以下、本発明に係る遊技機の第一の実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1は、正面視で上下方向に長い矩形状の枠体である外枠10を有する。外枠10の内側には、本体枠11がその左端縁を軸として前方から片開き自在に取り付けられている。本体枠11の前面側における上半分の部分に遊技盤2が設けられている。
遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠12によって前面を保護されている。前面枠12は、本体枠11の前面側に対して、その左端縁を軸として前方からら片開き自在に取り付けられている。本体枠11における遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠12の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。スピーカ48は、BGM等の曲、遊技演出に登場するキャラクタのセリフ等の音声、各種の効果音を出力することで、各種の演出を実行する。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技球発射装置37(図3参照)によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。センター飾り8は、表示画面28を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の略中央に配置されている。表示画面28は、例えばLCD等によって構成され、様々な映像を表示可能である。本実施形態では、表示画面28は、大当り判定の結果を報知する演出図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の演出図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14の下方には、第二大入賞口17が設けられている。センター飾り8の右斜め下方には、普通図柄作動ゲート13が設けられている。普通図柄作動ゲート13の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15の左斜め下方には、第一大入賞口16が設けられている。第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、それぞれ開閉部材を備える。遊技球は、開閉部材が開放された場合にのみ、第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17のそれぞれに入賞することができる。
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LEDを備える。
本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。第一大当たり判定では、大当たり及びはずれのいずれであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定において大当たりであると判定されると、第一大入賞口16の開閉部材及び第二大入賞口17の開閉部材が所定の順で開放される大当たり遊技が実行される。第二大入賞口17の内部には、特定の領域が設けられている。パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球が特定の領域を通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。確率変動状態とは、大当たり判定において「大当たり」と判定される確率が通常よりも高くなる状態である。本実施形態では、生起された確率変動状態は、確率変動状態における大当たり判定の実行回数が所定の回数に達することで、いわゆる回数切り確変機能の作動によって終了する。
普通図柄作動ゲート13を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われ、判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定において当たりであると判定されると、第二始動口15の開閉部材が開放される。第二始動口15へ遊技球が入賞すると、第二大当り判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定において大当たりであると判定されると、上記と同様の大当たり遊技が実行される。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47及び電源基板42を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、CPU51による演算処理で得られたデータを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ73及び第二始動口スイッチ74に接続している。出力ポート55は、図示しない遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。第一始動口スイッチ73は、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ74は、第二始動口15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、演出等の総合的な制御を司るCPU581を備える。CPU581は、RAM582、ROM583、音制御回路591と電気的に接続する。RAM582は、CPU581による演算処理で得られたデータを一時的に記憶する。ROM583は、後述のサブ制御基板処理(図8参照)を実行させるプログラム、及び各種プログラムが使用するフラグやデータの初期値等を記憶する。
音制御回路591は、CPU581からの指示に基づいて音信号を再生し、音をスピーカ48に出力させる。音制御回路591は、例えば、音処理用のLSI等によって構成されていてもよい。音制御回路591は、ROM593と電気的に接続する。ROM593は、再生される音信号の元データである圧縮音データを記憶する。具体的には、ROM593は、パチンコ機1で用いられる、BGM一曲分の音楽、セリフ音声、予告音、各種の通知音等の各種音データを、圧縮音データとして予め格納する。圧縮音データは、例えば所定のビット長のフレーズ番号で特定されるデータである。圧縮音データを、以下ではフレーズデータともいう。フレーズデータは、フレーズ番号に対応してそれぞれ記憶されている。本実施形態では、再生された場合に最大音量の音信号となる態様で記憶されている。それぞれのフレーズデータの示す最大音量を、以下では基準音量という。
サブ制御基板58は、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9及びスピーカ48に接続している。ランプドライバ基板46は、電飾基板31に接続している。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、各種電飾ランプの動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431、CGROM432等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。CGROM432は、各種演出に用いるための動画及び静止画の画像データを記憶している。操作ボタン9は、遊技者の操作に応じて検出信号をサブ制御基板58に出力する。スピーカ48は、サブ制御基板58から送信されるデジタルの音信号をアナログの音に変換して出力する。
払出制御基板45は、賞球及び賞球の払い出しの制御を司るCPU45aを備える。CPU45aは、RAM45b及びROM45cと電気的に接続する。RAM45bは、CPU45aによる演算処理で得られたデータを一時的に記憶する。ROM45cは、賞球及び賞球の払い出しの制御プログラム等を記憶する。
払出制御基板45は、賞球払出装置49、扉開放スイッチ61、枠開放スイッチ62及び下皿満杯スイッチ63に接続している。賞球払出装置49は、主基板41から送信されるコマンドに応じて、所定数の遊技球を下皿6に払い出す。扉開放スイッチ61は、本体枠11に対して前面枠12が開放された場合、払出制御基板45にON信号を出力し、本体枠11に対して前面枠12が開放されていない場合、払出制御基板45にOFF信号を出力する。枠開放スイッチ62は、外枠10に対して本体枠11が開放された場合、払出制御基板45にON信号を出力し、外枠10に対して本体枠11が開放されていない場合、払出制御基板45にOFF信号を出力する。下皿満杯スイッチ63は、下皿6が賞球で満杯になった場合、払出制御基板45にON信号を出力し、下皿6が賞球で満杯でない場合、払出制御基板45にOFF信号を出力する。CPU45aは、下皿満杯スイッチ63からON信号を受信すると、賞球払出装置49の動作を停止する。下皿満杯スイッチ63からON信号を受信した以降に主基板41から送信されるコマンドに応じた賞球数は、RAM45bに記憶される。その後CPU45aは、下皿満杯スイッチ63からOFF信号を受信すると、賞球払出装置49の動作を再開し、RAM45bに記憶されている賞球を下皿6に払い出す。
中継基板47は、普通電動役物開閉ソレノイド69、第一大入賞口ソレノイド70、第二大入賞口ソレノイド71、特定領域ソレノイド72、普通図柄作動スイッチ75、第一大入賞口スイッチ76、第二大入賞口スイッチ77、特定領域スイッチ78、誘導磁界センサ65、磁気センサ66、振動センサ67及び図柄表示部24に接続している。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材を開閉する。第一大入賞口ソレノイド70は、大当たり遊技中に第一大入賞口16の開閉部材を開閉する。第二大入賞口ソレノイド71は、大当たり遊技中に第二大入賞口17の開閉部材を開閉する。特定領域ソレノイド72は、大当たり遊技の特定のラウンドにおいて第二大入賞口17内の特定の領域の開閉部材(図示せず)を開閉する。普通図柄作動スイッチ75は、普通図柄作動ゲート13を通過した遊技球を検出する。第一大入賞口スイッチ76は、第一大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。第二大入賞口スイッチ77は、第二大入賞口17に入賞した遊技球を検出する。特定領域スイッチ78は、特定の領域を通過した遊技球を検出する。
誘導磁界センサ65は、主に不正行為によって発生する誘導磁界を検出する。磁気センサ66は、主に不正行為によって発生する磁気を検出する。振動センサ67は、主に不正行為によって発生する振動を検出する。誘導磁界センサ65、磁気センサ66及び振動センサ67は、それぞれ遊技盤2の後側の所定位置に配置されている。主基板41は、これらの不正行為に関連する検出信号を受信すると、出力ポート55を介して、外部出力信号を遊技場管理用コンピュータに出力する。
電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4を参照して、音制御回路591の概略内部構成について説明する。音制御回路591は、制御レジスタ591A、第1〜第nトラック処理部TR1〜TRn、ミキサー591Dを主に備える。制御レジスタ591Aは、CPU581と電気的に接続している。制御レジスタ591Aは、CPU581から受信するコマンドを解析し、第1〜第nトラック処理部TR1〜TRnのそれぞれに再生すべきフレーズデータの指定、指定したフレーズデータの再生指示、再生音の音量の指示等を行う。
第1〜第nトラック処理部TR1〜TRnは、第1トラック〜第nトラックのフレーズ再生トラックのそれぞれに対応した音について処理を行う。第1トラック処理部TR1は、デコーダ591B、トラックボリューム591Cを備えている。デコーダ591Bは、入力されるフレーズデータの再生指示に基づいて、ROM593から所望のフレーズデータを読み出し、フレーズデータの伸張処理(デコード)を行う。トラックボリューム591Cは、デコーダ591Bがデコードした再生音のデータについて、出力音量及びフェードイン/フェードアウト等を制御する。第1〜第nトラック処理部TR1〜TRnは、それぞれ同様に構成されている。図4では、第1トラック処理部TR1及び第nトラック処理部TRnのみを示し、他のトラック処理部は省略している。nは例えば16である。ミキサー591Dは、第1〜第nトラック処理部TR1〜TRnのそれぞれから出力された音信号を混合し、混合信号をスピーカ48に出力する。
図5を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターン決定テーブルは、大当たり判定が第一大当たり判定及び第二大当り判定のいずれであるか、大当たり判定時の遊技状態(本実施形態では非時短状態又は時短状態)及び大当たり判定の結果(大当たり又ははずれ)に応じて、複数のテーブルを設けている。それぞれのテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0〜511)とが対応付けられている。第一大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数とともに取得されている変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンが1つ決定される。
図5に示すように、非時短状態における第一大当たり判定の判定結果が大当たりの場合には、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。ここで、「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合には、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、第一大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。なお、本実施形態において、「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値を、以下では「期待度」ともいう。
なお、詳細は省略するが、変動パターン決定テーブルにおいて、第二大当り判定についても、遊技状態に応じて複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値とが対応付けられている。主基板41は、決定した変動パターンに応じて決められている変動時間だけ、第一特別図柄又は第二特別図柄を変動させる。また、主基板41は、変動パターン決定テーブルが参照されて決定された変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて表示画面28及びスピーカ48等を制御する。
図6を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
図6に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート13、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17、第二大入賞口17内の特定の領域及びその他入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。また、スイッチ読込処理では、誘導磁界センサ65、磁気センサ66及び振動センサ67の各検出結果に応じて、セキュリティコマンドが生成される。セキュリティコマンドは、不正行為が発生した可能性のあることをサブ制御基板58に通知するためのコマンドであり、RAM52に記憶される。セキュリティコマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10)において、サブ制御基板58に送信される。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作(主に第一大入賞口16及び第二大入賞口17の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。本実施形態では、1回の大当たり遊技の最終ラウンドにおいて、第二大入賞口17が13秒又は0.3秒開放される。最終ラウンド以外のラウンドでは、第一大入賞口16が最大開放時間29秒で開放される。大当たり遊技中に遊技球が第二大入賞口17内の特定の領域を通過した場合には、スイッチ読込処理(S11)において、特定領域スイッチ78に対応するフラグが「ON」とされる。このフラグが「ON」とされていれば、後述する確率変動フラグが「ON」とされる。そして、一旦開放された第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、最大開放時間の経過、及び所定個数の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。大当たり遊技が開始される場合、大当たり遊技が開始されることを示す大当たり遊技開始コマンドが生成され、RAM52に記憶される。大当たり遊技開始コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10)において、サブ制御基板58に送信される。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定、及び遊技状態の移行処理等が行われる。パチンコ機1において、RAM52に第一大当たり関係情報記憶エリア及び第二大当たり関係情報記憶エリアが設けられている。第一大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。第一始動口14へ遊技球が入賞した際に、第一始動口14への入賞による第一保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。第一保留球数とは、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。本実施形態において、最大第一保留球数は「4」である。CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号が小さい記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理が終了すると、次に番号が小さい記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、及び第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。
パチンコ機1において、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間は、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかの変動開始に同期して、演出図柄の変動表示を開始する。主基板41は、変動を開始した第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかの変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄又は第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄による他、表示画面28、スピーカ48等によっても、変動パターンと同期した報知演出を実行する。
第二大当たり関係情報記憶エリアの構成は、第一大当たり関係情報記憶エリアの構成と同様である。第二始動口15へ遊技球が入賞した際に、第二始動口15への入賞による第二保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。第二保留球数とは、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。
特別図柄処理では、決定された変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドが生成される。また、特別図柄の変動時間の経過に伴い、特別図柄停止コマンドが生成される。また、第一始動口14又は第二始動口15へ遊技球が入賞したことを契機として記憶された保留乱数の先読み情報に応じて、先読みコマンドが生成される。なお、先読みとは、保留乱数についての情報を、実際の大当たり判定が行われるよりも前に参照することである。生成されたこれらのコマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10)において、サブ制御基板58に送信される。
以下の説明では、第一大当たり乱数及び第二大当たり乱数を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数及び第二変動パターン決定乱数を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一大当たり関係情報記憶エリアおよび第二大当たり関係情報記憶エリアを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、大当たり関係情報記憶エリアともいう。また、大当たり関係情報記憶エリアに記憶された状態で大当たり判定が保留されている大当たり乱数、および大当たり判定が保留されている大当たり乱数とともに取得されて大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して保留乱数という。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が生起されていれば、非時短状態中よりも長く、第二始動口15の開閉部材を開放させる。なお、CPU51は、時短フラグが「ON」とされていれば、時短状態中であると判断する。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ75が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。前述したように、普通当たり判定は、時短状態が生起されているか否かに応じて、それぞれの確率(99/100または4/100)で判定される。
次いで、払出処理(S17)が行われる。払出処理では、賞球の払い出しが制御される。また、払出処理では、扉開放スイッチ61、枠開放スイッチ62及び下皿満杯スイッチ63の各検出結果に応じて、扉開放コマンド、枠開放コマンド及び下皿満杯コマンドが生成される。扉開放コマンドは、扉(前面枠12)が開放していることをサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。枠開放コマンドは、枠(本体枠11)が開放していることをサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。下皿満杯コマンドは、下皿6が満杯であることをサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。各コマンドはRAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10)において、サブ制御基板58に送信される。
次いで、エラーチェック(S18)及び情報出力処理(S19)が行われる。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示せず)に各種の情報が出力される。
図7を参照して、サブ制御基板58のROM583に記憶されている優先度テーブルについて説明する。優先度テーブルは、ROM593に記憶されているフレーズデータのそれぞれを、音種別に応じて分類している。音種別には、「通常SE」、「通常BGM」、「セリフ」、「激熱SE」、「当確SE」、「特別BGM」、「保留音」、「通知音」の8つがある。
「通常SE」には、報知演出の期待度に関わらず用いられる効果音、及び報知演出の期待度が比較的低い場合(例えば、期待度が40%未満の場合)に用いられる効果音等のフレーズデータが分類される。例えば、報知演出の期待度が比較的低い場合に実行される予告演出に伴う効果音等が、「通常SE」に分類される。予告演出とは、例えば、報知演出が開始されてから演出図柄が確定表示されるまでの間において、報知演出の期待度を示唆するために実行される各種の演出である。「通常BGM」には、報知演出の期待度に関わらず用いられるBGM、及び報知演出の期待度が比較的低い場合(例えば、期待度が40%未満の場合)に用いられるBGM等のフレーズデータが分類される。例えば、「非リーチ」の報知演出で用いられるBGMのフレーズデータが、「通常BGM」に分類される。「セリフ」には、キャラクタのセリフ音声のフレーズデータが分類される。
「激熱SE」には、報知演出の期待度が比較的高い場合(例えば、期待度が40%以上の場合)に用いられる効果音のフレーズデータが分類される。「当確SE」には、報知演出の期待度が非常に高い場合(例えば、期待度が約100%の場合)に用いられる効果音のフレーズデータが分類される。例えば、報知演出において演出図柄が大当たりを示す組合せで確定表示される前に大当たりを告知する際に用いられる一発告知音のフレーズデータが、「当確SE」に分類される。「特別BGM」には、報知演出の期待度が比較的高い場合(例えば、期待度が40%以上の場合)に用いられるBGMのフレーズデータが分類される。例えば、いわゆるスーパーリーチの場合に用いられるBGM等が、「特別BGM」に分類される。「保留音」には、保留音のフレーズデータが分類される。保留音とは、例えば、保留乱数の先読み情報に応じて、その保留乱数の取得時(第一始動口14又は第二始動口15への遊技球の入賞時)に鳴動される効果音である。
「通知音」には、各種の通知音のフレーズデータが分類される。通知音には、誘導磁界センサ65、磁気センサ66及び振動センサ67の各検出結果に応じて、不正行為が発生した可能性のあることをパチンコ機1の周囲の者(遊技者、ホール従業員等)に通知する音(例えばサイレン音)が含まれる。また、通知音には、扉開放スイッチ61の検出結果に応じて、扉(前面枠12)が開放していることを周囲の者に通知する音(例えば「扉が開いています」等の音声)が含まれる。また、通知音には、枠開放スイッチ62の検出結果に応じて、枠(本体枠11)が開放していることを周囲の者に通知する音(例えば「枠が開いています」等の音声)が含まれる。また、通知音には、下皿満杯スイッチ63の検出結果に応じて、下皿6が満杯であることを遊技者等に通知する音(例えば「(下皿6の)球を抜いてください」等の音声)が含まれる。これらの通知音は、報知演出の期待度に応じて鳴動されるものではないため、通常の遊技においては出力される機会が少ない。しかし、出力の機会が到来した場合には、不正行為防止の観点、円滑な遊技進行の観点から、鳴動内容がパチンコ機1の周囲の者あるいは遊技者に十分に通知される必要がある。
優先度テーブルは、音種別毎に分類されたフレーズデータのそれぞれについて「基準音量」、「優先度指数」を定めている。「優先度指数」とは、ROM593に記憶されている複数のフレーズデータについて、他のフレーズデータに対する相対的な優先度を定義する数値である。本実施形態では、優先度指数は、音種別毎に定められている。「通常SE」及び「通常BGM」の優先度指数は「0」である。「セリフ」の優先度指数は「1」である。「激熱SE」の優先度指数は「2」である。「当確SE」の優先度指数は「3」である。「特別BGM」及び「保留音」の優先度指数は「4」である。「通知音」の優先度指数は「5」である。
優先度指数は、その値が大きくなるほど、他のフレーズデータに対して優先した音量で出力されるべきフレーズデータであることを示している。例えば、セリフ音声は、演出上、明確に遊技者に聞き取らせたいことが多いので、「セリフ」の優先度指数は、「通常SE」及び「通常BGM」よりも高い値に設定されている。また、「通常SE」よりも期待度の高い演出で用いられやすい「激熱SE」については、「通常SE」よりも優先した音量で遊技者に聞き取らせたい場面があるので、「激熱SE」の優先度指数は、「通常SE」よりも高い値に設定されている。「激熱SE」よりも期待度の高い演出で用いられやすい「当確SE」についても同様の理由が成り立つので、「当確SE」の優先度指数は、「激熱SE」よりも高い値に設定されている。また、SPリーチ等の特別な演出で用いられる「特別BGM」については、他のリーチ演出に用いられる音よりも優先した音量で出力させたい場面がある等の理由で、優先度指数を、演出で用いられる音のうち最も高い値である「4」としている。「保留音」は、その性質上、比較的短い時間で鳴動される効果音であり、且つ、先読み情報に基づく先読み演出の一つとして出力される。保留乱数(大当たり乱数、変動パターン決定乱数、特別図柄決定乱数等)に基づく先読み情報の示す期待度に応じて、「保留音」の鳴動が決定される。「保留音」は、先読み情報の示す期待度に応じて鳴動される音であり、先読み演出の内容が遊技者の関心事である等の理由から、優先度指数を、演出で用いられる音のうち最も高い値である「4」としている。また、「通知音」には、重大な異常事態が発生していることを周囲に即時に通知する役割がある。このため、「通知音」には、全ての音種別のうちで最も高い優先度指数が設定されている。以下では、優先度指数の値を「P」ともいう。
図8から図16を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理と、本実施形態において実行される音の出力制御について説明する。パチンコ機1は、フレーズデータを再生して複数の音を同時に出力できる。パチンコ機1では、複数の音を同時に出力する場合、優先度指数に応じたダッキングが行われる。ダッキングとは、複数の音のうち、優先して聞かせたい音と同時に出力されている他の音の音量を一時的に下げる処理である。パチンコ機1では、前述の優先度指数を用いてダッキングを行う。
図8に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したかが判断される(S22)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S22:NO)、処理はS26の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S22:YES)、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンが、RAM582に記憶される(S23)。変動パターンに応じた報知演出に関する画像表示処理を演出制御基板43に開始させるための報知演出開始コマンドが、RAM582に記憶される(S24)。次いで、変動パターンに応じた報知演出に関する音を、音制御回路591に再生させるための音再生コマンドが、RAM582に記憶される(S25)。具体的には、S23の処理で記憶された変動パターンに従って、変動パターンに対応する報知演出において用いられるBGM、SE、セリフ等を再生して、スピーカ48から出力させるための情報が、再生コマンドとして生成される。処理はS26の判断へ移行する。
次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかが判断される(S26)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S26:NO)、処理はS29の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S26:YES)、大当たり判定の判定結果を示す演出図柄の組合せを確定表示させることで、報知演出が終了される(S27)。処理はS29の判断へ移行する。
次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したかが判断される(S29)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S29:NO)、処理はS32の判断へ移行する。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S29:YES)、大当たり遊技中の演出である大当たり遊技演出に関する画像表示処理を演出制御基板43に開始させるための報知演出開始コマンドが、RAM582に記憶される(S30)。次いで、大当たり遊技演出に関する音を、音制御回路591に再生させるための音再生コマンドが、RAM582に記憶される(S31)。処理はS32の判断へ移行する。
次いで、音に関するその他のコマンドを受信したかが判断される(S32)。音に関するその他のコマンドには、主基板41から送信されるセキュリティコマンド、扉開放コマンド、枠開放コマンド及び下皿満杯コマンド等が含まれる。また、遊技者等の操作に応じて音が出力される場合があるが、このようなときに操作ボタン9から送信される検出信号も、その他のコマンドに含まれる。これらの音に関するコマンドを受信していない場合(S32:NO)、処理はS34へ移行する。これらの音に関するコマンドを受信した場合(S32:YES)、それぞれのコマンドに応じた音を、音制御回路591に再生させるための音再生コマンドが、RAM582に記憶される(S33)。処理はS34へ移行する。
次いで、RAM582に記憶されたコマンドが、音制御回路591及び演出制御基板43に出力される(S34)。音再生コマンドを受信した音制御回路591は、音再生コマンドに応じた音をROM583から読み出して再生する。処理は、S35に移行する。
次いで、出力管理情報生成処理が実行される(S35)。出力管理情報生成処理は、出力管理情報を生成する処理である。出力管理情報は、第1トラック〜第nトラックのフレーズ再生トラックのそれぞれにおけるフレーズデータの再生状況及び再生している音の音量の状況についての情報である。出力管理情報生成処理は、サブ制御基板処理が実行される毎に実行される。すなわち、サブ制御基板58のCPU581は、出力管理情報生成処理を繰り返し実行することで、時間の経過に応じて出力管理情報を順次生成している。また、CPU581は、後述の音制御処理(S36)を実行する毎に、新たな出力管理情報を取得及び参照することで、第1トラック〜第nトラックにおける音の状況を常に把握している。
図9を参照して、出力管理情報生成処理(S35、図8参照)について詳細に説明する。出力管理情報生成処理が開始されると、フレーズ再生トラック毎の再生状況、フレーズ番号及び優先度指数の値であるPが、各フレーズ再生トラックのデコーダ591Bから取得される(S41)。再生状況とは、そのフレーズ再生トラックでいずれかのフレーズデータが再生されているかを示す情報である。本実施形態では、「再生中」又は「停止中」のいずれかで示される。フレーズ番号は、そのフレーズ再生トラックのデコーダ591Bでデコードされたフレーズデータのフレーズ番号である。Pは、そのフレーズ再生トラックのデコーダ591Bでデコードされたフレーズデータに対応付けられている優先度指数を示す。CPU581は、再生状況が「再生中」の場合、再生しているフレーズデータ及び優先度テーブルに基づいて、フレーズデータに対応するフレーズ番号及びPを取得する。
次いで、フレーズ再生トラック毎の現音量及びフェード状況が、各フレーズ再生トラックのトラックボリューム591Cから取得される(S42)。現音量とは、そのフレーズ再生トラックで現在再生されている再生音の出力音量である。本実施形態では、音量は、各フレーズデータの基準音量に対するパーセンテージで示される。フェード状況とは、再生音のデータについてフェードイン/フェードアウトが設定されているか、設定されている場合のフェードの割合(フェードレート)を示す情報である。フェードレートは、例えば、音量を最小から最大まで、又は最大から最小まで変化させるのに必要な秒数で示される。
次いで、S41及びS42の処理で取得された情報に基づいて、出力管理情報が生成される(S43)。本実施形態では、図10に示す構成で、出力管理情報が生成される。出力管理情報は、第1トラック〜第nトラックのフレーズ再生トラックのそれぞれについての再生状況、フレーズ番号、P、現音量、フェードレートで示される。
図10の例に示すように、出力管理情報は、第1トラックにおいてP=0であるフレーズ15のフレーズデータが再生中であり、その現音量が60%であって、0.5秒で完了するフェードイン/フェードアウトが実行中であることを示す。また、出力管理情報は、第2トラックにおいては、再生状況が「停止中」であり、いずれのフレーズデータも再生されていないことを示す。第3トラックから第nトラックについても同様に、フレーズ再生トラック毎に、再生状況、フレーズ番号、P、現音量及びフェードレートが示されている。
次いで、生成された出力管理情報がRAM582に記憶される(S44)。このように、出力管理情報を生成することで、CPU581は、出力管理情報処理が実行された時点におけるフレーズ再生トラック毎のフレーズデータの再生状況及び再生している音の音量の状況を把握できる。また、出力管理情報が時間の経過に応じて繰り返し生成されるので、CPU581は、レーズ再生トラック毎のフレーズデータの再生状況及び再生している音の音量の状況を監視できる。処理はサブ制御基板処理(図8参照)へ戻る。
図8の説明に戻る。次いで、音制御処理が実行されて(S36)、処理はS38の判断へ移行する。図11を参照して、音制御処理(S36、図8参照)について詳細に説明する。音制御処理では、サブ制御基板処理に送信される各種のコマンドに応じて、必要な音を出力するための制御が行われる。
音制御処理が開始されると、出力管理情報が取得される(S52)。CPU581は、出力管理情報生成処理(S35、図8参照)で生成された出力管理情報を、RAM582から取得する。
次いで、S52の処理で取得された出力管理情報と、前回に取得された出力管理情報とが比較される(S53)。なお、CPU581による音制御処理の実行が初回の実行であり、前回に取得した出力管理情報が存在しない場合には、CPU581は、S53の処理を行わず、処理をS61へ移行する。
次いで、S53の処理における比較結果に基づいて、今回取得された出力管理情報が、前回取得された出力管理情報に対して変化しているかが判断される(S54)。出力管理情報に変化がない場合(S54:NO)、処理はS62へ移行する。
出力管理情報に変化がある場合(S54:YES)、P5フラグが「ON」であるかが判断される(S55)。サブ制御基板58のRAM582には、P5フラグ等が記憶されている。P5フラグは、後述する音量決定処理(S61)において、フレーズ再生トラックのいずれかにおいてP=5であるフレーズデータが再生されていると判断された場合に「1」が記憶されて「ON」となる。その後、フレーズ再生トラックのいずれかにおいてもP=5であるフレーズデータが再生されていないと判断された場合に「0」が記憶されて「OFF」となる。P5フラグが「OFF」の場合(S55:NO)、処理はS61へ移行する。
P5フラグが「ON」の場合(S55:YES)、S52の処理で取得した出力管理情報において、最大のPの値であるPmaxが「5」であるかが判断される(S56)。すなわち、最新の出力管理情報に基づいて、第1トラック〜第nトラックのいずれかにおいて通知音が再生されているかが判断される。Pmaxが「5」である場合(S56:YES)、処理はS61へ移行する。
Pmaxが「5」でない場合(S56:NO)、各フレーズ再生トラックにおいて再生するフレーズデータの音量が、現音量の8倍にすることが決定される(S58)。この処理の作用効果については後述する。次いで、P5フラグが「OFF」になる(S59)。すなわち、フレーズ再生トラックのいずれかにおいてP=5であるフレーズデータが再生されていると判断されてP5フラグが「ON」とされた後に、最新の出力管理情報に基づいて、P=5であるフレーズデータが再生されていないと判断された場合に、P5フラグが「OFF」になる。処理はS61へ移行する。
次いで、音量決定処理が実行される(S61)。音量決定処理は、ダッキングを自動的に行うため、各フレーズ再生トラックで再生される音の音量を優先度指数に基づいて決定する処理である。
図12を参照して、音量決定処理(S61、図11参照)について詳細に説明する。音量決定処理が開始されると、最新の出力管理情報が参照される。そして、最新の出力管理情報において、0≦P≦4の範囲でPの値が最大であるP1を示すフレーズデータが特定される(S71)。すなわち、通知音に分類されるフレーズデータを除いて、優先度指数が最大となるフレーズデータが、出力管理情報から特定される。この処理で特定された、Pの値がP1であるフレーズデータを、以下では第一優先フレーズF1という。なお、0≦Pmax≦4の場合、Pmax=P1である。Pmax=5の場合、S71からS82の処理に加えて、後述のS84以降の各処理が実行される。
次いで、第一優先フレーズF1に対応付けられているP1が、0≦P1≦3であるかが判断される(S72)。0≦P1≦3である場合(S72:YES)、第一優先フレーズF1の音量が基準音量に決定される(S73)。次いで、第一優先フレーズF1以外のフレーズデータの音量が、基準音量の1/2に決定される(S74)。すなわち、第一優先フレーズよりもPの値の低いフレーズデータの音量が、それぞれの基準音量の1/2とされる。処理はS83の判断へ移行する。
一方、0≦P1≦3でない場合(S72:NO)、すなわちP1=4の場合、P1の次にPの値が大きいP2を示すフレーズデータが、最新の出力管理情報から特定される(S76)。P1=4の場合には、P1の次に大きな優先度指数が関連付けられたフレーズデータが、出力管理情報から特定される。この処理で特定された、Pの値がP2であるフレーズデータを、以下では第二優先フレーズF2という。
次いで、第一優先フレーズF1の音量が、基準値に決定される(S77)。第二優先フレーズF2の音量が、基準値に決定される(S78)。次いで、P2よりもPの値が小さいP3を示すフレーズデータが、出力管理情報に含まれるかが判断される(S81)。Pの値がP3であるフレーズデータを、以下では第三優先フレーズF3という。出力管理情報に第三優先フレーズF3が含まれない場合(S81:NO)、処理はS83の判断へ移行する。出力管理情報に第三優先フレーズF3が含まれる場合(S81:YES)、第三優先フレーズの音量が、基準音量の1/2に決定される(S82)。処理はS83の判断へ移行する。
このように、0≦P1≦3の場合には、S73及びS74の処理において、第一優先フレーズF1の音量が基準音量と決定される。また、第一優先フレーズF1以外の全てのフレーズデータの音量、すなわちP1よりもPの値の低いフレーズデータの音量が、一律に基準音量の1/2と決定される。これにより、パチンコ機1は、出力される複数の音に対して、優先度指数に応じて自動的にダッキング処理を行うことができる。特に、優先度指数の一部は、期待度に応じて設定されているので、パチンコ機1は、期待度の高い演出に応じた音を他の音に優先した音量で出力することができる。
また、P1=4の場合には、S76からS82の処理において、第一優先フレーズF1に加えて第二優先フレーズF2の音量が基準音量と決定される。また、第三優先フレーズF3の音量が基準音量の1/2と決定される。すなわち、P=4は、他の優先度指数に対して特別な優先度指数であり、特にP1=4となる場合には、P1よりもPの値の低いP2が関連付けられている第二優先フレーズF2の音量が、基準音量よりも低くされない。また、P2よりもPの値の低いP3が関連付けられている第三優先フレーズF3については、音量が基準音量よりも小さくなるように決定される。例えば、「特別BGM」に分類されるフレーズデータに対応する音が出力される場合、他の全ての音種別の音の音量を一律に基準音量よりも小さくするのではなく、一部の音については「特別BGM」の音と同等の音量で出力させる方が、演出効果を向上できる場合もある。パチンコ機1は、複数の優先度指数において、P=4のような特別な優先度指数を設けることで、ダッキング処理を多様化して、演出効果に幅を設けることができる。
次いで、Pmaxが「5」であるかが判断される(S83)。Pmaxが「5」でない場合(S83:NO)、処理はS89へ移行する。Pmaxが「5」である場合(S83:YES)、Pmax(P=5)が関連付けられているフレーズデータが特定され、その音量が、基準音量に決定される(S84)。この処理において音量が基準値に決定される、Pの値が「5」であるフレーズデータを、以下では第五優先フレーズF5という。なお、Pの値が「5」である第五優先フレーズF5は、音種別が「通知音」であるフレーズデータである。
次いで、第五優先フレーズF5以外のフレーズデータの音量が、S73、S74、S77、S78及びS82の各処理で決定された音量の1/8の音量に決定される(S85)。これにより、S73、S77及びS78の各処理で音量が決定されたフレーズデータの音量が、その基準音量の1/8の音量に決定される。また、S74及びS82の各処理で決定されたフレーズデータの音量が、その基準音量の1/16の音量に決定される。処理はS88へ移行する。
本実施形態では、0≦P≦3である複数のフレーズデータが同時に再生される場合、0≦P≦3のうちPの値が最大のフレーズデータの音量が、他のフレーズデータに優先した音量とされる。言い換えると、P=0、P=1、P=2及びP=3である各フレーズデータが同時に再生される場合、P=3のフレーズデータの音量が基準音量とされ、他のフレーズデータの音量は基準音量の1/2とされる。また、P=0、P=1、P=2及びP=3、P=4である複数のフレーズデータが同時に再生される場合、Pの値が最大であるP=4のフレーズデータの音量に加えて、「4」の次に大きなPの値(この場合では「P=3」)を有するフレーズデータの音量が基準音量とされる。すなわち、複数のフレーズデータが同時に再生される場合、Pが「3」又は「4」であるフレーズデータは、他のフレーズデータに比べて大きな音量で出力されやすい。
このように音量が決定される状況において、Pmax=5の場合に、第五優先フレーズF5以外のフレーズデータの音量が、決定されている音量の1/8の音量に決定される。P=0、P=1、P=2及びP=3、P=4である複数のフレーズデータが同時に再生される場合、Pが「3」又は「4」であるフレーズデータが再生されるときには、その音量が基準音量の1/8の音量に決定される。また、Pが「3」又は「4」であるフレーズデータが再生されるときのP=0、P=1、P=2のフレーズデータの音量は基準音量の1/2と決定されているので、これがさらに1/8にされて基準音量の1/16の音量に決定される。なお、Pmax=5の場合にPが「3」又は「4」であるフレーズデータが再生されず、0≦P≦2であるフレーズデータが再生される場合には、S73及びS74において決定された音量に対して1/8を乗じた音量が、出力音量として決定される。すなわち、第五優先フレーズF5に対するダッキングの開始時に基準音量で出力されているフレーズデータの音量が、基準音量の1/8の音量に決定される。また、第五優先フレーズF5に対するダッキングの開始時に基準音量の1/2の音量で出力されていたフレーズデータの音量が、基準音量の1/16の音量に決定される。これにより、第五優先フレーズF5の再生前と再生中とで、0≦P≦4であるフレーズデータの音量の関係を保ちつつ、0≦P≦4であるフレーズデータの音量を第五優先フレーズF5の音量に対してダッキングできる。
第五優先フレーズF5以外のフレーズデータの音量が、S73、S74、S77及びS78の各処理で決定された音量の関係を保ちつつ、第五優先フレーズF5の音量に対してダッキングされることには、さらに別の利点がある。一般に、同時に複数のフレーズデータが再生される場合であって、特定のフレーズデータの音を優先して周囲の者に聞かせたいとき、特定のフレーズデータ以外のフレーズデータの音量を低下させるダッキングが行われる。その後、特定のフレーズデータの再生が終了すると、ダッキングは終了され、本実施形態では、各フレーズの音量が優先度指数に応じた音量にそれぞれ制御される。一旦音量が下げられたフレーズデータの音量が基準音量まで上昇される場合、音量の変化を滑らかにするために、音量がフェードインによって上昇されることがある。フェードインによって音量を変化させる場合、所定のフェードレートで音量が変化されるので、小さな音量から大きな音量への音量の変化が完了するまでに、フェードレートに応じた所定の時間がかかる。このため、音量の変化の幅が大きくなるほど、音量変化完了に必要な時間が長くなる。
例えば、第五優先フレーズF5の再生時に、第五優先フレーズF5以外のフレーズデータの音量を一律に基準音量の1/16にする場合を仮定する。第五優先フレーズF5の音の出力が終了すると、パチンコ機1は、第五優先フレーズF5に対するダッキング終了後に、各フレーズデータの音量を、S73、S74、S77及びS78の各処理で決定された各音量に戻して、通常の遊技を進行する必要がある。音量が制御される複数のフレーズデータには、音量を基準音量まで戻すフレーズデータと、音量を基準音量の1/2まで戻すフレーズデータとが含まれる。
この仮定において、音量をフェードインで基準音量に戻す場合、音量を基準音量の1/16から基準音量まで戻すための時間が必要である。本実施形態では、CPU581は、S85において、第五優先フレーズF5に対してダッキングを行うフレーズデータの音量を一律に低音量にするのではなく、S73、S77及びS78の処理で音量を基準音量にすることが決定されているフレーズデータについては、その音量を基準音量の1/8の音量に決定する。また、CPU581は、S85において、S74及びS82の処理で音量を基準値の1/2にすることが決定されているフレーズデータについては、その音量を基準音量の1/16の音量に決定する。すなわち、第五優先フレーズF5に対するダッキング終了後に音量を基準音量まで戻すフレーズデータの音量調整に必要な時間は、音量を基準音量の1/8から基準音量まで戻すために必要な時間となる。この時間は、音量を基準音量の1/16から基準音量まで戻すために必要な時間よりも短くなる。CPU581は、第五優先フレーズF5に対してダッキングを行うフレーズデータの音量を一律に低音量にするのではなく、S73、S77及びS78の処理で音量を基準値にすることが決定されているフレーズデータについては、その音量を基準音量の1/8の音量に決定する。また、CPU581は、S74及びS82の処理で音量を基準音量の1/2にすることが決定されているフレーズデータについては、その音量を基準音量の1/16の音量に決定する。このようにして、パチンコ機1は、S73、S77及びS78で音量を基準音量にすることが決定されるフレーズデータについて、ダッキング終了後にフェードインによって音量を変化させるためにかかる時間を、より短くできる。したがって、パチンコ機1は、第五優先フレーズF5に対するダッキング終了後の各フレーズの音量を、本来の演出等に応じた音量に、短い時間で戻すことができる。
なお、第五優先フレーズF5に対するダッキングを終了するかを決定する処理は、前述のS54からS56(図11参照)において行われる。S54の判断では、前回の出力管理情報と最新の出力管理情報とにおいて変化があるかを判断する。出力管理情報に変化がある場合(S54:YES)、すなわち、新たに再生が開始されたフレーズデータ又は再生が終了されたフレーズデータがある場合、P5フラグの状態が参照される(S55)。P5フラグが「ON」の場合(S55:YES)、Pmaxが「5」であるかが判断される(S56)。すなわち、P=5であるフレーズデータ(第五優先フレーズ)の再生が開始された後に、まだ第五優先フレーズが再生されているかが、S56において判断される。そして、第五優先フレーズの再生が終了している場合には(S56:YES)、各フレーズ再生トラックで再生されているフレーズデータの音量が、現音量の8倍に決定される(S58)。このようにして、第五優先フレーズF5に対応する音に対する他のフレーズデータに対応する音のダッキングが終了される。このとき、基準音量の1/16の割合にされていたフレーズデータの音量が、基準音量の1/2になる。また、基準音量の1/8にされていたフレーズデータの音量が、基準音量となる。すなわち、パチンコ機1は、S58の処理において各フレーズデータの音量を単純に8倍にすることで、各フレーズデータの音量の関係を、第五優先フレーズの再生が開始される前の状態に戻すことができる。
次いで、S73、S74、77、S78、S82、S84及びS85で最終的に決定された、各フレーズデータに対応する音量が、RAM582に記憶される(S89)。処理は音制御処理(図11参照)に戻る。
図11の説明に戻る。次いで、音量制御処理が実行されて(S62)、処理はサブ制御基板処理(図8参照)へ戻る。音量制御処理では、音量決定処理等で決定された各フレーズデータの音量に応じた制御、及び各フレーズデータに対応する音をスピーカ48に出力させる制御が行われる。
図13を参照して、音量制御処理(S62、図11参照)について詳細に説明する。音量制御処理が開始されると、各フレーズ再生トラックにおいてフレーズデータについて決定されている音量が参照される(S91)。具体的には、音量決定処理(図12参照)において、S73、S74、77、S78、S82、S84及びS85の処理でRAM582に記憶された各音量が参照される。
次いで、S91で参照された各フレーズ再生トラックのフレーズデータの音量と、S52(図11参照)の処理で取得された出力管理情報の示す各フレーズ再生トラックのフレーズデータの音量とが比較される(S92)。次いで、比較結果に基づいて、出力管理情報に対して音量が変化しているフレーズデータが特定される(S93)。出力管理情報に対して音量が変化したフレーズデータを、以下では、フレーズFcという。フレーズFcは、時間の経過に応じて、他のフレーズデータに対する相対的な優先度が変動したフレーズデータである。なお、S92の処理で得られた比較結果に基づいて、音量の変化したフレーズFcが特定されなかった場合には、以下のS94からS96の処理が行われなくてもよい。
次いで、フレーズFcの音量の変化が、音量が大きくなる方向への変化(プラス変化)であるかが判断される(S94)。フレーズFcの音量がプラス変化するのは、フレーズ再生トラックの再生するフレーズデータが、第三優先フレーズF3から第二優先フレーズF2に遷移した場合、及び第二優先フレーズF2から第一優先フレーズF1に遷移した場合である。フレーズFcの音量変化がプラス変化の場合(S94)、フレーズFcの音量を、基準音量に向けて低い方から高い方へ変化させる制御が行われる(S95)。本実施形態では、この処理におけるフレーズFcの音量変化がフェードインによって行われる。具体的には、CPU581は、フレーズFcに対応するトラックボリューム591Cに、音量のフェードインを指示する。これにより、ダッキングによって音量が低くされていたフレーズデータの音量が基準音量に戻される場合において、フレーズデータの音量がフェードインでプラス変化されるので、ダッキング終了後の音量の変化が滑らかになる。したがって、パチンコ機1は、演出音を遊技者等に対して聞きやすくできる。処理はS97の判断へ移行する。
一方、フレーズFcの音量変化がプラス変化でない場合(S94:NO)、フレーズFcの音量が、S73、S74、77、S78、S82及びS85の処理でRAM582に記憶されている音量まで下げられる(S96)。本実施形態では、S96の処理で音量を低下させる場合、フェードアウト処理が行われず、音量は現音量からRAM582に記憶されている音量に切り替えられる。このため、S96の処理では、音量が一気に下げられる。これにより、パチンコ機1は、例えば音量をフェードアウトで低下させるよりも、ダッキングを迅速に行い、優先されるべき音を周囲のものに明確に聞かせることができる。処理はS97の判断へ移行する。CPU581は、S94からS96の処理を、S93の処理で特定されたフレーズFcのそれぞれについて、実行する。
次いで、全てのフレーズFcについてS94の処理で音量変化を判断し、S95又はS96の処理を行ったかが判断される(S97)。全てのフレーズFcについての処理が未完の場合(S97:NO)、S94からS96の処理が繰り返される。全てのフレーズFcについての処理が完了した場合(S97:YES)、S92の処理での比較結果に基づいて、音量が変化していないフレーズデータの音量を維持する設定を行う(S98)。CPU581は、音量が変化していないフレーズデータに対応するトラックボリューム591Cに、音量の維持を指示する。
次いで、各フレーズデータに対応する音をスピーカ48に出力させる(S99)。具体的には、各フレーズデータの音を、RAM582にそれぞれ記憶されている音量で出力する指示を、音制御回路591に送信する。この指示を受信した音制御回路591は、第1〜第nトラック処理部TR1〜TRnのそれぞれに、フレーズデータを決定された音量に対応してデコードした音信号を、ミキサー591Dに送信させる。また、第1〜第nトラック処理部TR1〜TRnのそれぞれから送信された音信号をミキサー591Dに混合させ、混合信号をスピーカ48に送信させる。スピーカ48は、送信されたデジタルの音信号である混合信号を、アナログの音に変換して出力する。処理は音声制御処理(図11参照)へ戻る。
図8の説明に戻る。次いで、演出制御基板43から予告重複コマンドを受信したかが判断される(S38)。予告重複コマンドは、後述する予告画像処理で生成・記憶されるコマンドであり、予告演出に関する画像が表示画面28に重複して表示されると判断されたことに応じて、一部の予告演出に関する画像の表示が中止されることをサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。パチンコ機1では、変動パターン等に基づいた報知演出の期待度等に応じて、各種の予告演出が実行される。予告演出には、動画及び静止画を用いた演出が含まれる。複数の予告演出が、異なる表示レイヤーを用いて同時進行的に表示されることがある。このような場合に、表示画面28において重なる位置に複数の予告演出の画像である予告画像が表示されることがある。このような場合、例えば予告演出の重要度・優先度等に応じて、重複して表示される一部の予告画像の表示が中止されることがある。
図14を参照して、演出制御基板43のCPU431が実行する予告画像処理について詳細に説明する。CPU431は、サブ制御基板58から報知演出開始コマンドを受信することで、報知演出に関する画像表示処理を開始する。予告画像処理は、報知演出において実行される予告演出に関する予告画像の表示を制御する処理である。
予告画像処理が開始されると、報知演出に応じて実行が指定された予告演出に対応する予告画像を示す予告画像データが、CGROM432から取得される(S101)。次いで、取得された予告画像データを表示画面28に表示させる位置及び表示させる大きさ等が取得される(S102)。
S102の処理において取得された予告画像データの表示位置等の情報に基づいて、複数の予告画像が表示画面28において重なる位置に表示されるかが判断される(S103)。複数の予告画像が表示画面28において重なる位置に表示される場合(S103:YES)、重複して表示される予告画像のうち一部の予告画像を非表示にするかが判断される(S104)。この判断は、予告画像に対応する予告演出の重要度・優先度等に応じて決定されてよい。
重複して表示される予告画像のうち一部の予告画像を非表示にすると判断された場合(S104:YES)、非表示にすると判断された予告画像を表示しない旨の指示を、表示画面28に送信する(S105)。表示画面28は、この指示に応じて、非表示にすると判断された予告画像の表示を中止し、又は表示を行わないこととする。次いで、予告重複コマンドが生成され、演出制御基板43のRAM(図示せず)に記憶される(S106)。演出制御基板43のRAMに記憶された予告重複コマンドは、以降にサブ制御基板58に送信される。なお、予告重複コマンドは、非表示にすると判断された予告画像に対応する予告演出がいずれの予告演出かを指定する情報(例えばフレーズ番号)を含んで生成される。次いで、予告画像データのうち、表示すべき予告画像に対応するものについて、表示する旨の指示が表示画面28に送信される(S107)。その後、予告画像処理が終了する。
一方、複数の予告画像が表示画面28において重なる位置に表示されない場合(S103:NO)、及び重複して表示される予告画像のうち一部の予告画像を非表示にすると判断されない場合(S104:NO)、S101において取得された予告画像データの示す予告画像を表示する旨の指示が表示画面28に送信される(S108)。その後、予告画像処理が終了する。
図8の説明に戻る。演出制御基板43から予告重複コマンドを受信していない場合(S38:NO)、処理はS22の判断へ戻る。演出制御基板43から予告重複コマンドを受信した場合(S38:YES)、予告重複処理が実行されて(S39)、処理はS22の判断へ戻る。
図15を参照して、予告重複処理(S39、図8参照)について詳細に説明する。予告重複処理は、予告演出に関する画像が表示画面28に重複して表示されると判断されたことに応じて、一部の予告演出に関する画像の表示が中止されることに伴い、表示が中止される予告画像に対応する予告演出に関する効果音等の出力を中止する処理である。予告重複処理が開始されると、S52(図11参照)の処理で取得された出力管理情報が参照される(S111)。
次いで、出力管理情報から、予告重複コマンドによって指定される予告演出に係るフレーズデータを特定する(S112)。特定されたフレーズデータを再生しているフレーズ再生トラックに対して、フレーズデータの再生を中止する指示が送信される(S114)。その後、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
図16を参照して、パチンコ機1における優先度指数に応じた音の出力制御の一例を説明する。なお、図16は、音種別毎に音量の遷移の一例を示しており、横軸は時間の経過を示す。また、「100%」「50%」「0%」は、フレーズデータの基準音量に対する音量の割合を示す。実際のパチンコ機1では、一つの音種別に属する複数のフレーズデータに基づく音が出力されることもあるが、説明を単純化するため、一つの音種別において一つのフレーズデータに基づく音が出力される場合を仮定して説明する。
経過時間がt1に至るよりも前において説明する。「通常BGM」の音のみが出力される場合、「通常BGM」に分類されるフレーズデータが第一優先フレーズF1として特定され(S71)、その音量が基準音量に決定される(S73)。このため、この場合「通常BGM」の音は、基準音量の100%(フルボリューム)の音量で出力される。また、「通常BGM」の音が出力されている状態で、「通常SE」の音が出力される場合、「通常BGM」の音と「通常SE」の音の双方が、基準音量の100%の音量で出力される。これは、「通常BGM」に分類されるフレーズデータのPと、「通常SE」に分類されるフレーズデータのPとが、ともに同じ値(P=0)のためである。この場合、「通常BGM」に分類されるフレーズデータと、「通常SE」に分類されるフレーズデータの双方が、第一優先フレーズF1として特定され(S71)、その音量が基準音量(100%)に決定される(S73)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
t1から、「セリフ」の音の出力が開始されるとする。「セリフ」に分類されるフレーズデータのPは、P=1であり、「通常BGM」及び「通常SE」のP(=0)よりも大きい。このため、「セリフ」に分類されるフレーズデータが、第一優先フレーズF1として特定され(S71)、音量が基準音量(100%)に決定される(S73)。一方、第一優先フレーズF1以外に対応する「通常BGM」及び「通常SE」のフレーズデータの音量が、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。この場合、「セリフ」の音の出力開始以前から出力されていた「通常BGM」及び「通常SE」の音の音量は、t1において基準音量の100%から50%に一気に下げられる(S96)。なお、「セリフ」の音の音量が、出力開始時点のt1からフェードインで上昇しているのは、演出上の設定である。例えば、「セリフ」の音の音量がフェードインされず、出力開始時点のt1から基準音量の100%の音量で出力が開始されてもよい。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。t1の経過後、「セリフ」の音の出力中に、「通常SE」の音の出力が終了するものとする。
その後、t2において「セリフ」の音の出力が終了する。この場合、第一優先フレーズF1が「セリフ」のフレーズデータから「通常BGM」のフレーズデータへ遷移するので、「通常BGM」の音の音量が基準音量の100%に決定される(S73)。基準音量の50%から100%へ音量が上昇する際には、音量の変化がフェードインでなされる(S95)。パチンコ機1は、上昇する音量の変化をフェードインによって徐々に行うことで、音量の変化を滑らかにし、遊技者に「通常BGM」の音を聞きやすくすることができる。
t3において「激熱SE」の音の出力が開始されるとする。「激熱SE」に分類されるフレーズデータはP=2であり、「通常BGM」に分類されるフレーズデータのP=0よりも大きい。このため、「激熱SE」に分類されるフレーズデータが、第一優先フレーズF1として特定され(S71)、音量が基準音量(100%)に決定される(S73)。すなわち、第一優先フレーズF1が「通常BGM」のフレーズデータから「激熱SE」のフレーズデータへ遷移する。これにより、第一優先フレーズF1以外に対応する「通常BGM」のフレーズデータの音量が、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。このため、「通常BGM」の音の音量は、t2において基準音量の100%から50%に下げられる(S96)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
この状態で、t4において「セリフ」の音の出力が行われるとする。「セリフ」に分類されるフレーズデータはP=1であり、同時に出力されている「激熱SE」のフレーズデータのP=2よりも小さい。このため、「セリフ」の音の音量は、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。その後、「激熱SE」の音の出力中に、「セリフ」の音の出力が終了するものとする。
「激熱SE」の音と「通常BGM」の音とが同時に出力されている状態で、t5において「当確SE」の音の出力が開始されるとする。「当確SE」に分類されるフレーズデータはP=3であり、「激熱SE」に分類されるフレーズデータのP=2よりも大きい。このため、「当確SE」に分類されるフレーズデータが、第一優先フレーズF1として特定され(S71)、音量が基準音量(100%)に決定される(S73)。すなわち、第一優先フレーズF1が「激熱SE」のフレーズデータから「当確SE」のフレーズデータへ遷移する。これにより、「激熱SE」のフレーズデータの音量が、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。このため、「激熱SE」の音の音量は、t5において基準音量の100%から50%に下げられる(S96)。また、「通常BGM」(P=0)の音の音量は、基準音量の50%に、そのまま維持される(S98)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。その後、「当確SE」の音の出力中に、「激熱SE」の音の出力が終了するものとする。
t5以降、「当確SE」の音と「通常BGM」の音とが同時に出力されている状態で、「通常SE」(P=0)及び「セリフ」(P=1)の音の出力が行われるとする。「通常SE」及び「セリフ」に分類されるフレーズデータのPの値は、ともに、同時に出力されている「激熱SE」のフレーズデータのP=2よりも小さいので、「通常SE」及び「セリフ」の音の音量は、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
t6において、「通常BGM」の音の出力が終了するとともに、「特別BGM」の音の出力が開始されるとする。また、t6以降にも「当確SE」の音の出力が継続されるとする。この場合、P=4である「特別BGM」のフレーズデータが、第一優先フレーズF1として特定され(S71)、音量が基準音量(100%)に決定される(S77)。また、第一優先フレーズF1に次いでPの値が大きい「当確SE」のフレーズデータが、第二優先フレーズF2として特定され(S76)、音量が基準音量(100%)に決定される(S78)。このため、t6以降の「当確SE」の音の音量は、基準音量の100%の音量に維持される(S98)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
t6以降、「特別BGM」の音と「当確SE」の音とが同時に出力されている状態で、「保留音」の音の出力が開始されるとする。「保留音」に分類されるフレーズデータのPと、「特別BGM」に分類されるフレーズデータのPとは、ともに同じ値(P=4)である。このため、「特別BGM」に分類されるフレーズデータと、「保留音」に分類されるフレーズデータの双方が、第一優先フレーズF1として特定され(S71)、その音量が基準音量(100%)に決定される(S77)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
「特別BGM」の音と「保留音」の音とが同時に出力されており、その他の音種別の音が出力されていない状態で、t7において「通常SE」の音の出力が行われるとする。この場合、「特別BGM」に分類されるフレーズデータと、「保留音」に分類されるフレーズデータとが、第一優先フレーズF1として特定され(S71)、音量が基準音量(100%)に決定される(S77)。また、第一優先フレーズF1に次いでPの値が大きい「通常SE」のフレーズデータが、第二優先フレーズF2として特定され(S76)、音量が基準音量(100%)に決定される(S78)。このように、第一優先フレーズF1がP=4のフレーズデータである場合には、比較的低いPの値を有するフレーズデータであっても、第二優先フレーズF2として特定されていれば、音量が基準音量(100%)に決定される。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
その後、「特別BGM」の音及び「通常SE」の音の出力中に、「保留音」の音の出力が終了するが、「特別BGM」に分類されるフレーズデータは第一優先フレーズF1のまま維持されるので、その音量も基準音量の100%の音量に維持される(S98)。また、「通常SE」に分類されるフレーズデータが第二優先フレーズF2のまま維持されるので、その音量も基準音量の100%の音量に維持される(S98)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。その後、「特別BGM」の音の出力中に、「通常SE」の音の出力が終了するものとする。
次いで、「特別BGM」の音の出力中に、t8において「セリフ」の音の出力が開始されるとする。この場合、「特別BGM」に分類されるフレーズデータ(P=4)が第一優先フレーズF1のまま維持され(S71)、音量が基準音量の100%の音量に維持される(S98)。また、「セリフ」に分類されるフレーズデータ(P=1)が第二優先フレーズF2として特定され(S76)、音量が基準音量(100%)に決定される(S78)。「セリフ」の音の音量はフェードインで基準音量(100%)まで上昇する。
その後、t9において、「激熱SE」の音の出力が開始されるとする。「激熱SE」のフレーズデータのPの値(P=2)は、t9において出力されている「セリフ」のフレーズデータのPの値(P=1)よりも大きい。したがって、「激熱SE」のフレーズデータが、第二優先フレーズF2として特定される(S76)。即ち、第二優先フレーズF2が、「セリフ」のフレーズデータから「激熱SE」のフレーズデータへ遷移する。なお、「特別BGM」に分類されるフレーズデータ(P=4)は、第一優先フレーズF1のまま維持される。これにより、「特別BGM」の音及び「激熱SE」の音の音量が、基準音量(100%)に決定される(S77及びS78)。また、「セリフ」のフレーズデータは第三優先フレーズF3に該当することとなり(S81:YES)、「セリフ」の音の音量が、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。このため、「セリフ」の音の音量は、t9において基準音量の100%から50%に下げられる(S96)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。その後、「セリフ」の音の出力が、t10までに終了するものとする。
t10において、「当確SE」の音の出力が開始されるとする。この場合、「特別BGM」に分類されるフレーズデータ(P=4)は、第一優先フレーズF1のまま維持される。また、第二優先フレーズF2が、「激熱SE」のフレーズデータから「当確SE」のフレーズデータへ遷移する。これにより、「特別BGM」の音及び「当確SE」の音の音量が、基準音量(100%)に決定される(S77及びS78)。また、「激熱SE」のフレーズデータは第三優先フレーズF3に該当することとなり(S81:YES)、「激熱SE」の音の音量が、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。このため、「セリフ」の音の音量は、t10において基準音量の100%から50%に下げられる(S96)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
その後、「特別BGM」及び「当確SE」の音に加えて、t11までに、「通常SE」、「通常BGM」、「セリフ」、「当確SE」及び「保留音」の各音の出力が開始されるとする。この場合、「特別BGM」及び「保留音」の各フレーズデータが、第一優先フレーズF1として特定される(S71)。また、「当確SE」のフレーズデータが、第二優先フレーズF2として特定される(S76)。また、「通常SE」、「通常BGM」、「セリフ」及び「激熱SE」の各フレーズデータが、第三優先フレーズF3として特定される(S81:YES)。したがって、第一優先フレーズF1及び第二優先フレーズF2に対応する「特別BGM」、「保留音」及び「当確SE」の音の音量が、基準音量(100%)に決定される(S77及びS78)。また、第三優先フレーズF3に対応する「通常SE」、「通常BGM」、「セリフ」及び「激熱SE」の音の音量が、基準音量の1/2(50%)に決定される(S74)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
この状態で、t11において、「通知音」の音の出力が開始されるとする。この場合、Pmaxが、「通知音」に分類されるフレーズデータのPの値である「5」となる(S83:YES)。この場合、「通知音」に分類されるフレーズデータが、第五優先フレーズF5とされる。このため、第五優先フレーズF5に対応する「通知音」の音の音量が、基準音量(100%)に決定される(S84)。また、t11の直前まで基準音量で出力されていた「当確SE」、「特別BGM」及び「保留音」の音の音量が、基準音量の1/8(12.5%)に決定される(S85)。また、t11の直前まで基準音量の1/2の音量で出力されていた「通常SE」、「通常BGM」、「セリフ」及び「激熱SE」の音の音量が、基準音量の1/16(6.25%)に決定される(S85)。また、P5フラグが「ON」となる(S88)。そして、決定された音量で、各フレーズデータの音が出力される(S99)。
その後、t12において、「通知音」の出力が終了されるとする。この場合、Pmaxが、第一優先フレーズF1である「特別BGM」及び「保留音」のフレーズデータのPの値である「4」となる。このとき、P5フラグが「ON」であり(S55:YES)、且つ、Pmax=4(S56:NO)となる。したがって、各フレーズデータの音量が、一律に8倍に決定される(S58)。これにより、「通知音」以外の音種別の各音の音量が、「通知音」の音の出力が開始されるt11の直前の状態の音量バランスに戻る。
以上説明したように、パチンコ機1は、ROM593において記憶されている複数のフレーズデータ毎に優先度指数Pを定義する優先度テーブルを、サブ制御基板58のROM583に記憶している。また、サブ制御基板58のCPU581は、第1トラック〜第nトラックのフレーズ再生トラックのそれぞれにおけるフレーズデータの再生状況及び再生している音の音量の状況についての情報である出力管理情報を取得する(S52)。CPU581は、出力管理情報に基づいて、Pの値が「5」である第五フレーズデータF5を特定する(S83:YES)。そして、第五優先フレーズF5以外のフレーズデータの音量が、S73、S74、S77、S78及びS82の各処理で決定された音量の1/8の音量に決定される(S85)。これにより、第五優先フレーズよりも優先度の低いフレーズデータのうち、S73、S77及びS78の各処理で音量が決定されたフレーズデータの音量が、その基準音量の1/8の音量に決定される。また、S73、S77及びS78の各処理で音量が決定されたフレーズデータよりも優先度の低いフレーズデータについて、S74及びS82の各処理で決定された音量が、その基準音量の1/16の音量に決定される。このようにして、音種別が「通知音」である第五優先フレーズF5の音が出力されることに応じて、他のフレーズデータの音量が、優先度に応じた異なる音量に、自動的に決定される。パチンコ機1では、小さな音量を大きな音量に変化させる場合、音量の変化を滑らかにするため、音量をフェードインさせることがある。基準音量よりも小さくされた音量を基準音量まで大きくさせる場合、フェードレートに応じた時間が必要である。基準音量に対して音量が小さくされているほど、基準音量まで音量を大きくするために必要な時間は長くなる。本実施形態では、複数のフレーズデータが同時に再生される場合、Pが「3」又は「4」であるフレーズデータは、他のフレーズデータに比べて大きな音量で出力されやすい。このため、パチンコ機1は、優先度指数に応じて、フレーズデータの音量を基準音量の1/8又は1/16にすることを決定する。仮に、第五優先フレーズF5以外のフレーズデータの音量が、一律に1/16に決定されるとする。この場合、基準音量の1/8の音量を基準音量まで変化させるために必要な時間、は、基準音量の1/16の音量を基準音量まで変化させるために必要な時間よりも短くなるといった利点がある。したがって、パチンコ機1は、音種別が「通知音」である第五優先フレーズF5の音が出力される場合における、複数のフレーズデータの音量設定作業の負担を軽減するとともに、各フレーズデータの音量バランスを円滑に調整できる。
パチンコ機1においては、各種演出等に応じた音が出力される。したがって、時間の経過に応じて出力される音は様々であり、第五優先フレーズF5が出力されているかは、時間の経過に応じて変動する。CPU581は、時間の経過に応じて順次生成される出力管理情報を、音制御処理を実行する毎に取得及び参照する。これにより、CPU581は、新たな出力管理情報を取得及び参照することで、フレーズ再生トラック毎のフレーズデータの再生状況及び再生している音の音量の状況を監視している。第五優先フレーズF5の音に対するダッキングが開始された後、第五優先フレーズF5の音の出力が終了する。このような場合に、CPU581は、各フレーズ再生トラックにおいて再生するフレーズデータの音量を、現音量の8倍に決定する(S58)。これにより、パチンコ機1は、S73、S74、S77、S78及びS82の処理で決定された各フレーズの音量のバランスを保った状態で、各フレーズの音量を大きくできる。したがって、パチンコ機1は、複数のフレーズデータの音の音量を、単純な処理で適切に調整できる。
不正行為は、パチンコ機1にとって重大な異常事態である。したがって、誘導磁界センサ65、磁気センサ66及び振動センサ67の各検出結果に応じて、セキュリティコマンドがサブ制御基板58に送信された場合、パチンコ機1は、不正行為が発生した可能性のあることを、周囲の者に通知する必要がある。扉開放コマンド、枠開放コマンド及び下皿満杯コマンドがサブ制御基板58に送信された場合も同様である。優先度テーブルは、これらのコマンドがサブ制御基板58に送信された場合に出力される「通知音」の音種別に係る優先度指数を、最大値であるP=5と設定している。よって、パチンコ機1は、パチンコ機1にとって重大な異常事態が検出されたことに応じて、「通知音」以外の音種別の音の音量を自動的に制御できる。
優先度テーブルは、「通常SE」、「通常BGM」、「セリフ」、「激熱SE」、「当確SE」、「特別BGM」、「保留音」、「通知音」の8つの音種別毎に、優先度指数を設定している。「通知音」以外の音種別である、「通常SE」、「通常BGM」、「セリフ」、「激熱SE」、「当確SE」、「特別BGM」、「保留音」については、遊技の結果についての期待度に応じて、優先度指数が定義されている。したがって、パチンコ機1は、遊技の期待度及び期待度に伴う演出の流れ等に応じた音量設定を、自動的に行うことができる。
本実施形態において、ROM593が、本発明の「記憶手段」に相当する。優先度テーブルが、本発明の「優先度定義手段」及び「基準値定義手段」に相当する。基準音量が、本発明の「音量の基準値」に相当する。スピーカ48が、本発明の「出力手段」に相当する。図8のS34の処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「指定手段」として機能する。音制御回路591が、本発明の「出力制御手段」に相当する。図11のS52において出力管理情報を取得するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「情報取得手段」として機能する。図12のS83においてPmax=5であるかを判断するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「判断手段」として機能する。図12のS85において、フレーズデータの音量を、S73、S74、S77、S78及びS82で決定された音量の1/8に決定するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「第一音量決定手段」として機能する。
図11のS58において、S85の処理で決定された音量の8倍に決定するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「第二音量決定手段」として機能する。誘導磁界センサ65、磁気センサ66、振動センサ67、扉開放スイッチ61及び枠開放スイッチ62が、本発明の「検出手段」に相当する。図6のメイン処理を実行する主基板41のCPU51が、本発明の「主制御手段」として機能する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。例えば、優先度テーブルにおいて、キャラクタのセリフ音声のフレーズデータが、「セリフ」以外の音種別に分類されていてもよい。例えば、報知演出の期待度が約100%の場合に用いられるセリフ音声のフレーズデータが、「当確SE」に分類されてもよい。また、「特別BGM」に分類されるフレーズデータは、報知演出の期待度が比較的高い場合に用いられるBGMのフレーズデータに限られない。例えば、大当たり遊技中に用いられるBGM、確率変動状態等の特定のモード演出中のBGM等のフレーズデータが分類されてもよい。
上記実施形態では、S85の処理において、第五優先フレーズF5以外のフレーズデータの音量が、S73、S74、S77、S78及びS82の各処理で決定された音量の1/8の音量に決定されている。基準音量に対する割合は1/8に限られず、その他の割合が任意に設定されてもよい。
上記実施形態では、「通知音」の音が出力されていない状態において、「通知音」に対するダッキングとして、ダッキングする音の音量を、基準音量の1/2(50%)にすることとしている(S74及びS82)。音量を基準音量に対して低下させる割合はこれに限られず、実行する演出の内容や音の聞き取りやすさ等に応じて、任意に定めてもよい。また、この場合において、上記実施形態でダッキングする音の音量を、基準音量の0%(消音状態)としてもよい。
上記実施形態では、サブ制御基板処理(図8参照)の中において、出力管理情報生成処理(図9参照)が実行されることで、出力管理情報が順次生成及び記憶されている(S43及びS44)。そして、サブ制御基板58のCPU581は、出力管理情報を取得し(S52)、音量の制御等のダッキングに必要な処理を実行している。出力管理情報が生成される構成はこれに限られない。例えば、音制御回路591に、出力管理情報を、例えば定期的に自動で生成する特定の構成が設けられており、この特定の構成からCPU581が出力管理情報を取得する構成であっても、本発明と同様の効果が得られる。
上記実施形態では、優先度テーブルがROM583に記憶されているが、例えばROM593等、他の記憶装置に記憶されていてもよい。また、「音種別」、「基準音量」及び「優先度指数」は、優先度テーブルにおいてフレーズデータ毎に関連付けられて記憶されている構成に限られない。例えば、ROM593に記憶されている各フレーズデータのメタデータとして「音種別」、「基準音量」及び「優先度指数」の情報が含まれている構成であってもよい。「基準音量」については、フレーズデータそのもの、又はデコーダ591Bによってフレーズデータがデコードされたデコードデータから都度特定する構成であってもよい。例えば、デコードデータにおいて、サンプリングされた波形のレベルを検出することで、フレーズデータの基準音量が特定される構成であってもよい。なお、デコードデータは、例えば、複数のサンプリング点を含む。サンプリング点の間隔は、予め定められたサンプリングレート(例えば、11.025kHz)に対応する。即ち、フレーズデータの音量は、個々のサンプリング点に対して決定される。決定された音量の最大値を抽出して、基準音量を特定してよい。
上記実施形態では、サブ制御基板処理が実行される度に出力管理情報生成処理(S35)が実行されて、その都度、新たな出力管理情報が生成されている。そして、その都度、音制御処理が実行されている。この他、例えば、出力管理情報の示す内容に変更が生ずる度に、音制御処理(S36)が実行される構成であってもよい。
上記実施形態では、音制御回路591の第1〜第nトラック処理部TR1〜TRnのそれぞれに、デコーダ591B及びトラックボリューム591Cが設けられているが、音制御回路591の構成はこれに限られない。例えば、1つのデコーダ591Bが複数のフレーズ再生トラックのそれぞれを指定してフレーズデータの再生可能であり、1つのトラックボリューム591Cが複数のフレーズ再生トラックのそれぞれを指定して出力音量調整を行う構成であってもよい。この場合には、音制御回路591に設けられるデコーダ591B及びトラックボリューム591Cは、それぞれ1つであってもよい。
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、表示手段、可動手段、対応画像等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「出力手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。