以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1において、1は畜舎用扉装置であり、この畜舎用扉装置1は、例えば牛舎や豚舎や馬舎等の畜舎における動物用の出入口に設置され、出入口を開閉するものである。
すなわち、畜舎用扉装置1は、通常時に出入口を閉鎖し、動物を畜舎から出入りさせる際に出入口を開口する。
畜舎用扉装置1は、畜舎の出入口に対し固定された支柱2を備え、扉体3が、接続部材4を介して、支柱2に対し水平軸線X1を中心に上下方向へ回動可能で、かつ、支柱2に対し鉛直軸線Y1を中心に水平方向へ回動可能に設けられている。すなわち、畜舎用扉装置1は、扉体3が出入口内に配置されて出入口が扉体3で遮られた閉鎖状態から、扉体3が出入口に対して水平方向および上下方向に回動することにより、出入口が開口されて動物が通過可能な開口状態となる。
図2に示すように、支柱2は、枠部材11が畜舎の出入口に対し固定されるように設置され、この枠部材11に円筒状の棒部材12が固定して取り付けられている。
枠部材11は、例えば鉄鋼製の柱体であり、出入口に対応するように設置面である地面Gに一部が埋設されて固定されている。なお、必要に応じて枠部材11の設置状態を補強する補強部材を設置してもよい。
また、枠部材11は、上端部の近傍および下端部の近傍に、枠部材11における出入口の進行方向の一方面から突出した固定取付部13が設けられている。
棒部材12は、円周状の外周面が枠部材11の一方面に接触しないように、一方面から間隔を開けて固定取付部13に固定して取り付けられている。
また、棒部材12が枠部材11に取り付けられた状態では、棒部材12は、下端部が地面Gから上方に離間するように配置されている。
接続部材4は、断面視で略コ字形の柱状の接続部材本体14を有し、この接続部材本体14の支柱2側の側面である一側面における長手方向(上下方向)の両端部には、棒部材12に水平方向に回動可能に取り付けられた回動取付部15が設けられている。すなわち、接続部材4は支柱2に対して棒部材12の中心を通る鉛直軸線Y1を中心に水平方向へ回動可能に取り付けられている。
また、接続部材本体14における回動取付部15とは異なる2つの側面の長手方向の一端部(支柱2の上部側に対応する上端部)の近傍には、扉体3が回転可能に軸支された軸支部16が設けられている。すなわち、扉体3は、接続部材4に対して、軸支部16の中心を通る水平軸線X1を中心に上下方向に回転可能に取り付けられている。
さらに、接続部材本体14における軸支部16の下方(長手方向の中央部より他端側)には、複数対、例えば8対の貫通孔17が長手方向に沿って並列に設けられている。
回動取付部15は、接続部材本体14の一側面から突出して一体に設けられた取付板部18aと、この取付板部18aに設けられ棒部材12を挿入可能な取付孔部18bと、この取付孔部18bと同心状に配置され取付孔部18bから鉛直方向に連通し棒部材12を挿入可能な円筒状の取付筒部18cとを有している。
取付筒部18cの内部には、図示しない軸受が設けられており、棒部材12が取付孔部18bおよび取付筒部18c内に挿入されることにより、接続部材4が軸受を介して棒部材12に回転自在に取り付けられる。
扉体3は、出入口に対応した形状の扉本体21と、この扉本体21に一体に設けられた扉取付部材22とを有している。
扉本体21は、外側形状が出入口の開口幅に対応した長手方向寸法を有する矩形状に構成されている。
この扉本体21は、閉鎖状態において支柱2の上部側に対応する棒状の上側構成部材23aと、この上側構成部材23aから離間して平行に設けられ閉鎖状態において支柱2の下部側に対応し上側構成部材23aより支柱2側へ長い棒状の下側構成部材23bと、これら上側構成部材23aと下側構成部材23bとの間に設けられ上側構成部材23aと殆ど同じ長さの中間部構成部材23cとを有している。
また、これら上側構成部材23aと下側構成部材23bと中間部構成部材23cとには、支柱2側である一方側に設けられた棒状の一方側連結部材23dと、支柱2とは反対側である他方側に設けられた棒状の他方側連結部材23eと、これら一方側連結部材23dと他方側連結部材23eとの間である中央部に設けられた棒状の中央部連結部材23fとで連結されて組み付けられている。なお、扉本体21は、各構成部材23a,23b,23cおよび各連結部材23d,23e,23fが組み付けられた状態において、上側構成部材23aが他方側連結部材23eから支柱2とは反対側へ突出しているとともに、下側構成部材23bが一方側連結部材23dから支柱2側へ突出している。また、扉体3は、動物の出入りを遮ることができればよいので、各構成部材23a,23b,23c間、各連結部材23d,23e,23f間およびこれら各構成部材23a,23b,23cと各連結部材23d,23e,23fとの間は空洞となっている。
扉取付部材22は、平面視で略三角形状であり、扉本体21の一方側連結部材23dにおける中間部構成部材23cより上側に固定され、一方側連結部材23dから外側へ突出するように取り付けられている。
また、扉取付部材22における一方側連結部材23dから突出した先端部は、軸支部16によって接続部材4に水平軸線X1を中心に上下方向に回動可能に軸支されている。
さらに、扉取付部材22の先端側には、板状の連結部材24がボルト25aおよびナット25bで固定されている。
そして、扉体3は、図1に実線で示すように、扉本体21の長手方向が略水平に配置された閉鎖状態から、図1に二点鎖線で示すように、扉本体21が接続部材4に対して水平軸線X1を中心に他方側連結部材23e側が上昇して扉本体21の長手方向が略鉛直に配置されるように開方向へ回動可能である。さらに、図1に示す正面視で、接続部材4および扉本体21が支柱2の延長線上の上側に配置された開口状態となるように、接続部材4が扉本体21とともに支柱2に対して鉛直軸線Y1を中心に回動可能である。
なお、扉体3が閉鎖状態の場合には、下側構成部材23bの一方側の端部の当接部26が接続部材本体14の内側に設けられた係止部27に当接することで、扉本体21の閉方向である下方への回動が係止されて、回動範囲が制限される。
ここで、扉体3は、扉本体21が水平軸線X1を中心に上方へ回動するように扉本体21を付勢する付勢手段31を有している。すなわち、扉体3は、閉鎖状態において付勢手段31によって開方向へ付勢されている。
付勢手段31は、接続部材本体14および扉取付部材22にそれぞれ回動可能に連結された連結部材32と、この連結部材32に伸縮可能に取り付けられたばね部材33とを有している。
図3に示すように、連結部材32は、接続部材本体14に回動可能に連結された第1の連結部34と、扉取付部材22に回動可能に連結された第2の連結部35と、これら第1の連結部34および第2の連結部35に連結されたロッド36とを有している。
第1の連結部34は、軸部37が、並列に設けられた複数対の貫通孔17のうちの1対の貫通孔17に挿入されて固定されている。また、回動筒部38が、接続部材本体14の内側の貫通孔17間において図示しない軸受を介して軸部37に回動可能に取り付けられており、ロッド36の一端部である下側端部が回動筒部38に一体に接続されている。すなわち、ロッド36は、軸部37および回動筒部38を介して接続部材本体14に対して回動可能である。なお、第1の連結部34は、並列して設けられた複数対の貫通孔17のいずれかに、ロッド36やばね部材33の構成に応じて選択的に取付可能である。
第2の連結部35は、2つの軸部41が、扉取付部材22に回動可能に取り付けられており、2つの回動板部42が、扉取付部材22の内側に軸部41とともに回動可能に取り付けられている。
軸部41は、2つの回動板部42間に配置されるように扉取付部材22の両側から内側へ挿入されており、回動板部42間では、2つの軸部41同士が接触しないように間隔を空けて配置されている。
各回動板部42は、図示しない貫通孔が設けられており、これら貫通孔が互いに対向しかつ軸部41間に対応するように配置されている。
そして、ロッド36は、2つの軸部41間を通るように各回動板部42の貫通孔に摺動可能に挿通されている。
すなわち、軸部41および回動板部42は、ロッド36に対して回動可能でかつロッド36に沿って摺動可能である。
ロッド36には、一端部である下端部よりやや上側に、ばね部材33の下端部を保持するばね保持部43が固定して設けられている。
このばね保持部43に下端部が保持されたばね部材33は、ばね保持部43からロッド36の軸方向に沿って設けられ、閉鎖状態で収縮するように他端部である上端部が回動板部42に固定されている。すなわち、例えば図2に示す閉鎖状態では、収縮したばね部材33の付勢力によって、回動板部42が、ロッド36の他端部である上端部側へ向かって付勢される。
そして、このばね部材33の付勢力によって、回動板部42および軸部41が扉取付部材22に対して回動しながらロッド36の他端側へ摺動して、軸部41とともに扉本体21が水平軸線X1を中心に上方へ回動する。
また、扉本体21が回動すると、回動板部42がロッド36の他端部に設けられた係止部44に当接して、軸部41および回動板部42の扉取付部材22に対する回動と、軸部41および回動板部42のロッド36に対する摺動とが係止されて、扉本体21の回動が停止される。
ここで、出入口における支柱2とは反対側である他方側連結部材23e側には、扉保持部材45が設置されている。
この扉保持部材45は、扉体3が閉鎖状態の場合に、上側構成部材23aにおける支柱2とは反対側である他端部が載置されて保持される保持部46を有している。
この保持部46には、閉鎖状態の扉体3を解除可能にロックするロック手段47が設けられている。
すなわち、扉体3は、閉鎖状態で扉本体21が扉保持部材45に保持された状態にて、付勢手段31の付勢力に抗して開方向への回動がロック手段47によりロックされて、閉鎖状態が維持される。
一方、このロック手段47によるロックを解除することにより、扉本体21は、付勢手段31の付勢力によって水平軸線X1を中心に開方向である上方へ回動する。
図4および図5に示すように、扉体3には、扉本体21および扉取付部材22を水平方向および上下方向に回動可能に支持し、かつ、扉体3の水平方向への回動範囲を制限する制限手段51が設けられている。
制限手段51は、平面視で略C字状に湾曲した板状の第1の支持部材52と、棒状の第2の支持部材53とを有している。
第1の支持部材52は、一端部が、支柱2の棒部材12に嵌合されるとともに枠部材11に一体に接続されている。すなわち、第1の支持部材52は、支柱2に固定されている。
また、第1の支持部材52の他端部には、第2の支持部材53の一端部がボルト54aおよびナット54bを用いて第1の支持部材52に対して水平方向に回動可能に接続されている。すなわち、第2の支持部材53は、第1の支持部材52に対して、ボルト54aの中心を通る鉛直軸線Y2を中心に水平方向に回動可能である。
第2の支持部材53の他端部は、扉取付部材22に固定された連結部材24に、ボルト56aおよびナット56bを用いて上下方向に回動可能に接続されている。すなわち、第2の支持部材53は、扉体3に対して、連結部材24を介して、ボルト56aの中心を通る水平軸線X2を中心に上下方向に回動可能である。
また、第2の支持部材53の一端部と他端部との間には、軸方向の長さを調整するための長さ調整部58が設けられており、第1の支持部材52の他端部から連結部材24までの長さに応じて、長さ調整部58により第2の支持部材53の長さを調整可能である。
そして、このように制限手段51が支柱2と扉体3と回動可能に接続されることにより、第2の支持部材53が第1の支持部材52に対して回動可能な範囲にのみ、扉体3の水平方向への回動範囲が制限される。すなわち、閉鎖状態では、接続部材本体14が係合部材62の内側縁部に当接することにより閉方向への回動範囲が制限され、開口状態では連結部材24の内側面における支柱2側の一部が第1の支持部材52の内側縁部に当接することにより、開方向への回動範囲が制限される。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
畜舎内の動物を出入口から畜舎外へ出す際、および、畜舎外の動物を出入口から畜舎内へ入れる際に、畜舎用扉装置1を閉鎖状態から開口状態にする場合には、扉保持部材45のロック手段47によるロックを解除する。
ロック手段47によるロックを解除すると、扉本体21が、付勢手段31の付勢力によって水平軸線X1を中心に上方へ回動する。
また、この上方へ回動している扉本体21を、接続部材4とともに支柱2に対して鉛直軸線Y1を中心に水平方向の一方側へ手動で回動させる。
すなわち、扉体3を、水平軸線X1を中心に上方へ回動させながら、鉛直軸線Y1を中心に水平方向の一方側へ回動させる。
扉体3を上方および水平方向へ回動させることにより、制限手段51によって水平方向の一方側への回動が係止されて、図1に二点鎖線で示す正面視で扉体3が支柱2の延長線上の上側に配置された開口状態となる。
この開口状態では、出入口上に扉体3が配置されておらず、かつ、出入口から出入りする動物が移動する経路上に扉体3が配置されていない。
このように畜舎用扉装置1を開口状態にした後に、動物を移動させて畜舎へ出入りさせる。
また、動物の出入りが完了すると、扉体3を、鉛直軸線Y1を中心に水平方向の他方側に回動させるとともに、付勢手段31の付勢力に抗して水平軸線X1を中心に下方へ回動させる。
扉体3を閉方向へ回動させると、扉本体21が出入口上に配置された際に、制限手段51によって水平方向の他方側への回動が係止されるとともに、下側構成部材23bの当接部26が接続部材本体14の係止部27に当接して扉体3の下方への回動が係止される。
すなわち、扉体3の閉方向への回動は、扉本体21が出入口を遮るように配置された閉鎖状態で係止される。
また、閉鎖状態では、扉体3は、上側構成部材23aの他端部が保持部46に載置され、この保持部46に載置された上側構成部材23aの他端部をロック手段47によってロックして、閉鎖状態を維持する。
次に、上記第1の実施の形態の効果等を説明する。
上記畜舎用扉装置1によれば、扉体3の上下方向および水平方向への回動に基づいて出入口が開閉され、開口状態においては、正面視で扉体3が支柱2の延長線上の上側に配置される。そのため、出入口上に扉体3が配置されていないだけでなく、出入口を出入りする動物が移動可能な経路上に扉体3が配置されていない。したがって、例えば、出入口から出入りする動物が不意に側方へ移動した場合等であっても、動物が移動可能な経路上には扉体3が配置されていないため、畜舎に出入りする動物が扉体3に接触しにくく、扉体3が動物の移動の障害になりにくい。
扉体3が接続部材4を介して支柱2に回動可能に取り付けられた構成にすることにより、上下方向への回動軸である水平軸線X1と水平方向への回動軸である鉛直軸線Y1とを別個に配置できるため、より安定して扉体3を上下方向および水平方向へ回動できる。
また、回動を付勢する付勢手段31と、この付勢手段31の付勢力に抗して閉鎖状態を維持するロック手段47とが設けられたことにより、閉鎖状態でロック手段47のロックを解除するだけで、扉体3を開方向へ回動できるため、操作性を向上できる。
さらに、制限手段51によって扉体3の水平方向への回動範囲を制限できるため、開口状態および閉鎖状態において扉体3を適切な位置に配置しやすいとともに、開口状態と閉鎖状態との切替を安定して行うことができる。
なお、上記第1の実施の形態では、支柱2および接続部材4を備えた構成としたが、このような構成には限定されず、これら支柱2と接続部材4とはそれぞれ必要に応じて選択的に設けることができ、いずれも設けられていない構成にしてもよい。
扉体3は、付勢手段31とロック手段47とを有する構成としたが、このような構成には限定されず、付勢手段31およびロック手段47が設けられていない構成にしてもよい。
また、付勢手段31が設けられた構成の場合には、扉体3の上下方向への回動のみが付勢された構成には限定されず、付勢手段31は、扉体3を上下方向および水平方向の少なくともいずれかの方向へ回動するように付勢する構成であればよい。
さらに、扉体3は、付勢手段31の付勢力や手動で回動させる構成には限定されず、モータ等の駆動装置を用いて電動で回動を操作する構成にしてもよい。
また、付勢手段31が設けられた構成にする場合は、付勢手段31の付勢力によって扉体3が上方へ回動する構成には限定されず、閉鎖状態にて付勢手段31の付勢力と扉体3の重量とが平衡になるように調整して、扉体3を開口する際に、扉本体21を手動で上方へやや持ち上げるように力を加えるだけで、平衡状態が解除されて、回動する構成にしてもよい。
また、扉体3の水平方向への回動範囲を制限する制限手段51が設けられた構成としたが、このような構成には限定されず、制限手段51が設けられていない構成にしてもよい。
さらに、制限手段51が設けられた構成の場合には、制限手段51の構成は適宜変更できる。
例えば、制限手段51に代えて、図6に示す第2の実施の形態のように、制限手段61が設けられた構成にしてもよい。
制限手段61は、支柱2の棒部材12に固定された円筒状の係合部材62と、接続部材4に固定された突起状の被係合部材63とを有している。
係合部材62は、棒部材12における回動取付部15が取り付けられた箇所のやや下方に棒部材12の一部を覆うように設けられている。
また、係合部材62は、棒部材12に固定された筒状部64と、この筒状部64の上端縁部における周方向の一部の範囲に設けられた溝部65とを有している。
溝部65は、筒状部64の上端縁部から下方へ筒状部64の一部を切り欠くように形成されている。
また、溝部65は、被係合部材63と係合可能であるとともに、係合した状態の被係合部材63が溝部65に沿って水平方向へ摺動可能である。
また、溝部65は、係合した状態の被係合部材63の摺動を係止する第1の係止部66および第2の係止部67を有している。
これら第1の係止部66および第2の係止部67は、溝部65の周方向の端部で構成されている。
また、第1の係止部66と第2の係止部67との間には、これら第1の係止部66および第2の係止部67より上側へ凸弧状に形成された境界部68が、第1の係止部66および第2の係止部67と連続して形成されている。
被係合部材63は、接続部材本体14の一側面における回動取付部15のやや下方から突出して設けられた円柱状の突起部69を有している。
この突起部69は、外周面が溝部65に接触するように係合部材62と係合可能である。また、突起部69は、係合部材62に係合した状態において、支柱2に対する接続部材4の水平方向への回動に伴って、溝部65に沿って摺動可能である。すなわち、被係合部材63は、係合部材62に係合した状態において、扉体3の水平方向への回動に伴って、係合部材62に対して回動可能である。
また、突起部69は、水平方向への回動範囲が第1の係止部66と第2の係止部67とで制限されている。すなわち、出入口が扉体3で閉鎖された状態においては、突起部69が第1の係止部66に当接して、被係合部材63の水平方向における閉方向への回動が係止される。また、出入口が開口された状態においては、突起部69が第2の係止部67に当接して、被係合部材63の水平方向における開方向への回動が係止される。
このように係合部材62と被係合部材63との係合状態により扉体3の水平方向への回動範囲を制限する構成では、簡単な構成で確実に回動範囲を制限できる。
また、第1の係止部66と第2の係止部67との間に上側へ凸弧状の境界部68が設けられたことにより、突起部69が第1の係止部66で係止された閉鎖状態から開方向へ扉体3を回動させる際、および、突起部69が第2の係止部67で係止された開口状態から閉方向へ扉体3を回動させる際には、突起部69が境界部68の頂部を通過するまで扉体3を回動させるだけで、扉体3の自重によって、突起部69が境界部68の下方への傾斜に沿って自動的に移動するため、開閉操作を容易にできる。
次に、第3の実施の形態を図7を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施の形態は、図7に示すように、出入口に対して固定して設置された支柱71に、扉体72が、水平軸線X1を中心に上下方向に回動可能で、かつ、鉛直軸線Y1を中心に回動可能に取り付けられている。
扉体72は、扉本体73を有し、この扉本体73は、複数(例えば3つ)の棒状の構成部材74a,74b,74cと、連結部材74d,74eとで構成されている。
すなわち、扉本体73は、閉鎖状態において支柱71の上部側に対応する上側構成部材74aと、閉鎖状態において上側構成部材74aから下方に離間して平行に配置され支柱71の下部側に対応する下側構成部材74bと、これら上側構成部材74aと下側構成部材74bとの間に平行に配置された中間部構成部材74cとを有している。
また、これら構成部材74a,74b,74cは、支柱71とは反対側である他方側において扉本体73の幅方向に配置された他方側連結部材74dと、支柱71と他方側連結部材74dとの間において扉本体73の幅方向に配置された中央部連結部材74eとで連結されて組み付けられている。
なお、構成部材74a,74b,74cにおける支柱71側である一方側の端部には接続部材75aが設けられおり、各構成部材74a,74b,74cは、それぞれ接続部材75aを介して支柱71に回動可能に軸支されている。
また、構成部材74a,74b,74cにおける他方側の端部には接続部材75bが設けられ、各構成部材74a,74b,74cは、それぞれ接続部材75bを介して他方側連結部材74dに回動可能に軸支されている。
このように扉本体73が構成されることにより、閉鎖状態では各構成部材74a,74b,74cが互いに離間した状態で出入口を遮るように略水平に配置される。
また、閉鎖状態からの扉本体73が上方へ回動すると、各構成部材74a,74b,74cは、それぞれ接続部材75aが回動可能に軸支された点である水平軸線X1を基点として回動する。
そのため、水平に配置された状態で互いに離間していた各構成部材74a,74b,74cは、扉本体73を上方へ回動させると、その回動に伴って扉本体73の幅方向に折り畳まれるように互いに漸次接近する。
その結果、各構成部材74a,74b,74cが略鉛直に配置された開口状態では、閉鎖状態より各構成部材74a,74b,74cが接近し、隣り合う構成部材74a,74b,74cが互い接触して配置される。
すなわち、開口状態では、構成部材74a,74b,74cの側部同士が接触して、扉本体73の幅方向の長さが各構成部材74a,74b,74cの幅方向の長さ分だけになる。
そして、扉体72は、扉本体73がこのように折り畳まれた状態で、鉛直軸線Y1を中心に水平方向に回動可能である。
そのため、折り畳まれた状態で水平方向の開方向へ回動された扉体72は、上記第1の実施の形態より、動物の移動に対する障害になりにくく、畜舎に出入りする動物がより接触しにくい。
一方、開口状態から折り畳まれた扉本体73を閉方向である下方へ回動させると、その回動に伴って各構成部材74a,74b,74cが互いに漸次離間する。
ここで、支柱71には、リール部76と、一端がリール部76に固定された紐体77とが設けられ、紐体77の他端が上側構成部材74aの固定部78に固定されている。
そして、扉体72の閉鎖状態で、リール部76によって紐体77を巻き取ることにより、図7に二点鎖線で示すように、扉本体73が水平軸線X1を中心に上方へ回動して、開口状態となる。
一方、扉体72の開口状態で、リール部76に巻き取られた紐体77を巻き戻すように引き出すことにより、図7に実線で示すように扉本体73が水平軸線X1を中心に下方へ回動して閉鎖状態となる。
また、閉鎖状態では、他方側連結部材74dに設けられた載置部79が、保持部46に載置される。
なお、リール部76による巻取操作および巻戻操作は、手動で行う構成でも、電動で行う構成でもよい。
また、扉体72は、リール部76および紐体77を用いて扉本体73を上下方向に回動させる構成には限定されず、例えば上記第1の実施の形態のように付勢手段が設けられた構成や、モータ等の駆動装置によって回動させる構成等にしてもよい。
扉本体73は、開口状態において各構成部材74a,74b,74cが互いに接触して配置される構成としたが、このような構成には限定されず、開口状態において閉鎖状態より各構成部材74a,74b,74cが接近して配置される構成であれば、例えば、開口状態において構成部材74a,74b,74c間に隙間がある構成でもよい。
次に、第4の実施の形態を図8を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第4の実施の形態では、図8に示すように、扉体81が、支柱2に対して接続部材82を介して鉛直軸線Y1を中心に水平方向に回動可能で、かつ、接続部材82に対して水平軸線X1を中心に上下方向に回動可能に設けられている。
接続部材82は、支柱2の棒部材12に回動可能に接続されている。すなわち、接続部材82は、棒部材12の中心を通る鉛直軸線Y1を中心に水平方向に回動可能である。
扉体81は、接続部材82に対して水平軸線X1を中心に回動可能に接続され、接続部材82とともに水平方向に回動可能である。
また、扉体81は、接続部材82に上下方向に回動可能に取り付けられた扉本体83を有している。
扉本体83は、複数(例えば3つ)の棒状の構成部材84a,84b,84cと、これら構成部材84a,84b,84cに連結された連結部材84d,84eとを有している。
すなわち、扉本体83は、閉鎖状態において支柱2の上部側に対応する上側構成部材84aと、閉鎖状態において上側構成部材84aから下方に離間して平行に配置され支柱2の下部側に対応する下側構成部材84bと、これら上側構成部材84aと下側構成部材84bとの間に平行に配置された中間部構成部材84cとを有している。
これら構成部材84a,84b,84cは、支柱2側である一方側の端部が接続部材82に対して軸支部85a,85b,85cでそれぞれ回動可能に軸支されている。
これら軸支部85a,85b,85cは、接続部材82において支柱2側から扉保持部材45側へ傾斜して配置されている。すなわち、軸支部85bは軸支部85aより扉保持部材45側に配置され、軸支部85cは軸支部85bより扉保持部材45側に配置されている。
そして、各構成部材84a,84b,84cは、このように接続部材82に配置された軸支部85a,85b,85cの中心を通る水平軸線X1を中心に、上下方向に回動可能である。
また、各構成部材84a,84b,84cにおける支柱2とは反対側である他方側の端部は、連結部材84dが、扉本体83の幅方向にわたって配置されるように、回動可能に取り付けられている。
さらに、各構成部材84a,84b,84cにおける接続部材82と連結部材84dとの間には、連結部材84eが、扉本体83の幅方向にわたって配置されるように、回動可能に取り付けられている。
また、各構成部材84a,84b,84cにおける連結部材84dと連結部材84eとの間には、折曲可能な折曲部86が設けられている。すなわち、構成部材84a,84b,84cは、折曲部86にて、支柱2側に対して連結部材84d側を折曲可能である。
そして、扉体81は、扉本体83を付勢手段31の付勢力によって上方へ回動させると、各構成部材84a,84b,84cが軸支部85a,85b,85cの水平軸線X1を中心に上方へ回動するとともに、構成部材84a,84b,84c同士が互いに接近する。
また、扉体81は、扉本体83が略垂直に配置された状態にて、隣り合う構成部材84a,84b,84c同士が接触した状態となる。
すなわち、扉本体83は、水平軸線X1を中心に上方へ回動しながら、幅方向に折り畳まれる。
また、扉本体83は、折り畳まれるとともに折曲部86で折り曲げられて略L字状となり、このように折り畳まれかつ折り曲げられた状態で、接続部材82とともに鉛直軸線Y1を中心に水平方向の一方側へ回動可能である。
一方、略鉛直に配置されて折り畳まれた状態の扉本体83を付勢手段31の付勢力に抗して水平軸線X1を中心に下方へ回動させることにより、図8の実線で示すように、各構成部材84a,84b,84cが互いに離間して略水平に配置された状態となる。
ここで、扉本体83は、各構成部材84a,84b,84cが軸支部85a,85b,85cで接続部材82に回動可能に接続されているため、軸支部85a,85b,85cによる支持力だけでは、構成部材84a,84b,84cおよび連結部材84d,84eの重量に対して、支持状態が不安定となる可能性がある。
そこで、扉本体83は、伸縮式のダンパ87a,87bが、上側構成部材84aと中間部構成部材84cとに接続されるように扉本体83の幅方向に対して傾斜状に設けられ、伸縮式のダンパ87c,87dが、下側構成部材84bと中間部構成部材84cとに接続されるように扉本体83の幅方向に対して傾斜状に設けられている。
そして、扉本体83は、各構成部材84a,84b,84c間におけるダンパ87a,87b,87c,87dの突っ張り作用によって、支持力が付与されるとともに、回動による衝撃が緩衝される。
すなわち、閉鎖状態で収縮した状態のダンパ87a,87b,87c,87dは、扉本体83の上方への回動に伴い各構成部材84a,84b,84c間で突っ張った状態が維持されるように伸長し、開口状態で伸長した状態のダンパ87a,87b,87c,87dは、扉本体83の下方への回動に伴い各構成部材84a,84b,84c間で突っ張った状態が維持されるように収縮する。
このようなダンパ87a,87b,87c,87dの突っ張り作用によって、扉本体83の回動にともなう揺れや衝撃が緩衝されるとともに、ダンパ87a,87b,87c,87dを介して各構成部材84a,84b,84cが互い支持し合う。
次に、第5の実施の形態を図9を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、上記第4の実施の形態における扉体81に代えて扉体91が設けられている。
扉体91は、接続部材92に上下方向に回動可能に取り付けられた扉本体93を有している。
扉本体93は、複数(例えば3つ)の棒状の構成部材94a,94b,94cと、これら構成部材94a,94b,94cに連結された連結部材94d,94eとを有している。
すなわち、扉本体93は、閉鎖状態において支柱2の上部側に対応する上側構成部材94aと、閉鎖状態において上側構成部材94aから下方に離間して平行に配置され支柱2の下部側に対応する下側構成部材94bと、これら上側構成部材94aと下側構成部材94bとの間に平行に配置された中間部構成部材94cとを有している。
これら構成部材94a,94b,94cは、支柱2側である一方側の端部が接続部材92に対して軸支部95a,95b,95cでそれぞれ回動可能に軸支されている。
これら軸支部95a,95b,95cは、接続部材92において支柱2側から扉保持部材45側へ傾斜して配置されている。すなわち、軸支部95bは軸支部95aより扉保持部材45側に配置され、軸支部95cは軸支部95bより扉保持部材45側に配置されている。
そして、各構成部材94a,94b,94cは、このように接続部材92に配置された軸支部95a,95b,95cの中心を通る水平軸線X1を中心に、上下方向に回動可能である。
また、各構成部材94a,94b,94cにおける支柱2とは反対側である他方側の端部は、連結部材94dが、扉本体93の幅方向にわたって配置されるように、回動可能に取り付けられている。
さらに、各構成部材94a,94b,94cにおける接続部材92と連結部材94dとの間には、連結部材94eが、扉本体93の幅方向にわたって配置されるように、回動可能に取り付けられている。
そして、扉体91は、付勢手段31の付勢力によって、扉本体93を上方へ回動させると、各構成部材94a,94b,94cが軸支部95a,95b,95cの水平軸線X1を中心に上方へ回動するとともに、構成部材94a,94b,94c同士が互いに接近する。
また、扉体91は、扉本体93が略垂直に配置された状態にて、隣り合う構成部材94a,94b,94c同士が接触した状態となる。
すなわち、扉本体93は、水平軸線X1を中心に上方へ回動しながら、幅方向に折り畳まれる。
また、扉本体93は、折り畳まれた状態で、接続部材92とともに鉛直軸線Y1を中心に水平方向の一方側へ回動可能である。
一方、略鉛直に配置されて折り畳まれた状態の扉本体93を付勢手段31の付勢力に抗して水平軸線X1を中心に下方へ回動させることにより、図9の実線で示すように、各構成部材94a,94b,94cが互いに離間して略水平に配置された状態となる。
扉本体93は、伸縮式のダンパ97a,97b,97c,97dが扉本体93の幅方向に対して傾斜状に設けられている。
すなわち、ダンパ97aが中間部構成部材94cと連結部材94dとに接続され、ダンパ97bが中間部構成部材97cと連結部材94eとに接続され、ダンパ97cが下側構成部材94bと連結部材94dとに接続され、ダンパ97dが下側構成部材94bと連結部材94eとに接続されている。
そして、上記第4の実施の形態と同様に、扉本体93は、各構成部材94a,94b,94c間におけるダンパ97a,97b,97c,97dの突っ張り作用によって、支持力が付与されるとともに、回動による衝撃が緩衝される。