JP5240965B2 - 硫酸化糖脂質の分析方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、微量生体試料中からの硫酸化糖脂質の異性体同定方法及びそれによる分析方法に関する。特に、癌や動脈硬化疾患等の新規マーカーとなる可能性をもった硫酸化糖脂質のもつ複雑な異性体を区別して分析する方法である。更に、これらの方法を組み入れた微量迅速分析方法に関する。
硫酸化糖脂質(スルファチド)は、肝がん、腎がん、大腸がん、卵巣がん、子宮がん、肺がん等のがん疾患で増加することが報告され、疾患のマーカーになる可能性が示唆されていた。スルファチドは硫酸化を受けた糖の部分と脂質の部分がいろいろに組み合わされてできているが、特に最近になって、ある特定の脂質部分を持った種類のものが特に疾患の予後に重要であることが示唆されてきた。従来、スルファチドの微量分析には、その特異抗体を用いる方法がとられていたが、特異性に問題があることが報告されている。また、抗体を用いた手法では糖鎖の部分のみの情報しか得られず、最近重要とされている脂質部分の情報が得られない。これを解決する方法としてスルファチドを抽出して粒子を充填したクロマトカラムや粒子をガラス板に塗布した薄層クロマトグラムを用い精製し、質量分析計で分析する方法がとられてきた(非特許文献1参照。)が、これらの手段は煩雑で、種々の特別な技術と労力時間を要し、生体試料の微量迅速分析に供するには問題があった。
近年、この所謂処理において、旧来の粒径の大きな粒子を詰めたカラムクロマトグラフィや薄層クロマトグラフィなどの煩雑で特別な装置・技術を必要とする方法に変わって、粒子充填剤をカートリッジカラムに充填した固相抽出法といわれる方法が確立された(非特許文献2参照。)。これにより、前処理工程の簡便性、迅速性は格段の上昇を見たが、依然として微量かつ少量の成分を処理するにあたっては、多くの課題を抱えている。
固相抽出法とは、複雑な成分を含む試料中から目的成分のみを選択的に吸着、保持することにより、分離・精製を行う方法であり、基本的には高速液体クロマトグラフィーの理論展開の中で考案された分析前処理手法である。一般的には、複数の成分を含む試料中から、目的成分のみを固相抽出剤に吸着・保持させ、その後洗浄、溶出操作により、目的成分のみを得る。これにより目的成分の「粗抽出」、「濃縮」、「クリーンアップ」の効果を簡便に得ることが可能である。固相抽出法は、工程の簡便さ、労力時間の短縮には有用である。
固相抽出剤としては、10μmから100μmの粒子を利用したもの、また、その粒子を繊維で固定しフィルター状にしたものなど種々の形態のものがある。しかし、これらの方法においては、固相抽出剤として使用している粒子が溶出液中に逸脱することを防ぐために、分離にはかかわらないフィルターを出入り口に配している。
フィルターを用いた粒子逸脱防止手法では、急激な圧力変化に伴い、膜からの粒子の離脱やフィルターを通して粒子の流出も見られるため、高流速で使用することは不可能である。そのため、本目的である生体中の微量成分の前処理時間の短縮はなし得がたい。
上記の如く、フィルター内部に処理時に用いる溶液や、溶出時の目的成分が残存してしまうことが多い。特に、微量な目的成分の抽出時の溶出液の残存は、目的成分の大幅なロスになってしまう。これを解決するためには、溶出するに十分な溶液量を加えることにより可能であるが、溶出液の増量は試料の希釈を意味し、これは、後の検出操作での感度の低下をもたらす原因となるため、本目的である生体中の微量成分の精製には適していない。
このような現象を回避する最も簡便な方法として、固相抽出剤を充填する容器(カートリッジ)を小型にすることが考えられるが、従来の固相抽出剤を充填した場合、容器体積の縮小に伴い、充填量も減少させなければならなくなり、十分な吸着・保持能力を発揮させることが困難となる。またこれらの形態では、小型化に伴い通液抵抗の上昇を生じ、吸引・遠心などの方法による通液は困難となり、実用上使用不可能である。
粒子充填タイプのカートリッジ型固相抽出に用いられる樹脂製のカートリッジには、1Mpa以上の圧力をかける事は不可能であり、HPLCカラムのような高圧充填はできず、そのため充填具合の再現性を得るのは困難である。その結果、充填状態のバラツキが生じやすく、これは通液抵抗、吸着・保持性能のバラツキとなり、実験結果の再現性の低下を引き起こす。膜タイプの固相抽出法においても、圧力変動によって粒子空間は変化してしまい、結果として同様に再現性の低下を生じてしまう。
特に、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI・TOF・MS)を用いて成分を同定することを目的とした分析(例えば特許文献1参照。)では、「目的成分を固相抽出法により前処理し、質量分析を行う」という行程を複数回行い、その結果を比較することにより初めて成分の同定が行なわれるため、それぞれの固相抽出での再現性の低下は、同定の精度を低下させる原因となる。
一方、粒子充填タイプや膜タイプの固相抽出剤を用いた固相抽出行程で、吸着・保持能力の増強と、溶出時の希釈を防ぐために、吸引・吐出により固相抽出剤に溶液を往復で通液させ、試料溶液と固相抽出剤との接触回数を増加させる手法が考えられるが、この方法では固相抽出剤の粒子間に乱流が発生してしまう。乱流の発生は、通液状態を著しく乱してしまうため、固相抽出の処理能力の向上は望めない。そのため、粒子充填タイプや膜タイプの固相抽出剤においては、内部を流れる液体を一定流速で一定方向に流す事によって精度を高める方法しかとれない。即ち、一定方向への通液による溶出しかできず、従来の固相抽出に於いては、吸着した目的成分を完全に溶出するためには一定方向の通液による溶出操作を複数回行う希釈系になってしまう。そのため、微量成分では精製後に得られる多量の溶出液を更に濃縮することが必要となる。これにより、目的成分と同時に溶出された残存する微量の夾雑成分や溶出液自身に含まれる微量の不純物成分も同時に濃縮されてしまい、検出感度の低下、ノイズレベルの上昇が生じ、本目的である生体中に微量に含まれる成分の前処理には不向きとなる。
さらに、硫酸化糖脂質の処理においては、従来から知られている溶媒濃縮効果を高めるための塩添加などは分析対象物質自体の分解原因となるので使用できない。そのため、温和条件で濃縮することが不可欠となり、前処理時間がかかる。
また、前処理溶出溶液量が多くなってしまうと、溶出された成分にさらに処理を行う場合、更に濃縮する必要が生じてしまい、上記のような現象が起きるので現実的に使えない。
このように、従来法では、前処理の段階における諸問題のために、最低でも分析出発材料として0.5〜1.0g程度の生体試料(組織、細胞など)が必要であった。そのため、尿細管細胞のような元来微量しか存在しない生体試料を処理することは不可能であった。
特表2005−521892 Matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry of sphingo and glycosphingo-lipidsDavid J. HarveyJournal of Mass SpectrometryVolume 30, Issue 9, 1995 Pages 1311-1324 Extraction and analysis of multiple sphingolipids from a single sampleTaketomi T, Sugiyama E.Methods Enzymol.Volume 312, 2000. Pages 80-101
微量な生体試料中に含まれる微量成分である硫酸化糖脂質を、前処理工程を経てMALDI・TOF・MSにより高感度分析を行い、更に構造を同定するためには、微量生体試料から微量の目的成分を希釈せずに溶出させ、同定のために硫酸化糖脂質から脂肪酸を切り離すリゾ体化処理を行ない、リゾ体化処理後にも、MALDI・TOF・MSに供給する前処理を行う必要がある。
この前処理行程において、粒子を用いた従来のカラムクロマトや固相では、試料溶液や溶出液などを一定方向にしか流せないため、十分な前処理の成果を得るためには、複数回の通液が必要となり、液量が増加し目的成分が希釈されてしまう。そのため、多量の溶媒を除去する行程が必要となる。生体中に微量しか含まれない硫酸化糖脂質においては、溶媒除去中における分解や前処理後にも微量に残存する夾雑物も同時に濃縮されてしまう。
そのため、一定容量の中で目的成分だけを濃縮させながら不純物を除去させる手段が必要不可欠となる。この手法として従来からカラムの中を数回通すリサイクル分取があるが、装置が高価であり、数時間かかってしまう。
分離能を持ち、液を繰り返し通液のできる分離媒体を小さな場に作ることができれば、微量成分を効率よく精製できる。小さな場としては、シリンジ針内やピペット内などがある。そこに、取り付ける分離体としては固く、液を通液しても容積の変わらない固体であり、かつ液を流した時に十分な保持能力を持つ分離体が要求される。分離体表面には、分離に関与する化学種を自由に結合させられる必要がある。
又、本発明は、ラット尿細管細胞などの微量な生体試料中に含まれる微量成分である硫酸化糖脂質を簡便化した前処理工程を経て、MALDI・TOF・MSにより高感度分析を行うことにより、硫酸化糖脂質の異性体を同定する方法を開発し、提供することを目的とする。
MALDI・TOF・MSは、多検体の試料でも短時間で微量の試料を分析できることから将来において臨床分野にも十分対応できると考えられるが、測定までの前処理を如何に簡便に行えるかがポイントであった。また、硫酸化糖脂質の脂質部分は脂肪酸とスフィンゴシンと呼ばれる部分からなり、非常に複雑で種々の異性体の存在が想定されるため、この部分を明確にする方法が必要である。
そこで、本発明は下記構成を提案するものである。
微量生体試料から、硫酸化糖脂質成分だけを選択的に精製する工程と、さらに精製された硫酸化糖脂質成分をリゾ体化し、リゾ体化により生じた不純物を除去する工程より成ることを特徴とする硫酸化糖脂質の分析方法。
更に、上記方法において、選択的に精製する工程及び不純物を除去する工程に於いて、一方、あるいは両方の工程に3次元網目構造の貫通孔を持つモノリス構造体を用いる硫酸化糖脂質の分析方法。
更に、上記方法において、選択的に精製する工程及び不純物を除去する工程後の検出工程に於いて、MALDI・TOF・MSで検出することを特徴とする硫酸化糖脂質の分析方法。
更に、上記方法において、各工程で得られたMALDI・TOF・MSの分析結果を対比することにより、微量生体中の硫酸化糖脂質を同定する硫酸化糖脂質の分析方法。
又、三次元網目構造の貫通孔が1μmから100μmである硫酸化糖脂質分析用モノリス構造体。
又、三次元網目構造の貫通孔を有するモノリス構造体の骨格の主成分がSiである硫酸化糖脂質分析用モノリス構造体。
又、モノリス構造体にアルキル鎖を化学結合させることにより、逆相分配により、微量生体試料中の硫酸化糖脂質及びその構成成分であるリゾ体化成分を精製自在としたモノリス構造体。
又、吸引、吐出機構の接液部にモノリス構造体より成る固相抽出装置を着脱自在に設置し、該接液部を溶液、試薬の各キャリヤー間を移動自在に設けると共に、固相抽出装置の目的成分に対する吸着、洗浄、溶出工程を選択自在にしたことを特徴とする硫酸化糖脂質の分析装置。
本発明は、硫酸化糖脂質の抽出、精製の過程で粒子を用いない構造の固相抽出剤を用いる事で、高効率に固相抽出を行い、かつ精製後の粒子の残渣を防ぐことにより、粒子除去などの前処理工程を著しく簡略化し、試料のロスを防ぐことを可能とする一方、MALDI・TOF・MSに於いて極めて重要であるイオン化を容易ならしめる、イオン化補助工程たる脱塩操作が容易且簡便に行うことが出来る。又、硫酸化糖脂質から脂肪酸を切り離す処理であるリゾ体化に成功し、これらの手法を併せることで、硫酸化糖脂質の異性体(分子種)の同定を簡便、迅速、かつ微量で行うことを可能とした。
この方法を用いることにより、従来法では分析出発材料として0.5〜1.0g程度の生体試料(組織、細胞)などが必要であった方法を、わずか10〜40mg程度の生体試料を用いて、検出感度の低下なく行うことが可能になった。
微量生体試料中の硫酸化糖脂質を固相抽出法を用いて、希釈無く、脱塩・精製を行うためには(1)高い疎水性相互作用、(2)大きな表面積、かつ良好な通液性を必要とする。
疎水性相互作用:水分子と親和性の少ない非極性基が水溶液中で互いに集まろうとする相互作用のこと。
本発明においては、生体試料から種々の処理を施して抽出した脂質類には、目的物質である脂質類(非極性物質)の他に、元来の試料中に含まれていた極性物質や抽出工程に添加した塩類(極性物質)が多量に存在している。これらの混合物から、脂質類のみを精製するためには、脂質類と同様の非極性物質であるアルキル鎖(例えば、オクダデシル基)などを修飾した固相抽出剤に試料溶液を接触させることにより、脂質類をアルキル鎖(固相)に吸着させた後、塩類などの非極性物質を洗い流し、吸着されていた目的成分(脂質類)を溶出することで、精製としている。
このような原理に基づき、微量な物質を精製する場合、アルキル基を修飾する固相は、微量な脂質類を確実に吸着させるために大きな表面積を持つ必要がある。しかし、従来から知られている粒子状の固相を用いた場合、表面積を増大させるためには、粒子径を小さくするか、粒子を大量に用いる方法しかなかった。しかし、これらの方法では、通液抵抗の上昇による通液障害や、固相内容量の増大に伴う溶液の残存などの問題がある。
そこで、本発明では、表面積の増大に伴った通液抵抗の上昇や、固相内容量の増大を最小限に抑えることのできる構造である「3次元網目構造の貫通孔を有した単一の構造物」で、かつ「アルキル鎖などの非極性官能基を容易に修飾できる物質特性」を持つモノリス構造体を使用した。
更に、このモノリス構造体は強度が高いため、液体を往復して通液させる工程を繰り返す方法をとることが可能である。この方法を用いることにより、固相抽出の対象物質を含む溶液が少量の場合でも、固相抽出剤と溶液の接触回数が多くなり、希釈されず、高効率に精製できる。
具体的には、液体の流れる貫通孔であるスルーポアとして、1μm〜100μmが良いが、用いる手法・装置によって異なる。
基本的には、スルーポア径が小さいほど、接触面積が増えるが、液体を流す際の通液抵抗も上昇する。市販の手動ピペッターを用いる場合には、出し入れの液抵抗から10μm〜30μm程度のスルーポアが望まれる。本目的に応じた自動化装置では、ポンプなどを用いた通液が可能であるため、より高い通液抵抗が生じても使用可能であるため、3μm〜15μm程度とスルーポアを小さくし、接液面積を大きくすることが可能である。
スルーポア径が10μm〜30μmのモノリス構造体は、粒子状固相抽出剤の粒子径として換算すると、20μm〜30μmの粒子径と同様の表面積になる。現在、一般的な固相抽出剤粒子として用いられている粒子径が40μm〜60μmであることから、粒子径として2分の1になる。粒子径と分離能の関係に於いては、2乗の逆数の関係が成り立つため、スルーポアが10μm〜30μmのモノリス構造体を使用した固相抽出剤は、40μm〜60μmの粒子を使用した固相抽出剤に比べて約4倍の分離能を持つことになる。本発明に於いて、硫酸化糖脂質のリゾ体を固相抽出によって精製する場合、含まれる非極性物質としてはリゾ硫酸化糖脂質の他に、硫酸化糖脂質から切り離された脂肪酸も存在する。ここから、塩類のみでなく、その他の混在する極性低分子夾雑物も除去し、リゾ体のみを選択し分離するためにも、モノリス構造体の持つ高い分離能は有効である。
モノリス構造体の骨格表面にあるメソ孔としては、50オングストローム以下のノンポーラスから大口径の1000オングストロームが適用できるが、生体試料成分を対象とする場合は、ノンポーラスか150オングストロームから500オングストローム程度の細孔が適している。
又、試料溶液の往復通液を行う事から、モノリス構造体に於いても、なるべく固相抽出剤自体の体積変化が無く、耐圧性の高い種類のモノリス構造体が要求される。ポリマーモノリスや膜を用いた固相抽出剤では吸引・吐出の操作における体積変化が生じやすい。そのため、耐圧のある金属酸化物から作られるモノリス構造体が有用である。
特に、生体試料成分の場合ではモノリス構造体を形成する原料により、非対象物の吸着が生じる場合があり、固相などの実績のあるSi骨格のものが推奨される。
即ち、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどを単独または混合してから行うゾル‐ゲル合成によるモノリスやケイ素水酸化物、ケイ酸塩などによる焼成ガラスをエッチングして作るモノリス構造体などが適している。
又、硫酸化糖脂質およびその構成成分であるリゾ体を吸着させるためにシリカモノリス構造体の表面に化学修飾させるアルキル鎖などの化学種としては、従来充填剤に用いられているオクタデシルトリメチルクロロシラン、オクタデシルジメチルジクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクチルトリメチルクロロシラン、オクチルジメチルジクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、メチルトリメチルクロロシラン、メチルジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルメチルジメトキシシランなどのアルキル鎖を持つシラン剤が使用できる。又、極性基を間に導入することで液と馴染みを良くし、エンドキャップを施すことにより不可逆吸着を抑えたモノリス構造体の使用も有効である。
以下の本発明の実施状態について説明する。
例えば、硫酸化糖脂質の一種であるスルファチドSM4s(d18:1−C24:0h)(図2A)と、スルファチドSM4s(t18:0−C24:1)(図2B)は、二重結合の位置及び水酸化修飾の位置が異なるにも関らず、組成式はともにC4893NO12Sとなり、モノアイソトピックで計算した分子量は907.6、MALDI・TOF・MSのネガティブモードで測定し検出される脱プロトン分子のm/zは906.6と全く同じである。つまりは、このような分子種の判別は、生体内から抽出・精製された硫酸化糖脂質をそのまま質量分析計を用いて分析するのでは区別することができない。
しかし、この同一分子量を示す硫酸化糖脂質を化学処理し、脂肪酸部分を切り離し、リゾ体化することにより、二重結合及び水酸化修飾の違いにより、分子量に差異が生じ、分子種を同定することが可能である。
つまり、SM4s(d18:1−C24:0h、m/z=906.6)をリゾ体化処理することにより、リゾSM4s(d18:1)となり(図2C)、m/zは540.3となる。一方、SM4s(t18:0−C24:1、m/z=906.6)はリゾ体化処理することにより、リゾSM4s(t18:0)となり(図2D)、m/zは558.3となる。これにより、脂肪酸を除いた硫酸化糖脂質であるリゾ体の構造(組成)は決定され、分解前の分子量からリゾ体の分子量を引くことにより、分割された脂肪酸の分子量、組成が判明する。
このように、生体試料から抽出されたままの硫酸化糖脂質の質量分析結果と、それを化学処理したものの質量分析結果を比較することにより、硫酸化糖脂質の異性体(分子)を正確に判別することが可能である。
硫酸化糖脂質のような微量成分を、MALDI・TOF・MSを用いて上記方法に則り分析する場合、その感度はMALDI・TOF・MS分析の前処理にあたる脱塩操作(難イオン化塩の除去)の如何に依存する。即ち、イオン化を容易ならしめる工程が非常に重要である。
従来の固相と異なるモノリス構造体を前処理剤として用いる事により、生体試料を吸引、吐出する事により精製し、MALDI・TOF・MSで微量の硫酸化糖脂質を検出する事ができる。
本発明は、硫酸化糖脂質分析用前処理剤として、3次元網目状の液が流れる貫通孔を持つ単一構造体であるモノリス構造体を使用することにより、希釈無しで目的成分を精製でき、同定用の2次処理を可能にする。
本発明に於ける硫酸化糖脂質の場合では、異性体間の分離が重要で、化学結合基を導入し易いシラノール基を持つシリカゲルなどが有効である。
本発明一例を工程順に説明すれば、以下の行程を経て、硫酸化糖脂質の同定を行う。
(1) 微量生体試料(生体組織、血液、体液等)からの総脂質画分の分離
(2) 総脂質画分から、硫酸化糖脂質を豊富に含む画分の分離
(3) 硫酸化糖脂質画分の選択的な精製(MALDI・TOF・MS分析の前処理)
(4) 硫酸化糖脂質画分の一部をMALDI・TOF・MSによる質量分析
(5) (4)の硫酸化糖脂質画分の化学処理によるリゾ硫酸化糖脂質への分解
(6) リゾ硫酸化糖脂質の塩などの不純物除去(MALDI・TOF・MS分析の前処理)
(7) リゾ硫酸化糖脂質のMALDI・TOF・MSによる質量分析
(8) (4)、(7)の質量分析結果からの硫酸化糖脂質の同定
上記行程(1)、(2)は、液層分離により、分析対象成分である硫酸化糖脂質を生体試料中から抽出を行う。
上記行程(3)、(6)のMALDI・TOF・MS分析の前処理においては、本方法を用いる。本方法に用いる処理剤としては、主として硫酸化糖脂質の抽出過程で含まれた難イオン化性の塩の脱塩能力を持ち、微量な目的成分の処理過程での希釈を最小限に抑え、濃縮効果を持ち、かつ迅速・簡便に操作することができるものが望ましい。この条件を満たすものとして、例えばシリカゲル等の無機系材料を用いた多孔質体で、望ましいのは1μmから100μm以下の貫通孔を有し、nmサイズの細孔(メソポア)を有する二重細孔構造に形成したモノリス構造体であり、これに更にアルキル鎖を化学結合により修飾したものが使用される。又、これらモノリス構造体を汎用ピペッター用のピペットチップ内に嵌合した硫酸化糖脂質分析用前処理材を用いた。
上記行程(4)、(7)では、MALDI・TOF・MSのネガティブモードにより、硫酸化糖脂質の質量分析を行う。(4)の過程で得られた結果は、全硫酸化糖脂質の質量分析結果であり、分子量が同じになるような異性体の判別は不可能である。(7)の過程で得られた結果は、硫酸化糖脂質の構成成分であるリゾ体の質量分析結果である。
上記行程(8)では、(7)で得られた、リゾ体の情報を基に、(4)で得られた結果から、脂肪酸の構造を同定する。
本発明を実際に使用する際に下記の機構、装置を利用することにより部分的自動化延いては全自動化が可能である。
処理対象物である液体に接するチップ、チューブなどが着脱可能で、且、これに連結し、吸引、吐出が可能な機構をもつものであれば、モノリス構造体を用いた硫酸化糖脂質分析用前処理装置を形成することが可能である。
着脱可能な接液部分(一般的にチップ、ニードルと呼ばれる)にモノリス構造体からできた硫酸化糖脂質分析用前処理剤を嵌合もしくは融着し、この部材を目的に応じた試料溶液内に挿入した状態で、吸引、吐出を行うことにより、硫酸化糖脂質分析用前処理剤への目的成分の吸着(保持)、洗浄、溶出の工程を行うことが可能である。
この吸引、吐出を行う機構としては、様々な機構が考えられるが、モノリス構造体の性質上、強力な吸引、吐出性能は必要としないことから、ハンディタイプの汎用ピペッターと同様で、最も簡単な構造であるシリンジを使用した空気置換方式のピペッティング方法で充分である。この方法はシリンジのプランジャを引き出すことにより、シリンジ内を陰圧にし、その圧力差により液体が吸引される。次いでプランジャを押し込むことにより、シリンジ内を陽圧にし、吸引された液体が吐出される。この原理により、吸引、吐出を行う方法である。
又、望ましくは、上記チップの着脱、交換機構、任意の液量の吸引、吐出可能な分注プローブチャンネル機能のほかに、複数の溶液を事前に用意しておくことのできる容器キャリヤーや、各種の試薬キャリアー間を自由に移動可能な駆動装置の先端に上記の接液部及び吸引、吐出を担う部分を有し、各試薬間を移動し、試薬溶液の吸引や吐出、移送などを行える機能を持たせることにより、実施例1に示す分析方法の大部分を装置により行うことが可能である。
又、このような装置に於ける処理能力は吸引、吐出を行う機構の数によって左右されるため、より多くの機構を同時に作動させる駆動機構によれば、同時処理能力が上昇し、1検体あたりの処理時間は短縮できる。
従来の粒子充填型固相抽出の場合は、一定方向の通液による使用方法のため、吸引、吐出を行う部分に固相抽出剤を配することは不可能であった。そのため、固相抽出器上部からの試薬溶液の滴下と、固相抽出器下部からの吸引による通液によるものであった。そのため、装置としては、吸引、吐出を行う機構のほかに、固相抽出剤下部から吸引する機構が必要であった。また、この吸引には、真空ポンプのような装置が必須であった。本発明はこれらの装置に比し極めて簡単な装置で固相抽出操作が出来る。
硫酸化糖脂質分析用前処理剤として、オクタデシル基をシリカモノリスの表面に化学修飾し、ピペットチップ内に配した硫酸化糖脂質分析用前処理材を用いて、微量の生体試料中から抽出された硫酸化糖脂質画分の精製及び、その硫酸化糖脂質を適宜処理し得られたリゾ硫酸化糖脂質画分の精製を行い、それぞれのMALDI・TOF・MS分析を行った(図1)。尚、本硫酸化糖脂質分析用前処理材は汎用のピペッターに装着し、吸引、吐出を繰り返す操作(ピペッティング操作)を行うことで、硫酸化糖脂質分析用前処理剤への通液が可能である。
方法:ラット(F344 チャールズリバー社より入手)をエーテル麻酔下で屠殺し、腎臓を取り出し、腎孟部分を取り除いた後、篩法を用い、腎臓から尿細管細胞と糸球体を分離した。こうして得た湿重量にして10から40ミリグラムの尿細管細胞をポリプロピレンチューブに入れ、ここにヘキサンと2−プロパノールを3対2で混ぜた混液1.2mlを加え、よくホモジナイズし、遠心し、上清を除き、残った残渣にヘキサンと2−プロパノールと、さらに蒸溜水を60対40対3(以下A液)加えたものを入れ、ソニケーション処理を加えるなどしてよくホモジナイズした後、遠心し、上清を取り、先に取っておいた上清と併せ、総脂質画分を得た。
これを遠心エバポレーター(CVE−2000 東京理科機器製)を用い、有機溶媒を除去し、改めてここにA液を1ml加え、次いでメタノールに溶かした5規定水酸化ナトリウムを30マイクロリットル加え、直ちに激しく撹拌した後、遠心した。上層とペレット状になった下層とに分かれるが、上層を注意深く除き、下層を酢酸で注意深く中和した後、遠心エバポレーターで蒸発乾固させた後、このものにメタノール対蒸溜水、2対8の混液200ないし300μlを加え、よく混和したものを、予め200μlのメタノール、200μlの蒸溜水、最後に200μlのメタノール対蒸溜水2対8の混液200μlを通して、平衡化しておいた硫酸化糖脂質分析用前処理材に三回繰り返し通した。
その後、この硫酸化糖脂質分析用前処理材を200から300μlの蒸溜水で洗った後、この硫酸化糖脂質分析用前処理材に200から300μlのメタノールを通したものを集め、遠心エバポレーターでメタノールを除き、硫酸化糖脂質画分を得た。
アルファー−シアノ−4−ヒドロキシシナミックアシドを飽和させたアセトニトリルと0.1%のトリフルオロ酢酸を1対1に混ぜた液(以下B液)を用意した。先に得た、硫酸化糖脂質画分の一部をA液に溶いたもの1に対し、B液1容量を加え混和したもの1ないし2μlを直ちに測定器専用のサンプルプレートにおき、MALDI・TOF・MS分析を行った。用いた機種は、パーセウティブ バイオシステムス社のVoygerEliteXLで、イオン化には337nmの窒素レーザーを使い、ネガティブモードで分析した。
結果を図3に示す。図3のとおり、10〜40mgという微量な生体試料中からの抽出・精製物の一部だけを用いてスルファチドSM4(図3A)、SM3(図3B),SM2(図3C)を検出することが出来た。
さらに、硫酸化糖脂質画分の一部は、メタノールに溶かした0.1規定の水酸化ナトリウム300μlに溶かし、パイレックス(登録商標)ガラスチューブに入れ、これを密栓し160度で10分間加熱した。冷却後、7規定の塩酸10μlと蒸溜水10μl、ヘキサン530μlを加え、よく撹拌後、上層を除き、下層を遠心エバポレートした後、有機溶媒を除き、メタノール対蒸溜水4対6の混液200μlを加え、よく混和し、予め200μlのメタノール、200μlの蒸溜水、最後に200μlのメタノール対蒸溜水4対6の混液200μlを通して、平衡化しておいた硫酸化糖脂質分析用前処理材に三回繰り返し通した。その後、この硫酸化糖脂質分析用前処理材を200から300μlの蒸溜水で洗った後、この硫酸化糖脂質分析用前処理材に200から300μlのメタノールを通したものを集め、遠心エバポレーターでメタノールを除き、硫酸化リゾ糖脂質画分を得た。これをA液に溶解、同量のB液を混和し、先に記した要領でリゾ硫酸化糖脂質もMALDI・TOF・MS分析を行った。
結果を図4に示す。図4のとおり、リゾスルファチドSM4(図4A)、SM3(図4B)、SM2(図4C)を検出することが出来た。
構造模式図
SM4:sulfated galactosylceramide(図5A)
SM3:sulfated lactosylceramide(図5B)
SM2:sulfated gangliosylceramide(図5C)
強度の高いピークとして、SM4では878.6、892.6、906.6が(図3A)、SM3では、1042.7、1056.7、1070.7が(図3B)、SM2では1245.8、1259.8、1273.8が(図3C)それぞれ検出された。それぞれのグループ内でm/zは、それぞれ14.0ずつ異なっており、これはメチレン(‐CH‐)一単位の差に値する。
加えて小さなピークとして、SM4では850.6、862.6、890.6、924.6が(図3A)、SM3では、996.6、1014.6、1024.6、1052.7、1084.7が(図3B)、SM2では1199.7、1217.7、1227.7、1255.8、1271.8、1287.8が(図3C)それぞれ検出された。
もし、SM4sとSM3が同一のセラミドを所有している場合、分子量の差はHex−HO(HexoscからHOの分子量を引いた分子量)で162.1の差となる(図5A,Bの構造を比較)。SM4sの878.6のピーク(図3A)とSM3の1042.7のピーク(図3B)を比較すると、分子量164.1異なる。この事は、両者のセラミドの構造は異なるものであり、878.6(SM4s)の持つセラミドは、1042.7(SM3)の持つセラミドに比べて、二重結合が一つ多いことを示唆している。
このような関係が、892.6(SM4s)と1056.7(SM3)、906.6(SM4s)と1070.7(SM3)の間でも見られる。
一方、もしSM3とSM2が同一のセラミドを持つ場合、分子量の差はHexNAc−HO(N−acetyl−hexamineからHOの分子量を引いた分子量)一単位の203.1となる(図5BとCの構造を比較)。SM3の1042.7のピーク(図3B)と、SM2の1245.8のピーク(図3C)を比較した場合、分子量の差は203.1となり、このことは同一のセラミドを持つことを示している。これと同様な関係が、1056.7(SM3)と1259.8(SM2)、1070.7(SM3)と1273.8(SM2)の間でも見られる。
従って、3種スルファチド(SM4s,SM3,SM2)のメジャーなピークは、SM4sがユニークなセラミドを持ち、一方SM3,SM2は同一のセラミドを持っている事が示唆される。
一方、それぞれのマイナーなピークを比較すると、890.6(SM4s)と1052.7(SM2)の差は、162.1となり、1052.7(SM3)と1255.8(SM2)の差は203.1となる。このことは、スルファチドが同一のセラミドを持つことを示している。これと同様の関係が、862.6(SM4s)/1024.6(SM3)/1227.7(SM2)でも見られる。
リゾ体の分析をすることにより、更に詳細な情報が得られた(図4)。SM4sに於いては、リゾ体SM4sの分析でメジャーなピークとして540.3が検出された。これは、d18:1を示す。マイナーなピークとしては、538.3(d18:2)、558.3(t18:0)、568.3(d20:1)、570.3(d20:0)である(図4A)。
SM4sの分析結果(図3A)と比較すると、図3Aのメジャーピークである878.6、892.6、906.6は、それぞれd18:1−C22:0h、d18:1−C23:0h、d18:1−C24:0hに当てはまる。SM4sの分析結果のマイナーピークである850.6、862.6、924.6は、d18:1−C20:0h、d18:1−C22:0,t18:0−C24:0hが当てはまる。
SM3とSM2のリゾ体の分析においては、(図4B,C),3本のピークが同様のパターンで検出された。SM3では、702.3、720.3、732.4、SM2では、905.4、823.4、935.5である。このことは、質量分析の検出強度からリゾSM3とリゾSM2が主としてt18:0を持ち、それと共にd18:1とd20:0を持つことを示している。
例えば、d18:1とd20:0を構成成分として持つSM3は、共にC52101NO17Sという同一の化学式で表される。SM3のメジャーピークである1042.7、1056.7、1070.7、SM2のメジャーピークである1245.8、1259.8、1273.8は、おそらくt18:0−C22:0、t18:0−C23:0、t18:0−C24:0のそれぞれから構成されており、もしかすると、少量のd20:0−C20:0h、d20:0−C21:0h、d20:0−C22:0hのそれぞれを構成成分としている可能性がある。このことは、リゾSM3とリゾSM2の分析で、t18:0がメジャーなスフィンゴシンであり、d20:0はマイナーなスフィンゴシンであるという結果(図4B,C)により示唆されるものである。
このことから、スルファチドSM4sは主として、4スフィンゲニン(d18:1)と呼ばれるスフィンゴシンと炭素数が22、23、24で水酸化を受けた脂肪酸を持ったものからなり、スルファチドSM2、SM3は主として、フィトスフィンゴシン(t18:0)と呼ばれるスフィンゴシンと、炭素数が22、23、24で水酸化を受けない脂肪酸を持ったものからなることが判明した。また、SM4s、SM3、SM2すべてに於いて、20ジヒドロスフィンゴシンという今までスルファチドに知られていないスフィンゴシンがあることが判明した。
同様に、従来固相を用いて、0.5〜1gの試料を用いて行った結果では、同様な結果が得られたが、50分の1濃度では、MALDI・TOF・MSでSM3は全く検出できなかった。又、SM4s、SM2に於いては、検出可能ではあったが、モノリス構造体を用いた場合と比して検出強度は低く、特にSM2の同定は困難であった。
本方法を用いることによって、微量のスルファチドが検出でき、構造から同定も可能となった。
本実施例で使用した硫酸化糖脂質分析用前処理材は、汎用のピペッター用ピペットチップにモノリス構造体を融着したものである。融着させたモノリス構造体は、シリカゲルから成る骨格を持ち、その骨格にはオクタデシル基が化学結合されている。モノリス構造体は、この骨格が三次元網目状につながりあい、一体型の構造物を形成している。それぞれの骨格の間には一端からもう一端まで貫通した直径10〜20μmの通液に関る貫通孔を持つ。又、骨格自体に約20nmの細孔を持つ。構造体の外形は、直径約3.2mmで、厚さは約1.0mm(容積約8μl(mm))、重量約2mgと従来の固相抽出に比して小型である。しかし、表面積は約0.4mm(200mm/g×2mg)あり、Angiotensin IIを用いて、負荷量を算出すると100μgという多量のサンプルを処理することが可能である。
全自動分注システムであるハミルトン社製Microlab(登録商標)STARを用いて、自動化を行った。
この全自動分注システムは、専用チップの脱着機能を持ち、任意の液量を吸引、吐出可能な分注プローブチャンネルを有した複数のアームと、様々な形状の容器を搭載できる容器キャリアーを持ち、シーケンスプログラムを作成することにより、溶液の分注、移送、混合などの様々な工程を自動化することが可能である。
尚、本目的のためには、専用チップにオクタデシル基を修飾したモノリス構造体を融着したものを作製し、使用した。
以下に硫酸化糖脂質画分を得る工程を示す。
使用する試薬
メタノール:蒸留水=2:8(以下「C液」という)
メタノール
蒸留水
を事前にキャリアーに用意しておく。
まず、ラットからの糸球体の分離、総脂質画分の分離、総脂質画分を処理することによりペレット状物質を得て蒸発乾固する処理は、実施例1と同一の方法を用いた。
この蒸発乾固したペレットを自動分注システムMicrolab(登録商標)STARのサンプル用ラックにセットした。
以下の工程は、シーケンスプログラムにより処理工程を実行させた。
1.分注プローブチャンネルにHigh volume Tips(5μl〜1000μl用)を装着し、C液の入った試薬キャリアーに移動し、300μlを吸引する。
2.セットしたサンプルに移動し、溶液を吐出し、サンプル容器内で吸引、吐出を5回繰り返しペレットを溶解させる。
3.分注プローブチャンネルにモノリス構造体を融着した専用チップ(オクタデシル基を化学修飾)を装着させる。
4.メタノールの入った試薬キャリアーに移動し、200μlを吸引し、廃液ポートにて吐出させる。
5.蒸留水の入った試薬キャリアーに移動し、200μlを吸引し、廃液ポートにて吐出させる。
6.C液の入った試薬キャリアーに移動し、200μlを吸引し、廃液ポートにて吐出させる。
7.サンプル用ラックに移動し、上記2.で調製したサンプル溶液内にチップを挿入し、200μlの吸引、吐出工程を3回繰り返させる。
8.蒸留水の入った試薬キャリアーに移動し、200μlの蒸留水を吸引し、廃液ポートにて吐出させる。
9.メタノールの入った試薬キャリアーに移動し、200μlのメタノールを吸引し、新しいサンプル用溶液チューブに移動し、吸引した溶液の吸引、吐出を3回繰り返す。
10.上記9.の溶液を遠心エバポレーターでメタノールを除き、硫酸化糖脂質画分を得る。
臨床への応用に際しては、より迅速な前処理が必要であるが、このようなハンドリングロボットを使用することにより、複数サンプルの同時処理が可能であり、更なる迅速分析が可能になる。
本発明―実施例分析プロセス説明図 本発明―実施例分析説明図 本発明―実施例分析結果スペクトル 本発明―実施例分析結果スペクトル 本発明―実施例分析結果構造模式図

Claims (3)

  1. 骨格の主成分がシリカであり、かつアルキル基を結合させた、難イオン化塩の除去能力を有する3次元網目構造の貫通孔及び細孔を持つモノリス構造体を通じて、10〜40mgの微量生体試料を吸引し吐出する操作を繰り返すことにより、前記微量生体試料から難イオン化塩を除去して硫酸化糖脂質成分だけを選択的に精製し、該精製により得られた硫酸化糖脂質成分をMALDI・TOF・MSで分析することを特徴とする硫酸化糖脂質の分析方法。
  2. 前記精製により得られた硫酸化糖脂質成分をリゾ体化し、3次元網目構造の貫通孔及び細孔を持つモノリス構造体を通じて、リゾ体化された硫酸化糖脂質成分を吸引し吐出する操作を繰り返すことにより、前記リゾ体化された硫酸化糖脂質成分から難イオン化塩及び極性低分子夾難物を除去してリゾ硫酸化糖脂質成分を得て、得られたリゾ硫酸化糖脂質成分をMALDI・TOF・MSで分析することを特徴とする請求項1に記載の硫酸化糖脂質の分析方法。
  3. 前記硫酸化糖脂質成分をMALDI・TOF・MSで分析することで得られた該硫酸化糖脂質成分の分子量と、前記リゾ硫酸化糖脂質成分をMALDI・TOF・MSで分析することで得られた該リゾ硫酸化糖脂質成分の分子量の差異を対比することにより、前記微量生体試料中の硫酸化糖脂質の異性体構造を同定することを特徴とする請求項2に記載の硫酸化糖脂質の分析方法。
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