JP6648268B2 - 風力発電装置用ロータブレード及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、風力発電装置用ロータブレード及び風力発電装置用ロータブレードの製造方法に関する。

風力発電装置のロータブレードは、典型的には、例えばＧＦＫ（ガラス繊維強化プラスチック）又はＣＦＫ（炭素繊維強化プラスチック）のような繊維複合材料で製造される。この場合、例えば、２つのハーフシェルを製造した後、これらを相互に接合ないしその他の方法で結合することができる。ハーフシェルは、例えば、真空射出成形法（Vacuum-Injektionverfahren）又は注入法（Infusionverfahren）で製造することができる。

ＷＯ ２０１４／０７２１２０ Ａ１ ＤＥ １０ ２０１０ ０１９ ６６６ Ａ１ ＤＥ ２９ ２１ １５２ Ｃ１ ＤＥ １０ ２０１０ ００２ ４３２ Ａ１ ＤＥ １ ０４５ ８１０ Ａ

原理的に、風力発電装置のロータブレード技術の分野においては、ロータブレードのハブ側の終端部分に対し特別な要求が課されている。なぜなら、当該部分は、ロータブレードから風力発電装置のハブへの力の導入についての役割を担っているからである。ここで、格別に大きな静的及び動的負荷が生成し得る。

ＷＯ ２０１４／０７２１２０ Ａ１は、風力発電装置用ロータブレードの半製品（半完成品）の製造方法を記載している。この半製品は、樹脂含浸されたノンクリンプファブリック（ないしレイドスクリム（laid scrim）：Gelege）の巻き付けによって製造される。

ドイツ特許商標庁は、本出願の優先権主張の基礎出願において関連技術として以下の文献を列記した：ＤＥ １０ ２０１０ ０１９ ６６６ Ａ１、ＤＥ ２９ ２１ １５２ Ｃ１、ＷＯ ２０１４／０７２１２０ Ａ１、ＤＥ １０ ２０１０ ００２ ４３２ Ａ１及びＤＥ １ ０４５ ８１０ Ａ。

本発明の課題は、改良された風力発電装置用ロータブレード及び風力発電装置用ロータブレードの改良された製造方法を提供することである。

この課題は、請求項１に記載の風力発電装置用ロータブレード及び請求項６に記載の風力発電装置用ロータブレードの製造方法によって解決される。
即ち、本発明の第１の視点により、風力発電装置用ロータブレードが提供される。該風力発電装置用ロータブレードは、風力発電装置のハブに結合するための複数の結合ユニットを有する第１端部と、風力発電装置用ロータブレードの更なる部分に結合するためのフランジを有する第２端部とを有するインナーロータブレード部分を有するロータブレード部分を含み、
インナーロータブレード部分は、ポリマーコンクリートで製造されており、
インナーロータブレード部分は、樹脂が含浸しかつ当該インナーロータブレード部分の周りに巻き付けられた複数の繊維複合ノンクリンプファブリック（Faserverbundgelegen）ないしロービング（Rovingen）を有し、
前記インナーロータブレード部分は、巻付け芯材ないし巻付け軸として使用されており、かつ、ポリマーコンクリートの注入成形又は遠心成形で作られている（形態１）。
更に、本発明の第２の視点により、風力発電装置用ロータブレードの製造方法が提供される。該方法は、以下の工程：
インナーロータブレード部分をポリマーコンクリートの注入成形又は遠心成形で製造すること、
該インナーロータブレード部分を巻付け軸として使用すること、
該巻付け軸に樹脂含浸繊維複合ノンクリンプファブリックないしロービングを巻き付けること、
を含む（形態６）。

本発明は、ロータブレード部分を含む風力発電装置用ロータブレードに関する。該ロータブレード部分は、風力発電装置のハブに結合するための複数の結合ユニットを有する第１端部と、風力発電装置用ロータブレードの更なる部分に結合するためのフランジを有する第２端部とを有するロータブレード内部部分（インナーロータブレード部分）を有する。内部（ロータ）ブレード部分はポリマーコンクリートで製造されている。

本発明の更なる一側面によれば、（インナー）ロータブレード部分は、樹脂が含浸しかつインナーロータブレード部分の周りに巻き回された複数の繊維複合ノンクリンプファブリックないしロービング（粗紡糸：Rovingen）を有する。

本発明の更なる一側面によれば、インナーロータブレード部分は、繊維複合ノンクリンプファブリックによって巻き包まれている（eingewickelt）少なくとも１つのスパーキャップ（帯状部材：Gurt）を有する。

本発明の更なる一側面によれば、インナーロータブレード部分は、内部が中空的に構成されており、かつ、波状の内周輪郭（波状の輪郭の内周面）を有する。

本発明は、更に、風力発電装置用ロータブレードの製造方法に関する。ロータブレード部分は、ポリマーコンクリート（セメントに代わりポリマーを用いたコンクリート状のポリマー硬化材：Polymerbeton）で製造される。ポリマーコンクリートで製造されたこのロータブレード部分は、巻付け軸（Wickeldorn）として使用され、及び、樹脂含浸繊維複合ノンクリンプファブリックは該巻付け軸に巻き付けられる。

本発明は、ロータブレードの少なくとも複数の部分を巻付け法（Wickeln）によって製造するというアイデアに基づく。そのために必要な巻付け軸はポリマーコンクリートで製造することが可能であり、巻付け軸は完成した風力発電装置用ロータブレードの一部分を構成し得る。そのため、巻付け軸は風力発電装置用ロータブレード内に残置される。従って、従来使用されていた分割可能なスチール軸の従来必要であった除去は不要になる。更に、ロータブレードの質量は減少可能である。ポリマーコンクリートの使用はロータブレードのリサイクル性を改善する。

巻付け軸はポリマーコンクリートの注入成形（ないし鋳造：gegossen）又は遠心成形（ないし遠心鋳造：geschleudert）で作られることができる。この場合、選択的に、予め製造されたネジ付（螺合用）インサート部材を備えたフランジ又は完全な金属フランジが一緒に成形又は遠心成形で作り込まれても（作り付けられても）よい。このため、後に行われるべき機械加工は完全に又は部分的に不要にすることができる。これに加えて、例えば後縁セグメントのためのもののような更なる結合ネジ付（螺合用）インサート部材を一緒に注入成形等によって作り込む（作り付ける）ことも可能である。

ポリマーコンクリート部材を巻付け軸として使用することにより、コスト及び製造時間を削減することができる。

本発明の更なる形態は従属請求項の対象である。
（形態２）形態１の風力発電装置用ロータブレードにおいて、前記インナーロータブレード部分は、前記繊維複合ノンクリンプファブリックによって巻き包まれている少なくとも１つのスパーキャップ（帯材）を有することが好ましい。
（形態３）形態１又は２の風力発電装置用ロータブレードにおいて、前記インナーロータブレード部分は、内部が中空的に構成されており、かつ、波状の内周輪郭を有することが好ましい。
（形態４）形態１〜３の何れかの風力発電装置用ロータブレードにおいて、巻き付けられた繊維複合ノンクリンプファブリックは、該巻付け芯材ないし巻付け軸に巻き付けられていることが好ましい。
（形態５）形態１〜４の何れかの風力発電装置用ロータブレードを有する風力発電装置も好ましい。

以下に、本発明の態様を付記する。
（態様１）風力発電装置用ロータブレード。該風力発電装置用ロータブレードは、風力発電装置のハブに結合するための複数の結合ユニットを有する第１端部と、風力発電装置用ロータブレードの更なる部分に結合するためのフランジを有する第２端部とを有するインナーロータブレード部分を有するロータブレード部分を含む。
インナーロータブレード部分は、ポリマーコンクリートで製造されている。
インナーロータブレード部分は、樹脂が含浸しかつ当該インナーロータブレード部分の周りに巻き付けられた複数の繊維複合ノンクリンプファブリック（Faserverbundgelegen）ないしロービング（Rovingen）を有する。
（態様２）風力発電装置用ロータブレードにおいて、前記インナーロータブレード部分は、前記繊維複合ノンクリンプファブリックによって巻き包まれている少なくとも１つのスパーキャップ（帯材）を有する。
（態様３）風力発電装置用ロータブレードにおいて、前記インナーロータブレード部分は、内部が中空的に構成されており、かつ、波状の内周輪郭を有する。
（態様４）風力発電装置用ロータブレードにおいて、前記インナーロータブレード部分は、巻付け芯材ないし巻付け軸として使用されており、巻き付けられた繊維複合ノンクリンプファブリックは、該巻付け芯材ないし巻付け軸に巻き付けられている。
（態様５）風力発電装置用ロータブレードを有する風力発電装置。
（態様６）風力発電装置用ロータブレードの製造方法。該方法は、以下の工程：
ロータブレード部分をポリマーコンクリートで製造すること、
該ロータブレード部分を巻付け軸として使用すること、
該巻付け軸に樹脂含浸繊維複合ノンクリンプファブリックないしロービングを巻き付けること
を含む。
本発明の利点及び実施例については以下に図面を参照して詳細に説明する。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明を限定することを意図したものではない。

本発明に応じた風力発電装置の一例の模式図。 風力発電装置用ロータブレード部分の一例の模式図。 図２のロータブレード部分の（矢視Ｂ−Ｂ）断面図。 図２のロータブレード部分の模式的斜視図。 本発明に応じたインナーロータブレード部分の一例の模式的断面図。

図１は、タワー１０２とナセル（ゴンドラ）１０４とを有する風力発電装置１００の一例を示す。ナセル１０４には、３つのロータブレード２００とスピナ１１０とを有するロータ１０６が配設されている。ロータ１０６は、運転時、風によって回転運動し、それによって、ナセル１０４内の発電機を駆動する。本発明に応じたロータブレード２００は、インナーロータブレード部分２１０を有する。

図２は、風力発電装置用ロータブレードの一例を模式図で示す。図２には、任意的に複数のネジボルト（ないしネジ付ロッド）２２０を備えた第１端部２１１を有する（１つの）インナーロータブレード部分２１０が示されている。ネジボルト２２０によって、本発明に応じたロータブレード２００は風力発電装置のハブに結合することができる。インナーロータブレード部分２１０はフランジを備えた第２端部２１２を有し、該フランジにはロータブレードの更なる部分を結合することができる。

図３は、図２のロータブレード部分の（矢視Ｂ−Ｂ）断面を示す。インナーロータブレード部分の断面は楕円状ないし円状である。

図４は、図２のロータブレードを模式的斜視図で示す。

本発明に応じ、インナーロータブレード部分２１０はポリマーコンクリートで製造される。ポリマーコンクリートの主成分は、異なる（複数の）粒度（粒径）を有する乾燥砂及び／又は微粉砕ないし粉状石英（などの骨材）と結着合成樹脂の混合物とすることができる。更に、例えば花崗岩系の比較的大きな石もポリマーコンクリートに含まれてもよい。ガラス又はカーボン製の短繊維を混合することによって、ポリマーコンクリートの強度特性を選択（変更）することができる。この場合、充填材の良好な充填及び圧密化を達成することが望ましいであろう。

本発明の一側面に応じ、ポリマーコンクリートは、５０％粗粒砂（相当径０．６３〜２ｍｍ）、１５％中粒砂（相当径０．２〜０．６３ｍｍ）、１０％石英粉（相当径０．０６３〜０．２ｍｍ）、５％短繊維（ガラス繊維）、繊維長凡そ２０〜３０ｍｍ（フィラメント径及び整糸径（Schlichte）凡そ１９μｍ）及び２０％（樹脂／硬化剤混合物）合成樹脂、例えばエポキシ樹脂ベースの２成分樹脂系又は熱可塑性樹脂系の材料又は硬化剤、で製造することができる。他の成分割合も可能である。

これらの成分から、インナーロータブレード部分２１０を製造することができる。このインナーロータブレード部分は、風力発電装置のロータブレードを製造する場合、巻付け芯材ないし巻付け軸として使用されることができる。この巻付け芯材ないし巻付け軸は、ロータブレードの駆動中、（例えば座屈補強材（Beulstuetze）のような）複数の構造的な役割を果たすことができる。そのため、巻付け軸は風力発電装置のロータブレード内に残置される。

本発明の一側面に応じ、インナーロータブレード部分２１０の両端部２１１、２１２に夫々フランジを設けることができる。これらのフランジは、ポリマーコンクリートで（一体的に）成形（鋳造）することができる。

従って、本発明に応じて風力発電装置のロータブレードを製造するために、ポリマーコンクリート製のインナーロータブレード部分が巻付け軸として使用される。これはポリマーコンクリートの注入成形（ないし鋳造：Giessen）又は遠心成形（ないし遠心鋳造：Schleudern）によって行われるが、このようにして製造された部分は巻付け軸として使用され、繊維複合ノンクリンプファブリック又はロービングは樹脂に含浸され、次いで、巻付け軸に巻き付けられて、ロータブレードの一部分となる半製品（半完成品）を製造することができる。

本発明に応じ、例えば、フランジ及びロータブレード結合部を直接的に一緒に巻き包み込むことも可能である。

ポリマーコンクリートは、耐薬品性、密封性、耐老化性（耐時効性）、制振性及びその動的強度の点で有利である。

本発明に応じ、インナーロータブレード部分を、フランジが既に組み付けられたポリマーコンクリート製の巻付け芯材として使用することにより、機械的後処理を減らすことができる。更に、より好都合な充填材の使用を可能にすることができる。更に、質量の減少も、より効率的な材料の使用によって可能になる。

本発明に応じ、インナーロータブレード部分はポリマーコンクリートで製造することができる。これは振動成形（鋳造）又は遠心成形（遠心鋳造）される（遠心成形コンクリート）ことができる。（インナー）ロータブレード部分は、ロータブレードの製造後ロータブレード内に残置され、任意的に座屈補強材として役立つことができる。更に、（インナー）ロータブレード部分は巻付け軸として使用されることができる。

本発明の一側面に応じ、内周面は、平滑に構成可能であり、リブを有することも可能であり、周方向及び長手方向において波状に構成されることも可能である。

本発明の一側面に応じ、（インナー）ロータブレード部分は、スチール、ＧＦＫ、ＣＦＫ、スチールインサート又は金属製ネジ付スリーブからなる予め製造されたフランジを有する。これは、とりわけインナーロータブレード部分を製造する際に、一緒に注入成形又は一緒に遠心成形で作り込まれる（作り付けられる）ことができる。

本発明の更なる一側面に応じ、内部（内周側）又は外部（外周側）において、主又は副スパーキャップ（吸引（負圧）側、与圧（正圧）側、前部（前縁）側及び後縁の帯材：Gurte）を一緒に巻き包むことができる。例えば、インナーロータブレード部分の輪郭部（周面部）に、（複数の）溝（ないし窪み）を一緒に注入成形で作り込むないし設けることができる。インナーロータブレード部分の外側輪郭部に溝を設けることにより、補強材料を上から（外側から）巻き付けるための滑らかな外側輪郭が得られるよう、部品を嵌め込み接合ないし載着することができる。

図５は、本発明に応じたインナーロータブレード部分の一例の模式的断面を示す。本発明に応じポリマー製のインナーロータブレード部分２１０は、とりわけ中空的に構成されており、横断面において内周側に波状の内側輪郭２１３を有することができる。インナーロータブレード部分２１０のポリマーコンクリートは、任意的に、スパーキャップ２３０が配置可能な溝（ないし窪み）２１４を有することができる。任意的に、インナーロータブレード部分及びスパーキャップ２３０は、更に、樹脂が含浸された繊維複合ノンクリンプファブリック２４０によって巻き包まれることができる。

Claims (6)

1. 風力発電装置用ロータブレードであって、
   該風力発電装置用ロータブレードは、風力発電装置のハブに結合するための複数の結合ユニット（２２０）を有する第１端部（２１１）と、風力発電装置用ロータブレードの更なる部分に結合するためのフランジを有する第２端部（２１２）とを有するインナーロータブレード部分（２１０）を有するロータブレード部分を含み、
   インナーロータブレード部分（２１０）は、ポリマーコンクリートで製造されており、
   インナーロータブレード部分（２１０）は、樹脂が含浸しかつ当該インナーロータブレード部分（２１０）の周りに巻き付けられた複数の繊維複合ノンクリンプファブリック（Faserverbundgelegen）ないしロービング（Rovingen）（２４０）を有し、
   前記インナーロータブレード部分（２１０）は、巻付け芯材ないし巻付け軸として使用されており、かつ、ポリマーコンクリートの注入成形又は遠心成形で作られている、
   風力発電装置用ロータブレード。
2. 請求項１に記載の風力発電装置用ロータブレードにおいて、
   前記インナーロータブレード部分（２１０）は、前記繊維複合ノンクリンプファブリックによって巻き包まれている少なくとも１つのスパーキャップ（２３０）を有する、
   風力発電装置用ロータブレード。
3. 請求項１又は２に記載の風力発電装置用ロータブレードにおいて、
   前記インナーロータブレード部分（２１０）は、内部が中空的に構成されており、かつ、波状の内周輪郭（２１３）を有する、
   風力発電装置用ロータブレード。
4. 請求項１〜３の何れかに記載の風力発電装置用ロータブレードにおいて、
   巻き付けられた繊維複合ノンクリンプファブリック（２４０）は、該巻付け芯材ないし巻付け軸に巻き付けられている、
   風力発電装置用ロータブレード。
5. 請求項１〜４の何れかに記載の風力発電装置用ロータブレードを有する風力発電装置。
6. 風力発電装置用ロータブレードの製造方法であって、以下の工程：
   インナーロータブレード部分（２１０）をポリマーコンクリートの注入成形又は遠心成形で製造すること、
   該インナーロータブレード部分（２１０）を巻付け軸として使用すること、
   該巻付け軸に樹脂含浸繊維複合ノンクリンプファブリックないしロービング（２４０）を巻き付けること、
   を含む、方法。

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