(第1の実施の形態)
−画像処理システム−
図1は、本実施の形態の画像処理システム1の機能的構成の一例を示す模式図である。
画像処理システム1は、符号化装置10と、復号装置20と、を備える。符号化装置10と復号装置20とは、通信回線19を介して接続可能である。
通信回線19は、公知の通信回線である。通信回線19は、公知の通信回線である。通信回線19は、有線通信網、および、無線通信網の何れであってもよい。通信回線19は、例えば、LAN(Local Area Network)を用い、Ethernet(登録商標)やTCP/IPなどの通信プロトコルを利用する。通信回線19は、例えば、インターネットであり、EthernetやTCP/IPなどの通信プロトコルを利用する。
なお、符号化装置10と復号装置20とは、通信回線19を介してデータや信号を送受信可能に接続可能であればよい。このため、符号化装置10と復号装置20とは、常時接続されている形態に限定されない。また、符号化装置10と復号装置20とは、記憶媒体を介して、データや信号を送受信可能な構成であってもよい。すなわち、符号化装置10から出力されたデータや信号を記憶媒体に記憶してもよい。そして、復号装置20は、この記憶媒体から、データや信号を読取ってもよい。
―符号化装置―
まず、符号化装置10について説明する。
符号化装置10は、第1符号化部11と、第2符号化部12と、スイッチ13と、スイッチ14と、出力部15と、制御部16と、受付部17と、を備える。
なお、図1には、本実施の形態に関する機能を主に例示しているが、符号化装置10が有する機能はこれらに限られるものではない。これらの各処理機能は、後述する。
第1符号化部11、第2符号化部12、スイッチ13、スイッチ14、出力部15、制御部16、および受付部17の一部またはすべては、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
例えば、符号化装置10における各機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路へ記憶されている。符号化装置10は、プログラムを記憶回路から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。各プログラムを読みだした状態の符号化装置10は、図1の符号化装置10内に示された各機能を有することになる。なお、図1においては単一の処理回路にて、第1符号化部11、第2符号化部12、スイッチ13、スイッチ14、出力部15、制御部16、および受付部17が実現される場合を示した。しかし、複数の独立したプロセッサを組み合わせて符号化装置10を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしてもよい。各処理機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
符号化装置10は、原画像信号を符号化する装置である。受付部17は、外部から原画像信号を受付ける。受付部17は、公知の通信回線を介して原画像信号を受付ける。なお、受付部17は、記憶回路から原画像信号を読取ってもよい。受付部17は、受付けた原画像信号を、制御部16、スイッチ13、および第1符号化部11へ出力する。
原画像信号は、複数のフレームを含む動画像データである。以下、フレームを、画像信号と称して説明する。また、本実施の形態では、“信号”は、フレームなどの符号化前の画像や、符号化されたデータを復号した画像などを示す。本実施の形態では、信号として、原画像信号、第1原画像信号、第2原画像信号、画像信号、基準画像復号信号、参照画像信号、などを用いる。これらの信号の詳細は後述する。また、本実施の形態では、“符号化データ”は、符号化した後のデータを意味する。本実施の形態では、符号化データとして、標準符号化データ、基準画像符号化データ、参照画像符号化データ、などを用いる、これらのデータの詳細は後述する。
本実施の形態では、受付部17は、原画像信号に含まれる、時系列に連続する複数の画像信号を、画像信号から符号化する順番に、制御部16と、第2符号化部12または第1符号化部11と、の各々へ出力する。このため、制御部16、第2符号化部12、第1符号化部11は、画像信号ごとに、後述する処理を実行する。
スイッチ13は、受付部17と第2符号化部12とを接続した状態、または、第1符号化部11と第2符号化部12とを接続した状態に、第2符号化部12の入力側の接続状態を切り替える。なお、第1符号化部11と第2符号化部12が接続した状態であるときには、受付部17と第2符号化部12との接続が解除され、受付部17と第1符号化部11とが接続された状態となる。
スイッチ13は、第1接続端子13Aと、第2接続端子13Bと、接続端子13Cと、を備える。第1接続端子13Aは、第1符号化部11に接続されている。第2接続端子13Bは、受付部17に接続されている。接続端子13Cは、第2符号化部12に接続されている。
スイッチ13は、接続端子13Cと第1接続端子13Aとを接続した状態、または、接続端子13Cと第2接続端子13Bとを接続した状態、の何れかに切替えられる。スイッチ13の接続状態の切替制御は、制御部16によって行われる(詳細後述)。
スイッチ13が、接続端子13Cと第2接続端子13Bとを接続した状態である場合、受付部17と第2符号化部12とが接続された状態となる。この場合、受付部17は、原画像信号に含まれる画像信号を、第2符号化部12へ出力する。
また、スイッチ13が、接続端子13Cと第1接続端子13Aとを接続した状態である場合、第2符号化部12と第1符号化部11とが接続された状態となる。また、受付部17と第2符号化部12とは、接続を解除された状態となる。また、受付部17と第1符号化部11とが接続された状態となる。
この場合、受付部17は、原画像信号に含まれる画像信号を、第1符号化部11へ出力する。また、この場合、第1符号化部11と第2符号化部12とが、スイッチ13(第1接続端子13A、接続端子13C)を介して接続された状態となる。このため、第2符号化部12は、第1符号化部11から出力される基準画像復号信号(詳細後述)を、スイッチ13を介して受付け可能な状態となる。
スイッチ14は、出力部15の入力側の接続状態を切り替える。
スイッチ14は、第1接続端子14Aと、第2接続端子14Bと、接続端子14Cと、を備える。第1接続端子14Aは、第1符号化部11に接続されている。第2接続端子14Bは、第2符号化部12に接続されている。接続端子14Cは、出力部15に接続されている。
スイッチ14は、接続端子14Cと第1接続端子14Aとを接続した状態、または、接続端子14Cと第2接続端子14Bとを接続した状態、の何れかに切替えられる。スイッチ14の接続状態の切替制御は、制御部16によって行われる(詳細後述)。
スイッチ14が、接続端子14Cと第2接続端子14Bとを接続した状態である場合、第2符号化部12と出力部15とがスイッチ14を介して接続された状態となる。この場合、出力部15は、第2符号化部12から出力される信号を、スイッチ14を介して受付け可能な状態となる。
一方、スイッチ14が、接続端子14Cと第1接続端子14Aとを接続した状態である場合、第1符号化部11と出力部15とがスイッチ14を介して接続された状態となる。この場合、出力部15は、第1符号化部11から出力される信号を、スイッチ14を介して受付け可能な状態となる。
制御部16は、受付部17から受付けた原画像信号に基づいて、第1符号化部11、第2符号化部12、スイッチ13、スイッチ14、出力部15、を制御する。
本実施の形態では、制御部16は、特定部16Aと、切替制御部16Bと、を含む。特定部16Aは、受付部17で受付けた原画像信号に含まれる画像信号の内、第1原画像信号を特定する。本実施の形態では、特定部16Aは、原画像信号を構成する複数の画像信号を、先頭の画像信号から順に受付ける。そして、特定部16Aは、画像信号を受付けるごとに、受付けた画像信号が第1原画像信号であるか否かを判別する。これによって、特定部16Aは、第1原画像信号を特定する。
なお、特定部16Aは、原画像信号に含まれる、複数の画像信号の少なくとも一部を受付け、受付けた複数の画像信号の中から、第1原画像信号を特定してもよい。
第1原画像信号は、第1符号化部11で符号化する対象の画像信号である。第1原画像信号は、動画像の再生時の起点となる画像信号である。第1原画像信号は、原画像信号に、1または複数含まれる。本実施の形態では、第1原画像信号は、シーンの切替りを示す信号や、ランダムアクセスポイントとして用いる画像信号を示す。
特定部16Aは、受付部17から受付けた画像信号が、シーンの切替りを示す画像信号であるか否かを、公知の方法を用いて判別する。例えば、特定部16Aは、受付部17から受付けた画像信号と、直前に受付けた別の画像信号と、の相関の違いを検出する。そして、特定部16Aは、この検出結果を用いて、公知の方法により、受付部17から受付けた画像信号がシーンの切替りを示す画像信号であるか否かを判別する。
また、特定部16Aは、受付部17から受付けた画像信号が、ランダムアクセスポイントとして用いる画像信号であるか否かを、公知の方法を用いて判別する。ランダムアクセスポイントとして用いる画像信号とは、再生時に、再生開始ポイントとして指定される可能性のある画像信号である。例えば、特定部16Aは、原画像信号に含まれる画像信号の数(フレーム数)やフィールド数のカウンタを用いて、公知の方法により、ランダムアクセスポイントとして用いる画像信号であるか否かを判別すればよい。
切替制御部16Bは、特定部16Aによる特定結果に基づいて、スイッチ13およびスイッチ14の切替えを制御する。
特定部16Aが、処理対象の画像信号を第1原画像信号であると判別した場合、切替制御部16Bは、第1符号化部11を有効とするように切替制御を行う。
第1符号化部11を有効とするように切替制御、とは、第1符号化部11と第2符号化部12とを接続するようにスイッチ13を制御すると共に、第1符号化部11と出力部15とを接続するようにスイッチ14を制御することを示す。詳細には、この場合、切替制御部16Bは、第1接続端子13Aと接続端子13Cとを接続するようにスイッチ13を制御する。また、切替制御部16Bは、第1接続端子14Aと接続端子14Cとを接続するようにスイッチ14を制御する。
このため、切替制御部16Bが、第1符号化部11を有効とするように、スイッチ13およびスイッチ14を切替制御することで、受付部17と第1符号化部11、第1符号化部11と出力部15、および、第1符号化部11と第2符号化部12、の各々が接続された状態となる。
この場合、受付部17から出力された第1原画像信号は、第1符号化部11へ出力される。そして、第1符号化部11が、受付けた第1原画像信号について後述する処理を行う。また、この場合、第2符号化部12は、第1符号化部11から出力された基準画像復号信号を受付け可能な状態となる。基準画像復号信号については、詳細を後述する。
また、この場合、切替制御部16Bは、処理対象の画像信号を識別する画像信号識別情報(以下、画像信号IDと称する)と、種類情報と、を含む制御データを、第1符号化部11へ出力する。
種類情報は、処理対象の画像信号の種類を示す情報である。種類情報は、第1原画像信号であることを示す第1種類情報、および、第2原画像信号であることを示す第2種類情報、の何れかである。処理対象の画像信号が第1原画像信号であると判別した場合、特定部16Aは、種類情報として、第1種類情報を含む制御データを、第1符号化部11へ出力する。
一方、特定部16Aによって、処理対象の画像信号が第2原画像信号であると判別された場合、切替制御部16Bは、第2符号化部12を有効とするように切替制御を行う。第2符号化部12を有効とするように切替制御、とは、受付部17と第2符号化部12とを接続するようにスイッチ13を制御すると共に、第2符号化部12と出力部15とを接続するようにスイッチ14を制御することを示す。詳細には、この場合、切替制御部16Bは、第2接続端子13Bと接続端子13Cとを接続するようにスイッチ13を制御する。また、切替制御部16Bは、第2接続端子14Bと接続端子14Cとを接続するようにスイッチ14を制御する。
このため、切替制御部16Bが、第2符号化部12を有効とするように、スイッチ13およびスイッチ14を切替制御することで、受付部17と第2符号化部12、および、第2符号化部12と出力部15、の各々が接続された状態となる。
このため、この場合、受付部17から出力された第2原画像信号は、第2符号化部12へ出力される。第2符号化部12は、受付部17から受付けた第2原画像信号と、第1符号化部11から前回受付けた基準画像復号信号と、を用いて、後述する処理を行う。
また、この場合、切替制御部16Bは、処理対象の画像信号の画像信号IDと、種類情報と、を含む制御データを、第2符号化部12へ出力する。この場合、種類情報は、第2原画像信号であることを示す第2種類情報である。
次に、第1符号化部11について説明する。
第1符号化部11は、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化することによって、基準画像符号化データを生成する。
上述したように、受付部17から出力される画像信号が第1原画像信号である場合、切替制御部16Bによって、スイッチ13は、受付部17と第1符号化部11、および、第1符号化部11と第2符号化部12、の各々を接続した状態となっている。また、スイッチ13は、受付部17と第2符号化部12との接続を解除した状態となっている。
このため、受付部17から出力された第1原画像信号は、第1符号化部11へ出力される。第1符号化部11は、受付部17から受付けた第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化する。
参照画像信号は、第1原画像信号のフレーム間予測符号化に用いる画像である。参照画像信号は、第1原画像信号に類似する画像である。第1原画像信号に類似する、とは、画像信号内における、少なくとも一部の画像領域に示される画像が類似することを示す。言い換えると、第1原画像信号に類似する、とは、第1原画像信号に含まれる、時間の経過に拘らず不変の画像領域の画像が類似することを示す。不変の領域は、例えば、撮影画角内に移動体が含まれる場合、撮影画角内における該移動体以外の領域である。移動体は、移動可能な物である。不変の領域は、背景領域と称される場合もある。
本実施の形態では、第1符号化部11は、原画像信号の種類ごとに、複数の参照画像信号を予め記憶する。
原画像信号の種類は、原画像信号を、原画像信号が利用されるシーンに応じて分類したものである。原画像信号の種類は、例えば、カメラによって撮影された撮影画像、表示部に表示された表示画面の表示画面データ、である。表示部は、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどの公知のディスプレイである。原画像信号の種類が“表示画面データ”である場合、原画像信号は、表示部に表示された表示画面の群を、画像信号の群として含む。
原画像信号の種類が“撮影画像”である場合、原画像信号は、カメラなどによって撮影された撮影画像の群を、画像信号の群として含む。
具体的には、原画像信号の種類“撮影画像”に対応する複数の参照画像信号は、撮影場所および撮影画角が同じであり、撮影タイミングおよび照明条件の少なくとも一方が互いに異なる画像である。また、原画像信号の種類“表示画面データ”に対応する複数の参照画像信号は、表示画面として予め用意されたテンプレート画面である。
本実施の形態では、第1符号化部11は、参照画像管理DB110Aを予め記憶する。参照画像管理DB110Aは、参照画像信号を管理するためのデータベースである。なお、参照画像管理DB110Aのデータ形式は、データベースに限定されない。
図2は、参照画像管理DB110Aのデータ構成の一例を示す模式図である。参照画像管理DB110Aは、原画像信号の種類と、参照画像信号IDと、参照画像信号と、を対応づけたものである。参照画像信号IDは、対応する参照画像信号を識別するための識別情報である。図2に示すように、参照画像管理DB110Aには、1つの原画像信号の種類に対して、複数の参照画像信号が予め登録されている。
なお、参照画像管理DB110Aは、ユーザによる操作指示などによって、適宜、変更可能としてもよい。
また、参照画像管理DB110Aに格納されている参照画像信号は、高画質のフレーム内予測符号化されていてもよいし、符号化されていない、所謂RAWデータであってもよい。本実施の形態では、参照画像管理DB110Aには、RAWデータの状態の参照画像信号が登録されているものとして説明する。
図1に戻り、説明を続ける。第1符号化部11は、参照画像信号を用いて、第1原画像信号をフレーム間予測符号化することによって、基準画像符号化データを生成する。すなわち、基準画像符号化データは、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化することによって生成されたものである。
図3は、第1符号化部11の一例を示す模式図である。第1符号化部11は、記憶部110と、選択部112と、第1生成部114と、を有する。
記憶部110は、参照画像管理DB110Aを予め記憶する。
選択部112は、受付部17から第1原画像信号を受付ける。また、選択部112は、制御部16から制御データを受付ける。選択部112は、記憶部110から、受付けた第1原画像信号との類似度が閾値以上の参照画像信号を選択する。本実施の形態では、選択部112は、原画像信号の種類に対応する参照画像信号の内、類似度が閾値以上の参照画像信号を選択する。選択部112は、1つの参照画像信号を選択してもよいし、複数の参照画像信号を選択してもよい。
詳細には、選択部112は、類似度算出部112Aと、参照画像選択部112Bと、を含む。
類似度算出部112Aは、第1原画像信号と参照画像信号との類似度を算出する。まず、類似度算出部112Aは、記憶部110の参照画像管理DB110A(図2参照)における、受付けた第1原画像信号を含む原画像信号の種類に対応する、複数の参照画像信号(参照画像信号群と称する場合がある)を読取る。
類似度算出部112Aは、制御部16から受付けた制御データに含まれる原画像信号の種類を読取ることで、原画像信号の種類を特定すればよい。この場合、制御データは、原画像信号の種類を含むものであればよい。
例えば、受付部17が、受付けた原画像信号の種類を特定する(図1参照)。受付部17は、原画像信号のヘッダー情報の読取や、原画像信号の画像解析などによって、原画像信号の種類を特定すればよい。そして、受付部17は、画像信号と、原画像信号の種類と、を制御部16へ出力する。制御部16は、受付けた画像信号が第1原画像信号であると判別した場合、原画像信号の種類と、画像信号IDと、第1種類情報と、を含む制御データを、第1符号化部11へ出力する。そして、第1符号化部11の類似度算出部112Aは、制御データに含まれる、原画像信号の種類を読取ることで、原画像信号の種類を特定すればよい。
そして、類似度算出部112Aは、特定した原画像信号に対応する、複数の参照画像信号を、参照画像管理DB110Aから読取る。類似度算出部112Aは、第1原画像信号と、読取った複数の参照画像信号の各々と、の類似度を算出する。類似度の算出には、公知の画像処理方法を用いればよい。また、参照画像信号の選択に用いる閾値には、任意の値を定めればよい。また、この閾値は、原画像信号の種類に応じた値を予め設定してもよい。また、この閾値は、ユーザによる操作指示などによって、適宜変更可能としてもよい。
参照画像選択部112Bは、原画像信号の種類に対応する参照画像信号の内、第1原画像信号との類似度が閾値以上の参照画像信号を選択する。参照画像選択部112Bが選択する参照画像信号の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
そして、選択部112は、選択した参照画像信号を、第1生成部114へ出力する。また、選択部112は、選択した参照画像信号の参照画像信号IDを、出力部15へ出力する。詳細には、選択部112は、制御部16から受付けた制御データに、参照画像信号IDを追加し、出力部15へ出力する。このため、第1符号化部11は、画像信号IDと、第1種類情報と、原画像信号の種類と、参照画像信号IDと、を含む制御データを、出力部15へ出力する。
第1生成部114は、受付部17から受付けた第1原画像信号を、選択部112から受付けた参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化し、基準画像符号化データを生成する。フレーム間予測符号化には、公知の方法を用いればよい。このフレーム間予測符号化によって、第1生成部114は、第1原画像信号から、基準画像符号化データを生成する。また、第1生成部114は、基準画像符号化データから、基準画像復号信号を生成する。
基準画像復号信号は、基準画像符号化データを復号したものである。具体的には、基準画像復号信号は、参照画像信号をフレーム内符号化した参照画像符号化データと、第1原画像信号を該参照画像信号を用いてフレーム間符号化した基準画像符号化データと、を復号した、該基準画像符号化データの復号画像信号である。
図4は、第1生成部114の構成の一例を示す模式図である。第1生成部114は、第2生成部114Aと、第3生成部114Bと、を含む。
第2生成部114Aは、選択部112(図3参照)から参照画像信号を受付ける。また、第2生成部114Aは、受付部17から第1原画像信号を受付ける。そして、第1生成部114は、参照画像信号をフレーム内予測符号化することによって、参照画像符号化データを生成する。すなわち、参照画像符号化データは、公知の符号化方式で用いられるIピクチャやIDR(Instantaneous Decoding Refresh)ピクチャに相当する。なお、IピクチャやIDRピクチャは、フレーム内のみで独立して符号化することによって得られるピクチャである。
そして、第2生成部114Aは、この参照画像符号化データを用いて、第1原画像信号をフレーム間予測符号化することによって、基準画像符号化データを生成する。このため、基準画像符号化データは、公知の符号化方式で用いられるPピクチャに相当するものとなる。なお、Pピクチャとは、IピクチャまたはPピクチャを予測画像として、フレーム間予測を用いて符号化することによって得られるピクチャである。すなわち、基準画像符号化データは、IピクチャやIDRピクチャに比べて符号量が小さい。このため、符号化装置10は符号化効率を高めることができる。
そして、第2生成部114Aは、基準画像符号化データを出力部15へ出力する。また、第2生成部114Aは、参照画像符号化データと基準画像符号化データを、第3生成部114Bへ出力する。
第3生成部114Bは、第2生成部114Aから、参照画像符号化データと基準画像符号化データを受付ける。第3生成部114Bは、参照画像符号化データおよび基準画像符号化データを復号し、基準画像符号化データの復号画像信号を、基準画像復号信号として生成する。言い換えると、第3生成部114Bは、Iピクチャに相当する参照画像符号化データと、Pピクチャに相当する基準画像符号化データ(第1原画像信号をPピクチャとして符号化したもの)と、を復号し、該Pピクチャを復号した復号画像信号としての基準画像復号信号を、生成する。
そして、第3生成部114Bは、生成した基準画像復号信号を、スイッチ13を介して第2符号化部12へ出力する。
ここで、処理対象の画像信号が第1原画像信号である場合、スイッチ13およびスイッチ14は、第1符号化部11を有効とするように切替制御されている。このため、第1生成部114(第2生成部114A)は、生成した基準画像符号化データを、スイッチ14を介して出力部15へ出力する。また、出力部15には、選択部112から制御データが出力される。このため、スイッチ13およびスイッチ14が、第1符号化部11を有効とするように切替制御されている場合、出力部15は、画像信号ID、第1種類情報、原画像信号の種類、および参照画像信号ID、を含む制御データと、基準画像符号化データと、を第1符号化部11から受付けることとなる。言い換えると、この場合、出力部15は、基準画像符号化データと、この基準画像符号化データの生成に用いた参照画像信号の参照画像信号IDを含む制御データと、を受付ける。
また、第1符号化部11を有効とするように切替制御されている場合、第1符号化部11と第2符号化部12とが接続された状態にある。このため、第3生成部114Bは、生成した基準画像復号信号を、スイッチ14を介して第2符号化部12へ出力する。
図1に戻り、第2符号化部12について詳細に説明する。
第2符号化部12は、原画像信号における第1原画像信号以外の第2原画像信号を、基準画像符号化データに基づいてフレーム間予測符号化することによって、標準符号化データを生成する。
第2符号化部12は、公知の動画像符号化方式を用いて、符号化を行えばよい。例えば、第2符号化部12は、MPEG−2、H.264/AVC、H.265/HEVCなどの、公知の動画像符号化方式を用いる。
上述したように、受付部17から出力される画像信号が第2原画像信号である場合、切替制御部16Bによって、スイッチ13は、受付部17と第2符号化部12とを接続した状態となっている。また、スイッチ14は、第2符号化部12と出力部15とを接続した状態となっている。
このため、受付部17から出力された第2原画像信号は、第2符号化部12へ出力される。第2符号化部12は、受付部17から受付けた第2原画像信号を、第1符号化部11で直前に生成された基準画像符号化データに基づいて、フレーム間予測符号化することによって、標準符号化データを生成する。
本実施の形態では、第2符号化部12は、基準画像符号化データに基づいて生成された基準画像復号信号を用いて、第2原画像信号をフレーム間予測符号化することによって、標準符号化データを生成する。
詳細には、第2符号化部12は、第1符号化部11を有効とするように切替制御されているときに、該第1符号化部11から受付けた基準画像復号信号を、新たな基準画像復号信号を第1符号化部11から受付けるまで保持する。
そして、第2符号化部12を有効とするように切替制御されたときに、第2符号化部12は、保持した基準画像復号信号を用いて、第2符号化部12から受付けた第2原画像信号をフレーム内予測符号化し、標準符号化データを生成する。言い換えると、第2符号化部12は、第1符号化部11から受付けた基準画像復号信号を用いて、第2原画像信号をフレーム内予測符号化するが、符号化した標準符号化データは、出力部に出力しない。
このため、出力部に出力される標準符号化データは、公知の符号化方式で用いられるPピクチャまたはBピクチャに相当し、IピクチャやIDRピクチャに相当される標準符号化データは出力されない。
ここで、処理対象の画像信号が第2原画像信号である場合、スイッチ13およびスイッチ14は、第2符号化部12を有効とするように切替制御されている。このため、第2符号化部12は、生成した標準符号化データを、スイッチ14を介して出力部15へ出力する。また、出力部15には、制御部16から制御データが出力される。
このため、スイッチ13およびスイッチ14が、第2符号化部12を有効とするように切替制御されている場合、出力部15は、画像信号ID、第2種類情報、および、原画像信号の種類を含む制御データと、標準符号化データと、を受付ける。
このため、出力部15には、符号量の大きいIピクチャやIDRピクチャに相当する基準画像復号信号は出力されず、符号量の小さいPピクチャまたはBピクチャに相当する、基準画像符号化データおよび標準符号化データが出力される。
次に、出力部15について説明する。出力部15は、受付けた基準画像符号化データおよび標準符号化データを含む符号化データを、通信回線19を介して外部へ出力する。例えば、出力部は、符号化データを、通信回線19を介して復号装置20へ出力する。
詳細には、出力部15は、符号化データと、伝送制御データと、を含む伝送情報を出力する。なお、出力部15は、符号化データと、伝送制御データと、を別々に出力してもよい。本実施の形態では、出力部15は、符号化データと、伝送制御データと、を含む伝送情報を出力する場合を説明する。
なお、伝送情報の通信には、例えばH.264/AVCまたはH.265/HEVCにおけるSEI(Supplemental Enhancement Information)の枠組みを利用してもよい。
伝送情報に含まれる符号化データは、基準画像符号化データと標準符号化データを含む。出力部15は、基準画像符号化データおよび標準符号化データを、第1符号化部11および第2符号化部12から受付けた順に並べることで、符号化データとする。
伝送情報に含まれる伝送制御データは、符号化データに含まれる、符号化されたデータ(基準画像符号化データ、標準符号化データ)の各々に対応する符号化制御データを含む。符号化されたデータの各々に対応する符号化制御データは、符号化されたデータの各々に対応する制御データから生成される。符号化されたデータの各々に対応する符号化制御データは、データIDと、ピクチャの種類を示す種類情報を含む。また、基準画像符号化データに対応する符号化制御データは、該基準画像符号化データの生成時に用いた参照画像信号の参照画像信号IDを含む。
伝送情報の生成について、具体的に説明する。
第1符号化部11を有効とするように切替制御されている場合、出力部15は、基準画像符号化データと、制御データ(画像信号ID、第1種類情報、原画像信号の種類と、参照画像信号ID)と、を第1符号化部11から受付ける。
また、第2符号化部12を有効とするように切替制御されている場合、出力部15は、標準符号化データを第2符号化部12から受付ける。また、この場合、出力部15は、画像信号ID、第2種類情報、および、原画像信号の種類、を含む制御データを制御部16から受付ける。
そして、出力部15は、受付部17で取得した原画像信号に含まれる全ての画像信号に対応する符号化されたデータ(基準画像符号化データ、標準符号化データ)を受付けると、受付けた、符号化されたデータ(基準画像符号化データ、標準符号化データ)を、受け付けた順に並べることで、符号化データを生成する。
また、出力部15は、符号化されたデータ(基準画像符号化データ、標準符号化データ)と共に受付けた制御データを用いて、該データに対応する符号化制御データを生成する。
詳細には、出力部15は、制御データに含まれる画像信号IDを、画像信号IDによって識別される画像信号から生成された、符号化されたデータ(基準画像符号化データ、標準符号化データ)のデータIDとして用いる。また、出力部15は、制御データに含まれる種類情報(第1種類情報、第2種類情報)を、符号化されたデータの種類を示す種類情報として用いて、符号化制御データに含める。すなわち、符号化制御データに含まれる第1種類情報は、符号化されたデータの種類が基準画像符号化データであることを示す。また、符号化制御データに含まれる第2種類情報は、符号化されたデータの種類が標準符号化データであることを示す。また、出力部15は、制御データに参照画像信号IDが含まれる場合、参照画像信号IDを符号化制御データに含める。
このため、基準画像符号化データに対応する符号化制御データは、データID、第1種類情報、および、参照画像信号ID、を含む。また、標準符号化データに対応する符号化制御データは、データID、および第2種類情報を含む。
そして、出力部15は、符号化制御データを、対応する制御データを受付けた順に並べることで、伝送制御データを生成する。
そして、出力部15は、符号化データと伝送制御データとを含む伝送情報を出力する。
次に、符号化装置10の制御部16が実行する処理の手順を説明する。図5は、符号化装置10の制御部16が実行する処理の手順の一例を示す、フローチャートである。制御部16は、受付部17から画像信号を受付ける毎に、図5に示すフローチャートを実行する。
まず、特定部16Aは、受付部17から受付けた画像信号が、第1原画像信号であるか否かを判断する(ステップS200)。第1原画像信号であると判断した場合(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
ステップS202では、切替制御部16Bが、第1符号化部11を有効とするように、スイッチ13およびスイッチ14を切替制御する(ステップS202)。ステップS202の処理によって、第1符号化部11と第2符号化部12とが接続された状態、および、第1符号化部11と出力部15とが接続された状態となる。また、受付部17と第2符号化部12との接続が解除され、受付部17と第1符号化部11との接続が有効となる。
次に、切替制御部16Bは、ステップS200で判断した画像信号の画像信号IDと、第1原画像信号であることを示す第1種類情報と、を含む制御データを、第1符号化部11へ出力する(ステップS204)。そして、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS200で、受付部17から受付けた画像信号が、第2原画像信号であると判別した場合(ステップS200:No)、ステップS206へ進む。ステップS206では、切替制御部16Bが、第2符号化部12を有効とするように、スイッチ13およびスイッチ14を切替制御する(ステップS206)。ステップS206の処理によって、受付部17と第2符号化部12とが接続された状態となる。また、第2符号化部12と出力部15とが接続された状態となる。そして、本ルーチンを終了する。
次に、第1符号化部11および第2符号化部12が実行する処理の手順を説明する。図6は、第1符号化部11および第2符号化部12が実行する処理の手順の一例を示す、フローチャートである。
まず、選択部112が、受付部17から第1原画像信号を受付ける(ステップS300)。また、選択部112は、制御部16から制御データを受付ける(ステップS302)。
次に、選択部112の類似度算出部112Aが、ステップS300で受付けた第1原画像信号を含む原画像信号の種類に対応する参照画像信号群を、参照画像管理DB110Aから読取る(ステップS304)。ステップS304の処理によって、類似度算出部112Aは、原画像信号の種類に対応する参照画像信号群を特定する。
次に、類似度算出部112Aが、ステップS304で読取った参照画像信号群に含まれる参照画像信号の各々と、ステップS300で受付けた第1原画像信号と、の類似度を算出する(ステップS306)。
次に、参照画像選択部112Bが、ステップS304で読取った参照画像信号の内、ステップS306で算出した類似度が閾値以上の参照画像信号を選択する(ステップS308)。
次に、参照画像選択部112Bは、ステップS302で受付けた制御データに、ステップS308で選択した参照画像信号の参照画像信号IDを追加し、出力部15へ出力する(ステップS310)。このため、第1符号化部11は、画像信号IDと、第1種類情報と、原画像信号の種類と、参照画像信号IDと、を含む制御データを、出力部15へ出力する。
次に、第1生成部114の第2生成部114Aが、ステップS308で選択した参照画像信号をフレーム内予測符号化することによって、参照画像符号化データを生成する(ステップS312)。
そして、第2生成部114Aは、ステップS312で生成した参照画像符号化データを用いて、ステップS300で受付けた第1原画像信号をフレーム間予測符号化することによって、基準画像符号化データを生成する(ステップS314)。
そして、第2生成部114Aは、ステップS314で生成した基準画像符号化データを、出力部15へ出力する(ステップS316)。
次に、第3生成部114Bが、ステップS314で生成した基準画像符号化データと、ステップS312で生成した参照画像符号化データと、を復号し、該基準画像符号化データの復号画像信号を、基準画像復号信号として生成する(ステップS318)。
次に、第3生成部114Bが、ステップS320で生成した基準画像復号信号を、第2符号化部12へ出力する(ステップS322)。
第2符号化部12は、受付部17から第2原画像信号を受付けると、ステップS322で生成された基準画像復号信号を用いて、第2原画像信号をフレーム内予測符号化し、標準符号化データを生成する(ステップS322)。(標準符号化データは出力部に出力しない。)そして、本ルーチンを終了する。第2符号化部12において、基準画像復号信号をフレーム内予測符号化する理由は、その次のタイミングで符号化される第2原画像信号をフレーム間予測符号化する時の参照画像を生成するためである。この処理によって、逆変換部22において、基準画像復号信号をフレーム内予測符号化したものと同一のものが生成することが可能となる。
以上説明したように、本実施の形態の符号化装置10は、特定部16Aと、第1符号化部11と、第2符号化部12と、を備える。特定部16Aは、原画像信号に含まれる第1原画像信号を特定する。第1符号化部11は、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化した基準画像符号化データを生成する。第2符号化部12は、原画像信号における第1原画像信号以外の第2原画像信号を、基準画像符号化データに基づいてフレーム間予測符号化した、標準符号化データを生成する。
このように、本実施の形態の符号化装置10は、原画像信号に含まれる複数の画像信号(フレーム)について、フレーム間予測符号化を行うことによって、基準画像符号化データおよび標準符号化データを生成する。また、符号化装置10は、第1原画像信号については、原画像信号に含まれる画像信号ではなく、参照画像信号を用いて、フレーム間予測符号化を行うことで、基準画像符号化データを生成する。さらに、符号化装置10は、第2原画像信号については、原画像信号に含まれる画像信号ではなく、基準画像符号化データに基づいてフレーム間予測符号化することによって、標準符号化データを生成する。詳細には、上述したように、符号化装置10は、基準画像符号化データに基づいて生成した基準画像復号信号を用いて、第2原画像信号を符号化し、標準符号化データを生成する。そして、基準画像復号信号は、出力部15に出力されない。
このため、符号化装置10は、基準画像符号化データと標準符号化データを含む符号化データを生成することで、狭帯域の伝送路でも高品質、低遅延の画像伝送が可能で、且つ、ランダム・アクセスの可能な符号化データを提供することができる。
詳細には、第1符号化部11は、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化することによって、基準画像符号化データを生成する。このため、第1原画像信号をフレーム内予測符号化する場合に比べて、データ量の低減を図ることができる。また、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化することで、基準画像符号化データを生成することから、第1原画像信号を、他の第1原画像信号や他の標準符号化データを用いてフレーム間予測符号化する場合に比べて、画質劣化を抑制し、高品質で、且つ、符号量の小さい基準画像符号化データを生成することができる。また、このような高品質な基準画像符号化データを含む符号化データとすることで、ランダム・アクセスの可能な符号化データとすることができる。
また、符号化装置10の第2符号化部12は、第2原画像信号については、基準画像符号化データに基づいて生成された基準画像復号信号に基づいて、フレーム間予測符号化を行うことで、標準符号化データを生成する。このように、第2符号化部12は、先に生成した基準画像符号化データに基づいて生成された基準画像復号信号を用いて、第2原画像信号をフレーム間予測符号化することによって、標準符号化データを生成する。このため、第2符号化部12は、画質劣化を抑制しつつ、且つ符号量の小さい標準符号化データを生成することができる。
さらに、標準符号化データの生成に用いる基準画像復号信号は、Iピクチャに相当する大きな符号量であるが、出力部15には出力されない。このため、本実施の形態の符号化装置10では、符号化データのデータ量の低減を図ることができる。
図7は、本実施の形態の符号化装置10の効果の説明図である。図7(A)は、従来の方式で生成された比較符号化データ502の一例を示す模式図である。図7(B)は、本実施の形態の符号化装置10が生成した符号化データ500の一例を示す模式図である。
図7(A)に示すように、比較符号化データ502は、Iピクチャ502Aと、PまたはBピクチャ502Bと、を含む。Iピクチャ502Aは、シーンの切替りやランダム・アクセスのために挿入される。Iピクチャ502Aは、PまたはBピクチャ502Bに比べて高画質であるが、符号量が大きい。このため、高画質を実現することは出来るものの、比較符号化データ502のデータ量が大きくなっていた。
一方、図7(B)に示すように、本実施の形態の符号化装置10が生成した符号化データ500は、Iピクチャ502Aに代えて基準画像符号化データ500Aを含み、PまたはBピクチャ502Bに代えて標準符号化データ500Bを含む。
基準画像符号化データ500Aは、上述したように、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化することによって生成されたピクチャである。このため、基準画像符号化データ500Aは、フレーム内予測符号化によって生成されたIピクチャ502Aに比べて、符号量が小さい。また、基準画像符号化データ500Aの作成には、予め記憶した参照画像信号を用いる。このため、符号化装置10は、画質劣化を抑制しつつ、且つ、符号量の低減された基準画像符号化データ500Aを生成することができる。
また、標準符号化データ500Bは、基準画像符号化データ500Aに基づいて、第2原画像信号をフレーム間予測符号化することによって生成される。このため、標準符号化データ500Bは、PまたはBピクチャ502Bと同等といった、小さい符号量である。また、標準符号化データ500Bは、基準画像符号化データ500Aに基づいて、フレーム間予測符号化によって生成される。このため、符号化装置10は、画質劣化を抑制しつつ、且つ、符号量の低減された標準符号化データ500Bを生成することができる。
このため、本実施の形態の符号化装置10では、これらの基準画像符号化データ500Aおよび標準符号化データ500Bを含む符号データを生成することによって、狭帯域の伝送路でも高品質、低遅延の画像伝送が可能で、且つ、ランダム・アクセスの可能な符号化データを提供することができる。
また、第1符号化部11および第2符号化部12は、基準画像符号化データおよび標準符号化データの各々の生成時に用いた、フレーム内予測符号化によって生成した基準画像復号信号や参照画像符号化データを、出力部15へ出力しない。このため、符号化データには、Iピクチャに相当する符号量の大きいピクチャは含まれない。
従って、本実施の形態の符号化装置10は、高品質、低遅延の画像伝送が可能で、且つ、ランダム・アクセスの可能な符号化データ、を提供することができる。
また、本実施の形態の符号化装置10における第2符号化部12の機能は、第1符号化部11から受付けた基準画像復号信号をフレーム内予測符号化時に用いる以外は、公知の符号化機能部と同様である。このため、符号化装置10は、公知の符号化装置に第1符号化部11の機能を付加することで、構成することができる。
このため、本実施の形態の符号化装置10は、上記効果に加えて、汎用性を有する。
―復号装置―
図1に戻り説明を続ける。次に、復号装置20について説明する。
復号装置20は、受付部21と、逆変換部22と、標準復号部23と、スイッチ24と、スイッチ25と、制御部26と、を備える。
なお、図1には、本実施の形態に関する機能を主に例示しているが、復号装置20が有する機能はこれらに限られるものではない。これらの各処理機能は、後述する。
受付部21、逆変換部22、標準復号部23、スイッチ24、スイッチ25、および制御部26の一部またはすべては、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、ICなどのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
例えば、復号装置20における各機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路へ記憶されている。復号装置20は、プログラムを記憶回路から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。各プログラムを読みだした状態の復号装置20は、図1の復号装置20内に示された各機能を有することになる。なお、図1においては単一の処理回路にて、受付部21、逆変換部22、標準復号部23、スイッチ24、スイッチ25、および制御部26が実現される場合を示した。しかし、複数の独立したプロセッサを組み合わせて復号装置20を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしてもよい。各処理機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
復号装置20は、符号化データを復号する装置である。受付部21は、伝送情報を受付ける。受付部21は、通信回線19を介して符号化装置10から、伝送情報を受付ける。なお、受付部21は、記憶回路から伝送情報を読取ってもよい。
受付部21は、伝送情報に含まれる伝送制御データを、制御部26へ出力する。本実施の形態では、受付部21は、伝送制御データに含まれる、複数の符号化制御データを、先頭の符号化制御データから順に、制御部26へ出力する。
また、受付部21は、伝送情報に含まれる符号化データをスイッチ24へ出力する。受付部21は、符号化データに含まれる、符号化されたデータ(基準画像符号化データ、標準符号化データ)の各々を、先頭のピクチャから順にスイッチ24へ出力する。
なお、受付部21は、制御部26へ符号化制御データを出力した後に、該符号化制御データに含まれるデータIDによって識別される、符号化されたデータを、スイッチ24へ出力する。詳細には、受付部21は、制御部26へ符号化制御データを出力し、制御部26によって後述するスイッチ24の切替制御が行われた後に、該符号化制御データに含まれるデータIDによって識別される、符号化されたデータを、スイッチ24を介して逆変換部22へ出力する。
このため、逆変換部22は、符号化されたデータ(具体的には、基準画像符号化データ)と、該データに対応する符号化制御データと、を略同じタイミングで受付けるものとする。
スイッチ24は、受付部21と逆変換部22とを接続した状態、または、受付部21とスイッチ25とを接続した状態に、受付部21の出力側の接続状態を切り替える。
スイッチ24は、第1接続端子24Aと、第2接続端子24Bと、接続端子24Cと、を備える。接続端子24Cは、受付部21に接続されている。第1接続端子24Aは、逆変換部22に接続されている。第2接続端子24Bは、スイッチ25に接続されている。
スイッチ24は、接続端子24Cと第1接続端子24Aとを接続した状態、または、接続端子24Cと第2接続端子24Bとを接続した状態、の何れかに切替えられる。スイッチ24の接続状態の切替制御は、制御部26によって行われる(詳細後述)。
スイッチ25は、標準復号部23の入力側の接続状態を切り替える。
スイッチ25は、第1接続端子25Aと、第2接続端子25Bと、接続端子25Cと、を備える。第1接続端子25Aは、逆変換部22に接続されている。第2接続端子25Bは、スイッチ24の第2接続端子24Bに接続されている。接続端子25Cは、標準復号部23に接続される。
スイッチ25は、第1接続端子25Aと接続端子25Cとを接続した状態、または、第2接続端子25Bと接続端子25Cとを接続した状態、の何れかに切替えられる。スイッチ25の接続状態の切替制御は、制御部26によって行われる(詳細後述)。
制御部26は、受付部21から受付けた符号化制御データに基づいて、スイッチ24、逆変換部22、およびスイッチ25を制御する。
本実施の形態では、制御部26は、判別部26Aと、切替制御部26Bと、を含む。判別部26Aは、受付部21から受付けた符号化制御データに含まれるデータIDによって識別される、符号化されたデータが、基準画像符号化データであるか標準符号化データであるかを判別する。判別部26Aは、受付部21から受け付けた、符号化制御データに含まれる種類情報が、第1種類情報であるか第2種類情報であるかを判別することで、基準画像符号化データであるか標準符号化データであるかを判別する。すなわち、判別部26Aは、第1種類情報である場合、基準画像符号化データであると判別する。また、判別部26Aは、第2種類情報である場合、標準符号化データであると判別する。
切替制御部26Bは、判別部26Aによる判別結果に基づいて、スイッチ24およびスイッチ25の切替えを制御する。
判別部26Aが処理対象のピクチャを基準画像符号化データであると判別した場合、切替制御部26Bは、逆変換部22を有効とするように、スイッチ24およびスイッチ25の切替え制御を行う。逆変換部22を有効とするように切替制御、とは、受付部21と逆変換部22とを接続するようにスイッチ24を制御すると共に、逆変換部22と標準復号部23とを接続するようにスイッチ25を制御することを示す。詳細には、この場合、切替制御部26Bは、接続端子24Cと第1接続端子24Aとを接続するようにスイッチ24を制御する。また、切替制御部26Bは、第1接続端子25Aと接続端子25Cとを接続するように、スイッチ25を制御する。
このため、切替制御部26Bが、逆変換部22を有効とするように、スイッチ24およびスイッチ25を切替制御することで、受付部21と逆変換部22、逆変換部22と標準復号部23、の各々が接続された状態となる。
このため、この場合、受付部21から出力された基準画像符号化データは、スイッチ24を介して逆変換部22へ出力される。そして、逆変換部22が、受付けた基準画像符号化データについて、後述する処理を行う。また、この場合、標準復号部23は、逆変換部22から信号を受付け可能な状態となる。
また、判別部26Aが処理対象のピクチャを基準画像符号化データであると判別した場合、切替制御部26Bは、符号化制御データに含まれる参照画像信号IDを、逆変換部22へ出力する。すなわち、切替制御部26Bは、受付部21から逆変換部22へ出力される基準画像符号化データの、符号化時に用いた参照画像信号の参照画像信号IDを、逆変換部22へ出力する。
一方、判別部26Aが処理対象の符号化されたデータを、標準符号化データである、と判別した場合、切替制御部26Bは、逆変換部22を無効とするように、スイッチ24およびスイッチ25の切替え制御を行う。逆変換部22を無効とするように切替制御、とは、受付部21と標準復号部23とを接続するように、スイッチ24およびスイッチ25を制御することを示す。詳細には、この場合、切替制御部26Bは、接続端子24Cと第2接続端子24Bとを接続するようにスイッチ24を制御する。また、切替制御部26Bは、第2接続端子25Bと接続端子25Cとを接続するように、スイッチ25を制御する。
このため、切替制御部26Bが、逆変換部22を無効とするように、スイッチ24およびスイッチ25を切替制御することで、受付部21と標準復号部23とが、逆変換部22を介さずに直接接続された状態となる。
このため、この場合、受付部21から出力された標準符号化データは、スイッチ24およびスイッチ25を介して標準復号部23へ出力される。
次に、逆変換部22について説明する。逆変換部22は、基準画像符号化データと、該基準画像符号化データの符号化に用いた参照画像信号と、を用いて、該基準画像符号化データから標準符号化データを生成する。逆変換部22は、符号化データに含まれる基準画像符号化データを、該基準画像符号化データの符号化に用いた参照画像信号を用いて復号し、基準画像復号信号を生成する。そして、逆変換部22は、該基準画像復号信号をフレーム内予測符号化し、標準符号化データを生成する。
図8は、逆変換部22の構成の一例を示す模式図である。逆変換部22は、記憶部22Aと、選択部22Bと、結合部22Cと、復号部22Dと、標準符号化部22Eと、を備える。
記憶部22Aは、参照画像管理DB110Aを予め記憶する。なお、復号装置20における参照画像管理DB110Aには、フレーム内予測符号化された参照画像信号(すなわち、参照画像符号化データ)が格納されているものとして説明する。
選択部22Bは、切替制御部26Bから、参照画像信号IDを受付ける。この参照画像信号IDは、逆変換部22が受付部21から受付ける基準画像符号化データの符号化時に用いた参照画像信号の参照画像信号IDである。
選択部22Bは、受付けた参照画像信号IDに対応する参照画像信号を、記憶部22Aにおける参照画像管理DB110Aから読取る。そして、選択部22Bは、読取った参照画像信号を、結合部22Cへ出力する。
結合部22Cは、受付部21から受付けた基準画像符号化データと、選択部22Bから受付けた参照画像信号と、を結合し、復号部22Dへ出力する。上述したように、基準画像符号化データは、Pピクチャに相当する。また、記憶部22Aに格納されている参照画像信号は、上述したように、フレーム内予測符号化されていることから、Iピクチャに相当する。このため、結合部22Cは、Iピクチャである参照画像信号(参照画像符号化データ)と、Pピクチャである基準画像符号化データと、を復号部22Dへ出力する。
復号部22Dは、結合部22Cから、基準画像符号化データと、該基準画像符号化データの符号化に用いた参照画像信号と、を受付ける。復号部22Dは、受付けた基準画像符号化データと、受付けた参照画像符号化データと、を復号し、該基準画像符号化データを復号した基準画像復号信号を生成する。この復号方法には、公知の方法を用いればよい。
そして、復号部22Dは、生成した基準画像復号信号を、標準符号化部22Eへ出力する。標準符号化部22Eは、基準画像復号信号を、フレーム内予測符号化することによって、標準符号化データを生成する。標準符号化データは、公知の符号化方式によって生成されるIピクチャに相当する。
これによって、逆変換部22は、伝送情報に含まれる基準画像符号化データを、通常の符号化方式で生成されるIピクチャに相当するデータに変換し、標準符号化データを生成する。そして、逆変換部22の標準符号化部22Eは、生成した標準符号化データを、標準復号部23へ出力する。
図1に戻り、標準復号部23について説明する。標準復号部23は、逆変換部22から受付けた標準符号化データと、受付部21から受付けた標準符号化データと、の各々を復号する。標準復号部23は、第2符号化部12で用いた標準符号化方式に対応する、標準復号方式を用いて、標準符号化データを復号する。
そして、標準復号部23は、標準符号化データを復号した、復号画像信号を、出力する。
次に、復号装置20の制御部26が実行する処理の手順を説明する。図9は、復号装置20の制御部26が実行する処理の手順の一例を示す、フローチャートである。制御部26は、受付部21から符号化制御データを受付けるごとに、図9に示す処理ルーチンを実行する。
まず、判別部26Aが、処理対象の、符号化されたデータが基準画像符号化データであるか標準符号化データであるかを判別する(ステップS600)。処理対象の符号化されたデータが基準画像符号化データである場合(ステップS600:Yes)、ステップS602へ進む。
ステップS602では、切替制御部26Bが、逆変換部22を有効とするように、スイッチ24とスイッチ25の切替制御を行う(ステップS602)。ステップS602の処理によって、受付部21と標準復号部23とが、逆変換部22を介して接続された状態となる。そして、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS600で、処理対象の符号化されたデータが標準符号化データであると判別した場合(ステップS600:No)、ステップS604へ進む。ステップS604では、切替制御部26Bが、逆変換部22を無効とするように、スイッチ24およびスイッチ25を切替制御する(ステップS604)。ステップS604の処理によって、受付部21と標準復号部23とが、逆変換部22を介さずに直接接続された状態となる。そして、本ルーチンを終了する。
次に、逆変換部22が実行する処理の手順を説明する。図10は、逆変換部22が実行する処理の手順の一例を示す、フローチャートである。
まず、結合部22Cが受付部21から基準画像符号化データを受付ける(ステップS700)。次に、選択部22Bが、切替制御部26Bから参照画像信号IDを受付ける(ステップS702)。この参照画像信号IDは、ステップS700の基準画像符号化データの符号化時に用いた参照画像信号の参照画像信号IDである。
次に、選択部22Bが、ステップS702で受付けた参照画像信号IDに対応する参照画像信号を、記憶部22Aにおける参照画像管理DB110Aから読取る。これによって、選択部22Bは、参照画像信号を選択する(ステップS704)。選択部22Bは、読取った参照画像信号を、結合部22Cへ出力する。
次に、復号部22Dが、結合部22Cから受付けた基準画像符号化データと、結合部22Cから受付けた参照画像信号(参照画像符号化データ)と、を復号し、該基準画像符号化データを復号した基準画像復号信号を生成する(ステップS706)。復号部22Dは、ステップS706で生成した基準画像復号信号を、標準符号化部22Eへ出力する。
標準符号化部22Eは、ステップS706で生成された基準画像復号信号を、フレーム内予測符号化することによって、標準符号化データを生成する(ステップS708)。そして、標準符号化部22Eは、生成した標準符号化データを、標準復号部23へ出力する(ステップS710)。このため、標準復号部23には、逆変換部22および受付部21から、標準符号化データが出力される。そして、標準復号部23は、標準符号化データを復号し、復号画像信号を出力する。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の復号装置20は、受付部21と、逆変換部22と、標準復号部23と、を備える。受付部21は、基準画像符号化データと標準符号化データと、を含む符号化データを含む伝送情報を受付ける。逆変換部22は、符号化データに含まれる基準画像符号化データを、基準画像符号化データの符号化に用いた参照画像信号を用いて復号し、基準画像復号信号を生成する。そして、逆変換部22は、該基準画像復号信号をフレーム内予測符号化し、標準符号化データを生成する。標準復号部23は、標準符号化データを復号する。
このように、本実施の形態の復号装置20は、符号化装置10で生成した符号化データを復号する。
このため、本実施の形態の復号装置20では、符号化装置10と同様の効果が得られる。
また、符号化装置10から受付ける符号化データには、上述したように、IピクチャやIDRピクチャに相当する基準画像復号信号は含まれない。しかし、符号化データに含まれる標準符号化データは、基準画像復号信号と参照画像信号とを用いて生成されたピクチャである。このため、復号装置20では、符号化データに含まれる標準符号化データについては、再符号化を行う必要がない。
また、復号装置20の標準復号部23では、通常の符号化で得られる、IピクチャやIDRピクチャを含む符号化データとして、標準符号化データを受付けることができる。
従って、本実施の形態の符号化装置10と復号装置20とを含む画像処理システム1は、上記符号化装置10と同様の効果が得られると共に、狭帯域で、高品質の符号化が可能であり、かつ、低遅延なランダム・アクセスを可能とした符号化データを得ることができる。
(第2の実施の形態)
図1は、本実施の形態の画像処理システム1Aの一例を示す模式図である。画像処理システム1Aは、符号化装置10Aと、復号装置20と、を備える。画像処理システム1Aは、符号化装置10に代えて符号化装置10Aを備えた点以外は、第1の実施の形態の画像処理システム1と同様である。
符号化装置10Aは、第1符号化部11に代えて、第1符号化部11Aを備える以外は、第1の実施の形態の符号化装置10と同様である。
第1符号化部11Aは、第1符号化部11と同様に、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化することによって、基準画像符号化データを生成する。また、第1符号化部11Aは、第1原画像信号および参照画像信号に基づいて生成した局部復号信号を、基準画像復号信号として生成する。
図3は、第1符号化部11Aの構成の一例を示す模式図である。第1符号化部11Aは、第1生成部114に代えて第1生成部116を備える以外は、第1符号化部11と同様である。なお、本実施の形態の第1符号化部11Aは、参照画像信号として、フレーム内予測符号化された参照画像信号(すなわち、参照画像符号化データ)を用いる。このため、第1符号化部11Aにおける参照画像管理DB110Aには、フレーム内予測符号化された参照画像信号(参照画像符号化データ)が登録されているものとする。
図11は、第1生成部116の構成の一例を示す模式図である。
第1生成部116は、第4生成部116Aと、第5生成部116Bと、を含む。
第4生成部116Aは、選択部112(図3参照)から参照画像信号を受付ける。本実施の形態では、第4生成部116Aは、選択部112から、参照画像符号化データ(フレーム内予測符号化された参照画像信号)を受付ける。第4生成部116Aは、参照画像符号化データを復号し、参照画像信号を生成する。そして、第4生成部116Aは、参照画像信号を、第5生成部116Bへ出力する。
第5生成部116Bは、受付部17から第1原画像信号を受付ける。また、第5生成部116Bは、第4生成部116Aから、参照画像信号を受付ける。そして、第5生成部116Bは、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化し、基準画像符号化データを生成する。そして、第5生成部116Bは、生成した基準画像符号化データを、出力部15へ出力する。
また、第5生成部116Bは、第1原画像信号および参照画像信号に基づいて生成した局部復号信号を、基準画像復号信号として生成する。そして、第5生成部116Bは、生成した基準画像復号信号を、第2符号化部12へ出力する。
次に、第5生成部116Bについて詳細に説明する。図12は、第5生成部116Bの構成の一例を示す模式図である。
第5生成部116Bは、減算部30、変換・量子化部31、エントロピー符号化部32、逆量子化・逆変換部33、加算部34、ループフィルタ部35、画像バッファ部36、予測画像生成部37、符号化制御部38、およびバッファ部39を備える。
バッファ部39は、第4生成部116Aから受付けた参照画像信号を格納する。
減算部30は、第1原画像信号を受付ける。そして、減算部30は、第1原画像信号と、予測画像生成部37で生成した予測画像信号と、の差分を求めて、この差分である予測誤差信号を生成する。変換・量子化部31は、予測誤差信号を変換して変換係数を生成し、変換係数を量子化して量子化係数を生成する。
予測誤差信号の変換方法は、例えば、DCT(Discrete Cosine Transform:離散コサイン変換)を用いた直交変換や、ウェーブレット変換や、独立成分解析等である。変換・量子化部31は、これらの何れかの変換方法を用いて、予測誤差信号を変換する。また、変換・量子化部31は、予め設定された量子化パラメータを用いて、変換係数を量子化する。
逆量子化・逆変換部33は、量子化係数を逆量子化した後に逆変換し、予測誤差信号を再構成する。すなわち、逆量子化・逆変換部33は、量子化係数に対して、変換・量子化部31と逆の処理を行う。具体的には、変換・量子化部31がDCTおよび量子化を行なった場合には、逆量子化・逆変換部33は、逆量子化及びIDCT(Inverse Discrete Cosine Transform:逆離散コサイン変換)を行う。
加算部34は、逆量子化・逆変換部33から予測誤差信号を受付け、予測画像生成部37から予測画像を受付ける。そして、加算部34は、予測誤差信号と予測画像とを加算して、局部復号信号を生成し、ループフィルタ部35へ送る。
ループフィルタ部35は、局部復号信号に、デブロッキングフィルタ等のループフィルタ処理を行い、その結果を画像バッファ部36へ送る。
画像バッファ部36は、1つ以上の画像信号数の局部復号信号を、予測画像生成のための参照画像信号として記憶する。画像バッファ部36は、該参照画像信号を、予測画像生成部37へ出力する。また、画像バッファ部36は、局部復号信号を、基準画像復号信号として、第2符号化部12へ出力する。
バッファ部39には、第4生成部116Aから受付けた参照画像信号が格納されている。バッファ部39は、第4生成部116Aから受付けた参照画像信号を、予測画像生成部37へ出力する。
予測画像生成部37は、第1原画像信号と、画像バッファ部36から受付けた参照画像信号と、バッファ部39から受付けた参照画像信号と、符号化制御部38から受付けた予測制御情報と、を用いて、予測画像を生成する。そして、予測画像生成部37は、生成した予測画像を、減算部30および加算部34へ送る。また、予測画像生成部37は、予測情報を、エントロピー符号化部32へ送る。
符号化制御部38は、予測制御情報を生成し、予測画像生成部37へ出力する。エントロピー符号化部32は、予測画像生成部37から予測情報を受付ける。また、エントロピー符号化部32は、変換・量子化部31から量子化係数を受付ける。エントロピー符号化部32は、量子化係数、および予測情報を、予め決められたシンタクスに従ってエントロピー符号化し、基準画像符号化データを生成する。
エントロピー符号化部32は、例えば、ハフマン符号化や算術符号化を用いて、エントロピー符号化を行う。エントロピー符号化部32は、生成した基準画像符号化データを出力する。
次に、本実施の形態における、第1符号化部11Aが実行する処理の手順を説明する。図13は、第1符号化部11Aが実行する処理の手順の一例を示す、フローチャートである。
第1符号化部11Aは、第1の実施の形態の第1符号化部11が実行するステップS300〜ステップS310の処理(図6参照)と同様にして、ステップS800〜ステップS810の処理を行う。
具体的には、まず、選択部112が、受付部17から第1原画像信号を受付ける(ステップS800)。また、選択部112は、制御部16から制御データを受付ける(ステップS802)。
次に、選択部112の類似度算出部112Aが、ステップS800で受付けた第1原画像信号を含む原画像信号の種類に対応する参照画像信号群を、参照画像管理DB110Aから読取る(ステップS804)。ステップS804の処理によって、類似度算出部112Aは、原画像信号の種類に対応する参照画像信号群を特定する。
次に、類似度算出部112Aが、ステップS804で読取った参照画像信号群に含まれる参照画像信号の各々と、ステップS800で受付けた第1原画像信号と、の類似度を算出する(ステップS806)。
次に、参照画像選択部112Bが、ステップS804で読取った参照画像信号の内、ステップS806で算出した類似度が閾値以上の参照画像信号を選択する(ステップS808)。
次に、参照画像選択部112Bは、ステップS802で受付けた制御データに、ステップS808で選択した参照画像信号の参照画像信号IDを追加し、出力部15へ出力する(ステップS810)。
次に、第1生成部116の第4生成部116Aが、選択部112(図3参照)から受付けたフレーム内予測符号化された参照画像信号(参照画像符号化データ)を復号し、参照画像信号を生成する(ステップS812)。そして、第4生成部116Aは、参照画像信号を、第5生成部116Bへ出力する。
次に、第1生成部116の第5生成部116Bが、ステップS800で受付けた第1原画像信号を、ステップS812で生成した参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化した、基準画像符号化データを生成する(ステップS814)。そして、第5生成部116Bは、生成した基準画像符号化データを、出力部15へ出力する(ステップS816)。
また、第1生成部116の第5生成部116Bは、ステップS800で受付けた第1原画像信号およびステップS812で生成した参照画像信号に基づいて生成した局部復号信号を、基準画像復号信号として生成する(ステップS818)。
そして、第5生成部116Bは、生成した基準画像復号信号を、第2符号化部12へ出力する(ステップS820)。第2符号化部12は、受付部17から第2原画像信号を受付けると、ステップS820で生成された基準画像復号信号を用いて、第2原画像信号をフレーム間予測符号化し、標準符号化データを生成する(ステップS822)。(標準符号化データは出力部に出力しない。)そして、本ルーチンを終了する。第2符号化部12において、基準画像復号信号をフレーム内予測符号化する理由は、その次のタイミングで符号化される第2原画像信号をフレーム間予測符号化する時の参照画像を生成するためである。この処理によって、逆変換部22において、基準画像復号信号をフレーム内予測符号化したものと同一のものが生成することが可能となる。
以上説明したように、本実施の形態の符号化装置10Aでは、第1生成部116が、第1原画像信号を、参照画像信号を用いてフレーム間予測符号化し、基準画像符号化データを生成する。また、第1生成部116は、第1原画像信号および参照画像信号に基づいて生成した局部復号信号を、基準画像復号信号として生成する。このため、本実施の形態の符号化装置10Aは、第1の実施の形態の符号化装置10と同様の効果を得ることができる。
次に、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20のハードウェア構成について説明する。図14は、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20は、通信インタフェース(IF)83、CPU80、ROM(Read Only Memory)81、及びRAM(Random Access Memory)82等がバス84により相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
CPU80は、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20の各々における、全体の処理を制御する演算装置である。RAM82は、CPU80による各種処理に必要なデータを記憶する。ROM81は、CPU80による各種処理を実現するプログラム等を記憶する。通信インタフェース(IF)83は、外部装置と通信回線を介して接続し、接続した外部装置との間でデータを送受信するためのインタフェースである。
なお、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20で実行される処理を実行するためのプログラムは、ROM81等に予め組み込んで提供される。
なお、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20で実行される処理を実行するためのプログラムは、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
また、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20で実行される処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20で実行される処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
なお、コンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
上記実施の形態で説明した、符号化装置10、符号化装置10A、および、復号装置20で実行される処理を実行するためのプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、CPU80が、ROM81等から各種プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上述した機能構成が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、上記実施の形態で説明した処理手順を示すステップは、必ずしも、上述した順番に行われることを要するものではない。
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変換を行うことができる。これらの実施の形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。