JP6645659B2 - アオコの排除方法 - Google Patents

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貯水ダム,河川,池等の水系環境の水の水面に発生する10μm〜15cm程の粘性あるシースによってアオコ単体を連結して塊状となった多数のアオコ群生体を除去し、アオコ群生体による河川・池・ダム湖の水中酸素欠損、水中への太陽光の透射遮断、又アオコが生産する有毒物発生等によって、これら水系の水質環境を悪化させ、又他の魚等の動物の生息環境を悪化させる。このアオコ群生体を効率的に除去して水系水質を良好にし、又アオコ群生体から発生する有害な化学物質・異臭味物質を軽減し、水中酸素を増大させる環境浄化技術に関する。
アオコ単体の大きさは数μm程であるが、アオコ群生体はシースで連結されて10μm〜15cm程の塊状となってこれらが多数個集合して水面を覆うようになる。そして、多数個のアオコ群生体は水中を酸欠にし、水質を悪くする。
このアオコ及びアオコ群生体を除去して水質浄化する技術として、特許文献1の発明が知られている。この特許文献1の発明は、アオコ等の藻類が発生する水域に仕切りによって藻類を集積させる閉鎖的水域を設け、同閉鎖的水域の水を吸引して吐き出す吸引装置を設けるとともに、同吸引装置から吐出された水からひも状繊維方式の生物処理装置によって藻類を除去するとともに、処理後の水を水域に戻す。同水域には発生したアオコ群生体を破砕するとともに破砕物と水を閉鎖的水域の吸引装置の方へ誘導する水流機を複数設ける構成のものである。
しかしながら、この特許文献1の発明では、水流機によってアオコの群生体を粉砕させるが、粉砕したアオコ群生体は水域に分散するためアオコが再び群生体を形成する恐れがある。これを避けるため、早急にアオコが多い水域の水を吸引装置へ移動して生物処理装置で処理せねばアオコ群生体が水域に残留・増殖することとなる。そのため、水域のアオコを除去するためには、強力な吸引装置と高い能力の生物処理装置を設けねばならないという欠点がある。又、水流機を複数配置して動力でもって作動せねばならないので、エネルギー消費量が高く、処理コストが嵩むものとなる。
又、エアレーションを用いて水面付近の増殖期にあるアオコを所定深さ以下の水中に拡散させることで、魚介類の浄化能力でアオコを除去する技術が特許文献2に開示されている。
しかしながら、水面上のアオコ・アオコ群生体をエアレーションで水中深くに送り込んでもかなりの割合で水面へ戻ってアオコの群生が開始されるため、アオコの繁殖を充分に抑えることが難しいと判断される。又、魚介類が少ない水域では水中に拡散されたアオコの魚の捕食による減少はあまり期待できないものと判断される。
更に、河川の一部水域に繁殖したアオコ等の藻類を河川からの流入水を用いて水深の深い河川側方へ送ることで、藻類の増殖抑制方法が特許文献3に開示されている。
この特許文献3の発明は、アオコ群生体を河川の下流に流すだけであり、下流域にアオコ群生体の増殖が発生する可能性が高い。アオコ群生体の個体数を減少させるものではない。
更に、アオコを水面近くに配された水中浮遊型水浄化装置によって、水浄化装置の水中に垂らした細菌・微小生物を着生した生物担体を用いて浄化する技術が特許文献4に開示されている。
しかし、アオコ群生体は塊状のシースで連結された内部にアオコ単体を存在させるため、シースが細菌・微小生物の浄化を阻んで、アオコ単体の減少にその機能を期待しにくいものである。
特開2004−82015号公報 特開2014−224360号公報 特開2006−725号公報 特許第3113754号公報
本発明が解決しようとする課題は、アオコ群生体を水流・風等の空気流又はアオコ繁殖力等によって動力源をほとんど使用せずにゆっくりとアオコ群生体を水系の一定水域のアオコ群生体封鎖域に集約でき、そして集約させた水域内のアオコ群生体破砕装置によってシースを破砕して、アオコ群生体を破砕分解してアオコ単体にして、捕食微小生物生育装置の捕食微小生物でもって効率的に捕食させて効果的にアオコを除去することにある。
又は、アオコ群生体を一定水域のアオコ群生体封鎖域へ域外のアオコ群生体を水とともに吸引してシースを破砕してアオコ単体にするアオコ群生体移送破砕装置によって移動とシース破砕とを同時にした後アオコ群生体封鎖域に放出し、同域内で微小生物による捕食処理をすることで動力源を用いる機器を少なくし、低コストでアオコを排除できるようにすることにある。
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 河川・池又はダム湖の水系環境に発生するアオコの排除方法であって、
水系環境の水域の一区画をアオコ群生体の移動を遮断するアオコ群生体分画体で囲ってアオコ群生体封鎖域を形成するとともに、前記アオコ群生体封鎖域内にアオコ単体を餌として捕食する水生の微小生物を多数生育させる捕食微小生物生育装置を複数設け、
前記アオコ群生体封鎖域を囲う前記アオコ群生体分画体の一部に、アオコ群生体封鎖域の域外から域内へアオコ群生体を移動させることができるアオコ群生体一方向移動手段を設け、
前記アオコ群生体封鎖域内にアオコ群生体を水とともに吸引してアオコ群生体の基質のシースを破砕分散させてアオコ単体状態にして域内に放出するアオコ群生体破砕装置を複数設け、
水系環境に発生したアオコ群生体を一方向移動手段で域外から域内のアオコ群生体封鎖域へ集めて、同域でアオコ群生体破砕装置によってアオコ群生体のシースを破砕してアオコ単体にして、域内の捕食微小生物生育装置で生育した捕食微小生物で捕食させてアオコを減少させることを特徴とする、アオコの排除方法
2) 河川・池又はダム湖の水系環境に発生するアオコの排除方法であって、
水系環境の水域の一区画をアオコ群生体の移動を遮断するアオコ群生体分画体で囲ってアオコ群生体封鎖域を形成するとともに、前記アオコ群生体封鎖域内にアオコ単体を餌として捕食する水生の微小生物を多数生育させる捕食微小生物生育装置を複数設け、
前記アオコ群生体封鎖域の域外にあるアオコ群生体をその水とともに吸引して、基質のシースを破砕して分散したものを前記アオコ群生体封鎖域内に放出するアオコ群生体移送破砕装置を設け、
水系環境のアオコ群生体封鎖域の域外に発生したアオコ群生体をアオコ群生体移送破砕装置で吸引して、シースを破砕分散してアオコ単体の状態でアオコ群生体封鎖域内へ送り込んで、捕食微小生物生育装置によってアオコを捕食してアオコを減少させることを特徴とする、アオコの排除方法
3) アオコ群生体一方向移動手段が、アオコ群生体分画体の水面に近い所要水深さで上下巾をもって開口した移動口を設け、前記移動口を閉鎖できる面積を有するアオコ群生体を通過させない遮断体の一辺を前記移動口の上辺又は下辺に止着し、前記遮断体がアオコ群生体封鎖域内側となるように遮断体の上下のいずれかの自由端にフロート又は重りを取付けた構造であり、水面に生じる表面水流によって遮断体が移動口を開閉してアオコ群生体封鎖域の域外から域内へアオコ群生体の一方向のみの移動を可能とした、前記1)記載のアオコの排除方法
4) 前記遮断体の下辺を移動口下辺に取り付け、遮断体の上辺にフロートを取り付けて、遮断体の上辺のフロートがアオコ群生体封鎖域内側になるように斜めにした、前記3)記載のアオコの排除方法
5) 前記遮断体の上辺を移動口上辺に取り付け、遮断体の下辺に所要の重さの重りを取り付けて、遮断体の下辺がアオコ群生体封鎖域内側になるようにした、前記3)記載のアオコの排除方法
6) アオコ群生体破砕装置が、水とともに吸引したアオコ群生体をノズルから噴射して衝撃板に当てて放出する構造であり、アオコ群生体のシースが衝撃板との衝撃力で破砕分散してアオコ単体にして放出する構造のものである、前記1),3),4),5)いずれか記載のアオコの排除方法
7) アオコ群生体移送破砕装置が、水とともに吸引したアオコ群生体をノズルから噴射して衝撃板に当てて放出する構造であり、アオコ群生体のシースが衝撃板との衝撃力で破砕分散してアオコ単体にして放出する構造のものである、前記2)記載のアオコの排除方法
8) 水系がダム湖又は池であってダム湖又は池の水辺で浮遊する植物片が多く打ち寄せる側の水辺を囲うようにアオコ群生体分画体を配置して、同アオコ群生体分画体で囲まれる水域をアオコ群生体封鎖域とする、前記1),3),4),5),6)いずれか記載のアオコの排除方法
9) 水系が河川でその支流が本流に合流する支流河口の本流との合流水域に支流河口を囲うようにアオコ群生体分画体を配置し、同アオコ群生体分画体で囲まれた支流河口水域をアオコ群生体封鎖域とする、前記1)〜8)いずれか記載のアオコの排除方法
10) 水系がダム湖又は池であって、同ダム湖又は池を上流側と主たる下流への放流口・流出口又は取水口を含んだ下流側とに水系を分割するようにアオコ群生体分画体を設け、同アオコ群生体分画体の上流側水系をアオコ群生体封鎖域とした、前記2)又は7)記載のアオコの排除方法
11) 前記捕食微小生物生育装置が、水面上のフロートで浮上支持された水面部材から垂直に吊り下げられたアオコを捕食する水生の捕食微小生物の住処を与える生育吊下体を多数本吊下した構造である、前記1)〜10)いずれか記載のアオコの排除方法
12) 捕食する微小生物が、ミジンコ類,ワムシ類,繊毛虫類又は鞭毛虫類から選択された一種又は複数種の微小生物である、前記1)〜11)いずれか記載のアオコの排除方法
にある。
請求項1記載の本発明では、水系の一部にアオコ群生体の移動を遮断するアオコ群生体分画体で囲まれたアオコ群生体封鎖域を設け、同アオコ群生体封鎖域に捕食微小生物生育装置を設け、水流・風(空気流)又はアオコ群生体の拡大増殖力によって動力源を用いずに水系に発生したアオコ群生体は、一方向移動手段によってアオコ群生体封鎖域に集合させる。電気・化石燃料を使わずにアオコ群生体を集合させるので、ランニングコスト・設備コストを安価にできる。
そして、同アオコ群生体封鎖域に集合したアオコ群生体をアオコ群生体破砕装置によって、水とともに吸引してシースを破砕・分解してアオコ単体となるまで分離する。そして、アオコ単体に分離されたアオコは捕食微小生物生育装置で繁殖した多数の捕食微小生物の餌となり、アオコは減少する。これによって、水系の水質も透明なものになる。
請求項2記載の本発明ではアオコ群生体封鎖域の境界に設けたアオコ群生体移送破砕装置で域外のアオコ群生体を吸引するとともにそのシースを破砕・分解し、アオコ単離してアオコ群生体封鎖域に送って単離したアオコを捕食微小生物生育装置の捕食微小生物が餌として食して減少させる。アオコ群生体移送破砕装置の吸引機能が請求項1の一方向移動手段を兼用する。吸引による一方向の移動とシース破砕を兼用したアオコ群生体移送破砕装置だけの少ない動力源でもってアオコを減少させることができる。
図1は、(a)実施例1の配置説明図,(b)実施例2の配置説明図である。 図2は、実施例3の配置説明図である。 図3は、実施例3のアオコ群生体の移動を示す説明図である。 図4は、実施例4の配置説明図である。 図5は、アオコ群生体一方向移動手段の構造例を示す断面図である。 図6は、アオコ群生体一方向移動手段の構造例の正面図である。 図7は、アオコ群生体一方向移動手段でフロートを使用した構造例を示す説明図である。 図8は、実施例のアオコ群生体破砕装置を示す平面図である。 図9は、実施例のアオコ群生体破砕装置を示す側面図である。 図10は、実施例の捕食微小生物生育装置の繊毛状吊下体を示す説明図である。 図11は、実施例の捕食微小生物生育装置の繊毛状吊下体の平面図である。 図12は、実施例の捕食微小生物生育装置の繊毛状吊下体の正面図である。 図13は、ダム湖における本発明の実施例5を示す説明図である。 図14は、池における本発明の実施例6を示す説明図である。
本発明のアオコ群生体分画体は、アオコ群生体を通過させない区画体であって、防水性がある固体壁でも又は通水性カーテンでもよく、河川・池の水面から水底まで垂直面を遮断するアオコ群生体遮断でもよく、又はアオコ群生体が生息する水面から所定深さまでの一定深さまでのアオコ群生体の移動を阻止する遮断体であってもよい。
本発明のアオコ群生体一方向移動手段は、アオコ群生体分画体にアオコ群生体が移動できる移動口を設け、同移動口を閉鎖できる遮断体を移動口に取付け、同遮断体が浮き、重り・ワイヤ等によって水流がない場合では移動方向性に基本的にあって、水の流れ(河川水流,表面水,対流水)・風によって生起する水流等・自然エネルギーで生じる水流によって閉鎖してアオコ群生体の移動の方向性を強め、アオコ群生体がアオコ群生体封鎖域への移動速度を高める構造が好ましい。
本発明のアオコ群生体破砕装置は、吸引ポンプの噴出の水流を衝撃受筒体に当てて打撃力でアオコ群生体のシースを破砕・分解させる方法以外に、超音波発生機・放電による破砕・キャビテーションによる破砕・爆発衝撃による破砕も可能であるが、処理設備の煩雑さ、安全性上で本実施例の如くポンプによる吸引水流のノズルからの噴出水流を衝撃体へ当てる方法が好ましい。
又、アオコ群生体のシースの破砕・分解によって微小生物補食対象のサイズがアオコ単体程に縮小し、捕食による浄化を効率的にできる。又、シース内の栄養・塩可溶化により浄化微小生物の吸収利用を促進し、捕食微小生物の増殖にもなる。
アオコ群生体破砕装置又はアオコ群生体移送破砕装置がシースを破砕分解した処理水の放出される位置の近くに、アオコ捕食微小生物生育装置を配置するのが、アオコ単体を迅速に捕食微小生物の餌として捕食できるので好ましい。図1,2に示すように、アオコ群生体破砕装置の噴射部からの放出する位置に捕食微小生物生育装置に設けるように装置を連結すると、確実にアオコを捕食させることができて更に効果的である。
本発明の基本形態について、図1〜4に示している。
(実施例1,2,3,4の符号の説明)
図中、Aはアオコ群生体、ASはアオコ単体、B,Bは同アオコ群生体Aを通過させないアオコ群生体分画体、Bfは同アオコ群生体分画体の上部に設けたフロート、BKは同アオコ群生体分画体に設けた開口である移動口、BSは同移動口BKを遮断できる遮断体、BFは遮断体BSの上辺に取付けたフロート、BWは遮断体BSの下辺に取付けた重り、Cはアオコ群生体破砕装置、Cはアオコ群生体破砕装置Cを水面に浮べるためのフロート部、Cは同フロート部Cに取付けられて下方から水及びアオコ群生体Aを吸引する水中ポンプ、Cは噴射部、Cはシースを破砕分解する衝突筒、Cは水中ポンプCと噴射部Cとを連絡するホースで、Cはアオコ群生体吸引ガイドである。Fはアオコ群生体封鎖域、Hは捕食微小生物生育装置、Hは同装置Hを水面に浮かすためのフロート部、Hは同フロート部の外周を張架したネット、Hは同ネットから下方に垂下した多数の繊毛状吊下体、Hは同繊毛状吊下体の外周を保護するためのアオコ群生体遮断カーテン、Hは同アオコ群生体遮断カーテンを開閉するためのファスナー、KCはアオコ群生体移送破砕装置で、アオコ群生体破砕装置Cと同じ構造で、KCはフロート部、KCは水中ポンプ、KCは噴射部、KCは衝突筒、KCはホースである。Rは本発明を施工する河川、OWはアオコ群生体一方向移動手段で、実施例では移動口BK,遮断体BS,フロートBF又は重りBWからなる。
(実施例1)
図1(a)は請求項1記載の発明の河川Rでの実施形態例であり、河川Rに水は通過できるがアオコ群生体を通過させない重りBMで略垂直になっているアオコ群生体分画体B,Bを所定距離おいて横断的に配置し、そのアオコ群生体分画体B,Bの間をアオコ群生体封鎖域Fとし、上流側のアオコ群生体分画体Bの上部の一部に移動口BKに設け、重りBWを下辺につけた遮断体BSの上辺を移動口BKの上辺に止着し、その重りBWを取付けた自由端がアオコ群生体封鎖域F側に入るように斜めにした図5,6に示す構造のアオコ群生体一方向移動手段OWを設けている。
又、アオコ群生体封鎖域F内には図7〜10に示すようなアオコ群生体破砕装置Cを配置している。この装置Cはフロート部Cで水面近くで浮いていて、水中ポンプCで水及びアオコ群生体Aを吸引して噴射部Cで中心部から外周の衝突筒Cの内面へ向って噴出して、アオコ群生体Aのシースを破砕分解して数μm程の大きさのアオコ単体にして放出するアオコ群生体破砕装置Cを複数台配置している。又、アオコ群生体封鎖域Fでアオコ群生体破砕装置Cの噴射部Cで破砕して放出する処理水の放出水域の近くに捕食微小生物生育装置Hを複数台配置している。同捕食微小生物生育装置は水面のフロート部HのネットHから多数の捕食微小生物の動物性プランクトンを生育する繊毛状の吊下体Hを多数吊下し、その外周をアオコ群生体遮断カーテンHを設け、動物性プランクトンの生育環境を良好にしている構造のものである。
この図1(a)の実施形態では、河川Rの上流から流されてくるアオコ群生体Aは上流側のアオコ群生体分画体Bで止められているが、その移動口BKに設けた遮断体BSが河川の水流れの水圧で大きく開くことによってアオコ群生体Aは移動口BKから水流とともに移動して、アオコ群生体封鎖域F内に入り込み、更に水流によって下流側のアオコ群生体分画体Bの近くに移動する。
即ち、上流側のアオコ群生体分画体Bの移動口BK,遮断体BS,その重りBWが本発明のアオコ群生体一方向移動手段OWを形成している。
又、アオコ群生体封鎖域Fの下流側には図8,9に示すようなアオコ群生体破砕装置Cがあり、アオコ群生体Aを水とともに水中ポンプCで吸引され、ホースCによって噴射部Cへ圧送され、噴射部Cでアオコ群生体Aを噴出させて衝突筒C内面に衝突させてアオコ群生体のシースを破砕分解し、アオコ単体ASの状態にして放出する。同時にシースを分解することでシースの有する毒性を薄め、水を浄化する。
アオコ群生体破砕装置Cから放出されたアオコ単体ASは同装置Cの近くの下流側に配置された複数の捕食微小生物生育装置H付近に到れば、同装置Hで生育されている多数の動物性プランクトンによって餌として捕食され、アオコ単体ASは減少する。又、アオコ単体ASはアオコ群生体封鎖域F内にあって、他の水系の河川へ流出することが少なく、アオコ単体ASは確実にこの域内で餌として捕食され、アオコを減少させてアオコを水系から排除する。
(実施例2)
図1(b)に示す形態のタイプの実施例2について説明する。
この実施例2は河川Rに所定距離はなしてアオコ群生体分画体B,Bを横断するように設け、同アオコ群生体分画体B,B間をアオコ群生体封鎖域Fとし、上流側のアオコ群生体分画体Bの河川中央に実施例1のアオコ群生体破砕装置Cと同じ構造のアオコ群生体移送破砕装置KCを配置する。同装置KCの水中ポンプKCはアオコ群生体分画体Bの上流水域の中央付近にその上部をフロート部KCで水面に浮上させるように配置し、その噴射部KC,衝突筒KCと放出口はアオコ群生体封鎖域F内に配置し、河川上流域の水とアオコ群生体Aとを水中ポンプKCによって吸引して、アオコ群生体封鎖域Fにて噴射部KC,衝突筒KCとで高圧水として筒内面に衝突させてアオコ群生体Aを破砕分解し、シースを破砕し、アオコ単体ASにして放出する。アオコ単体ASはアオコ群生体封鎖域F内に広く分散されていく。
アオコ群生体封鎖域の下流側のアオコ群生体分画体B内側に沿って捕食微小生物生育装置Hが複数個列設している。
従って、アオコ単体は下流方向に流されて捕食微小生物生育装置Hに近づくと、この装置Hの周辺には生育された動物性プランクトンが多数個体が存在するので、これら動物性プランクトンの餌として捕食され、アオコ単体ASは大巾に減少する。よって、その下流にはアオコは大巾に減少する。
(実施例3)
図2,3に示す実施例3は、実施例1において上流・下流側のアオコ群生体分画体B,Bのいずれにもアオコ群生体一方向移動手段OWを設けたもので、アオコ群生体封鎖域Fの上流・下流側にあるアオコ群生体Aを実施例1と同じ構造のアオコ群生体一方向移動手段OWによってアオコ群生体封鎖域F内へ移動させ、ここでアオコ群生体破砕装置Cで破砕分解してアオコ単体にして同じ域でアオコ群生体破砕装置Cの放出位置付近に設けた捕食微小生物生育装置Hで生育している多数の動物性プランクトンがアオコ単体を補食してアオコを減少させるものである。
この実施例3はアオコ群生体一方向移動手段OWの遮断体BSはいずれもアオコ群生体封鎖域F内にあるように傾斜させている。又、この実施例3は水流速が大きい河川でなく流速が遅く、図3に示すようにその表面水が下流方向・上流方向と交代するような風の流れの場所(山風,谷風がある場所)又は水の流れが定期的に反転する場所で使用されるものであり、そのような場所ではアオコ群生体封鎖域Fにアオコ群生体Aを多く集合させることができ、アオコ減少を効果的にできる。
(実施例4)
図4で示す実施例4はアオコ群生体封鎖域Fを囲う上・下流のアオコ群生体分画体B,Bそれぞれにアオコ群生体移送破砕装置KCを設け、同装置KCの水中ポンプKCでもってアオコ群生体封鎖域Fの外側の水域のアオコ群生体Aを水とともに吸引して破砕分解して、その破砕したアオコ単体を含んだ処理水をアオコ群生体封鎖域F内に強制移動させるアオコ群生体移送破砕装置KCを複数使用する例である。
この実施例4ではアオコ群生体封鎖域Fの外側水系にあるアオコ群生体Aを吸引して破砕分解してアオコ単体状態にして、アオコ群生体封鎖域F内に強制移動させる。そして、アオコ群生体封鎖域F内に配置した捕食微小生物生育装置Hで生育した動物性プランクトンによってアオコ単体は餌として捕食され、大巾にアオコを減少させるものである。
この実施例4はアオコ群生体Aをアオコ群生体封鎖域Fへ移動させる風・水流が弱い場合に有効で、アオコ群生体移送破砕装置KCを用いて強制的にアオコ群生体Aをアオコ群生体封鎖域Fに集合させてアオコの除去を行う。
実施例中のアオコ群生体一方向移動手段OWは図5,6,7に示している。図5,6はアオコ群生体分画体Bの上部の移動口BKの上辺にこれを閉鎖できる遮断体BSの上辺を止着し、アオコ群生体封鎖域Fの内側に遮断体BSの下端が位置するように下端に重りBWを取付けている。域外からの水流が弱ければ、重りBWがその開へ回動に対する抗力(付勢力)となって移動口BKは閉じたままとなる。そして、河川Rの水流が大きくなれば、重りBWの閉方向の付勢力に抗して遮断体BSが開いて、アオコ群生体はアオコ群生体封鎖域Fへ移動できる。しかし、その場合でもアオコ群生体封鎖域Fから域外の上流への移動は水流があることからできないものとなって、一方向移動性が確保できる。
同様に、図7に示すアオコ群生体一方向移動手段OWでは水面上のフロートBfで浮んでいるアオコ群生体分画体Bの移動口BKの下辺に遮断体BSの下辺が止着され、遮断体BSの上辺にフロートBFが取付けられている。フロートBFがアオコ群生体封鎖域F内にあるように遮断体BSを移動口BKに対して取付けている。このアオコ群生体一方向移動手段では域F外側から域内へ向う水流があれば遮断体BSが水圧で斜め方向に移動し、域外からアオコ群生体Aは域F内へ移動できる。その水流の流れがない場合又は逆の方向の水流の場合遮断体BSは移動口BKを閉鎖する。よって、アオコ群生体Aの一方向移動を可能としている。
実施例中の図8,9に示すアオコ群生体破砕装置C及びアオコ群生体移送破砕装置KCについて説明する。いずれも同じ構造を有し、装置をアオコ群生体封鎖域F内に配置するか、域F外のアオコ群生体分画体B,Bの近くに配置するかの違いがあり、いずれも破砕分解した処理水はアオコ群生体封鎖F域内に放出される。
前記装置C,KCは上部のフロート部C,KCを有し、その水面に近い位置に吸引口を有するように水中ポンプC,KCを取付け、水中ポンプC,KCの吐水口をホースC,KCよって噴射部C,KCに接続し、同噴射部では水は水平方向に噴出され、衝突筒C,KCの内面に衝突して、アオコ群生体Aは衝突と水圧とによって細かく破砕分解され、シースは分解・分散し、アオコ単体ASの状態となって放出される。
実施例の図10,11,12で示す捕食微小生物生育装置Hは上部のフロート部Hによって水面に浮き、フロート部Hで囲まれる中央部分に水平なネットHが張架され、同ネットHから動物性プランクトンの住処となる繊毛状の長い吊下体Hが多数垂下されている。そして、フロート部Hの下方外周をアオコ群生体の進入を防ぐアオコ群生体遮断カーテンHを設けている。同カーテンHにはファスナーHが設けられ、開閉して内部を開放できるようにしている。これらの技術は公知であるので詳細は省略している。
(実施例5)
図13に示す他の実施例は、ダム湖Dにおいて実施される例であり、ダム湖水DWの取水口D,ダム放水口Dを含んだダム湖水DWの水域とその上流側のダム湖水DWとを仕切るアオコ群生体の移動を遮断するアオコ群生体分画体DSを設け、同アオコ群生体分画体DSに実施例1と同じアオコ群生体一方向移動手段OWを複数設け、又ダム湖水DWに複数のアオコ群生体破砕装置Cと、捕食微小生物生育装置Hを配置した例であり。
このダム湖の例は、図1の実施例1と同様にアオコ群生体Aを破砕分解し、アオコ単体ASを捕食微小生物の動物性プランクトンでゆっくりとアオコを減少させる例である。
(実施例6)
図14に示す他の実施例6は池Pのアオコ排除方法の装置で、浮遊した植物片がよく打ち寄せられる水辺SSを囲うようにアオコ群生体分画体DSを設け、同アオコ群生体分画体DSに実施例1と同様の図5〜7に示すアオコ群生体一方向移動手段OWを複数個設け、水辺SSとアオコ群生体分画体DSで囲まれる水域をアオコ群生体封鎖域Fとしている。その内部に複数のアオコ群生体破砕装置Cと捕食微小生物生育装置Hを配置した例である。
この実施例6は水流があまりない池Pの風又はゆるやかな水流で浮遊する植物片が打ち寄せる水辺SSを探して、これを囲むように本発明のアオコ群生体分画体DSを設け、これにアオコ群生体一方向移動手段OWを複数設けている。植物片が打ち寄せる水辺SSには、その方向の風・水流が生じるものであり、この自然の力をうまく利用してアオコ群生体をアオコ群生体封鎖域Fへ効率的に集合させて、アオコ群生体Aを破砕してアオコ単体にして捕食微小生物に捕食させるものである。
本発明は、アオコ以外の水面に浮遊する水草又は浮遊生物体にも適用可能である。
A アオコ群生体
AS アオコ単体
R 河川
,B アオコ群生体分画体
BM 重り
Bf フロート
F アオコ群生体封鎖域
BK 移動口
BF フロート
BW 重り
BS 遮断体
OW アオコ群生体一方向移動手段
C アオコ群生体破砕装置
フロート部
水中ポンプ
噴射部
31 噴射孔
衝突筒
ホース
アオコ群生体吸引ガイド
H 捕食微小生物生育装置
フロート部
ネット
繊毛状吊下体
アオコ群生体遮断カーテン
ファスナー
KC アオコ群生体移送破砕装置
KC フロート部
KC 水中ポンプ
KC 噴射部
KC31 噴射孔
KC 衝突筒
KC ホース
D ダム湖
取水口
放水口
DW,DW,DW ダム湖水
DS アオコ群生体分画体
P 池
SS 水辺

Claims (12)

  1. 河川・池又はダム湖の水系環境に発生するアオコの排除方法であって、
    水系環境の水域の一区画をアオコ群生体の移動を遮断するアオコ群生体分画体で囲ってアオコ群生体封鎖域を形成するとともに、前記アオコ群生体封鎖域内にアオコ単体を餌として捕食する水生の微小生物を多数生育させる捕食微小生物生育装置を複数設け、
    前記アオコ群生体封鎖域を囲う前記アオコ群生体分画体の一部に、アオコ群生体封鎖域の域外から域内へアオコ群生体を移動させることができるアオコ群生体一方向移動手段を設け、
    前記アオコ群生体封鎖域内にアオコ群生体を水とともに吸引してアオコ群生体の基質のシースを破砕分散させてアオコ単体状態にして域内に放出するアオコ群生体破砕装置を複数設け、
    水系環境に発生したアオコ群生体を一方向移動手段で域外から域内のアオコ群生体封鎖域へ集めて、同域でアオコ群生体破砕装置によってアオコ群生体のシースを破砕してアオコ単体にして、域内の捕食微小生物生育装置で生育した捕食微小生物で捕食させてアオコを減少させることを特徴とする、アオコの排除方法。
  2. 河川・池又はダム湖の水系環境に発生するアオコの排除方法であって、
    水系環境の水域の一区画をアオコ群生体の移動を遮断するアオコ群生体分画体で囲ってアオコ群生体封鎖域を形成するとともに、前記アオコ群生体封鎖域内にアオコ単体を餌として捕食する水生の微小生物を多数生育させる捕食微小生物生育装置を複数設け、
    前記アオコ群生体封鎖域の域外にあるアオコ群生体をその水とともに吸引して、基質のシースを破砕して分散したものを前記アオコ群生体封鎖域内に放出するアオコ群生体移送破砕装置を設け、
    水系環境のアオコ群生体封鎖域の域外に発生したアオコ群生体をアオコ群生体移送破砕装置で吸引して、シースを破砕分散してアオコ単体の状態でアオコ群生体封鎖域内へ送り込んで、捕食微小生物生育装置によってアオコを捕食してアオコを減少させることを特徴とする、アオコの排除方法。
  3. アオコ群生体一方向移動手段が、アオコ群生体分画体の水面に近い所要水深さで上下巾をもって開口した移動口を設け、前記移動口を閉鎖できる面積を有するアオコ群生体を通過させない遮断体の一辺を前記移動口の上辺又は下辺に止着し、前記遮断体がアオコ群生体封鎖域内側となるように遮断体の上下のいずれかの自由端にフロート又は重りを取付けた構造であり、水面に生じる表面水流によって遮断体が移動口を開閉してアオコ群生体封鎖域の域外から域内へアオコ群生体の一方向のみの移動を可能とした、請求項1記載のアオコの排除方法。
  4. 前記遮断体の下辺を移動口下辺に取り付け、遮断体の上辺にフロートを取り付けて、遮断体の上辺のフロートがアオコ群生体封鎖域内側になるように斜めにした、請求項3記載のアオコの排除方法。
  5. 前記遮断体の上辺を移動口上辺に取り付け、遮断体の下辺に所要の重さの重りを取り付けて、遮断体の下辺がアオコ群生体封鎖域内側になるようにした、請求項3記載のアオコの排除方法。
  6. アオコ群生体破砕装置が、水とともに吸引したアオコ群生体をノズルから噴射して衝撃板に当てて放出する構造であり、アオコ群生体のシースが衝撃板との衝撃力で破砕分散してアオコ単体にして放出する構造のものである、請求項1,3,4,5いずれか記載のアオコの排除方法。
  7. アオコ群生体移送破砕装置が、水とともに吸引したアオコ群生体をノズルから噴射して衝撃板に当てて放出する構造であり、アオコ群生体のシースが衝撃板との衝撃力で破砕分散してアオコ単体にして放出する構造のものである、請求項2記載のアオコの排除方法。
  8. 水系がダム湖又は池であってダム湖又は池の水辺で浮遊する植物片が多く打ち寄せる側の水辺を囲うようにアオコ群生体分画体を配置して、同アオコ群生体分画体で囲まれる水域をアオコ群生体封鎖域とする、請求項1,3,4,5,6いずれか記載のアオコの排除方法。
  9. 水系が河川でその支流が本流に合流する支流河口の本流との合流水域に支流河口を囲うようにアオコ群生体分画体を配置し、同アオコ群生体分画体で囲まれた支流河口水域をアオコ群生体封鎖域とする、請求項1〜いずれか記載のアオコの排除方法。
  10. 水系がダム湖又は池であって、同ダム湖又は池を上流側と主たる下流への放流口・流出口又は取水口を含んだ下流側とに水系を分割するようにアオコ群生体分画体を設け、同アオコ群生体分画体の上流側水系をアオコ群生体封鎖域とした、請求項2又は7記載のアオコの排除方法。
  11. 前記捕食微小生物生育装置が、水面上のフロートで浮上支持された水面部材から垂直に吊り下げられたアオコを捕食する水生の捕食微小生物の住処を与える生育吊下体を多数本吊下した構造である、請求項1〜10いずれか記載のアオコの排除方法。
  12. 捕食する微小生物が、ミジンコ類,ワムシ類,繊毛虫類又は鞭毛虫類から選択された一種又は複数種の微小生物である、請求項1〜11いずれか記載のアオコの排除方法。
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