JP6644990B2 - グアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬及び前立腺がん細胞阻害薬 - Google Patents

グアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬及び前立腺がん細胞阻害薬 Download PDF

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本発明は、グアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬及び前立腺がん細胞阻害薬に関する。
がんの治療法は、放射線療法、化学療法、免疫療法、外科的(摘出)療法等が挙げられる。そのなかでも、化学療法は、様々な低分子化合物からなる抗がん剤治療薬を用いてがんを抑制する方法である。
特に、前立腺がんは、近年、発症頻度の高いがんで、少なくともアメリカ、日本ともに、人口の高齢化に伴って、羅患率、死亡率ともに増加傾向にある。
前立腺がんの有効な予防法、又は、治療法はなく、がんの早期でホルモン依存性であれば、通常、睾丸の摘出か、化学的去勢としてアンドロゲンフルタミドが投与される場合もある。一方、後期でホルモン非依存性の場合は、前立腺がんは、骨格から始まり、放置すると広範囲に転移してしまう。このように疾患が進行してしまった場合には、放射線治療等で転移を遅らすことも可能であるが、一般的に、一度、患者がホルモン非依存性になってしまった場合、治療困難であるといわれている。化学療法は、内分泌療法(ホルモン療法)が効かなくなり、がんが再発した場合に、延命することを目的にして使用される。
しかし、このような化学療法は骨髄抑制などの副作用を伴い、治療を重ねるにつれて徐々に副作用が強くなるため、治療可能な期間には限りがある。
前立腺がんの予防、治療剤として、ベンゾキノリン−3−オン誘導体が知られている(特許文献1)。
一方、アズレン誘導体は、古くから知られた化合物であるが、消炎、抗アレルギー、組織再生作用として薬理効果があるとういう報告例が知られている(非特許文献2)。また、特定の構造でがん阻害作用に関する報告例がいくつか知られているのみである(非特許文献3−4、特許文献2)。
上記の背景のもと、がん細胞阻害効果の高いグアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬及び前立腺がん細胞阻害薬の開発が望まれている。
Molecular Medicine,vol.35,p.p.73−74,1998 日本薬理学雑誌,54(2),p.p.362,1958 Anticancer Reserch 26,1917−1924,2006 J.Med.Chem.,36(21),3137−3147,1993J. Med. Chem.,36(21),3137-3147(1993) 特開平8−277220号公報 特開昭61−076432号公報
この発明は、副作用が少なくて、がん細胞阻害効果が高くてがん細胞阻害薬として有用な新規物質であるグアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬及び前立腺がん細胞阻害薬を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1)下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とするグアイアズレン誘導体である。
Figure 0006644990
一般式(1)中、R及びRは、互いに異なる置換基を表し、水素原子、若しくは、ヒドロキシ基を表し、又はR及びRは、互いに結合して、酸素2重結合基を表す。Rは、塩素原子、臭素原子、クロロジフルオロメチル基、又は、パーフルオロアルキル基を表す。
前記課題を解決するための他の手段は、
(2) 前記(1)に記載のグアイアズレン誘導体を含有することを特徴とするがん細胞阻害薬、特に前立腺がん細胞阻害薬である。
本発明によると、がん細胞阻害効果が高くてがん細胞阻害薬として有用な新規物質であるグアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬及び前立腺がん細胞阻害薬を提供することができる。
図1は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(1)のCDCl中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。 図2は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(3)のCDCl中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。 図3は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(6)のCDCl中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。 図4は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(8)のCDCl中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。 図5は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(2)のCDCl中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。 図6は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(4)のCDCl中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。 図7は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(7)のDMSO中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。 図8は、本発明の一例であるグアイアズレン誘導体(9)のCDCl中、室温、90MHzにおけるHNMRスペクトルを表す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のグアイアズレン誘導体は、がん細胞阻害薬、特に、前立腺がん阻害薬として有効である。
<がん阻害薬>
本発明のグアイアズレン誘導体は、一般式(1)で表される。
Figure 0006644990
一般式(1)中、R及びRは、互いに異なる置換基を表し、水素原子、若しくは、ヒドロキシ基を表し、又はR及びRは、互いに結合して、酸素2重結合基を表す。Rは、塩素原子、臭素原子、クロロジフルオロメチル基、又は、パーフルオロアルキル基を表す。
前記一般式(1)におけるパーフルオロアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等を挙げることができ、好ましくは炭素数が1〜4のパーフルオロアルキル基である。
一般式(1)において、特に、R及びRが、水素原子及びヒドロキシ基の組合せの場合が、副作用が少なく、がん細胞阻害効果が高く、がん細胞阻害薬として有用であり好ましい。
本発明のグアイアズレン誘導体には幾何異性体、又は、光学異性体の存在する場合があるが、それらも本発明の範疇である。
本発明のグアイアズレン誘導体は水和物又は、溶媒和等の形態をとっていてもよい。
本発明における一般式(1)で表されるグアイアズレン誘導体は、入手可能である市販品のグアイアズレンを原料にして、公知の方法、例えばJournal.of Organic.Chemistry.Vol. 30,p.p.131−138,1965)、Organic Letter,11(23),p.p.5363−5365(2009)等の文献に記載された方法を参考にして容易に合成することができる。
以下に本発明のグアイアズレン誘導体を合成する合成スキームの一例を示すが、これに限定されるわけではない。
Figure 0006644990
上記一般式(1)、及び酸無水物(1)中のRは、前記一般式(1)におけるR3の場合と同義である。
即ち、グアイアズレンと酸無水物(1)とをカップリングさせることにより本発明の一般式(1)で表されるグアイアズレン誘導体を得ることが出来る。一般式(1)で示されるグアイアズレン誘導体のうち、R及びRが互いに結合した結果として酸素2重結合基を有するグアイアズレン誘導体は、更に還元反応を行うことにより、一般式(1)で示されるグアイアズレン誘導体のうち、R及びRが互いに異なる置換基であって、水素原子及びヒドロキシ基のいずれかであるグアイアズレン誘導体を製造することができる。
カップリング方法としては、特に制限はないが、例えば、下記に示す方法が一態様として挙げられる。
カップリング工程の酸無水物(1)の使用量は、グアイアズレン1モルに対し、0.1〜10倍モル、好ましくは0.5〜3倍モル、より好ましくは0.8〜2倍モルである。
カップリング工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、メシチレン等の芳香族系溶媒、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び水、酢酸、並びにジクロロメタン等のハロゲン系溶媒等があげられる。好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶媒、水、酢酸等であり、より好ましくはエタノール、iso−プロピルアルコール、ジエチレングリコール、酢酸、ジクロロメタン等である。また、2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。
カップリング工程における溶媒の使用量は、グアイアズレンに対し、0.1〜1000倍重量の範囲で用いられ、好ましくは0.5〜500倍重量、より好ましくは1.0〜150倍重量である。
カップリング工程における反応温度は、−80〜250℃の範囲で行われ、好ましくは−20〜200℃、より好ましくは−5〜150℃である。通常、反応は24時間以内に完結する。
カップリング工程では、必要に応じて酸又は塩基の添加を行うと反応が速やかに進行する。用いる酸は特に制限されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、無水酢酸等の有機酸;アンバーライト(ローム・アンド・ハース株式会社)、アンバーリスト(ローム・アンド・ハース株式会社)等の強酸性イオン交換樹脂;ギ酸アンモニウム、又は酢酸アンモニウム等の無機酸塩等があげられる。より好ましくは、ギ酸アンモニウム、又は酢酸アンモニウム等の無機酸塩であり、より好ましくは、酢酸アンモニウムである。酸の使用量は、グアイアズレン1モルに対し、0.001〜50倍モル、好ましくは0.01〜10倍モル、より好ましくは0.1〜5倍モルである。
カップリング工程において用いる塩基としては、具体的には、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド;ピペリジン、ピリジン、2−メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルエチルアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、1、8−ジアザビシクロ[5、4、0]ウンデカ−7−エン(以下、DBUと略記する)、酢酸アンモニウム、n−ブチルリチウム、塩化マグネシウム、水素化ホウ素ナトリウム、金属ナトリウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等が用いられる。好ましくは、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ピペリジン、ジメチルアミノピリジン、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等であり、より好ましくは、ナトリウムメトキシド、ピペリジン、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。上記塩基の使用量は、グアイアズレン1モルに対し、0.1〜20倍モル、好ましくは0.5〜8倍モル、より好ましくは1.0〜4倍モルである。
反応終了後、水で希釈するか或いは塩酸等による酸析を行うことによって一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
還元工程で用いる還元剤は、通常、カルボン酸をアルコールに変換することが出来る還元剤であれば、特に制限はされないが、特に水素化ホウ素ナトリウムが簡便で扱いやすいので好ましい。
前記還元工程で用いる溶媒は、反応に関与しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶媒が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコールであり、より好ましくは、メタノール、エタノールである。また、2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。
前記のようにして還元反応により得られる本発明のグアイアズレン誘導体は、ラセミ体であるが、光学活性体も本発明の範疇である。
得られたグアイアズレン誘導体は、通常の有機化合物の単離・精製方法を用いることにより、純度の高い生成物として得ることができる。例えば、反応液を塩酸等で酸性にして、酸析することによって沈殿する固体をろ別し、水酸化ナトリウム等で中和し、濃縮することにより、粗成物が得られる。更に、粗成物をアセトン、メタノール等を用いた再結晶、シリカゲルを用いたカラム精製等により、精製することができる。これらの精製方法は、単独又は2つ以上組み合せて行うことにより高純度でこの発明のグアイアズレン誘導体を得ることが可能である。
以下に、本発明の一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例(1)〜(10)を示すが、下記の例に限定されるものではない。なお、化合物(6)〜(10)は、ラセミ体を示すが、不斉炭素が存在する(R)−光学活性体、又は、(S)−光学活性体も、本発明の範疇である。
Figure 0006644990
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また、本発明のグアイアズレン誘導体は、がん細胞阻害薬、特に前立腺がん細胞阻害薬として用いることが出来る。
本発明のがん細胞阻害薬、特に前立腺がん細胞阻害薬は、本発明の一般式(1)で表されるグアイアズレン誘導体をがん細胞に選択的に取り込まれることにより、がん細胞の増殖抑制、分裂抑制、転移抑制、機能阻害、殺細胞されることを特徴とする。
本発明のがん細胞阻害薬、特に前立腺がん細胞阻害薬は、単独、又は、2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、公知の抗がん薬と併用して用いても良い。
<被験体>
本発明のグアイアズレン誘導体により前立腺がん以外のがんを抑制する際の被験体としては、特に限定されるわけではないが、例えば、脊椎動物としては、トラフグ、クサフグ、ミドリフグ、メダカ、ゼブラフィッシュ等の硬骨魚類、アフリカツメガエル等の両性類、ニワトリ、ウズラ等の鳥類、ヒト、サル、チンパンジー、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ等の哺乳動物、ニワトリ、ウズラ等の鳥類、ラット、マウス、ハムスター等の小動物、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ等の大動物、サル、チンパンジー等が挙げられ、本発明のグアイアズレン誘導体により前立腺がんを抑制する際の被験体としては、前記哺乳動物、前記小動物、前記大動物、サル、チンパンジー等が挙げられる。好ましくは、マウス、ラット、イヌ、ネコ等である。
本発明のグアイアズレン誘導体をがん細胞阻害剤及びその他の医薬品として使用する場合には、その投与経路によって様々な剤型を選択することができる。例えば、液体、シロップ、細粒、顆粒、錠剤、カプセル剤、貼付薬、散剤、注射剤、軟膏、点眼剤、リポソーム等のドラッグデリバリーシステム(DDS)等の形態で使用することができる。
本発明のグアイアズレン誘導体を含有するがん細胞阻害剤及びその他の医薬品の投与法は、限定されることはないが、経口、又は、非経口で行うことが出来る。例えば、生体に暴露(液体等)、経口投与、静脈又は動脈等の血管内投与、経口内投与、舌下投与、直腸内投与、腹腔内投与、皮膚投与、皮下投与、皮内投与、膀胱内投与、気管(気管支)投与、眼内投与、鼻内投与、耳内等への注入、噴霧、塗布等を行うことが可能である。
本発明のグアイアズレン誘導体を含有するがん細胞阻害剤及びその他の医薬品には、必要に応じて薬理学的、又は、製剤学的に許容する添加物を含んでいても良い。例えば、保湿剤、表面張力調整剤、増粘剤、pH調整剤、pH緩衝剤、防腐剤、抗菌剤、甘味剤、香料、溶解剤、溶解補助剤、コーティング剤、結合剤等である。
本発明のグアイアズレン誘導体を含有するがん細胞阻害薬、特に前立腺がん細胞阻害薬及びその他の医薬品の投与量は、治療又は予防の目的、被検体の性別、年齢、体重、投与ルート、疾患等の程度によって、条件によって適宜決定される。
また、本発明のグアイアズレン誘導体を含有するがん細胞阻害薬、特に前立腺がん細胞阻害薬及びその他の医薬品は、既存のがん細胞阻害薬との併用も可能である。
<移植モデル動物>
本発明では、転移性のがんに関して挙動追跡するために、特に、移植モデル動物を好適に用いることができる。
移植モデル動物として、特に限定されるわけではないが、例えば、脊椎動物としては、トラフグ、クサフグ、ミドリフグ、メダカ、ゼブラフィッシュ等の硬骨魚類、アフリカツメガエル等の両生類、ニワトリ、ウズラ等の鳥類、サル、チンパンジー、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ等の哺乳動物、ニワトリ、ウズラ等の鳥類、ラット、マウス、ハムスター等の小動物、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ等の大動物、サル、チンパンジー等が挙げられる。好ましくは、マウス、ラット、イヌ、ネコ等である。
これらの中で免疫不全のマウス、ラット等が初期検討として一般的に用いられることが多いが、検討を行う際の期間(通常最短3〜6カ月)、クリーンルーム等で環境を保持し続ける必要がある。さらに、この期間中、管理するための人件費も膨大にかかる。
そのため、これらの生物試料の中でも、ゼブラフィッシュを用いることがコスト面、スピード面(通常最短1週間)で特に好ましい。ゼブラフィッシュは、米国及び英国では、近年、既にマウス及びラットに続く第3のモデル動物として認知されており、人と比較して全ゲノム配列が80%の相同性を持ち、遺伝子数もほぼ同じであり、さらに主要臓器・組織の発生・構造も良く似ていることが解明されてきている。各パーツ(心臓、肝臓、腎臓、消化管等の臓器・器官)が受精卵から分化して形成されていく過程が透明な体を通して観察できるため、非侵襲的に生体内部の観察が可能なゼブラフィッシュをモデル動物としてスクリーニングに用いることは特に好ましい。
また、ゼブラフィッシュは1回の産卵で約200個以上の受精卵が得られるため同じ遺伝的背景持ったゼブラフィッシュが得られ、スクリーニングには好都合であるという利点がある。
本発明のグアイアズレン誘導体を含有する医薬品、特にがん細胞阻害薬、更に前立腺がん細胞阻害を剤与する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前立腺がん細胞阻害薬が適当な界面活性剤との複合体又は、エマルジョンの形で飼育水中に懸濁すれば良い。また、餌や食べ物に混ぜて、経口投与しても良く、注射等により非経口投与しても良い。
<病状再現>
この発明に係るグアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬、及び前立腺がん細胞阻害薬の薬理効果、特にがん細胞阻害効果は、前記移植モデル動物に限らずに、iPS(人工多能性幹細胞)を用いることにより確かめることができる。例えば患者の体細胞から得られたiPS細胞は、容易に患者の病状を再現することができる。そこで患者ごとに得られたiPSに、本発明のグアイアズレン誘導体、がん細胞阻害薬、及び前立腺がん細胞阻害薬を投与すると、個々の患者に特有のがん細胞阻害効果を確認することができる。
がん細胞、特に、前立腺がん細胞の検出及び挙動の確認は、In Vitro、Ex Vivo、又は In Vivoのいずれでも実施することが可能である。
がん細胞、特に、前立腺がん細胞の検出方法としては、がん細胞に影響を与えなければ特に限定されるものではないが、生物試料の状態及び変化を画像として捉える方法を挙げることができる。例えば、がん細胞に可視光、近赤外光や赤外光を照射してカメラやCCD等で観察する可視光観察、近赤外光観察、赤外光観察、若しくはレーザー顕微鏡観察、蛍光内視鏡等のように生物試料に対して励起光光源から励起光を照射して発光している生物試料の蛍光を観察する蛍光観察、蛍光顕微鏡観察、蛍光内視鏡観察、共焦点蛍光顕微鏡観察、多光子励起蛍光顕微鏡観察、若しくは狭帯域光観察、共光干渉断層画像観察(OCT)、又は軟エックス線顕微鏡による観察等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明のより一層の深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。化合物の同定は、R−90H型高分解能NMR(90MHz、日立製作所製)、LC/TOF MS(LC/MSD TOF、Agilent Technologies社製)によって確認した。
<製造例1>
化合物(1)の製造
Figure 0006644990
グアイアズレン7.9g(40mmol)のクロロホルム50mL溶液を0〜5℃に冷却させ、2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸無水物11.7g(48mmol)をゆっくり滴下した。1時間攪拌した後、更に室温で12時間撹拌した。反応終了後、水100mLで希釈して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mL、水50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(1)6.8g(収率54.4%)を得た。
[化合物(1)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=309.0867(M−H)
[2]図1に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
<製造例2>
化合物(3)の製造
製造例1において、2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸無水物を用いる代わりに、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピオン酸無水物に変更した以外は、製造例1と同様の方法を行い、化合物(3)7.2gを得た。
[化合物(3)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=343.1136(M−H)
[2]図2に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
<製造例3〜4>
製造例3にあっては、製造例1において、2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸無水物を用いる代わりに、2−ブロモ−2,2−ジフルオロ酢酸無水物に変更した以外は製造例1と同様の方法を行って化合物(2)を得、また製造例4にあっては、製造例1において、2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸無水物を用いる代わりに、2−(トリフルオロエチル)−2,2−ジフルオロ酢酸無水物に変更した以外は、製造例1と同様の方法を行って化合物(4)を得た。
[化合物(2)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=355.0507(M+H)
[2]図5に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
[化合物(4)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=395.1245(M+H)
[2]図6に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
<製造例5>
化合物(6)の製造
化合物(1)12.1g(39mmol)のエタノール100mL溶液に、水素化ホウ素ナトリウム0.74g(20mmol)を数回に分けて添加し、室温下、10時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチル50mL、水50mLで希釈し、メチルtert−ブチルエーテル50mLで抽出した。水50mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(6)11.1g(収率91.2%)を得た。なお、本製造において得られる化合物はラセミ体である。
[化合物(6)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=311.1026(M−H)
[2]図3に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
<製造例6>
化合物(8)の製造
製造例5において、化合物(1)を用いる代わりに、化合物(6)に変更した以外は、製造例5と同様の方法を行い、化合物(8)10.5gを得た。
[化合物(8)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=345.1292(M−H)
[2]図4に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
<製造例7〜8>
化合物(7)〜(8)の製造
製造例5において、化合物(1)を用いる代わりに、化合物(2)及び(4)に変更した以外は、製造例5と同様の方法を行い、対応する化合物(7)及び(9)を得た。
[化合物(7)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=357.0531(M+H)
[2]図7に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
[化合物(9)についての分析結果]
[1]質量分析(ESI−TOF):m/z=397.1094(M+H)
[2]図8に、1H−NMR(90MHz、CDCl3、室温)を示す。
前立腺がん細胞に対するがん細胞の阻害(増殖抑制)作用の観察を以下のようにして行った。
(実施例1)
赤色蛍光タンパク(クサビオラオレンジ)を発現するヒト前立腺がん(DU145細胞)を、ウシ胎児血清と抗生物質(ペニシリン・ストレプトマイシン)を添加したRPMI640に懸濁し、1mL当たり25,000細胞になるように調整した。これを96穴プレートの各ウェルに200μL(約5,000細胞)播種し、一晩培養させた(培養液1)。10mMの化合物(1)のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養液1で100倍になるように希釈し、その溶液を1ウェル当たり20μL添加した。3日後、celltiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay (Promega)をマニュアルに従い操作を行い、生細胞数を定量した。
(実施例2〜13)
実施例1において、化合物(1)を用いる代わりに、表1に示す化合物及び濃度に変更した以外は、実施例1と同様な操作をして、各化合物に対する細胞数を定量した。
(比較例1〜7)
実施例1において、化合物(1)を用いる代わりに、表1に示すように、この発明に係るグアイアズレン誘導体を用いない、又は、比較化合物(1)〜(6)に変更した以外は、実施例1と同様な操作をして、各化合物に対する細胞数を定量した。
Figure 0006644990
Figure 0006644990
Figure 0006644990
Figure 0006644990
Figure 0006644990
Figure 0006644990
ここで阻害率は、比較例1の化合物を用いない場合(即ち、DMSOのみ)の生細胞数をF0、各種の化合物を用いた場合の生細胞数をF1として、F1/F0を求め、ヒト前立腺がん(DU145細胞)の阻害(増殖抑制)評価を行った。
A:F1/F0が、0.500未満(阻害効果が非常に高い)
B:F1/F0が、0.500以上0.80未満(阻害効果が高い)
C:F1/F0が、0.80以上(阻害効果が非常に高い)が低い)
Figure 0006644990
表1から明らかなように、本発明のグアイアズレン誘導体は前立腺がん細胞に対して、比較化合物よりもがん細胞の阻害(増殖抑制)効果が高い事が明らかである。
本発明により提供されるグアイアズレン誘導体は、がん細胞阻害薬、特に、前立腺がん細胞阻害薬として有用である。特に、グアイアズレン骨格を有していることにより、副作用が小さくて消炎効果に優れているので、患者にやさしいがん細胞阻害薬及び前立腺がん細胞阻害薬として本発明のグアイアズレン誘導体は有用である。また、本発明のがん細胞阻害薬の提供により、がん細胞の増殖抑制、分裂抑制、転移抑制、機能阻害、殺細胞されることが可能になるなど、医療産業に広く貢献することが期待できる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とするグアイアズレン誘導体。
    Figure 0006644990

    一般式(1)中、R及びRは、互いに異なる置換基を表し、水素原子、若しくは、ヒドロキシ基を表し、又はR及びRは、互いに結合して、酸素2重結合基を表す。Rは、塩素原子、臭素原子、クロロジフルオロメチル基、又は、パーフルオロアルキル基を表す。
  2. 請求項1に記載のグアイアズレン誘導体を含有することを特徴とするがん細胞阻害薬。
  3. 請求項1に記載のグアイアズレン誘導体を含有することを特徴とする前立腺がん細胞阻害薬。
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