JP6647224B2 - 質量分析を用いる脂質の分析のための方法 - Google Patents

質量分析を用いる脂質の分析のための方法 Download PDF

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Description

(関連出願)
本願は、米国仮出願第62/012,257号(2014年6月13日出願)の利益を主張し、上記出願の全内容は、参照により本明細書に援用される。
(分野)
本発明は、概して、質量分析に関し、より具体的には、異性体脂質および/または脂質分子内の二重結合の場所の検出を伴う脂質の分析のための方法および装置に関する。
質量分析(MS)は、有機化合物の定量化および構造分析のために重要なツールである。検出に先立って、質量分析計またはタンデム質量分析計(MS/MS)内で分子をより小さい断片に解離することによって、より大きくより複雑な分子を分析するための高度な技法が、開発されている。断片の分析は、完全な分子の検証を通して利用不可能な詳細な構造情報を提供し得る。種々の技法が、解離を誘起するために開発されている。初期の一例は、試料イオンがガス原子または分子と接触させられ、解離を誘起する、衝突誘起解離(CID)である。別の例は、試料分子が、約0電子ボルト(eV)〜約3eVの運動エネルギーを有する電子と接触させられる、電子捕獲解離(ECD)(約5eV〜約10eVの運動エネルギーを有する電子に対しては「ホット」ECD(HECD)とも称される)である。ECDでは、試料イオンは、試料イオンが電子を捕獲し、捕獲部位において電荷中和が起こり、結合開裂を受ける励起されたラジカル種をもたらすにつれて断片化される。ECDは、3eVを上回って電子運動エネルギーを増加させることによって、より小さい荷電イオンを分析するように適合されており、電子誘起解離(EID)と称される。他の報告される解離技法は、試薬アニオンを使用する電子移動解離(ETD)と、3eVを上回る運動エネルギーを伴う電子を使用する電子脱離解離(EDD)とを含む。陽子移動反応(PTR)も、イオンの電荷状態を低減させるために利用され得、陽子は1つの荷電種から別の荷電種に移動される。
解離技法は、ペプチド、タンパク質、グリカン、および翻訳後修飾ペプチド/タンパク質等の生体分子種を含む、有機化合物のMS分析のために非常に有用であることが証明されている。しかしながら、あるタイプの分子試料およびその構造的詳細のMS分析が、実質的に制限されたままである。例えば、伝統的質量分析技法は、時として、試料内の2つ以上の異性体種間を区別するために不適切である。異性体種の構造的類似性にもかかわらず、それらの生物学的活性は劇的に変動し得るので、そのような情報は、多くの場合、意義深い。さらに、特定の異性体の存在および/または異性体の相対的存在度は、医療診断のために重要であり得る。例えば、位置異性体は、同一のコア構造および側鎖を含む分子であるが、側鎖は、2つ以上の位置に配列されることができる。ある位置異性体は、例えば、組織内の種々の位置異性体の相対的存在度(すなわち、脳対腎臓)に基づいて、疾患に関する重要なバイオマーカーとしての役割を果たすこと、および/または潜在的な生体分子活性に関する情報を提供することができる。しかしながら、従来のMSベースの技法は、多くの位置異性体試料に関する異性体種の分解を可能にするための適正な情報を伴い、複雑性が減少された質量スペクトルを生成することが可能ではなかった。
例証的な位置異性体試料は、2つの最も一般的なホスファチジルコリン(PC)位置異性体である、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−ホスファチジルコリン(POPC)と、1−オレオイル−2−パルミトイル−sn−ホスファチジルコリン(OPPC)とを伴う。
MS/MSのポジティブモードおよびネガティブモードの両方は、それらのMS/MS断片化スペクトル内に存在する診断断片イオンに基づいて、POPCおよびOPPCを個々に定量化することがある程度約束されているが、それにもかかわらず、両方の異性体を含む混合物内の特定の種を定量化することは、それらの断片化挙動が本質的に同じであるため、困難なままである。さらに、いかなるクロマトグラフィ分離も、現在利用可能ではない。実際には、OPPCおよびPOPCの両方が存在するとき、それらのMS/MS断片化スペクトルは、これらの脂質位置異性体が概して分析され、タンデムで(すなわち、各特定の異性体の存在度を列挙することなく)定量化されるように畳み込まれる。同様に、限定ではないが、トリアシルグリセロール(TAG)およびジアシルグリセロール(DG)を含む、多くの他の異性体脂質も、混合物内に存在するとき、個々に定量化することが困難である。
別の実施例では、MSおよび/またはMS/MS技法は、脂質のクラス、炭素鎖長、および不飽和度(すなわち、二重結合)の決定を可能にするスペクトルを生成することが可能である。しかしながら、試料分子内の実際の炭素−炭素二重結合位置の決定は、分かりにくいままである。二重結合の数および場所は、分子の化学的反応性または医学的重要性を理解する上で有意な意味を有し得る。MSを使用して、分子内の二重結合の数および場所を識別するための一技法は、特定の特徴的様式で炭素−炭素二重結合を切断するために、試料分子とオゾンの反応を伴うオゾン誘起解離(OzID)を伴う。しかしながら、ある分析条件では、OzIDは、手動介入および試料分子内の炭素−炭素二重結合の存在の事前知識を要求し得る。高エネルギーCIDが、脂質分子内の二重結合場所を決定するために採用されている。しかしながら、CIDは、その技法が診断断片イオンを効率的に生成することが可能ではないので、実践的に採用することが困難である。したがって、分析を分析的に有用にするために、結果として生じるスペクトルから二重結合位置を決定することは、確証が不十分である。
故に、効率的なMSまたはMS/MSワークフローにおいて、種間の向上された区別による異性体脂質の改善された定量化および二重結合の位置を容易かつ確証を持って決定する能力の必要性がある。
出願人の本教示による装置、システム、および方法は、脂質の異性体混合物内の異性体種ならびに脂質分子内の二重結合の場所の決定を含め、質量分析を使用する分析試料内の脂質の分析を可能にする。分析試料内のイオン化された脂質分子は、脂質分子の種々の断片を形成するために、質量分析計の反応デバイス内の電子(すなわち、電子ビーム)とイオン化された脂質分子を接触させることによって、解離反応を受け得る。電子は、約4電子ボルト(eV)〜約12eVの運動エネルギーを有し得る。断片は、分析試料のためのスペクトルを生成するために、質量分析計の検出器によって検出され得る。出願人の本教示による解離反応によって生成された断片は、とりわけ、異性体の混合物を含む分析試料内の脂質異性体を判別し、分析試料内の脂質分子の二重結合の場所を決定することに役立つ。
一側面によると、出願人の教示のある実施形態は、試料を分析する方法に関する。方法によると、試料、例えば、複数の脂質異性体を含む、または含むと考えられるものは、1つ以上の脂質イオンを形成するようにイオン化され得る。方法はまた、脂質イオンを分離することを含み得る。いくつかの実施形態では、脂質イオンは、それらの分離に影響を及ぼすために、微分移動度分析計を通して輸送され得る。
いくつかの側面では、試料をイオン化することは、試料をカチオン化試薬と反応させることを含み得る。例えば、カチオン化試薬は、ナトリウム、カリウム、銀、およびリチウムのいずれかの塩を含み得る。別の実施例では、試料をイオン化することは、試料を銀およびリチウムのうちの1つと反応させることを含むことができる。
種々の側面では、脂質異性体は、脂肪酸、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、サッカロ脂質、ポリケチド、ステロール脂質、プレノール脂質、PC、OPPC、およびPOPCから成る群から選択されることができる。いくつかの側面では、脂質異性体のアシルまたはアルキル鎖は、少なくとも1つの二重結合(すなわち、不飽和炭素)を含み得る。
出願人の本教示の種々の側面によると、ある実施形態は、質量分析の方法に関し、複数の異性体脂質から成る試料を、該複数の異性体脂質の構成を安定化させるように、カチオン化試薬にさらすことを含む。方法はさらに、該複数の1つ以上の安定化された異性体脂質の分離をもたらすように、イオン移動度分析計を通して該安定化された異性体脂質を輸送することを含むことができる。
いくつかの実施形態では、質量分析計を使用して、試料、例えば、少なくとも1つの脂質を含む、または含むと考えられるものを分析する方法は、複数の前駆体イオンを形成するために、試料をイオン化することと、複数の前駆体イオンの少なくとも一部を複数の断片イオンに断片化するために、イオン−電子反応を実施することであって、イオン−電子反応は、一方の異性体に関連付けられる断片化パターンが、他方の異性体に関連付けられ断片化パターンと異なるように、荷電種を用いて、複数の前駆体イオンを放射線照射し、(試料内に存在する場合)脂質の2つの異性体形態の断片イオンへの断片化を引き起こすことを含む、ことと、試料の質量分析のための少なくとも1つのスペクトルを形成するために、質量分析計の検出器において、複数の断片イオンの少なくとも一部を検出することとを含み得る。
いくつかの実施形態では、質量分析計を使用して、少なくとも1つの脂質を含む試料、または含むと考えられる試料を分析する方法は、複数の一価の前駆体イオン種を形成するために、試料をイオン化することと、複数の前駆体イオン種の少なくとも一部を複数の生成イオン種に断片化するために、イオン−電子反応を実施することであって、イオン−電子反応は、約4eV〜約12eVの運動エネルギーを有する電子を用いて、複数の生成イオンを放射線照射することを含む、ことと、試料の質量分析のための少なくとも1つのスペクトルを形成するために、質量分析計の検出器において、複数の生成イオン種の少なくとも一部を検出することとを含み得る。
種々の側面では、電子は、約3eV、約4eV、約5eV、約6eV、約7eV、約8eV、約9eV、約10eV、約11eV、約12eV、約13eV、約14eV、約15eV、約16eV、約17eV、約18eV、約19eV、約20eV、および(端点を含む)これらの値のうちの任意の2つの間の任意の値または範囲の運動エネルギーを有し得る。種々の側面では、電子は、約4eV〜約12eVの運動エネルギーを有し得る。いくつかの側面では、電子は、約5eV〜約8eVの運動エネルギーを有し得る。
いくつかの実施形態では、イオン−電子反応は、電子捕獲解離(ECD)、ホット電子捕獲解離(HECD)、電子移動解離(ETD)、電子イオン化解離(EID)、有機物中のイオンの電子誘起励起(EIEIO)、および電子脱離解離(EDD)を含み得る。EIEIOでは、いかなる電子捕獲事象も起きないが、分析物イオン(概して、一価)は、別個の断片イオンの形成をもたらす、電気および振動励起を受ける。いくつかの実施形態では、イオン−電子反応は、フロースルーモードまたはトラップモードで実装され得る。いくつかの実施形態では、イオン−電子反応は、(本明細書で以下に説明されるような)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴セル、デジタルポールトラップ、線形イオントラップ、およびキメラトラップ内で起き得る。
種々の側面では、出願人の本教示による試料を分析する方法は、試料内の分子に関するスペクトルを生成し得る。分析される脂質の二重結合が、複数の断片イオンの間隔に従って、スペクトル上に示され得る。種々の側面では、14原子質量単位(amu)の間隔は、単結合を示し得、12amuの間隔は、二重結合を示し得る。
種々の側面では、出願人の本教示による試料を分析する方法は、異性体種の決定を可能にするスペクトルを生成し得る。例えば、スペクトルは、異性体種の独特の断片の相対強度を示し得る。相対強度は、異性体種の相対存在度を示し得る。
種々の側面では、複数の断片イオンは、ラジカル断片と、非ラジカル断片とを含み得る。いくつかの側面では、分子上の各解離部位に対して、対応するラジカル断片および非ラジカル断片が、いくつかの実施形態に従って生成されたスペクトル上に対毎に出現し得る。
種々の側面では、ガスが、断片化された脂質分子のラジカル断片と反応するように導入され得る。いくつかの実施形態では、ガスは、酸素、窒素、またはヘリウムを含み得る。いくつかの実施形態では、ガスは、イオン−電子反応デバイス内に導入され得る。いくつかの実施形態では、ガスは、イオン−電子反応デバイスの下流に導入され得る。いくつかの実施形態では、ガスは、約1ミリ秒〜約100ミリ秒にわたって導入され得る。
種々の側面では、スペクトル上に、ガスと反応した断片が、ガスラジカル断片ピークとして出現し得る。例えば、ガスが酸素である実施形態では、酸素と反応した断片は、酸素ラジカル断片ピークとして出現し得る。酸素ラジカル断片ピークは、32amuシフトされた未反応の断片のピークと対応し得る(断片と+Oに対応する)。種々の側面では、他のガスタイプは、それらの特定の性質に基づいて、対応するamuシフトを呈するであろう。酸素ラジカル断片ピークは、脂質分子のその断片がラジカルであることを示し得る。種々の側面では、酸素ラジカル断片プロファイルが、分析された脂質分子の二重結合場所においてピークスプリットとして出現し得る。種々の側面では、酸素ラジカル断片プロファイルは、酸素ガスが導入されなかった質量分析のスペクトル上に示される、二重結合場所の冗長検査として使用され得る。
種々の側面では、イオンの反応装置が、第1の軸端と、第1の中心軸に沿って第1の経路軸端からある距離に配置された第2の軸端とを備えている第1の経路と、第1の軸端と、第2の中心軸に沿って第2の経路の第1の軸端からある距離に配置された第2の軸端とを備え、該第1および第2の中心軸は、実質的に互いに直交し、交点を有する、第2の経路と、該第1の中心軸の周囲に4重極配向に配列され、該第1の経路の該第1の軸端と該交点との間に配置された、第1の組の4重極電極であって、該第1の中心軸の第1の部分に沿ってイオンを導くための該第1の組の電極と、該第1の中心軸の周囲に4重極配向に配列され、該第1の経路の該第2の軸端と該交点との間に配置された、第2の組の4重極電極であって、第2の組の4重極電極は、該第1の中心軸の第2の部分に沿ってイオンを導き、第1の組の電極は、該第1の中心軸を横断して間隙を形成するように、第2の組の電極から分離されている、該第2の組の電極と、RF場を生成するために、該第1および第2の組の電極にRF電圧を提供するための電圧源と、該RF電圧を制御するためのコントローラと、該第1の経路の第1または第2の軸端のいずれかに、またはそれに近接して配置され、該第1の中心軸に沿って、第1の経路の該第1または第2の軸端の他方に向かって脂質イオンを導入するための脂質イオン源と、第2の経路の第1または第2の軸端のいずれかに、またはそれに近接して配置され、第2の中心軸に沿って、約4電子ボルト〜約12電子ボルトの運動エネルギーを有する電子を導入するための荷電種源であって、該間隙を通して該交点に向かって進行する、荷電種源とを含み得る。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
質量分析計を使用して、少なくとも1つの脂質を含む試料、または含むと考えられる試料を分析する方法であって、前記方法は、
前記試料をイオン化し、複数の親イオンを形成することと、
電子解離反応を実施し、前記複数の親イオンの少なくとも一部を複数の娘イオンに断片化することであって、前記電子解離反応は、前記複数の親イオンを荷電種を用いて放射線照射することを含み、前記解離反応は、前記少なくとも1つの脂質の2つの異性体種の質量シグネチャーの区別を可能にするように構成されている、ことと、
前記質量分析計の検出器において前記複数の娘イオンの少なくとも一部を検出し、前記試料の質量分析のための少なくとも1つのスペクトルを形成することと
を含む、方法。
(項目2)
質量分析計を使用して、少なくとも1つの脂質を含む試料、または含むと考えられる試料を分析する方法であって、前記方法は、
前記試料をイオン化し、複数の一価の前駆体イオン種を形成することと、
イオン−電子反応を実施し、前記複数の前駆体イオン種の少なくとも一部を複数の生成イオン種に断片化することであって、前記イオン−電子反応は、約4電子ボルト〜約12電子ボルトの運動エネルギーを有する電子を用いて、前記複数の前駆体イオンを放射線照射することを含む、ことと、
前記質量分析計の検出器において前記複数の生成イオン種の少なくとも一部を検出し、前記試料の質量分析のための少なくとも1つのスペクトルを形成することと
を含む、方法。
(項目3)
前記電子は、約8電子ボルト〜約12電子ボルトの運動エネルギーを有する、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記イオン−電子反応は、電子捕獲解離、ホット電子捕獲解離、電子移動解離、電子イオン化解離、有機物中の電子誘起励起、および電子脱離解離のうちの少なくとも1つを含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記イオン−電子反応は、電子イオン化解離を含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記イオン−電子反応は、有機物中の電子誘起励起を含む、項目2に記載の方法。
(項目7)
前記イオン−電子反応は、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴セル、デジタルポールトラップ、線形イオントラップ、およびキメラトラップのうちの少なくとも1つ内で起こる、項目2に記載の方法。
(項目8)
前記少なくとも1つの脂質は、少なくとも2つの異性体種を含む、項目2に記載の方法。
(項目9)
前記少なくとも2つの異性体種は、OPPCと、POPCとを含む、項目1または8に記載の方法。
(項目10)
前記複数の断片イオンは、少なくとも1つのアルキル鎖断片を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記複数の娘イオンに関連付けられ、一定間隔を呈する、前記少なくとも1つのスペクトルにおけるピークは、前記少なくとも1つの脂質が二重結合を含むことを示す、項目2に記載の方法。
(項目12)
14原子質量単位の間隔は、前記少なくとも1つの脂質の単結合を示し、12原子質量単位の間隔は、前記少なくとも1つの脂質の二重結合を示す、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記複数の断片イオンは、ラジカル断片と、非ラジカル断片とを含む、項目2に記載の方法。
(項目14)
前記複数の断片イオンのラジカル断片と反応するためのガスを導入することをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目15)
前記ガスは、酸素ガス、窒素ガス、およびヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含む、項目2に記載の方法。
(項目16)
前記ガスは、イオン−電子反応デバイス内に導入される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記ガスは、前記イオン−電子反応デバイスの下流に導入される、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記ガスは、約1ミリ秒〜約100ミリ秒にわたって導入される、項目15に記載の方法。
(項目19)
イオンの反応装置であって、
第1の軸端と第2の軸端とを備えている第1の経路であって、前記第2の軸端は、第1の中心軸に沿って前記第1の経路軸端からある距離に配置されている、第1の経路と、
第1の軸端と第2の軸端とを備えている第2の経路であって、前記第2の軸端は、第2の中心軸に沿って前記第2の経路の前記第1の軸端からある距離に配置され、前記第1の中心軸と前記第2の中心軸とは、実質的に互いに直交し、交点を有する、第2の経路と、
前記第1の中心軸の周囲に4重極配向に配列されている第1の組の4重極電極であって、前記第1の組の4重極電極は、前記第1の経路の前記第1の軸端と前記交点との間に配置され、前記第1の組の電極は、前記第1の中心軸の第1の部分に沿ってイオンを導く、第1の組の4重極電極と、
前記第1の中心軸の周囲に4重極配向に配列されている第2の組の4重極電極であって、前記第2の組の4重極電極は、前記第1の経路の前記第2の軸端と前記交点との間に配置され、前記第2の組の電極は、前記第1の中心軸の第2の部分に沿ってイオンを導くために構成され、前記第1の組の電極は、前記第1の中心軸を横断して間隙を形成するように、前記第2の組の電極から分離されている、第2の組の4重極電極と、
RF場を生成するために、前記第1および第2の組の電極にRF電圧を提供するための電圧源と、
前記RF電圧を制御するためのコントローラと、
前記第1の経路の前記第1または第2の軸端のいずれかに、またはそれに近接して配置されている脂質イオン源であって、前記脂質イオン源は、前記第1の中心軸に沿って、前記第1の経路の前記第1または第2の軸端の他方に向かって脂質イオンを導入する、脂質イオン源と、
前記第2の経路の第1または第2の軸端のいずれかに、またはそれに近接して配置されている荷電種源であって、前記荷電種源は、前記第2の中心軸に沿って、約4電子ボルト〜約12電子ボルトの運動エネルギーを有する電子を導入し、前記荷電種は、前記間隙を通って前記交点に向かって進行する、荷電種源と
を備えている、イオンの反応装置。
(項目20)
前記少なくとも1つの脂質は、少なくとも2つの脂質異性体を含み、随意に、前記少なくとも2つの脂質異性体は、OPPCと、POPCとを含む、項目19に記載の装置。
出願人の教示のこれらおよび他の特徴が、本明細書に記載される。
当業者は、以下に説明される図面が、例証のみを目的とすることを理解するであろう。図面は、いかようにも出願人の教示の範囲を限定することを意図しない。
図1は、本発明の実施形態の実装の概略図を描写する。 図2は、本発明の実施形態による、断面図を描写する。 図3Aは、図2の線I−Iに沿った断面図を描写する。 図3Bは、図2の線II−IIに沿った断面図を描写する。 図4は、本発明の実施形態による、電子注入の実施例の簡略化側面図を描写する。 図5は、出願人の教示の種々の実施形態の側面による、解離され、続けて検出された脂質種に関するデータを描写する。 図6は、出願人の教示の種々の実施形態の側面による、POPC分子から解離され、続けて検出されたアルキル鎖断片(断片イオン)に関するデータを描写する。 図7は、検出前に酸素ガスとのラジカル断片反応を伴う、およびそれを伴わない、出願人の教示の種々の実施形態の側面による、解離され、続けて検出されたPOPC試料に関するデータを描写する。 図8は、出願人の教示の種々の実施形態の側面による、解離され、続けて検出されたPOPCおよびOPPC混合物に関するデータを描写する。 図9は、出願人の教示の種々の実施形態による、リン脂質識別が実施され得る様式を描写する。
明確にするために、以下の議論は、出願人の教示の実施形態の種々の側面を詳述するが、そうすることが便宜的または適切である場合はその都度、ある具体的詳細を省略するであろうことを理解されたい。例えば、代替実施形態における同様のまたは類似する特徴の議論は、若干略記され得る。周知の考えまたは概念も、簡潔にするために、あまり詳細に議論されない場合がある。当業者は、出願人の教示のいくつかの実施形態が、実施形態の完全な理解を提供するためにのみ本明細書に記載され、あらゆる実装において具体的に説明される詳細のうちのあるものを要求しない場合があることを認識するであろう。同様に、説明される実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、共通の一般的知識に従って、改変または変形されやすいものであり得ることが明白であろう。以下の実施形態の詳細な説明は、任意の様式で出願人の教示の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。
分析試料の脂質イオン(「前駆体イオン」)を断片(「断片イオン」)に解離し、断片を分析する方法およびシステムが、本明細書に提供される。出願人の教示の種々の側面によると、方法およびシステムは、MSスペクトル上に表され得る断片イオンへの分析試料の脂質イオンの断片化を提供することができ、それは、従来のMS技法を用いて達成することが困難であり得る前駆体イオンの化学的構造の詳細な決定を可能にする。種々の側面では、出願人の教示による方法およびシステムは、全て非限定的実施例として、質量分析計が、POPCおよびOPPC等の試料の異性体脂質および/または試料内の脂質分子の二重結合の場所を解明することを可能にすることができる。
図1を参照すると、いくつかの実施形態の種々の側面を実施するように構成されるイオン反応セルの一般的概略図が、描写される。以下に議論されるように、イオン反応セルは、本教示に従って質量分析計内に組み込まれることができる。図1に示されるように、イオン反応セル1は、イオン2および荷電種3を含む一連の反応物を入力として有し得る。イオン2は、正(カチオン)または負(アニオン)に荷電された任意のイオンであり得る。イオン2のための種々の異なるタイプの源が、採用され得る。好適なイオン源のいくつかの実施例は、限定ではないが、とりわけ、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)源、またはソニックスプレーイオン化(SSI)源、大気圧化学イオン化(APCI)源、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)源、および化学イオン化(CI)源を含む。いくつかの実施形態では、イオン2は、例えば、4重極質量選択デバイスを使用して、イオン反応セル1に注入される前に、質量選択され得る。
荷電種3は、電子または正もしくは負のいずれかに荷電されたイオンであり得る。荷電種が電子であるとき、電子源は、タングステンもしくはトリウム処理タングステンフィラメント等のフィラメント、またはYカソード等の他の電子源であり得る。反応デバイスは、例えば、ヘリウム(He)または窒素(N2)等の冷却ガスで充填されることができる。冷却ガスの典型的な圧力は、10−2〜10−4Torrであり得る。
イオン反応セル1の内側では、イオン2と荷電種3とが、相互作用する。利用される反応物の性質に応じて、相互作用は、いくつかの現象を起こさせ、生成イオン(断片イオン)5の形成をもたらす。生成イオン5は、次いで、潜在的に他の未反応のイオン2と一緒に、および/または状況によっておそらく荷電種3と一緒にイオン反応セル1から抽出または排出されることができる。抽出された生成イオン5は、質量分析器6に導かれることができる。質量分析器6は、イオンを検出し、生成イオン5の質量スペクトルを取得するための情報を生成するための検出器を含む種々の要素を含むことができる。当分野で公知の種々の質量分析器が、採用されることができる。好適な質量分析器の例は、4重極飛行時間質量分析計またはそのタンデム構成である。
出願人の教示の種々の側面によると、図1を参照して上で議論される例示的システムは、試料内に含まれる1つ以上のイオン化された異性体脂質を分析するために使用されることができる。本教示のある側面によると、試料内に含まれる脂質分子(M)は、例えば、カチオン化脂質分子([M+X])を形成するように、脂質分子をカチオン化試薬(X)と反応させることによってイオン化されることができる。例として、脂質分子は、プロトン化脂質分子([M+H])を形成するようにプロトン化されることができる。カチオン化脂質分子は、代替として、全て非限定的実施例として、それぞれ、[M+Na]、[M+K]、[M+Ag]、および[M+Li]等のカチオン化脂質−金属イオン付加物を生成するように、脂質分子をナトリウム、カリウム、銀、またはリチウム等の金属イオンに関連付けることによって形成されることができる。本教示のある側面によると、試料内に含まれる脂質分子(M)は、例えば、アニオン化脂質分子([M+H])を形成するように、脱プロトン化技法によってイオン化されることができる。故に、いくつかの実施形態では、イオン2は、カチオンを含み得る。いくつかの実施形態では、イオン2は、アニオンを含み得る。いくつかの実施形態では、イオン2は、一価のイオンを含み得る。
いくつかの実施形態では、イオン2は、カチオンを含み得、荷電種3は、電子である。故に、カチオオンは、電子を捕獲し、電子解離を受け得、イオン2と荷電種3との間の相互作用が、元のイオン2の断片である生成イオン(断片イオン)5の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、イオン2は、アニオンを含み得、荷電種3は、電子である。アニオンは、電子を捕獲し、電子解離を受け得、イオン2と荷電種3との間の相互作用が、元のイオン2の断片である生成イオン(断片イオン)5の形成をもたらす。イオン反応セルから排出された種の流れは、イオン2、または生成イオン5、またはいくつかの場合では、荷電種3のうちの1つ以上のものまたは混合物を含み得る。
いくつかの実施形態では、イオン反応セル1内のイオン−電子反応は、電子捕獲解離(ECD)、ホット電子捕獲解離(HECD)、電子移動解離(ETD)、電子イオン化解離(EID)、有機物中のイオンの電子誘起励起(EIEIO)、および電子脱離解離(EDD)を含み得る。いくつかの実施形態では、電子衝撃が分子の内部状態の電気および振動励起を誘起し、解離をもたらし得る、EIEIOが、使用され得る。加えて、EIEIOでは、電子は、前駆体イオン2によって捕獲されず、したがって、EIEIOは、一価の分子に適用され得る。ECD等の従来の解離技法は、多価の前駆体イオンにのみ適用され得る。しかしながら、出願人の教示によると、EIDおよびEIEIOは、試料から生成された一価の前駆体イオンに適用され得る。
いくつかの実施形態では、イオン反応セル1は、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴セル、デジタルポールトラップ、線形イオントラップ、キメラトラップ、またはイオン−荷電種相互作用を促進するように構成される任意の他のタイプのデバイスもしくはトラップとして構成され得る。
いくつかの実施形態では、荷電種3は、電子である。種々の側面では、電子は、約3eV、約4eV、約5eV、約6eV、約7eV、約8eV、約9eV、約10eV、約11eV、約12eV、約13eV、約14eV、約15eV、約16eV、約17eV、約18eV、約19eV、約20eV、および(端点を含む)これらの値のうちの任意の2つの間の任意の値または範囲の運動エネルギーを有し得る。種々の側面では、電子は、約4eV〜約12eVの運動エネルギーを有し得る。いくつかの側面では、電子は、約5eV〜約8eVの運動エネルギーを有し得る。
出願人の教示の種々の側面によると、前駆体イオンを断片に解離するために使用される電子の運動エネルギーは、約4eV〜約12eVであった。好ましくは、前駆体イオンを断片に解離するために使用される電子の運動エネルギーは、約5eV〜約8eVであった。あるタイプの脂質分子に対して、約4eV〜約12eVの運動エネルギーを有する電子を使用するEIDまたはEIEIOは、二重結合場所を含む、その構造的詳細を決定することに役立つ断片を生成した。電子の運動エネルギーが約3eVを下回る場合、不十分な解離が、観察された。電子の運動エネルギーが約12eVを上回る場合、解離の増加および結果として生じる断片は、分析することが困難なスペクトルをもたらし、十分に確証を持てる結果をもたらさなかった。
驚くべきことに、以下により詳細に説明されるように、約4eV〜約12eV、特に、約5eV〜約8eVの運動エネルギーを伴う電子を使用する電子解離の使用は、脂質分子を断片化し、本明細書の教示による、異性体種および/または分子内の二重結合場所の決定を可能にし得る。
ここで図2を参照すると、本発明の実施形態の側面による、イオン2を解離するように構成されるイオン反応装置10(「キメラ」トラップ)の側面図が、描写される。イオン反応装置10は、本教示に従ってイオンを解離することが可能な任意のイオン反応装置および/またはイオン反応セルとして、非制限かつ例証のみを目的として提供される。
図2では、カットアウト断面として示されるイオン反応装置10は、第1の中心軸12と、第1の軸端13と第2の軸端14とを有する第1の経路11を囲む、外側円筒形筐体29と内側円筒形筐体30とを含む。この経路は、イオン2がイオン反応装置10に進入するための通路を提供する。第1の経路11の各端部に、ゲート電極15、16が配置されている。ゲート電極15は、イオン2が装置10に進入することを可能にし、ゲート電極16は、未反応のイオン2または生成イオン(断片イオン)5の装置10からの排出を制御する。ゲート電極は、軸端に直接配置される必要はなく、軸端のすぐ外側に近接して配置されることができる。理解されるであろうように、デバイスの対称的な性質に起因して、イオンの方向は、逆転され、周辺のイオン輸送デバイスが適切に構成される場合、イオン2は、ゲート電極16を通して進入し、ゲート電極15を通して退出することができる。装置10は、内側円筒形筐体30に搭載された第1の組の4重極電極17を含み、電極17は、4重極型配列で第1の中心軸12の周囲に配列され得る。ここでは4重極が具体的に具現化されているが、6重極、8重極等を含む任意の多重極配列もまた、利用され得る。図では、4つの4重極電極のうち2つのみが描写されているが、他の2つの電極は、描写される電極の真裏に位置する。4重極電極17に描写される2つの電極について、これらの電極は、反対の極性を有する。これらの第1の組の4重極電極17は、高周波数(RF)電圧源70と、RF電圧を電極に提供するように電圧源を制御する役割を果たすコントローラ72とに接続され、4重極の中点である第1の中心軸12に向かってイオン2を導き得るRF場を生成する。コントローラは、適切なハードウェアおよびソフトウェアを含み、別様に当分野で公知のように構成され、所望される電圧を電極に印加するために、適切な信号を電圧源に印加することができる。
内側円筒形筐体30にさらに搭載される第2の組の4重極電極18(2つのみが描写され、他の2つは4重極電極18の真裏に位置する)が、第1の組の4重極電極17からわずかな距離に配置され、この距離は、第1の組の電極17と第2の組の電極18との間に、略円筒形形状の間隙19を形成する。第1の4重極電極17および第2の4重極電極18は、同一の中心軸12を共有し、第1の組の4重極17のロッドは、第2の組の4重極18と直線状に並ぶ。4重極場が、第1の4重極17と第2の4重極18との間の間隙19内に生成され得る。第2の組の4重極電極18も、RF電圧源74と、RF電圧を電極に提供するように電圧源を制御する役割を果たすコントローラ76とに取り付けられ、4重極電極の第2の組18の中点である、中心軸12に向かってイオン2および/または生成イオン5を導く役割を果たし得るRF場を生成する。内側および外側円筒形筐体は、第1の軸端22と第2の軸端23とを有する第2の中心軸21を有する第2の経路20を挿入するためのカットアウトを有する。この第2の経路20は、荷電種3を装置10に輸送するための通路を提供する。第1および第2の経路は、実質的に互いに直交し、交点24で交差し、この交点は、第1の中心軸12および第2の中心軸21に沿う。
それぞれ、図2の線I−IおよびII−IIに沿って取得された断面図である、図3Aおよび3Bにより容易に描写されるように、第1の組の4重極電極17における4つの電極の各々は、第2の組の電極18における4つの電極のうちの1つと対を成すことができ、例えば、各電極対における各電極25a、25bは、反対の極性を有し、それぞれ、電極対における他方の電極25b、25aと交点を横切って正反対にある。同様の関係は、電極26a、26bの電極対についても存在する。同一の関係が、第2の組の電極18における残り2つの電極と対を成す第1の組の電極17における残り2つの電極にも適用される。電極のこの配向は、交点24と第2の経路20の第1の軸端22との間に生成されるRF場が、交点24と第2の経路20の第2の軸端23との間に生成されるRF場に対して逆相であるようにする。電極のこの構成により、いかなるRF場も、中心軸21上に存在しない。第2の経路20の第1の軸端22は、交点24に向かって第2の経路20の中への伝送のための電子を生成するために使用されるべき電子フィラメント27を含むか、またはそれを近接して有する。第1の軸端22はまた、装置10への電子の進入を制御するために好適な電極ゲート28を含むか、またはそれを近接して有することができる。永久磁石等の磁場源(図示せず)が、第2の経路20に平行な磁場を実装するように構成され得る。この磁場は、荷電種が電子であるECD、ホットECD、EID、EDD、EIEIO、およびネガティブECDが実装されているとき、有用である。4重極に印加されるRF周波数は、約400kHz〜1.2MHzの範囲内であり得、好ましくは、RF周波数は、約800kHzである。
本教示のある側面によると、イオン反応装置10(「キメラ」トラップ)は、ガス源(図示せず)に接続されるガス容器に流体連通し、および/またはその中に位置し得る。ガスの非限定的実施例は、酸素、窒素、および水素を含む。酸素ガスが例として本明細書で使用され得るが、ガスは、いくつかの実施形態に従って動作することが可能な任意のタイプのガスであり得るので、実施形態は、そのように限定されない。種々の側面では、酸素ガスは、イオン反応装置10内で生成された生成イオンのラジカル断片と反応するように導入され得る。例えば、ラジカル断片
は、酸素ガスと反応し、酸素化断片
を生成し得る。いくつかの実施形態では、酸素ガスの流動は、当業者に公知であるようなパルス弁によって制御され得る。いくつかの実施形態では、酸素ガスは、約1ミリ秒〜約100ミリ秒にわたってパルス注入され得る。代替実施形態では、酸素ガスは、質量分析計のイオントラップ等、イオン反応装置10の下流に導入され得る。酸素ラジカル断片反応は、パルス弁を通して、ならびに/またはイオン反応装置10および/もしくは下流デバイス内のある電圧を通して制御され、酸素ガスを通した断片の進行時間を制御し得る。例えば、イオントラップを通した進行時間は、線形加速(LINAC)電圧を使用して制御され得る。いかなる酸素ラジカル断片反応も要求されない実施例では、急速な抽出または進行時間が、高LINAC電圧を印加することによって実装され得る。酸素ラジカル断片反応の促進が要求される代替実施例では、より緩慢な抽出または進行時間が、低LINAC電圧を印加することによって(または全く印加しないで)実装され得る。
ここで図4を参照すると、イオン反応デバイス40の側面図における別の実施形態の描示が示され、荷電種3、具体的には電子のみが注入される。イオン反応デバイス40は、第1の中心軸42を有する第1の経路41を含み、経路41は、第1の軸端43と第2の軸端44とを有する。第1の経路41の各端部に、電極ゲート(45、46)が配置され、イオンの進入およびイオン反応デバイス40からの排出の制御を可能にする。装置40は、略L字形であり、第1の中心軸42の周囲に配列される第1の組の4重極電極47を含み得る。図4では、4つの4重極電極のうち2つのみが描写され、他の2つの電極は描写される電極の真裏にある。描写される4重極電極47における2つの電極について、電極は、反対の極性を有する。同様に略L字型の第2の組の4重極電極48(2つのみが描写され、他の2つは真裏にある)が、第1の組の4重極電極47からわずかな距離に配置されており、この距離は、第1の組の電極47と第2の組の電極48との間に、略中実円筒形形状の間隙49を形成する。4重極電極48に描写される2つの電極について、これらの電極は、反対の極性を有する。第1の組47および第2の組48の4重極電極の各々において上部に描写される電極は、極性が互いに反対である。当業者によって理解されるであろうように、各組の4重極電極の示されない2つの電極は、例えば、図3Aおよび3Bに示される構成のように、4重極電極の極性と一貫した極性を有するであろう。
第2の経路50は、第1の軸端52および第2の軸端53を有する第2の中心軸51を有する。この第2の経路は、荷電種を装置40に輸送するための通路を提供する。電極のこの配向は、(第1の経路41および第2の経路50の)交点と第2の経路50の第1の軸端52との間に生成されるRF場が、(第1の経路41および第2の経路50の)交点と該第2の経路50の該第2の軸端53との間に生成されるRF場に対して逆相であるようにする。第2の経路50の第1の軸端52は、第2の経路50の中への伝送のための電子60を生成するために使用されるべき電子フィラメント57を含む、またはそれを近接配置する。第1の軸端52はまた、電子60の装置40への進入を制御するために好適な電極ゲート58を含むか、またはそれを近接配置することができる。別のゲート電極59が、第2の経路50の第2の軸端53に存在するか、または近接配置される。
磁場発生器(図示せず)が、第2の経路に平行な磁場を生成するように位置付けられ、配向される。磁場の方向は、第1の軸端52から第2の軸端53、またはその逆のいずれかであり得る。この磁場は、荷電種が電子であるECD、ホットECD、EID、EDD、EIEIO、およびネガティブECDが実装されているとき、有用である。荷電種が試薬アニオンであり、例えば、起こる反応がETD反応であるシナリオを含むいくつかの実施形態では、磁場源および磁場は、必要とされない。グリッド61が、電子60の流動を制御するためのゲートとして作用するように、電子フィラメント57の近傍またはそれに近接して位置付けられることができる。RF場は、装置40に進入するとき、集束された電子60が第1の経路41と第2の経路50との交点に接近するにつれてデフォーカスさせられるようにする。電子60が交点を通過すると、RF場の逆の極性は、電子60が再び集束させられるようにする。これは、第1の経路に垂直な電子のより均一な分布をもたらし、装置40におけるイオン―電子相互作用の機会を増加させ、さらに、より良好な感度をもたらし得る。電子ビームは、局所的な引力ポテンシャルを生成する。
本教示によると、いくつかの実施形態に従って構成された反応装置が、種々の動作モードで動作し得る。連続モード動作では、イオンの流れは、一方の端部で連続的に反応装置に導入され、電子は、イオンの流れに直交する流れとして反応装置に導入される。イオン経路と電子経路の両方の進入口および退出口に配置されるゲートは、連続して開いている。イオンが電子と相互作用すると、イオンの一部は、EIDまたはEIEIOを受け、断片化する。断片化された部分と断片化されていない前駆体イオンとを含む生成イオンは、次いで、反応装置から連続的に抽出され、続けて、イオン検出器を使用して処理および分析される。
半連続モードでは、装置は、イオン経路の進入ゲートが連続して開いている一方、イオン経路の退出ゲートが開位置と閉位置との間で切り換わるように構成される。電子経路の進入ゲートは、連続的に開かれていることができる。イオン経路の退出ゲートが閉位置にあるとき、イオンは、退出ゲートを通って装置を退出することができず、イオンの蓄積が、装置内で起こる。流入するイオン流に直交し装置に連続的に進入する電子は、イオンが蓄積するとそれらと相互作用し、イオンの一部はEIDまたはEIEIOを受け、断片化する。十分な時間が経過すると、イオン経路の退出ゲートは、開放され、蓄積された生成イオンおよび未反応イオンの除去を可能にする。これらの退出するイオンは、次いで、後続段階でさらに処理および/または操作され、ならびに/もしくはイオン検出器を使用して分析されることができる。
トラップ(または「バッチ」)モードでは、装置は、進入および退出ゲートが、非連続モードでイオンが装置に入る方式で動作させられる様式で利用される。イオン経路の進入ゲートは、開いており、イオン経路の退出ゲートは、閉鎖され、イオンは、入口ゲートを通して装置に伝送される。この期間中、電子経路の進入ゲートは、閉鎖される。十分なイオンが装置内に蓄積されると、イオン経路の進入ゲートは、閉鎖され、電子経路への進入ゲートは、開放され、電子が装置に進入することを可能にし、電子は蓄積したイオンと相互作用し、イオンを断片化する解離反応(例えば、ECD、EID、EIEIO等)を引き起こす。反応のために十分な時間が経過すると、電子進入ゲートは、閉鎖され得るか、または電子ビームは、オフにされ得、イオン経路の退出ゲートが、開放され、断片化された生成イオンまたは未反応の前駆体イオンの抽出を可能にし、これらは、次いで、さらに処理および/もしくは操作され、ならびに/またはイオン検出器を使用して分析されることができる。イオン退出ゲートが閉鎖され、イオンが電子と相互作用する持続時間は、元の前駆体イオンの電荷状態の関数として事前決定されるか、または経験に基づいて手動で設定されることができる。
装置は、当業者に公知であるように、質量分析計またはタンデム質量分析計に統合され得る。本教示が組み込まれ得る質量分析計の非限定的実施例は、4重極飛行時間質量分析計である。装置は、脂質分子を含むか、または含むと考えられる試料を含む、本明細書に説明される技法を使用して解離される種々のタイプの試料を分析するために使用され得る。
(実施例)
出願人の教示は、以下の実施例および図5−8に提示されるデータを参照してさらに完全に理解されることができ、これらは、試料内に存在する異性体脂質および/または分析された分子内の二重結合の場所の分析を、本明細書の教示の種々の側面に従って解離された、解離断片(すなわち、断片イオン)を分析することによって実証する。出願人の教示の他の実施形態も、本明細書の考慮および本明細書に開示される本教示の実践から、当業者に明白であろう。これらの実施例は、例示的としてのみ見なされることが意図される。
脂質(「試料」)を含むか、または含むと考えられる試料が、一価の前駆体イオンを生成するためにイオン化された。前駆体イオンは、以下により詳細に議論されるように、質量選択され、断片(断片イオン)に解離された。
(実施例1)二重結合場所の決定
図5を参照すると、試料は、約522amuのm/zを有する第1の種505および約496amuのm/zを有する第2の種510に対する前駆体イオンを含んだ。第1の種505および第2の種510は、POPC試料の汚濁物として見出され得る。前駆体イオンは、断片、すなわち、断片イオンの形成をもたらす、EIEIOを受けた。第1の種505および第2の種510の各々に対するアルキル鎖が、299amuのm/zと対応するピークにおいて開始する、各種のそれぞれのスペクトル515、520を使用して再構築された。スペクトル515、520内の矢印は、非ラジカル種を表し、矢印+H(または+1)における隣り合うピークは、ラジカル種を示す。ラジカル種は、EIEIOによって生産され、非ラジカル種は、
損失反応によって形成された。各ピークは、3つの個々のピーク、すなわち、非ラジカルピーク、ラジカルピーク、および(炭素)C13ピークから成る。
スペクトル520に示されるように、14amuの間隔が、第2の種510に対して観察され、アルキル鎖が、どんな二重結合も有しないことを示した。それは、第2の種510の既知の構造に相当する。スペクトル515に示されるように、1つの12amuの間隔が、観察され、二重結合の場所を示した。この二重結合の位置は、第1の種505の既知の構造と対応する。
(実施例2)二重アルキル鎖分子(POPC)内の二重結合場所の決定
図6は、EIEIOを使用して解離される、POPCを含む試料のスペクトルを描写する。POPCは、2つのアルキル鎖を含み、そのうちの1つは、二重結合を有する。電子が、アルキル鎖のうちの1つを解離し得る。図6に描写される結果として生じるEIEIOスペクトルは、2つの一連の断片の存在を示す。どんな二重結合もアルキル鎖内に存在しない場合、スペクトルプロファイルは、ラジカル断片および非ラジカル断片の両方に対する14amuの間隔を含むであろう。局所スペクトルプロファイルは、ラジカル断片および非ラジカル断片に対する双子ピークを含むであろう。二重結合がアルキル鎖内に存在する場合、この場所における間隔は、ラジカル断片および非ラジカル断片の両方に対して12amuであろう。図6に描写されるように、12amuの間隔が、二重結合場所において観察された。
(実施例3)ラジカル断片と酸素ガスの反応
ここで図7を参照すると、ラジカル断片を生成するために、EIEIOを使用して解離される、POPCを含む試料のスペクトルが、描写される。第1のスペクトル705では、ラジカル断片は、酸素と反応せず、第2のスペクトル710では、ラジカル断片は、酸素ガスと反応し、酸素ラジカル断片を生成した。酸素は、EIEIOを含む、本明細書に説明される技法を使用して解離される、POPCアルキル鎖のラジカル断片と反応し得る。スペクトル705、710は、(上記の実施例1および2のような)ラジカルピークおよび非ラジカルピークを有する、局所ピークプロファイルを含む。スペクトル705に示されるように、酸素ラジカル断片は、追加のピークを生成し、断片がラジカルであることを示した。酸素ラジカル断片は、酸素と反応しなかったラジカル断片ピークに対して、+32amu付加物として出現する。スペクトル710内のPOPC試料に対して、単結合鎖からの酸素ラジカル断片は、14amuの間隔を示す一方、二重結合鎖からの二重結合の二重結合場所は、二重結合場所において12amuの間隔を示した。その結果、酸素ラジカル断片プロファイルは、二重結合場所においてピークスプリットを示した。
(実施例4)POPCおよびOPPC識別
POPCおよびOPPCの混合物を含む試料が、いくつかの実施形態に従って調製および分析された。試料は、EIEIOを使用して解離されるPOPCおよびOPPC前駆体イオンを生産するために、イオン化された。図8に示されるように、EIEIOは、POPC独特断片(m/z:491.337)およびOPPC独特断片(m/z:465.321)を含む、炭素−炭素結合の殆どをアルキル鎖に沿って切断した。これらの一意のピークの相対強度比は、POPCおよびOPPCの相対存在度を示す。例えば、OPPC試料に対して、OPPC独特断片が、観察され、主にPOPC独特断片と比較された。別の実施例では、POPC試料に関して、POPC独特断片が、観察され、主にOPPC独特断片と比較された。CID等の従来の解離技法と比較して、4つの断片のみが、図8に描写されるスペクトルと同一の範囲にわたって観察されるであろう。
驚くべきことに、これらのデータは、約4eV〜約12eVの運動エネルギーを伴う電子を使用する電子解離の使用が、脂質分子を断片化し、本明細書の教示による、異性体種および/または分子内の二重結合場所の決定を可能にし得ることを実証している。
(実施例5)リン脂質識別
より普遍的には、一般化されたリン脂質も、本願に説明される教示を使用して、具体的にはEIEIOアプローチを利用して識別されることができる。図9に提供される表は、OPPCおよびPOPCを含む、多くのタイプのリン脂質に対する診断ピークのm/z値を示す。リン脂質の頭部基は、多くの場合、強いピークとして出現する、より低いm/z値を伴うピークによって識別されることができる。例えば、184.073のm/z値を伴うピークの存在は、リン脂質がホスファチジルコリン(PC)であることを示す。別の実施例では、142.026のm/z値を伴うピークの存在は、リン脂質がホスファチジルエタノールアミン(PE)であることを示す。207.998のm/z値を伴うピークの存在は、リン脂質がホスファチジルセリン(PS)であり、この種がナトリウムイオンによって荷電されていることを示す。238.019のm/z値を伴うピークの存在は、リン脂質がホスファチジルイノシトール(PI)であり、この種がナトリウムイオンによって荷電されていることを示す。これらのm/z値は、理論的には、sn3場所における酸素と炭素との間の解離によって与えられる(図9に描写される分子内に示される、留意される「頭部基」損失によって示される)。この法則を使用して、他のリン脂質および荷電種(すなわち、陽子、ナトリウム、カリウム、および他の金属イオン)に対する診断m/zが、計算される。リン脂質頭部基が識別されると、識別された頭部基を伴うsn2診断質量のうちの1つが、スペクトル内に見出されるであろう。PCの頭部基でm/z491.337が見出される場合、sn−2位におけるアシル鎖が、18:1と識別され、すなわち、アシル鎖は、鎖として18個の炭素を有し、1つの二重結合を含む。sn−1位におけるアシル鎖を識別するために、「(前駆体m/z)−(sn−2診断m/z)」が、計算され、この値は、表1に見出されるであろう。見出された値は、sn−1位におけるアシル鎖を示す。
本明細書で使用される段落見出しは、構成のみを目的としており、限定として解釈されるべきではない。出願人の教示が種々の実施形態と併せて説明されているが、出願人の教示が、そのような実施形態に限定されることは意図されない。反対に、出願人の教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。

Claims (18)

  1. 質量分析計を使用して、少なくとも1つの脂質を含む試料、または含むと考えられる試料を分析する方法であって、前記方法は、
    前記試料をイオン化し、複数の前駆体イオンを形成することと、
    電子解離反応を実施し、前記複数の前駆体イオンの少なくとも一部を複数の生成イオンに断片化することであって、前記電子解離反応は、前記複数の前駆体イオンを電子を用いて放射線照射することを含み、前記解離反応は、前記少なくとも1つの脂質の2つの異性体種の質量シグネチャーの区別を可能にするように構成されており、前記電子は、約4電子ボルト〜約12電子ボルトの運動エネルギーを有する、ことと、
    前記質量分析計の検出器において前記複数の生成イオンの少なくとも一部を検出し、前記試料の質量分析のための少なくとも1つのスペクトルを形成することと
    を含む、方法。
  2. 質量分析計を使用して、少なくとも1つの脂質を含む試料、または含むと考えられる試料を分析する方法であって、前記方法は、
    前記試料をイオン化し、複数の一価の前駆体イオン種を形成することと、
    イオン−電子反応を実施し、前記複数の前駆体イオン種の少なくとも一部を複数の生成イオン種に断片化することであって、前記イオン−電子反応は、約4電子ボルト〜約12電子ボルトの運動エネルギーを有する電子を用いて、前記複数の前駆体イオンを放射線照射することを含む、ことと、
    前記質量分析計の検出器において前記複数の生成イオン種の少なくとも一部を検出し、前記試料の質量分析のための少なくとも1つのスペクトルを形成することと
    を含む、方法。
  3. 前記電子は、約8電子ボルト〜約12電子ボルトの運動エネルギーを有する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記イオン−電子反応は、電子捕獲解離、ホット電子捕獲解離、電子移動解離、電子イオン化解離、有機物中の電子誘起励起、および電子脱離解離のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記イオン−電子反応は、電子イオン化解離を含む、請求項2に記載の方法。
  6. 前記イオン−電子反応は、有機物中の電子誘起励起を含む、請求項2に記載の方法。
  7. 前記イオン−電子反応は、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴セル、デジタルポールトラップ、線形イオントラップ、およびキメラトラップのうちの少なくとも1つ内で起こる、請求項2に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの脂質は、少なくとも2つの異性体種を含む、請求項2に記載の方法。
  9. 前記少なくとも2つの異性体種は、OPPCと、POPCとを含む、請求項1または8に記載の方法。
  10. 前記複数の断片イオンは、少なくとも1つのアルキル鎖断片を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記複数の生成イオンに関連付けられ、一定間隔を呈する、前記少なくとも1つのスペクトルにおけるピークは、前記少なくとも1つの脂質が二重結合を含むことを示す、請求項2に記載の方法。
  12. 14原子質量単位の間隔は、前記少なくとも1つの脂質の単結合を示し、12原子質量単位の間隔は、前記少なくとも1つの脂質の二重結合を示す、請求項11に記載の方法。
  13. 前記複数の断片イオンは、ラジカル断片と、非ラジカル断片とを含む、請求項2に記載の方法。
  14. 前記複数の断片イオンのラジカル断片と反応するためのガスを導入することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  15. 前記ガスは、酸素ガス、窒素ガス、およびヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記ガスは、イオン−電子反応デバイス内に導入される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ガスは、イオン−電子反応デバイスの下流に導入される、請求項15に記載の方法。
  18. 前記ガスは、約1ミリ秒〜約100ミリ秒にわたって導入される、請求項15に記載の方法。
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