭性回復の調整用パラメータkは、全ての色材に対して固有の値を用意する必要はなく、同一の値を用いてもよい。また、ハーフトーン処理部106の処理単位は、必ずしも正方形の矩形領域である必要はない。例えば、プリンタの周波数特性の異方性を考慮して、長方形にしてもよい。さらに、ハーフトーン処理106は全ての色材データに同様に施す必要はない。例えば視覚的に目立つ色などの一部の色材量データに対して上述のハーフトーン処理を実行し、その他の色の色材量データに対しては、通常のディザ処理や、高濃度画素も低濃度画素と同様の評価値算出処理を行う処理としてもよい。
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態において画像処理装置1について、画像形成装置3に内蔵された専用の画像処理回路として実現する場合を例に説明した。しかしながら必ずしも画像形成装置3に内蔵された回路構成でなくても実現できる。例えば画像形成装置3とは独立した情報処理装置において、ソフトウェア(コンピュータプログラム)よって実現してもよい。図10は、情報処理装置1001の構成例を示すブロック図である。情報処理装置1001は例えば、汎用インタフェイス1002を介して画像形成装置3と接続されたパーソナルコンピュータである。このとき画像処理装置1は、情報処理措置1001にインストールされた画像形成装置3専用のドライバとなる。
情報処理装置1001は、CPU1002、ROM1003、RAM1004、外部記憶装置1005、汎用インタフェイス1006を有する。CPU1002は、入力されたデータや後述のRAM1003やROM1004に格納されているコンピュータプログラムを用いて、画像形成システム全体の動作を制御する。なお、ここではCPU1002が情報処理装置全体を制御する場合を例に説明するが、複数のハードウェアが処理を分担することにより、装置全体を制御するようにしてもよい。RAM1004は、外部記憶装置1005から読み取ったコンピュータプログラムやデータ、後述の汎用インタフェイス部1006を介して外部から受信したデータを一時的に記憶する記憶領域を有する。またRAM1004は、CPU1002が各種の処理を実行するために用いる記憶領域やCPU1002が画像処理を実施する際に用いる記憶領域として使用される。すなわちRAM1004は、各種の記憶領域を適宜提供することができる。ROM1003には、情報処理装置における各部の設定を行う設定パタメータやブートプログラムなどが格納されている。外部記憶装置1005は、CPU1002が各種の処理を実行するために必要な各種データや各種情報等を記憶する記憶装置であり、例えばHDD等である。汎用インタフェイス1006は、外部装置(ここでは、画像形成装置3)と通信するためのインタフェイスであり、例えばUSBインタフェイス等である。図1(b)に示す画像処理装置1は、CPU1002により実現されるソフトウェア処理によって実現される。この場合CPU1002が、図6に示す処理の流れ(フローチャート)を実現可能なプログラムを読み出し実行することで、各構成(機能)が実現される。
<第2実施形態>
第2の実施形態では、ガンマ補正処理を、色材量データをブロック毎に平均化した画像データに対して施すことで、より正確なガンマ補正処理を行う。なお第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図16は、第2実施形態における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
ハーフトーン処理部106は、画像格納部105から各色の色材量データをブロック単位で読み込み、ハーフトーン画像データに変換する。第1実施形態とは異なり、ハーフトーン処理部106は、ガンマ補正処理部104によりガンマ補正処理されたデータではなく、色分解処理部103から得られる色材量データを読み込む。
第2実施形態におけるハーフトーン処理部106が実行する処理を、図17に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS1801〜S1804、およびステップS1806〜S1811は第1実施形態と同様であるが、ステップS1805における処理が第1実施形態と異なる。ステップS1805においてガンマ補正処理部104は、平均値算出部108から処理対象ブロックの平均値を取得し、平均値に対して、ガンマ補正処理を行う。目標値算出部113は、このガンマ補正後の平均値に対して、ステップS1804において取得した閾値データを用いてディザ処理を施す。ガンマ補正処理は図2(a)に示す画像形成装置の入出力特性に対して、逆特性となるようなガンマ特性によって入力値を補正し、線形な出力特性を得られるようにする処理である。一般に、このガンマ補正処理は、所定の面積において画素値が一定のベタ画像を用いて設計されるため、ベタ画像以外の画像に対しては、必ずしも適切なガンマ補正は行われない。したがって、ガンマ補正処理後に平均化するよりも、平均化後にガンマ補正処理を行った方が、より適切なガンマ補正が施すことができる。
また、ガンマ補正処理は、各画素の画素値に対して施すよりも、平均化後にガンマ補正処理を行った方が処理回数が少ない。例えば、処理単位となるブロックが4画素×4画素の場合、画素毎にガンマ補正処理を実行する場合に比べて1/16に削減される。<第3実施形態>前述の実施形態では、ブロック単位でエッジ強度を算出しているので、ブロック境界にエッジがある場合は、エッジを検出できない。第3実施形態では、ハーフトーン処理106の処理単位となるブロックを複数の位相で処理した結果を合成することで、ブロックの位相に関係なく、高周波を回復したハーフトーン処理画像データを生成する方法を説明する。
図18(a)に示す画像1901は、横方向に4画素の周期でエッジが存在する。このような画像において、処理単位となるブロックが図19における太線で示すような4画素×4画素である場合、ブロックの境界がエッジと一致し、ブロック内にエッジが含まれなくなる。その結果、画像1901にはエッジが存在するにもかかわらず、各ブロックのエッジ強度は低く計算され、ブロックの境界に位置するエッジは鮮鋭性が失われてしまう。そこで第3実施形態では、第一のブロック分割でハーフトーン処理をした後、第一のブロック分割のブロック境界を跨ぐように位相をずらした第二のブロック分割でハーフトーン処理を行う。これにより、いずれかの処理ブロック内に、常にエッジが含まれるようにする。
図19に示すフローチャートを用いて、本実施形態におけるハーフトーン処理部106が実行するハーフトーン処理を説明する。ここでは、4画素×4画素のブロックを処理単位とする例について、説明する。まず、ステップS2001において図18(a)のようにブロック分割を行い、ステップS2002において前述の実施形態と同様にハーフトーン画像データに変換する。このとき、各ブロックの分散値を記録しておく。例えば、図18(a)のブロック1802、1803、1804と図8(a)の閾値群801、802、803とをそれぞれ用いた場合、各ブロックの分散値は0が算出され、図20に示すハーフトーン画像2102が得られる。
次に、ステップS2004においてハーフトーン処理部106は、図18(b)のように、ステップS2001のブロック境界を跨ぐように位相をずらしてブロック分割を行い、ステップS2004において同様にハーフトーン画像データを生成する。ステップS2004において各ブロックの分散値を記録しておく。例えば、図20のブロック2101、2102と図8に示す閾値マトリクスにおいて対応する閾値群2とをそれぞれ用いた場合、各ブロックの分散値は4096となり、図21におけるハーフトーン画像データ2102が得られる。
ステップS2005において、ハーフトーン画像データ2101およびハーフトーン画像データ2102を合成する。このとき、ブロックが重なっている部分に関しては、分散値の大きいブロックに属するドットを優先する。図20の例では、ハーフトーン画像データ2101と2102とで各ドットを比較すると、ハーフトーン画像データ2101のブロックの方が、2102のブロックよりも分散値が大きいので、ハーフトーン画像データ2101のドットが優先される。その結果、ハーフトーン画像データ2103のようなドットパターンが得られる。
第3実施形態では、横方向にブロックの位相をずらした場合を説明したが、さらに図21(a)に示すように縦方向の位相をずらしたものでも同様にドットパターンを生成し、最後にそれら3つのドットパターンを統合してもよい。或いは、図21(b)に示すように縦横両方のブロックの位相をずらしたものを用いてもよい。
また、位相をずらして分割したブロックが画像からはみ出てしまう場合は、はみ出たブロックを処理しないか、はみ出た画素を削減して処理するか、或いは画像データを拡張すればよい。画像データの拡張方法には、例えば、0(白)で埋める、画像の境界部の画素値をコピーする、画像の境界部で反転させるなどがある。
以上説明した方法によれば、高周波の鮮鋭性を回復するハーフトーン処理において、分割するブロックの位相によらずエッジの鮮鋭性を回復することができる。
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、画像形成部2の構成として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色材を備える例を示したが、色材の種類は限定されない。濃度の薄い淡インク、レッドやグリーン等の特色インク、白色インクを用いてもよい。また、画像形成部2は、インクジェット方式を用いた例に限定されない。
101 フィルタ係数保持部
102 回復処理部
103 色分解処理部
104 ガンマ補正処理部
105 画像格納部
106 ハーフトーン処理部

Claims (10)

  1. 記録媒体上に画像を形成する画像形成装置のためのハーフトーン画像データを生成する画像処理装置であって、
    入力された画像データに対して、前記画像形成装置により低下する画像の鮮鋭性のうち所定の周波数より低い周波数成分の鮮鋭性を回復する回復処理手段と、
    前記回復処理手段により回復処理された画像データを、前記画像形成装置が出力可能な階調数のハーフトーン画像データに変換するハーフトーン処理手段とを有し、
    前記ハーフトーン処理手段は、
    前記回復処理された画像データの局所領域ごとに出力すべきドットの数を目標値として算出する目標値算出手段と、
    前記局所領域に対応する閾値を取得する取得手段と、
    前記局所領域におけるエッジ強度を算出するエッジ強度算出手段と、
    前記局所領域に含まれる画素を、各画素の画素値に基づいて第1の画素群と第2の画素群とに分割する分割手段と、
    前記局所領域に含まれる各画素について、各画素の画素値と各画素に対応する閾値および前記エッジ強度とに基づいて各画素の評価値を算出し、ドットを分配する分配順を前記評価値の順に決定する分配順決定手段と、 前記分配順を参照して前記目標値の分、前記局所領域に含まれる画素にドットを分配することにより、前記局所領域の各画素の出力値を決定する出力値決定手段を有し、
    前記分配順決定手段は、前記第1の画素群にはドットが配置されやすく、前記第2の画素群にはドットが配置されにくくなるように、前記評価値を算出することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記分割手段は、前記局所領域に含まれる画素の画素値の平均値を算出し、前記平均値より大きい画素値を有する画素を第1の画素群とし、前記平均値以下の画素値を有する画素を第2の画素群とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記分配順決定手段は、前記第2の画素群の画素については、各画素の画素値と閾値との差分を評価値として算出し、前記第1の画素群の画素については、各画素の画素値と閾値との差分を前記エッジ強度に応じて重みづけした値を評価値として算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. さらに、前記局所領域に含まれる画素の画素値の平均値を算出する平均値算出手段を有し、
    前記目標値算出手段は、前記平均値と前記閾値とに基づいて前記目標値を算出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像処理装置。
  5. さらに、前記回復処理手段から出力される回復処理後の画像データに対して、ガンマ補正を実行するガンマ補正手段を有し、
    前記ハーフトーン処理手段は、前記ガンマ補正手段から出力される画像データを処理対象とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. さらに、前記局所領域に含まれる画素の画素値の平均値を算出する平均値算出手段と、
    前記平均値に対してガンマ補正を実行するガンマ補正手段を有し、
    前記目標値算出手段は、前記ガンマ補正手段によりガンマ補正された平均値に基づいて前記目標値を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  7. 前記エッジ強度算出手段は、前記局所領域に含まれる各画素の画素値の分散値を前記エッジ強度として算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. 前記ハーフトーン処理手段は、第1の位相でブロック分割したブロック毎にハーフトーン処理を実行し第1のハーフトーン画像データを生成し、前記第1の位相とは異なる第2の位相でブロック分割したブロック毎にハーフトーン処理を実行し第2のハーフトーン画像データを生成し、
    前記第1のハーフトーン画像データと前記第2のハーフトーン画像データを合成することにより、ハーフトーン画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  9. コンピュータに読み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1乃至6の何れか一項に記載された画像処理装置として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  10. 記録媒体上に画像を形成する画像形成装置のためのハーフトーン画像データを生成する画像処理方法であって、
    入力された画像データに対して、前記画像形成装置により低下する画像の鮮鋭性のうち所定の周波数より低い周波数成分の鮮鋭性を回復し、
    前記回復処理された画像データにおけるの局所領域ごとに出力すべきドットの数を目標値として算出し、
    前記局所領域に対応する閾値を取得し、
    前記局所領域におけるエッジ強度を算出し、
    前記局所領域に含まれる画素を、各画素の画素値に基づいて第1の画素群と第2の画素群とに分割し、
    前記局所領域に含まれる各画素について、各画素の画素値と各画素に対応する閾値および前記エッジ強度とに基づいて前記第1の画素群にはドットが配置されやすく、前記第2の画素群にはドットが配置されにくくなるように、各画素の評価値を算出し、ドットを分配する分配順を前記評価値の順に決定し、
    前記分配順を参照して前記目標値の分、前記局所領域に含まれる画素にドットを分配することにより、前記局所領域の各画素の出力値を決定することで、前記ハーフトーン画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
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