JP6644472B2 - 星空投影装置,星空投影システムおよび星空投影方法 - Google Patents
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Description
光学式プラネタリウムは、従来はドーム状の天井の全面に星空を映し出すため、複数の投影ユニットを有し、天球を複数に分割して投影し、一つのつながった星空のように見せると同時に、この投影ユニットを複数有する投影機全体を回転させることにより、日時や場所の変化も再現する方法が主流であった。
これら恒星原板を用いた光学式プラネタリウムでは、精密加工により恒星原板の精細度をきわめて高めることにより美しい星空を投影できるという特徴を有する。しかしながら、一方で恒星原板は固定したパターンであるため、その中の任意の星だけ表示したり、隠したりすることができない。
しかしながらこれらの演出では、映像に星空が重なる部分でも星が投影されてしまうため、前景に星が透けて投影されてしまい、観客に不自然な印象を与えてしまう。
この課題を解決するために、恒星原板を含む投影光路中に任意の透過パターンを得る電気光学効果を有する素子を挿入して星空の任意の範囲を遮光する技術が提案されている(特許文献2)。
一方、液晶パネルやDMD素子等は、プロジェクタ用に多様なものが市販されているが、パネルのサイズが小さすぎ、特許文献2の形態での実施は困難である。
本発明による請求項2記載の星空投影装置は、遮光性の基材に恒星に相当する透過孔パターンを有する恒星原板と、複数の画素を有し、各画素毎に独立制御して光をオン,オフさせる液晶パネルと、前記液晶パネルを照明する光源と、前記光源の光で前記液晶パネルを照明する照明光学系と、前記液晶パネルと前記恒星原板の前面との間に共役関係を形成するレンズを有することにより、前記照明光学系により照明された前記液晶パネルの像を拡大して前記恒星原板面に結像させる結像光学系と、前記結像光学系に対して可動である前記恒星原板の位置情報を参照して前記液晶パネルに所定の偏光を照射し制御する制御回路と、を備え、前記恒星原板上の照度分布を可変可能に構成し、星空の任意の範囲を表示,消去,または強調を行うことを特徴とする。
本発明による請求項3記載の星空投影装置は、請求項1または2記載の星空投影装置において、前記恒星原板の回転軸と投影光学系の光軸とは一定の距離がずれた位置に設定され、ドームスクリーンに投影される星空の移り変わりを実現することを特徴とする。
本発明による請求項4記載の星空投影システムは、請求項2記載の星空投影装置において、前記液晶パネルは透過型液晶パネルまたは反射液晶パネルを使用したことを特徴とする。
すなわち、制御回路は、ユーザの操作により星空の所定の位置に複数の恒星など(太陽の天体など)をそれぞれ独立に表示し、特定の恒星などを独立して消去し、さらに特定の恒星などを明るくして強調するように動作する。
本発明による請求項5記載の星空投影システムは、請求項1,2,3または4記載の星空投影装置を単独で用いて、星空を投影することを
特徴とする。
本発明による請求項6記載の星空投影システムは、請求項1,2,3または4記載の星空投影装置を複数用いて、恒星を分割して投影し星空を完成させることを特徴とする。
本発明による請求項7記載の星空投影システムは、請求項1,2,3または4記載の星空投影装置に、ディジタル映像投影装置を併設し、前記ディジタル映像投影装置の映像に合わせて画像素子を制御する画像素子制御回路を有し、映像との重なり部分の星空をマスクすることを特徴とする。
本発明による請求項8記載の星空投影方法は、投影レンズ光学系に、輝星の明るさを個別に制御する画像素子を挿入してドームスクリーンに星空を投影する星空投影システムにおける星空投影方法であって、星空を投影するための映像信号を加工して投影画像範囲内の星空のみを投影する領域を透明部分として抽出してマスク映像信号を生成するマスク映像信号生成ステップと、前記抽出した透明部分の領域とディジタル映像中の星空を表示する領域とのズレを補正して一致させる補正済マスク映像信号を生成する補正済マスク映像信号生成ステップと、前記補正済マスク映像信号により画像素子を駆動する画像素子駆動ステップと、からなり、星空投影装置とディジタル映像投影装置の両者からの投影画像の投影レンズの位置の差によるパララックスを補正するため、座標変換して補正することによって、星空投影装置から投影される星の位置と前記ディジタル映像投影装置上の座標の相関をとり、星空投影装置から投影される輝星を含む各恒星をドームスクリーンに投影することを特徴とする。
本発明による請求項9記載の星空投影方法は、請求項8記載の星空投影方法において、前記画像素子はDMD素子または液晶パネルであることを特徴とする。
本発明による請求項10記載の星空投影方法は、請求項8または9記載の星空投影方法において、前記星空投影装置は光学式星空投影機であり、前記ディジタル映像投影装置はビデオプロジェクタであることを特徴とする。
本発明による請求項11記載の星空投影方法は、請求項10記載の星空投影方法において、前記ビデオプロジェクタは、映像信号を投影するビデオプロジェクタを構成する本体に、結像補助レンズ,コンデンサレンズおよび恒星原板を配列し、該恒星原板から出射される投影画像を投影することを特徴とする。
本発明による請求項12記載の星空投影方法は、請求項10記載の星空投影方法において、前記光学式星空投影機は、星空を投影する光学レンズ系の光軸に対し恒星原板を偏芯させて回転させ、日周運動する星空を実現することを特徴とする。
また、星空投影システムは、星空と前景を同時に表示する場合等、前景の位置と重なる恒星は消し、例えば林の木々の間から星空が見える場合には、木の葉の揺れに応じて星が見え隠れする効果を演出することができ、星の明るさでも僅かに透過させる前景(雲などの自然現象など)が存在する場合には、その程度に応じて減光して自然に近い星空を実現することが可能である。
図1は、本発明による星空投影装置を構成する投影ユニットの実施の形態を示す図で、複数の画素を有する画像素子としてDMD素子を利用した例である。
DMD素子3aは公知のプロジェクタ用の画像素子であり、多数の、個別に角度を電気的に制御可能とした微細反射鏡を格子状に配置した素子である。一つの微細反射鏡の寸法は概ね10μm程度であり、それぞれの角度が電気的な制御により、±10°程度の範囲で可変可能となる機能を有している。
このDMD素子3aの反射鏡は、オン方向とオフ方向で大凡40°ほど角度が変わる。この時、DMD素子3aの反射鏡がオン方向の時に反射された光はちょうど結像レンズ4を通してコンデンサレンズ5、恒星原板6に入射する。一方、DMD素子3aの反射鏡がオフ方向の場合は反射光は結像レンズを通らずに別の方向に散逸してしまい、あるいは然るべき光吸収素材などにより吸収される。
結像レンズ4がDMD素子3aを所定の倍率に拡大して恒星原板6面に結像させることによって、DMD素子3aのサイズに制限されず恒星原板6は大サイズのものを用いることができる。
恒星原板6を通過した光は、在来の投影ユニットと同じように投影レンズ7によってドームスクリーンなどの投影面に投射され、星空を映し出すことができる。
液晶パネルとして、プロジェクタ用に適した高温ポリシリコン透過形液晶パネルを用いるのがよい。透過液晶パネル13は透過形素子であり、個別の画素に相当する液晶素子の偏光特性を電気的に制御可能となっている。これに所定の偏光を照射すると、液晶素子の偏光特性の変化により透過する光量が変化する構成となっている。
この液晶素子を用いた実施原理は、DMD素子3aのものとほぼ同様であるが、透過素子であるため、光軸は一直線となっている。
光源11,集光レンズ12,結像レンズ14,コンデンサレンズ15,恒星原板16および投影レンズ17は、図1の光源1,集光レンズ2,結像レンズ4,コンデンサレンズ5,恒星原板6および投影レンズ7にそれぞれ対応し、その構成は同じである。
実施の形態として図示はしていないが、反射形液晶パネル(L−COS)素子を使った場合でも同様の実施は可能である。L−COS素子を使用する場合の実施構成は、DMD素子の使用例に準じる。
また、この実施の形態では、画像素子を単体で用いた例を示しているが、DMD素子や液晶パネルを用いた既製品のプロジェクタを応用して図1,図3に示すような実施の形態に相当するような構成をした場合でも、画像素子の像を恒星原板に結像させる原理である以上、本発明の範疇に含まれるのはもちろんである。
既製品ビデオプロジェクタ34から出射した投影光は、プロジェクタ自体の投影レンズ34aおよび結像補助レンズ34bにより、コンデンサレンズ35を通して恒星原板36上に結像する。恒星原板36を通過した光は投影レンズ38を通じてドームスクリーンや天井に星空を投影する。既製品ビデオプロジェクタ34に入力する映像信号により、恒星原板36の任意の範囲のみを投影することが可能である。
このような投影ユニットを複数組み合わせて従来の通り恒星投影機に組み込むことにより、任意の範囲の星空を点灯させたり、消灯させたりすることができる星空投影システムを構成することができる。
光源1を出た光が集光レンズ2によりDMD素子3aに集光される。DMD素子3aで反射された光は、DMD素子3aのミラーがオン状態の角度のときに、結像レンズ4の方向に反射光が向かう構成となっており、なおかつDMD素子3aと恒星原板6aが共役関係であるから、DMD素子3a上の任意画素3bを反射した光は、光路18に沿って結像レンズ4により、恒星原板6a上の所定位置19に像を結ぶ。このようなDMD素子3aの構造および機能により、DMD素子3aの各画素のオンオフにより恒星原板6a上の任意の範囲(この例では所定位置19の範囲内)にのみ光源の光を導くことができる。
この原理および詳細は特許文献3に記載されている。
恒星原板6a上の特定の恒星の位置は当然既知であるから、特定の恒星の位置と回転角が与えられることにより、当該恒星に相当するDMD素子の位置は、図示しない座標変換回路などの座標変換処理により容易に求めることができる。故に、図5の光学式星空投影機26に内蔵させた画像素子制御回路25に相当する、図4の図示しない画像素子制御回路によって、この範囲のDMD素子のみをオンにすれば、当該恒星を表示しそれ以外の範囲は遮光することができる。
天井方向に向けて設置したビデオプロジェクタ37の映像と、光学式星空投影機26による星空をドームスクリーンもしくは天井で重ね合わせて投影するものである。
ビデオプロジェクタ37は、魚眼レンズ38aが装着されており、映像再生装置32から映像ケーブル23を通じて映像信号が入力され、ドームスクリーンもしくは天井の全域に映像を投影することができる。例えばビデオプロジェクタ37から投影される映像が超高層ビル街の夜空の映像であった場合、ドームスクリーンもしくは天井には図7のような超高層ビル街の夜景の投影画像39がその場で観察するような様子で再現される。
図7の映像に予め処理しておくか、またはリアルタイムで処理を施して、空の部分だけを抽出した映像で、これをマスク映像と呼ぶことにする。図8のマスク映像40の白い部分41は空に相当する透明範囲である。
マスク映像40を形成する処理は映像再生装置32で行われる。
映像再生装置32から出力される映像信号は、映像ケーブル24を通じて光学式星空投影機26内の画像素子制御回路25に入力し、画像素子であるDMD素子3aがこのマスク映像信号に従って、恒星原板上の照明範囲を制御する。
恒星原板46上の投影範囲47の部分だけ光が当たることになる。従ってこの投影範囲47だけの星が投影され、それ以外の星は投影されないことになる。
光学式星空投影機とビデオプロジェクタの両者からの投影画像の位置関係は、投影レンズの位置の差によりパララックスが生じることになる。しかしながら座標変換により補正することで、光学式星空投影機の投影ユニットから投影される星の位置とビデオプロジェクタ上の座標の相関がとれる関係にする。
また、映像再生装置32に透明部抽出装置32bおよび視差補正装置32cを設け、光学式星空投影機26にDMD駆動装置26aを設けた例を示したが、透明部抽出装置32b,視差補正装置32cおよびDMD駆動装置26aは映像再生装置32または光学式星空投影機26に限らず、他の機器や映像再生装置32または光学式星空投影機26に外付で設けることも可能である。
ビデオプロジェクタ37に送る映像信号に視差補正を行う場合には、ビデオプロジェクタ37側に透明部抽出装置32bおよび視差補正装置32cを設けることも可能である。
そこで、星空と木立が存在する部分の重なりあった部分について、微小面積部分を透明範囲とし、その透明範囲が時系列的に僅かに左右に動くようにして、風の動きを想定してある時間では恒星が存在する部分の星空が見えるように制御することにより、一層リアルな星空を実現できる。
このようなランダムノイズで、各画素の輝度がランダムに変化すれば、恒星原板上の星も細かい範囲でランダムに輝度が変動することになる。これにより、個別の星が任意に瞬く効果が得られることになる。加えて瞬きのパターンはディジタル映像で生成されるので、またたきの強度を変えることも自在であり、夜空の天頂付近と地平線付近でのまたたきの強度を変えることも可能である。よって、すべての星が自然に瞬く光学式プラネタリウムが実現できることになる。
本発明によれば、任意の範囲をきめ細かく遮光でき、映像と調和した星空を投影できる光学式プラネタリウムを実現できる。
2,12 集光レンズ
3a DMD素子
3b 任意画素
4,14 結像レンズ
5,15,35 コンデンサレンズ
6,6a,16,36,46 恒星原板
7,17,34a,38 投影レンズ
8 DMD素子の像
9 円環
9a,10a 歯車
10 モータ
13 透過液晶パネル
17 投影範囲
18 光路
19 所定位置
21 回転軸
22 光軸
23,24,33 映像ケーブル
25 画像素子制御回路
26 光学式星空投影機
32 映像再生装置
34,37 ビデオプロジェクタ
34b 結像補助レンズ
39 ビデオプロジェクタの投影画像
40 マスク映像
41 空に相当する透明範囲
42 ランダムノイズ状の映像パターン
47 恒星原板上の投影範囲
Claims (12)
- 遮光性の基材に恒星に相当する透過孔パターンを有する恒星原板と、
複数の画素を有し、各画素毎に独立制御して光をオン,オフさせるDMD素子と、
前記DMD素子を照明する光源と、
前記光源の光で前記DMD素子を照明する照明光学系と、
前記DMD素子の前面と前記恒星原板の前面との間に共役関係を形成するレンズを有することにより、前記照明光学系により照明された前記DMD素子の像を拡大して前記恒星原板面に結像させる結像光学系と、
前記結像光学系に対して可動である前記恒星原板の位置情報を参照して前記DMD素子に与える信号を制御する制御回路と、を備え、
前記恒星原板上の照度分布を可変可能に構成し、星空の任意の範囲を表示,消去,または強調を行うことを特徴とする星空投影装置。 - 遮光性の基材に恒星に相当する透過孔パターンを有する恒星原板と、
複数の画素を有し、各画素毎に独立制御して光をオン,オフさせる液晶パネルと、
前記液晶パネルを照明する光源と、
前記光源の光で前記液晶パネルを照明する照明光学系と、
前記液晶パネルと前記恒星原板の前面との間に共役関係を形成するレンズを有することにより、前記照明光学系により照明された前記液晶パネルの像を拡大して前記恒星原板面に結像させる結像光学系と、
前記結像光学系に対して可動である前記恒星原板の位置情報を参照して前記液晶パネルに所定の偏光を照射し制御する制御回路と、を備え、
前記恒星原板上の照度分布を可変可能に構成し、星空の任意の範囲を表示,消去,または強調を行うことを特徴とする星空投影装置。 - 前記恒星原板の回転軸と投影光学系の光軸とは一定の距離がずれた位置に設定され、ドームスクリーンに投影される星空の移り変わりを実現することを特徴とする請求項1または2記載の星空投影装置。
- 前記液晶パネルは透過型液晶パネルまたは反射液晶パネルを使用したことを特徴とする請求項2記載の星空投影装置。
- 請求項1,2,3または4記載の星空投影装置を単独で用いて、星空を投影することを
特徴とする星空投影システム。 - 請求項1,2,3または4記載の星空投影装置を複数用いて、恒星を分割して投影し星空を完成させることを特徴とする星空投影システム。
- 請求項1,2,3または4記載の星空投影装置に、ディジタル映像投影装置を併設し、前記ディジタル映像投影装置の映像に合わせて画像素子を制御する画像素子制御回路を有し、
映像との重なり部分の星空をマスクすることを特徴とする星空投影システム。 - 投影レンズ光学系に、輝星の明るさを個別に制御する画像素子を挿入してドームスクリーンに星空を投影する星空投影システムにおける星空投影方法であって、
星空を投影するための映像信号を加工して投影画像範囲内の星空のみを投影する領域を透明部分として抽出してマスク映像信号を生成するマスク映像信号生成ステップと、
前記抽出した透明部分の領域とディジタル映像中の星空を表示する領域とのズレを補正して一致させる補正済マスク映像信号を生成する補正済マスク映像信号生成ステップと、
前記補正済マスク映像信号により画像素子を駆動する画像素子駆動ステップと、からなり、
星空投影装置とディジタル映像投影装置の両者からの投影画像の投影レンズの位置の差によるパララックスを補正するため、座標変換して補正することによって、星空投影装置から投影される星の位置と前記ディジタル映像投影装置上の座標の相関をとり、星空投影装置から投影される輝星を含む各恒星をドームスクリーンに投影することを特徴とする星空投影方法。 - 前記画像素子はDMD素子または液晶パネルであることを特徴とする請求項8記載の星空投影方法。
- 前記星空投影装置は光学式星空投影機であり、
前記ディジタル映像投影装置はビデオプロジェクタであることを特徴とする請求項8ま
たは9記載の星空投影方法。 - 前記ビデオプロジェクタは、映像信号を投影するビデオプロジェクタを構成する本体に、結像補助レンズ,コンデンサレンズおよび恒星原板を配列し、該恒星原板から出射される投影画像を投影することを特徴とする請求項10記載の星空投影方法。
- 前記光学式星空投影機は、星空を投影する光学レンズ系の光軸に対し恒星原板を偏芯させて回転させ、日周運動する星空を実現することを特徴とする請求項10記載の星空投影方法。
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