JP6649393B2 - Vegfおよびpdgfのリガンド結合ドメインを含む融合タンパク質 - Google Patents

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Description

本発明は、PDGF結合部分、VEGF結合部分およびFc抗体領域、融合タンパク質をコードする核酸および発現ベクター、その組換え細胞、ならびに融合タンパク質を含む組成物に関する。PDGFおよびVEGFの機能を阻害するために融合タンパク質を使用する方法もまた提供される。
血管新生は、既存の血管からの新しい血管の形成であり、胎児の発達および組織の修復に関与する正常かつ必須のプロセスである。血管新生は、血管新生因子および抗血管新生因子の両方によって高度に調節され、内皮細胞の遊走および増殖、血管の成熟およびリモデリング、ならびに細胞外マトリックスの分解に関与する。それは正常な成長および発達において重要なプロセスであるが、血管新生はまた、腫瘍増殖、虚血および炎症において重要な役割を果たす。
急速な制御されない眼の血管新生の間、血管透過性が増加し、出血ならびに体液およびタンパク質滲出物の蓄積を引き起こす血管脆弱性および漏出性がもたらされ、最終的に血管不全または血管過形成のいずれかが生じる。眼の血管新生は、加齢性黄斑変性(AMD)、増殖性糖尿病性ニューロパチー(PDR)および新生血管形成といった一連の角膜疾患を引き起こし得る。AMDおよびPDRの両方は、網膜ニューロンの構造および機能の障害をもたらし、最終的に失明を引き起こす可能性がある。放置すると、異常な血管が線維性瘢痕になり、網膜機能に不可逆的な損傷をもたらし、最終的には失明を引き起こす可能性がある(非特許文献1)。角膜血管新生は、同様に、角膜の透明性の減少および視力喪失につながる可能性がある。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管新生において重要な役割を果たす。ヒトVEGFファミリーは、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−Eおよび胎盤成長因子(PIGF)の6種を含む。さらに、VEGF−A、VEGF−BおよびPIGFの複数のアイソフォームが、選択的RNAスプライシングによって生成される(非特許文献2)。VEGF−Aは、該ファミリーの原型のメンバーであり、最も特徴付けられている。VEGF−Aは、内皮細胞への分裂促進因子として働き、内皮細胞の生存および増殖を促進し、細胞移動を誘導し、微小血管透過性を増加させることが示されている。VEGFファミリーのタンパク質は、細胞表面VEGF受容体(VEGFR)の細胞外領域に結合して、VEGFシグナル伝達経路を活性化する。
VEGFRタンパク質には、VEGFR1、VEGFR2およびVEGFR3の3種類があり、それぞれ7つの免疫グロブリン(Ig)様ドメインを含む細胞外領域を含む。VEGFRの細胞外領域は、異なるVEGFタンパク質に結合する。例えば、VEGFR−1(Flt−1)は、VEGF−A、VEGF−BおよびPIGFに結合し、VEGFのデコイ受容体として、またはVEGFR−2の調節因子として機能することができる。VEGFR−2(KDR/Flk−1)は、すべてのVEGFアイソフォームに結合し、VEGF誘導血管新生シグナル伝達の主要メディエーターである。VEGFR−3(Flt−4)は、VEGF−CおよびVEGF−Dに結合するが、VEGF−Aには結合せず、リンパ管形成のメディエーターとして機能する。
高分子量の変異体であるVEGF206およびVEGF189Kは、細胞外膜に強く結合し、VEGF受容体と相互作用しない。VEGF165が主な可溶性変異体である一方で、VEGF121およびVEGF145はまた、分解生成物VEGF110と同様に、VEGFR1およびVEGFR2受容体に結合する可溶性の変異体である(非特許文献3)。
抗体、可溶性VEGF受容体またはVEGFチロシンキナーゼ活性阻害剤によるVEGF活性の遮断は、AMDなどの血管新生型疾患を治療するために使用されてきた戦略である。抗VEGF療法は一般に、視覚機能を安定化または改善するが、網膜下の瘢痕または線維化が、抗VEGF治療の2年以内に全ての治療された眼の約半分に発生することが報告されている(非特許文献4)。さらに、VEGFのみを標的とすることは、新しい血液の形成を妨げるが、新しく確立された血管には影響を及ぼさない。
最近のデータは、周皮細胞が抗VEGF耐性、新血管の安定化および瘢痕化において役割を果たし得ることを示唆している。周皮細胞は、内皮細胞と相互作用し、血液網膜障壁の確立に寄与する。重要なことに、周皮細胞は、血管新生内皮細胞に生存シグナルを提供し、VEGF枯渇治療に耐性を示す(非特許文献5)。血小板由来増殖因子(PDGF)は、周皮細胞を制御し、それらの動員、増殖および生存を促進し、新血管の成熟を調節する。
ヒトPDGFファミリーは、PDGF−A、PDGF−B、PDGF−CおよびPDGF−Dの4種類を含む。4つのPDGFタンパク質は、ホモ二量体またはヘテロ二量体(例えば、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BB、PDGF−CCおよびPDGF−DD)を形成し、それらは単量体形態において不活性である。二量体タンパク質は、細胞表面PDGF受容体(PDGFR)の細胞外領域に結合して、PDGFシグナル伝達経路を活性化する。
PDGF受容体には、PDGFR−αおよびPDGFR−βの2種類があり、それらは、ホモ二量体またはヘテロ二量体(例えば、PDGFR−αα、PDGFR−ββおよびPDGFR−αβ)を形成し、5つのIg様ドメインを含む細胞外領域を含む。受容体のリガンド結合部位は、最初の3つのIg様ドメイン(D1〜D3)に位置する。
PDGFR二量体の細胞外領域は、異なるPDGFタンパク質に結合する。例えば、PDGFR−ααは、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BBおよびPDGF−CCと特異的に相互作用する。PDGFR−αβは、PDGF−AB、PDGF−BB、PDGF−CCおよびPDGF−DDと特異的に相互作用する。PDGFR−ββは、PDGF−BBおよびPDGF−DDと特異的に相互作用する。高親和性で3つの受容体二量体のすべてに結合することができる唯一のPDGFであるPDGF−BBは、in vitroおよびin vivoの両方で周皮細胞の増殖および移動を誘導することができることが示されている。PDGFR−βの5つ全てのIg様ドメイン(D1〜D5)からなる細胞外領域は、PDGF−Bによって刺激された応答に拮抗することが以前に示されている(非特許文献6、7)。PDGFRβ−Fcキメラタンパク質を用いた研究は、ヒトPDGFR−βのD1〜D3が高親和性PDGF−Bリガンド結合に十分であることを示した(非特許文献8、9)。さらに、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)と融合したPDGFR−βのD1〜D3の前二量体化は、組換えPDGFR−βのD1〜D3タンパク質と比較してPDGF−BBリガンドへの結合親和性を改善させた(非特許文献10)。
現在の抗VEGF療法は非常に有効であるが、最適な結果を達成するためには、集中的な患者モニタリングおよび頻繁な治療が必要である。さらに、これらの薬剤は根本的な原因ではなく疾患の症状を標的とするため、治療は無期限に続けられる必要がある。最適ではない治療では、既存の脈絡膜血管新生病変(CNV)は成長し続け、最終的には線維性瘢痕に成熟し、不可逆的な失明をもたらす(非特許文献11−13)。血管新生をブロックし、血管新生脈絡膜病変内の未成熟血管系の退縮を引き起こすことができる薬剤は、血管漏出および線維化の原因を排除し、集中的な患者モニタリングおよび連続治療の必要性を低減または排除する可能性を有する。
近年、N末端からC末端まで、PDGF受容体の細胞外部分、VEGF受容体の細胞外部分および多量体化ドメインを含む融合タンパク質が開示されている(特許文献1)。融合タンパク質は、PDGFおよびVEGFの両方に結合し、それらの活性を阻害する。
米国特許出願公開第2014/0315804号明細書
Zhang and Ma,Prog Retin Eye Res.2007 Jan;26(l):l−37 Sullivan and Brekken,MAbs.2010 Mar−Apr;2(2):165−75 Bhisitkuk,Br J Ophthalmol.2006 Dec;90(12):1542−7 Daniel et al.,Ophthalmology.2014 Mar;121(3):656−66 Benjamin et al,Development.1998 May;125(9):1591−8;Patel,Retina.2009 Jun;29(6 Suppl):S45−8 Duan et al.,J Biol Chem.1991 Jan 5;266(l):413−8 Ueno et al.,Science.1991 May 10;252(5007):844−8 Heidaran et al.,FASEB J.1995 Jan;9(l):140−5 Lokker et al.,J Biol Chem.1997 Dec 26;272(52):33037−44 Leppanen et al.,Biochemistry.2000 Mar 7;39(9):2370−5 Martin et al.,Ophthalmology 2012;119:1388−1398 Bloch et al,Am J Ophthalmol.2013 Jul;156(l):l 16−124; Daniel et al.,Ophthalmology.2014 Mar;121(3):656−66
PDGFおよびVEGFの両方の阻害剤の技術に記載された進歩にもかかわらず、血管新生型障害の改善された製剤および治療のための当該技術分野における必要性が存在する。
本発明は、VEGFおよびPDGFの両方に同時に結合して、両方のシグナル伝達経路を同時に標的とする、新規な融合タンパク質を提供することによってこの必要性を満たす。融合タンパク質は、VEGFおよびPDGF受容体に由来する細胞外リガンド結合ドメインを、IgG1からの半減期延長Fcドメインに融合することによって生成される。本発明の特定の実施形態では、融合タンパク質の成分の全てがヒト起源であり、従ってヒトにおいて非免疫原性治療剤として有用であると期待される。融合タンパク質は、in vitroでのVEGFおよびPDGF依存性細胞増殖を阻害することができ、動物モデルにおけるVEGF誘導網膜漏出を減少させることができる。
血管新生がVEGFシグナル伝達の非存在下で起こりうること、および周皮細胞がVEGFおよび他の細胞の生存因子を増殖している内皮細胞に供給し、抗VEGF耐性を付与するという証拠が増えている(Reinmuth et al.,FASEB J.2001 May;15(7):1239−41)。周皮細胞の起源はまた、瘢痕組織および腫瘍における筋線維芽細胞に対して示唆されている。PDGFシグナル伝達経路は、周皮細胞の動員、生存および成熟に関与する(Andrae et al.,Genes Dev.2008 May 15;22(10):1276−312)。抗体によるPDGF受容体シグナル伝達の阻害は、眼の血管新生の複数のマウスモデルにおいて抗VEGF治療の治療効果を増強することが示された(Jo et al.,Am J Pathol.2006 Jun;168(6):2036−53)。抗VEGF剤と組み合わせた抗PDGF剤 E10030の大きな第2相臨床試験は、抗VEGF単独療法よりも優れた結果を示した(Dugel,Retina Today,March 2013,65−71)。したがって、本発明の融合タンパク質は、AMDおよび癌などの血管新生型障害の治療に有効である。融合タンパク質のさらなる利点は、2つの別々の組成物、すなわち抗PDGF剤および抗VEGF剤を注射する必要がないことである。代わりに、両方の薬剤の融合タンパク質を含む単一の組成物は、単回注射を可能にし、それにより、感染および注射外傷の患者へのリスクを減少させる。
1つの一般的な態様において、本発明は、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質に関し、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置され、融合タンパク質は、VEGF−A分子およびPDGF−BB分子に結合し、VEGFR1、VEGFR2の活性およびPDGFRの活性を阻害することができる。
本発明の一実施形態では、VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、VEGFリガンドに結合することができ、1又は複数のVEGF受容体の1又は複数のIg様ドメインD1〜D7を含む。好ましくは、VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、第1のVEGF受容体のIg様ドメインD2および第2のVEGF受容体のIg様ドメインD3を含み、第1および第2のVEGF受容体は同一または異なるVEGF受容体である。一実施形態では、VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、VEGFR1のIg様ドメインD2およびVEGFR2のIg様ドメインD3を含む。別の実施形態では、VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましくは、VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7および10からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFリガンドに結合することができ、1又は複数のPDGFレセプターの1又は複数のIg様ドメインD1〜D5を含む。好ましくは、PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、1または複数のPDGF受容体のIg様ドメインD1〜D3を含む。一実施形態では、PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましくは、存在するPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、抗体のFc領域は、IgG1のCH2およびCH3領域を含む。好ましくは、抗体のFc領域は、配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。より好ましくは、抗体のFc領域は、配列番号12および15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、(a)VEGFR1のIg様ドメインD2およびVEGFR2のIg様ドメインD3、(b)IgG1のCH2およびCH3領域を含む抗体のFc領域、(c)PDGFRβのIg様ドメインD1〜D3を含み、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置され、より好ましくは、(c)−(b)−(a)の順序で配置される。
本発明の一実施形態では、融合タンパク質は、Fc領域と融合タンパク質のC末端の第1または第2のペプチドとの間にリンカーペプチドを含み、任意に、融合タンパク質のN末端の第1または第2のペプチドとFc領域との間に第2のリンカーペプチドを含む。
本発明の一実施形態では、融合タンパク質はさらに、融合タンパク質のN末端に作動可能に結合されたシグナルペプチドを含む。
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする単離された核酸分子に関する。
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む発現ベクターに関する。
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む組換え宿主細胞に関する。
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質を得る方法に関する。該方法は、(1)融合タンパク質を産生する条件下で、該融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を培養する工程;(2)宿主細胞によって産生された融合タンパク質を回収する工程を含む。
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
別の一般的な態様において、本発明は、VEGFRの活性およびPDGFRの活性を低下させる方法に関し、この方法は、それを必要とする対象に有効量の本発明の融合タンパク質を投与することを含む。
別の一般的な態様において、本発明は、組織血管新生、血管透過性、浮腫および炎症からなる群より選択される臨床状態を治療または予防する方法に関し、該方法は、それを必要とする対象に有効量の本発明の一実施形態による融合タンパク質を投与することを含む。
別の一般的な態様において、本発明は、脈絡膜血管新生(CNV)、湿潤加齢性黄斑変性(AMD)および地図状萎縮からなる群から選択される臨床状態を治療または予防する方法に関し、該方法は、それを必要とする対象に有効量の本発明の一実施形態による融合タンパク質を投与することを含む。
本発明の一実施形態では、融合タンパク質は、単離されたタンパク質として、または発現ベクターとして投与される。
本発明の一実施形態において、臨床状態は、脳浮腫、脳卒中、癌、乾癬、関節炎、喘息、火傷に関連する全身浮腫、腫瘍に関連する腹水および胸水、炎症または外傷、慢性気道炎症、全身性毛細血管漏出症候群、敗血症、タンパク質の増加する漏出に関連する腎疾患、関節リウマチ、炎症性関節炎、変形性関節症、アテローム性動脈硬化症、乾癬、眼の炎症および/または眼の血管新生からなる群より選択され、加齢性黄斑変性症、増殖性及び非増殖性糖尿病性網膜症、角膜新生血管形成、虹彩血管新生および新血管性緑内障を含む。
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質を含むPDGFおよびVEGFの二量体アンタゴニストに関する。
別の一般的な態様において、本発明は、PDGF−BBおよびVEGF−Aからなる群より選択される少なくとも1つのリガンドに結合した本発明の融合タンパク質を含むタンパク質コンジュゲートに関する。
本発明の他の態様、特徴および利点は、本発明の詳細な説明およびその好ましい実施形態ならびに添付の特許請求の範囲を含む以下の開示から明らかになるであろう。
前述の概要および本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことで、よりよく理解されるであろう。本発明は、図面に示された厳密な実施形態に限定されないことを理解されたい。
PDGFおよびVEGF経路の両方を同時に阻害するように設計された、本発明の実施形態による例示的な二機能性融合タンパク質、融合タンパク質2(上)および融合タンパク質1(下)の構造上のデザインを示す図である。PDGFR細胞外Ig様ドメイン(PID)は、PDGFRβの細胞外Ig様ドメインD1〜D3を表し、Fcは、IgG1のCH2およびCH3ドメインを表し、VEGFR細胞外Ig様ドメイン(VID)は、VEGFR1の細胞外Ig様ドメインD2およびVEGFR2の細胞外Ig様ドメインD3を表す。 (a)は、精製された二機能性Fc融合タンパク質1のSDS−PAGEゲル分析を表す図であり、(b)は、精製された二機能性Fc融合タンパク質1のSDS−PAGEゲル分析を表す図であり、(c)は、それぞれ非還元および還元精製二機能性Fc融合タンパク質のSDS−PAGEゲル分析を表す図である。レーンM=マーカー、レーン1(非還元)および2(還元)=ポジティブコントロール2、レーン3(非還元)および4(還元)=融合タンパク質5、レーン5(非還元)および6(還元)=融合タンパク質3である。 VEGF165に対する精製ポジティブコントロール1(黒色丸)、融合タンパク質3(黒色三角)、および融合タンパク質5(黒色四角)の3つの試験サンプルの直接リガンド結合アッセイの結果を示す図である。ウェルをVEGF165でプレコートし、試験サンプルの様々な濃度でインキュベートし、HRPコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG1 Fc特異的抗体を用いて結合した試験サンプルの量を検出し、OD450の値を試験サンプル濃度に対してプロットした。 PDGF−BBに対する精製ポジティブコントロール2(黒色丸)、融合タンパク質3(黒色三角)、および融合タンパク質5(黒色四角)の3つの試験サンプルの直接リガンド結合アッセイの結果を示す図である。ウェルをPDGF−BBでプレコートし、試験サンプルの様々な濃度でインキュベートし、HRPコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG1 Fc特異的抗体を用いて試験サンプルの量を検出し、OD450の値を試験サンプル濃度に対してプロットした。 (a)は、競合的結合アッセイにおける溶液中のVEGF165に対する融合タンパク質1の親和性評価を示す図であり、(b)は、競合的結合アッセイにおける溶液中のPDGF−BBに対する融合タンパク質1の親和性評価を示す図である。様々な濃度の融合タンパク質1を、VEGF165またはPDGF−BBのいずれかの固定された濃度の溶液中でインキュベートし、遊離VEGF165またはPDGF−BBの濃度を、定量的サンドイッチ酵素結合イムノアッセイ(ELISA)アッセイを用いて決定し、融合タンパク質1の濃度に対してプロットした。 (a)は、競合的結合アッセイにおける溶液中のVEGF165に対する融合タンパク質2の親和性評価を示す図であり、(b)は、競合的結合アッセイにおける溶液中のPDGF−BBに対する融合タンパク質2の親和性評価を示す図である。様々な濃度の融合タンパク質1を、VEGF165またはPDGF−BBのいずれかの固定された濃度の溶液中で一晩インキュベートし、遊離VEGF165またはPDGF−BBの濃度を、定量的サンドイッチ酵素結合イムノアッセイ(ELISA)アッセイを用いて決定し、融合タンパク質2の濃度に対してプロットした。 HUVEC細胞のVEGF依存性増殖に対するポジティブコントロール1(黒色丸)、融合タンパク質3(黒色三角)、および融合タンパク質5(黒色四角)の抑制効果を示す図である。OD490の値を試験サンプル濃度に対してプロットした。 BALB/3T3細胞のPDGF依存性増殖に対するポジティブコントロール1(黒色丸)、融合タンパク質3(黒色三角)、および融合タンパク質5(黒色四角)の抑制効果を示す図である。OD490の値を試験サンプル濃度に対してプロットした。
様々な刊行物、記事および特許は、背景および明細書全体にわたって引用または記載されている。これらの参考文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、物品等の議論は、本発明の文脈を提供することを目的とするものである。そのような議論は、これらの事項のいずれかまたはすべてが、開示または請求された発明に関する先行技術の一部を形成することを認めるものではない。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでなければ、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書で定義された意味を有する。本明細書で引用した全ての特許、公開特許出願および刊行物は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明白に指示しない限り、複数形を含むことに留意されたい。
本発明は、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質に関し、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置され、融合タンパク質は、VEGF−AおよびPDGF−BBに結合し、VEGFR1、VEGFR2の活性およびPDGFRの活性を阻害することができる。
驚くべきことに、本発明の間に、抗体Fc領域のような融合タンパク質における他の成分に関連するVEGFおよびPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインの配向が、VEGFおよびPDGFリガンドに対する融合タンパク質の結合親和性に影響を与えることが発見された。本発明の一実施形態による融合タンパク質は、両方のリガンドに対する融合タンパク質の親和性を最適化し、融合タンパク質の効果を増加させ得る。
本明細書中で使用される場合、語句「融合タンパク質」は、共に共有結合した2つ以上の部分を有するタンパク質を指し、各部分は異なるタンパク質に由来する。
本明細書中で使用される場合、用語「VEGF」は、VEGFシグナル伝達経路を調節する任意の血管内皮増殖因子タンパク質を指す。したがって、用語VEGFは、VEGF−A VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、P1GFまたはそれらのアイソフォームを意味し得る。
本明細書中で使用される場合、用語「VEGF受容体」および「VEGFR」は、VEGFリガンドに結合する任意の受容体を指す。したがって、用語VEGF受容体は、VEGFR1、VEGFR2またはVEGFR3を指し得る。
本明細書で使用される場合、語句「細胞外リガンド結合ドメイン」は、細胞の外側に位置し、そのリガンドに結合することができる受容体タンパク質の任意の領域を指す。
従って、本発明の融合タンパク質中に存在するVEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、任意のVEGFRに由来し得、これらに限定されないがVEGFR1、VEGFR2およびVEGFR3を含む。VEGFRタンパク質の7つの細胞外IgG様ドメインは、細胞外領域のN末端からC末端へ、1,2,3,4,5,6および7と番号が付けられ、各々、D1、D2、D3、D4、D5、D6およびD7と称される。本発明の融合タンパク質中に存在するVEGFRの細胞外リガンド結合ドメインは、1または複数の任意のVEGFRタンパク質の細胞外領域由来の7つのIgG様ドメインのいずれか1つ以上を含み得る。例えば、本発明の融合タンパク質中に存在するVEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、1または複数のVEGFR1、VEGFR2またはVEGFR3由来の1または複数のD1、D2、D3、D4、D5、D6またはD7であり得る。
好ましい実施形態では、融合タンパク質中に存在するVEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、VEGFR1のIg様ドメインD2およびVEGFR2のIg様ドメインD3を含む。好ましくは、VEGFRの細胞外リガンド結合ドメインは、VEGFへのその結合を増加させる1または複数の突然変異を含む。より好ましい実施形態では、融合タンパク質中に存在するVEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらにより好ましい実施形態では、融合タンパク質中に存在するVEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7および10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の融合タンパク質中に存在するVEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、ヒトまたは他の適切な哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ラット、ブタ、イヌ、または霊長類といったいかなる動物由来のものでもよい。好ましい実施形態では、VEGFRはヒト由来である。
本明細書で使用する「PDGF」という用語は、PDGFシグナル伝達経路を調節する任意の血漿由来成長因子タンパク質を指す。したがって、PDGFという用語は、PDGF−A、PDGF−B、PDGF−CまたはPDGF−Dを指し得る。
本明細書で使用される場合、用語「PDGF受容体」および「PDGFR」は、PDGFリガンドに結合する任意の受容体をいう。
本発明の融合タンパク質中に存在するPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFR−αおよびPDGFR−βを含むがこれに限定されない任意のPDGFRに由来し得る。PDGFRタンパク質の5つの細胞外IgG様ドメインは、細胞外領域のN末端からC末端に1,2,3,4および5と番号が付けられ、D1、D2、D3、D4およびD5とも呼ばれる。本発明の融合タンパク質中に存在するPDGFRの細胞外リガンド結合ドメインは、任意のPDGFRタンパク質の1つ以上の細胞外領域に由来する5つのIgG様ドメインのいずれか1つ以上であり得る。例えば、本発明の融合タンパク質中に存在するPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFR−αまたはPDGFR−βの1つ以上由来のD1、D2、D3、D4またはD5の1つ以上であり得る。
好ましい実施形態では、融合タンパク質中に存在するPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFRβのIg様ドメインD1〜D3を含む。好ましくは、PDGFRの細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFへのその結合を増加させる1つ以上の突然変異を含む。より好ましい実施形態では、融合タンパク質中に存在するPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらにより好ましい実施形態では、融合タンパク質中に存在するPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の融合タンパク質中に存在するPDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、ヒトまたは他の適切な哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ラット、ブタ、イヌ、または霊長類といったいかなる動物由来のものでもよい。好ましい実施形態では、PDGF受容体はヒト由来である。
本明細書で使用される場合、抗体の「Fc領域」という用語は、抗体のクラスに応じて、2つまたは3つの定常ドメインを含む2つの重鎖からなる抗体の「フラグメント、結晶化可能な」領域を指す。この用語は、定常領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。この用語は、天然および変異Fc領域の両方を含む。抗体のFc領域は、二量体、三量体、四量体などの多量体へのサブユニットの会合を促進するドメインである、多量体化ドメインとして機能することができる。好ましくは、Fc領域は、多量体へのサブユニットの会合を促進する1つ以上の突然変異を含む。
本発明の融合タンパク質中に存在する抗体のFc領域は、任意のアイソタイプ(例えばIgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE)、任意のサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2など)、任意のアロタイプ、またはノブおよびホールFcフラグメントなどの任意の操作された突然変異体であり得る。好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質中に存在する抗体のFc領域は、IgG1のCH2およびCH3領域を含む。より好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質中に存在する抗体のFc領域は、配列番号12に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらにより好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質中に存在する抗体のFc領域は、配列番号12および15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の融合タンパク質中に存在する抗体のFc領域は、ヒトまたは他の適切な哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ラット、ブタ、イヌ、または霊長類といったいかなる動物由来のものでもよい。好ましい実施形態では、Fc領域はヒト由来である。
本発明の実施形態によれば、融合タンパク質の成分は、ペプチドリンカーなどの連結部分によって連結され得る。好ましくは、リンカーは、融合タンパク質成分の柔軟性を高め、正確な折りたたみを確実にし、立体障害を最小限にし、融合タンパク質内の各機能成分の構造を著しく妨害しない。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、2〜20個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19、または20個のアミノ酸を含む。好ましくは、融合タンパク質は、Fc領域と融合タンパク質のC末端の第1または第2ペプチドとの間の第1のリンカーペプチドおよび任意に融合タンパク質のN末端の第2または第1ペプチドとFc領域との間の第2のリンカーペプチドを含む。本発明の好ましい実施形態では、第1のリンカーペプチドは、配列番号20,22,24,26,28,30および32からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含み、第2のリンカーペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
本発明の実施形態によれば、融合タンパク質は、細胞からの融合タンパク質の分泌を確実にするために、融合タンパク質のN末端に結合されたシグナルペプチドをさらに含む。宿主細胞によって認識され処理される任意のシグナルペプチドを使用することができる。好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号34または36のアミノ酸配列を含むが、これに限定されない。
好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質は、配列番号38と少なくとも90%の同一性、または配列番号40と少なくとも90%の同一性、好ましくは配列番号42のアミノ酸番号20〜766、配列番号44のアミノ酸番号21〜769または配列番号50のアミノ酸番号20〜768と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。融合タンパク質は、VEGF受容体ドメインおよび/またはPDGF受容体ドメインにおける1つ以上の突然変異または1つのヌクレオチドの多型(SNP)を含み得る。本発明の実施形態に従って、抗体のFc領域で生じる1つ以上の突然変異またはSNPを含むこともできる。
より好ましい実施形態において、本発明の融合タンパク質は、配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44の21〜769および配列番号50のアミノ酸20〜768からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
一般的な観点において、本発明の融合タンパク質は、VEGFおよびPDGFに結合し、VEGFおよびPDGF受容体の活性を阻害する。本明細書中で使用される場合、用語「に結合する」とは、リガンドの活性を阻害、遮断、中和、還元、阻止または妨害することの1つ以上をもたらすリガンドへの受容体タンパク質の細胞外ドメインの結合をいう。特定の実施形態では、VEGFまたはPDGF受容体タンパク質の細胞外ドメインは、リガンド、すなわちVEGFまたはPDGFにそれぞれ結合し、他のVEGF受容体およびPDGF受容体などの他の分子への結合からリガンドを隔離することによってリガンド活性を阻害する。特定の他の実施形態では、VEGFまたはPDGF受容体タンパク質の細胞外ドメインは、リガンド、すなわちVEGFまたはPDGFにそれぞれ結合し、リガンドが細胞内の下流シグナル伝達の現象を引き起こさないようにすることによって、リガンド活性を阻害する。
本明細書中で使用される場合、本明細書中で使用されるリガンド活性の文脈における「阻害」または「阻害する」という用語は、結合アッセイ、細胞増殖アッセイ、競合的結合アッセイ、およびin vivoアッセイを含むが、これらに限定されない種々の機能的アッセイによって分析されるリガンドの活性を低下させる受容体タンパク質の細胞外ドメインの特性を指す。
本明細書中に開示される融合タンパク質または融合タンパク質の成分は、標的結合パートナー(例えば、PDGFおよび/またはVEGFファミリータンパク質)に対する親和性、競合的結合(例えば、PDGFRまたはVEGFRへのPDGFまたはVEGFの結合をブロックする)、阻害活性(例えば、PDGFまたはVEGFシグナル伝達経路の活性化を阻害する)、細胞増殖の阻害、腫瘍増殖の阻害および血管新生の阻害(例えば、脈絡膜新生血管形成の阻害)を含むが、これらに限定されない生物学的活性に対して特徴付けられまたは評価され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される融合タンパク質または融合タンパク質の成分は、in vivoまたはin vitroでの生物学的活性に対して評価され得る。
本発明はまた、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質をコードする単離された核酸を提供し、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置される。本発明の実施形態によれば、融合タンパク質をコードする核酸分子は、チャイニーズハムスター卵巣細胞などの特定のタイプの宿主細胞での発現に対してコドン最適化され得る。本発明の好ましい実施形態によれば、融合タンパク質をコードする核酸分子は、配列番号37,39,41,43および49からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
本発明の他の実施形態によれば、融合タンパク質をコードする核酸分子は、発現ベクター中に存在し得る。発現ベクターには、組換えタンパク質発現のためのベクターおよびウイルスベクターのような対象の組織における発現のために核酸を対象に送達するためのベクターが含まれるが、これに限定されない。本発明での使用に適したウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターはまた、非ウイルスベクターであってもよい。非ウイルスベクターの例としては、プラスミド、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージなどが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは、発現ベクターの従来の機能を確立するための任意のエレメント、例えばプロモーター、リボソーム結合エレメント、ターミネーター、エンハンサー、選択マーカー、または複製起点を含み得る。
本発明の他の実施形態によれば、融合タンパク質をコードする核酸分子は、本開示の観点から当技術分野で公知の方法を用いて所望の宿主細胞からの組換え発現を改善するためにコドン最適化され得る。
本発明はまた、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を提供し、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置される。宿主細胞には、組換えタンパク質発現のための宿主細胞、および対象の組織における発現のために核酸を対象に送達するための宿主細胞が含まれるが、これに限定されない。本発明での使用に適した宿主細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓293(HEK−293)などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質の製造方法を提供し、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置される。一般的な観点において、本方法は、(1)融合タンパク質を産生する条件下で、融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を培養する工程、および(2)宿主細胞によって産生された融合タンパク質を回収する工程を含む。融合タンパク質は、当該分野で公知の方法を用いてさらに精製され得る。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は宿主細胞中で発現され、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、プロテインGアフィニティークロマトグラフィー、緩衝液交換、サイズ排除クロマトグラフィー、限外ろ過、および透析が含まれるがこれらに限定されない1つ以上の標準的な精製技術の組み合わせを用いて精製される。
本発明はまた、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)細胞外リガンドを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置される。本発明の組成物は、治療上有効量の融合タンパク質を含む。
用語「治療上有効量」は、所望の生物学的効果または臨床効果を引き出すために必要な治療的に活性な化合物の量を意味する。本発明の実施形態によれば、「治療上有効量」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。治療有効量は1回以上の投与で投与され得る。疾患状態に関して、有効量は、疾患の改善、安定化、または発達の遅延をもたらすのに十分な量である。本発明の特定の実施形態によれば、治療有効量は、血管透過性、浮腫、炎症、網膜症、線維症または癌を特徴とする疾患といった異常な血管新生を特徴とする疾患を治療または予防するために必要な融合タンパク質の量である。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質を含む医薬組成物は、40、50、60、70または80mg/mL、最も好ましくは約40±約5mg/mLといった、約0.5〜約100mg/mL、好ましくは約40〜約80mg/mLのタンパク質濃度で処方された融合タンパク質を含む。他の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、約40mg/mLを超える、好ましくは約80±約10mg/mLのタンパク質濃度で緩衝液中に処方される。
特定の実施形態において、緩衝液は、約6.5〜8、より好ましくは約7〜7.5、さらにより好ましくは約7.2のpHを有するリン酸緩衝液である。リン酸緩衝液は、5、10、15または20mMのリン酸ナトリウム、より好ましくは約10mMのリン酸ナトリウムといった約5〜20mMのリン酸ナトリウム;約20〜60mMの塩化ナトリウム、より好ましくは約40mMの塩化ナトリウム;約1〜10重量/体積%(w/v)のスクロース、より好ましくは約5%w/vのスクロース;約0.01〜0.05%w/vの界面活性剤、より好ましくは約0.03%w/vのポリソルベート20を含む。
他の特定の実施形態では、緩衝液は、約5〜8、より好ましくは約6〜7、最も好ましくは約6.8のpHを有するヒスチジン緩衝液である。ヒスチジン緩衝液は、例えば10、20、30、40または50mMのヒスチジン、より好ましくは約25mMのヒスチジンといった約10〜50mMのヒスチジン;10、20または30mMの塩化ナトリウム、より好ましくは約20mMの塩化ナトリウムといった約10〜30mMの塩化ナトリウム;1、2、4、6、8または10%w/vのスクロース、より好ましくは約6%w/vのスクロースといった約1〜10%w/vのスクロース;約0.01〜0.05%w/vの界面活性剤、より好ましくは約0.03%w/vポリソルベート20を含む。
本発明はまた、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)PDGF受容体の細胞外リガンドを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸を含む組成物を提供し、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序で、好ましくは(c)−(b)−(a)の順番でN末端からC末端に配置される。
本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む組成物は、融合タンパク質の発現のために核酸分子を細胞に導入するための送達媒体を含むことができる。核酸送達媒体の例には、リポソーム、天然ポリマーおよび合成ポリマーを含む生体適合性ポリマー、リポタンパク質、ポリペプチド、多糖類、リポ多糖類、人工ウイルスエンベロープ、金属粒子およびバクテリア、バキュロウイルス、アデノウイルスおよびレトロウイルスなどのウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクターならびに種々の真核生物宿主での発現のために開示されている当該分野で典型的に使用される他の組換え媒体が含まれる。
本発明はまた、新血管新生、血管透過性、浮腫、または炎症、網膜症、線維症または癌を特徴とする疾患といった異常な血管新生を特徴とする状態、疾患または障害を治療または予防するための本明細書に記載の医薬組成物の使用に関する。本発明の実施形態によれば、対象における異常な血管新生を特徴とする状態、疾患または障害を治療する方法は、本発明の医薬組成物の治療が必要な対象に投与することを含む。本明細書に記載の医薬組成物のいずれも、本発明の方法において使用され得、それには、融合タンパク質を含む医薬組成物または融合タンパク質をコードする核酸を含む医薬組成物が含まれる。好ましくは、本発明の医薬組成物は、眼科関連疾患のために硝子体、結膜、テノン、後眼球、または強膜を介して、全身疾患に対する血液または組織に投与される。
本明細書中で使用される場合、「対象」は、本発明の実施形態による方法によって治療されるかまたは治療される任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書中で使用される場合、「哺乳動物」は、いかなる哺乳動物をも包含する。哺乳類の例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サルまたは類人猿といった非ヒト霊長類(NHP)ヒトなど、より好ましくはヒトが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される「異常な血管新生を特徴とする状態、疾患または障害」または「血管新生型障害」は、同じ意味を有するものとし、過度の、不十分な、または異常な血管新生を含む、異常な血管生成に関連する任意の障害をいう。本発明の方法に従って治療され得る血管新生型障害の例としては、限定されるものではないが、血管新生、血管透過性、浮腫、または炎症を含む。これらには、限定されるものではないが、加齢性黄斑変性症(滲出性AMD、乾性AMDまたは地図状萎縮症など)を含む加齢黄斑変性、増殖性及び非増殖性糖尿病性網膜症、血管新生(角膜血管新生または脈絡膜血管新生など)により特徴付けられる眼の疾患、ブドウ膜炎(前部ブドウ膜炎または後部ブドウ膜炎など)、色素性網膜炎、糖尿病性網膜症、虹彩血管新生、血管新生性緑内障、炎症性疾患、慢性関節リウマチ、炎症性関節炎、変形性関節症、自己免疫疾患および癌が含まれる。本発明の好ましい実施形態では、治療される血管新生型疾患は、網膜症、線維症または癌である。
他の実施形態では、本発明の方法に従って治療され得る血管新生型疾患には、脳浮腫、脳卒中、乾癬、喘息、火傷に関連する全身浮腫、腫瘍に関連する腹水および胸水、炎症または外傷、慢性気道炎症、全身性毛細血管漏出症候群、敗血症、タンパク質漏出の増加に関連する腎臓疾患を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、対象における所望の治療または臨床的転帰を達成するために対象に組成物を投与することをいう。一実施形態では、「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、血管透過性、浮腫または炎症などの血管新生型疾患の進行または発達を軽減、緩和または緩徐化するために本発明の医薬組成物を投与することをいう。さらに別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、眼の角膜血管新生および/または漏出性脈管構造を阻害または減少させるために本発明の医薬組成物を投与することをいう。さらに別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、本発明の医薬組成物を投与して、角膜における新血管(すなわち、角膜新生血管形成)または影響部位の進行または発達を遅らせることをいう。本発明の特定の実施形態では、AMDに関連して使用する場合、「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、VEGF誘導性網膜漏出を予防または低減すること、また、血管新生に関連する眼の瘢痕および線維症を予防または低減することをいう。本発明の特定の実施形態において、癌に関連して使用される場合、「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、癌性細胞の増殖、脱分化または拡散の低減をいう。本発明による腫瘍の治療には、腫瘍サイズの縮小、腫瘍増殖の減少、および腫瘍転移の減少が含まれる。本明細書で使用する「腫瘍」という用語は、異常な組織塊を指し、良性および悪性塊の両方を含む。
本発明の実施形態によれば、医薬組成物は、局所投与、硝子体内注射、脈絡膜上または結膜下注射などの、本開示の観点から当業者に公知の任意の方法によって投与され得る。好ましい実施形態では、眼用製剤は硝子体内投与される。医薬組成物は、眼の任意の部分に投与され得、好ましくは血管新生型疾患の治療のために眼の硝子体に投与される。医薬組成物は、身体の任意の部分に投与され得、好ましくは血管新生型障害の治療のために血液または組織/器官に投与される。
本発明の実施形態による、対象への医薬組成物の投与量、投与頻度、および投与期間などのパラメータは、特定の方法で限定されない。そのようなパラメータの最適値は、治療される対象、治療される特定の血管新生型疾患、疾患の重症度などの様々な要因に依存し得、当業者は、所望の治療または臨床的転帰を達成するために、そのようなパラメータの最適値を決定することができる。例えば、医薬組成物は1日1回、または例えば2回、3回、4回などのように1日に複数回投与され得る。典型的かつ非限定的な投与レジメンは、医薬組成物を硝子体内に1ヵ月の期間に1回投与することを含む。
他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、抗肝細胞成長因子(HGF)、抗HGF受容体(HGFR)、抗線維芽細胞増殖因子(FGF)、抗FGF受容体(FGFR)、抗炎症剤(コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬)、免疫調節剤、抗生剤、および抗癌剤といった他の抗血管新生剤ともに投与され得る。
一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質を含むPDGFおよびVEGFに対する二量体アンタゴニストを提供する。二量体中の各融合タンパク質は、本明細書に開示される任意の融合タンパク質を含む。一実施形態では、二量体融合タンパク質は、本発明の2つの同一の融合タンパク質を含む。別の実施形態では、二量体融合タンパク質は、本発明の2つの異なる融合タンパク質を含む。別の実施形態では、二量体融合タンパク質は、配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769および配列番号50のアミノ酸20〜768からなる群より選択されるアミノ酸配列、または配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769ならびに配列番号50のアミノ酸20〜768からなる群より選択されるアミノ酸に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つの融合タンパク質を含む。
別の一般的な態様において、本発明は、PDGFおよびVEGFからなる群から選択される少なくとも1つのリガンドに結合した本発明の融合タンパク質を含むタンパク質コンジュゲートを提供する。
(実施形態)
実施形態1は、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチド、(b)抗体のFc領域、および(c)PDGF受容体の細胞外リガンドを含む第2のペプチドを含む融合タンパク質であり、融合タンパク質は、(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置され、融合タンパク質は、VEGFおよびPDGFに結合し、VEGFの活性およびPDGFの活性を阻害することができる。
実施形態2は、実施形態1による融合タンパク質であり、VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、VEGFリガンドに結合することができ、VEGF受容体のIg様ドメインD1〜D7からなる群より選択される1つ以上を含む。
実施形態3は、実施形態1による融合タンパク質であり、PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFリガンドに結合することができ、PDGF受容体のIg様ドメインD1〜D5からなる群より選択される1つ以上を含む。
実施形態4は、実施形態1による融合タンパク質であり、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインが、第1のVEGFR、好ましくはVEGFR1のIg様ドメインD2及び第2のVEGFR、好ましくはVEGFR2のIg様ドメインD3を含み、(b)抗体のFc領域は、IgG1のCH2およびCH3領域を含み、(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFR、好ましくはPDGFRβのIg様ドメインD1〜D3を含む。
実施形態5は、実施形態4による融合タンパク質であり、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインが、配列番号7と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、(b)抗体のFc領域は、配列番号12に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
実施形態6は、実施形態5による融合タンパク質であり、(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインが、配列番号7および10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、(b)抗体のFc領域は、配列番号12および15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
実施形態7は、実施形態1〜6のいずれかによる融合タンパク質であり、Fc領域と融合タンパク質のC末端の第1または第2ペプチドとの間に第1のリンカーペプチドをさらに含み、場合により、融合タンパク質のN末端の第2または第1のペプチドとFc領域との間に第2のリンカーペプチドを含む。
実施形態8は、実施形態7による融合タンパク質であり、第1のリンカーペプチドが、配列番号20,22,24,26,28,30および32からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含み、第2のリンカーペプチドが、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
実施形態9は、実施形態1〜8のいずれかによる融合タンパク質であり、融合タンパク質は、融合タンパク質のN末端に結合されたシグナルペプチドをさらに含む。
実施形態10は、実施形態9による融合タンパク質であり、シグナルペプチドが、配列番号34および36からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
実施態様11は、実施態様1〜10のいずれかに記載の融合タンパク質であり、融合タンパク質が、(c)−(b)−(a)の順序でN末端からC末端に配置される。
実施形態12は、配列番号38または40と少なくとも90%の同一性を有するか、または配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769もしくは配列番号50のアミノ酸20〜768と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質である。
実施態様13は、実施形態12による融合タンパク質であり、配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769および配列番号50のアミノ酸20〜768からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
実施形態14は、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質をコードする単離された核酸分子である。
実施態様15は、実施形態14による単離された核酸分子であり、融合タンパク質が、融合タンパク質のN末端に結合されたシグナルペプチドをさらに含む。
実施形態16は、実施形態15による単離された核酸分子であり、シグナルペプチドが、配列番号34および36からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
実施形態17は、実施形態14〜16のいずれかに記載の単離された核酸分子であり、核酸分子が、配列番号37,39,41,43および49からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
実施形態18は、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質をコードする核酸分子を含む発現ベクターである。
実施形態19は、実施形態18による発現ベクターであり、核酸分子が配列番号37,39,41,43および49からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
実施形態20は、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞である。
実施形態21は、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質を産生する方法であって、(1)融合タンパク質が産生される条件下で、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を培養する工程と、(2)宿主細胞によって産生された融合タンパク質を回収する工程と、を含む。
実施形態22は、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
実施態様23は、実施形態22による医薬組成物であり、組成物が、pH約6.3〜7.3で、約5〜100mMのヒスチジン、約1〜10%w/vのスクロース、および約0.005〜0.1%w/vのポリソルベート20を含む緩衝液中に処方された40〜80mg/mLの融合タンパク質を含む。
実施形態24は、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質をコードする核酸分子と、脂質担体(例えば、リポフェクタミン)、化学物質(例えば、ポリエチレンイミン)またはエレクトロポレーション緩衝液といった薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物である。
実施態様25は、実施形態24による医薬組成物であり、組成物は、発現カセットを有するプラスミドと、脂質担体(例えば、リポフェクタミン)、化学物質(例えば、ポリエチレンイミン)またはエレクトロポレーション緩衝液といった薬学的に許容される担体と、を含む。
実施形態26は、新血管新生、血管透過性、浮腫および炎症からなる群より選択される臨床状態を治療または予防する方法であって、該方法は、それを必要とする対象に有効量の実施形態1〜13のいずれの融合タンパク質または実施形態22〜25のいずれかの医薬組成物を投与することを含む。
実施形態27は、実施形態26の方法であり、融合タンパク質は、実施形態22〜23のいずれかの医薬組成物において、単離されたタンパク質として投与される。
実施形態28は、実施形態26の方法であり、融合タンパク質は、実施形態24および25のいずれかの医薬組成物において投与される。
実施形態29は、実施形態26〜28のいずれか1つの方法であり、臨床状態は、脳浮腫、脳卒中、癌、乾癬、関節炎、喘息、火傷に関連する全身浮腫、腫瘍に関連する腹水および胸水、炎症または外傷、慢性気道炎症、全身性毛細血管漏出症候群、敗血症、タンパク質の増加する漏出に関連する腎疾患、眼の炎症および/または眼の血管新生からなる群より選択され、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、虹彩血管新生および新血管性緑内障を含む。
実施形態30は、脈絡膜血管新生(CNV)、湿潤加齢性黄斑変性(AMD)および地図状萎縮からなる群から選択される臨床状態を治療または予防する方法であって、該方法は、それを必要とする対象に有効量の実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質、または実施形態22〜25のいずれかの医薬組成物を投与することを含む。
実施形態31は、実施形態30の方法であり、融合タンパク質は、実施形態22〜23のいずれかの医薬組成物において、単離されたタンパク質として投与される。
実施形態32は、実施形態30の方法であり、融合タンパク質は、実施形態24および25のいずれかの医薬組成物において投与される。
実施形態33は、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質を含むPDGFおよびVEGFの二量体アンタゴニストである。
実施形態34は、PDGFおよびVEGFからなる群より選択される少なくとも1つのリガンドに結合された、実施形態1〜13のいずれか1つの融合タンパク質を含むタンパク質コンジュゲートである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
融合タンパク質の生成、発現および精製および分析
PDGFRβのIg様ドメインD1〜D3を有するPDGFR細胞外Ig様ドメイン(PID)(配列番号2)(Heidaran et al.,FASEB J.1995 Jan;9(l):140−5;Lokker et al.,J Biol Chem.1997 Dec 26;272(52):33037−44)およびVEGFR−1のIg様ドメインD2(VEGFR−1_D2)ならびにVEGFR−2のIg様ドメインD3(VEGFR−2_D3)を有するVEGFR細胞外Ig様ドメイン(VID)(配列番号7)(Holash,J.,et al,PNAS,2002,99(17):11393−98)を融合タンパク質に組み込んだ。正しい折り畳みを確実にし、立体障害を最小限にするために、短い柔軟なペプチドリンカー、GGGGGS(配列番号20)を、Fc領域のC末端(配列番号12)とN末端モジュール(PIDまたはVIDのいずれか)との間に配置した。産生された融合タンパク質2または融合タンパク質1が確実に分泌されるように、シグナルペプチド(例えば、配列番号34または配列番号36)を含めた。ヒトIgG1のFc領域を組み込んで、in vivo受容体二量体化を模倣して融合タンパク質の二量化を引き起こし、発現された融合タンパク質の容易な精製を可能にした。
配列番号38および40のアミノ酸配列を有する融合タンパク質1および2のコード配列を各々、ヒト胎児腎臓細胞株(HEK293F)にトランスフェクトし、発現させた。分泌された融合タンパク質を、ワンステッププロテインGクロマトグラフィーを用いて細胞培養上清から精製した。タンパク質を、プロテインGアフィニティーカラム(サーモフィッシャーサイエンティフィック)で捕捉し、低pH(3.5)緩衝液で溶出し、Tris−HClで中和した。図2(a)〜2(c)に示すように、90%を超える純度が、一段階精製法を用いて達成された。図2(a)〜2(c)はまた、精製された融合タンパク質1,2,3および5が予測される重量(MW〜180kDa)を有し、哺乳動物細胞で発現される場合に適切に二量体化されることを示す。
試験中、融合タンパク質1のコード配列、配列番号37を発現ベクターに組み込んだ。PDGFに対する精製融合タンパク質1の競合結合アッセイおよび融合タンパク質1のPDGF依存性BALB/3T3細胞増殖阻害アッセイの結果は、融合タンパク質1の結合能に位置的な効果があることを示しており、例えば、それははるかに低い親和性でPDGF−BBに結合する(例えば、表4および6参照)。
したがって、融合タンパク質2は、VIDおよびPIDの配向を再配列することによって構築された。融合タンパク質2のコード配列、配列番号39を発現ベクターに組み込んだ。適切な量の発現ベクターDNAを用いて、HEK293F宿主細胞を発現ベクターでトランスフェクトした。安定したクローンを、抗Fc ELISAによって評価されたタンパク質発現レベルに基づいて選択し、融合タンパク質発現の最適レベルによってクローンから研究細胞バンク(RCB)を作製した。融合タンパク質2 RCBを振とうフラスコタンパク質生産に用い、タンパク質を、プロテインAアフィニティ樹脂を用いて培養上清から精製した。タンパク質を、賦形剤を含むリン酸緩衝液に緩衝液交換した。精製された融合タンパク質2の最終濃度は、約20mg/mLであった。
融合タンパク質2の変異を実施し、融合タンパク質2の変異体、すなわち融合タンパク質3を産生した。これは、IgG1 FcのC末端に欠失リジン残基(K528)および融合タンパク質2のPIDにフェニルアラニンからセリン(F150S)への変異を含む。2段階PCR突然変異誘導法を用いて、最初にリジンを欠失させ、次にフェニルアラニンをセリンに変化させた。最終構築物は、配列番号43のコード配列を含む。CHO−S宿主細胞を、適切な量の発現ベクターDNAを用いて発現ベクターでトランスフェクトした。第1の安定なクローンを、抗Fc ELISAによって評価したタンパク質発現レベルに基づいて選択した。これを用いて、配列番号44のアミノ酸21〜769のアミノ酸配列(配列番号44のアミノ酸1〜20は、タンパク質合成中に切断されたシグナルペプチド配列である)を有する融合タンパク質3を産生した。モノクローナル性の問題がFACSによって検出されたので、1回の再クローニングが行われた。発現レベルに基づいて第2の安定なクローンを選択し、クローンを用いて融合タンパク質4 RCBを生成した。融合タンパク質4 RCBは、振とうフラスコ試験およびバイオリアクター製造の両方に対して使用された。融合タンパク質4 RCBのバイアルを解凍し、1L振とうフラスコ中で増殖させ、融合タンパク質3と同じアミノ酸配列を有する融合タンパク質4を生成した。プロテインAアフィニティー樹脂を用いて、6バッチの精製タンパク質を調製した(1段階精製)。タンパク質を、賦形剤を含むヒスチジン緩衝液に緩衝液交換した。融合タンパク質4の最終濃度は、約20mg/mLであった。
十分な量の融合タンパク質4を得るために、約5Lの最終容積で、7Lのバイオリアクター(BR)を作動させた。プラットフォーム操作手順、パラメータ設定および制御ストラテジーを使用し、培地の種類および供給スケジュールに従った。最終生成物力価は、0.21g/Lであった。
精製された融合タンパク質サンプルを、清澄化、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、第1の限外濾過工程、サイズ排除クロマトグラフィー、第2の限外ろ過工程、透析、および第3の限外ろ過工程によってさらに処理して、最終生成物を得た。
配列番号50のアミノ酸20〜768のアミノ酸配列(配列番号50のアミノ酸1〜19は、タンパク質合成の間に切断されたシグナルペプチド配列である)を有する融合タンパク質5を作製するために、融合タンパク質5をコードするDNA配列を、CHO細胞に対してコドン最適化した。配列番号49の核酸配列を有する合成コドン最適化DNAを、発現ベクターにクローニングした。CHO K1宿主細胞を、トランスフェクションの72時間前に、4mMグルタミン(J.T Baker 2078−06)および1%HT補充物(Gibco 11067−030)を含むCD CHO(Gibco 12490−003)中に2×10細胞/mLで播種した。宿主細胞を、インフォアシェーカー(36.5℃、75%湿度、6%CO、110RPM)中でインキュベートし、使用前に細胞密度を数えた。適切な量の発現プラスミドDNAを宿主細胞(1Lまたは5L容積)に添加し、ポリマーベースのトランスフェクション試薬を添加した。トランスフェクトされた培養物をインフォアシェーカー(36.5℃、75%湿度、6%CO、110RPM)中で4時間インキュベートし、独自の供給溶液を加えた。次いで、トランスフェクトされた培養物をインフォアシェーカー(32℃、75%湿度、6%CO、110RPM)中でインキュベートした。トランスフェクトされた培養物を、トランスフェクション後10日目に回収した。上清を研究材料の生成のために精製した。精製プロセスには、清澄化、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、Amicon Ultracelによる濃縮、サイズ排除クロマトグラフィー、Slide−A−Lyzerによる透析、および製剤緩衝液中のAmicon Ultracelによる最終濃縮が含まれた。
配列番号42のアミノ酸20〜766を有する融合タンパク質6は、融合タンパク質5の最初の2つのアミノ酸(QG)を欠失させることで融合タンパク質5に由来し、配列番号42のアミノ酸1−19は、タンパク質合成中に切断されたシグナルペプチド配列である。DNAインサートを、融合タンパク質5発現ベクターを鋳型として用いてPCRにより作製し、配列番号41の核酸配列を有する融合タンパク質6をコードするDNA配列を発現ベクターにクローニングした。培養および精製手順は、融合タンパク質5と同じであった。融合タンパク質6の最終濃度は、指定の製剤緩衝液中で約80mg/mLであった(280nmでの吸収に基づく)。
合計として、これらのデータは、同時の抗VEGFおよび抗PDGF活性を有する融合タンパク質が構築され、発現され、精製され、特徴付けされたことを示す。
(実施例2)
融合タンパク質のVEGF165への結合親和性
直接結合酵素結合免疫吸着アッセイ(EL1SA)を用いて、VEGF−Aのスプライス変異体であるVEGF165に対する本発明の融合タンパク質の結合親和性を測定した。合成したVEGFトラップを、ポジティブコントロール1として使用した。
VEGFトラップは、治療的使用のために設計された可溶性VEGF受容体であり、現在AMDを治療するためにFDAによって承認されている。VEGFトラップは、ヒトIgG1のFc領域に融合したVEGFR2の第3のIg様ドメイン(D3)に融合したVEGFR1の第2のIg様ドメイン(D2)を含む(Holash,J.,et al,Proc Natl Acad Sci USA.2002 Aug 20;99(17):11393−8)。VEGFトラップは、VEGF−A、VEGF−B、およびP1GFを標的とする。
96ウェルELISAプレートの各ウェルに100μLのコーティング溶液(1×リン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.2中の1μg/mL VEGF165)を添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。ウェルを400μLの1×PBS緩衝液で2回洗浄し、過剰の液体をペーパータオルで注意深く除去した。
400μLのブロッキング溶液(100mLの1×PBS中の5gスキムミルク)を各ウェルに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。ウェルを1×PBS緩衝液で2回洗浄した。
融合タンパク質およびコントロールサンプルをブロッキング溶液中で連続的に3倍に希釈し、最も高いタンパク質濃度は10mMであった。連続希釈したサンプル100μLを各ウェルに添加した。プレートを覆い、プレートシェーカー(〜100rpm)上で室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%Tween−20)で3回洗浄した。
ブロッキング溶液中の100μLの1:2500希釈西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的抗体を各ウェルに添加した。プレートを密封し、プレートシェーカー上で、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。
100μLの3,5,3’,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を各ウェルに加え、プレートを3〜5分間インキュベートして反応を起こさせた。反応を停止させるために、100μLの停止溶液(1N HCl)を各ウェルに添加した。
各ウェルの光学密度(OD)を、450nmの吸光度波長で、ELISAプレートリーダーを使用して決定した。吸光度を融合タンパク質またはコントロールのタンパク質濃度に対してプロットし、シグナルが最大有効濃度(EC50)の半分である濃度を決定した。
試験された本発明の融合タンパク質について、EC50値として表される結合親和性は、0.22と0.93nMとの間であった。EL1SAの結果を表1に示す。
この実施例からの結果は、本発明の実施形態による融合タンパク質、例えば融合タンパク質1〜5が、VEGF165に高親和性で結合することを示した。図3も参照のこと。
(実施例3)
融合タンパク質のPDGFへの結合親和性
直接結合ELISAを用いて、本発明の融合タンパク質のPDGFへの結合親和性を測定した。合成PDGFトラップをポジティブコントロール2として使用した。
PDGFトラップは、ポジティブコントロールとしての使用のために操作された可溶性PDGF受容体である。PDGFトラップは、ヒトIgG1のFc領域に融合されたPDGFRβの第2のIg様ドメイン(D1〜D3)を含む(Lu et al.Am J Obstet Gynecol.,2008,198(4):477.el−el0)。PDGFトラップは、PDGF−BB、PDGF−DD、およびPDGF−ABを標的とする。
100μLのコーティング溶液(1×リン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.2中の1μg/mLのPDGF−BB)を96ウェルELISAプレートの各ウェルに添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。ウェルを400μLの1×PBS緩衝液で2回洗浄し、余分な液体をペーパータオルで注意深く除去した。
400μLのブロッキング溶液(100mLの1×PBS中の1gのウシ血清アルブミン)を各ウェルに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。ウェルを1×PBS緩衝液で2回洗浄した。
融合タンパク質およびコントロールサンプルをブロッキング溶液中で連続的に3倍に希釈し、最も高いタンパク質濃度は10mMであった。連続希釈したサンプル100μLを各ウェルに添加した。プレートを覆い、プレートシェーカー(〜100rpm)上で室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%Tween−20)で3回洗浄した。
ブロッキング溶液中の100μLの1:2500希釈西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的抗体を、各ウェルに添加した。プレートを密封し、プレートシェーカー上で、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。
100μLの3,5,3’,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を各ウェルに加え、プレートを3〜5分間インキュベートして反応を起こさせた。反応を停止させるために、100μLの停止溶液(1N HCl)を各ウェルに添加した。
各ウェルの光学密度(OD)を、450nmの吸光度波長で、ELISAプレートリーダーを使用して決定した。吸光度を融合タンパク質またはコントロールのタンパク質濃度に対してプロットし、シグナルが最大有効濃度(EC50)の半分である濃度を決定した。
試験された本発明の融合タンパク質について、EC50値として表される結合親和性は、0.16〜2.5nMであった。EL1SAの結果を表2に示す。
この実施例からの結果は、本発明の実施形態による融合タンパク質、例えば融合タンパク質1〜5が、PDGFに高親和性で結合することを示した。図4も参照のこと。
(実施例4)
融合タンパク質のVEGFK165への競合的結合
競合的結合アッセイを用いて、本発明の融合タンパク質のVEGF165に対する結合親和性を評価した。合成したVEGFトラップをポジティブコントロール1として使用した。
融合タンパク質およびコントロールサンプルをブロッキング溶液中で連続的に3倍に希釈し、最も高いタンパク質濃度は10mMであった。等量の希釈サンプルを室温で一晩5pM VEGF−A(R&Dシステム)の最終濃度に対して10pMのVEGF165と共にインキュベートした。
Quantikine ELISAヒトVEGFキット(R&Dシステム社)からのアッセイ希釈液50μLを96ウェルプレートの各ウェルに添加した。200μLの標準、コントロール、または融合タンパク質を、適切なウェルに二重に添加した。プレートを密封し、室温で2時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液で3回洗浄した。
キット中に提供されたVEGF165コンジュゲート200μLを各ウェルに加え、プレートを密封し、室温で2時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。
キット中に提供された基質溶液200μLを各ウェルに加え、プレートを密封し、室温で20分間インキュベートした。反応を停止させるために、キット中に提供された停止溶液50μLを各ウェルに添加した。
各ウェルのODは、450nmおよび540nm(または570nm)の吸光度波長でELISAプレートリーダーを使用して決定した。結合していないVEGF165(遊離VEGF165)の濃度を、融合タンパク質またはコントロールのタンパク質濃度に対してプロットし、遊離VEGF165からのシグナルが50%減少した融合タンパク質の濃度(IC50)を決定した。
本発明の融合タンパク質のIC50値は、約3.78〜4.67pMであると決定された。競合結合アッセイの結果を表3に示す。
この実施例からの結果は、本発明の融合タンパク質、例えば融合タンパク質1、2および3が高親和性でVEGF165に結合することを確認した。図5(a)および図6(a)も参照のこと。
(実施例5)
PDGF−BBへの融合タンパク質の競合的結合
競合的結合アッセイを用いて、PDGF−BBに対する本発明の融合タンパク質の結合親和性を評価した。合成PDGFトラップをポジティブコントロール2として使用した。
融合タンパク質およびコントロールサンプルをブロッキング溶液中で連続的に3倍に希釈し、最も高いタンパク質濃度は10mMであった。等量の希釈サンプルを20pMのPDGF−BBと一緒に最終濃度10pMで、室温で一晩インキュベートした。
100μLのQuantikine ELISAヒトPDGF−BBキット由来のアッセイ希釈液100μLを、96ウェルプレートの各ウェルに添加した。100μLの標準、コントロール、または融合タンパク質を、適切なウェルに二重に添加した。プレートを密封し、室温で2時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液で4回洗浄した。
キット中に提供されたPDGF−BBコンジュゲート200μLを各ウェルに加え、プレートを密封し、室温で1.5時間インキュベートした。プレートを4回洗浄した。
キット中に提供された基質溶液200μLを各ウェルに添加し、プレートを密封し、室温で20分間インキュベートした。反応を停止するために、キット中に提供された50μLの停止溶液を各ウェルに添加した。
各ウェルのODを、ELISAプレートリーダーを用いて、450nmおよび540nm(又は570nm)の吸光度波長で決定した。遊離PDGF−BBを融合タンパク質またはコントロールのタンパク質濃度に対してプロットし、遊離PDGF−BBからのシグナルが50%減少した融合タンパク質の濃度(IC50)を決定した。
本発明の融合タンパク質のIC50値は、約0.125〜200nMであると決定された。競合的結合アッセイの結果を表4に示す。
この実施例の結果から、本発明の融合タンパク質、例えば、融合タンパク質2および3が、高親和性でPDGFに結合することが確認された。図5(b)および6(b)も参照のこと。
(実施例6)
融合タンパク質によるHUVEC増殖の阻害
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)増殖アッセイを実施して、本発明の融合タンパク質の機能性を試験した。合成したVEGFトラップをポジティブコントロール1として使用した。
96ウェルELISAプレートの各ウェルにコーティング溶液(再蒸留水中の1%ゼラチン)100μLを添加し、37℃で2時間または一晩インキュベートした。ウェルを1×PBS緩衝液で2回洗浄した。
内皮細胞増殖培地中の3500カウントのヒト臍帯静脈内皮細胞を各ウェルに添加し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。
融合タンパク質のサンプルをアッセイ緩衝液(Medium−199 l×Earle’s Salts、10%ウシ胎仔血清、10mM HEPES、1×抗生物質/抗真菌薬)で希釈し、最も高いタンパク質濃度は300nMであった。融合タンパク質のサンプルをVEGF165(8ng/mL)と混合し、混合物を室温で一晩インキュベートした。次いで、ウェルを200μLの1×PBSで洗浄した。
100μLのVEGF165/サンプル混合物を各ウェルに加え、プレートを5%COと共に37℃で72時間インキュベートした。インキュベート後、10μLのMTS検出試薬(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム)+メソ硫酸フェナジンを蒸留PBSに溶解したもの)を各ウェルに加え、プレートを37℃で2.5時間インキュベートした。
各ウェルのODを、490nmの吸光度波長でELISAプレートリーダーを使用して決定した。融合タンパク質またはコントロールのタンパク質濃度に対して吸光度をプロットし、細胞増殖が50%阻害される濃度(IC50)を決定した。
細胞増殖の阻害(IC50)は、試験した本発明の融合タンパク質については0.058と0.285nMとの間と決定された。増殖アッセイの結果を表5に示す。
この実施例からの結果は、本発明の融合タンパク質、例えば、融合タンパク質1〜5は、HUVEC細胞のVEGF依存性増殖を阻害したことを示した。図7も参照のこと。
(実施例7)
融合タンパク質によるBALB/3T3増殖の阻害
本発明の融合タンパク質の機能性を試験するために、BALBマウス由来の3T3線維芽細胞を用いた細胞増殖アッセイを行った。合成したPDGFトラップをポジティブコントロール2として使用した。
DMEM(1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L−グルタミン、10%ウシ血清アルブミン、1×抗生物質/抗真菌剤)中の4000カウントのマウス3T3線維芽細胞を各ウェルに添加し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。
融合タンパク質のサンプルをアッセイ緩衝液(1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L−グルタミン、0.5%ウシ血清アルブミン、1×抗生物質/抗真菌薬)で希釈し、最も高いタンパク質濃度は300nMであった。融合タンパク質のサンプルをPDGF(8ng/mL)と混合し、混合物を室温で一晩インキュベートした。次いで、ウェルを200μLの1×PBSで洗浄した。
細胞をアッセイ緩衝液で37℃、5%COで4時間飢餓状態にした。100μLのPDGF/サンプル混合物を各ウェルに添加し、プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートした。インキュベーション後、10μLのMTS検出試薬を各ウェルに加え、プレートを37℃で2.5時間インキュベートした。
各ウェルのODを、490nmの吸光度波長でELISAプレートリーダーを使用して決定した。融合タンパク質またはコントロールのタンパク質濃度に対して吸光度をプロットし、細胞増殖が50%阻害される濃度(IC50)を決定した。
試験した本発明の融合タンパク質のIC50値は、0.45と1000nMとの間であると計算された。増殖アッセイの結果を表6に示す。
この実施例の結果は、本発明の融合体、例えば融合タンパク質1〜5は、BALB/3T3細胞のPDGF依存性増殖を阻害したことを示した。図8も参照のこと。
(実施例8)
融合タンパク質によるダッチベルテッドウサギ(Dutch Belted Rabbit)におけるVEGF誘導漏出の阻害
本発明の融合タンパク質を網膜血管新生のin vivoモデルで試験して、血管漏出の予防における有効性を決定した。このモデルでは、VEGFをウサギの眼の硝子体に硝子体内注射して、網膜の制御されない血管新生およびそれに続く漏出を引き起こす。VEGF−Aを阻害することにより血管新生をブロックする組換えヒト化モノクローナル抗体Avastin(登録商標)およびヒトIgG1のFc部分に融合されたヒトVEGFR1およびVEGFR2の部分からなる組換え融合タンパク質Eyleaを、ポジティブコントロール3および4として使用した。
ダッチベルテッドウサギをイソフルラン(3−5%)を用いて麻酔し、その眼を眼用ベタジン溶液で処置した。次いで、ウサギの眼を滅菌生理食塩水で洗浄し、塩酸リドカイン(2%注射剤)またはプロパラカイン(0.5%)を眼球表面に適用した。
1日目に、ダッチベルテッドウサギに、BD300μLインスリン注射器(31ga×5/16インチ)を使用して、所定の用量で、本発明の融合タンパク質、媒材(ネガティブ)コントロール、または参照(ポジティブ)コントロールを硝子体内に注射した。針は眼の背側四分円、肢に対して約3〜4mm、背側直筋に対して3〜4mmの側方に挿入され、50μLの溶液が送達された。3日目に、VEGF165を同じ眼に注射した。
フルオレセイン血管造影(FA)をVEGF誘導(6日目)の3日後のすべての投与群で実施し、0(正常)〜4(重度)のスケールを用いて漏出性および蛇行性を評価した。
眼の刺激のサインは、融合タンパク質投与の前、VEGF誘導前、およびFA評価の前に、Draizeスコアリングシステムを用いてスコア化した。Draize分析によれば、ウサギの眼の全ては投薬開始前に正常であり、試験中に薬物関連の所見は見られなかった。Draizeシステムを用いて得られた知見は、すべての投与群で一過性であり、観察され、したがって、硝子体内投与に関連する手順の可能性が高い。
媒材コントロール群に関連するFAは、網膜血管系の漏出および蛇行に関連する最も高い平均スコア(2.58)を有していた。2つの参照ポジティブコントロール群は平均スコア0.25および0を有し、網膜血管系の漏出および蛇行の有意な減少を示した。本発明の試験した融合タンパク質は、平均スコア0.167を有し、ポジティブコントロールに匹敵してVEGF誘導性網膜漏出および蛇行を低減させることにおける有効性を示した。in vivoアッセイの結果を表7に示す。
(実施例9)
融合タンパク質によるダッチベルテッドウサギにおけるVEGF誘導漏出の用量応答阻害
本発明の融合タンパク質を、網膜血管新生のin vivoモデルにおいて種々の用量で試験して、血管漏出を予防する際の用量応答効果を決定した。このモデルでは、VEGF165をウサギの眼の硝子体に硝子体内注射して、網膜の制御されない血管新生およびその後の漏出を誘導した。
1日目に、ダッチベルテッドウサギに、様々な用量、媒材(ネガティブ)コントロール、または参照(ポジティブ)コントロールで、本発明の実施形態による融合タンパク質5を硝子体内注射した。3日目にVEGF誘導を行った。
0(正常)〜4(重症)のスケールを用いて、漏出および蛇行を評価するために、VEGF誘導(6日目)の3日後のすべての用量群についてFAを行った。
眼の刺激のサインは、融合タンパク質投与の前、VEGF誘導の前、およびFA評価の前に、Draizeスコアリングシステムを用いて示された。Draize分析によれば、ウサギの眼の全ては投薬開始前に正常であり、試験中に薬物関連の所見は見られなかった。Draizeシステムを用いて得られた知見は、すべての投与群で一過性であり、観察され、したがって、硝子体内投与に関連する手順の可能性が高い。
最初のVEGF誘導に関して、媒材コントロール群に関連するFAは、網膜血管系漏出および蛇行に関連する最も高い平均スコア(3.4)を有していた。2つの参照ポジティブコントロール群は、0の平均スコアを有し、網膜血管系の漏出および蛇行の有意な減少を示した。本発明の試験した融合タンパク質(融合タンパク質5)は、それぞれ100,500および1000μgの用量で0.08,0.42および0.17のスコアを有し、ポジティブコントロールに匹敵するVEGF誘導性網膜漏出および蛇行を低減することにおける有効性を示した。
用量応答in vitroアッセイの結果を表8に示す。
(実施例10)
融合タンパク質によるラットのレーザー誘導脈絡膜血管新生(CNV)における病変サイズの縮小
ブラウン・ノルウェーの目を1%シクロクロニル溶液で拡張し、光から保護した。拡張後、ラットをケタミンおよびキシラジン混合物を用いて麻酔する。1日目に532nmのレーザーを用いて、3つの病変熱傷を各眼の網膜に導入する。
3日目に、動物をケタミンおよびキシラジン混合物で麻酔し、それらの目を拡張させ、所定の用量で、本発明の実施形態による5μLの融合タンパク質、媒材(ネガティブ)コントロール、または参照(ポジティブ)コントロールを、33ゲージの針を備えたハミルトンシリンジを用いて動物の両眼に硝子体内注射する。
22日目に、動物は、体重当たり1μL/gの10%フルオレセインナトリウムのIP注射を受ける。眼底画像を、にMicron III小動物ファンドスコープ(フェニックスリサーチ)を用いて、病変の導入前、病変を確認するために病変の焼き付け後、および22日目に撮影する。病変の大きさを決定し、投与量グループ間で比較する。
(実施例11)
融合タンパク質によるサルのレーザー誘導CNVにおける病変サイズの減少
レーザーで誘導されたCNVモデルがサルで確立される。532nmダイオードレーザー光凝固を使用して各眼の黄斑周囲に6〜9回の熱傷を導入し、本発明の0.5mgの融合タンパク質を同日に硝子体内に注射する。
動物は、20日後に静脈内2.5%可溶性ペントバルビタール(1mL/kg)で鎮静化される。眼瞼を固定して眼を開いたままにして、カラー写真を眼底カメラで撮影する。
その後、フルオレセイン色素(20%フルオレセインナトリウム;0.05mL/kg)を下肢の静脈に注射する。CNV病変に関連するフルオレセインの漏出をモニタリングするために、動脈相、早期動静脈相、およびいくつかの後期動静脈相を含む、色素の注入後のいくつかの時点で写真を撮る。
(実施例12)
融合タンパク質による異種移植マウスにおけるヒト腫瘍増殖の阻害
ヒト肝細胞癌Hep3B細胞(ATCC#HB−8064)およびヒト結腸直腸癌LoVo細胞(ATCC#CCL−229)などの様々なヒト癌細胞を用いて、ヌードマウスに異種移植モデルを確立することができる。
腫瘍増殖に対する本発明の融合タンパク質の阻害効果を評価するために、腫瘍細胞をヌードマウスに移植し、0.1〜10mg/kgの範囲の本発明の実施形態による様々な濃度の融合タンパク質を、週に2回静脈内投与する。腫瘍の増殖は7週間まで測定される。
(実施例13)
ラットおよびサルにおける融合タンパク質の薬物動態学的評価
本発明の融合タンパク質の薬物動態は動物において評価される。本発明の実施形態による10〜300mg/kgの範囲の融合タンパク質が、皮下注射または静脈内注射によってラットまたはサルに投与される。血液サンプルは、注射後15日まで異なる時点で得られる。血液サンプル中の融合タンパク質の濃度は、ELISA法を用いて決定され、薬物動態パラメータが計算される。
(実施例14)
ウサギとサルにおける融合タンパク質の眼の薬物動態学的評価
本発明の融合タンパク質の薬物動態は動物において評価される。片眼あたり0.1〜4mgの範囲の本発明の実施形態による融合タンパク質が、硝子体内注射によってウサギまたはサルに投与される。眼組織および血液サンプルは、注射後28日まで異なる時点で得られる。眼組織および血液サンプル中の融合タンパク質の濃度は、ELISA法を用いて決定され、薬物動態パラメータが計算される。
本発明を詳細に説明し、特定の実施形態を参照して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることが当業者には明らかであろう。
本出願は、2015年3月11日に出願された米国仮出願62/131,261号に基づくものであり、その明細書、特許請求の範囲、図面および要約書を含むものである。上記日本国特許出願における開示は、その全体が本明細書中に参照として含まれる。
この出願には、配列表が含まれており、それは、ファイル名が「688947−3WO_ST25」、作成日が2016年3月3日、約88.9kバイトのサイズを有するASCII形式の配列表としてEFS−Webを介して提出される。EFS−Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(付記項)
(付記1)
(a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチドと、
(b)抗体のFc領域と、
(c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第2のペプチドと、
を含み、
(a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置され、
VEGFおよびPDGFに結合し、VEGFの活性およびPDGFの活性を阻害することができる、
ことを特徴とする融合タンパク質。
(付記2)
(a)前記VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、VEGFR1のIg様ドメインD2およびVEGFR2のIg様ドメインD3を含み、
(b)前記抗体のFc領域は、IgG1のCH2およびCH3領域を含み、
(c)前記PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFRβのIg様ドメインD1〜D3を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の融合タンパク質。
(付記3)
(a)前記VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(b)前記抗体のFc領域は、配列番号12に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(c)前記PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする付記2に記載の融合タンパク質。
(付記4)
(a)前記VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7および10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)前記抗体のFc領域は、配列番号12および15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)前記PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする付記3に記載の融合タンパク質。
(付記5)
Fc領域と前記融合タンパク質のC末端の第1または第2のペプチドとの間の第1リンカーペプチドをさらに含み、
前記融合タンパク質のN末端の第1または第2のペプチドとFc領域との間の第2リンカーペプチドを任意に含む、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(付記6)
前記第1リンカーペプチドは、配列番号20,22,24,26,28,30および32からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含み、前記第2リンカーペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする付記5に記載の融合タンパク質。
(付記7)
前記融合タンパク質のN末端に連結されたシグナルペプチドをさらに含む、
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
(付記8)
配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769または配列番号50のアミノ酸20〜768に対して少なくとも90%の同一配列を有するアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする融合タンパク質。
(付記9)
配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769および配列番号50のアミノ酸20〜768からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする付記8に記載の融合タンパク質。
(付記10)
付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする単離された核酸分子。
(付記11)
付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞。
(付記12)
(1)融合タンパク質が産生される条件下で、付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を培養する工程と、
(2)前記宿主細胞によって産生された融合タンパク質を回収する工程と、
を含む付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質の製造方法。
(付記13)
付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(付記14)
付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(付記15)
有効量の付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質を必要な対象に投与することを含む、血管新生、血管透過性、浮腫および炎症からなる群より選択される臨床状態を治療または予防する方法。
(付記16)
有効量の付記1乃至9のいずれか1項に記載の融合タンパク質を必要な対象に投与することを含む、脈絡膜血管新生(CNV)、湿潤加齢性黄斑変性(AMD)および地図状萎縮からなる群から選択される臨床状態を治療または予防する方法。

Claims (15)

  1. (a)VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のペプチドと、
    (b)抗体のFc領域と、
    (c)PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含む第2のペプチドと、
    を含み、
    (a)−(b)−(c)および(c)−(b)−(a)からなる群から選択される順序でN末端からC末端に配置され、
    VEGFおよびPDGFに結合し、VEGFの活性およびPDGFの活性を阻害することができ、
    前記VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、VEGFR1のIg様ドメインD2およびVEGFR2のIg様ドメインD3を含み、
    前記抗体のFc領域は、IgG1のCH2およびCH3領域を含み、
    前記PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、PDGFRβのIg様ドメインD1〜D3を含む、
    ことを特徴とする融合タンパク質。
  2. (a)前記VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    (b)前記抗体のFc領域は、配列番号12に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    (c)前記PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    ことを特徴とする請求項に記載の融合タンパク質。
  3. (a)前記VEGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号7および10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
    (b)前記抗体のFc領域は、配列番号12および15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
    (c)前記PDGF受容体の細胞外リガンド結合ドメインは、配列番号2および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、
    ことを特徴とする請求項に記載の融合タンパク質。
  4. Fc領域と前記融合タンパク質のC末端の第1または第2のペプチドとの間の第1リンカーペプチドをさらに含み、
    前記融合タンパク質のN末端の第1または第2のペプチドとFc領域との間の第2リンカーペプチドを任意に含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  5. 前記第1リンカーペプチドは、配列番号20,22,24,26,28,30および32からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含み、前記第2リンカーペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
    ことを特徴とする請求項に記載の融合タンパク質。
  6. 前記融合タンパク質のN末端に連結されたシグナルペプチドをさらに含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  7. 配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769または配列番号50のアミノ酸20〜768に対して少なくとも90%の同一配列を有するアミノ酸配列を含む、
    ことを特徴とする融合タンパク質。
  8. 配列番号38、配列番号40、配列番号42のアミノ酸20〜766、配列番号44のアミノ酸21〜769および配列番号50のアミノ酸20〜768からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、
    ことを特徴とする請求項に記載の融合タンパク質。
  9. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする単離された核酸分子。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞。
  11. (1)融合タンパク質が産生される条件下で、請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を培養する工程と、
    (2)前記宿主細胞によって産生された融合タンパク質を回収する工程と、
    を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質の製造方法。
  12. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  13. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  14. 血管新生、血管透過性、浮腫および炎症からなる群より選択される臨床状態を治療または予防するために用いられる、
    ことを特徴とする薬剤の製造における請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質の使用。
  15. 脈絡膜血管新生(CNV)、湿潤加齢性黄斑変性(AMD)および地図状萎縮からなる群から選択される臨床状態を治療または予防するために用いられる、
    ことを特徴とする薬剤の製造における請求項1乃至のいずれか1項に記載の融合タンパク質の使用。
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